(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】化学発光免疫分析測定法及び該方法を使用するシステム、試薬キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
G01N33/543 575
G01N33/543 581V
(21)【出願番号】P 2021515266
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 CN2019087828
(87)【国際公開番号】W WO2019223691
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】201810491290.2
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810526541.6
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520461129
【氏名又は名称】ケムクリン ダイアグノスティックス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519181711
【氏名又は名称】ケムクリン・ダイアグノスティックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ユフイ
(72)【発明者】
【氏名】リ, リン
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207147974(CN,U)
【文献】特表2020-507780(JP,A)
【文献】特開2005-043352(JP,A)
【文献】国際公開第2014/106033(WO,A1)
【文献】特公平07-037464(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む化学発光免疫分析測定法:
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光免疫に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
(2)前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅(RLUm/RLUk-1)×100%をAとして記録する;
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質と、RLUm及びRLUkそれぞれに対応する反応時間における二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅A’=(RLUm’/RLUk’-1)×100%に基づいて、第1の標準曲線を作成し、被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質と、標準物質の化学発光信号値とに基づいて、第2の標準曲線を作成する;
ここで、前記第1の標準曲線において、被検対象分子を含有する標準物質の濃度が横軸に、前記増幅A’が縦軸にプロットされ、前記第2の標準曲線において、被検対象分子を含有する標準物質の濃度が横軸に、標準物質の化学発光信号値が縦軸にプロットされ;
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅A
を、前記第1の標準曲線に代入して、標準物質の濃度値を算出し;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線における標準物質の化学発光信号値の上昇区間に対応する場合、1回目の読み取り値RLU1を前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線における標準物質の化学発光信号値の下降区間に対応する場合、n回目反応の読み取り値RLUnを前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【請求項2】
前記nは2より大きいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)において、化学発光反応の発生に必要な試薬としては、アクセプター試薬とドナー試薬を含む;ここで:前記ドナー試薬はドナーを含み、前記ドナーは励起状態で一重項酸素を発生させることができる;前記アクセプター試薬はアクセプターを含み、前記アクセプターは一重項酸素と反応して検出可能の化学発光信号値を生成することができることを特徴とする請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
以下のステップを含むことを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の方法:
(a1)被検抗原または抗体の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅(RLUm/RLUk-1)×100%をAとして記録する;
(a4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロールと、RLUm及びRLUkそれぞれに対応する反応時間における二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅A’=(RLUm’/RLUk’-1)×100%に基づいて第1の標準曲線を作成し、被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロールと、ポジティブコントロールの化学発光信号値とに基づいて、第2の標準曲線を作成する;
ここで、前記第1の標準曲線において、被検対象分子を含有するポジティブコントロールの濃度が横軸に、前記増幅A’が縦軸にプロットされ、前記第2の標準曲線において、被検対象分子を含有するポジティブコントロールの濃度が横軸に、ポジティブコントロールの化学発光信号値が縦軸にプロットされ;
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅A
を、前記第1の標準曲線に代入して、標準物質の濃度値を算出し、;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線におけるポジティブコントロールの化学発光信号値の上昇区間に対応する場合、1回目の読み取り値RLU1を前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線におけるポジティブコントロールの化学発光信号値の下降区間に対応する場合、n回目反応の読み取り値RLUnを前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【請求項5】
以下を含む、化学発光免疫分析測定法を使用するシステム:
化学発光反応を行うための反応装置;被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する励起及び読み取り装置;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅(RLUm/RLUk-1)×100%をAとして記録する;
被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質と、RLUm及びRLUkそれぞれに対応する反応時間における二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅A’=(RLUm’/RLUk’-1)×100%に基づいて第1の標準曲線を作成し、被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質と、標準物質の化学発光信号値とに基づいて、第2の標準曲線を作成するプロセッサ;
ここで、前記第1の標準曲線において、被検対象分子を含有する標準物質の濃度が横軸に、前記増幅A’が縦軸にプロットされ、前記第2の標準曲線において、被検対象分子を含有する標準物質の濃度が横軸に、標準物質の化学発光信号値が縦軸にプロットされ;
前記プロセッサは、前記増幅Aを
、前記第1の標準曲線に代入して、標準物質の濃度値を算出し、;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線における標準物質の化学発光信号値の上昇区間に対応する場合、1回目の読み取り値RLU1を前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線における標準物質の化学発光信号値の下降区間に対応する場合、n回目反応の読み取り値RLUnを前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【請求項6】
前記システムの使用方法は以下のステップを含むことを特徴とする請求項
5に記載のシステム:
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光免疫に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
(2)前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅(RLUm/RLUk-1)×100%をAとして記録する;
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質と、RLUm及びRLUkそれぞれに対応する反応時間における二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅A’=(RLUm’/RLUk’-1)×100%に基づいて、第1の標準曲線を作成し、被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質と、標準物質の化学発光信号値とに基づいて、第2の標準曲線を作成する;
ここで、前記第1の標準曲線において、被検対象分子を含有する標準物質の濃度が横軸に、前記増幅A’が縦軸にプロットされ、前記第2の標準曲線において、被検対象分子を含有する標準物質の濃度が横軸に、標準物質の化学発光信号値が縦軸にプロットされ;
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅A
を、前記第1の標準曲線に代入して、標準物質の濃度値を算出し、;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線における標準物質の化学発光信号値の上昇区間に対応する場合、1回目の読み取り値RLU1を前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;前記増幅Aを前記第1の標準曲線に代入して算出された濃度値が前記第2の標準曲線における標準物質の化学発光信号値の下降区間に対応する場合、n回目反応の読み取り値RLUnを前記第2の標準曲線に直接代入して、被検対象分子の濃度を算出する;
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【請求項7】
前記nは2より大きいことを特徴とする請求項
5又は
6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願との相互参照>
本出願は、2018年5月21日に提出された「化学発光免疫分析測定法及び該方法を使用するシステム、試薬キット」と題する中国特許出願CN 201810491290.2の優先権を有し、該出願の全ての内容は援用を通して本文に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2018年5月21日に提出された「化学発光免疫分析測定法及び該方法を使用するシステム、試薬キット」と題する中国特許出願CN 201810526541.6の優先権を有し、該出願の全ての内容は援用を通して本文に組み込まれる。
【0003】
<技術分野>
本発明は、化学発光技術分野に関し、特に化学発光免疫分析測定法、化学発光免疫分析測定法を使用するシステム、及び試薬キットに関する。
【背景技術】
【0004】
化学発光免疫分析は近年来、急速に発展してきた非放射性免疫測定技術であり、その原理は化学発光物質を利用して信号を増幅し、さらに、その発光強度を介して、免疫結合プロセスを直接測定するものであり、該方法は免疫学検出において重要な方向の一つとなっている。光励起化学発光法は、生体分子間の相互作用を調べるための化学発光分析技術の中で最も一般的な手法の一つで、臨床には主に疾患の検出に利用されている。該技術は、ポリマー微粒子化技術、有機合成、タンパク質化学、臨床検出などの関連分野の研究を統合したものである。従来のELISA法に比べ、均質で高感度で、自動化しやすいという特徴を持つ。そのため、幅広く応用される可能性がある。
【0005】
化学発光免疫分析測定における二重抗体サンドイッチの検出モードでは、検出対象物質の濃度が一定濃度に達した場合、二重抗体サンドイッチ複合体を形成することができないため、信号値が低くなる現象を起こし、それは高用量-フック効果(HD-HOOK効果)と呼ばれる。すなわち、高用量フック効果とは、二箇所サンドイッチ免疫実験において、その用量反応曲線の高用量セグメントは、そのリニアの行方がプラットフォームのように後ろに無限に延伸ではなく、フックのように下に曲がっているため、偽陰性の発生につながる。HD-HOOK効果は免疫検出において頻繁に発生し、その発生率は陽性試料の約30%を占めている。HD-HOOK効果は、被検試料の濃度が検査キットのリニア範囲外にあるのか、それとも濃度そのものが当該値なのかを正しく区別できないという欠点があるため、誤診、特に偽陰性率の増加につながる。
【0006】
そのため、検出範囲を拡大でき、HD-HOOK効果を回避できる化学発光免疫分析測定法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の欠陥に対し、本発明は、化学発光免疫分析測定法を提供し、複数回の読み取りを通して、任意の二回の読み取り値を選択して検出範囲を拡大し、それをHD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料として示し、検出中に、素早く被検品の濃度を計算する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記及び関連する目的を達成するために、本発明の第一の側面は、以下のステップからなる化学発光免疫分析測定法を提供する。
【0009】
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光発光に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
【0010】
(2)前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0011】
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0012】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及びステップ(2)とステップ(3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0013】
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0014】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0015】
本発明の一部の実施形態では、前記増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である。
【0016】
本発明の別の一部の実施形態では、前記nは2より大きい。
【0017】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(5)は以下の通りである:ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較する;
【0018】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0019】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0020】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0021】
本発明の別の一部の実施形態では、前記pは1で、qはnである。
【0022】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応は均質な化学発光反応である。
【0023】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、化学発光反応の発生に必要な試薬としては、アクセプター試薬とドナー試薬を含む;ここで:
【0024】
前記ドナー試薬はドナーを含み、前記ドナーは励起状態で単線状態の酸素を発生させることができる;
【0025】
前記アクセプター試薬はアクセプターを含み、前記アクセプターは単線状態の酸素と反応して検出可能の化学発光信号値を生成することができる。
【0026】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、発光性化合物とランタニド化合物とを充填した高分子粒子である。
【0027】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記発光性化合物はオレフィン化合物、好ましくはジメチルチオフェン、ジブチルジケテン化合物、ジオキサン、アリルエーテル、アリルアミン、9-アルキリデンパリデン、9-アルキリデンN-9,10ジヒドロアクリジン、アリールエーテル、アリールイミダゾール及び光沢アルギン及びそれらの誘導体から選択され、より好ましくは、ジメチルチオフェン及びその誘導体から選択される。
【0028】
本発明の別の一部の好ましい実施形態では、前記ランタニド化合物はユーロピウム錯体である。
【0029】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、オレフィン化合物と金属キレートを含み、それは、非粒子状で、且つ水性媒体に可溶である。
【0030】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記アクセプターは被検対象分子の第一特定結合物に直接または間接的に結合する。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは感光性化合物を充填した高分子粒子で、赤色レーザーで励起すると一重項酸素を生成することができる。
【0032】
本発明の別の一部の実施形態では、前記感光性化合物は、メチレンブルー、ローズレッド、ポルフィリン、フタロシアニンから選ばれる。
【0033】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは直接または間接的にマーカーに結合している。
【0034】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応の発生に必要な試薬はまた、被検対象分子の第二特異的結合物試薬を含む;好ましくは、前記被検対象分子の第二特異的結合物は、マーカーの特異的結合物に直接または間接的に結合する。
【0035】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、まずは被検対象分子を含む被検試料をアクセプター試薬及び被検対象分子の第二特異的結合物試薬を混合した後で、ドナー試薬と混合する。
【0036】
本発明の一部の具体的な実施形態では、ステップ(2)において、エネルギー及び/又は活性化合物を利用して被検混合物の化学発光を励起する;好ましくは、被検混合物に600~700nmの赤色励起光を照射して化学発光に励起させる。
【0037】
本発明の別の具体的な実施形態では、ステップ(2)において、前記化学発光信号値の検出波長は、520~620nmと記録する。
【0038】
本発明の一部の実施形態では、前記被検対象分子は抗原または抗体である;ここで、前記抗原とは免疫原性の物質のことで、抗体とは特定の異物を認識できる体内で生み出した免疫グロブリンのことである。
【0039】
本発明の別の一部の実施形態では、前記標準物質はポジティブコントロールである。
【0040】
本発明の別の具体的な実施形態では、前記方法は具体的に以下のステップからなる:
【0041】
(a1)被検抗原(または抗体)の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
【0042】
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0043】
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録し、増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である;
【0044】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロール及びステップ(a2)とステップ(a3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0045】
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(a4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0046】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0047】
本発明の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記Aによって、測定対象分子の濃度が標準曲線の上昇空間にあるか下降空間にあるかを判断し、その対応する標準曲線に測定対象分子のRLUmを代入して濃度を算出する。
【0048】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記増幅Aを前記標準曲線と比較する;
【0049】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0050】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0051】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0052】
本発明の第二の側面は、以下を含む、化学発光分析測定法を使用するシステムを提供する:
【0053】
化学発光反応を行うための反応装置;
【0054】
前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する励起及び読み取り装置;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0055】
被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及び任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成するプロセッサ;前記増幅Aを前記標準曲線と比較して測定対象分子の濃度を決定する;
【0056】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0057】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記システムの使用方法は以下のステップからなる:
【0058】
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光免疫に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
【0059】
(2)前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0060】
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0061】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及びステップ(2)とステップ(3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0062】
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0063】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0064】
本発明の一部の実施形態では、前記増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である。
【0065】
本発明の別の一部の実施形態では、前記nは2より大きい。
【0066】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(5)は以下の通りである:ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較する;
【0067】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0068】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0069】
ここで,t、n、m、k、pとqはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,p≦q≦n,n≧2である。
【0070】
本発明の別の一部の実施形態では、前記pは1で、qはnである。
【0071】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応は均質な化学発光反応である。
【0072】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、化学発光反応の発生に必要な試薬としては、アクセプター試薬とドナー試薬を含む;ここで:
【0073】
前記ドナー試薬はドナーを含み、前記ドナーは励起状態で単線状態の酸素を発生させることができる;
【0074】
前記アクセプター試薬はアクセプターを含み、前記アクセプターは単線状態の酸素と反応して検出可能の化学発光信号値を生成することができる。
【0075】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、発光性化合物とランタニド化合物とを充填した高分子粒子である。
【0076】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記発光性化合物はオレフィン化合物、好ましくはジメチルチオフェン、ジブチルジケテン化合物、ジオキサン、アリルエーテル、アリルアミン、9-アルキリデンパリデン、9-アルキリデンN-9,10ジヒドロアクリジン、アリールエーテル、アリールイミダゾール及び光沢アルギン及びそれらの誘導体から選択され、より好ましくは、ジメチルチオフェン及びその誘導体から選択される。
【0077】
本発明の別の一部の好ましい実施形態では、前記ランタニド化合物はユーロピウム錯体である。
【0078】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、オレフィン化合物と金属キレートを含み、それは、非粒子状で、且つ水性媒体に可溶である。
【0079】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記アクセプターは被検対象分子の第一特定結合物に直接または間接的に結合する。
【0080】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは感光性化合物を充填した高分子粒子で、赤色レーザーで励起すると一重項酸素を生成することができる。
【0081】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記感光性化合物は、メチレンブルー、ローズレッド、ポルフィリン、フタロシアニンから選ばれる。
【0082】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは直接または間接的にマーカーに結合している。
【0083】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応の発生に必要な試薬はまた、被検対象分子の第二特異的結合物試薬を含む;好ましくは、前記被検対象分子の第二特異的結合物は、マーカーの特異的結合物に直接または間接的に結合する。
【0084】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、まずは被検対象分子を含む被検試料をアクセプター試薬及び被検対象分子の第二特異的結合物試薬を混合した後で、ドナー試薬と混合する。
【0085】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(2)において、エネルギー及び/又は活性化合物を利用して被検混合物の化学発光を励起する;好ましくは、被検混合物に600~700nmの赤色励起光を照射して化学発光に励起させる。
【0086】
本発明の別の実施形態では、ステップ(2)において、前記化学発光信号値の検出波長は、520~620nmと記録する。
【0087】
本発明の一部の実施形態では、前記被検対象分子は抗原または抗体である;ここで、前記抗原とは免疫原性の物質のことで、抗体とは特定の異物を認識できる体内で生み出した免疫グロブリンのことである。
【0088】
本発明の別の一部の実施形態では、前記標準物質はポジティブコントロールである。
【0089】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記方法は具体的に以下のステップからなる:
【0090】
(a1)被検抗原(または抗体)の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
【0091】
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0092】
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録し、増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である;
【0093】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロール及びステップ(a2)とステップ(a3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0094】
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(a4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0095】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0096】
本発明の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記Aによって、測定対象分子の濃度が標準曲線の上昇空間にあるか下降空間にあるかを判断し、その対応する標準曲線に測定対象分子のRLUmを代入して濃度を算出する。
【0097】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記増幅Aを前記標準曲線と比較する;
【0098】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0099】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0100】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0101】
本発明の第三の側面は、化学発光分析測定に必要な試薬を含む試薬キットを提供し、その使用方法は以下のステップからなる:
【0102】
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光発光に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
【0103】
(2)前記被検混合物を化学発光させるようにt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0104】
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0105】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及びステップ(2)とステップ(3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0106】
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0107】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0108】
本発明の一部の実施形態では、前記増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である。
【0109】
本発明の別の一部の実施形態では、前記nは2より大きい。
【0110】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(5)は以下の通りである:ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較する;
【0111】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0112】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0113】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0114】
本発明の別の一部の実施形態では、前記pは1で、qはnである。
【0115】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記試薬キットの使用方法は具体的に以下のステップからなる:
【0116】
(a1)被検抗原(または抗体)の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
【0117】
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0118】
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録し、増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である;
【0119】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロール及びステップ(a2)とステップ(a3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0120】
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(a4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0121】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0122】
本発明の一部の実施形態では、前記ステップa5)は以下の通りである:前記Aによって、測定対象分子の濃度が標準曲線の上昇空間にあるか下降空間にあるかを判断し、その対応する標準曲線に測定対象分子のRLUmを代入して濃度を算出する。
【0123】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記増幅Aを前記標準曲線と比較する;
【0124】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0125】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0126】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0127】
本発明の第四の側面は、本発明の第一の側面に記載の方法、本発明の第二の側面に記載のシステム、または本発明の第三の側面に記載のキットのAFP検査における応用を提供する。
【0128】
本発明は以下の有益な効果がある:
【0129】
(1)本発明に記載の方法は、複数回の読み取りを通して、任意の二回の読み取り値を選択して検出範囲を拡大し、それをHD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料として示し、そして、検出中に、被測定物質の濃度を簡単かつ迅速に算出する。
【0130】
(2)本発明の方法は、二重抗体サンドイッチ検出において、HD-HOOK効果試料を100%正確に同定することができ、前記方法は二重抗体サンドイッチ免疫測定の正確性を著しく向上し、二重抗体サンドイッチ免疫測定における偽陰性率を低下させる。
【0131】
以下の図面を参照しながら、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】実施例における濃度と対応する信号値の標準曲線を示す。
【
図2】実施例における濃度と複数回読み取り値の信号値増幅差分Aの標準曲線を示す。
【
図3】HCG+βが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【
図4】Ferrが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【
図5】anti-HIVが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【
図6】MYOが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【
図7】NT-proBNPが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【
図8】PCTが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【
図9】cTnIが本発明の方法を用いて得られた信号値とAが試料濃度との関係曲線をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0133】
以下、本発明を容易に理解できるように、本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明を詳細に説明する前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されるものではない。本文で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するもので、限定的なものではないことを理解すべきである。
【0134】
値の範囲が提供される場合、前記範囲の上限及び下限と前記規定範囲内の他の任意の指定された範囲または中間値範囲との間の各中間値範囲が、本発明の範囲内に入ると理解すべきである。これらの小範囲の上限と下限は、小範囲に独立に含まれてもよく、また、特定の範囲の明示的に除外された範囲を条件として、本発明の範囲内に入る。所定の範囲が一方の制限または両方の制限を含む場合、それらを含む制限の一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0135】
別段の定義がある以外に、本明細書で使用されるすべての用語は、当業者の理解と同じ意味を持つ。本文に記載されたものと類似または同等の任意の方法及び材料も本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を本文に示している。
【0137】
I .用語
【0138】
本発明に記載された前記用語「化学発光免疫分析測定」は、電子的に励起された状態で生成物を生成することができる化学的な免疫反応を意味し、生成物の分子が放射性ジャンプまたはエネルギーを他の発光分子に伝達して該分子を再び放射性ジャンプを発生させる時、発光現象になることである。この化学エネルギーを吸収し、分子を電子励起させることによる発光現象は化学発光と呼ばれる。化学発光を利用して化学免疫分析及び被検物測定を行う方法は化学免疫分析測定法と呼ばれる。
【0139】
前記化学発光免疫分析測定法は非均質な化学発光免疫測定法に限らず、均質な化学発光免疫測定法であってもよい。液相化学発光分析測定法であってもよく、気相化学発光分析測定法であってもよく、または固相化学発光分析測定法であってもよい;好ましくは液相化学発光分析測定法である。一般的な化学発光分析測定法(エネルギー供給反応が一般的な化学反応)であってもよいし、生化学発光分析測定法(エネルギー供給反応が生化学反応)であってもよい;(略称BCL)、また、電気化学発光分析測定法(エネルギー供給反応が電気化学反応、略称ECL)等であってもよい;好ましくは一般的な化学発光分析測定法である。
【0140】
本発明に記載した前記用語「被検対象分子」は、抗原または抗体のような免疫分子、または金属イオン、過酸化水素、CN-またはNO2-のような無機化合物のいずれかであってもよい;また、有機化合物、例えばシュウ酸、アスコルビン酸、イミン、アセチルコリンなどであってもよい;糖類、例えばグルコースまたはラクトースであってもよい。また、アミノ酸、ホルモン、酵素、脂肪酸、ビタミン、薬物であってもよい。好ましくは免疫分子である。本発明に記載した前記用語「被検試料」は被検対象分子を含む。本発明に記載した前記用語「被検混合液」は被検試料を含む。
【0141】
本発明に記載された前記用語「化学発光免疫分析測定に必要な試薬」は、化学免疫反応が化学発光を起こすために必要な試薬であり、化学免疫反応が化学発光を起こすためには以下の条件を満たす必要がある:第1)該反応は十分な励起エネルギーを供給し、且つあるステップによって単独に供給される必要があり、というのは、前の反応で放出されたエネルギーは振動緩和により溶液中で消失し、発光しなくなるためである;第2)好ましい反応過程が必要であり、化学免疫反応のエネルギーを少なくとも一つの物質で受け取り、励起状態を生成する;第3)励起状態の分子が光子を放出するためには、ある種の化学発光量子効率を持つ必要があり、又は励起状態に入って光子を放出するように他の分子にエネルギーを移すことができる必要がある。
【0142】
化学発光免疫分析測定に必要な試薬としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:(1)化学発光免疫反応における反応物;(2)化学発光免疫反応における触媒、増感剤または阻害剤;(3)結合反応における反応物、触媒、増感剤などである。
【0143】
本発明に記載された前記用語「HD-HOOK効果」は、二重抗体サンドイッチの検出モードでは、検出対象物質の濃度が一定濃度に達した場合、二重抗体サンドイッチ複合体を形成することができないため、信号値が低くなる現象を起こすことである。すなわち、HD-HOOK効果は、二箇所サンドイッチ免疫実験において、その用量反応曲線の高用量セグメントは、そのリニアの行方がプラットフォームのように後ろに無限に延伸ではなく、フックのように下に曲がっているため、偽陰性の発生につながる現象のことで、フック効果とも呼ばれる。
【0144】
本発明に記載された前記用語「相次いで」は時間のことで、複数回の「励起」は時間単位によって区分されることを意味する。
【0145】
本発明に記載された前記用語「抗体」は最も広い意味で使い、任意のアイソタイプの抗体、抗原に対する特異的結合を保持する抗体断片を含み、Fab、Fv、scFv及びFd断片を含むがこれらに限定されないキメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、双特異的抗体、及び抗体の抗原結合部分と非抗体タンパク質とを含む融合タンパク質。必要となる場合、抗体はビオチンまたはストレプトアビジンのような他の部分とさらに共役してもよい。
【0146】
本発明に記載された前記用語「抗原」は、タンパク質、ポリペプチドなどの免疫原性物質を指す。代表的な抗原としては、以下のもの(ただし、これらに限定されない)が挙げられる:サイトカイン、腫瘍マーカー、メタロプロテイン、心血管糖尿病関連タンパク質など。用語「腫瘍マーカー」は、腫瘍の発生・増殖の過程で、腫瘍細胞自身、または腫瘍細胞に対する体の反応によって生成されたもので、腫瘍の存在や増殖を表す物質の一群を指す。当該分野の代表的な腫瘍マーカーとしては、α-フェトプロテイン(AFP)、癌抗原125(CA125)等が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。
【0147】
本発明に記載された前記用語「結合」は、共有結合、静電結合、疎水結合、イオン結合及び/または水素結合のような相互作用に起因する二つの分子間の直接的な結合を意味し、塩橋及び水橋のような相互作用を含むがこれらに限定されない。
【0148】
本発明に記載された前記用語「特異的結合」は、二つの物質間の相互識別と選択的結合反応のことで、立体構造から言えば、対応する反応物質間のコンフォメーション対応を指す。
【0149】
本発明に記載された前記用語「ビオチン」は、動植物の組織に広く存在し、その分子はイミダゾロン環とチオフェン環という二つの環状構造を持ち、それぞれはイミダゾロン環及びチオフェン環で、そのうち、イミダゾロン環がストレプトアビジンとの主な結合部位となっている。活性化ビオチンは、タンパク質架橋剤を介して、タンパク質、核酸、多糖類、脂質を含むすべての既知の生体分子に結合することができる;「ストレプトアビジン」は、ストレプトマイセスが分泌するタンパク質で、分子量は65kDである。「ストレプトアビジン」分子は、4本の同一のペプチド鎖で構成されており、それぞれがビオチンと結合している。したがって、各抗原または抗体は、複数のビオチン分子を同時にカップリングさせることができ、その結果、分析の感度を高める「触手効果」が得られる。
【0150】
必要になれば、本発明で使用される抗原、抗体、アクセプターまたはドナーを含む試薬のいずれかは、必要によって、ビオチンまたはストレプトアビジン等と共役させることができる。
【0151】
本発明に記載された前記用語「ドナー」は、エネルギーまたは活性化合物の活性化によって、アクセプターと反応する一重項酸素のような活性中間体を生成することができる増感剤のことである。ドナーは、光活性化(例えば、染料、芳香族化合物など)であってもよく、化学活性化(例えば、酵素、金属塩など)であってもよい。
【0152】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは光増感剤であり、前記光増感剤は、当技術分野で広く知られている光増感剤であってもよく、好ましくは、比較的光安定性が高く、一重項酸素と効果的に反応しない化合物である。非限定的な例としては、例えば、メチレンブルー、ローズレッド、ポルフィリン、フタロシアニン、及びクロロフィルのような、米国特許US5709994(該特許文献はその全体を本明細書に引用する)に開示されている化合物、及び1~50原子の置換基を有するこれらの化合物の誘導体が挙げられ、前記置換基は、これらの化合物をより親油性またはより親水性にするために使用され、及び/または特定の結合対のメンバーに結合したリンカー基として使用される。当業者に知られている光増感剤の他の例も、また、参考のために本明細書に組み込まれる米国特許US6406913に記載されているものなど、本発明で使用することができる。
【0153】
本発明の別の具体的な実施形態では、前記ドナーは、化学的に活性化された他の増感剤であり、その非限定的な例としては、過酸化水素の一重項酸素及び水への変換を触媒する特定の化合物が挙げられる。ドナーの他の例としては、1,4-ジカルボキシエチル-1,4-ナフタレンエンドペルオキシド、9,10-ジフェニルアントラセン-9,10-エンドペルオキシド等が挙げられ、これらの化合物を加熱したり、これらの化合物が光を直接吸収することにより、一重項酸素が放出される。
【0154】
本発明に記載された前記用語「アクセプター」は、一重項酸素と反応して検出可能なシグナルを生成することができる化合物を意味する。ドナーは、エネルギーまたは活性化合物によって誘導されて、高エネルギー状態の一重項酸素を活性化して放出し、該高エネルギー状態の一重項酸素は近接したアクセプターによって捕捉され、前記アクセプターを活性化するためにエネルギーを伝達する。
【0155】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記アクセプターは次のような物質である:一重項酸素との化学反応を経て不安定なサブステーブル中間体を形成し、前記不安定なサブステーブル中間体が分解でき、分解すると同時にまたはその後に発光する。これらの物質の代表的な例としては、エノールエーテル、エナミン、9-アルキリデン-キサンタンガム、9-アルキリデン-N-アルキルアクリジン、アリールエトキシレート、ジエポキシエチレン、ジメチルチオフェン、芳香族イミダゾール、または光沢スピリッツなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0156】
本発明の他の具体的な実施形態では、前記アクセプターは、一重項酸素と反応してヒドロペルオキシドまたはジオキソシクロブタンを形成し、ケトンまたはカルボン酸誘導体に分解されるオレフィン;光の作用で分解できる安定なジオキシシクロブタン;一重項酸素と反応してジケトンを形成することができるエチニル;ルミノなどのアゾ化合物またはアゾカルボニル化合物を形成するヒドラゾン類またはヒドラジド類;エンドペルオキシドを形成することができる芳香族化合物。本開示及び特許請求の範囲で保護された発明に利用されるアクセプターの具体的な、非限定的な例は、米国特許US5340716号(該特許文献はその全体を本明細書に引用する)に記載されている。
【0157】
本発明の他の具体的な実施形態では、前記「ドナー」及び/又は「アクセプター」は、官能基によって基質上に被覆されて「ドナー微小球」及び/又は「アクセプター微小球」を形成することできる。本発明で言及される「基質」は、当業者にはよく知られた微小球または粒子で、任意の大きさであってもよく、有機物であっても無機物であってもよく、膨潤性であっても非膨潤性であってもよく、多孔質であっても非多孔質であってもよく、任意の密度を有しているが、好ましくは水の密度に近い密度を有しており、好ましくは水中に浮遊しており、透明、部分的に透明、または不透明な材料からなる。前記基質は、電荷があってもなくてもよく、電荷を有する場合には、負電荷が好ましい。前記基質は、固体(例えば、ポリマー、金属、ガラス、鉱物、塩、珪藻類などの有機物、無機物)、小油滴(例えば、炭化水素、フルオロカーボン、シリコーンオイル)、小胞(例えば、リン脂質などの合成物、または細胞、細胞器官などの天然物)などであってもよい。基質としては、ラテックス粒子などの有機または無機ポリマーを含む粒子、リポソームなどの脂質二重膜、リン脂質小胞、小油滴、シリコン粒子、金属ゾル、細胞、微結晶色素などであってもよい。基質は、多くの場合、多機能であるか、または特定または非特異的な共有結合または非共有結合の相互作用を介してドナーまたはアクセプターに結合することが可能である。多くの官能基団が利用でき、またはそれを合併するものである。代表的な官能基としては、カルボン酸基、アセトアルデヒド基、アミノ基、シアノ基、ビニル基、水酸基、スルフヒドリル基などが挙げられる。本発明の基質に適用可能な非限定的な例としては、カルボキシ変性ラテックス粒子が挙げられる。この基質の詳細は、米国特許US5709994及びUS5780646(これらの両方は、参照によりその全体を本明細書に引用する)に記載されている。
【0158】
II .具体的な解決手段
【0159】
二重抗体サンドイッチの基本原理:
【0160】
二重抗体サンドイッチの基本原理は当業者に知られたものである。一般のやり方として、一次抗体を固相担体に固定化し、一次抗体と抗原を反応させ、次いで標識した二次抗体と反応させ、最後に化学発光反応や酵素比色反応を行って信号を検出する。
【0161】
次に本発明を詳しく説明する。
【0162】
本発明の第一の側面に関わる免疫測定方法は、以下のステップを含む。
【0163】
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光免疫に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
【0164】
(2)前記被検混合物を化学発光させるようにt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0165】
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0166】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及びステップ(2)とステップ(3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;ここで、前記標準物質の濃度はHOOK効果が発生した濃度よりも低い;
【0167】
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0168】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0169】
本発明の一部の実施形態では、前記増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である。
【0170】
本発明の別の一部の実施形態では、前記nは2より大きい。例えば、nは3、4又は5などであってもよい。本発明では、前記nが2より大きい場合には、前記方法が検出する感度が高く、且つHD-HOOK効果も強い。
【0171】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(5)は以下の通りである:ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較する;
【0172】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0173】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0174】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0175】
本発明の別の一部の実施形態では、前記pは1で、qはnである。
【0176】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応は均質な化学発光反応である。
【0177】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、化学発光反応の発生に必要な試薬としては、アクセプター試薬とドナー試薬を含む;ここで:
【0178】
前記ドナー試薬はドナーを含み、前記ドナーは励起状態で単線状態の酸素を発生させることができる;
【0179】
前記アクセプター試薬はアクセプターを含み、前記アクセプターは単線状態の酸素と反応して検出可能の化学発光信号値を生成することができる。
【0180】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、発光性化合物とランタニド化合物とを充填した高分子粒子である。
【0181】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記発光性化合物はオレフィン化合物、好ましくはジメチルチオフェン、ジブチルジケテン化合物、ジオキサン、アリルエーテル、アリルアミン、9-アルキリデンパリデン、9-アルキリデンN-9,10ジヒドロアクリジン、アリールエーテル、アリールイミダゾール及び光沢アルギン及びそれらの誘導体から選択され、より好ましくは、ジメチルチオフェン及びその誘導体から選択される。
【0182】
本発明の別の一部の好ましい実施形態では、前記ランタニド化合物はユーロピウム錯体である。
【0183】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、オレフィン化合物と金属キレートを含み、それは、非粒子状で、且つ水性媒体に可溶である。
【0184】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記アクセプターは被検対象分子の第一特定結合物に直接または間接的に結合する。
【0185】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは感光性化合物を充填した高分子粒子で、赤色レーザーで励起すると一重項酸素を生成することができる。
【0186】
本発明の別の一部の実施形態では、前記感光性化合物は、メチレンブルー、ローズレッド、ポルフィリン、フタロシアニンから選ばれる。
【0187】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは直接または間接的にマーカーに結合している。
【0188】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応の発生に必要な試薬はまた、被検対象分子の第二特異的結合物試薬を含む;好ましくは、前記被検対象分子の第二特異的結合物は、マーカーの特異的結合物に直接または間接的に結合する。
【0189】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、まずは被検対象分子を含む被検試料をアクセプター試薬及び被検対象分子の第二特異的結合物試薬を混合した後で、ドナー試薬と混合する。
【0190】
本発明の一部の具体的な実施形態では、ステップ(2)において、エネルギー及び/又は活性化合物を利用して被検混合物の化学発光を励起する;好ましくは、被検混合物に600~700nmの赤色励起光を照射して化学発光に励起させる。
【0191】
本発明の別の具体的な実施形態では、ステップ(2)において、前記化学発光信号値の検出波長は、520~620nmと記録する。
【0192】
本発明の一部の実施形態では、前記被検対象分子は抗原または抗体である;ここで、前記抗原とは免疫原性の物質のことで、抗体とは特定の異物を認識できる体内で生み出した免疫グロブリンのことである。
【0193】
本発明の別の一部の実施形態では、前記標準物質はポジティブコントロールである。
【0194】
本発明の別の具体的な実施形態では、前記方法は具体的に以下のステップからなる:
【0195】
(a1)被検抗原(または抗体)の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
【0196】
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0197】
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録し、増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である;
【0198】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロール及びステップ(a2)とステップ(a3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0199】
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(a4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0200】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0201】
本発明の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記Aによって、測定対象分子の濃度が標準曲線の上昇空間にあるか下降空間にあるかを判断し、その対応する標準曲線に測定対象分子のRLUmを代入して濃度を算出する。
【0202】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記増幅Aを前記標準曲線と比較する;
【0203】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0204】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0205】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0206】
本発明の第二の側面に関わる化学発光分析測定法を使用するシステムであって、以下を含む:
【0207】
化学発光反応を行うための反応装置;
【0208】
前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する励起及び読み取り装置;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0209】
被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及び任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成するプロセッサ;前記増幅Aを前記標準曲線と比較して測定対象分子の濃度を決定する;
【0210】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0211】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記システムの使用方法は以下のステップからなる:
【0212】
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光免疫に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
【0213】
(2)前記被検混合物を化学発光させるように相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0214】
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0215】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及びステップ(2)とステップ(3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0216】
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0217】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0218】
本発明の一部の実施形態では、前記増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である。
【0219】
本発明の別の一部の実施形態では、前記nは2より大きい。例えば、nは3、4又は5などであってもよい。本発明では、前記nが2より大きい場合には、前記方法が検出する感度が高く、且つHD-HOOK効果も強い。
【0220】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(5)は以下の通りである:ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較する;
【0221】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0222】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0223】
ここで,t、n、m、k、pとqはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,p≦q≦n,n≧2である。
【0224】
本発明の別の一部の実施形態では、前記pは1で、qはnである。
【0225】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応は均質な化学発光反応である。
【0226】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、化学発光反応の発生に必要な試薬としては、アクセプター試薬とドナー試薬を含む;ここで:
【0227】
前記ドナー試薬はドナーを含み、前記ドナーは励起状態で単線状態の酸素を発生させることができる;
【0228】
前記アクセプター試薬はアクセプターを含み、前記アクセプターは単線状態の酸素と反応して検出可能の化学発光信号値を生成することができる。
【0229】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、発光性化合物とランタニド化合物とを充填した高分子粒子である。
【0230】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記発光性化合物はオレフィン化合物、好ましくはジメチルチオフェン、ジブチルジケテン化合物、ジオキサン、アリルエーテル、アリルアミン、9-アルキリデンパリデン、9-アルキリデンN-9,10ジヒドロアクリジン、アリールエーテル、アリールイミダゾール及び光沢アルギン及びそれらの誘導体から選択され、より好ましくは、ジメチルチオフェン及びその誘導体から選択される。
【0231】
本発明の別の一部の好ましい実施形態では、前記ランタニド化合物はユーロピウム錯体である。
【0232】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、オレフィン化合物と金属キレートを含み、それは、非粒子状で、且つ水性媒体に可溶である。
【0233】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記アクセプターは被検対象分子の第一特定結合物に直接または間接的に結合する。
【0234】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは感光性化合物を充填した高分子粒子で、赤色レーザーで励起すると一重項酸素を生成することができる。
【0235】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記感光性化合物は、メチレンブルー、ローズレッド、ポルフィリン、フタロシアニンから選ばれる。
【0236】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは直接または間接的にマーカーに結合している。
【0237】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応の発生に必要な試薬はまた、被検対象分子の第二特異的結合物試薬を含む;好ましくは、前記被検対象分子の第二特異的結合物は、マーカーの特異的結合物に直接または間接的に結合する。
【0238】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、まずは被検対象分子を含む被検試料をアクセプター試薬及び被検対象分子の第二特異的結合物試薬を混合した後で、ドナー試薬と混合する。
【0239】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(2)において、エネルギー及び/又は活性化合物を利用して被検混合物の化学発光を励起する;好ましくは、被検混合物に600~700nmの赤色励起光を照射して化学発光に励起させる。
【0240】
本発明の別の実施形態では、ステップ(2)において、前記化学発光信号値の検出波長は、520~620nmと記録する。
【0241】
本発明の一部の実施形態では、前記被検対象分子は抗原または抗体である;ここで、前記抗原とは免疫原性の物質のことで、抗体とは特定の異物を認識できる体内で生み出した免疫グロブリンのことである。
【0242】
本発明の別の一部の実施形態では、前記標準物質はポジティブコントロールである。
【0243】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記方法は具体的に以下のステップからなる:
【0244】
(a1)被検抗原(または抗体)の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
【0245】
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0246】
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録し、増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である;
【0247】
(a4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロール及びステップ(a2)とステップ(a3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0248】
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(a4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0249】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0250】
本発明の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記Aによって、測定対象分子の濃度が標準曲線の上昇空間にあるか下降空間にあるかを判断し、その対応する標準曲線に測定対象分子のRLUmを代入して濃度を算出する。
【0251】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記増幅Aを前記標準曲線と比較する;
【0252】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0253】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0254】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0255】
本発明の第三の側面に関わる化学発光分析測定に必要な試薬を含む試薬キットであって、その使用方法は以下のステップからなる:
【0256】
(1)被検対象分子の含有を疑われる被検試料を、化学発光発光に必要な試薬と混合し、反応させて被検混合物を形成する;
【0257】
(2)前記被検混合物を化学発光させるようにt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録する;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0258】
(3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録する;
【0259】
(4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知の標準物質及びステップ(2)とステップ(3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0260】
(5)ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0261】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0262】
本発明の一部の実施形態では、前記増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である。
【0263】
本発明の別の一部の実施形態では、前記nは2より大きい。例えば、nは3、4又は5などであってもよい。本発明では、前記nが2より大きい場合には、前記試薬キットが検出する感度が高く、且つHD-HOOK効果も強い。
【0264】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(5)は以下の通りである:ステップ(3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(4)で得られた前記標準曲線とを比較する;
【0265】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0266】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0267】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0268】
本発明の別の一部の実施形態では、前記pは1で、qはnである。
【0269】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応は均質な化学発光反応である。
【0270】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、化学発光反応の発生に必要な試薬としては、アクセプター試薬とドナー試薬を含む;ここで:
【0271】
前記ドナー試薬はドナーを含み、前記ドナーは励起状態で単線状態の酸素を発生させることができる;
【0272】
前記アクセプター試薬はアクセプターを含み、前記アクセプターは単線状態の酸素と反応して検出可能の化学発光信号値を生成することができる。
【0273】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、発光性化合物とランタニド化合物とを充填した高分子粒子である。
【0274】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記発光性化合物はオレフィン化合物、好ましくはジメチルチオフェン、ジブチルジケテン化合物、ジオキサン、アリルエーテル、アリルアミン、9-アルキリデンパリデン、9-アルキリデンN-9,10ジヒドロアクリジン、アリールエーテル、アリールイミダゾール及び光沢アルギン及びそれらの誘導体から選択され、より好ましくは、ジメチルチオフェン及びその誘導体から選択される。
【0275】
本発明の別の一部の好ましい実施形態では、前記ランタニド化合物はユーロピウム錯体である。
【0276】
本発明の一部の実施形態では、前記アクセプターは、オレフィン化合物と金属キレートを含み、それは、非粒子状で、且つ水性媒体に可溶である。
【0277】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記アクセプターは被検対象分子の第一特定結合物に直接または間接的に結合する。
【0278】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは感光性化合物を充填した高分子粒子で、赤色レーザーで励起すると一重項酸素を生成することができる。
【0279】
本発明の一部の好ましい実施形態では、前記感光性化合物は、メチレンブルー、ローズレッド、ポルフィリン、フタロシアニンから選ばれる。
【0280】
本発明の一部の実施形態では、前記ドナーは直接または間接的にマーカーに結合している。
【0281】
本発明の一部の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、前記化学発光反応の発生に必要な試薬はまた、被検対象分子の第二特異的結合物試薬を含む;好ましくは、前記被検対象分子の第二特異的結合物は、マーカーの特異的結合物に直接または間接的に結合する。
【0282】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(1)において、まずは被検対象分子を含む被検試料をアクセプター試薬及び被検対象分子の第二特異的結合物試薬を混合した後で、ドナー試薬と混合する。
【0283】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(2)において、エネルギー及び/又は活性化合物を利用して被検混合物の化学発光を励起する;好ましくは、被検混合物に600~700nmの赤色励起光を照射して化学発光に励起させる。
【0284】
本発明の別の実施形態では、ステップ(2)において、前記化学発光信号値の検出波長は、520~620nmと記録する。
【0285】
本発明の一部の実施形態では、前記被検対象分子は抗原または抗体である;ここで、前記抗原とは免疫原性の物質のことで、抗体とは特定の異物を認識できる体内で生み出した免疫グロブリンのことである。
【0286】
本発明の別の一部の実施形態では、前記標準物質はポジティブコントロールである。
【0287】
本発明の一部の具体的な実施形態では、前記試薬キットの使用方法は具体的に以下のステップからなる:
【0288】
(a1)被検抗原(または抗体)の含有を疑われる被検試料をアクセプター試薬と混合し、一回目の保温培養を行う;さらに一回目の保温培養で取得した混合液をドナー試薬と混合し、二回目の保温培養を行い、被検混合物を形成させる;
【0289】
(a2)前記被検混合物を化学発光させるように600~700nmの赤色励起光を照射して相次いでt回励起し、前記化学発光の信号値をn回記録し、検出波長は520~620nmである;ここで、n回目に記録された化学発光信号値は、読み取り値RLUnとして記録する;
【0290】
(a3)前記n回記録された化学発光信号値の中から任意の二回信号値を選択し、読み取り値として、それぞれRLUm及びRLUkと記録し、そして、RLUmとRLUkの増幅差分をAとして記録し、増幅A=(RLUm/RLUk-1)×100%である;
【0291】
(a4)被検対象分子を含有する一連の濃度既知のポジティブコントロール及びステップ(a2)とステップ(a3)の任意二回の反応読み取り値RLUm’とRLUk’の増幅差分A’によって標準曲線を作成する;
【0292】
(a5)ステップ(a3)で得られた前記増幅Aと、ステップ(a4)で得られた前記標準曲線とを比較して、測定対象分子の濃度を決定する;
【0293】
ここで、t,n,m,kはいずれも0より大きい自然数で、且つk<m≦n≦t,n≧2である。
【0294】
本発明の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記A値によって、測定対象分子の濃度が標準曲線の上昇空間にあるか下降空間にあるかを判断し、その対応する標準曲線に測定対象分子のRLUmを代入して濃度を算出する。
【0295】
本発明の別の一部の実施形態では、前記ステップ(a5)は以下の通りである:前記増幅Aを前記標準曲線と比較する;
【0296】
前記増幅Aが前記標準曲線の上昇空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を停止し、p回目の読み取り値RLUpを上記の標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0297】
前記増幅Aが前記標準曲線の下降空間内にあった場合、前記ステップ(a2)を続けて、記録したq回目反応の読み取り値RLUpを標準曲線に直接代入して、測定対象分子の濃度を算出する;
【0298】
ここで、pとqは0より大きい自然数で、p≦q≦nである。
【0299】
本発明の第四の側面は、本発明の第一の側面に記載の方法、本発明の第二の側面に記載のシステム、または本発明の第三の側面に記載のキットのAFP検査における応用に関する。
【0300】
尚、上記の方法は、非疾患診断目的のためのものであり、前記方法は二重抗体サンドイッチ免疫測定または二重抗原サンドイッチ免疫測定に用いられ、複数回の読み取りを通して、任意の二回の読み取り値を選択して検出範囲を拡大し、それをHD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料として示す。
【0301】
好ましくは、前記抗原は、免疫原性を有する物質を指す。例えば、タンパク質、ペプチドである。代表的な抗原としては、以下のもの(ただし、これらに限定されない)が挙げられる:サイトカイン、腫瘍マーカー、メタロプロテイン、心血管糖尿病関連タンパク質など。
【0302】
前記抗体とは特定の異物を認識できる体内で生み出した免疫グロブリンのことである。
【0303】
本発明において、抗原または抗体は、α-フェトプロテイン(AFP)、B型肝炎ウイルス表面抗体(HBsAb)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン・βサブユニット(HCG+β)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、がん抗原125(CA125)、C-ペプチド(CP)、フェリチン((Ferr)、抗HCV等から選択されてもよい。
【0304】
本発明の方法で検出できる試料は特に限定されず、検査対象となる標的抗原(または抗体)を含む任意の試料であってもよく、その代表例としては、血清試料、尿試料、唾液試料等を挙げることができる。 本発明の好ましい試料は、血清試料である。
【0305】
好ましくは、前記マーカーはマーカー特異的結合物との間で特異的に結合することができる。
【0306】
より好ましくは、前記マーカーはビオチンであり、前記マーカー特異的結合物はストレプトアビジンである。
【0307】
好ましくは、前記アクセプターは、発光性化合物とランタニド化合物とを充填した高分子粒子である。発光性化合物としては、Dioxene(ジオキサン)やthioxene(ジメチルチオフェン)等の誘導体であってもよく、ランタノイド化合物は、Eu(TTA)3/TOPO或Eu(TTA)3/Phenであってもよく、該粒子は市販されている。アクセプターの表面官能基は、タンパク質を連結することができる公知の種々の基、例えば、カルボキシル基、アルデヒド基、アミン基、エチレンオキシド基、またはハロアルキル基のいずれであってもよい。
【0308】
好ましくは、前記ドナーは感光性化合物を充填した高分子粒子で、赤色レーザーで励起すると一重項酸素を生成することができる。アクセプターに十分に近づくと、一重項酸素イオンがアクセプターに運ばれ、アクセプター中の発光化合物と反応して紫外線を発生させ、紫外線はさらにランタノイド化合物を励起し、特定の波長の光子を発生させる。感光性化合物としては、フタロシアニン色素等であってもよく、該粒子は市販されている。
【0309】
検出範囲では、被検抗原の濃度は、二重抗体サンドイッチ複合体の数で表され、光子の数に比例する;しかし、被検抗原の濃度が高すぎると、被検抗原の一部が単一の抗体に結合してしまい、二重抗体サンドイッチ複合体が減少してしまい、被検抗原の真の濃度を反映することができない低光量の信号となってしまう。
【0310】
同様に、検出範囲では、被検抗体の濃度は、二重抗原サンドイッチ複合体の数で表され、光子の数に比例する;しかし、被検抗体の濃度が高すぎると、被検抗体の一部が単一の抗原に結合してしまい、二重抗体サンドイッチ複合体が減少してしまい、被検抗体の真の濃度を反映することができない低光量の信号となってしまう。
【0311】
本発明に記載の方法は、複数回の読み取りを通して、任意の二回の読み取り値を選択して検出範囲を拡大し、それをHD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料として示す。ここで、二回分の読み取り値の差異は以下の三つの要因で決まる。
【0312】
第1)最初の読み取りでは、ドナーに赤色レーザー(600~700nm)が照射され、一重項酸素イオンが放出される。一重項酸素イオンの一部は、アクセプターに送達され、一連の化学反応を経て、520~620nmの高エネルギーレベルの光を放出する;一重項酸素イオンの一部が、抗体(または抗原)に結合していない被検抗原(または抗体)と反応して、検査対象の抗原(または抗体)の濃度が低下する。低濃度の場合は、被検抗原(または抗体)の濃度低下後に、二重抗体サンドイッチ複合体が減少し、二回目の読み取り信号値が低下する;高濃度の場合、被検抗原(または抗体)の濃度が低下し、二重抗体サンドイッチ複合体が増加し、二回目の読み取り信号値が上昇する。
【0313】
第2)低濃度の場合、ドナーは一回目の読み取り中に赤色レーザー(600~700nm)に照射され、一重項酸素イオンを放出してから、そのエネルギーが減少し、二回目の読み取り信号が低下する。
【0314】
第3)HD-HOOK効果では、最初の読み取りに、抗原抗体応答はまだ平衡に達しておらず、二回の読み取り間隔内に、応答は正の方向に進み、二回目の読み取りには信号が増強する。
【0315】
以上に述べたように、本発明は、反応が平衡に達していないときに最初の読み取りを行い、ドナーは励起光に照射され、一重項酸素を放出し、その一部はアクセプターに送達され、その一部は未結合の被検抗原または抗体と反応することによって、被検抗原や抗体の一部を消耗し、反応平衡を逆方向に移動させ、一方、ドナーは一回の励起で消耗し、二回目の読み取りでは、被検抗原や抗体の濃度が低い試料の信号値が低下する;濃度が高い試料の二重抗体サンドイッチ複合体の結合は、最初の読み取りでは平衡に達していないのに対し、二回目の読み取りでは反応が正の方向に移動するため、信号が上昇する。
【0316】
III .実施例
【0317】
本発明をより理解しやすくするために、実施例によってさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものに過ぎず、本発明の適用範囲を限定するものではない。 本発明で使用する原料または成分は、特別の説明がない限り、一般の方法により製造することができる。
【0318】
実施例1:従来法及び本発明による方法でそれぞれα-フェトプロテイン(AFP)試料の検出
【0319】
本実施例では、博陽生物科技(上海)有限公司製のα-フェトプロテイン(AFP)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるα-フェトプロテイン含有量を検出する。
【0320】
高濃度のα-フェトプロテイン抗原をグラジエントで希釈し、異なる濃度のα-フェトプロテインを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0321】
従来法は以下のステップを含む:
【0322】
既知濃度の被験試料(既知の標準物質)を、試薬1(マウスモノクローナル抗体共役レセプター溶液)と試薬2(ビオチン共役マウスモノクローナル抗体溶液)とを混合し、37℃で15min保温培養する;その後、試薬3(ストレプトアビジンに結合したドナー溶液)を添加し、37℃で10min保温培養して反応液を得る;反応液にレーザーを照射し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、結果を表1に示す。
【0323】
本発明の複数回読み取り法のステップは以下の通りである:
【0324】
既知濃度の被験試料(既知の標準物質)を、試薬1(マウスモノクローナル抗体共役レセプター溶液)と試薬2(ビオチン共役マウスモノクローナル抗体溶液)とを混合し、37℃で15min保温培養し、RLU1(1min)を読み取り、37℃でさらに保温培養し、RLU2(5min)を読み取り、37℃でさらに保温培養し、3回の保温培養時間は10minに積算した場合、さらに読み取り、RLU3(10min)を読み取り、37℃でさらに保温培養し、4回の保温培養時間は20minに積算した場合、さらに読み取り、RLU4(20min)を読み取り、そして、信号読取値のうち二つを選択して、二回の信号増幅差分A=(RLUm/RLUk-1)×100%、k<m≦nである。検出結果は表1に示す。
【0325】
【0326】
表1から分かるように、信号値は濃度が50ng/mlから51,200ng/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値はα-フェトタンパク質濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は51,200ng/mlを超えるとHD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも51,200ng/ml未満)と報告される。
【0327】
本発明に記載の方法は、複数回の読み取りを通して、任意の二回の読み取り値を選択して検出範囲を拡大し、それをHD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料として示す。一連の既知濃度の試料を検出して信号値結果を得て、濃度とそれに対応する信号値及び増幅Aをそれぞれ標準曲線に作成する(それぞれ
図1及び
図2に示す)。
【0328】
RLU2(5min))及び二回目の読み取りから得られた被測試料RLU4(20min))とRLU1(1min))を選択して、増幅A=(RLU4/RLU1-1)×1000%を算出し、それを被測試料の濃度区間を判定する指標の一つとする。表1及び
図1から分かるように、信号値は濃度に伴って、51,200ng/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇する(
図2参照)。本発明の検出方法で被検試料のRLU1(1min)、RLU2(5min)、RLU3(10min)、RLU4(20min)とAを得る。フルスケール(例えば0-3,276,800ng/ml)のRLU2(5min)とA標準曲線を作成し、次に、測定対象物質のRLU2(5min)を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する。
【0329】
あるいは、二回の読み取り値から得られた被測試料RLU2(5min)とRLU1(1min)を選択して、RLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を算出し、それを被測試料の濃度区間を判定する指標の一つとする。表1及び
図1から分かるように、信号値は濃度に伴って、51,200ng/m(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇する(
図2参照)。本発明の検出方法で被検試料のRLU1(1min)、RLU2(5min)を得て,Aを計算し、試料は信号上昇空間にある場合は、それ以上の読み取りをせず、被検試料の1min信号値をRLU1(1min)と濃度との標準曲線において濃度を計算し、試料は信号下降空間にある場合は、被検試料の読み取り値をRLU4(20min)濃度との標準曲線において濃度を計算する。
【0330】
実施例2:従来法及び本発明による方法でそれぞれヒト絨毛性ゴナドトロピン及びβサブユニット(HCG+β)試料の検出
【0331】
博陽生物科技(上海)有限公司製のヒト絨毛性ゴナドトロピン及びβサブユニット(HCG+β)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるヒト絨毛性ゴナドトロピン及びβサブユニットの含有量を検出する。
【0332】
高濃度のヒト絨毛性ゴナドトロピン及びβサブユニットをグラジエントで希釈し、異なる濃度のヒト絨毛性ゴナドトロピン及びβサブユニットを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0333】
従来法:既知濃度の被験試料を、試薬1(マウスモノクローナル抗体共役レセプター溶液)と試薬2(ビオチン共役マウスモノクローナル抗体溶液)とを混合し、37℃で15min保温培養する;その後、試薬3(ストレプトアビジンに結合したドナー溶液)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、結果を表2に示す。
【0334】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬2(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)と、37℃で10min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表2と
図3に示す。
【0335】
【0336】
表2から分かるように、信号値は濃度が100mIU/mlから102,400mIU/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値はヒト絨毛性ゴナドトロピン及びβサブユニット濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は102,400mIU/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも102,400mIU/ml未満)と報告される。
【0337】
本発明に記載の方法は、二回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表2及び
図3から分かるように、信号値は濃度に伴って、51,200mIU/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0338】
フルスケール(例えば0~6,553,600mIU/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図3参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する。
【0339】
実施例3:従来法及び本発明による方法でそれぞれフェリチン(Ferr)試料の検出
【0340】
博陽生物科技(上海)有限公司製のフェリチン(Ferr)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるフェリチン含有量を検出する。
【0341】
高濃度のフェリチン抗原をグラジエントで希釈し、異なる濃度のフェリチンを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0342】
従来法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬2(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)とを反応カップに入れ、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、検出結果は表3に示す。
【0343】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬3(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)と、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表3と
図4に示す。
【0344】
【0345】
表3から分かるように、信号値は濃度が50ng/mlから51,200ng/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値はフェリチン濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は51,200ng/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも51,200ng/ml未満)と報告される。
【0346】
本発明に記載の方法は、3回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表3及び
図4から分かるように、信号値は濃度に伴って、51,200ng/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0347】
フルスケール(例えば0~3,276,800ng/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図4参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する
【0348】
実施例4:従来法及び本発明による方法でそれぞれ免疫不全ウイルス抗体(anti-HIV)試料の検出
【0349】
博陽生物科技(上海)有限公司製の免疫不全ウイルス抗体(anti-HIV)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれる免疫不全ウイルス抗体の含有量を検出する。
【0350】
高濃度の免疫不全ウイルス抗体をグラジエントで希釈し、異なる濃度の免疫不全ウイルス抗体を含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0351】
従来法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光試薬、すなわち、HIV抗原を被覆した発光粒子)と試薬2(ビオチン試薬、すなわちビオチン標識HIV抗原)とを反応カップに入れ、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、検出結果は表4に示す。
【0352】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光試薬、すなわち、HIV抗原を被覆した発光粒子)と試薬4(ビオチン試薬、すなわちビオチン標識HIV抗原)と、37℃で10min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表4と
図5に示す。
【0353】
【0354】
表4から分かるように、信号値は濃度が25ng/mlから25600ng/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値は免疫不全ウイルス抗体濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は25600ng/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも25600ng/ml未満)と報告される。
【0355】
本発明に記載の方法は、4回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表4及び
図5から分かるように、信号値は濃度に伴って、25600ng/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0356】
フルスケール(例えば0~1638400ng/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図5参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する
【0357】
実施例5:従来法及び本発明による方法でそれぞれミオグロビン(MYO)試料の検出
【0358】
博陽生物科技(上海)有限公司製のミオグロビン(MYO)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるミオグロビン含有量を検出する。
【0359】
高濃度のミオグロビン抗原をグラジエントで希釈し、異なる濃度のミオグロビンを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0360】
従来法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬2(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)とを反応カップに入れ、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、検出結果は表5に示す。
【0361】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬5(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)と、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表5と
図6に示す。
【0362】
【0363】
表5から分かるように、信号値は濃度が6ng/mlから25600ng/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値は免疫不全ウイルス抗体濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は25600ng/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも25600ng/ml未満)と報告される。
【0364】
本発明に記載の方法は、二回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表5及び
図6から分かるように、信号値は濃度に伴って、25600ng/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0365】
フルスケール(例えば0~409,600ng/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図6参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する。
【0366】
実施例6:従来法及び本発明による方法でそれぞれN末端心房性ナトリウレチンペプチド(NT-proBNP)試料の検出
【0367】
博陽生物科技(上海)有限公司製のN末端心房性ナトリウレチンペプチド(NT-proBNP)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるN末端心房性ナトリウレチンペプチドの含有量を検出する。
【0368】
高濃度のN末端心房性ナトリウレチンペプチド抗原をグラジエントで希釈し、異なる濃度のN末端心房性ナトリウレチンペプチドを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0369】
従来法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬2(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)とを反応カップに入れ、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、検出結果は表6に示す。
【0370】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬6(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)と、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表6と
図7に示す。
【0371】
【0372】
表6から分かるように、信号値は濃度が62.5pg/mlから256000pg/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値はN末端心房性ナトリウレチンペプチド濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は256000pg/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも256000pg/ml未満)と報告される。
【0373】
本発明に記載の方法は、二回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表6及び
図7から分かるように、信号値は濃度に伴って、256000pg/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0374】
フルスケール(例えば0~4096000pg/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図7参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する。
【0375】
実施例7:従来法及び本発明による方法でそれぞれカルシトニン(PCT)試料の検出
【0376】
博陽生物科技(上海)有限公司製のカルシトニン(PCT)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるカルシトニン含有量を検出する。
【0377】
高濃度のカルシトニン抗原をグラジエントで希釈し、異なる濃度のカルシトニンを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0378】
従来法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬2(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)とを反応カップに入れ、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、検出結果は表7に示す。
【0379】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬7(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)と、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表7と
図8に示す。
【0380】
【0381】
表7から分かるように、信号値は濃度が1ng/mlから12,500ng/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値はカルシトニン濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は12,500ng/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも12,500ng/ml未満)と報告される。
【0382】
本発明に記載の方法は、二回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表7及び
図8から分かるように、信号値は濃度に伴って、12,500ng/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0383】
フルスケール(例えば0~312,500ng/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図8参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する
【0384】
実施例8:従来法及び本発明による方法でそれぞれトロポニンI(cTnI)試料の検出
【0385】
博陽生物科技(上海)有限公司製のトロポニンI(cTnI)検出キット(化学発光法)を使用して、試料に含まれるトロポニンI含有量を検出する。
【0386】
高濃度のトロポニンI抗原をグラジエントで希釈し、異なる濃度のトロポニンIを含む試料の信号値を、従来法と本発明の検出法でそれぞれ検出する。
【0387】
従来法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬2(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)とを反応カップに入れ、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で10min保温培養し、フォトンカウンターで読み取り、RLUを読み取り、検出結果は表8に示す。
【0388】
本発明の二回読み取り法:既知濃度の被験試料を試薬1(発光抗体、すなわち、マウスモノクローナル抗体コート発光粒子)と試薬8(ビオチン標識抗体、すなわち、ビオチン標識マウスモノクローナル抗体)と、37℃で15min保温培養し、LiCA汎用液(ストレプトアビジン標識感光性粒子)を添加し、37℃で3min保温培養し、RLU1を読み取り、さらに37℃で7min保温培養し、RLU2を読み取り、二回目の信号値増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を計算し、検出結果は表8と
図9に示す。
【0389】
【0390】
表8から分かるように、信号値は濃度が0.2ng/mlから500ng/mlになるにつれて増加し、濃度はさらに上昇し、信号値はトロポニンI濃度の増加に伴って減少し、すなわち、濃度は500ng/mlを超えると(この濃度をHD-HOOK変曲点と定義し、その増加をA0と定義する)HD-HOOKであり、従来法では、抗原濃度はこの検出範囲を超える試料が低濃度(報告濃度はいずれも500ng/ml未満)と報告される。
【0391】
本発明に記載の方法は、二回の読み取りを通して、HD-HOOK試料又は検出範囲を超えた試料を示す。各被検試料の信号値の結果はRLU1とRLU2であり、二回目の読み取りにおけるRLU増幅A=(RLU2/RLU1-1)×100%を、試料の濃度区間を決定する指標の一つとする。表8及び
図9から分かるように、信号値は濃度に伴って、500ng/ml(上昇空間と定義される)まで上昇し、その後、濃度の増加に伴って信号値が低下し始める(低下空間と定義される)、しかし、増幅Aは濃度とともに連続的に上昇するものである。本発明の検出方法で被検試料のRLU1、RLU2とAを得る。
【0392】
フルスケール(例えば0~62,500ng/ml)のRLU2とA標準曲線を作成する(
図9参照)、まず、被検物Aの値によって、濃度が上昇区間にあるか下降区間にあるかを判断し、次に、測定対象物質のRLU2を対応する標準曲線に代入し、正確な濃度を算出する。
【0393】
なお、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、典型的な実施形態を参照して説明されるが、そこで使用される用語は、限定的な用語ではなく、説明的な用語であることが理解すべきである。本発明の実施形態を説明したが、本発明は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明の特許請求の範囲に記載された範囲内で変更することができる。本明細書に記載された本発明は、特定の方法、材料、及び実施形態に関するものであるが、これは、本発明がそこに開示された特定の例に限定されることを意味するものではなく、むしろ、本発明は、同じ機能を有する他のすべての方法及び応用に拡大できると意味する。