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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】除害方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/68 20060101AFI20240515BHJP
   B01D 53/74 20060101ALI20240515BHJP
   F23G 7/06 20060101ALN20240515BHJP
【FI】
B01D53/68 200
B01D53/74 ZAB
F23G7/06 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021533476
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 GB2019053487
(87)【国際公開番号】W WO2020120947
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】1820319.0
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ランパート スチュアート マーク
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-197440(JP,A)
【文献】特開2007-029790(JP,A)
【文献】特開平05-267181(JP,A)
【文献】特開平08-330292(JP,A)
【文献】特開2015-052420(JP,A)
【文献】特開昭62-237929(JP,A)
【文献】特開2011-189228(JP,A)
【文献】特開平11-233444(JP,A)
【文献】特開2007-253098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/68
B01D 53/74
F23G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセスツールからの排出流を処理するための除害装置であって、
前記排出流を受け取るように構成され、前記排出流を処理するためにアクティブモードで稼働するように動作可能な第1の除害デバイスと、
待機モードで稼働するように動作可能な第2の除害デバイスと、
前記第1の除害デバイスに関連する警報状態の指示を受け取ると、前記第2の除害デバイスを前記アクティブモードで稼働させるように動作可能な制御論理回路と、
を備え、
前記警報状態は、前記第1の除害デバイスの動作特性が閾値以上に変化したことを示し、
前記動作特性は、圧力、流量、センサーエラー、及びバルブエラーのうちの少なくとも1つを含み、
前記除害装置は、さらに、
前記第1の除害デバイス及び前記第2の除害デバイスのうちの1つに前記排出流を供給するように動作可能な切替えバルブと、
前記切替えバルブの上流にバイパスバルブと、
を備え、
前記警報状態は、それに関連する切替え時間を有し、前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスが前記切替え時間内で前記待機モードから前記アクティブモードへの切替えに失敗した場合に、前記バイパスバルブをアクティブにして、前記切替えバルブへの前記排出流の供給を防止するように動作可能であり、
前記除害装置は、さらに、
前記切替えバルブと前記第1の除害デバイスとの間に第1の遮断バルブを備え、
前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスに前記排出流を供給するために、前記切替えバルブがアクティブになった後に、前記第1の除害デバイスへの前記排出流の供給を防止するために、前記第1の遮断バルブをアクティブにするように動作可能である、
除害装置。
【請求項2】
前記制御論理回路は、前記第1の除害デバイスに関連する前記警報状態の前記指示を受け取った後に、前記排出流を前記第2の除害デバイスに供給するために前記切替えバルブを制御するように動作可能である、請求項に記載の除害装置。
【請求項3】
前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスのモード状態の指示を受け取り、前記モード状態の前記指示が、前記第2の除害デバイスが前記アクティブモードで稼働していることを示す場合に、前記第2の除害デバイスに前記排出流を供給するように前記切替えバルブを制御するように動作可能である、請求項1又は2に記載の除害装置。
【請求項4】
前記第2の除害デバイスの前記モード状態の前記指示は、前記第2の除害デバイスの温度の指示から決定される、請求項に記載の除害装置。
【請求項5】
前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスに前記排出流を供給するための前記切替えバルブの動作の後に、前記第1の除害デバイスを停止させるように動作可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の除害装置。
【請求項6】
前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスが前記アクティブモードで稼働しているとの指示を受け取ると、前記バイパスバルブを非アクティブにして、前記排出流を前記切替えバルブに供給するように動作可能である、請求項に記載の除害装置。
【請求項7】
半導体プロセスツールからの排出流を処理する方法であって、
前記排出流を処理するためにアクティブモードで稼働する第1の除害デバイスに前記排出流を供給するステップと、
待機モードで稼働する第2の除害デバイスを提供するステップと、
制御論理回路が前記第1の除害デバイスに関連する警報状態の指示を受け取ると、前記第2の除害デバイスを前記アクティブモードで稼働させるステップと、
を含み、
前記警報状態は、前記第1の除害デバイスの動作特性が閾値以上に変化したことを示し、
前記動作特性は、圧力、流量、センサーエラー、及びバルブエラーのうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の除害デバイス及び前記第2の除害デバイスのうちの1つに前記排出流を供給するように動作可能な切替えバルブと、前記切替えバルブの上流にバイパスバルブと、が設けられており、
前記警報状態は、それに関連する切替え時間を有し、前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスが前記切替え時間内で前記待機モードから前記アクティブモードへの切替えに失敗した場合に、前記バイパスバルブをアクティブにして、前記切替えバルブへの前記排出流の供給を防止するように動作可能であり、
前記切替えバルブと前記第1の除害デバイスとの間に第1の遮断バルブが設けられており、
前記制御論理回路は、前記第2の除害デバイスに前記排出流を供給するために、前記切替えバルブがアクティブになった後に、前記第1の除害デバイスへの前記排出流の供給を防止するために、前記第1の遮断バルブをアクティブにするように動作可能である、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、除害装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
除害装置は、例えば、半導体又はフラットパネルディスプレイ製造業で使用される製造プロセスツールからの排出ガス流を処理することで知られ、通常、そのために使用される。このような製造時、プロセスツールから送り出される排出ガス流内には、残留パーフルオロ化合物(PFC)及び他の化合物が存在する。PFCは、排出ガスから除去することが困難であり、それらは比較的高い温室効果作用を有することで知られているため、環境へのPFCの放出は望ましくない。
【0003】
既知の除害装置は、排出ガス流からPFC及び他の化合物を除去するために、通常、燃焼によって得られる熱を使用する。通常、排出ガス流は、PFC及び他の化合物を含む窒素気流である。熱を供給するために燃焼を使用する場合、燃料ガスは排出ガス流と混合され、そのガス流混合物は、有孔ガスバーナーの出口面によって横方向に囲まれた燃焼チャンバーの中に搬送される。燃料ガス及び空気は、出口面での無炎燃焼に影響を与えるように有孔バーナーに同時に供給され、有孔バーナーを通過する空気量は、バーナーに供給される燃料ガスだけでなく、燃焼チャンバーの中に注入される混合ガス流内のすべての可燃物を消費するのに十分な量である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排出ガス流を処理するためのこのような除害装置が存在するが、各々の除害装置は、それら独自の欠点を有する。従って、改良された除害装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、半導体プロセスツールからの排出流を処理するための除害装置が提供され、除害装置は、排出流を受け取るように構成され、排出流を処理するためにアクティブモードで稼働するように動作可能である第1の除害デバイスと;待機モードで稼働するように動作可能である第2の除害デバイスと;第1の除害デバイスに関連する警報状態の指示を受け取ると、第2の除害デバイスをアクティブモードで稼働させるように動作可能である制御論理回路と、を備える。
【0006】
第1の態様は、既存の構成に関連する問題が除害デバイスの故障であり、これは、除害できなくなる可能性を引き起こし、ひいては排出流を生成するプロセスツールによって実行される処理の中断が必然的につながる場合があり、これは望ましくないことを認識する。従って、除害装置が提供される。除害装置は、プロセスツールによって供給される排出流を処理することができる。本装置は、第1の除害デバイスを備えることができる。第1の除害デバイスは、排出流を受け取ることができる。第1の除害デバイスは、排出流内の化合物を処理又は除害するために、アクティブモード、動作モード、又は除害モードで稼働又は動作することができる。除害装置は、第2の除害デバイスを備えることができる。第2の除害デバイスは、待機モード、非動作モード、又は非除害モードで稼働又は動作することができる。除害装置は、制御論理回路又は制御装置を備えることができる。制御論理回路は、第1の除害デバイスが受けた警報状態を識別する指示又は信号を受け取ることができる。次に、制御論理回路は、第2の除害デバイスをアクティブモードで稼働又は動作することができる。このようにして、排出流を処理する第1の又は一次の除害デバイスが提供され、第1の除害デバイスが故障した場合、第2の又は予備の除害デバイスが提供される。しかしながら、第1の除害デバイスが故障した場合、単に第2の除害デバイスをアクティブモードで動作させるだけで、大幅なエネルギーの節約を行うことができる。
【0007】
一実施形態では、警報状態は、第1の除害デバイスの動作特性が閾値を超えて変化したことを示す。従って、警報状態は、第1の除害デバイスの動作パラメータが期待動作範囲の外に逸脱した時から、故障が生じたことを示すことができる。
【0008】
一実施形態では、動作特性は、圧力を含む。
【0009】
一実施形態では、動作特性は、流量を含む。
【0010】
一実施形態では、動作特性は、センサーエラーを含む。
【0011】
一実施形態では、動作特性は、バルブエラーを含む。
【0012】
一実施形態では、装置は、第1の除害デバイス及び第2の除害デバイスのうちの1つに排出流を供給するように動作可能な切替えバルブを備える。従って、切替えバルブは、例えば、第1の除害デバイス又は第2の除害デバイスのどちらかにのみ排出流を供給できる3ポートバルブとすることができる。
【0013】
一実施形態では、制御論理回路は、第1の除害デバイスに関連する警報状態の指示を受け取った後に、排出流を第2の除害デバイスに供給するために切替えバルブを制御するように動作可能である。従って、切替えバルブは、警報状態を受け取った後に、排出流を第2の除害デバイスに供給するように動作することができる。
【0014】
一実施形態では、制御論理回路は、第2の除害デバイスのモード状態の指示を受け取り、モード状態の指示が第2の除害デバイスがアクティブモードで稼働していることを示す場合に、第2の除害デバイスに排出流を供給するように切替えバルブを制御するように動作可能である。従って、制御論理回路は、第2の除害デバイスのモード又は動作状態の指示を受け取ることができる。制御論理回路は、第2の除害デバイスがアクティブモード又は動作モードで動作していることが確認された場合にのみ、切替えバルブを動作させることができる。これにより、排出流を処理する状態になる前に排出流が第2の除害デバイスに供給されないことが保証される。
【0015】
一実施形態では、第2の除害デバイスのモード状態の指示は、第2の除害デバイスの温度の指示から決定される。従って、制御論理回路は、第2の除害デバイスの温度を識別する信号を提供することができる。これにより、排出流を処理する状態になる前に排出流が第2の除害デバイスに供給されないことが保証される。
【0016】
一実施形態では、制御論理回路は、排出流を第2の除害デバイスに供給するために切替えバルブの動作後に第1の除害デバイスを停止させるように動作可能である。
【0017】
一実施形態では、装置は、切替えバルブの上流にバイパスバルブを備え、警報状態は、それに関連する切替え時間を有し、制御論理回路は、第2の除害デバイスが切替え時間内に待機モードからアクティブモードへの切り替えに失敗した場合に、バイパスバルブをアクティブにして、切替えバルブへの排出流の供給を防止するように動作可能である。結果的に、バイパスバルブを設けることができる。各警報状態は、所定の又は既知の期間に関連付けることができる。制御論理回路は、第2の除害デバイスがその期間内にアクティブモード又は動作モードを達しない場合、排出流の供給を停止するために、バイパスバルブを動作させることができる。このようにして、第1の除害デバイスが故障して排出流を処理できない可能性が高く、一方で第2の除害デバイスも同様に動作不能で排出流を処理できないので、排出流がどちらかの除害デバイスに供給されることが防止される。代わりに、排出流は別の場所に収容されることになる。
【0018】
一実施形態では、制御論理回路は、第2の除害デバイスがアクティブモードで稼働しているという指示を受け取ると、バイパスバルブを非アクティブにして、排出流を切替えバルブに供給するように動作可能である。第2の除害デバイスが動作可能になると、その後、処理のために排出流を転換することができる。
【0019】
一実施形態では、装置は、切替えバルブと第1の除害デバイスとの間に第1の遮断バルブを備える。
【0020】
一実施形態では、制御論理回路は、第2の除害デバイスに排出流を供給するために、切替えバルブがアクティブになった後に、第1の除害デバイスへの排出流の供給を防止するために、第1の遮断バルブをアクティブにするように動作可能である。
【0021】
第2の態様によれば、半導体プロセスツールからの排出流を処理する方法が提供され、本方法は、排出流を処理するためにアクティブモードで稼働する第1の除害デバイスに排出流を供給するステップと、待機モードで稼働する第2の除害デバイスを提供するステップと、第1の除害デバイスに関連する警報状態の指示を受け取ると、第2の除害デバイスをアクティブモードで稼働させるステップとを含む。
【0022】
一実施形態では、警報状態は、第1の除害デバイスの動作特性が閾値を超えて変化したことを示す。
【0023】
一実施形態では、動作特性は、圧力、流量、センサーエラー及びバルブエラーのうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
一実施形態では、本方法は、第1の除害デバイス及び第2の除害デバイスのうちの1つに排出流を供給するように動作可能である切替えバルブを提供するステップを含む。
【0025】
一実施形態では、本方法は、第1の除害デバイスと関連する警報状態の指示を受け取った後に、第2の除害デバイスに排出流を供給するように切替えバルブを制御するステップを含む。
【0026】
一実施形態では、本方法は、第2の除害デバイスのモード状態の指示を受け取るステップと、モード状態の指示が第2の除害デバイスがアクティブモードで稼働していることを示す場合に、第2の除害デバイスに排出流を供給するように切替えバルブを制御するステップとを含む。
【0027】
一実施形態では、本方法は、第2の除害デバイスのモード状態の指示を、第2の除害デバイスの温度の指示から決定するステップを含む。
【0028】
一実施形態では、本方法は、排出流を第2の除害デバイスに供給するための切替えバルブの動作後に、第1の除害デバイスを停止させるステップを含む。
【0029】
一実施形態では、本方法は、切替えバルブの上流にバイパスバルブを設けるステップを含み、警報状態は、それに関連する切替え時間を有し、本方法は、第2の除害デバイスが切替え時間内に待機モードからアクティブモードへの切替えに失敗した場合、バイパスバルブをアクティブにして、切替えバルブへの排出流の供給を防止するステップを含む。
【0030】
一実施形態では、本方法は、第2の除害デバイスがアクティブモードで稼働しているという指示を受け取ると、バイパスバルブを非アクティブにして、排出流を切替えバルブに供給するステップを含む。
【0031】
一実施形態では、本方法は、切替えバルブと第1の除害デバイスとの間に第1の遮断バルブを設けるステップを含む。
【0032】
一実施形態では、本方法は、第2の除害デバイスに排出流を供給するために切替えバルブをアクティブにした後に、第1の除害デバイスへの排出流の供給を防止するために、第1の遮断バルブをアクティブにするステップを含む。
【0033】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に提示されている。従属請求項の特徴は、必要に応じて、独立請求項の特徴と組み合わせることができ、請求項に明白に提示されている以外の組み合わせも可能である。
【0034】
装置の特徴がある機能を提供するように動作可能であると記述されている場合、これは、その機能を提供する装置の特徴又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
【0035】
本発明の実施形態は、以下の添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】一実施形態による除害装置を示す。
図2図1の除害装置によって実行される主要な処理ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
実施形態をより詳細に説明する前に、概説を提示することにする。実施形態は、2又は3以上の除害デバイス(燃焼チャンバーなど)が、排出流を生成するプロセスツールのプロセスチャンバーから下流に設けられた構成を提供する。通常、除害デバイスのうちの1つは、一次除害デバイスとして動作し、除害を起こすのに適した動作温度まで除害チャンバーを上昇させることでアクティブになる。その一方で、第2の除害デバイスは、通常。待機モードで非アクティブのままであり、アクティブにできる状態にあり、一次の除害デバイスの動作に問題が検出されるとアクティブにされる。二次の除害デバイスが正しく動作すると、プロセスツールから供給される排出流は、一次除害デバイスへの供給が停止され、代わりに二次除害デバイスに供給される。これは、除害システムの動作上の問題が起こった場合でも、中断することなくプロセスツールの途切れのない動作をもたらす。
【0038】
除害装置
図1は、一実施形態による除害装置10を示す。除害装置10は、プロセスツール30のプロセスチャンバー20A,20Bと結合する。ポンプ40A,40Bは、上流側で関連するプロセスチャンバー20A,20Bと結合し、下流側で関連するバイパスバルブ50A,50Bと結合する。バイパスバルブ50A,50Bは、下流側で切替えバルブ60と結合する。切替えバルブ60は、下流側で遮断バルブ70A,70Bと結合する。遮断バルブ70Aは、下流側で第1の除害デバイス80Aと結合する。遮断バルブ70Bは、下流側で第2の除害デバイス80Bと結合する。
【0039】
制御論理回路90は、第1の除害デバイス80A及び第2の除害デバイス80B内のセンサーと接続する。センサーは通常、除害デバイス80A、80Bの動作に関するパラメーターデータを提供し、そのデータは制御論理回路90によって処理される。もしくは、センサーは、範囲外の値のみを制御論理回路に報告するように構成され得ることを理解されたい。制御論理回路90は、バイパスバルブ50A、50B、切替えバルブ60、遮断バルブ70A、70B、第1の除害デバイス80A及び第2の除害デバイス80Bを制御する信号を提供するように接続される。
【0040】
次に、図2を参照して除害装置10の動作を説明する。ステップS10において、制御論理回路90は、第1の除害デバイス80Aに信号を送り、プロセスツール30からの排出流を受け取って除害することができるアクティブ状態又は動作状態に移行させる。制御論理回路90は、第2の除害デバイス80Bに信号を送り、通常、パイロットを点火させるが主燃料及び酸化剤を供給しない待機状態に移行させる。従って、第1の除害デバイス80Aは動作温度まで加熱され、第2の除害デバイス80Bは予熱される。遮断バルブ70Aが遮断位置にある場合、制御論理回路90はこれを非遮断位置に切替え、第1の除害デバイス80Aを切替えバルブ60に結合させる。制御論理回路は、第1の除害デバイス80Aがバイパスバルブ50A、50Bに結合するように切替えバルブ60を制御する。従って、第1の除害デバイス80Aは、プロセスツール30から供給される何らかの排出流を処理できる状態になっており、第2の除害デバイスは待機状態にある。
【0041】
排出流の除害は、プロセスツール30内で起こっている処理が完了するか又は第1の除害デバイス80A内で警報状態が検出されるまで継続する。特に、ステップS20では、制御論理回路90は、表1に記載された警報状態のいずれかを検出するように動作する。
【0042】
【表1】
【0043】
これらの警報状態のいずれかが発生した場合、ステップS30において、制御論理回路90は、第2の除害デバイス80Bに信号を送り、第2の除害デバイス80Bを動作モード又はアクティブモードに切替える。具体的には、制御論理回路90は、第2の除害デバイス80B内の温度を上昇させる。第2の除害デバイス80Bがその動作モード又はアクティブモードにあり、動作温度に達したか否かを判定するための種々な技術を想定することができるが、本実施形態では、温度センサーは、第2の除害デバイス80B内の温度が、アクティブ信号に応答して50℃以上まで上昇したか否かを監視する。
【0044】
各警報状態は、それに関連する時間枠を有する。時間枠は、第1の除害デバイス80A内での警報状態の検出と可能性のある故障の発生との間の時間を定める。従って、ステップS40において、タイマーが終了したか否かの判定が行われる。タイマーが終了していない場合、次に制御論理回路は、ステップS50において、第2の除害デバイス80Bがアクティブであるか否かを判定する。第2の除害デバイス80Bがアクティブではなく、切替えられた排出流を受け入れる状態にない場合、第1の除害デバイス80Aが故障して、排出流の除害が不十分になるリスクがある。
【0045】
従って、制御論理回路90が、時間枠の終了時に第2の除害デバイス80Bがまだアクティブモードになっていないと判定した場合、ステップS60において、制御論理回路90は、排出流が除害装置10に供給されるのを防止し、代わりに、回収及び/又は処理のために他のインフラストラクチャーに排出流を供給するバイパスバルブ50A、50Bをアクティブにすることになる。制御論理回路90は、通常、付加的な窒素がポンプ40A、40Bに供給されるようにし、バイパスバルブ50A、50Bによって供給される排出流と混合されるようにして、排出流内の何らかの成分がそれらの可燃性下限値以下のままであることを保証する。また、制御論理回路90は、通常、警戒をアクティブにする。
【0046】
第2の除害デバイス80Bがアクティブモード又は動作モードに達する場合、次にステップS70において、制御論理回路90は、何らかのアクティブなバイパスバルブ50A、50Bを非アクティブにする。制御論理回路90は、遮断バルブ70Bが、第2の除害デバイス80Bを切替えバルブ60と結合することになるのを保証する。次に、制御論理回路90は、切替えバルブ60を動作させて、排出流を第1の除害デバイス80Aから第2の除害デバイス80Bへ切替える。次に、制御論理回路90は、遮断バルブ70Aをアクティブにして、第1の除害デバイス80Aを切替えバルブ60から遮断する。次に、制御論理回路90は、第1の除害デバイス80Aを停止する信号を送る。次に、第1の除害デバイス80Aのメンテナンスを行うことができる。
【0047】
従って、一実施形態では、第1の除害デバイス80Aに警報状態が生じる場合、生産ツールを中断することなく第2の除害デバイス80Bへの切替え処理が生じるであろうことが分かる。しかしながら、第2の除害デバイス80Bは、バーナーの実証がバーナー温度の50℃上昇の測定値によって検知されることになるので即座に利用できない。本システム又は個々の入口は、通常、第2の除害デバイス80Bの始動の間にバイパスモードに入る。
【0048】
一実施形態では、除害警報は、一時停止、例えば、10秒の水流警報を有する。この一時停止は、第2の除害デバイス80Bが待機モードから始動するためのトリガー信号として使用することができる。警報の一時停止が終了する前に第2の除害デバイス80Bが作動可能であれば、第2の除害デバイス80Bへの切替えは途切れない。
【0049】
1つの実施形態は、対の除害コンセプトを想定しており、これは、単一の又は複数の真空ポンプ(通常、最大6台のポンプ)を備えた1つのプロセスツールに結合する2台の除害システムに言及する。一次及び予備の除害デバイスが存在し、一次除害デバイスは、プロセスチャンバーガス充填量の100%を担う。予備の除害デバイスは、プロセスガス充填量のすべてを引き受けるよう求められるまで、待機モードのままである。
【0050】
通常、デバイス80Aは警報状態になるときは必ず、デバイス80Aからデバイス80B(ポンプ排気ラインごと)への転換切替え機能60をもたらすために、追加の3方プロセスボールバルブが必要とされる。
【0051】
切替え手順は、バイパスバルブ50A,50B、切替えバルブ60、除害デバイス80Aの遮断バルブ、及び除害デバイス80Bの遮断バルブを制御する。
【0052】
第1の除害装置80Aの警報による一時停止の期間中に、第2の除害装置80Bのバーナーが確立される。適切な温度上昇に達すると、切替えバルブ60は、除害デバイス80Bの方に切り替わる。遮断バルブ70Bは、第2の除害デバイス80Bが始動して、警報が存在しないと開くことになる。待機は、警報状態ではない。
【0053】
本手法は、重要なシステムの故障を阻止し、予備システムがウェハーのバッチ処理の終了を可能にする。警報一時停止の意味することから分かるように、プロセスツール又はチャンバー内の警戒又は警報状態を引き起こすことなく、プロセスガスの途切れのない切り替えが生じ得る。警報の一時停止期間が予備システムを途切れなく切替えるには不十分な場合、2つの他の連動デバイスが存在する。窒素希釈モジュール(図示せず)は、プロセスガスを可燃性下限値まで希釈するために、50~500slmのパージを真空ポンプの排気口に供給することができる。窒素流スイッチ(図示せず)は、真空ポンプが十分な窒素流を有することを保証する。これらのデバイスは、ツール又はチャンバーと連動する。両デバイスが健全である場合、ツールは警告表示(ソフトシャットダウン)を受け取る。予備除害システムが利用可能になると、警戒信号は解除される。予備除害システムが利用できない場合、又は付加的な連動デバイスのいずれかが故障した場合、ツールは、警報指示(ハードシャットダウン)を受け取ることになる。
【0054】
本明細書では、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態が詳細に開示されるが、本発明は、詳細な実施形態に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定められるような本発明の範囲から逸脱することなく、その範囲内で様々な変更及び修正を行い得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0055】
10 除害装置
20A プロセスチャンバー
20B プロセスチャンバー
30 プロセスツール
40A ポンプ
40B ポンプ
50A バイパスバルブ
50B バイパスバルブ
60 切替えバルブ
70A 遮断バルブ
70B 遮断バルブ
80A 第1の除害デバイス
80B 第2の除害デバイス
90 制御論理回路
図1
図2