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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
F25D23/00 301R
F25D23/00 307
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020078616
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173485
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 健一
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206222781(CN,U)
【文献】国際公開第2018/016068(WO,A1)
【文献】特表2004-526116(JP,A)
【文献】特開昭60-216392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声が入力される音声入力装置と、音声を出力する音声出力装置と、貯蔵室が形成された筐体と、前記貯蔵室の前方の開口部を開閉する扉とを備える冷蔵庫において、
前記音声入力装置と前記音声出力装置とが異なる場所に設けられ、
前記音声入力装置が前記筐体における前記開口部より上方に設けられ、
前記音声入力装置に接続された接続線が前記筐体の前方において左右方向に沿って配線され
前記扉の回動の軸となる回動軸と、前記回動軸に被さる覆い部材とが設けられ、
前記冷蔵庫を前方から見て、前記音声入力装置が前記冷蔵庫の幅方向の中央に設けられ、前記冷蔵庫の幅方向の一方における前記覆い部材の内側に、前記冷蔵庫の制御を行う制御手段が設けられ、
前記音声入力装置に接続された前記接続線が前記制御手段に接続されたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
記音声入力装置及び前記制御手段の少なくとも一方に接続された接続線の少なくとも一部に前記覆い部材が被さった、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
記音声出力装置が前記覆い部材に囲まれた、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
記音声出力装置と、前記制御手段と、庫外と通信を行う通信装置とが前記覆い部材に囲まれ、
前記音声出力装置が前記制御手段よりも前方に配置され、前記通信装置が前記制御手段よりも後方に配置された、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記回動軸が筒状であり、
前記音声出力装置と前記制御手段とを接続する音声出力装置用配線と、前記回動軸の内部を通る回動軸通過配線とが設けられ、前記音声出力装置用配線が前記回動軸通過配線よりも上に配置され
前記音声出力装置と前記制御手段が前記覆い部材の上壁の内側に固定された、請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、マイクのような音声入力装置及びスピーカのような音声出力装置を備える冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫では、利用者が発した音声が音声入力装置から入力され、その入力に対する応答としての音声が音声出力装置から出力される。
【0003】
従来、このような冷蔵庫において、音声入力装置と音声出力装置は同じ場所に設けられており、特許文献1に記載のようにヒンジカバー内部に設けられるのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-183786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、音声入力装置と音声出力装置が同じ場所に設けられていると、音声出力装置から出力された音声が音声入力装置に入力されてしまうことがあり、その結果として誤った応答が音声出力装置から出力されるおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、音声出力装置から出力された音声が音声入力装置に入力されにくい冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の冷蔵庫は、音声が入力される音声入力装置と、音声を出力する音声出力装置と、貯蔵室が形成された筐体と、前記貯蔵室の前方の開口部を開閉する扉とを備える冷蔵庫において、前記音声入力装置と前記音声出力装置とが異なる場所に設けられ、前記音声入力装置が前記筐体における前記開口部より上方に設けられ、前記音声入力装置に接続された接続線が前記筐体の前方において左右方向に沿って配線され、前記扉の回動の軸となる回動軸と、前記回動軸に被さる覆い部材とが設けられ、前記冷蔵庫を前方から見て、前記音声入力装置が前記冷蔵庫の幅方向の中央に設けられ、前記冷蔵庫の幅方向の一方における前記覆い部材の内側に、前記冷蔵庫の制御を行う制御手段が設けられ、前記音声入力装置に接続された前記接続線が前記制御手段に接続されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の冷蔵庫の正面図。
図2】実施形態の冷蔵庫の前後方向の縦断面図。
図3】実施形態の冷蔵庫の平面図。
図4】実施形態の冷蔵庫の扉を開けた状態での斜視図。
図5】実施形態の冷蔵庫の扉の上下方向の断面図。図3のA―Aの位置での断面図。
図6】実施形態のヒンジユニットの分解斜視図。配線は図示省略してある。
図7】実施形態のヒンジユニットの前後方向の断面図。図6のC-Cの位置での断面図。
図8】実施形態の冷蔵庫のブロック図。
図9】実施形態の冷蔵庫のマイク付近での縦断面図。図3のB―Bの位置での断面図。扉は図示省略してある。
図10】変更例の冷蔵庫の正面図。
図11】別の変更例の冷蔵庫の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0010】
以下の説明において、冷蔵庫の利用者(以下単に「利用者」と言う)が立つ方を前、その反対を後ろとする。また上下左右とは、冷蔵庫の前に立った利用者から見た上下左右のことである。また平面視とは冷蔵庫を上から見ることである。
【0011】
1.冷蔵庫の全体構成
図1及び図2に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10の筐体11は、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱12と、貯蔵室が形成された内箱13とが組み合わされ、外箱12と内箱13との間に断熱材14が充填されて構成されたものである。
【0012】
筐体11の内側は断熱仕切壁15によって上下に仕切られている。断熱仕切壁15の上側は冷蔵空間である。冷蔵空間は冷蔵保存に適した温度である冷蔵温度に維持される。また断熱仕切壁15の下側は冷凍空間である。冷凍空間は冷凍保存に適した温度である冷凍温度に維持される。
【0013】
冷蔵空間及び冷凍空間には食品を貯蔵する貯蔵室がそれぞれ複数設けられている。各貯蔵室は前方に開口部を有し、利用者はその開口部から食品を出し入れできる。開口部とは、前方に開口している貯蔵室における前方の端部のことであり、開口端と言い換えることもできる。開口部は上下方向及び左右方向へ広がる平面上にある。
【0014】
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20内は冷蔵温度の範囲内の例えば2~5℃に維持され、野菜室22内は冷蔵温度の範囲内の例えば4~7℃に維持される。冷蔵室20には複数の載置棚24が設けられている。また野菜室22には引き出し式の野菜容器25が収納されている。
【0015】
冷蔵室20の前方開口部39(図4参照)は、フレンチ式(観音式)の左右一対の冷蔵室扉50、51で開閉される。右側の冷蔵室扉51は左側の冷蔵室扉50より左右方向に長く、正面から見て(前から見て)大きい。
【0016】
左側の冷蔵室扉50には操作パネル19が設けられている。操作パネル19は液晶表示装置でもあり、正面から見てそれぞれ長方形のアレイ基板、液晶層、対向基板、導光板等が前後方向に積層された周知の構造のものである。操作パネル19には、庫内の温度設定をするための温度設定ボタンや製氷を行うための製氷ボタン等が表示される。冷蔵庫10の利用者はそれらのボタンに触れることにより冷蔵庫10を操作できる。また、操作パネル19には冷蔵庫10の運転状況等が表示される。
【0017】
また、右側の冷蔵室扉51には庫内センサ16が設けられている。庫内センサ16は冷蔵室20の温度や湿度を測定する。
【0018】
図5に示すように、右側の冷蔵室扉51は、概略としては、前方(庫外側)の表面板41と、後方(庫内側)の裏面板45との間に断熱材47が充填された構造のものである。左側の冷蔵室扉50及び以下で説明する各扉も表面板と裏面板との間に断熱材が充填されたものである。左側の冷蔵室扉50では表面板41に長方形の開口部(不図示)が形成されており、その開口部に操作パネル19が嵌め込まれている。
【0019】
野菜室22の前方開口部は、引き出し式の野菜室扉23で開閉される。上記の野菜容器25は野菜室扉23の庫内側の面に固定されている。
【0020】
冷凍空間の上部には製氷室や収納室26が設けられ、冷凍空間の下部には冷凍室28が設けられている。製氷室及び冷凍室28の内部は冷凍温度の範囲内の例えば-20~-18℃に維持される。また収納室26内は、冷凍温度の範囲内の例えば-18~-16℃に維持される。収納室26及び冷凍室28にはそれぞれ引き出し式の収納容器43、44が収納されている。
【0021】
収納室26の前方開口部は引き出し式の収納室扉27で開閉される。収納室扉27の庫内側の面に上記の収納容器43が固定されている。また、冷凍室28の前方開口部は引き出し式の冷凍室扉29で開閉され、製氷室の前方開口部は引き出し式の製氷室扉33で開閉される。冷凍室扉29の庫内側の面に上記の収納容器44が固定されている。
【0022】
冷蔵空間の背後には、冷気を発生させる第1冷却器30と、発生した冷気を循環させる第1ファン32とが設けられている。第1冷却器30で発生した冷気は、第1冷却器30から上方へ向かって延びるダクト34を通って、複数の吹出口36から冷蔵空間へ吹き出る。冷蔵空間を循環した冷気は吸込口38から第1冷却器30へ向かって吸い込まれる。
【0023】
また、冷凍空間の背後には、冷気を発生させる第2冷却器40と、発生した冷気を循環させる第2ファン42とが設けられている。第2冷却器40で発生した冷気は、冷凍空間の奥面に形成されている吹出口46から冷凍空間へ吹き出て、冷凍空間を循環した後、冷凍空間の奥面に形成されている吸込口48から第2冷却器40へ向かって吸い込まれる。
【0024】
冷蔵庫10の下部後方には機械室21が設けられている。機械室21には圧縮機17や凝縮器(不図示)等が収納されている。
【0025】
圧縮機17、凝縮器、第1冷却器30、第2冷却器40等は周知の冷凍サイクル装置を構成している。圧縮機17で圧縮された冷媒が第1冷却器30及び第2冷却器40に交互に流れ、冷媒が流れたときにそれぞれの冷却器で冷気が発生する。
【0026】
また、図2に示すように、筐体11の上部の後方には、筐体11の上面に対して凹状となった凹部35が形成されている。その凹部35内には電源基板60が設けられている。電源基板60には、冷蔵庫10を構成する各機器等に安定した電圧及び電流を供給するための電源ICが設けられている。凹部35は金属製の電源カバー37によって閉塞されている。
【0027】
冷蔵庫10は、前後、左右及び上下の面を有する略直方体である。冷蔵庫10の後面、左面、右面、上面及び下面は、筐体11の後面、左面、右面、上面及び下面である。また冷蔵庫10の前面は、冷蔵室扉50、51、野菜室扉23、収納室扉27、冷凍室扉29及び製氷室扉33が形成している。
【0028】
2.ヒンジユニットの構成
図3に示すように、筐体11の前方左側の部分と、左側の冷蔵室扉50の上方左側の部分とに跨がって、左側のヒンジユニット52が設けられている。このヒンジユニット52により左側の冷蔵室扉50が筐体11に回動可能に支持されている。また、筐体11の前方右側の部分と、右側の冷蔵室扉51の上方右側の部分とに跨がって、右側のヒンジユニット53が設けられている。このヒンジユニット53により右側の冷蔵室扉51が筐体11に回動可能に支持されている。
【0029】
図6に示すように、右側のヒンジユニット53は、冷蔵室扉51の上部と筐体11の上面とに跨がって設けられたヒンジベース54と、ヒンジベース54の前方部分から下方に向かって延長されたヒンジ軸55と、ヒンジベース54の上に被さるヒンジカバー56とを有している。
【0030】
ヒンジベース54は金属製の略板状の部材である。ヒンジベース54は冷蔵室扉51の上部及び筐体11の上面にネジ等の固定具(不図示)で固定されている。ヒンジベース54の筐体11の上の部分には配線用の配線孔49が設けられている。
【0031】
図6及び図7に示すように、ヒンジ軸55は上下方向に長い筒状の部材である。ヒンジ軸55は、冷蔵室扉51の右側端部付近の内部を上下方向に延長されている。冷蔵室扉51はこのヒンジ軸55を軸として回動する。
【0032】
ヒンジカバー56は合成樹脂製の部材である。ヒンジカバー56は、平面視でヒンジベース54と略同形状の上壁57と、上壁57の縁部から下方に向かって設けられた複数の側壁58とからなる部材である。上壁57には上下に貫通した孔59が設けられている。また、側壁58の下端部はヒンジベース54に接触している。そして、ヒンジカバー56とヒンジベース54とが一体となって箱となっている。この箱が、後述するスピーカ63を収納する収納部として機能する。また、ヒンジカバー56は、後述するスピーカ63を上から覆う被覆部材として機能する。
【0033】
図示省略するが、右側のヒンジユニット53と同様に、左側のヒンジユニット52も、ヒンジベースとヒンジ軸とヒンジカバーとを有している。制御基板61の主制御装置73と操作パネル19とを電気的に接続する接続線が、左側のヒンジユニット52の内部及び筒状のヒンジ軸の内部を通っている。
【0034】
3.スピーカ、マイク及びそれらに関連する部分の構成
図6及び図7に示すように、右側のヒンジユニット53において、ヒンジカバー56の裏面(ヒンジベース54と対向する面)には、制御基板61と、無線通信装置62と、スピーカ63とが、それぞれネジ等の固定具(不図示)により固定されている。これら3つの配置としては、スピーカ63が一番前で、無線通信装置62が一番後ろで、制御基板61がスピーカ63と無線通信装置62との間となっている。スピーカ63はヒンジカバー56の上壁57の孔59の下に設けられている。
【0035】
図8に示すように、制御基板61には、マイクロコンピュータ等からなる主制御装置73が設けられている。主制御装置73には、圧縮機17、第1ファン32、第2ファン42、操作パネル19、庫内センサ16等の冷蔵庫10を構成する各機器等が接続されている。図8に示すように制御基板61の主制御装置73と庫内センサ16とを電気的に接続する接続線74は、図7に示すように制御基板61からヒンジ軸55に向かって延長され、筒状のヒンジ軸55の内部を通り、図1に示すよう冷蔵室扉51の内部を通り、庫内センサ16に到達している。主制御装置73は、操作パネル19の各種ボタンからの指示や庫内センサ16の測定値等に基づき、接続されている機器等を制御して、各貯蔵室を適温に維持しつつ製氷等の制御も行う。
【0036】
図3に示すように、ヒンジユニット53内の制御基板61は、筐体11の後方の電源基板60と接続線69で電気的に接続されている。電源基板60から延長された接続線69は、図7に示すように筐体11を構成する外箱12と断熱材14との間を通り、右側のヒンジユニット53の下の場所に到達している。ヒンジベース54の配線孔49の下の位置では、外箱12に配線孔18が設けられている。右側のヒンジユニット53の下の場所に到達した接続線69は、配線孔18、49を通ってヒンジユニット53の内部に出て、制御基板61に接続されている。
【0037】
また図8に示すように、制御基板61の主制御装置73には、無線通信装置62が接続線64で電気的に接続されている。無線通信装置62は、家庭内に接地されたルータ65と無線通信が可能である。ルータ65はインターネット66を介して外部のサーバ67(AIであるクラウド)に接続されている。
【0038】
また図8に示すように、制御基板61には音声制御部75が設けられている。音声制御部75は主制御装置73に電気的に接続されている。さらに、音声制御部75には、スピーカ63が接続線68で電気的に接続され、マイク70が接続線71で電気的に接続されている。
【0039】
スピーカ63は音声を発する(出力する)音声出力装置である。なお音声には音楽やブザー等の音が含まれるものとする。スピーカ63が上記の孔59の下に固定されているため、スピーカ63が発した音声が孔59を通して冷蔵庫10の外部に伝わる。
【0040】
マイク70は、冷蔵庫10の外部から届く(入力される)音声を電気信号に変換する音声入力装置である。図1及び図4に示すように、マイク70は、冷蔵室20の前方への開口部39の上で、冷蔵庫10の左右方向の中心の位置に設けられている。マイク70は、筐体11の外箱12の上面にネジ等の固定具(不図示)で固定されている。
【0041】
ここで、マイク70が冷蔵室20の開口部39の上にある形態としては、図9に示すように、マイク70(マイク70に接続された接続線71を除く)のいずれかの部分が、冷蔵室20の前方への開口部39の上にある形態(つまりマイク70と開口部39とが上下方向に重なる形態)が挙げられる。ただし、マイク70の前端部の位置が開口部39よりも若干(例えば冷蔵庫10の前後方向の長さの1/10以内の距離)後方にある場合も、マイク70が開口部39の上にあると言うことができる。
【0042】
また、制御基板61から延長された接続線71(図3及び図9参照、図7では省略)は、ヒンジベース54の配線孔49を通って筐体11の内部に入り、筐体11を構成する外箱12と断熱材14との間を通り、マイク70付近の場所に到達している。外箱12におけるマイク70の付近の場所には配線孔72が設けられている。マイク70付近の場所に到達した接続線71は、配線孔72を通って筐体11の外部へ出て、マイク70に接続されている。
【0043】
マイク70に入力された音声信号は、音声制御部75によって音声認識処理がなされてテキストデータに変換される。無線通信装置62は、変換されたテキストデータをルータ65及びインターネット66を介してサーバ67に送信する。サーバ67(AIであるクラウド)は、受信したテキストデータに対し自然言語処理を行い意味を理解し、理解した質問の最適解を求める。例えば、マイク70に「今日の天気は?」という音声が入力された場合、サーバ67は最適解として今日の天気を求める。
【0044】
サーバ67は、求めた最適解をテキストデータに変換して、インターネット66及びルータ65を介して無線通信装置62に送信する。音声制御部75は、無線通信装置62が受信したテキストデータに音声合成処理を行い、音声信号に変換する。その音声信号をスピーカ63が出力する。例えばスピーカ63は「今日は晴れです。」という音声を発する。このようにスピーカ63はマイク70への入力に対する応答としての音声を出力する。
【0045】
4.本実施形態の作用効果
本実施形態では、マイク70とスピーカ63とが異なる場所に設けられているので、スピーカ63から出力された音声がマイク70に入力されにくい。そのため、マイク70への入力に対し、誤った応答がスピーカ63から出力されにくい。
【0046】
また、利用者は、冷蔵庫10に話しかけるとき、冷蔵庫10の左右方向の中心付近に立つことが多い。本実施形態では、マイク70がスピーカ63よりも冷蔵庫10の左右方向の中心に近いため、利用者が発した音声がマイク70に正確に入力される。
【0047】
また、冷蔵庫10は前後、左右及び上下の面を有しているが、マイク70及びスピーカ63がそれらのうちの1つの面(上面)に設けられている。そのため、利用者が、スピーカ63からの音声の聞こえる方向と略同じ方向へ向かって発話したときに、その発話の音声がマイク70に確実に入力される。それでいて、マイク70とスピーカ63とが異なる場所に設けられているので、スピーカ63から出力された音声がマイク70に入力されにくい。
【0048】
また、マイク70が、冷蔵室20の開口部39の上にあり、利用者に近くかつ利用者の音声が直接届きやすい位置にあるので、利用者の音声がマイク70に確実に入力される。
【0049】
また、マイク70が、冷蔵庫10の扉ではなく筐体11に設けられているため、扉が開閉されて動いてもマイク70への音声の入力に悪影響が出ない。
【0050】
また、制御基板61、無線通信装置62及びスピーカ63が、ヒンジカバー56という1つの部材に固定されているので、配線が短くできる。ここで、無線通信装置62及びスピーカ63がそれぞれ接続される制御基板61が、無線通信装置62とスピーカ63との間にあるので、配線が特に短くできる。また、制御基板61、無線通信装置62及びスピーカ63のうちスピーカ63が一番前に配置されているので、スピーカ63に利用者の音声が正確に入力される。
【0051】
5.変更例
上記の実施形態の変更例を説明する。上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。以下の変更例の説明において、上記実施形態と同じものには同じ符号を使用している。
【0052】
(1)変更例1
マイク70とスピーカ63は異なる場所に設けられていれば良く、上記実施形態の場所に限定されない。
【0053】
マイク70とスピーカ63の場所が異なる例としては、例えば(a)マイク70とスピーカ63が異なる部材に固定されている例(例えば、上記実施形態のようにマイク70が外箱12に固定され、スピーカ63がヒンジカバー56に固定されている例)、(b)マイク70とスピーカ63が冷蔵庫10の前後、左右及び上下の各面のうち異なる面に設けられている例(例えば、スピーカ63が冷蔵庫10の上面に設けられ、マイク70が冷蔵庫10の前面、左面又は右面に設けられている例)、(c)マイク70とスピーカ63との間に別の部材が設けられている例(例えば、マイク70とスピーカ63が冷蔵室扉50に設けられ、スピーカ63が操作パネル19より上で、マイク70が操作パネル19より下に配置されている例、この例については変更例4でも説明する)、等が挙げられる。
【0054】
(2)変更例2
筐体11の上面にマイク70が設けられる場合において、マイク70の左右方向の位置は、冷蔵庫10の左右方向の中心の位置から離れていても良い。ただし、マイク70がスピーカ63よりも、冷蔵庫10の左右方向の中心に近いことが好ましい。
【0055】
(3)変更例3
マイク70は筐体11の上面以外の場所に設けられていても良い。
【0056】
例えば図10に示すように、マイク70が冷蔵室扉50に設けられ、スピーカ63が上記実施形態と同じくヒンジユニット53に設けられていても良い。この場合において、マイク70は、図10に示すように操作パネル19を構成する部材として(つまり操作パネル19の一部として)設けられていても良いし、操作パネル19より上下左右いずれかの場所に設けられていても良い。マイク70は、操作パネル19より上下左右いずれかの場所に設けられる場合、冷蔵室扉50の表面板に固定される。
【0057】
このように、マイク70が冷蔵室扉50に設けられ、スピーカ63がヒンジユニット53に設けられている場合、マイク70がスピーカ63よりも冷蔵庫10の左右方向の中心に近い。またこの場合、マイク70がスピーカ63よりも冷蔵室20の上下方向の中心に近い。そのため、マイク70がスピーカ63よりも冷蔵庫10の前に立った利用者に近くなる。
【0058】
(4)変更例4
スピーカ63はヒンジユニット53以外の場所に設けられていても良い。
【0059】
例えば、マイク70及びスピーカ63が冷蔵室扉50(冷蔵室扉51でも良い)に設けられていても良い。マイク70及びスピーカ63が冷蔵室扉50に設けられる場合、次の第1~第3の少なくともいずれか1つの配置となっていることが好ましい。
【0060】
第1の配置は、スピーカ63がマイク70よりも上にある配置である。図11には第1の配置の例が示されており、スピーカ63が操作パネル19より上、マイク70が操作パネル19より下に設けられている。この配置の場合、スピーカ63及びマイク70は、それぞれ、冷蔵室扉50の表面板に固定される。
【0061】
なお、スピーカ63及びマイク70の一方が操作パネル19を構成する部材として(つまり操作パネル19の一部として)に設けられ、他方が操作パネル19より上又は下に設けられても良い。
【0062】
利用者の頭部においては耳が上にあり口が下にあるので、このようにスピーカ63が上にありマイク70が下にあれば、利用者の音声がマイク70に届きやすく、またスピーカ63の音声が利用者の耳に届きやすい。
【0063】
第2の配置は、マイク70がスピーカ63よりも冷蔵室20の上下方向の中心に近い配置である。図11の配置は、第1の配置かつ第2の配置となっている。この配置によれば、発話する利用者の口がスピーカ63よりマイク70に近くなり、利用者の音声が正確にマイク70に入力されやすい。
【0064】
第3の配置は、マイク70がスピーカ63よりも冷蔵庫10の左右方向の中心に近い配置である。この配置によれば、発話する利用者の口がスピーカ63よりマイク70に近くなり、利用者の音声が正確にマイク70に入力されやすい。
【0065】
この変更例のようにマイク70及びスピーカ63が1つの冷蔵室扉50に設けられると、マイク70及びスピーカ63が同一面上(前面上)に設けられることになる。そのため、利用者が、スピーカ63からの音声の聞こえる方向と略同じ方向へ向かって話しかけたときに、その話しかけの音声がマイク70に確実に入力される。
【0066】
(5)変更例5
マイク70及びスピーカ63は冷蔵庫10の異なる扉に設けられていても良い。
【0067】
例えば、マイク70が左右の冷蔵室扉50、51のうち大きい方の冷蔵室扉51に、スピーカ63が小さい方の冷蔵室扉50に、それぞれ設けられていても良い。
【0068】
また、マイク70が冷蔵室扉50に設けられ、スピーカ63が野菜室扉23に設けられていても良い。
【0069】
冷蔵庫10の各扉は全体で1つの面を形成しているので、マイク70がいずれかの扉に設けられ、スピーカ63が別のいずれかの扉に設けられれば、マイク70及びスピーカ63が同一面上に設けられることになる。
【0070】
(6)変更例6
無線通信装置62は、ヒンジユニット53以外の場所に設けられていても良く、例えば左右いずれかの冷蔵室扉50、51の内部に設けられていても良い。
【0071】
無線通信装置62がいずれの場所に設けられている場合も、マイク70又はスピーカ63が無線通信装置62と同じ部材(例えば同じ基板)に固定されていることが好ましい。それにより、電気を必要とする2つの部材が1か所に集まることになり、配線が簡略化できる。
【0072】
例えば、無線通信装置62が左右いずれかの冷蔵室扉50、51に設けられる場合は、マイク70及びスピーカ63の少なくともいずれか一方も冷蔵室扉50、51に設けられ、無線通信装置62がマイク70又はスピーカ63と同じ部材に固定されていることが好ましい。
【0073】
(7)変更例7
マイク70及びスピーカ63の利用方法として、上記実施形態では利用者がマイク70に向かって天気を尋ねて、スピーカ63が天気を答える事例を紹介したが、マイク70及びスピーカ63の利用方法はこれに限定されない。
【0074】
例えば、利用者がマイク70に向かって発話し(つまりマイク70に音声の入力がなされ)、その発話(入力)に対する応答としての音声をスピーカ63が出力する様々な利用方法がある。具体例としては、主制御装置73にストリーミング再生プレイヤーが接続されており、ストリーミング再生プレイヤーが音楽を再生する例が挙げられる。すなわち、利用者による「音楽流して。」等の発話がマイク70に入力されると、無線通信装置62、ルータ65及びインターネット66を介してストリーミング再生プレイヤーがサーバ67に接続され、サーバ67の音楽データをストリーミング再生プレイヤーが受信してスピーカ63から再生する例が挙げられる。
【0075】
他の利用方法としては伝言が挙げられる。すなわち、ある利用者が録音機能を起動させてスピーカ63に向かって伝言を発話すると、その音声データがサーバ67に記録される。そして、別の利用者が再生機能を起動させると、サーバ67に記録されていた音声データに基づきスピーカ63から伝言が再生される。
【0076】
他にも、マイク70及びスピーカ63は、利用者の音声による冷蔵庫10の運転操作や冷蔵庫10の内部の在庫管理等に利用することができる。
【0077】
(8)変更例8
スマートフォンやタブレット端末等の通信端末装置とサーバ67とがインターネットを介して通信可能となっており、通信端末装置によって冷蔵庫10の運転の操作をしたり冷蔵庫10の状態の確認をしたりできても良い。
【符号の説明】
【0078】
10…冷蔵庫、11…筐体、12…外箱、13…内箱、14…断熱材、15…断熱仕切壁、16…庫内センサ、17…圧縮機、18…配線孔、19…操作パネル、20…冷蔵室、21…機械室、22…野菜室、23…野菜室扉、24…載置棚、25…野菜容器、26…収納室、27…収納室扉、28…冷凍室、29…冷凍室扉、30…第1冷却器、32…第1ファン、33…製氷室扉、34…ダクト、35…凹部、36…吹出口、37…電源カバー、38…吸込口、39…開口部、40…第2冷却器、41…表面板、42…第2ファン、43…収納容器、44…収納容器、45…裏面板、46…吹出口、47…断熱材、48…吸込口、49…配線孔、50…冷蔵室扉、51…冷蔵室扉、52…ヒンジユニット、53…ヒンジユニット、54…ヒンジベース、55…ヒンジ軸、56…ヒンジカバー、57…上壁、58…側壁、59…孔、60…電源基板、61…制御基板、62…無線通信装置、63…スピーカ、64…接続線、65…ルータ、66…インターネット、67…サーバ、68…接続線、69…接続線、70…マイク、71…接続線、72…配線孔、73…主制御装置、74…接続線、75…音声制御部
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