(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240515BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240515BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240515BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240515BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240515BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240515BHJP
H01L 23/52 20060101ALI20240515BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240515BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240515BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240515BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20240515BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240515BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240515BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240515BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240515BHJP
G01R 31/50 20200101ALI20240515BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L21/02 B
H01L21/66 Y
H01L21/88 T
H01L21/90 B
H01L23/52 E
H01L25/08 Y
H01L27/00 301A
H01L29/78 371
H10B41/27
G01R31/50
G01R31/28 U
(21)【出願番号】P 2020156722
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】岩下 康紀
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸也
(72)【発明者】
【氏名】中塚 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】冨松 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-510312(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044871(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0196458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H01L 23/52
H01L 25/07
H01L 27/00
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
H10B 41/27
H01L 21/66
H01L 21/02
G01R 31/50
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チップと、
前記第1チップと貼合された第2チップとを備え、
前記第1チップは、
基板と、
前記基板上に設けられたトランジスタと、
前記トランジスタの上方に設けられ、複数の第1配線を含む第1配線層と、
前記第1配線の上方に設けられた複数の第1パッドと、
を備え、
前記第2チップは、
前記複数の第1パッドに接合された複数の第2パッドと、
前記第2パッドの上方に設けられ、複数の第2配線を含む第2配線層と、
前記第2配線の上方に設けられたメモリセルアレイと、を備え、
前記第1配線、前記第1パッド、前記第2パッド、前記第2配線が直列に接続された第1パターンを構成
し、
前記第1パターンの前記第1配線に接続された第3パッドと、
前記第1パターンの前記第2配線に接続された第4パッドとを備え、
前記第3パッドから最初または最後の前記第1または第2パッドまでの前記第1配線の長さは、1mm以下であり、
前記第4パッドから最初または最後の前記第1または第2パッドまでの前記第2配線の長さは、1mm以下である、半導体装置。
【請求項2】
前記第1パターンは、前記第1配線、前記第1パッド、前記第2パッド、前記第2配線をこの順番で連続して直列に接続されたパターンである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1チップと前記第2チップとの貼合面に対して略垂直方向から見たときに、前記第1パターンは、前記メモリセルアレイと重複している、請求項1
または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1チップと前記第2チップとの貼合面に対して略垂直方向から見たときに、前記第1パターンは、前記メモリセルアレイと該メモリセルアレイの端部に設けられた階段構造部との両方に重複する、請求項1
または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1チップと前記第2チップとの貼合面に対して略垂直方向から見たときに、前記第1パターンは、
前記メモリセルアレイの端部に設けられた階段構造部と該階段構造部の周辺にある試験パターン領域との両方に重複する、請求項1
または請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体ウェハを貼り合わせて、該複数の半導体ウェハの配線同士を接合するウェハ貼合技術がある。このようなウェハ貼合技術において、配線パッドが半導体ウェハの表面から窪んでいると、配線同士の接続不良が発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許特開第2016/0079164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線同士の接続不良を抑制することができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体装置は、第1チップと、第1チップと貼合された第2チップとを備える。第1チップは基板を備える。トランジスタが基板上に設けられている。第1配線層が、トランジスタの上方に設けられ、複数の第1配線を含む。複数の第1パッドが第1配線の上方に設けられている。第2チップは、複数の第1パッドに接合された複数の第2パッドを備える。第2配線層が、第2パッドの上方に設けられ、複数の第2配線を含む。メモリセルアレイが、第2配線の上方に設けられている。第1配線、第1パッド、第2パッド、第2配線が直列に接続された第1パターンを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態の半導体装置の構造を示す断面図。
【
図3】本実施形態のチェーンパターンの配置を示す該略平面図。
【
図6】チェーンパターンおよび金属パッドの構成例を示す該略図。
【
図7】配線長と接合部の歩留まりとの関係を示すグラフ。
【
図8】金属パッド間の接合不良の一例を示す該略断面図。
【
図9】回路チップの金属パッドのディッシングの様子を示す図。
【
図10】回路チップの金属パッドのディッシングの様子を示す図。
【
図11】貼合後の半導体ウェハ面内における接合不良のチップ位置を示す図。
【
図12】貼合後の半導体ウェハ面内における接合不良のチップ位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、本実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図1の半導体装置は、アレイチップ1と回路チップ2が貼り合わされた3次元メモリである。半導体装置は、たとえば、NAND型フラッシュメモリである。回路チップ2は第1チップの例であり、アレイチップ1は第2チップの例である。
【0009】
アレイチップ1は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ11と、メモリセルアレイ11上の絶縁膜12と、メモリセルアレイ11下の層間絶縁膜13とを備えている。絶縁膜12は例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜である。層間絶縁膜13は例えば、シリコン酸化膜、またはシリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0010】
回路チップ2は、アレイチップ1下に設けられている。符号Sは、アレイチップ1と回路チップ2との貼合面を示す。回路チップ2は、層間絶縁膜14と、層間絶縁膜14下の基板15とを備えている。層間絶縁膜14は例えば、シリコン酸化膜、またはシリコン酸化膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。基板15は例えば、シリコン基板などの半導体基板である。
【0011】
図1は、基板15の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板15の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。
【0012】
アレイチップ1は、メモリセルアレイ11内の電極層として、複数のワード線WLと、ソース線SLとを備えている。
図1は、メモリセルアレイ11の階段構造部21を示している。各ワード線WLは、コンタクトプラグ22を介してワード配線層23と電気的に接続されている。複数のワード線WLを貫通する各柱状部CLは、ビアプラグ24を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつソース線SLと電気的に接続されている。ソース線SLは、半導体層である第1ソース層SL1と、金属層である第2ソース層SL2とを含んでいる。メモリセルアレイ11は、例えば、複数のメモリセルを3次元配列した立体型メモリセルアレイである。
【0013】
回路チップ2は、複数のトランジスタ31を備えている。各トランジスタ31は、基板15上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極32と、基板15内に設けられた不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。トランジスタ31は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路等の論理回路を構成する。このCMOS回路はアレイチップ1を制御する。また、回路チップ2は、これらのトランジスタ31のゲート電極32、ソース拡散層、またはドレイン拡散層上に設けられた複数のコンタクトプラグ33と、これらのコンタクトプラグ33上に設けられ、複数の配線を含む配線層34と、配線層34上に設けられ、複数の配線を含む配線層35とを備えている。
【0014】
回路チップ2はさらに、配線層35上に設けられ、複数の配線を含む配線層36と、配線層36上に設けられた複数のビアプラグ37と、これらのビアプラグ37上に設けられた複数の金属パッド38とを備えている。第1配線としての配線層36は、トランジスタ31で構成される論理回路の上方に設けられている。配線層36には、例えば、Cu(銅)またはAl(アルミニウム)が用いられる。第1パッドとしての金属パッド38は、配線層36の上方に設けられている。金属パッド38は、アレイチップ1の金属パッド41と貼合面Sにおいて接合するために層間絶縁膜14とほぼ面一となっていることが好ましい。金属パッド38にも、例えば、Cu(銅)またはAl(アルミニウム)が用いられる。金属パッド38は、アクティブパッドおよびダミーパッドを含む。第1ビアコンタクトとしてのビアプラグ37は、配線層36と金属パッド38との間に設けられており、これらの間を電気的に接続する。上述のとおり、回路チップ2は、アレイチップ1の動作を制御する制御回路(論理回路)として機能する。この制御回路は、トランジスタ31などにより構成されており、金属パッド38に電気的に接続されている。
【0015】
アレイチップ1は、金属パッド38上に設けられた複数の金属パッド41と、金属パッド41上に設けられた複数のビアプラグ42とを備えている。また、アレイチップ1は、これらのビアプラグ42上に設けられ、複数の配線を含む配線層43と、配線層43上に設けられ、複数の配線を含む配線層44とを備えている。第2パッドとしての金属パッド41は、回路チップ2の金属パッド38と貼合面Sにおいて接合するために層間絶縁膜13とほぼ面一となっていることが好ましい。金属パッド41には、例えば、CuまたはAlが用いられる。金属パッド41は、アクティブパッドおよびダミーパッドを含む。第2配線としての配線層43は、金属パッド41の上方に設けられている。配線層43には、例えば、CuまたはAlが用いられる。第2ビアコンタクトとしてのビアプラグ42は、配線層43と金属パッド41との間に設けられており、これらの間を電気的に接続する。配線層43の上方には、その他の配線、ビアプラグ、メモリセルアレイ11等が設けられている。配線層36、43、ビアプラグ37、42、および、金属パッド38、41の詳細については、後述する。尚、ビアプラグ37、42は、必ずしも設けられているとは限らない。この場合、配線層36は、ビアプラグ37を介さずに、金属パッド38に直接接続されていてもよい。配線層43は、ビアプラグ42を介さずに、金属パッド41に直接接続されていてもよい。
【0016】
アレイチップ1は、さらに、配線層44上に設けられた複数のビアプラグ45と、これらのビアプラグ45上や絶縁膜12上に設けられた金属パッド46と、金属パッド46上や絶縁膜12上に設けられたパッシベーション膜47とを備えている。金属パッド46には、例えば、CuまたはAlが用いられ、
図1の半導体装置の外部接続パッド(ボンディングパッド)として機能する。パッシベーション膜47は例えば、シリコン酸化膜などの絶縁膜であり、金属パッド46の上面を露出させる開口部Pを有している。金属パッド46は、この開口部Pを介してボンディングワイヤ、はんだボール、金属バンプなどにより実装基板や他の装置に接続可能である。
【0017】
図2は、本実施形態の柱状部CLの構造を示す断面図である。
【0018】
図2に示すように、メモリセルアレイ11は、層間絶縁膜13(
図1)上に交互に積層された複数のワード線WLと複数の絶縁層51とを備えている。ワード線WLは、例えばW(タングステン)層である。絶縁層51は、例えばシリコン酸化膜である。
【0019】
柱状部CLは、ブロック絶縁膜52、電荷蓄積層53、トンネル絶縁膜54、チャネル半導体層55、およびコア絶縁膜56を順に含んでいる。電荷蓄積層53は、例えばシリコン窒化膜であり、ワード線WLおよび絶縁層51の側面にブロック絶縁膜52を介して形成されている。電荷蓄積層53は、ポリシリコン層などの半導体層でもよい。チャネル半導体層55は、例えばポリシリコン層であり、電荷蓄積層53の側面にトンネル絶縁膜54を介して形成されている。ブロック絶縁膜52、トンネル絶縁膜54、およびコア絶縁膜56は、例えばシリコン酸化膜または金属絶縁膜である。
【0020】
図3は、本実施形態のチェーンパターンの配置を示す該略平面図である。
図3は、貼合面Sに対して略垂直方向(Z方向)から見たアレイチップ1の概略平面を示す。
【0021】
第1パターンとしてのチェーンパターン100a~100cは、アレイチップ1と回路チップ2との配線接合部の接続不良を検出するためのTEG(Test Element Group)パターンである。チェーンパターン100a~100cは、
図5を参照して後述するように、アレイチップ1の金属パッド41、ビアプラグ42、配線層43、および、回路チップ2の配線層36、ビアプラグ37、金属パッド38を連続的に接続したパターンであり、
図1の金属パッド41と金属パッド38との接合部において互いに電気的に接続されている。
【0022】
メモリセルアレイ領域R11は、メモリセルアレイ11が設けられている領域である。階段領域R21は、メモリセルアレイ11の端部の階段構造部21が設けられている領域である。階段領域R21の外側には、TEG領域Rtegが設けられている。TEG領域Rtegには、メモリセルアレイ11等の半導体素子は設けられていないが、試験パターンが設けられている。
【0023】
チェーンパターン100aは、メモリセルアレイ領域R11に設けられており、Z方向から見た平面視においてメモリセルアレイ11と重複している。チェーンパターン100aは、メモリセルアレイ11の下方において金属パッド38と金属パッド41との間の接合不良を検出する試験パターンである。尚、チェーンパターン100aの金属パッド41は、メモリセルアレイ11に用いられている金属パッドと同じ層に設けられているが、メモリセルアレイ11には接続されてはおらず、試験パターン用の金属パッドとして設けられている。
【0024】
チェーンパターン100bは、Z方向から見た平面視において、メモリセルアレイ11と該メモリセルアレイ11の端部に設けられた階段構造部21との両方に重複する。即ち、チェーンパターン100bは、メモリセルアレイ領域R11と階段領域R21との境界部にジグザグ状に設けられている。メモリセルアレイ11の端部には、ビット線とメモリストリングとの間を接続するドレイン側選択ゲートに用いられる金属パッド38、41が設けられている。チェーンパターン100bは、このドレイン側選択ゲートに用いられる金属パッド38と金属パッド41との間の接合不良を検出する試験パターンである。
【0025】
チェーンパターン100cは、Z方向から見た平面視において、階段構造部21と該階段構造部21の周辺にある試験領域としてのTEG領域Rtegとの両方に重複する。即ち、チェーンパターン100cは、階段領域R21とTEG領域Rtegとの境界部にジグザグ状に設けられている。チェーンパターン100cは、階段構造部21およびTEG領域Rtegにある金属パッド38と金属パッド41との間の接合不良を検出する。
【0026】
メモリセルアレイ領域R11と階段領域R21との境界部、および、階段領域R21とTEG領域Rtegとの境界部では、アレイチップ1の構造が変化する。この構造の変化は、金属パッド38、41の接続不良の原因となるおそれがある。従って、本実施形態では、メモリセルアレイ領域R11だけでなく、このようなメモリセルアレイ領域R11と階段領域R21との境界部、あるいは、メモリセルアレイ領域R11とTEG領域Rtegとの境界部にチェーンパターン100a~100cを配置している。これにより、金属パッド38、41の接続不良を検出し易くなる。
【0027】
TEG領域Rtegには、金属パッド46が設けられている。第3または第4パッドとしての金属パッド46は、アレイチップ1および回路チップ2の外部デバイスとの接続を可能にする。金属パッド46は、チェーンパターン100a~100cの端部に接続されており、外部からチェーンパターン100a~100cに試験信号を入力するために設けられている。例えば、各チェーンパターン100a~100cの両端にそれぞれ金属パッド46が接続されている。チェーンパターン100a~100cの一端の金属パッド46と他端の金属パッド46との間に電力を印加して、各チェーンパターン100a~100cの抵抗値を測定する。この抵抗値が所定の閾値よりも大きい場合に、金属パッド38と金属パッド41との間に接続不良が発生していると判断することができる。
【0028】
図4は、チェーンパターンの構成を示す該略平面図である。
図4は、Z方向から見たチェーンパターン100aの該略平面を示す。
図5は、
図4のチェーンパターンの該略断面図である。
【0029】
図5に示すように、チェーンパターン100a~100c(以下、まとめて、チェーンパターン100ともいう)は、配線層36と、ビアプラグ37と、金属パッド38と、金属パッド41と、ビアプラグ42と、配線層43とがこの順番で連続して直列に接続された構成を有する。
【0030】
チェーンパターン100は、配線層36と、ビアプラグ37と、金属パッド38と、金属パッド41と、ビアプラグ42と、配線層43とが1つずつ直列に接続された単位チェーン構造U1を有する。チェーンパターン100は、単位チェーン構造U1を1つだけ有してもよいし、複数の単位チェーン構造U1を直列接続して構成されてもよい。単位チェーン構造U1は、金属パッド38と金属パッド41との接合部を1つ含む。従って、チェーンパターン100は、直列接続される単位チェーン構造U1の数と同数の接合部を含むことになる。このようなチェーンパターン100を試験することによって、チェーンパターン100に含まれる単位チェーン構造U1の接合部を試験することができる。
【0031】
1つのチェーンパターン100に直列接続される単位チェーン構造U1の個数は、特に限定しない。しかし、直列接続されるチェーンパターン100の数は、1以上であり、10×103~10×106の場合がある。
【0032】
図4に示す接合部Bは、金属パッド38と金属パッド41との接合部である。ビアプラグ37、42は、接合部Bに重複しており、
図4では表示されていない。配線層36および配線層43は、隣接する複数の接合部B間に交互に接続されている。また、配線層36または43は、
図3に示すように金属パッド46から接合部Bまで延伸しており、金属パッド46と接合部Bの金属パッド41との間に接続されている。チェーンパターン100の配線位置および配線長さは、任意であり、特に限定しない。ただし、
図4では図示しないが、チェーンパターン100b、100cは、メモリセルアレイ領域R11と階段領域R21との境界部、および、階段領域R21とTEG領域Rtegとの境界部を、X方向に往復して交差することが好ましい。これにより、チェーンパターン100b、100cは、これらの境界部における接続不良を効率的に試験することができる。
【0033】
図6は、チェーンパターン100および金属パッド46の構成例を示す該略図である。
【0034】
配線層43は、配線層43_1、43_2を含む。配線層43_1、43_2はチェーンパターン100の両端にある接合部Bから金属パッド46までの配線であり、チェーンパターン100の端部の配線である。配線層43_1、43_2は、外部との接続に用いられる金属パッド46から最初(または最後)の接合部Bまでの配線層43である。あるいは、配線層43_1、43_2は、金属パッド46から最初(または最後)の金属パッド38または41までの配線層43と言ってもよい。
【0035】
配線層36は、配線層36_1、36_2を含む。配線層36_1、36_2はチェーンパターン100の両端にある接合部Bから金属パッド46までの配線であり、チェーンパターン100の端部の配線である。配線層36_1、36_2は、外部との接続に用いられる金属パッド46から最初(または最後)の接合部Bまでの配線層36である。あるいは、配線層36_1、36_2は、金属パッド46から最初(または最後)の金属パッド38または41までの配線層36と言ってもよい。
【0036】
配線層43_1、43_2の長さをそれぞれL43_1、L43_2とする。配線層36_1、36_2の長さをそれぞれL36_1、L36_2とする。このとき、配線長L43_1、L43_2、L36_1、L36_2と接合不良率との関係は
図7のグラフに示す関係となることがわかった。また、貼合パッド38と貼合パッド41との間の配線層36およびその他の貼合パッド間の配線層36のそれぞれの長さと接合不良率との関係も同様の関係を有することがわかった。
【0037】
図7は、配線長L43_1、L43_2、L36_1、L36_2と接合部Bの歩留まりとの関係を示すグラフである。このグラフから、配線長L43_1、L43_2、L36_1、L36_2が長いと、歩留まりが低下していることがわかる。これは、各チェーンパターン100の端部の配線層36、43の配線長L43_1、L43_2、L36_1、L36_2が長いと、接合部Bにおける金属パッド41と金属パッド38との接合不良が増大していることを意味する。例えば、配線層36、43の配線長L43_1、L43_2、L36_1、L36_2は、1mmを超えると、歩留まりは低下し始める。従って、配線層36、43の配線長L43_1、L43_2、L36_1、L36_2は、1mm以下であることが好ましい。また、貼合パッド38と貼合パッド41との間の配線層36およびその他の貼合パッド間の配線層36のそれぞれの長さについても、1mmを超えると、同様に歩留まりが低下し始める。
【0038】
即ち、金属パッド46からビアプラグ37までの配線層36の長さL36_1、L36_2は、1mm以下であることが好ましい。金属パッド46からビアプラグ42までの配線層43の長さL43_1、L43_2は、1mm以下であることが好ましい。さらに、貼合パッド38と貼合パッド41との間の配線層36およびその他の貼合パッド間の配線層36のそれぞれの長さも1mm以下であることが好ましい。これにより、金属パッド41と金属パッド38との接合不良を低減させ、歩留まりの向上に繋がる。尚、この接合不良は、チェーンパターン100のチェーン規模(単位チェーン構造U1の連結個数)には依存しないことが分かった。
【0039】
次に、金属パッド41と金属パッド38との接合不良について説明する。
【0040】
図8は、金属パッド41と金属パッド38との接合不良の一例を示す該略断面図である。
図8の左側の金属パッド38と金属パッド41は、貼合面Sにおいて正常に接合されている。
図8の右側の金属パッド38と金属パッド41は、貼合面Sにおいて離間しており、接合不良となっている。これは、金属パッド38および/または41の材料がCMP(Chemical Mechanical Polishing)等の工程においてコロージョンにより削られてしまうからである。
【0041】
図9および
図10は、回路チップ2の金属パッド38のディッシングの様子を示す図である。尚、
図9および
図10では、回路チップ2について説明するが、アレイチップ1の金属パッド41のディッシングについても同様である。
【0042】
アレイチップ1と回路チップ2とを貼合する前に、前工程において、金属パッド38および層間絶縁膜14は、CMP法を用いて研磨され、平坦化される。このCMP工程において、金属パッド38は、研磨パッドによって物理的に研磨されるだけでなく、スラリが金属パッド38に接触して化学的に研磨される。例えば、金属パッド38の材料の銅は、スラリによって、Cu→Cu2++2e-の化学反応によって削られる。このスラリと金属パッド38の材料(例えば、銅)との化学反応は、金属パッド38の配置密度(単位面積当たりの金属パッド38の露出面積)に依存して変化する。即ち、金属パッド38の配置密度の高い領域では、スラリは、多くの金属パッド38の研磨に使用されるため、スラリのケミカルポテンシャルが低くる。一方、金属パッド38の配置密度の低い領域では、スラリは、少ない金属パッド38の研磨にしか使用されないため、スラリのケミカルポテンシャルが高いまま維持される。従って、金属パッド38の配置密度の高い領域では、金属パッド38はさほど削られず、ディッシングが生じにくい。一方、金属パッド38の配置密度の低い領域では、金属パッド38は削られ易く、ディッシングが生じ易い。アレイチップ1の金属パッド41についても同様のことが言える。
【0043】
従って、例えば、
図9に示すように、半導体チップあるいは半導体ウェハの端部Eにおいて、金属パッド38、41は、窪んでいることが多く、接合不良を生じやすい。また、
図10に示すように、金属パッド38、41の密度の高い領域に比較して、その密度の低い領域において、金属パッド38、41が、窪んでいることが多く、接合不良を生じやすい。
【0044】
図11および
図12は、貼合後の半導体ウェハ面内における接合不良のチップ位置を示す図である。
図11および
図12を参照すると、半導体ウェハの端部の半導体チップが接合不良を引き起こしていることがわかる。
【0045】
上記のように、金属パッド46からビアプラグ37までの配線層36の長さL36_1、L36_2を1mm以下にすることによって、金属パッド38のディッシングが抑制される。これは、配線層36、43の長さを1mm以下にすることによって、金属パッド38、46の露出密度が低下する。金属パッド46からビアプラグ42までの配線層43の長さL43_1、L43_2、並びに、貼合パッド38と貼合パッド41との間の配線層36およびその他の貼合パッド間の配線層36のそれぞれの長さについても同様である。その結果、本実施形態による半導体装置は、配線同士の接合不良を抑制し、歩留まりを向上させることができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1:アレイチップ、2:回路チップ、11:メモリセルアレイ、12:絶縁膜、13,14:層間絶縁膜、15,16:基板、 21:階段構造部、22,33:コンタクトプラグ、 23:ワード配線層、24,37,42,45:ビアプラグ、 31:トランジスタ、32:ゲート電極、 34,35,43,44:配線層、 36:配線層、38,41,46:金属パッド、47:パッシベーション膜、100a~100c:チェーンパターン、