(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240515BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/01 D
(21)【出願番号】P 2020010149
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈昌
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-234044(JP,A)
【文献】特開2020-013537(JP,A)
【文献】特表2011-520160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両の走行速度が相対的に速い場合には当該走行速度が相対的に遅い場合に比べて自車の進行方向の道路の範囲を長くとった特定領域を走行した
第2車両の
位置情報を含む運転操作情報を取得する取得部と、
学習対象の車両の運転操作及び前記学習対象の車両の運転操作が特異か否かを学習した学習モデルと、前記取得部によって取得された運転操作情報とに基づいて、当該運転操作情報を生成した前記
第2車両の操作についての特異性を検出
し、位置情報に基づいて特異性を検出した位置を特定する検出部と、
前記検出部によって前記
第2車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された前記
第2車両とは異なる
前記第1車両に対して所定の情報
として車線変更が生じる恐れがあること及び車線変更が生じる恐れのある位置を通知
して、前記第1車両としてのドライバ運転車両及び自動運転車両に障害を回避させる通知部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部によって取得される運転操作情報には、前記特定領域を走行した前記
第2車両の、少なくも時刻情報が記録され、
前記取得部は、時刻情報に基づき前記特定領域を走行した前記
第2車両の台数が相対的に少ない時間帯がある場合、当該時間帯に前記特定領域を走行した前記
第2車両の運転操作情報を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、所定時間内に前記特定領域を走行した前記
第2車両の運転操作情報を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部によって取得される運転操作情報には、前記
第2車両の操舵角に関する操舵角情報及び
前記第2車両を操舵する際の角速度に関する角速度情報が含まれ、
前記検出部は、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の操舵角及び角速度とは異なる操舵角及び角速度が記録される場合、前記
第2車両の操作についての特異性として検出する
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記
第2車両の操作についての特異性として事故の発生を検出する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部によって取得される運転操作情報には、前記
第2車両の走行速度に関する走行速度情報が含まれ、
前記検出部は、走行速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の減速停止と異なる減速停止が検出される場合、前記
第2車両の操作についての特異性として検出する
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部によって取得される運転操作情報には、
前記第2車両のハザードランプに関するハザード点灯情報が含まれ、
前記検出部は、ハザード点灯情報に基づき前記
第2車両のハザードランプの点灯が検出される場合、前記
第2車両の操作についての特異性として検出する
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部によって取得される運転操作情報には、他車と自車
としての前記第2車両との接触、自車
としての前記第2車両の故障及び自車
としての前記第2車両の燃料切れに関するステータス情報が含まれ、
前記検出部は、ステータス情報に基づいて、自車
としての前記第2車両の異常が検出される場合、前記
第2車両の操作についての特異性として検出する
請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通知部は、所定の情報として、
前記第1車両の進行方向において車線変更を生じる恐れがあることを通知する
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
第1車両の走行速度が相対的に速い場合には当該走行速度が相対的に遅い場合に比べて自車の進行方向の道路の範囲を長くとった特定領域を走行した
第2車両の
位置情報を含む運転操作情報を取得する取得ステップと、
学習対象の車両の運転操作及び前記学習対象の車両の運転操作が特異か否かを学習した学習モデルと、前記取得ステップによって取得された運転操作情報とに基づいて、当該運転操作情報を生成した
第2車両の操作についての特異性を検出
し、位置情報に基づいて特異性を検出した位置を特定する検出ステップと、
前記検出ステップによって前記
第2車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された前記
第2車両とは異なる
第1車両に対して所定の情報
として車線変更が生じる恐れがあること及び車線変更が生じる恐れのある位置を通知
して、前記第1車両としてのドライバ運転車両及び自動運転車両に障害を回避させる通知ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
第1車両の走行速度が相対的に速い場合には当該走行速度が相対的に遅い場合に比べて自車の進行方向の道路の範囲を長くとった特定領域を走行した
第2車両の
位置情報を含む運転操作情報を取得する取得機能と、
学習対象の車両の運転操作及び前記学習対象の車両の運転操作が特異か否かを学習した学習モデルと、前記取得機能によって取得された運転操作情報とに基づいて、当該運転操作情報を生成した
第2車両の操作についての特異性を検出
し、位置情報に基づいて特異性を検出した位置を特定する検出機能と、
前記検出機能によって前記
第2車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された前記
第2車両とは異なる
前記第1車両に対して所定の情報
として車線変更が生じる恐れがあること及び車線変更が生じる恐れのある位置を通知
して、前記第1車両としてのドライバ運転車両及び自動運転車両に障害を回避させる通知機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
事故及び障害物等により車両の進行方向に通行できない車線がある場合には、車両の車線変更が必要であることを事前に把握したいという要望がある。そのような要望を実現できる技術は、一例として、車両の自動運転技術には必要と考えられている。
そして、道路上の障害物の存在を検出する技術には、特許文献1に記載された技術が存在する。特許文献1に記載された技術は、車両が走行した軌跡に関する軌跡情報を収集し、軌跡情報に基づいてその車両が車線変更をしたと判定される場合には、道路上に障害物が存在することを検出する。この場合、特許文献1に記載された技術は、道路上の特定区域を通過した車両の台数に対する、車線変更をした車両の台数の比が閾値以上の場合に、障害物が存在していることを検出する。そして、特許文献1に記載された技術は、複数の車両における第1回目の車線変更の平均地点と、第2回目の車線変更の平均地点とを検出し、両地点の間に障害物があると検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された技術は、道路上の特定区域を走行した車両の台数が複数なければ、道路上の障害物を検出することができない。
しかしながら、車両の走行台数が相対的に少ない道路、及び、夜間等の特定の時間帯においては車両の走行台数が相対的に少ない道路等が存在する。特許文献1に記載された技術では、そのような車両の走行台数が相対的に少ない道路において障害物の検出を行うことができない可能性がある。
【0005】
本発明は、車両の進行方向において車線変更が必要なことを検出することができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の情報処理装置は、特定領域を走行した車両の運転操作情報を取得する取得部と、取得部によって取得された運転操作情報に基づいて、当該運転操作情報を生成した車両の操作についての特異性を検出する検出部と、検出部によって車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両とは異なる他の車両に対して所定の情報を通知する通知部と、を備える。
【0007】
一態様の情報処理装置では、取得部によって取得される運転操作情報には、特定領域を走行した車両の、少なくも時刻情報が記録され、取得部は、時刻情報に基づき特定領域を走行した車両の台数が相対的に少ない時間帯がある場合、当該時間帯に特定領域を走行した車両の運転操作情報を取得することとしてもよい。
【0008】
一態様の情報処理装置では、取得部は、所定時間内に特定領域を走行した車両の運転操作情報を取得することとしてもよい。
【0009】
一態様の情報処理装置では、取得部によって取得される運転操作情報には、車両の操舵角に関する操舵角情報及び車両を操舵する際の角速度に関する角速度情報が含まれ、検出部は、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の操舵角及び角速度とは異なる操舵角及び角速度が記録される場合、車両の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
【0010】
一態様の情報処理装置では、検出部は、通常走行時の操舵角及び角速度の基準となる、道路を車両が走行する際に生じる操舵角の範囲及び角速度の範囲を基準情報として有し、基準情報、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、車両の操作についての特異性として事故の発生を検出することとしてもよい。
【0011】
一態様の情報処理装置では、取得部によって取得される運転操作情報には、車両の走行速度に関する走行速度情報が含まれ、検出部は、走行速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の減速停止と異なる減速停止が検出される場合、車両の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
【0012】
一態様の情報処理装置では、取得部によって取得される運転操作情報には、車両のハザードランプに関するハザード点灯情報が含まれ、検出部は、ハザード点灯情報に基づき車両のハザードランプの点灯が検出される場合、車両の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
【0013】
一態様の情報処理装置では、取得部によって取得される運転操作情報には、他車と自車との接触、自車の故障及び自車の燃料切れに関するステータス情報が含まれ、検出部は、ステータス情報に基づいて、自車の異常が検出される場合、車両の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
【0014】
一態様の情報処理装置では、通知部は、所定の情報として、他の車両の進行方向において車線変更を生じる恐れがあることを通知することとしてもよい。
【0015】
一態様の情報処理方法では、コンピュータが、特定領域を走行した車両の運転操作情報を取得する取得ステップと、取得ステップによって取得された運転操作情報に基づいて、当該運転操作情報を生成した車両の操作についての特異性を検出する検出ステップと、検出ステップによって車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両とは異なる他の車両に対して所定の情報を通知する通知ステップと、を実行する。
【0016】
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、特定領域を走行した車両の運転操作情報を取得する取得機能と、取得機能によって取得された運転操作情報に基づいて、当該運転操作情報を生成した車両の操作についての特異性を検出する検出機能と、検出機能によって車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両とは異なる他の車両に対して所定の情報を通知する通知機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
一態様の情報処理装置は、特定領域を走行した車両の運転操作情報を取得し、その運転操作情報に基づいて車両の操作についての特異性を検出し、車両の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両とは異なる他の車両に対して所定の情報を通知するので、車両の進行方向において車線変更が必要なことを検出することができる。
また、一態様の情報処理方法及び情報処理プログラムは、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
【
図2】車両が車線変更を行う際の一例について説明するための図である。
【
図3】検出部が特異操作を検出する際の一例について説明するための図である。
【
図4】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本明細書では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができる場合があり、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる場合がある。
【0020】
図1は、一実施形態に係る情報処理装置30について説明するためのブロック図である。
情報処理システム1は、車両10、センタ20及び情報処理装置30を備える。
【0021】
車両10は、運転の操作等に関する運転操作情報を生成して、その運転操作情報をセンタ20に送信する。運転操作情報は、例えば、CAN(Contoroller Area Network)情報及びプローブ情報である。
【0022】
センタ20は、運転操作情報を蓄積し、情報処理装置30からの要求に応じて運転操作情報を情報処理装置30に提供する装置である。センタ20は、例えば、サーバ機能等を有し、情報を蓄積し、情報を送受信することが可能である。すなわち、センタ20は、例えば、サーバ通信部(図示せず)等を利用して、車両10及び情報処理装置30それぞれとの間で情報を送受信する。センタ20は、車両10から送信された運転操作情報をサーバ記憶部(図示せず)に記憶し、サーバ記憶部に記憶された運転操作情報を情報処理装置30に提供することが可能である。センタ20は、情報処理装置30から送信された所定の情報を車両10に提供することが可能である。所定の情報については、後述する。
【0023】
情報処理装置30は、センタ20から提供された車両10(他車)の運転操作情報に基づいて、車両10(自車)の進行方向において車線変更が必要な場合を検出し、車線変更が必要なことを所定の情報としてセンタ20に送信する。情報処理装置30は、片側一車線の道路ではその車線において車線変更(対向車線へのはみ出し)が必要なこと、片側複数車線の道路では、現在車両10が走行している車線又は隣接する車線において車線変更が必要なことを所定の情報としてセンタ20に送信することとしてもよい。情報処理装置30は、車線変更が必要な場合として、一例として、道路上に何らかの障害(例えば、落下物、故障車両、事故車両、工事車両及びハザードランプを点灯した車両等)がある場合である。車線変更が必要な場合としては、上述した一例に限定されることはなく、種々の状況等であってもよい。なお、情報処理装置30は、センタ20を介すことなく、車両10から運転操作情報を受け付けてもよく、また、車両10に所定の情報を送信してもよい。
【0024】
車両10は、所定の情報を受信すると、例えば、ナビゲーション装置(又は、車載制御部)(図示せず)等の機能に基づいて車載表示部(図示せず)に表示される道路地図と共に、車線変更が必要である旨の情報及び車線変更が必要な位置の情報のうち少なくとも一方を表示することとしてもよい。
又は、車両10が自動運転車両の場合には、所定の情報を受信すると、道路上にある障害の手前で車線変更等の回避動作を行うこととしてもよい。
【0025】
情報処理装置30は、車両10(自車)が現在走行している方向の1又は複数の車線において車線変更が必要なことを検出するばかりでなく、車両10(自車)が現在走行している方向とは逆方向の車線(対向車線)において対向車が車線変更を行う可能性を検出することとしてもよい。情報処理装置30によって「車線変更が必要なこと」として対向車が車線変更を行う可能性を検出し、その旨を車両10(自車)に所定の情報として送信した場合、車両10(自車)のドライバは、対向車線において車線変更が必要なこと、即ち、自車が走行する車線を対向車が走行する可能性があることを知ることができ、対向車との衝突事故を抑制することができる。
【0026】
次に、情報処理装置30について詳細に説明する。
情報処理装置30は、通信部35、記憶部36、取得部32、検出部33及び通知部34を備える。取得部32、検出部33及び通知部34は、情報処理装置30の制御部31(演算処理装置)の一機能として実現されてもよい。
【0027】
通信部35は、センタ20との間で情報の送受信を行う。また、通信部35は、車両10との間で情報の送受信を行うこととしてもよい。
記憶部36は、例えば、種々の情報等を記憶する記憶装置である。
【0028】
取得部32は、特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得する。運転操作情報は、上述したように、例えば、CAN情報及びプローブ情報である。
取得部32は、例えば、自車の進行方向の道路(特定領域)を、自車よりも時間的に前に走行した他車の運転操作情報を取得する。取得部32は、例えば、車両10(自車)から運転操作情報(走行位置に関する情報)を取得すると、その車両10の進行方向を特定領域として、特定領域を走行した車両10(他車)の運転操作情報を取得することとしてもよい。この場合、取得部32は、車両10(自車)の進行方向を特定領域とする際、一例として、車両10(自車)から1km、2km、3km、5km、8km、10km、15km又は20km先までを特定領域とすることとしてもよく、それよりも先までを特定領域とすることとしてもよい。特定領域の範囲は、上記の一例に限定されず、情報処理装置30(又は、情報処理装置30を操作する作業者等)によって適宜設定される。また、特定領域の範囲は、段階的に設定されてもよい。すなわち、特定領域の範囲は、例えば、市街地では距離を相対的に短く、郊外、山間部及び自動車専用道路では距離を相対的に長く(市街地での距離よりも長く)してもよい。又は、特定領域の範囲は、例えば、車両10(自車)の走行速度に応じて段階的に設定されてもよく、走行速度が相対的に遅い場合には相対的に短く、走行速度が相対的に速い場合には相対的に長く(遅い場合よりも長く)してもよい。
【0029】
又は、取得部32は、自車の位置情報に基づいて、自車の現在位置を含む領域を特定領域として、その特定領域を自車よりも前に走行した他の車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。取得部32は、自車の現在位置を含む領域として、予め設定された複数の領域(一例として、道路地図をメッシュ状に分割して形成される複数の領域)のうちどの領域を自車が走行しているのかを特定し、その特定した領域を特定領域としてもよい。
又は、取得部32は、自車の位置情報に基づいて、自車の現在位置を中心としてその現在位置から所定距離内の領域を特定領域とし、その特定領域を自車よりも前に走行した他の車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。所定距離は、情報処理装置30(又は、情報処理装置30を操作する作業者等)によって適宜設定される。
【0030】
運転操作情報には、例えば、車両10の操舵角に関する操舵角情報、車両10を操舵する際の角速度に関する角速度情報、車両10の走行速度に関する走行速度情報、車両10のハザードランプに関するハザード点灯情報、並びに、他車と自車との接触、自車の故障及び自車の燃料切れに関するステータス情報が含まれることとしてもよい。
【0031】
操舵角情報は、例えば、ハンドルの回転角度を記録した情報であってもよい。
角速度情報は、例えば、ハンドルを回転させる際の角速度を記録した情報であってもよい。
走行速度情報は、例えば、車両10の走行速度を記録した情報である。車両10の走行速度は、例えば、車両10の車軸等の回転速度に基づいて取得されてもよく、後述する位置情報及び時刻情報に基づいて取得されてもよい。
ハザード点灯情報は、例えば、ハザードランプが点灯する場合に、その点灯したことを記録した情報であってもよい。
ステータス情報は、例えば、車両10に搭載される種々のセンサ(一例として、距離センサ及び障害物センサ等)の検知結果、及び、車両10に搭載される種々の装置(一例として、エアバック等)の動作状況に基づいて、他車と自車とが接触したこと、自車が故障したこと、及び、自車の燃料が切れたことを記録した情報である。なお、他車と自車との接触したことの記録するステータス情報には、車両10以外の他の物体(例えば、ガードレール及び障害物等の物体)との接触した場合にも車両10によって生成されることとしてもよい。
【0032】
運転操作情報には、上記の一例の他にも、種々の情報が記録されていてもよい。一例として、運転操作情報には、種々のセンサ及び機器等で測定される測定値に関する情報(一例として、加速度センサで測定された加速度情報)、及び、種々の機器の動作状況に関する情報(一例として、ブレーキ操作に関する情報及びウインカ(方向指示器)に関する情報等)が含まれることとしてもよい。
【0033】
運転操作情報には、特定領域を走行した車両10の、少なくも時刻情報が記録される。
例えば、車両10によって生成される運転操作情報には、車両10の走行位置に関する位置情報、及び、その位置情報を取得した際の時刻に関する時刻情報が記録される。車両10は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等を利用して位置情報を取得すると共に、その位置情報を取得した際の時刻情報を取得する。車両10は、例えば、取得した位置情報及び時刻情報を運転操作情報に含ませる。
【0034】
取得部32は、特定領域を走行した車両10の台数が相対的に少ない時間帯(例えば、車両10の台数が所定の状況にある時間帯)がある場合、その時間帯に特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得する。所定の状況とは、例えば、後述するように、車両10の走行台数が閾値以下、又は、車両10の走行台数に関する割合が閾値以下の状況であってもよい。
【0035】
例えば、取得部32は、時刻情報に基づき特定領域を走行した車両10の台数が閾値以下の時間帯がある場合、その時間帯に特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。閾値は、例えば、1台、2台、3台、4台、5台、8台又は10台等の相対的に少ない台数である。閾値は、上記の一例に限定されず、例えば、特定領域の交通量に応じて適宜設定される。一例として、取得部32は、特定領域を走行した車両10が1台(閾値以下の台数)の時間帯(例えば、深夜1時~2時)がある場合、その時間帯に走行した1台のその車両10の運転操作情報を取得する。
【0036】
又は、例えば、取得部32は、複数の車両10の運転操作情報に基づき、特定領域を走行した複数の車両10のうち、特定の時間帯の車両10の走行台数と、全時間帯の車両10の走行台数との割合が閾値以下の場合、特定の時間帯に特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。閾値は、例えば、0.1%、0.5%、1%、2%、3%又は5%等の相対的に少ない台数になる値である。閾値は、上記の一例に限定されず、例えば、特定領域の交通量に応じて適宜設定される。
【0037】
具体的な一例として、取得部32は、以下のようにして車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。すなわち、まず、上述した複数の運転操作情報を記憶するセンタ20では、例えば、特定領域毎(一例として道路又は道路リンク毎)に、車両10の走行台数を段階的に分けておき(例えば、0台、1台~3台、4台~6台の3段階等)、その段階毎に時間帯(一例として、走行台数が1~3台の時間帯が深夜1時~2時等)を特定しておいてもよい。又は、センタ20では、例えば、特定領域毎(一例として道路又は道路リンク毎)に時間帯(一例として、深夜0時~深夜1時、深夜1時~2時等)を設定しておき、時間帯毎に車両10の走行台数を特定しておいてもよい。この場合、取得部32は、走行台数が相対的に少ない時間帯に特定領域を走行した車両10の運転操作情報をセンタ20から取得することとしてもよい。
【0038】
取得部32は、所定時間内に特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。取得部32は、例えば、現在、特定領域又は特定領域に向けて進んでいる車両10(自車)がある場合、現在から所定時間内に特定領域を走行した車両10(他車)の運転操作情報を取得する。所定時間は、例えば、15分、30分、1時間、2時間又は3時間等の時間である。所定時間は、上記の一例に限定されず、例えば、特定領域の交通量に応じて適宜設定される。
【0039】
検出部33は、取得部32によって取得された運転操作情報に基づいて、その運転操作情報を生成した車両10(他車)の操作についての特異性(特異操作)を検出する。特異操作は、一般的に車両10が走行する際の操作(通常走行時の操作)とは異なる操作である。検出部33は、取得部32によって取得された運転操作情報に特異な運転操作が記録されている場合、特異操作として検出する。
【0040】
検出部33は、特異操作として、例えば、以下のような操作を検出する。
検出部33は、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の操舵角及び角速度とは異なる操舵角及び角速度が記録される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。検出部33は、通常走行時の操舵角及び角速度の基準となる、道路を車両10が走行する際に生じる操舵角の範囲及び角速度の範囲を基準情報として有することとしてもよい。この場合、検出部33は、基準情報、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、車両10の操作についての特異性として、例えば、事故の発生を検出することとしてもよい。
【0041】
すなわち、例えば、道路上の障害物等を避ける場合には、ドライバは急ハンドルを切る場合がある。また、例えば、車両10が道路上の障害物等に接触した場合には、接触の衝撃及び更なる危険回避等のために、ドライバは急ハンドルを切る場合がある。この場合のハンドルの操舵角は、急ハンドルを切らない場合(通常走行時のハンドル操作)よりも大きくなると考えられる。また、ハンドルを回転させる際の角速度も、通常走行時のハンドル操作よりも相対的に速くなると考えられる。検出部33は、例えば、通常走行時のハンドル操作における操舵角及び角速度を基準(基準情報)として予め記憶しておき、運転操作情報に含まれる操舵角情報及び角速度情報、並びに、基準情報に基づいて、特異操作を検出することとしてもよい。
【0042】
検出部33は、走行速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の減速停止と異なる減速停止が検出される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。例えば、車両10の進行方向に障害物等がある場合、ドライバはその障害物等との接触を避けるために車両10を急減速・急停止させることがある。この場合の車両10の急減速・急停止は、急減速・急停止を行わない場合(通常走行時の減速・停止)に比べて、加速度が大きくなり、また、短距離で車両10が停止する(短距離で走行速度変化が大きい)ことになる。検出部33は、例えば、通常走行時の加速度、及び、距離と速度変化等を基準(基準情報)として予め記憶しておき、運転操作情報に含まれる加速度情報及び走行速度情報、並びに、基準情報に基づいて、特異操作を検出することとしてもよい。
【0043】
検出部33は、ハザード点灯情報に基づき車両10のハザードランプの点灯が検出される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。例えば、車両10がハザードランプを点灯している場合、その車両10が停止していると考えられる。検出部33は、運転操作情報に含まれるハザード点灯情報に基づいて、車両10が停止している可能性を特異操作として検出することとしてもよい。
【0044】
検出部33は、ステータス情報に基づいて、自車の異常が検出される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。例えば、車両10(自車)が他車と接触した場合、車両10の異常が検出される場合、及び、車両10の燃料切れの場合等では、車両10は停止している可能性が高いと考えられる。検出部33は、運転操作情報に含まれるステータス情報に基づいて、車両10が停止している可能性を特異操作として検出することとしてもよい。
【0045】
検出部33は、上述した例に加えて、例えば、ブレーキ又は方向指示器が操作された情報が運転操作情報に記録されている場合に、他車の特異操作として検出することとしてもよい。
【0046】
また、検出部33は、上記とは異なる方法により特異操作を検出することとしてもよい。
制御部31は、特異操作を予め学習して学習モデルを生成し、記憶部36に記憶することとしてもよい。すなわち、制御部31は、例えば、通常走行時とは異なる基準範囲外の操舵角の範囲及び角速度の範囲、急減速・急停止、ハザードランプの点灯、及び、車両10の異常状態を予め学習して、通常走行時とは異なる特異な状態の学習モデルを生成する。検出部33は、取得部32によって運転操作情報を取得した場合、その運転操作情報及び学習モデルに基づいて、特異操作を検出することとしてもよい。
【0047】
また、制御部31は、通常運転時の操作を予め学習して学習モデルを生成し、記憶部36に記憶することとしてもよい。すなわち、制御部31は、例えば、通常走行時の基準となる、操舵角の範囲及び角速度の範囲、減速・停止、ハザードランプの不点灯、及び、車両10の正常状態を予め学習して、通常走行時の学習モデルを生成する。検出部33は、取得部32によって運転操作情報を取得した場合、その運転操作情報及び学習モデルに基づいて、学習モデルに当てはまらない操作(通常走行時とはことなる基準外の操作)が取得された場合には、特異操作として検出することとしてもよい。
【0048】
また、制御部31は、操舵角の範囲及び角速度の範囲、急減速・急停止、ハザードランプの点灯、及び、車両10の異常状態等の車両に関する操作状況と、その操作状況の内容が正常か異常か(特異か否か)を示す情報とを教師データとして学習した学習モデルを生成し、記憶部36に記憶することとしてもよい。検出部33は、取得部32によって運転操作情報を取得した場合、その運転操作情報及び学習モデルに基づいて、特異操作として検出することとしてもよい。
【0049】
通知部34は、検出部33によって車両10の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両10とは異なる他の車両10に対して所定の情報を通知する。通知部34は、所定の情報として、他の車両10の進行方向において車線変更を生じる恐れがあることを通知することとしてもよい。ここで、「他の車両」とは、現在、特定領域を走行する、又は、特定領域に向かって走行している車両10(自車)のことである。
【0050】
「所定の情報」としての「車線変更を生じる恐れがあること」には、自車が前方において車線変更する可能性があることが含まれる。車線変更を生じる恐れがあるとは、車両10(自車)が、何らかの要因により、自車が走行している車線から別の車線に変更しなければならない事態のことをいう。何らかの要因とは、自車が走行している車線の先において、別の車両が挙動不審であったり、事故を起こしていたり、又は、対向車線を走行している対向車が車線を越えて自車が走行している車線を走行する可能性があったりなどの事態をいう。
また、「所定の情報」には、車線変更を生じる恐れがある位置に関する情報が含まれていてもよい。検出部33は、車両10の運転操作情報に位置情報が含まれている場合、その位置情報に基づいて特操操作を検出した位置を特定することが可能である。通知部34は、特異操作を検出した位置に関する特異操作位置情報を所定の情報に含ませて他の車両10(自車)に通知することとしてもよい。
【0051】
通知部34は、他の車両10に対して所定の情報を通知することとして、センタ20を介して他の車両10に所定の情報を通知することとしてもよい。この場合、まず、通知部34は、例えば、通信部35によって所定の情報をセンタ20に送信する。次に、センタ20は、情報処理装置30から送信された所定の情報を他の車両10(自車)に送信する。
【0052】
車両10は、所定の情報を受信すると、車両に搭載される制御部(車載制御部)(図示せず)の制御に基づいて、車両に搭載される表示部(車載表示部)(図示せず)に所定の情報を表示する。例えば、車載表示部は、車線変更が生じる恐れがある旨の警告画像、車線変更が生じる恐れがある位置、及び、車線変更が生じる恐れがある位置までの距離等を表示する。車載表示部は、上述した一例に限らず、所定の情報に基づく種々の画像及び文字等を表示することとしてもよい。車載制御部は、所定の情報を車載表示部に表示する際、車両10(自車)の進行方向で車線変更が生じる恐れがある旨の音声又は警告音等を車載スピーカ(図示せず)から出力させるように制御してもよい。
【0053】
また、車両10が自動運転車両の場合には、車載制御部は、所定の情報を受信すると、例えば、車線変更の恐れがある位置よりも手前で車線変更を行い、又は、その手前で一旦停止を行うよう自動運転車両を制御することとしてもよい。
なお、車載制御部及び車載表示部は、ナビゲーション装置等を構成していてもよい。
【0054】
上述した実施形態の情報処理システム1では、車両10、センタ20及び情報処理装置30がそれぞれ別の構成となっている例について説明したが、本発明は上記の一例に限定されることはない。すなわち、第1変形例として、情報処理システム1では、情報処理装置30が車両10に搭載されていてもよい。一例として、情報処理装置30は、ナビゲーション装置の一機能として車両10に搭載されてもよい。また、第2変形例として、情報処理システム1では、情報処理装置30がセンタ20に配されていてもよい。
【0055】
次に、情報処理装置30の具体的な一例について説明する。
図2は、車両10が車線変更を行う際の一例について説明するための図である。
図3は、検出部33が特異操作を検出する際の一例について説明するための図である。
【0056】
図2に一例を示すように車両10(自車10a)が道路を走行する場合、自車10aは、運転操作情報を生成してセンタ20(
図1参照)に送信する。センタ20は、受信した自車10aの運転操作情報をサーバ記憶部(図示せず)、に記憶すると共に、運転操作情報を情報処理装置30(
図1参照)に送信する。
【0057】
取得部32は、運転操作情報に含まれる位置情報に基づいて特定領域を設定し、通信部35を介して、その特定領域を自車10aよりも前に走行した車両10(他車10b)の運転操作情報をセンタ20から取得する。この際、取得部32は、自車10aが特定領域を走行する(特定領域に向かって走行する)時間帯が、その特定領域を走行した車両10の台数が相対的に少ない時間帯である場合、他車10bの運転操作情報を取得することしてもよい。
【0058】
図2に例示する場合、取得部32は、特定領域内においてハザードランプを点灯させて停止する他車10bの運転操作情報を取得する。
検出部33は、例えば、他車10bの運転操作情報に含まれるハザード点灯情報に基づいて、他車10bがハザードランプを点灯させていることを検出し、フラグを「0」から「1」に変更する。
図3に一例を示すものは、運転操作情報に基づいて検出される特異操作に関する表である。検出部33は、ハザードランプに関するフラグを「1」に変更する場合、
図3に例示する表の「ハザードランプ」項目のフラグ「0」を「1」に変更する。
【0059】
また、検出部33は、上記の他にも、運転操作情報に含まれる、操舵角情報、角速度情報、走行速度情報、及び、ステータス情報に基づいていずれかの通常走行時とは異なる操作が検出された場合、対応する運転操作項目の
図3に例示するフラグ「0」を「1」に変更する。
検出部33は、
図3に例示する運転操作項目のいずれかにおいてフラグが「1」に変更されている場合には、特異操作として検出する。
なお、
図3に例示する表はあくまで一例であり、特異操作の検出項目に応じて適宜表が設定される。
【0060】
ここで、検出部33は、1又は複数の「1」に変更されたフラグに対応する運転操作項目等に基づいて、他車が特異操作を行った理由を推定することとしてもよい。以下では、具体例を説明する。
例えば、検出部33は、特異操作を行った他車の運転操作情報に工事車両を示す車両情報が含まれており、さらに、位置情報及び時刻情報に基づいて所定時間以上他車が停止していること、ハザードランプ点灯情報に基づいて他車がハザードランプを点灯させていることを検出した場合には、他車が一般車ではなく、専用の車両10が道路上に停止していることから、車線変更の可能性がある理由が「工事」と推定することとしてもよい。
【0061】
また、例えば、検出部33は、運転操作情報に基づいて、急減速・急停止、及び、故障又はガス欠を検出した場合には、車線変更の可能性がある理由が「故障車両の存在」と推定することとしてもよい。
【0062】
また、例えば、検出部33は、運転操作情報に基づいて、急減速・急停止、通常走行時とは異なる操舵角、及び、故障を検出した場合には、車線変更の可能性がある理由が、落石又は中央分離帯への衝突等の「単独事故を起こした車両の存在」と推定することとしてもよい。
【0063】
また、例えば、検出部33は、運転操作情報に基づいて、急減速・急停止、通常走行時とは異なる操舵角、他車両との接触、及び、故障を検出した場合には、車線変更の可能性がある理由として「複数台の車両が絡む事故による事故車両の存在」を推定することとしてもよい。
【0064】
通知部34は、所定の情報として、自車に対して、車線変更を生じる恐れがあること、車線変更を生じる理由、及び、車線変更を生じる位置に関する情報を送信する。すなわち、通知部34は、車線変更を生じる位置の少なくとも前後数十メートルを通行に注意を要する、又は、通行止めの可能性もあることを自車に通知する。
【0065】
次に、一実施形態に係る情報処理方法について説明する。
図4は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0066】
ステップST101において、取得部32は、特定領域を走行した車両10(他車)の運転操作情報を取得する。すなわち、取得部32は、車両10(自車)の現在位置に基づいて特定領域を特定し、現在時刻から所定時間内に特定領域を走行した車両10(他車)の運転操作情報をセンタ20から取得する。この場合、取得部32は、運転操作情報に含まれる位置情報に基づいて、特定領域のみの運転操作情報を特定して、その運転操作情報を取得することとしてもよい。
【0067】
ステップST102において、検出部33は、ステップST101で取得した運転操作情報に基づいて、その運転操作情報を生成した車両10(他車)の操作についての特異性があるかを判定する。検出部33は、例えば、異常な操舵角、異常な角速度、急減速・急停止、ハザードランプの点灯、車両10の接触、車両10の故障、及び、車両10の燃料切れ等の場合を特異性があるとして判定する。特異性がある場合(Yes)、処理は、ステップST103に進む。特異性がない場合(No)、検出部33は、ステップST102の処理を再度行う。
【0068】
ステップST103において、検出部33は、ステップST102で特異性があると判定されると、特異操作として検出する。この場合、検出部33は、運転操作情報に基づいて、特異操作が行われた位置に関する特異操作位置情報を取得し、また、特異操作の理由(車両10が車線変更を行う可能性がある理由)を推定することとしてもよい。
【0069】
ステップST104において、通知部34は、車両10(自車)に対して、所定の情報として、車両10の進行方向において車線変更を生じる恐れがあることを通知する。所定の情報には、特異操作位置情報、及び、特異操作の理由に関する情報が含まれていてもよい。
【0070】
車両10(自車)は、所定の情報を受信すると、所定の情報に関する文字又は画像を車載表示部(図示せず)に表示し、警告音又は警告音声を車載スピーカ(図示せず)から出力する。これにより、自車のドライバは、事前に、車線変更の可能性があることを知ることができる。
また、車両10(自車)が自動運転車両の場合、車両10は、所定の情報を受信すると、道路上の障害の手間で車線変更等の回避動作を行う。
なお、情報処理方法では、車両10(自車)の走行が終了した場合(例えば、エンジンの停止又は目的地への到着等)、処理を終了することとしてもよい。
【0071】
次に、本実施形態の効果について説明する。
情報処理装置30は、特定領域を走行した車両10(他車)の運転操作情報を取得する取得部32と、取得部32によって取得された運転操作情報に基づいて、その運転操作情報を生成した車両10の操作についての特異性を検出する検出部33と、検出部33によって車両10の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両10(他車)とは異なる他の車両10(自車)に対して所定の情報を通知する通知部34と、を備える。
これにより、情報処理装置30は、特異性が検出された位置を自車が走行する前(ドライバが障害物等を目視する前)に、その自車に対して車線変更の恐れがあることを通知できるので、ドライバに慎重な運転を行うことを促すことができる。すなわち、情報処理装置30は、事故等が発生することを抑制することができる。
また、情報処理装置30は、他車で生成される運転操作情報のうち少なくとも1つの特異性が検出される場合でも、自車に対して車線変更の恐れがあることを通知するので、特定領域の交通量が相対的に少ない場合でも特異性を検出することができる。
【0072】
情報処理装置30では、取得部32によって取得される運転操作情報には、特定領域を走行した車両10の、少なくも時刻情報が記録されることとしてもよい。この場合、取得部32は、時刻情報に基づき特定領域を走行した車両10の台数が相対的に少ない時間帯がある場合、その時間帯に特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、特定領域の交通量が相対的に少ない場合でも特異性を検出することができる。
【0073】
情報処理装置30では、取得部32は、所定時間内に特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、自車が特定領域を走行する現在時刻に近い時間に特定領域を走行した他車の運転操作情報を取得するので、道路の状況をより反映した特異性を検出することができる。
【0074】
情報処理装置30では、取得部32によって取得される運転操作情報には、車両10の操舵角に関する操舵角情報及び車両10を操舵する際の角速度に関する角速度情報が含まれることとしてもよい。この場合、検出部33は、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の操舵角及び角速度とは異なる操舵角及び角速度が記録される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、例えば、道路上の障害物等の回避のためのハンドル操作、及び、車両10が障害物等に接触した後のハンドル操作等に基づいて、特異性を検出することができる。
【0075】
情報処理装置30では、検出部33は、通常走行時の操舵角及び角速度の基準となる、道路を車両10が走行する際に生じる操舵角の範囲及び角速度の範囲を基準情報として有することとしてもよい。この場合、検出部33は、基準情報、操舵角情報及び角速度情報に基づいて、車両10の操作についての特異性として事故の発生を検出することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、通常走行時の操舵角及び角速度それぞれの範囲を基準情報として有することにより、操舵角情報及び角速度情報と、基準情報とのそれぞれの内容を比較して特異性(一例として、事故の発生等)を検出することができる。
【0076】
情報処理装置30では、取得部32によって取得される運転操作情報には、車両10の走行速度に関する走行速度情報が含まれることとしてもよい。この場合、検出部33は、走行速度情報に基づいて、予め設定される通常走行時の減速停止と異なる減速停止が検出される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、例えば、走行速度情報に基づいて、他車の停車、及び、他車の急減速・急停止を特異性として検出することができる。
【0077】
情報処理装置30では、取得部32によって取得される運転操作情報には、車両10のハザードランプに関するハザード点灯情報が含まれることとしてもよい。この場合、検出部33は、ハザード点灯情報に基づき車両10のハザードランプの点灯が検出される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、例えば、ハザード点灯情報に基づき、他車の停車、及び、他車の減速等を特異性として検出することができる。
【0078】
情報処理装置30では、取得部32によって取得される運転操作情報には、他車と自車との接触、自車の故障及び自車の燃料切れに関するステータス情報が含まれることとしてもよい。この場合、検出部33は、ステータス情報に基づいて、自車の異常が検出される場合、車両10の操作についての特異性として検出することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、例えば、ステータス情報に基づき、他車の故障等を特異性として検出することができる。
【0079】
情報処理装置30では、通知部34は、所定の情報として、他の車両10(自車)の進行方向において車線変更を生じる恐れがあることを通知することとしてもよい。
これにより、情報処理装置30は、自車のドライバに慎重な運転を行うことを促すことができ、事故等が発生することを抑制することができる。
【0080】
情報処理方法では、コンピュータが、特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得する取得ステップと、取得ステップによって取得された運転操作情報に基づいて、その運転操作情報を生成した車両10の操作についての特異性を検出する検出ステップと、検出ステップによって車両10の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両10とは異なる他の車両10に対して所定の情報を通知する通知ステップと、を実行する。
これにより、情報処理方法は、特異性が検出された位置を自車が走行する前(ドライバが障害物等を目視する前)に、その自車に対して車線変更の恐れがあることを通知できるので、ドライバに慎重な運転を行うことを促すことができる。すなわち、情報処理装置30は、事故等が発生することを抑制することができる。
また、情報処理方法は、他車で生成される運転操作情報のうち少なくとも1つの特異性が検出される場合でも、自車に対して車線変更の恐れがあることを通知するので、特定領域の交通量が相対的に少ない場合でも特異性を検出することができる。
【0081】
情報処理プログラムは、コンピュータに、特定領域を走行した車両10の運転操作情報を取得する取得機能と、取得機能によって取得された運転操作情報に基づいて、その運転操作情報を生成した車両10の操作についての特異性を検出する検出機能と、検出機能によって車両10の操作についての特異性が検出された場合、特異性が検出された車両10とは異なる他の車両10に対して所定の情報を通知する通知機能と、を実現させる。
これにより、情報処理プログラムは、特異性が検出された位置を自車が走行する前(ドライバが障害物等を目視する前)に、その自車に対して車線変更の恐れがあることを通知できるので、ドライバに慎重な運転を行うことを促すことができる。すなわち、情報処理装置30は、事故等が発生することを抑制することができる。
また、情報処理プログラムは、他車で生成される運転操作情報のうち少なくとも1つの特異性が検出される場合でも、自車に対して車線変更の恐れがあることを通知するので、特定領域の交通量が相対的に少ない場合でも特異性を検出することができる。
【0082】
上述した情報処理装置30の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置30の取得部32、検出部33及び通知部34は、コンピュータの演算処理装置等による、取得機能、検出機能及び通知機能としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、外部メモリ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
また、上述したように、情報処理装置30の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置30の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置30の取得部32、検出部33及び通知部34は、コンピュータの演算処理装置等を構成する、取得回路、検出回路及び通知回路として実現されてもよい。
また、情報処理装置30の通信部35及び記憶部36は、例えば、演算処理装置等の機能を含む、通信機能及び記憶機能として実現されもよい。また、情報処理装置30の通信部35及び記憶部36は、例えば、集積回路等によって構成されることにより、通信回路及び記憶回路として実現されてもよい。また、情報処理装置30の通信部35及び記憶部36は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより、通信装置及び記憶装置として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 情報処理システム
10 車両
10a 自車
10b 他車
20 センタ
30 情報処理装置
31 制御部
32 取得部
33 検出部
34 通知部
35 通信部
36 記憶部