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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】車両用クリーナ
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/56 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
B60S1/56 120B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020568051
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(86)【国際出願番号】 JP2020000159
(87)【国際公開番号】W WO2020153115
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2019011272
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 篤史
(72)【発明者】
【氏名】阪井 健
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖洋
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-218657(JP,A)
【文献】特開2012-218706(JP,A)
【文献】特開2006-335275(JP,A)
【文献】特開2010-030488(JP,A)
【文献】特開2018-199483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体パネルの一部に形成された開口部内に設けられたシリンダと、
前記シリンダに対して進退自在に支持されるピストンと、
前記ピストンの前端の近傍に設けられたノズルホルダと、
前記ノズルホルダに支持され、前記ピストンが前記開口部から突出された状態で前記車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズルと、
前記ノズルホルダの前端に設けられて前記ピストンが前記シリンダ内に引き込まれた状態で前記開口部を塞ぐノズルカバーと、を備え、
前記ノズルカバーは、前記開口部を塞ぐカバー部と、前記カバー部から前記ピストン側に突出するように設けられて前記ノズルホルダに係合される係合部と、を有し、
前記ノズルホルダと前記係合部との係合時には、前記ノズルホルダが前記係合部に内嵌されており、
前記係合部の一面にはランス係合用の凹部が設けられているとともに、前記係合部の前記一面とは反対側の他面には当接リブが設けられ、
前記ノズルホルダの一面には前記凹部に係合する第一凸部が設けられているとともに、前記ノズルホルダの前記一面とは反対側の他面には前記当接リブが当接する第一被当接リブが設けられている、車両用クリーナ。
【請求項2】
前記第一被当接リブは、前記第一凸部よりも前記ピストンの後端側に設けられている、請求項1に記載の車両用クリーナ。
【請求項3】
前記ノズルホルダには、前記当接リブに対応する位置において前記第一被当接リブから前記ピストンの後端側へ延びる第二被当接リブが設けられ、
前記第一凸部が前記凹部に係合している状態において、前記当接リブは、前記第一被当接リブおよび前記第二被当接リブに当接する、請求項2に記載の車両用クリーナ。
【請求項4】
前記第二被当接リブは、一定距離だけ離隔された一対の第二被当接リブを含み、
前記当接リブは、前記一対の第二被当接リブと対応する位置に設けられた一対の当接リブを含み、
前記第一凸部が前記凹部に係合している状態において、前記一対の当接リブは、前記一対の第二被当接リブに当接する、請求項3に記載の車両用クリーナ。
【請求項5】
前記ノズルホルダの前記他面にランス係合用の第二凸部が設けられているとともに、前記ノズルホルダの前記一面に第三被当接リブが設けられ、
前記第二凸部が前記凹部に係合している状態において、前記当接リブは、前記第三被当接リブに当接する、請求項1に記載の車両用クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具の洗浄装置として、例えばヘッドランプクリーナが特許文献1~3などに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2012-218657号公報
【文献】日本国特開2013-220701号公報
【文献】日本国特開2015-202774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示されたようなヘッドランプクリーナにおいて、各部品の組付け性には改善の余地がある。
【0005】
本開示は、ノズルを支持するノズルホルダに対するノズルカバーの組付け性が向上可能な車両用クリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の車両用クリーナは、
車両の車体パネルの一部に形成された開口部内に設けられたシリンダと、
前記シリンダに対して進退自在に支持されるピストンと、
前記ピストンの前端の近傍に設けられたノズルホルダと、
前記ノズルホルダに支持され、前記ピストンが前記開口部から突出された状態で前記車両の被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズルと、
前記ノズルホルダの前端に設けられて前記ピストンが前記シリンダ内に引き込まれた状態で前記開口部を塞ぐノズルカバーと、を備え、
前記ノズルカバーは、前記開口部を塞ぐカバー部と、前記カバー部から前記ピストン側に突出するように設けられて前記ノズルホルダに係合される係合部と、を有し、
前記係合部の一面にはランス係合用の凹部が設けられているとともに、前記係合部の前記一面とは反対側の他面には当接リブが設けられ、
前記ノズルホルダの一面には前記凹部に係合する第一凸部が設けられているとともに、前記ノズルホルダの前記一面とは反対側の他面には前記当接リブが当接する第一被当接リブが設けられている。
【0007】
本開示によれば、ノズルホルダに対してノズルカバーがランス係合により係合可能であるとともに、そのランス係合部の反対側においてノズルカバーの係合部に設けられた当接リブがノズルホルダに設けられた被当接リブに当接する。そのため、ノズルホルダに対するノズルカバーの組み付け性を向上させることができる。
【0008】
本開示の車両用クリーナにおいて、
前記第一被当接リブは、前記第一凸部よりも前記ピストンの後端側に設けられていてもよい。
【0009】
この構成によれば、例えば、ノズルカバーのカバー部に対してランス係合された一面とは反対側の他面方向への抉り力が加えられた場合には、第一凸部よりも後端側に設けられている第一被当接リブに当接リブが当接する。これにより、このような抉り力が加えられた場合であっても、第一凸部と凹部との係合が解除されてノズルカバーがノズルホルダから外れてしまうことを防止できる。すなわち、ノズルホルダによるノズルカバーの保持力を向上させることができる。
【0010】
本開示の車両用クリーナにおいて、
前記ノズルホルダには、前記当接リブに対応する位置において前記第一被当接リブから前記ピストンの後端側へ延びる第二被当接リブが設けられていてもよい。
【0011】
この構成によれば、当接リブが第一被当接リブに加えて第二被当接リブとも当接するため、カバー部へ他面方向への抉り力が加えられた場合には、第一凸部と凹部との係合箇所よりもピストン進退方向における後端側に位置する当接リブの後端部が回転中心となる。そのため、第一凸部と凹部との係合が解除されてノズルカバーがノズルホルダから外れてしまうことをより確実に防止できる。
【0012】
本開示の車両用クリーナにおいて、
前記第二被当接リブは、一定距離だけ離隔された一対の第二被当接リブを含み、
前記当接リブは、前記一対の第二被当接リブと対応する位置に設けられた一対の当接リブを含んでいてもよい。
【0013】
この構成によれば、一対の当接リブが一対の第二被当接リブにそれぞれ当接するため、ノズルホルダによるノズルカバーの保持力をさらに高めることができる。
【0014】
本開示の車両用クリーナにおいて、
前記ノズルホルダの前記他面にランス係合用の第二凸部が設けられているとともに、前記ノズルホルダの前記一面に第三被当接リブが設けられていてもよい。
【0015】
この構成によれば、ノズルホルダに対するノズルカバーの組付け方向が制限されることがないため、クリーナの汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ノズルを支持するノズルホルダに対するノズルカバーの組み付け性が向上可能な車両用クリーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係る車両用クリーナの分解斜視図である。
図2図1の車両用クリーナを別の方向から見た分解斜視図である。
図3】車両用クリーナのノズルカバーがノズルホルダに取り付けられた状態を示す拡大上面図である。
図4図3の状態の拡大下面図である。
図5図3の状態で、ノズルカバーの当接リブおよびノズルホルダの被当接リブを断面で示した後面図である。
図6】変形例に係る車両用クリーナの拡大下面図である。
図7A】比較例に係るノズルカバーの係合孔にノズルホルダの凸部が係合した状態を示す模式図である。
図7B図7Aの一部拡大図である。
図8A図6の変形例に係るノズルカバーの係合孔にノズルホルダの凸部が係合した状態を示す模式図である。
図8B図8Aの一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態に係る車両用クリーナの一例について、図面を参照して説明する。なお、本例における「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」とは、図に示す車両用クリーナについて、説明の便宜上、設定された相対的な方向である。
【0019】
図1は、車両のバンパ100(車体パネルの一例)等に取り付け可能な車両用クリーナ1(以下、クリーナ1と称す)の分解斜視図である。図2は、図1に示すクリーナ1を別の方向から見た分解斜視図である。クリーナ1は、車両に搭載される灯具(例えば、ヘッドランプ)に洗浄液を噴き付けて、灯具に付着した汚れや雪を除去して灯具を洗浄するためのクリーナである。
【0020】
なお、本実施形態に係るクリーナ1の適用は車両用灯具の洗浄に限られることはなく、車載センサ、車体、窓、ミラー等の車両に設けられる被洗浄物となる各部を洗浄するクリーナとして広く適用することが可能である。また、クリーナ1はバンパ100に取り付け可能であるが、バンパ100以外の車体やヘッドランプ等の車両の一部を構成する各部に取付可能である。
【0021】
図1および図2に示すように、クリーナ1は、バンパ100に形成された開口部101内に設けられたシリンダ2と、シリンダ2の軸方向(前後方向)へ移動自在に支持されたピストン3と、ピストン3の前端部に連結されたノズルホルダ10と、ノズルホルダ10に支持されるノズル4と、ノズルホルダ10に取付可能なノズルカバー20と、を備えている。
【0022】
シリンダ2は、前後に延びる略円筒状に形成され、後端部に連結管(不図示)が連結されている。連結管は、洗浄液が貯留されて車体の内側に配置された貯留タンクに連結されている。シリンダ2の内部には貯留タンクから送り出される洗浄液が連結管を介して流入される。
【0023】
ピストン3は、前後に延びる略円筒状に形成されている。ピストン3は、クリーナ1の非洗浄時において、前端部を除く部分がシリンダ2の内部に挿入されている。すなわち、収納位置においてピストン3は、その前端部がシリンダ2から前方に突出されている。ピストン3の内部にはシリンダ2に流入された洗浄液が流入される。
【0024】
ノズルホルダ10は、その後端部から左右に突出するノズル支持部11,11を備えている。一対のノズル支持部11,11の内部空間は、それぞれノズルホルダ10の内部空間に連通されている。ノズルホルダ10の内部空間には不図示のバルブが配置されている。ノズルホルダ10の内部空間にはピストン3に流入された洗浄液が供給され、洗浄液の圧力によってバルブが開放されることにより、洗浄液がノズル支持部11,11に流入される。
【0025】
ノズル支持部11,11のそれぞれの外側の端部には、ノズル4,4が支持されている。ノズル4,4には洗浄液を噴射する噴射口4a,4aがそれぞれ形成されている。
【0026】
ノズルホルダ10の前端部は、後述のノズルカバー20が連結される被係合部12として形成されている。図1に示すように、被係合部12の上面には上方に突出されたランス係合用の凸部13a(第一凸部の一例)が設けられている。図2に示すように、被係合部12の下面には下方に突出されたランス係合用の凸部13b(第二凸部の一例)が設けられている。被係合部12の上面において、凸部13aよりも前方には、上方に突出する一対の案内部14a,14aが設けられている。また、被係合部12の下面において、凸部13bよりも前方には、下方に突出する一対の案内部14b,14bが設けられている。被係合部12の左右両端部には、それぞれ側方(外方)に突出する回転規制部15,15が設けられている。
【0027】
また、被係合部12の上面において、凸部13aよりも後方には、左右方向(ノズルホルダ10の周方向)に延在するようにして上方に突出する被当接リブ16a(第三被当接リブの一例)が設けられている。被係合部12の下面において、凸部13bよりも後方には、左右方向(周方向)に延在するようにして下方に突出する被当接リブ16b(第一被当接リブの一例)が設けられている。被係合部12の上面において、被当接リブ16aよりも後方には、前後方向(ノズルホルダ10の軸方向)に沿って延在するようにして上方に突出する一対の被当接リブ17a,17a(第三被当接リブの一例)が設けられている。一対の被当接リブ17a,17aは、一定距離だけ離隔して配置されている。具体的には、一対の被当接リブ17a,17aは、凸部13aの幅と略同一の距離だけ離隔して配置されている。被係合部12の下面において、被当接リブ16bよりも後方には、前後方向(軸方向)に沿って延在するようにして下方に突出する一対の被当接リブ17b,17b(第二被当接リブの一例)が設けられている。一対の被当接リブ17b,17bは、一定距離だけ離隔して配置されている。具体的には、一対の被当接リブ17b,17bは、凸部13bの幅と略同一の距離だけ離隔して配置されている。
【0028】
ノズルカバー20は、ノズルホルダ10の被係合部12に連結される。ノズルカバー20は、バンパ100の開口部101を閉塞するためのカバー部21と、カバー部21から後方へ突出する係合部30と、係合部30の左右に設けられた呼込部23とが一体に形成されることで構成されている。
【0029】
カバー部21は、前後方向を向く横長の略平板状に形成されている。係合部30は、カバー部21の内面(後面)側の左右方向における中央部に位置されている。係合部30は、略円筒形に形成されている。
【0030】
係合部30の上面において後端寄りの位置には、上下に貫通された係合孔31が形成されている。係合孔31の左右には、前後方向に沿って開口されたスリット状の被案内部32a,32aが形成されている。係合部30の下面における後端部には、前方へ向けて切り欠かれた切欠き部33が形成されている。切欠き部33の左右には、前後方向に沿って開口されたスリット状の被案内部32b,32bが形成されている。切欠き部33と左右の被案内部32b,32bとの間に、前後方向に沿って延びる一対の当接リブ34,34が設けられている。一対の当接リブ34,34の後端部は、上面の係合孔31が設けられた部分よりも後方側に位置している。係合部30の側面にはそれぞれ前後方向に沿って開口されたスリット状の被回転規制部35,35が形成されている。
【0031】
呼込部23,23は、係合部30に対して左右に位置され、カバー部21から後方に突出されている。呼込部23,23は、クリーナ1をバンパ100に取り付ける不図示の取付用ブラケットに対してノズルカバー20を位置決めするために用いられる。
【0032】
次に、図3および図4を参照して、ノズルカバー20のノズルホルダ10への取り付け状態について説明する。
ノズルカバー20は、ノズルホルダ10に対して相対的に後方へ移動され、ノズルカバー20の係合部30がノズルホルダ10の被係合部12に係合されることによりノズルホルダ10に連結される。具体的には、図3および図4に示すように、係合部30の上面に形成された被案内部32a,32aに被係合部12の上面に形成された案内部14a,14aが挿入されるとともに、係合部30の下面に形成された被案内部32b,32bに被係合部12の下面に形成された案内部14b,14bが挿入されることで、ノズルカバー20がノズルホルダ10に案内される。そして、被係合部12の上面に形成された凸部13aが、係合部30の上面に形成された係合孔31に係合されることにより、ノズルカバー20がノズルホルダ10に係合される。このとき、係合部30の下面に形成された切欠き部33に、被係合部12の下面に形成された凸部13bが挿通される。なお、係合部30の被回転規制部35,35に被係合部12の回転規制部15,15がそれぞれ挿入されることで、ノズルカバー20のノズルホルダ10に対する回転、すなわち、ピストン3の軸回り方向における回転が規制される。
【0033】
図5は、ノズルホルダ10にノズルカバー20が係合した状態で、ノズルカバー20の当接リブ34,34、およびノズルホルダ10の被当接リブ17b,17bを断面で示した後面図である。
図4および図5に示すように、ノズルカバー20がノズルホルダ10に係合された状態においては、ノズルカバー20の係合部30の下面に形成された当接リブ34,34が、ノズルホルダ10の下面において左右方向に延在するように形成された被当接リブ16bに当接するとともに、当該被当接リブ16bから後方に向かって延在するように形成された一対の被当接リブ17b,17bに当接する。
【0034】
なお、係合部30の下面に形成された当接リブ34,34の長さは、クリーナ1の構成に応じて適宜に変更可能である。例えば、図6に示す変形例に係るノズルカバーの係合部130のように、係合部130の下面に形成された当接リブ134,134は、ノズルホルダ10の下面において左右方向に延在するように形成された被当接リブ16bに少なくとも当接するだけの長さを有していればよい。
【0035】
このように構成されたクリーナ1は、ノズルホルダ10にノズルカバー20が係合されるとともに不図示の取付用ブラケットがシリンダ2に係合された状態において、バンパ100に形成された開口部101に前方から挿入されることによりバンパ100に取り付けられる。ノズルホルダ10に取り付けられたノズルカバー20のカバー部21により、開口部101が閉塞される。すなわち、カバー部21の前面とバンパ100の前面とが略同一面上に位置される。
【0036】
図7Aは、比較例に係るノズルカバー220の係合孔31にノズルホルダ10の凸部13aが係合した状態を示す模式図である。図7Bは、図7Aの一部拡大図である。また、図8Aは、本実施形態の変形例(図6参照)に係るノズルカバー120の係合孔31にノズルホルダ10の凸部13aが係合した状態を示す模式図である。図8Bは、図8Aの一部拡大図である。
【0037】
図7Aに示すように、比較例に係るノズルカバー220の下面に形成された当接リブ234は、本実施形態の変形例(図6参照)に係るノズルカバー120の下面に形成された当接リブ134よりも短い。すなわち、比較例の当接リブ234の後端は、図6に示す変形例の当接リブ134の後端よりも前方に位置している。
【0038】
比較例において、ノズルホルダ10に係合されたノズルカバー220に対して図7Aの矢印Dで示すような向きに力を加えた場合、すなわち、カバー部21に対して下向きに捻るような力を加えた場合には、ノズルカバー220の回転中心CAは、前後方向において係合孔231と凸部13aとが係合している位置と略同一の位置となる。そのため、ノズルカバー220が回転中心CAを中心として回転軌跡CA1に沿って回転することで、図7Bに示すように、係合孔231が上方に持ち上がり、係合孔231と凸部13aとの係合状態が解除されてノズルカバー220がノズルホルダ10から外れてしまう可能性がある。
【0039】
これに対して、本実施形態の変形例に係るノズルカバー120の構成においては、ノズルホルダ10に係合されたノズルカバー120に対して図8Aの矢印Dで示すようにカバー部21を下向きに捻るような力を加えた場合には、ノズルカバー120の回転中心Cは、前後方向において係合孔31と凸部13aとが係合している位置よりも後方側の位置となる。そのため、ノズルカバー120が回転中心Cを中心として回転軌跡C1に沿って回転しても、図8Bに示すように、係合孔31が上方に持ち上がることはなく、係合孔31と凸部13aとの係合が解除されることはない。
【0040】
同様に、図4に示すような本実施形態に係るノズルカバー20の構成では、係合部30の当接リブ34の後端は、変形例に係るノズルカバー120の当接リブ134の後端よりもさらに後方側に位置している。そのため、ノズルカバー20に対して図8に示すような下向きの力が加わった場合も、係合孔31が上方に持ち上がることはなく、係合孔31と凸部13aとの係合が解除されることはない。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係るクリーナ1は、バンパ100に形成された開口部101内に設けられたシリンダ2と、シリンダ2に対して前後方向に沿って進退自在に支持されるピストン3と、ピストン3の先端近傍に設けられたノズルホルダ10と、ノズルホルダ10に支持されてピストン3が開口部101から突出された状態で被洗浄物へ洗浄液を噴射するノズル4,4と、ノズルホルダ10の先端に設けられてピストン3がシリンダ2内に引き込まれた状態で開口部101を塞ぐノズルカバー20と、を備えている。ノズルカバー20は、開口部101を塞ぐカバー部21と、カバー部21からピストン3側(後方側)に突出するように設けられてノズルホルダ10に係合される係合部30と、を有している。そして、ノズルカバー20の係合部30の上面(係合部の一面の一例)には係合孔31(凹部の一例)が設けられているとともに、係合部30の下面(係合部の他面の一例)には当接リブ34,34が設けられ、ノズルホルダ10の上面(ノズルホルダの一面の一例)には係合孔31に係合する凸部13a(第一凸部の一例)が設けられているとともに、ノズルホルダ10の下面(ノズルホルダの他面の一例)には当接リブ34,34が当接する被当接リブ16b(第一被当接リブの一例)が設けられている。これにより、ノズルホルダ10に対してノズルカバー20がランス係合により係合可能であるとともに、そのランス係合部の反対側においてノズルカバー20の係合部30に設けられた当接リブ34,34がノズルホルダ10に設けられた被当接リブ16bに当接する。これにより、ノズルホルダ10に対するノズルカバー20の組み付け性を向上させることができる。
【0042】
仮に、当接リブ34,34と被当接リブ16bとの当接部をランス係合部として構成した場合には、2つのランス係合部が設けられることになるため、本実施形態に比べて組み付け性が劣る場合がある。加えて、上下方向の同位置にランス係合部が設けられると、ノズルカバーをノズルホルダから取り外そうとした場合に2つのランス係合部を同時に解除する必要がある。これに対して、本実施形態に係るクリーナ1では、ランス係合部(係合孔31および凸部13a)とは反対側には当接部(当接リブ34,34および被当接リブ16b)が設けられるため、取外しの作業性をも向上させることができる。
【0043】
本実施形態に係るクリーナ1において、当接リブ34,34が当接する被当接リブ16bは、凸部13a,13bよりも後方(ピストン3の後端側)に設けられている。これにより、例えば、ノズルカバー20に下向きの抉り力が加えられた場合であっても、当接リブ34の凸部13a,13bよりも後方の位置が回転中心となるため、係合孔31が上方に持ち上がることがない。そのため、係合孔31と第1凸部13aとの係合が解除されてしまうことを防止することができ、ノズルホルダ10によるノズルカバー20の保持力(係合性)を向上させることができる。
【0044】
本実施形態に係るクリーナ1において、ノズルホルダ10には、ノズルカバー20の一対の当接リブ34,34に沿って被当接リブ16bから後方へ延びる一対の被当接リブ17b,17b(第二被当接リブの一例)が設けられている。これにより、各当接リブ34,34が被当接リブ16bだけではなく各被当接リブ17bへも当接することになるため、ノズルカバー20に下向きの抉り力が加えられた場合に、被当接リブ16bの位置よりもさらに後方に設けられた当接リブ34の後端部が回転中心となる。そのため、ノズルカバー20がノズルホルダ10から外れてしまうことをより確実に防止でき、ノズルホルダ10によるノズルカバー20の保持力をさらに高めることができる。
【0045】
本実施形態に係るクリーナ1においては、ノズルホルダ10の下面(他面)にもランス係合用の凸部13bが設けられているとともに、ノズルホルダの上面(一面)にも被当接リブ16aが設けられている。これにより、図3および図4に示すような組み付け方向とはノズルカバー20の上下方向を逆さにして、ノズルカバー20をノズルホルダ10に係合させることができる。そのため、ノズルホルダ10に対するノズルカバー20の組付け方向が制限されることなく、クリーナ1の汎用性を高めることができる。
【0046】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。すなわち、本開示は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本開示を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
上記の実施形態においては、ノズルカバー20がノズルホルダ10に取り付けられた状態において一対の当接リブ34,34が一対の被当接リブ17b,17bに当接する構成を備えているが、この例に限られない。ノズルカバー20には1つの当接リブのみが設けられ、当該1つの当接リブが前後方向に延在する1つの被当接リブに当接する構成を採用してもよい。
【0048】
本出願は、2019年1月25日出願の日本特許出願2019-11272号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B