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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020089294
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184428
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 寛之
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-121372(JP,A)
【文献】特開2009-135215(JP,A)
【文献】特開2018-065216(JP,A)
【文献】特開2003-142896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が載置される複数の載置面が形成されたキャリアを下面側から吸引する吸引装置と、
負圧により前記部品を保持して、保持した部品を前記載置面に載置する吸着ノズルと、
前記吸着ノズルに負圧を供給する負圧源と
を備える作業機であって、
前記吸引装置が、
前記吸引装置に載置された前記キャリアの前記複数の載置面の各々に開口し、載置された部品を吸引するための負圧流路と、
前記負圧流路の前記複数の載置面の各々への開口に対応して配設されるスプールと
を備え
記スプールが押されることで、当該スプールに対応する開口に負圧が供給され
前記負圧源が、前記吸着ノズルだけでなく、前記負圧流路にも負圧を供給する作業機。
【請求項2】
前記スプールが、前記載置面から突出して配設されており、
前記スプールが押されることで、当該スプールに対応する開口に負圧が供給される請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記スプールが、弾性体の弾性力により前記載置面から突出する請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記弾性体の弾性力が、当該スプールに対応する開口に負圧が供給され前記載置面に載置された部品を吸引する吸引力より弱い請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が載置される複数の載置面と、それら複数の載置面の各々に開口する負圧流路とを備える作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、負圧を利用して部品を吸引する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-311807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、部品が載置される複数の載置面と、それら複数の載置面の各々に開口する負圧流路とを備える作業機において、載置面に載置された部品を負圧により好適に吸引することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、部品が載置される複数の載置面が形成されたキャリアを下面側から吸引する吸引装置と、負圧により前記部品を保持して、保持した部品を前記載置面に載置する吸着ノズルと、前記吸着ノズルに負圧を供給する負圧源とを備える作業機であって、前記吸引装置が、前記吸引装置に載置された前記キャリアの前記複数の載置面の各々に開口し、載置された部品を吸引するための負圧流路と、前記負圧流路の前記複数の載置面の各々への開口に対応して配設されるスプールとを備え、前記スプールが押されることで、当該スプールに対応する開口に負圧が供給され、前記負圧源が、前記吸着ノズルだけでなく、前記負圧流路にも負圧を供給する作業機を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示では、負圧流路の複数の載置面の各々への開口に対応して、スプールが配設されており、スプールが押されることで、当該スプールに対応する開口に負圧が供給される。これにより、例えば、複数の載置面のうちの任意の載置面の開口に負圧を供給することが可能となり、負圧が供給された開口の載置面において部品を好適に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電子部品装着機を示す斜視図である。
図2】キャリアを示す斜視図である。
図3】吸着ノズルを示す断面図である。
図4】制御装置を示すブロック図である。
図5】部品カバーが載置された状態のキャリアを示す斜視図である。
図6】電気部品が載置された状態のキャリアを示す斜視図である。
図7】従来の吸引装置を示す図である。
図8】本発明の吸引装置を示す図である。
図9】本発明の吸引装置を示す図である。
図10】電気部品及び部品カバーが載置された状態のキャリアを示す斜視図である。
図11】変形例の吸引装置を示す図である。
図12】変形例の吸引装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく
説明する。
【0009】
図1に、本発明の実施例の電子部品装着機10を示す。電子部品装着機10は、キャリアへの電気部品の装着作業を実行するための装置である。電子部品装着機10は、搬送装置20と、移動装置(図4参照)22と、装着ヘッド24と、供給装置26と、パーツカメラ28と、マークカメラ(図4参照)30と、ノズルステーション32と、カバー載置台34と、制御装置(図4参照)36とを備えている。
【0010】
搬送装置20は、1対のコンベアベルト50と、コンベアベルト50を周回させる電磁モータ(図4参照)52とを有している。1対のコンベアベルト50は、ベース53のY軸方向での略中央部において、X軸方向に延びるように配設されている。そして、それら1対のコンベアベルト50によって、キャリア54が支持され、電磁モータ52の駆動により、X軸方向に搬送される。また、搬送装置20は、クランプ装置(図4参照)55を有している。クランプ装置55は、コンベアベルト50によって支持されたキャリア54を、所定の作業位置(図1でのキャリア54が図示されている位置)において固定的に保持する。さらに、搬送装置20は、吸引装置56を有している。吸引装置56は、1対のコンベアベルト50の間に配設されており、吸引装置56の吸引ポンプ(図4参照)57の作動によりエアが吸引されることで、クランプ装置55により保持されたキャリア54の下面側から、キャリア54に載置された電気部品を吸引する。
【0011】
詳しくは、キャリア54は、図2に示すように、概して矩形の平板形状とされており、キャリア54には、電気部品(図6参照)58を載置するための部品載置部60が複数個、形成されている。また、それら複数の部品載置部60の各々に上下方向に貫通する複数の貫通孔62が形成されている。そして、キャリア54がクランプ装置55により保持された位置において、それら複数の貫通孔62の各々に、キャリア54の下面側から、吸引装置56が連通する。これにより、吸引装置56の吸引ポンプ57が作動することで、キャリア54の貫通孔62に負圧が供給され、キャリア54に載置された電気部品58が、キャリア54の下面側から吸引される。また、キャリア54には、複数の部品載置部60の各々を挟むように、複数の磁石66が、キャリア54の上面に埋設されている。これにより、後に詳しく説明する部品カバー(図1参照)67がキャリア54に磁石66により固着する。
【0012】
移動装置22は、装着ヘッド24が取り付けられるスライダ(図示省略)と、X軸方向スライド機構(図示省略)と、Y軸方向スライド機構(図示省略)とを有している。X軸方向スライド機構は、電磁モータ(図4参照)68の作動によりスライダをX軸方向に移動させ、Y軸方向スライド機構は、電磁モータ(図4参照)69の作動によりスライダをY軸方向に移動させる。これにより、装着ヘッド24は、移動装置22によってベース53上の任意の位置に移動する。
【0013】
装着ヘッド24は、電気部品58を装着するものであり、下端面に設けられた吸着ノズル70を有している。吸着ノズル70は、本出願人が本願より先に出願した特願2016―552779に記載されているため簡単に説明すると、図3に示すように、概して円筒状のハウジング72の下端部において、吸着パッド74が上下方向に移動可能に保持されている。その吸着パッド74は、弾性変形可能な素材により形成されており、その吸着パッド74の下端はラッパ状とされている。また、吸着パッド74の内部は空洞とされており、その吸着パッド74の空洞とされた内部がエア通路76を介して、吸引装置56の吸引ポンプ57に通じている。そして、吸引ポンプ57の作動により負圧がエア通路76に供給されることで、吸着パッド74によって電気部品58が吸着保持される。つまり、吸着ノズル70の部品の吸着保持に用いられる負圧源と、キャリア54での部品の吸引に用いられる負圧源とが共有されており、その負圧源として、吸引ポンプ57が用いられてい
る。また、エア通路76への負圧の供給により吸着パッド74が上方に向かって移動する。この際、吸着パッド74の外縁部が、ハウジング72に下端部においてサポートされる。これにより、電気部品58を吸着保持する際の吸着パッド74の弾性変形が抑制され、吸着パッド74による電気部品58の吸着保持が担保される。そして、エア通路76に僅かな正圧が供給されることで、吸着パッド74による保持が解除され、電気部品58が離脱する。また、装着ヘッド24は、吸着ノズル70を昇降させるノズル昇降装置(図4参照)80を有しており、ノズル昇降装置80によって、装着ヘッド24は、保持する電気部品58の上下方向の位置を変更する。なお、吸着ノズル70は、装着ヘッド24に作業者が工具を用いることなくワンタッチで着脱可能に位置決めして装着されており、異なる種類の吸着ノズルに交換することが可能とされている。
【0014】
また、供給装置26は、図1に示すように、Y軸方向での端部に配設されており、トレイ82に載置された状態の電気部品58を供給する装置である。供給装置26は、トレイ収納庫(図示省略)と、トレイ移動装置84とを有している。トレイ収納庫には、複数のトレイ82が収納されている。そして、トレイ収納庫に収納されているトレイ82がトレイ移動装置84の作動により、部品供給位置(図1でのトレイ82が図示されている位置)まで引き出され、その部品供給位置においてトレイ82から部品が装着ヘッド24に供給される。
【0015】
パーツカメラ28は、ベース53に上を向いた状態で供給装置26の隣に配設されている。これにより、装着ヘッド24をパーツカメラ28の上方に移動させることで、パーツカメラ28は、吸着ノズル70に保持された電気部品58を撮像することが可能である。また、マークカメラ30は、移動装置22の装着ヘッド24が取り付けられるスライダに下を向いた状態で固定されており、移動装置22の作動により任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ30は、ベース53上の任意の位置を撮像することが可能である。
【0016】
ノズルステーション32は、供給装置26のパーツカメラ28と反対側の隣に配設されており、ノズルトレイ88を有している。ノズルトレイ88には、ノズル径の異なる複数種類の吸着ノズルが収容されている。そして、ノズルステーション32では、装着ヘッド24に装着されている吸着ノズルと、ノズルトレイ88に収容されている吸着ノズルとの交換が、自動で行われる。
【0017】
カバー載置台34は、搬送装置20を挟んで、供給装置26と対向するように配設されている。カバー載置台34は、平板形状とされており、その上面は、3枚分の部品カバー67を重ねることなく載置することが可能なスペースとされている。
【0018】
また、制御装置36は、図4に示すように、コントローラ100と、複数の駆動回路102を備えている。複数の駆動回路102は、上記電磁モータ52,68,69、クランプ装置55、吸引ポンプ57、ノズル昇降装置80、トレイ移動装置84に接続されている。コントローラ100は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路102に接続されている。これにより、搬送装置20、移動装置22等の作動が、コントローラ100によって制御される。また、コントローラ100は、画像処理装置104にも接続されている。画像処理装置104は、パーツカメラ28およびマークカメラ30により撮像された撮像データを処理するための装置である。これにより、コントローラ100は、撮像データから各種情報を取得する。
【0019】
電子部品装着機10では、上述した構成によって、電気部品58が装着されていないキャリア54が部品カバー67を載せた状態で搬入される。そして、電子部品装着機10において、部品カバー67が外され、その部品カバー67が外されたキャリア54の上に、
電気部品58が装着される。その後に、電気部品58の装着作業が完了すると、電気部品58が装着されたキャリア54の上に部品カバー67が載せられ、そのキャリア54が搬出される。
【0020】
具体的には、図1に示すように、部品カバー67は、概して正方形の平板とされており、部品カバー67の1辺の長さ寸法が、キャリア54の短辺の長さ寸法より僅かに短くされている。また、キャリア54の長辺の長さ寸法は、部品カバー67の1辺の長さ寸法の3倍より僅かに長くされている。これにより、キャリア54の上面に、キャリア54の長手方向に並んで、3枚の部品カバー67を載せることができる。また、部品カバー67には、2×2の配列で4個の正方形の露出孔108が形成されている。露出孔108は、キャリア54への装着予定の電気部品58より僅かに小さくされている。そして、電気部品58が装着されていないキャリア54の上に、露出孔108を介して、部品載置部60が露出するように、3枚の部品カバー67が載せられている。なお、部品カバー67は、鉄などの磁性体により成形されており、キャリア54の上面に埋設された磁石66により固着されている。
【0021】
このように、電気部品58が装着されていないキャリア54の上に3枚の部品カバー67が載せられており、その状態のキャリア54が、電子部品装着機10に搬入される。なお、図1に示すキャリア54には、部品載置部60が12個形成されており、3枚の部品カバー67を載せることが可能とされており、図2に示すキャリア54には、部品載置部60が8個形成されており、2枚の部品カバー67を載せることが可能とされている。そこで、8個の部品載置部60が形成されたキャリア54に、2枚の部品カバー67を載置した状態のキャリア54を、図5に示す。そして、キャリア54が電子部品装着機10に搬入されると、コントローラ100の指令により、キャリア54が作業位置まで搬送され、その位置において、キャリア54が、クランプ装置55によって固定的に保持される。この際、キャリア54に形成されている貫通孔62と吸引装置56とが連通し、吸引ポンプ57の作動により貫通孔62からエアが吸引される。また、装着ヘッド24が、コントローラ100の指令により、キャリア54の上方に移動し、キャリア54の上に載せられている部品カバー67が、ノズル昇降装置80によって下降した吸着ノズル70によって吸着保持される。続いて、吸着ノズル70により保持された部品カバー67が、ノズル昇降装置80および移動装置22の作動により、キャリア54の上からカバー載置台34の上に移載される。
【0022】
そして、キャリア54の上から3枚の部品カバー67がカバー載置台34の上に移載されると、マークカメラ30が、コントローラ100の指令により、部品カバー67の取り除かれたキャリア54の上方に移動し、キャリア54を撮像する。これにより、コントローラ100において撮像データが分析され、キャリア54の保持位置等に関する情報が得られる。また、供給装置26では、コントローラ100の指令により、電気部品58が載置されたトレイが、トレイ移動装置84の作動により、部品供給位置に引き出される。
【0023】
そして、装着ヘッド24が、コントローラ100の指令により、トレイ82の上方に移動し、吸着ノズル70によって電気部品58を吸着保持する。なお、吸着ノズル70によって部品カバー67が保持され、キャリア54の上からカバー載置台34の上に移載された後に、装着ヘッド24に装着されている吸着ノズル70は交換されることなく、電気部品58を保持する。つまり、装着ヘッド24に装着された同一の吸着ノズル70によって、電気部品58と部品カバー67との各々が保持される。
【0024】
続いて、装着ヘッド24は、コントローラ100の指令により、パーツカメラ28の上方に移動し、パーツカメラ28によって、吸着ノズル70に保持された電気部品58が撮像される。これにより、コントローラ100において撮像データが分析され、部品の保持
姿勢や保持位置等に関する情報が得られる。そして、装着ヘッド24が、コントローラ100の指令により、キャリア54の上方に移動し、保持している電気部品58を、キャリア54の保持位置,電気部品58の保持姿勢等を補正し、図6に示すように、キャリア54の部品載置部60に装着する。この際、部品載置部60では、貫通孔62からエアが吸引されているため、部品載置部60に装着された電気部品58がエアの吸引により固定され、位置ズレが防止される。
【0025】
ただし、キャリア54には、複数の部品載置部60が設けられており、それら複数の部品載置部60の各々にエアを吸引するための貫通孔62が形成されている。このため、複数の部品載置部60の各々に形成されている貫通孔62と、吸引装置56の吸引ポンプ57とが単に負圧流路により繋げられるだけでは、貫通孔62から負圧がリークする。つまり、例えば、従来の吸引装置110では、図7に示すように、負圧流路112が形成されており、その負圧流路112は、吸引ポンプ57に連結されるメイン流路114と、メイン流路114から枝分かれする複数のサブ流路116とにより構成されている。そして、それら複数のサブ流路116は、クランプ装置55により保持されたキャリア54が密着する吸引装置110の上面に開口している。また、それら複数のサブ流路116は、吸引装置110の上面に密着するキャリア54の複数の貫通孔62と対応する位置に開口している。これにより、キャリア54がクランプ装置55により保持されることで、キャリア54の複数の部品載置部60に形成された貫通孔62と、複数のサブ流路116とが連通する。なお、図7に示す吸引装置110では、3個の部品載置部60a,60b,60cに形成された貫通孔62と、3本のサブ流路116a,116b,116cとが連通する。
【0026】
このような構造により、吸引装置110では、吸引ポンプ57が作動することで、負圧流路112からエアが吸引され、キャリア54の複数の部品載置部60に形成された複数の貫通孔62に負圧が供給される。これにより、部品載置部60に載置された電気部品58が貫通孔62からの負圧により吸引される。しかしながら、全ての部品載置部60に電気部品58が載置されていない状態では、電気部品58が載置されていない部品載置部60の貫通孔62から負圧がリークする。具体的には、全ての部品載置部60のうちの一部の部品載置部60にのみ、例えば、図7に示すように、部品載置部60aにのみ、電気部品58が載置されている状態では、電気部品58が載置されていない部品載置部60b,60cの貫通孔62から負圧がリークする。つまり、全ての部品載置部60に電気部品58が載置されない限り、電気部品58が載置されていないキャリア54の貫通孔62から負圧がリークする。このように、負圧がリークすれば、当然、負圧による電気部品58の吸引力は低下し、部品載置部60に載置された電気部品58の位置ズレが生じる虞がある。また、吸引ポンプ57は、上述したように、キャリア54での部品の吸引に用いられる負圧源として用いられるだけでなく、吸着ノズル70の部品の吸着保持に用いられる負圧源としても用いられている。このため、キャリア54の貫通孔62から負圧がリークすれば、吸着ノズル70による部品の吸着保持を適切に行えない虞もある。
【0027】
このようなことを鑑みれば、例えば、キャリア54での部品の吸引用の負圧源と、吸着ノズル70の部品の吸着保持用の負圧源とを個別に配設することが考えられる。しかしながら、キャリア54での部品の吸引用の負圧源と、吸着ノズル70の部品の吸着保持用の負圧源とを個別に配設することは、コスト面,配設スペース等を考慮すれば好ましくない。また、キャリア54での部品の吸引用の負圧源と、吸着ノズル70の部品の吸着保持用の負圧源とを個別に配設した場合であっても、キャリア54の貫通孔62から負圧のリークは防げないため、部品載置部60に載置された電気部品58の吸引力の低下は免れない。このため、部品載置部60に載置された電気部品58の吸引力を上げるために、例えば、負圧のリークを見越した大容量の吸引ポンプを採用したり、吸引ポンプ等の負圧源と負圧流路112とを繋ぐホースの内径を大きくしたり、有効断面積の大きなバルブを用いる
ことが考えられるが、コスト面等を考慮すれば好ましくない。さらに言えば、複数のサブ流路116の各々に電磁弁を配設すれば、キャリア54の貫通孔62から負圧のリークを防ぐことができるが、コスト面,配設スペース等を考慮すれば好ましくない。
【0028】
そこで、電子部品装着機10で採用されている吸引装置56では、キャリア54の複数の部品載置部60の貫通孔62に連通する複数のサブ流路の各々にスプールが配設されており、スプールにより貫通孔62からの負圧のリークが防止されている。具体的には、図8に示すように、吸引装置56には、負圧流路120が形成されており、その負圧流路120は、吸引ポンプ57に連結されるメイン流路122と、メイン流路122から枝分かれする複数のサブ流路124とにより構成されている。そして、それら複数のサブ流路124は、クランプ装置55により保持されたキャリア54が密着する吸引装置56の上面に開口している。また、それら複数のサブ流路124は、吸引装置56の上面に密着するキャリア54の複数の貫通孔62と対応する位置に開口している。これにより、キャリア54がクランプ装置55により保持されることで、キャリア54の複数の部品載置部60に形成された貫通孔62と、複数のサブ流路124とが連通する。
【0029】
また、複数のサブ流路124が開口する吸引装置56の上面には、それら複数のサブ流路124に対応して複数の凹部128が形成されている。それら複数の凹部128の各々は、吸引装置56の上面から概して鉛直方向に円柱形状に凹んでおり、それら複数の凹部128の各々を、対応するサブ流路124が直行する状態で通り抜けている。つまり、複数のサブ流路124の各々には、吸引装置56の上面と概して平行となるクランク部130が形成されており、クランク部130が形成されているサブ流路124に対応する凹部128が、そのクランク部130を鉛直方向に横断している。
【0030】
そして、その凹部128に、凹部128の内径より僅かに小さな外径のスプール132が嵌合している。また、スプール132の長さ寸法は、凹部128の深さ寸法より短くされているが、凹部128の底面とスプール132の下面との間にコイルスプリング134が配設されている。このため、スプール132の上端部が、コイルスプリング134の弾性力により吸引装置56の上面から突出している。また、キャリア54の複数の部品載置部60の各々には、凹部128の内径より僅かに大きな内径の挿通孔136が形成されており、キャリア54がクランプ装置55により保持されることで、つまり、キャリア54が吸引装置56の上面に密着することで、凹部128と挿通孔136とが連通する。これにより、吸引装置56の上面に密着したキャリア54では、複数の部品載置部60の各々に形成された挿通孔136から、スプール132の上端部が突出している。
【0031】
また、スプール132には、長さ方向における中央部の外周面に、周方向の全域に渡って円環形状に凹む円環溝138が形成されている。このため、スプール132の長さ方向のおける中央部に形成されている円環溝138の部分において、長さ方向の両端部より外径の小さい小径部とされている。つまり、スプール132は、長さ方向における両端部に位置する1対の大径部140と、それら1対の大径部140の間に形成された円環溝138とにより構成されるダンベル形状とされている。
【0032】
また、スプール132の円環溝138は、凹部128に嵌合されたスプール132がコイルスプリング134の弾性力により上方に向って付勢されている状態、つまり、スプール132の上端部がキャリア54の挿通孔136から突出している状態において、サブ流路124のクランク部130の上方に位置する。つまり、スプール132が嵌合されている凹部128を通り抜けるサブ流路124のクランク部130の上方に、その凹部に嵌合されているスプール132の円環溝138が位置する。このため、スプール132の上端部がキャリア54の挿通孔136から突出している状態において、サブ流路124のクランク部130は、凹部128に嵌合されているスプール132の大径部140により遮断
されている。
【0033】
そして、キャリア54の挿通孔136から突出しているスプール132の上端部が、コイルスプリング134の弾性力に抗して下方に押し込まれることで、スプール132の円環溝138が、サブ流路124のクランク部130と交差する位置まで下降する。つまり、スプール132が嵌合されている凹部128を通り抜けるサブ流路124のクランク部130と、その凹部に嵌合されているスプール132の円環溝138とが対向する。このため、キャリア54の挿通孔136から突出しているスプール132の上端部が、コイルスプリング134の弾性力に抗して下方に押し込まれることで、凹部128を通り抜けるサブ流路124のクランク部130が、凹部128に嵌合されているスプール132の円環溝138を介して連通する。
【0034】
このような構造により、吸引装置56では、電気部品58が載置されていない部品載置部60において、貫通孔62からの負圧のリークが防止され、電気部品58が載置されている部品載置部60において、貫通孔62に負圧が供給されて貫通孔62からエアが吸引されることで、載置された電気部品58のズレが防止される。具体的には、図8に示すように、吸引装置56の上面にキャリア54が密着している状態において、キャリア54の複数の部品載置部60の各々に、負圧流路120のサブ流路124に連通する貫通孔62が開口しており、各貫通孔62の開口に対応して、サブ流路124のクランク部130にスプール132が配設されている。なお、図8では、キャリア54の3個の部品載置部60a~cに、負圧流路120のサブ流路124a~cに連通する貫通孔62a~cが開口している。そして、貫通孔62aの開口に対応して、サブ流路124aのクランク部130にスプール132aが配設され、貫通孔62bの開口に対応して、サブ流路124bのクランク部130にスプール132bが配設され、貫通孔62cの開口に対応して、サブ流路124cのクランク部130にスプール132cが配設されている。
【0035】
そして、電気部品58が載置されていない部品載置部60a~cでは、その部品載置部60a~cの貫通孔62a~cの開口に対応するスプール132a~cの上端部が挿通孔136から突出しており、貫通孔62a~cに連通するサブ流路124a~cが、クランク部130においてスプール132a~cの大径部140により遮断されている。このため、電気部品58が載置されていない部品載置部60a~cの全てにおいて、負圧がサブ流路124a~cのクランク部130において遮断されるため、貫通孔62a~cに負圧が供給されず、貫通孔62a~cからの負圧のリークが防止される。
【0036】
そして、図9に示すように、複数の部品載置部60a~cのうちの部品載置部60aに電気部品58が載置されると、その部品載置部60aの挿通孔136から突出しているスプール132aが、電気部品58により、コイルスプリング134の弾性力に抗して凹部128の内部に押し込まれる。なお、電気部品58が部品載置部60aに載置される際には、電気部品58が部品載置部60aの上面に密着するまで、吸着ノズル70が下降する。これにより、部品載置部60aの貫通孔62aの開口が、電気部品58により密閉される。この際、部品載置部60aへの電気部品58の載置によりスプール132aが凹部128に押し込まれることで、スプール132aの円環溝138が、サブ流路124aのクランク部130と交差する位置まで下降する。このため、サブ流路124aのクランク部130がスプール132aの円環溝138を介して連通し、貫通孔62aに負圧が供給される。これにより、貫通孔62aからエアが吸引されることで、部品載置部60aに載置された電気部品58の位置ズレが防止される。なお、コイルスプリング134の弾性力は、部品載置部60に載置された電気部品58を吸引する吸引力より弱くされている。なお、部品載置部60に載置された電気部品58を吸引する吸引力は、吸引ポンプ57の性能,負圧流路120の内径,負圧流路120の容積,貫通孔62の内径等によって決まる。このように、コイルスプリング134の弾性力が、部品載置部60に載置された電気部品
58を吸引する吸引力より弱くされることで、吸着ノズル70による電気部品58の保持が解除されても、部品載置部60に載置された電気部品58の浮き上がりを防止することができる。つまり、貫通孔62からのエアの吸引力により、電気部品58のコイルスプリング134の弾性力による浮き上がりを防止することができる。なお、電気部品58が載置された部品載置部60の貫通孔62に負圧が充分に供給されるまで、吸着ノズル70による電気部品58の保持が維持されることが好ましい。つまり、吸着ノズル70により保持された電気部品58が部品載置部60に載置され、スプール132の下降により貫通孔62に負圧が供給されたタイミングで、吸着ノズル70による電気部品58の保持を解除せずに、そのタイミングより少し遅いタイミングで、吸着ノズル70による電気部品58の保持を解除することが好ましい。
【0037】
また、図9に示すように、複数の部品載置部60a~cのうちの部品載置部60aにのみ電気部品58が載置されている場合に、電気部品58が載置されていない部品載置部60b,60cでは、貫通孔62b,60cへの負圧の供給がスプール132b,132cにより遮断されている。これにより、電気部品58が載置されている部品載置部60aの貫通孔62aにのみ負圧が供給されることで、その部品載置部60aでの電気部品58の位置ズレを防止するとともに、電気部品58が載置されていない部品載置部60b,60cの貫通孔62b,62cからの負圧のリークを防止することが可能となる。また、キャリア54での負圧のリークを防止することで、吸着ノズル70による部品の吸着保持を適切に担保することが可能となる。つまり、電子部品装着機10では、負圧源の増設,各サブ流路124への電磁弁の配設などを行うことなく、各サブ流路124にスプール132を配設するだけで、キャリア54での負圧のリークを防止するとともに、吸着ノズル70による部品の吸着保持を適切に担保することが可能とされている。
【0038】
そして、上述した手順により、キャリア54の部品載置部60に電気部品58が装着されると、カバー載置台34の上に移載された部品カバー67がキャリア54の上に戻される。つまり、装着ヘッド24が、コントローラ100の指令により、カバー載置台34の上方に移動し、カバー載置台34の上に載せられている部品カバー67が、吸着ノズル70によって吸着保持される。続いて、吸着ノズル70により保持された部品カバー67が、移動装置22の作動により、カバー載置台34の上からキャリアの上に移載される。この際、電気部品58が装着されたキャリア54の上に、外周の一部が覆われるものの、露出孔108を介して、電気部品58が露出するように、部品カバー67が載せられる(図10参照)。これにより、部品カバー67が磁石66によりキャリア54に固着され、キャリア54に装着された電気部品58の外縁部が部品カバー67の露出孔108を区画する縁部により押えられる。このように、電子部品装着機10では、部品カバー67が、キャリア54の上から、一端、取り外された後に、キャリア54の上に電気部品58が装着され、再度、キャリア54の上に部品カバー67が装着される。つまり、部品カバー67は、キャリア54に対して着脱され、電気部品58は、キャリア54に対して装着される。
【0039】
そして、3枚の部品カバー67がカバー載置台34の上からキャリア54の上に戻されると、吸引装置56の作動が停止し、電気部品58の吸引が解除される。続いて、クランプ装置55によるキャリア54のクランプが解除され、キャリア54が電子部品装着機10から搬出される。この際、キャリア54の上面から僅かに突出した状態で装着された電気部品58が部品カバー67により押えられているため、キャリア54の搬出時における電気部品58の吸引が解除されている状態においても、キャリア54の搬出時における電気部品58の位置ズレが防止される。
【0040】
なお、電子部品装着機10から搬出されたキャリア54は、例えば、電子部品装着機10の下流側にある異なる電子部品装着機に搬入され、キャリア54の上に載せられている
部品カバー67の露出孔108を介して、図10に示すように、電気部品58の上に、何らか別の電気部品150が装着される。これにより、電気部品58を含む製品が製造される。ちなみに、部品カバー67は、キャリア54の搬送時における電気部品58の位置ズレ、あるいは電気部品58に別の電気部品150を装着する際に電気部品58にかかる力によって発生する装着ズレを防止するものであり、キャリアと導通する場合はあるものの、電気回路を構成するものでない。このため、電気部品58を含む電気回路を構成する製品の製造が完了した後に、部品カバー67は、キャリア54の上から取り除かれる。また、キャリア54は、電気回路を構成する製品を製造する上で、電気部品58を搬送するために用いられるものであり、電気部品58を含む製品が製造されると、その製品はキャリア54から取り外される。このため、電気部品58は、単体、若しくは、電気部品58に装着される別の電気部品150とともに電気回路を構成する。
【0041】
ちなみに、上記実施例において、電子部品装着機10は、作業機の一例である。電気部品58は、部品の一例である。部品載置部60は、載置面の一例である。負圧流路120は、負圧流路の一例である。スプール132は、スプールの一例である。コイルスプリング134は、弾性体の一例である。
【0042】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、部品載置部60に突出するスプール132は、その部品載置部60に開口する貫通孔62に対応して配設されている。つまり、図8に示すように、部品載置部60aに突出するスプール132aは、その部品載置部60aに開口する貫通孔62aに対応して配設されている。一方で、部品載置部60に突出するスプール132が、その部品載置部60と異なる部品載置部60に開口する貫通孔62に対応して配設されてもよい。
【0043】
具体的には、例えば、図11に示す吸引装置200では、負圧流路210が形成されており、負圧流路210は、吸引ポンプ57に連通するメイン流路212と、そのメイン流路212から枝分かれする4本のサブ流路214a~dにより構成されている。そして、それら4本のサブ流路214a~dは、吸引装置200の上面に開口し、その吸引装置200の上面に密着するキャリア54の4個の部品載置部60a~dに形成された4個の貫通孔62a~dに連通している。そして、それら4本のサブ流路214a~dのうちの3本のサブ流路214b~dに3個のスプール220b~dが配設されている。つまり、キャリア54の3個の部品載置部60b~dに形成された3個の貫通孔62b~dに対応して、3個のスプール220b~dが3本のサブ流路214b~dに配設されているが、部品載置部60aに形成された貫通孔62aに対応してスプール220は配設されていない。そして、3個のスプール220b~dは、3個の部品載置部60a~cに突出している。つまり、部品載置部60aに突出するスプール220bが、部品載置部60bに開口する貫通孔62bに対応して配設され、部品載置部60bに突出するスプール220cが、部品載置部60cに開口する貫通孔62cに対応して配設され、部品載置部60cに突出するスプール220dが、部品載置部60dに開口する貫通孔62dに対応して配設されている。
【0044】
このような構造により、吸着ノズル70により保持された電気部品58が、図12に示すように、部品載置部60aに載置されると、サブ流路214aには、スプール220が配設されておらず、そのサブ流路214aに連通する貫通孔62aに負圧が供給されているため、貫通孔62aから吸引されるエアにより、部品載置部60aに載置された電気部品58の位置ズレが防止される。この際、部品載置部60aに載置された電気部品58により、部品載置部60aに突出するスプール220bが押し込まれることで、サブ流路214bが連通し、部品載置部60aの隣の部品載置部60bの貫通孔62bに負圧が供給される。このため、部品載置部60aに電気部品58が載置された後に、部品載置部60
bに電気部品58が載置されると、貫通孔62bから吸引されるエアにより、部品載置部60bに載置された電気部品58の位置ズレが防止される。この際、部品載置部60bに載置された電気部品58により、部品載置部60bに突出するスプール220cが押し込まれることで、サブ流路214cが連通し、部品載置部60bの隣の部品載置部60cの貫通孔62cに負圧が供給される。つまり、吸引装置200では、部品載置部60に電気部品58が載置されると、その電気部品58が載置された部品載置部60の隣の部品載置部60の貫通孔62に負圧が供給される。そして、負圧が供給された貫通孔62の部品載置部60に電気部品58が載置されることで、その電気部品58の位置ズレが防止される。また、電気部品58が載置されている部品載置部60および、電気部品58が載置されている部品載置部60の隣の部品載置部60を除く部品載置部60では、貫通孔62に負圧が供給されず、貫通孔62からの負圧のリークが防止される。これにより、吸引装置200においても、吸引装置56と同様の効果を奏することができる。また、吸引装置200では、電気部品58が載置された部品載置部60の隣の部品載置部60では、つまり、図12に示すように、電気部品58が載置された部品載置部60aの隣の部品載置部60bでは、部品載置部60bに部品が載置される前から、貫通孔62bに負圧が供給されている。このため、部品載置部60bに電気部品58が載置されたタイミングで、貫通孔62bには充分に負圧が供給されており、電気部品58は十分な吸引力により吸引される。これにより、吸着ノズル70により保持された電気部品58が部品載置部60bに載置されたタイミングで、吸着ノズル70による電気部品58の保持を解除することが可能となり、部品の装着時間に要する時間を短縮することが可能となる。
【0045】
また、上記実施例では、スプール132が凹部128から突出した状態で配設されているが、凹部の内部に埋没した状態で配設されてもよい。ただし、スプールが凹部の内部に埋没した状態で配設される場合には、凹部に埋没したスプールに係合可能な部材を配設し、その部材を押すことで、スプールを凹部の内部で移動させる必要がある。
【0046】
また、上記実施例では、スプール132が部品載置部60に突出しているが、部品載置部60と異なる位置にスプール132が突出していてもよい。ただし、部品載置部60と異なる位置にスプール132が突出している場合には、部品載置部60に載置される電気部品58以外の部材によりスプール132を押す必要がある。例えば、装着ヘッド24にアームなどを配設し、装着ヘッド24の下降に伴って、アームがスプール132を押すように構成する必要がある。
【0047】
また、上記実施例では、スプール132が上方から下方に向って押し込まれているが、左右方向,揺動方向,回転方向など種々の方向にスプール132が押し込まれてもよい。
【0048】
また、電気部品58が載置される部品載置部60は、平面である必要はなく、部品載置部60に載置される部品の形状に応じた形状の載置面を有していてもよい。つまり、部品載置部60が載置される部品が湾曲面,段差面等を有していれば、部品載置部60は、湾曲した形状の載置面,段差形状の載置面等を有していてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、凹部128に配設されるスプール132がダンベル形状とされているが、種々の形状のスプールを採用することが可能である。例えば、外周面に溝が形成されていないスプール、つまり、円柱形状のスプールを採用することが可能である。このように円柱形状のスプールが採用される場合には、スプールが押されていない状態において、凹部の内部においてサブ流路と対向し、スプールが押された状態において、凹部の内部においてサブ流路と対向しない位置に移動すればよい。つまり、スプールは形状に限定されず、スプールが押されていない状態において、凹部の内部においてサブ流路と対向し、スプールが押された状態において、凹部の内部においてサブ流路と対向しない位置に移動するものであればよい。
【0050】
また、上記実施例では、スプール132を部品載置部60に突出させるための弾性体として、コイルスプリング134が採用されているが、捩りばね,ゴム等、弾性力を発揮するものであれば、種々の弾性体を採用することが可能である。また、スプール132を突出させるための弾性体の弾性力は、負圧による電気部品の吸引力より弱ければよいが、スプール132を部品載置部60に突出させるための力、つまり、スプールの重量より強くする必要がある。また、弾性体の弾性力を、部品載置部60に部品が載置された際に弾性体に係る荷重、つまり、部品とスプールとの重量より弱くすれば、吸着ノズル70により部品を部品載置部60に押し付けなくても、部品とスプールとの重量よりスプールを凹部の内部に押し込むことができる。
【0051】
また、吸引装置56の負圧流路120は、メイン流路と複数のサブ流路とにより構成されているが、複数のサブ流路のみにより構成されてもよい。このように、負圧流路が複数のサブ流路のみにより構成される場合には、それら複数のサブ流路が吸引ポンプ57に連結される。また、吸引装置56では、1台の吸引ポンプ57が採用されているが、複数台の吸引ポンプが採用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10:電子部品装着機(作業機) 58:電気部品(部品) 60:部品載置部(載置面) 120:負圧流路 132:スプール 134:コイルスプリング(弾性体) 210:負圧流路 220:スプール
図1
図2
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図12