(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ロキソプロフェンを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/192 20060101AFI20240515BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240515BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240515BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240515BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240515BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240515BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240515BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240515BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240515BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20240515BHJP
A61K 36/28 20060101ALN20240515BHJP
【FI】
A61K31/192
A61P29/00
A61K47/46
A61K47/38
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/10
A61K9/70 401
A61P43/00 121
A61K36/28
(21)【出願番号】P 2019217774
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2018225575
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 沙奈
(72)【発明者】
【氏名】森 隆宏
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021027(JP,A)
【文献】国際公開第2017/111167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/192
A61P 29/00
A61K 47/46
A61K 47/38
A61K 9/08
A61K 9/12
A61K 9/06
A61K 9/10
A61K 9/70
A61P 43/00
A61K 36/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ロキソプロフェン又はその塩;
(B)ウサギギク属の植物又はその抽出物;
(C)セルロース類;
を含有する、液状又は半固形状の組成物
(但し、ポリオレフィン系樹脂製容器に収容する場合を除く)。
【請求項2】
成分(B)が、アルニカ又はその抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(B)が、アルニカ、アルニカチンキ又はアルニカエキスである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(C)が、セルロースエーテル誘導体又はその塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(C)が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース及びカルメロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(C)が、ヒプロメロースである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、経口液剤、シロップ剤及び経口ゼリー剤よりなる群から選ばれる剤形である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソニン(登録商標)の有効成分としても知られるロキソプロフェンを含有する組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ロキソプロフェンは、フェニルプロピオン酸系の非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の一種であり(非特許文献1)、優れた消炎鎮痛効果を発揮する。
そのため、外用消炎鎮痛剤の有効成分として広く利用されており、これまでに変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛等の疾患並びに症状の消炎・鎮痛等を効能効果とする外用貼付剤(パップ剤、テープ剤等)や外用塗布剤(ゲル剤等)が開発・上市されている(非特許文献2)。
【0003】
ロキソプロフェンを外用剤の有効成分として利用する場合、ローション剤、ゲル剤やクリーム剤等の外用塗布剤のように、液状あるいは半固形状の組成物として患部に塗布等することにより使用するのが、患部の位置、形状や範囲に応じて柔軟に必要な量だけ投与する観点から好ましい。また、ロキソプロフェンを液状又は半固形状の組成物に安定的に配合する技術が確立できれば、外用剤のみならず内服薬(経口液剤等)への応用も可能となる。
【0004】
しかしながら、近年では、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物は、高温条件下で保存した場合に経時的に変色が生じ得るものであることがわかってきた。そのため、本出願人は、(1)ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアルニカチンキに代表されるウサギギク属の植物又はその抽出物を含有せしめ、かつ、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂製容器に収容すること、あるいは(2)ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにヒプロメロースに代表されるセルロース類を含有せしめ、かつ、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂製容器に収容することによって、高温保存時の変色を抑制できることを見出し、それぞれについて特許出願を以前に行っている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-21027号公報
【文献】特開2017-155042号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】第十六改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C-5359~5364頁
【文献】ロキソニン(登録商標)ゲル1%医薬品インタビューフォーム 第一三共株式会社 2010年10月改訂(第3版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物の、高温保存時における変色を抑制する新たな手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアルニカチンキに代表されるウサギギク属の植物又はその抽出物とヒプロメロースに代表されるセルロース類とを組み合わせて含有せしめると、それぞれを単独で含有せしめた場合と比較して高温保存時の変色を顕著に抑制でき、斯かる組み合わせによればポリオレフィン系樹脂製容器を用いずとも十分な変色抑制作用が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ロキソプロフェン又はその塩;
(B)ウサギギク属の植物又はその抽出物;
(C)セルロース類;
を含有する液状又は半固形状の組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、次の成分(A):
(A)ロキソプロフェン又はその塩;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、次の成分(B)及び(C):
(B)ウサギギク属の植物又はその抽出物;
(C)セルロース類;
を含有せしめる工程を含む、組成物の変色の抑制方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物の、高温保存時における変色を抑制できる。従って、保存安定性に優れた、ロキソプロフェン又はその塩を含有する医薬を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、「液状又は半固形状の組成物」の態様の発明について以下に説明する。
<成分(A)>
本発明において、「ロキソプロフェン又はその塩」には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはロキソプロフェンやその薬学上許容される塩と水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。これらは公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。本発明において、ロキソプロフェン又はその塩としては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名: Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
【0013】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のロキソプロフェン又はその塩の含有量は特に限定されず、所望の消炎鎮痛効果に応じて適宜検討して決定すればよい。本発明においては、ロキソプロフェン又はその塩を組成物全質量に対して、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で0.01~10質量%含有するのが好ましく、0.1~5質量%含有するのがより好ましく、0.5~3質量%含有するのが特に好ましい。
【0014】
<成分(B)>
本発明において、「ウサギギク属の植物」とは、キク科ウサギギク属(アルニカ属)に属する植物体を意味し、当該属に属するものであれば具体的な種は特に限定されず、例えば、以下の学名の植物:Arnica montana(アルニカ)、Arnica chamissonis、Arnica fulgens、Arnica cordifolia(丸葉アルニカ)、Arnica latifolia(広葉アルニカ)、Arnica longifolia(長葉アルニカ)、Arnica sachalinensisなどが挙げられる。本発明においては、アルニカとして、単一の種の植物を用いてもよいし、複数の異なる種の植物を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、変色抑制作用の観点から、Arnica montana(アルニカ)を用いるのが好ましい。また、本発明において、ウサギギク属の植物の使用部位は特に限定されず、その全草若しくは一部(花、花序、花穂、蕾、葉、枝、根等)又はそれらの2種以上の組み合わせを用いることができる。
【0015】
ウサギギク属の植物は必要に応じてその形態を調節することができ、小片、小塊に切断若しくは粉砕、又は粉末に粉砕することができる。また、組成物の製造時の取扱いの便宜等を考慮して、ウサギギク属の植物に何らかの抽出処理を施したもの(本明細書において「ウサギギク属の植物の抽出物」と称する。)を用いてもよい。
なお、「ウサギギク属の植物の抽出物」には、抽出処理に加えて、加熱、乾燥、粉砕等の加工処理を施したものも包含される。具体的には、ウサギギク属の植物を必要に応じて適当な大きさとした後に、適当な浸出液(抽出溶媒)を加えて浸出した液や、当該浸出液を濃縮した液(軟エキス、チンキ等)、さらにこれらを乾燥させたもの(乾燥エキス等)なども本発明の「ウサギギク属の植物の抽出物」に包含される。
【0016】
ウサギギク属の植物の抽出物の製造方法は特に限定されず、例えば第十六改正日本薬局方 製剤総則の「エキス剤」、「浸剤・煎剤」、「チンキ剤」、「流エキス剤」の項の記載など、公知の植物抽出物の製造方法を参考にして製造できる。具体的には例えば、ウサギギク属の植物を必要に応じて切断、加熱、乾燥、粉砕等したうえ、適当な抽出溶媒を加えて抽出を行うことで、製造することができる。得られた抽出物は、必要に応じてさらに濃縮、乾燥等させてもよい。
【0017】
前記抽出溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の低級1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の低級多価アルコール;ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等のアルカン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲノアルカン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;水(熱水を含む)等が挙げられる。これらは各々単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、水、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール又はこれらの2種以上の混液が好ましい。
抽出操作は特に限定されず、植物からの抽出操作に利用される公知の方法を適宜採用することができ、具体的には例えば、抽出溶媒への浸漬(冷浸、温浸、パーコレーション等)、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出などが挙げられる。なお、抽出効率を上げるため、攪拌や抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。
抽出温度は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが好ましい。
抽出時間は特に限定されず、使用する抽出溶媒、抽出操作等により異なるが、1時間~14日程度とするのが好ましい。
【0018】
本発明において、「ウサギギク属の植物又はその抽出物」としては、アルニカ(Arnica montana)又はその抽出物が好ましい。アルニカの抽出物としては、アルニカチンキ、アルニカエキスが挙げられる。ウサギギク属の植物又はその抽出物としては、アルニカチンキ及びアルニカエキス(軟エキス、乾燥エキス)から選ばれる1種以上のアルニカの抽出物がより好ましく、アルニカチンキ、医薬部外品原料規格2006に収載のアルニカエキスがさらに好ましく、アルニカチンキが特に好ましい。
【0019】
本発明において、ウサギギク属の植物又はその抽出物としては、市販品を用いることができ、具体的な市販品としては例えば、アルニカチンキ(アルプス薬品工業(株))、アルニカエキス(丸善製薬(株))、ファルコレックス アルニカ(一丸ファルコス(株))、アルニカエキス、アルニカチンキ(以上、日本粉末薬品(株))等が挙げられる。
【0020】
本発明において、液状又は半固形状の組成物におけるウサギギク属の植物又はその抽出物の含有量は特に限定されないが、変色抑制作用の観点から、ウサギギク属の植物又はその抽出物を原生薬換算量で、組成物全質量に対して0.00001~5質量%含有するのが好ましく、0.00005~2質量%含有するのがより好ましく、0.0007~0.7質量%含有するのが特に好ましい。特に、ウサギギク属の植物としてアルニカを用いる場合においては、変色抑制作用の観点から、アルニカ又はその抽出物を原生薬換算量で、組成物全質量に対して0.0001~3質量%含有するのが好ましく、0.0005~1質量%含有するのがより好ましく、0.001~0.5質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明において、液状又は半固形状の組成物中のロキソプロフェン又はその塩とウサギギク属の植物又はその抽出物の含有比は特に限定されず、変色抑制作用の観点から適宜検討して決定すればよいが、変色抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェン無水物換算で1質量部に対し、ウサギギク属の植物又はその抽出物を原生薬換算量で0.00001~5質量部含有するのが好ましく、0.00005~2質量部含有するのがより好ましく、0.0007~0.7質量部含有するのが特に好ましい。特に、ウサギギク属の植物としてアルニカを用いる場合においては、変色抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェン無水物換算で1質量部に対し、アルニカ又はその抽出物を原生薬換算量で0.0001~3質量部含有するのが好ましく、0.0005~1質量部含有するのがより好ましく、0.001~0.5質量部含有するのが特に好ましい。
【0021】
<成分(C)>
本発明において、「セルロース類」とは、セルロース又はその塩そのもののほか、セルロースのヒドロキシ基の全部又は一部がエーテル結合を形成した誘導体又はその塩(以下、「セルロースエーテル誘導体又はその塩」と称する。なお、当該セルロースエーテル誘導体又はその塩は、エーテル結合のほか、必要に応じてさらにエステル化、架橋形成等、更なる修飾がなされていてもよい。)を包含する概念である。ここで塩としては特に限定されず、具体的には例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0022】
当該セルロース類のうち、セルロース又はその塩としては具体的には例えば、結晶セルロース、粉末セルロース等が挙げられる。
また、セルロース類のうち、セルロースエーテル誘導体又はその塩としては具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース又はその塩;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース又はその塩;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒプロメロース等のアルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース又はその塩;ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステル等のアルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース誘導体又はその塩;カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム等のカルボキシアルキルセルロース又はその塩;クロスカルメロースナトリウム等のカルボキシアルキルセルロース誘導体又はその塩等が挙げられる。なお、当該セルロースエーテル誘導体におけるアルキル基としては特に制限されないが、炭素数1~6の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。また、当該セルロースエーテル誘導体におけるエーテル化率(アルキル基、ヒドロキシアルキル基等のエーテル結合を形成する置換基の置換率:%)は特に制限されないが、溶媒に対する溶解性等の観点から、10~90%が好ましく、20~80%が特に好ましい。なお、エーテル化率(%)は各セルロースエーテル誘導体につき第十六改正日本薬局方に記載された方法、又はこれに準じた方法により測定する。
これらのセルロース類は、いずれも公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販品を用いてもよい。
【0023】
本発明においてセルロース類としては、変色抑制作用の観点から、セルロースエーテル誘導体又はその塩が好ましく、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース及びカルボキシアルキルセルロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、C1-C6アルキルセルロース、ヒドロキシC1-C6アルキルセルロース、C1-C6アルキル(ヒドロキシC1-C6アルキル)セルロース及びカルボキシC1-C6アルキルセルロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース及びカルメロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上がさらにより好ましく、ヒプロメロースがさらにより好ましく、第十六改正日本薬局方に規定の、置換度タイプが2910のヒプロメロースが特に好ましい。
【0024】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のセルロース類の含有量は特に限定されないが、変色抑制作用の観点から、組成物全質量に対して0.001~5質量%含有するのが好ましく、0.005~3質量%含有するのがより好ましく、0.01~2質量%含有するのが特に好ましい。
【0025】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のロキソプロフェン又はその塩とセルロース類の含有比は特に限定されず、変色抑制作用の観点から適宜検討して決定すればよいが、変色抑制作用の観点から、ロキソプロフェン又はその塩をロキソプロフェン無水物換算で1質量部に対し、セルロース類を0.002~4質量部含有するのが好ましく、0.02~1.5質量部含有するのがより好ましく、0.02~1質量部含有するのが特に好ましい。
【0026】
本発明において、液状又は半固形状の組成物中のウサギギク属の植物又はその抽出物とセルロース類の含有比は特に限定されず、変色抑制作用の観点から適宜検討して決定すればよいが、変色抑制作用の観点から、ウサギギク属の植物又はその抽出物を原生薬換算量で1質量部に対し、セルロース類を1~5000質量部含有するのが好ましく、10~1000質量部含有するのがより好ましく、50~500質量部含有するのが特に好ましい。
【0027】
<液状又は半固形状の組成物>
本発明において、「液状又は半固形状の組成物」とは、常温(15~25℃の範囲内のうちいずれかの温度)において液状あるいは半固形状の組成物を意味する。
本発明において組成物の性状は特に限定されず、溶液、コロイド溶液(ゾル(懸濁液や乳濁液))、ゲル等のいずれであってもよい。また、溶媒あるいは基剤の種類・性質等は特に限定されず、親水性であっても油性等の疎水性であってもよく、さらには異なる複数種の溶媒・基剤を適宜混合・乳化等して用いてもよい。こうした溶媒・基剤としては、具体的には例えば、後記の添加物として例示された成分等が挙げられる。
【0028】
本発明においては、液状又は半固形状の組成物の使用時の安全性の観点から、液状又は半固形状の組成物が、水を含有するのが好ましい。ここで、組成物中の水の含有量は、特に限定されないが、液状又は半固形状の組成物の使用時の安全性や変色抑制作用の観点から、組成物全質量に対し1質量%以上であるのが好ましく、5質量%以上であるのがより好ましく、10~90質量%であるのがさらに好ましく、20~70質量%であるのがさらにより好ましく、30~60質量%であるのが特に好ましい。
【0029】
また、本発明においては、液状又は半固形状の組成物の使用感の観点から、液状又は半固形状の組成物が、低級アルコールを含有するのが好ましい。ここで、「低級アルコール」とは、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖の1価のアルコールを意味し、具体的には例えば、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール等が挙げられ、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物が好ましい。組成物中の低級アルコールの含有量は、特に限定されないが、液状又は半固形状の組成物の使用感や変色抑制作用の観点から、組成物全質量に対し5質量%以上であるのが好ましく、10~90質量%であるのがより好ましく、15~70質量%であるのがさらに好ましく、20~50質量%であるのが特に好ましい。
【0030】
本発明においては、液状又は半固形状の組成物の使用時の安全性、使用感の観点から、液状又は半固形状の組成物が、水及び低級アルコールの両者を共に含有するのが好ましい。組成物が、水又は低級アルコールの少なくとも一方を含有する組成物(特に水及び低級アルコールの両者を共に含有する組成物)の場合であっても、変色が抑制されたものとなる。
【0031】
本発明において、液状又は半固形状の組成物には、医薬成分として、前記以外の薬物、例えば、鎮痛成分、抗炎症成分、抗ヒスタミン成分、殺菌成分、収れん・保護成分、血行促進成分、局所刺激成分、局所麻酔成分、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、胃粘膜保護剤、制酸剤、抗コリン剤、生薬類、漢方処方等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいてもよい。
【0032】
鎮痛成分としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、インドメタシン、エテンザミド、エトドラク、ケトプロフェン、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、ジクロフェナクナトリウム、チアラミド塩酸塩、ナプロキセン、ピロキシカム、フェルビナク、メロキシカム、ラクチルフェネチジン等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、グリチルレチン酸、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0033】
抗ヒスタミン成分としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、セチリジン塩酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、ベポタスチンベシル酸塩、ホモクロルシクリジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩等が挙げられる。
【0034】
殺菌成分としては、例えば、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。収れん・保護成分としては、例えば、酸化亜鉛等が挙げられる。血行促進成分としては、トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、ニコチン酸ベンジル、ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。局所刺激成分としては、例えば、ノナン酸バニリルアミド、カプサイシン、トウガラシ等が挙げられる。局所麻酔成分としては、例えば、リドカイン、ベラドンナエキス等が挙げられる。
鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩等が挙げられる。
ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
去痰剤としては、例えば、アンモニア・ウイキョウ精、塩化アンモニウム等が挙げられる。
【0035】
催眠鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、パンテノール、パンテチン、パントテン酸ナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、シアノコバラミン、メコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0036】
胃粘膜保護剤としては、例えば、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
制酸剤としては、例えば、アミノ酢酸、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ等が挙げられる。
【0037】
抗コリン薬としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、チペピジウム臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン等が挙げられる。
【0038】
生薬類としては、例えば、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、ウコン(鬱金)、エンゴサク(延胡索)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ (遠志)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、カロニン(か楼仁)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウカ(紅花)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイシン(細辛)、サンシシ(山梔子)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シコン(紫根)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ(車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ (生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セイヨウトチノキ、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、チクセツニンジン(竹節人参)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボタンピ(牡丹皮)、ヨウバイヒ(楊梅皮)、ロクジョウ(鹿茸)等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0039】
漢方処方としては、例えば、ケイシトウ(桂枝湯)、コウソサン(香蘇散)、サイコケイシトウ(柴胡桂枝湯)、ショウサイコトウ(小柴胡湯)、バクモンドウトウ(麦門冬湯)、ハンゲコウボクトウ(半夏厚朴湯)等が挙げられる。
【0040】
また、本発明において、液状又は半固形状の組成物には、剤形、投与方法等に応じて医薬品分野、化粧品分野等において用いられる添加物を配合してもよい。こうした添加物としては、例えば、ゲル化剤、多価アルコール、油脂類、乳化剤、可溶化剤、pH調整剤、抗酸化剤、軟化剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、安定化剤、経皮吸収促進剤、矯味剤・甘味剤、テルペン類等が挙げられる。
【0041】
ゲル化剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー等のアクリル酸系高分子;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、マクロゴール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、スクワラン、パラフィン、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル類;べへニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ベヘニン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;カルナウバロウ、鯨ロウ、セラック、ホホバ油、ミツロウ、サラシミツロウ、モンタンロウ、ラノリン、精製ラノリン、還元ラノリン等のロウ類;シリコーン油等が挙げられる。
【0042】
乳化剤としては、例えば、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の多価アルコール脂肪酸エステル又は多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテルエステル等の非イオン性界面活性剤又はラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤などが挙げられる。
可溶化剤としては、例えば、上記の乳化剤として例示した非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤に加え、グリセリン、流動パラフィン、クロタミトン、マクロゴール等が挙げられる。
【0043】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、氷酢酸等の有機酸又はその塩;塩酸、硫酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸又はその塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化アルカリ;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、大豆レシチン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
軟化剤としては、例えば、アラントイン、アーモンド油、オリブ油、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、精製ラノリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ナタネ油、ヒマシ油、プロピレングリコール、ポリブテン等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、コロイド性ケイ酸アルミニウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グァーガム、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、アルブミン等が挙げられる。
保湿剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、ショ糖、エリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、アミノエチルスルホン酸等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硬化油、システイン等が挙げられる。
経皮吸収促進剤としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル等の脂肪酸エステル類が挙げられる。
矯味剤・甘味剤としては、例えば、アセスルファムカリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース、パノース、トレハロース、エリスリトール、ラクチトール、還元パラチノース、カップリングシュガー、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、ラフィノース、アスパルテーム、果糖、キシリトール、黒砂糖、サッカリン若しくはその塩、ソルビトール、乳糖、白糖、ハチミツ、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、水アメ等が挙げられる。
【0044】
テルペン類としては、例えば、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、チモール、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられる。
【0045】
テルペン類を含む精油としては、例えば、アニス油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オレンジ油、カナンガ油、カミツレ油、カヤプト油、カラウェー油、クベブ油、グレープフルーツ油、ケイヒ油、コリアンダー油、サフラン油、サンショウ油、シソ油、シトリオドラ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ショウズク油、樟脳油、ジンジャーグラス油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、バジル油、ハッカ油、パルマローザ油、ピメント油、プチグレン油、ベイ油、ペニローヤル油、ヘノポジ油、ベルガモット油、ボアドローズ油、ホウショウ油、マジョラン油、マンダリン油、メリッサ油、ユーカリ油、ライム油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられる。
【0046】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の製造方法は特に限定されず、配合する成分の種類や量、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて、例えば第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。
【0047】
本発明において、液状又は半固形状の組成物は、その性状、剤形等に応じ、容器に収容し得る。ここで「容器」とは、液状又は半固形状の組成物を直接的に収容する包装体を意味する。容器の形状は、液状又は半固形状の組成物を収容可能であることを限度として特に限定されず、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて適宜検討して決定すればよい。
このような容器の形状としては、例えば、エアゾール剤用容器、ポンプスプレー剤用容器、ボトル容器(より詳細には例えば、スポンジ状の塗布部材(ヘッド)を備えるボトル容器、ロールオン容器やジャーボトル容器など)、チューブ容器、点眼容器等が挙げられる。なお、これらの容器はいずれも公知であり、公知の方法により製造すればよく、また、市販品を用いてもよい。
【0048】
本発明において、容器としては、液状又は半固形状の組成物の取り扱いや使用時の便宜等の観点から、以下の(1)又は(2):
(1) スポンジ状の塗布部材を備えるボトル容器のように、容器本体と塗布部材とを備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器;
(2) チューブ容器のように、柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器;
が好ましく、(1)の態様の容器が特に好ましい。
【0049】
[(1)容器本体と塗布部材とを備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器]
斯かる態様の容器の場合、容器本体に収容された組成物を塗布部材に含浸・保持させて、前記塗布部材を被塗布部に接触させることにより、組成物を塗布することができる。この場合において、容器本体と塗布部材は、それぞれ独立の部材として作製してから容器本体に塗布部材を装着してもよく、一体的に成型してもよい。
なお、塗布部材としては、液状又は半固形状の組成物を含浸・保持可能な構成であればよく、例えばスポンジ状のような多孔質の部材や刷毛状の部材等が挙げられる。
【0050】
このような容器としては例えば、容器本体の口部に塗布部材を備え、前記容器本体に収容された組成物を前記塗布部材に含浸させて使用する容器が挙げられる。
より詳細な具体例としては例えば、口部を有する容器本体と、前記口部に装着された、多孔質(スポンジ状など)の塗布部材とを備えてなる容器等が挙げられる。この場合、容器本体に収容された組成物を、孔径・空隙率等が適宜調整された多孔質の塗布部材に含浸・保持させた後、当該塗布部材を被塗布部に接触させることによって、組成物を被塗布部に塗布することができる。
また、別の具体例としては例えば、口部を有する容器本体と、前記口部に装着された、刷毛状の塗布部材とを備えてなる容器等が挙げられる。この場合、容器本体に収容された組成物を、毛の長さ・間隔等が適宜調整された刷毛に含浸・保持させた後、当該塗布部材を被塗布部に接触させることによって、組成物を被塗布部に塗布することができる。
【0051】
斯かる態様の容器は、塗布部材に組成物を含浸・保持させて使用するため、例えば組成物が外用塗布剤である場合において被塗布部で液ダレの問題が生じにくい、塗布部材を直接に被塗布部に接触させて使用することで手指が汚れない、あるいは塗布部材の形状・大きさ等を調整することで簡易に組成物を塗布する領域を柔軟に調整可能である、などのメリットを有する。しかしながら、塗布部材において組成物が含浸・保持されるため組成物に変色が生じた場合には塗布部材全体にわたって変色が生じることになる。そのため、例えば組成物の使用時など、塗布部材を外部に露出させた場合において、外観上特に変色が目立つこととなる。しかるところ、本発明によれば組成物の変色が抑制されるため、斯かる外観上の問題を解決して前記のメリットを十二分に享受できる、という優れた効果を有する。なお、斯かる態様の容器の場合、容器本体及び塗布部材が共にポリオレフィン系樹脂製であるのが特に好ましい。
なお、斯かる容器は、収容する組成物が、例えば液状の組成物や低粘性の半固形状の組成物である場合に特に好適に採用できる。
【0052】
斯かる態様の容器は公知であり、例えば、特許第5570089号公報等に開示されている。また、本発明においては、斯かる態様の容器として市販品を用いてもよく、このような市販品としては例えば、塗布部材として低密度ポリエチレン製の連通多孔質体であるMAPS((株)イノアックコーポレーション)を用いた容器等が挙げられる。
【0053】
[(2)柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器]
斯かる態様の容器の場合、柔軟性を有する容器本体を押圧すること等により容器内部に圧を加え、容器内部に収容された組成物を吐出口から吐出させることによって、組成物を被塗布部に塗布することができる。なお、斯かる態様の容器において吐出口は容器に予め設けられていなくともよく、使用開始前に容器に穿孔等して吐出口を設ける構成としてもよく、斯かる態様の容器も「柔軟性を有する容器本体と、吐出口とを備えてなる容器」に包含される。
【0054】
斯かる態様の容器は、単純な構造であるため製造コストが低い、容器本体を押圧すること等により吐出口から組成物を吐出させて使用するため容器内の組成物が汚染されない、などのメリットを有する。
なお、斯かる態様の容器は、収容する組成物が、例えば粘性の高い半固形状の組成物である場合に特に好適に採用できる。
【0055】
斯かる態様の容器は公知であり、例えば、特許第5302550号公報、特許第5525135号公報等に開示されている。また、本発明においては、斯かる態様の容器として市販品を用いてもよい。
【0056】
本発明において、容器の材質は特に限定されず、容器の形態等に応じて適宜選択すればよい。具体的には例えば、ガラス、プラスチック、セルロース、パルプ、ゴム、金属等が挙げられる。加工性、スクイズ性や耐久性の観点からは、プラスチック製であるのが好ましい。プラスチック製容器の樹脂としては、熱可塑性樹脂であるのが好ましく、例えば、低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレナフタレート)等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;スチレン系樹脂などが挙げられ、これらの混合体(ポリマーアロイ)であってもよい。
【0057】
上記熱可塑性樹脂の中では、変色抑制作用の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。本発明においては、容器としてポリオレフィン系樹脂製の容器を採用することにより、より一層変色抑制作用が増強される。ここで、「ポリオレフィン系樹脂」としては特に限定されず、単一種のモノマーの重合体(ホモポリマー)であっても、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、コポリマーである場合、その重合様式は特に限定されず、ランダム重合でもブロック重合でもよい。さらに、その立体規則性(タクティシティー)は特に限定されない。
このようなポリオレフィン系樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレン(より詳細には例えば、低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等が挙げられ、本発明においては、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂の中では、変色抑制作用の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0058】
なお、本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂製」とは、その材質の少なくとも一部にポリオレフィン系樹脂を含んでいることを意味し、例えば、ポリオレフィン系樹脂と他の樹脂との2種以上の樹脂の混合体(ポリマーアロイ)も「ポリオレフィン系樹脂製」に含まれる。
【0059】
上記「ポリオレフィン系樹脂製容器」とは、容器において、その内部に収容された液状又は半固形状の組成物と接する部分の少なくとも一部(好適には、通常の保存時において組成物と接する部分の10%以上、より好適には、通常の保存時において組成物と接する部分の30%以上、特に好適には、通常の保存時において組成物と接する部分の全体)が「ポリオレフィン系樹脂製」である「容器」を意味する。従って、例えば液状又は半固形状の組成物と接する層(容器の最内層)の少なくとも一部にポリオレフィン系樹脂の層を設け、その外側に他の材質の樹脂やアルミニウム箔等の素材を積層等させてなる容器も、「ポリオレフィン系樹脂製容器」に該当する。
このような、複数種の素材を積層等させてなる容器としては、具体的には例えば、ポリオレフィン系樹脂で構成された層を最内層とし、その外側に直接あるいは他の層を介してアルミニウム箔を積層し、さらにその外側に必要に応じて任意に他の層を積層してなるラミネートフィルム製の容器等が挙げられる。
【0060】
なお、本発明において、液状又は半固形状の組成物の、容器への収容手段は特に限定されず、容器の形状や組成物の性状等に応じて、常法により充填等すればよい。
【0061】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の投与方法・適用方法は特に限定されず、経口及び経皮、経膣等の非経口が挙げられる。本発明においては、液状又は半固形状の組成物の特性(患部の位置、形状や範囲に応じて柔軟に必要な量だけ塗布等することが可能である点)から、非経口が好ましく、経皮投与が特に好ましい。
【0062】
本発明において、液状又は半固形状の組成物の剤形は特に限定されるものではなく、その利用目的等に応じて、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形から適宜選択できる。こうした剤形としては、具体的には例えば、皮膚等に適用する製剤(外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤等)、経口投与する製剤(経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤等)などの、第十六改正日本薬局方 製剤総則に記載の剤形が挙げられる。
本発明においては、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤及び貼付剤よりなる群から選ばれる剤形であるのが好ましく、リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤及びパップ剤よりなる群から選ばれる剤形であるのがより好ましく、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形であるのが特に好ましい。
【0063】
本発明の液状又は半固形状の組成物は、NSAIDの一種であるロキソプロフェン又はその塩を含有することから、医薬組成物として、より具体的には医療用医薬品やOTC医薬品として用いることができ、例えば外用消炎鎮痛剤;解熱鎮痛薬、総合感冒薬(かぜ薬)等の内服薬等として有用である。
【0064】
次に、「方法」の態様の発明について以下に説明する。
本発明は、次の成分(A):
(A)ロキソプロフェン又はその塩;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、次の成分(B)及び(C):
(B)ウサギギク属の植物又はその抽出物;
(C)セルロース類;
を含有せしめる工程を含む、組成物の変色の抑制方法にも関する。
斯かる態様の発明において、成分(A)を配合する工程、成分(B)を配合する工程、及び成分(C)を配合する工程の順序は特に限定されず、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する液状又は半固形状の組成物が直接的又は間接的に作出されればよい。
なお、斯かる態様の発明において、各種文言の意義、各成分の配合量等は全て「液状又は半固形状の組成物」について説明したのと同様である。
【0065】
本明細書は、以上の実施形態に関連して、例えば以下に例示される発明を開示するが、これらに何ら限定されるものではない。
[1A] 次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ロキソプロフェン又はその塩;
(B)ウサギギク属の植物又はその抽出物;
(C)セルロース類;
を含有する液状又は半固形状の組成物。
[2A] 成分(A)が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である、[1A]記載の組成物。
[3A] 成分(B)が、Arnica montana、Arnica chamissonis、Arnica fulgens、Arnica cordifolia、Arnica latifolia、Arnica longifolia及びArnica sachalinensis並びにそれらの抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]又は[2A]記載の組成物。
[4A] 成分(B)が、アルニカ又はその抽出物である、[1A]又は[2A]記載の組成物。
[5A] 成分(B)が、アルニカ、アルニカチンキ及びアルニカエキスよりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]又は[2A]記載の組成物。
[6A] 成分(C)が、セルロースエーテル誘導体又はその塩である、[1A]~[5A]のいずれか記載の組成物。
[7A] 成分(C)が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース及びカルボキシアルキルセルロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1A]~[6A]のいずれか記載の組成物。
[8A] 成分(C)が、ヒプロメロースである、[1A]~[7A]のいずれか記載の組成物。
【0066】
[9A] 水を更に含有するものである、[1A]~[8A]のいずれか記載の組成物。
[10A] 低級アルコールを更に含有するものである、[1A]~[9A]のいずれか記載の組成物。
[11A] 低級アルコールが、エタノール及びイソプロパノールよりなる群から選ばれる1種以上である、[10A]記載の組成物。
[12A] 外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、経口液剤、シロップ剤及び経口ゼリー剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1A]~[11A]のいずれか記載の組成物。
[13A] 外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤及び貼付剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1A]~[11A]のいずれか記載の組成物。
[14A] リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤及びパップ剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1A]~[11A]のいずれか記載の組成物。
[15A] ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、[1A]~[11A]のいずれか記載の組成物。
【0067】
[1B] 次の成分(A):
(A)ロキソプロフェン又はその塩;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、次の成分(B)及び(C):
(B)ウサギギク属の植物又はその抽出物;
(C)セルロース類;
を含有せしめる工程を含む、組成物の変色の抑制方法。
[2B] 成分(A)が、ロキソプロフェンナトリウム水和物である、[1B]記載の方法。
[3B] 成分(B)が、Arnica montana、Arnica chamissonis、Arnica fulgens、Arnica cordifolia、Arnica latifolia、Arnica longifolia及びArnica sachalinensis並びにそれらの抽出物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]又は[2B]記載の方法。
[4B] 成分(B)が、アルニカ又はその抽出物である、[1B]又は[2B]記載の方法。
[5B] 成分(B)が、アルニカ、アルニカチンキ及びアルニカエキスよりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]又は[2B]記載の方法。
【0068】
[6B] 成分(C)が、セルロースエーテル誘導体又はその塩である、[1B]~[5B]のいずれか記載の方法。
[7B] 成分(C)が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキル(ヒドロキシアルキル)セルロース及びカルボキシアルキルセルロース並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、[1B]~[6B]のいずれか記載の方法。
[8B] 成分(C)が、ヒプロメロースである、[1B]~[7B]のいずれか記載の方法。
[9B] 組成物が、水を更に含有するものである、[1B]~[8B]のいずれか記載の方法。
[10B] 組成物が、低級アルコールを更に含有するものである、[1B]~[9B]のいずれか記載の方法。
[11B] 低級アルコールが、エタノール及びイソプロパノールよりなる群から選ばれる1種以上である、[10B]記載の方法。
【実施例】
【0069】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0070】
[試験例1]保存試験
表1に示す成分及び分量を含有する実施例1又は比較例1~3の液状の組成物を調製した。得られた各組成物をガラス製の容器に収容し、80℃の暗所に4週間保存し、保存開始から2週間後及び4週間後の変色(黄変)の有無を目視により評価した。
なお、結果は、変色が生じなかったものを○、変色が生じたものを×として評価した。
結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
ロキソプロフェンとともにアルニカチンキを含有せしめた液状の組成物(比較例1)、ロキソプロフェンとともにヒプロメロースを含有せしめた液状の組成物(比較例2)、アルニカチンキやヒプロメロースを配合せずにロキソプロフェンを含有せしめた液状の組成物(比較例3)は、高温で2週間保存した後には変色が生じた。
これに対して、実施例1と比較例1、2との対比から、ロキソプロフェンとともにアルニカチンキとヒプロメロースを組み合わせて含有せしめた液状の組成物(実施例1)では、高温保存時における変色が顕著に抑制され、4週間保存後も変色が認められなかった。
【0073】
以上の試験結果から、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアルニカチンキに代表されるウサギギク属の植物又はその抽出物と、ヒプロメロースに代表されるセルロース類とを組み合わせて含有せしめると、それぞれを単独で含有せしめた場合と比較して高温保存時の変色を顕著に抑制できることが明らかとなった。
【0074】
また、本試験においてはガラス製の容器を使用したが、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらにアルニカチンキに代表されるウサギギク属の植物又はその抽出物とヒプロメロースに代表されるセルロース類とを組み合わせて含有せしめた場合には、ポリオレフィン系樹脂製の容器を用いずとも十分な変色抑制作用が得られ、広範な種類の材質の容器に安定的に収容できることが明らかとなった。
【0075】
以下に、本発明の液状または半固形状の組成物の製造例を示す。なお、ウサギギク属の植物の抽出物の含有量は、特に断りの無い限り、原生薬換算量(g)を示す。
【0076】
製造例1(ローション剤)
常法により、下記表2に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤:処方例1~8)を製造し、ポリプロピレン製の容器本体の口部にスポンジ状のポリウレタン製塗布部材を装着したボトル容器に収容し、それぞれ製造例1-1~1-8とした。
【0077】
【0078】
製造例2(ローション剤)
常法により、上記表2に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤:処方例1~8)を製造し、ポリエチレン製の容器本体の口部にスポンジ状の低密度ポリエチレン製塗布部材(MAPS:(株)イノアックコーポレーション)を装着したボトル容器に収容し、それぞれ製造例2-1~2-8とした。
【0079】
製造例3(ローション剤)
常法により、上記表2に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤:処方例1~8)を製造し、ガラス製の容器本体の口部にスポンジ状の低密度ポリエチレン製塗布部材(MAPS:(株)イノアックコーポレーション)を装着したボトル容器に収容し、それぞれ製造例3-1~3-8とした。
【0080】
製造例4(ローション剤)
常法により、下記表3に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤:処方例9~16)を製造し、ポリプロピレン製の容器本体の口部にスポンジ状のポリウレタン製塗布部材を装着したボトル容器に収容し、それぞれ製造例4-1~4-8とした。
【0081】
【0082】
製造例5(ローション剤)
常法により、上記表3に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤:処方例9~16)を製造し、ポリエチレン製の容器本体の口部にスポンジ状の低密度ポリエチレン製塗布部材(MAPS:(株)イノアックコーポレーション)を装着したボトル容器に収容し、それぞれ製造例5-1~5-8とした。
【0083】
製造例6(ローション剤)
常法により、上記表3に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤:処方例9~16)を製造し、ガラス製の容器本体の口部にスポンジ状の低密度ポリエチレン製塗布部材(MAPS:(株)イノアックコーポレーション)を装着したボトル容器に収容し、それぞれ製造例6-1~6-8とした。
【0084】
製造例7(ゲル剤)
常法により、下記表4に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する半固形状の組成物(ゲル剤:処方例17~24)を製造し、低密度ポリエチレン製のフィルムを最内層としてその外側(中間層)にアルミニウム箔、さらにその外側に低密度ポリエチレン製のフィルムを積層したラミネートフィルム製のチューブ容器(ラミネートチューブ)に収容し、それぞれ製造例7-1~7-8とした。
【0085】
【0086】
製造例8(軟膏剤)
常法により、下記表5に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する半固形状の組成物(軟膏剤:処方例25~32)を製造し、高密度ポリエチレン製のフィルムを最内層としてその外側(中間層)にポリエチレンテレフタレート製のフィルム、さらにその外側に高密度ポリエチレン製のフィルムを積層したラミネートフィルム製のチューブ容器(ラミネートチューブ)に収容し、それぞれ製造例8-1~8-8とした。
【0087】
【0088】
製造例9(クリーム剤)
常法により、下記表6に記載の成分及び分量(g)を100g中に含有する半固形状の組成物(クリーム剤:処方例33~40)を製造し、低密度ポリエチレン製のフィルムを最内層としてその外側(中間層)にナイロン製のフィルム、さらにその外側に低密度ポリエチレン製のフィルムを積層したラミネートフィルム製のチューブ容器(ラミネートチューブ)に収容し、それぞれ製造例9-1~9-8とした。
【0089】
【0090】
製造例10(経口液剤)
常法により、下記表7に記載の成分及び分量(mg)を30mL中に含有する液状の組成物(経口液剤:処方例41~48)を製造し、ポリプロピレン製のボトル容器に収容し、それぞれ製造例10-1~10-8とした。
【0091】
【0092】
製造例11(ローション剤)
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有する液状の組成物(ローション剤)を製造し、ポリプロピレン製のボトル容器に収容した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13g
l-メントール 3g
アルニカチンキ 0.5g(原生薬換算量110mg)
ヒプロメロース、乳酸、エタノール及び精製水 適量
【0093】
製造例12(クリーム剤)
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有する半固形状の組成物(クリーム剤)を製造し、ポリエチレン製のチューブ容器に収容した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13g
l-メントール 3g
アルニカチンキ 0.5g(原生薬換算量110mg)
ヒプロメロース、カルボキシビニルポリマー、エデト酸ナトリウム水和物、ジイソプロパノールアミン、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、流動パラフィン、エタノール及び精製水 適量
【0094】
製造例13(クリーム剤)
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有する半固形状の組成物(クリーム剤)を製造し、ポリエチレン製のチューブ容器に収容した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13g
l-メントール 3g
アルニカチンキ 0.5g(原生薬換算量110mg)
カルボキシビニルポリマー、ミリスチン酸オクチルドデシル、アジピン酸ジイソプロピル、親油型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、ポリオキシエチレンセチルエーテル、水酸化ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、エタノール及び精製水
適量
【0095】
製造例14(パップ剤)
常法により、下記成分及び分量を100g中に含有する半固形状の組成物(膏体)を製造し、得られた膏体を不織布(捲縮率58.0%、デニール数32.1g、コース数64.8/inch、ウェール数50.4/inch)に1枚(10cm×7cm)当り5gの量で塗工し、剥離ライナー(ポリエステル製)を被覆した後1枚毎に裁断した。得られたパップ剤を薬袋(PE/Al/PE/紙)に収容した。
ロキソプロフェンナトリウム水和物 1.13g
l-メントール 1.2g
アルニカチンキ 1mL(原生薬換算量200mg)
カルメロースナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物、アクリル酸メチル・アクリル酸2-エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、モノオレイン酸ソルビタン、グリセリン、ソルビトール、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、酒石酸、ジイソプロパノールアミン、マクロゴール、アジピン酸ジイソプロピル及び精製水 適量
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、ロキソプロフェン又はその塩を含有する液状又は半固形状の組成物の、高温保存時における変色を抑制できる。したがって、保存安定性に優れた、ロキソプロフェン又はその塩を含有する医薬を提供することができ、医薬品産業等において好適に利用できる。