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特許7488764関節動作する外科用器具用の外科用ファスナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】関節動作する外科用器具用の外科用ファスナ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20240515BHJP
   A61B 17/78 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B17/78
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020535176
(86)(22)【出願日】2019-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 US2019012135
(87)【国際公開番号】W WO2019139808
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】15/867,063
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,ネイサン,スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス,アウグストゥス
(72)【発明者】
【氏名】アフォンス,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ラヌッチ,ケヴィン,ジェイ.
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131765(JP,A)
【文献】特開2013-056164(JP,A)
【文献】特表2006-528895(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0041937(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0087697(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03235443(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0276841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/03 - 17/11
17/56 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状の関節不動作形態と最大限屈曲又は湾曲した関節動作形態との間で可動である関節式部分を含む長尺状シャフトアセンブリと、
前記長尺状シャフトアセンブリ内に設けられ得る、外科用器具のハンドルから遠位に延在するファスナキャリアであって、前記関節式部分に対応して湾曲又は曲がることができるファスナキャリアと、
前記ファスナキャリアに提供された1つ又は複数のファスナであって、それぞれのファスナは、
ヘッドと、
前記ヘッドから遠位に延在するシャフトと、
前記シャフトを貫通して、前記ヘッドの近位面から前記シャフトの遠位端部まで延在するスルーボアであって、前記ファスナキャリアは、前記スルーボアに摺動自在に受け入れられている、スルーボアと、を含む1つ又は複数のファスナと、を備える外科用器具であって、
前記ファスナキャリアは、前記関節不動作形態にあるとき前記スルーボアの長手方向軸に沿って前記スルーボアに配置され、
前記1つ又は複数のファスナのそれぞれの前記スルーボアは、前記ファスナキャリアが、前記関節動作形態にあるとき、前記ファスナキャリアとの2つ以下の接触点を有するようなサイズ及び形状にされている、外科用器具。
【請求項2】
前記ファスナキャリアが前記関節動作形態にあるとき、前記ファスナキャリアの遠位端部は、前記関節不動作形態に対して少なくとも45度の角度で動作されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記ファスナキャリアが前記関節動作形態にあるとき、前記スルーボア内にある前記ファスナキャリアの部分の曲率半径は、少なくとも30mmである、請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記スルーボアは、横断寸法d及び長手方向寸法lを有し、並びに前記ファスナキャリアが、前記関節動作形態にあるとき、前記スルーボア内にある前記ファスナキャリアの部分の曲率半径は、
【数1】

を上回る、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記スルーボアの遠位端部にある第1開口部は、前記スルーボアの近位端部にある第2開口部の第2横断寸法を上回る第1横断寸法を有し、及び前記第1開口部は、前記スルーボアの前記長手方向軸に対して角度がつけられている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ファスナは、前記ヘッドの近位面に形成され且つ前記スルーボアの中心軸から半径方向にオフセットされた凹部を含み、並びに前記凹部は、隣接するファスナの遠位先端を受け入れるように構成及び配置されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記ファスナは、遠位先端と、前記遠位先端の方へ傾斜する傾斜面と、を含み、
前記スルーボアは、前記ヘッド、前記シャフト、及び前記傾斜面を通過し、前記傾斜面は、前記スルーボアの互いに対向する側にそれぞれ位置する2つの肩部で終端し、前記遠位先端は、前記傾斜面の前記2つの肩部から離れるように遠位に延在する、を備える請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記傾斜面が湾曲している、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記傾斜面が直線的である、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記肩部が、前記遠位先端に隣接する平面に置かれ、及び前記遠位先端は、前記平面から遠位に延在する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記平面は、前記遠位先端の周りに少なくとも部分的に延在する、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記傾斜面は、バーブの外面から前記遠位先端の方に向かって延在する、請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記2つの肩部における前記傾斜面の横断寸法は、約0.05mm以上である、請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記シャフトの横断寸法は、約0.25mm~約0.75mmの間であるか又はそれに等しい、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記遠位先端は、前記スルーボアに対して半径方向にオフセットされている、請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記ヘッドの前記近位面に形成された凹部をさらに含み、前記凹部は、ファスナスタック内の隣接するファスナの遠位先端を受け入れるように構成及び配置され、並びに前記凹部の横断寸法は、前記平面の横断寸法を下回る、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記スルーボアは、前記スルーボアの近位端部に第1横断寸法、及び前記スルーボアの遠位端部に第2横断寸法を有し、前記第1横断寸法は前記第2横断寸法を下回る、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記第1横断寸法は、約0.5mm~約1.0mmである、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項19】
前記第2横断寸法は、約0.6mm~約1.2mmである、請求項17又は請求項18のいずれかに記載の外科用器具。
【請求項20】
前記シャフトの前記遠位端部に遠位先端をさらに含み、前記遠位先端は、前記スルーボアに対して半径方向にオフセットされている、請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の外科用器具。
【請求項21】
前記ヘッドの前記近位面に形成された凹部をさらに含む、請求項20に記載の外科用器具。
【請求項22】
前記凹部は、前記スルーボアに対して半径方向にオフセットされ、且つ前記遠位先端と位置合わせされている、請求項21に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 開示の実施形態は、関節動作する外科用器具と一緒に使用するための外科用ファスナに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ヘルニアを外科的に修復するために、外科用メッシュ生地又は他のプロテーゼ修復ファブリックが使用され得る。プロテーゼ修復ファブリックは、一般に開放術式で又は腹腔鏡によって配置される。しばしば、外科用器具は、外科用器具の遠位端部からプロテーゼ修復ファブリックを通って下層組織内へと1つ以上のファスナを展開することによって、修復ファブリックを適所に固定するために使用される。しかしながら、ファスナを展開するための剛直な長尺状シャフトアセンブリを含む外科用器具は、術野内での動きの範囲が限定され得る。従って、多くの外科用器具は、長尺状シャフトアセンブリに沿って少なくとも1つの関節動作可能部分すなわち関節式部分を含み、術野内でのファスナの向き付け及び配置を容易にする。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 一実施形態では、外科用器具は、外科用器具のハンドルから遠位に延在するファスナキャリアを含み、及びファスナキャリアは、関節が不動作にされているすなわち関節不動作形態と十分に関節が動作されているすなわち十分な関節動作形態との間で可動である。外科用器具は、さらに、ファスナキャリアに提供されたファスナを含み、及びファスナは、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在するシャフトと、シャフトを貫通して、ヘッドの近位面からシャフトの遠位端部まで延在するスルーボアとを含む。ファスナキャリアは、スルーボアに摺動自在に受け入れられており、並びにスルーボアは、ファスナキャリアが、十分な関節動作形態にあるとき、ファスナキャリアとの2つ以下の接触点を有するようなサイズ及び形状にされている。
【0004】
[0004] 別の実施形態では、外科用器具の動作方法は、ファスナキャリアを関節不動作形態から十分な関節動作形態へ動かすことを含む。ファスナキャリアは外科用器具のハンドルから遠位に延在し、及びファスナはファスナキャリアに提供される。ファスナは、ヘッド、ヘッドから遠位に延在するシャフト、及びシャフトを貫通して、ヘッドの近位面からシャフトの遠位端部まで延在するスルーボアを含む。ファスナキャリアは、スルーボアに摺動自在に受け入れられている。方法は、さらに、ファスナキャリアが、十分な関節動作形態にあるとき、スルーボアをファスナキャリアと2つ以下の接触点で接触させることを含む。
【0005】
[0005] さらなる実施形態では、外科用ファスナは、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在し且つ遠位先端を含むシャフトと、遠位先端の方へ傾斜する傾斜面と、ヘッド、シャフト、及び傾斜面を貫通するスルーボアとを含む。傾斜面は、スルーボアの互いに対向する側に位置する2つの肩部で終端し、及び遠位先端は、傾斜面の2つの肩部から離れるように遠位に延在する。
【0006】
[0006] さらに別の実施形態では、外科用ファスナは、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在するシャフトと、シャフトを貫通して、ヘッドの近位面からシャフトの遠位端部まで延在するスルーボアとを含む。スルーボアは、スルーボアの近位端部に第1横断寸法、及びスルーボアの遠位端部に第2横断寸法を有し、並びに第1横断寸法は第2横断寸法よりも小さい。
【0007】
[0007] 当然のことながら、本開示はこの点に関して限定されないため、上記の概念、及び下記で説明する追加的な概念は、任意の好適な組み合わせで構成され得る。さらに、本開示の他の利点及び新規の特徴は、添付図面と併せて考慮するときに、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【0008】
[0008] 本明細書及び参照により援用される文献が、相反する及び/又は矛盾する開示を含む場合、本明細書が支配する。参照により援用される2つ以上の文献が、互いに相反する及び/又は矛盾する開示を含む場合、後の発効日を有する文献が支配する。
【0009】
[0009] 添付図面は、縮尺通りであることを意図しない。図面では、様々な図面に示される各同一又はほぼ同一の構成要素は、同様の符号で表され得る。明瞭にするために、全ての図面において全ての構成要素に符号が付されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]関節式外科用器具の一実施形態の概略図である。
図2】[0011]図1の関節式外科用器具の内部部分の側面図である。
図3】[0012]図1の外科用器具の長尺状シャフトアセンブリの分解図である。
図4】[0013]外科用ファスナの一実施形態の斜視図である。
図5】[0014]図4の外科用ファスナの縦断面図である。
図6】[0015]一実施形態による、ファスナキャリアに受け入れられたファスナスタックの部分の斜視図である。
図7】[0016]一実施形態による、ファスナキャリアが関節動作位置にある、ファスナキャリアに受け入れられたファスナスタックの部分の縦断面図である。
図8】[0017]一実施形態によるファスナとファスナキャリアの一部分との概略図である。
図9】[0018]一実施形態によるファスナとファスナキャリアの一部分との概略図である。
図10】[0019]外科用ファスナの一実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0020] 本発明者らは、外科用器具の少なくとも一部分を1つ以上の所望の形態及び/又は向きに置くことができるように関節動作可能部分すなわち関節式部分を有する長尺状シャフトアセンブリを含む外科用器具に関連付けられる多数の利益を理解した。例えば、関節式部分の関節動作は、長尺状シャフトアセンブリの遠位先端を、外科用ファスナを組織に展開するなどの外科的処置を行うために、1つ又は複数の所望の位置及び/又は向きに簡単に配置できるようにする。いくつかの実施形態では、関節式部分の関節動作は、関節式部分を曲げて、関節式部分が、関節動作されたときに湾曲形態になるようにすることを含み得る。上記を考慮して、本発明者らは、関節動作する外科用器具と一緒に使用される外科用ファスナに関連付けられる多数の利益を理解した。
【0012】
[0021] 本開示のいくつかの態様によれば、本発明者らは、外科用器具が関節動作形態にあるときにファスナが外科用器具から展開されるときに、外科用器具の長尺状シャフトアセンブリ内でのファスナの拘束を回避するための1つ以上の特徴を含むファスナを提供することが望ましいとし得ることを理解した。これらのタイプの特徴を含むことによって、長尺状シャフトアセンブリが関節動作されるときに、ファスナが簡単に展開されるように促し得る。いくつかの実施形態では、ファスナは、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在するシャフトと、遠位先端と、シャフトを貫通して、ヘッドの近位面からシャフトの遠位部分及び/又は端部へ延在するスルーボアとを含む。本発明者らは、ファスナキャリアとファスナのスルーボア(それにより、キャリアが受け入れられる)との間の接触が、長尺状シャフトアセンブリに対するファスナの動き及び/又はファスナの展開を抑制し得ることを認識した。それゆえ、いくつかの実施形態では、ファスナスルーボア及びファスナキャリアは、外科用器具(ファスナキャリアを含む)が関節動作形態にあるとき、ファスナキャリアとの2つ以下の接触点を有するように構成及び配置され得る。理論に束縛されるものではないが、そのような形態は、ファスナキャリアが関節動作される(例えば、湾曲される)ときに、ファスナキャリアに沿ってファスナを、拘束することなく、自由に摺動させることを許容し得る。
【0013】
[0022] いくつかの実施形態では、複数のファスナは、長尺状シャフトアセンブリ内にファスナスタックとして提供され得る。それゆえ、本発明者らは、ファスナスタックが、関節動作されている長尺状シャフトアセンブリに関連付けられる湾曲形態に簡単に適応することを許容するファスナ構造に関連付けられる利点を理解した。一実施形態では、各ファスナは、ヘッドの近位面に形成されたキャビティを含み得る。キャビティは、ファスナの中心軸に対してオフセットされ、且つファスナスタックにある隣接するファスナの遠位先端を受け入れるように構成及び配置され得る。外科用器具が関節動作されると、ファスナの遠位先端はキャビティ内で動き得、それにより、隣接するファスナを互いに対して動かして、凹部内に置かれた外科用ファスナの尖った遠位先端に圧力を加えることなく、関節動作形態に適応し得る。
【0014】
[0023] 上記に加えて、本発明者らは、ファスナのシャフトを貫通して延在するスルーボアを含むファスナは、遠位方向に向けられ且つファスナが遠位に組織に展開されるときに変形され得る薄い構造を含み得ることを認識した。それゆえ、本発明者らは、外科用ファスナのスルーボアに隣接して置かれる特徴の寸法を、最小特徴サイズ超に維持することによって、展開する間の外科用ファスナの変形を制限し、且つ場合によって防止し得ることを理解した。例えば、一実施形態では、ファスナのシャフト及びスルーボアは、外科用ファスナの遠位先端に隣接する傾斜面で終端し得、及びスルーボアの遠位部分を取り囲む外科用ファスナの複数の部分の最小寸法は、上述の最小特徴サイズ超に維持され得る。
【0015】
[0024] 本明細書では、外科装置内での「遠位方向」という用語は、外科装置の長手方向中心軸に沿って、所望の動作が行われる外科装置の遠位端部へ向かって延びる方向を指し得る。対応して、「近位方向」は、遠位方向に対して反対方向に向けられて、外科装置の長手方向中心軸に沿って、所望の動作が行われる外科装置の遠位端部から離れるように向けられ得る方向を指し得る。
【0016】
[0025] 本明細書で説明する外科用ファスナ及び外科装置は、限定されるものではないが、様々なタイプの金属及びポリマーを含む、任意の所望の材料又は材料の組み合わせから作製され得る。場合によっては、本明細書で説明する外科用ファスナは、限定されるものではないが、熱、放射線、及び/又は圧力を含む、任意の適切な方法を使用して、滅菌された及び/又は滅菌可能な材料から作製され得る。さらに、材料は、無菌性を維持するために、組み立て及び梱包の前、その最中、又はその後のいずれかに、滅菌されることができてもよい。
【0017】
[0026] いくつかの実施形態によれば、関節動作する外科用器具(そこから外科用ファスナが展開され得る)は、外科用器具のハンドルから遠位に延在する長尺状シャフトアセンブリを含み得る。長尺状シャフトアセンブリは、第1位置と第2位置との間の少なくとも1つの方向において、関節動作し得る関節式部分を含み、第1位置は、関節不動作形態に対応し得、第2位置は、関節式部分の近位に位置する長尺状シャフトアセンブリの部分に対して遠位先端がある角度(例えば、関節動作角度)の向きにされる、十分に関節動作した形態すなわち十分な関節動作形態に対応し得る。関節不動作形態にあるとき、関節式部分を通過する長手方向軸は、長尺状シャフトアセンブリの近位部分の長手方向軸と位置合わせされ得る。対応して、十分な関節動作形態にあるとき、長尺状シャフトアセンブリの遠位先端、及び関節式部分の長手方向軸は、近位部分の長手方向軸に対して、ある関節動作角度の向きにされている。一実施形態では、十分な関節動作形態の関節動作角度は、-30度~30度、-45度~45度、-90度~90度、-180度~180度、15度~90度、又は45度~90度とし得るが、本開示は、関節動作角度の任意の特定の範囲に限定されないことを理解すべきである。さらに、いくつかの実施形態では、関節式部分は、関節不動作(すなわち、真っ直ぐな)形態と十分な関節動作形態との間の1つ以上の追加的な関節動作位置へ可動としてもよい。
【0018】
[0027] 明瞭にするために、図面に関して下記で説明する本開示の実施形態は、1つ以上のファスナを展開するための腹腔鏡装置に関する。しかしながら、本開示は、1つ以上のファスナを展開するための腹腔鏡装置に限定されない。それどころか、開示の関節動作システム、ロッキング機構、制御部、及び外科用ファスナは、関節式部分を含む任意の適切な外科用器具において使用され得る。例えば、適切な外科用器具は、内視鏡装置、ボアスコープ装置、カテーテル、「開放」術式で使用される外科用器具、又は任意の他の適切な外科用器具を含み得る。さらに、開示の外科用器具は、任意の適切なエンドエフェクタを含んでもよく、及びファスナの展開に限定されない。しかしながら、ファスナを含む実施形態では、関節動作ロッキング機構を含む器具は、1つ以上のファスナが装填されてもいても、又は使用者が器具に1つ以上のファスナを装填できるように構成されていてもよい。
【0019】
[0028] 図面を参照して、具体的な非限定的な実施形態をさらに詳細に説明する。本開示は、本明細書で説明する具体的な実施形態にのみ限定されるわけではないため、これらの実施形態に関して説明する様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法は、個別に及び/又は任意の所望の組み合わせのいずれかで使用され得ることを理解すべきである。
【0020】
[0029] 図1は、外科用器具2の一実施形態を示す。外科用器具は、ハンドル4と、ハンドルから遠位端部20の方へ向かって遠位に延在する長尺状シャフトアセンブリ6とを含み、その遠位端部からファスナが展開され得る。長尺状シャフトアセンブリ6は、関節不動作(すなわち、真っ直ぐな)位置と、1つ以上の関節動作(すなわち、湾曲した又は曲げられた)位置との間で可動な関節式部分8を含む。関節式部分8の関節動作は、関節制御部10によって制御され得、この制御部は、例えば、ハンドル4に対して1つ以上の位置間で動かされて、関節式部分8を関節不動作形態と1つ以上の関節動作形態との間で動かし得る、回転自在及び/又は軸方向に変位自在なノブ、ハンドル、レバー、又は他の特徴である。外科用器具2はまたファスナを展開するためにファスナ展開システムを作動させるためのトリガ12を含むが、他のタイプの動作を行うための他の適切なタイプの作動システムも考えられる。
【0021】
[0030] 長尺状シャフトアセンブリの関節式部分8は、関節制御部10を使用して、少なくとも関節動作解除(すなわち真っ直ぐな)位置などの第1位置と、十分な関節動作位置(例えば湾曲形態)などの第2位置との間で動かされ得る。実施形態に依存して、関節式部分8は、1つ以上の事前選択した関節動作角度へ動かされ得るか、又は関節式部分8は、1つ以上の任意の(すなわち事前選択されていない)関節動作角度へ調整され得る。関節式部分8は、少なくとも第1方向に関節動作され得るが、関節式部分が少なくとも第2方向に関節動作する実施形態も想定される。例えば、関節式部分8は、約0°を上回る関節動作角度に対応する第1方向、及び約0°未満の関節動作角度に対応する、対向する第2方向に関節動作され得る。上記の代わりに、又はそれに加えて、関節式部分8は、2つの異なる軸の周りで関節動作され(例えば水平方向及び垂直方向における関節動作)、少なくとも2つの方向で関節動作するようにし得る。
【0022】
[0031] いくつかの実施形態では、長尺状シャフトアセンブリ6を回転させて、遠位先端の位置決めを容易にすることが望ましいかもしれない。例えば、長尺状シャフトアセンブリ6は、単に、ハンドル4の少なくとも一部分に対して回転自在となるように適合され得る。或いは、長尺状シャフトアセンブリ6を含むハンドル4の一部分は、グリップを含む部分など、ハンドル4の別の部分に対して回転自在とし得る。1つのそのような実施形態を図1に示す。図示の実施形態では、外科用器具2は、第1ハンドル部分14及び第2ハンドル部分16を含み、第2ハンドル部分から長尺状シャフトアセンブリ6が延在する。第1及び第2ハンドル部分14及び16は、任意の適切な方法で、互いに対して回転自在であるように構成及び配置され得る。外科用器具は、第1ハンドル部分14に対する第2ハンドル部分16の回転を選択的に許容し且つ防止するように可動である回転ロック18を含み得る。回転自在な長尺状シャフトアセンブリ6又はハンドル4を含む外科用器具を図面に示しているが、本開示はこの方法に限定されないため、ユニタリーのハンドル及び/又はハンドルに対して静止している長尺状シャフトアセンブリ6を含む外科用器具も可能であることを理解すべきである。
【0023】
[0032] いくつかの適用例では、長尺状シャフトアセンブリの関節式部分8から遠位に位置する遠位の剛直な直線部分20を含むことが好都合とし得る。剛直な直線部分20は、長尺状シャフトアセンブリ6の遠位端部からのファスナの展開を支援するためのいくつもの特徴を含み得る。例えば、遠位の剛直な直線部分20は、外科用器具の作動前、最遠位のファスナをファスナ展開位置に保持するために、タブなどのファスナ保持要素を含み得る。さらに、理論に束縛されるものではないが、ファスナ展開システムのドライブシャフトがファスナに力を加えると、力は長尺状シャフトアセンブリの関節動作部分の周囲を通るために、ファスナのヘッドにドライブシャフトによって加えられる力は、関連のファスナの展開方向と完全に位置合わせされてはいない可能性がある。例えば、最遠位のファスナは、ドライブシャフトの遠位端部に対して遠位に位置してもよく、及びそれに応じて、ファスナは、ドライブシャフトの遠位端部を含む部分よりも大きい角度の向きにされている長尺状シャフトアセンブリの部分内に位置してもよい。従って、ドライブシャフトがファスナに力を加えるとき(例えば、ドライブシャフトの往復運動によって)、ファスナに加えられた力は、ファスナの長手方向軸とミスアライメントされ得る。
【0024】
[0033] 上記を考慮して、少なくとも1つのファスナに適応する十分な長さの長尺状シャフトアセンブリの直線部分を提供し且つファスナ展開方向と同じ方向にファスナ展開システムからそのファスナへ作動力を加えることを許容するために、遠位の剛直な直線部分20を含むことが望ましいとし得る。理論に束縛されるものではないが、これは、外科用器具からファスナを展開するために必要とされる作動力の低減を生じ得る。いくつかの実施形態では、遠位の剛直な直線部分の長さは、ドライブシャフトの遠位端部が展開方向において位置合わせされ得るように、ファスナの長さ以上とし得る。例えば、図3に示すように、遠位の剛直な直線部分20は、ファスナ202の長さよりも長い。このようにして、最遠位のファスナ及びドライブシャフトの遠位端部の双方が、遠位の剛直な直線部分に収容されて、ドライブシャフトからの展開力とファスナの向きの位置合わせを支援し得る。遠位の剛直な直線部分20を含む外科用器具2を本明細書で説明し且つ図面に示したが、関節式部分8が長尺状シャフトアセンブリ6の遠位端部までずっと延在して、外科用器具が遠位の剛直な直線部分を含まないようにする実施形態が想定されることも理解すべきである。
【0025】
[0034] 図2は、ハンドル4内に設けられ得る様々な構成要素及びシステムを示す、図1の外科用器具の概略的な側面図を示す。図示の通り、トリガ12は、ファスナを展開するためのトリガの作動に続いて、トリガを作動解除位置の方へ戻るように駆り立てる復元力を提供し得る戻しばね22に結合され得る。トリガは、ファスナを長尺状シャフトアセンブリ6の遠位端部から展開するためにトリガ12を作動すると、ファスナに展開力を加えるように構成及び配置された駆動システム24に結合され得る。さらに、いくつかの実施形態では、外科用器具は、トリガに加えられる力が閾値力を超えるまで、駆動システム24の起動を選択的に防止し得る作動ロックアウトシステム26を含み得る。具体的な駆動システム及び作動ロックアウトシステムを図面に示すが、本開示は、任意の特定の駆動システム及び/又は作動ロックアウトシステムを含む外科用器具に限定されないことを理解すべきである。例えば、カム、リンク機構、ギヤ、クラッチ、及び他の適切な構成要素の任意の適切な構成配置が、駆動システムの一部として任意の適切な組み合わせで使用され得る。
【0026】
[0035] ある実施形態においては、外科用器具は、長尺状シャフトアセンブリ6内に複数のファスナを含み得、及びファスナは、トリガ12が続けて作動されると、連続的に展開され得る。いくつかのそのような実施形態では、まだ展開されていない長尺状シャフトアセンブリ内に残っているファスナの数を監視することが望ましいかもしれない。それゆえ、外科用器具2は、展開に利用可能なファスナの数を表示するように構成及び配置されるファスナレベルインジケータシステム28を含み得る。例えば、ファスナレベルインジケータシステム28は、トリガ12に結合され得、トリガが作動すると(及びファスナが展開すると)、ファスナレベルインジケータシステムが、対応するインジケータを動かして、残っているファスナの数が1だけ減少されたことを表示し得る。しかしながら、本開示はこの点に関して限定されないため、残りのファスナの数を監視するための他のシステムも使用され得ること、及びいくつかの実施形態では、外科用器具は、ファスナレベル監視システム含まなくてもよいことを理解すべきである。
【0027】
[0036] 上記に加えて、図2は、いくつかの実施形態による関節制御システム100を示す。関節制御システムは、関節制御部10と長尺状シャフトアセンブリ6の1つ以上のシャフトとに結合され得、関節制御部10を動かすことによって、好適な関節動作力を1つ以上のシャフト、又は長尺状シャフトアセンブリの他の構成要素に加えて、長尺状シャフトアセンブリの関節式部分8を少なくとも関節不動作位置と関節動作位置との間で選択的に動かす。さらに、いくつかの実施形態では、単一の関節制御部が使用されて、外科用器具の関節動作の複数の態様を制御し得る。例えば、外科用器具は、長尺状シャフトアセンブリの関節動作を選択的に許容するか又は防止するための関節動作ロックを含み得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、単一の統合関節制御部は、ユーザが関節動作ロックを選択的にロック及びロック解除すること並びに関節式部分の関節動作を制御することの双方を行うことができるようにするために設けられ得る。しかしながら、他の構成配置が好適とし得ることを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、外科用器具は、関節動作ロックをロック位置とロック解除位置との間で動かすように制御する個別のロックを含み得る。それゆえ、本開示は、長尺状シャフトアセンブリの関節式部分及び/又は関節動作ロックを動かすための関節動作及び/又はロック制御部のいずれの特定の構成配置にも限定されないことを理解すべきである。
【0028】
[0037] 図3は、ハンドル4から遠位に延在する外科用器具2の長尺状シャフトアセンブリ6の分解図を示す。長尺状シャフトアセンブリはドライブシャフト30を含み、ドライブシャフトは、好適な駆動システム(上述の駆動システム24など)によって駆動されて、遠位に向ける力をファスナに加えて、長尺状シャフトアセンブリの遠位端部からファスナを展開させ得る。長尺状シャフトアセンブリは、さらに、内側の、関節動作するシャフトとし得る第1関節動作シャフト32、外側の、関節動作するシャフトとし得る第2関節動作シャフト34、及びロッキングシャフト36の形態の関節動作ロックを含む。第1及び第2関節動作シャフトは、長尺状シャフトアセンブリに関節動作力を加えて、関節式部分8を関節不動作位置と1つ以上の関節動作位置との間で動かすように構成及び配置され得る。例えば、図示の実施形態では、第1及び第2関節動作シャフトは、第1及び第2関節動作シャフトの近位部分に、互いに反対方向の変位を加えると、関節動作力を長尺状シャフトアセンブリに加えるように配置され得る。一実施形態では、第1及び第2シャフトは、関節式部分に対して遠位に位置する取付点において、互いに軸方向に固定され得、且つ近位部分の互いに反対方向の変位によって、第1及び第2関節動作シャフトを、互いに反対の圧縮状態及び緊張状態に置き、それにより、第1及び第2関節動作シャフトに曲げモーメントを生じ、シャフトを関節動作形態の方へ曲げ得る。さらに、ロッキングシャフトは、ロッキングシャフトが長尺状シャフトアセンブリの関節動作を防止するロック形態と、ロッキングシャフトが関節動作を許容するロック解除形態との間で可動(例えば回転自在及び/又は摺動自在)としてもよい。
【0029】
[0038] 実施形態に依存して、長尺状シャフトアセンブリの関節式部分は、関節動作を許容する、関連のシャフトの1つ以上の可撓性部分によって形成され得る。例えば、シャフトの可撓性部分は、シャフトの幅全体に延在し且つ長尺状シャフトアセンブリを含む様々なシャフトの長さの少なくとも一部分に沿って配置された複数の切れ目を含み、所望の可撓性をもたらし得る。いくつかの実施形態では、切れ目は、関節式部分の優先的な曲げ方向を規定し得、且つ関節式部分の関節動作は、関節式部分を優先的な曲げ方向に沿って曲げることを含み得る。他の実施形態では、本開示はこの点に関して限定されないため、関節式部分は、所望の可撓性及び/又は好ましい曲げ方向を生じるように配置された1つ以上の弱体化セクション、相互接続された可撓性セグメント、ヒンジによって接続された相互接続されたセグメント、1つ以上の可撓性シャフト、又は任意の他の好適な構造を含み得る。
【0030】
[0039] さらに、本開示は、長尺状シャフトアセンブリの関節式部分を関節動作形態へ動かすためのいずれの特定の構成配置にも限定されず、且つ関節式部分は、任意の適切な方法で、所望の方向での関節動作をもたらすように構成及び配置され得ることを理解すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、関節動作機構は、互いに反対の緊張状態及び圧縮状態に置かれるときに関節式部分を関節動作させる、対向する背骨状部分を備える第1及び第2関節動作シャフトを含み得る。或いは、長尺状シャフトアセンブリの関節式部分は:関節式部分に関連付けられる、1本以上の制御ワイヤー、リボン、又はスラット;車軸関節に関連付けられる、プレストレス部材及び伸縮自在なシース、剛直リンク機構;又は関節式部分を関節動作させることができる任意の他の適切な構造を使用して、関節動作され得る。
【0031】
[0040] 図3に示すように、長尺状シャフトアセンブリの様々なシャフトが、互いに対して同軸方向に配置され得る。例えば、図示の実施形態では、ファスナキャリア及びフォロアアセンブリ38がドライブシャフトに収容され、ドライブシャフトは、第1及び第2関節動作シャフト32、34及びロッキングシャフト36に収容されている。シャフトの特定の構成配置を図面に示すが、他の構成配置も好適とし得ることを理解すべきである。例えば、一実施形態では、ロッキングシャフト36は、第1及び第2関節動作シャフト32、34内に位置し得る。それゆえ、本開示は、長尺状シャフトアセンブリを含むシャフトのいずれの具体的な構成配置にも限定されない。
【0032】
[0041] いくつかの実施形態では、ファスナキャリア(図6及び7参照)及びフォロアアセンブリ38は、長尺状シャフトアセンブリ内に設けられる。例えば、ファスナ202のスタック200は、ファスナキャリア上に摺動自在に配置され得る。フォロアは、ファスナスタック200に対して近位に位置してもよく、及びスタックの1つ以上の外科用ファスナに、遠位方向の力を加えて、ファスナのスタックを遠位方向に駆り立て得る。適切なタイプのフォロアは、限定されるものではないが、圧縮バネ、ラチェット・ポール機構、ウォーキングビームアセンブリ、及び/又はファスナのスタックを装置の遠位端部の方へ向かって遠位方向に動かすことができる任意の他の適切なタイプの機構を含む。
【0033】
[0042] ここで図4~8を参照して、上述の関節動作する外科用器具と一緒に使用され得る外科用ファスナの態様を詳細に説明する。
【0034】
[0043] 図4は、ファスナ202の一実施形態の概略的な斜視図であり、及び図5は、同じファスナの概略的な縦断面図である。ファスナは、ファスナの近位端部にヘッド204と、ヘッドから遠位に延在するシャフト206と、ファスナの長手方向中心軸から半径方向にオフセットされ得る遠位先端208とを含む。図示の通り、スルーボア210が、ファスナを貫通して、ヘッド204の近位面からシャフト206を貫通して延在し、ファスナヘッド及びシャフトを完全に貫通して延在し、且つファスナの遠位端部又は部分で出口となるようにする。図面に示すように、遠位先端はまた、スルーボアからも軸方向にオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、ファスナのヘッドは、上述の通り、ドライブシャフト上の対応する平面に係合するように構成及び配置される平坦部212を含む非円形の断面形状を有して、ドライブシャフト内でファスナの向きを維持し得る。さらに、いくつかの実施形態では、ファスナは、ファスナが組織に展開されるときにファスナを固定するのを支援し得る1つ以上のバーブ(barbs)214を含み得る。
【0035】
[0044] いくつかの実施形態では、スルーボア210は、シャフト206の遠位端部又は遠位部分にある傾斜面216で終端し得る。例えば、図示の実施形態では、傾斜面は、バーブ214で始まり、且つ遠位方向に、バーブの外面から遠位先端に向かって延在し、例えば、傾斜面は、バーブから遠位方向に、遠位先端208に向かって内側に傾斜し得る。スルーボアは、傾斜面を通ってシャフトから出て、傾斜面が、スルーボア210の遠位開口部を少なくとも部分的に取り囲むようにする。さらに、傾斜面は、スルーボア210の対向する側にそれぞれ位置する一対の肩部218で終端し得る。例えば、肩部218は、遠位先端208に隣接する平面に置かれてもよく、及び平面は、遠位先端の周りに少なくとも部分的に延在し得る。肩部は、最小寸法よりも大きい寸法を有し得る。上述の通り、及び理論に束縛されるものではないが、ファスナ202の遠位部分のそのような形態は、遠位先端において過度に薄い構造を回避するのを支援し得、過度に薄い構造は、遠位先端が表面に圧接されるとき、例えば組織に展開する間、撓み及び/又は変形を受けやすいとし得る。
【0036】
[0045] ファスナの様々な特徴は、任意の好適な寸法を有し得、及び場合によっては、寸法は、例えばファスナの遠位先端において、上述のように撓み及び/又は変形を受けやすいとし得る過度に薄い構造を回避するように選択され得ることを理解すべきである。例えば、一実施形態では、様々なファスナ特徴、例えば肩部、スルーボアの開口部に隣接する及び/又は遠位先端におけるシャフトの壁の最小厚さは、0.07mm~約0.20mm(例えば、約0.13mm)とし得る。さらに、特定の実施形態に依存して、2つの肩部における傾斜面の横断寸法は約0.05mm以上としてもよく、及びシャフトの横断寸法は、約0.25mm~約0.75mmの間であるか又はそれに等しい。
【0037】
[0046] 特定の実施形態に依存して、ファスナのスルーボアが出る傾斜面は、任意の好適な形状を有し得る。例えば、図示の実施形態では、傾斜面216は凸形状を有するが、本開示はこの点に関して限定されないため、他の実施形態では、遠位先端の方へ直線的に傾斜し得る傾斜面は、凹形状を有する、複数の線形の凹セクション及び/又は凸セクションを有する、及び/又は任意の他の適切な形状を有する。
【0038】
[0047] 図5に最もよく示すが、図示の実施形態では、スルーボア210は、全体的にファスナを通ってヘッド204の近位面から、シャフト206の遠位端部にある傾斜面216へ延在する。さらに、ファスナは、ヘッド204に形成された凹部220を含み得る。凹部は、スルーボア210から半径方向にオフセットされており、及び下記で説明するように、凹部は、ファスナが外科用器具内でスタックに配置されるときに、隣接するファスナの遠位先端208を受け入れるように構成及び配置され得る。理論に束縛されるものではないが、凹部内での遠位先端のそのような入れ子状態は、ファスナがファスナスタックに配置されるときに遠位先端が受ける応力を低下させ得、それにより、先端の変形及び鈍化を回避するのを支援し得る(図6参照)。例えば、隣接するファスナ間の接触点は、遠位先端から離間され得、及び隣接するファスナ間の接触領域が増大されて、先端への応力を低下させ得る。いくつかの実施形態では、凹部220の横断寸法は、肩部218が置かれる平面の横断寸法未満とし得る。そのような実施形態では、1つのファスナの肩部218は、凹部の開口部において、隣接するファスナのヘッド204に接触し得、及び凹部は、凹部に受け入れられた遠位先端208が凹部の遠位内部表面に接触しないように、十分に深いとし得る。
【0039】
[0048] 上記に加えて、図4~5は、遠位先端が鈍い最遠位面を有する遠位先端208に関する1つの取り得る構造を示す。特に、図示の遠位先端208は、円錐台のような形状にされる最遠位部分を有し、この円錐台は、肩部218に隣接して位置する、遠位に向けられた平坦部のより大きな直径部分から遠位に延在する。肩部と同様に、遠位先端に関するそのような構造は、ファスナが展開する間に変形され得る過度に薄い構造が存在することを回避するのを支援し得る。しかしながら、遠位先端が鋭い構造を含め、遠位先端208に関する他の構造も好適とし得ることを理解すべきである。例えば、一実施形態では、遠位先端208は、鋭い先端で終端する円錐形状を有し得る。
【0040】
[0049] 図6は、ファスナキャリア230に設けられた3つのファスナ202のスタックの概略的な斜視図である。例えば、ファスナキャリアは、図3に示すフォロアアセンブリ38と一緒に使用され得る。いくつかの実施形態では、ファスナキャリアは、外科用器具のハンドルから遠位に延在する長尺状シャフトとし得る。図示の通り、ファスナキャリアは、1つ以上のファスナ202のスルーボア210を通して摺動自在に受け入れられ、及び上述の通り、外科用ファスナの遠位先端208は、隣接するファスナのヘッド204に形成された凹部220に受け入れられる。
【0041】
[0050] 図7は、図6に示すスタックと同様であるが、長尺状シャフトアセンブリ(ファスナキャリア230を含む)が関節動作形態に動かされている状態に対応する湾曲形態にある、ファスナスタックの概略的な断面図である。図7に示すように、ファスナの遠位先端208が、隣接するファスナの凹部220に受け入れられている状態で、ファスナは、湾曲した関節動作位置に適応するために、互いに向きを変えることができる。例えば、隣接するファスナは、互いに回転できて、それらそれぞれの長手方向軸が、異なる方向に沿った向きにされるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、凹部内での遠位先端の動きによって、ファスナキャリア230に拘束させずに及び/又は遠位先端を損傷させることなく、隣接するファスナを、互いに対してある範囲の角度で位置決めすることを許容し得る。
【0042】
[0051] 上記に加えて、図7は、関節動作形態にあるとき、ファスナキャリア230が1つ以上の接触点においてファスナ202のスルーボア210に接触し得ることを示す。しかしながら、上述の通り、本発明者らは、関節動作形態にあるときは、ファスナキャリアとスルーボアとの間の接触を2つ以下の接触点に限定することが望ましいとし得ることを理解した。理論に束縛されるものではないが、そのような形態は、ファスナがファスナキャリア上に拘束される可能性を低下させ得、そのような拘束は、長尺状シャフトアセンブリ内でのファスナの動きを制限し、且つファスナの展開を妨害し得る。
【0043】
[0052] 上記に関して、いくつかの実施形態では、ファスナの寸法は、ファスナキャリアが、長尺状シャフトアセンブリが十分な関節動作位置にある状態に対応する湾曲形態にあるとき、ファスナキャリアがファスナのスルーボアとの2つ以下の接触点を有するように、選択され得る。例えば、図8は、外科用ファスナ202と、スルーボア210に受け入れられたファスナキャリア230の部分との概略図である。図8に示す形態は、スルーボアの寸法の限界、及び3つの接触点232においてファスナキャリアがスルーボアに接触するファスナキャリアの曲率半径を表し得る。例えば、2つの接触点はスルーボアの端部にあり、及び第3接触点はスルーボアの中央にある。それゆえ、スルーボアの横断寸法(例えば直径)d及び最短のスルーボア長lを有するファスナ202では、ファスナキャリア230の曲率半径Rは最大曲率半径であり、3つの接触点を生じる。一例では、半径Rは、
【数1】
に等しいとし得る。
【0044】
[0053] 上記に関して、いくつかの実施形態では、十分な関節動作形態におけるファスナの寸法d及びl及び/又はファスナキャリアの曲率半径は、ファスナキャリアの曲率半径が
【数2】
を上回るように、選択され得る。理論に束縛されるものではないが、そのような寸法は、ファスナキャリア230が2つ以下の接触点232においてスルーボア210と接触することを保証し得る。この関係は、ファスナキャリアの直径を考慮していないが、ファスナキャリアの曲率半径に関する下限を提供して、2つ以下の接触点があるようにする。例えば、図9は、ファスナ202が図8と同じ寸法d及びlを有するが、ファスナキャリア230は、Rを上回る曲率半径Rを有する、1つのそのような実施形態を示す。例えば、いくつかの実施形態では、ファスナは、0.25mm~1.3mm(例えば、約0.75mm)のスルーボアの直径d、及び約4mm~6mm(例えば、約5mm)の最短のスルーボア長lを有し得る。対応して、スルーボアに受け入れられるファスナキャリアの部分は、少なくとも約4.5mm超の曲率半径を有し得る。スルーボア直径dが約0.75mmであり、最短のスルーボア長lが約5mmであり、及びファスナキャリアの直径が約0.6mmである例示的な一実施形態では、ファスナキャリアの最小曲率半径は約30mmである。その結果、ファスナキャリアは、2つ以下の接触点においてスルーボアと接触し、且つスルーボア内では、ファスナキャリアとスルーボアとの間にクリアランス234が設けられる。
【0045】
[0054] 図4図9は、全体的にシリンダー状のスルーボアを有するファスナを示すが、他の形態が想定される。例えば、図10は、ファスナ402の別の実施形態の概略的な縦断面図を示す。上述の実施形態と同様に、ファスナ402は、ヘッド404と、ヘッドから遠位に延在するシャフト406と、遠位先端408とを含む。図示の実施形態では、シャフト406はテーパ付き形態を有し、シャフトの近位端部に(すなわち、ヘッド404に隣接して)、より大きな横断寸法(例えば直径)、及び遠位部分に、より小さな横断寸法(例えば直径)を備える。スルーボア410が、シャフト406を貫通してヘッド404の近位面からファスナの遠位端部まで延在し、且つ遠位先端408に向かって遠位方向に内向きに傾斜する傾斜面416で終端する。しかしながら、本開示はそのように限定されないため、スルーボアがファスナの遠位先端を通過する及び/又は外科用ファスナの異なる部分から延出する実施形態も考えられる。図10に示すように、スルーボア410は、スルーボアの近位端部に第1横断寸法(例えば直径)d及びスルーボアの遠位端部に第2横断寸法(例えば直径)dを備える、テーパ付き形態を有してもよい。図示の実施形態では、dはdよりも小さいが、他の形態も好適とし得る。理論に束縛されるものではないが、スルーボアに関するそのようなテーパ付き形態は、キャリア及び関連の長尺状シャフトアセンブリが関節動作形態にあるとき、スルーボアに受け入れられるファスナキャリアに追加的なクリアランスを提供し得、それにより、ファスナキャリア上でのファスナ402の拘束を回避するのを支援し得る。
【0046】
[0055] 本教示を、様々な実施形態及び例と併せて説明したが、本教示をそのような実施形態又は例に限定することは意図していない。それどころか、当業者によって理解されるように、本教示は、様々な代替例、修正例、及び等価物を含む。それゆえ、上記の説明及び図面は、例示にすぎない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10