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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】運行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20240101AFI20240515BHJP
   G06Q 50/43 20240101ALI20240515BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/43
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020158809
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052422
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】谷本 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 仁也
(72)【発明者】
【氏名】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】高井 美紀子
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-056135(JP,A)
【文献】特開2013-186541(JP,A)
【文献】特開2020-149576(JP,A)
【文献】特開2014-235527(JP,A)
【文献】特開2019-086993(JP,A)
【文献】ケーススタディ エムダブルエス日高 デイサービス送迎車への「相乗り」で非通所日の外出をサポート 「新たな交通網」を目指す,月刊シニアビジネスマーケット SENIOR BUSINESS MARKET,綜合ユニコム(株),2020年02月01日,第17巻, 第2号,p.28-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、前記被介護者以外の利用者を前記被介護者と同乗させる車両の運行管理システムであって、
前記介護関連施設の位置に関する施設情報と、前記複数の被介護者の送迎位置に関する被介護者情報と、前記利用者の乗車位置および降車位置に関する利用者情報と、荷物の荷積位置および荷下位置と、荷物のサイズとに関する荷物情報とを格納する格納手段と、
前記格納手段に格納される情報に基づいて、車両の運行計画を計算する運行計画計算手段と、を備え、
前記運行計画計算手段は、
前記施設情報および前記被介護者情報に基づいて、前記被介護者のみを前記介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算するステップと、
前記一次運行計画における車両の乗車人数と、前記一次運行計画における車両の運行ルートと、前記利用者情報とに基づいて、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画があるか否かを判断するステップと、
前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画がない場合、前記一次運行計画を維持するステップと、
前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画がある場合、前記一次運行計画および前記利用者情報に基づいて、前記被介護者を送迎するとともに、前記利用者を輸送する二次運行計画を計算するステップと、
前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画がないと判断し維持した前記一次運行計画における車両の積載可能体積、または、前記二次運行計画における車両の積載可能体積と、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画がないと判断し維持した前記一次運行計画における車両の運行ルート、または、前記二次運行計画における車両の運行ルートと、前記荷物情報とに基づいて、前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画または前記二次運行計画があるか否かを判断するステップと、
前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画または前記二次運行計画がある場合、前記一次運行計画または前記二次運行計画と、前記荷物情報とに基づいて、前記被介護者を送迎するとともに、前記荷物を輸送する三次運行計画を計算するステップと、を含んでいる、運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、介護関連施設では、スタッフが、複数の被介護者を被介護者の自宅から介護関連施設へ送迎している。介護関連施設を利用する被介護者は、日によって異なるため、介護関連施設のスタッフは、各日において送迎する被介護者に応じた巡回ルートを作成している。
【0003】
このような被介護者の送迎の効率化を図るために、効率的な被介護者の巡回ルートを作成する送迎支援システムが種々検討されている。
【0004】
例えば、被介護者の送迎位置に関する被介護者情報、使用可能な車両に関する車両情報、送迎可能な人員に関する人員情報などを格納するデータメモリ領域と、データメモリ領域から抽出された特定の情報に基づいて巡回ルートを計算する計算プログラムと、を備える送迎支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-68504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、特許文献1に記載の送迎支援システムにより作成された巡回ルートを、車両が運行するときに、車両に空席および/または荷物の積載可能スペースが生じる場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両のおよび/または積載可能スペースを利用して被介護者以外の利用者または荷物を輸送できる運行管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、複数の被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、前記被介護者以外の利用者を前記被介護者と同乗させる車両の運行管理システムであって、前記介護関連施設の位置に関する施設情報と、前記複数の被介護者の送迎位置に関する被介護者情報と、前記利用者の乗車位置および降車位置に関する利用者情報とを格納する格納手段と、前記格納手段に格納される情報に基づいて、車両の運行計画を計算する運行計画計算手段と、を備え、前記運行計画計算手段は、前記施設情報および前記被介護者情報に基づいて、前記被介護者のみを前記介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算するステップと、前記一次運行計画における車両の乗車人数と、前記一次運行計画における車両の運行ルートと、前記利用者情報とに基づいて、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画があるか否かを判断するステップと、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画がない場合、前記一次運行計画を維持するステップと、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画がある場合、前記一次運行計画および前記利用者情報に基づいて、前記被介護者を送迎するとともに、前記利用者を輸送する二次運行計画を計算するステップと、を含んでいる、運行管理システムを含む。
【0009】
このような構成によれば、運行計画計算手段は、被介護者のみを介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算した後、被介護者以外の利用者の乗車および降車を一次運行計画に組み込み可能か判断する。そして、運行計画計算手段は、利用者の乗車および降車を一次運行計画に組み込み可能である場合、被介護者を送迎するとともに、利用者を輸送する二次運行計画を計算する。
【0010】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両の空席を利用して被介護者以外の利用者を、希望の乗車位置から降車位置まで輸送することができる。
【0011】
本発明[2]は、前記格納手段は、荷物の荷積位置および荷下位置と、荷物のサイズとに関する荷物情報をさらに格納し、前記運行計画計算手段は、前記一次運行計画または前記二次運行計画における車両の積載可能体積と、前記一次運行計画または前記二次運行計画における車両の運行ルートと、前記荷物情報とに基づいて、前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画または前記二次運行計画があるか否かを判断するステップと、前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画または前記二次運行計画がある場合、前記一次運行計画または前記二次運行計画と、前記荷物情報とに基づいて、前記被介護者を送迎するとともに、前記荷物を輸送する三次運行計画を計算するステップと、を含んでいる、上記[1]に記載の運行管理システムを含む。
【0012】
このような構成によれば、運行計画計算手段は、荷物の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能か判断する。そして、運行計画計算手段は、荷物の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能である場合、被介護者を送迎するとともに、荷物を輸送する三次運行計画を計算する。
【0013】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両の積載可能スペースを利用して、荷物を希望の荷積位置から荷下位置まで輸送することができる。
【0014】
本発明[3]は、複数の被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、前記被介護者の送迎とともに、荷物を輸送する車両の運行管理システムであって、前記介護関連施設の位置に関する施設情報と、前記複数の被介護者の送迎位置に関する被介護者情報と、前記荷物の荷積位置、荷下位置および荷物のサイズに関する荷物情報とを格納する格納手段と、前記格納手段に格納される情報に基づいて、車両の運行計画を計算する運行計画計算手段と、を備え、前記運行計画計算手段は、前記施設情報および前記被介護者情報に基づいて、前記被介護者のみを前記介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算するステップと、前記一次運行計画における車両の積載可能体積と、前記一次運行計画における車両の運行ルートと、前記荷物情報とに基づいて、前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画があるか否かを判断するステップと、前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画がない場合、前記一次運行計画を維持するステップと、前記荷物の輸送を組み込み可能な前記一次運行計画がある場合、前記一次運行計画および前記荷物情報に基づいて、前記被介護者を送迎するとともに、前記荷物を輸送する二次運行計画を計算するステップと、を含んでいる、運行管理システムを含む。
【0015】
このような構成によれば、運行計画計算手段は、被介護者のみを介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算した後、荷物の輸送を一次運行計画に組み込み可能か判断する。そして、運行計画計算手段は、荷物の輸送を一次運行計画に組み込み可能である場合、被介護者を送迎するとともに、荷物を輸送する二次運行計画を計算する。
【0016】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両の積載可能スペースを利用して荷物を、希望の荷積位置から荷下位置まで輸送することができる。
【0017】
本発明[4]は、前記格納手段は、記被介護者以外の利用者の乗車位置および降車位置に関する利用者情報をさらに格納し、前記運行計画計算手段は、前記一次運行計画または前記二次運行計画における車両の乗車人数と、前記一次運行計画または前記二次運行計画における車両の運行ルートと、前記利用者情報とに基づいて、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画または前記二次運行計画があるか否かを判断するステップと、前記利用者の乗車および降車を組み込み可能な前記一次運行計画または前記二次運行計画がある場合、前記一次運行計画または前記二次運行計画と、前記利用者情報とに基づいて、前記被介護者を送迎するとともに、前記利用者を輸送する三次運行計画を計算するステップと、を含んでいる、上記[3]に記載の運行管理システムを含む。
【0018】
このような構成によれば、運行計画計算手段は、被介護者以外の利用者の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能か判断する。そして、運行計画計算手段は、利用者の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能である場合、被介護者を送迎するとともに、利用者を輸送する三次運行計画を計算する。
【0019】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両の空席を利用して、利用者を希望の乗車位置から降車位置まで輸送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の運行管理システムによれば、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両の空席または積載可能スペースを利用して被介護者以外の利用者または荷物を輸送できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の運行管理システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図2図2は、図1に示す運行管理システムの処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<運行管理システム>
図1を用いて、本発明の運行管理システムの一実施形態を説明する。
【0023】
図1に示すように、運行管理システム1は、複数の被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者以外の利用者を被介護者と同乗させて輸送する車両の運行を管理するシステムである。運行管理システム1が管理する車両の運行は、好ましくは、被介護者の送迎および利用者の輸送に加えて、荷物を輸送する。
【0024】
運行管理システム1は、例えば、介護関連施設から委託を受けて、被介護者を送迎する送迎事業者により管理される。
【0025】
介護関連施設とは、高齢者などの介護が必要な人たちを介護する施設である。介護関連施設として、例えば、デイサービス、デイケア、認知対応型デイサービス、ショートステイ、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、グループホーム、特定養護老人ホーム、および、介護老人保健施設が挙げられる。
【0026】
運行管理システム1は、制御部2と、格納手段の一例としてのデータベース3と、通信部4とを備える。
【0027】
制御部2は、例えば、中央処理装置(CPU)、ROMおよびRAMを備える。制御部2は、有線および/または無線により、データベース3および通信部4に接続される。制御部2は、通信部4を制御する。制御部2は、通信部4が受信した情報を、データベース3に格納する。
【0028】
制御部2は、運行計画計算手段の一例としての運行計画計算プログラム21を有する。運行計画計算プログラム21は、詳しくは後述するが、データベース3に格納される情報に基づいて、車両の運行計画を計算する。
【0029】
データベース3は、車両情報、施設情報、被介護者情報、利用者情報、および、荷物情報を格納可能である。
【0030】
車両情報は、送迎事業者が管理する車両の仕様に関する。送迎事業者が管理する車両の数は、1台であってもよく、複数であってもよい。車両情報は、送迎事業者が管理する車両の台数に応じて、1以上の車両の仕様情報を含む。車両情報は、予めデータベース3に格納されている。
【0031】
車両情報は、車両における最大乗車人数、および、車両における荷物の最大積載体積を含む。車両情報は、好ましくは、最大乗車人数および最大積載体積に加えて、車両が有する介護用設備情報を含む。
【0032】
車両における最大乗車人数は、運転者を含まず、車両に乗車可能な利用者の数であって、運転手を除いた車両の定員である。
【0033】
車両における荷物の最大積載体積は、例えば、車両の積載可能スペースに積載できる最大体積である。車両の積載可能スペースとして、例えば、車両のトランクが挙げられる。
【0034】
車両が有する介護用設備として、例えば、車イス移動スローパー車、車イス移動リフト車、および、サイド昇降シートが挙げられる。
【0035】
施設情報は、介護関連施設の位置に関する。言い換えれば、施設情報は、介護関連施設の位置情報を少なくとも含む。施設情報は、介護関連施設の位置情報に加えて、好ましくは、車両の介護関連施設への希望到着時間を含む。
【0036】
被介護者情報は、複数の被介護者のそれぞれの送迎位置に関する。言い換えれば、被介護者情報は、複数の被介護者のそれぞれの送迎位置情報を含む。被介護者情報は、被介護者の送迎位置情報に加えて、好ましくは、被介護者の身体情報を含む。身体情報として、例えば、車いすの利用有無、歩行器の利用有無、身体障害の有無、および、要支援・要介護度合いが挙げられる。被介護者情報は、さらに、被介護者付加情報を含んでもよい。被介護者付加情報として、例えば、被介護者の希望送迎時間、被介護者が車両の乗降に要する乗降時間、申し送り事項、および、希望(車・ドライバー・介助員・時間・座席)、相性(車・ドライバー・介助員・時間・座席)が挙げられる。
【0037】
詳しくは後述するが、施設情報および被介護者情報は、送迎の委託を希望する介護関連施設が有する端末機器5Aから、運行管理システム1の通信部4に送信される。そして、通信部4が施設情報および被介護者情報を受信した後、制御部2は、データベース3に施設情報および被介護者情報を格納する。
【0038】
利用者情報は、車両による輸送を希望する利用者の乗車位置および降車位置に関する。車両による輸送を希望する利用者の人数は、1人であってもよく、複数人であってもよい。利用者情報は、輸送を希望する利用者の人数に応じて、1以上の利用者に関する乗車位置情報および降車位置情報を含む。利用者情報は、さらに、利用者付加情報を含んでもよい。利用者付加情報として、例えば、利用者の希望乗車時間および希望降車時間、利用者の身体情報(要支援・介護度合い)、利用者の年齢情報、利用者の家族情報、行先、希望(車・ドライバー・介助員・時間・座席)、相性(車・ドライバー・介助員・時間・座席)、および、申し送り事項が挙げられる。
【0039】
詳しくは後述するが、利用者情報は、輸送を希望する利用者が有する端末機器5Bから、運行管理システム1の通信部4に送信される。そして、通信部4が利用者情報を受信した後、制御部2は、データベース3に利用者情報を格納する。
【0040】
荷物情報は、車両による輸送を希望する荷物に関し、詳しくは、荷物の荷積位置および荷下位置と、荷物のサイズ(縦・横・幅)とに関する。車両による輸送を希望する荷物の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。荷物情報は、輸送を希望する荷物の数に応じて、1以上の荷物に関する、荷積位置情報および荷下位置情報と、サイズ情報とを含む。荷物情報は、さらに、荷物付加情報を含んでもよい。荷物付加情報として、例えば、荷物の希望配達時間、荷物の中身情報、荷物の重量、および、要冷凍・要冷蔵・天地無用・割れ物注意・精密機器・上積み・危険品・匂いが発生するか否かが挙げられる。
【0041】
詳しくは後述するが、荷物情報は、荷送希望者が有する端末機器5Cから、運行管理システム1の通信部4に送信される。そして、通信部4が荷物情報を受信した後、制御部2は、データベース3に荷物情報を格納する。
【0042】
通信部4は、通信ネットワークNを介して、複数の端末機器5と通信可能である。通信部4は、例えば、無線送受信器である。これによって、運行管理システム1は、通信ネットワークNを介して、複数の端末機器5から情報を受信できる。
【0043】
端末機器5として、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型パソコン、および、スマートフォンが挙げられる。複数の端末機器5は、例えば、介護施設端末5A、利用者端末5Bおよび荷送希望者端末5Cを含む。
【0044】
介護施設端末5Aは、介護関連施設に所有されている。利用者端末5Bは、輸送を希望する利用者に所有されている。荷送希望者端末5Cは、荷物の輸送を希望する利用者に所有されている。なお、図1において、便宜上、端末機器5A、利用者端末5Bおよび荷送希望者端末5Cは、それぞれ1つずつであるが、端末機器5A、利用者端末5Bおよび荷送希望者端末5Cのそれぞれの個数は、特に制限されず、2以上であってもよい。また、利用者端末5Bおよび荷送希望者端末5Cは、同じ端末であってもよい。
【0045】
<運行管理システムの処理>
【0046】
次いで、図2を参照して、運行管理システム1の処理を説明する。
【0047】
運行管理システム1は、まず、上記した施設情報、上記した被介護者情報、上記した利用者情報および上記した荷物情報を取得する。
【0048】
具体的には、施設情報および被介護者情報が、介護施設端末5Aから運行管理システム1の通信部4に送信される。通信部4が施設情報および被介護者情報を受信すると、制御部2は、施設情報および被介護者情報をデータベース3に格納する。
【0049】
また、利用者情報が、利用者端末5Bから通信部4に送信される。通信部4が利用者情報を受信すると、制御部2は、利用者情報をデータベース3に格納する。
【0050】
また、荷物情報が、荷送希望者端末5Cから通信部4に送信される。通信部4が荷物情報を受信すると、制御部2は、荷物情報をデータベース3に格納する。
【0051】
これによって、運行管理システム1が施設情報および被介護者情報を取得する(ステップS1)。
【0052】
次いで、制御部2は、運行計画計算プログラム21を実行する。運行計画計算プログラム21は、まず、施設情報および被介護者情報に基づいて、複数の被介護者のみを介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算する(ステップS2)。
【0053】
詳しくは、一次運行計画は、特定車両情報と、運行ルートと、車両の乗車人数と、車両の積載可能体積とを含む。
【0054】
特定車両情報は、運行計画を実行する特定車両の仕様情報である。運行計画計算プログラム21は、データベース3に格納される車両情報のなかから、車両情報および被介護者情報に適した特定車両を選出する。例えば、車両情報が介護用設備情報を含み、被介護者情報が身体情報を含む場合、運行計画計算プログラム21は、身体情報に応じた介護用設備を有する車両を、特定車両として選出する。
【0055】
次いで、運行計画計算プログラム21は、特定車両情報、施設情報および被介護者情報に基づいて、運行ルートを算出する。運行ルートは、複数の被介護者の送迎位置を経て、介護関連施設に到達する。例えば、施設情報が希望到着時間を含む場合、運行計画計算プログラム21は、希望到着時間までに、車両が介護関連施設に到達するように、運行ルートを算出する。
【0056】
そして、運行計画計算プログラム21は、特定車両情報および運行ルートに基づいて、運行ルートが含む複数の送迎位置のうち互いに隣り合う送迎位置間(以下、セクションとする。)における、車両の乗車人数と、車両の積載可能体積とを算出する。なお、特定車両に予め荷物が積載されていなければ、一次運行計画における車両の積載可能体積は、車両情報における最大積載体積と同じである。
【0057】
なお、被介護者情報が被介護者付加情報を含む場合、運行計画計算プログラム21は、被介護者付加情報を考慮して、一次運行計画を算出してもよい。
【0058】
次いで、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画における各セクションの車両の乗車人数と、一次運行計画における車両の運行ルートと、データベース3に格納されている利用者情報とに基づいて、利用者の乗車および降車を組み込み可能な一次運行計画があるか否かを判断する(ステップS3)。
【0059】
詳しくは、運行計画計算プログラム21は、データベース3に格納される情報のうち、乗車位置および降車位置の両方が一次運行計画の運行ルートから所定距離の範囲内に位置する利用者情報があるか否かを判断する。
【0060】
そして、該当する利用者情報がある場合、運行計画計算プログラム21は、各セクションの車両の乗車人数と、利用者の乗車位置および降車位置とに基づいて、利用者の乗車位置および降車位置を運行ルートに組み込み可能か否かを判断する。
【0061】
このとき、運行計画計算プログラム21は、施設情報が希望到着時間を含む場合、車両が希望到着時間までに介護関連施設に到達するか否かを、一次運行計画に対する利用者の乗車および降車の組み込み可否の判断基準としてもよい。
【0062】
また、被介護者情報が被介護者付加情報を含む場合、および/または、利用者情報が利用者付加情報を含む場合、運行計画計算プログラム21は、被介護者付加情報および/または利用者付加情報を考慮して、一次運行計画に対する利用者の乗車および降車の組み込み可否の判断をしてもよい。
【0063】
そして、利用者の乗車および降車を組み込み可能な一次運行計画がある場合(ステップS3のYes)、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画および利用者情報に基づいて、複数の被介護者を送迎するとともに、利用者を乗車および降車させる二次運行計画を算出する(ステップS4)。
【0064】
なお、利用者の乗車および降車を組み込み可能な一次運行計画がない場合(ステップS3のNo)、運行計画計算プログラム21は、利用者の輸送予約が不可であると判断する(ステップS5)。そして、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画を維持する(ステップS6)。
【0065】
つまり、制御部2は、ステップS3における運行計画計算プログラム21の判断に応じて、一次運行計画または二次運行計画を保持している。
【0066】
次いで、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画または二次運行計画の車両の積載可能体積と、一次運行計画または二次運行計画における車両の運行ルートと、データベース3に格納されている荷物情報とに基づいて、荷物の輸送を組み込み可能な一次運行計画または二次運行計画があるか否かを判断する(ステップS7)。
【0067】
詳しくは、運行計画計算プログラム21は、データベース3に格納される情報のうち、荷積位置および荷下位置の両方が一次運行計画または二次運行計画の運行ルートから所定距離の範囲内に位置する荷物情報があるか否かを判断する。
【0068】
そして、該当する荷物情報がある場合、運行計画計算プログラム21は、各セクションの車両の積載可能体積と、荷物の荷積位置および荷下位置と、荷物のサイズとに基づいて、荷物の荷積位置および荷下位置を運行ルートに組み込み可能か否かを判断する。
【0069】
このとき、運行計画計算プログラム21は、施設情報が希望到着時間を含む場合、車両が希望到着時間までに介護関連施設に到達するか否かを、一次運行計画または二次運行計画に対する荷物の輸送の組み込み可否の判断基準としてもよい。
【0070】
また、被介護者情報が被介護者付加情報を含む場合、利用者情報が利用者付加情報を含む場合、および/または、荷物情報が荷物付加情報を含む場合、運行計画計算プログラム21は、被介護者付加情報、利用者付加情報および/または荷物付加情報を考慮して、一次運行計画または二次運行計画に対する荷物の輸送の組み込み可否を判断してもよい。
【0071】
そして、荷物の輸送を組み込み可能な一次運行計画または二次運行計画がある場合(ステップS7のYes)、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画または二次運行計画と、荷物情報とに基づいて、複数の被介護者を送迎するとともに、荷物を輸送し、必要に応じて、利用者を輸送する第三次運行計画を算出する(ステップS8)。
【0072】
詳しくは、ステップS3において利用者輸送を組み込み可能な一次運行計画があると判断され、ステップS4において二次運行計画が算出された場合、運行計画計算プログラム21は、複数の被介護者を送迎するとともに、利用者および荷物を輸送する第三次運行計画を算出する。
【0073】
また、ステップS3において利用者輸送を組み込み可能な一次運行計画がないと判断され、ステップS6において一次運行計画が維持されていた場合、運行計画計算プログラム21は、複数の被介護者を送迎するとともに、荷物を輸送し、利用者を輸送しない第三次運行計画を算出する。
【0074】
なお、運行計画計算プログラム21は、荷物の輸送を組み込み可能な一次運行計画または二次運行計画がないと判断した場合(ステップS7のNo)、運行計画計算プログラム21は、荷物の輸送予約が不可であると判断する(ステップS9)。そして、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画または二次運行計画を維持する(ステップS10)。
【0075】
以上によって、運行計画が確定する。
【0076】
<作用効果>
図2に示すように、運行計画計算プログラム21は、被介護者のみを介護関連施設に送迎する一次運行計画を計算した後(ステップS2)、被介護者以外の利用者の乗車および降車を一次運行計画に組み込み可能か判断する(ステップS3)。そして、運行計画計算プログラム21は、利用者の乗車および降車を一次運行計画に組み込み可能である場合、被介護者を送迎するとともに、利用者を輸送する二次運行計画を計算する(ステップS4)。
【0077】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎できながら、車両の空席を利用して被介護者以外の利用者を、希望の乗車位置から降車位置まで輸送することができる。
【0078】
また、運行計画計算プログラム21は、荷物の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能か判断する(ステップS7)。そして、運行計画計算プログラム21は、荷物の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能である場合、被介護者を送迎するとともに、荷物を輸送する三次運行計画を計算する(ステップS8)。
【0079】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎でき、さらに被介護者以外の利用者を優先的に輸送できながら、車両の積載可能スペースを利用して、荷物を希望の荷積位置から荷下位置まで輸送することができる。
【0080】
<変形例>
上記した実施形態では、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画を計算した後(ステップS2)、利用者の乗車および降車を一次運行計画に組み込み可能か判断し(ステップS3)、その後、荷物の輸送を一次運行計画または二次運行計画に組み込み可能か判断するが(ステップS7)、本発明は、これに限定されない。
【0081】
運行計画計算プログラム21は、一次運行計画を計算した後(ステップS2)、利用者の輸送に先立って、荷物の輸送を一次運行計画に組み込み可能か判断してもよい。
【0082】
具体的には、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画を計算した後(ステップS2)、一次運行計画における車両の積載可能体積と、一次運行計画における車両の運行ルートと、荷物情報とに基づいて、荷物の輸送を組み込み可能な一次運行計画があるか否かを判断する。
【0083】
そして、運行計画計算プログラム21は、荷物の輸送を組み込み可能な一次運行計画がない場合、一次運行計画を維持し、荷物の輸送を組み込み可能な一次運行計画がある場合、一次運行計画および荷物情報に基づいて、被介護者を送迎するとともに、荷物を輸送する二次運行計画を計算する。
【0084】
その後、運行計画計算プログラム21は、一次運行計画または二次運行計画における車両の乗車人数と、一次運行計画または二次運行計画における車両の運行ルートと、利用者情報とに基づいて、利用者の乗車および降車を組み込み可能な一次運行計画または二次運行計画があるか否かを判断してもよい。運行計画計算プログラム21は、利用者の乗車および降車を組み込み可能な一次運行計画または二次運行計画がある場合、一次運行計画または二次運行計画と、利用者情報とに基づいて、被介護者を送迎するとともに、利用者を輸送する三次運行計画を計算する。
【0085】
そのため、被介護者を介護関連施設に送迎する車両の運行において、被介護者を優先的に送迎でき、さらに荷物を優先的に輸送できながら、車両の空席を利用して、被介護者以外の利用者を希望の乗車位置から降車位置まで輸送することができる。
【0086】
また、上記した実施形態では、運行管理システム1は、介護関連施設から委託を受けて被介護者を送迎する送迎事業者により管理されるが、運行管理システム1の管理者は、特に制限されない。運行管理システム1は、介護関連施設に管理されていてもよい。この場合、施設情報は、予めデータベース3に格納されている。そして、被介護者情報は、被介護者が所有する端末機器から通信部4に送信される。
【0087】
また、上記した実施形態では、各種情報(施設情報、被介護者情報、利用者情報、荷物情報)が端末機器5から運行管理システム1に送信されるが、運行管理システム1による情報の取得手段は、特に制限されない。各種情報は、例えば、運行管理システム1を管理する管理者に、介護関連施設のスタッフ、被介護者および利用者、必要に応じて荷送希望者から、電話などの通信手段によって連絡されてもよい。この場合、運行管理システム1は、制御部2に接続される入力装置を有する。そして、運行管理システム1の管理者は、入力装置により各種情報を運行管理システム1に入力する。
【0088】
また、上記した実施形態では、各種情報(施設情報、被介護者情報、利用者情報、荷物情報)を、ステップ1において取得するが、利用者情報は、ステップS3よりも前に取得できれば、特に制限されず、荷物情報は、ステップ7よりも前に取得できれば、特に制限されない。
【0089】
これら変形例によっても、上記の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 運行管理システム
3 データベース
21 運行計画計算プログラム
図1
図2