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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】歩行車のブレーキ構造及び歩行車
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/10 20060101AFI20240515BHJP
   B62B 5/04 20060101ALI20240515BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20240515BHJP
   A61H 3/04 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B60T7/10 L
B62B5/04 A
B60T7/02 Z
B60T7/10 M
A61H3/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021074095
(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公開番号】P2022168554
(43)【公開日】2022-11-08
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
(72)【発明者】
【氏名】村田 和正
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】滝藤 良樹
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-068784(JP,A)
【文献】特開2018-164532(JP,A)
【文献】特開2005-119364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00-7/10
B62B 5/04
A61H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
ユーザの肘を置くためのアームレストと、
前記アームレストよりも前方に設けられ、ユーザが把持するハンドルと、
を備える歩行車に適用され、
前記車輪にブレーキをかけるブレーキ構造であって、
前記ハンドルの下方に設けられた前方レバーと、
前記前方レバーに対して後方に設けられた後方レバーと、
前記前方レバーが前方に突出する向きで上下動可能に支持されているとともに、前記後方レバーが後方に突出する向きで上下動可能に支持されている本体部と、を備え、
前記前方レバーは、第1待機位置と、前記第1待機位置から上方に操作された位置であって前記歩行車の走行時に前記車輪にブレーキをかけるブレーキ位置と、前記第1待機位置から下方に操作された位置であって前記歩行車の駐車時に前記車輪にブレーキをかけて前記車輪をロックする第1ロック位置との間で変位可能となっており、
前記後方レバーは、第2待機位置と、前記第2待機位置から下方に操作された位置であって前記歩行車の駐車時に前記車輪にブレーキをかけて前記車輪をロックする第2ロック位置との間で変位可能となっており、
前記前方レバーと前記後方レバーとを連動させるレバー連動機構を備え、
前記レバー連動機構は、
前記前方レバーが前記第1待機位置から前記第1ロック位置に操作されることに連動して前記後方レバーを前記第2待機位置から前記第2ロック位置に変位させ、前記後方レバーが前記第2待機位置から前記第2ロック位置に操作されることに連動して前記前方レバーを前記第1待機位置から前記第1ロック位置に変位させる一方、
前記前方レバーが前記第1待機位置から前記ブレーキ位置に操作される場合には前記後方レバーを連動させない機構となっている、歩行車のブレーキ構造。
【請求項2】
前記前方レバー及び前記後方レバーのうち、前記前方レバーにブレーキワイヤが接続されており、
前記前方レバーが前記ブレーキ位置に操作される際、及び前記第1ロック位置に操作される際には、操作に伴い前記ブレーキワイヤが引っ張られ前記車輪にブレーキがかけられるようになっている、請求項1に記載の歩行車のブレーキ構造。
【請求項3】
前記レバー連動機構は、
前記前方レバーと前記後方レバーとを互いに回動可能に連結する連結軸と、
前記前方レバーにおいて前記連結軸よりも先端側に設けられ、前記連結軸と同方向に延びる第1回動軸と、
前記後方レバーにおいて前記連結軸よりも先端側に設けられ、前記連結軸と同方向に延びる第2回動軸と、
前記本体部に設けられ、前記連結軸を下方から受ける第1軸受部と、
前記本体部に設けられ、前記第1回動軸を下方から受ける第2軸受部と、を有し、
前記前方レバーは、前記連結軸が前記第1軸受部により下方から受けられ、かつ前記第1回動軸が前記第2軸受部により下方から受けられた状態で前記第1待機位置に保持され、
前記前方レバーが前記第1待機位置から前記第1ロック位置に変位する際には、前記第1回動軸が前記第2軸受部により下方から受けられた状態で、前記前方レバーが前記第1回動軸を中心として前記連結軸が前記第1軸受部から上方に離間する側に回動するとともに、前記連結軸の前記離間に伴い前記後方レバーが前記第2回動軸を中心として回動することにより前記第2待機位置から前記第2ロック位置に連動して変位し、
前記前方レバーが前記第1待機位置から前記ブレーキ位置に変位する際には、前記連結軸が前記第1軸受部により下方から受けられた状態で、前記前方レバーが前記連結軸を中心として前記第1回動軸が前記第2軸受部から上方に離間する側に回動することにより、前記連結軸の変位に基づく前記後方レバーの連動が生じない構成となっている、請求項1又は2に記載の歩行車のブレーキ構造。
【請求項4】
前記前方レバーが前記第1ロック位置にある場合に前記連結軸と係合される係合部を備える、請求項3に記載の歩行車のブレーキ構造。
【請求項5】
前記連結軸には、その周面に凹部及び凸部のいずれか一方が形成され、
前記係合部は、前記連結軸の周面側に配置され、前記本体部に動作可能に取り付けられた係合片であり、
前記係合片には、前記凹部及び前記凸部のうちの他方が形成され、
前記係合片を前記連結軸に向けて付勢するコイルばねを備え、
前記前方レバーが前記第1ロック位置にある場合に、前記凸部が前記凹部に入り込んで前記連結軸が前記係合片に係合される、請求項4に記載の歩行車のブレーキ構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のブレーキ構造を備える歩行車。



























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行車のブレーキ構造及び、そのブレーキ構造を備える歩行車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、高齢者や身体障害者等、自力での歩行が困難なユーザの歩行を補助する歩行車が知られている。歩行車は、その下端部に車輪を備え、その上端側にハンドルを備えている。また、歩行車には、ハンドルに加え、ユーザの肘を置くためのアームレストが設けられているものがある。かかる歩行車では、ハンドルが前方に設けられ、ハンドルよりも後方にアームレストが設けられる。そして、ユーザが歩行車を走行させる際には、アームレストに肘を置いた状態でハンドルを握って走行させるようになっている。
【0003】
歩行車には、車輪に制動力を付与するブレーキ機構が設けられているものがある。特許文献1には、アームレスト付きの歩行車において、ブレーキ機構として、ハンドルの下方に設けられた前方レバーと、前方レバーに対して後方に設けられた後方レバーとを有しているものが開示されている。
【0004】
特許文献1のブレーキ機構は、歩行車の走行時に車輪にブレーキをかけるブレーキ機能と、歩行車の駐車時に車輪にブレーキをかけて車輪をロックするロック機能とを有している。具体的には、特許文献1のブレーキ機構では、前方レバー及び後方レバーがそれぞれ、待機位置と、待機位置よりも上方のブレーキ位置と、待機位置よりも下方のロック位置との間で動作可能となっている。そして、前方レバー及び後方レバーのうちいずれかのレバーがブレーキ位置に操作されるとブレーキ状態となり、いずれかのレバーがロック位置に操作されるとロック状態となるようになっている。したがって、特許文献1のブレーキ機構では、前方レバー及び後方レバーのいずれを操作しても、待機状態、ブレーキ状態及びロック状態に切り替えることが可能となっている。
【0005】
また、特許文献1のブレーキ機構には、前方レバー及び後方レバーを連動させる連動機構が設けられている。この連動機構によれば、前方レバー及び後方レバーのうちいずれか一方がブレーキ位置に操作されると、それに連動して他方がブレーキ位置に変位するようになっている。また、前方レバー及び後方レバーのうちいずれか一方がロック位置に操作されると、他方がロック位置に変位するようになっている。これにより、特許文献1のブレーキ機構によれば、ロック状態を解除する際にはいずれのレバーを用いても解除できる等の利便性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6254062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アームレスト付きの歩行車では、ユーザが肘をアームレストに置いた状態でハンドルを掴んで歩行車を走行させるため、歩行車の走行時にはハンドル下方の前方レバーを用いてブレーキ操作を行うことになる。したがって、歩行車の走行時に後方レバーを用いてブレーキ操作を行うことはほぼないと考えられる。
【0008】
また、特許文献1のブレーキ機構は、前方レバー及び後方レバーが、歩行車の駐車時におけるロック操作の際に連動するだけでなく、走行時のブレーキ操作の際にも連動するようになっている。そのため、ブレーキ機構の構造が複雑なものになることが考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、前方レバー及び後方レバーを連動させることによる利便性を維持しながら構成の簡素化を図ることができる歩行車のブレーキ構造及び歩行車を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、第1の発明の歩行車のブレーキ構造は、車輪と、ユーザの肘を置くためのアームレストと、前記アームレストよりも前方に設けられ、ユーザが把持するハンドルと、を備える歩行車に適用され、前記車輪にブレーキをかけるブレーキ構造であって、前記ハンドルの下方に設けられた前方レバーと、前記前方レバーに対して後方に設けられた後方レバーと、前記前方レバーが前方に突出する向きで上下動可能に支持されているとともに、前記後方レバーが後方に突出する向きで上下動可能に支持されている本体部と、を備え、前記前方レバーは、第1待機位置と、前記第1待機位置から上方に操作された位置であって前記歩行車の走行時に前記車輪にブレーキをかけるブレーキ位置と、前記第1待機位置から下方に操作された位置であって前記歩行車の駐車時に前記車輪にブレーキをかけて前記車輪をロックする第1ロック位置との間で変位可能となっており、前記後方レバーは、第2待機位置と、前記第2待機位置から下方に操作された位置であって前記歩行車の駐車時に前記車輪にブレーキをかけて前記車輪をロックする第2ロック位置との間で変位可能となっており、前記前方レバーと前記後方レバーとを連動させるレバー連動機構を備え、前記レバー連動機構は、前記前方レバーが前記第1待機位置から前記第1ロック位置に操作されることに連動して前記後方レバーを前記第2待機位置から前記第2ロック位置に変位させ、前記後方レバーが前記第2待機位置から前記第2ロック位置に操作されることに連動して前記前方レバーを前記第1待機位置から前記第1ロック位置に変位させる一方、前記前方レバーが前記第1待機位置から前記ブレーキ位置に操作される場合には前記後方レバーを連動させない機構となっていることを特徴とする。
【0011】
第1の発明によれば、前方レバーと後方レバーとを連動させるレバー連動機構により、両レバーのうちの一方がロック位置に操作されると、操作されない他方もロック位置に変位する。このため、ロック状態を解除する際には、いずれのレバーからでも解除することができる等の利便性を得ることができる。その一方で、前方レバーがブレーキ位置に操作された場合には後方レバーが連動しないため、その分、レバー連動機構の構成を簡素化することができる。よって、この場合、前方レバーと後方レバーとを連動させることによる利便性の維持を図りながら、構成の簡素化を図ることができる。
【0012】
第2の発明の歩行車のブレーキ構造は、第1の発明において、前記前方レバー及び前記後方レバーのうち、前記前方レバーにブレーキワイヤが接続されており、前記前方レバーが前記ブレーキ位置に操作される際、及び前記第1ロック位置に操作される際には、操作に伴い前記ブレーキワイヤが引っ張られ前記車輪にブレーキがかけられるようになっていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、ブレーキワイヤが後方レバーではなく前方レバーに接続されている。この場合、前方レバーがブレーキ位置に操作された場合には後方レバーを連動させない構成を実現し易くすることができる。
【0014】
第3の発明の歩行車のブレーキ構造は、第1又は第2の発明において、前記レバー連動機構は、前記前方レバーと前記後方レバーとを互いに回動可能に連結する連結軸と、前記前方レバーにおいて前記連結軸よりも先端側に設けられ、前記連結軸と同方向に延びる第1回動軸と、前記後方レバーにおいて前記連結軸よりも先端側に設けられ、前記連結軸と同方向に延びる第2回動軸と、前記本体部に設けられ、前記連結軸を下方から受ける第1軸受部と、前記本体部に設けられ、前記第1回動軸を下方から受ける第2軸受部と、を有し、前記前方レバーは、前記連結軸が前記第1軸受部により下方から受けられ、かつ前記第1回動軸が前記第2軸受部により下方から受けられた状態で前記待機位置に保持され、前記前方レバーが前記第1待機位置から前記第1ロック位置に変位する際には、前記第1回動軸が前記第2軸受部により下方から受けられた状態で、前記前方レバーが前記第1回動軸を中心として前記連結軸が前記第1軸受部から上方に離間する側に回動するとともに、前記連結軸の前記離間に伴い前記後方レバーが前記第2回動軸を中心として回動することにより前記第2待機位置から前記第2ロック位置に連動して変位し、前記前方レバーが前記第1待機位置から前記ブレーキ位置に変位する際には、前記連結軸が前記第1軸受部により下方から受けられた状態で、前記前方レバーが前記連結軸を中心として前記第1回動軸が前記第2軸受部から上方に離間する側に回動することにより、前記連結軸の変位に基づく前記後方レバーの連動が生じない構成となっていることを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、レバー連動機構が、両レバーを連結する連結軸と、両レバーにそれぞれ設けられた回動軸と、それらの回動軸を受ける二つの軸受部とを有する簡素な構成とされている。また、かかる構成では、前方レバーについては連結軸と第1回動軸とが並ぶ方向に細長状に形成することができ、後方レバーについては連結軸と第2回動軸とが並ぶ方向に細長状に形成することができる。そのため、各レバーの上下寸法を小さくすることができ、さらには本体部の上下寸法を小さくすることができる。これにより、構成の簡素化を大いに図ることができる。
【0016】
第4の発明の歩行車のブレーキ構造は、第3の発明において、前記前方レバーが前記第1ロック位置にある場合に前記連結軸と係合される係合部を備えることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、連結軸が係合部に係合されることにより、前方レバーが第1ロック位置に保持されるとともに、後方レバーが第2ロック位置に保持される。これにより、車輪にブレーキをかけた状態が継続され、車輪をロック状態とすることができる。また、両レバーを連結する連結軸を係合部に係合する構成としているため、両レバーのいずれがロック位置に操作される際にも係合させ易く、ロック操作を好適に行うことができる。
【0018】
第5の発明の歩行車のブレーキ構造は、第4の発明において、前記連結軸には、その周面に凹部及び凸部のいずれか一方が形成され、前記係合部は、前記連結軸の周面側に配置され、前記本体部に動作可能に取り付けられた係合片であり、前記係合片には、前記凹部及び前記凸部のうちの他方が形成され、前記係合片を前記連結軸に向けて付勢するコイルばねを備え、前記前方レバーが前記第1ロック位置にある場合に、前記凸部が前記凹部に入り込んで前記連結軸が前記係合片に係合されることを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、動作可能な係合片とコイルばねとを用いて第4の発明を具体的に実現することができる。
【0020】
第6の発明の歩行車は、第1乃至第5のいずれかの発明のブレーキ構造を備えることを特徴とする。
【0021】
第6の発明によれば、第1乃至第5の発明の効果を歩行車として奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】歩行車を斜め前方から見た斜視図。
図2】ブレーキ操作部を示す側面図。
図3】ブレーキ操作部を分解した状態で示す分解斜視図。
図4】制動機構を示す側面図。
図5】ブレーキ操作部を示す側面図であり、本体部のカバーを取り外した状態で示している。
図6】前方レバー及び後方レバーを斜め下方から見た斜視図。
図7】(a)がケースを内側から見た示す側面図であり、(b)がカバーを内側から見た側面図である。
図8図5において、前方レバーがブレーキ位置に操作された状態を示す側面図。
図9図5において、前方レバーがロック位置に操作された状態を示す側面図。
図10】係合部の別形態を示す図であり、(a)は前方レバー及び後方レバーが待機位置にある場合を示し、(b)はロック位置にある場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、歩行車10を斜め前方から見た斜視図である。なお、以下の説明では、歩行車10を移動させる際の移動方向を前後方向とし、その前後方向に対して直交する方向を左右方向として説明を行う。
【0024】
図1に示すように、歩行車10は、上下方向に延びる左右一対のフレーム部11と、各フレーム部11の下端側に設けられた前輪12及び後輪13とを備える。各フレーム部11は、アルミニウム等の軽金属により形成されている。各フレーム部11は、その下部に設けられ前後方向に延びる下部フレーム15と、下部フレーム15の中間部から上方に延びる縦フレーム16とを有する。下部フレーム15の前端部には前輪12が取り付けられ、下部フレーム15の後端部には後輪13が取り付けられている。また、各フレーム部11は連結部材18を介して互いに連結されている。
【0025】
各フレーム部11の縦フレーム16の上端部には、ハンドル21とアームレスト22とが設けられている。ハンドル21は、ユーザが歩行車10を走行させる際に把持する部分である。ハンドル21は、縦フレーム16から前方に突出して設けられ、詳しくは前方に向けて上方に傾斜して設けられている。アームレスト22は、ユーザが歩行車10を走行させる際に肘を置く部分である。アームレスト22は、縦フレーム16から後方に突出して設けられている。
【0026】
各縦フレーム16の上端側には、ブレーキ操作部30が設けられている。ブレーキ操作部30は、縦フレーム16の上端側に取り付けられた本体部31と、本体部31に取り付けられた前方レバー32及び後方レバー33とを備える。前方レバー32及び後方レバー33は、歩行車10にブレーキをかけるためのレバーである。前方レバー32はハンドル21の下方に設けられ、後方レバー33は前方レバー32に対して後方に設けられている。
【0027】
ブレーキ操作部30には、ブレーキワイヤ28(図2図5等参照)が接続されている。ブレーキワイヤ28は、軟質製のチューブ34内に挿通された状態で設けられている。ブレーキワイヤ28は、下部フレーム15の後端側に設けられたブレーキ作動部29と接続されている。ブレーキ作動部29は、ブレーキ操作部30の前方レバー32又は後方レバー33の操作により作動し、後輪13に対して制動力(ブレーキ力)を付与する。
【0028】
各縦フレーム16の間には、腰掛け可能な座部25が設けられている。座部25の下面側には物を収容可能な収容かご26が設けられ、ハンドル21の下方には物を載せ置くことが可能なトレイ27が設けられている。
【0029】
続いて、本歩行車10のブレーキ構造について説明する。ブレーキ構造は、大きく分けて、ブレーキ操作部30と、ブレーキ操作部30の操作に基づき後輪13に制動力を付与する制動機構とを備える。そこで、以下ではまず、ブレーキ操作部30について図2及び図3に基づき説明する。図2は、ブレーキ操作部30を示す側面図である。図3は、ブレーキ操作部30を分解した状態で示す分解斜視図である。なお、左右のブレーキ操作部30は左右対称の構成を有しており、図2及び図3では、右側のブレーキ操作部30を示している。また、図2及び図3では、アームレスト22等、一部の部材について図示を省略している(これらは後述する図5図8図9も同様)。
【0030】
図2及び図3に示すように、ブレーキ操作部30において、本体部31は、全体として前後方向に延びる扁平形状とされている。本体部31は、縦フレーム16に取り付けられた箱状のケース35と、ケース35の開口を覆うカバー36とを備える。ケース35とカバー36とはいずれも硬質樹脂により形成されている。ケース35は、その開口を左右方向の外側に向けた状態で縦フレーム16に取り付けられている。カバー36は、ケース35にねじ等の締結具37を用いて固定されている。これにより、本体部31には、ケース35とカバー36とにより囲まれた内部空間が形成されている。
【0031】
ケース35とカバー36とは上記内部空間を挟んで左右方向に対向する対向板部35a,36aをそれぞれ有している。ケース35の対向板部35aには、内側(内部空間側)に突出する複数のボス部38が設けられ、それら各ボス部38にはボス孔38aが形成されている。また、カバー36の対向板部36aには、各ボス孔38aと対応させて複数のねじ孔39が形成されている(図7(a)及び(b)も参照)。各締結具37はケース35のボス孔38aを通じてカバー36のねじ孔39にねじ込まれている。これにより、カバー36がケース35に固定されている。
【0032】
前方レバー32は、全体として前後方向に延びる棒状に形成されている。前方レバー32は、その先端側を前方に向けた状態で本体部31に取り付けられている。前方レバー32の基端側は本体部31のケース35に形成された切り欠き状の挿通口41を通じて本体部31の内部に入り込んでおり、その状態で当該基端側が本体部31に取り付けられている。
【0033】
前方レバー32は、先端側を構成するレバー操作部32aと、基端側を構成するレバー基部32bとを有している。レバー操作部32aはユーザが握る部分であり、ハンドル21の下方に配置されている。レバー操作部32aは、ハンドル21の傾斜に沿って上方に傾斜している。レバー基部32bは、前後方向に略水平に延びており、その先端側が上方に傾斜してレバー操作部32aに接続されている(図5も参照)。
【0034】
前方レバー32は、本体部31に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。前方レバー32は、待機位置(図2の実線参照)と、待機位置から上方に回動操作された位置であるブレーキ位置(図2の一点鎖線参照)と、待機位置から下方に回動操作された位置であるロック位置(図2の二点鎖線参照)との間で変位可能となっている。前方レバー32は、通常は待機位置において保持される。なお、前方レバー32の待機位置が第1待機位置に相当し、前方レバー32のロック位置が第1ロック位置に相当する。
【0035】
前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に操作(以下、ブレーキ操作という)されると、後輪13に制動力が付与される。したがって、歩行車10の走行時に前方レバー32がブレーキ操作されると、後輪13にブレーキがかけられる。また、前方レバー32が待機位置からロック位置に操作(以下、ロック操作という)されると、ブレーキ操作の場合と同様、後輪13に制動力が付与される。また、前方レバー32がロック操作された場合、前方レバー32がロック位置において保持される。そのため、歩行車10の駐車時に前方レバー32がロック操作されると、後輪13にブレーキがかけられた状態が継続され、後輪13がロック状態とされる。
【0036】
後方レバー33は、全体として前後方向に延びる棒状に形成されている。後方レバー33は、その先端側を後方に向けた状態で本体部31に取り付けられている。後方レバー33の基端側は本体部31のケース35に形成された切り欠き状の挿通口42を通じて本体部31の内部に入り込んでおり、その状態で当該基端側が本体部31に取り付けられている。
【0037】
後方レバー33は、本体部31に対して上下方向に回動可能に取り付けられている。後方レバー33は、待機位置(図2の実線参照)と、待機位置から下方に回動操作された位置であるロック位置(図2の二点鎖線参照)との間で変位可能となっている。後方レバー33は、通常は待機位置において保持される。なお、後方レバー33の待機位置が第2待機位置に相当し、後方レバー33のロック位置が第2ロック位置に相当する。
【0038】
後方レバー33が待機位置からロック位置に操作(以下、ロック操作という)されると、後輪13に制動力が付与される。また、後方レバー33がロック操作されると、後方レバー33がロック位置において保持される。そのため、歩行車10の駐車時に後方レバー33がロック操作されると、後輪13にブレーキがかけられた状態が継続され、後輪13がロック状態とされる。
【0039】
このように、本ブレーキ構造では、前方レバー32及び後方レバー33のいずれを用いてもロック操作をすることが可能となっている。一方、ブレーキ操作については、各レバー32,33のうち、前方レバー32を用いてのみ可能となっている。
【0040】
続いて、後輪13に制動力を付与する制動機構について図4に基づき説明する。図4は、制動機構を示す側面図である。
【0041】
図4に示すように、下部フレーム15には、ブレーキ作動部29が左右方向に延びる回動軸44を介して回動可能に取り付けられている。ブレーキ作動部29は帯板状に形成され、その一端部に後輪13に当接する当接部29aを有し、その他端部にブレーキワイヤ28が接続された接続部29bを有している。ブレーキ作動部29は、回動軸44を中心とした回動により、当接部29aが後輪13から離間する位置(図4の実線参照)と、当接部29aが後輪13に当接する位置(図4の二点鎖線参照)との間で変位可能となっている。当接部29aが後輪13から離間している場合には、後輪13の回転が許容される。一方、当接部29aが後輪13に当接すると、後輪13に制動力が付与される。
【0042】
下部フレーム15には、ブレーキ作動部29の接続部29bの上方に突出した突出板部15aが設けられている。突出板部15aは、接続部29bと上下に対向して配置されている。突出板部15aには、チューブ34の下端に接続されたコネクタ45が取り付けられている。ブレーキワイヤ28は、チューブ34の下端からコネクタ45の内部を通じて下方に導出され、その下端部が接続部29bに固定されている。この場合、前方レバー32又は後方レバー33の操作により、ブレーキワイヤ28が上方に引っ張られると、それに連動してブレーキ作動部29が回動するようになっている。
【0043】
ブレーキ作動部29の接続部29bと下部フレーム15の突出板部15aとの間には、コイルばね46が配設されている。コイルばね46は、自然長よりも圧縮した状態で接続部29bと突出板部15aとの間に配設されている。このため、コイルばね46の弾性力(付勢力)により、接続部29b(ひいてはブレーキ作動部29)は突出板部15aとは反対側つまり下方に向けて常時付勢されている。そして、それにより、ブレーキ作動部29は、通常、当接部29aが後輪13から離間した位置に位置している。
【0044】
接続部29bがコイルばね46により下方に付勢されていることにより、接続部29bに接続されたブレーキワイヤ28も下方に向けて常時付勢されている。ブレーキワイヤ28は、前方レバー32が待機位置からブレーキ位置又はロック位置に操作されると、それに基づき上方に向けて引っ張られる(その詳細は後述する)。また、ブレーキワイヤ28は、後方レバー33が待機位置からロック位置に操作されると、それに基づき上方に向けて引っ張られる(その詳細は後述する)。ブレーキワイヤ28がブレーキ操作又はロック操作により上方に引っ張られると、それに基づき、ブレーキ作動部29は当接部29aが後輪13に当接する位置まで回動する。この際、ブレーキ作動部29は、コイルばね46の付勢力に抗しながら回動する。これにより、前方レバー32がブレーキ位置又はロック位置に操作された場合、また、後方レバー33がロック位置に操作された場合には、後輪13に対して制動力が付与され、後輪13にブレーキがかけられる。
【0045】
続いて、ブレーキ操作部30の内部構成について図3に加え図5及び図6を用いながら詳しく説明する。図5は、ブレーキ操作部30を示す側面図であり、本体部31のカバー36を取り外した状態で示している。なお、図5では、前方レバー32及び後方レバー33が待機位置にある場合を示している。また、図6は、前方レバー32及び後方レバー33を斜め下方から見た斜視図である。なお、図6では、前方レバー32に取り付けられる滑車部62を併せて示している。
【0046】
図3図5及び図6に示すように、前方レバー32と後方レバー33とは連結軸51を介して回動可能に連結されている。連結軸51は、左右方向に延びる円柱状の軸であり、前方レバー32の後端部と後方レバー33の前端部とを互いに連結している。換言すると、連結軸51は、各レバー32,33の基端部同士を互いに連結している。
【0047】
連結軸51は、後方レバー33の基端部に形成されている。連結軸51は、後方レバー33の左右両側にそれぞれ突出して設けられ、互いの軸線が同一軸線上に位置している。一方、前方レバー32(詳しくはレバー基部32b)の基端部には、後方レバー33の基端部が挿入される挿入溝52が形成されている。挿入溝52は、後方に開口された溝部であり、この挿入溝52に後方レバー33が後方から挿入されている。前方レバー32において挿入溝52を挟んだ左右両側の各部分にはそれぞれ連結軸51が挿通される挿通部53が形成されている。各挿通部53は、後方に開放された切り欠きとして形成されている。これらの挿通部53に各連結軸51が挿通されることにより、各連結軸51を介して両レバー32,33が回動可能に連結されている。
【0048】
なお、連結軸51は必ずしも後方レバー33に形成する必要はない。例えば連結軸51を前方レバー32に形成したり、又は連結軸51を各レバー33,33とは別体で形成したりしてもよい。要するに、連結軸51を介して各レバー33,33が回動可能に連結されていれば、その構成は任意としてよい。
【0049】
前方レバー32(詳しくはレバー基部32b)には、連結軸51よりも先端側に回動軸55が設けられている。回動軸55は、左右方向に延びる円柱状の軸である。回動軸55は、前方レバー32の左右両側にそれぞれ突出して設けられ、互いの軸線が同一直線上に位置している。なお、回動軸55が第1回動軸に相当する。
【0050】
前方レバー32には、挿入溝52よりも先端側にスリット溝部56が形成されている。スリット溝部56は、前方レバー32の長手方向に延びるスリット状の溝部であり、下方に向けて開放されている。スリット溝部56には、円板状の回転体58が配設されている。回転体58には、その中心部に軸孔(図示略)が形成され、その軸孔には左右に延びる軸部59が挿通されている。
【0051】
前方レバー32においてスリット溝部56を挟んだ左右両側にはそれぞれ軸部59が挿通される孔部61が形成されている。軸部59は、これらの孔部61に嵌合状態で挿通され、それにより軸部59が前方レバー32に固定されている。回転体58は、この軸部59を回転軸として回転可能とされている。これにより、回転体58と軸部59とにより滑車部62が構成されている。また、軸部59は、その両端側が前方レバー32の左右両側面からそれぞれ突出している。
【0052】
後方レバー33には、連結軸51よりも先端側(後方)に軸孔64が設けられている。軸孔64は、後方レバー33を左右方向に貫通する円形状の孔となっている。軸孔64には、後述するように、ケース35のボス部38が挿通されるようになっている。
【0053】
続いて、本体部31の構成について図5に加え図7を用いながら説明する。図7は、(a)がケース35を内側から見た示す側面図であり、(b)がカバー36を内側から見た側面図である。なお、図7(a)では、ケース35に設けられる係合片68及びコイルばね72を併せて示しており、図7(b)では、カバー36に設けられる係合片68及びコイルばね72を併せて示している。
【0054】
図5及び図7(a)、(b)に示すように、本体部31には、各レバー32,33の連結軸51を案内する第1案内通路65と、前方レバー32の回動軸55を案内する第2案内通路66とが設けられている。第1案内通路65は、各連結軸51に対応して本体部31のケース35及びカバー36にそれぞれ設けられている。同様に、第2案内通路66は、各回動軸55に対応してケース35及びカバー36にそれぞれ設けられている。
【0055】
ケース35及びカバー36の各第1案内通路65は、左右方向に対称な構成を有している。そのため、以下においては、各第1案内通路65について同じ符号(つまり65)を付すことに加え、第1案内通路65を構成する各部についても同じ符号を付すこととする。また、ケース35及びカバー36の各第2案内通路66も左右対称な構成となっているため、以下においては、各第2案内通路66について同じ符号(つまり66)を付すことに加え、第2案内通路66を構成する各部についても同じ符号を付すこととする。
【0056】
まず、第1案内通路65について説明する。第1案内通路65は、ケース35及びカバー36の各対向板部35a,36aの内側に形成されている。各対向板部35a,36aには、第1案内通路65を形成するための通路壁部67が設けられている。通路壁部67は、各対向板部35a,36aの内側に突出して形成され、上下方向に延びている。
【0057】
通路壁部67は、上下方向に略直線状に延びる中間壁部67aと、中間壁部67aの上端部から前方に延びる上側壁部67bと、中間壁部67aの下端部から前方に延びる下側壁部67cとを有している。上側壁部67bは、前方に向かうにつれて上方に変位する円弧状をなしており、下側壁部67cは、前方に向かうにつれて下方に変位する円弧状をなしている。上側壁部67bは上側に凸となる円弧状とされ、下側壁部67cは下側に凸となる円弧状とされている。
【0058】
ケース35及びカバー36にはそれぞれ、通路壁部67と対向して係合片68が設けられている。係合片68は、後述するように、連結軸51に対して係合される部材である。係合片68は、上下方向に延びており、通路壁部67に対して前方に配置されている。係合片68は、通路壁部67の両端部、つまり上側壁部67bの上端部及び下側壁部67cの下端部に跨るように配置され、通路壁部67の中間壁部67aと前後方向に対向している。この場合、係合片68と通路壁部67とにより囲まれた内側に上下方向に延びる内側空間が形成され、その内側空間が第1案内通路65とされている。
【0059】
第1案内通路65では、上側壁部67bにより上側の通路端面81(以下、上側通路端面81という)が形成され、下側壁部67cにより下側の通路端面82(以下、下側通路端面82という)が形成されている。なお、下側通路端面82が第1軸受部に相当する。
【0060】
第2案内通路66の説明を行う前に係合片68に関して説明を続ける。
【0061】
係合片68は、ケース35及びカバー36の各対向板部35a,36aから内側に突出する軸部71により支持されている。軸部71は左右方向に延びる軸である。係合片68の一端部、詳しくは上端部には軸部71が挿通される孔部68aが形成されている。その孔部68aに軸部71が挿通されている。これにより、係合片68は軸部71を中心として前後方向に回動可能となっている。
【0062】
係合片68には、連結軸51に係合される凸部68bが設けられている。凸部68bは、係合片68において孔部68aよりも先端側に設けられ、第1案内通路65に向けて山形状に突出している。また、凸部68bは、その頂部が連結軸51の軸線方向に延びる山形状をなしている。一方、連結軸51には、その周面に凸部68bに係合される凹部51aが設けられている。なお、係合片68が係合部に相当する。
【0063】
ケース35及びカバー36には、係合片68を付勢するコイルばね72が設けられている。コイルばね72は、係合片68に対して前側に配置され、換言すると係合片68を挟んで第1案内通路65とは反対側に配置されている。コイルばね72は、ケース35及びカバー36にそれぞれ設けられた収容部73に収容されている。収容部73は、ケース35及びカバー36の各対向板部35a,36aから内側に突出するコ字状の壁部により形成され、その壁部の開放部分が係合片68の側に向けられている。コイルばね72は、収容部73に収容された状態で、係合片68の先端側(回動先端側)と収容部73の底部との間で圧縮されて配置されている。これにより、コイルばね72の付勢力により、係合片68は第1案内通路65側に常時付勢されており、ひいては第1案内通路65において案内される連結軸51に向けて常時付勢されている。
【0064】
続いて、第2案内通路66について説明する。
【0065】
第2案内通路66は、ケース35及びカバー36の各対向板部35a,36aの内側に形成されている。各対向板部35a,36aには、第2案内通路66を形成する通路壁部75が設けられている。通路壁部75は、各対向板部35a,36aの内側に突出して形成されている。通路壁部75は環状に形成され、全体として上下方向に延びている。この場合、通路壁部75により囲まれた内側には、上下方向に延びる内側空間が形成されており、その内側空間が第2案内通路66とされている。
【0066】
詳しくは、通路壁部75は、上下方向に略直線状に延び前後方向に対向する一対の中間壁部75aと、各中間壁部75aの上端部に跨って延びる上側壁部75bと、各中間壁部75aの下端部に跨って延びる下側壁部75cとを有している。上側壁部75bは上側に凸となる円弧状をなしており、下側壁部75cは下側に凸となる円弧状をなしている。また、上側壁部75bにより第2案内通路66の上側の通路端面83(以下、上側通路端面83という)が形成され、下側壁部75cにより第2案内通路66の下側の通路端面84(以下、下側通路端面84という)が形成されている。なお、下側通路端面84が第2軸受部に相当する。
【0067】
ケース35及びカバー36には、上述した各案内通路65,66に加えて、滑車部62の軸部59を案内する案内通路74が設けられている。案内通路74は、ケース35及びカバー36の各対向板部35a,36aから内側に突出する通路壁部76により形成されている。通路壁部76は環状に形成され、全体として上下方向に延びている。この場合、通路壁部76により囲まれた内側には、上下方向に延びる内側空間が形成され、その内側空間が案内通路74とされている。
【0068】
次に、本体部31に取り付けられる前方レバー32及び後方レバー33の取付構成について説明する。
【0069】
図5に示すように、前方レバー32及び後方レバー33は、連結軸51を介して互いに連結された状態で、各々の基端側が本体部31の内部、すなわちケース35とカバー36との間に配設されている。かかる配設状態において、ケース35及びカバー36の各第1案内通路65にはそれぞれ連結軸51が挿し入れられており、ケース35及びカバー36の各第2案内通路66にはそれぞれ前方レバー32の回動軸55が挿し入れられている。これにより、前方レバー32は、連結軸51及び回動軸55を介して本体部31に取り付けられている。
【0070】
後方レバー33は、その軸孔64にケース35のボス部38を挿通した状態で配設されている。この場合、ボス部38は後方レバー33の回動軸として機能する。そのため、以下では、このボス部38を回動軸38Aという。これにより、後方レバー33は、連結軸51及び回動軸38Aを介して本体部31に取り付けられている。また、回動軸38Aは、後方レバー33において連結軸51よりも先端側(後方)に配置されている。なお、回動軸38Aが第回動軸に相当する。
【0071】
このように、本ブレーキ操作部30では、前方レバー32と後方レバー33とが連結軸51を介して回動可能に連結されているとともに、前方レバー32が回動軸55を介して本体部31に取り付けられ、後方レバー33が回動軸38Aを介して本体部31に取り付けられている。そのため、本ブレーキ操作部30では、前方レバー32と後方レバー33とが互いに連動して動作するようになっている。なお、本ブレーキ操作部30では、連結軸51、回動軸55,38A及び下側通路端面82,84を含んで両レバー32,33を連動させるレバー連動機構85が構成されている。
【0072】
前方レバー32と後方レバー33とのうち、前方レバー32にはブレーキワイヤ28が接続されている。ブレーキワイヤ28は、前方レバー32に設けられた滑車部62を介して下方に折り返されるように配設されている。この際、ブレーキワイヤ28は、前方レバー32のスリット溝部56を通じて下方に折り返されている。これにより、ブレーキワイヤ28は、滑車部62を介して前方レバー32に接続されている。また、ブレーキワイヤ28は、前方レバー32における連結軸51と回動軸55との間の中間部に接続されている。
【0073】
ブレーキワイヤ28の一端部にはタイコ77が取り付けられている。タイコ77は、ケース35の下面側に形成された収容部78に収容され、その収容状態でケース35に取り付けられている。これにより、ブレーキワイヤ28の一端部はタイコ77を介してケース35に固定されている。
【0074】
ブレーキワイヤ28の他端側は、ケース35の下面側に設けられた孔部79を通じて本体部31の内部から下方に導出されている。ブレーキワイヤ28の他端はブレーキ作動部29に接続されている。上述したように、ブレーキワイヤ28(詳しくはブレーキワイヤ28の他端側)は、ブレーキ作動部29とともにコイルばね46の付勢力により常時下方に向けて付勢されている。そのため、ブレーキワイヤ28が接続された滑車部62ひいては前方レバー32も、ブレーキワイヤ28を介して常時下方に向けて付勢されている。
【0075】
上記のように前方レバー32が下方に付勢されていることにより、通常、連結軸51は第1案内通路65の下側通路端面82に当接し、その下側通路端面82により下方から受けられた状態となっている。また、回動軸55は、第2案内通路66の下側通路端面84に当接し、その下側通路端面84により下方から受けられた状態となっている。このように、連結軸51が下側通路端面82により受けられ、かつ回動軸55が下側通路端面84により受けられることで、前方レバー32は待機位置にて保持されるようになっている。
【0076】
後方レバー33は、連結軸51が下側通路端面82により下方から受けられる下位置E1に位置している場合、待機位置に位置する。したがって、後方レバー33は、前方レバー32が待機位置に位置している場合、待機位置に位置する。
【0077】
続いて、前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に操作される際の作用について図8に基づき説明する。図8は、図5において、前方レバー32がブレーキ位置に操作された状態を示す側面図である。
【0078】
図8に示すように、前方レバー32が待機位置(図5参照)からブレーキ位置に操作される際には、連結軸51が第1案内通路65の下側通路端面82により下方から受けられた状態で、前方レバー32が連結軸51を中心として上方に回動される。すなわち、この場合、前方レバー32は、連結軸51を中心として回動軸55が第2案内通路66の下側通路端面84から上方に離間する側に回動される。これにより、前方レバー32に接続されたブレーキワイヤ28が上方に引っ張られ、それに伴いブレーキ作動部29が後輪13に当接する位置(図4の二点鎖線参照)に回動し、後輪13にブレーキがかけられる。
【0079】
前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に移動する際には、回動軸55が第2案内通路66に沿って上方に変位する。前方レバー32がブレーキ位置に到達すると、回動軸55が第2案内通路66の上側通路端面83に下方から当接する。また、前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に移動する際には、滑車部62の軸部59が案内通路74に沿って上方に変位する。
【0080】
前方レバー32は、上述したように、ブレーキワイヤ28を介して常時下方に付勢されているため、ブレーキ位置において前方レバー32を掴んだ手を緩めると、前方レバー32は上記付勢する力によりブレーキ位置から待機位置へ自ずと戻る。これにより、ブレーキ作動部29が後輪13から離間する位置(図4の実線参照)に回動し、後輪13に対するブレーキ状態が解除される。また、前方レバー32は、待機位置に戻る際も、連結軸51を中心として回動することにより戻る。
【0081】
前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に操作される際には、連結軸51が第1案内通路65において下側通路端面82により下方から受けられる下位置E1に位置したままとなる。したがって、前方レバー32が待機位置からブレーキ位置に操作される際には、前方レバー32と連結軸51を介して連結された後方レバー33が当該操作に連動して動作することがない。そのため、前方レバー32がブレーキ操作される際には、後方レバー33が待機位置において保持されたままとされる。
【0082】
続いて、前方レバー32が待機位置からロック位置に操作される際の作用について図9に基づき説明する。図9は、図5において、前方レバー32がロック位置に操作された状態を示す側面図である。
【0083】
図9に示すように、前方レバー32が待機位置(図5参照)からロック位置に操作される際には、回動軸55が第2案内通路66の下側通路端面84により下方から受けられた状態で、前方レバー32が回動軸55を中心として下方に回動される。すなわち、この場合、前方レバー32は、回動軸55を中心として連結軸51が第1案内通路65の下側通路端面82から上方に離間する側に回動される。これにより、前方レバー32に接続されたブレーキワイヤ28が上方に引っ張られ、それに伴いブレーキ作動部29が後輪13に当接する位置に回動し、後輪13にブレーキがかけられる。
【0084】
前方レバー32が待機位置からロック位置に移動する際には、連結軸51が第1案内通路65に沿って上方に変位する。前方レバー32がロック位置に到達すると、連結軸51が第1案内通路65の上側通路端面81に下方から当接する上位置E2に位置する。また、前方レバー32が待機位置からロック位置に移動する際には、滑車部62の軸部59が案内通路74に沿って上方に変位する。
【0085】
前方レバー32がロック位置に移動して連結軸51が上位置E2に位置すると、連結軸51の凹部51aに係合片68の凸部68bが入り込む。これにより、連結軸51が係合片68に係合され、その係合により前方レバー32がロック位置において保持される。この場合、ブレーキ作動部29により後輪13にブレーキがかけられた状態が継続され、後輪13がロック状態とされる。
【0086】
連結軸51が係合片68に係合される際の流れについて詳しく説明すると、連結軸51が上位置E2に変位する際には、連結軸51の周面と凹部51aとの境界の山部(詳しくは上側の山部51b)がまず係合片68の凸部68bを乗り越える。この際、係合片68が連結軸51の山部51bによりコイルばね72側に押されて変位することにより、山部51bが凸部68bを乗り越える。山部51bが凸部68bを乗り越えると、凸部68bが連結軸51の凹部51aに入り込む。この際、係合片68がコイルばね72により連結軸51側に付勢されることにより凸部68bが凹部51aに入り込む。これにより、連結軸51が係合片68に係合される。
【0087】
前方レバー32がロック位置に操作されることにより連結軸51が上位置E2に変位すると、その変位に伴い、後方レバー33が回動軸38Aを中心として下方に回動し、ロック位置に変位する。したがって、本レバー連動機構85では、前方レバー32が待機位置からロック位置に操作されると、それに連動して後方レバー33が待機位置からロック位置に変位するようになっている。
【0088】
前方レバー32がロック位置から待機位置に戻されると、ブレーキ作動部29が後輪13から離間する位置(図4の実線参照)に回動し、後輪13のロック状態が解除される。また、前方レバー32は、待機位置に戻される際も、回動軸55を中心として回動することにより戻される。また、前方レバー32がロック位置から待機位置に戻されると、連結軸51が上位置E2から下位置E1に変位する。すると、その連結軸51の変位に伴い、後方レバー33が回動軸38Aを中心として上方に回動し、待機位置に変位する。したがって、本レバー連動機構85では、前方レバー32がロック位置から待機位置に操作されると、それに連動して後方レバー33がロック位置から待機位置に変位するようになっている。
【0089】
続いて、後方レバー33が待機位置からロック位置に操作される際の作用について説明する。
【0090】
図9に示すように、後方レバー33が待機位置(図5参照)からロック位置に操作される際には、後方レバー33が回動軸38Aを中心として下方に回動される。つまり、この場合、後方レバー33は、回動軸38Aを中心として連結軸51が下側通路端面82から上方に離間する側に回動される。また、この際、連結軸51が下側通路端面82から上方に離間することに伴い、前方レバー32が回動軸55を中心として回動する。この場合、前方レバー32は、回動軸55が下側通路端面84により下方から受けられた状態で回動する。そして、その回動によって、前方レバー32は待機位置からロック位置に変位する。したがって、この場合にも、前方レバー32に接続されたブレーキワイヤ28が上方に引っ張られ、後輪13にブレーキがかけられる。
【0091】
また、後方レバー33(及び前方レバー32)がロック位置に到達すると、連結軸51が上位置E2に位置し、連結軸51が係合片68に係合される。これにより、後方レバー33がロック位置において保持され、さらには前方レバー32がロック位置において保持される。したがって、この場合にも、後輪13にブレーキがかけられた状態が継続され、後輪13がロック状態とされる。
【0092】
また、後方レバー33がロック位置から待機位置に戻されると、それに伴い、連結軸51が上位置E2から下位置E1に変位する。すると、その連結軸51の変位に伴い、前方レバー32が回動軸55を中心として上方に回動し、待機位置に変位する。これにより、後輪13のロック状態が解除される。
【0093】
このように、本レバー連動機構85によれば、後方レバー33が待機位置からロック位置に操作されると、それに連動して前方レバー32が待機位置からロック位置に変位し、後方レバー33がロック位置から待機位置に操作されると、それに連動して前方レバー32がロック位置から待機位置に変位するようになっている。
【0094】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0095】
前方レバー32と後方レバー33とを連動させるレバー連動機構85により、両レバー32,33のうちの一方がロック位置に操作されると、その操作に連動して他方がロック位置に変位するようにした。この場合、ロック状態を解除する際にはいずれのレバーからでも解除できる等の利便性を得ることができる。一方、前方レバー32がブレーキ位置に操作された場合には後方レバー33が連動しないようにした。この場合、ブレーキ操作によって連動しない分、レバー連動機構85の構成を簡素化することができる。よって、前方レバー32と後方レバー33とを連動させることによる利便性の維持を図りながら、構成の簡素化を図ることができる。
【0096】
ブレーキワイヤ28を後方レバー33ではなく前方レバー32に接続した。この場合、前方レバー32がブレーキ位置に操作された場合には後方レバー33を連動させない構成を実現し易くすることができる。
【0097】
レバー連動機構85を、両レバー32,33を連結する連結軸51と、両レバー32,33にそれぞれ設けられた回動軸55,38Aと、それらの回動軸55,38Aを受ける二つの軸受部(具体的には下側通路端面82,84)とを有する簡素な構成とした。かかる構成では、前方レバー32については連結軸51と回動軸55とが並ぶ方向に細長状に形成することができ、後方レバー33については連結軸51と回動軸38Aとが並ぶ方向に細長状に形成することができる。そのため、各レバー32,33の上下寸法を小さくすることができ、さらには本体部31の上下寸法を小さくすることができる。これにより、構成の簡素化を大いに図ることができる。
【0098】
本体部31に、前方レバー32がロック位置に位置する場合に連結軸51と係合される係合片68を設けた。具体的には、係合片68には凸部68bを設ける一方、連結軸51には凹部51aを設け、また、本体部31には係合片68を連結軸51に向けて付勢するコイルばね72を設けた。そして、前方レバー32がロック位置に位置する場合に、連結軸51の凹部51aに係合片68の凸部68bが入り込んで連結軸51が係合片68に係合されるようにした。かかる構成によれば、連結軸51が係合片68に係合されることにより、前方レバー32がロック位置に保持されるとともに、後方レバー33がロック位置に保持される。そのため、前方レバー32又は後方レバー33がロック操作された際に後輪13のロック状態を継続させることができる。また、両レバー32,33を連結する連結軸51を係合片68に係合する構成としているため、両レバー32,33のいずれがロック位置に操作される際にも係合させ易く、ロック操作を好適に行うことができる。
【0099】
本体部31に設けた通路壁部67と係合片68とにより、連結軸51を案内する第1案内通路65を形成した。この場合、係合片68を連結軸51に対する係合部として用いるだけでなく、第1案内通路65を形成するためにも用いることができる。
【0100】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0101】
(1)上記実施形態では、係合片68に凸部68bを設け、連結軸51に凸部68bが入り込む凹部51aを設けたが、これを逆にして、連結軸51に凸部を設け、係合片68に凸部が入り込む凹部を設けてもよい。この場合にも、前方レバー32及び後方レバー33がロック位置に位置する場合に、連結軸51の凸部が係合片68の凹部に入り込むことにより連結軸51を係合片68に係合させることができる。
【0102】
(2)上記実施形態では、前方レバー32及び後方レバー33がロック位置に位置する場合に連結軸51と係合される係合部として係合片68を設けたが、係合部の構成は必ずしもこれに限らない。以下に、係合部の別形態について図10に基づき説明する。図10は係合部の別形態を示す図であり、(a)が前方レバー32及び後方レバー33が待機位置にある場合を示し、(b)がロック位置にある場合を示している。
【0103】
図10に示す例では、本体部31に、通路壁部67及び係合片68に代えて、係合部としての係合部材91が設けられている。係合部材91は、弾性変形可能なばね板材により略コ字状に形成されている。係合部材91は、本体部31のケース35及びカバー36(対向板部35a,36a)にそれぞれ設けられている。係合部材91の内側は、連結軸51が変位する際に通る通路空間93となっている。係合部材91は、通路空間93の通路方向を連結軸51の変位方向と同じ方向に向けて配置されている。また、係合部材91は、通路空間93の開放部を上方に向けて配置され、その配置状態でケース35及びカバー36に形成された収容部95に収容されている。なお、本例では、連結軸51に凹部51aが設けられていない。
【0104】
係合部材91は、通路空間93を挟んで対向する一対の対向板部94を有している。各対向板部94は、通路空間93の通路方向の中間部において互いに近づく側に突出するように曲げられている。これにより、各対向板部94の上記突出した突出部分94aの間は、通路空間93の幅が狭くされた幅狭部96となっている。幅狭部96では、通路空間93の幅が連結軸51の径(外径)よりも小さくなっている。
【0105】
続いて、係合部材91の作用について説明する。図10(a)に示すように、前方レバー32及び後方レバー33が待機位置に位置する場合には、連結軸51が通路空間93において幅狭部96よりも下側の下側空間93aに位置する。この際、連結軸51は、通路空間93の下側の通路端面(第1軸受部に相当)により下方から受けられた状態とされる。
【0106】
前方レバー32又は後方レバー33が待機位置からロック位置に操作されると、図10(b)に示すように、連結軸51は通路空間93において上方に変位し、幅狭部96よりも上側の上側空間93bに移動する。この際、連結軸51は、幅狭部96を通過して上側空間93bに移動する。連結軸51が幅狭部96を通過する際には、連結軸51により各対向板部94の突出部分94aが外側に押されて、幅狭部96が拡張される。そのため、連結軸51が幅狭部96を通過可能となる。
【0107】
連結軸51が上側空間93bに移動すると、各突出部分94aが復元し、幅狭部96の幅が元の幅に戻る。これにより、連結軸51は、上側空間93bにおいて各突出部分94aに係合された状態となり、その係合状態により上側空間93bにて保持される。その結果、前方レバー32及び後方レバー33がロック位置において保持される。
【0108】
(3)上記実施形態では、連結軸51を係合片68(ひいては係合部)に係合させることにより前方レバー32及び後方レバー33をロック位置において保持するようにしたが、連結軸51以外の部材を係合させることにより両レバー32,33をロック位置にて保持するようにしてもよい。例えば、前方レバー32又は後方レバー33における連結軸51の周辺に被係合部を設け、本体部31には被係合部が係合される係合部材を設ける。そして、両レバー32,33がロック位置に位置する場合に被係合部が係合部材に係合され、その係合により両レバー32,33がロック位置にて保持される構成が考えられる。
【0109】
(4)上記実施形態では、本体部31に連結軸51を案内する第1案内通路65を設けたが、本体部31に第1案内通路65を設けないようにしてもよい。つまり、本体部31において通路壁部67と係合片68とを不具備としてもよい。但し、この場合、本体部31に連結軸51を下方から受ける軸受部(第1軸受部に相当)を別途設ける必要がある。また、係合片68を不具備とすることに伴い、両レバー32,33をロック位置にて保持するための構成を別途設ける必要がある。
【0110】
また、同様に、本体部31に回動軸55を案内する第2案内通路66を設けないようにしてもよい。この場合、本体部31に回動軸55を下方から受ける軸受部(第2軸受部に相当)を別途設ける必要がある。
【0111】
(5)上記実施形態では、前方レバー32に滑車部62を介してブレーキワイヤ28を接続したが、前方レバー32にブレーキワイヤ28の一端部を固定することにより前方レバー32にブレーキワイヤ28を直接接続してもよい。
【0112】
(6)上記実施形態では、後輪13に対して本発明のブレーキ構造を適用したが、前輪12に対して本発明のブレーキ構造を適用してもよい。
【符号の説明】
【0113】
10…歩行車、13…車輪としての後輪、21…ハンドル、22…アームレスト、28…ブレーキワイヤ、31…本体部、32…前方レバー、33…後方レバー、38A…第2回動軸としての回動軸、51…連結軸、51a…凹部、55…第1回動軸としての回動軸、68…係合部としての係合片、68b…凸部、82…第1軸受部としての下側通路端面、84…第2軸受部としての下側通路端面、85…レバー連動機構。
図1
図2
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図10