(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】油圧リフティングコラム用の油圧旋回システム及びリフティングコラム
(51)【国際特許分類】
F15B 15/06 20060101AFI20240515BHJP
A61G 7/005 20060101ALI20240515BHJP
A61G 13/04 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
F15B15/06 B
A61G7/005
A61G13/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022143072
(22)【出願日】2022-09-08
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】10 2021 213 837.3
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522358179
【氏名又は名称】ハウエ ヒドラウリク エスエー
【氏名又は名称原語表記】HAWE Hydraulik SE
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ダニー アウリッヒ
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-306549(JP,A)
【文献】特開昭60-068852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0141430(US,A1)
【文献】国際公開第2019/043155(WO,A1)
【文献】西独国特許出願公開第3815596(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/06
A61G 7/005
A61G 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧リフティングコラム(1,2)用の油圧旋回システム(10,100)であって、
中央旋回システムヘッド(12)と、
内側フレーム(14)と、
外側フレーム(16)と、
油圧シリンダ装置(18,118)と、
を備え、
前記内側フレーム(14)が、前記油圧シリンダ装置(18,118)によって第1旋回軸線(SA1)周りで旋回するよう、前記旋回システムヘッド(12)に旋回可能に取り付けられ、前記旋回システムヘッド(12)が、前記第1旋回軸線(SA1)に沿って見て、前記内側フレーム(14)の軸線方向内方に配置され、
前記外側フレーム(16)が、前記油圧シリンダ装置(18,118)によって第2旋回軸線(SA2)周りで旋回するよう、前記内側フレーム(14)上に旋回可能に取り付けられ
、
前記油圧シリンダ装置(18,118)はチルトシリンダ(22,122)を備え、
前記チルトシリンダ(22,122)が、前記外側フレーム(16)を前記第2旋回軸線(SA2)周りで旋回させるよう構成され、
前記チルトシリンダ(22,122)が、チルトシリンダハウジング(28,128)及び第1チルトシリンダピストンロッド(30,130)を有し、
前記内側フレーム(14)が、チルトシリンダ支持部(32,132)を有し、
前記チルトシリンダハウジング(28,128)が、前記チルトシリンダ支持部(32,132)に少なくとも間接的に関節結合され、前記第1チルトシリンダピストンロッド(30,130)が、前記外側フレーム(16)に関節結合されている、油圧旋回システム。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記内側フレーム(14)が、前記第2旋回軸線(SA2)に沿って見て、前記外側フレーム(16)の軸線方向内方に配置されていることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記内側フレーム(14)が、前記旋回システムヘッド(12)の上端部で支持されていることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記内側フレーム(14)が、閉じたフレームであることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記外側フレーム(16)が、閉じたフレームであることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記外側フレーム(16)は、前記第2旋回軸線(SA2)が前記第1旋回軸線(SA1)に対して直交するよう、前記内側フレーム(14)に取り付けられていることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記油圧シリンダ装置(18,118)が、トレンドシリンダ(20
)を含み、前記トレンドシリンダ(20)が、前記内側フレーム(14)を前記第1旋回軸線(SA1)周りで旋回させるよう構成さ
れることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項8】
請求項7に記載の油圧旋回システム(10,100)であって、前記トレンドシリンダ(20)が、トレンドシリンダハウジング(24)及びトレンドシリンダピストンロッド(26)を有し、前記トレンドシリンダハウジング(24)が、旋回システムヘッド(12)に第3旋回軸線(SA3)周りで旋回可能に取り付けられ、前記トレンドシリンダピストンロッド(26)が、前記内側フレーム(14)に旋回可能に取り付けられていることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項9】
請求項
1又は2に記載の油圧旋回システム(10)であって、前記チルトシリンダ(22)が、二重シリンダとして構成されると共に、第2チルトシリンダピストンロッド(34)を有し、前記第2チルトシリンダピストンロッド(34)が、前記第1チルトシリンダピストンロッド(30)に対して平行に配置されると共に、第4旋回軸線(SA4)周りで旋回するよう、前記チルトシリンダ支持部(32)上で旋回可能に取り付けられていることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項10】
請求項
1又は2に記載の油圧旋回システム(100)であって、前記チルトシリンダ(122)が、伸縮シリンダとして構成され、前記第1チルトシリンダピストンロッド(130)が、複数部分で構成されたチルトシリンダピストンロッド(130)であることを特徴とする、油圧旋回システム。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の油圧旋回システム(1,100)を備える油圧リフティングコラム(1,2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧リフティングコラム用の油圧旋回システム及びそのような旋回システムを備える油圧リフティングコラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したような旋回システム及びリフティングコラムは、特に医療分野において、手術台、手術用ロボット、又は他の医療機器などに使用されている。その目的は、旋回システムに固定された医療要素、例えば手術台の横臥面の高さを調整するのみならず、長手方向軸線及び横方向軸線周りで旋回又は傾斜させることである。この目的のために、油圧リフティングコラムを使用して、昇降運動を行うことができ、油圧旋回システムを使用して、(いわゆるトレンド角を描くために)長手方向軸線周りと(いわゆるチルト角を描くために)横方向軸線周りとで旋回運動を行うことができる。
【0003】
対応する油圧旋回システムを備える油圧リフティングコラムは、従来技術に既知である。例えば、特許文献1(欧州特許出願公開第3646841号明細書)及び特許文献2(欧州特許出願公開第2962673号明細書)の両方は、油圧旋回システムによって横臥面を旋回可能とする油圧リフティングコラムの様々な構成を記載している。
【0004】
これら油圧リフティングコラム及び旋回システムに課せられる要求は、特に、様々な操作方法における更なる開発及び改良の急速な進歩のみならず、設置スペース及びスペース要件に関する仕様に起因し、近年より一層高まっている。特に、描くべきトレンド角及びチルト角に課せられる要求はより一層高まっている。
【0005】
例えばチルト角を変化させることによって、手術中に患者の体位を変えなければならない場合がある。ただしこの場合、チルト角を所望の範囲に変化できるのみならず、油圧旋回システムの設計に起因し、トレンド角に僅かな変化すら生じないよう保証する必要がある。更に、油圧旋回システムの設計に起因し、所望の角度変化に際して機械的ブロッキングが生じないよう保証する必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第3646841号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2962673号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、異なる位置における角度を、機械的ロック又は不所望な角度変化なしに調整可能とする油圧リフティングコラム用のコンパクトな油圧旋回システムを開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の油圧旋回システムにより解決される。好適な実施形態は、従属請求項に記載したとおりである。
【0009】
本発明に係る油圧リフティングコラム用の油圧旋回システムは、中央旋回システムヘッドと、内側フレームと、外側フレームと、油圧シリンダ装置とを備える。内側フレームは、油圧シリンダ装置によって第1旋回軸線周りで旋回するよう、旋回システムヘッドに旋回可能に取り付けられている。外側フレームは、油圧シリンダ装置によって第2旋回軸線周りで旋回するよう、内側フレームに旋回可能に取り付けられている。本発明によれば、旋回システムヘッドは、第1旋回軸線に沿って見て、内側フレームの内方に配置されている。
【0010】
このように、内側フレーム及び外側フレームは共に一種の自在継手を形成するため、内側フレームは、油圧シリンダ装置を介して、旋回システムヘッドに対して外側フレームと一緒に傾斜又は旋回することができ、また外側フレームは、油圧シリンダ装置を介して、旋回システムヘッドに対して内側フレームとは独立して傾斜又は旋回することができる。例えば、外側フレームは、チルト角を実現するよう構成することができ、内側フレームは、トレンド角を実現するよう構成することができる。チルト角を変化させる場合、外側フレームは、旋回システムヘッドに対して、油圧シリンダ装置によって第2旋回軸線周りで旋回する。同時に、内側フレームは、旋回システムヘッドに対する相対位置が変化しないため、チルト角の変化は生じない。この構成により、旋回システムヘッドに対する内側フレーム及び外側フレームの特定位置における機械的ロックの発生も排除される。
【0011】
これに加えて、旋回システムヘッド、内側フレーム、並びに外側フレームの配置により、広い範囲のトレンド角及びチルト角を実現することができる。内側フレームは、旋回システムヘッドを包囲しているため、旋回システムヘッドに対して比較的大きなトレンド角範囲に亘って旋回することができる。同様のことは、外側フレームにも当てはまる。即ち、外側フレームは、内側フレーム上に取り付けられて第2旋回軸線周りで旋回可能であるため、旋回システムヘッドに対して比較的大きなチルト角範囲に亘って旋回することができる。従って、内側フレームは、好適には、第2旋回軸線に沿って見て、外側フレームの軸線方向内方に配置されている。好適には、外側フレームは、第2旋回軸線が第1旋回軸線に対して直交するよう、内側フレーム上に取り付けられている。
【0012】
好適には、内側フレームは、旋回システムヘッドの上端部に支持されている。これにより、特に広い範囲のトレンド角及びチルト角を実現することができる。更に、例えば、横臥面などを外側フレームに問題なく支持することができる。この目的のために、外側フレームは、対応する支持部を有するのが好適である。
【0013】
好適には、内側フレームは、閉じたフレームである。この関連において、外側フレームが閉じたフレームであればやはり好適である。これにより、特に安定した構造を実現することができる。ただし、例えば、横臥面を介して十分な補強が提供可能な場合には、内側及び/又は外側フレームが閉じられていないことも想定可能である。
【0014】
好適には、油圧シリンダ装置は、トレンドシリンダ及びチルトシリンダを含み、トレンドシリンダは、内側フレームを第1旋回軸線周りで旋回させるよう構成され、チルトシリンダは、外側フレームを第2旋回軸線周りで旋回させるよう構成されている。各シリンダに圧力が加えられると、対応するピストンロッドが内方又は外方に移動し、トレンド角又はチルト角が変化する。
【0015】
トレンドシリンダが複動式であれば、更に好適である。チルトシリンダが複動式であれば、やはり好適である。これにより、各シリンダに圧力を加えることによって、トレンド角及びチルト角を両方向において能動的に変化させることができる。
【0016】
好適には、トレンドシリンダは、トレンドシリンダハウジング及びトレンドシリンダピストンロッドを有し、トレンドシリンダハウジングは、旋回システムヘッドに第3旋回軸線周りで旋回可能に取り付けられ、トレンドシリンダピストンロッドは、内側フレームに旋回可能に取り付けられている。
【0017】
好適には、チルトシリンダは、チルトシリンダハウジング及び第1チルトシリンダピストンロッドを有し、内側フレームは、チルトシリンダ支持部を有し、チルトシリンダハウジングは、チルトシリンダ支持部に少なくとも間接的に関節結合され、第1チルトシリンダピストンロッドは、外側フレームに関節結合されている。
【0018】
チルトシリンダは、伸縮シリンダとして構成することができ、第1チルトシリンダピストンロッドは、複数部分で構成されたチルトシリンダピストンロッドとすることができる。代替的に、チルトシリンダは、二重シリンダとして構成できると共に、第2チルトシリンダピストンロッドを有し、第2チルトシリンダピストンロッドは、第1チルトシリンダピストンロッドに対して平行に配置されると共に、第4旋回軸線周りで旋回するよう、チルトシリンダ支持部上で旋回可能に取り付けられている。これにより、圧力を加えることでチルト角を容易に変化させることができる。これに加えて、特にコンパクトかつ省スペースな設計が実現される。代替的に、チルトシリンダは、複動式に構成することができる。このような構成は、特に費用対効果が高い。
【0019】
本発明における課題の解決策は、上述した油圧旋回システムを備える請求項12に記載の油圧リフティングコラムによって更に実現される。
【0020】
以下、本発明を図面に示す実施形態を参照しつつより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る油圧旋回システムを示す斜視図である。
【
図4】
図1における旋回システムの内側フレーム及び外側フレームを示す詳細図である。
【
図5】第2実施形態に係る油圧旋回システムを示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る旋回システムを備える、完全に格納されたリフティングコラムを示す説明図である。
【
図8】第2実施形態に係る旋回システムを備える、完全に伸長されたリフティングコラムを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、第1実施形態に係る、油圧リフティングコラム1(
図7も参照)用の油圧旋回システム10の斜視図を示す。旋回システム10は、中央の旋回システムヘッド12と、油圧シリンダ装置18を備える。油圧シリンダ装置18は、以下に更に詳述するように、トレンドシリンダ20及び図示の実施形態において二重シリンダとして構成されたチルトシリンダ22を含む。旋回システムヘッド12は、直方体ハウジングとして構成されている。
【0023】
更に、旋回システム10は、旋回システムヘッド12の上端部に旋回可能に取り付けられた内側フレーム14を備える。内側フレーム14は、旋回システムヘッド12に第1旋回軸線SA1周りで旋回可能又は傾斜可能に取り付けられている。内側フレーム14には、第2旋回軸線SA2周りで旋回可能又は傾斜可能な外側フレーム16が取り付けられている。図示のように、内側フレーム14及び外側フレーム16の両方は、完全に閉じた(クローズド)フレームとして形成されている。外側フレーム16には、複数の支持部36又はレセプタクルポイントが設けられており、例えば、外側フレーム16に従来既知の方法で横臥面を取り付けることができる。
【0024】
内側フレーム14は、第1旋回軸線SA1方向に見て、旋回システムヘッド12が内側フレーム14の内方に配置されているという点で、旋回システムヘッド12の上端部を包囲している。換言すれば、内側フレーム14が非旋回状態、従って水平方位にある場合、内側フレーム14は、旋回システムヘッド12の上端部を完全に包囲している。内側フレーム14の非旋回状態、従って完全に水平方位は、
図2bに示す。
【0025】
第2旋回軸線SA2に沿って見ると、内側フレーム14は、軸線方向において外側フレーム16の内方に配置されている。従って、
図2bに示すように、内側フレーム14及び外側フレーム16の両方が非旋回状態、即ち水平方位にある場合、外側フレーム16は、内側フレーム14を完全に包囲している。
【0026】
更に、
図1~
図4から分かるように、第1旋回軸線SA1及び第2旋回軸線SA2は、互いに直交している。従って、内側フレーム14及び外側フレーム16は、一種の自在継手を形成しており、これにより外側フレーム16は、内側フレーム14から独立して旋回することができる。
【0027】
内側フレーム14を移動させるために設けられたトレンドシリンダ20は、トレンドシリンダハウジング24及びトレンドシリンダピストンロッド26を有する。トレンドシリンダハウジング24は、旋回システムヘッド12に第3旋回軸線SA3周りで旋回可能に取り付けられている。旋回システムヘッド12に対するトレンドシリンダ20のこの部分的な可動性は、内側フレーム14が旋回する際に可能な限り均一な力を適用することを保証するのに必要である。トレンドシリンダピストンロッド26は、例えばボールジョイントを介して、内側フレーム14に関節結合されている。特に
図1から分かるように、内側フレームに対するトレンドシリンダピストンロッド26の取り付け点は、第2旋回軸線SA2上に位置している。
【0028】
図示の実施形態において、トレンドシリンダ20は、複動式の油圧シリンダとして構成されているため、トレンドシリンダピストンロッド26は、トレンドシリンダ20に適切な圧力を加えることにより、トレンドシリンダハウジング24に対して出入りする。これにより、内側フレーム14が旋回システムヘッド12に対して第1旋回軸線SA1周りで旋回又は傾斜し、それに応じて所望のトレンド角が設定される(
図2a~
図2cも参照)。外側フレーム16は、内側フレーム14に取り付けられているため、トレンドシリンダ20の作動に応じて旋回する。
【0029】
外側フレーム16を内側フレーム14に対して移動させるために設けられたチルトシリンダ22は、
図1~
図4及び
図7に示す実施形態において、複動式の二重シリンダとして構成されている。この目的のために、チルトシリンダ22は、チルトシリンダハウジング28、第1チルトシリンダピストンロッド30、並びに第2チルトシリンダピストンロッド34を有する。第1チルトシリンダピストンロッド30及び第2チルトシリンダピストンロッド34は、互いに平行に配置されると共に、チルトシリンダ22に圧力が加えられると、チルトシリンダハウジング28に対して反対方向に、しかし同じ速度で出入りする。
【0030】
内側フレーム14は、チルトシリンダ支持部32を有し、第2チルトシリンダピストンロッド34は、チルトシリンダ支持部32に取り付けられることによって第4旋回軸線SA4周りで旋回可能である。これにより、外側フレーム16が旋回する際に可能な限り均一な力を導入することが保証される。従って、図示の実施形態において、チルトシリンダハウジング28は、チルトシリンダ支持部32に間接的に旋回可能に取り付けられている。第1チルトシリンダピストンロッド30は、例えばボールジョイントを介して、外側フレーム16に関節結合されている。特に
図2bから分かるように、第1チルトシリンダピストンロッド30の取り付け点は、トレンドシリンダ20方向において、第1旋回軸線SA1から横方向にオフセット配置されている。
【0031】
チルトシリンダ22に圧力が加えられると、外側フレーム16は、内側フレーム14に対して第2旋回軸線SA2周りで旋回し、従ってそれに応じて所望のチルト角が設定される(
図3a~
図3c及び
図4も参照)。特に
図3a~
図3cから分かるように、チルトシリンダ22の作動は、外側フレーム16を内側フレーム14とは独立して旋回させるため、チルト角だけが変化し、トレンド角は変化しない。
【0032】
図5及び
図6a~
図6cにおいては、油圧リフティングコラム2(
図8も参照)用の油圧旋回システム100の第2実施形態を示す。第2実施形態に係る油圧旋回システム100は、上述した第1実施形態に係る油圧旋回システム10とは、油圧シリンダ装置118の構成が修正されている点において実質的に異なる。特に、チルトシリンダ122の構成が第1実施形態と比べて修正されている。
【0033】
この実施形態において、チルトシリンダ122は、第1かつ唯一のチルトシリンダピストンロッド130が複数の部分で構成されているという点で、複動式の伸縮シリンダとして構成されている。特に
図6cから分かるように、図示の第1チルトシリンダピストンロッド130は、2ピース構造であるが、3ピース又は他の任意のマルチピース構成も想定可能である。第2実施形態に係るチルトシリンダ122のチルトシリンダハウジング128は、図示の場合、チルトシリンダ支持部132に直接的に取り付けられているため、チルトシリンダハウジング128が第4旋回軸線SA4周りで直接的に旋回可能である。
【0034】
図7は、第1実施形態に係る油圧旋回システム10を備える油圧リフティングコラム1を示す。
図7において、リフティングコラム1は、完全に格納されている。リフティングコラム1は更に、タンクが統合されたコンパクトな油圧パワーユニット3と、バルブ装置4とを備える。油圧パワーユニット3及びバルブ装置4を適切に制御することにより、トレンドシリンダ20及びチルトシリンダ22を加圧し、旋回システムヘッド12に対する内側フレーム14及び外側フレーム16の所望のトレンド角位置及びチルト角位置を得ることができる。更に、
図8を参照しつつ以下により詳細に説明するように、少なくとも1個の他の油圧シリンダ(図示せず)がリフティングコラム1内で加圧され、旋回システムヘッド12をリフティングコラム1のベース5に対して垂直方向に移動させることができる。
【0035】
図8に示す油圧リフティングコラム2は、第2実施形態に係る油圧旋回システム100が使用されていること以外は、
図7に示すリフティングコラム1に対応している。更に、
図7に示すリフティングコラム1は完全に格納されているのに対して、
図8に示すリフティングコラム2は伸長されている。
図7に関して上述したように、少なくとも1個の更なる油圧シリンダ(図示せず)は、従来の方法で加圧され、リフティングコラム2のベース5に対して旋回システムヘッド12が垂直方向に上昇する。少なくとも1個の更なる油圧シリンダは、旋回システムヘッド12及びベース5内に配置されると共に、複動式の油圧シリンダとして構成することができる。ただし、少なくとも1個の更なる油圧シリンダが単動式の油圧シリンダとして構成され、旋回システムヘッド12の下降が重力によって行われることも想定可能である。図示のように、旋回システムヘッド12は、プロファイルされたハウジングとして構成されている。
【0036】
更に、ベース5は、ベースプレート6及び複数のガイド部分7a~7cを有する。ガイド部分7a~7cは、旋回システムヘッド12と一緒に伸縮式の接続部を形成する。この目的のために、旋回システムヘッド12は、第1ガイド部分7a上で軸線方向に変位可能にガイドされ、第1ガイド部分7aは、第2ガイド部分7b上で軸線方向に変位可能にガイドされ、第2ガイド部分7bは、第3ガイド部分7c上で軸線方向にガイドされている。第3ガイド部分7cは、ベースプレート6に固定されている。
【符号の説明】
【0037】
1,2 油圧リフティングコラム
3 油圧パワーユニット
4 バルブ装置
5 ベース
6 ベースプレート
7a~7c ガイド部分
10,100 油圧旋回システム
12 中央旋回システムヘッド
14 内側フレーム
16 外側フレーム
18,118 油圧シリンダ装置
20 トレンドシリンダ
22,122 チルトシリンダ
24 トレンドシリンダハウジング
26 トレンドシリンダピストンロッド
28,128 チルトシリンダハウジング
30,130 チルトシリンダピストンロッド
32,132 チルトシリンダ支持部
34 第2チルトシリンダピストンロッド
36 支持部
SA1 第1旋回軸線
SA2 第2旋回軸線
SA3 第3旋回軸線
SA4 第4旋回軸線