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特許7488833車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニット
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  • 特許-車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニット 図1
  • 特許-車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニット 図2
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  • 特許-車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニット 図4
  • 特許-車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニット 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 66/00 20060101AFI20240515BHJP
   F16D 66/02 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
F16D66/00 Z
F16D66/02 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021560401
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2020053213
(87)【国際公開番号】W WO2020202102
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】102019000005202
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521441777
【氏名又は名称】アイ.シー.ピー. エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッツァーノ タンクレディ
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-193660(JP,A)
【文献】特開2003-004075(JP,A)
【文献】米国特許第5637794(US,A)
【文献】米国特許第06366201(US,B1)
【文献】米国特許第09717141(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128334(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1174636(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニットであって、
感知アセンブリと、当該ユニットを前記車両の電気回路に接続できるように構成された電気コネクタと、前記感知アセンブリを前記電気コネクタに接続するための電気配線とを備えており、前記感知アセンブリは、
・軸線を有しており、前記制動部材に安定に接続されるように構成された取り付け体と、
・前記制動部材の摩耗を検出するための検出手段と、
・前記制動部材の温度を検出するためのセンサ手段と
を備え、
前記摩耗検出手段および前記温度センサ手段は、前記軸線に沿って配置され、前記取り付け体内に収容されており、
前記取り付け体は、前記軸線に沿ってカスケード状に配置され電気検出回路の列を収容し、前記電気検出回路の列は、各々がそれぞれの摩耗検出部を有している複数の第1の電気検出回路と、それぞれの温度センサを有している少なくとも1つの第2の検出回路とを含んでいる、ユニットであり、
前記電気検出回路は、一緒に第1の電極に電気的に接続されたそれぞれの第1の端子と、互いに電気的に分離したそれぞれの第2の電極に接続された第2の端子とを呈する、ことを特徴とするユニット。
【請求項2】
前記摩耗検出手段および前記温度センサ手段から信号を受信し、前記信号を処理し、前記電気コネクタを介して出力信号を送信するように構成された電子ユニットをさらに備え、前記電子ユニットは、前記電気コネクタに収容され、前記電気配線に電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
前記電気検出回路の列は、各々がそれぞれの温度センサを有している複数の前記第2の検出回路を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項4】
前記第1の検出回路のうちの少なくとも1つは、それぞれの前記第1および第2の電極の間にお互いに対して直列に配置されたそれぞれの摩耗検出部およびそれぞれの温度センサを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項5】
前記第1および第2の検出回路は、前記軸線に沿って互いに交互に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項6】
前記第2の検出回路の少なくとも一部は、それぞれの前記第1および第2の電極の間にお互いに対して直列に配置された対応する摩耗検出部および対応する温度センサを備える、ことを特徴とする請求項5に記載のユニット。
【請求項7】
前記温度センサは、互いに同一であるそれぞれのRTDを備える、ことを特徴とする請求項4に記載のユニット。
【請求項8】
各々のRTDは、PT100プローブを備える、ことを特徴とする請求項7に記載のユニット。
【請求項9】
前記第1および第2の極は、前記電気コネクタ内に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のユニット。
【請求項10】
前記摩耗検出手段、前記温度センサ手段、および前記電気配線を支持するための可撓性テープを備えており、前記可撓性テープは、前記取り付け体内に収容された末端部と、前記電気コネクタ内に配置された反対側の末端部とを有する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項11】
前記テープは、ポリイミドフィルムを備える、ことを特徴とする請求項10に記載のユニット。
【請求項12】
前記取り付け体は、ブレーキの動作温度に耐える絶縁性樹脂で作られている、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項13】
前記可撓性テープは、前記取り付け体内に埋め込まれた末端部を有し、前記取り付け体は、単一片で構成されている、ことを特徴とする請求項10に記載のユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2019年4月5日に出願されたイタリア特許出願第102019000005202号の優先権を主張し、このイタリア特許出願の全開示が、本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ブレーキパッド、またはドラムブレーキ用のブレーキシュー、あるいは車両の別の摩擦制動装置などの制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニットに関し、以下の説明は、そのようなユニットにとくに言及するが、そのような説明によって本発明の普遍性が失われるわけではない。
【0003】
自動車の動作状態を制御するために、制動装置の摩耗および動作温度の両方を、可能な限り継続的に知る必要がある。したがって、動作温度に関する限り、車両のさまざまな動作状態の最適な制御のために、検出された温度と実際の温度との間のわずか数度の差でさえも許容できないため、継続的であるだけでなく、きわめて正確でもある測定が必要である。
【背景技術】
【0004】
今日までに、制動装置の温度および摩耗の両方を同時に検出することを可能にする周知のセンサアセンブリが存在する。これらのセンサアセンブリのうちの1つが、欧州特許出願公開第0 545 063号明細書に記載されている。この記載によるセンサアセンブリは、一連のサーミスタを全てのサーミスタに共通の2つのブランチにまたがって配置して備える電気回路を使用する。サーミスタは、制動装置の摩耗において徐々に除去され、基準抵抗器、したがって取得装置の端子における電圧変動Uをもたらす。
【0005】
このセンサアセンブリは、上述の信号Uの評価に基づき、とくには車両が静止しており、ブレーキアセンブリが環境と熱平衡の状態にある2つの静止状態の間の対応する勾配ΛU/Λtおよび/または差の評価に基づく。電圧Uの検出は、等価コンダクタンスに依存し、すなわちサーミスタのうちの1つが故障し、あるいは不具合を来すと、センサアセンブリ全体の故障となり、したがって2つの静止状態間の勾配または差を誤って評価することになる。
【0006】
これに加えて、個々のサーミスタの温度挙動は、ディスクブレーキシステムのブレーキディスクなどの可動の制動部材に対する個々のサーミスタの相対位置の関数である。
【0007】
結果として、上述のセンサアセンブリは、信頼性が充分でなく、とりわけ正確でないという欠点を有する。
【0008】
これに加え、上述の既知のアセンブリはきわめて大きく、したがって、あらゆる制動装置、とりわけ自動車用のブレーキパッドにおける使用が、困難である。他のセンサアセンブリは、欧州特許出願公開第1 174 636号明細書および米国特許出願公開第2018/128334号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、車両の制動部材の摩耗および温度を検出するためのユニットであって、きわめて効率的で信頼性が高く、きわめて正確であり、使用条件に実質的に影響されないユニットを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、組み合わせられる車両の種類ならびに制動部材の種類およびサイズにかかわらずに使用することができるきわめてコンパクトな検出ユニットを提供することである。
【0011】
本発明によれば、車両の制動部材の摩耗および温度を検出するための請求項1に記載のユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
次に、本発明を、本発明の一実施形態(ただし、これに限られるわけではない)を示している添付の図面を参照して説明する。
図1】監視対象の制動システムを有し、制動部材の複数の摩耗および温度検出ユニットを装備しており、複数の摩耗および温度検出ユニットの各々は本発明の原理に従って製造されている車両を、平面図のブロック図にて示している。
図2図1の検出ユニットを平面図にて大きく拡大した縮尺で示している。
図3図2の矢印Aの方向に沿った図である。
図4図2の検出ユニットの両端部を、分かりやすくするためにいくつかの部品を取り除いて、平面図にて大きく拡大した縮尺で示している。
図5図4の細部の一変形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、参照番号1は、全体として、複数の車輪2と、各々の車輪2のためのそれ自体は公知の関連のブレーキアセンブリ3とを備える車両を示している。
【0014】
図2および図3を参照すると、各々のブレーキアセンブリ3は、1つのブレーキディスク4と、ブレーキディスク4を摩擦するための平坦な表面6を有している少なくとも1つのブレーキパッド5とを備える。
【0015】
各々のブレーキアセンブリ3は、対応するブレーキパッド5の摩耗および動作温度を検出するための各々のブレーキアセンブリ3のそれぞれのユニット7に組み合わせられる。
【0016】
図2図4を参照すると、各々のユニット7は、感知アセンブリ8と、それぞれのユニット7を車両1を操縦するための電子ユニット10へと接続できるように設計された電気コネクタ9と、それぞれの感知アセンブリ8を電気コネクタ9に接続するための電気配線11とを備える。
【0017】
図2を参照すると、感知アセンブリ8は、必ずしもではないが、好ましくは、自身の軸線13を有する円柱形の取り付け体12を備え、取り付け体12は、ブレーキパッド5の区画14内に、軸線13が対応する摩擦表面6に対して直角に延び、かつ取り付け体12の前面15が対応する摩擦表面6上または対応する摩擦表面6のわずかに背後に位置するように、例えば接着または保持要素の使用によって挿入されて固定される。
【0018】
好ましくは、取り付け体12は、ブレーキパッドの動作温度に耐える絶縁性樹脂で作られ、必ずしもではないが、好ましくは、ビンコライト(Vincolite)で作られる。
【0019】
再び図2および図4を参照すると、各々の取り付け体12に、可撓性テープ19の端子部18が埋め込まれ、可撓性テープ19は、コネクタ9の中へと延びる反対側の端子部20と、取り付け体12とコネクタ9自体との間を延びる中間部21とを有する。
【0020】
好ましくは、テープ19は、単一片で構成され、例えばDuPont社によって市販されているKaptonなどのポリイミドで製作されている。
【0021】
電気検出回路24の列23が、互いに独立して配置され、テープ19の部位18上に配置されている。電気回路24は、軸線13に沿ってカスケード状に、前面15から始まって配置され、テープ19の外面に導電性材料を堆積させることによって作られている。
【0022】
図4を参照すると、電気回路24は、軸線13に平行に取り付け体12内に収容された導電路26にすべてが電気的に接続された対応する第1の端子25と、互いに電気的に分離された第2の端子27とを有する。
【0023】
次いで、導電路26は、配線11の電線29によって電圧V1を有する電極に電気的に接続され、第2の端子27は、電圧V1に等しく、あるいは電圧V1とは異なる電圧V2の他の電極に、対応する線31によって接続される。
【0024】
端子25および27は、電圧V1およびV2を有する上述の電極に電気的に接続された線29および31が合流するマイクロプロセッサなどの電子ユニット28またはCPUによって管理される。
【0025】
電子ユニット28は、以下でさらに充分に説明されるように、ブレーキパッド5の摩耗および瞬間温度を示すデジタル出力信号Sを発するように構成される。
【0026】
導電路26、線29および31、ならびに回路24の少なくとも一部は、テープ19の外面に導電性材料を堆積させることによって製作される。
【0027】
再び図4を参照すると、回路24の各々は、軸線13に直交し、したがって表面6および15に平行である部位33を有し、この部位は、パッド5の温度を検出するための熱検出部35と、パッド5自体の摩耗を検出するための摩耗検出部36とを備える。各々の回路24において、熱検出部35および摩耗検出部36は、互いに直列に接続され、温度検出部35が導電路26に隣接して配置されている。
【0028】
各々の温度検出部35は、RTDで構成され、好ましくはプラチナRTDから構成される。必ずしもではないが、好ましくは、各々のRTDは、PT100プローブまたは同等の装置によって定められる。温度検出部35は同一である。
【0029】
各々の摩耗検出部36は、パッド5の消耗の進行につれてせん断され得る検出部である。
【0030】
図4を参照すると、各々の摩耗検出部36は、対応する回路24の逆さのV字形部分によって定められる。各々のV字形部分は、回路24に隣接して延び、摩耗の方向において回路24の前方に位置するカスプ(cusp)を有する。2つのカスプの間の距離が、摩耗検出間隔を決定する。V字状部分は、サイズおよび幾何学的形状が同一である。
【0031】
図5に示される一変形例においては、回路24の列23が、一方の端子が導電路26に接続され、他方の端子が電子ユニット28に合流する対応する線31に接続された2つの回路24の間に、追加の回路40を備える。各々の追加の回路40は、温度検出部35を有していない点のみが他の回路24と異なる。
【0032】
さらなる変形例によれば、追加の検出回路が、2つの連続する回路24の間に配置され、追加の回路は、V字形部分を欠いているという点で他の回路とは異なる。
【0033】
再び図2および図4を参照すると、電子ユニット28は、コネクタ9内に収容され、2つの端子46および47、または電源電極と、信号Sのための1つの出力端子49とを有する。
【0034】
一変形例によれば、出力端子49が存在せず、出力信号は、2つの端子46または47の一方に変調される。
【0035】
電子ユニット28は、線31の各々との電気接続を有し、回路24、40と相互作用して、パッド5の摩耗の最中に、上述のようにパッド5自体の摩耗および動作温度に依存する出力信号Sを発するように構成および設定される。
【0036】
摩耗の知らせに関する限り、摩耗は、回路24、40が断たれるときに回路24、40の端子における電気的連続性を検出することによって、マイクロプロセッサによって解釈される。
【0037】
次に、説明を簡単にするために、例えば表面15に隣接する図4における2つの回路24Aおよび24Bなどの2つの回路24のみを考慮し、電子ユニット28が線29と回路24Aの対応する線31との間の電圧差を検出する状況から出発して、ユニット7の動作を説明する。
【0038】
この状況から出発して、マイクロプロセッサは、まず、起動時に自己診断を実行する。このステップは、回路24、40の完全性を検出する。ブレーキディスク4-パッド5の接触によってもたらされる制動作用の結果として、制動における圧力の強さおよび制動時間に比例して、ブレーキパッド5の摩耗および加熱が始まる。各々の制動作用において、制動作用の継続時間および強度に応じて、パッド5の温度変化が、回路24Aの温度検出部35の電気抵抗の対応する変化を引き起こす。温度変化は、温度検出部35、すなわちRTDを通過する電流の変化を生じさせ、この変化が、電子ユニット28によって受信および処理され、電子ユニット28は、応答において、検出された温度に応じた信号Sを車両1の操縦ユニット10へと発する。好ましくは、出力信号Sは、パルス幅変調(PWM)信号であり、そのデューティサイクルが、温度の知らせをもたらす一方で、PWMパケットの間の間隔が、どの温度および摩耗検出回路が使用されており、あるいは断たれているのかを知らせる。
【0039】
パッド5の摩耗が摩耗限界値D1(図4)を超えると、部位36のカスプがディスク4によって捕捉され、徐々に除去される。カスプが完全に除去されると、回路24Aは遮断され、それにより、回路24A自体を通過する電流も遮断される。この状況において、電子ユニット28は、線29と遮断された回路24Aの線31との間の無負荷電圧を検出し、パッド5の漸進的な摩耗に応じた出力信号を生成する。この状況において、同じ回路24Aの温度検出部35も切り離されている。電子ユニット28は、電気回路24Aの遮断を検出すると、回路24Aを無視し、パッド5の動作温度に応じた回路24Bの一方の線29と他方の線31との間の電圧差を考慮するように自身を再構成する。
【0040】
このような状況は、ブレーキパッド5が第2の摩耗限界値D2に達し、ブレーキディスク4が部位35のカスプを除去することによって回路24Bも遮断し、回路24Bの一方の線29と他方の線31との間の電流の通過を効果的に無効にするまで続く。
【0041】
上述の動作は、同じ順序で再び始まり、最後の回路24がブレーキディスク4によって遮断され、信号がパッド5を交換する必要があると解釈されるまで継続する。
【0042】
図5に示されるように、温度検出部35を持たない回路40が電気回路24Aおよび24Bの間に配置される場合、電子ユニット28は、回路24Aからもたらされる摩耗および温度情報を使用するようにプログラムおよび構成され、この同じ回路24Aの遮断後に、一方の回路24Bおよび追加の回路40の両方からの信号、すなわち一方の線29と対応する両方の線31とを介する信号を同時に解釈する。
【0043】
このようにして、電子ユニット28は、最初に回路24Bからの温度情報、および最初に追加の回路40からの摩耗情報を解釈する。追加の回路40も遮断されると、電子ユニット28は、温度情報を維持しつつ、回路24Bからの摩耗情報を更新する。
【0044】
自己診断ステップにおいて、1つ以上の温度検出部35がすでに摩耗済みであると仮定すると、電子ユニット28は、そのような温度検出部35を、ディスクに最も近い第1の温度検出部35から温度を取得することによって除外する。
【0045】
定常状態において、温度検出部35が漸進的な摩耗によって切り離されるとき、結果として得られる読み取り値は、目盛りの最も上の値をもたらす。
【0046】
電子ユニット28の特定の数のクロックサイクルにおいて、上述の値が目盛りの最も上のままである場合、電子ユニット28は、これを遮断された温度検出器と解釈し、この同じ電子ユニット28は、この遮断された温度検出器を熱検出から除外し、最後の一貫したデータを有効とみなし、後続の温度検出部35を調べるように移行する。
【0047】
このようにして製造されたユニット7は、等しい回路24による解決策と比べて低い構築コストと、いずれの場合もほとんどの用途において充分に正確な温度検出とを有する。
【0048】
上記から、摩耗および温度検出ユニット7は、一方では簡単かつ経済的に実施でき、他方ではきわめて効率的かつ信頼性が高いことが明らかである。
【0049】
以上は、ユニット7が、図4に示される解決策の場合には互いに同一であり、図5の場合には相違するが、常に互いに独立してカスケード状に配置された複数の電気回路からなるという事実に起因する。
【0050】
これに加えて、図4に示される解決策の場合に、ユニット28は、パッド5の摩耗の程度にかかわらず、単一の回路24からの摩耗および温度情報を検証し、使用中の回路24自体が遮断されたことを検出した場合に限り、次の回路24を使用するように自律的に変化する。このような動作の態様は、電気回路24が、パッド5の漸進的な摩耗の際に他の電気回路24に影響を及ぼさず、あるいは干渉しないことを保証する。このようにして生み出された解決策は、実際の動作値から数度(通常は、3°~5°)しかずれていない検出温度値を得ることを可能にする。
【0051】
種々の電気回路24、40のカスケード状の配置は、ユニット7の寸法を抑えることを可能にし、結果として、ユニット7は、あらゆる制動装置において、制動装置のあらゆる位置に適用される。
【0052】
すべての電気回路24、40のための支持ベースとして、広くには可撓性テープ、とりわけカプトンなどのポリイミドを使用することで、一方では、取り付け体12とコネクタ9との間を延びる配線の可撓性を保証することが可能になり、他方では、従来からの摩耗検出器と同じ全体寸法を有する取り付け体を使用することが可能になり、したがって現在の制動部材を修正する必要がなくなる。
【0053】
さらに、ユニット7の全体寸法は、電子ユニット28が車両1の電気配線への接続のための同じコネクタ9内に収容されているという事実によっても抑えられる。
【0054】
例えばPT100などのプラチナRTDの使用は、きわめて高い温度範囲および850°程度までの温度において動作し、実質的に線形の特性曲線を有し、優れた精度で動作することを可能にする。これに加え、上述のサーミスタは、優秀かつ一貫した安定性を有する。
【0055】
以上から、上述の熱素子を、他のサーミスタまたは抵抗性ペースト堆積物、あるいはダイオードによって、後者の動作特性における熱依存性を利用して、置き換えることができることが明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5