(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】端子接続構造、車載用アンテナ装置、端子接続構造の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20240515BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240515BHJP
H01R 35/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
H01R35/00 Z
(21)【出願番号】P 2021010819
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】松村 修太
(72)【発明者】
【氏名】野田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】荒田 穣
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032166(JP,A)
【文献】特開2008-236190(JP,A)
【文献】特開2016-051866(JP,A)
【文献】特開2010-182639(JP,A)
【文献】特開2015-195546(JP,A)
【文献】特開2011-151623(JP,A)
【文献】特開2015-084575(JP,A)
【文献】特開2001-313137(JP,A)
【文献】特開2017-17653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/00
H01R 35/04
H01R 39/00
H01Q 1/00-1/10
H01Q 1/27-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線と、
前記導線を保持するホルダーと、
前記導線が取り付けられ、前記ホルダーに保持されるホルダー側端子部とを備え、
前記導線の前記ホルダーに取り付けられた領域と、前記導線の前記ホルダー側端子部に取り付けられた領域との間が、引っ張り合った状態になるように、前記導線の前記ホルダーへの取り付け、及び前記導線の前記ホルダー側端子部への取り付けが行われ、
前記ホルダーは、前記導線が前記ホルダー側端子部に取り付けられて前記引っ張り合った状態になる前の第1状態と、前記導線が前記ホルダー側端子部に取り付けられて前記引っ張り合った状態になった後の第2状態との間で前記ホルダー側端子部が移動可能な状態で、前記ホルダー側端子部を保持し、
前記第2状態で、前記ホルダーを保持する部材が基板若しくは前記基板を保持する部材に取り付けられる、端子接続構造。
【請求項2】
前記ホルダーには、前記ホルダー側端子部の前記導線が取り付けられる領域を、前記ホルダー側端子部の前記導線が取り付けられる領域が前記導線によって引っ張られる方向と逆方向にずらす凸部が設けられ、
前記ホルダー側端子部は、前記ホルダー側端子部と前記凸部が接する領域を中心とした回転移動により、前記第1状態から前記第2状態に移動する、請求項1に記載の端子接続構造。
【請求項3】
前記ホルダー側端子部は、舌片が折り曲げられた抜け止め部を有し、
前記ホルダーは、前記抜け止め部が撓んだ状態で通過する傾斜面を含む抜け止め壁部を有する、請求項1または請求項2に記載の端子接続構造。
【請求項4】
前記ホルダー側端子部は、前記第1状態と前記第2状態のいずれかで、前記ホルダーと接する壁を有する、請求項3に記載の端子接続構造。
【請求項5】
前記第1状態の前記ホルダー側端子部が前記ホルダーに保持された状態で、前記ホルダーを保持する部材が前記基板若しくは前記基板を保持する部材に取り付けられた場合には、前記第2状態の前記ホルダー側端子部が前記ホルダーに保持された状態で、前記ホルダーを保持する部材が前記基板若しくは前記基板を保持する部材に取り付けられた場合と比べて、前記ホルダー側端子部は、位置がずれる、請求項1~請求項4のいずれかに記載の端子接続構造。
【請求項6】
アンテナエレメントと、
請求項1~請求項5のいずれかに記載の端子接続構造とを備え、
前記導線の前記ホルダーに巻かれた領域は、前記アンテナエレメントのコイル部である、車載用アンテナ装置。
【請求項7】
導線と、前記導線を保持するホルダーと、前記導線が取り付けられ、前記ホルダーに保持されるホルダー側端子部とを含む端子接続構造の組み立て方法であって、
前記導線の前記ホルダーに取り付けられた領域と、前記導線の前記ホルダー側端子部に取り付けられた領域との間が、引っ張り合った状態になるように、前記導線の前記ホルダーへの取り付け、及び前記導線の前記ホルダー側端子部への取り付けが行われ、
前記ホルダーは、前記導線が前記ホルダー側端子部に取り付けられて前記引っ張り合った状態になる前の第1状態と、前記導線が前記ホルダー側端子部に取り付けられて前記引っ張り合った状態になった後の第2状態との間で前記ホルダー側端子部が移動可能な状態で、前記ホルダー側端子部を保持し、
前記第1状態で、前記ホルダー側端子部の少なくとも一部が収納部に収納される第1保持工程と、
前記導線により、前記第2状態で前記ホルダー側端子部が前記収納部に保持されるように、前記ホルダー側端子部を移動させる第2保持工程と、
前記ホルダーを保持する部材が、基板若しくは前記基板を保持する部材に取り付けられる保持部材取付工程とを備える、端子接続構造の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子接続構造などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、コイルの端子が、基板などの他の部材に接続される端子接続構造を含む車載用アンテナ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引っ張り力などの力が加えられた状態で、コイルから延びるリード線が他の部材の端子に接続された場合、当該他の部材の端子が移動して、位置がずれてしまうおそれがあった。
【0005】
したがって本発明の目的の一例は、位置ズレを抑制することである。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、導線と、導線を保持するホルダーと、導線が取り付けられ、ホルダーに保持されるホルダー側端子部とを備え、導線のホルダーに取り付けられた領域と、導線のホルダー側端子部に取り付けられた領域との間が、引っ張り合った状態になるように、導線のホルダーへの取り付け、及び導線のホルダー側端子部への取り付けが行われ、ホルダーは、導線がホルダー側端子部に取り付けられて引っ張り合った状態になる前の第1状態と、導線がホルダー側端子部に取り付けられて引っ張り合った状態になった後の第2状態との間でホルダー側端子部が移動可能な状態で、ホルダー側端子部を保持し、第2状態で、ホルダーを保持する部材が基板若しくは基板を保持する部材に取り付けられる、端子接続構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、位置ズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の車載用アンテナ装置の内部構造を示す断面構成図である。
【
図2】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられる前の状態を示す上方から見た斜視図である。
【
図3】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられる前の状態を示す下面図である。
【
図5】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられる前の状態を示すy方向左方から見た側面図である。
【
図7】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられた状態を示す上方から見た斜視図である。
【
図8】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられた状態を示す下方から見た斜視図である。
【
図9】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられた第1状態を示す下面図である。
【
図10】
図9のホルダー側下方端子部がある領域を拡大した下面図である。
【
図11】ホルダーにホルダー側下方端子部が取り付けられた状態を示すy方向左方から見た側面図である。
【
図14】ホルダーとホルダー側下方端子部に導線が取り付けられた状態を示す下方から見た斜視図である。
【
図15】ホルダーとホルダー側下方端子部に導線が取り付けられた第2状態を示す下面図である。
【
図16】
図15のホルダー側下方端子部がある領域を拡大した下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0010】
(車載用アンテナ装置1)
本実施形態における車載用アンテナ装置1は、例えば
図1に示すように、ルーフ100など車両の上面に取り付けられる。車載用アンテナ装置1は、アンテナケース(外装ケース2a、内装ケース2b)、パッド3、アンテナ素子部4、基板側端子部5、基板6、アンテナベース8、ホルダー40、ホルダー側下方端子部50、ホルダー側上方端子部60を備える。アンテナ素子部4のコイル部4bを構成する導線と、基板側端子部5と、ホルダー40と、ホルダー側下方端子部50が、端子接続構造を構成する。なお、
図1は、車載用アンテナ装置1のxz断面構成を模式的に示すものであり、ルーフ100に取り付けるための部材などは省略している。
【0011】
方向を説明するために、車載用アンテナ装置1が取り付けられる車両の前後方向をx方向、x方向と垂直な左右方向をy方向、x方向とy方向に垂直な鉛直方向をz方向として説明する。
図2において、x軸、y軸、z軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ前方向、右方向、上方向と定義する。内部の構造を説明するため、
図3では、第1ホルダー側壁部43と第2ホルダー側壁部45の下端保持部47によって隠れる部分が太字点線で示される。また、
図9、
図10、
図15、
図16では、ホルダー側下方端子部50の下端保持部47によって隠れる部分が細字点線で示され、第1ホルダー側壁部43と第2ホルダー側壁部45の下端保持部47によって隠れる部分が太字点線で示される。
【0012】
(外装ケース2a)
外装ケース2aは、電波透過性を有する合成樹脂製である(
図1参照)。外装ケース2aは、例えば、x方向前方がx方向後方よりも低くなるように傾斜し、両側面が内側に湾曲したシャークフィン形状を有する。外装ケース2aは、下面が開口する。外装ケース2aは、パッド3とアンテナベース8を覆う。これにより、外装ケース2aとパッド3とアンテナベース8とで形成された収容空間内には、例えば、内装ケース2b、アンテナ素子部4、基板側端子部5、基板6、ホルダー40、ホルダー側下方端子部50、ホルダー側上方端子部60が収納される。なお、車両のルーフ100のz方向上方に隆起した領域の内側に、内装ケース2bなどが設けられてもよい。この場合、外装ケース2aは省略される。
【0013】
(内装ケース2b)
内装ケース2bは、電波透過性を有する合成樹脂製である。内装ケース2bは、下面が開口する。内装ケース2bは、基板6を覆う。これにより、内装ケース2bと基板6とで形成された収容空間内には、アンテナ素子部4のコイル部4b、基板側端子部5、ホルダー40、ホルダー側下方端子部50、ホルダー側上方端子部60が収納される。内装ケース2bの外壁には、アンテナ素子部4の容量装荷素子部4aが取り付けられる。内装ケース2bの外壁、外装ケース2aと内装ケース2bの間、若しくは内装ケース2bの内側に、アンテナ素子部4とは別のアンテナ素子が設けられてもよい。
【0014】
(パッド3)
パッド3は、エラストマー(Elastomer)、ゴムなどで形成された囲繞形状の弾性部材である。パッド3は、外装ケース2aの下端周縁部とアンテナベース8に挟み込まれ、外装ケース2aの下端周縁部と車両との間の隙間を目隠しすると共に外装ケース2a内への水の浸入を防止する。パッド3は、外装ケース2aとアンテナベース8の間に代えて、内装ケース2bと基板6の間にも設けられてもよい。また、パッド3は、外装ケース2aとアンテナベース8の間、及び内装ケース2bと基板6の間に設けられてもよい。
【0015】
(アンテナ素子部4)
アンテナ素子部4は、アンテナエレメントを構成する。アンテナ素子部4は、容量装荷素子部4aと、コイル部4bを有する。容量装荷素子部4aは、内装ケース2bの外壁の上部に取り付けられる。アンテナ素子部4は、例えば、FM/AMの周波数帯の信号を受信する。しかしながら、アンテナ素子部4が受信する信号の種別は、これに限るものではない。
【0016】
(コイル部4b)
コイル部4bは、一本の導線で構成され、螺旋部4b1と下部リード線4b2と上部リード線4b3を有する。螺旋部4b1は、後述するホルダー40のホルダー本体部40aのコイル溝部40a1に巻き付けられる。下部リード線4b2は、螺旋部4b1の下端から延び、ホルダー側下方端子部50に接続される。具体的には、下部リード線4b2は、ホルダー側下方端子部50のリード線掛け止め部51aに掛け止めされる。コイル部4bの下部リード線4b2は、ホルダー側下方端子部50、基板側端子部5を介して基板6と電気的に接続される。上部リード線4b3は、螺旋部4b1の上端から延び、ホルダー側上方端子部60に接続される。コイル部4bの上部リード線4b3は、ホルダー側上方端子部60、ネジ(不図示)を介して、容量装荷素子部4aと電気的に接続される。
【0017】
コイル部4bは、ホルダー40に保持される。ホルダー40のz方向上方は、上方取付部40cを介して、内装ケース2bに保持される。ホルダー40とホルダー側下方端子部50とホルダー側上方端子部60の詳細は、後述する。
【0018】
(基板側端子部5)
基板側端子部5は、アンテナ素子部4のコイル部4bと基板6の導電路との電気的な接続のために使用される。基板側端子部5は、基板6に取り付けられる。
【0019】
(基板6)
基板6には、アンプなど、アンテナ素子部4に関連する電子部品が実装される。基板6は、アンテナベース8の上部に、ネジ止めなどで取り付けられる。基板6の導電路と電気的に接続されたコネクタ(不図示)は、アンテナベース8に設けられたコネクタ孔(不図示)を介して、車両のルーフ100に延びる。基板6の導電路とケーブルが電気的に接続され、アンテナベース8に設けられたケーブル孔を介して、車両のルーフ100に延びていてもよい。
【0020】
(ホルダー40)
次に、
図2~
図16を用いて、ホルダー40とホルダー側下方端子部50とホルダー側上方端子部60の詳細について、説明する。ホルダー40は、ホルダー本体部40a、上方取付部40cを有する。ホルダー40は、コイル部4bの螺旋部4b1を保持し、且つ、後述する第1状態と第2状態の間でホルダー側下方端子部50が移動可能な状態で、ホルダー側下方端子部50を保持する。
【0021】
ホルダー本体部40aは、z方向に延びる略楕円柱形状を有する(
図2参照)。ホルダー本体部40aの側面には、コイル部4bの螺旋部4b1を構成する導線を巻き付けるための螺旋状の溝(コイル溝部40a1)が設けられる。ホルダー本体部40aのz方向上方で且つx方向前方には、上方取付部40cが設けられる。上方取付部40cには、ホルダー側上方端子部60が取り付けられる。
【0022】
ホルダー本体部40aのz方向下方では、ホルダー側下方端子部50が保持される。ホルダー側下方端子部50の保持のために、ホルダー本体部40aのz方向下方には、収納部41、第1ホルダー側壁部43、第2ホルダー側壁部45、下端保持部47、抜け止め壁部49が設けられる。
【0023】
(収納部41)
収納部41は、ホルダー本体部40aのz方向下方に設けられ、z方向下方が開口する凹領域で、当該凹領域にホルダー側下方端子部50の少なくとも一部が収納される。
【0024】
(第1ホルダー側壁部43、第2ホルダー側壁部45)
収納部41の凹領域とホルダー本体部40aの境界には、壁(第1ホルダー側壁部43、第2ホルダー側壁部45)が形成される(
図3参照)。第1ホルダー側壁部43は、y方向に略垂直な面を有し、z方向から見てx方向に延びる。第1ホルダー側壁部43は、ホルダー側下方端子部50の第1端子側壁部53とy方向で対向する(
図9、
図10参照)。第1ホルダー側壁部43は、ホルダー側下方端子部50のy方向右方への移動を制限する。第2ホルダー側壁部45は、x方向に略垂直な面を有し、z方向から見てy方向に延びる。第2ホルダー側壁部45は、ホルダー側下方端子部50の第2端子側壁部55とx方向で対向する。
【0025】
(第2ホルダー側壁部45と第2端子側壁部55の隙間)
第2ホルダー側壁部45のうち、x方向で対向する1対のもののx方向の間隔は、ホルダー側下方端子部50の当該1対の第2ホルダー側壁部45と対向する部分のx方向の幅と略同等である。ただし、第2ホルダー側壁部45と第2端子側壁部55の間に隙間が形成されるように、収納部41とホルダー側下方端子部50の形状及び寸法が決定される。
【0026】
当該隙間は、後述する凸部45aによりホルダー側下方端子部50のy方向左方の端部がx方向後方に少しずれ、下部リード線4b2がリード線掛け止め部51aを引っ張ることによりホルダー側下方端子部50のy方向左方の端部がx方向前方に少しずれるように、ホルダー側下方端子部50が移動できる程度の間隔と定義される。
【0027】
(凸部45a)
第2ホルダー側壁部45のうち、y方向右方、すなわちホルダー側下方端子部50を挿入する方向の奥側であって、x方向後方に位置するものには、x方向前方に突出する凸部45aが設けられる。凸部45aは、ホルダー側下方端子部50が収納部41に挿入された時に、ホルダー側下方端子部50の導線が取り付けられる領域(リード線掛け止め部51a)を、ホルダー側下方端子部50の当該導線が取り付けられる領域が当該導線によって引っ張られる方向と逆方向(z方向下方から見て時計回り)にずらす。凸部45aと接触することで、ホルダー側下方端子部50のリード線掛け止め部51aがある側と反対側の先端は、z方向から見て、第2ホルダー側壁部45のうちx方向前方のものに近づくよう第1角度θ1だけ傾く(第1状態)。第1角度θ1は、z方向から見て、第2ホルダー側壁部45のうち凸部45aを含むものと、第2端子側壁部55のうち凸部45aに接するものとがなす角度である。
【0028】
ただし、リード線掛け止め部51aに下部リード線4b2が掛け止めされて、リード線掛け止め部51aがx方向前方に引っ張られると、第1角度θ1だけ傾いた状態が解消される。すなわち、z方向から見て、第2ホルダー側壁部45のうち凸部45aを含むものと、第2端子側壁部55のうち凸部45aに接するものとが略平行になる(
図15、
図16参照、第2状態)。
【0029】
(下端保持部47)
下端保持部47は、ホルダー本体部40aの下端部である。収納部41と下端保持部47は、y方向左方から見て、略溝型形状を有する(
図2参照)。
【0030】
(抜け止め壁部49)
下端保持部47のホルダー側下方端子部50の抜け止め部51cが通る領域には、抜け止め壁部49が設けられる(
図8、
図13参照)。抜け止め壁部49は、y方向左方が低く、y方向右方が高くなるような傾斜面を有する。ホルダー側下方端子部50を収納部41に挿入するとき、抜け止め部51cの傾斜面が抜け止め壁部49の傾斜面と接するようにして、抜け止め壁部49を通過する。通過後は、抜け止め壁部49が抜け止め部51cのy方向左方への移動を制限する。
【0031】
(ホルダー側下方端子部50)
ホルダー側下方端子部50は、コイル部4bと基板6との電気的な接続のために使用される。ホルダー側下方端子部50は、導電性部材で構成される。ホルダー側下方端子部50は、本体部51、第1端子側壁部53、第2端子側壁部55、下端突出部57を有する(
図3、
図4参照)。嵌め込みにより、ホルダー側下方端子部50は、ホルダー40に取り付けられる。
【0032】
(本体部51)
本体部51は、z方向(ホルダー側下方端子部50が基板側端子部5に取り付けられる方向)から見て略L字形状を有する。
【0033】
(リード線掛け止め部51a)
本体部51の当該略L字形状を構成する辺のうち、x方向に延びるものの端部には、y方向左方(略L字形状を含む矩形領域の外側方向)に突出するリード線掛け止め部51aが設けられる。リード線掛け止め部51aは、z方向から見て略I字形状を有し、略I字形状を構成する凹んだ部分に下部リード線4b2が掛け止めされる(
図14~
図16参照)。
【0034】
(張出領域51b、抜け止め部51c)
本体部51の当該略L字形状を構成する辺のうち、y方向に延びるものの端部には、x方向前方(略L字形状を含む矩形領域の内側方向)に突出する張出領域51bが設けられる。張出領域51bには、y方向左方(略L字形状を含む矩形領域の内側方向)に延びる舌片が設けられる。当該舌片は、先端がz方向下方に折り曲げられ、抜け止め部51cを形成する(
図2~
図6参照)。抜け止め部51cの先端部は、下端保持部47の上面と接する。
【0035】
(溝部51d)
本体部51には、x方向とy方向に延びる溝部51dが設けられる。溝部51dは、z方向下方に突出する。溝部51dのx方向に延びるものとy方向に延びるものは連通する。溝部51dは、ホルダー側下方端子部50をホルダー40の収納部41に挿入する際にホルダー側下方端子部50が塑性変形するのを防止する。すなわち、溝部51dは、ホルダー側下方端子部50の補強部材として機能する。
【0036】
(第1端子側壁部53、第2端子側壁部55、下端突出部57)
本体部51の周囲には、z方向下方に延びる壁(第1端子側壁部53、第2端子側壁部55)が形成される。当該壁(第1端子側壁部53、第2端子側壁部55)の幾つかは、第1状態と第2状態のいずれかで、ホルダー40と接する。第1端子側壁部53は、y方向に略垂直な面を有し、z方向から見てx方向に延びる。第2端子側壁部55は、x方向に略垂直な面を有し、z方向から見てy方向に延びる。第1端子側壁部53の一部からは、z方向下方に更に延びる下端突出部57が形成される。下端突出部57は、z方向下方に延びる舌片を半分に折り曲げたもので、当該折り曲げられた領域が基板側端子部5と接触する。
【0037】
(下端突出部57とリード線掛け止め部51aの位置関係)
下端突出部57は、ホルダー側下方端子部50のy方向右方の端部に位置する。リード線掛け止め部51aは、ホルダー側下方端子部50のy方向左方の端部に位置する。下端突出部57がホルダー側下方端子部50のy方向左方の端部に位置していてもよいし、リード線掛け止め部51aがホルダー側下方端子部50のy方向右方の端部に位置していてもよい。
【0038】
(ホルダー側上方端子部60)
ホルダー側上方端子部60は、コイル部4bと容量装荷素子部4aとの電気的な接続のために使用される。ホルダー側上方端子部60は、導電性部材で構成される。ホルダー側上方端子部60は、ホルダー40の上方取付部40cに取り付けられる。
【0039】
(各部の位置関係)
ホルダー40が内装ケース2bに取り付けられ、内装ケース2bがアンテナベース8に取り付けられた時に、ホルダー40に取り付けられたホルダー側下方端子部50の下端突出部57が、基板6に取り付けられた基板側端子部5に挟み込まれるように、各部の位置関係が決定される。具体的には、第2状態では、正しい位置関係で、下端突出部57が、基板6に取り付けられた基板側端子部5と嵌まり合うように、z方向から見て、下端突出部57と、基板側端子部5の下端突出部57を受ける部位とがz方向で対向し、いずれもx方向に延びるように、各部の位置関係が決定される。第1状態では、下端突出部57は、z方向から見てx方向に平行な状態から第1角度θ1だけ傾いた状態となる。
【0040】
すなわち、仮に、第1状態のホルダー側下方端子部50がホルダー40に保持された状態で、ホルダー40を保持する部材(内装ケース2b)がアンテナベース8に取り付けられた場合には、第2状態のホルダー側下方端子部50がホルダー40に保持された状態で、ホルダー40を保持する部材(内装ケース2b)がアンテナベース8に取り付けられた場合と比べて、ホルダー側下方端子部50の基板側端子部5と接する部分(下端突出部57)は、基板側端子部5の下端突出部57を受ける部位とz方向(第1の方向)で対向する位置からずれる。
【0041】
(アンテナベース8)
アンテナベース8は、基板6を保持する(
図1参照)。アンテナベース8は、金属ベースのみであってもよいし、金属ベースと樹脂ベースであったり、金属ベースと金属プレートであったり、金属ベースと金属プレートと樹脂ベースであったりしてもよい。アンテナベース8の下面には、エラストマー(Elastomer)、ゴム、ウレタンフォームなどで形成された囲繞形状の弾性部材であるシール部材(不図示)が設けられる。シール部材によりアンテナベース8と車両のルーフ100との間であって取り付け穴が設けられた領域の周囲が水密封止される。なお、アンテナベース8を保持する樹脂ベースをさらに設け、当該樹脂ベースが外装ケース2aとでパッド3を挟み込む形態であってもよい。
【0042】
(取り付け方法)
次に、アンテナ素子部4を基板6に取り付ける手順(取り付け方法)について説明する。基板側端子部5が、基板6に取り付けられる(基板側端子部取付工程)。具体的には、クリンチ(かしめ)と半田付けにより、基板側端子部5が基板6に固定される。また、基板6の導電路(不図示)と、基板側端子部5とが電気的に接続された状態になる。内装ケース2bの外壁には、容量装荷素子部4aが取り付けられる(容量装荷素子部取付工程)。ホルダー側上方端子部60がホルダー40の上方取付部40cに取り付けられる(ホルダー側上方端子部取付工程)。
【0043】
ホルダー側下方端子部50が、ホルダー40の収納部41に取り付けられる(
図2~
図6参照、ホルダー側下方端子部取付工程(第1保持工程))。具体的には、ホルダー側下方端子部50がy方向左方に位置し、ホルダー40がy方向右方に位置した状態で、ホルダー側下方端子部50の張出領域51bがある領域が、ホルダー40の収納部41に挿入される。
【0044】
挿入途中で、ホルダー側下方端子部50の抜け止め部51cの下面が、ホルダー40の抜け止め壁部49の傾斜面と接する。抜け止め部51cと抜け止め壁部49の接触により、抜け止め部51cを構成する舌片の先端がz方向上方に撓み、当該舌片がz方向に垂直に近い状態になる。かかる撓みが生じた状態で、抜け止め部51cは抜け止め壁部49のz方向上方を通過する。通過後は、かかる撓みが解消され、抜け止め部51cは元の折れ曲がった状態になる。
【0045】
抜け止め部51cの先端部は、下端保持部47の上面と接する。また、本体部51の上面は、収納部41の上端(収納部41のホルダー本体部40aとの境界面)と接する(
図13参照)。このため、ホルダー側下方端子部50は、ホルダー40によりz方向の移動が制限される。
【0046】
第2端子側壁部55の一つは、第2ホルダー側壁部45の凸部45aと接触する。第2端子側壁部55と凸部45aの接触により、ホルダー側下方端子部50のy方向の移動は、y方向の先端部(下端突出部57が設けられた部分)がx方向前方にずれるように、z方向から見て第1角度θ1だけ傾いた状態のy方向の移動に変化する。ホルダー側下方端子部50の一部が、ホルダー40の第1ホルダー側壁部43などと接触し、接触後は、ホルダー側下方端子部50のy方向右方への移動が制限される。これにより、第1状態でのホルダー側下方端子部50のホルダー40への取り付けが完了する(
図7~
図13参照)。
【0047】
ホルダー40のホルダー本体部40aのコイル溝部40a1に、導線を巻き付けて、螺旋部4b1が形成される(螺旋部形成工程)。螺旋部4b1の下端から延びる下部リード線4b2が、ピンと張った状態で、ホルダー側下方端子部50の本体部51のリード線掛け止め部51aに掛け止めされる(下部リード線取付工程(第2保持工程))。
【0048】
下部リード線4b2がリード線掛け止め部51aに掛け止めされる際、リード線掛け止め部51aには、リード線掛け止め部51aをホルダー40のx方向前方に近づけるような引っ張り力が加えられる。すなわち、導線のホルダー40に取り付けられた領域(螺旋部4b1)と、導線のホルダー側下方端子部50に取り付けられた領域(下部リード線4b2のリード線掛け止め部51aに掛け止めされた領域)との間が、引っ張り合った状態になるように、導線のホルダー40への取り付け、及び導線のホルダー側下方端子部50への取り付けが行われる。
【0049】
かかる引っ張り力により、ホルダー側下方端子部50は、z方向下方から見て、ホルダー側下方端子部50の凸部45aと接する領域を中心とした反時計回りの回転移動をする。ホルダー側下方端子部50の一部が、第1ホルダー側壁部43と第2ホルダー側壁部45の少なくとも一方と接することで、かかる回転移動は制限される。これにより、第2状態でのホルダー側下方端子部50のホルダー40への固定が完了する(
図14~
図16参照)。
【0050】
ホルダー側下方端子部50は、z方向から見て、ホルダー側下方端子部50と凸部45aが接する領域を中心とした回転移動を行い、第1状態から第2状態に変化する。すなわち、下部リード線取付工程(第2保持工程)では、導線により、ホルダー40に第1状態で保持されていたホルダー側下方端子部50が、第2状態で保持されるように、ホルダー側下方端子部50が移動する。
【0051】
螺旋部4b1の上端から延びる上部リード線4b3が、ホルダー側上方端子部60に取り付けされる(上部リード線取付工程)。コイル部4b、ホルダー側下方端子部50、ホルダー側上方端子部60が取り付けられたホルダー40が、内装ケース2bに取り付けられる(ホルダー取付工程)。これにより、容量装荷素子部4aとコイル部4bとが、ホルダー側上方端子部60を介して、電気的に接続された状態になる。
【0052】
アンテナ素子部4、ホルダー40、ホルダー側下方端子部50、ホルダー側上方端子部60が取り付けられた内装ケース2bが、基板6に取り付けられる(保持部材取付工程)。このとき、ホルダー側下方端子部50の下端突出部57が、基板6に取り付けられた基板側端子部5に接続する。これにより、アンテナ素子部4と基板6とが、ホルダー側下方端子部50と基板側端子部5とを介して、電気的に接続された状態になる。
【0053】
(第1状態から第2状態に移動可能な状態でホルダー40がホルダー側下方端子部50を保持することの効果)
導線がピンと張った状態で、ホルダー40とホルダー側下方端子部50に取り付けられると、ホルダー側下方端子部50は導線に引っ張られて位置がずれる可能性がある。
本実施形態では、かかる位置ズレを考慮し、導線に引っ張られて位置がずれる前の第1状態から、位置がずれた後の第2状態に移動可能な状態で、ホルダー側下方端子部50がホルダー40に保持される。
このため、位置がずれた後の第2状態を正しい位置とし、第2状態のホルダー側下方端子部50を、基板側端子部5に取り付けることが可能になる。
【0054】
(ホルダー40に凸部45aを設けたことの効果)
凸部45aによって、ホルダー側下方端子部50は、ホルダー側下方端子部50の導線が取り付けられる領域(リード線掛け止め部51a)が引っ張られる方向と逆方向にずらされる。このため、凸部45aを設けない形態に比べて、公差による影響が抑制されて、ホルダー側下方端子部50は、ホルダー側下方端子部50の導線が取り付けられる領域(リード線掛け止め部51a)が引っ張られる方向と逆方向にずらされやすくなる。
【0055】
(ホルダー側下方端子部50に抜け止め部51cを設けたことの効果)
抜け止め部51cが抜け止め壁部49を通過した後は、抜け止め部51cが外れにくい。このため、抜け止め部51cを設けない形態に比べて、ホルダー側下方端子部50がホルダー40から抜け落ちにくくなる。
また、抜け止め部51cの折り曲げられた領域がz方向の厚みを持つので、抜け止め部51cを設けない形態に比べて、ホルダー側下方端子部50のz方向の動きを制限できる(z方向にずれにくい)。
【0056】
(ホルダー側下方端子部50が壁(第1端子側壁部53、第2端子側壁部55)を設けたことの効果)
壁を設けない形態に比べて、ホルダー側下方端子部50の縁部が厚くなり、ホルダー側下方端子部50のホルダー40と接する領域の強度を高めることができる。
【0057】
(螺旋部形成工程と下部リード線取付工程(第2保持工程)の順序を変えた応用例)
本実施形態では、螺旋部形成工程の後に、下部リード線取付工程(第2保持工程)が行われる例を説明した。しかしながら、下部リード線取付工程(第2保持工程)の後に、螺旋部形成工程が行われてもよい。この場合、導線の下部リード線4b2から延びる部分が、ピンと張った状態で、コイル溝部40a1に巻き付けられる。
【0058】
導線がコイル溝部40a1に巻き付けられる際、リード線掛け止め部51aには、リード線掛け止め部51aをホルダー40のx方向前方に近づけるような引っ張り力が加えられる。すなわち、導線のホルダー40に取り付けられた領域(螺旋部4b1)と、導線のホルダー側下方端子部50に取り付けられた領域(下部リード線4b2のリード線掛け止め部51aに掛け止めされた領域)との間が、引っ張り合った状態になるように、導線のホルダー40への取り付け、及び導線のホルダー側下方端子部50への取り付けが行われる。
【0059】
(外装ケース2aの形状の応用例)
本実施形態では、車載用アンテナ装置1は、外装ケース2aがシャークフィン形状を有するものとして説明した。しかしながら、外装ケース2aは、他の形状であってもよい。例えば、外装ケース2aは、ルーフアンテナやマイクロアンテナに使用されるケースであってもよい。
【0060】
(ホルダー40を保持する部材の応用例)
本実施形態では、ホルダー40が内装ケース2bに取り付けられる例を説明した。しかしながら、ホルダー40は、外装ケース2aなど他の部材に取り付けられてもよい。
【0061】
(ホルダーを保持する部材が取り付けられる部材の応用例)
図1では、ホルダー40を保持する部材(内装ケース2bなど)が、基板6に取り付けられる例を示した。しかしながら、ホルダー40を保持する部材は、本実施形態で説明したように、アンテナベース8など他の部材(基板6を保持する部材)に取り付けられてもよい。
【0062】
(コイル部4b以外の応用例)
本実施形態では、導線の一部がコイル部4bの螺旋部4b1として使用され、導線のホルダー40に取り付けられた領域(螺旋部4b1)と、導線のホルダー側下方端子部50に取り付けられた領域(下部リード線4b2のリード線掛け止め部51aに掛け止めされた領域)との間が、引っ張り合った状態になるように、導線のホルダー40への取り付けが行われる例を説明した。しかしながら、導線のホルダー40に取り付けられる領域は螺旋形状のものに限らない。このため、導線であって他の形状のものがホルダー40に取り付けられる形態であってもよい。
【0063】
(他の電気機器への応用例)
本実施形態では、車載用アンテナ装置1に、基板側端子部5、ホルダー40と、ホルダー側端子部に相当するホルダー側下方端子部50を含む端子接続構造が設けられる例を説明した。しかしながら、端子接続構造は、車載用アンテナ装置1と異なる別の電気機器に設けられてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0065】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1)
端子接続構造は、導線と、導線を保持するホルダーと、導線が取り付けられ、ホルダーに保持されるホルダー側端子部とを備える。導線のホルダーに取り付けられた領域と、導線のホルダー側端子部に取り付けられた領域との間が、引っ張り合った状態になるように、導線のホルダーへの取り付け、及び導線のホルダー側端子部への取り付けが行われる。ホルダーは、導線がホルダー側端子部に取り付けられて引っ張り合った状態になる前の第1状態と、導線がホルダー側端子部に取り付けられて引っ張り合った状態になった後の第2状態との間でホルダー側端子部が移動可能な状態で、ホルダー側端子部を保持する。第2状態で、ホルダーを保持する部材が基板若しくは基板を保持する部材に取り付けられる。
【0066】
態様1によれば、導線がピンと張った状態で、ホルダーとホルダー側端子部に取り付けられると、ホルダー側下方端子部は導線に引っ張られて位置がずれる可能性がある。かかる位置ズレを考慮し、導線に引っ張られて位置がずれる前の第1状態から、位置がずれた後の第2状態に移動可能な状態で、ホルダー側端子部がホルダーに保持される。このため、位置がずれた後の第2状態を正しい位置とし、第2状態で、ホルダーを保持する部材を、基板若しくは基板を保持する部材に取り付けることが可能になる。
【0067】
(態様2)
好ましくは、ホルダーには、ホルダー側端子部の導線が取り付けられる領域を、ホルダー側端子部の導線が取り付けられる領域が導線によって引っ張られる方向と逆方向にずらす凸部が設けられる。ホルダー側端子部は、ホルダー側端子部と凸部が接する領域を中心とした回転移動により、第1状態から第2状態に移動する。
【0068】
態様2によれば、凸部によって、ホルダー側端子部は、ホルダー側端子部の導線が取り付けられる領域が引っ張られる方向と逆方向にずらされる。このため、凸部を設けない形態に比べて、公差による影響が抑制されて、ホルダー端子部は、ホルダー側端子部の導線が取り付けられる領域が引っ張られる方向と逆方向にずらされやすくなる。
【0069】
(態様3)
さらに好ましくは、ホルダー側端子部は、舌片が折り曲げられた抜け止め部を有する。ホルダーは、抜け止め部が撓んだ状態で通過する傾斜面を含む抜け止め壁部を有する。
【0070】
態様3によれば、抜け止め部が抜け止め壁部を通過した後は、抜け止め部が外れにくい。このため、抜け止め部を設けない形態に比べて、ホルダー側端子部がホルダーから抜け落ちにくくなる。また、抜け止め部の折り曲げられた領域が厚みを持つので、抜け止め部を設けない形態に比べて、ホルダー側端子部の厚さ方向の動きを制限できる(厚さ方向にずれにくい)。
【0071】
(態様4)
さらに好ましくは、ホルダー側端子部は、第1状態と第2状態のいずれかで、ホルダーと接する壁を有する。
【0072】
態様4によれば、壁を設けない形態に比べて、ホルダー側下方端子部のホルダーと接する領域が厚くなり、ホルダー側端子部のホルダーと接する領域の強度を高めることができる。
【0073】
(態様5)
また、好ましくは、第1状態のホルダー側端子部がホルダーに保持された状態で、ホルダーを保持する部材が基板若しくは基板を保持する部材に取り付けられた場合には、第2状態のホルダー側端子部がホルダーに保持された状態で、ホルダーを保持する部材が基板若しくは基板を保持する部材に取り付けられた場合と比べて、ホルダー側端子部は、位置がずれる。
【0074】
(態様6)
さらに好ましくは、車載用アンテナ装置は、アンテナエレメントと、態様1~態様5のいずれかに記載の端子接続構造とを備える。導線のホルダーに巻かれた領域は、アンテナエレメントのコイル部である。
【0075】
(態様7)
端子接続構造の組み立て方法は、導線と、導線を保持するホルダーと、導線が取り付けられ、ホルダーに保持されるホルダー側端子部とを含む。導線のホルダーに取り付けられた領域と、導線のホルダー側端子部に取り付けられた領域との間が、引っ張り合った状態になるように、導線のホルダーへの取り付け、及び導線のホルダー側端子部への取り付けが行われる。ホルダーは、導線がホルダー側端子部に取り付けられて引っ張り合った状態になる前の第1状態と、導線がホルダー側端子部に取り付けられて引っ張り合った状態になった後の第2状態との間でホルダー側端子部が移動可能な状態で、ホルダー側端子部を保持する。端子接続構造の組み立て方法は、第1状態で、ホルダー側端子部の少なくとも一部が収納部に収納される第1保持工程と、導線により、第2状態でホルダー側端子部が収納部に保持されるように、ホルダー側端子部を移動させる第2保持工程と、ホルダーを保持する部材が、基板若しくは基板を保持する部材に取り付けられる保持部材取付工程とを備える。
【0076】
(態様8)
さらに好ましくは、ホルダー側端子部は、基板と垂直な第1の方向から見て、L字形状を有する。L字形状を構成する辺の1つの端部から、L字形状を含む矩形領域の外側方向に突出する領域に、導線のホルダー側端子部に取り付けられた領域が形成される。L字形状を構成する辺の他方の端部から、矩形領域の内側方向に突出する張出領域に、抜け止め部が形成される。
【符号の説明】
【0077】
1 車載用アンテナ装置、2 アンテナケース、3 パッド、4 アンテナ素子部、4a 容量装荷素子部、4b コイル部、4b1 螺旋部、4b2 下部リード線、4b3 上部リード線、5 基板側端子部、6 基板、8 アンテナベース、40 ホルダー、40a ホルダー本体部、40a1 コイル溝部、40c 上方取付部、41 収納部、43 第1ホルダー側壁部、45 第2ホルダー側壁部、45a 凸部、47 下端保持部、49 抜け止め壁部、50 ホルダー側下方端子部、51 本体部、51a リード線掛け止め部、51b 張出領域、51c 抜け止め部、51d 溝部、53 第1端子側壁部、55 第2端子側壁部、57 下端突出部、60 ホルダー側上方端子部、100 ルーフ、θ1 第1角度