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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】微粒子および微粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/14 20220101AFI20240515BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240515BHJP
   B22F 1/054 20220101ALI20240515BHJP
   B22F 1/102 20220101ALI20240515BHJP
【FI】
B22F1/14 600
B22F1/00 L
B22F1/054
B22F1/102
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021558193
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2020036764
(87)【国際公開番号】W WO2021100320
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2019208124
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226954
【氏名又は名称】日清エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 周
(72)【発明者】
【氏名】末安 志織
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭太郎
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-138287(JP,A)
【文献】特表2012-514060(JP,A)
【文献】特開2016-160525(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031860(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/146414(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/146411(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/146412(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109954876(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00 - 1/02
9/28
B82Y 30/00 - 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅の粉末を気相法を用いて気相状態の混合物とし、不活性ガスと炭素数4以下の炭化水素ガスとを含む急冷ガスにより冷却されて製造された微粒子体に、濃度が30W/W%のクエン酸が熱分解する温度領域で、前記濃度が30W/W%のクエン酸を供給して、表面被覆物が形成された、微粒子。
【請求項2】
前記微粒子の粒子径は10~100nmである請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
前記表面被覆物は、酸素濃度3ppmの窒素雰囲気において焼成すると350℃で60質量%以上が除去される請求項1または2に記載の微粒子。
【請求項4】
前記表面被覆物は、前記炭素数4以下の炭化水素ガスの熱分解および前記濃度が30W/W%のクエン酸の熱分解で生じた有機物で構成される請求項3に記載の微粒子。
【請求項5】
前記炭素数4以下の炭化水素ガスは、メタンガスである請求項1~4のいずれか1項に記載の微粒子。
【請求項6】
原料の粉末を用いて、気相法により微粒子を製造する製造方法であって、
前記気相法を用いて前記原料の粉末を気相状態の混合物にし、この気相状態の混合物を、不活性ガスと炭素数4以下の炭化水素ガスとを含む急冷ガスを用いて冷却して微粒子体を製造する工程と、
製造された前記微粒子体に有機酸が熱分解する温度領域で前記有機酸を供給する工程とを有し、
前記原料の粉末は、銅の粉末であり、前記有機酸はクエン酸であり、濃度が30W/W%である、微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記気相法は、熱プラズマ法、または火炎法である請求項6に記載の微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記炭素数4以下の炭化水素ガスは、メタンガスである請求項6又は7に記載の微粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子径が10~100nmのナノサイズの微粒子に関し、特に、長期間にわたり酸化が抑制される微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種の微粒子が種々の用途に用いられている。例えば、金属微粒子、酸化物微粒子、窒化物微粒子、および炭化物微粒子等の微粒子は、各種電気絶縁部品等の電気絶縁材料、切削工具、機械工作材料、センサ等の機能性材料、焼結材料、燃料電池の電極材料、および触媒に用いられている。
また、タブレット型コンピュータおよびスマートフォン等、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネルとが組み合わされて利用されるタッチパネルが広く普及している。タッチパネルには、電極を金属で構成したタッチパネルが提案されている。
例えば、特許文献1のタッチパネルでは、タッチパネル用電極が導電性のインクから構成されている。さらに導電性のインクとして銀インク組成物が例示されている。
【0003】
また、フレキシブル性が求められるタッチパネルでは、基板に、フレキシブル性が求められ、PET(ポリエチレンテレフタレート)またはPE(ポリエチレン)等の汎用樹脂が用いることが要求されている。基板にPETまたはPE等の汎用樹脂を用いた場合、ガラスまたはセラミックスを基板に用いた場合に比して、耐熱性が低いため、より低温で電極を形成する必要がある。例えば、特許文献2には、窒素雰囲気下において150℃以下の温度で加熱すると焼結し、導電性を示すものであり、かつエタノール中に分散した状態で25℃、60RH(相対湿度)%の環境下において3ヶ月間空気に曝した後であっても、粉末X線回折測定において酸化銅由来のピークが検出されない銅微粒子材料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-71629号公報
【文献】特開2016-14181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銅微粒子の性質として酸化されやすいことが知られている。銅微粒子については、耐酸化性を考慮する必要があり、特許文献2ではエタノール中に分散した状態で空気中での長期保存性が考慮されている。しかしながら、特許文献2は、銅微粒子がエタノール中に分散した状態であり、銅微粒子単体の長期保存性を考慮したものではない。このように、特許文献2には、微粒子単体を大気中等の酸素を含む雰囲気に、月単位で保存した場合、酸化を抑制することができる微粒子が示されていない。大気中等の酸素を含む雰囲気で、温度10~50℃程度で長期にわたり酸化することなく安定して保存することが可能な微粒子はないのが現状である。
【0006】
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、酸素を含む雰囲気で焼成温度に保持した場合でも酸化することなく焼結が生じ100nm以上に粒子成長させることができ、なおかつ大気中等の酸素を含む雰囲気での長期保存時の酸化を抑制することができる微粒子および微粒子の製造方法を提供することにある。また同時に、これまで難しかった微粒子製造後の回収時における酸化を抑制した微粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は、原料の粉末を気相法を用いて気相状態の混合物とし、不活性ガスと炭素数4以下の炭化水素ガスとを含む急冷ガスにより冷却されて製造された微粒子体に、有機酸を供給して得られる、微粒子を提供するものである。
原料の粉末は、銅の粉末であることが好ましい。
微粒子の粒子径は10~100nmであることが好ましい。
微粒子は表面被覆物を有し、表面被覆物は、酸素濃度3ppmの窒素雰囲気において焼成すると350℃で60質量%以上が除去されることが好ましい。
炭素数4以下の炭化水素ガスは、メタンガスであることが好ましい。
表面被覆物は、炭素数4以下の炭化水素ガスの熱分解および有機酸の熱分解で生じた有機物で構成されることが好ましい。
有機酸は、C、OおよびHだけで構成されていることが好ましい。
有機酸は、L-アスコルビン酸、ギ酸、グルタル酸、コハク酸、シュウ酸、DL-酒石酸、ラクトース一水和物、マルトース一水和物、マレイン酸、D-マンニット、クエン酸、リンゴ酸、およびマロン酸のうち、少なくとも1種であることが好ましく、有機酸は、クエン酸であることがより好ましい。
【0008】
本発明は、原料の粉末を用いて、気相法により微粒子を製造する製造方法であって、気相法を用いて原料の粉末を気相状態の混合物にし、この気相状態の混合物を、不活性ガスと炭素数4以下の炭化水素ガスとを含む急冷ガスを用いて冷却して微粒子体を製造する工程と、製造された微粒子体に有機酸が熱分解する温度領域で有機酸を供給する工程とを有する、微粒子の製造方法を提供するものである。
【0009】
気相法は、熱プラズマ法、または火炎法であることが好ましい。
原料の粉末は、銅の粉末であることが好ましい。
炭素数4以下の炭化水素ガスは、メタンガスであることが好ましい。
有機酸は、C、OおよびHだけで構成されていることが好ましい。
有機酸は、L-アスコルビン酸、ギ酸、グルタル酸、コハク酸、シュウ酸、DL-酒石酸、ラクトース一水和物、マルトース一水和物、マレイン酸、D-マンニット、クエン酸、リンゴ酸、およびマロン酸のうち、少なくとも1種であることが好ましく、有機酸は、クエン酸であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の微粒子は、酸素を含む雰囲気で、焼成温度に保持した場合でも酸化することなく焼結が生じ100nm以上に粒子成長させることができ、なおかつ大気中等の酸素を含む雰囲気での長期保存時の酸化を抑制することができる。
また、本発明の微粒子は、これまで難しかった微粒子製造後の回収時における酸化を抑制することもできる。
さらに、本発明の微粒子の製造方法では、上述の微粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の微粒子の製造方法に用いられる微粒子製造装置の一例を示す模式図である。
図2】本発明の微粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフである。
図3】従来例1の微粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフである。
図4】酸素濃度3ppmの窒素雰囲気での本発明の微粒子と、従来例1の微粒子の表面被覆物の除去割合を示すグラフである。
図5】本発明の微粒子を示す模式図である。
図6】酸素濃度3ppmの窒素雰囲気に温度400℃で1時間保持した後の本発明の微粒子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の微粒子の製造方法および微粒子を詳細に説明する。
以下、本発明の微粒子の製造方法の一例について説明する。
図1は本発明の微粒子の製造方法に用いられる微粒子製造装置の一例を示す模式図である。図1に示す微粒子製造装置10(以下、単に製造装置10という)は、微粒子の製造に用いられるものである。
なお、製造装置10は、微粒子であれば、その種類は特に限定されるものではなく、原料の組成を変えることにより、金属微粒子以外にも微粒子として、酸化物微粒子、窒化物微粒子、炭化物微粒子、酸窒化物微粒子、および樹脂微粒子等の微粒子を製造することができる。
【0013】
製造装置10は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ12と、微粒子の原料粉末をプラズマトーチ12内へ供給する材料供給装置14と、1次微粒子15を生成させるための冷却槽としての機能を有するチャンバ16と、酸供給部17と、1次微粒子15から任意に規定された粒子径以上の粒子径を有する粗大粒子を除去するサイクロン19と、サイクロン19により分級された所望の粒子径を有する2次微粒子18を回収する回収部20とを有する。有機酸が供給される前の1次微粒子15は、本発明の微粒子の製造途中の微粒子体であり、2次微粒子18が本発明の微粒子に相当する。1次微粒子15および2次微粒子18は、例えば、銅で構成される。
材料供給装置14、チャンバ16、サイクロン19、回収部20については、例えば、特開2007-138287号公報の各種装置を用いることができる。
【0014】
本実施形態において、微粒子の製造には、原料の粉末として、例えば、銅の粉末が用いられる。銅の粉末は、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、その平均粒子径が適宜設定される、銅の粉末の平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定されたものであり、例えば、100μm以下であり、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。なお、原料は、銅に限定されるものではなく、銅以外の金属の粉末を用いることができ、さらには合金の粉末を用いることもできる。
なお、本発明の微粒子とすることにより、大気中等の酸素を含む雰囲気において温度10~50℃程度で1ヵ月程度の長期にわたり酸化することなく安定して保存することができる。このため、微粒子としては、金(Au)および銀(Ag)等の貴金属以外の金属への適用が好ましく、大気中等の酸素を含む雰囲気において温度10~50℃程度で酸化する金属または合金の微粒子に適しており、特に酸化されやすい銅に好適である。
【0015】
プラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成されている。プラズマトーチ12の上部には微粒子の原料粉末をプラズマトーチ12内に供給するための後述する供給管14aがその中央部に設けられている。プラズマガス供給口12cが、供給管14aの周辺部(同一円周上)に形成されており、プラズマガス供給口12cはリング状である。高周波発振用コイル12bには高周波電圧を発生する電源(図示せず)が接続されている。高周波発振用コイル12bに高周波電圧が印加されると熱プラズマ炎24が発生する。
【0016】
プラズマガス供給源22は、プラズマガスをプラズマトーチ12内に供給するものであり、例えば、第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bとを有する。第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bは配管22cを介してプラズマガス供給口12cに接続されている。第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bには、それぞれ図示はしないが供給量を調整するためのバルブ等の供給量調整部が設けられている。プラズマガスは、プラズマガス供給源22からリング状のプラズマガス供給口12cを経て、矢印Pで示す方向と矢印Sで示す方向からプラズマトーチ12内に供給される。
【0017】
プラズマガスには、例えば、水素ガスとアルゴンガスの混合ガスが用いられる。この場合、第1の気体供給部22aに水素ガスが貯蔵され、第2の気体供給部22bにアルゴンガスが貯蔵される。プラズマガス供給源22の第1の気体供給部22aから水素ガスが、第2の気体供給部22bからアルゴンガスが配管22cを介してプラズマガス供給口12cを経て、矢印Pで示す方向と矢印Sで示す方向からプラズマトーチ12内に供給される。なお、矢印Pで示す方向にはアルゴンガスだけを供給してもよい。
高周波発振用コイル12bに高周波電圧が印加されると、プラズマトーチ12内で熱プラズマ炎24が発生する。熱プラズマ炎24により、原料の粉末(図示せず)が蒸発され、気相状態の混合物にされる。
【0018】
熱プラズマ炎24の温度は、原料粉末の沸点よりも高い必要がある。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、容易に原料粉末が気相状態となるので好ましいが、特に温度は限定されるものではない。例えば、熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は10000℃程度に達するものと考えられる。
また、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば、0.5~100kPaである。
【0019】
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示されていない)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水を循環させて石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
【0020】
材料供給装置14は、供給管14aを介してプラズマトーチ12の上部に接続されている。材料供給装置14は、例えば、粉末の形態で原料粉末をプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給するものである。
原料の粉末、例えば、銅の粉末を、粉末の形態で供給する材料供給装置14としては、上述のように、例えば、特開2007-138287号公報に開示されているものを用いることができる。この場合、材料供給装置14は、例えば、原料の粉末を貯蔵する貯蔵槽(図示せず)と、原料の粉末を定量搬送するスクリューフィーダ(図示せず)と、スクリューフィーダで搬送された原料の粉末が最終的に散布される前に、これを一次粒子の状態に分散させる分散部(図示せず)と、キャリアガス供給源(図示せず)とを有する。
【0021】
キャリアガス供給源から押出し圧力がかけられたキャリアガスとともに原料の粉末は供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。
材料供給装置14は、原料の粉末の凝集を防止し、分散状態を維持したまま、原料の粉末をプラズマトーチ12内に散布することができるものであれば、その構成は特に限定されるものではない。キャリアガスには、例えば、アルゴンガス等の不活性ガスが用いられる。キャリアガス流量は、例えば、フロート式流量計等の流量計を用いて制御することができる。また、キャリアガスの流量値とは、流量計の目盛り値のことである。
【0022】
チャンバ16は、プラズマトーチ12の下方に隣接して設けられており、気体供給装置28が接続されている。チャンバ16内で、例えば、銅の1次微粒子15が生成される。また、チャンバ16は冷却槽として機能するものである。
【0023】
気体供給装置28は、チャンバ16内に冷却ガスを供給するものである。熱プラズマ炎24により原料の粉末を蒸発させて、気相状態の混合物とされ、この混合物に気体供給装置28は不活性ガスを含む冷却ガス(急冷ガス)を供給する。
気体供給装置28は、第1の気体供給源28aと、第2の気体供給源28bと、配管28cとを有する。気体供給装置28は、さらに、チャンバ16内に供給する冷却ガスに押出し圧力をかけるコンプレッサ、またはブロア等の圧力付与装置(図示せず)を有する。
また、第1の気体供給源28aからのガス供給量を制御する圧力制御弁28dが設けられ、第2の気体供給源28bからのガス供給量を制御する圧力制御弁28eが設けられている。例えば、第1の気体供給源28aにアルゴンガスが貯蔵され,第2の気体供給源28bにメタンガスが貯蔵されている。この場合、冷却ガスはアルゴンガスとメタンガスの混合ガスである。
【0024】
気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部、すなわち、プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎24の端、すなわち、熱プラズマ炎24の終端部に向かって、例えば、45°の角度で、矢印Qの方向に、冷却ガスとしてアルゴンガスとメタンガスの混合ガスを供給し、かつチャンバ16の内側壁16aに沿って上方から下方に向かって、すなわち、図1に示す矢印Rの方向に上述の冷却ガスを供給する。
【0025】
気体供給装置28からチャンバ16内に供給される冷却ガスにより、熱プラズマ炎24により蒸発されて気相状態の混合物にされた銅の粉末が急冷されて、銅の1次微粒子15が得られる。これ以外にも上述の冷却ガスはサイクロン19における1次微粒子15の分級に寄与する等の付加的作用を有する。冷却ガスは、例えば、アルゴンガスとメタンガスの混合ガスである。
銅の1次微粒子15の生成直後の微粒子同士が衝突し、凝集体を形成することで粒子径の不均一が生じると、品質低下の要因となる。しかしながら、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって矢印Qの方向に冷却ガスとして供給される混合ガスが1次微粒子15を希釈することで、微粒子同士が衝突して凝集することが防止される。
また、矢印R方向に冷却ガスとして供給される混合ガスにより、1次微粒子15の回収の過程において、1次微粒子15のチャンバ16の内側壁16aへの付着が防止され、生成した1次微粒子15の収率が向上する。
【0026】
なお、冷却ガス(急冷ガス)として、アルゴンガスとメタンガスとの混合ガスを用いたが、これらに限定されるものではない。アルゴンガスは不活性ガスの一例であり、メタンガス(CH)は炭素数が4以下の炭化水素ガスの一例である。
冷却ガス(急冷ガス)に用いるものは、アルゴンガスに限定されるものではなく、窒素ガス等を用いることができる。また、メタンガスに限定されるものではなく、炭素数が4以下の炭化水素ガスを用いることができる。このため、冷却ガス(急冷ガス)として、エタン(C)、プロパン(C)、およびブタン(C10)等のパラフィン系炭化水素ガス、ならびにエチレン(C)、プロピレン(C)、およびブチレン(C)等のオレフィン系炭化水素ガスを用いることができる。
【0027】
酸供給部17は、冷却ガス(急冷ガス)により急冷されて得られた、1次微粒子15(微粒子体)に、チャンバ16内において、有機酸が熱分解する温度領域で有機酸を供給するものである。温度10000℃程度を有する熱プラズマを急冷して生成させた、有機酸の分解温度よりも高い温度域に供給された有機酸は、熱分解し、1次微粒子15の表面に炭化水素(CnHm)と親水性および酸性をもたらすカルボキシル基(-COOH)、またはヒドロキシル基(-OH)を含む有機物となって析出する。その結果、酸素を有する有機化合物で表面が被覆された微粒子が得られる。
有機酸の熱分解とは、無酸素雰囲気中で熱エネルギーによって、有機酸を構成するより小さな分子に分解することであり、分解されたものに水(HO)または二酸化炭素(CO)等が含まれていてもよい。なお、有機酸の熱分解は、有機酸を水(HO)と二酸化炭素(CO)に分解することではない。また、ここでいう無酸素雰囲気中とは、有機酸を構成するH(水素)およびC(炭素)の全てが、水(HO)または二酸化炭素(CO)になるのに十分な酸素を含んでいない雰囲気のことである。
【0028】
酸供給部17は、1次微粒子15に有機酸を付与することができれば、その構成は特に限定されるものではない。例えば、有機酸の水溶液が用いられ、酸供給部17は、チャンバ16内に有機酸の水溶液を噴霧するものであればよい。
酸供給部17は、有機酸の水溶液(図示せず)を貯蔵する容器(図示せず)と、容器内の有機酸の水溶液を液滴化するための噴霧ガス供給部(図示せず)とを有する。噴霧ガス供給部では、噴霧ガスを用いて水溶液を液滴化し、液滴化された有機酸の水溶液AQがチャンバ16内の銅の1次微粒子15に供給される。
酸供給部17は、チャンバ16内において1次微粒子15(微粒子体)に対して、有機酸の示差熱―熱重量同時測定(TG-DTA)において発熱反応または吸熱反応が起きる温度よりも高く、1000℃よりも低い温度で有機酸を供給する。上述の有機酸の示差熱―熱重量同時測定(TG-DTA)において発熱反応または吸熱反応が起きる温度よりも高く、1000℃よりも低い温度領域が、有機酸が熱分解する温度領域である。
酸供給部17は、例えば、クエン酸水溶液を使用する場合、クエン酸水溶液中の水が蒸発するために必要な潜熱分を考慮して、水が蒸発後のクエン酸がチャンバ16内で、TG-DTAにおける吸熱開始温度である150℃よりも高くなる領域に供給する必要がある。例えば、その温度は300℃である。
【0029】
有機酸の水溶液では、例えば、溶媒に純水が用いられる。有機酸は、水溶性であり、かつ低沸点であることが好ましく、有機酸はC、OおよびHだけで構成されていることが好ましい。有機酸としては、例えば、L-アスコルビン酸(C)、ギ酸(CH)、グルタル酸(C)、コハク酸(C)、シュウ酸(C)、DL-酒石酸(C)、ラクトース一水和物、マルトース一水和物、マレイン酸(C)、D-マンニット(C14)、クエン酸(C)、リンゴ酸(C)、およびマロン酸(C)等を用いることができる。上述の有機酸のうち、少なくとも1種を用いることが好ましい。
有機酸の水溶液を液滴化する噴霧ガスは、例えば、アルゴンガスが用いられるが、アルゴンガスに限定されるものではなく、窒素ガス等の不活性ガスを用いることができる。
【0030】
図1に示すように、チャンバ16には、有機酸が供給された銅の1次微粒子15を所望の粒子径で分級するためのサイクロン19が設けられている。このサイクロン19は、チャンバ16から1次微粒子15を供給する入口管19aと、この入口管19aと接続され、サイクロン19の上部に位置する円筒形状の外筒19bと、この外筒19b下部から下側に向かって連続し、かつ、径が漸減する円錐台部19cと、この円錐台部19c下側に接続され、上述の所望の粒子径以上の粒子径を有する粗大粒子を回収する粗大粒子回収チャンバ19dと、後に詳述する回収部20に接続され、外筒19bに突設される内管19eとを備えている。
【0031】
サイクロン19の入口管19aから、1次微粒子15を含んだ気流が、外筒19b内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図1中に矢印Tで示すように外筒19bの内周壁から円錐台部19c方向に向かって流れることで下降する旋回流が形成される。
そして、上述の下降する旋回流が反転し、上昇流になったとき、遠心力と抗力のバランスにより、粗大粒子は、上昇流にのることができず、円錐台部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。また、遠心力よりも抗力の影響をより受けた微粒子は、円錐台部19c内壁での上昇流とともに内管19eからサイクロン19外に排出される。
【0032】
また、内管19eを通して、後に詳述する回収部20から負圧(吸引力)が生じるようになっている。そして、この負圧(吸引力)によって、上述の旋回する気流から分離した微粒子が、符号Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られるようになっている。
【0033】
サイクロン19内の気流の出口である内管19eの延長上には、所望のナノメートルオーダの粒子径を有する2次微粒子(微粒子)18を回収する回収部20が設けられている。回収部20は、回収室20aと、回収室20a内に設けられたフィルター20bと、回収室20a内下方に設けられた管を介して接続された真空ポンプ30とを備える。サイクロン19から送られた微粒子は、真空ポンプ30で吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、フィルター20bの表面で留まった状態にされて回収される。
なお、上述の製造装置10において、使用するサイクロンの個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
【0034】
次に、上述の製造装置10を用いた微粒子の製造方法の一例について説明する。
まず、微粒子の原料粉末として、例えば、平均粒子径が5μm以下の銅の粉末を材料供給装置14に投入する。
プラズマガスに、例えば、アルゴンガスおよび水素ガスを用い、高周波発振用コイル12bに高周波電圧を印加し、プラズマトーチ12内に熱プラズマ炎24を発生させる。
また、気体供給装置28から熱プラズマ炎24の尾部、すなわち、熱プラズマ炎24の終端部に、矢印Qの方向に、冷却ガスとして、例えば、アルゴンガスとメタンガスを供給する。このとき、矢印Rの方向に、冷却ガスとして、アルゴンガスを供給する。
次に、キャリアガスとして、例えば、アルゴンガスを用いて銅の粉末を気体搬送し、供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給する。供給された銅の粉末は、熱プラズマ炎24中で蒸発して気相状態となり、冷却ガスにより急冷されて銅の1次微粒子15(微粒子)が生成される。さらに、酸供給部17により、液滴化された有機酸の水溶液が銅の1次微粒子15に噴霧される。
【0035】
そして、チャンバ16内で得られた銅の1次微粒子15は、サイクロン19の入口管19aから、気流とともに外筒19bの内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図1の矢印Tに示すように外筒19bの内周壁に沿って流れることにより、旋回流を形成して下降する。そして、上述の下降する旋回流が反転し、上昇流になったとき、遠心力と抗力のバランスにより、粗大粒子は、上昇流にのることができず、円錐台部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。また、遠心力よりも抗力の影響をより受けた微粒子は、円錐台部19c内壁での上昇流とともに内壁からサイクロン19外に排出される。
【0036】
排出された2次微粒子(微粒子)18は、真空ポンプ30による回収部20からの負圧(吸引力)によって、図1中、符号Uに示す方向に吸引され、内管19eを通して回収部20に送られ、回収部20のフィルター20bで回収される。このときのサイクロン19内の内圧は、大気圧以下であることが好ましい。また、2次微粒子(微粒子)18の粒子径は、目的に応じて、ナノメートルオーダの任意の粒子径が規定される。
なお、本発明では、熱プラズマ炎を用いて銅の1次微粒子を形成しているが、他の気相法を用いて銅の1次微粒子を形成することもできる。このため、気相法であれば、熱プラズマ炎を用いることに限定されるものではなく、例えば、火炎法により、銅の1次微粒子を形成する製造方法でもよい。なお、熱プラズマ炎を用いた1次微粒子の製造方法を熱プラズマ法という。
【0037】
ここで、火炎法とは、火炎を熱源として用い,例えば、銅を含む原料を火炎に通すことにより微粒子を合成する方法である。火炎法では、例えば、銅を含む原料を、火炎に供給し、そして、冷却ガスを火炎に供給し、火炎の温度を低下させて銅粒子の成長を抑制して銅の1次微粒子15を得る。さらに、有機酸を1次微粒子15に供給して、銅の微粒子を製造する。
なお、火炎法においても、冷却ガスおよび有機酸は、上述の熱プラズマ法と同じものを用いることができる。
【0038】
次に、微粒子について説明する。
微粒子は、粒子径が10~100nmであり、表面被覆物を有する。表面被覆物は酸素を有する有機化合物で構成される。
上述の微粒子の粒子径が10~100nmとは、100℃を超える温度に晒されていない状態、すなわち、熱履歴がない状態での粒子径である。なお、上述の微粒子の粒子径は、好ましくは10~90nmである。
微粒子は、大気中等の酸素を含む雰囲気で、温度10~50℃程度で、1ヵ月程度の長期に保存した場合でも酸化を抑制することができる。この点については、後に説明する。
【0039】
本発明の微粒子は、ナノ粒子と呼ばれるものであり、上述の粒子径はBET法を用いて測定された平均粒子径である。本発明の微粒子は、例えば、上述の製造方法で製造され、粒子状態で得られる。
本発明の微粒子は、溶媒内等に分散されている状態ではなく、微粒子単独で存在する。このため、溶媒との組合せ等も特に限定されるものではなく、溶媒の選択の自由度が高い。なお、上述のように、酸素を含む雰囲気で微粒子を保存する場合、微粒子は単独の状態であり、エタノール等に液体中に分散した状態ではない。
また、本発明の銅微粒子は、酸素を含む雰囲気で、焼成温度に保持した場合でも酸化することなく焼結が生じ100nm以上に粒子成長させることができ、なおかつ大気中等の酸素を含む雰囲気での長期保存時の酸化を抑制することができる。また、本発明の微粒子は、これまで難しかった微粒子製造後の回収時における酸化を抑制することもできる。
【0040】
表面被覆物は、炭素数4以下の炭化水素ガスの熱分解および有機酸の熱分解によって生じた、炭化水素(CnHm)と親水性および酸性をもたらすカルボキシル基(-COOH)、またはヒドロキシル基(-OH)を含む有機物で構成されている。例えば、表面被覆物は、メタンガスの熱分解およびクエン酸の熱分解で生じた有機物で構成される。すなわち、上述のように表面被覆物は酸素を有する有機化合物で構成される。
なお、微粒子の表面状態は、例えば、FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いて調べることができる。
【0041】
本発明の微粒子は、上述の製造装置10を用い、かつ炭素数4以下の炭化水素ガスにメタンガス、有機酸にクエン酸を用いて製造することができる。
具体的には、微粒子の製造条件は、プラズマガス:アルゴンガス200リットル/分、水素ガス5リットル/分、キャリアガス:アルゴンガス5リットル/分、急冷ガス:アルゴンガス150リットル/分、メタンガス0.5リットル/分、内圧:40kPaである。
上述のクエン酸については、溶媒に純水を用い、クエン酸を含む水溶液(クエン酸の濃度30W/W%)とし、噴霧ガスを用いて銅の1次微粒子に噴霧する。噴霧ガスはアルゴンガスである。
従来例1の微粒子は、冷却ガスがアルゴンガスである点以外は、本発明の微粒子の製造方法と同じ製造方法で製造することができる。
【0042】
上述のように、本発明の微粒子は、大気中等の酸素を含む雰囲気にて、温度10~50℃程度で1ヵ月程度の長期に保存した場合でも酸化を抑制することができる。大気中で長期保存ができるため、酸素量が少ない環境にする必要がなく、長期保存が容易である。これに対して、従来例1の微粒子は、本発明の微粒子と同じ環境に保存した場合、本発明の微粒子に比して短期間で酸化が生じ、長期保存に好適ではない。このため、従来の微粒子は、保存環境を酸素量が少ない環境にするか、または保存期間を短くする必要がある。
【0043】
微粒子の保存について具体的に説明する。
図2は本発明の微粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフである。図2には、作製直後のX線回折法による結晶構造の解析結果を示す。また、図2には、酸素を含む雰囲気にて温度25℃で、1.5ヵ月保存した後のX線回折法による結晶構造の解析結果を示す。
図3は従来例1の微粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフである。図3には、作製直後のX線回折法による結晶構造の解析結果を示す。また、図3には、酸素を含む雰囲気にて温度25℃で2週間保存した後のX線回折法による結晶構造の解析結果を示す。
なお、上述の作製直後とは、微粒子を作製後、温度50℃以下の大気雰囲気での保存が1日以内であり、かつ上述の熱履歴がない状態のことである。
【0044】
図2において、符号50が本発明の微粒子の作製直後のX線回折パターンを示し、符号52が本発明の微粒子の酸素を含む雰囲気での保存が1.5ヵ月経過後のX線回折パターンを示す。
図3において、符号54が従来例1の作製直後のX線回折パターンを示し、符号56が従来例1の酸素を含む雰囲気での保存が2週間経過後のX線回折パターンを示す。
図2および図3に示すように、作製直後では、本発明の微粒子(X線回折パターン50)と、従来例1(X線回折パターン54)とは回折ピーク位置が同じである。
本発明の微粒子では、図2に示すように1.5ヵ月経過後でもX線回折パターン52に変化がない。すなわち、本発明の微粒子は、酸素を含む雰囲気で、温度25℃程度で長期に保存した場合でも酸化を抑制することができる。
一方、従来例1の微粒子は、図3に示すように、2週間経過後、X線回折パターン56にはCuOの回折ピークがあらわれた。従来例1は、酸素を含む雰囲気で、温度25℃程度で長期に保存した場合、酸化を抑制することができない。
【0045】
ここで、図4は酸素濃度3ppmの窒素雰囲気での本発明の微粒子(銅の微粒子)と、従来例1および従来例2の銅の微粒子の表面被覆物の除去割合を示すグラフである。なお、図4は、示差熱―熱重量同時測定(TG-DTA)で得られた結果をもとにして得られたものである。
図4の符号60は本発明の微粒子(銅の微粒子)を示し、符号62は従来例1の銅の微粒子を示し、符号64は従来例2の銅の微粒子を示す。従来例2は、本発明品に対して、急冷ガスにメタンガスを用い、かつクエン酸を供給していないものである。
なお、銅の微粒子を製造する場合、急冷ガスにアルゴンガスだけを用い、クエン酸を含む水溶液の噴霧を実施しない場合、銅の微粒子の製造自体はできるが、製造した銅の微粒子を回収する際、回収部20を開けた途端に、銅の微粒子が空気中の酸素により酸化して酸化銅に変化してしまうため、銅の微粒子として回収することは困難である。
【0046】
図4に示すように、本発明の微粒子では、表面被覆物は、酸素濃度3ppmの窒素雰囲気において焼成すると350℃で60質量%以上が除去される。本発明の微粒子では表面被覆物の除去率は84.8%(最大値)である。また、従来例1では表面被覆物の除去率は83.7%(最大値)であり、従来例2では表面被覆物の除去率は17.4%(最大値)である。なお、表面被覆物の除去率が高い程、微粒子は焼結しやすいことを示しており、従来例2は、表面被覆物の除去率が低く、焼結が困難であると予測される。
【0047】
ここで、図5は本発明の微粒子を示す模式図であり、図6は酸素濃度3ppmの窒素雰囲気に温度400℃で1時間保持した後の本発明の微粒子を示す模式図である。図5は焼成前の状態の微粒子を示し、粒子径が87nmである。図6は温度400℃で1時間保持した後の微粒子を示すものであり、粒子径が242nmである。温度400℃で1時間保持した後、粒径が大きくなることを確認している。
【0048】
本発明の微粒子は、上述のように、温度400℃で1時間保持した後に粒径が大きくなっており、微粒子単体で、導電配線等の導体に好適に用いることができる。用途としては、これに限定されるものではない。例えば、導電配線等の導体を作製する際に、粒子径がμmオーダの銅粒子に微粒子を混合して、銅粒子の焼結の助剤として機能させることもできる。また、微粒子は、導電配線等の導体以外にも、電気導電性が要求されるものに利用可能であり、例えば、半導体素子同士、半導体素子と各種の電子デバイス、および半導体素子と配線層等との接合にも利用可能である。
【0049】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の微粒子の製造方法および微粒子について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
10 微粒子製造装置
12 プラズマトーチ
14 材料供給装置
15 1次微粒子
16 チャンバ
17 酸供給部
18 2次微粒子
19 サイクロン
20 回収部
22 プラズマガス供給源
22a 第1の気体供給部
22b 第2の気体供給部
24 熱プラズマ炎
28 気体供給装置
28a 第1の気体供給源
30 真空ポンプ
AQ 水溶液
図1
図2
図3
図4
図5
図6