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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】プリントシステム、サーバ、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 305
G06F3/12 304
G06F3/12 373
G06F3/12 387
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019209832
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021082074
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沼田 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】奥原 宏文
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-097479(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176196(WO,A1)
【文献】特開2010-097547(JP,A)
【文献】特開2005-275724(JP,A)
【文献】特開2016-212733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0176118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリンタとサーバと端末とをネットワークに接続して構成するプリンタシステムであって、
前記端末は、
前記ネットワークを介して記録に必要なデータを入力する入力手段と、
前記ネットワークを介して前記複数のプリンタから1つのプリンタを選択する選択手段と、
記録を行うために用いるプリンタを表示する表示手段とを有し、
前記サーバは、
前記端末の前記入力手段により入力された以前の記録に用いられたデータを収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された前記データに基づいて、前記複数のプリンタのうちの1つのプリンタを選択することを学習した学習済モデルを生成する生成手段と、
前記端末の前記入力手段により入力された新しい記録のためのデータに基づいて、前記学習済モデルを用いて、前記複数のプリンタから該新しい記録に適合するプリンタを推論する推論手段とを有し、
前記サーバは、クラウドサーバを有し、
前記クラウドサーバには、第1のサーバと第2のサーバとが接続されており
前記端末は第1の端末と第2の端末とを含み、
前記第1のサーバと前記第2のサーバとのそれぞれは、前記収集手段と前記生成手段と前記推論手段とを含み、前記第1の端末と前記第2の端末とのそれぞれは、前記入力手段と前記選択手段と前記表示手段とを含み、
使用するプリンタの条件に基づいて前記第1のサーバの前記生成手段が前記学習済モデルを生成し前記第1のサーバの前記推論手段が推論する場合には、前記第1のサーバの前記収集手段が前記第1の端末から収集した前記データを用い、前記第1のサーバの前記収集手段が前記第2の端末から収集した前記データを用いない、
ことを特徴とするプリンタシステム。
【請求項2】
前記第1のサーバと前記第2のサーバとのそれぞれはさらに、
前記端末の前記入力手段により入力されたデータと、前記端末の前記選択手段により選択されたプリンタとに基づいて、選択すべきプリンタを機械学習する学習手段と、
前記学習手段により得られた学習データに基づいて生成された学習モデルと、
前記学習モデルから前記学習済モデルに、少なくともプリンタを選択するために必要なデータを配信する配信手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項3】
前記複数のプリンタは、インクジェット方式に従うプリンタ、電子写真方式に従うプリンタ、昇華式に従うプリンタ、インクジェット方式に従い、かつ、用いるインクの数が異なるプリンタを含むことを特徴とする請求項2に記載のプリンタシステム。
【請求項4】
前記ネットワークは、インターネットとローカルエリアネットワークを含み、
前記第1のサーバと前記第2のサーバとのそれぞれは、
記ローカルエリアネットワークに接続されるエッジサーバを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のプリンタシステム。
【請求項5】
前記インターネットと前記ローカルエリアネットワークとを接続するルータをさらに有し、
前記ルータはWLANによる無線通信を行う機能を備えることを特徴とする請求項4に記載のプリンタシステム。
【請求項6】
前記端末は、前記ローカルエリアネットワークに有線接続されるパーソナルコンピュータ(PC)やワークステーションと、前記WLANにより無線接続されるスマートフォンを含むことを特徴とする請求項5に記載のプリンタシステム。
【請求項7】
前記クラウドサーバは、前記学習手段と前記学習モデルとを含み、
前記エッジサーバは、前記学習済モデルと前記推論手段とを含むことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のプリンタシステム。
【請求項8】
前記クラウドサーバは1つであり、
前記エッジサーバは複数、である、
ことを特徴とする請求項7に記載のプリンタシステム。
【請求項9】
前記端末の表示手段は、前記サーバの推論手段による推論の結果として得られたプリンタを表示することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプリンタシステム。
【請求項10】
前記端末の前記入力手段から入力されるデータは、印刷対象ページ内の文章割合/画像割合と、印刷対象のページ数と、印刷対象の出力サイズと、印刷対象を作成した使用ソフトと、直近に使用したプリンタとのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプリンタシステム。
【請求項11】
ネットワークを介して複数のプリンタと端末に接続するプリンタシステムにおけるサーバであって、
前記端末で入力された以前の記録に用いられたデータを収集する収集手段と、
前記収集手段により収集された前記データに基づいて、前記複数のプリンタのうちの1つのプリンタを選択することを学習した学習済モデルを生成する生成手段と、
前記端末で入力された新しい記録のためのデータに基づいて、前記学習済モデルを用いて、前記複数のプリンタから該新しい記録に適合するプリンタを推論する推論手段とを有し、
前記サーバは、クラウドサーバを有し、
前記クラウドサーバには、第1のサーバと第2のサーバとが接続されており
前記端末は第1の端末と第2の端末とを含み、
前記第1のサーバと前記第2のサーバとのそれぞれは、前記収集手段と前記生成手段と前記推論手段とを含み、
使用するプリンタの条件に基づいて前記第1のサーバの前記生成手段が前記学習済モデルを生成し前記第1のサーバの前記推論手段が推論する場合には、前記第1のサーバの前記収集手段が前記第1の端末から収集した前記データを用い、前記第1のサーバの前記収集手段が前記第2の端末から収集した前記データを用いない、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項12】
複数のプリンタとサーバと端末とをネットワークに接続して構成するプリンタシステムにおける方法であって、
前記端末が、
前記ネットワークを介して記録に必要なデータを入力する入力工程と、
前記ネットワークを介して前記複数のプリンタから1つのプリンタを選択する選択工程と、
記録を行うために用いるプリンタを表示する表示工程とを有し、
前記サーバが、
前記端末の前記入力工程において入力された以前の記録に用いられたデータを収集する収集工程と、
前記収集工程において収集された前記データに基づいて、前記複数のプリンタのうちの1つのプリンタを選択することを学習した学習済モデルを生成する生成工程と、
前記端末の前記入力工程において入力された新しい記録のためのデータに基づいて、前記学習済モデルを用いて、前記複数のプリンタから該新しい記録に適合するプリンタを推論する推論工程とを有し、
前記サーバは、クラウドサーバを有し、
前記クラウドサーバには、第1のサーバと第2のサーバとが接続されており
前記端末は第1の端末と第2の端末とを含み、
前記第1のサーバと前記第2のサーバとのそれぞれが、前記収集工程と前記生成工程と前記推論工程とを実行し、前記第1の端末と前記第2の端末とのそれぞれが、前記入力工程と前記選択工程と前記表示工程とを実行し、
使用するプリンタの条件に基づいて前記第1のサーバの前記生成工程で前記学習済モデルを生成し前記第1のサーバの前記推論工程で推論する場合には、前記第1のサーバの前記収集工程において前記第1の端末から収集した前記データを用い、前記第1のサーバの前記収集工程において前記第2の端末から収集した前記データを用いない、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリントシステム、サーバ、及び方法に関し、特に、ネットワークを介して複数のプリンタを接続したプリントシステム、サーバ、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1台のクライアント端末(PC等)に対して、ネットワークを介して複数のプリンタが接続される、所謂ネットワークプリントシステム(以下、システム)の利用が増加している。そのようなシステムがオフィスにおいて運用される場合、システムに接続されるプリンタには、電子写真方式のプリンタ(LBP)とインクジェット方式のプリンタ(IJP)のような異なる方式を採用した装置が接続される場合がある。
【0003】
さて、PCユーザがシステムのプリンタを用いて印刷(出力)を行う際、印刷を行うプリンタを適宜選択した後に印刷が行われる。一般にPCで印刷をするために印刷命令を入力すると、PCの画面上には「通常使うプリンタ」として設定されたプリンタ、もしくは直前に使用したプリンタが表示される。このため、システムにおいて、ユーザが表示されたプリンタとは異なるプリンタを用いて印刷したい場合、その都度プリンタ名を変更する必要があり、これはユーザにとって煩雑であった。
【0004】
これに対応するため、特許文献1はネットワークに接続した複数のプリンタからプリンタを選択する場合、印刷する原稿の色やサイズなどの属性とプリンタから送られるプリンタ機能とを比較し、その属性に最も適合するプリンタを選択する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-053142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に開示の技術では予め決められたプリンタ機能から選択するため、印刷属性との適合性についておのずと限界があり、応用性に乏しい場合があった。また、ユーザによって嗜好が異なるため、例えば、同様の印刷属性の原稿を印刷する場合においても、ユーザによって選択するプリンタが異なる場合があった。このように従来の技術によれば、ユーザが印刷に用いたいプリンタとシステムが選択したプリンタとの適合性が必ずしも高くない場合が発生していた。
【0007】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、ネットワークに接続される複数のプリンタ装置からユーザの意図に応じたプリンタをより精度良く選択可能なプリントシステム、サーバ、および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のプリントシステムは次のような構成からなる。
【0009】
即ち、複数のプリンタとサーバと端末とをネットワークに接続して構成するプリンタシステムであって、前記端末は、前記ネットワークを介して記録に必要なデータを入力する入力手段と、前記ネットワークを介して前記複数のプリンタから1つのプリンタを選択する選択手段と、記録を行うために用いるプリンタを表示する表示手段とを有し、前記サーバは、前記端末の前記入力手段により入力された以前の記録に用いられたデータを収集する収集手段と、前記収集手段により収集された前記データに基づいて、前記複数のプリンタのうちの1つのプリンタを選択することを学習した学習済モデルを生成する生成手段と、前記端末の前記入力手段により入力された新しい記録のためのデータに基づいて、前記学習済モデルを用いて、前記複数のプリンタから該新しい記録に適合するプリンタを推論する推論手段とを有し、前記サーバは、クラウドサーバを有し、前記クラウドサーバには、第1のサーバと第2のサーバとが接続されており、前記端末は第1の端末と第2の端末とを含み、前記第1のサーバと前記第2のサーバとのそれぞれは、前記収集手段と前記生成手段と前記推論手段とを含み、前記第1の端末と前記第2の端末とのそれぞれは、前記入力手段と前記選択手段と前記表示手段とを含み、使用するプリンタの条件に基づいて前記第1のサーバの前記生成手段が前記学習済モデルを生成し前記第1のサーバの前記推論手段が推論する場合には、前記第1のサーバの前記収集手段が前記第1の端末から収集した前記データを用い、前記第1のサーバの前記収集手段が前記第2の端末から収集した前記データを用いない、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワークに接続される複数のプリンタからユーザの目的に応じたプリンタをより精度良く選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の代表的な実施例であるプリントシステムの構成概要を示すブロック図である。
図2図1で示したクラウドサーバとエッジサーバの具体的な構成を示すブロック図である。
図3図1で示したプリンタ(IJP)とプリンタ(LBP)の具体的な構成を示すブロック図である。
図4図1で示したプリントシステムにおいてAI技術を適用したプリンタの選択機能に関連したソフトウェア構成を示すブロック図である。
図5図4で示した学習モデルと学習済モデルを利用する際の入出力の構造を示す概念図である。
図6】パーソナルコンピュータ(PC)のモニタの表示画面を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態に従うプリントシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には、複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられても良い。さらに添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
<プリントシステムの概要(図1)>
図1は、本発明の代表的な実施形態であるプリントシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示されるように、プリントシステム(以下、システム)100は、インターネット104とローカルエリアネットワーク(LAN)102とLTEや4Gとして知られる公衆無線回線網105とが関与する。また、システム100は、インターネット104に接続されたクラウドサーバ200と、LAN102に接続されたエッジサーバ300と、LAN102に接続された複数のデバイスとから構成される。LAN103とインターネット104とはルータ103を介して相互に接続され、インターネット104は公衆無線回線網105とはゲートウェイ106を介して相互に接続される。
【0017】
LAN102に接続される複数のデバイスには、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーションなどのクライアント端末401やデジタルカメラ402やインクジェットプリンタ(IJP)600やレーザビームプリンタ(LBP)601が含まれる。さらに、公衆無線回線網105と音声やデータの無線通信を行うスマートフォン500がNFCやBluetooth(登録商標)やWiFiなどの近距離無線通信101によってIJP600やLBP601に接続される。
【0018】
従って、これら複数のデバイスはLAN102を介して相互接続され、LAN102からルータ103を介してインターネット104と接続することが可能である。
【0019】
なお、図1において、ルータ103はLAN102とインターネット104を接続する機器として図示されているが、LAN102を構成する無線LANアクセスポイント機能を持たせることも可能である。この場合、上記デバイスは有線LANによりルータ103と接続する以外に、無線LAN(WLAN)接続によりLAN102に接続するように構成することができる。例えば、プリンタ(IJP)600やプリンタ(LBP)601やクライアント端末401は有線LANで接続し、スマートフォン500は無線LANで接続するように構成することも可能である。従って、スマートフォン500も無線LAN(WLAN)で接続可能なクライアント端末の1つであると言える。
【0020】
いずれにせよ、各デバイスとエッジサーバ300は、ルータ103を介して接続されたインターネット104を経由してクラウドサーバ200と相互に通信することが可能である。この実施形態では、エッジサーバ300は、複数のプリンタが接続されるプリントサーバとしての機能と、AI技術を適用した学習済モデル(後述)から推論を行う推論部とを兼ね備えている。一方、クラウドサーバ200は、AI技術を適用した学習部を備える学習用サーバとしての機能を備える。
【0021】
また、各デバイスとエッジサーバ300、そして、各デバイス同士もLAN102を経由して相互に通信することが可能である。また、スマートフォン500は公衆無線携帯電話回線網105とゲートウェイ106を介してインターネット104に接続し、クラウドサーバ200と通信することもできる。
【0022】
なお、上述のシステム構成は一例を示すものであって、異なる構成であってもよい。例えば、ルータ103はアクセスポイント(AP)機能を備えているとしたが、APはルータ103と異なる装置で構成してもよい。また、エッジサーバ300と各デバイスとの間の接続はLAN102以外の接続手段を用いてもよい。例えば、無線LAN以外のLPWA、ZigBee、Bluetooth(登録商標)、NFCなどの無線通信や、USBなどの有線接続や赤外線通信などを用いるものであってもよい。
【0023】
<サーバの構成概要(図2)>
図2図1で示したクラウドサーバとエッジサーバの具体的な構成を示すブロック図である。ここでは、クラウドサーバ200とエッジサーバ300とは共通のハードウェア構成をもつものとして説明する。以下、クラウドサーバとエッジサーバは単にサーバとして言及する。
【0024】
図2に示すように、サーバ200、300は、装置全体の制御を行うメインボード210と、ネットワーク接続ユニット201、ハードディスクユニット202を備える。
メインボード210に内蔵されるCPU211は、内部バス212を介して接続されているプログラムメモリ213に格納されている制御プログラムと、データメモリ214の内容とに従って動作する。CPU211はネットワーク制御回路215を介してネットワーク接続ユニット201を制御することで、インターネット104やLAN102などのネットワークと接続し他の装置との通信を行う。CPU211はハードディスク制御回路216を経由して接続されたハードディスクユニット(HDU)202との間でデータを読み書きすることができる。ハードディスクユニット202には、プログラムメモリ213にロードして使用されるオペレーティングシステム(OS)やサーバ200、300の制御ソフトウェアが格納されるほか、各種のデータも格納される。
【0025】
メインボード210にはGPU217が接続されており、各種演算処理をCPU211の代わりに実行させることが可能である。GPU217はデータをより多く並列処理することで効率的な演算を行うことができるので、ディープラーニングのような学習モデルを用いて複数回に渡り学習を行う場合にはGPU217で処理を行うことが有効である。
【0026】
従って、この実施形態では、学習部(後述)による処理にはCPU211に加えてGPU217を用いるものとする。具体的には、学習モデルを含む学習プログラムを実行する場合に、CPU211とGPU217が協同して演算を行うことで学習を行う。なお、学習部の処理はCPU211又はGPU217のみにより演算が行われても良い。また、推論部(後述)も学習部と同様にGPU217を用いても良い。
【0027】
なお、この実施形態ではクラウドサーバ200をエッジサーバ300で共通の構成を使用するものとして説明したが、この構成に限られるものではない。例えばクラウドサーバ200にはGPU217を搭載するがエッジサーバ300では搭載しない構成を取ってもよいし、異なる性能のGPU217を用いるものとして構成してもよい。
【0028】
<プリンタの構成概要(図3)>
図3図1で示したプリンタ(IJP)とプリンタ(LBP)の具体的な構成を示すブロック図である。
【0029】
上述のように、プリンタ(IJP)600はインクジェットプリンタである。インクジェット記録方式にはサーマル方式やピエゾ方式など様々な方式があるが、いずれの方式にしても電気熱変換素子や電気機械変換素子(ピエゾ素子)などの記録素子を駆動して記録ヘッドに備えられたノズルからインク液滴を記録媒体に吐出して記録を行う。また、プリント(LBP)601は電子写真方式に従うレーザビームプリンタであり、帯電したドラムをビーム光で走査することで静電潜像を形成し、これをトナーで現像して画像を形成し、これを記録媒体に転写することで記録を行う。
【0030】
図3に示されるように、プリンタ(IJP)600とプリンタ(LBP)601とは基本的に同じ内部構成を備える。プリンタ600、601は装置全体の制御を行うメインボード610と、無線LANユニット608と、近距離無線通信ユニット606と、操作パネル605と、スキャナ607と、プリンタエンジン609とを備える。ここで、IJP600はインクジェット方式を採用したプリンタエンジン609を備え、LBP601は電子写真方式を採用したプリンタエンジン609を備える。
【0031】
メインボード610に備えられるCPU611は、内部バス612を介して接続されているプログラムメモリ(ROM)613に格納されている制御プログラムとデータメモリ(RAM)614の内容とに従って動作する。CPU611はスキャナインタフェース(I/F)615を介してスキャナ607を制御して原稿の画像を読取り、データメモリ614の画像メモリ616に読取った画像の画像データを格納する。また、CPU611はプリンタインタフェース(I/F)617を制御してデータメモリ614の画像メモリ616の画像データを用いて記録媒体に画像を印刷することができる。
【0032】
CPU611はLAN制御回路618を通じてLANユニット608を制御することで他の端末装置と通信を行う。また、CPU611は近距離無線通信制御回路620を介して近距離無線通信ユニット606を制御することによって、他の端末との接続を検知したり、他の端末との間でデータの送受信を行うことができる。なお、LANユニット608はLAN102への有線接続に対応したものでも良いし、ルータ103の無線LANアクセスポイント機能を経由したLAN102への無線接続に対応したものでも良い。
【0033】
さらに、CPU611は操作部制御回路621を制御することによって操作パネル605にプリンタ600、601の状態の表示や機能選択メニューの表示を行ったり、ユーザからの操作を受付けたりすることができる。操作パネル605にはバックライトが備えられており、CPU611は操作部制御回路621を介してバックライトの点灯、消灯を制御することができる。バックライトを消灯すると、操作パネル605の表示が見えにくくなるが、プリンタ600、601の消費電力を抑えることができる。
【0034】
<ソフトウェア構成概要(図4)>
図4図1で示したシステムにおいてAI技術を適用したプリンタの選択機能に関連したソフトウェア構成を示すブロック図である。図4では、ソフトウェア構成のうち、この実施形態における学習および推論の処理に関わるものについてのみ記載しており、その他のソフトウェアモジュールについては図示していない。例えば、各デバイスやサーバ上で動作するオペレーティングシステムや各種ミドルウェア、メンテナンスのためのアプリケーション等については図示していない。また、図4において、図1で言及したクライアント端末401やデジタルカメラ402やIJP600やLBP601、さらに、スマートフォン500はデバイス400として総称している。
【0035】
図4に示されるように、クラウドサーバ200は、学習用データ生成部250、学習部251、学習モデル252を備える。
【0036】
学習用データ生成部250は、外部から受信したデータから学習部251が処理可能な学習用データを生成するモジュールである。学習用データは、後述するように、学習部251の入力データ(X)と、学習の結果の正解を示す教師データ(T)の組である。学習部251は、学習用データ生成部250から受け取った学習用データを学習モデル252に対する学習を実行するプログラムモジュールである。学習モデル252は、学習部251で行った学習の結果を蓄積する。
【0037】
ここでは、学習モデル252をニューラルネットワークとして実現する例を説明する。ニューラルネットワークの各ノード間の重み付けパラメータを最適化することにより、入力データを分類したり、評価値を決定したりすることができる。蓄積した学習モデル252は、エッジサーバ300に学習済モデルとして配信され、エッジサーバ300における推論処理に用いられる。
【0038】
エッジサーバ300は、データ収集・提供部350、推論部351、学習済モデル352を備える。
【0039】
データ収集・提供部350は、デバイス400から受信したデータや、エッジサーバ300が自ら収集したデータを、クラウドサーバ200に学習に用いるためのデータ群として送信するモジュールである。推論部351は、デバイス400から送られるデータを基づいて学習済モデル352を用いて推論を実行し、その結果をデバイス400に返送するプログラムモジュールである。デバイス400から送られるデータは、推論部351の入力データ(X)となるデータである。
【0040】
学習済モデル352は、エッジサーバ300で行う推論に用いられる。学習済モデル352も学習モデル252と同様にニューラルネットワークとして実現されるものとする。ただし、後述のように、学習済モデル352は学習モデル252と同一のものであってもよいし、学習モデル252の一部を抽出して利用するものであってもよい。学習済モデル352はクラウドサーバ200で蓄積して配信された学習モデル252を格納する。学習済モデル352は、学習モデル252の全部を配信するものであってもよいし、学習モデル252のうち、エッジサーバ300での推論に必要な一部分だけを抜き出して配信するものであってもよい。
【0041】
デバイス400は、アプリケーション部450、データ送受信部451を備える。
【0042】
アプリケーション部450は、デバイス400で実行する各種の機能を実現するモジュールであり、機械学習による学習・推論の仕組みを利用するモジュールである。データ送受信部451は、エッジサーバ300に学習または推論を依頼するモジュールである。学習時には、アプリケーション部450からの依頼により学習に用いるデータをエッジサーバ300のデータ収集・提供部350に送信する。また、推論時には、アプリケーション部450からの依頼により推論に用いるデータをエッジサーバ300の推論部351に送信し、その結果を受信してアプリケーション部450に返す。
【0043】
なお、この実施形態ではクラウドサーバ200で学習した学習モデル252をエッジサーバ300に学習済モデル352として配信し、推論に利用する形態を示したが、本発明はこれにより限定されるものではない。学習、推論をそれぞれ、クラウドサーバ200、エッジサーバ300、デバイス400のどこで実行するかは、ハードウェア資源の配分や計算量、データ通信量の大小に応じて構成を決定すればよい。あるいはこれら資源の配分や計算量、データ通信量の増減に応じて動的に変えるように構成してもよい。学習と推論を行う主体が異なる場合、推論側は推論のみで使用するロジックや学習済モデル352の容量を削減したり、より高速で実行できるように構成したりすることが可能である。
【0044】
<学習モデルの説明(図5)>
図5は、図4で示した学習モデルと学習済モデルを利用する際の入出力の構造を示す概念図である。図5において、(a)は学習モデルに学習させる場合の学習モデル252とそのデータ入出力の様子を示しており、(b)は学習済モデルを用いて推論を行う場合の学習済モデル352とその入出力データの関係を示している。
【0045】
図5(a)に示す学習時における入力データ(X)は学習モデル252の入力層のデータである。なお、入力データ(X)の詳細は後述する。学習時には、入力データ(X)を機械学習モデルである学習モデル252を用いて認識した結果として出力データ(Y)が出力される。学習時には、入力データ(X)の認識結果の正解データとして教師データ(T)が与えられるので、出力データ(Y)と教師データ(T)を損失関数804に与えることにより、認識結果の正解からの誤差であるずれ量(L)が得られる。多数の学習用データに対してずれ量(L)が小さくなるように、学習モデル252のニューラルネットワークのノード間の結合重み付け係数等を更新する。誤差逆伝播法は、上記の誤差が小さくなるように、各ニューラルネットワークのノード間の結合重み付け係数等を調整する手法である。
【0046】
機械学習の具体的なアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシンなどが挙げられる。また、ニューラルネットワークを利用して、学習するための特徴量、結合重み付け係数を自ら生成する深層学習(ディープラーニング)も挙げられる。適宜、上記アルゴリズムのうち利用できるものを用いて、この実施形態における学習モデルに適用することができる。
【0047】
図5(b)に示す推論時における入力データ(X)は学習済モデル352の入力層のデータである。推論時には、入力データ(X)を機械学習モデルである学習済モデル352を用いて認識した結果として出力データ(Y)が出力される。推論時には、出力データ(Y)を推論結果として利用する。なお、推論時の学習済モデル352は、学習時の学習モデル252と同等のニューラルネットワークを備えるものとして説明したが、推論で必要な部分のみを抽出したものを学習済モデル352として備えてもよい。これにより、学習済モデル352が扱うデータ量を削減したり、推論時のニューラルネットワーク処理時間を短縮したりすることが可能である。
【0048】
次に、図5を参照して説明した学習モデルをこの実施形態における最適なプリンタの選択に適用した学習と推論についての特徴について説明する。
【0049】
・学習と推論の特徴
この実施形態では図1で示したようにプリントシステムに少なくとも2つのプリンタ600、601が接続されており、ユーザがクライアント端末401から適宜、好みのプリンタを選択して印刷を行うことができる。一例として、この実施形態では表1に示す2種類のプリンタを用いる。
【0050】
プリンタ(IJP)600は、記録媒体の幅に対応した長さを備えるA3サイズ対応のページワイド型のインクジェット記録ヘッドを備え、その記録ヘッドからイエロ、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクを吐出してフルカラー記録を行う。なお、その記録速度は60ipmである。一方、プリンタ(LBP)601は、A4サイズまでの記録媒体にブラックのトナーのみでのモノクロ記録が可能である。なお、その記録速度は30ipmである。
【0051】
<表1>
┌――――┬――――――――┬――――――┬―――――――┬―――――┐
| 種類 | 記録方式 | 記録速度 |最大記録サイズ| 記録色 |
├――――┼――――――――┼――――――┼―――――――┼―――――┤
| IJP| インクジェット| 60ipm| A3 | カラー |
├――――┼――――――――┼――――――┼―――――――┼―――――┤
| LBP| 電子写真 | 30ipm| A4 | モノクロ|
└――――┴――――――――┴――――――┴―――――――┴―――――┘
【0052】
なお、図1や表1に示した例では、LANに接続されるネットワークプリンタの種類は2つであるとしたが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、インクジェットプリンタ(IJP)の種類を1つにする必要はない。例えば、表1のプリンタ(IJP)はイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクを用いるものであるが、より高品位な画像記録のために、8色、10色、12色などのより多くのインクを用いるプリンタをさらに用いても良い。さらに、表1のプリンタの記録方式は2種類であるが、他の記録方式に従うプリンタ、例えば、昇華式プリンタなどをさらに用いても良い。
【0053】
この実施形態では、それぞれの印刷時においてユーザがクライアント端末401で最終的に選択を行って印刷を実行した際のプリンタ種類(選択指示)を教師データ(T)として学習部251で学習を行うことで学習済モデル352を生成する。新たに印刷を行う際には後述する入力データ(X)と学習済モデル352とに基づいて、ユーザが印刷指示を行うと、想定されるプリンタ種類を推論部351で推定する。
【0054】
以下、このようなプロセスを詳細に説明する。
【0055】
・学習フェーズ
この実施形態における入力データ(X)は、
(1)印刷対象ページ内の文章割合/画像割合、
(2)印刷対象のページ数、
(3)印刷対象の出力サイズ、
(4)印刷対象を作成した使用ソフト(アプリケーション)、
(5)直近に使用したプリンタ
等である。学習モデル252又は学習済モデル353には入力データ(1)~(5)のうちの少なくともいずれか1つが入力される。
【0056】
入力データ(X)を(1)印刷対象ページ内の文章割合/画像割合である観点から考えると、一般的に、文章の割合が比較的多いとモノクロプリンタであるプリンタ601を選択する場合が多く、逆に、画像の割合が多いとプリンタ600を選択する場合が多い。入力データ(X)が(2)印刷対象ページ数である観点から考えると、ページ数が比較的多いと相対的に高速印刷が可能なプリンタ600を選択する場合が多い。入力データ(X)を(3)印刷対象の出力サイズである観点から考えると、PCで使用するアプリケーションのページサイズがA3以上の場合にはプリンタ600を選択する場合が多い。入力データ(X)を(4)印刷対象を作成した使用ソフトである観点から考えると、描画ソフトや写真アプリケーションからの印刷の場合にはカラー印刷に適したプリンタ600を選択する場合が多い。入力データ(X)を(5)直近に使用したプリンタである観点から考えると、PCを使用するユーザの好みによりいずれか一方のプリンタをメインプリンタとして使用する場合があるので、直近に使用したプリンタを入力データとして参照する。
【0057】
このように、この実施形態では、上記(1)~(5)といったデータを入力データ(X)として用いてエッジサーバ300のデータ収集・提供部350を経てクラウドサーバ200の学習部251で学習を行う。学習部251は入力データ(X)と教師データ(T)とユーザが実際に選択したプリンタ種類とに基づいて学習を行う。このように学習部251で学習したデータをクラウドサーバ200にある学習モデル252に蓄積する。
【0058】
エッジサーバ300やクラウドサーバ200を介して複数ユーザからの複数回の入力データに基づいて学習を行うこと学習したデータを学習モデル252に蓄積する。このようにして、以前の複数回の記録を通して、学習部251は何がユーザの要求に適合したプリンタであるのかを学習する。
【0059】
・推定フェーズ
クラウドサーバ200の学習部251で学習され学習モデル252に蓄積された学習データは学習済モデル352としてエッジサーバ300に蓄積される。ここで、ユーザから新たな印刷指示がデバイス400から送られてきた場合には、入力データ(1)~(5)と学習済モデル352とに基づいてエッジサーバ300の推論部351で推論を実行し、これにより得られた推論結果をデバイス400に伝達する。
【0060】
その際に、例えば、推論部351での推論結果がプリンタ600を選択したとする。この場合、ユーザがPCで印刷指令を実行した場合にPCのモニタ上にプリント指示用の画面10が表示される。
【0061】
図6はパーソナルコンピュータ(PC)のモニタの表示画面を示す図である。
【0062】
図6には、プリント指示用の画面10が表示される例が示されている。画面10には、プリンタ選択箇所12に選択されたプリンタ名が表示される。プリンタ種類を変更する場合には、プルダウンボタン11をクリックすることで使用可能な複数種類のプリンタが表示され、ユーザがその中から所望のプリンタを選択する。この実施形態では推論部351においてプリンタ600が選択されたのでプリンタ選択箇所12にはプリンタ(IJP)が表示される。図6に示すのと同様の画面は、スマートフォン500やワークステーション(WS)などの他のクライアント端末にも表示できる。
【0063】
従って以上説明した実施形態に従えば、パーソナルコンピュータの表示画面には印刷指示の度にエッジサーバの推論部で推論された結果のプリンタが表示される。ここで、最終的にユーザが印刷を行ったプリンタ種類は教師データ(T)として学習に使用される。このように、AI技術を用いて学習・推論を繰り返し行うことでユーザが出力したいであろうプリンタ種類を精度良く表示画面に表示することが可能となる。仮に、ユーザがPCにおいて特定のプリンタを「通常使うプリンタ」として設定していたとしても、上記推論部による結果を優先してプリンタ種類を表示することでユーザが用いたいであろうプリンタを表示できる。その結果、ユーザがプルダウンボタンなどを操作して使用するプリンタを変更するといった手間を軽減することが可能になる。
【0064】
なお、上述した実施形態では1つのクラウドサーバに対して1つのエッジサーバが接続されており、クラウドサーバにおける学習部は、そのエッジサーバからの複数の入力データに基づいて学習を行っていた。しかしながら、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、1つのクラウドサーバに複数のエッジサーバを接続し、学習の際に全エッジサーバからの入力データを参照するのではなく特定の1つ以上のエッジサーバからの入力データに基づいて学習を行い、当該エッジサーバの推論部で推論を行うようにしても良い。
【0065】
図7は本発明の他の実施形態に従うプリントシステムの概略構成を示すブロック図である。図7において、既に図1で説明したのと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。図7図1とを比較すると分かるように、この例では1つのクラウドサーバ200に対しインターネット104と1つルータを介して1つのエッジサーバに接続する構成が2つ設けられている。そして、エッジサーバ300、300aにLAN102、102aを介して、それぞれ、複数のデバイスが接続される。
【0066】
図7によれば、図1と同様にクラウドサーバ200にはルータ103を介してエッジサーバ300が接続されており、エッジサーバ300に複数のプリンタ600、601、クライアント端末401が接続されている。これを企業Aにおけるネットワークプリンタ環境とする。また、企業Bのネットワークプリンタ環境として、ルータ103aを介してエッジサーバ300aが接続されており、これに複数のプリンタ600a、601a、クライアント端末401aが接続されている。
【0067】
ここで、例えば、企業Aにおいては経費(コスト)を削減するために、社員に対して極力モノクロプリンタであるプリンタ601を使うように通達されているとする。企業Aの社員が印刷をする場合、例えば、画像割合が比較的多い対象物を印刷する場合においてもカラープリンタであるプリンタ600ではなく、プリンタ601を使用する場合が多い。従って、上述の実施形態で説明したような一般的な学習モデル252では、企業Aの特性に適合しない場合ある。このように学習モデルは企業毎、言い換えるとエッジサーバに接続されるサブシステム毎に特性(傾向)が異なる場合がある。
【0068】
このため、図7に示したプリンタシステムではクラウドサーバ200に接続される複数のエッジサーバごとに学習モデルを異ならせ、異なる学習モデルごとに推論を行う。つまり企業毎(エッジサーバ毎)に個別の学習、推論を行う。
【0069】
このように、図7に示したプリンタシステムでは、エッジサーバ300、300a夫々に推論部を備える。そして、例えば、エッジサーバ300aの推論部で推論を行う場合は、エッジサーバ300a(ルータ103a)に接続されたクライアント端末401aからのみ収集された学習データを用いる。言い換えると、エッジサーバ300(ルータ103)に接続されたクライアント端末401から収集された学習データは用いずに推論する。
【0070】
また、上述の実施形態ではクラウドサーバに学習部を備える構成であったが、図7に示すようなシステムでは、各エッジサーバに学習部を備える構成であってもよい。例えば、ルータ103aに接続されたクライアント端末401aからの入力データに対してはエッジサーバ300aの学習部で学習を行い、ルータ103に接続されたクライアント端末401からの入力データに対してはエッジサーバ300の学習部で学習を行う。
【0071】
このようにシステムを構成することで、異なるネットワークプリンタ環境夫々で別個に収集された入力データに対して、専用の学習モデルを用いて学習を行い、その学習で得られた学習データを推論部にフィードバックして推論を行うことができる。従って、異なるネットワークプリンタ環境夫々に適合したプリンタ選択を行うことができる。
【0072】
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。コンピュータは、1または複数のプロセッサまたは回路を有し、コンピュータ実行可能命令を読み出し実行するために、分離した複数のコンピュータまたは分離した複数のプロセッサまたは回路のネットワークを含みうる。
【0073】
プロセッサまたは回路は、CPU、MPU、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートウェイ(FPGA)を含みうる。また、プロセッサまたは回路は、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、データフロープロセッサ(DFP)、またはニューラルプロセッシングユニット(NPU)を含みうる。
【0074】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0075】
100 処理システム、102 ローカルエリアネットワーク(LAN)、
103 ルータ、104 インターネット、200 クラウドサーバ、
250 学習用データ生成部、251 学習部、252 学習モデル、
300 エッジサーバ、350 データ収集・提供部、351 推論部、
352 学習済モデル、400 デバイス、401 クライアント端末、
450 アプリケーション部、500 スマートフォン、600、601 プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7