(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】間欠塗工装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20240515BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240515BHJP
F16K 3/22 20060101ALI20240515BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20240515BHJP
F16K 11/052 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/10
F16K3/22 B
F16K1/00 C
F16K11/052 Z
(21)【出願番号】P 2020138968
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000240341
【氏名又は名称】株式会社ヒラノテクシード
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 康裕
(72)【発明者】
【氏名】廉 本寧
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 文生
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-071044(JP,A)
【文献】特開2019-063780(JP,A)
【文献】特開2020-094610(JP,A)
【文献】特開2021-102178(JP,A)
【文献】特開2021-001646(JP,A)
【文献】特開2021-013912(JP,A)
【文献】国際公開第2005/092515(WO,A1)
【文献】特開2014-188449(JP,A)
【文献】特開2019-098203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
F15B 1/00-7/10
F04B 23/00-23/14
53/00-53/22
F16K 1/00-1/54
3/00-3/36
11/00-11/24
15/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するウエブに、塗工液が塗工される塗工部と前記塗工液が塗工されない未塗工部とを交互に形成するダイと、
前記塗工液を溜めるタンクと、
前記タンク内の前記塗工液を供給するポンプと、
液配管を用いて前記ポンプと接続され、塗工配管を用いて前記ダイと接続され、前記ポンプからの前記塗工液を間欠的に前記ダイに送る間欠バルブと、
制御部と、
前記間欠バルブ内、又は、前記塗工配管内の前記塗工液の液圧値を検出する液圧センサと、
を有した間欠塗工装置において、
前記液配管から分岐した部分には液圧調整配管の一端が接続され、
前記液圧調整配管の他端は閉塞され、かつ、空気が送られてくる空気配管が接続され、
前記液圧調整配管内において前記空気配管から所定の空気圧で空気が送られる第1空間と、前記塗工液の液面が含まれる第2空間とに区画する区画部材が設けられ、
前記区画部材は、前記空気配管からの空気圧が低くなるほど前記第1空間側に移動して、前記第2空間の内圧を下げ
、
前記制御部は、
前記液圧センサが検出した前記液圧値が最大液圧値より上がると前記空気配管からの前記空気圧を下げるフィードバック制御を行う、
間欠塗工装置。
【請求項2】
前記液圧調整配管が、前記液配管の上端に垂直方向に設けられている、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項3】
前記液圧調整配管が、前記液配管の下端に垂直方向に設けられている、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項4】
前記液圧調整配管が、垂直方向の前記液配管に水平方向に設けられている、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項5】
前記区画部材は、筒状であって周面が蛇腹状であり、前記区画部材の一端は開口し、他端は受圧面で閉塞され、
前記受圧面で前記第1空間と前記第2空間を区画している、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項6】
前記第2空間内において前記塗工液の前記液面と前記区画部材との間に空気層が存在する、
請求項
2に記載の間欠塗工装置。
【請求項7】
前記間欠バルブは、第1バルブと第2バルブとから構成され、
前記液配管が第1液配管と第2液配管とに分岐され、
前記第1バルブの第1入口には、前記第1液配管が接続され、
前記第1バルブの第1出口には、前記塗工配管が接続され、
前記第1バルブの第1接続口には、前記第2バルブの第2接続口が接続され、
前記第2バルブの第2入口には、前記第2液配管が接続され、
前記第2バルブの第2出口には、前記タンクに前記塗工液を戻す循環用配管が接続され、
前記第1液配管から前記液圧調整配管が分岐し、前記液圧調整配管が垂直方向に設けられている、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項8】
前記間欠バルブは、第1バルブと第2バルブとから構成され、
前記液配管が第1液配管と第2液配管とに分岐され、
前記第1バルブの第1入口には、前記第1液配管が接続され、
前記第1バルブの第1出口には、前記塗工配管が接続され、
前記第1バルブの第1接続口には、前記第2バルブの第2接続口が接続され、
前記第2バルブの第2入口には、前記第2液配管が接続され、
前記第2バルブの第2出口には、前記タンクに前記塗工液を戻す循環用配管が接続され、
前記第1液配管と前記第2液配管とが分岐する前の前記液配管から前記液圧調整配管が分岐し、前記液圧調整配管が垂直方向に設けられている、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項9】
前記間欠バルブは、三方弁であって、
前記三方弁の弁本体には、入口と第1出口と第2出口とが設けられ、
前記入口に前記液配管が接続され、
前記第1出口には、前記タンクに前記塗工液を戻す循環用配管が接続され、
前記第2出口には、前記塗工配管が接続されている、
請求項1に記載の間欠塗工装置。
【請求項10】
前記第1バルブと前記第2バルブは、弁体が回転する回転式の弁である、
請求項
7又は8に記載の間欠塗工装置。
【請求項11】
前記三方弁は、弁体が直線方向に移動する直動式の弁である、
請求項
9に記載の間欠塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間欠塗工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、間欠塗工装置は、紙、布帛、フィルム、金属シート、金属メッシュなどの長尺状のウエブに塗工液を間欠塗工するものである。回転するバックアップロール上を走行するウエブにダイによって塗工部と未塗工部とを交互に形成するために、塗工液を圧送するポンプとダイとの間に間欠バルブが設けられ、塗工部を形成するときはこの間欠バルブを開けてダイに塗工液を供給し、未塗工部を形成するときはこの間欠バルブを閉じてダイへの塗工液の供給を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-47245号公報
【文献】特開2015-112520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような間欠塗工装置がウエブに塗工部を塗工するときに、塗工液の液圧が変動し、塗工厚さが均一にならないことがある。この理由としては、間欠バルブの弁の開閉による水撃現象(ウオーターハンマー)による液圧変動、又は、塗工液をダイに供給するポンプの脈動による液圧変動が考えられる。なお、「水撃現象」とは、液体が流れる配管内の水流を急に閉めきったときに、水の慣性で配管内に衝撃と高い水圧が発生する現象を意味する。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、間欠塗工装置でウエブに間欠塗工を行っているときに、塗工液の液圧の変動を抑え、塗工部における塗工厚を均一にする間欠塗工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、走行するウエブに、塗工液が塗工される塗工部と前記塗工液が塗工されない未塗工部とを交互に形成するダイと、前記塗工液を溜めるタンクと、前記タンク内の前記塗工液を供給するポンプと、液配管を用いて前記ポンプと接続され、塗工配管を用いて前記ダイと接続され、前記ポンプからの前記塗工液を間欠的に前記ダイに送る間欠バルブと、制御部と、前記間欠バルブ内、又は、前記塗工配管内の前記塗工液の液圧値を検出する液圧センサと、を有した間欠塗工装置において、前記液配管から分岐した部分には液圧調整配管の一端が接続され、前記液圧調整配管の他端は閉塞され、かつ、空気が送られてくる空気配管が接続され、前記液圧調整配管内において前記空気配管から所定の空気圧で空気が送られる第1空間と、前記塗工液の液面が含まれる第2空間とに区画する区画部材が設けられ、前記区画部材は、前記空気配管からの空気圧が低くなるほど前記第1空間側に移動して、前記第2空間の内圧を下げ、前記制御部は、前記液圧センサが検出した前記液圧値が最大液圧値より上がると前記空気配管からの前記空気圧を下げるフィードバック制御を行う、間欠塗工装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液配管から分岐した液圧調整配管において、区画部材が塗工液の液面が存在する第2空間の内圧を高くして、液圧の変動を抑える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1を示す間欠塗工装置の説明図である。
【
図3】塗工部を塗工しているときの第1バルブと第2バルブと液圧調整部の概略説明図である。
【
図4】未塗工部を形成しているときの第1バルブと第2バルブと液圧調整部の概略説明図である。
【
図13】弁を開閉したときの液圧値と空気圧の変動を示すグラフである。
【
図14】実施形態2を示す間欠塗工装置の説明図である。
【
図15】実施形態3を示す間欠塗工装置の全体図である。
【
図17】変更例4の実施形態1に関する間欠塗工装置の説明図である。
【
図18】変更例4の実施形態2に関する間欠塗工装置の説明図である。
【
図19】変更例4の実施形態3に関する間欠塗工装置の説明図である。
【
図20】実施形態4を示す間欠塗工装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の間欠塗工装置1について図面を参照して説明する。本実施形態の間欠塗工装置1は、ウエブWに対し走行方向に沿って
図2に示すように、塗工部44と未塗工部46とを交互に塗工するものであり、ウエブWとしては例えば、電池の材料に用いられる金属シート、金属メッシュなどである。
【実施形態1】
【0010】
実施形態1の間欠塗工装置1について
図1から
図13を参照して説明する。本実施形態の間欠塗工装置1は、間欠バルブ10として、弁体が回転する回転式の第1バルブ100、第2バルブ200を用いたものである。なお、本明細書において「円筒型」とは、「円環型」、「リング型」を含む概念である。
【0011】
(1)間欠塗工装置1
間欠塗工装置1について
図1と
図2を参照して説明する。間欠塗工装置1は、バックアップロール12、ダイ14、タンク28、ポンプ30、第1バルブ100、第2バルブ200を有する。なお、第1バルブ100と第2バルブ200とで間欠バルブ10を構成している。
【0012】
ウエブWは、
図1に示すように、バックアップロール12の右周面を下から上に走行している。バックアップロール12は、ロールモータ42によって、ウエブWの走行速度Vに対応して回転する。
【0013】
バックアップロール12の右側には、塗工液を塗工するためのダイ14が設けられている。ダイ14は、上本体16と下本体18とこれらに挟まれた不図示のシムよりなり、上本体16の左側は先端にいくほど狭く三角形に形成されている。下本体18も左側に行くほど狭く三角形に形成されている。下本体18の上周面には液溜め部20が形成されている。この液溜め部20からダイ14の先端に向かって、液通路22が形成されている。すなわち、液通路22は、上本体16の下面と下本体18の上面との間に形成されている。この液通路22の先端には吐出口24が形成されている。この吐出口24は、ウエブWの幅方向に沿ってスリット状である。液溜め部20から下本体18の下面に向かって供給口26が形成されている。
【0014】
タンク28には、塗工液が溜められている。このタンク28に溜められた塗工液は、ポンプ30によって単位時間当たり一定量で圧送される。ポンプ30から圧送された塗工液は、液配管に流れる。液配管は、主液配管32と、主液配管32から分岐した第1液配管34と第2液配管36とを有する。
【0015】
第1液配管34は、途中でさらに2つに分岐され、分岐した一方の分岐第1液配管54は、第1バルブ100に接続され、分岐した他方には、液圧調整装置52の液圧調整配管56が垂直方向に接続されている。
【0016】
分岐第1液配管54に供給された塗工液は、メインバルブである第1バルブ100に至る。第1バルブ100は、ウエブWに塗工部44を形成する場合に、ダイ14に通じる第1出口120は開状態となり、未塗工部46を形成する場合には第1出口120は閉状態になる。
【0017】
第1バルブ100から吐出された塗工液は、塗工配管38を経てダイ14の供給口26に流れる。
【0018】
一方、第2液配管36に供給された塗工液は、リリーフバルブである第2バルブ200に至る。第2バルブ200は、ウエブWに塗工部44を形成する場合には第2出口220が閉状態となり、未塗工部46を形成する場合には第2出口220が開状態となって、循環用配管40からタンク28に塗工液を循環させる。
【0019】
(2)第1バルブ100
第1弁体140が回転する回転式の第1バルブ100について
図3~
図7を参照して説明する。第1バルブ100は、
図5に示すように、円筒型の第1弁箱102を有している。円筒型の第1弁箱102の表面には円板型の第1表板104が設けられて閉塞され、第1弁箱102の裏面には円板型の第1裏板106が設けられて閉塞されている。
【0020】
第1弁箱102の外周面の上部には円管よりなる第1吐出管108が突出し、この第1吐出管108に接続された塗工配管38が、ダイ14に接続されている。この第1吐出管108の底面は円形に開口している。
【0021】
第1弁箱102の内周面であって、第1吐出管108の部分には、
図6と
図7に示すように、直方体よりなる第1弁座118が設けられている。この第1弁座118は、第1弁箱102の厚さよりも厚く形成され、第1弁箱102の内周面よりも第1弁座118の内周面がM1だけが突出している。第1弁座118の軸方向には、スリット状の第1出口120が形成されている。
【0022】
図5に示すように、第1弁箱102の外周面の側部には、円形の第1入口122が開口している。第1弁箱102の軸方向を水平に配し、かつ、第1出口120を最上部に配した場合に、
図7に示すように、この第1入口122の位置は、第1回転軸112と同じ高さに開口している。
図3と
図4に示すように、この第1入口122には、第1液配管34が接続されている。これにより、ポンプ30から圧送された塗工液は主液配管32、第1液配管34を経て第1バルブ100の第1弁箱102に供給される。
【0023】
第1裏板106の中心部には、第1軸孔124が貫通している。この第1軸孔124の内周部には、円筒型の第1ダイナリップシール126が設けられている(
図6参照)。
【0024】
第1弁箱102の内部には、第1回転体110が配されている。
図5に示すように、この第1回転体110は円板型であって、中心部に円筒型の第1回転軸112が突出している。第1回転体110の外周面と第1回転軸112の間には4個の扇形の第1扇開口部114が設けられている。
図5と
図7に示すように、この第1扇開口部114の外周面と内周部に挟まれた径方向の一辺には、厚みが次第に薄くなる第1羽根116が形成されている。これにより、第1回転体110は、インペラの役割を果たしている。
【0025】
図5に示すように、第1回転体110の外周面には、第1弁体140が取り付けられている。この第1弁体140は、
図7に示すように正面から見て円弧状であり、
図9に示すように、上方から見て長方形であって、第1弁箱102の軸方向に延びている。第1弁箱102の内周の半径をR1(
図7参照)、第1弁座118の突出寸法をM1、第1回転体110の半径をR2(
図7参照)とした場合に、第1弁体140の径方向の長さM2は、M2=R1-R2-M1となる。また、第1弁体140の軸方向の長さは、スリット状の第1出口120を完全に閉塞できる寸法に設定されている。
【0026】
第1弁体140の外周面であって、軸方向には、
図5、
図7に示すように凹部142が形成されている。この凹部142の軸方向の長さは、スリット状の第1出口120の長さよりもやや大きく形成されている。
【0027】
図3と
図4に示すように、第1弁体140の周方向の長さ、すなわち第1回転軸112を中心とした第1弁体140の第1円弧開き角θ1は、第1回転体110の第1回転速度ω1と第1出口120を閉塞する閉塞時間によって求められる。
【0028】
図6に示すように、第1裏板106の外方であって第1軸孔124の位置には円筒型の第1支持部128が設けられている。この円筒型の第1支持部128には、
図6に示すように、サーボモータよりなる第1モータ130が取り付けられている。また、円筒型の第1支持部128の内周には第1ベアリング134,136が配され、第1モータ130の回転する第1駆動軸132を回転自在に支持している。第1モータ130の第1駆動軸132は、第1支持部128を貫通し、第1軸孔124の第1ダイナリップシール126を貫通し、第1回転体110の第1回転軸112に固定されている。
図6に示すように、第1回転体110は、第1モータ130の第1駆動軸132が回転することにより回転する。
【0029】
第1弁箱102の外周面であって最下部には、第1接続口138が設けられている。
【0030】
第1弁箱102には、その内部の塗工液の液圧値を検出するために、液圧センサ48が設けられている。
【0031】
(3)第2バルブ200
次に、第2弁体240が回転する回転式の第2バルブ200について
図3、
図4、
図8~
図10を参照して説明する。第2バルブ200は、
図8に示すように、円筒型の第2弁箱202を有している。円筒型の第2弁箱202の表面には円板型の第2表板204が設けられて閉塞され、第2弁箱202の裏面には円板型の第2裏板206が設けられ閉塞されている。
【0032】
第2弁箱202の外周面の下部には円管よりなる第2吐出管208が突出し、この第2吐出管208には、タンク28に塗工液を戻す循環用配管40が接続されている。
【0033】
第2弁箱202の内周面であって、第2吐出管208の部分には、
図9と
図10に示すように、直方体よりなる第2弁座218が設けられている。この第2弁座218は、第2弁箱202の厚さよりも厚く形成され、第2弁箱202の内周面よりも第2弁座218の内周面がm1だけが突出している。第2弁座218の軸方向には、スリット状の第2出口220が形成されている。
【0034】
図8に示すように、第2弁箱202の外周面の側部には、円形の第2入口222が開口している。第2弁箱202の軸方向を水平に配し、かつ、第2出口220を最下部に配した場合に、
図10に示すように、この第2入口222の位置は、第2回転軸212と同じ高さに開口している。
図3と
図4に示すように、この第2入口222には、第2液配管36が接続されている。これにより、ポンプ30から圧送された塗工液は、主液配管32、第2液配管36を経て、第2バルブ200の第2弁箱202に供給される。
【0035】
第2裏板206の中心部には、第2軸孔224が貫通している。この第2軸孔224の内周部には、円筒型の第2ダイナリップシール226が設けられている(
図9参照)。
【0036】
第2弁箱202の内部には、第2回転体210が配されている。
図8に示すように、この第2回転体210は円板型であって、中心部に円筒型の第2回転軸212が突出している。第2回転体210の外周面と第2回転軸212の間には4個の扇形の第2扇開口部214が設けられている。
図9と
図10に示すように、この第2扇開口部214の外周面と内周部に挟まれた径方向の一辺には、厚みが次第に薄くなる第2羽根216が形成されている。これにより、第2回転体210は、インペラの役割を果たしている。
【0037】
第2回転体210の外周面には、
図8、
図10に示すように、円筒型の第2弁体240が設けられている。この円筒型の第2弁体240の一部には軸方向に切欠き部242が形成されている。この切欠き部242が形成されている第2回転体210の外周面は
図10、
図14に示すように円形に切り欠かれ、通過口244を形成している。
【0038】
第2弁箱202の内周の半径をr1(
図10参照)、第2弁座218の突出寸法をm1、第2回転体210の半径をr2(
図10参照)とした場合に、第2弁体240の径方向の長さm2は、m2=r1-r2-m1となる。また、第2弁体240の切欠き部242の幅方向の長さは、スリット状の第2出口220を完全に開口できる寸法に設定され、第2弁体240の切欠き部242の軸方向の長さは、スリット状の第2出口220の長さを完全に開口できる寸法に設定されている。
【0039】
図3と
図4に示すように、第2弁体240の周方向の長さ、すなわち第2回転軸212を中心とした第2弁体240の第2円弧開き角θ2は、第2回転体210の第2回転速度ω2と第2出口220を閉塞する閉塞時間によって求められる。
【0040】
図9に示すように、第2裏板206の外方であって第2軸孔224の位置には円筒型の第2支持部228が設けられている。この円筒型の第2支持部228には、
図9に示すように、サーボモータよりなる第2モータ230が取り付けられている。また、円筒型の第2支持部228の内周には第2ベアリング234,236が配され、第2モータ230の回転する第2駆動軸232を回転自在に支持している。第2モータ230の第2駆動軸232は、第2支持部228を貫通し、第2軸孔224の第2ダイナリップシール226を貫通し、第2回転体210の第2回転軸212に固定されている。
図9に示すように、第2回転体210は、第2モータ230の第2駆動軸232が回転することにより回転する。
【0041】
第2弁箱202の外周面の最上部には、第2接続口238が設けられている。この第2接続口238は、第1バルブ100の最下部に設けられた第1接続口138と接続管250によって接続されている。
【0042】
(4)第1バルブ100と第2バルブ200の関係
次に、第1バルブ100と第2バルブ200との関係について
図2~
図4を参照して説明する。なお、第1バルブ100と第2バルブ200は、軸方向が水平にした状態で上下方向に並んで配され、第1出口120が最上部、第2出口220が最上部にくるように、間欠塗工装置1の不図示のフレームに取り付けられている。
【0043】
図2は、ウエブWの平面図であり、塗工部44と未塗工部46とを交互に走行方向に沿って形成したものである。塗工部44の長さをL1、未塗工部46の長さをL2とする。ダイ14では、塗工部44を形成するときは第1バルブ100から塗工液が圧送され、未塗工部46を形成するときは塗工液が第1バルブ100から圧送されない。
【0044】
図3は、塗工部44を形成しているときの第1バルブ100と第2バルブ200の概略説明図であり、
図4は未塗工部46を形成しているときの第1バルブ100と第2バルブ200の概略説明図である。
【0045】
図2と
図3に示すように、ウエブWに塗工部44を形成するときは、第1弁体140は、第1出口120以外に位置し、第2弁体240は第2出口220を閉塞されている。これにより、塗工液は第1バルブ100からダイ14にのみ送られ、第2バルブ200からタンク28には循環しない。
【0046】
図2と
図4に示すように、ウエブWに未塗工部46を形成するときは、第1弁体140は、第1出口120を閉塞し、ダイ14に塗工液が流れないようにする。また、第2弁体240の切欠き部242が第2出口220の位置に回転し、第2出口220を開口し、塗工液がタンク28に循環する。
【0047】
【0048】
図3、
図4、
図11、
図12に示すように、垂直方向に配された主液配管32から分岐した第1液配管34は、垂直方向に延び、分岐部55で2つに分岐されている。第1液配管34の分岐した一方は、水平方向に延びた分岐第1液配管54を介して第1バルブ100に接続されている。分岐した他方には、液圧調整配管56が垂直方向に取り付けられている。この液圧調整配管56は、円管である。
【0049】
図11、
図12に示すように、垂直方向に配された液圧調整配管56は、分岐部55から垂直方向に延びた基部配管58と、この基部配管58の上部に取り付けられた円筒形の透明配管60と、透明配管60の上部に取り付けられた格納配管62とより構成されている。基部配管58と格納配管62とは金属製であり、筒状の透明配管60は、塗工液によって腐食や曇りが生じない透明部材、例えばガラス、熱可塑性樹脂より形成されている。格納配管62の上端部は開口している。
【0050】
図3、
図4、
図11、
図12に示すように、円筒形の格納配管62内部には、塗工液による浸食が起きないフッ素ゴムよりなる区画部材64が格納されている。この区画部材64は、円筒形であり、この円筒形を構成する周面である伸縮部66は、蛇腹状に形成され、上下方向に伸縮できる。この伸縮部66の下面である受圧面68は閉塞され、円筒形の中心部が最も低くなるように、断面が三角形に形成されている(
図12参照)。円筒形の伸縮部66の上端部外周にはリング状のフランジ部70が形成されている(
図12参照)。このフランジ部70は、格納配管62の上端に載置され、区画部材64を格納した格納配管62の上端には、蓋体72がフランジ部70を押さえつつ被せられている(
図12参照)。
【0051】
図11、
図12に示すように、蓋体72の中央部には、区画部材64に空気を送り込む空気配管74が接続されている。
図1に示すように、この空気配管74の他端には電空変換器76が接続され、この電空変換器76には、圧送空気を送るための空気ポンプ(コンプレッサ)78が接続されている。
【0052】
図12に示すように、格納配管62内部に格納された区画部材64によって、区画部材64の受圧面68より上方の第1空間80と、下方の第2空間82とに区画され、塗工液の流入、流出及び空気の流入、流出が完全に遮蔽されている。
【0053】
空気配管74から空気がこの区画部材64に圧送される。その圧送される空気の空気圧Qが上がると蛇腹状の伸縮部66が伸びて、伸縮部66の受圧面68が下方に移動し、第2空間82の内圧が上がる。一方、その空気圧Qが下がると蛇腹状の伸縮部66が縮み、伸縮部66の受圧面68が上方に移動し、第2空間82の内圧が下がる。
【0054】
一方、ポンプ30から圧送された塗工液は、第1液配管34の分岐部55を経て液圧調整配管56内部に流れ込む。このときにその塗工液の液面は、透明配管60の途中に位置するようにし、また、第2空間82には、受圧面68と塗工液の液面との間に空気層が存在する。これにより、作業員が外部からこの透明配管60内部の塗工液の液面を観察できる。
【0055】
(6)間欠塗工装置1の電気的構成
次に、間欠塗工装置1の電気的構成について
図1を参照して説明する。間欠塗工装置1は、コンピュータ、又は、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ:programmable logic controller)よりなる制御部50を有し、この制御部50には、バックアップロール12を回転させるロールモータ42、ポンプ30、第1バルブ100を駆動する第1モータ130、第2バルブ200を駆動する第2モータ230、液圧センサ48、電空変換器76、空気ポンプ(コンプレッサ)78が接続されている。
【0056】
(7)液圧調整装置52の第1制御方法
次に、液圧調整装置52の第1制御方法について説明する。ポンプ30から、間欠バルブ10を経てダイ14に塗工液を供給する場合に、第1バルブ100と第2バルブ200の弁の開閉により、水撃現象(ウオーターハンマー)による液圧変動が生じたり、ポンプ30からの塗工液の供給量の脈動により液圧変動が生じる。また、リチウムイオン電池などの電極部材(金属シートや金属網)に塗工液を塗工する場合には、塗工厚さを均一にすると共に、ウエブVの走行速度Vを上げて生産効率を高める必要がある。
【0057】
しかしながら、上記のような塗工液の液圧変動があると、塗工部44の始端と終端に液圧の変動による塗工厚さの乱れが生じることとなる。特にウエブWの走行速度Vが60m/分~200m/分の高速になると、塗工部44と未塗工部46との切り替えが早くなり、塗工部44の始端と終端に塗工厚さの乱れが生じ易くなる。
【0058】
そこで本実施形態の間欠塗工装置1は、液圧調整装置52を設けて、塗工液の液圧値Pの変動を最大液圧値P0以下に押さえるようにフィードバック制御している。この液圧調整装置52の第1制御方法について説明する。
【0059】
まず、
図1に示すように、間欠塗工中においては、ポンプ30から単位時間当たり定量の塗工液が常に供給され、主液配管32、第1液配管34、分岐第1液配管54を通り第1バルブ100に供給され、第2液配管36を通り第2バルブ200に供給される。
【0060】
図3に示すように、塗工部44を塗工している場合には、第1バルブ100の第1出口120が開口し、塗工配管38を経てダイ14に塗工液が圧送される。
【0061】
図4に示すように、未塗工部46を形成している場合には、第1バルブ100の第1出口120は閉塞され、第2バルブ200の第2出口220から塗工液が循環用配管40を通りタンク28に戻される。
【0062】
図11に示すように、間欠塗工中において、第1液配管34の分岐部55から分岐した液圧調整配管56において、塗工液の液面が常に透明配管60の中にあるように調整されている。すなわち、
図12に示すように、第2空間82において、圧送されている塗工液の液面と受圧面68の間に空気層を存在し、かつ、区画部材64の内部の第1空間80に、空気配管74から一定量の空気が空気圧Qで送り込まれ、液面の高さが調整されている。例えば、ポンプ30から圧送される塗工液の液圧値(以下、「圧送液圧値」という)PAが50kPaに設定され、この圧送液圧値PAと空気層が受圧面68を上方に押圧する力と、第1空間80における内圧(空気圧Q)が受圧面68を下方に押圧する力が釣り合って、液面の高さがほぼ一定の範囲内(透明配管60の高さ範囲内)に維持されている。但し、空気圧Qについては、後から説明するように、ある範囲で変動させて塗工液の液面高さをフィードバック制御する。
【0063】
第1に、制御部50は、
図1に示すように、間欠塗工中において第1バルブ100内の液圧センサ48が、塗工配管38内部の塗工液の液圧値Pを常に検出し、制御部50に出力している。
【0064】
第2に、制御部50は、水撃現象やポンプ30の脈動により、液圧センサ48が検出した液圧値Pが最大液圧値P0より高くなると、電空変換器76を用いて、ポンプ78から第1空間80に送る空気の量を減らして、第1空間80の内圧(空気圧Q)を下げる。
【0065】
第3に、
図12に示すように、第1空間80の内圧(空気圧Q)が下がると、区画部材64の蛇腹状の伸縮部66が縮んで受圧面68が上方に移動し、第2空間82の空気層の内圧を下げる。第2空間82には、上記したように塗工液の液面が存在するため、第2空間82の空気層の内圧が下がると、液面が上昇して、液面が上昇した体積分だけ液圧値Pが下がる。
【0066】
第4に、液圧値Pが下がり、最大液圧値P0より低くなれば、ダイ14の吐出口24が塗工液を塗工するときの塗工液の圧力変化が小さくなり、塗工部44の塗工厚さが変化することなく一定にできる。一方、液圧値Pが下がっても最大液圧値P0より高ければ、制御部50は、制御部50は、さらに空気圧Qを下げて液圧値Pを下げ、液圧値Pが最大液圧値P0より低くなるまで空気圧Qをフィードバック制御して下げる。
【0067】
図13のグラフは、第1バルブ100と第2バルブ200を開閉し、塗工部44と未塗工部46を形成するときの、液圧センサ48が検出している液圧値Pと、第1空間80の内圧(空気圧Q)の時間的変動を示している。グラフの上段が、液圧センサ48によって検出された液圧値Pの時間的変化を表し、下段が、ポンプ78から第1空間80に送る空気の空気圧Qの時間的変化を表している。
【0068】
ウエブWは、走行速度V=100m/分の高速で走行し、未塗工部46を形成するときの時間を1秒、塗工部44を形成するときの時間を1.8秒として、制御部50は、
図3と
図4に示すように、それに合わせて第1弁体140、第2弁体240を回転させ、第1出口120、第2出口220を開閉しているとし、また、グラフでは第1バルブ100の第1弁体140によって、第1出口120が閉じられた瞬間をt=0(秒)と記載している。さらに、塗工を行うため、ポンプ30から塗工液を圧送しているときには、圧送液圧値PA=50kPaがかかるようにして、ウエブWに対し設定塗工厚さで塗工が行えるように設定している。また、空気圧Qは、初期状態で0.03kPaである。以下、
図13のグラフを参照して説明する。
【0069】
t=0(秒)のときに第1バルブ100の第1弁体140によって、第1出口120が閉じられると、流れる塗工液の慣性で配管内に衝撃と高い水圧の変動による水撃現象が発生し、液圧センサ48で検出される液圧値Pが圧送液圧値PA=50kPaから大きく振動し始める。空気圧Qは、初期状態で0.03kPaのままである。
【0070】
t=0(秒)からt=1(秒)の間は、第1弁体140によって第1出口120が閉塞され、未塗工部46が形成されている。このときに、液圧センサ48によって検出されている液圧値Pは大きく振動し続け、最大液圧値P0を超える時間がある。その後に液圧値Pの振幅は次第に収まり、圧送液圧値PA=50kPaに収束していく。空気圧Qは、初期状態で0.03kPaのままである。
【0071】
t=1(秒)のときに、第1出口120が開口すると、塗工部44の塗工が開始される。空気圧Qは、初期状態で0.03kPaのままである。しかし、第1弁体140が第1出口120を開口した瞬間(t=1(秒))であっても、圧送液圧値PA=50kPaに収束しきれず、液圧値Pの振幅がまだ大きく、この大きいままの振幅によって、塗工部44の始端における塗工厚さが設定塗工厚さにならず盛り上がる。そこで、この塗工部44を形成を始める瞬間の振幅を低くするためには、未塗工部46を形成しているときに検出されている液圧値Pの最大値を低く抑えれば、振動が小さくなり、その振動による塗工厚さへの影響を抑えることができる。
【0072】
t=1(秒)~t=2.8(秒)の間は、液圧値Pは第1弁体140による遮蔽がなくなっているので、液圧値Pの振幅がより収まっていき、圧送液圧値PA=50kPaに収束していく。空気圧Qは、初期状態で0.03kPaのままである。
【0073】
t=2.8(秒)のときに、制御部50は、検出する最大の液圧値Pが最大液圧値P0より低くなるように、液圧調整装置52の第1空間80への空気圧Qを0.02kPaに下げるフィードバック制御を行い、また、第1出口120を閉塞して2回目の未塗工部46の形成を開始する。第1出口120が閉じられるので、2回目の水撃現象が発生し、液圧センサ48で検出される液圧値Pが再び大きく振動し始める。
【0074】
t=2.8(秒)~t=5.6(秒)の間は、空気圧Q=0.02kPaを維持して2回目の未塗工部46と塗工部44を形成する。このときの最大の液圧値Pは1回目の最大の液圧値Pよりも低いが、未だ最大液圧値P0を超えている。
【0075】
t=5.6(秒)のときに、制御部50は、空気圧Q=0.02kPaから0.01kPaにさらに下げるフィードバック制御を行う。そして、第1バルブ100の第1弁体140によって、第1出口120を第1弁体140で閉じて、3回目の未塗工部46の形成を開始する。このときに3回目の水撃現象が発生し、液圧値Pが大きく振動し始める。
【0076】
t=5.6(秒)~8.4(秒)のときに、第1空間80の空気圧Q=0.01kPaに下げて、3回目の未塗工部46と塗工部44を形成する。このときの最大の液圧値Pは最大液圧値P0より低くなる。これは空気圧Q=0.01kPaまで下げたため、塗工液の液面がその分だけ上昇して液圧値Pが下がり、3回目の水撃現象による振動を吸収しているからである。
【0077】
これ以後、制御部50は、t=8.4(秒)以後であっても、空気圧Q=0.01kPaの圧力を維持する。これにより、最大の液圧値Pがこの最大液圧値P0より低く抑えられ、第1弁体140が第1出口120を開口した瞬間の液圧値Pの振幅幅が小さくなって、塗工部44の始端を設定塗工厚さに塗工できる。
【0078】
また、ポンプ30の塗工液の供給量の脈動により圧送液圧値が最大液圧値P0を超えた場合でも、制御部50は、間欠バルブ10の弁の開閉にかかわらず、上記フィードバック制御を常に行っているので、その影響を軽減できる。
【0079】
(8)効果
本実施形態によれば、第1バルブ100、第2バルブ200の弁の開閉による水撃現象が生じたり、ポンプ30の塗工液の供給量の脈動が発生しても、液圧調整装置52によって、第1バルブ100の液圧値Pを最大液圧値P0より低くできるため、これらの現象による塗工厚さの変動を抑えることができる。
【0080】
また、区画部材64の蛇腹状の伸縮部66の受圧面68に関して、中央部ほど下方に下がり縦断面三角形状になっているので、第2空間82の内圧を下げ易い。
【0081】
また、液圧調整配管56が垂直方向に配されているため、液面の振動方向が上下方向になり、第2空間82に空気圧Qの圧力がそのまま正確に液面にかけることができる。
【0082】
また、液圧調整配管56の透明配管60内部に塗工液の液面があるため、作業員は液面を目視で観察できる。
【0083】
(9)液圧調整装置52の第2制御方法
次に、液圧調整装置52の第2制御方法について説明する。
【0084】
第1制御方法では、水撃現象による液圧値の中の最大振幅値が最大液圧値以下になるように区画部材64によって第1空間80の内圧を下げたが、これに代えて、第1弁体140が第1出口120を閉塞した時間から最大の液圧値を測定する時間までにおいて、振幅する液圧値の高い方の液圧値の平均値を求め、この平均値が最大液圧値P0になるようにフィードバック制御してもよい。
【実施形態2】
【0085】
本発明の実施形態2の間欠塗工装置1について
図14を参照して説明する。
【0086】
実施形態1では、第1液配管34を分岐第1液配管54と液圧調整配管56に分岐したが、本実施形態では、
図14に示すように、これに代えて主液配管32を分岐部90で分岐主液配管92と液圧調整配管56に分岐し、この液圧調整配管56に液圧調整装置52を設ける。そして、分岐した分岐主液配管92を第1液配管34と第2液配管36に分岐する。第1液配管34には、第1バルブ100を接続し、第2液配管36には、第2バルブ200を接続する。
【0087】
本実施形態によれば、第1バルブ100、第2バルブ200の弁の開閉による水撃現象が生じたり、ポンプ30の塗工液の供給量の脈動が発生しても、液圧調整装置52によって、塗工配管38の液圧値Pを最大液圧値P0より低くできるため、これら現象による塗工厚さの変動を抑えることができる。
【実施形態3】
【0088】
本発明の実施形態3の間欠塗工装置1について
図15、
図16を参照して説明する。
【0089】
実施形態1は、間欠バルブとして、弁が回転する回転式の第1バルブ100と第2バルブ200を用いたが、本実施形態では間欠バルブ310として弁が直線方向に移動する直動式の第1バルブ301、第2バルブ302を用いる。本実施形態の間欠塗工装置1について
図15、
図16を参照して説明する。
【0090】
本実施形態では、ポンプ30からの塗工液を供給するための主液配管32は、分岐部94において、バルブ配管94と、液圧調整装置52の液圧調整配管56とに分岐している。バルブ配管94は、間欠バルブ310の入口314に接続されている。液圧調整配管56の構造は、実施形態1の液圧調整配管56と同じ構造を有している。
【0091】
第1バルブ301の第1出口316には、タンク28に通じる循環用配管40が接続され、第2バルブ302の第2出口318には、ダイ14に通じる塗工配管38が接続されている。
【0092】
(1)間欠バルブ310の構造
まず、間欠塗工装置1に用いられる間欠バルブ310について
図16を参照して説明する。
【0093】
間欠バルブ310は、三方弁であって、第1バルブ301と第2バルブ302とを組み合わせたものである。すなわち、第1バルブ301の第1弁本体303と第2バルブ302の第2弁本体304を組合せ、組合せ弁本体312を構成している。組合せ弁本体312内部には、共通の空間320が形成されている。
【0094】
組合せ弁本体312における第2弁本体304の側部に、塗工液の入口314が開口している。
【0095】
組合せ弁本体312における第1弁本体303の上部には、円筒状の第1出口316が開口している。第1出口316は、タンク28に通じる循環用配管40が接続されている。
【0096】
組合せ弁本体312における第2弁本体304の上部には、円筒状の第2出口318が開口している。第2出口318は、ダイ14に通じる塗工配管38が接続されている。
【0097】
共通の空間320は、入口314と第1出口316と第2出口318とを繋いでいる。この空間320内部であって、第1出口316の基部には、ゴム製、又は、シリコン製の第1弁座322が形成され、第2出口318の基部には、ゴム製の第2弁座324が形成されている。共通の空間320には、液圧センサ48が設けられている。
【0098】
第1弁座322を開閉するための第1弁体326が、第1出口316の基部内部に配されている。第2弁座324を開閉するための第2弁体328が、第2出口318の基部内部に配されている。
【0099】
組合せ弁本体312における第1弁本体303の下部には、円筒状の第1連結体305が設けられ、第1連結体305の下部には、直動式のアクチュエータである第1ボイスコイルモータ(以下、「第1VCモータ」という)307が設けられている。
【0100】
第1連結体305から第1弁本体303の空間320に突出した第1摺動シャフト334は、その上端に第1弁体326が取り付けられている。この第1摺動シャフト334が摺動することにより、この第1弁体326が第1弁座322を開閉する。第1摺動シャフト334の下端は、第1VCモータ307から突出した第1摺動軸330の上端と接続部材354を介して接続されている。第1摺動軸330の下端には、第1位置センサ338が取り付けられている。この第1位置センサ338は、リニアスケールより構成され、第1摺動軸330の位置を1μm単位で検出できる。
【0101】
組合せ弁本体312における第2弁本体304の下部には、円筒状の第2連結体306が設けられ、第2連結体306の下部には、直動式のアクチュエータである第2ボイスコイルモータ(以下、「第2VCモータ」という)308が取り付けられている。
【0102】
第2連結体306から第2弁本体304の空間320に突出した第2摺動シャフト336は、組合せ弁本体312を貫通し、その上端に第2弁体328が取り付けられている。この第2摺動シャフト336が摺動することにより、この第2弁体328が第2弁座324を開閉する。第2摺動シャフト336の下端は、第2VCモータ308から突出した第2摺動軸332の上端と接続部材356を介して接続されている。第2摺動軸332の下端には、第2位置センサ340が取り付けられている。この第2位置センサ340は、リニアスケールより構成され、第2摺動軸332の位置を1μm単位で検出できる。
【0103】
(2)第2VCモータ308
次に、第2VCモータ308について
図16を参照して説明する。
【0104】
円筒形に形成された第2VCモータ308のケーシング352内部には、円筒形の鉄製のアウターヨーク342が配され、このアウターヨーク342の内周面には、リング状のマグネット344が固定されている。この円筒形のアウターヨーク342の内側には、円筒型の鉄製のインナーヨーク346が配され、アウターヨーク342とインナーヨーク346とは下面で固定されている。アウターヨーク342とインナーヨーク346との間には、間隙が設けられている。
【0105】
円筒形の非磁性のコイルボビン348が、アウターヨーク342とインナーヨーク346との間隙を軸方向に摺動自在に配されている。コイルボビン348の外周面にはコイル350が巻回され、リング状のマグネット344の位置に対応している。
【0106】
コイルボビン348の軸方向の中央部には、第2摺動軸332が貫通して固定されている。また、第2摺動軸332は、円筒型のインナーヨーク346も貫通し、リニアスケールよりなる第2位置センサ340まで延びている。
【0107】
第2VCモータ308の動作状態について説明する。コイルボビン348のコイル350に、直流電流を流すことにより、リング状のマグネット344との間に磁界が発生し、ファラデーの法則により、コイルボビン348が第2摺動軸332と共に軸方向に移動する。この軸方向に移動する第1摺動速度v1は、コイル350に流す直流電流の強さによって決定される。また、第2摺動軸332がどの位置まで移動させるかは、第2位置センサ340で第2摺動軸332の位置を検出し、所定の位置まで第2摺動軸332が移動すると、コイル350に流れる直流電流をOFFし、第2摺動軸332の摺動を停止させる。
【0108】
第1VCモータ307も、第2VCモータ308と同様の構造を有し、同様の動作を行う。
【0109】
(3)間欠塗工装置1の動作状態
次に、間欠塗工装置1を用いて、
図2に示すウエブWに塗工部44と未塗工部46を形成する間欠塗工を行う動作について
図15、
図16を参照して説明する。
【0110】
制御部50は、ウエブWを走行速度Vで走行させ、間欠バルブ310の第1出口316を開状態にし、第2出口318を閉状態にして、ポンプ30によってタンク28から塗工液を圧送し、間欠バルブ310を経て、ダイ14に塗工液を圧送する。ダイ14に圧送された塗工液は、走行するウエブWに間欠塗工される。このときに、制御部50は、第1摺動シャフト334、第2摺動シャフト336を移動させ、第1出口316を閉状態にし、第2出口318を開状態にして、ウエブWに塗工部44を形成する。
【0111】
次に、制御部50は、走行速度VからウエブWの塗工部44の長さL1を測定し、塗工部44の塗工が終了した場合には、第1出口316を開状態にし、同時に第2出口318を閉状態にして、未塗工部46を形成する。未塗工部46を形成している場合には、間欠バルブ310の第1出口316が開状態であり、第2出口318が閉状態であるため、ポンプ30から圧送された塗工液は、循環用配管40を介してタンク28に循環する。
【0112】
次に、制御部50は、走行速度VからウエブWの未塗工部46の長さL2を測定し、未塗工部46の形成が終了すると、上記と同様の制御によって間欠バルブ310の第1出口316を閉状態にし、第2出口318を開状態にして、ウエブWに塗工部44を塗工する。
【0113】
(4)液圧調整装置52の制御方法
本実施形態においても、制御部50は、液圧センサ48が検出した液圧値Pに基づいて液圧調整装置52の空気配管74を通じて空気を送り、区画部材64を伸縮させ、第2空間82の空気層の内圧を制御し、検出した液圧値Pが最大液圧値P0より低くなるようにフィードバック制御する。
【0114】
(5)効果
本実施形態によれば、間欠バルブ310の弁の開閉による水撃現象が生じたり、ポンプ30の塗工液の供給量の脈動が発生しても、液圧調整装置52によって、塗工配管38の液圧値Pを最大液圧値P0より低くできるため、これら現象による塗工厚さの変動を抑えることができる。
【実施形態4】
【0115】
本発明の実施形態4の間欠塗工装置1について
図20を参照して説明する。
【0116】
実施形態1では、垂直方向の第1液配管34の上端部に液圧調整装置52を垂直に設けたが、本実施形態では、これに代えて垂直方向に配された第2液配管33の下端部に液圧調整装置52を垂直に設けている。
【0117】
図20に示すように、水平方向に配された主液配管32から上方に分岐した第1液配管34が垂直方向に延び、下方に分岐した第2液配管36が垂直方向に延びている。第1液配管34には、第1バルブ100が接続されている。第2液配管36は下部で2つに分岐し、水平方向に分岐した一方には第2バルブ200が接続されている。また、垂直方向に分岐した他方には、液圧調整装置52における液圧調整配管56の基部配管58が垂直方向に接続されている。基部配管58には格納配管62が接続されている。格納配管62は、筒状であり、下端が開口している。この開口した部分には、区画部材64が下方から格納されている。但し、実施形態1とは異なり区画部材64は受圧面48が上になるように格納されている。すなわち、区画部材64の受圧面48の上方が第2空間であり、下方が第1空間となる。格納配管62の下端の縁部には、格納された区画部材64のフランジ部70が配され、下方から蓋体72で固定されている。蓋体72には、空気ポンプ78につながる空気配管74が接続されている。
【0118】
本実施形態においては、区画部材64の受圧面48の上方の第2空間には空気層はなく、受圧面48と塗工液が直接接触し、基部配管58に塗工液が溜まる状態となっている。そして、塗工液の液圧値Pを制御する場合には、区画部材64の受圧面48を空気ポンプ78から第1空間に送る空気圧Qで上下動させて、受圧面48が下がると塗工液の体積が増加して液圧値Pが下がり最大液圧値P0以下に制御でき、受圧面48が上がると塗工液の体積が減少して液圧値Pが上がる。
【0119】
本実施形態によれば、第1バルブ100、第2バルブ200の弁の開閉による水撃現象が生じたり、ポンプ30の塗工液の供給量の脈動が発生しても、液圧調整装置52によって、塗工配管38の液圧値Pを最大液圧値P0より低くできるため、これら現象による塗工厚さの変動を抑えることができる。
【変更例】
【0120】
次に、上記実施形態の間欠塗工装置1の変更例について説明する。
【0121】
(1)変更例1
上記実施形態では、区画部材64はフッ素ゴムより形成したが、これに代えてシリコンゴムであってもよい。
【0122】
(2)変更例2
また、区画部材64が蛇腹状でなく、垂れ下がった風船型であってもよい。この風船型であると、第1空間80の空気の圧力が大きくなると区画部材64が下方に膨らみ、第2空間82の内圧を高めることができる。
【0123】
また、区画部材64は、平らな膜状であってもよい。この膜状であっても、第1空間80の内圧を高めると膜状の区画部材64が下方に膨らみ、第2空間82の内圧を高めることができる。
【0124】
(3)変更例3
蛇腹状の区画部材64の受圧面68の下面に、塗工液による浸食が起きない板状の押圧板を取り付けてもよい。これにより、区画部材64の材料を塗工液による浸食が起き難い材質に限定されない。
【0125】
(4)変更例4
実施形態1では、液圧センサ48を第1バルブ100に設けたが、これに代えて、第2バルブ200の内部に設けたり、
図17に示すように、液圧センサ48を塗工配管38内部に設けてもよい。
【0126】
実施形態2では、液圧センサ48を第1バルブ100に設けたが、これに代えて、第2バルブ200の内部に設けたり、液圧センサ48を塗工配管38内部に設けてもよい。
【0127】
実施形態3でも、
図19に示すように、液圧センサ48を塗工配管38内部に設けてもよい。
【0128】
(5)変更例5
実施形態1では、垂直方向の液配管の上端に液圧調整装置52における液圧調整配管56を垂直方向に設け、実施形態4では、垂直方向の液配管の下端に液圧調整装置52における液圧調整配管56を垂直方向に設けたが、これに代えて、垂直方向の液配管の途中に液圧調整配管56を水平方向に設け、この液圧調整配管56の内部に区画部材64を水平方向に設けてもよい。
【0129】
(6)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1・・・間欠塗工装置、10・・・間欠バルブ、12・・・バックアップロール、14・・・ダイ、28・・・タンク、30・・・ポンプ、48・・・液圧センサ、50・・・制御部、52・・・液圧調整装置、56・・・液圧調整配管、58・・・基部配管、60・・・透明配管、62・・・格納配管、64・・・区画部材、74・・・空気配管、76・・・電空変換器、80・・・第1空間、82・・・第2空間、100・・・第1バルブ、200・・・第2バルブ