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特許7488807アクティブマトリクス基板、液晶表示装置およびアクティブマトリクス基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板、液晶表示装置およびアクティブマトリクス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20240515BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240515BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G02F1/1333 505
G02F1/1343
G02F1/1368
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021194709
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023081048
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 裕一
(72)【発明者】
【氏名】古川 博章
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 篤史
(72)【発明者】
【氏名】松木薗 広志
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105700258(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110911421(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0378208(US,A1)
【文献】特開2016-218094(JP,A)
【文献】特開2009-157368(JP,A)
【文献】特開2016-071340(JP,A)
【文献】特開2017-183312(JP,A)
【文献】特開2010-244785(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0136077(US,A1)
【文献】特開2020-129617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1343-1/1345
G02F 1/1368
G09F 9/00
G09F 9/30-9/46
H10K 59/10-59/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、活性層として酸化物半導体層を有する画素TFTと、
前記画素TFTの少なくとも前記酸化物半導体層の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上に、前記有機絶縁層の上面に接して配置された無機絶縁層と、を備え、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層には、複数の2層孔構造部が設けられており、
各2層孔構造部は、
前記無機絶縁層に設けられた貫通孔と、
前記有機絶縁層に設けられ、かつ、前記貫通孔の下方に位置する有底孔と、を含み、
前記基板の法線方向から見たとき、前記貫通孔は、前記有底孔の外縁よりも内側に位置しており、
前記アクティブマトリクス基板は、前記無機絶縁層上に前記無機絶縁層に接して配置された透明導電層をさらに備え、前記透明導電層は、前記各2層孔構造部上に開口部を有し、
前記各2層孔構造部において、前記有底孔の内表面の少なくとも一部は、前記透明導電層および前記無機絶縁層から露出している、アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記アクティブマトリクス基板は、前記透明導電層と同層に形成された島状透明導電部をさらに備え、
前記各2層孔構造部において、
前記透明導電層は、前記無機絶縁層の上面の少なくとも一部と前記無機絶縁層の前記貫通孔の内側面の少なくとも一部とを覆っており、
前記島状透明導電部は、前記有機絶縁層の前記有底孔の内部に、前記透明導電層とは離隔して配置されており、
前記有底孔の前記内表面の一部は、前記島状透明導電部、前記透明導電層および前記無機絶縁層から露出している、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記基板の法線方向から見たとき、前記開口部は前記貫通孔の前記外縁よりも内側に位置している、請求項2に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記各2層孔構造部において、前記透明導電層の前記開口部は、前記貫通孔の内側面および前記有底孔の前記内表面を露出し、
前記基板の法線方向から見たとき、前記開口部は前記有底孔の前記外縁よりも内側に位置している、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記アクティブマトリクス基板は、前記有機絶縁層上に、前記無機絶縁層を介して配置された他の有機絶縁層をさらに備え、
前記他の有機絶縁層は、前記各2層孔構造部における前記貫通孔および前記有底孔を埋めるように配置されている、請求項1から4のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、活性層として酸化物半導体層を有する画素TFTと、
前記画素TFTの少なくとも前記酸化物半導体層の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上に、前記有機絶縁層の上面に接して配置された無機絶縁層と、を備え、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層には、複数の2層孔構造部が設けられており、
各2層孔構造部は、
前記無機絶縁層に設けられた貫通孔と、
前記有機絶縁層に設けられ、かつ、前記貫通孔の下方に位置する有底孔と、を含み、
前記基板の法線方向から見たとき、前記貫通孔は、前記有底孔の外縁よりも内側に位置しており、
前記有機絶縁層は、第1有機絶縁層と、前記第1有機絶縁層よりも上層に位置する第2有機絶縁層とを含み、
前記第1有機絶縁層および前記第2有機絶縁層のそれぞれは、前記各2層孔構造部の前記有底孔に露出した部分を含む、アクティブマトリクス基板。
【請求項7】
行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、活性層として酸化物半導体層を有する画素TFTと、
前記画素TFTの少なくとも前記酸化物半導体層の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上に、前記有機絶縁層の上面に接して配置された無機絶縁層と、を備え、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層には、複数の2層孔構造部が設けられており、
各2層孔構造部は、
前記無機絶縁層に設けられた貫通孔と、
前記有機絶縁層に設けられ、かつ、前記貫通孔の下方に位置する有底孔と、を含み、
前記基板の法線方向から見たとき、前記貫通孔は、前記有底孔の外縁よりも内側に位置しており、
前記有機絶縁層は、第1有機絶縁層と、第2有機絶縁層とを含み、前記第2有機絶縁層は、前記第1有機絶縁層よりも上層に位置し、かつ、前記第1有機絶縁層に直接接する部分を含み、
前記第1有機絶縁層および前記第2有機絶縁層のうちのいずれか一方のみが、前記各2層孔構造部の前記有底孔に露出した部分を含む、アクティブマトリクス基板。
【請求項8】
前記有底孔の内表面は、前記無機絶縁層と直接接していない、請求項1から7のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項9】
前記複数の2層孔構造部は、前記表示領域に配置された複数の第1の2層孔構造部を含む、請求項1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項10】
前記アクティブマトリクス基板は、それぞれが、前記複数の画素領域のそれぞれに配置され、かつ、対応する1つの画素TFTに電気的に接続された複数の画素電極をさらに備え、
前記各第1の2層孔構造部は、前記表示領域において、前記複数の画素電極に重ならない位置に配置されている、請求項9に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項11】
前記複数の第1の2層孔構造部は、3以上の画素領域に対して1つの第1の2層孔構造部が対応するように、前記表示領域に配置されている、請求項9または10に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項12】
前記アクティブマトリクス基板は、前記画素TFTの前記基板側に配置された複数の遮光層をさらに備え、
前記基板の法線方向から見たとき、前記各第1の2層孔構造部は、前記複数の遮光層のいずれかに重なっている、請求項9から11のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項13】
前記複数の2層孔構造部は、前記非表示領域に配置された複数の第2の2層孔構造部を含む、請求項1から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項14】
前記非表示領域は、前記基板に支持されたゲートドライバおよび/またはデマルチプレクサ回路をさらに備え、前記複数の第2の2層孔構造部は、前記基板の法線方向から見たとき、前記ゲートドライバおよび/または前記デマルチプレクサ回路と前記表示領域との間に位置している、請求項13に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項15】
前記アクティブマトリクス基板は、それぞれが、前記複数の画素領域のそれぞれに配置された複数の画素電極をさらに備え、
前記画素TFTは、透明導電材料から形成された接続電極によって、対応する1つの画素電極に電気的に接続されている、請求項1から14のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項16】
前記有底孔の深さは、前記有機絶縁層の厚さの1/4以上3/4以下である、請求項1から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項17】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項1から16のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項18】
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む請求項17に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と、
を備えた液晶表示装置。
【請求項20】
前記液晶表示装置は、前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に位置する複数の柱状スペーサをさらに備え、
前記アクティブマトリクス基板は、前記画素TFTよりも前記基板側に、前記複数の柱状スペーサに対応付けて配置された複数の遮光層をさらに備え、
前記基板の法線方向から見たとき、各遮光層は、前記複数の2層孔構造部の1つおよび前記複数の柱状スペーサの1つに重なるように配置されている、請求項19に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、活性層として酸化物半導体層を有する画素TFTと、
前記画素TFTの少なくとも前記酸化物半導体層の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上に、前記有機絶縁層の上面に接して配置された無機絶縁層と、を備え、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層には、複数の2層孔構造部が設けられており、
各2層孔構造部は、
前記無機絶縁層に設けられた貫通孔と、
前記有機絶縁層に設けられ、かつ、前記貫通孔の下方に位置する有底孔と、を含み、
前記基板の法線方向から見たとき、前記貫通孔は、前記有底孔の外縁よりも内側に位置している、アクティブマトリクス基板の製造方法であって、
前記有機絶縁層上に前記無機絶縁層を形成する工程(A)と、
同じエッチングマスクを用いて、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層のエッチングを行う工程(B)とを包含し、
前記工程(B)の前記エッチングは、前記無機絶縁層に前記貫通孔を形成するとともに、前記有機絶縁層のうち、前記貫通孔で露出された部分と、前記基板の法線方向から見たときに前記貫通孔よりも外側に位置する部分とを除去することにより、前記有機絶縁層に前記有底孔を形成するような条件で行われ、
前記工程(B)の後に、前記無機絶縁層上および前記各2層孔構造部上に透明導電膜を形成する工程であって、前記無機絶縁層の上面と前記有底孔との段差を利用して、前記透明導電膜のうち前記無機絶縁層の前記上面に位置する部分と、前記有底孔の内部に位置する部分とを互いに離隔させる工程をさらに包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項22】
行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、活性層として酸化物半導体層を有する画素TFTと、
前記画素TFTの少なくとも前記酸化物半導体層の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上に、前記有機絶縁層の上面に接して配置された無機絶縁層と、を備え、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層には、複数の2層孔構造部が設けられており、
各2層孔構造部は、
前記無機絶縁層に設けられた貫通孔と、
前記有機絶縁層に設けられ、かつ、前記貫通孔の下方に位置する有底孔と、を含み、
前記基板の法線方向から見たとき、前記貫通孔は、前記有底孔の外縁よりも内側に位置している、アクティブマトリクス基板の製造方法であって、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層および透明導電膜をこの順で形成する工程(a)と、
前記透明導電膜のパターニングを行い、前記各2層孔構造部となる領域に開口部を形成する工程(b)と、
前記開口部が形成された前記透明導電膜をマスクとして、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層のエッチングを行う工程(c)と、を包含し、
前記工程(c)の前記エッチングは、前記無機絶縁層に前記貫通孔を形成するとともに、前記有機絶縁層のうち、前記貫通孔で露出された部分と、前記基板の法線方向から見たときに前記貫通孔よりも外側に位置する部分とを除去することにより、前記有機絶縁層に前記有底孔を形成するような条件で行われる、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板、液晶表示装置およびアクティブマトリクス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、アクティブマトリクス基板を備えた液晶表示装置が種々の用途に広く用いられている。アクティブマトリクス基板は、画素領域ごとにスイッチング素子を有する。スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を有するアクティブマトリクス基板は、TFT基板と呼ばれる。
【0003】
TFT基板は、画素領域ごとに設けられたTFTおよび画素電極、TFTにゲート信号を供給するゲート配線(ゲートバスライン)、TFTにソース信号を供給するソース配線(ソースバスライン)などを有する。TFTのゲート電極、ソース電極およびドレイン電極は、それぞれゲート配線、ソース配線および画素電極に電気的に接続されている。TFTは、層間絶縁層(パッシベーション層)で覆われている。
【0004】
層間絶縁層上に、表面を平坦化するための平坦化層として、有機絶縁層が形成されることがある。有機絶縁層の形成により、負荷容量(寄生容量)を低減して消費電力を低減することもできる。有機絶縁層の材料としては、感光性樹脂材料が用いられることが多い。十分な平坦化効果や負荷容量低減効果を得るために、有機絶縁層を形成する際に感光性樹脂材料は厚く(例えば数μmの厚さで)塗布される。
【0005】
有機絶縁層が形成されている場合、例えば、有機絶縁層上に、複数の画素電極が互いに離隔して設けられ、その上に、画素電極同士を絶縁するための無機絶縁層が設けられる。FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置に使用されるTFT基板では、有機絶縁層上に、画素電極および共通電極が、誘電体層(無機絶縁層)を介して積層される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014―90068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
TFT基板の製造プロセスにおいて、有機絶縁層には、レジスト剥離液、ウェットエッチング液、大気中等に含まれた水分等の不純物が侵入しやすいことが知られている。上述したように、有機絶縁層の上面が無機絶縁層で覆われていると、製造プロセス中に有機絶縁層に侵入した不純物が、有機絶縁層の上面からTFT基板の外部に放出されにくい。このため、有機絶縁層に侵入した不純物の一部が下方(基板側)に移動し、画素TFTの酸化物半導体層に入り込むおそれがある。
【0008】
水分等の不純物が酸化物半導体層に入り込むと、酸化物半導体層にキャリアが形成されてキャリア密度が増加する可能性がある。そうすると、画素TFTの閾値電圧が変化(マイナス方向にシフト)し、オフリーク電流が増加する場合がある。これは、表示不良の要因となる。また、駆動回路を構成するTFT(回路TFT)の活性層として酸化物半導体層を用いた場合にも、不純物が酸化物半導体層に入ることで所望の特性が得られない可能性がある。
【0009】
これに対し、特許文献1は、TFT基板において、有機絶縁層上に配置される無機絶縁層に、有機絶縁層の上面の一部を露出する開口部を設けることにより、有機絶縁層に含まれる水分等の不純物を、開口部を通して外部に拡散させることを提案している。
【0010】
近年、液晶表示装置の高精細化が進んでおり、(例えば1000ppi以上の)高精細な液晶表示装置に使用されるTFT基板では、有機絶縁層がさらに厚く(例えば4~5μm)形成されることがある。このようなTFT基板では、TFT基板に占める有機絶縁層の体積の割合が大きくなるので、有機絶縁層に含まれる不純物による影響が顕著になる。このため、有機絶縁層に吸収された不純物をさらに効率的に外部に放出させる構造が求められている。
【0011】
本開示の一実施形態は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水分等の不純物に起因する酸化物半導体TFTの特性の変動を抑制し得るアクティブマトリクス基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書は、以下の項目に記載のアクティブマトリクス基板、液晶表示装置およびアクティブマトリクス基板の製造方法を開示している。
【0013】
[項目1]
行方向および列方向にマトリクス状に配列された複数の画素領域を含む表示領域と、前記表示領域の周辺に位置する非表示領域とを有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板に支持され、前記複数の画素領域のそれぞれに対応して設けられた画素TFTであって、活性層として酸化物半導体層を有する画素TFTと、
前記画素TFTの少なくとも前記酸化物半導体層の上方に配置された有機絶縁層と、
前記有機絶縁層上に、前記有機絶縁層の上面に接して配置された無機絶縁層と、を備え、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層には、複数の2層孔構造部が設けられており、
各2層孔構造部は、
前記無機絶縁層に設けられた貫通孔と、
前記有機絶縁層に設けられ、かつ、前記貫通孔の下方に位置する有底孔と、を含み、
前記基板の法線方向から見たとき、前記貫通孔は、前記有底孔の外縁よりも内側に位置している、アクティブマトリクス基板。
[項目2]
前記有底孔の内表面は、前記無機絶縁層と直接接していない、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目3]
前記アクティブマトリクス基板は、前記無機絶縁層上に配置された透明導電層をさらに備え、前記透明導電層は、前記各2層孔構造部上に開口部を有し、
前記各2層孔構造部において、前記有底孔の内表面の少なくとも一部は、前記透明導電層および前記無機絶縁層から露出している、項目1または2に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目4]
前記アクティブマトリクス基板は、前記透明導電層と同層に形成された島状透明導電部をさらに備え、
前記各2層孔構造部において、
前記透明導電層は、前記無機絶縁層の上面の少なくとも一部と前記無機絶縁層の前記貫通孔の内側面の少なくとも一部とを覆っており、
前記島状透明導電部は、前記有機絶縁層の前記有底孔の内部に、前記透明導電層とは離隔して配置されており、
前記有底孔の前記内表面の一部は、前記島状透明導電部、前記透明導電層および前記無機絶縁層から露出している、項目3に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目5]
前記基板の法線方向から見たとき、前記開口部は前記貫通孔の前記外縁よりも内側に位置している、項目4に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目6]
前記各2層孔構造部において、前記透明導電層の前記開口部は、前記貫通孔の内側面および前記有底孔の前記内表面を露出し、
前記基板の法線方向から見たとき、前記開口部は前記有底孔の前記外縁よりも内側に位置している、項目3に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目7]
前記有機絶縁層は、第1有機絶縁層と、前記第1有機絶縁層よりも上層に位置する第2有機絶縁層とを含み、
前記第1有機絶縁層および前記第2有機絶縁層のそれぞれは、前記各2層孔構造部の前記有底孔に露出した部分を含む、項目1から6のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目8]
前記有機絶縁層は、第1有機絶縁層と、第2有機絶縁層とを含み、前記第2有機絶縁層は、前記第1有機絶縁層よりも上層に位置し、かつ、前記第1有機絶縁層に直接接する部分を含み、
前記第1有機絶縁層および前記第2有機絶縁層のうちのいずれか一方のみが、前記各2層孔構造部の前記有底孔に露出した部分を含む、項目1から6のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目9]
前記アクティブマトリクス基板は、前記有機絶縁層上に、前記無機絶縁層を介して配置された他の有機絶縁層をさらに備え、
前記他の有機絶縁層は、前記各2層孔構造部における前記貫通孔および前記有底孔を埋めるように配置されている、項目1から6のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。

[項目10]
前記複数の2層孔構造部は、前記表示領域に配置された複数の第1の2層孔構造部を含む、項目1から9のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目11]
前記アクティブマトリクス基板は、それぞれが、前記複数の画素領域のそれぞれに配置され、かつ、対応する1つの画素TFTに電気的に接続された複数の画素電極をさらに備え、
前記各第1の2層孔構造部は、前記表示領域において、前記複数の画素電極に重ならない位置に配置されている、項目10に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目12]
前記複数の第1の2層孔構造部は、3以上の画素領域に対して1つの第1の2層孔構造部が対応するように、前記表示領域に配置されている、項目10または11に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目13]
前記アクティブマトリクス基板は、前記画素TFTの前記基板側に配置された複数の遮光層をさらに備え、
前記基板の法線方向から見たとき、前記各第1の2層孔構造部は、前記複数の遮光層のいずれかに重なっている、項目10から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目14]
前記複数の2層孔構造部は、前記非表示領域に配置された複数の第2の2層孔構造部を含む、項目1から13のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目15]
前記非表示領域は、前記基板に支持されたゲートドライバおよび/またはデマルチプレクサ回路をさらに備え、前記複数の第2の2層孔構造部は、前記基板の法線方向から見たとき、前記ゲートドライバおよび/または前記デマルチプレクサ回路と前記表示領域との間に位置している、項目14に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目16]
前記アクティブマトリクス基板は、それぞれが、前記複数の画素領域のそれぞれに配置された複数の画素電極をさらに備え、
前記画素TFTは、透明導電材料から形成された接続電極によって、対応する1つの画素電極に電気的に接続されている、項目1から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目17]
前記有底孔の深さは、前記有機絶縁層の厚さの1/4以上3/4以下である、項目1から16のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目18]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目1から17のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目19]
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む項目18に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目20]
項目1から19のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板と、
前記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に設けられた液晶層と、
を備えた液晶表示装置。
[項目21]
前記液晶表示装置は、前記アクティブマトリクス基板と前記対向基板との間に位置する複数の柱状スペーサをさらに備え、
前記アクティブマトリクス基板は、前記画素TFTよりも前記基板側に、前記複数の柱状スペーサに対応付けて配置された複数の遮光層をさらに備え、
前記基板の法線方向から見たとき、各遮光層は、前記複数の2層孔構造部の1つおよび前記複数の柱状スペーサの1つに重なるように配置されている、項目20に記載の液晶表示装置。
[項目22]
項目1から18のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
前記有機絶縁層上に前記無機絶縁層を形成する工程(A)と、
同じエッチングマスクを用いて、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層のエッチングを行う工程(B)とを包含し、
前記工程(B)の前記エッチングは、前記無機絶縁層に前記貫通孔を形成するとともに、前記有機絶縁層のうち、前記貫通孔で露出された部分と、前記基板の法線方向から見たときに前記貫通孔よりも外側に位置する部分とを除去することにより、前記有機絶縁層に前記有底孔を形成するような条件で行われる、アクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目23]
前記工程(B)の後に、前記無機絶縁層上および前記各2層孔構造部上に透明導電膜を形成する工程であって、前記無機絶縁層の上面と前記有底孔との段差を利用して、前記透明導電膜のうち前記無機絶縁層の前記上面に位置する部分と、前記有底孔の内部に位置する部分とを互いに離隔させる工程をさらに包含する、項目22に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目24]
項目1から18のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
前記有機絶縁層および前記無機絶縁層および透明導電膜をこの順で形成する工程(a)と、
前記透明導電膜のパターニングを行い、前記各2層孔構造部となる領域に開口部を形成する工程(b)と、
前記開口部が形成された前記透明導電膜をマスクとして、前記無機絶縁層および前記有機絶縁層のエッチングを行う工程(c)と、を包含し、
前記工程(c)の前記エッチングは、前記無機絶縁層に前記貫通孔を形成するとともに、前記有機絶縁層のうち、前記貫通孔で露出された部分と、前記基板の法線方向から見たときに前記貫通孔よりも外側に位置する部分とを除去することにより、前記有機絶縁層に前記有底孔を形成するような条件で行われる、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【0014】
[発明の効果]
本開示の一実施形態によると、水分等の不純物に起因する酸化物半導体TFTの特性の変動を抑制し得るアクティブマトリクス基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態によるアクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を示す概略図である。
図2A】2層孔構造部HSを含む不純物除去領域ER1を模式的に示す平面図である。
図2B図2Aに示すIIb-IIb線に沿った模式的な断面図である。
図3A】2層孔構造部HSを含む他の不純物除去領域ER2を模式的に示す平面図である。
図3B図3Aに示すIIIb-IIIb線に沿った模式的な断面図である。
図4A】2層孔構造部HSを含むさらに他の不純物除去領域ER3を模式的に示す平面図である。
図4B図4Aに示すIVb-IVb線に沿った模式的な断面図である。
図5】アクティブマトリクス基板100Aにおける不純物除去領域ERdの配置を示す模式的な平面図である。
図6A】アクティブマトリクス基板100Aにおける画素領域PIXを例示する平面図である。
図6B図6Aに示すVIb-VIb線に沿った断面図である。
図6C図6Aに示すVIc-VIc線に沿った断面図である。
図7】画素電極PEの他の配置を示す平面図である。
図8】アクティブマトリクス基板100Aにおける回路TFT30および画素TFT20を例示する断面図である。
図9】アクティブマトリクス基板100Bにおける不純物除去領域ERfの配置を示す模式的な平面図である。
図10A】アクティブマトリクス基板100Bにおける上端の画素領域PIXおよび第1非表示領域FR1の一部を例示する平面図である。
図10B図10Aに示すXb-Xb線に沿った断面図である。
図10C図10Aに示すXc-Xc線に沿った断面図である。
図10D図10Aに示すXd-Xd線に沿った断面図である。
図11A】アクティブマトリクス基板100Bにおける一側端の画素領域PIXおよび第2非表示領域FR2の一部を例示する平面図である。
図11B図11Aに示すXIb-XIb線に沿った断面図である。
図12】アクティブマトリクス基板100Cにおける不純物除去領域ER(ERd、ERf)の配置を示す模式的な平面図である。
図13A】アクティブマトリクス基板100Dにおける画素領域PIXを例示する平面図である。
図13B図13Aに示すXIIIb-XIIIb線に沿った断面図である。
図13C図13Aに示すXIIIc-XIIIc線に沿った断面図である。
図14A】アクティブマトリクス基板100Eにおける一側端の画素領域PIXおよび第2非表示領域FR2の一部を例示する平面図である。
図14B図14Aに示すXIVb-XIVb線に沿った断面図である。
図15A】アクティブマトリクス基板100Fにおける画素領域PIXを例示する平面図である。
図15B図15Aに示すXVb-XVb線に沿った断面図である。
図15C図15Aに示すXVc-XVc線に沿った断面図である。
図16】液晶表示装置500の一部を示す模試的な断面図である。
図17A】液晶表示装置500における第1不純物除去領域ERd、柱状スペーサ310および遮光層LSの配置関係の一例を示す平面図である。
図17B】液晶表示装置500における第1不純物除去領域ERd、柱状スペーサ310および遮光層LSの配置関係の他の例を示す平面図である。
図18】アクティブマトリクス基板における2層孔構造部HSの他の例を示す平面図である。
図19A】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19B】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19C】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19D】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19E】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19F】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19G】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19H】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図19I】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20A】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20B】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20C】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20D】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20E】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20F】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20G】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20H】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図20I】アクティブマトリクス基板100Fの製造工程を示す工程断面図である。
図21A】アクティブマトリクス基板100Fの他の製造方法を示す工程断面図である。
図21B】アクティブマトリクス基板100Fの他の製造方法を示す工程断面図である。
図22A】他の不純物除去領域800dを例示する断面図である。
図22B】他の不純物除去領域800dを例示する断面図である。
図23】変形例1における他の不純物除去領域800f1を例示する断面図である。
図24A】変形例1における他の不純物除去領域800f2を例示する断面図である。
図24B】変形例1における他の不純物除去領域800f2を例示する断面図である。
図25】変形例2における他の不純物除去領域800dを例示する断面図である。
図26】変形例2における他の不純物除去領域800f2を例示する断面図である。
図27】変形例4における他の不純物除去領域800dを例示する断面図である。
図28】不純物を放出する参考例の不純物除去構造900を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下では、本発明の実施形態としてFFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板を例示するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、説明の重複を避けるため、変形例等の説明においては、同様の構成要素に同じ参照符号を付し、説明を省略することがある。
【0017】
(アクティブマトリクス基板の基本構造例)
図1を参照しながら、本開示の実施形態におけるアクティブマトリクス基板100を説明する。図1は、アクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を示す概略図である。
【0018】
アクティブマトリクス基板100は、図1に示すように、表示領域DRと、非表示領域(「額縁領域」とも呼ばれる)FRとを有している。表示領域DRは、複数の画素領域PIXによって規定される。複数の画素領域PIXは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。画素領域PIXは、液晶表示装置の画素に対応する領域であり、画素領域PIXを単に「画素」と呼ぶこともある。非表示領域FRは、表示領域DRの周辺に位置し、表示に寄与しない領域である。
【0019】
表示領域DRには、行方向に延びる複数のゲート配線GLと、列方向に延びる複数のソース配線SLとが形成されている。各画素領域PIXは、例えば、互いに隣接する一対のゲート配線GLおよび互いに隣接する一対のソース配線SLで囲まれた領域である。
【0020】
後述するように、ゲート配線GLは、絶縁層を介して互いに重なる下部ゲート配線および上部ゲート配線を含む重畳構造を有してもよい。下部ゲート配線および上部ゲート配線は、例えば非表示領域FRで互いに電気的に接続され得る。
【0021】
また、表示領域DRには、各画素領域PIXに対応して設けられた薄膜トランジスタ(TFT)20と、TFT20に電気的に接続された画素電極PEとが配置されている。各画素領域PIXに配置されたTFT20を、以下では「画素TFT」と呼ぶ。画素TFT20は、対応するゲート配線GLからゲート信号(走査信号)を供給され、対応するソース配線SLからソース信号(表示信号)を供給される。ここでは、画素TFT20として、酸化物半導体層を活性層とする酸化物半導体TFTを用いる。アクティブマトリクス基板100を、FFSモードなどの横電界モードの表示装置に適用する場合には、アクティブマトリクス基板100に、複数の画素領域PIXに対して共通の電極(共通電極)CEが設けられる。
【0022】
非表示領域FRには、周辺回路が配置されている。ここでは、非表示領域FRには、ゲート配線GLを駆動するゲートドライバGDが一体的(モノリシック)に形成されており、ソース配線SLを駆動するソースドライバSDが実装されている。なお、非表示領域FRには、ソース配線SLを時分割で駆動するデマルチプレクサ回路DMXがさらに配置されていてもよい。デマルチプレクサ回路DMXも、ゲートドライバGDと同様に一体的に形成されていてもよい。ゲートドライバGDやデマルチプレクサ回路DMXなどの周辺回路は、複数のTFT(回路TFT)を含む。回路TFTは、画素TFTと同じ半導体膜を用いて形成された酸化物半導体TFTでもよいし、画素TFTとは異なる半導体膜を用いて形成されたTFTであってもよい。例えば、回路TFTは、結晶質シリコン半導体膜を活性層とするシリコン半導体TFTであってもよい。
【0023】
(不純物除去領域ERの構造(2層孔構造部HS))
図1には示していないが、本実施形態では、アクティブマトリクス基板100の表示領域DRおよび/または非表示領域FRの複数箇所に、有機絶縁層からの不純物を放出するための領域(不純物除去領域)が設けられている。各不純物除去領域は、有機絶縁層に形成された有底孔と、その上層である無機絶縁層に形成された貫通孔とから構成される孔構造部を含む。本明細書では、このように有機絶縁層および無機絶縁層に亘って形成された孔構造部を「2層孔構造部」と呼ぶ。
【0024】
<不純物除去領域ER1>
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、2層孔構造部を含む不純物除去領域の一例を模式的に示す平面図および断面図である。ここでは、単一の不純物除去領域を示すが、典型的には複数の不純物除去領域が互いに離隔して設けられる。
【0025】
アクティブマトリクス基板100は、基板1と、基板1に支持された画素TFT(図示せず)と、画素TFTを構成する酸化物半導体層よりも上方に位置する有機絶縁層RLと、有機絶縁層RL上に位置する無機絶縁層ILとを備える。有機絶縁層RLは、ソース配線SLおよびゲート配線GLよりも上層に配置されていてもよい。ここでいう有機絶縁層RLは、別工程で形成された2以上の有機絶縁層を含んでいてもよい。無機絶縁層ILは、有機絶縁層RLの上面に接して配置されている。
【0026】
不純物除去領域ER1は、2層孔構造部HSを含む。2層孔構造部HSは、無機絶縁層ILに設けられた貫通孔h1と、有機絶縁層RLに設けられ、かつ、貫通孔h1の下方に位置する有底孔h2とを含む。有底孔h2は、有機絶縁層RLを貫通していない孔であり、有底孔h2の深さdは、有機絶縁層RLの厚さよりも小さい。また、基板1の法線方向から見たときに、貫通孔h1は、有底孔h2の外縁よりも内側に位置している。
【0027】
各2層孔構造部HSでは、矢印で示すように、有機絶縁層RLに含まれていた水分等の不純物を、有底孔h2の内表面s2から、無機絶縁層ILの貫通孔h1を介して外部に放出することが可能である。
【0028】
図示するように、無機絶縁層ILのうち貫通孔h1の内側面s1を含む端部は、有底孔h2の上方に庇のように張り出していてもよい。この場合、有底孔h2の内表面s2の全体は、無機絶縁層ILから露出し、無機絶縁層ILに直接接していなくてもよい。これにより、有底孔h2の内表面s2の全体を、不純物を放出し得る「不純物放出面」として機能させることができる。
【0029】
2層孔構造部HSの形成方法は特に限定しない。後述するように、例えば、有機絶縁層RLおよび無機絶縁層ILを堆積した後、所定の条件でこれらの層のエッチングすることによって、2層孔構造部HSを形成することができる。
【0030】
本実施形態における不純物除去領域ER1は、上述した2層孔構造部HSを有するので、例えば、無機絶縁層のみに貫通孔を設ける場合よりも、有機絶縁層RL内の不純物をより効率的に外部に放出できる。以下、図面を参照しながら、この理由を説明する。
【0031】
図28は、アクティブマトリクス基板における参考例の不純物除去構造900を示す断面図である。図2Aおよび図2Bと同様の構成要素には同じ参照符号を付している。不純物除去構造900では、無機絶縁層ILに、有機絶縁層RLの上面の一部91を露出する貫通孔h1が設けられている。有機絶縁層RLには、有底孔は形成されていない。不純物除去構造900では、矢印で示すように、有機絶縁層RL内の不純物は、有機絶縁層RLの上面の露出部分91から貫通孔h1を介して放出される。つまり、有機絶縁層RLの露出部分91が不純物放出面となる。不純物放出面の面積は、例えば貫通孔h1の面積と略同じである。
【0032】
これに対し、本実施形態では、無機絶縁層ILおよび有機絶縁層RLに亘る2層孔構造部HSが形成されている。2層孔構造部HSにおいて、有機絶縁層RLには、無機絶縁層ILの貫通孔h1よりもサイズの大きい有底孔h2が形成されている。このため、不純物放出面として機能し得る有機絶縁層RLの露出面積を拡大できる。さらに、図2Bに矢印で示すように、有機絶縁層RL内の不純物は、2層孔構造部HSの下方および側方から有底孔h2の内表面s2に移動しやすい。従って、有機絶縁層RLが厚い場合でも、有機絶縁層RLに含まれる不純物をより容易に放出させることが可能である。このように、本実施形態によると、参考例の不純物除去構造900よりも効率的に、かつ、広範囲から、有機絶縁層RLからの不純物の放出を促進できるので、不純物に起因する酸化物半導体TFTの特性変動がより効果的に抑制される。また、例えば表示領域DRに不純物除去領域ER1を設ける場合には、単位面積あたりの不純物除去領域ER1の数を少なくしたり、各不純物除去領域ER1のサイズを小さくしたりすることが可能となるので、画素開口率(透過率)を確保しつつ、酸化物半導体TFTの特性変動を抑制できる。
【0033】
なお、2層孔構造HSの構造は、図示する例に限定されない。例えば、有底孔h2の内表面s2の一部が、無機絶縁層ILに直接接していてもよい。その場合には、内表面s2のうち無機絶縁層ILに直接接していない(無機絶縁層ILから露出した)部分が不純物放出面として機能し得る。また、貫通孔h1および有底孔h2の平面形状および断面形状も図示する例に限定されない。図示する例では、貫通孔h1および有底孔h2の平面形状は円形であるが、楕円形でもよいし、矩形などの多角形でもよい。
【0034】
<不純物除去領域ER2>
図3Aおよび図3Bは、それぞれ、不純物除去領域の他の例を模式的に示す平面図および断面図である。
【0035】
不純物除去領域ER2は、無機絶縁層IL上に配置された透明導電層TLをさらに備える点で、図2Aおよび図2Bに示した不純物除去領域ER1と異なる。透明導電層TLには、有底孔h2の内表面s2を少なくとも部分的に露出する開口部htが形成されている。
【0036】
図示する例では、透明導電層TLは、貫通孔h1の内側面s1および有底孔h2の内表面s2を露出する開口部htを有する。内表面s2の少なくとも一部(この例では全部)は、透明導電層TLおよび無機絶縁層ILから露出している。これにより、図3Bに矢印で示すように、有機絶縁層RL内の不純物は、有底孔h2の内表面s2から、無機絶縁層ILおよび透明導電層TLに妨げられずに外部に放出され得る。
【0037】
透明導電層TLは、共通電極CEまたは画素電極PEであってもよい。あるいは、共通電極CEまたは画素電極PEと同層に形成された(つまり、同じ透明導電膜から形成された)他の配線、電極等であってもよい。
【0038】
開口部htの周縁は、無機絶縁層IL上に位置していてもよい。基板1の法線方向から見たとき、開口部htは、有底孔h2の外縁の内部に位置していることが好ましい。透明導電層TLが、例えば共通電極CEまたは画素電極PEである場合、基板1の法線方向から見たときの開口部htのサイズを有底孔h2よりも小さくすることで、共通電極CEまたは画素電極PEの面積を確保しつつ、不純物の除去効率を高めることができる。図示するように、開口部htの側壁stは、無機絶縁層ILの内側面s1と整合していてもよい。
【0039】
不純物除去領域ER2の形成方法は特に限定されない。例えば、無機絶縁層IL、有機絶縁層RLおよび透明導電膜をこの順で堆積し、透明導電膜に開口部htを形成した後で、貫通孔h1および有底孔h2を形成してもよい。または、2層孔構造部HSを形成した後で透明導電膜の堆積およびパターニングを行ってもよい。
【0040】
開口部htの位置やサイズは、図示する例に限定されない。開口部htは、基板1の法線方向から見たとき、無機絶縁層ILの貫通孔h1に少なくとも部分的に重なり、かつ、有底孔h2の内表面s2の少なくとも一部を露出するように配置されていればよい。
【0041】
<不純物除去領域ER3>
図4Aおよび図4Bは、それぞれ、不純物除去領域のさらに他の例を模式的に示す平面図および断面図である。
【0042】
不純物除去領域ER3は、有機絶縁層RLの有底孔h2内に、透明導電層TLと同層に形成された島状透明導電部Taが配置されている点で、図3Aおよび図3Bに示した不純物除去領域ER2と異なる。
【0043】
不純物除去領域ER3では、透明導電層TLは、無機絶縁層ILの上面の少なくとも一部と、貫通孔h1の内側面s1の少なくとも一部とに接している。2層孔構造部HSの有底孔h2内には、透明導電層TLと同層に(すなわち同じ透明導電膜から)形成された島状透明導電部Taが配置されている。島状透明導電部Taと透明導電層TLとは互いに離隔している。島状透明導電部Taは、例えば、有底孔h2の内表面s2の一部s21のみを覆い、他の部分s22を露出するように配置されている。
【0044】
不純物除去領域ER3では、有底孔h2の内表面s2の一部は、島状透明導電部Ta、透明導電層TLおよび無機絶縁層ILから露出し、不純物放出面として機能する。この例では、有底孔h2の内表面s2のうち島状透明導電部Taから露出した部分s22が不純物放出面となる。図4Bに矢印で示すように、有機絶縁層RL内の不純物は、有底孔h2の内表面s2の露出部分s22から、無機絶縁層IL、透明導電層TLおよび島状透明導電部Taに妨げられずに外部に放出され得る。
【0045】
不純物除去領域ER3の形成方法は特に限定されない。一例として、不純物除去領域ER3は、次のような方法で形成され得る。まず、2層孔構造部HSを形成し、次いで、2層孔構造部HSを覆う透明導電膜を形成する。透明導電膜を堆積するときに、有底孔h2の底部と無機絶縁層ILの上面との段差を利用して、透明導電膜のうち無機絶縁層IL上に位置する部分と、有底孔h2の内部に位置する部分(島状透明導電部Ta)とを互いに分離させてもよい。この方法によると、加工精度を考慮した設計を行わなくてもよいので、例えばフォトリソグラフィプロセスを用いて透明導電膜に開口部htを形成する場合よりも、開口部htのサイズを小さくできる。開口部htのサイズは、貫通孔h1よりも小さくてもよい。例えば、基板1の法線方向から見たとき、開口部htは、貫通孔h1の外縁よりも内側に位置してもよい。透明導電層TLが共通電極CEまたは画素電極PEである場合には、開口部htを小さくすることで、開口部htを設けることによる電極面積の低下を抑制できる。
【0046】
本実施形態のアクティブマトリクス基板100では、表示領域DRおよび/または非表示領域FRに、不純物除去領域ER1~ER3のいずれかが設けられ得る。例えば、アクティブマトリクス基板100のうち透明導電層TLが形成されていない領域に、少なくとも1つの不純物除去領域ER1が設けられ、かつ、透明導電層TLが形成されている領域に、少なくとも1つの不純物除去領域ER2または不純物除去領域ER3が設けられていてもよい。
【0047】
本明細書では、不純物除去領域ER1、ER2、ER3の構造を、それぞれ、「第1構造」、「第2構造」および「第3構造」と呼ぶ。また、不純物除去領域ER1~ER3を、「不純物除去領域ER」と総称して呼ぶことがある。さらに、表示領域DRに配置された不純物除去領域ERを「第1不純物除去領域ERd」、非表示領域FRに配置された不純物除去領域ERを「第2不純物除去領域ERf」と呼ぶ。第1不純物除去領域ERdおよび第2不純物除去領域ERfのそれぞれは、上述した第1構造~第3構造のいずれかを有し得る。
【0048】
(アクティブマトリクス基板100の詳細構造)
本実施形態のアクティブマトリクス基板のより具体的な構造を説明する。以下では、表示領域DRに不純物除去領域ER(つまり第1不純物除去領域ERd)が設けられたアクティブマトリクス基板100Aを例に説明する。
【0049】
図5は、アクティブマトリクス基板100Aにおける第1不純物除去領域ERdの配置を示す模式的な平面図である。
【0050】
図5に示すように、アクティブマトリクス基板100Aでは、表示領域DRに、複数の第1不純物除去領域ERdが互いに離隔して配置されている。各第1不純物除去領域ERdは、基板1の法線方向から見たとき、画素電極PE(不図示)に重ならない位置に配置されることが好ましい。例えば、各第1不純物除去領域ERdは、基板1の法線方向から見たとき、ゲート配線GLとソース配線SLとの交差部(ソース-ゲート交差部)に配置されていてもよい。各第1不純物除去領域ERdは、画素領域PIX毎に配置されていてもよいが、図示するように、複数の画素領域PIXごとに配置されていることが好ましい。これにより、第1不純物除去領域ERdの数を少なくできるので、表示特性への影響を低減できる。画素領域PIXの配列ピッチにもよるが、例えば、3以上の画素領域PIX(図示する例では24の画素領域PIX)に対して1つの第1不純物除去領域ERdが配置されていてもよい。
【0051】
アクティブマトリクス基板100AがFFSモードの表示装置に使用される場合、表示領域DRには、共通電極として機能する透明導電層が形成される。従って、第1不純物除去領域ERdは、上述した第2構造(図3Aおよび図3Bに示す不純物除去領域ER2)または第3構造(図4Aおよび図4Bに示す不純物除去領域ER3)を有し得る。
【0052】
アクティブマトリクス基板100Aの表示領域DRには、第1有機絶縁層11と、第1有機絶縁層11よりも上層に配置された第2有機絶縁層12とを含む有機絶縁層RLが設けられている。後述するように、第1不純物除去領域ERdは、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12の両方からの不純物の放出を促進するように構成されていることが好ましい。
【0053】
図6Aは、アクティブマトリクス基板100Aにおける1つの画素領域PIXを例示する平面図である。図6Aは、図5に示す領域Raに対応する。図6Bは、図6Aに示すVIb-VIb線に沿った断面図であり、画素TFT20のチャネル長方向の断面を示す。図6Cは、図6Aに示すVIc-VIc線に沿った断面図である。
【0054】
アクティブマトリクス基板100Aは、図6A図6Cに示すように、基板1と、基板1に支持された画素TFT20と、複数のソース配線SLと、複数のゲート配線GLと、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12を含む有機絶縁層RLと、画素電極PEとを備える。ここでは、各ゲート配線GLは、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2を含む重畳構造を有する。第1有機絶縁層11は、例えば、基板1の法線方向から見たとき、画素TFT20を構成する酸化物半導体層4の少なくとも一部に重なるように設けられている。画素電極PEの少なくとも一部は、第1有機絶縁層11上に位置している。有機絶縁層RLおよび画素電極PE上には、誘電体層17を介して共通電極CEが配置されている。また、一部のソース-ゲート交差部には、第1不純物除去領域ERdが設けられている。第1不純物除去領域ERdは、有機絶縁層RLおよび誘電体層17に形成された2層孔構造部HSを含む。
【0055】
基板1の法線方向から見たとき、各ソース配線SLは概ね列方向に延び、各ゲート配線GLは概ね行方向に延びている。各ゲート配線GLにおいて、上部ゲート配線GL2および下部ゲート配線GL1は、絶縁体を介して重なっている。上部ゲート配線GL2および下部ゲート配線GL1は、互いに電気的に接続されていてもよい。図示しないが、例えば非表示領域FRに、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2を電気的に接続する接続部が設けられていてもよい。この例では、上部ゲート配線GL2の幅は下部ゲート配線GL1の幅よりも小さく、基板1の法線方向から見たとき、上部ゲート配線GL2は、下部ゲート配線GL1の行方向に延びる2つの縁部よりも内側に位置している。なお、下部ゲート配線GL1、上部ゲート配線GL2の配置および形状は図示する例に限定されない。
【0056】
基板1上には、下部絶縁層として、第1下部絶縁層2と、その上に配置された第2下部絶縁層3とが形成されている。この例では、画素TFT20は、第2下部絶縁層3上に配置されている。
【0057】
画素TFT20は、各画素領域PIXに対応して設けられている。画素TFT20は、活性層として酸化物半導体層4を有する酸化物半導体TFTである。画素TFT20の構造は特に限定しない。画素TFT20は、トップゲート型を有してもよいし、ボトムゲート構造を有してもよい。この例では、画素TFT20は、酸化物半導体層4の下方(基板1側)および上方(基板1と反対側)にゲートを備えたダブルゲート構造を有する。具体的には、画素TFT20は、第2下部絶縁層3上に位置する下部ゲート電極GE1と、酸化物半導体層4と、下部ゲート電極GE1および酸化物半導体層4の間に位置する下部ゲート絶縁層5と、酸化物半導体層4の上方に位置する上部ゲート電極GE2と、上部ゲート電極GE2および酸化物半導体層4の間に位置する上部ゲート絶縁層7と、ソース電極SEとを備える。
【0058】
酸化物半導体層4は、基板1の法線方向から見たとき、チャネル領域4cと、チャネル領域4cの両側に位置するソースコンタクト領域4sおよびドレインコンタクト領域4dとを含む。酸化物半導体層4のソースコンタクト領域4sおよびドレインコンタクト領域4dは、チャネル領域4cよりも低抵抗化されている。ソースコンタクト領域4sはソース電極SEに電気的に接続され、ドレインコンタクト領域4dは対応する画素電極PEに電気的に接続されている。
【0059】
下部ゲート電極GE1は、酸化物半導体層4の基板1側に位置し、下部ゲート絶縁層5を介して酸化物半導体層4の一部に重なっている。上部ゲート電極GE2は、酸化物半導体層4の基板1と反対側に位置し、上部ゲート絶縁層7を介して酸化物半導体層4の一部に重なっている。この例では、基板1の法線方向から見たとき、酸化物半導体層4のうち上部ゲート電極GE2に重なる領域が、チャネル領域4cとなる。下部ゲート電極GE1は、酸化物半導体層4のチャネル領域4cに少なくとも部分的に重なっている。
【0060】
下部ゲート電極GE1および上部ゲート電極GE2は、それぞれ、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2に電気的に接続されている。下部ゲート電極GE1と下部ゲート配線GL1とは同じ導電膜を用いて一体的に形成され、上部ゲート電極GE2と上部ゲート配線GL2とは同じ導電膜を用いて一体的に形成されていてもよい。ここでは、下部ゲート配線GL1の一部(具体的には酸化物半導体層4に対向する部分)が下部ゲート電極GE1として機能し、上部ゲート配線GL2の一部(具体的には酸化物半導体層4に対向する部分)が上部ゲート電極GE2として機能する。
【0061】
図6Aに示す例では、各画素TFT20の酸化物半導体層4は、基板1の法線方向から見たとき、対応する画素領域PIXから、ゲート配線GL(ここでは下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2)を横切って、当該画素領域PIXに列方向に隣接する他の画素領域まで延びている。基板1の法線方向から見たとき、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2のうち酸化物半導体層4と交差する部分は、それぞれ、画素TFT20の下部ゲート電極GE1および上部ゲート電極GE2として機能し得る。各ゲート配線GLの下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2は、互いに電気的に接続されており、これらの配線には同じゲート信号が供給されている。
【0062】
酸化物半導体層4、上部ゲート絶縁層7および上部ゲート電極GE2は、第1層間絶縁層9で覆われている。第1層間絶縁層9は、酸化物半導体層4の上面の一部に接していてもよい。
【0063】
ソース配線SLおよび各画素TFT20のソース電極SEは、第1層間絶縁層9上に配置されている。第1層間絶縁層9および上部ゲート絶縁層7には、酸化物半導体層4のソースコンタクト領域4sの少なくとも一部が露出するようにコンタクトホール(以下では「ソースコンタクトホール」と呼ぶ)CHsが形成されている。ソース電極SEは、第1層間絶縁層9上およびソースコンタクトホールCHs内に形成されており、ソースコンタクトホールCHsにおいて、ソースコンタクト領域4sに電気的に接続されている。ソース電極SEは、対応するソース配線SLと同じ導電膜を用いて一体的に形成されていてもよい。ここでは、ソース配線SLの一部(具体的にはソースコンタクト領域4sに接続されている部分)がソース電極SEとして機能する。
【0064】
画素TFT20を覆うように、第2層間絶縁層10が設けられている。第2層間絶縁層10は、第1層間絶縁層9と第1有機絶縁層11との間に位置し、ソース電極SEおよびソース配線SLを覆っている。第2層間絶縁層10、第1層間絶縁層9および上部ゲート絶縁層7には、酸化物半導体層4のドレインコンタクト領域4dの少なくとも一部が露出するように第1画素コンタクトホールCHp1が形成されている。
【0065】
第1有機絶縁層11は、第2層間絶縁層10上に形成されている。第1有機絶縁層11は、例えば感光性樹脂材料から形成されている。第1有機絶縁層11には、第2画素コンタクトホールCHp2が形成されている。第2画素コンタクトホールCHp2は、基板1の法線方向から見たときに、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2の少なくとも一方(ここでは両方)に少なくとも部分的に重なるように形成されている。図6Aに示すように、基板1の法線方向から見たとき、第2画素コンタクトホールCHp2の底面bcは、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2の内部に位置してもよい。
【0066】
画素電極PEは、第1有機絶縁層11上に位置する部分を含む。本実施形態では、画素電極PEは、それぞれが透明導電材料から形成された第1電極層(下層電極層)PL1、第2電極層(中間電極層)PL2および第3電極層(上層電極層)PL3を含む。第1電極層PL1、第2電極層PL2および第3電極層は、基板1側からこの順に配置されている。第1電極層PL1、第2電極層PL2および第3電極層PL3は、互いに電気的に接続されている。
【0067】
第1電極層PL1は、第2層間絶縁層10上および第1画素コンタクトホールCHp1内に形成されている。第1電極層PL1は、第1画素コンタクトホールCHp1内において酸化物半導体層4のドレインコンタクト領域4dに接している部分(以下では「第1部分」と呼ぶ)p1と、第2画素コンタクトホールCHp2内に位置している部分(以下では「第2部分」と呼ぶ)p2とを含んでいる。第1電極層PL1は、酸化物半導体層4のドレインコンタクト領域4dと第2電極層PL2とを電気的に接続する接続電極として機能する。
【0068】
第2電極層PL2は、第1有機絶縁層11上および第2画素コンタクトホールCHp2内に形成されている。第2電極層PL2は、第2画素コンタクトホールCHp2内において第1電極層PL1の第2部分p2に接している部分(以下では「第3部分」と呼ぶ)p3と、第1有機絶縁層11上に位置している部分(以下では「第4部分」と呼ぶ)p4とを含んでいる。第2電極層PL2は、第1電極層PL1と第3電極層PL3とを電気的に接続する接続電極として機能する。
【0069】
第1有機絶縁層11の上方には、第2画素コンタクトホールCHp2を埋めるように第2有機絶縁層12が配置されている。つまり、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12によって、平坦化層として機能する有機絶縁層RLが構成されている。第2有機絶縁層12は、第2電極層PL2の第3部分p3を覆っている。第2有機絶縁層12は、例えば感光性樹脂材料から形成されている。
【0070】
図6Aおよび図6Cに示すように、第2有機絶縁層12は、同じ行にある複数の画素領域PIXの第2画素コンタクトホールCHp2を埋めるように連続して形成されていてもよい。ここでは、基板1の法線方向から見たとき、第2有機絶縁層12は、各ゲート配線GLを構成する下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2を覆うように行方向に延びている。図6Cに示す断面では、第2有機絶縁層12は、各第2画素コンタクトホールCHp2の側面scおよび底面bcと、第1有機絶縁層11の上面(第2画素コンタクトホールCHp2の周辺に位置する部分)とを覆うように配置されている。
【0071】
第2有機絶縁層12は、第1有機絶縁層11と直接接する部分を含む。第2有機絶縁層12は、第2画素コンタクトホールCHp2の側面scにおいて、第1有機絶縁層11の一部に直接接していることが好ましい。例えば、図示するように、第2画素コンタクトホールCHp2の側面scにおいて、第1有機絶縁層11の一部は第2電極層PL2に覆われ、他の一部は第2有機絶縁層12に接していてもよい。
【0072】
第3電極層PL3は、第1有機絶縁層11上、第2電極層PL2上および第2有機絶縁層12上に形成されている。第3電極層PL3は、第2電極層PL2の第4部分p4に接している部分(以下では「第5部分」と呼ぶ)p5と、第2有機絶縁層12上に位置する部分(以下では「第6部分」と呼ぶ)p6とを含んでいる。
【0073】
第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12を含む有機絶縁層RL上には、画素電極PEを覆うように、誘電体層17が設けられている。誘電体層17上には、画素電極PEに対向する共通電極CEが設けられている。共通電極CEには、画素領域PIXごとに少なくとも1つのスリット18pが形成されている。
【0074】
第1不純物除去領域ERdは、図6Cに示すように、有機絶縁層RLおよび誘電体層17に形成された2層孔構造部HSと、共通電極CEと、共通電極CEと同層に形成された島状透明導電部Taとを含む。2層孔構造部HSは、誘電体層17に形成された貫通孔h1と、有機絶縁層RLに形成された有底孔h2とを含む。共通電極CEは、誘電体層17上に位置し、2層孔構造部HSの少なくとも一部を露出する開口部htを有する。島状透明導電部Taは、有底孔h2内に位置する。島状透明導電部Taは、共通電極CEから離隔して配置され、共通電極CEとは電気的に分離されている。この例では、島状透明導電部Taは、有底孔h2の内表面s2の一部(ここでは底面)に接している。このように、図6Cに示す第1不純物除去領域ERdは第3構造、つまり、図4Aおよび図4Bに示した不純物除去領域ER3と同様の構造を有する。誘電体層17および共通電極CEは、それぞれ、不純物除去領域ER3における無機絶縁層ILおよび透明導電層TLに相当する。
【0075】
有機絶縁層RLは、第1有機絶縁層11と第2有機絶縁層12とが直接接する界面部を有していることが好ましい。界面部の位置は特に限定しない。前述のように、第2画素コンタクトホールCHp2の側壁の一部で、第1有機絶縁層11と第2有機絶縁層12とが直接接していてもよい。有機絶縁層RLの有底孔h2は、第1有機絶縁層11と第2有機絶縁層12とが直接接する界面部を含む領域に形成されていてもよい。そうすると、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12は、それぞれ、有底孔h2内に露出した部分11a、12aを含む。このような構成により、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12の両方に含まれる不純物を、1つの2層孔構造部HSを介してより効率的に放出できる。
【0076】
なお、有底孔h2は、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12のいずれか一方のみに設けられてもよい。この場合には、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12の一方のみが、有底孔h2内に露出する。このような構成でも、他方の有機絶縁層内の不純物は、上記界面部を通って有底孔h2まで移動できるので、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12の両方からの不純物を、有底孔h2から効率よく排出できる。
【0077】
第1不純物除去領域ERdにおける有底孔h2の外縁のサイズは特に限定しない。一例として、図6Aに示すように、有底孔h2の行方向の幅w1は、ソース配線SLの幅よりも大きく、ソース配線SLの幅の3倍以下であってもよい。有底孔h2の列方向の幅w2は、ゲート配線GL(ここでは下部ゲート配線GL1)の幅の1/2以上1倍以下であってもよい。これにより、表示特性への影響を抑えつつ、有底孔h2の内表面s2の面積(不純物放出面の面積)を確保できる。
【0078】
図6Cに示すように、有底孔h2の深さ(有底孔h2の内表面s2の最上部から、有底孔h2の内表面s2のうち最も基板1側に位置する点までの、基板1の法線方向に沿った距離)dは、有機絶縁層RLの厚さ(例えば、第1不純物除去領域ERdが設けられていないソース-ゲート交差部における有機絶縁層RLの厚さ)Hの1/4以上であってもよい。これにより、有底孔h2の内表面s2の面積を増加させることができる。この結果、不純物放出面として機能する有機絶縁層RLの露出表面の面積が増加するので、不純物の除去効率をさらに高めることができる。また、有機絶縁層RL内の比較的深い領域に位置する不純物の放出も容易になる。第1不純物除去領域ERdが第3構造を有する場合には、有底孔h2の深さdは、例えば透明導電層TLの厚さの3倍以上になるように設定されることが好ましい。これにより、有底孔h2の内表面s2の一部を、より確実に島状透明導電部Taから露出させることができる。
【0079】
一方、有底孔h2の深さdが大きすぎると、有機絶縁層RLの表面凹凸により、液晶層(図示せず)の配向が乱れ、表示コントラストを低下させるおそれがある。有底孔h2の深さdが、例えば、有機絶縁層RLの厚さHの3/4以下であれば、液晶表示のために設けられる配向膜によって有底孔h2を埋めることで、配向膜のうち有底孔h2の上方に位置する部分の表面形状を平坦に近づけることができる(図16参照)。この結果、有底孔h2による表面凹凸に起因する表示コントラストの低下をより効果的に抑制できる。一例として、有底孔h2の深さdは、200nm以上800nm以下でもよい。
【0080】
貫通孔h1のサイズも特に限定されない。基板1の法線方向から見たとき、貫通孔h1の外縁は、有底孔h2の外縁よりも内側に位置していればよい。貫通孔h1の外縁の行方向および列方向の幅は、有底孔h2の行方向および列方向の幅w1、w2の1/2以上であってもよい。これにより、有底孔h2から放出された不純物は、無機絶縁層ILで妨げられ難いので、より効率的に外部に放出され得る。
【0081】
基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17のうち有底孔h2の外縁の内側に位置する部分(庇部分)の幅v(図6C)は、例えば200nm以上800nm以下であってもよい。幅vが200nm以上であれば、庇部分上にも共通電極CEを配置することで、共通電極CEの面積の低減を抑制できる。幅vが800nm以下であれば、有底孔h2から放出された不純物は、無機絶縁層ILで妨げられ難いので、より効率的に外部に放出され得る。
【0082】
<効果>
本実施形態におけるアクティブマトリクス基板100Aは、表示領域DR内に複数の第1不純物除去領域ERdを備えているので、製造プロセス中に有機絶縁層RLに侵入した水分などの不純物を、第1不純物除去領域ERdを介して、アクティブマトリクス基板100Aの外部に効率的に放出させることができる。従って、不純物が有機絶縁層RLから画素TFT20の酸化物半導体層4に入り込むことに起因する画素TFT20の特性変動を抑制できる。また、第1不純物除去領域ERdは、表示領域DRのうち表示に寄与せず、かつ、遮光された領域であるソース-ゲート交差部に配置されるので、第1不純物除去領域ERdによる表示特性の低下を抑制できる。
【0083】
アクティブマトリクス基板100Aは、有機絶縁層RLとして、互いに別工程で設けられた2層の有機絶縁層(ここでは第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12)を備える。本明細書では、このように、画素TFTの上方に、互いに別工程で設けられた2層の有機絶縁層を備える構造を「有機絶縁層積層構造」と呼ぶ。有機絶縁層積層構造では、上層の有機絶縁層によって、下層の有機絶縁層に設けられたコンタクトホール等の段差を平坦化できるので、段差に起因する液晶分子の配向乱れの発生が抑制される。より具体的には、アクティブマトリクス基板100Aでは、第2有機絶縁層12によって、第1有機絶縁層11に形成された第2画素コンタクトホールCHp2による段差が平坦化され、第2画素コンタクトホールCHp2に起因する液晶分子の配向乱れの発生が抑制される。そのため、第2画素コンタクトホールCHp2およびその近傍を遮光する必要がなく、第2画素コンタクトホールCHp2上およびその近傍を開口部(表示に寄与する領域)として用いることができるので、透過率を向上させることができる。
【0084】
本実施形態の不純物除去領域ERは、有機絶縁層積層構造を有するアクティブマトリクス基板に好適に適用され得る。有機絶縁層を積層することにより、不純物を含み得る有機絶縁体層の体積(合計体積)が増加するが、本実施形態の2層孔構造部HSを設けることで、積層した有機絶縁層のそれぞれからの不純物の放出を促進できる。例えば、2層孔構造部HSの有底孔h2を、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12の両方を露出するように配置することで、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12の両方からの不純物の放出をより効果的に促進できる。
【0085】
アクティブマトリクス基板100Aは、画素TFT20のドレイン電極として、金属電極の代わりに、透明導電材料から形成された透明電極層(ここでは第1電極層PL1)を用いている。本明細書では、このように、画素TFTと画素電極とを透明電極層で接続する構造を、「透明コンタクト構造」と呼ぶ。透明コンタクト構造を採用することで、透過率(画素開口率)を高めることができる。より具体的には、アクティブマトリクス基板100Aでは、画素電極PEに含まれる第1電極層PL1、第2電極層PL2および第3電極層PL3は、いずれも透明導電材料から形成されているので、画素電極PEがこれらの電極層を含むことによる透過率の低下は実質的に生じない。また、酸化物半導体層4のドレインコンタクト領域4dに接する部分(第1部分)p1を含む第1電極層PL1が透明導電材料から形成されていることにより、第1画素コンタクトホールCHp1上(つまりドレインコンタクト領域4d周辺)も開口部として利用することができるので、透過率をさらに向上できる。さらに、本実施形態では、第3電極層PL3が、第2有機絶縁層12上に位置する部分(第6部分)p6を含んでいるので、画素電極PEと共通電極CEとの間の距離が一定に保たれる領域が広くなり、十分な強さのフリンジ電界が生成される領域が広くなるので、このことによっても透過率が向上する。
【0086】
本実施形態の不純物除去領域ERは、透明コンタクト構造を有するアクティブマトリクス基板に好適に適用され得る。本発明者が別途検討したところ、透明コンタクト構造を採用すると、有機絶縁層に含まれていた不純物が、ITO層等の透明電極層(ここでは第1電極層PL1)を経路として画素TFTの酸化物半導体層に到達しやすくなる可能性があることを見出した。このようなアクティブマトリクス基板に、本実施形態の2層孔構造部HSを設けると、有機絶縁層RLに含まれていた不純物の外部への放出が促進されるので、不純物が透明電極層を介して酸化物半導体層に侵入することをより効果的に抑制できる。
【0087】
アクティブマトリクス基板100Aの構成は、図示した構成に限定されない。図示する例では、例えば各第1不純物除去領域ERdは、第3構造(図4Aおよび図4B)を有するが、代わりに第2構造(図3Aおよび図3B)を有してもよい(図21B参照)。また、第1不純物除去領域ERdの位置および個数も図示する例に限定されない。
【0088】
本実施形態では、有機絶縁層RLは第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12を含むが、有機絶縁層RLは第1有機絶縁層11のみから構成されていてもよい。つまり、第2画素コンタクトホールCHp2が有機絶縁で埋められていなくてもよい。あるいは、後述するように、共通電極CEよりも上方から、第2画素コンタクトホールCHp2を埋める他の有機絶縁層が設けられてもよい。
【0089】
画素電極PEおよび共通電極CEの配置も図示する例に限定されない。図7に例示するように、基板1の法線方向から見たとき、画素電極PEにおける第2電極層PL2および第3電極層PL3は、対応するゲート配線GLから、そのゲート配線GLとは列方向に隣接する他のゲート配線GL’の近傍まで延びていてもよい。第2電極層PL2および第3電極層PL3における他のゲート配線GL’側の端(つまり第3部分p3と反対側の端)は、他のゲート配線GL’上の第2有機絶縁層12’に部分的に重なっていてもよい。このような構成を採用することにより、第2電極層PL2のゲート配線GL’側の端を第2有機絶縁層12’で覆うことができるので、第2電極層PL2のゲート配線GL’側の端に起因する段差の発生が抑制され、段差による光漏れを抑制することができる。
【0090】
また、上記では、画素電極PEを3層の電極層PL1~PL3で構成しているが、第3電極層PL3を有していなくてもよい。さらに、透明な第1電極層PL1に代わって、金属材料から形成された(例えばソース電極SEと同層に形成された)ドレイン電極を設けてもよい。ドレイン電極の形成によって、コンタクト抵抗を低くできるが、画素開口率は低下し得る。このため、特に高精細のアクティブマトリクス基板においては、透明な第1電極層PL1を用いることが好ましい。
【0091】
さらに、各画素TFT20における下部ゲート電極GE1および上部ゲート電極GE2には互いに異なるゲート信号が供給されてもよい。あるいは、上部ゲート電極GE2のみがゲート電極として機能し、下部ゲート電極GE1は、電気的にフローティング状態であるか、固定電位(例えば共通電位)に固定されていてもよい。
【0092】
上記では、ゲート配線GLとして、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2を備えているが、いずれか一方のみでもよい。ゲート配線として上部ゲート配線GL2のみを備えている場合、画素TFTはトップゲート構造を有してもよい。ゲート配線として下部ゲート配線GL1のみを備えている場合、画素TFTはボトムゲート構造を有してもよい。各画素TFT20の酸化物半導体層4の位置および形状も図示する例に限定されない。また、この例では、ソース配線SLは、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2よりも上層であるが、ソース配線SLが、下部ゲート配線GL1よりも下層に設けられていてもよい。
【0093】
図22Aおよび図22Bに示すように、上述した第1不純物除去領域ERdに代わって、共通電極CEの開口部htおよび誘電体層17の貫通孔h1を少なくとも有する不純物除去領域800dを備えていてもよい。開口部htおよび貫通孔h1は、有機絶縁層RLの一部を露出するように配置されている。不純物除去領域800dにおいて、有機絶縁層RLには有底孔h2が形成されていなくてもよい。基板1の法線方向から見たとき、開口部htおよび貫通孔h1の側面は互いに整合していてもよいし(図22A)、開口部htが貫通孔h1の外縁よりも内側に位置してもよい(図22B)。図示していないが、貫通孔h1は開口部htの外縁よりも内側に位置してもよい。
【0094】
<回路TFT>
アクティブマトリクス基板100Aは、非表示領域FRに、ゲートドライバGD、デマルチプレクサ回路DMXなどの周辺回路をさらに備えてもよい。これらの周辺回路は、複数の回路TFTを含む。各回路TFTは、画素TFT20の酸化物半導体層4と同層の酸化物半導体層を活性層とする酸化物半導体TFTでもよい。回路TFTは、トップゲート構造、ボトムゲート構造またはダブルゲート構造を有する酸化物半導体TFTであってもよい。あるいは、結晶質シリコン半導体層または非晶質シリコン層を活性層とするシリコン半導体TFTであってもよい。
【0095】
以下、結晶質シリコン半導体層を活性層とする結晶質シリコンTFTを回路TFTとして有する構成を説明する。
【0096】
図8は、非表示領域FRにおける周辺回路の一部および表示領域DRの画素領域PIXの一部を示す拡大断面図である。画素領域の構成は、図6A図6Cを参照して前述した構成と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
周辺回路は、少なくとも1つの回路TFT30を含む。回路TFT30は、例えばトップゲート構造を有する結晶質シリコンTFTである。
【0098】
回路TFT30は、基板1上に位置する遮光層31と、チャネル領域33cを含む結晶質シリコン半導体層33と、ゲート電極35と、ソース電極およびドレイン電極36とを有する。遮光層31と結晶質シリコン半導体層33との間には、下部ゲート絶縁層として第1下部絶縁層2が延設されている。結晶質シリコン半導体層33とゲート電極35との間には、下部ゲート絶縁層として第2下部絶縁層3が延設されている。基板1の法線方向から見たとき、遮光層31およびゲート電極35は、それぞれ、結晶質シリコン半導体層33のチャネル領域33cと少なくとも部分的に重なるように配置されている。遮光層31は、例えば電気的にフローティング状態であってもよい。なお、遮光層31とゲート電極35とを電気的に接続することにより、遮光層31を下部ゲートとして機能させてもよい(ダブルゲート構造)。
【0099】
ゲート電極35は、下部ゲート配線GL1および画素TFT20の下部ゲート電極GE1と同層に形成されている。「同層に形成されている」とは、同じ導電膜から形成されていることを意味する。ゲート電極35の上方には、画素TFT20の下部ゲート絶縁層5および上部ゲート絶縁層7が延設されており、さらにその上方に第1層間絶縁層9が延設されている。
【0100】
ソース電極およびドレイン電極36は、第1層間絶縁層9上に配置されている。ここでは、ソース電極およびドレイン電極36は、ソース配線SLおよび画素TFT20のソース電極SEと同層に形成されている。第2下部絶縁層3、下部ゲート絶縁層5、上部ゲート絶縁層7および第1層間絶縁層9には、結晶質シリコン半導体層33のうちチャネル領域33cの両側に位置する部分をそれぞれ露出する回路コンタクトホールが設けられている。ソース電極およびドレイン電極36は、それぞれ、回路コンタクトホール内で、結晶質シリコン半導体層33に電気的に接続されている。ソース電極およびドレイン電極36は、これらの電極と同層の配線、または、下部ゲート電極GE1と同層の配線38に電気的に接続されていてもよい。
【0101】
回路TFT30は、第2層間絶縁層10および第1有機絶縁層11で覆われている。第1有機絶縁層11上に誘電体層17が配置されていてもよい。
【0102】
(変形例1:アクティブマトリクス基板100B)
図9は、変形例1のアクティブマトリクス基板100Bにおける第2不純物除去領域ERfの配置を示す模式的な平面図である。変形例1のアクティブマトリクス基板は、非表示領域FRに第2不純物除去領域ERfが設けられている点で、前述したアクティブマトリクス基板100Aと異なる。
【0103】
図9に示すように、アクティブマトリクス基板100Bでは、非表示領域FRに複数の第2不純物除去領域ERfが互いに離隔して配置されている。各第2不純物除去領域ERfは、表示領域DRに近接して設けられていることが好ましい。基板1の法線方向から見たとき、複数の第2不純物除去領域ERfは、表示領域DRと非表示領域FRの境界に沿って、非表示領域FRに配置されている。基板1の法線方向から見たとき、複数の第2不純物除去領域ERfは、表示領域DRを包囲するように配置されていてもよい。例えば、列方向における両端(上端および下端)の画素行の外側、および、行方向における両側端(右端および左端)に、それぞれ、複数の第2不純物除去領域ERfが配置されていてもよい。これにより、表示領域DR内の画素TFT20の酸化物半導体層4に、有機絶縁層RLから放出された不純物が入り込むことをより効果的に抑制できる。
【0104】
図示するように、各第2不純物除去領域ERfは、ゲートドライバGDまたはデマルチプレクサ回路DMXなどの周辺回路と表示領域DRとの間に配置されていてもよい。本明細書では、非表示領域FRのうち、表示領域DRとデマルチプレクサ回路DMXとの間に位置する領域FR1を「第1非表示領域」、表示領域DRとデマルチプレクサ回路DMXとの間に位置する領域FR2を「第2非表示領域」と呼ぶ。この例では、第2不純物除去領域ERfは、基板1の法線方向から見たとき、第1非表示領域FR1に配置された複数の第2不純物除去領域ERf1と、第2非表示領域FR2に配置された複数の第2不純物除去領域ERf2とを含む。
【0105】
複数の第2不純物除去領域ERf1は、例えば、列方向における一端の画素行(最もデマルチプレクサ回路DMX側に位置する画素行)の外側に、行方向に沿って互いに離隔して配列されていてもよい。各第2不純物除去領域ERf1は、隣接する2つのソース配線SLの間に配置されていてもよい。
【0106】
一方、複数の第2不純物除去領域ERf2は、行方向における一側端または両側端の画素列(最もゲートドライバGD側に位置する画素列)の外側に、列方向に沿って互いに離隔して配列されていてもよい。各第2不純物除去領域ERf2は、隣接する2つのゲート配線GLの間に配置されていてもよい。基板1の法線方向から見たとき、ゲートドライバGDと表示領域DRとの間に、共通電極CEに信号を供給する共通配線CLが形成されている場合には、各第2不純物除去領域ERf2は、共通配線CLと表示領域DRとの間であって、共通電極CEが延設されている領域に配置されていてもよい。
【0107】
なお、第2不純物除去領域ERf1、第2不純物除去領域ERf2の位置や個数は図示する例に限定されない。第2不純物除去領域ERf1は、2以上のソース配線SLごとに配置されてもよい。同様に、第2不純物除去領域ERf2は、2以上のゲート配線GLごとに配置されてもよい。さらに、第2不純物除去領域ERf1および第2不純物除去領域ERf2の一方のみが設けられていてもよい。また、この例では、基板1の法線方向から見たとき、ソース配線SLまたはゲート配線GLに重ならない位置に第2不純物除去領域ERf1、ERf2が配置されているが、第2不純物除去領域ERf1、ERf2の一部または全体(有底孔h2の一部または全体)がソース配線SLまたはゲート配線GLに重なっても構わない。
【0108】
図10Aは、アクティブマトリクス基板100Bの列方向における一端(上端)の画素行に位置する1つの画素領域PIXと、第1非表示領域FR1の一部とを示す。図10Aは、図9に示す領域Rbに対応する。図10B図10Dは、それぞれ、図10Aに示すXb-Xb線、Xc-Xc線およびXd-Xd線に沿った断面図である。図11Aは、アクティブマトリクス基板100Bの行方向における一側端(左端)の画素列に位置する1つの画素領域PIXと、第2非表示領域FR2の一部とを示す。図11Aは、図9に示す領域Rcに対応する。図11Bは、図11Aに示すXIb-XIb線に沿った断面図である。
【0109】
アクティブマトリクス基板100Bにおける各画素領域PIXの構造は、第1不純物除去領域ERdが配置されていない点以外は、前述したアクティブマトリクス基板100Aと同様である。
【0110】
図10Aおよび図10Bに示すように、アクティブマトリクス基板100Bの第1非表示領域FR1では、隣接する2つのソース配線SLの間に第2不純物除去領域ERf1が配置されている。
【0111】
この例では、第1非表示領域FR1は、共通電極CEの端部18eよりもデマルチプレクサ回路DMX側に位置している。つまり、共通電極CEは、第1非表示領域FR1まで延設されていない。このため、第2不純物除去領域ERf1は、第1構造(図2Aおよび図2Bに示す不純物除去領域ER1と同様の構造)を有する。誘電体層17は、不純物除去領域ER1における無機絶縁層ILに相当する。
【0112】
図11Aおよび図11Bに示すように、第2非表示領域FR2には、隣接する2つのゲート配線GLの間に第2不純物除去領域ERf2が配置されている。この例では、表示領域DRとゲートドライバGDとの間を、共通配線CLが列方向に延びている。共通配線CLは、例えばソース配線SL、上部ゲート配線GL2または下部ゲート配線GL1と同層に形成された配線である。共通電極CEは、表示領域DRから共通配線CL上まで延設され、共通配線CL上またはその近傍に位置する接続部で、共通配線CLに電気的に接続されている。各第2不純物除去領域ERf2は、第2非表示領域FR2のうち共通電極CEが延設された領域内に配置されている。
【0113】
図示する例では、各第2不純物除去領域ERf2は、第3構造(図4Aおよび図4B)を有している。誘電体層17および共通電極CEは、それぞれ、図4Aおよび図4Bに示す不純物除去領域ER3における無機絶縁層ILおよび透明導電層TLに相当する。つまり、2層孔構造部HS上において、共通電極CEには開口部htが設けられている。開口部ht内には、共通電極CEと同層に形成された島状透明導電部Taが配置されている。島状透明導電部Taは、有底孔h2の内表面s2の一部に接している。なお、各第2不純物除去領域ERf2は、第2構造(図3Aおよび図3B)を有していてもよい。
【0114】
アクティブマトリクス基板100Bでは、第1非表示領域FR1および第2非表示領域FR2には第2有機絶縁層12が形成されていない。このため、各第2不純物除去領域ERf1、ERf2において、2層孔構造部HSを構成する有底孔h2は第1有機絶縁層11のみに設けられている。第1有機絶縁層11は有底孔h2内に露出する部分を含むが、第2有機絶縁層12は有底孔h2内には露出していない。しかしながら、図10Bおよび図10Cから分かるように、第2有機絶縁層12の一部は第1有機絶縁層11に直接接しているので、第2有機絶縁層12内の不純物は、第1有機絶縁層11との界面を通って、いずれかの第2不純物除去領域ERf1、ERf2の2層構造部HSまで移動し、外部に放出され得る。
【0115】
図示する例では、基板1の法線方向から見たとき、各第2不純物除去領域ERf1、ERf2における2層孔構造部HSの有底孔h2の外縁は、概ね矩形であり、貫通孔h1の外縁は、有底孔h2よりも一回り小さい矩形である。なお、有底孔h2および貫通孔h1の形状はこれに限定されず、円形や楕円形であってもよい。第2不純物除去領域ERf1、ERf2における貫通孔h1および有底孔h2のサイズは、特に限定されず、第2不純物除去領域ERf1、ERf2を形成する領域のサイズに応じて適宜選択され得る。有底孔h2の深さd、貫通孔h1、有底孔h2および開口部htのサイズの大小関係、誘電体層17(無機絶縁層IL)の庇部分の幅v等は、上記のアクティブマトリクス基板100Aと同様であってもよい。
【0116】
さらに、図18に例示するように、第1非表示領域FR1には、基板1の法線方向から見たとき、複数のソース配線SLを横切るように配置された2層孔構造部HSが設けられていてもよい。同様に、第2非表示領域FR2には、複数のゲート配線GLを横切るように配置された2層孔構造部HSが設けられていてもよい。これにより、不純物放出面の表面積を増加させることができるので、さらに効率的に不純物を外部に放出できる。
【0117】
図23に示すように、上述した第2不純物除去領域ERf1に代わって、誘電体層17の貫通孔h1を少なくとも有する不純物除去領域800f1を備えていてもよい。貫通孔h1は、有機絶縁層RLの一部を露出するように設けられている。不純物除去領域800f1において、有機絶縁層RLには有底孔h2が形成されていなくてもよい。同様に、図24Aおよび図24Bに示すように、上述した第2不純物除去領域ERf2に代わって、共通電極CEの開口部htおよび誘電体層17の貫通孔h1を少なくとも有する不純物除去領域800f2を備えていてもよい。開口部htおよび貫通孔h1は、有機絶縁層RLの一部を露出するように配置されている。不純物除去領域800f2において、有機絶縁層RLには有底孔h2が形成されていなくてもよい。基板1の法線方向から見たとき、開口部htおよび貫通孔h1の側面は互いに整合していてもよいし(図24A)、開口部htが貫通孔h1の外縁よりも内側に位置してもよい(図24B)。図示していないが、貫通孔h1は開口部htの外縁よりも内側に位置してもよい。また、不純物除去領域800f1、800f2の貫通孔h1は、図18に例示したように、複数のソース配線SLまたはゲート配線GLを横切るように配置されていてもよい。
【0118】
(変形例2:アクティブマトリクス基板100C)
図12は、変形例2のアクティブマトリクス基板100Cにおける不純物除去領域ERの配置を示す模式的な平面図である。変形例2のアクティブマトリクス基板は、表示領域DRおよび非表示領域FRの両方に不純物除去領域ERが配置されている点で、前述のアクティブマトリクス基板100A、100Bと異なる。
【0119】
図12に示すように、アクティブマトリクス基板100Cでは、表示領域DRに複数の第1不純物除去領域ERdが設けられ、かつ、非表示領域FRに複数の第2不純物除去領域ERf1、ERf2が設けられている。各第1不純物除去領域ERdの構造および配置は、アクティブマトリクス基板100Aと同様であってもよい。また、各第2不純物除去領域ERf1、ERf2の構造や配置は、アクティブマトリクス基板100Bと同様であってもよい。
【0120】
本変形例によると、より多くの2層孔構造部HSを配置できるので、さらに効率よく有機絶縁層RLから外部に不純物を放出できる。また、非表示領域FRに第2不純物除去領域ERfを配置することで、表示領域DR内に配置する第1不純物除去領域ERdの数を、例えば図5に示すアクティブマトリクス基板100Aよりも少なくできる。例えば25以上10000以下の画素領域PIXに対して1つの第1不純物除去領域ERdを配置してもよい。または、基板1の法線方向から見たとき、表示領域DRにおいて、0.1mm~2mm×0.1mm~2mmの矩形の領域に対して(または、0.01mm以上4mm以下の面積あたり)1つの第1不純物除去領域ERdを配置してもよい。
【0121】
本変形例においても、上述した第1不純物除去領域ERdおよび第2不純物除去領域ERfの代わりに、不純物除去領域800d、800f1、800f2(図22A図24B)を形成してもよい。
【0122】
(変形例3:アクティブマトリクス基板100D、100E)
図13Aは、変形例3のアクティブマトリクス基板100Dにおける1つの画素領域PIXを例示する平面図である。図13Bおよび図13Cは、それぞれ、図13Aに示すXIIIb-XIIIb線およびXIIIc-XIIIc線に沿った断面図である。アクティブマトリクス基板100Dは、表示領域DRに、複数の第1不純物除去領域ERdを有する。アクティブマトリクス基板100Dにおける第1不純物除去領域ERdの配置は、例えば図5と同様である。図13Aは、図5に示す領域Raに対応する。
【0123】
アクティブマトリクス基板100Dは、第2有機絶縁層12が誘電体層17よりも上層に配置されている点で、アクティブマトリクス基板100Aと異なる。本明細書では、誘電体層17(無機絶縁層IL)よりも下層にある有機絶縁層RLと区別するために、誘電体層17よりも上層に位置する有機絶縁層を「他の有機絶縁層RL’」と呼ぶことがある。アクティブマトリクス基板100Dでは、第1有機絶縁層11が「有機絶縁層RL」であり、第2有機絶縁層12が「他の有機絶縁層RL’」である。
【0124】
また、アクティブマトリクス基板100Dは、第3電極層PL3を有していない点で、アクティブマトリクス基板100Aと異なる。アクティブマトリクス基板100Dの画素電極PEは、第1画素コンタクトホールCHp1内で酸化物半導体層4のドレインコンタクト領域4dに接する第1電極層PL1と、第1有機絶縁層11に設けられた第2画素コンタクトホールCHp2内で第1電極層PL1に接する第2電極層PL2とから構成されている。第1電極層PL1および第2電極層PL2の配置や形状は、アクティブマトリクス基板100Aと同様であってもよい。
【0125】
第1有機絶縁層11に設けられた第2画素コンタクトホールCHp2内および第1有機絶縁層11上において、第2電極層PL2の上には、誘電体層17と、共通電極CEとがこの順で配置されている。第2有機絶縁層12は、共通電極CEの上方に、第2画素コンタクトホールCHp2に起因する凹部を埋めるように配置されている。つまり、誘電体層17および共通電極CEは、第1有機絶縁層11と第2有機絶縁層12との間に位置する。基板1の法線方向から見たとき、第2有機絶縁層12は、アクティブマトリクス基板100Aと同様に、下部ゲート配線GL1および上部ゲート配線GL2上を行方向に連続して延びていてもよい。
【0126】
第1不純物除去領域ERdは、例えば、アクティブマトリクス基板100Aにおける第1不純物除去領域ERdと同様に、ゲート―ソース交差部に配置されている。図13Cに示すように、第1不純物除去領域ERdは、第1有機絶縁層11(有機絶縁層RL)および誘電体層17に形成された2層孔構造部HSを含む。この例では、第1不純物除去領域ERdは第3構造を有する。誘電体層17上には共通電極CEが配置されており、2層孔構造部HSの有底孔h2内には、共通電極CEと同層に形成された島状透明導電部Taが配置されている。
【0127】
第1不純物除去領域ERdは、第2有機絶縁層12(他の有機絶縁層RL’)で覆われている。図示するように、第2有機絶縁層12は、2層孔構造部HSの貫通孔h1および有底孔h2を埋めるように配置されていてもよい。有底孔h2内において、第2有機絶縁層12は、内表面s2のうち島状透明導電部Taから露出した部分に直接接していてもよい。
【0128】
本変形例では、第2有機絶縁層12の上面は、無機絶縁膜や透明導電膜で覆われていないので、第2有機絶縁層12内の不純物は、第2有機絶縁層12の上面から外部に放出され得る。一方、第1有機絶縁層11内の不純物は、図13Cに矢印で示すように、第2有機絶縁層12のうち有底孔h2の内部に位置する部分に移動した後、貫通孔h1を通って、第2有機絶縁層12の上面から放出され得る。
【0129】
図13A図13Cでは、表示領域DRに第1不純物除去領域ERdが配置されている例を示したが、これに加えて、あるいは、これに代わって、非表示領域FRに第2不純物除去領域ERf1、ERf2が配置されていてもよい。
【0130】
図14Aは、変形例3の他のアクティブマトリクス基板100Eにおける非表示領域(ここでは第2非表示領域FR2)の一部を例示する平面図である。図14Bは、図14Aに示すXIVb-XIVb線に沿った断面図である。アクティブマトリクス基板100Eにおける第2不純物除去領域ERfの配置は、例えば図9と同様である。図14Aは、図9に示す領域Rbに対応する。
【0131】
図14Bに示すように、第2不純物除去領域ERf2は、例えば第3構造を有する。第2不純物除去領域ERf2上には、2層孔構造部HSを埋めるように、第2有機絶縁層12f(他の有機絶縁層RL’)が配置されている。第2有機絶縁層12fは、2層孔構造部HSの貫通孔h1および有底孔h2を埋めるように配置されていてもよい。第2有機絶縁層12fは、表示領域DRに位置する第2有機絶縁層12と同層である。この例では、第2有機絶縁層12fは、第2有機絶縁層12とは離隔して配置されている。第2非表示領域FR2において、2層孔構造部HSごとに、1つの島状の第2有機絶縁層12fが配置されていてもよい。あるいは、第2有機絶縁層12fは、2以上の2層孔構造部HSを埋めるように列方向に延びていてもよい。なお、第2有機絶縁層12fは第2有機絶縁層12と繋がって(一体的に形成されて)いてもよい。
【0132】
図示しないが、第1非表示領域FR1に、第1構造を有する第2不純物除去領域ERf1が設けられてもよい。第2不純物除去領域ERf1上にも、2層孔構造部HSを埋めるように、他の有機絶縁層RL’が配置されていてもよい。
【0133】
図25および図26に示すように、上述した第1不純物除去領域ERd、第2不純物除去領域ERf2に代わって、共通電極CEの開口部htおよび誘電体層17の貫通孔h1を少なくとも有する不純物除去領域800d、800f2を備えていてもよい。開口部htおよび貫通孔h1は、有機絶縁層RLの一部を露出するように配置されている。不純物除去領域800d、800f2において、有機絶縁層RLには有底孔h2が形成されていなくてもよい。図25および図26では、基板1の法線方向から見たとき、開口部htおよび貫通孔h1の側面は互いに整合しているが、開口部htは貫通孔h1の外縁よりも内側に位置してもよいし(図22B図24B参照)、貫通孔h1が開口部htの外縁よりも内側に位置してもよい。なお、図示していないが、第1非表示領域R1にも、不純物除去領域800f2と同様の構造を有する不純物除去領域が配置されていてもよい。
【0134】
(変形例4:アクティブマトリクス基板100F)
図15Aは、変形例4のアクティブマトリクス基板100Fにおける行方向に隣接する2つの画素領域PIXを例示する平面図である。図15Bおよび図15Cは、それぞれ、図15Aに示すXVb-XVb線およびXVc-XVc線に沿った断面図である。アクティブマトリクス基板100Fは、表示領域DRに、複数の第1不純物除去領域ERdを有する。アクティブマトリクス基板100Fにおける第1不純物除去領域ERdの配置は、例えば図5と同様である。
【0135】
アクティブマトリクス基板100Fは、各第1不純物除去領域ERdの基板1側に遮光層LSが設けられている点で、変形例1のアクティブマトリクス基板100Aと異なる。
【0136】
遮光層LSは、各画素TFT20よりも基板1側(ここでは下部ゲート電極GE1よりも基板1側)に配置されている。図示する例では、遮光層LSは、画素TFT20の下部ゲート電極GE1の基板1側に、下部絶縁層3、2を介して配置されている。遮光層LSは、例えば金属層である。
【0137】
図8に示すように、同一基板1上に回路TFT30を形成する場合には、遮光層LSは、回路TFT30の遮光層31と同層に(つまり、同じ導電膜を用いて)形成されていてもよい。これにより、製造工程数を増加させずに遮光層LSが形成され得る。
【0138】
液晶表示装置では、アクティブマトリクス基板の表示領域の表面に凹凸が設けられていると、表面の凹凸に起因して液晶配向が部分的に乱れる可能性がある。液晶配向の乱れは、表示コントラストの低下の要因となり得る。本変形例では、表示領域DRに配置された第1不純物除去領域ERdにおいて、2層孔構造部HSおよびその近傍に表面凹凸が生じる場合がある。この場合でも、第1不純物除去領域ERdが、遮光層LSで遮光されており、第1不純物除去領域ERdを含む領域は表示に寄与しないので、2層孔構造部HSによって生じる表面凹凸に起因する表示コントラストの低下を抑制できる。
【0139】
遮光層LSは、基板1の法線方向から見たとき、ゲート―ソース交差部に位置する第1不純物除去領域ERdと、第1不純物除去領域ERdに近接して配置される他のコンタクトホールとに重なるように配置されていてもよい。
【0140】
ここで、第1不純物除去領域ERdが配置されたゲート―ソース交差部を構成するゲート配線GLおよびソース配線SLを、それぞれ、ゲート配線GLaおよびソース配線SLaとし、ゲート配線GLa上にチャネル領域4cを有する2つの画素TFT20を、それぞれ、画素TFT20a、20bとする。画素TFT20a、20bは、ソース配線SLaを挟んで隣接している。図示する例では、基板1の法線方向から見たとき、ゲート配線GLa上において、第1不純物除去領域ERdを行方向に挟むように、画素TFT20a、20bの第2画素コンタクトホールCHp2a、CHp2bが配置されている。また、画素TFT20a、20bの第1画素コンタクトホールCHp1a、CHp1bは、それぞれ、対応する画素領域PIX内のゲート配線GLaの近傍に配置されている。さらに、一方の画素TFT20aのソースコンタクトホールCHsaが、ソース配線SLaに重なるように配置されている。遮光層LSは、第1不純物除去領域ERdの2層孔構造部HSに加えて、これらの第2画素コンタクトホールCHp2a、CHp2b、第1画素コンタクトホールCHp1a、CHp1bおよびソースコンタクトホールCHsaを全て遮光するように配置されている。これにより、アクティブマトリクス基板100Fの各第1不純物除去領域ERdを含む所定の領域において、表面凹凸に起因する表示コントラストの低下をより効果的に抑制できる。
【0141】
本変形例で説明した遮光層LSは、第1不純物除去領域ERdを有する他のアクティブマトリクス基板100C、100Dにも適用され得る。
【0142】
なお、遮光層LSは、少なくとも2層孔構造部HSに重なっていればよく、遮光層LSのサイズや平面形状は図示する例に限定されない。
【0143】
図27に示すように、上述した第1不純物除去領域ERdに代わって、共通電極CEの開口部htおよび誘電体層17の貫通孔h1を少なくとも有する不純物除去領域800dを備えていてもよい。開口部htおよび貫通孔h1は、有機絶縁層RLの一部を露出するように配置されている。不純物除去領域800dにおいて、有機絶縁層RLには有底孔h2が形成されていなくてもよい。基板1の法線方向から見たとき、開口部htは貫通孔h1の外縁よりも内側に位置してもよいし(図22B参照)、貫通孔h1が開口部htの外縁よりも内側に位置してもよい。
【0144】
(液晶表示装置)
本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板100A~100Fは、液晶表示装置に好適に用いることができる。
【0145】
以下、変形例4のアクティブマトリクス基板100Fを用いたFFSモードの液表示装置を例に、本実施形態の液晶表示装置の一例を説明する。
【0146】
図16は、液晶表示装置500の一部を示す模試的な断面図である。
【0147】
液晶表示装置500は、アクティブマトリクス基板100Fと、アクティブマトリクス基板100Fに対向するように設けられた対向基板200と、アクティブマトリクス基板100Fと対向基板200との間に設けられた液晶層300とを備える。
【0148】
アクティブマトリクス基板100Fの液晶層300側の最表面には、配向膜190が設けられている。配向膜190は、例えば、アクティブマトリクス基板100Fの不純物除去工程(後述)を行った後で形成されるので、各不純物除去領域ERにおける2層孔構造部HSを覆っていてもよい。
【0149】
配向膜190は、例えば、アクティブマトリクス基板100Fの表面に、樹脂材料および溶剤を含む配向膜材料を印刷ゴム版またはインクジェットで塗布した後、焼成することにより形成され得る。配向膜190によって、アクティブマトリクス基板100Fの2層孔構造部HS(有底孔h2および貫通孔h1)を埋めることができるので、2層孔構造部HSに起因する表示コントラストの低下をより効果的に抑制できる。図示するように、配向膜190のうち2層孔構造部HSの上方に位置する部分の表面は略平坦であってもよい。
【0150】
対向基板200は、基板201と、基板201に支持されたカラーフィルタ層210およびブラックマトリクス220とを有する。対向基板200の液晶層300側の最表面には、配向膜290が設けられている。カラーフィルタ層210およびブラックマトリクス220と、配向膜290との間に、オーバーコート層230が配置されていてもよい。
【0151】
液晶層300の厚さ(セルギャップ)は、例えば対向基板200の液晶層300側に設けられる柱状スペーサ310によって規定される。
【0152】
液晶表示装置500では、アクティブマトリクス基板100Fの遮光層LSは、柱状スペーサ310および2層孔構造部HSを遮光するように配置されていてもよい。
【0153】
図17Aおよび図17Bは、それぞれ、液晶表示装置500における第1不純物除去領域ERd、柱状スペーサ310および遮光層LSの配置関係を例示する平面図である。
【0154】
図17Aに示すように、各第1不純物除去領域ERdにおける2層孔構造部HSは、柱状スペーサ310の1つと互いに重なるように配置されていてもよい。図17Aでは、基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサ310の外縁よりも内側に、第1不純物除去領域ERdの2層孔構造部HSが位置しているが、柱状スペーサ310と2層孔構造部HSとは部分的に重なっていてもよい。あるいは、図17Bに示すように、各第1不純物除去領域ERdの2層孔構造部HSは、基板1の法線方向から見たとき、柱状スペーサ310の1つに近接して配置されていてもよい。
【0155】
アクティブマトリクス基板100Fにおける各遮光層LSは、基板1の法線方向から見たとき、互いに重なるまたは互いに近接する柱状スペーサ310および2層孔構造部HSに重なるように配置されている。これにより、柱状スペーサ310および第1不純物除去領域ERdの表示特性への影響を抑制できる。また、第1不純物除去領域ERdを遮光する遮光層を別途設ける必要がないので、遮光面積の増加を抑えて画素開口率を高めることができる。
【0156】
液晶表示装置500は、高精細な(例えば1000ppi以上の)液晶表示装置に好適に用いられ、例えばヘッドマウントディスプレイ用の液晶表示装置に好適に用いられる。
【0157】
なお、ここでは、アクティブマトリクス基板100Fを例に説明したが、代わりに、アクティブマトリクス基板100A~100Eを用いてもよい。アクティブマトリクス基板100A、100C、100Dのように表示領域DRに第1不純物除去領域ERdを設ける構成では、上記のように、第1不純物除去領域ERdの少なくとも1つを、基板1の法線方向から見たとき柱状スペーサ310に重なる(または近接する)ように配置し、これらを遮光する遮光層LSを設けてもよい。
【0158】
また、ここでは、横電界モードの一種であるFFSモードの液晶表示装置500を例示したが、本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板は、他の表示モードの液晶表示装置に用いられるものであってもよい。TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードのような縦電界モードの液晶表示装置では、共通電極は、対向基板側に設けられる。
【0159】
(アクティブマトリクス基板の製造方法)
以下、図面を参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法の例を説明する。図19A図19Iおよび図20A図20Iは、アクティブマトリクス基板100Aの表示領域DRの一部を示す工程断面図である。これらの図面は、いずれも、図15Aに示すXVc-XVc線に沿った断面構造を示している。
【0160】
まず、図19Aに示すように、基板1上に、遮光層LSを形成する。例えば、スパッタリング法により遮光層用導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより遮光層用導電膜をパターニングすることによって、遮光層LSを形成することができる。
【0161】
基板1としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。遮光層用導電膜としては、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、遮光層用導電膜として、モリブデンタングステン合金膜を用いる。遮光層用導電膜の厚さは、例えば30nm以上100nm以下である。
【0162】
次に、図19Bに示すように、遮光層LSを覆うように第1下部絶縁層2および第2下部絶縁層3をこの順で形成する。例えばCVD法により、第1下部絶縁層2および第2下部絶縁層3を形成することができる。第1下部絶縁層2および第2下部絶縁層3としては、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiNx)層、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)層等を積層または単層で適宜用いることができる。
【0163】
図8に示すように、回路TFT30としてシリコン半導体TFTを形成する場合には、例えば、第1下部絶縁層2として酸化シリコンと窒化シリコンの積層膜を形成し、次いで、シリコン半導体膜の成膜(厚さ:例えば30nm~100nm)、レーザー結晶化などの公知の方法により結晶質シリコン半導体層を形成した後、第2下部絶縁層3として酸化シリコン膜を形成してもよい。
【0164】
回路TFTとして、画素TFT20と同様の酸化物半導体TFTを形成する場合には、遮光層LSを覆う第1下部絶縁層2として、基板1からの不純物等の拡散防止のためのSiNx層を形成し、その上に、第2下部絶縁層3として、絶縁性を確保するためのSiO層を形成してもよい。下部絶縁層の厚さ(積層構造を有する場合には合計厚さ)は、例えば100nm以上600nm以下である。なお、回路TFTとして、画素TFT20と同様の酸化物半導体TFTを形成する場合、第1下部絶縁層2および第2下部絶縁層3の2層を設ける代わりに、単層の下部絶縁層(例えばベースコートとして機能し得る層)を設けてもよい。
【0165】
続いて、図19Cに示すように、第2下部絶縁層3上に、下部ゲート配線GL1を形成する。下部ゲート配線GL1は、下部ゲート電極GE1として機能する部分を含む。ここでは、例えばスパッタリング法で、第1導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成した後、公知のフォトリソ工程により、第1導電膜のパターニング(例えばウェットエッチング)を行うことにより、下部ゲート電極GE1および下部ゲート配線GL1を形成できる。
【0166】
第1導電膜として、遮光層用導電膜と同様の(遮光性用導電膜として示した)導電膜を用いてもよい。ここでは、第1導電膜として、モリブデンタングステン合金、タングステン、タンタル、モリブデン、銅(Cu)およびAlを含む単層または積層の金属膜を用いる。
【0167】
次いで、結晶質シリコン半導体層の導電性を制御して、シリコン半導体TFTを作成するため、公知の方法を用いて、レジストパターン膜などをマスクとし、結晶質シリコン半導体層にホウ素、リンなどの不純物を加えるイオンドーピングを複数回行い、シリコン膜にソース領域及びドレイン領域(図示省略)を形成する。
【0168】
次いで、図19Dに示すように、下部ゲート配線GL1を覆うように、下部ゲート絶縁層5(厚さ:例えば200nm以上600nm以下)を形成する。
【0169】
下部ゲート絶縁層5は例えばCVD法で形成される。下部ゲート絶縁層5として、例えば、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiNx)層、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)層等を適宜用いることができる。ここでは、下部ゲート絶縁層5として、例えば、CVD法を用いて、酸化シリコン(SiO)層(厚さ:例えば100~500nm)を形成する。あるいは、下部ゲート絶縁層5として、窒化珪素(SiNx)層(厚さ:50~600nm)を下層、酸化シリコン(SiO)層(厚さ:50~600nm)を上層とする積層膜を形成してもよい。
【0170】
続いて、図19Eに示すように、下部ゲート絶縁層5上に酸化物半導体層4を形成する。例えば、スパッタリング法により酸化物半導体膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより酸化物半導体膜をパターニングすることによって、島状の酸化物半導体層4を形成することができる。ここでは、酸化物半導体層4として、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1の組成比を有するIn-Ga-Zn-O系の半導体層を形成する。酸化物半導体層4の厚さは、例えば5nm以上60nm以下である。
【0171】
次に、図19Fに示すように、酸化物半導体層4を覆うように上部ゲート絶縁層7を堆積する。上部ゲート絶縁層7の堆積は、例えばCVD法により行われる。上部ゲート絶縁層7として、例えば、下部ゲート絶縁層5と同様の(下部ゲート絶縁層5として例示した)絶縁層を用いることができる。ここでは、上部ゲート絶縁層7として、酸化シリコン(SiO)層を形成する。上部ゲート絶縁層7の厚さは、例えば50nm以上150nm以下である。なお、酸化物半導体層4以降のここまでの各段階で、酸化物半導体層4の電気特性を制御するための適切な熱アニール処理等を行っても良い。
【0172】
続いて、図19Gに示すように、下部ゲート絶縁層5上に、上部ゲート配線GL2を形成する。上部ゲート配線GL2は、上部ゲート電極GE2として機能する部分を含む。ここでは、例えばスパッタリング法により第2導電膜を堆積した後、公知のフォトリソグラフィプロセスにより第2導電膜をパターニングすることによって、上部ゲート配線GL2を形成することができる。
【0173】
第2導電膜としては、例えば、第1導電膜と同じ(第1導電膜として示した)導電膜を用いることができる。第2導電膜の厚さは、例えば50nm以上500nm以下である。
【0174】
この後、上部ゲート電極GE2をマスクとして、上部ゲート絶縁層7越しに、酸化物半導体層4の低抵抗化処理を行ってもよい。低抵抗化処理として、例えばプラズマ処理等を用いることができる。低抵抗化処理により、酸化物半導体層4のうち上部ゲート電極GE2に重ならない領域(ソースコンタクト領域4sおよびドレインコンタクト領域4dとなる領域)は、酸化物半導体層4のうち上部ゲート電極GE2に重なる領域(チャネル領域4cとなる領域)よりも比抵抗の低い低抵抗領域となる。低抵抗領域は、導電体領域(例えばシート抵抗:200Ω/□以下)であってもよい。
【0175】
なお、第2導電膜を形成する前に、または、第2導電膜と一括して、上部ゲート絶縁層7のパターニングを行ってもよい。これにより、上部ゲート電極GE2および上部ゲート配線GL2の下方にのみ上部ゲート絶縁層7を配置してもよい。この後、上部ゲート電極GE2をマスクとして、酸化物半導体層4の低抵抗化処理を行ってもよい。
【0176】
低抵抗化処理の方法はプラズマ処理に限定されない。例えば、酸化物半導体層4の露出領域を、酸化物半導体を還元し得る還元性の絶縁膜に接触させることで低抵抗化することも可能である。あるいは、酸化物半導体層4への例えばイオンドーピングなどによるイオン注入処理によっても低抵抗化することができる。この場合も上部ゲート絶縁層7越しにイオン注入処理をすることができるので、プロセス短縮を行うことが可能である。
【0177】
次に、図19Hに示すように、酸化物半導体層4および上部ゲート電極GE2を覆う第1層間絶縁層9を形成する。例えばCVD法により、第1層間絶縁層9を形成することができる。この後、第1層間絶縁層9および上部ゲート絶縁層7のパターニングにより、酸化物半導体層4のソースコンタクト領域4sの一部が露出するようにソースコンタクトホールCHs(図15B)を形成する。
【0178】
第1層間絶縁層9として、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiNx)層、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)層等の無機絶縁層を単層で、または積層させて用いることができる。第1層間絶縁層9の厚さは例えば200nm以上1000nm以下である。ここでは、第1層間絶縁層9として、酸化シリコン層を用いる。
【0179】
続いて、図19Iに示すように、第1層間絶縁層9上に、ソース電極SEおよびソース配線SLを形成する。例えば、スパッタリング法によりソース用導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスによりソース導電膜をパターニングすることによって、ソース配線SLを形成することができる。このようにして、画素TFT20を得る。
【0180】
ソース用導電膜としては、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、ソース用導電膜として、Ti膜、Al膜およびTi膜をこの順で積層した膜を用いる。ソース用導電膜の厚さは、例えば200nm以上700nm以下である。
【0181】
続いて、図20Aに示すように、画素TFT20を覆う第2層間絶縁層10を形成する。例えばCVD法により、第2層間絶縁層10を形成することができる。この後、第1層間絶縁層9および第2層間絶縁層10のパターニングを行い、酸化物半導体層4のドレインコンタクト領域4dの一部が露出するように第1画素コンタクトホールCHp1(図15B)を形成する。第1画素コンタクトホールCHp1は、例えば、直径1.5μm~2.5μmの円形に形成される。
【0182】
第2層間絶縁層10としては、酸化シリコン(SiO)層、窒化シリコン(SiNx)層、酸化窒化シリコン(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化シリコン(SiNxOy;x>y)層等の無機絶縁層を単層で、または積層させて用いることができる。第2層間絶縁層10の厚さは、例えば100nm以上800nm以下である。ここでは、第2層間絶縁層10として、窒化シリコン層を用いる。
【0183】
次に、図20Bに示すように、第2層間絶縁層10上および第1画素コンタクトホールCHp1内に、第1電極層PL1を形成する。例えば、スパッタリング法により透明導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより透明導電膜をパターニングすることによって、第1電極層PL1を形成することができる。第1電極層PL1を形成するための透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)を用いることができる。ここでは、インジウム錫酸化物を用いる。第1電極層PL1の厚さは、例えば30nm以上100nm以下である。
【0184】
次に、図20Cに示すように、第2層間絶縁層10および第1電極層PL1を覆う第1有機絶縁層11を形成する。第1有機絶縁層11の厚さは、例えば2μm以上6μm以下である。例えば、感光性樹脂材料を塗布し、露光および現像を行うことにより、第1電極層PL1の一部が露出するように第2画素コンタクトホールCHp2が形成された第1有機絶縁層11が得られる。感光性樹脂材料として、例えば、感光性アクリル樹脂を用いることができる。第2画素コンタクトホールCHp2は、例えば、直径2.5μm~3.5μmの円形に形成される。
【0185】
続いて、図20Dに示すように、第1有機絶縁層11上および第2画素コンタクトホールCHp2内に第2電極層PL2を形成する。例えば、スパッタリング法により透明導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより透明導電膜をパターニングすることによって、第2電極層PL2を形成することができる。第2電極層PL2を形成するための透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物を用いることができる。ここでは、インジウム錫酸化物を用いる。第2電極層PL2の厚さは、例えば30nm以上100nm以下である。
【0186】
次に、図20Eに示すように、第2画素コンタクトホールCHp2を埋める第2有機絶縁層12を形成する。例えば、感光性樹脂材料を塗布し、露光および現像を行うことにより、第2有機絶縁層12が得られる。これにより、第1有機絶縁層11および第2有機絶縁層12を含む有機絶縁層RLを得る。
【0187】
感光性樹脂材料として、例えば、感光性アクリル樹脂を用いることができる。露光の際に、マスクとして多階調マスクを用いることにより、第2有機絶縁層12によって第2画素コンタクトホールCHp2内を精度良く埋めることができる。多階調マスクとしては、具体的には、グレートーンマスクやハーフトーンマスクを用いることができる。グレートーンマスクには、露光機の解像度以下のスリットが形成されており、このスリットによって光の一部を遮ることによって中間露光が実現される。一方、ハーフトーンマスクでは、半透過膜を用いることによって中間露光が実現される。
【0188】
続いて、図20Fに示すように、第1有機絶縁層11上、第2電極層PL2上および第2有機絶縁層12上に第3電極層PL3を形成する。例えば、スパッタリング法により透明導電膜を堆積した後、フォトリソグラフィプロセスにより透明導電膜をパターニングすることによって、第3電極層PL3を形成することができる。第3電極層PL3を形成するための透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物を用いることができる。ここでは、インジウム錫酸化物を用いる。第3電極層PL3の厚さは、例えば30nm以上100nm以下である。
【0189】
次に、図20Gに示すように、第3電極層PL3を覆う誘電体層17を形成する。例えばCVD法により、誘電体層17を形成することができる。誘電体層17としては、例えば、第1層間絶縁層9および第2層間絶縁層10と同様の無機絶縁層を用いることができる。ここでは、誘電体層17として窒化シリコン層を用いる。誘電体層17の厚さは、例えば50nm以上300nm以下である。
【0190】
この後、図20Hに示すように、誘電体層17および有機絶縁層RLに2層孔構造部HSを形成する。フォトリソグラフィプロセスにより誘電体層17および有機絶縁層RLをパターニングすることで、2層孔構造部HSを形成することができる。例えば、誘電体層17上にレジスト層を形成した後、レジスト層をマスクとして、誘電体層17および有機絶縁層RLのドライエッチングを行ってもよい。ドライエッチングは、誘電体層17に貫通孔が形成され、有機絶縁層RLに有底孔が形成され、かつ、第2有機絶縁層12が誘電体層17よりも横方向にエッチング(サイドエッチ)される条件で行われる。これにより、誘電体層17に貫通孔h1を形成するとともに、有機絶縁層RLのうち貫通孔h1によって露出された部分と、基板1の法線方向から見たときに貫通孔h1よりも外側に位置する部分とを除去することにより、有機絶縁層RLに有底孔h2を形成する。一例として、エッチングガスとして四フッ化炭素(CF)ガスと酸素(O)ガスを4:1~2:1の流量比で用いることで、第2有機絶縁層12にアンダーカットを生じさせることが可能になる。基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17のうち第2有機絶縁層12の外縁よりも内側に位置する部分の幅v(誘電体層17のアンダーカット量)は、例えばエッチング時間やエッチングチャンバー内圧力、高周波電力、ガス流量比を調整することで制御され得る。なお、エッチング方法は上記に限定されない。例えば六フッ化硫黄(SF)と酸素、あるいは、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、酸素、アルゴンなどガスを組み合わせ、第2有機絶縁層12にアンダーカットを生じさせるようにそれぞれの流量比を調整することにより、誘電体層17および有機絶縁層RLのエッチングを行っても良い。
【0191】
その後、図20Iに示すように、誘電体層17上に共通電極CEを形成するとともに、有底孔h2内に島状透明導電部Taを形成する。
【0192】
まず、例えばスパッタリング法により透明導電膜を堆積する。このとき、誘電体層17の上面と有機絶縁層RLの有底孔h2の底面との段差を利用して、透明導電膜のうち誘電体層17の上面に位置する部分と、有底孔h2の内部に位置する部分とを互いに離隔させる。これにより、有底孔h2内に島状透明導電部Taが形成される。この後、透明導電膜のうち島状透明導電部Taを除く部分のパターニングを行うことによって、共通電極CEを形成することができる。このようにして、アクティブマトリクス基板100Fが得られる。
【0193】
共通電極CEを形成するための透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物やインジウム亜鉛酸化物を用いることができる。ここでは、インジウム錫酸化物を用いる。共通電極CEの厚さは、例えば30nm以上100nm以下である。
【0194】
続いて、得られたアクティブマトリクス基板100Fの加熱処理を行うことによって、有機絶縁層RL内の不純物を、第1不純物除去領域ERdを介して外部に放出させる。加熱処理は、例えば、100℃以上300℃以下の温度で行う。ここでは、200~220℃の温度で1~2時間の加熱処理を行う。
【0195】
図示していないが、不純物を放出させるための加熱工程を行った後に、アクティブマトリクス基板100Fの最表面に配向膜を形成してもよい。
【0196】
なお、アクティブマトリクス基板100A~100Eも上記と同様の方法で形成され得る。例えば第2不純物除去領域ERfは、上述した第1不純物除去領域ERdの形成する工程と同様の工程により形成することができる。
【0197】
(製造方法の変形例)
第1不純物除去領域ERdまたは第2不純物除去領域ERfとして、第2構造を有する不純物除去領域ER2(図3Aおよび図3B)を形成してもよい。不純物除去領域ER2は、例えば、透明導電膜のパターニングにより透明導電層TL(ここでは共通電極CE)を形成した後で、2層孔構造部HSを形成するためのエッチングを行うことによって形成できる。以下、第2構造を有する第1不純物除去領域ERdを形成する工程を説明する。
【0198】
図21Aおよび図21Bは、それぞれ、第1不純物除去領域ERdの他の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0199】
まず、図21Aに示すように、有機絶縁層RLを形成した後、誘電体層17および透明導電膜をこの順で堆積し、フォトリソグラフィプロセスにより透明導電膜のパターニングを行う。これにより、透明導電膜から共通電極CEを形成する。共通電極CEは、第1不純物除去領域ERdを形成する領域に開口部htを有し、各画素領域PIXにスリット(不図示)を有する。
【0200】
続いて、図21Bに示すように、共通電極CEをエッチングマスクとして、誘電体層17および有機絶縁層RLのドライエッチングを行い、誘電体層17および有機絶縁層RLに2層孔構造部HSを形成する。このドライエッチングは、誘電体層17のうち共通電極CEのスリットによって露出した部分を覆うようにレジスト層(不図示)を形成し、その状態で行ってもよい。このようにして、第2構造を有する第1不純物除去領域ERdが形成される。
【0201】
エッチング方法および条件は、図20Hを参照しながら前述した方法および条件と同様である。本工程では、基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17の貫通孔h1は共通電極CEの開口部htに略整合し、有機絶縁層RLの有底孔h2は開口部htの外縁よりも内部に位置する。
【0202】
なお、共通電極CEを形成した後、共通電極CE上に他のレジスト層を設け、他のレジスト層をエッチングマスクとして、共通電極CE、誘電体層17および有機絶縁層RLを一括してエッチングすることより、開口部ht、貫通孔h1および有底孔h2を形成してもよい。この方法によると、共通電極CEをマスクとして用いる方法と比べて、ドライエッチングによる共通電極CEへのダメージを低減できる。
【0203】
[酸化物半導体について]
酸化物半導体層4に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0204】
酸化物半導体層4は、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する酸化物半導体層4は、アモルファス酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、積層構造を有する酸化物半導体層4は、複数のアモルファス酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層4が積層構造を有する場合、各層のエネルギーギャップは、互いに異なり得る。
【0205】
アモルファス酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0206】
酸化物半導体層4は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。上述した実施形態では、酸化物半導体層4は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層4は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0207】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0208】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0209】
酸化物半導体層4は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn-SnO-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層4は、W(タングステン)を含んだIn-W-Zn-O系半導体、In-W-Sn-Zn-O系半導体、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0210】
本発明の実施形態によると、水分等の不純物に起因する酸化物半導体TFTの特性の変動が抑制された有機絶縁層に形成されるコンタクトホールに起因する透過率の低下が抑制されたアクティブマトリクス基板を提供することができる。本発明の実施形態によるアクティブマトリクス基板は、ヘッドマウントディスプレイ用の液晶表示装置のような、高精細な(例えば1000ppi以上の)液晶表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0211】
1 基板
2 第1下部絶縁層
3 第2下部絶縁層
4 酸化物半導体層
4c チャネル領域
4s ソースコンタクト領域
4d ドレインコンタクト領域
5 下部ゲート絶縁層
7 上部ゲート絶縁層
9 第1層間絶縁層
10 第2層間絶縁層
11 第1有機絶縁層
12、12f 第2有機絶縁層
17 誘電体層
20 画素TFT
30 回路TFT
31 遮光層
33 結晶質シリコン半導体層
33c チャネル領域
35 ゲート電極
36 ソースおよびドレイン電極
100、100A~100F アクティブマトリクス基板
190、290 配向膜
200 対向基板
201 基板
210 カラーフィルタ層
220 ブラックマトリクス
230 オーバーコート層
300 液晶層
310 柱状スペーサ
500 液晶表示装置
DR 表示領域
FR 非表示領域
FR1 第1非表示領域
FR2 第2非表示領域
PIX 画素領域
ER、ER1~ER3 不純物除去領域
ERd 第1不純物除去領域
ERf、ERf1、ERf2 第2不純物除去領域
IL 無機絶縁層
RL 有機絶縁層
TL 透明導電層
Ta 島状透明導電部
h1 貫通孔
h2 有底孔
ht 開口部
s1 貫通孔の内側面
s2 有底孔の内表面
PE 画素電極
CE 共通電極
CL 共通配線
SE ソース電極
SL ソース配線
GE1 下部ゲート電極
GE2 上部ゲート電極
GL ゲート配線
GL1 下部ゲート配線
GL2 上部ゲート配線
SL ソース配線
LS 遮光層
GD ゲートドライバ
SD ソースドライバ
DMX デマルチプレクサ回路
CHp1 第1画素コンタクトホール
CHp2 第2画素コンタクトホール
CH ソースコンタクトホール
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
図19G
図19H
図19I
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図20H
図20I
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28