(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240515BHJP
H04N 1/10 20060101ALI20240515BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240515BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20240515BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240515BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/10
G06T1/00 430J
G03B27/50 A
G03G15/04 114
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2020027416
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英二
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-036349(JP,A)
【文献】特開平05-336316(JP,A)
【文献】特開2003-134322(JP,A)
【文献】特開2010-074753(JP,A)
【文献】特開2001-036696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00-1/207
H04N 1/38-1/393
G03B 27/50
G03G 15/04
G03G 21/00
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が配置される原稿台と、
前記原稿台に配置された原稿を光学的に読み取り可能であり、主走査方向と交差する副走査方向に移動可能な読取部と、
前記読取部の読取値に基づいて前記原稿の前記主走査方向のサイズを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記原稿の前記主走査方向のサイズに基づいて、前記原稿の前記副走査方向のサイズを予測する予測手段と、
前記予測手段が予測したサイズの原稿が配置され得る領域から副走査方向に所定距離だけ離れた第1位置における前記読取部の読取値と、比較値を比較することにより、前記原稿の前記副走査方向のサイズを特定する特定手段と、
読取制御手段と、を備え
、
前記第1位置は、前記予測手段が予測したサイズの原稿が前記原稿台に配置された場合において、前記副走査方向の基準位置側の端部と反対側の端部の位置である第2位置よりも、前記基準位置に対して所定距離だけ離れた位置であり、
前記読取制御手段は、前記特定手段が前記第1位置における読取値に基づく比較により前記第2位置に前記原稿の端部が有ると特定した際に、前記副走査方向の前記第1位置から、前記基準位置側に向かって前記読取部による読み取りを実行させる
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、前記特定手段は、前記第1位置における読取値と前記比較値との差分が所定の条件を満たす場合に、前記予測手段が予測したサイズを前記原稿の前記副走査方向のサイズと特定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記読取部は、前記読取値として受光量に応じた出力値を出力し、
前記画像読取装置は、前記出力値に対して、所定領域を強調する補正を行う補正手段をさらに備え、
前記特定手段は、前記補正手段により補正された前記出力値を前記読取値として前記比較値との比較を行う、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項
1又は2に記載の画像読取装置であって、前記比較値は、前記基準位置に対して前記第2位置よりも所定距離だけ近位の第3位置における前記読取部の読取値であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項
1又は2に記載の画像読取装置であって、
前記取得手段は、前記原稿の前記基準位置側の端部における前記読取部による前記読取値に基づいて前記原稿の前記主走査方向のサイズを取得し、
前記比較値は、前記原稿の前記基準位置側の端部における前記読取部による前記読取値であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項
1又は2に記載の画像読取装置であって、前記比較値は、前記原稿台に原稿が配置されていない状態での前記読取部の読取値に対応する値であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の画像読取装置であって、前記比較値は、前記読取部が前記原稿台に原稿が配置されていない位置において読み取りを行うことにより更新されることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項
1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置であって、前記予測手段が前記原稿の前記副走査方向のサイズとして複数のサイズを予測した場合における前記第2位置は、前記予測手段が予測したサイズのうち最も小さいサイズの原稿が前記原稿台に配置される場合に前記基準位置側の端部と対向する端部が配置される位置であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項
1乃至7のいずれか1項に記載の画像読取装置であって、前記読取部は読み取り中の速度より高速で前記第1位置に移動することを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
原稿が配置される原稿台と、
前記原稿台に配置された原稿を光学的に読み取り可能であり、主走査方向と交差する副走査方向に移動可能な読取部と、を備える画像読取装置の制御方法であって、
前記読取部の読取値に基づいて前記原稿の前記主走査方向のサイズを取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した前記原稿の前記主走査方向のサイズに基づいて、前記原稿の前記副走査方向のサイズを予測する予測工程と、
前記予測工程で予測したサイズの原稿が配置され得る領域から副走査方向に所定距離だけ離れた第1位置における前記読取部の読取値と、比較値を比較することにより、前記原稿の前記副走査方向のサイズを特定する特定工程
であって、前記第1位置は、前記予測工程で予測したサイズの原稿が前記原稿台に配置された場合において、前記副走査方向の基準位置側の端部と反対側の端部の位置である第2位置よりも、前記基準位置に対して所定距離だけ離れた位置である、特定工程と、
前記特定工程で前記第1位置における読取値に基づく比較により前記第2位置に前記原稿の端部が有ると特定した際に、前記副走査方向の前記第1位置から、前記基準位置側に向かって前記読取部による読み取りを実行させる読取制御工程と、を備える
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の画像読取装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサの検出結果に基づいて原稿のサイズを特定する画像読取装置が知られている。特許文献1では、イメージセンサにより原稿の主走査方向のサイズを検出し、主走査方向のサイズに対応付けられた副走査方向のサイズ候補の原稿の後端付近をイメージセンサで読み取ることで副走査方向のサイズを特定する画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、サイズ候補の原稿の後端付近を読み取ることにより原稿の有無を確認し、原稿のエッジを検出する必要がある。エッジ検出のためには例えば数十ラインの読み取りをする必要があり、原稿サイズの特定に時間を要してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、原稿のサイズ特定に要する時間を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
原稿が配置される原稿台と、
前記原稿台に配置された原稿を光学的に読み取り可能であり、主走査方向と交差する副走査方向に移動可能な読取部と、
前記読取部の読取値に基づいて前記原稿の前記主走査方向のサイズを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記原稿の前記主走査方向のサイズに基づいて、前記原稿の前記副走査方向のサイズを予測する予測手段と、
前記予測手段が予測したサイズの原稿が配置され得る領域から副走査方向に所定距離だけ離れた第1位置における前記読取部の読取値と、比較値を比較することにより、前記原稿の前記副走査方向のサイズを特定する特定手段と、
読取制御手段と、を備え、
前記第1位置は、前記予測手段が予測したサイズの原稿が前記原稿台に配置された場合において、前記副走査方向の基準位置側の端部と反対側の端部の位置である第2位置よりも、前記基準位置に対して所定距離だけ離れた位置であり、
前記読取制御手段は、前記特定手段が前記第1位置における読取値に基づく比較により前記第2位置に前記原稿の端部が有ると特定した際に、前記副走査方向の前記第1位置から、前記基準位置側に向かって前記読取部による読み取りを実行させる
ことを特徴とする画像読取装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿のサイズ特定に要する時間を低減する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る画像読取装置の側断面図であって画像読取装置の概略を示す図。
【
図2】
図1の画像読取装置の平面図であって、圧板カバーを省略した図。
【
図3】画像読取装置のシステム構成の例を示すブロック図。
【
図4】画像読取装置の主走査方向のサイズ検出時の画像読取部の出力波形。
【
図5】画像読取装置による画像の読み取り時に使用するγ補正テーブル。
【
図6】画像読取装置の原稿サイズ検出時に使用するγ補正テーブル。
【
図8A】読取制御部の処理例を示すフローチャート。
【
図8B】読取制御部の処理例を示すフローチャート。
【
図10】画像読取装置の読取部の速度変動を表す図。
【
図11】画像読取装置の原稿サイズ検出時に使用するγ補正テーブル。
【
図12A】読取制御部の処理例を示すフローチャート。
【
図12B】読取制御部の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<装置の概略>
図1及び
図2を参照する。
図1は、一実施形態に係る画像読取装置200の側断面図であって、画像読取装置200の概略を示す図である。
図2は、
図1の画像読取装置200の平面図であって、圧板カバー403を省略した図である。
【0011】
画像読取装置200は、原稿を光学的に読み取り、画像ファイルや印字物等として出力するフラットベット式のスキャナ装置である。本実施形態では、画像読取装置200は、本体100と、圧板カバー403とを含む。また、本体100は、原稿台ガラス300と、読取部104と、移動部205とを含む。
【0012】
原稿台ガラス300(原稿台)は、読取対象の原稿101が配置される長方形の台である。原稿台ガラス300は本体100の上面に設けられており、ユーザは圧板カバー403を開くことで原稿101を原稿台ガラス300に配置することができる。
【0013】
圧板カバー403は、本体100の上面を覆うように、本体100に開閉可能に設けられている。圧板カバー403は、原稿101が原稿台ガラス300に配置された状態で閉じられることで、原稿101を押圧する。また、圧板カバー403の本体100と対向する側の面には圧着シート410が設けられている。また、圧板カバー403の開閉角度が圧板開閉センサ215により検知される。圧板開閉センサ215は、例えば圧板カバーの回動角度を検知可能なポテンショメータであり得る。
【0014】
読取部104は、原稿台ガラス300に配置された原稿101を光学的に読み取り可能なものであり、後述の移動部205によって主走査方向と交差する副走査方向に移動可能である。読取部104は、原稿101を主走査方向に読取可能であり、副走査方向に移動しながら主走査方向に原稿101の読み取りを行うことで、原稿101全体の読み取りを行うことができる。
【0015】
移動部205は、読取部104を副走査方向に移動させるものである。移動部205は、キャリッジモータ207と、エンコーダ206(
図3参照)とを含む。
【0016】
<システム構成>
図3は、画像読取装置200のシステム構成の例を示すブロック図である。本実施形態では、画像読取装置200は、読取部104と、信号処理部210とを含む。
【0017】
読取部104は、原稿101の画像を読み取る。読取部104は、イメージセンサユニット204と、これを移動させる移動部205とを含む。
【0018】
イメージセンサユニット204は、導光体201、LED202及びセンサチップ203を含む。例えば、長尺状の導光体201の端部に光源としてのLED202が配置される。導光体201は、LED202から導光体201内部に入射した光を原稿101に向かって出射する。原稿101あるいは圧着シート410で反射した反射光はロッドレンズアレイ(不図示)を介してセンサチップ203上に結像される。センサチップ203は、結像された光を電気信号に光電変換してアナログ画素データとして信号処理部210に出力する。このとき、センサチップ203は、受光量に応じた電気信号を出力する。すなわち、明るい原稿(白い原稿)の反射光に対しては高レベルの出力を行い、暗い原稿(黒い原稿)の反射光に対しては低レベルの出力を行う。
【0019】
移動部205は、イメージセンサユニット204を副走査方向に移動させる。移動部205は、キャリッジモータ207とエンコーダ206とを含む。キャリッジモータ207は、イメージセンサユニット204を搭載したキャリッジを駆動する。エンコーダ206は、キャリッジモータ207の回転速度及び回転方向を検知する。
【0020】
信号処理部210は、読取部104から出力された読取結果である電気信号を処理する。信号処理部210は、例えば1チップまたは複数チップのASICまたはFPGAや汎用のICチップで構成することができる。信号処理部210は、A/D変換部211、画像処理部212、出力制御部213、読取制御部220及びメモリ部230を含む。
【0021】
A/D変換部211は、読取部104から出力されたアナログ画素データをデジタル信号に変換するアナログフロントエンド(AFE)である。画像処理部212は、A/D変換部211によってデジタル変換された画素データの画像処理を行う。出力制御部213は、画像処理部212によって画像処理された画像信号を画像ファイル又は印字物として外部装置等へ出力するための出力制御を行う。
【0022】
読取制御部220は、各モジュールを制御する。すなわち、読取制御部220は、LED202の点灯、センサチップ203による画像の読み取り、キャリッジモータ207の駆動、及びエンコーダ206による検知を制御する。また、読取制御部220は、A/D変換部211、画像処理部212、出力制御部213及びメモリ部230の制御を行う。読取制御部220は、CPUに代表されるプロセッサにより実現され得る。
【0023】
メモリ部230は、各種データや読取制御部220が実行するプログラムを記憶する。例えば、読取制御部220は、メモリ部230にデジタル画像信号の書き込みを実行したり、メモリ部230からデジタル信号の読み出しを実行したりする。
【0024】
画像読取装置200は、上記構成の下、原稿サイズや解像度等の読取モードに応じて、各モジュールを制御し、スキャンやコピーを行っている。
【0025】
<原稿の主走査方向のサイズの取得>
図2を再び参照する。画像読取装置200が原稿101の読み取りを行う場合、原稿画像の読み取りの前に原稿101のサイズを取得する。以下、原稿101の主走査方向のサイズの取得について説明する。
【0026】
原稿101の読み取りが行われる際は、ユーザにより原稿101が原稿台ガラス300に配置される(
図2)。このとき、原稿台ガラス300の一つの角である合わせ位置Z(基準位置)を基準として、様々なサイズの原稿101が配置される。
【0027】
本実施形態では、原稿台ガラス300は最大でA3用紙を配置可能に構成されている。したがって、原稿台ガラス300にA4用紙を置く場合には、横向き及び縦向きのどちらで配置することも可能である。
【0028】
なお、以下の説明において読み取り原稿101の長辺を主走査方向と平行にした置き方を横置きと呼ぶ。
図2のA4Nで示した置き方が横置きである。一方、A4用紙の長辺を副走査方向と平行にした配置を縦置きと呼ぶ。
図2のA4Rで示した置き方が縦置きである。
【0029】
例えばユーザがA4サイズ読み取り原稿をA4横置きで配置する(A4N)際に、圧板カバー403が開かれると、圧板開閉センサ215は圧板カバー403が開かれたことを検知する。
【0030】
読取制御部220は、圧板開閉センサ215の検知結果に基づき圧板カバー403が開かれたことを確認すると、移動部205によって読取部104をホームポジション(Y_HP)から読み取り位置Y0に移動させる。本実施形態では、読取制御部220は、圧板開閉センサ215の検知結果に基づいて圧板カバー403が30度以上開かれたことを確認すると読取部104を移動させる。また、本実施形態では、ホームポジション(Y_HP)は原稿台ガラス300ガラスよりも図面の左側のポジションであり、読取位置Y0は原稿101の先端側の位置である。さらに言えば、読取位置Y0は、原稿101の副走査方向の図面左側の端部から所定距離+Y方向に進んだ位置である。
【0031】
その後、ユーザが圧板カバー403を閉じていくが、読取制御部220は、圧板開閉センサ215の検知結果に基づいて原稿台ガラス300に対する圧板カバー403の角度が30度未満になることを確認する。
【0032】
読取制御部220は、圧板開閉センサ215の検知結果に基づいて圧板カバー403の角度が30度未満になったことを確認すると、読取部104のLED202が点灯をさせる。これにより、導光体201を介して原稿101の方向に出射された光の反射光が読取部104のセンサチップ203に照射される。センサチップ203は、受光量に応じた画像信号を出力する。
【0033】
図4は、画像読取装置200の主走査方向のサイズ検出時の読取部104の出力波形であって、読取原稿101がA4横置きの場合の出力波形である。る。Y0_Rの領域のように原稿101の端部の領域を読み取ると、読み取り原稿101の端部は白色などのことが多いことから、白色部分の反射光を受けたセンサチップ203は高い電圧レベルを出力する。
【0034】
一方、読み取り原稿101のない部分は読取部104のLED202で照射された光の反射光がセンサチップ203に入光しないので、センサチップ203は低い電圧レベルを出力する。よって、
図4のように原稿101が配置されてない部分の出力が低い読取結果を得ることができる。読取制御部220は、主走査方向に渡るセンサチップ203の出力の高低に基づいて、主操作方向のサイズを取得する。一例として、読取制御部220は、センサチップ203の出力が閾値以下となった主走査方向の位置に基づいて原稿のサイズを特定する。
【0035】
<原稿の副走査方向のサイズの特定>
図2で示すように、A4横置き(A4N)とA3縦置き(A3R)は主走査方向のサイズが同サイズの置き方である。したがって、原稿101のサイズを定型サイズに限定すれば、取得した主走査方向のサイズが297mm(DX_2)の場合、A4N又はA3Rのいずれかの置き方で読取原稿101が配置されていると予測することができる。つまり、取得した主走査方向のサイズから、原稿101の副走査方向のサイズを絞り込むことができる。
【0036】
ここで、予測したサイズの中から実際のサイズを特定する方法の一例として、読取部104により原稿101のエッジ検出をすることで原稿101の副走査方向のサイズを特定することが挙げられる。しかし、エッジ検出をするためには、読取部104が例えば数十ライン程度の画像を読み取る必要があり、サイズの特定に時間を要してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、読取部104が、予測されたサイズよりも所定距離だけ+Y方向に進んだ位置で読み取りを行い、その読取値と比較値とを比較することにより原稿101の副走査方向のサイズを特定する。
【0037】
例えば、
図2で示すように、主走査方向のサイズが297mm(DX_2)の場合、A4横置きの場合の副走査方向の+Y側の端部の位置Y_A4よりも所定距離だけ+Y方向に進んだ位置Y_A4_Lで読取部104が読み取りを行う。そして、読取制御部220は、この読取値と比較値との比較を行う。なお、比較の対象となる読取値は、センサチップ203主走査方向に渡る出力の平均値又は積算値であり得る。
【0038】
ここで、読取値は、原稿101を読み取った場合と圧着シート410を読み取った場合とで差が表れ得る。例えば、圧着シート410の方が原稿101よりもより白色の度合いが強く、読取値が大きくなることが考えられる。
【0039】
したがって、比較値として原稿101を読み取ったときの読取値に相当する値を設定している場合、位置Y_A4_Lでの読取値と比較値に差が無ければ位置Y_A4_Lに原稿が存在していると推測することができる。一方で、位置Y_A4_Lでの読取値と比較値に差が表れれば位置Y_A4_Lに原稿が存在していないと推測することができる。
【0040】
また、比較値として圧着シート410を読み取ったときの読取値に相当する値を設定している場合、位置Y_A4_Lでの読取値と比較値に差が表れていれば位置Y_A4_Lに原稿が存在していると推測することができる。一方で、位置Y_A4_Lでの読取値と比較値に差が無ければ位置Y_A4_Lに原稿が存在していないと推測することができる。
【0041】
このように比較値と読取値との比較を行うことで、主走査方向のサイズが297mm(DX_2)の場合、位置Y_A4_Lに原稿101が存在していれば原稿101のサイズはA3であると特定することができる。また、位置Y_A4_Lに原稿101が存在していなければ原稿101のサイズはA4であると特定することができる。
【0042】
<出力値の補正>
図5は、画像読取装置200による画像の読み取り時に使用するγ補正テーブルである。A4横置きの場合、位置Y_A4_Sで読み取った読取部104の出力レベル(D_Y_A4_S)と位置Y_A4_Lで読み取った読取部104の出力レベル(D_Y_A4_L)とを比較すると
図5のように差が表れる。しかし、読み取り原稿101の他端は余白になっていることが多く、圧着シート410も白色をしていることが多いため、これらの読取値の間に大きな差分が表れないことが多い。そこで、本実施形態では、信号処理部210は、この微量の差分を強調させるために、出力値に対して所定領域を強調する補正を行う。具体的には、通常の読み取り時に使うγ補正テーブルとは別に
図6のような明るいレベルを強調するγ補正テーブル(原稿サイズ検出用のγ補正テーブル)を用いる。原稿サイズ検出用のγ補正はメモリ部230に記憶され得る。これにより、位置Y_A4_Sにおける出力レベルに原稿サイズ検出用のγ補正をかけた出力レベルD_Y_A4_S_γとY_A4_Lにおける出力レベルに原稿サイズ検出用のγ補正をかけた出力レベルD_Y_A4_L_γの差分が大きくなる。読取制御部220は、このD_Y_A4_S_γを比較値とし、比較値とD_Y_A4_L_γをそれぞれメモリ部230に保存する。読取制御部220は、比較値とD_ Y_A4_L_γを比較し、閾値以上の差分がある場合には原稿101の他端があり、A4Nの読み取り原稿101が配置されていると判断できる。また、読取制御部220は、閾値以上の差分がない場合には原稿101の他端がなく、A3Rの読み取り原稿101が配置されていると判断できる。このようにして、読み取り原稿101の主走査、副走査サイズを検出することができ、読み取り原稿サイズを検出することができる。
【0043】
なお
図9で示すように、A4横置き(A4N)とA3縦置き(A3R)だけでなく、B5横置き(B5N)とB3縦置き(B3R)や、letterサイズとlegalサイズも、主走査方向のサイズ(短辺のサイズ)が同じである。そのため上述したような、原稿台に載置された原稿がA4横置き(A4N)かA3縦置き(A3R)かを判定する方法と同様にして、B5横置き(B5N)かB3縦置き(B3R)かや、letterサイズかlegalサイズかを判定することも可能である。すなわち主走査方向のサイズ検出によって副走査方向の原稿サイズの候補を絞り込み、読み取り原稿の短い方の他端候補の手前と奥を比較することによって原稿サイズ検出をすることが可能である。
【0044】
<原稿サイズ特定の処理例>
(処理例1)
図8A及び
図Bは、画像読取装置200の読取制御部220による原稿サイズ特定の処理例を示すフローチャートである。
図8A及び
図Bのフローチャートは、例えば画像読取装置200の電源がオン状態の場合に周期的に実行される。なお、以下の例ではA4Nの原稿が配置された場合を例に説明する。
【0045】
S1で、読取制御部220は、圧板カバー403が開かれたか否かを確認(判定)し、開かれていればS2の処理に進み、開かれていなければフローチャートを終了する。例えば、読取制御部220は、圧板開閉センサ215の検知結果に基づいて、圧板開閉センサ215が30度以上開かれた場合にS2の処理に進む。よって、ユーザが読み取り原稿101を配置するために圧板カバー403を開いた場合等にS2以降の処理が実行される。
【0046】
S2で、読取制御部220は、移動部205によって読取部104を副走査方向の位置Y0に移動する。本実施形態では、位置Y0は、主走査方向の原稿サイズ検出を行うための読み取りを読取部104が行う位置である。
【0047】
S3で、読取制御部220は、圧板カバー403が閉じられたか否かを確認し、閉じられていればS4の処理に進み、閉じられていない、すなわち開かれたままであればS3の処理を繰り返す。例えば、読取制御部220は、圧板開閉センサ215の検知結果に基づいて、圧板開閉センサ215が30度未満に閉じられた場合にS2の処理に進む。よって、ユーザが読み取り原稿101を原稿台ガラス300に配置した後に圧板カバー403が閉じられた場合等にS4以降の処理が実行される。
【0048】
S4で、読取制御部220は、主走査方向のサイズを取得する。例えば、読取制御部220は、<原稿の主走査方向のサイズの取得>において説明したように、読取部104に位置Y0で読み取りを実行させ、その読取値に基づいて主操作方向のサイズを取得する。
【0049】
S5で、読取制御部220は、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが297mmであるか否かを判定する。判定結果がYESであればS6に進み、そうでなければS19に進む。すなわち、読取制御部220は、原稿台ガラス300に配置されている原稿がA4横置きないしA3縦置きであると予測したときにS6に進む。なお、読取制御部220は、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが297mmを含む所定の範囲内にあるか否かを判定しても良い。
【0050】
S6で、読取制御部220は、画像処理部212のγ補正テーブルを通常の読み取り用のテーブルから原稿サイズ検出用のテーブルに変更する。
【0051】
S7で、読取制御部220は、移動部205によって読取部104を副走査方向の位置Y_A4_Sまで移動させる。
図7は、読取部104の移動速度の変動を示す図である。読取制御部220は、画像読み取り時の移動速度V
readよりも大きい速度で読取部104が移動するように、キャリッジモータ207を駆動する。さらに言えば、読取制御部220は、読取部104が最高速度V
maxで移動するように、キャリッジモータ207を駆動する。また、読取制御部220は、位置Y_A4_Sでは読取部104が画像を読み取り可能な速度になるように、位置Y_A4_Sの手前で読取部104の移動速度を落としてもよい。
【0052】
S8で、読取制御部220は、読取部104に読み取りを行わせ、位置Y_A4_Sにおける読取値を取得する。すなわち、読取制御部220は、予測された原稿サイズに対応する位置である位置Y_A4よりも所定距離だけ近位の位置Y_A4_Sにおける読取値を取得する。読取制御部220は、
図2のY_A4_S_Rの領域の読取値(画像信号レベル)を取得する。例えば、読取制御部220は、1ラインまたは複数ラインの読取値を取得する。読取制御部220は、複数ライン取得した場合は平均などを取る処理を行ってもよい。
【0053】
S9で、読取制御部220は、比較値として、原稿サイズ検出用のγ補正がかかった読取値D_Y_A4_S_γをメモリ部230に保存する。
【0054】
S10で、読取制御部220は、キャリッジモータ207を駆動して読取部104を位置Y_A4_Lまで移動させる。例えば、読取制御部220は、
図7で示すように読み取り時の移動速度V
readで読取部104を移動させる。しかしながら、読取制御部220は、移動速度V
readよりも大きい速度で読取部104をさせてもよい。
【0055】
S11で、読取制御部220は、読取部104に位置Y_A4_Lにおける読み取りを実行させる。すなわち、読取制御部220は、副走査方向の基準位置側の端部と反対側の予測された端部の位置であるY_A4よりも基準位置に対して所定距離離れた位置Y_A4_Lにおける読み取りを読取部104に実行させる。S12で、読取制御部220は、画像処理部212により原稿サイズ検出用のγ補正がかけられた読取値D_Y_A4_L_γを保存する。
【0056】
S13で、読取制御部220は、読取値D_Y_A4_L_γと比較値D_Y_A4_S_γの差分をとる。
【0057】
S14で、読取制御部220は、S13でとった差分が所定の条件を満たすか否かを確認する。例えば、読取制御部220は、S13でとった差分が所定の範囲内か否かを確認する。読取制御部220は、差分が所定の条件を満たさない場合にS15に進み(S14:No)、差分が所定の条件を満たす場合にS16に進む(S14:Yes)。S14の処理はすなわち、原稿がA4横置き(A4N)であるかA3縦置き(A3R)であるかを判定する処理である。
【0058】
S15で、読取制御部220は、原稿がA4横置き(A4N)であると特定する。比較値D_Y_A4_L_γは原稿が配置されている領域における読取値である。よって、読取値D_Y_A4_L_γと比較値D_Y_A4_S_γの差分が所定の範囲内に無い場合(S14:No)、位置Y_A4_Lには原稿が配置されていない可能性が高い。したがって、読取制御部220は、原稿がA4横置き(A4N)であると特定する。
【0059】
S16で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、A4横置き(A4N)の範囲を読み取り、A4横置き(A4N)の範囲に対応する画像データを得る。
【0060】
一方、S17で、読取制御部220は、原稿がA3縦置き(A3R)であると特定する。読取値D_Y_A4_S_γと比較値D_Y_A4_L_γの差分が所定の範囲内の場合(S14:Yes)、位置Y_A4_Lには原稿が配置されている可能性が高い。したがって、読取制御部220は、原稿がA3縦置き(A3R)であると特定する。
【0061】
S18で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、A3縦置き(A3R)の範囲を読み取り、A3縦置き(A3R)の範囲に対応する画像データを得る。
【0062】
また、主走査方向の原稿サイズが297mmでなく、S5からS19に進んだ場合、S19では、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが257mmであるか否かを判定する。判定結果がYESであればS20に進み、そうでなければS25に進む。すなわち、読取制御部220は、原稿台ガラス300に配置されている原稿がB5横置きないしB4縦置きであると予測したときにS20に進む。なお、読取制御部220は、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが257mmを含む所定の範囲内にあるか否かを判定しても良い。しかし、S5の判定に用いられる範囲は、S19の判定に用いられる範囲に含まれないものとする。
【0063】
S20では、原稿がB5横置き(B5N)であるか否か(B4縦置き(B4R)であるか)を判定する。本判定は、S6~S14の処理と同様の内容の処理が実行された結果に基づいて実行される。すなわち、主走査方向のサイズ検出によって副走査方向の原稿サイズの候補を絞り込み、読み取り原稿の短い方の他端候補の手前と奥を比較することによって原稿サイズ検出をする。判定結果がYESであればS21に進み、そうでなければS23に進む。
【0064】
S21で、読取制御部220は、原稿がB5横置き(B5N)であると特定する。
【0065】
S22で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、B5横置き(B5N)の範囲を読み取り、B5横置き(B5N)の範囲に対応する画像データを得る。
【0066】
一方、S23で、読取制御部220は、原稿がB4縦置き(B4R)であると特定する。
【0067】
S24で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、B4縦置き(B4R)の範囲を読み取り、B4縦置き(B4R)の範囲に対応する画像データを得る。
【0068】
また、主走査方向の原稿サイズが257mmでなく、S19からS25に進んだ場合、S25では、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが215.9mmであるか否かを判定する。判定結果がYESであればS26に進み、そうでなければS31に進む。すなわち、読取制御部220は、原稿台ガラス300に配置されている原稿がletterないしlegalであると予測したときにS26に進む。なお、読取制御部220は、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが215.9mmを含む所定の範囲内にあるか否かを判定しても良い。しかし、S5の判定に用いられる範囲及びS19の判定に用いられる範囲は、S26の判定に用いられる範囲に含まれないものとする。
【0069】
S26では、原稿がletterであるか否か(legalであるか)を判定する。本判定は、S6~S14の処理と同様の内容の処理が実行された結果に基づいて実行される。すなわち、主走査方向のサイズ検出によって副走査方向の原稿サイズの候補を絞り込み、読み取り原稿の短い方の他端候補の手前と奥を比較することによって原稿サイズ検出をする。判定結果がYESであればS27に進み、そうでなければS29に進む。
【0070】
S27で、読取制御部220は、原稿がletterであると特定する。
【0071】
S28で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、letterの範囲を読み取り、letterの範囲に対応する画像データを得る。
【0072】
一方、S29で、読取制御部220は、原稿がlegalであると特定する。
【0073】
S30で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、legalの範囲を読み取り、legalの範囲に対応する画像データを得る。
【0074】
また、主走査方向の原稿サイズが215.9mmでなく、S25からS31に進んだ場合、S31では、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが210mmであるか否かを判定する。判定結果がYESであればS32に進み、そうでなければS33に進む。すなわち、読取制御部220は、原稿台ガラス300に配置されている原稿がA4縦置き(A4R)であると予測したときにS32に進む。
【0075】
S32で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、A4縦置き(A4R)の範囲を読み取り、A4縦置き(A4R)の範囲に対応する画像データを得る。
【0076】
S33で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の全ての範囲を読み取り、その読取によって得られた画像データから、原稿台ガラス300上に載置されている原稿に相当する領域をクロップする。これにより、原稿台ガラス300上に載置されている原稿のサイズに相当する画像データを得る。なおS45では、ユーザに、いずれかの原稿サイズ(あるいは、その置き方)を入力させ、ユーザからの入力に対応する範囲を読み取って、画像データを取得しても良い。
【0077】
以上説明したように、本処理例によれば、原稿のサイズ特定に要する時間を低減することができる。具体的には、本処理例では、予測した副走査方向のサイズに対してーY側の位置Y_A4_Sと+Y側の位置Y_A4_Lにおける読取値を比較して副走査方向のサイズを特定する。よって、予測した副走査方向のサイズに対応する位置付近をエッジ検出してサイズを特定する場合よりも読取部104により読み取りが必要なライン数が少なくなるので、原稿のサイズ特定に要する時間を低減することができる。
【0078】
なお上述のようにして、読み取りにより取得された画像データは、任意の方法で出力される。例えば、画像データは、画像読取装置200外部の情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)に送信され、当該情報処理装置上で表示される。また例えば、画像読取装置200上で表示される。また例えば、画像データに基づく画像の印刷が、画像読取装置200によって実行される。
【0079】
(処理例2)
図12A及び
図12Bは、画像読取装置200の読取制御部220による原稿サイズ特定の処理例を示すフローチャートである。処理例2では、副走査方向のサイズ特定時に読取部104が読み取りを行った値を比較値として用いるのではなく、予め設定された値を比較値として用いる点で処理例1と異なる。
【0080】
S100で、読取制御部220は、比較値D_REFを取得する。例えば、読取制御部220は、メモリ部230に記憶されている比較値D_REFを読み出すことにより比較値D_REFを取得する。本実施形態では、比較値D_REFは原稿が無い状態での読取部104の読取値、すなわち、読取部104が圧着シートを読み取った場合の読取値に相当する値である。
【0081】
比較値D_REFは、例えば画像読取装置200の工場出荷時に読取部104が圧着シート410を読み取った読取値であってもよく、この読取値をメモリ部230に記憶した状態で画像読取装置200が出荷されてもよい。また、比較値D_REFは、製品が初めて動作する初期動作時に原稿がない状態で読取部104が圧着シート410を読み取った読取値であってもよい。また、比較値D_REFは、読取部104による読取値に限らず、あらかじめ定めた固定値であってもよい。
【0082】
なお、読取制御部220は、原稿台ガラス300に原稿101が配置されていない状態での圧着シート410の読み取りを読取部104により適宜行い、比較値D_REFを更新してもよい。例えば、原稿の読み取りが完了し、ユーザが原稿101を取り除くために圧板カバー403が開閉されたことを開閉センサが検知した場合に、読取制御部220は読取部104に圧着シート410の読み取りを実行させてもよい。そして、読取制御部220は、その読取値を新たな比較値D_REFとしてメモリ部230に記憶してもよい。また例えば、画像読取装置200の電源がオンされたときに読取制御部220は読取部104に圧着シート410の読み取りを実行させ、新たな比較値D_REFとしてメモリ部230に記憶してもよい。このようにすることで、圧着シート410が劣化し、色味が変化しても、その状況に合わせて、比較値D_REFの値を更新することができる。
【0083】
S110,S112,S113,S114はそれぞれ、
図8のS1、S2,S3,S4と同様の処理である。
【0084】
S115で、読取制御部220は、S114で取得した主走査方向の原稿サイズが297mmであればS116に進み、そうでなければS131に進む。すなわち、読取制御部220は、原稿台ガラス300に配置されている原稿がA4横置きないしはA3縦置きであるときにS116に進む。なお、読取制御部220は、S4で取得した主走査方向の原稿サイズが297mmを含む所定の範囲内にある場合にS6に進んでもよい。
【0085】
S116で、読取制御部220は、画像処理部212のγ補正テーブルを通常の読み取り用のテーブルから原稿サイズ検出用のテーブルに変更する。
【0086】
S117で、読取制御部220は、移動部205によって読取部104を副走査方向の位置Y_A4_Sまで移動させる。
図10は、読取部104の移動速度の変動を示す図である。読取制御部220は、画像読み取り時の移動速度V
readよりも大きい速度で読取部104が移動するように、キャリッジモータ207を駆動する。さらに言えば、読取制御部220は、読取部104が最高速度V
maxで移動するように、キャリッジモータ207を駆動する。また、読取制御部220は、位置Y_A4_Lでは読取部104が画像を読み取り可能な速度になっているように、位置Y_A4_Lの手前で読取部104の移動速度を落としてもよい。処理例2では、処理例1と異なり、読取部104は位置Y_A4_Lに移動する前に位置Y_A4_Sでの読み取りを行わないため、読取部104はより長い区間最高速度V
maxで移動することができる。これにより、原稿サイズの特定に要する時間をより低減することができる。
【0087】
S118で、読取制御部220は、読取部104に位置Y_A4_Lにおける読み取りを実行させる。S119で、読取制御部220は、画像処理部212により原稿サイズ検出用のγ補正がかけられた読取値D_Y_A4_L_γを保存する。S120で、読取制御部220は、読取制御部220は、読取値D_Y_A4_L_γと比較値D_REFの差分をとる。
【0088】
S121で、読取制御部220は、S120でとった差分が所定の範囲内か否かを確認する。読取制御部220は、差分が所定の範囲内の場合にS122に進み(S121:Yes)、差分が所定の範囲内でない場合にS123に進む(S121:No)。
【0089】
S122で、読取制御部220は、原稿がA4横置き(A4N)であると特定する。比較値D_REFは原稿が配置いない状態での読取値である。よって、読取値D_Y_A4_L_γと比較値D_REFの差分が所定の範囲内である場合(S121:Yes)、位置Y_A4_Lには原稿が配置されていないと考えられる。したがって、読取制御部220は、原稿がA4横置き(A4N)であると特定する。
【0090】
S129で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、A4横置き(A4N)の範囲を読み取り、A4横置き(A4N)の範囲に対応する画像データを得る。その後、フローチャートを終了する。
【0091】
S123で、読取制御部220は、移動部205によって読取部104を位置Y_A4_Sまで移動させる。S124で、読取制御部220は、読取部104に位置Y_A4_Sでの読み取りを実行させる。S125で、読取制御部220は、画像処理部212により原稿サイズ検出用のγ補正がかけられた読取値D_Y_A4_S_γを保存する。
【0092】
S126で、読取制御部220は、読取値D_Y_A4_L_γと読取値D_Y_A4_S_γの差分をとる。そして、S127で、読取制御部220は、S126で取った差分が所定の範囲内にない場合(S127:No)、S122に進み原稿がA4横置き(A4N)であると特定し、フローチャートを終了する。また、S127で、読取制御部220は、S126で取った差分が所定の範囲内の場合(S127:Yes)、S128に進み原稿がA3縦置き(A3R)であると特定する。
【0093】
ここで、S121で差分が所定の範囲内でない場合(S121:No)、位置Y_A4_Lに原稿が配置されているか、又は位置Y_A4_Lに原稿は配置されていないが圧着シート410が原稿の厚みで浮いてしまっていることが考えられる。そのため、読取値D_Y_A4_S_γと読取値D_Y_A4_L_γを比較し、その差分が所定の範囲内でなければ(S127:No)、位置Y_A4_Lに原稿は配置されていないが圧着シート410が原稿の厚みで浮いてしまっていると考えられる。よって、原稿の配置がA4横置きであると特定することができる。一方、差分が所定の範囲内であれば(S127:Yes)、位置Y_A4_Lに原稿が配置されていると考えられるので、原稿の配置がA3縦置きであると特定することができる。
【0094】
S130で、読取制御部220は、原稿台ガラス300上の、A3縦置き(A3R)の範囲を読み取り、A3縦置き(A3R)の範囲に対応する画像データを得る。その後、フローチャートを終了する。
【0095】
また、主走査方向の原稿サイズが297mmでない場合(S115No)、読取制御部220は、S131に進む。
【0096】
S131~S145は、それぞれS19~S34に対応する処理である。なお、S20及びS26は、S6~S14の処理と同様の内容の処理が実行された結果に基づいて判定が行われるが、S132及びS138は、S116~SS121,S123~S127の処理と同様の内容の処理が実行された結果に基づいて判定が行われる。言い換えれば、S132では、S116~SS121,S123~S127によるA4NかA3Rかの判定と同様の処理で、B5NかB4Rかの判定を行う。また、S138では、S116~SS121,S123~S127によるA4NかA3Rかの判定と同様の処理で、letterかlegalかの判定を行う。
【0097】
以上説明したように、本実施形態では、比較値として予め設定された値を用いるため、原稿サイズ特定時に比較値を取得するための読み取りを行う必要がない。したがって、原稿サイズの特定に要する時間をより低減することができる。
【0098】
<その他の実施形態>
上記実施形態では単機能の画像読取装置200(スキャナ装置)を例に説明したが、例えば、記録装置やファクシミリ通信機能などを兼ね備えた複合機(マルチファンクションプリンタ装置、MFP装置)等に対しても上記実施形態に係る構成を適用可能である。
【0099】
また、主走査方向のサイズ検出処理を行うために位置Y0で読み取りを行った際の読取値に原稿サイズ検出用のγ補正をかけたものを比較値(D_Y0_γ)としてもよい。そして、この比較値とD_Y_A4_L_γと比較し、原稿101の他端の有無を判断してもよい。この場合、
図8のフローチャートのS7、S8の処理を省略することが可能である。これにより、比較値取得のためにサイズ特定時に読み取りを行う場合であっても、
図10で示すように移動部205を位置Y_A4_Lの手前まで最高速度(Vmax)で移動させることができる。
【0100】
また、上記実施形態において、位置Y_4A_Lにおける読取の結果、原稿の配置がA4横置きであると特定した場合に、読取部104が位置Y_4A_Lから合わせ位置Z(基準位置)側に向かって画像の読み取りを実行してもよい。これにより、イメージセンサユニット204が合わせ位置Z側に移動する時間を省くことができる。
【0101】
また、読み取り原稿101に厚みがあり、圧板カバー403が閉じきらずに少し開いた状態になった場合、圧着シート410からの反射光が小さくなり、センサチップ203へ入力される光が小さくなる。
図11は、画像読取装置200の原稿サイズ検出時に使用するγ補正テーブルであって圧板カバー403が少し開いた状態における読取値を示す図である。圧板カバー403が少し開かれた状態で読み取りが行われると、D_Y_A4_L_γの出力レベルは低くなってしまう(D_Y_A4_L_OPEN_γ)。そこで、このような場合に誤検知を防ぐために以下の構成を採用してもよい。
【0102】
読取制御部220は、D_Y_A4_L_γと比較値D_REFとの差分が所定の範囲(D_REF_MINからD_REF_MAXの間)外にあると判断した場合に、移動部205をY_A4_Sの位置に移動させる。そして、読取部104のLED202を点灯させ反射光をセンサチップ203に照射させ、画像信号を出力させ、1ラインまたは複数ラインの出力レベルを取得する。つまり、
図2のY_A4_S_Rの領域の画像信号レベル(D_Y_A4_S_γ)を取得する。そして、D_Y_A4_L_γとD_Y_A4_S_γの差分を取り、比較する。この際に、差分があると判断した場合には原稿101の他端があり、A4Nの読み取り原稿101が配置されていることになる。一方、差分がないと判断した場合には原稿101の他端がなく、A3Rの読み取り原稿101が配置されていることとなる。このような構成を採用することで、圧板カバー403が開かれた状態の読み取りにおける誤検知を減らすことができる。
【0103】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0104】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0105】
104 読取部、200 画像読取装置、220 読取制御部、300 原稿台ガラス