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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ドラム缶の連結具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240515BHJP
   B65D 67/02 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
B65D25/20 U
B65D67/02 M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021177211
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023066554
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510032689
【氏名又は名称】岩本 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】岩本 隆
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149465(JP,A)
【文献】西独国特許出願公告第01198021(DE,B)
【文献】特開2010-276577(JP,A)
【文献】米国特許第02806273(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
B65D 67/02
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するドラム缶のカール部を、離接自在に対峙し挟持固定する上側把持板と下側把持板より成り、
上側把持板は、隣接するドラム缶に跨って各カール部の上面を把持する爪を両側部に有すること、
下側把持板は、平面視が楔形状であり、隣接するドラム缶の各カール部の下面に当接する挟持面を有すると共に、ドラム缶の各外周面に当接する弧状面を側端面に有すること、
を特徴とするドラム缶の連結具。
【請求項2】
上側把持板は幅方向に折曲されており、ドラム缶のカール部の上面を把持する爪を、折曲された下端から凹部を対向して設けて形成したことを特徴とする請求項1に記載のドラム缶の連結具。
【請求項3】
上側把持板と下側把持板とは、螺合するボルトにより対峙して連結され、ボルトの回転によって離接自在であることを特徴とする請求項1または2に記載のドラム缶の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に起立して並設したドラム缶同士を連結し、地震時や輸送時の揺れ・振動に転倒しないようにするドラム缶の連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面上に配設立設した複数本のドラム缶の転倒を防止する方策として、複数本のドラム缶の胴部をベルト等の紐状体で固縛して全体の一体化を図って安定感を高める方法が古くから採られている。
【0003】
また、転倒防止用の治具として、実開昭53-148768号公報では、隣接するドラム缶の上部耳部(カール部、ハゼ折り部)を連結する断面ほぼ凹状の連結部有する治具が開示されている。
【0004】
そして、特開平11-342973号公報では、基体の両面側にそれぞれ、又は片面側に形成され、円柱缶体の周縁に立設されたハゼ折り部の略肉厚の溝幅で、かつ前記周縁の曲率をもって湾曲状に形成した嵌合溝の二個を、互いに凸側を当接させて、かつ両端を開放させて配置した缶体連結用クリップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭53-148768号公報
【文献】特開平11-342973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実開昭53-148768号公報は、4個のドラム缶を互いに接して載置したパレットにおいて、パレットをフォークリフトで持ち上げる時にパレットが湾曲して治具の連結部が押し拡げられる力を利用して縛り付けたと同様の作用を期待するもので、常時平面上に配設立設した複数本のドラム缶の転倒を防止する目的には適さないものである。
【0007】
また、特開平11-342973号公報のクリップは、ドラム缶の胴体側面を当接させて揃えたときに、嵌合溝を最接近した位置の2つのハゼ折り部を跨ぐようにして嵌合させることにより、弾発性を有する嵌合溝が、ハゼ折り部にきつく嵌合して2つのドラム缶が連結保持されるもので、嵌合溝の弾発性のみでは充分な安定を期待することは困難である。
【0008】
そこで、本発明は、起立して並設したドラム缶同士を連結し、地震時や輸送時の揺れ・振動に対して転倒しないように、確実に連結固定するドラム缶の連結具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1のドラム缶の連結具は、隣接するドラム缶のカール部を、離接自在に対峙し挟持固定する上側把持板と下側把持板より成り、上側把持板は、隣接するドラム缶に跨って各カール部の上面を把持する爪を両側部に有すること、下側把持板は、平面視が楔形状であり、隣接するドラム缶の各カール部の下面に当接する挟持面を有すると共に、ドラム缶の各外周面に当接する弧状面を側端面に有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項1のドラム缶の連結具によれば、隣接するドラム缶は、上下方向は離接自在に対峙した上側把持板と下側把持板より押圧挟持されて固定され、また、水平横方向は上側把持板の両側部に有する爪により離反を阻止される一方、下側把持板の側端面に有する弧状面により近接を阻止されて挟持される状態となって固定されるため、揺れ・振動に対して個々に動揺や転倒することなく、起立を互いに一体と成って維持する効果を発揮するものである。
【0011】
また、請求項1のドラム缶の連結具によれば、側把持板は、平面視が楔形状であることで、ドラム缶の各外周面に当接する弧状面を側端面に容易に形成することができる。また、隣接するドラム缶の各外周面の間に、容易に下側把持板を挿入して、ドラム缶の連結具の取付位置に配置できるようになっている。
【0012】
請求項2のドラム缶の連結具は、請求項1に記載の発明において、上側把持板は幅方向に折曲されており、ドラム缶のカール部の上面を把持する爪を、折曲された下端から凹部を対向して設けて形成した。
【0013】
請求項2のドラム缶の連結具によれば、請求項1のドラム缶の連結具と同様の作用に加えて、上側把持板は幅方向に折曲することで上側把持板の強度が得られ、ドラム缶のカール部の上面を把持する爪を、折曲された下端から凹部を対向して形成したことで、各ドラム缶のカール部及び上面を2個の爪で確実に押圧することができ、少なくとも一方の爪でカール部を把持できるものとなる。
【0014】
請求項のドラム缶の連結具は、請求項1または2に記載の発明において、上側把持板と下側把持板は、螺合するボルトにより対峙して連結され、ボルトの回転によって離接自在である。
【0015】
請求項のドラム缶の連結具によれば、請求項1または2のドラム缶の連結具と同様の作用に加えて、また、上側把持板と下側把持板とは、螺合するボルトにより対峙して連結させることで、ボルトを回転させる方向を変えることによって容易に離接自在とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のドラム缶の連結具は、起立して並設したドラム缶同士を連結し、地震時や輸送時の揺れ・振動に対して転倒しないように、確実に連結固定する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態のドラム缶の連結具の斜視図である。
図2図1のドラム缶の連結具で隣接するドラム缶を連結固定した状態を示す斜視図である。
図3図1のドラム缶の連結具で隣接するドラム缶を連結固定した状態を示す平面図である。
図4図1のドラム缶の連結具で4個のドラム缶を連結固定した一例を示す平面図である。
図5図1のドラム缶の連結具で4個のドラム缶を連結固定した別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態のドラム缶の連結具1について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、ドラム缶の連結具1は、隣接するドラム缶11のカール部12を、離接自在に対峙し挟持固定する上側把持板2と下側把持板3より構成される。
【0020】
上側把持板2は、図2に示すように、隣接するドラム缶11、11に跨って各カール部12,12の上面12Aを把持する爪21、21を両側部に有する。
【0021】
図1に示すように、上側把持板2では幅方向に折曲されており、ドラム缶11のカール部12の上面12Aを把持する爪21を、折曲された下端から凹部22、22を対向して設けて形成している。
【0022】
上側把持板2の長手方向の長さは、隣接するドラム缶11、11のカール部12、12の接する部分から適宜離れた輪郭線に沿った位置に、爪21、21の凹部22、22が、隣接するドラム缶11、11に跨って各カール部12、12の上面12A、12Aを被覆できるように設計される。
【0023】
下側把持板3は、図2に示すように、その上面31が隣接するドラム缶11、11の各カール部12、12の下面12B、12Bに当接する挟持面の役割を果たすと共に、ドラム缶11、11の各外周面13、13に当接する弧状面32、32を長手方向の両側端面に有する。
【0024】
下側把持板3は、図1から分かるように、平面視が楔形状であり、楔形状の側端面がドラム缶11の外周面13に一致する円周の弧状面としてある。そのため、下側把持板3の上面31が、隣接するドラム缶11、11の各カール部12、12の下面12B、12Bに当接し、長手方向の両側端面である弧状面32、32が、ドラム缶11、11の各外周面13、13に当接するようになっている。
【0025】
上側把持板2と下側把持板3は、螺合するボルト4により対峙して連結され、ボルト4の回転方向によって後述のように離接自在である。
【0026】
ボルト4は座金5・スプリングワッシャー6を介して上側把持板2から下側把持板3へ螺入してあり、下側把持板3の下面には補充螺合部7を増設してある。
【0027】
上側把持板2のボルト4が螺入するネジ穴は、長手方向の中央部に形成されており、跨って装着する隣接するドラム缶11、11の隙間にボルト4が螺入されて位置することになる。
【0028】
一方、下側把持板3のネジ穴は楔形状の幅広側に設けられ、上側把持板2と対峙して、長手方向の両側端面の弧状面32、32が、ドラム缶11、11の各外周面13、13に当接する状態となる。
【0029】
そこで、上側把持板2と下側把持板3をボルト4で連結対峙させ、次に、上側把持板2を、隣接するドラム缶11、11に跨って各カール部12、12の上面12A、12Aに爪21、21の凹部22、22を被覆し、下側把持板3は、長手方向の両側端面の弧状面32、32が、ドラム缶11、11の各外周面13、13に当接する状態とし、ボルト4を締める。
【0030】
さすれば、上側把持板2は、何れかの凹部22、22がカール部12に当たり爪21となって供廻りを阻止されると共に、ボルト4を締めていくと凹部22、22がカール部12、12の上面12A、12Aを下方へ押圧し、また、隣接するドラム缶11、11に跨ってカール部12、12に引っ掛かった両側部の爪21、21は、隣接するドラム缶を把持し離反を阻止する。
【0031】
一方、下側把持板3は、長手方向の両側端面の弧状面32、32が、ドラム缶11、11の各外周面13、13に当接する状態となっているため、ボルト4を締めても供廻りをすることなく、ドラム缶11、11の各外周面13、13に当接したまま上昇していくことになり、下側把持板3の上面31が、隣接するドラム缶11、11の各カール部12、12の下面11B、11Bに当接し上方へ押圧することになる。
【0032】
したがって、前記上側把持板2の凹部22、22と、下側把持板3の上面31が、隣接するドラム缶11、11の各カール部12、12を挟持し固定するため、上下方向への個々の動きを制約することになる。
【0033】
また、前記上側把持板2の両側部の爪21、21が隣接するドラム缶11、11を把持して離反を阻止するのと相俟って、下側把持板3の側端面に有する弧状面32、32が、隣接するドラム缶の各外周面に当接して近接を阻止するため、隣接するドラム缶11、11の水平横方向の個々の動きを制約することになる。
【0034】
本発明の連結具1を、隣接するドラム缶11、11に装着することで、各ドラム缶の個々の上下・水平方向の動きは制約を受け、連結されたドラム缶が不可分一体としての動きのみとなり、揺れ転倒の防止効果を期待できるものである。
【0035】
さらに、隣接する四方のドラム缶同士を本発明のドラム缶の連結具1で連結して行けば、多数のドラム缶が一体と成って、揺れ転倒に対応できるため、その防止効果を格段に発揮するものと成る。
【0036】
例えば、図4に示すように、2行×2列の計4個のドラム缶11の配置となっている場合、4個のドラム缶11の各間に、ドラム缶の連結具1を1個ずつ取り付けて固定することで、4個のドラム缶11が2行×2列の配置のまま強固に連結固定されるようになっている。
【0037】
また、図5に示すように、例えば計4個のドラム缶11がL字状の配置となっている場合、4個のドラム缶11の各間に、ドラム缶の連結具1を2個ずつ取り付けて固定することで、4個のドラム缶11がL字状の配置強固に連結固定されるようになっている。
【0038】
本発明に係るドラム缶の連結具1の材質は、金属製や硬質樹脂等の適宜厚みを有し、目的の作用を奏する強度を得られるものを選択すればよく、弧状面32は、下側把持板3の端面厚が不十分であれば、垂下面を一体に形成してもよい。
【0039】
本発明に係るドラム缶の連結具1の上側把持板2は、図面で示すような幅方向に折曲されている形状である場合について説明したが、これに限定されることはない。上側把持板は、例えば棒体であって、隣接するドラム缶に跨って各カール部の上面を把持する爪を両側部に有する形状であればよい。
【0040】
本発明に係るドラム缶の連結具1は、上側把持板と下側把持板が螺合するボルトにより対峙して連結され、ボルトの回転によって離接自在である場合について説明したが、これに限定されることはない。例えばトグルクランプ等によって、上側把持板と下側把持板とが離接自在となっていてもよい。
【0041】
以上説明した本発明の技術的範囲は、上記の実施の形態例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【符号の説明】
【0042】
1 連結具
2 上側把持板
3 下側把持板
4 ボルト
5 座金
6 スプリングワッシャー
7 補充螺合部
11 ドラム缶
12 カール部
13 外周面
21 爪
22 凹部
31 上面
32 弧状面
図1
図2
図3
図4
図5