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特許7488717ジアザフタリド二量体化合物およびこれを用いた記録材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ジアザフタリド二量体化合物およびこれを用いた記録材料
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/26 20060101AFI20240515BHJP
   B41M 5/327 20060101ALI20240515BHJP
   C09K 9/02 20060101ALI20240515BHJP
   B41M 5/145 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C09B11/26 G CSP
B41M5/327 210
C09K9/02 C
B41M5/145 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020135439
(22)【出願日】2020-08-08
(65)【公開番号】P2022031592
(43)【公開日】2022-02-21
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000179904
【氏名又は名称】山本化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085202
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 博
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 洋二郎
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 洋
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131910(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02207687(GB,A)
【文献】特開昭63-092488(JP,A)
【文献】特開平11-227335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるジアザフタリド二量体化合物
(式(1)中、 ~R は炭素数1~4のアルキル基;R ~R はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~4のアルキル基;R はそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基;Aは炭素数1~4の置換また無置換のアルキレン基を表す。
【請求項2】
Aがメチレン基である請求項1記載のジアザフタリド二量体化合物。
【請求項3】
電子供与性ロイコ色素と電子受容性顕色剤との反応を利用する記録材料において電子供与性ロイコ色素として請求項1~2のいずれかに記載のジアザフタリド二量体化合物を含有することを特徴とする記録材料。
【請求項4】
記録材料が感熱記録材料である請求項3に記載の記録材料
【請求項5】
記録材料が感圧記録材料である請求項3に記載の記録材料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジアザフタリド二量体化合物、ならびにこれを含有する記録材料に関する。更に詳しくは、シアン色に発色させる電子供与性を有する呈色性化合物、即ちジアザフタリド二量体化合物と電子受容性顕色剤が、サーマルヘッドやレーザーの近赤外線光により発熱する光-熱変換剤により、反応して、画像又はデータを記録する事が出来る記録材料に好適な、ジアザフタリド二量体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全の観点から、リライタブル記録材料技術の進展が著しい。
熱或いは光により可逆的に情報の記録や消去が可能な可逆性記録媒体として、各種プリペイカード、ポイントカード、クレジットカード、ICカード等の普及が進んでおり、更にはディスプレイの分野まで可逆性記録媒体の利用が検討されている。
並行して意匠性の観点からフルカラー化進んでいる。三原色の中でも鮮明なシアン色に発色、発色前後の耐久性の優れたロイコ色素が求められている。
特許文献1にシアン色に発色するアザフタリド化合物が開示されているが鮮明さという観点から改善が求められている。
特許文献2には本発明と類似する構造を有する鮮明なシアン色に発色するジアザフタリド化合物が開示されている。しかし、発色前後の耐光性が低く、色変化するため、フルカラー感熱記録材料として問題となるため、改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平6-41227号公報
【文献】特開2005-131910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、鮮明なシアン色に発色し、発色前後の色変化の無い高耐光性のジアザフタリド二量体化合物を含有するフルカラー可逆性感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記の課題に関し検討した結果、発色組成物に、特定構造のジアザフタリド二量体化合物を含有させることによりこれが解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(i)一般式(1)で表されるジアザフタリド二量体化合物
【0007】
(式(1)中、R~R、R~Rはそれぞれ独立に
水素原子、
置換又は無置換のアルキル基、
置換または無置換のアラルキル基、
置換又は無置換のアリール基、
はそれぞれ独立に
水素原子、
ハロゲン原子、
置換又は無置換のアルキル基、
置換又は無置換のアリール基、
無置換または置換のアルコキシ基、
置換または無置換のアリールオキシ基、
置換または無置換のアルキルチオ基、
置換または無置換のアリールチオ基、
置換または無置換のアミノ基、
置換または無置換のアルキルカルボニル基、
置換または無置換のアリールカルボニル基を表す。
Aは
酸素原子、
硫黄原子、
置換または無置換のイミノ基、
カルボニル基、
スルホニル基、
置換また無置換のアルキレン基、
置換また無置換のアリーレン基を表し、
とR、は互いに結合して複素環を形成しても良い。
またRとRは互いに結合して脂肪族環、芳香環形成しても良い。)
【0008】
(ii)Aが無置換のアルキレン基である(i)のジアザフタリド二量体化合物、
(iii)電子供与性ロイコ色素と電子受容性顕色剤との反応を利用する記録材料において電子供与性ロイコ色素として(i)~(ii)いずれかに記載のジアザフタリド二量体化合物を含有することを特徴とする記録材料。
(iv)記録材料が感熱記録材料である(iii)に記載の記録材料。
(v) 記録材料が感圧記録材料である(iii)に記載の記録材料。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジアザフタリド二量体化合物は、通常の状態では無色或いはほぼ無色であるが、顕色剤との反応(相互作用)により、鮮明なシアン色に発色し、その発色画像は耐光性が高く、劣化しない。
そのため、フルカラー感熱記録材料のシアン発色材料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
本発明のジアザフタリド二量体化合物は、電子供与性ロイコ色素と電子受容性顕色剤との反応を利用する記録材料において、少なくとも1種を有することを特徴とする。
まず、ジアザフタリド二量体化合物について以下に説明する。
【0011】
[ジアザフタリド化合物]
本発明のジアザフタリド二量体化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0012】
(式(1)中、R~R、R~Rはそれぞれ独立に
水素原子、
置換又は無置換のアルキル基、
置換または無置換のアラルキル基、
置換又は無置換のアリール基、
はそれぞれ独立に
水素原子、
ハロゲン原子、
置換又は無置換のアルキル基、
置換又は無置換のアリール基、
無置換または置換のアルコキシ基、
置換または無置換のアリールオキシ基、
置換または無置換のアルキルチオ基、
置換または無置換のアリールチオ基、
置換または無置換のアミノ基、
置換また無置換のアルキルカルボニル基、
置換または無置換のアリールカルボニル基を表す。
Aは
酸素原子、
硫黄原子、
置換または無置換のイミノ基、
カルボニル基、
スルホニル基、
置換また無置換のアルキレン基、
置換また無置換のアリ-レン基を表し、
とR、は互いに結合して複素環を形成し、またRとRは互いに結合して脂肪族環、芳香環を形成しても良い。)
~R、R~R
水素原子、
置換又は無置換のアルキル基、
置換または無置換のアラルキル基、
置換又は無置換のアリール基が好ましい。
より好ましくは
水素原子、
炭素数1~20の置換又は無置換のアルキル基、
炭素数7~25の置換または無置換のアラルキル基、
炭素数6~24の置換又は無置換のアリール基が好ましい。
さらに好ましくは、
炭素数1~12の置換又は無置換のアルキル基、
炭素数7~19の置換または無置換のアラルキル基、
炭素数6~24の置換又は無置換のアリール基である。
【0013】
これらの置換基の例を下記にしめす。
無置換アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、2-エチルブチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、n-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基などの直鎖または分岐の無置換アルキル基が挙げられる。
【0014】
置換アルキル基の例としては、
例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基、n-ヘキシルオキシメチル基、(2-エチルブチルオキシ)メチル基、2-(4'-ペンテニルオキシ)エチル基などの、アルキルオキシ基またはアルケニルオキシ基を有するアルキル基、
例えば、ベンジルオキシメチル基、2-(ベンジルオキシメトキシ)エチル基などの、アラルキルオキシ基を有するアルキル基、
例えば、フェニルオキシメチル基、4-クロロフェニルオキシメチル基、4-(2'-フェニルオキシエトキシ)ブチル基などのアリ-ルオキシ基を有するアルキル基、
例えば、n-ブチルチオメチル基、2-n-オクチルチオエチル基などのチオアルキル基を有するアルキル基、
例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パ-フルオロエチル基、4-フルオロシクロヘキシル基、ジクロロメチル基、4-クロロシクロヘキシル基、7-クロロヘプチル基などのハロゲン原子を有するアルキル基が挙げられる。
【0015】
置換または無置換のアラルキル基としては、
例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、フェネチル基、α-メチルフェネチル基、α,α-ジメチルベンジル基、α,α-ジメチルフェネチル基、4-メチルフェネチル基、4-メチルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基などの、無置換またはアルキル基を有するアラルキル基、
例えば、4-ベンジルベンジル基、4-フェネチルベンジル基、4-フェニルベンジル基などのアリ-ル基またはアラルキル基を有するアラルキル基、
例えば、4-メトキシベンジル基、4-n-テトラデシルオキシベンジル基、4-n-ヘプタデシルオキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、4-メトキシメチルベンジル基、4-ビニルオキシメチルベンジル基、4-ベンジルオキシベンジル基、4-フェネチルオキシベンジル基などの置換オキシ基を有するアラルキル基、
例えば、4-ヒドロキシベンジル基、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル基などの水酸基を有するアラルキル基、
例えば、4-フルオロベンジル基、3-クロロベンジル基、3,4-ジクロロベンジル基などのハロゲン原子を有するアラルキル基、
更には、例えば、2-フルフリル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0016】
置換または無置換のアリール基としては、
例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-アントラセニル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、2-ペリレニル基、3-ペリレニル基、2-フルオランテニル基、3-フルオランテニル基、7-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基などの無置換のアリール基、
例えば、1-メチル-2-ピレニル基、2-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-(4'-tert-ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3-シクロヘキシルフェニル基、2-シクロヘキシルフェニル基、4-エチル-1-ナフチル基、6-n-ブチル-2-ナフチル基、2,4-ジメチルフェニル基などのアルキル基を有するアリール基、
例えば、4-メトキシフェニル基、3-エトキシフェニル基、2-エトキシフェニル基、4-n-プロポキシフェニル基、3-n-プロポキシフェニル基、4-イソプロポキシフェニル基、3-イソプロポキシフェニル基、2-イソプロポキシフェニル基、2-sec-ブトキシフェニル基、4-n-ペンチルオキシフェニル基、4-イソペンチルオキシフェニル基、2-メチル-5-メトキシフェニル基、2-フェニルオキシフェニル基などのアルコキシ基またはアリ-ルオキシ基を有するアリール基、
例えば、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、2,6-ジフェニルフェニル基、4-(2'-ナフチル)フェニル基、2-フェニル-1-ナフチル基、1-フェニル-2-ナフチル基、7-フェニル-1-ピレニル基などのアリ-ル基を有するアリール基、
例えば、4-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、2-フルオロフェニル基、4-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-クロロ-5-メチルフェニル基、2-クロロ-6-メチルフェニル基、2-メチル-3-クロロフェニル基、2-メトキシ-4-フルオロフェニル基、2-フルオロ-4-メトキシフェニル基などのハロゲン原子を有するアリール基、
その他、2-トリフルオロメチルフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、4-パ-フルオロエチルフェニル基などのハロゲノアルキル基を有するアリール基、
4-メチルチオフェニル基、4-エチルチオフェニル基などのアルキルチオ基を有するアリール基、
4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基などのシアノ基を有するアリール基などが挙げられる。
【0017】

水素原子、
ハロゲン原子、
置換又は無置換のアルキル基、
置換又は無置換のアリール基、
無置換または置換のアルコキシ基、
置換または無置換のアリールオキシ基、
置換または無置換のアルキルチオ基、
置換または無置換のアリールチオ基、
置換または無置換のアミノ基、
置換また無置換のアルキルカルボニル基、
置換または無置換のアリールカルボニル基が好ましい。
【0018】
ハロゲン原子であるものとしては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0019】
置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基としては、炭素数1~20の置換又は無置換のアルキル基、炭素数6~24の置換又は無置換のアリール基が好ましく、さらに好ましくは、炭素数1~12の置換又は無置換のアルキル基、炭素数6~24の置換又は無置換のアリール基が好ましい。
具体例としては、前記、R~R、R~Rで、挙げた置換又は無置換のアルキル基、および置換又は無置換のアリール基の具体例と同じものが挙げられる。
置換または無置換のアルコキシ基としては、炭素数1~18の置換または無置換のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~8の置換または無置換のアルコキシ基がより好ましい。
【0020】
無置換アルコキシ基の例としては、
例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1,1-ジメチルブチルオキシ基、1,2,2-トリメチルプロピルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、1,3-ジメチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メチルシクロペンチルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、1-アダマンチルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換のアルコキシ基が挙げられる。
【0021】
置換アルコキシ基の例としては、
例えば、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n-プロピルオキシメトキシ基、nーブチルオキシメトキシ基、イソブチルオキシメトキシ基、tert-ブチルオキシメトキシ基、n-ペンチルオキシメトキシ基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-n-プロピルオキシエトキシ基、2-イソプロピルオキシエトキシ基、2-nーブチルオキシエトキシ基、2-イソブチルオキシエトキシ基、2-tert-ブチルオキシエトキシ基、2-sec-ブチルオキシエトキシ基、2-n-ペンチルオキシエトキシ基、2-イソペンチルオキシエトキシ基、2-tert-ペンチルオキシエトキシ基、2-sec-ペンチルオキシエトキシ基、2-シクロペンチルオキシエトキシ基、2-n-ヘキシルオキシエトキシ基、2-(4-エチルシクロヘキシルオキシ)エトキシ基、2-n-ノニルオキシエトキシ基、2-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)エトキシ基、2-n-デシルオキシエトキシ基、2-n-ドデシルオキシエトキシ基、3-メトキシプロピルオキシ基、3-エトキシプロピルオキシ基、3-(n-プロピルオキシ)プロピルオキシ基、2-イソペンチルオキシプロピルオキシ基、2-メトキシブチルオキシ基、4-エトキシブチルオキシ基、4-(n-プロピルオキシ)ブチルオキシ基、4-イソプロピルオキシブチルオキシ基、5-メトキシペンチルオキシ基、5-エトキシメトキシ基、6-n-プロピルヘキシルオキシ基等のアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
例えば、メトキシメトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、プロピルオキシメトキシメトキシ基、ブチルオキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、プロピルオキシエトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、プロピルオキシメトキシエトキシ基、ブチルオキシメトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、ブチルオキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシブチルオキシエトキシ基、メトキシメトキシプロピルオキシ基、エトキシメトキシプロピルオキシ基、ブチルオキシメトキシプロピルオキシ基、メトキシメトキシブチルオキシ基、エトキシメトキシブチルオキシ基、ブチルオキシメトキシブチルオキシ基、エトキシエトキシブチルオキシ基、(4-エチルシクロへキシルオキシ)エトキシエトキシ基、〔4-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)ブチルオキシ〕エトキシ基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
【0022】
例えば、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、n-プロピルオキシカルボニルメトキシ基、イソプロピルオキシカルボニルメトキシ基、(4'-エチルシクロヘキシルオキシ)カルボニルメトキシ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアルコキシ基、メトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基、n-プロピルオキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルプロピルオキシ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアキコキシ基、
例えば、メチルアミノメトキシ基、2-メチルアミノエトキシ基、2-( 2-メチルアミノエトキシ) エトキシ基、4-メチルアミノブチルオキシ基、1-メチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-メチルアミノプロピルオキシ基、2-メチルアミノ-2-メチルプロピルオキシ基、2-エチルアミノエトキシ基、2-( 2-エチルアミノエトキシ)エトキシ基、3-エチルアミノプロピルオキシ基、1-エチルアミノプロピルオキシ基、2-イソプロピルアミノエトキシ基、2-(n-ブチルアミノ)エトキシ基、3-(n-ヘキシルアミノ)プロピルオキシ基、4-(シクロヘキシルアミノ)ブチルオキシ基等のアルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基、
【0023】
例えば、ジメチルアミノメトキシ基、2-ジメチルアミノエトキシ基、2-( 2-ジメチルアミノエトキシ) エトキシ基、4-ジメチルアミノブチルオキシ基、1-ジメチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-ジメチルアミノプロピルオキシ基、2-ジメチルアミノ-2-メチルプロピルオキシ基、2-ジエチルアミノエトキシ基、2-(2-ジエチルアミノエトキシ)エトキシ基、3-ジエチルアミノプロピルオキシ基、1-ジエチルアミノプロピルオキシ基、2-ジイソプロピルアミノエトキシ基、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エトキシ基、2-ピペリジルエトキシ基、3-(ジ-n-ヘキシルアミノ)プロピルオキシ基等のジアルキルアミノ基で置換されたアルコキシ基、
【0024】
例えば、メチルアミノメトキシメトキシ基、メチルアミノエトキシエトキシ基、メチルアミノエトキシプロピルオキシ基、エチルアミノエトキシプロピルオキシ基、4-(2'-イソブチルアミノプロピルオキシ)ブチルオキシ基等のアルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
例えば、ジメチルアミノメトキシメトキシ基、ジメチルアミノエトキシエトキシ基、ジメチルアミノエトキシプロピルオキシ基、ジエチルアミノエトキシプロピルオキシ基、4-(2'-ジイソブチルアミノプロピルオキシ)ブチルオキシ基等のジアルキルアミノアルコキシ基で置換されたアルコキシ基、
例えば、メチルチオメトキシ基、2-メチルチオエトキシ基、2-エチルチオエトキシ基、2-n-プロピルチオエトキシ基、2-イソプロピルチオエトキシ基、2-n-ブチルチオエトキシ基、2-イソブチルチオエトキシ基、(3,5,5-トリメチルヘキシルチオ)ヘキシルオキシ基等のアルキルチオ基で置換されたアルコキシ基、
例えば、2-N-モルホリニルエトキシ基、2-N-ピリジルエトキシ基、2-N-ピロリルエトキシ基、2-(2-フリル)エトキシ基、2-(1-インドリル)エトキシ基、2-(3-チエニル)エトキシ基、3-N-モルホリニルプロピルオキシ基、3-N-ピリジルプロピルオキシ基、3-N-ピロリルプロピルオキシ基、3-(1-インドリル)プロピルオキシ基等の複素環基で置換されたアルコキシ基等が挙げられる。
【0025】
置換または無置換のアリールオキシ基としては、炭素数6~18の置換または無置換のアリールオキシ基が好ましい。
置換または無置換のアリールオキシ基の例としては、
例えば、フェニルオキシ基、2-メチルフェニルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、4-エチルフェニルオキシ基、4-イソプロピルフェニルオキシ基、4-イソブチルフェニルオキシ基、4-n-ペンチルフェニルオキシ基、4-tert-ペンチルフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルフェニルオキシ基、4-n-オクチルフェニルオキシ基、4-n-デシルフェニルオキシ基、4-n-ドデシルフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルフェニルオキシ基、2,3-ジメチルフェニルオキシ基、2,5-ジメチルフェニルオキシ基、3,4-ジメチルフェニルオキシ基、3,4,5-トリメチルフェニルオキシ基、5-インダニルオキシ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルオキシ基、3-メトキシフェニルオキシ基、3-エトキシフェニルオキシ基、4-n-プロポキシフェニルオキシ基、4-n-ブトキシフェニルオキシ基、4-n-ペンチルオキシフェニルオキシ基、4-シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4-n-オクチルオキシフェニルオキシ基、4-n-デシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ドデシルオキシフェニルオキシ基、4-n-ヘキサデシルオキシフェニルオキシ基、2,3-ジメトキシフェニルオキシ基、2,5-ジメトキシフェニルオキシ基、3,5-ジメトキシフェニルオキシ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-メチルフェニルオキシ基、3-メチル-4-メトキシフェニルオキシ基、2-フルオロフェニルオキシ基、4-フルオロフェニルオキシ基、3-クロロフェニルオキシ基、4-ブロモフェニルオキシ基、3-トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3,5-ジフルオロフェニルオキシ基、3,4-ジクロロフェニルオキシ基、2-メチル-4-クロロフェニルオキシ基、3-クロロ-4-メチルフェニルオキシ基、3-メトキシ-4-フルオロフェニルオキシ基、3-フルオロ-4-メトキシフェニルオキシ基、4-フェニルフェニルオキシ基、3-フェニルフェニルオキシ基、4-(4’-メチルフェニル)フェニルオキシ基、4-(4’-メトキシフェニル)フェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、6-n-ブチル-2-ナフチルオキシ基、7-エトキシ-2-ナフチルオキシ基、2-チエニルオキシ基、2-ピリジルオキシ基、4-ピリジルオキシ基などが挙げられる。
【0026】
置換または無置換のアルキルチオ基であるものとしては、炭素数1~8の置換または無置換のアルキルチオ基が好ましい。
【0027】
無置換アルキルチオ基の例としては、
例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、2-メチルペンチルチオ基、1,1-ジメチルブチルチオ基、1,2,2-トリメチルプロピルチオ基、2-エチルブチルチオ基、1,3-ジメチルヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、メチルシクロペンチルチオ基、n-へプチルチオ基、n-へプチルチオ基、n-オクチルチオ基、3,5,5-トリメチルヘキシルチオ基、n-デシルチオ基、n-ウンデシルチオ基、n-ドデシルチオ基、1-アダマンチルチオ基、n-ペンタデシルチオ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換のアルキルチオ基が挙げられる。
【0028】
置換アルキルチオ基の例としては、例えば、メトキシメチルチオ基、エトキシメチルチオ基、n-プロピルオキシメチルチオ基、nーブチルオキシメチルチオ基、イソブチルオキシメチルチオ基、tert-ブチルオキシメチルチオ基、n-ペンチルオキシメチルチオ基、2-メトキシエチルチオ基、2-エトキシエチルチオ基、2-n-プロピルオキシエチルチオ基、2-イソプロピルオキシエチルチオ基、2-nーブチルオキシエチルチオ基、2-イソブチルオキシエチルチオ基、2-tert-ブチルオキシエチルチオ基、2-sec-ブチルオキシエチルチオ基、2-n-ペンチルオキシエチルチオ基、2-イソペンチルオキシエチルチオ基、2-sec-ペンチルオキシエチルチオ基、2-n-ヘキシルオキシエチルチオ基、2-(4-エチルシクロヘキシルオキシ)エチルチオ基、2-n-ノニルオキシエチルチオ基、2-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)エチルチオ基、2-n-デシルオキシエチルチオ基、2-n-ドデシルオキシエチルチオ基、3-メトキシプロピルチオ基、3-エトキシプロピルチオ基、3-(n-プロピルチオ)プロピルチオ基、2-イソペンチルオキシプロピルチオ基、2-メトキシブチルチオ基、4-エトキシブチルチオ基、4-(n-プロピルオキシ)ブチルチオ基、5-メトキシペンチルチオ基、5-エトキシペンチルチオ基、6-n-プロピルオキシヘキシルチオ基等のアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基、
【0029】
例えば、メトキシメトキシメチルチオ基、エトキシメトキシメチルチオ基、プロピルオキシメトキシメチルチオ基、ブチルオキシメトキシメチルチオ基、エトキシエトキシメチルチオ基、プロピルオキシエトキシメチルチオ基、メトキシメトキシエチルチオ基、エトキシメトキシエチルチオ基、プロピルオキシメトキシエチルチオ基、ブチルオキシメトキシエチルチオ基、プロピルオキシエトキシエチルチオ基、ブチルオキシエトキシエチルチオ基、プロピルオキシブチルオキシエチルチオ基、メトキシメトキシプロピルチオ基、エトキシメトキシプロピルチオ基、ブチルオキシメトキシプロピルチオ基、ブチルオキシメトキシブチルチオ基、エトキシエトキシブチルチオ基、シクロへキシルオキシエトキシエチルチオ基、〔4-(3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ)ブチルオキシ〕エチルチオ基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキルチオ基、
例えば、メトキシカルボニルメチルチオ基、エトキシカルボニルメチルチオ基、n-プロピルオキシカルボニルメチルチオ基、メトキシカルボニルエチルチオ基、エトキシカルボニルエチルチオ基、n-プロピルオキシカルボニルエチルチオ基、エトキシカルボニルプロピルチオ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアキルチオ基、
【0030】
例えば、メチルアミノメチルチオ基、2-メチルアミノエチルチオ基、2-( 2-メチルアミノエトキシ) エチルチオ基、4-メチルアミノブチルチオ基、1-メチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-メチルアミノプロピルチオ基、2-エチルアミノエチルチオ基、2-( 2-エチルアミノエトキシ)エチルチオ基、3-エチルアミノプロピルチオ基、1-エチルアミノプロピルチオ基、2-イソプロピルアミノエチルチオ基、2-(n-ブチルアミノ)エチルチオ基、3-(n-ヘキシルアミノ)プロピルチオ基、4-(シクロヘキシルアミノ)ブチルチオ基等のアルキルアミノ基で置換されたアルキルチオ基、
例えば、ジメチルアミノメチルチオ基、2-ジメチルアミノエチルチオ基、4-ジメチルアミノブチルチオ基、1-ジメチルアミノプロパン-2-イルチオ基、3-ジメチルアミノプロピルチオ基、2-ジエチルアミノエチルチオ基、3-ジエチルアミノプロピルチオ基、2-ジイソプロピルアミノエチルチオ基、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エチルチオ基、2-ピペリジルエチルチオ基
3-(ジ-n-ヘキシルアミノ)プロピルチオ基等のジアルキルアミノ基で置換されたアルキルチオ基、
例えば、メチルチオメチルチオ基、2-メチルチオエチルチオ基、2-エチルチオエチルチオ基、2-n-プロピルチオエチルチオ基、2-イソプロピルチオエチルチオ基、2-n-ブチルチオエチルチオ基、2-イソブチルチオエチルチオ基、(3,5,5-トリメチルヘキシルチオ)ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基で置換されたアルキルチオ基、
【0031】
例えば、2-N-モルホリニルエチルチオ基、2-N-ピリジルエチルチオ基、2-N-ピロリルエチルチオ基、2-(2-フリル)エチルチオ基、2-(1-インドリル)エチルチオ基、2-(3-チエニル)エチルチオ基、3-N-モルホリニルプロピルチオ基、3-N-ピリジルプロピルチオ基、3-N-ピロリルプロピルチオ基、3-(1-インドリル)プロピルチオ基等の複素環基で置換されたアルキルチオ基等が挙げられる。
【0032】
置換または無置換のアリールチオ基であるものとしては、炭素数6~18の置換または無置換のアリールチオ基が好ましい。
置換または無置換のアリールチオ基の例としては、ヘテロアリールチオ基も含まれ、フェニルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、3-エチルフェニルチオ基、4-n-プロピルフェニルチオ基、4-n-ブチルフェニルチオ基、4-イソブチルフェニルチオ基、4-tert-ブチルフェニルチオ基、4-n-ペンチルフェニルチオ基、4-n-ヘキシルフェニルチオ基、4-シクロヘキシルフェニルチオ基、4-n-オクチルフェニルチオ基、4-n-ドデシルフェニルチオ基、4-n-オクタデシルフェニルチオ基、2,5-ジメチルフェニルチオ基、3,4-ジメチルフェニルチオ基、5-インダニルチオ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、3-メトキシフェニルチオ基、4-エトキシフェニルチオ基、4-n-プロポキシフェニルチオ基、2,4-ジメトキシフェニルチオ基、3,5-ジエトキシフェニルチオ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルチオ基、2-メチル-4-メトキシフェニルチオ基、2-フルオロフェニルチオ基、4-フルオロフェニルチオ基、2-クロロフェニルチオ基、4-ブロモフェニルチオ基、4-トリフルオロメチルフェニルチオ基、3-トリフルオロメチルフェニルチオ基、2,4-ジフルオロフェニルチオ基、2,4-ジクロロフェニルチオ基、2-クロロ-4-メトキシフェニルチオ基、2-ナフチルチオ基、4-メチル-1-ナフチルチオ基、4-エトキシ-1-ナフチルチオ基、2-ピリジルチオ基、4-アミノフェニルチオ基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルチオ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチルチオ基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルチオ基、4-(N-フェノキサジイル)フェニルチオ基などが挙げられる。
【0033】
置換のアミノ基であるものとしては、炭素数1~12の置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアラルキル基を置換基としたアミノ基が好ましい
例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、3,5,5-トリメチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、
例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-イソプロピルアミノ基、N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-メチル-N-n-オクチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、
例えば、N-メチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-(2,4-ジメチルフェニル)アミノ基、N-n-プロピル-N-(2-エトキシフェニル)アミノ基、N-メチル-N-(3-クロロフェニル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ-(p-トリル)アミノ基、N-メチル-N-(2-ナフチル)アミノ基等のアリール基を有するアミノ基、
例えば、ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基、3-フェニルプロピルアミノ基、4-エチルベンジルアミノ基、4-イソプロピルベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ビス(4-エチルベンジル)アミノ基、ビス(4-イソプロピルベンジル)アミノ基、N-エチル-N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-フェネチルアミノ基等のアラルキル基を有するアミノ基等が挙げられる。
【0034】
置換または無置換のアルキルカルボニル基としては、
ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、iso-バレリル基、sec-バレリル基、トリメチルアセチル基、ヘキサノイル基、t-ブチルアセチル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2-エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、テトラアデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、オレオイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、6-クロロヘキサノイル基、6-ブロモヘキサノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、パ-フルオロオクタノイル基、2,2,4,4,5,5,7,7,7-ノナフルオロ-3,6-ジオキサヘプタノイル基、メトキシアセチル基、3,6-ジオキサヘプタノイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
【0035】
置換または無置換のアリールカルボニル基としては、
ベンゾイル基、2-メチルベンゾイル基、3-メチルベンゾイル基、4-メチルベンゾイル基、4-エチルベンゾイル基、4-n-プロピルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基、2,4-ジメチルベンゾイル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル基、2,4,5-トリメチルベンゾイル基、4-エチルベンゾイル基、4-イソプロピルベンゾイル基、4-n-ブチルベンゾイル基、4-イソブチルベンゾイル基、4-sec-ブチルベンゾイル基、4-tert-ブチルベンゾイル基、4-n-ペンチルベンゾイル基、4-イソペンチルベンゾイル基、4-ネオペンチベンゾイル基、4-イソヘキシルベンゾイル基、4-シキロヘキシルベンゾイル基、4-オクチルベンゾイル基、4-シアノベンゾイル基、4-ニトロベンゾイル基、4-トリフルオロメチルベンゾイル基、3-ブロモベンゾイル基、2-フロロベンゾイル基、4-クロロベンゾイル基、2,6-ジクロロベンゾイル基、2,4-ジフロロベンゾイル基、ナフチルカルボニル-1-イル基、ナフチルカルボニル-2-イル基が挙げられる。
【0036】
とRが互いに結合して複素環を形成する場合の具体例としては
例えば、ピロリジノ基、ピぺリジノ基、4-メチルピペリジノ基、4-イソプロピルピペリジノ基、ピロリジノ基、3-メチルピロリジノ基、モルフォリノ基等が挙げられる。
【0037】
一般式(1)のAは好ましくは炭素数1~16のアルキレン基、または炭素数6~24の置換若しくは非置換のアリーレン基である。Aはより好ましくは、炭素数1~12のアルキレン基、または炭素数6~18の非置換若しくは置換基としてアルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはアシル基を有するアリーレン基である。
アルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3―ジイル基、プロパン-1.2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、1,1,2,2-テトラメチルエタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,2-ジイル基、2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジイル基、3-メチルペンタン-1,5-ジイル基、シシクロペンタン-1,3-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘキサン-1,4-ジイル基、ヘキサン-2,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロヘキサン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,2-ジイル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフロロヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、アダマンタン-1,3-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、1H,1H,10H,10H―ヘキサデカフルオロデカン-1,10-ジイル基が挙げられる。特に炭素数1~12のアルキレン基が好ましく、炭素数1~4のアルキレン基がより好ましい。
置換若しくは非置換のアリーレン基であるものとしては、ヘテロアリーレン基を含む。置換アリーレン基としては、置換基としてアルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基を有するが好ましく、置換基としてアルキル基を有するものがより好ましい。
【0038】
置換若しくは非置換のアリーレン基の例としては、ベンゼン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,3-ジイル基、ベンゼン-1,2-ジイル基、2-メチルベンゼン-1,4―ジイル基、3-メチルベンゼン-1,4-ジイル基、2,6-ジメチルベンゼン-1,4-ジイル基、2,3,5,6-テトラメチルベンゼン-1,4-ジイル基、2-アリルベンゼン-1,4-ジイル基、2-イソプロピルベンゼン-1,4-ジイル基、2,3-ジプロピルベンゼン-1,4-ジイル基、2-t-ブチルベンゼン-1,4-ジイル基、3-t-ブチルベンゼン-1,4-ジイル基、2-t-ブチル-5-メチルベンゼン-1,4-ジイル基、2,5-ジ-t-ブチルベンゼン-1,4-ジイル基、2-シクロヘキシルベンゼン-1,4-ジイル基、3-シクロヘキシルベンゼン-1,4-ジイル基、2-フェニルベンゼン-1,4-ジイル基、3-フェニルベンゼン-1,4-ジイル基、2-メトキシベンゼン-1,4-ジイル基、3-メトキシベンゼン-1,4-ジイル基、2-クロロベンゼン-1,4-ジイル基、3-クロロベンゼン-1,4-ジイル基、2-フロロベンゼン-1,4-ジイル基、3-フロロベンゼン-1,4-ジイル基、2,3,5,6-テトラフロロベンゼン-1,4-ジイル基、2,3-ジシアノベンゼン-1,4-ジイル基、2-アシルベンゼン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、アントラキノン-2,6-ジイル基、ベンゾノルボルネン-3,6-ジイル基が挙げられる。特にベンゼン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,3-ジイル基、ベンゼン-1,2-ジイル基、2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基、3-メチルベンゼン-1,4-イル基、2,6-ジメチルベンゼン-1,4-ジイル基、2-クロロベンゼン-1,4-ジイル基、3-クロロベンゼン-1,4-ジイル基、2-フロロベンゼン-1,4-ジイル基、3-フロロベンゼン-1,4-ジイル基、2,3,5,6-テトラフロロベンゼン-1,4-ジイル基、が好ましく、ベンゼン-1,4-ジイル基、2-メチルベンゼン-1,4-ジイル基、3-メチルベンゼン-1,4-イル基、2-フロロベンゼン-1,4-ジイル基、3-フロロベンゼン-1,4-ジイル基がより好ましい。
【0039】
本発明の記録材料に含有される一般式(1)のジアザフタリド二量体化合物の具体例を下記の表に示すが、これらの範囲に限定されるものではない。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
本発明の一般式(1)のジアザフタリド二量体化合物は、例えば一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物、或いは一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物を脱水縮合剤の存在下に反応することにより製造することが出来る。
【0053】
[一般式(2)~(5)中の、R~R、とAは一般式(1)のR~R、Aと同じものを示す]
【0054】
脱水縮合剤としては、
無水酢酸、氷酢酸/濃硫酸混合物、ポリリン酸、五酸化リン、トリフッ化ホウ素、塩化亜鉛等が使用できるが、無水酢酸が特に好ましい。
脱水縮合剤として無水酢酸を使用する場合、無水酢酸は一般式(2)或いは一般式(4)の化合物1モルに対し1モル以上用いるのが好ましい。
無水酢酸の使用量については制限が無いが、経済的に1~5モル比を用いることが好ましく、トルエン等の不活性溶媒を併用する場合は1~2モル比で十分である。
【0055】
反応温度は30~120℃、特に30~80℃が特に好ましい。反応時間は特に制限されるものでは無いが、反応は一般的に数時間~24時間で完結する。
反応において、トルエンやジクロロエタン等の不活性溶媒を併用することが、反応を円滑に進行させるために好ましい。脱水縮合剤として無水酢酸を使用する場合、併用する溶媒としては、トルエンが好適に用いられる。
反応後、反応液を水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリで処理した後、トルエン等の有機溶媒で抽出して精製する。またアルカリ処理時に有機溶剤を共存させておいても良い。
有機溶剤抽出液を湯洗、分取、抽出液を濃縮し、好ましくはメタノールを添加して還流下に撹拌、冷却することによりジアザフタリド二量体化合物が製造される。

また、有機溶剤抽出液を更にカラムクロマトグラフィー等の公知の精製を行った有機溶剤溶液を濃縮し、必要に応じて前記と同じメタノールでの処理を行うことによりジアザフタリド二量体化合物が製造される。

シアン色に発色させる電子供与性を有する呈色性化合物、即ち本発明のジアザフタリド二量体化合物と電子受容性顕色剤から構成される記録材料としてサーマルヘッドやレーザー光とによる光-変換剤を熱源として反応発色する感熱記録材料及びタイプ等の筆圧により反応発色する感圧記録材料がある。
【0056】
本発明のジアザフタリド二量体化合物を有する記録材料の発色画像が、優れた耐光性を有する理由は明確でない。色素は光により励起状態となり、光退色反応を起こす活性化状態となる。この励起状態を速やかに基底状態に失活させることで耐久性が向上する可能性がある。本発明のジアザフタリド二量体化合物は、一般式(1)のAで2個のアザフタリド誘導体を連結した構造を有しており基底状態への緩和に寄与していることも考えられる。
さらに、二量体化合物にすることで一般的なアザフタリド誘導体に比べ、油、可塑剤に対する溶解性が低くなり、発色画像は耐油性、耐可塑剤性に優れるものとなる。
【0057】
[感熱記録材料]
感熱記録材料は、例えば特公昭45-14039号公報等に開示されている公知の種々の方法により製造できる。一般的には、ロイコ色素、顕色剤、増感剤をそれぞれポリビニルアルコール等の水溶性高分子水溶液とアトライター、サンドミル等を用いて薬剤の粒径が数ミクロン以下になるように分散する。増感剤はロイコ色素、顕色剤の何れか、或いは両方に加えて同時に分散しても良い、また場合によって予めロイコ色素或いは顕色剤との共融物を作成して分散しても良い。これらの分散液を混合して必要に応じて顔料、バインダー、ワックス、金属石鹸、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を加えて、感熱塗液とする。得られた感熱塗液を上質紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体に塗布し、カレンダー処理により平滑性を付与すると、感熱記録紙が得られる。また、感熱塗液は、必要に応じて発色性を向上させるため、プラスチック顔料或いはシリカ等の断熱材の下塗層を有する支持体に塗布しても良い。更に、必要に応じて耐水性、耐薬品性を付与するために、感熱記録層上に水溶性高分子水溶液等で上塗り層を設けることも良い。
【0058】
感熱記録紙に使用する顕色剤としては、各種のフェノール性化合物が使用できる。具体例としては、ビスフェノールA、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビスフェノールS、4-ヒドロキシ-4‘-イソプロポキシジフェニルスルホン、3,3-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,5-ビス(p-ヒドロキシフェニルメルカプト)-3-オキサペンタン、p-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS等が挙げられる。特にビスフェノールAが好ましく用いられる。
増感剤としては、p-ベンジルビフェニル、メタターフェニル、2-ベンジルオキシナフタレン、1,4-ジベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ベンジル、シュウ酸ジ-p-メチルベンジル、シュウ酸ジ-p-クロロベンジル、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-m-トルオキシエタン、1,2-ジ-p-トルオキシエタン、1,4-ジフェノキシエタン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニル、テレフタル酸ベンジル等が挙げられる。特に、p-ベンジルビフェニル、メタターフェニル、2-ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ-p-メチルベンジル、1,2-m-トルオキエタンが好ましく用いられる。
【0059】
顔料としては、有機及び無機の顔料が使用できる。好ましい具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、尿素ホルムアルデヒド樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末等が挙げられる。
バインダーとしては、水溶性高分子及び水不溶性高分子が使用できる。好ましい具体例としては、水溶性高分子として、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン類、スチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が、また水不溶性高分子として、スチレンブタジエンゴムラッテクス、アクリロニトリルブタジエンゴムラッテクス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。ワックスの好ましい具体例としては、パラフィンワックス、カルボキシ変性パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。金属石鹸としては、高級脂肪酸金属塩が用いられる。好ましい具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類が用いられる。また紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤が用いられる。
【0060】
なお、書き換え可能な感熱記録材料として、リライタブル記録材料も挙げられる。
リライタブル記録材料は紙或いは合成樹脂フィルムの支持体にロイコ色素と熱の作用によってロイコ色素に対して顕色性を有する基と、減色性を有する基を同一分子内に有する化合物である顕減色剤或いは長鎖型顕色剤及びバインダー等からなる記録層を形成し、表面に必要に応じて耐久性向上用保護層、UV保護層、耐摩耗湯用保護層を重ねた構成となっている。
【0061】
顕減色剤を用いる場合は熱エネルギーの制御によりロイコ色素のラクトン環と顕色性を有する基と接触するとラクトン環が開裂し発色し、減色性を有する基と接触するとクトン環が閉環し消色する。
長鎖型顕色剤を用いる場合は顕色剤の融点以上に加熱すると融解してロイコ色素と接触して発色し、これから徐冷するとロイコ色素と顕色剤の分離・結晶化を起こすため、消色するが、急冷すると顕色剤がロイコ色素との結合を維持したまま規則性をもって凝集、発色状態を維持する。また発色状態より加熱すると発色状態の凝集構造が崩れ、発色温度よりも低い温度では顕色剤は単独で安定な結晶状態となり、ロイコ色素と分離、消色する。
ロイコ色素としては、例えばフタリド化合物、アザフタリド化合物、ジアザフタリド化合物、フルオラン化合物等が適用される。
【0062】
顕減色剤としては、フェノール性水酸基及びカルボキシル基を少なくとも1つを有し、且つアミノ基を官能基として又は塩化合物の一部として有する両性化合物又は、少なくとも1つのフェノール性水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物と脂肪族アミンとの塩又は錯塩が挙げられる。
例えば、脂肪族アミン類、アミノ安息香酸類、ヒドロキシアミノ香酸類、又はこれらのエステル化合物が挙げられる。
長鎖型顕色剤としては、分子内にロイコ色素に対する顕色性を有する基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基等と、分子間の凝集力を制御する基、例えば長鎖炭化水素基と連結した基を有する化合物が挙げられる。
【0063】
[感圧記録材料]
感圧記録材料は例えば特公昭42-20144号公報等に開示されている公知の種々の方法により製造できる。
一般には、発色剤(ロイコ色素)をカプセル化溶剤に溶解した発色剤溶液を高分子化合物を膜剤としてカプセル化した後、上質紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体の裏面に逃避して上用紙を作製する。カプセル化溶剤としてはSAS-296(日本石油製)、KMC-113(呉羽化学製)が常用される。一方、顕色剤を別の支持体の表面に塗布して下用紙を作製する。上用紙と下用紙を塗布面が接触するように重ね合わせて筆圧あるいは打圧等の圧力を加えると、加圧された部分のカプセルが破壊されて、カプセル中の発色剤が顕色剤と反応して、下用紙の表面に記録画像が形成される。また、支持体の表面に顕色剤、裏面にカプセルを塗布した中用紙を上用紙と下用紙の間に数枚挿入することにより、複数枚の複写記録が得られる。
【0064】
また、支持体の同一面に顕色剤とカプセルを含有する、いわゆるセルフコンテインド紙タイプのもの、或いは支持体中に顕色剤かカプセルの一方が含有され、他の一方が塗布された形態のものにも適用できる。
感圧記録材料に使用する顕色剤としては、酸性白土、サリチル酸誘導体亜鉛塩、p-オクチルフェノール樹脂亜鉛塩、p-フェニルフェノール樹脂等が挙げられる。特に、サリチル酸誘導体亜鉛塩及びp-オクチルフェノール樹脂亜鉛塩が好ましく用いられる。
【実施例
【0065】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定を受けるものではない。
【0066】
[実施例1]具体例化合物(2)の製造
化合物(A)15.6g、化合物(B)8.3g、無水酢酸20g、トルエン20mLを65-70℃にて2時間攪拌した。冷却後、トルエン200mL、20%水酸化ナトリウム水溶液100mLを添加した。30分間還流下で攪拌後、トルエン層を分取、湯洗、ろ過、濃縮した。残留物にメタノール100mLを添加し、30分間還流下に攪拌した。冷却後、析出物をろ取、メタノール50mLで洗浄して乾燥した。
下記構造式の(具体例化合物(2))13.2gを淡緑色粉末として得た。
融点245℃(分解)

得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
【0067】
【0068】
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・ESI-Mass: 921(M+H)
・元素分析値:実測値(C:74.27%、H:6.55%、N:16.90%);理論値(C:74.32%、H:6.57%、N:16.91%)
【0069】
[実施例2] 具体例化合物(3)の製造
化合物(C)15.8g、化合物(D)9.7g、無水酢酸20g、トルエン20mLを65-70℃にて2時間攪拌した。冷却後、トルエン200mL、20%水酸化ナトリウム水溶液100mLを添加した。30分間還流下で攪拌後、トルエン層を分取、湯洗、ろ過、濃縮した。残留物にメタノール100mLを添加し、30分間還流下に攪拌した。冷却後、析出物をろ取、メタノール50mLで洗浄して乾燥した。
下記構造式の(具体例化合物(3))15.5gを淡緑色粉末として得た。
融点184-188℃

得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
【0070】
【0071】
・ESI-Mass: 981(M+H)
・元素分析値:実測値(C:72.19%、H:6.55%、N:11.45%); 理論値(C:72.22%、H:6.57%、N:11.42%)
【0072】
[実施例3] 感熱記録材料の製造
実施例1で製造した具体例化合物(2)5gを2.5%ポリビニルアルコール水溶液45gと共にサンドミルを用いて平均粒径が1ミクロンになるように粉砕し、分散液を作成した。一方、ビスフェノールA10gとパラベンジルビフェニル10gを2.5%ポリビニルアルコール水溶液80gと共にサンドミルを用いて平均粒径が3ミクロンになるように粉砕し、分散液を作成した。このようにして作成した2種の分散液を混合した後、炭酸カルシウム50%分散液30gとパラフィンワックス30%分散液を添加、よく混合して、感熱塗液を調整した。このようにして調整した感熱塗液を坪量50g/mの上質紙に固形分塗布量が5g/mとなるように塗布し、乾燥後、乾燥後、感熱記録面のベック平滑度が400~500秒となるようにカレンダー処理して、白色の感熱記録材料を作製した。
【0073】
[実施例4] 感熱記録材料の製造
実施例3において使用した具体例化合物(2)5gの代わりに実施例2で製造した具体例化合物(3)5g使用した以外は実施例3と同様にして白色の感熱記録材料を作製した。
【0074】
[比較例1] 感熱記録材料の製造
実施例3において使用した具体例化合物(2)5gの代わりに下記比較例化合物(E)5g使用した以外は実施例3と同様にして白色の感熱記録材料を作製した。
【0075】
【0076】
[実施例5]感圧記録材料の製造
実施例1で製造した具体例化合物(2)3gをKMC-113(呉羽化学製溶剤)47gに加熱下溶解した。水100gに系変性剤5gを加え、苛性ソーダ水溶液でpH4とした。これに前記の溶液及びメラミンホルムアルデヒド初期重合物10gを加えて、ホモミキサーで油滴が4ミクロンになるまで乳化した。次いで、撹拌下に60℃に加熱し、1時間撹拌した。室温に冷却後、25%アンモニア水でpH7.5に調節して、ロイコ色素のカプセル分散液を作製した。このようにして調整したカプセル分散液10g、小麦粉澱粉2g及びラテックス1gを良く混合した後、坪量50g/m2の上質紙に固形分塗布量が5g/m2となるように塗布して、白色の上用紙を作製した。このようにして作製した上用紙を亜鉛変性パラオクチルフェノールアルデヒド樹脂を塗布した下用紙上と塗布面が接触するように重ねて、タイプ印字すると、下用紙上に明瞭なシアン色の記録画像が形成した。
【0077】
[実施例6] 感圧記録材料の製造
実施例5において使用した具体例化合物(2)4.7gの代わりに実施例2で製造した具体例化合物(3)4.7g使用した以外は実施例と同様にして白色の感圧記録材料を作製した。
【0078】
[比較例]
実施例5において使用した具体例化合物(2)4.7gの代わりに前記比較例化合物(E)4.7g使用した以外は実施例と同様にして白色の感圧記録材料を作製した。
【0079】
[感熱記録材料の品質性能試験]
実施例3、実施例4、比較例1で作製した感熱記録材料の地肌白色度及び地肌安定性試験、発色画像安定性試験

地肌耐光性の測定:感熱記録材料に2万ルックスの蛍光灯を72Hr照射した後、反射濃度計RD-914で地肌着色濃度(OD値)を測定した。
【0080】
【表1】
【0081】
地肌白色度:数値が小さいほど、白色度が高いことを示す。
地肌の保存安定性:各試験後の数値が小さいほど、地肌の安定性が高いことを示す。
【0082】
次に、同じく実施例3、4、比較例1で作成した感熱紙を印字装置TH-PMD(大倉電気製)を使用してパルス巾0.95msで発色させ、発色画像濃度(OD値)をマクベス製RD-914を用いて測定した。
安定性試験を下記の方法に従って行った。
画像耐湿熱性の測定:発色画像を50℃、90%RHの条件で72Hr晒した後、画像の濃度(OD値)を反射濃度計RD-914で測定した。
画像耐熱性の測定:発色画像を60℃、20%RHの条件に72Hr晒した後、画像の濃度(OD値)を反射濃度計RD-914で測定した。
画像耐光性の測定:発色画像に2万ルックスの蛍光灯を72Hr照射した後、画像の濃度(OD値)を反射濃度計RD-914で測定した。
各画像堅牢度を、下記式により表した。
【0083】
【数1】
【0084】
これらの結果を表2に示す。
[感熱記録材料の品質性能試験]
【表2】
【0085】
[感圧記録材料の品質性能試験]
実施例5、6、比較例2で作製した上用紙のCB面(上用紙の感圧塗液塗布面)の白色度測定及び耐光性試験を行った。試験及び測定は下記の方法に従って行った。
CB面白色度の測定:反射濃度計RD-914でCB面の着色濃度を反射濃度値(OD値)で測定した。
CB面耐光性の測定:CB面に2万ルックスの蛍光灯を72Hr照射した後、CB面の着色濃度を同様に測定した。
【0086】
次に同じく、実施例5、6、比較例2で作製した上用紙を顕色剤であるサリチル酸誘導体亜鉛塩を塗布した下用紙に塗布面が接触するように重ねて、ミニロール(圧力100kgf/cm)発色させ、発色色調を比較した。また、発色画像濃度(OD値)を反射濃度計RD-914を用いて測定した。
次いで画像耐光性試験を下記の方法に従って行った。
画像耐光性の測定:発色した画像を2ルックスの蛍光灯に72Hr照射した後、画像濃度(OD値)を反射濃度計RD-914で測定した。これらの結果を表3に表す。
【0087】
【表3】
【0088】
CB面白色度:数値が小さいほど、白色度が高いことを示す。
発色画像濃度:数値が大きいほど、濃度が高いことを示す。
画像耐光性::数値が大きいほど、画像の耐光性が高いことを示す。
【産業上の利用可能性】
【0089】
発明のジアザフタリド二量体化合物を使用した記録材料は地肌の白色度、保存安定性、画像堅牢度の諸性能に優れ、鮮明なシアン色の発色画像が得られるため、フルカラー用の感熱記録材料の発色剤として非常に有用である。