IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7488861ヒト化分化抗原群274遺伝子を有する非ヒト動物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ヒト化分化抗原群274遺伝子を有する非ヒト動物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20240515BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240515BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240515BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240515BHJP
   A01K 67/027 20240101ALI20240515BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240515BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240515BHJP
【FI】
C12N15/63 Z
C12N15/12 ZNA
C07K19/00
C07K14/705
A01K67/027
G01N33/48 N
C12N15/62 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022148949
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2020168478の分割
【原出願日】2015-12-09
(65)【公開番号】P2022184973
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】62/089,549
(32)【優先日】2014-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/106,525
(32)【優先日】2015-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エレナ ブロヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ヤジュン タン
(72)【発明者】
【氏名】カ-マン ビーナス ライ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイ. マーフィー
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/004771(WO,A1)
【文献】特開2012-050451(JP,A)
【文献】特表2014-532412(JP,A)
【文献】国際公開第2014/130671(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/130667(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0177515(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0047572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 14/00-19/00
A01K 67/027
G01N 33/48
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト化プログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)ポリペプチドをコードするヒト化分化抗原群274(CD274)遺伝子を含む核酸ベクターであって、前記ヒト化CD274遺伝子は、
(i)齧歯類CD274遺伝子のエキソン1及びエキソン2と、
(ii)ヒトCD274遺伝子のエキソン3、エキソン4、及び、エキソン5の一部を含む核酸配列であって、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外配列をコードし、かつ、下記(iii)に規定の核酸配列に操作可能に連結された、前記核酸配列と、
(iii)齧歯類CD274遺伝子のエキソン6、エキソン7、及び、エキソン5の一部を含む核酸配列であって、齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞内配列及び膜貫通配列をコードする、前記核酸配列と
含む、核酸ベクター。
【請求項2】
マウスPD-L1ポリペプチドの細胞内配列及び膜貫通配列に操作可能に結合された、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外配列を含む、単離されたヒト化PD-L1ポリペプチドであって、配列番号6のアミノ酸19~291を含む、単離されたヒト化PD-L1ポリペプチド。
【請求項3】
そのゲノムが、内在性CD274遺伝子座においてヒト化PD-L1ポリペプチドをコードするヒト化CD274遺伝子を、そして、内在性Pdcd1遺伝子座においてヒト化PD-1ポリペプチドをコードするヒト化Pdcd1遺伝子を含む、遺伝子改変された齧歯類であって、
前記ヒト化CD274遺伝子が、
(i)内在性齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞内配列及び膜貫通配列をコードする核酸配列と、
(ii)内在性齧歯類CD274プロモーター
に操作可能に結合された、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外配列をコードする核酸配列を含み、
前記ヒト化PD-1ポリペプチドが、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外部分と、内在性齧歯類PD-1ポリペプチドの細胞内部分とを含む、
遺伝子改変された齧歯類。
【請求項4】
前記内在性齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞内配列及び膜貫通配列をコードする前記核酸配列が、内在性齧歯類CD274遺伝子のエキソン6、エキソン7、及び、エキソン5の一部を含み、必要に応じて、前記ヒト化CD274遺伝子がさらに、前記内在性齧歯類CD274遺伝子のエキソン1及びエキソン2を含む、請求項に記載の遺伝子改変された齧歯類。
【請求項5】
前記ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外配列をコードする前記核酸配列が、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、エキソン4、及び、エキソン5の一部を含む、請求項3または4に記載の遺伝子改変された齧歯類。
【請求項6】
前記ヒト化Pdcd1遺伝子が、内在性齧歯類Pdcd1遺伝子のエキソン1、エキソン3、エキソン4及びエキソン5の3’部分に操作可能に結合された、ヒトPDCD1遺伝子のエキソン2、及び、エキソン3の5’部分を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の遺伝子改変された齧歯類。
【請求項7】
ヒトPD-L1を標的化する薬剤の薬物動態特性を評価する方法であって、前記方法は、
そのゲノムが、内在性CD274遺伝子座においてヒト化PD-L1ポリペプチドをコードするヒト化CD274遺伝子を含む齧歯類に、ヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程であって、前記ヒト化CD274遺伝子が、
(i)内在性齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞内配列及び膜貫通配列をコードする核酸配列と、
(ii)内在性齧歯類CD274プロモーター
に操作可能に結合された、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外配列をコードする核酸配列を含み、前記齧歯類が、前記齧歯類の細胞表面上に前記ヒト化PD-L1ポリペプチドを発現する、工程と、
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤の1つまたは複数の薬物動態特性を判定するアッセイを実行する工程と
を含む、方法。
【請求項8】
前記内在性齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞内配列及び膜貫通配列をコードする前記核酸配列が、内在性齧歯類CD274遺伝子のエキソン6、エキソン7、及び、エキソン5の一部を含み、必要に応じて、前記ヒト化CD274遺伝子がさらに、前記内在性齧歯類CD274遺伝子のエキソン1及びエキソン2を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外配列をコードする前記核酸配列が、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、エキソン4、及び、エキソン5の一部を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記齧歯類のゲノムが、内在性Pdcd1遺伝子座においてヒト化PD-1ポリペプチドをコードするヒト化Pdcd1遺伝子を含み、前記ヒト化PD-1ポリペプチドが、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外部分と、内在性齧歯類PD-1ポリペプチドの細胞内部分とを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒト化Pdcd1遺伝子が、内在性齧歯類Pdcd1遺伝子のエキソン1、エキソン3、エキソン4及びエキソン5の3’部分に操作可能に結合された、ヒトPDCD1遺伝子のエキソン2、及び、エキソン3の5’部分を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記齧歯類がマウスである、請求項に記載の核酸ベクター、または、請求項3~6のいずれか一項に記載の遺伝子改変された齧歯類。
【請求項13】
前記齧歯類がラットである、請求項に記載の核酸ベクター、または、請求項3~6のいずれか一項に記載の遺伝子改変された齧歯類。
【請求項14】
前記齧歯類がマウスである、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記齧歯類がラットである、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2014年12月9日出願の米国仮出願第62/089,549号及び2015年1月22日出願の同第62/106,525号の利益を主張するものであり、これらの全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による配列表の組み込み
2015年11月24日に作成され、EFS-Web経由で米国特許商標庁に提出された、31971_10133WO01_PCTSequenceListing.txtという名称のASCIIテキストファイル(79KB)は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
自己免疫の治療が著しく発展しているにもかかわらず、世界の医療産業の主要課題である癌及び感染症は依然として存在している。これらの主要課題は、細胞が、細胞表面ポリペプチドを介して免疫応答を調節する能力にある程度起因する。細胞及び微生物は、一部の細胞表面ポリペプチドによりシグナル伝達経路を奪って、宿主免疫システムの監視機構を弱小化させ、それらに対する免疫応答を阻害し、疾病表現型を発生させる。それにもかかわらず、かかる疾患病状に対する免疫応答を調節し、かかる細胞が免疫応答を操作する方法の分子態様を判定するようにデザインされている、自己免疫、癌、及び感染症向けの新たな標的療法の治療可能性を最適に判定するin vivo系は開発されていない。かかるin vivo系は、治療効果並びに将来の自己免疫、癌、及び感染症の治療向けの候補薬剤の開発を評価するアッセイの供給源を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、自己免疫、炎症性疾患、及び癌の治療に使用可能な新しい治療法、いくつかの実施形態では、治療レジメンを同定し、開発するために非ヒト動物の遺伝子を操作して、改良されたin vivo系を可能にすることが望ましいという認識を包含する。本発明はまた、感染症の治療に使用可能な新しい治療法、いくつかの実施形態では、治療レジメンを同定し、開発するために非ヒト動物の遺伝子を操作して、改良されたin vivo系を可能にすることが望ましいという認識を包含する。更に、本発明はまた、抗腫瘍免疫、及び/又は抗菌免疫を増加させる治療法の同定及び開発に使用する、ヒト化CD274遺伝子を有する、及び/又は別の方法で、ヒト若しくはヒト化PD-L1ポリペプチドを発現する、含有する、若しくは産生成する非ヒト動物が望ましいという認識を包含する。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、PD-L1を標的化すること、又はPD-L1結合パートナー(例えば、PD-1、B7-1)を間接的に標的化することを含む併用療法を同定し、開発するための、改良されたin vivo系を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、本発明は、2つの異なる種(例えば、ヒト及び非ヒト)の遺伝子物質を含むCD274遺伝子を含むゲノムを有する非ヒト動物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物のCD274遺伝子は、ヒト部分と、非ヒト部分と、を含有するPD-L1ポリペプチドをコードし、ヒト部分及び非ヒト部分は結合され、機能性PD-L1ポリペプチドを形成する。いくつかの実施形態では、非ヒト部分は内在性部分を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物のCD274遺伝子は、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインの全体又は一部を含有するPD-L1ポリペプチドをコードする。
【0006】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒト部分と、内在性部分と、を含むPD-L1ポリペプチドを発現する非ヒト動物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明のPD-L1ポリペプチドは、非ヒトシグナルペプチド、いくつかの特定の実施形態では、齧歯類シグナルペプチドを使用して非ヒト動物の細胞内で翻訳される。
【0007】
いくつかの実施形態では、内在性部分は、内在性PD-L1ポリペプチドの細胞内部分を含む。いくつかの実施形態では、内在性部分は、内在性PD-L1ポリペプチドの膜貫通部分を更に含む。いくつかの実施形態では、内在性部分は、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、内在性部分は、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、内在性部分は、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~277を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~131を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明のPD-L1ポリペプチドは、内在性非ヒトCD274配列と、ヒトCD274配列と、を含むCD274遺伝子によってコードされる。いくつかの特定の実施形態では、CD274遺伝子は、内在性CD274エキソン1、2、6、及び7を含む。いくつかの特定の実施形態では、CD274遺伝子は、内在性CD274エキソン5の全体又は一部を更に含む。いくつかの実施形態では、内在性非ヒトCD274配列及びヒトCD274配列を含むCD274遺伝子は、内在性CD274遺伝子座に位置する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号12、配列番号13、又は配列番号16と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号12、配列番号13、又は配列番号16と実質的に同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号12、配列番号13、又は配列番号16と同一である配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び配列番号16を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号13及び配列番号16を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号12及び配列番号13を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号12、配列番号13、及び配列番号17を含む。いくつかの実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、配列番号13、配列番号16、及び配列番号17を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明はヒト化CD274遺伝子座を提供する。いくつかの実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、ヒトCD274配列を含むように遺伝子改変された内在性非ヒトCD274遺伝子座である。いくつかの実施形態では、本発明は、ヒトCD274遺伝子の1つ又は2つ以上のエキソンの全体又は一部に操作可能に結合された、非ヒトCD274遺伝子の1つ又は2つ以上のエキソンを含むヒト化CD274遺伝子座を提供する。いくつかの実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、ヒトCD274遺伝子の1つ又は2つ以上のエキソンに隣接する5’及び3’非ヒトCD274非翻訳領域(UTR)を更に含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、齧歯類プロモーター、いくつかの特定の実施形態では、内在性齧歯類プロモーターの支配下にある。
【0013】
いくつかの実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、ヒトCD274エキソン3及び4に操作可能に結合された非ヒトCD274エキソン1、2、6、及び7を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、非ヒトCD274エキソン1、2、6、及び7、ヒトCD274エキソン3及び4を含み、CD274エキソン5を更に含む。このCD274エキソン5は、ヒト部分と、非ヒト部分と、を含み、該非ヒト及びヒトエキソンは操作可能に結合されている。いくつかの実施形態では、CD274エキソン5のヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインの一部である、アミノ酸残基をコードするヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、CD274エキソン5のヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸残基229~238をコードするヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、CD274エキソン5のヒト部分は、約32bpのヒトCD274エキソン5を含む。いくつかの実施形態では、CD274エキソン5の非ヒト部分は、膜貫通配列をコードするヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、CD274エキソン5の非ヒト部分は、約69bpの齧歯類CD274エキソン5を含む。いくつかの特定の実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、配列番号12に示す配列を有するCD274エキソン5を含む。いくつかの特定の実施形態では、ヒト化CD274遺伝子座は、ヒトPD-L1ポリペプチドのL229-R238に対応するアミノ酸及び齧歯類PD-L1ポリペプチドのT238-Q263に対応するアミノ酸をコードするCD274エキソン5を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、内在性部分及びヒト部分を含むCD274遺伝子を含む非ヒト動物を提供し、この内在性部分及びヒト部分は、非ヒトCD274プロモーターに操作可能に結合される。いくつかの実施形態では、非ヒトCD274プロモーターは齧歯類CD274プロモーターである。いくつかの特定の実施形態では、齧歯類CD274プロモーターは、内在性齧歯類CD274プロモーターである。
【0015】
いくつかの実施形態では、内在性部分は、内在性CD274エキソン1、2、6、及び7を含む。いくつかの実施形態では、内在性部分は、内在性CD274エキソン5の全体又は一部を更に含む。いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子の内在性CD274エキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7は、図6に示すマウスCd274遺伝子の対応するエキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である。いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子の内在性CD274エキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7は、図6に示すマウスCd274遺伝子の対応するエキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7と実質的に同一である。いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子の内在性CD274エキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7は、図6に示すマウスCd274遺伝子の対応するエキソンの1、2、5の全体又は一部、6、及び7と同一である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~131、19~227、又は19~238をコードする。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトCD274遺伝子のエキソン3及び4を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトCD274エキソン5の全体又は一部を更に含む。いくつかの実施形態では、ヒトCD274エキソン3、4、及び5の全体又は一部は、図6に示すヒトCD274遺伝子の対応するエキソン3、4、及び5と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である。いくつかの実施形態では、ヒトCD274エキソン3、4、及び5の全体又は一部は、図6に示すヒトCD274遺伝子の対応するエキソン3、4、及び5の全体又は一部と実質的に同一である。いくつかの実施形態では、ヒトCD274エキソン3、4、及び5の全体又は一部は、図6に示すヒトCD274遺伝子の対応するエキソン3、4、及び5の全体又は一部と同一である。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、非ヒト動物での発現、いくつかの実施形態では、齧歯類での発現、いくつかの特定の実施形態では、マウス又はラットでの発現にコドン最適化された配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ヒト部分は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、又は配列番号12と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、又は配列番号12と実質的に同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、又は配列番号12と同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、又は配列番号12を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、配列番号7、配列番号8、又は配列番号11と同一、又は実質的に同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト部分は、配列番号7、配列番号8、又は配列番号11を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号16、配列番号17、又はこれらの組み合わせを含むCD274遺伝子を含むゲノムを有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の非ヒト動物から産生した、発現した、又は生成したPD-L1ポリペプチドを提供する。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物から産生した、発現した、又は生成したPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物から産生した、発現した、又は生成したPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドと実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物から産生した、発現した、又は生成したPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドと同一であるアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の非ヒト動物から単離された細胞又は組織を提供する。いくつかの実施形態では、単離された細胞又は組織は、本明細書に記載のCD274遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細胞はリンパ系である。いくつかの実施形態では、細胞は骨髄細胞系である。いくつかの実施形態では、細胞は、B細胞、樹枝状細胞、マクロファージ、単球、及びT細胞から選択される。いくつかの実施形態では、組織は、脂肪、膀胱、脳、胸、骨髄、眼、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、筋肉、膵臓、血漿、漿液、皮膚、脾臓、胃、胸腺、精巣、卵子、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のCD274遺伝子をゲノムが含む、非ヒト胚性幹細胞を提供する。いくつかの実施形態では、非ヒト胚性幹細胞は齧歯類胚性幹細胞である。いくつかの特定の実施形態では、齧歯類胚性幹細胞はマウス胚性幹細胞であり、129系統、C57BL系統、又はこれらの混合体である。いくつかの特定の実施形態では、齧歯類胚性幹細胞はマウス胚性幹細胞であり、129系統とC57BL系統との混合体である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト胚性幹細胞は、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16又はこれらの組み合わせを含むCD274遺伝子を含むゲノムを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明は、非ヒト動物を作製するための、本明細書に記載の非ヒト胚性幹細胞の使用法を提供する。いくつかの特定の実施形態では、非ヒト胚性幹細胞はマウス胚性幹細胞であり、本明細書に記載のCD274遺伝子を含むマウスを作製するために使用する。いくつかの特定の実施形態では、非ヒト胚性幹細胞はラット胚性幹細胞であり、本明細書に記載のCD274遺伝子を含むラットを作製するために使用する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載のCD274遺伝子を含む非ヒト胚性幹細胞を含む、それから作製した、得た、又は生成した非ヒト胚を提供する。いくつかの特定の実施形態では、非ヒト胚は、齧歯類胚、いくつかの実施形態ではマウス胚、いくつかの実施形態ではラット胚である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、非ヒト動物を作製するための、本明細書に記載の非ヒト胚の使用法を提供する。いくつかの特定の実施形態では、非ヒト胚はマウス胚であり、本明細書に記載するCD274遺伝子を含むマウスを作製するために使用する。いくつかの特定の実施形態では、非ヒト胚はラット胚であり、本明細書に記載するCD274遺伝子を含むラットを作製するために使用する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載する標的化ベクター又は核酸構築物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載するヒト化CD274遺伝子を含む標的化ベクター又は核酸構築物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、ヒト細胞外ドメインの全体又は一部を含むPD-L1ポリペプチド、いくつかの特定の実施形態では、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~131、19~227、又は19~238を含むPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子を含む標的化ベクター(又は核酸構築物)を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明の標的化ベクター又は核酸構築物は、ヒトCD274遺伝子の1つ又は2つ以上のエキソンの全体又は一部に操作可能に結合された、非ヒトCD274遺伝子の1つ又は2つ以上のエキソンの全体又は一部を含む。いくつかの実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、ヒトCD274遺伝子の1つ又は2つ以上のエキソンに隣接する5’及び3’非ヒトCD274非翻訳領域(UTR)を含む。いくつかの実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、1つ又は2つ以上の選択マーカーを含む。いくつかの実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、1つ又は2つ以上の部位特異的組み換え部位を含むいくつかの実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、ヒトCD274エキソン3及び4を含む。いくつかの実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、ヒトCD274エキソン3及び4、並びにヒトCD274エキソン5の全体又は一部を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、配列番号7を含む。いくつかの特定の実施形態では、標的化ベクター又は核酸構築物は、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11のいずれかと同一である、又は実質的に同一である配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明は、改変非ヒト胚性幹細胞を作製するための、本明細書に記載の標的化ベクター又は核酸構築物の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、改変非ヒト細胞を作製するための、本明細書に記載の標的化ベクター又は核酸構築物の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、改変非ヒト胚を作製するための、本明細書に記載の標的化ベクター又は核酸構築物の使用法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、非ヒト動物を作製するための、本明細書に記載の標的化ベクター又は核酸構築物の使用法を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明は、内在性CD274遺伝子から、PD-L1ポリペプチドを発現する非ヒト動物を作製する方法を提供し、PD-L1ポリペプチドはヒト配列を含み、この方法は、(a)非ヒト胚性幹細胞内の内在性CD274遺伝子にゲノムフラグメントを挿入することであって、該ゲノムフラグメントは、ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部をコードするヌクレオチド配列を含む、ことと、(b)(a)で生成した非ヒト胚性幹細胞を得ることと、(c)(b)の齧歯類胚性幹細胞を使用して非ヒト動物を作製することと、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ヒト配列は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~131、19~227、又は19~238を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、ヒトCD274エキソン3及び4を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、ヒトCD274エキソン5の全体又は一部を更に含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、1つ又は2つ以上の選択マーカーを含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、1つ又は2つ以上の部位特異的組み換え部位を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本発明は、非ヒトCD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む、非ヒト動物を作製する方法を提供し、この方法は、非ヒトCD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子を含むように非ヒト動物のゲノムを改変し、それによって該非ヒト動物を作製することを含む。いくつかの実施形態では、非ヒトCD274プロモーターは齧歯類CD274プロモーターである。いくつかの特定の実施形態では、齧歯類CD274プロモーターは、内在性齧歯類CD274プロモーターである。
【0035】
いくつかの実施形態では、ヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~131、19~227、又は19~238を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、CD274遺伝子は、ヒトCD274エキソン3及び4を含むように改変される。いくつかの実施形態では、CD274遺伝子は、ヒトCD274エキソン3、4、及び5の全体又は一部を含むように改変される。
【0037】
いくつかの実施形態では、非ヒト動物のゲノムの改変は非ヒト胚性幹細胞内で行われ、続いて、該非ヒト胚性幹細胞を使用して非ヒト動物を生成する。いくつかの特定の実施形態では、非ヒト胚性幹細胞は、齧歯類胚性幹細胞、いくつかの実施形態ではマウス胚性幹細胞、いくつかの実施形態ではラット胚性幹細胞である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法で得られる、生成した、又は産生した非ヒト動物を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明は、非ヒト動物での腫瘍成長を低減する、阻止する、又は排除する方法を提供し、この方法は、非ヒト動物CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む非ヒト動物に、ヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程を含み、この投与する工程は、非ヒト動物での腫瘍成長を低減する、阻止する、又は排除するのに十分な条件下で、かつ十分な時間にわたって実行される。
【0040】
いくつかの実施形態では、本発明は、非ヒト動物で腫瘍細胞を死滅させる方法を提供し、この方法は、非ヒト動物CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む非ヒト動物に、ヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程を含み、この投与する工程は、薬剤が非ヒト動物での腫瘍細胞の死滅を媒介するのに十分な条件下で、かつ十分な時間にわたって実行される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の薬物動態特性を評価する方法を提供し、非ヒト動物CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む非ヒト動物に、ヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程と、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の1つ又は2つ以上の薬物動態特性を判定するアッセイを実行する工程と、を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の効果を評価する方法を提供し、この方法は、非ヒト動物CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む非ヒト動物に、ヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程と、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の効果を判定するアッセイを実行する工程と、を含む。
【0043】
様々な実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物は、齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む齧歯類である。様々な実施形態では、齧歯類CD274プロモーターは内在性齧歯類CD274プロモーターである。様々な実施形態では、ヒト部分は、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~131、19~227、又は19~238を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤はPD-L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤はPD-L1アゴニストである。いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤は抗PD-L1抗体である。いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤は、非ヒト動物に対して静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、又は皮下に投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬剤又はワクチンを同定する又は検証する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載するCD274遺伝子をゲノムが含む非ヒト動物に薬剤又はワクチンを送達する工程と、薬剤若しくはワクチンに対する1つ若しくは2つ以上の免疫応答、薬剤若しくはワクチンの安全性プロファイル、又は疾患、障害、若しくは異常への効果を観察する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、安全性プロファイルを観察することは、非ヒト動物が、薬剤又はワクチンを送達した結果として副作用又は有害反応を呈するかどうかを判定することを含む。いくつかの実施形態では、副作用又は有害反応は、罹患率、死亡率、体重変化、1つ又は2つ以上の酵素(例えば、肝臓)のレベル変化、1つ又は2つ以上の臓器の重量変化、機能喪失(例えば、感覚、運動、臓器など)、1つ又は2つ以上の疾患に対する感受性の増加、非ヒト動物のゲノムの変化、摂餌量の増減、及び1つ又は2つ以上の疾患の合併症から選択される。いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は異常は、非ヒト動物で誘発される。いくつかの実施形態では、非ヒト動物で誘発された疾患、障害、又は異常は、治療を必要とする1つ又は2つ以上のヒト患者が患う疾患、障害、又は異常と関係がある。いくつかの特定の実施形態では、薬剤は抗体である。
【0046】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬剤として使用するなど医薬品で使用する薬剤又はワクチンの開発における、本明細書に記載の非ヒト動物の使用法を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌又は腫瘍の治療用薬剤の製造における、本明細書に記載の非ヒト動物の使用法を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本発明は、感染症治療用薬剤の製造における、本明細書に記載の非ヒト動物の使用法を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明は、炎症性疾患、障害、又は異常の治療用薬剤の製造における、本明細書に記載の非ヒト動物の使用法を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明は、本自己免疫疾患、障害、又は異常の治療用薬剤の製造における、明細書に記載の非ヒト動物の使用法を提供する。
【0051】
様々な実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、本明細書に記載のCD274遺伝子を含む。様々な実施形態では、本発明のCD274遺伝子は、齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードする。様々な実施形態では、齧歯類プロモーターは内在性齧歯類プロモーターである。様々な実施形態では、ヒト部分は、ヒトCD274エキソン3及び4を含む。様々な実施形態では、ヒト部分は、ヒトCD274エキソン3及び4、並びにヒトCD274エキソン5の全体又は一部を含む。
【0052】
様々な実施形態では、本発明のPD-L1ポリペプチドは、本明細書に記載のPD-L1ポリペプチドを含む。
【0053】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、完全長内在性非ヒトPD-L1ポリペプチドを検出可能に発現しない。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内在性PD-L1ポリペプチドの細胞外部分を検出可能に発現しない。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内在性PD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンVドメイン、いくつかの実施形態では免疫グロブリンCドメインを検出可能に発現しない。
【0054】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は齧歯類、いくつかの実施形態ではマウス、いくつかの実施形態ではラットである。
【0055】
本願で使用するとき、用語「約」及び「およそ」は同意義で使用する。「約」/「およそ」を伴って、又は伴わずに本願で使用する全ての数字は、当業者によって理解される任意の通常の変動を含むことを意味する。
【0056】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、下記の特定の実施形態の詳細な説明において明らかである。しかしながら、この詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を示すものの、限定ではなく、説明のみを目的とすることを理解するべきである。本発明の範囲内での様々な変更及び改変は、詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
下記の図面からなる本明細書に含まれる図面は、限定ではなく、説明のみを目的とする。
図1】非ヒト(例えば、マウス)及びヒト分化抗原群274(CD274)遺伝子のゲノム構成(正確な縮尺ではない)の図を示す。エキソンの番号は、各エキソンの下に付けられている。非翻訳領域(UTR)は、中空矩形で示す。
図2】非ヒト分化抗原群274(CD274)遺伝子のヒト化で使用する例示的構築物(正確な縮尺ではない)の図を示す。上の図は、ネオマイシンカセットを含むヒト化標的化ベクターを示し、下の図は、カセットを除去したヒト化標的化ベクターを示す。選択したヌクレオチド接合位置は、各接合部の下の線で示し、対応する配列番号を伴う。例示的ヒト化フラグメントは図6に記載しており、以下のように示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図3】実施例1に記載のアッセイで使用したプローブのおよその位置を示す、非ヒト(例えば、マウス)及びヒト分化抗原群274(CD274)遺伝子のゲノム構成(正確な縮尺ではない)の図を示す。ヒトCD274遺伝子内の例示的ヒト化フラグメント(ヒト化フラグメントE;配列番号11)及びマウスCd274遺伝子の一部の例示的欠失も示す。
図4】実施例1に記載の内在性PD-L1遺伝子のヒト化に関してホモ接合性であるマウス内での21日間の例示的なMC38.ova/hPD-L1腫瘍成長曲線を示す。対照Ab:PD-L1に対して特異的ではない抗体、a-hPD-L1:ヒトPD-L1に対して特異的な抗体。矢印は、実験中の抗体治療の日数を示す。各治療グループに対して21日目に腫瘍のないマウスの数を示す。
図5】抗PD-L1又は対照抗体での治療後、実施例1に記載の内在性CD274遺伝子に関してホモ接合性であるマウスの脾細胞でのCD8b、CD3、及びPD-L1mRNAの発現の例示的リアルタイムPCRを示す。A,グループごとの6匹のマウスの平均B,各治療グループにおける個々のマウスの発現レベル対照Ab:PD-L1に対して特異的ではない抗体;a-PD-L1:抗PD-L1抗体。
図6-1】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-2】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-3】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-4】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-5】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-6】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-7】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-8】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-9】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-10】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-11】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-12】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-13】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-14】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
図6-15】例示的マウス、ヒト及びヒト化CD274及びPD-L1配列、並びに非ヒトCD274遺伝子のヒト化のための例示的ヒト核酸配列を示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。ヒト化フラグメントA:ヒト4,494bp-ネオマイシンカセット-ヒト3,950bp(配列番号7);ヒト化フラグメントB:ヒト4,494bp-loxP-ヒト3,950bp(配列番号8);ヒト化フラグメントC:ヒト4,494bpフラグメント(配列番号9);ヒト化フラグメントD:ヒト3,950bpフラグメント(配列番号10)。
【発明を実施するための形態】
【0058】
定義
本明細書に記載の特定の方法又は実験条件は変化し得るため、本発明はかかる方法及び条件に限定されるものではない。また、本発明の範囲は特許請求の範囲によって定められるため、本明細書で使用した用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことを理解するべきである。
【0059】
別途定義しない限り、本明細書で使用する全ての用語及び語句は、これらの用語及び語句が当該業界で得た意味を含む。ただし、その反対が明確に示されるか、用語及び語句を使用する文脈から明らかである場合は除く。本発明の実施又は試験では、本明細書に記載の方法及び材料に類似、又は等価の任意の方法及び材料を使用できる。ここで、特定の方法及び材料について説明する。本明細書に記載の全ての刊行物は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0060】
1つ又は2つ以上の対象とする値に適用するとき、用語「およそ」は、言及した参照値に類似の値を含む。特定の実施形態では、用語「およそ」又は「約」は、別途記載のない限り、又は文脈から明白ではない限り(かかる数字が可能値の100%を超える場合を除く)、言及した参照値の両方向(参照値よりも大きい又は小さい)で25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又はそれ未満の範囲内にある値の範囲を指す。
【0061】
本明細書で使用するとき、用語「生物学的に活性な」は、生物系、in vitro、又はin vivo(例えば、有機体内)で活性を有する任意の作用物質の特性を含む。例えば、作用物質が有機体内に存在するとき、その有機体内で生物学的効果を有する作用物質は、生物学的に活性であるとみなされる。タンパク質又はポリペプチドが生物学的に活性である特定の実施形態では、そのタンパク質又はポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を共有するタンパク質又はポリペプチドの部分は、通常、「生物学的に活性な」部分と呼ぶ。
【0062】
本明細書で使用するとき、語句「分化抗原群274タンパク質」、「CD274タンパク質」、「B7-H1タンパク質」、又は「PD-L1タンパク質」は、細胞表面タンパク質リガンドのB7ファミリーに属し、免疫グロブリン可変及び定常ドメイン、並びに膜貫通及び細胞質(又は細胞内)ドメインに関連する、細胞外免疫グロブリンV(IgV)及び免疫グロブリン定常所様(IgC)ドメインを有する膜貫通タンパク質を含む。PD-L1は、リンパ系(例えば、B細胞、T細胞、樹枝状細胞、マクロファージ、単球など)及び非リンパ系(心臓、肺、肝臓、膵臓など)の両方で発現し、膜表面タンパク質間での相互作用、例えば、プログラム細胞死1(PD-1)などに含まれて、免疫機能を制御する。PD-L1の発現は、サイトカイン(例えば、インターフェロン-γ)によって制御され、多くのヒト癌で増加すると報告されており、これによって、かかる癌が免疫系による監視を回避し得ることがある。PD-L1は、例えば、細胞内感染、末梢寛容、T細胞受容体シグナル伝達、及びT細胞増殖などいくつかの細胞プロセスに含まれることが示されている。選択的スプライスによるCD274アイソフォームは、マウスとヒトとの間で同定されている。説明を目的として、図6にマウス及びヒトCD274遺伝子のヌクレオチド及びアミノ酸配列を示す。本開示を読んだ当業者は、ゲノム内の1つ又は2つ以上(又は全て)の内在性CD274遺伝子は、1つ又は2つ以上の異種CD274遺伝子(例えば、多型変異体、亜類型又は突然変異体、別の種の遺伝子、ヒト化形態など)によって置換、改変、変更、削除、破壊し得ることを認識するであろう。
【0063】
本明細書で使用するとき、「CD274発現細胞」、「B7-H1発現細胞、又はPD-L1発現細胞」は、PD-L1膜貫ポリペプチドを発現する細胞を含む。いくつかの実施形態では、PD-L1発現細胞は、その表面でPD-L1膜貫通ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、PD-L1ポリペプチドは、(例えば、PD-1受容体ポリペプチドとの相互作用により)細胞間相互作用を媒介するのに十分な量で細胞の表面に発現する。例示的PD-L1発現細胞としては、B細胞、樹枝状細胞、マクロファージ、単球、及びT細胞が挙げられる。PD-L1発現細胞は、リンパ系細胞の活性又は阻害を調節して、免疫応答を増減させる。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、非ヒト動物の1つ、又は2つ以上の細胞(one more cells)の表面で発現するヒト化PD-L1ポリペプチドを介して、(本明細書に記載する)様々な細胞プロセスの制御を実証する。
【0064】
本明細書で使用するとき、用語「同等」は、互いに同一ではないかもしれないが、これらを比較できるほど十分に類似しており、観察した相違点又は類似点に基づいて合理的に結論を出すことができる、2つ又は3つ以上の作用物質、実体、状況、条件セットなどを含む。当業者は、文脈において、任意の所与の状況で2つ又は3つ以上のかかる作用物質、実体、状況、条件セットなどを同等とみなすために必要とされる同一性の程度を理解するであろう。
【0065】
保存的アミノ酸置換を説明するために本明細書で使用するとき、用語「保存的」は、類似の化学的性質(例えば、電荷又は疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換を含む。概して、保存的アミノ酸置換は、対象タンパク質の機能特性、例えば、リガンドに対する受容体の結合能力を実質的に変化させない。類似の化学的性質を有する側鎖を有するアミノ酸基の例としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンなどの脂肪族側鎖;セリン及びスレオニンなどの脂肪族水酸基側鎖;アスパラギン及びグルタミンなどのアミド含有側鎖;フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンなどの芳香族側鎖;リジン、アルギニン、及びヒスチジンなどの塩基性側鎖;アスパラギン酸及びグルタミン酸などの酸性側鎖;並びにシステイン及びメチオニンなどの硫黄含有側鎖が挙げられる。保存的アミノ酸置換基としては、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リジン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタミン酸/アスパラギン酸、及びアスパラギン/グルタミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、例えば、アラニンスキャニング突然変異で使用するように、タンパク質中の任意の天然残基と、アラニンとの置換であり得る。いくつかの実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる、Gonnet,G.H.et al.,1992,Science 256:1443~1445で開示されるPAM250対数尤度マトリックスにおいて、正の値を有する保存的置換が行われる。いくつかの実施形態では、置換は中程度に保存的な置換であり、PAM250対数尤度マトリックスにおいて負ではない値を有する。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「対照」は、結果を比較する基準である「対照」という当該業界で理解される意味を含む。通常、対照は、可変要素に関する結論を出すために、かかる可変要素を分離することによって実験の一貫性を増加させるために使用される。いくつかの実施形態では、対照は、試験反応又はアッセイと同時に実行されてコンパレータ-を提供する、反応又はアッセイである。本明細書で使用するとき、「対照」は「対照動物」を指すことがある。「対照動物」は、本明細書に記載の改変若しくは本明細書に記載の改変とは異なる改変を有してよい、又は改変を有さなくてよい(すなわち、野生型動物)。ある試験では、「試剤」(すなわち、試験対象の可変要素)が適用される。2番目の試験では、「対照」が適用される(試験対象の可変要素は適用されない)。いくつかの実施形態では、対照は歴史的対照(すなわち、以前に実行した試剤若しくはアッセイ、又は既知の量若しくは結果)である。いくつかの実施形態では、対照は、印刷された、若しくは別の方法で保存された記録であるか、この記録を含む。対照は、正の対照又は負の対照であってよい。
【0067】
本明細書で使用するとき、用語「破壊」は、DNA分子との(例えば、遺伝子又は遺伝子座など内在性相同配列との)相同組み換え事象の結果を含む。いくつかの実施形態では、破壊は、挿入、欠失、置換(substitution)、置換(replacement)、ミスセンス変異、若しくはDNA配列のフレームシフト、又はこれらの任意の組み合わせを達成してよい、又は示してよい。挿入は、内在性配列以外の起源(例えば、異種配列)であってよい、遺伝子全体又は遺伝子のフラグメント、例えば、エキソンの挿入を含んでよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物(例えば、遺伝子でコードされたタンパク質)の発現、及び/又は活性を増強させてよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物の発現、及び/又は活性を低減させてよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又はコードされた遺伝子産物(例えば、コードされたタンパク質)の配列を変更してよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又はコードされた遺伝子産物(例えば、コードされたタンパク質)を切断してよいか、断片化してよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又はコードされた遺伝子産物を拡張させてよく、いくつかのかかる実施形態では、破壊は、融合タンパク質の集合を達成させてよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物のレベルに影響を及ぼしてよいが、これらの活性には影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物の活性に影響を及ぼしてよいが、これらのレベルには影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物のレベルに対する有意な作用を有さなくてよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物の活性に対する有意な作用を有さなくてよい。いくつかの実施形態では、破壊は、遺伝子又は遺伝子産物のレベル又は活性にいずれに対しても有意な作用を有さなくてよい。
【0068】
用語「判定」、「測定」、「評価(evaluating)」、「評価(assessing)」、「アッセイ」、及び「分析」は、本明細書において同じ意味で使用して任意の形式の測定を指し、ある要素が存在するかどうかを決定することを含む。これらの用語は、定量的決定及び/又は定性的決定の両方を含む。アッセイは、相対的であっても、絶対的であってもよい。「~の存在のアッセイ」は、存在する何かの量を判定すること、及び/又はそれが存在するか、不在であるかを判定することを含み得る。
【0069】
本明細書で使用するとき、語句「内在性遺伝子座」又は「内在性遺伝子」は、本明細書に記載する破壊、欠失、置換、変更、又は改変の導入前に親又は参照有機体で見出された遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、内在性遺伝子座は天然に見出される配列を有する。いくつかの実施形態では、内在性遺伝子座は野生型遺伝子座である。いくつかの実施形態では、参照有機体は野生型有機体である。いくつかの実施形態では、参照有機体は遺伝子操作を受けた有機体である。いくつかの実施形態では、参照有機体は実験室で培養された有機体(野生型又は遺伝子操作を受けた有機体のいずれか)である。
【0070】
語句「内在性プロモーター」は、例えば野生型有機体内で、内在性遺伝子と天然で関連しているプロモーターを含む。
【0071】
本明細書で使用するとき、用語「異種」は異なる供給源からの作用物質又は実体を含む。例えば、特定の細胞又は有機体内に存在するポリペプチド、遺伝子、又は遺伝子産物への言及で使用するとき、この用語は、関連するポリペプチド、遺伝子、又は遺伝子産物が、1)人為的な遺伝子操作を受けたこと、2)人為的に(例えば、遺伝子操作によって)細胞若しくは有機体(若しくはこれらの前駆体)に導入されたこと、及び/又は3)関連する細胞若しくは有機体(例えば、関連する細胞型若しくは有機体型)によって天然に産生されたものではないこと、若しくはこれらに存在しないことを明確にする。
【0072】
本明細書で使用するとき、用語「宿主細胞」は、異種(例えば、外因性)核酸又はタンパク質が導入されている細胞を含む。本開示を読んだ当業者は、かかる用語が、特定の被検細胞を指すだけではなく、かかる細胞の子孫を指すためにも使用されることを理解するであろう。特定の改変は、突然変異又は環境の影響により後の世代で生じ得るため、かかる子孫は、実際には親細胞と同一ではないことがあるが、本明細書で使用するとき、用語「宿主細胞」の範囲内にそれでもなお含まれる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、原核細胞若しくは真核細胞である、又はこれらを含む。概して、宿主細胞は、細胞が指定されている生物界にかかわらず、異種の核酸若しくはタンパク質を受容する、及び/又は産生するのに好適な任意の細胞である。例示的細胞としては、原核細胞及び真核細胞(単細胞又は多細胞)、細菌性細胞(例えば、大腸菌、バチルス属、ストレプトミセス属などの菌株)、ミコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、S.セレビシエ、S.ポンベ、P.パストリス、P.メタノリカなど)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルス感染昆虫細胞、イラクサギンウワバなど)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、又は細胞融合(例えば、ハイブリドーマ又はクアドローマ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、この細胞は、ヒト、サル、類人猿、ハムスター、ラット、又はマウス細胞である。いくつかの実施形態では、この細胞は真核細胞であり、以下の細胞、つまりCHO(例えば、CHO K1、DXB-11 CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、ベロ、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293EBNA、MSR293、MDCK、HaK、BHK)、ヒーラ、HepG2、WI38、MRC5、Colo205、HB8065、HL-60(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮性)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT060562、セルトリ細胞、BRL3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、及び前述の細胞に由来する細胞株から選択される。いくつかの実施形態では、この細胞は、1つ又は2つ以上のウイルス性遺伝子、例えば、ウイルス性遺伝子(例えば、PER.C6(登録商標)細胞)を発現する網膜細胞を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は単離された細胞であるか、これを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は組織の一部である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は有機体の一部である。
【0073】
用語「ヒト化」は、当該業界で理解される意味に従って本明細書で使用し、構造(すなわち、ヌクレオチド又はアミノ酸配列)が、非ヒト動物内で天然に見出される特定の遺伝子又はタンパク質の構造と実質的に対応する、又は完全に対応する部分を含み、関連する特定の非ヒト遺伝子又はタンパク質で見出される部分とは異なるが、対応するヒト遺伝子又はタンパク質で見出される同等の構造とより密接に対応する部分も含む、核酸又はタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、「ヒト化」遺伝子は、ヒトポリペプチド(例えば、ヒトタンパク質又はその部分、例えば、その特性部分)のアミノ酸配列のようなアミノ酸配列を実質的に有するポリペプチドをコードする遺伝子である。1つだけ例を挙げると、膜受容体の場合、「ヒト化」遺伝子は、ヒト細胞外部分のアミノ酸配列のようなアミノ酸配列を有する細胞外部分と、非ヒト(例えば、マウス)ポリペプチドの配列のような残りの配列と、を有するポリペプチドをコードしてよい。いくつかの実施形態では、ヒト化遺伝子は、ヒト遺伝子のDNA配列の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化遺伝子は、ヒト遺伝子のDNA配列全体を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化タンパク質は、ヒトタンパク質に出現する部分を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化タンパク質はヒトタンパク質の配列全体を含み、ヒト遺伝子のホモログ又はオルソログに対応する非ヒト動物の内在性遺伝子座から発現する。
【0074】
配列比較に関して本明細書で使用するとき、用語「同一性」は、ヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列の同一性の測定に使用できる、当該技術分野において周知の多数の異なるアルゴリズムによって判定される同一性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の同一性は、オープンギャップペナルティ10.0、伸長ギャップペナルティ0.1を使用したClustalW v.1.83(slow)アライメント及びGonnet類似性マトリックス(MACVECTOR(商標)10.0.2,MacVector Inc.,2008)を使用して判定される。
【0075】
本明細書で使用するとき、「改良する」、「増加する」、「排除する」、若しくは「減少する」、又はこれらの文法的な同義語は、本明細書に記載の治療開始前の同一個体(又は動物)における測定値、又は本明細書に記載の治療の不在下での対照個体(又は動物)若しくは複数の対照個体(又は動物)の測定値など基準測定値に対する値を示す。
【0076】
本明細書で使用するとき、用語「単離された」は、(1)(天然及び/若しくは実験環境において)最初に産生されたときに会合していた成分の少なくとも一部から分離されており、並びに/又は(2)人為的にデザイン、産生、調製、及び/若しくは製造された物質及び/若しくは実体を含む。単離された物質及び/又は実体は、最初に会合していた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超から分離されてよい。いくつかの実施形態では、単離された作用物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超純粋である。本明細書で使用するとき、物質が他の成分を実質的に含まない場合、その物質は「純粋」である。いくつかの実施形態では、当業者によって理解されるように、物質は、例えば、1つ又は2つ以上の担体又は賦形剤(例えば、緩衝液、溶媒、水など)など特定の他の成分と組み合わせた後、依然として「単離された」又は更に「純粋」とみなすことができる。かかる実施形態において、物質の単離率及び純度は、かかる担体又は賦形剤を含めずに計算する。1つだけ例を挙げると、いくつかの実施形態では、天然に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドなど生体高分子は、a)その生体高分子が由来する起源又は供給源により、天然においてその天然状態でその生体高分子に付随する成分の一部又は全てに会合していない場合、b)生体高分子が、天然でその生体高分子を産生する種由来の同一の種の他のポリペプチド又は核酸を実質的に含まない場合、c)天然でその生体高分子を産生する種に属さない細胞又は他の発現系由来の成分によって発現されるか、又はそうでなければ当該成分と会合している場合に「単離された」とみなす。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、化学合成されるか、天然にそのポリペプチドが産生される細胞系と異なる細胞系で合成されるポリペプチドは、「単離された」ポリペプチドとみなす。あるいは又は加えて、いくつかの実施形態では、a)天然に会合しており、及び/又はb)最初に産生された場合に会合していた他の成分から分離されている範囲内において、1つ又は2つ以上の精製技術に供されたポリペプチドを「単離された」ポリペプチドとみなしてよい。
【0077】
本明細書で使用するとき、語句「非ヒト動物」は、ヒトではない脊椎動物有機体を含む。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、円口類、硬骨魚類、軟骨魚類(例えば、サメ又はエイ)、両生類、爬虫類、哺乳動物、又は鳥類である。いくつかの実施形態では、非ヒト哺乳類は、霊長類、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ウシ、又は齧歯類である。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、ラット又はマウスなどの齧歯類である。
【0078】
本明細書で使用するとき、語句「核酸」は、広義で、オリゴヌクレオチド鎖中に組み込まれているか、組み込まれ得る任意の化合物及び/又は物質を含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖中に組み込まれているか、組み込まれ得る化合物及び/又物質である。文脈から明らかなように、いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/又はヌクレオシド)を含み、いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、「核酸」はRNAであるか、これを含み、いくつかの実施形態では、「核酸」はDNAであるか、これを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上の天然核酸残基であるか、これを含むか、これからなる。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上の核酸類似体であるか、これを含むか、これからなる。いくつかの実施形態では、核酸類似体は、「核酸」はホスホジエステル骨格を利用しないという点で核酸とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上の「ペプチド核酸」であるか、これを含むか、これからなり、このペプチド核酸は、当該技術分野において周知であり、骨格内にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有し、本発明の範囲内とみなされる。あるいは、又は加えて、いくつかの実施形態では、「核酸」は、ホスホジエステル結合ではなく、1つ又は2つ以上のホスホロチオアート結合及び/又は5’-N-ホスホルアミダイト結合を有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)であるか、これを含むか、これからなる。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上のヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレーションされた塩基、及びこれらの組み合わせ)であるか、これを含むか、これからなる。いくつかの実施形態では、「核酸」は、天然の核酸中の糖と比較して1つ又は2つ以上の改変された糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、RNA又はタンパク質など機能性遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、1つ又は2つ以上のエキソンを含む。いくつかの実施形態では、「核酸」は、天然の供給源からの単離、(in vivo又はin vitroでの)相補テンプレートに基づいた重合による酵素的合成、組み換え細胞又は組み換え系における複製、及び化学合成のうちの1つ又は2つ以上によって調製される。いくつかの実施形態では、「核酸」は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、又はそれ以上の残基長である。いくつかの実施形態では、「核酸」は一本鎖であり、いくつかの実施形態では、「核酸」二本鎖である。いくつかの実施形態では、「核酸」は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの要素、又はポリペプチドをコードする配列の相補物である少なくとも1つの要素を含むヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、「核酸」は酵素活性を有する。
【0079】
本明細書で使用するとき、語句「操作可能に結合された」は並列を含み、記載の成分は、意図した方法で機能できる関係にある。コーディング配列に「操作可能に結合された」コントロール配列は、コーディング配列の発現がコントロール配列に適合する条件下で達成されるように連結される。「操作可能に結合された」配列は、対象の遺伝子に隣接している発現コントロール配列及びトランスで、又はある距離で作用して対象の遺伝子を制御する発現コントロール配列の両方を含む。本明細書で使用するとき、用語「発現コントロール配列」は、連結されるコーディング配列の発現及びプロセシングに影響を及ぼすために必要なポリヌクレオチド配列を含む。「発現コントロール配列」は、適切な転写開始配列、終結配列、プロモーター配列、及びエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル(スプライシングシグナル及びポリアデニル化シグナルなど);細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質の安定性を向上させる配列;並びに、所望に応じて、タンパク質分泌を向上させる配列を含む。かかるコントロール配列の性質は、宿主有機体に応じて異なる。例えば、原核では、かかるコントロール配列は、概して、プロモーター、リボゾーム結合部位、及び転写終結配列を含み、真核では、通常、かかるコントロール配列は、プロモーター及び転写終結配列を含む。用語「コントロール配列」は、その存在が発現及びプロセシングに必要である成分を含むことを意図し、また、その存在が有利である追加成分、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列を含み得る。
【0080】
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」は、アミノ酸の任意のポリマー鎖を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然に生じるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然に生じないアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然に互い(すなわち、2つ又は3つ以上の異なる有機体、例えば、ヒト部分及び非ヒト部分)とは別個に生じる部分を含有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、人為的措置によってデザイン及び/又は産生されたという点で遺伝子操作を受けたアミノ酸配列を有する。
【0081】
疾患、障害、及び/又は異常の発生に関して本明細書で使用するとき、「阻止する」又は「阻止」は、疾患、障害、及び/若しくは異常を発症するリスクを低減させること、並びに/又は疾患、障害、若しくは異常の1つ若しくは2つ以上の特性若しくは症状の発症を遅延させることを含む。阻止は、疾患、障害、又は異常の発症が所定の期間遅延したときに完了したとみなされてよい。
【0082】
本明細書で使用するとき、用語「組み換え」は、組み換え手段によってデザインされた、遺伝子操作を受けた、調製された、発現した、作製された、単離されたポリペプチド(例えば、本明細書に記載するPD-L1ポリペプチド)、例えば、宿主細胞にトランスフェクトした組み換え発現ベクターを使用して発現したポリペプチド、組み換え、組み合わせヒトポリペプチドライブラリーから単離されたポリペプチド(Hoogenboom H.R.,1997 TIB Tech.15:62~70;Hoogenboom H.,and Chames P.,2000,Immunology Today 21:371~378;Azzazy H.,and Highsmith W.E.,2002,Clin.Biochem.35:425~445;Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.,2002,BioTechniques 29:128~145)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェネリックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.,1992,Nucl.Acids Res.20:6287~6295;Little M.et al.,2000,Immunology Today 21:364~370;Kellermann S.A.and Green L.L.,2002,Current Opinion in Biotechnology 13:593~597;Murphy,A.J.,et al.,2014,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5153~5158を参照)、又は選択した配列要素を互いにスプライシングすることを含む任意の他の手段によって調製された、発現した、作製された、若しくは単離されたポリペプチドを指すことを意図する。いくつかの実施形態では、かかる選択した配列要素の1つ又は2つ以上は天然に見出される。いくつかの実施形態では、かかる選択した配列要素の1つ又は2つ以上はin silicoでデザインされる。いくつかの実施形態では、かかる選択した配列要素の1つ又は2つ以上は、例えば、天然又は合成供給源由来の、既知の配列要素の突然変異誘発(例えば、in vivo又はin vitro)に起因する。例えば、いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、対象の供給源有機体(例えば、ヒト、マウスなど)のゲノムに見出される配列を含む。いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、2つの異なる有機体(例えば、ヒト及び非ヒト有機体)において、天然に互い(すなわち、2つ又は3つ以上の異なる有機体、例えば、ヒト部分及び非ヒト部分)とは別個に生じる配列を含む。いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、突然変異誘発(例えば、in vitro又はin vivo、例えば、非ヒト動物における)に起因するアミノ酸配列を有し、したがって、組み換えポリペプチドのアミノ酸配列は、ポリペプチド配列を起源とし、これに関連する一方で、in vivoで非ヒト動物のゲノム内に天然に存在しないかもしれない配列である。
【0083】
用語「置換」は、宿主遺伝子座(例えば、ゲノム)で見出された「置換された」核酸配列(例えば、遺伝子)が遺伝子座から除去され、異なる「置換」核酸がその位置に位置するプロセスを指すために本明細書で使用する。いくつかの実施形態では、置換された核酸配列及び置換核酸配列は、例えば、互いに相同である、及び/又は対応する要素(例えば、タンパク質コーディング要素、調節要素など)を含むという点で互いに同等である。いくつかの実施形態では、置換された核酸配列は、プロモーター、エンハンサー、スプライスドナー部位、スプライスレシーバー部位、イントロン、エキソン、非翻訳領域(UTR)のうち1つ又は2つ以上を含み、いくつかの実施形態では、置換核酸配列は、1つ又は2つ以上のコーディング配列を含む。いくつかの実施形態では、置換核酸配列は、置換された核酸配列のホモログである。いくつかの実施形態では、置換核酸配列は、置換された配列のオルソログである。いくつかの実施形態では、置換核酸配列は、ヒト核酸配列であるか、これを含む。いくつかの実施形態では、置換核酸配列がヒト核酸配列であるか、これを含む場合、置換された核酸配列は、齧歯類配列(例えば、マウス又はラット配列)であるか、これを含む。このように配置された核酸配列は、このように配置された配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、5’-又は3’-非翻訳領域など)を得るために使用した起源核酸配列の一部である、1つ又は2つ以上の制御配列を含んでよい。例えば、様々な実施形態では、置換は、内在性配列を異種配列と置換し、そのように配置された核酸配列(異種配列を含む)の遺伝子産物の産生をもたらすが、内在性配列を発現しないものであり、置換は、内在性配列(例えば、PD-L1タンパク質をコードする内在性ゲノム配列、及び1つ又は2つ以上のヒトPD-L1タンパク質をコードするDNAフラグメント)によってコードされたタンパク質と類似する機能を有するタンパク質をコードする、核酸配列を有する内在性ゲノム配列のものである。様々な実施形態では、内在性遺伝子又はそのフラグメントは、対応するヒト遺伝子又はそのフラグメントで置換される。対応するヒト遺伝子又はそのフラグメントは、オルソログである、又は、置換される内在性遺伝子若しくはそのフラグメントと構造及び/若しくは機能が実質的に類似する、若しくは同一である、ヒト遺伝子又はフラグメントである。
【0084】
用語「参照」は、対象の作用物質、動物、コホート、個体、集団、サンプル、配列、又は値が比較される、標準つまり対照作用物質、動物、コホート、個体、集団、サンプル、配列又は値を説明するために本明細書で使用する。いくつかの実施形態では、参照作用物質、動物、コホート、個体、集団、サンプル、配列、又は値は、対象の作用物質、動物、コホート、個体、集団、サンプル、配列又は値の試験又は判定と実質的に同時に試験される、及び/又は判定される。いくつかの実施形態では、参照作用物質、動物、コホート、個体、集団、サンプル、配列、又は値は、任意選択的に有形媒体において具体化される、履歴的参照である。いくつかの実施形態では、参照は対照を指すことがある。本明細書で使用するとき、「参照」は「参照動物」を含んでよい。「参照動物」は、本明細書に記載の改変若しくは本明細書に記載の改変とは異なる改変を有してよい、又は改変を有さなくてよい(すなわち、野生型動物)。通常、当業者によって理解されるように、参照作用物質、動物、コホート、個体、集団、サンプル、配列、又は値は、対象の作用物質、動物(例えば、哺乳類)、コホート、個体、集団、サンプル、配列、又は値の判定又は特性化に用いる条件と同等の条件下で判定又は特性化が行われる。
【0085】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、対象とする特徴又は特性の全体、又はほぼ全体の範囲又は程度を示す、定性的状態を含む。生物学的分野における当業者は、生物学的及び化学的現象が、仮にあるとしてもめったに完了しない、及び/若しくは完了に向かわない、又は絶対的結果に達成しない、若しくは回避しないことを理解するだろう。したがって、用語「実質的に」は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の完全性を欠く可能性を捕捉するために本明細書で使用する。
【0086】
本明細書で使用するとき、語句「実質的な相同性」は、アミノ酸又は核酸配列間の比較を含む。当業者に理解されるように、2つの配列が対応する位置に相同残基を含有する場合、通常、「実質的に相同」であるとみなされる。相同残基は、同一残基であってよい。あるいは、相同残基は、構造的及び/又は機能的特徴が適切に類似する非同一残基であってよい。例えば、当業者に周知であるように、特定のアミノ酸は、通常、「疎水性」若しくは「親水性」アミノ酸として、及び/又は「極性」若しくは「非極性」側鎖を有するものとして分類される。1つのアミノ酸を別の同一種類のアミノ酸と置換すると、「相同」置換とみなさ得ることが多い。典型的なアミノ酸分類を表1及び2にまとめる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
当該技術分野において周知であるように、アミノ酸又は核酸配列は、ヌクレオチド配列に対するBLASTN、並びにアミノ酸配列に対するBLASTP、Gapped BLAST、及びPSI-BLASTなど市販のコンピュータプログラムで使用可能なアルゴリズムなど、任意の様々なアルゴリズムを用いて比較してよい。例示的なかかるプログラムは、Altschul,S.F.et al.,1990,J.Mol.Biol.,215(3):403~410;Altschul,S.F.et al.,1997,Methods in Enzymology;Altschul,S.F.et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25:3389~3402;Baxevanis,A.D.,and B.F.F.Ouellette(eds.)Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998;and Misener et al.(eds.)Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1998に記載されている。相同性配列の同定に加えて、上記プログラムは、通常、相同性の程度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上が、関連する残基長にわたって相同である場合、2つの配列は実質的に相同であるとみなされる。いくつかの実施形態では、関連する残基長は完全配列である。いくつかの実施形態では、関連する残基長は、少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、又はそれ以上の残基である。いくつかの実施形態では、関連する残基長は、完全配列に沿った隣接残基を含む。いくつかの実施形態では、関連する残基長は、完全配列に沿った、例えば、ポリペプチド又はその一部の折り畳み構造によって集められた非連続残基を含む。いくつかの実施形態では、関連する残基長は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、又はそれ以上の残基である。
【0089】
本明細書で使用するとき、語句「実質的な同一性」は、アミノ酸又は核酸配列間の比較を含む。当業者に理解されるように、2つの配列が対応する位置に同一残基を含有する場合、通常、「実質的に同一」であるとみなされる。当該技術分野において周知であるように、アミノ酸又は核酸配列は、ヌクレオチド配列に対するBLASTN、並びにアミノ酸配列に対するBLASTP、Gapped BLAST、及びPSI-BLASTなど市販のコンピュータプログラムで使用可能なアルゴリズムなど、任意の様々なアルゴリズムを用いて比較してよい。例示的なかかるプログラムは、Altschul,S.F.et al.,1990,J.Mol.Biol.,215(3):403~410;Altschul,S.F.et al.,1997,Methods in Enzymology;Altschul,S.F.et al.,1997,Nucleic Acids Res.,25:3389~3402;Baxevanis,A.D.,and B.F.F.Ouellette(eds.)Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998;and Misener et al.(eds.)Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1998に記載されている。同一配列の同定に加えて、上記プログラムは、通常、同一性の程度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上が、関連する残基長にわたって同一である場合、2つの配列は実質的に同一であるとみなされる。いくつかの実施形態では、関連する残基長は完全配列である。いくつかの実施形態では、関連する残基長は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、又はそれ以上の残基である。
【0090】
本明細書で使用するとき、語句「標的化ベクター」又は「標的化構築物」は、標的化領域を含むポリヌクレオチド分子を含む。標的化領域は、標的細胞、組織、又は動物内の配列と同一であるか、実質的に同一である配列を含み、相同組み換えによって、細胞、組織又は動物のゲノム内の位置への標的化構築物の組み込みをもたらす。部位特異的リコンビナーゼ認識部位(例えば、loxP又はFrt部位)を用いて標的化する標的化領域も含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の標的化構築物は、特に対象とする核酸配列又は遺伝子、選択マーカー、対照及び/又は(and or)制御配列、かかる配列を含む組み換えを補助する、又は促進するタンパク質を外来的に付加することによって介在される、組み換えを可能とする他の核酸配列を更に含む。いくつかの実施形態では、本発明の標的化構築物は、対象とする遺伝子の全体又は一部を更に含み、対象とする遺伝子は、内在性配列によってコードされるタンパク質と類似の機能を有する、タンパク質の全体又は一部をコードする異種遺伝子である。いくつかの実施形態では、本発明の標的化構築物は、対象とするヒト化遺伝子の全体又は一部を更に含み、対象とするヒト化遺伝子は、内在性配列によってコードされるタンパク質と類似の機能を有する、タンパク質の全体又は一部をコードする。
【0091】
本明細書で使用するとき、用語「変異体」は、参照実体との顕著な構造的同一性を示すが、参照実体と比較して、1つ又は2つ以上の化学的部分の存在又はそのレベルにおいて参照実体と構造的に異なる実体を含む。多くの実施形態では、「変異体」は参照実体と機能的にも異なる。概して、特定の実体が厳密に参照実体の「変異体」であるとみなされるかどうかは、参照実体との構造的同一性の程度に基づいている。当業者に理解されるように、任意の生物学的又は化学的参照実体は、特定の特徴的構造要素を有する。「変異体」は、定義によると、1つ又は2つ以上のかかる特徴的構造要素を共有する、異なる化学的実体である。いくつかだけ例を挙げると、小分子は、特徴的コア構造要素(例えば、大環状コア)及び/又は1つ若しくは2つ以上の特徴的ペンダント部分を有してよく、したがって、小分子の変異体は、コア構造要素及び特徴的ペンダント部分を共有するが、他のペンダント部分、及び/又はコア内に存在する結合の種類(一重対二重、E対Zなど)が異なるものであってよく、ポリペプチドは、線形若しくは三次元空間内に互いに相対的な指定位置を有する、及び/又は、特定の生物学的機能に寄与する、複数のアミノ酸からなる特徴的配列要素を有してよく、核酸は、線形又は三次元空間に互いに相対的な指定位置を有する、複数のヌクレオチド残基からなる特徴的配列要素を有してよい。例えば、「変異体ポリペプチド」は、アミノ酸配列中の1つ若しくは2つ以上の差異、及び/又は、ポリペプチド骨格に共有結合される化学的部分(例えば、炭水化物、脂質など)の1つ若しくは2つ以上の差異の結果、参照ポリペプチドと異なっていてよい。いくつかの実施形態では、「変異体ポリペプチド」は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は99%である参照ポリペプチドとの総配列同一性を示す。あるいは、又は加えて、いくつかの実施形態では、「変異体ポリペプチド」は、少なくとも1つの特徴的配列要素を参照ポリペプチドと共有しない。いくつかの実施形態では、参照ポリペプチドは、1つ又は2つ以上の生物学的活性を有する。いくつかの実施形態では、「変異体ポリペプチド」は、参照ポリペプチドの1つ又は2つ以上の生物学的活性を共有する。いくつかの実施形態では、「変異体ポリペプチド」は、参照ポリペプチドの1つ又は2つ以上の生物学的活性を欠く。いくつかの実施形態では、「変異体ポリペプチド」は、参照ポリペプチドと比較して、低下したレベルの1つ又は2つ以上の生物学的活性を示す。多くの実施形態では、対象とするポリペプチドが、親の配列と同一であるアミノ酸配列を有しているが、特定の位置において少数の配列が変更している場合、対象とするポリペプチドは、親又は参照ポリペプチド「変異体」であるとみなされる。通常、変異体の20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満の残基が、親と比べて置換されている。いくつかの実施形態では、「変異体」は、親と比べて10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の置換された残基を有する。多くの場合、「変異体」は、非常に小数(例えば、5、4、3、2、又は1未満)の置換された機能性残基(すなわち、特定の生物活性に関与する残基)を有する。更に、「変異体」は、親と比較して、通常、5、4、3、2、又は1個以下の付加又は欠失を有し、多くの場合、付加又は欠失を有さない。更に、任意の付加又は欠失は、通常、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6個未満であり、一般には約5、約4、約3、又は約2個未満の残基である。いくつかの実施形態では、親又は参照ポリペプチドは天然に見出されるものである。当業者に理解されるように、対象とする特定のポリペプチドの複数の変異体は、特に対象とするポリペプチドが感染因子のポリペプチドであるとき、通常、天然に見出され得る。
【0092】
本明細書で使用するとき、用語「ベクター」は、付随する別の核酸を運搬可能な核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、染色体外複製、並びに/又は、真核及び/若しくは原核細胞など宿主細胞中で結合される核酸の発現が可能である。操作可能に結合される遺伝子の発現の方向付けが可能なベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称する。
【0093】
本明細書で使用するとき、用語「野生型」は、(変異体、病的、変更などとは対照的に)「正常」状態又は状況において、天然に見出される、構造及び/又は活性を有する実体を含む、当該技術により理解される意味を有する。当業者は、野生型遺伝子及びポリペプチドは、多くの場合、多くの異なる形態(例えば、対立遺伝子)で存在することを理解するだろう。
[発明を実施するための形態]
【0094】
本発明は、特に、癌、自己免疫疾患、及び感染性病原体の治療用のプログラム死リガンド1(PD-L1)モジュレーター(例えば、抗PD-L1抗体)の治療効果を判定するための、並びに免疫細胞応答及び機能のアッセイのための、PD-L1ポリペプチドをコードするヒト化遺伝子物質を有する、改善された、及び/又は遺伝子操作を受けた非ヒト動物を提供する。かかる非ヒト動物は、PD-L1モジュレーターの治療効果、及びPD-1:PD-L1(又はPD-L1:B7-1)遮断に対するその潜在力の判定を向上させることが想定される。したがって、本発明は、様々な癌、自己免疫疾患を治療する、並びに免疫応答を増強して感染性の病因を治療する、及び/又は改善するための抗PD-L1療法、いくつかの実施形態では、抗PD-1療法の開発に特に有用である。具体的には、本発明は、非ヒト動物の細胞の表面でのヒト化PD-L1ポリペプチドの発現をもたらす齧歯類CD274遺伝子のヒト化を包含する。かかるヒト化PD-L1非ヒト動物は、抗腫瘍免疫応答を促進する抗PD-L1療法の効果を判定するためのヒトPD-L1細胞の供給源を提供する能力を有する。かかるヒト化PD-L1非ヒト動物はまた、自己免疫疾患、障害、又は異常を改善する抗PD-L1療法の効果を判定するためのヒトPD-L1細胞の供給源を提供する能力を有する。更に、かかるヒト化PD-L1非ヒト動物は、様々な癌、自己免疫疾患、及び感染症を治療するための抗PD-L1療法のスクリーニング及び開発のためのin vivo系を提供する。いくつかの実施形態では、治療効果は、疾患、障害、又は異常の兆候及び/又は症状の軽減によって、いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は異常の兆候及び症状の全てではないにしても、その一部の軽減又は消滅によって、いくつかの実施形態では、疾患、障害、又は異常が非ヒト動物の体内にまだ存在し得るものの、疾患、障害、又は異常の全ての兆候及び症状の軽減又は消滅によって、本発明の非ヒト動物で実証されてよい。様々な実施形態では、疾患、障害、又は異常は、癌に関係する。様々な実施形態では、疾患、障害、又は異常は、自己免疫疾患、障害、又は異常に関係する。様々な実施形態では、疾患、障害、又は異常は、感染症病原体(例えば、バクテリア)に関係する。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、非ヒト動物の細胞の表面で発現したヒト化PD-L1ポリペプチドを使用したPD-1:PD-L1シグナル伝達の遮断による、調節された免疫応答を実証する。いくつかの実施形態では、ヒト化PD-L1ポリペプチドは、ヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV及びCドメインの全体又は一部に対応する配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒト化PD-L1ポリペプチドは、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインの実質的全てに対応する配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒト化PD-L1ポリペプチドは、齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞質ドメインに対応する配列を有し、いくつかの実施形態では、齧歯類PD-L1ポリペプチドの膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインに対応する配列を有する。いくつかの実施形態では、ヒト化PD-L1ポリペプチドは、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸残基19~238(又は19~227、又は19~131)に対応する配列を有する。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、非ヒト動物及び異種の種(例えば、ヒト)の遺伝子物質を含有するCD274遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物はヒト化CD274遺伝子を含み、ヒト化CD274遺伝子は、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、エキソン4、及びエキソン5の全体又は一部を含む。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物はヒト化CD274遺伝子を含み、ヒト化CD274遺伝子は、エキソン3及び約4,160bpのエキソン3のヒトゲノム配列3’に対応する約4,494bpのヒトCD274遺伝子を含む。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物はヒト化CD274遺伝子を含み、ヒト化CD274遺伝子は、約1,253bpのエキソン4のヒトゲノム配列5’、エキソン4、イントロン4、及びヒトCD274遺伝子のエキソン5の最初の32bpに対応する約3,950bpのヒトCD274遺伝子を含む。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物はヒト化CD274遺伝子を含み、ヒト化CD274遺伝子は、約4,494bp及び約3,950bpの部位特異的組換部位(例えば、loxP部位)と並置されたヒトCD274遺伝子を含む(この4,494bp及び3,950bpは、エキソン3、エキソン4、及びヒトCD274遺伝子のエキソン5の最初の32bpに対応する)。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物はヒト化CD274遺伝子を含み、ヒト化CD274遺伝子は、エキソン3、エキソン4、及びヒトCD274遺伝子のエキソン5の最初の32bpに対応する、約8,444bpのヒトCD274遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物(例えば、マウス又はラットなど齧歯類)はヒト化CD274遺伝子を含み、ヒト化CD274遺伝子は、非ヒトCd274遺伝子(例えば、内在性非ヒトCd274遺伝子)のエキソン1、2、エキソン5の一部、エキソン6、及び7に操作可能に結合されたヒトCD274遺伝子のエキソン3、エキソン4、及びエキソン5の一部を含み、特定の実施形態では、ヒト化CD274遺伝子は、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外ドメインの全て又は実質的に全て、並びに非ヒトPD-L1ポリペプチドの膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインの全て又は実質的に全てを含む、ヒト化PD-L1ポリペプチドをコードする。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、図2に示すヒト化CD274遺伝子を含む。
【0096】
本発明の様々な態様を以下の節に詳述する。これらの節の使用は、本発明を制限することを意図するものではない。各節は、本発明の任意の態様に適用できる。本願を通して、別途記載のない限り、「又は」の使用は「及び/又は」を意味する。
【0097】
分化抗原群274(CD274)遺伝子
プログラム細胞死リガンド1(PD-L1、B7-H1とも称する)と呼ばれるポリペプチドをコードするCD274は、B7ファミリーメンバーであるB7-1及びB7-2を使用して、ヒト発現配列タグ(EST)データベースを検索することによって発見された(Dong,H.et al.,1999,Nature Med.5(12):1365~1369;Freeman,G.J.et al.,2000,J.Exp.Med.192(7):1027~1034)。CD274遺伝子は、PD-L1ポリペプチドの異なる部分をコードする7つのエキソンで構成される;エキソン1:非コーディング、5’UTRを含有する;エキソン2:シグナル配列;エキソン3:免疫グロブリンV(IgV)ドメイン;エキソン4:免疫グロブリンC(IgC)ドメイン;エキソン5:細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインのC末端部分;エキソン6:細胞内ドメイン;エキソン7:細胞内ドメインの~6アミノ酸残基及び3’UTR。PD-L1ポリペプチドは、配列同一率が低い(~20%)にもかかわらず、他のB7ファミリーメンバー(B7-1及びB7-2)と共通の構造機構を共有する。対照的に、マウス及びヒトのPD-L1ポリペプチド配列は、約70%の配列同一性を共有する(上記のFreeman,G.J.et al.)。PD-L1は、心臓、骨格筋、胎盤、及び肺で強発現し、胸腺、脾臓、腎臓、及び肝臓で弱発現し、脳、結腸、又は小腸では発現しない(上記のDong,H.et al.)。更に、PD-L1は、マウスのT細胞、B細胞、骨髄性細胞(例えば、樹枝状細胞、マクロファージ、肥満細胞など)、及びケラチノサイトで構成的に発現し、その一方、ヒトの同一細胞での発現が、活性後に報告されている(例えば、Keir,M.E.,et al.,2008,Annu.Rev.Immunol.26:677~704で再考察されている)。実際、マウス遺伝子及びヒト遺伝子の両方のCD274プロモーターは、インターフェロン制御因子1(IRF-1)の結合部位を含有することが報告されており、ヒト癌細胞におけるPD-L1の上方調節への関与が示唆されている(Lee,S.J.et al.,2006,FEBS Lett.580(3):755~762)。PD-L1スプライス変異体は報告されている(例えば、以下及びHe,X.H.et al.,2005,Acta Pharmacol Sin.26(4):462~468を参照)が、いずれの疾患とも因果関係は発見されていない。PD-L1は、PD-1に構造的に類似の他のタンパク質(CTLA4、CD28、ICOS;上記のDong.Dong,H.et al.及びFreeman,G.J.et al.を参照)と相互作用することなく、PD-1だけを結合する。PD-1のPD-L1との関わりは、免疫細胞での様々な刺激性機能又は阻害機能をもたらし、その一部としては、細胞増殖、サイトカインの産生、並びにT細胞受容体及びB細胞受容体のシグナル伝達が挙げられる。PD-L1(並びにPD-L2)はまた、双方向性シグナル伝達への関与が示唆されている(例えば、Dong,H.et al.,2003,J.Clin.Invest.111:363~370;Kuipers,H.et al.,2006,Eur.J.Immunol.36:2472~27812を参照)。興味深いことに、PD-L1は、CD28自体との相互作用は報告されていないものの、CD28のリガンドであるB7-1(CD80)を結合することが示されている(Butte,M.J.et al.,2007,Immunity 27:111~122)。B7-1とのこの独特の相互作用は、T細胞応答の制御及び許容に関するその示唆にとって特に重要である。実際、その共刺激機能及び共阻害機能による多数の機能的結果により、PD-L1は、自己免疫疾患及び炎症性疾患の治療並びに癌の治療の潜在的標的として多くの関心を集めている。実際、抗PD-L1療法は、ヒト臨床試験で現在試験中である(例えば、Pedoeem,A.et al.,2014,Clin.Immunol.153:145~152;及びPhilips,G.K.and Atkins,M.,2014,Intern.Immunol.8pagesを参照)。
【0098】
将来的に癌及び自己免疫の治療に使用する実用的な標的療法を開発するためには、発現する多くの細胞種類(例えば、非リンパ系細胞)にわたってPD-L1によって媒介される機能、及び他のB7ファミリーメンバーとの独特の相互作用についてより完全かつ詳細に理解することが必要である。
【0099】
CD274及びPD-L1(B7-H1)配列
例示的マウス、ヒト、ヒト化CD274及びPD-L1配列を図6に示す。非ヒトCD274遺伝子のヒト化に使用する例示的ヒト核酸配列も図6に示す。mRNA配列では、太字フォントは、コーディング配列及び連続エキソンを示し、記載するときは、下線付きテキストを交互にすることによって区切る。ヒト化mRNA配列では、ヒト配列は括弧で囲む。タンパク質配列では、シグナルペプチドは下線付き、細胞外配列は太字フォント、免疫グロブリンV(IgV)ドメイン配列は括弧で囲み、細胞内配列はイタリック体である。ヒト化タンパク質配列では、非ヒト配列は標準フォントで示し、ヒト配列は太字フォントで示す。
【0100】
CD274転写変異体は当該技術分野において周知である。ある転写変異体は、標準配列(図6を参照)と比較して、5’コーディング領域でインフレームエキソンを欠いており、残基17~130(すなわち、IgVドメイン+~5アミノ酸残基)の欠失をもたらす。この変異体のmRNA及びタンパク質配列は、参照により本明細書に組み込まれるGenbankアクセッション番号NM_001267706.1及びNP_001254635.1にそれぞれ見出すことができる。別の変異体は、K178D置換及び残基179~290の欠失を有する可溶性タンパク質をコードする。この変異体のmRNA及びタンパク質配列は、参照により本明細書に組み込まれる、Genbankアクセッション番号XM_006716759.1及びXP_006716822.1にそれぞれ見出すことができる。第3の変異体は、標準配列と比較して代替の内部セグメントを欠くものとして記載されており(NR_052005.1)、したがって、5’の最も支持される翻訳開始コドンを使用すると、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)の転写候補が与えられるため、非コーディング変異体として示される。他のアイソフォームは、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/197369号に記載されている。
【0101】
ヒト化CD274非ヒト動物
PD-L1ポリペプチドをコードする非ヒト動物の内在性遺伝子座(例えば、CD274遺伝子座)の遺伝子改変から得られた非ヒト動物の細胞の表面でヒト化PD-L1ポリペプチドを発現する、非ヒト動物が提供される。本明細書に記載の好適な例としては、齧歯類、いくつかの実施形態では、マウスが挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、ヒト化CD274遺伝子は、異種の種(例えば、ヒト)の遺伝子物質を含み、ヒト化CD274遺伝子は、異種の種の遺伝子物質のコードされた部分を含むPD-L1ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、本発明のヒト化CD274遺伝子は、細胞のプラズマ細胞膜で発現するPD-L1ポリペプチドの細胞外部分をコードする、異種の種のゲノムDNAを含む。該ヒト化CD274遺伝子を含有する非ヒト動物、非ヒト胚、及び細胞を作製するための非ヒト動物、胚、細胞、及び標的構築物も提供される。
【0103】
いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子を欠失している。いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子は変更されており、内在性CD274遺伝子の一部は、異種配列(例えば、ヒトCD274配列の全体又は一部)で置換される。いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子の全て又は実質的に全てが、異種遺伝子(例えば、ヒトCD274遺伝子)で置換される。いくつかの実施形態では、異種のCD274遺伝子の一部が、内在性CD274遺伝子座にある内在性非ヒトCD274遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態では、異種遺伝子はヒト遺伝子である。いくつかの実施形態では、内在性CD274遺伝子の2つのコピーのうちの1つに対して改変又はヒト化が行われ、ヒト化CD274遺伝子に関して異種接合体である非ヒト動物を提供する。他の実施形態では、ヒト化CD274遺伝子に関してホモ接合性である非ヒト動物が提供される。
【0104】
様々な態様では、非ヒト動物は、内在性非ヒトCD274遺伝子座にあるヒトCD274遺伝子の全体又は一部を含有する。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、内在性非ヒトCD274遺伝子座の外部にあるヒトCD274遺伝子を含有する。したがって、かかる非ヒト動物は、異種のCD274遺伝子を有するものとして記載され得る。内在性CD274遺伝子座(又は内在性CD274遺伝子座の外部)にある置換された、挿入された、改変された、変更されたCD274遺伝子、又はかかる遺伝子から発現した(又は非ヒト動物のゲノムの別の場所から発現した)ポリペプチドは、例えば、PCR、ウエスタンプロット、サザンブロット、制限酵素切断片多型(RFLP)、又は対立遺伝子獲得若しくは損失アッセイなどの、様々な方法を用いて検出できる。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、ヒト化CD274遺伝子に関して異種接合体である。
【0105】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒトCD274mRNA配列に示す第3エキソンと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列を有する第3エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0106】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒトCD274mRNA配列に示す第3エキソンと実質的に同一である配列を有する第3エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0107】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒトCD274mRNA配列に示す第3エキソンと同一である配列を有する第3エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0108】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒトCD274mRNA配列に示す第4エキソンと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列を有する第4エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0109】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒトCD274mRNA配列に示す第4エキソンと実質的に同一である配列を有する第4エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0110】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒトCD274mRNA配列に示す第4エキソンと同一である配列を有する第4エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0111】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274mRNA配列に示す第5エキソンと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列を有する第5エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0112】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274mRNA配列に示す第5エキソンと実質的に同一である配列を有する第5エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0113】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274mRNA配列に示す第5エキソンと同一である配列を有する第5エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0114】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274mRNA配列に示す第3、第4、及び第5エキソンと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列をそれぞれ有する第3、第4、及び第5エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0115】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274mRNA配列に示す第3、第4、及び第5エキソンと実質的に同一である配列をそれぞれ有する第3、第4、及び第5エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0116】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274mRNA配列に示す第3、第4、及び第5エキソンと同一である配列をそれぞれ有する第3、第4、及び第5エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0117】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のマウスCd274mRNA配列に示す第1、第2、第6、及び第7エキソンと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列をそれぞれ有する第1、第2、第6、及び第7エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0118】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のマウスCd274mRNA配列に示す第1、第2、第6、及び第7エキソンと実質的に同一である配列をそれぞれ有する第1、第2、第6、及び第7エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0119】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のマウスCd274mRNA配列に示す第1、第2、第6、及び第7エキソンと同一である配列をそれぞれ有する第1、第2、第6、及び第7エキソンを有するCD274遺伝子を含む。
【0120】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号12と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列を含むCD274遺伝子を含む。
【0121】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号12と実質的に同一である配列を含むCD274遺伝子を含む。
【0122】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号12と同一である配列を含むCD274遺伝子を含む。
【0123】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13又は配列番号16と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列を含むCD274遺伝子を含む。
【0124】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13又は配列番号16と実質的に同一である配列を含むCD274遺伝子を含む。
【0125】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13又は配列番号16と同一である配列を含むCD274遺伝子を含む。
【0126】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である第1配列と、配列番号16と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である第2配列と、を含むCD274遺伝子を含む。
【0127】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13と実質的に同一である第1配列と、配列番号16と実質的に同一である第2配列と、を含むCD274遺伝子を含む。
【0128】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13と同一である第1配列と、配列番号16と同一である第2配列と、を含むCD274遺伝子を含む。
【0129】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13と、配列番号16と、部位特異的リコンビナーゼ認識部位と、を含み、該部位特異的リコンビナーゼ認識部位は、該ヒト化CD274遺伝子のイントロン内に位置する。
【0130】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号13と、配列番号16と、loxP部位と、を含み、該loxP部位は、該ヒト化CD274遺伝子のイントロン内に位置する。
【0131】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、CD274エキソン3とCD274エキソン4との間にイントロンを含むCD274遺伝子を含み、該イントロンは、配列番号17と実質的に同一である配列を含む。
【0132】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、CD274エキソン3とCD274エキソン4との間にイントロンを含むCD274遺伝子を含み、該イントロンは、配列番号17と同一である配列を含む。
【0133】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号12、配列番号13、配列番号16、及び配列番号17を含むCD274遺伝子を含む。
【0134】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び配列番号16を含むCD274遺伝子を含む。
【0135】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274ヌクレオチドコーディング配列に示すヌクレオチドコーディング配列と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるヌクレオチドコーディング配列(例えば、cDNA配列)を有するCD274遺伝子を含む。
【0136】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274ヌクレオチドコーディング配列に示すヌクレオチドコーディング配列と実質的に同一であるヌクレオチドコーディング配列(例えば、cDNA配列)を有するCD274遺伝子を含む。
【0137】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のヒト化CD274ヌクレオチドコーディング配列に示すヌクレオチドコーディング配列と同一であるヌクレオチドコーディング配列(例えば、cDNA配列)を有するCD274遺伝子を含む。
【0138】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274mRNA配列は、図6のヒト化CD274mRNA配列と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一である配列を含む。
【0139】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274mRNA配列は、図6のヒト化CD274mRNA配列と実質的に同一である配列を含む。
【0140】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274mRNA配列は、図6のヒト化CD274mRNA配列と同一である配列を含む。
【0141】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のPD-L1ポリペプチド配列と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を有するPD-L1ポリペプチドをコードする。
【0142】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のPD-L1ポリペプチド配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するPD-L1ポリペプチドをコードする。
【0143】
様々な実施形態では、本発明によるヒト化CD274遺伝子は、図6のPD-L1ポリペプチド配列と同一であるアミノ酸配列を有するPD-L1ポリペプチドをコードする。
【0144】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を有する細胞外部分を有する。
【0145】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分と実質的に同一であるアミノ酸配列を有する細胞外部分を有する。
【0146】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分と同一であるアミノ酸配列を有する細胞外部分を有する。
【0147】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~131と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を含む。
【0148】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~131と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。
【0149】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~131と同一であるアミノ酸配列を含む。
【0150】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~227と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を含む。
【0151】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~227と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。
【0152】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~227と同一であるアミノ酸配列を含む。
【0153】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~238と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を含む。
【0154】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~238と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。
【0155】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6のヒト又はヒト化PD-L1ポリペプチドに示すアミノ酸残基19~238と同一であるアミノ酸配列を含む。
【0156】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV(IgV)ドメインと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を有するIgVドメインを有する。
【0157】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV(IgV)ドメインと実質的に同一であるアミノ酸配列を有するIgVドメインを有する。
【0158】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV(IgV)ドメインと同一であるアミノ酸配列を有するIgVドメインを有する。
【0159】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV(IgV)ドメイン及び免疫グロブリンC(IgC)ドメインと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有するIgVドメイン及びIgCドメインを有する。
【0160】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV(IgV)ドメイン及び免疫グロブリンC(IgC)ドメインと実質的に同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有するIgVドメイン及びIgCドメインを有する。
【0161】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV(IgV)ドメイン及び免疫グロブリンC(IgC)ドメインと同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有するIgVドメイン及びIgCドメインを有する。
【0162】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインと少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有する膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを有する。
【0163】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインと実質的に同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有する膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを有する。
【0164】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインと同一であるアミノ酸配列をそれぞれ有する膜貫通ドメイン及び細胞内ドメインを有する。
【0165】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも50%(例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上)同一であるアミノ酸配列を有する。
【0166】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有する。
【0167】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物によって産生されるPD-L1ポリペプチドは、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する。
【0168】
特定の多型形態、対立変異体(例えば、単一アミノ酸差異)、あるいはスプライスされたアイソフォームなどヒト化PD-L1ポリペプチドを発現する非ヒト動物を作成するための組成物及び方法が提供され、ヒトプロモーター及びヒト調節配列からかかるポリペプチドを発現する非ヒト動物を作製するための組成物及び方法を含む。いくつかの実施形態では、内在性プロモーター及び内在性調節配列から、いくつかの実施形態では、内在性齧歯類プロモーター及び内在性齧歯類調節配列からかかるポリペプチドを発現する非ヒト動物を作製するための組成物及び方法も提供される。この方法は、内在性CD274遺伝子に対応する非ヒト動物のゲノム内の正確な位置にて、ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部をコードする遺伝子物質(例えば、ヒトCD274DNA配列)を挿入し、それによって、全体又は一部がヒトであるPD-L1ポリペプチドを発現するヒト化CD274遺伝子を作製することを含む。あるいは、ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部をコードする遺伝子物質の挿入は、非ヒト動物のゲノム内のランダムな位置で、すなわち、内在性CD274遺伝子の外部で行われてよい。いくつかの実施形態では、この方法は、ヒトCD274遺伝子のエキソン3~5(又はエキソン3、4、及びエキソン5の一部)に対応するゲノムDNAを非ヒト動物の内在性CD274遺伝子に挿入し、それによって挿入されたエキソンでコードされたアミノ酸を含有するヒト部分を含有するPD-L1ポリペプチドをコードするヒト化遺伝子を作製することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、完全長(又はcDNA)ヒトCD274遺伝子に対応するゲノムDNAを非ヒト動物のゲノムにランダムに挿入し、それによって完全長ヒトPD-L1ポリペプチドをコードするヒトCD274導入遺伝子を作製することを含む。
【0169】
適切な場合には、ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部をコードする遺伝子物質又はポリヌクレオチド配列のコーディング領域は、非ヒト動物での発現に最適化されるコドンを含むように改変されてよい(例えば、米国特許第5,670,356号及び同第5,874,304号を参照)。コドン最適化された配列は合成配列であり、好ましくは、非コドン最適化された親ポリヌクレオチドによってコードされた同一のポリペプチド(又は、完全長ポリペプチドと実質的に同一の活性を有する完全長ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメント)をコードする。いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1ポリペプチドをコードする遺伝子物質のコーディング領域の全体又は一部は、変更された配列を含んで、特定の細胞型(例えば、齧歯類細胞)のためのコドン使用を最適化してよい。例えば、非ヒト動物(例えば、齧歯類)の内在性CD274遺伝子に挿入されるべきヒトCD274遺伝子のエキソン3~5(又はエキソン3、4、及びエキソン5の一部)に対応するゲノムDNAのコドンは、非ヒト動物の細胞内での発現に最適化されてよい。かかる配列は、コドン最適化配列と記載されてよい。
【0170】
ヒト化CD274遺伝子アプローチは、内在性遺伝子の相対的に最小限の改変を用い、非ヒト動物での天然のCD274を媒介とする(すなわち、PD-L1を媒介とする)シグナル伝達をもたらす。これは、例えば、CD274遺伝子のゲノム配列が単一フラグメントで改変され、したがって、必要な調節配列、いくつかの実施形態では、イントロン配列を含むことによって標準機能を保持するためである。したがって、かかる実施形態では、CD274遺伝子の改変は、他の周囲の遺伝子又は他の内在性CD274が相互作用する遺伝子(例えば、Pdcd1など)に影響を及ぼさない。更に、様々な実施形態では、この改変は、プラズマ細胞膜上での機能性PD-L1膜貫通ポリペプチドの組み立てに影響を及ぼさず、結合、及びこの改変の影響を受けないポリペプチド細胞質部分を介した以降のシグナル伝達によって、標準エフェクター機能を維持する。
【0171】
齧歯類(例えば、マウス)Cd274遺伝子及びヒトCD274遺伝子のゲノム構成の概略図(正確な縮尺ではない)を図1に示す。ヒトCD274遺伝子のエキソン3、4、及びエキソン5の一部を含有するゲノムフラグメントを用いて内在性齧歯類(例えば、マウス)Cd274遺伝子をヒト化するための例示的構築物を図2に示す。図示するように、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、4、及びエキソン5の一部を含有するゲノムDNAは、標的化構築物によって内在性齧歯類(例えば、マウス)Cd274遺伝子座に挿入される。このゲノムDNAは、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分(例えば、アミノ酸残基19~238)をコードする遺伝子の部分を含む。所望に応じて、ヒトCD274遺伝子のエキソン3及び4を含有するゲノムDNAは、構築物を標的化することによって内在性齧歯類(例えば、マウス)Cd274遺伝子座に挿入されてよく、したがって、ヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンV及びCドメイン(例えば、アミノ酸残基19~227)をコードする遺伝子の部分を含む。あるいは、ヒトCD274遺伝子のエキソン3のみを含有するゲノムDNAは、構築物を標的化することによって内在性齧歯類(例えば、マウス)Cd274遺伝子座に挿入されてよく、したがって、ヒトPD-L1ポリペプチドの免疫グロブリンVドメイン(例えば、アミノ酸残基19~131)をコードする遺伝子の部分のみを含む。本開示を読んだ当業者は、所望されるコードされたPD-L1ポリペプチドに応じて、様々な量のヒトCD274遺伝子の遺伝子物質が、本明細書に記載の方法に従って非ヒト動物のゲノムに挿入されてよいことを理解するであろう。
【0172】
内在性CD274遺伝子座にてヒト化CD274遺伝子を有する非ヒト動物(例えば、マウス)は、当該技術分野において周知の任意の方法によって作製できる。例えば、ヒトCD274遺伝子の全体又は一部を選択マーカー遺伝子と共に導入する標的化ベクターを作製できる。図2は、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、4、及びエキソン5の一部(約32bp)の挿入を含むマウスゲノムの内在性Cd274遺伝子座を示す。図示するように、標的化構築物は、配列の上流の内在性マウスCd274遺伝子のエキソン3を含む5’相同性アーム(~92.9Kb)、次いで、ヒトCD274遺伝子のエキソン3を含有するゲノムDNAフラグメント(~4494bp)、内在性マウスCd274遺伝子に対して反対の転写方向にある、薬剤選択カセット(例えば、loxP配列の両側に隣接するネオマイシン耐性遺伝子;~5Kb)、ヒトCD274遺伝子のエキソン4及びエキソン5の一部を含有するゲノムDNAフラグメント(~3950bp)、並びに内在性マウスCd274遺伝子のエキソン5の一部と、エキソン6及び7を含むゲノム配列の下流と、を含有する3’相同性アーム(~67.6Kb)を含有する。標的化構築物は、自己欠失性薬剤選択カセット(例えば、loxP配列に隣接するネオマイシン耐性遺伝子;全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,697,851号、同第8,518,392号、及び同第8,354,389号を参照)を含有する。相同組み換え時には、内在性マウスCd274遺伝子のエキソン3、4、及びエキソン5の一部は、標的化ベクター(すなわち、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、4、及びエキソン5の一部)に含有される配列によって置換され、約8,964bpの欠失をもたらす。ヒト化CD274遺伝子の作製は、挿入されたヒトCD274遺伝子のゲノムDNAによってコードされたアミノ酸を含有するヒト化PD-L1ポリペプチドを発現する細胞又は非ヒト動物をもたらす。薬剤選択カセットは、発生依存的に除去される。すなわち、上記のヒト化CD274遺伝子を生殖系列細胞に含むマウス由来の子孫は、発生中に分化細胞から選択マーカーを脱落させる。
【0173】
本明細書では、マウス(すなわち、ヒト部分及びマウス部分を含むPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子を有するマウス)内のヒト化CD274遺伝子を用いる実施形態について広範囲に説明するが、ヒト化CD274遺伝子を含む他の非ヒト動物も提供される。いくつかの実施形態では、かかる非ヒト動物は、内在性CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト化CD274遺伝子を含む。いくつかの特定の実施形態では、内在性CD274プロモーターは内在性齧歯類プロモーターである。いくつかの実施形態では、かかる非ヒト動物は、内在性遺伝子座からヒト化PD-L1ポリペプチドを発現し、ヒト化PD-L1ポリペプチドは、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸残基19~238(又は19~227若しくは19~131)を含む。かかる非ヒト動物としては、本明細書に記載のPD-L1ポリペプチドを発現するように遺伝子を改変できるものが挙げられ、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、雌牛、雄牛、水牛)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、マーモセット、赤毛猿)などである。非ヒトCD274オルソログの例示的配列としては、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、ニワトリPD-L1(XM_424811.3及びXP_424811.3)、チンパンジー(XM_001140705.2及びXP 001140705.1)、雌牛PD-L1(NM_001163412.1及びNP_001 156884.1)、イヌPD-L1(XM.541302.3及びXP_541302.3)、サル(NM_001083889.1及びNP 001077358.1)、ラット(NM_001191954.1及びNP_001178883.1)が挙げられる。例えば、好適な遺伝子改変可能ES細胞を容易に入手できない非ヒト動物の場合、他の方法を用いて、遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製できる。かかる方法としては、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞又は誘導多能性細胞)を改変すること、及び体細胞核移植(SCNT)を用いて、除核卵母細胞など好適な細胞に遺伝子改変ゲノムを移植し、好適な条件下で非ヒト動物内で改変細胞(例えば、改変卵母細胞)を成熟させて胚を形成することが挙げられる(Wilmut,I.et al.,1997,Nature 385:810~813;国際公開第97/07668号及び同第97/07669号を参照)。
【0174】
非ヒト動物ゲノム(例えば、ブタ、雌牛、齧歯類、ニワトリなどのゲノム)を改変する方法としては、例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFH)又は転写活性化様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を用いて、ヒト化CD274遺伝子を含むようにゲノムを改変することが挙げられる。
【0175】
本明細書に記載のヒト化CD274遺伝子を含むヒト動物はまた、非ヒト動物のゲノムに導入遺伝子としてCD274核酸配列をランダムに導入することによって作製されてよい。内容に応じて、cDNA又はヒトCD274ゲノム配列を用いてよい。例えば、イントロン配列及びポリアデニル化シグナルを導入遺伝子内に含めて、導入遺伝子の発現効率及びレベルを向上させることができる。組織特異的調節配列は、特定細胞型にPD-L1ポリペプチドの発現を指示するようにCD274導入遺伝子に操作可能に結合され得る。構成的プロモーターは、コードされたPD-L1ポリペプチドが過剰発現する(すなわち、より高いレベルで、及び/又は野生型非ヒト動物では見られない組織で発現する)ように、CD274核酸配列に操作可能に結合されてよい。
【0176】
トランスジェニックファウンダー非ヒト動物は、そのゲノムにおけるCD27導入遺伝子の存在、及び/又は非ヒト動物の組織若しくは細胞内でのPD-L1mRNAの発現に基づいて同定される。次いで、トランスジェネリックファウンダー非ヒト動物を用いて、CD274導入遺伝子を有する更なる非ヒト動物を繁殖させることができる。更に、ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部をコードする導入遺伝子を有するトランスジェネリック非ヒト動物は、他の導入遺伝子(例えば、Pdcd1、又はCD80導入遺伝子)を有する他のトランスジェネリック非ヒト動物へと更に繁殖させることができる。
【0177】
トランスジェネリック非ヒト動物はまた、導入遺伝子の制御された発現又は指示された発現を可能にする選択された系を含有するように産生されてよい。例示的系としては、バクテリオファージP1のCre/loxPリコンビナーゼ系(例えば、Lakso,M.et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232~6236)及びS.セレビジアエのFLP/Frtリコンビナーゼ系(O‘Gorman,S.et al,1991,Science 251:1351~1355)が挙げられる。かかる動物は、例えば、一方は選択したポリペプチド(例えば、CD274導入遺伝子)をコードする導入遺伝子を含有し、他方はリコンビナーゼ(例えば、Creリコンビナーゼ)をコードする導入遺伝子を含有する2つのトランスジェネリック動物を交配させることによる、「二重」トランスジェネリック動物の構築によって提供され得る。
【0178】
本発明の非ヒト動物は、上記のように、又は当該技術分野において周知の方法を使用して調製されてよく、多くの場合、非ヒト動物の意図した使用に応じて追加のヒト又はヒト化遺伝子を含む。かかる追加のヒト又はヒト化遺伝子の遺伝子物質は、上記の遺伝子改変を有する細胞(例えば、胚性幹細胞)のゲノムの更なる変更によって、又は所望に応じて、他の遺伝子改変系統を使用した当該技術分野で周知の繁殖方法によって導入されてよい。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、リガンドのB7ファミリー及び/又は受容体のCD28ファミリー(例えば、Pdcd1(PD-1)など)から選択された1つ又は2つ以上のヒト又はヒト化遺伝子を更に含むように調製される。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、本明細書に記載するように、改変系統の細胞に標的化ベクターを導入することによって調製されてよい。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒト又はヒト化プログラム細胞死1(Pdcd1)遺伝子を更に含むように調製される。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、本明細書に記載するヒト化CD274遺伝子及び異種の種(例えば、ヒト)の遺伝子物質を含み、遺伝子物質は、リガンドのB-7ファミリー又は受容体のCD28ファミリーから選択される1つ又は2つ以上の異種のポリペプチドの全体又は一部をコードする。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、本明細書に記載するヒト化CD274遺伝子及び異種の種(例えば、ヒト)の遺伝子物質を含み、遺伝子物質は、異種の(例えば、ヒト)PD-1ポリペプチドの全体又は一部をコードする。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内在性部分と、ヒト部分と、を含むPdcd1遺伝子を更に含み、ヒト部分は、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外ドメインをコードし、内在性部分は、内在性PD-1ポリペプチドの細胞内ドメインをコードし、いくつかの実施形態では、ヒト部分及び内在性部分は、内在性Pdcd1プロモーター、いくつかの実施形態では、内在性齧歯類Pdcd1プロモーターに操作可能に結合されている。
【0179】
例えば、本明細書に記載するように、ヒト化CD274遺伝子を含む非ヒト動物は、参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月19日出願の米国特許出願第14/744,592号に記載されるように、(例えば、異種交配又は複数遺伝子標的化戦略を介して)1つ又は2つ以上の改変を更に含んでよい。特定の実施形態では、ヒト化CD274遺伝子(すなわち、ヒト化CD274遺伝子が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分と、齧歯類PD-L1ポリペプチドの細胞内部分と、を有するPD-L1ポリペプチドをコードするように、内在性齧歯類Cd274遺伝子のエキソン1、2、エキソン5の3’部分、6、及び7に遺伝子操作可能に結合されたヒトCD274のエキソン3、4、及びエキソン5の5’部分)を含む齧歯類は、ヒト化Pdcd1遺伝子(例えば、ヒト化Pdcd1遺伝子が、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外部分と、齧歯類PD-1ポリペプチドの細胞内部分と、を有するPD-1ポリペプチドをコードするように、内在性齧歯類Pdcd1遺伝子のエキソン1、エキソン3の3’部分、4、及び5に操作可能に結合されたヒトPDCD1遺伝子のエキソン2及びエキソン3の5’部分;例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月19日出願の米国特許出願第14/744,592号を参照)を含む齧歯類と交配される。いくつかの実施形態では、ヒト化Pdcd1遺伝子は、非ヒト(例えば、齧歯類)Pdcd1エキソン1、4、及び5と、ヒトPdcd1エキソン2と、Pdcd1エキソン3と、を含み、このPdcd1エキソン3は、ヒト部分と、非ヒト部分を含み、該非ヒト部分及びヒトエキソンは操作可能に結合される。いくつかの実施形態では、Pdcd1エキソン3のヒト部分は、PD-1軸配列(stalk sequence)をコードするヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Pdcd1エキソン3のヒト部分は、ヒトPdcd1エキソン3の約71bpを含む。いくつかの実施形態では、Pdcd1エキソン3の非ヒト部分は、膜貫通配列をコードするヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Pdcd1エキソン3の非ヒト部分は、約91bpの齧歯類Pdcd1エキソン3を含む。特定の実施形態では、ヒト化Pdcd1遺伝子は、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外部分(例えば、実質的に細胞外ドメイン全体)と、膜貫通部分(例えば、実質的に膜貫通ドメイン全体)と、齧歯類PD-1ポリペプチドの細胞内部分(例えば、実質的に細胞内ドメイン全体)と、を含む、ヒト化PD-1ポリペプチドをコードする。
【0180】
いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は哺乳類である。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は例えば、トビネズミ上科又はネズミ上科の小型哺乳動物である。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子改変動物は齧歯類である。いくつかの実施形態では、本発明の齧歯類は、マウス、ラット、及びハムスターから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の齧歯類は、ネズミ上科から選択される。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子改変動物は、カンガルーハムスター科(例えば、マウス様ハムスター)、キヌゲネズミ科(例えば、ハムスター、新世界ラット及びマウス、ハタネズミ)、ネズミ科(例えば、真正マウス及びラット、スナネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、アシナガマウス科(例えば、キノボリマウス、イワマウス、オジロラット、マダガスカルラット及びマウス)、トゲヤマネ科(例えば、トゲヤマネ)、及びメクラネズミ科(例えば、デバネズミ(mole rates)、タケネズミ、及びモグラネズミ)から選択される科に属する。いくつかの特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変齧歯類は、真正マウス又はラット(ネズミ科)、スナネズミ、トゲマウス、及びタテガミネズミから選択される。いくつかの特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変齧歯類は、ネズミ科のメンバーから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は齧歯類である。いくつかの特定の実施形態では、本発明の齧歯類は、マウス、及びラットから選択される。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物はマウスである。
【0181】
いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaから選択されるC57BL系統のマウスである齧歯類である。いくつかの特定の実施形態では、本発明のマウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129/SvJae、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群から選択される129系統である(例えば、Festing et al.,1999,Mammalian Genome 10:836;Auerbach,W.et al.,2000,Biotechniques 29(5):1024~1028,1030,1032を参照)。いくつかの特定の実施形態では、本発明の遺伝子改変マウスは、上記の129系統と上記のC57BL/6系統との混合体である。いくつかの特定の実施形態では、本発明のマウスは、上記の129系統の混合体、又は上記のBL/6系統の混合体である。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載の混合体の129系統は、129S6(129/SvEvTac)系統である。いくつかの実施形態では、本発明のマウスは、BALB系統、例えば、BALB/c系統である。いくつかの実施形態では、本発明のマウスは、BALB系統と、別の上記の系統と、の混合体である。
【0182】
いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物はラットである。いくつかの特定の実施形態では、本発明のラットは、ウィスターラツト、LEA系統、Sprague Dawley系統、Fischer系統、F344、F6、及びDark Agoutiから選択される。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載のラット系統は、ウィスター、LEA、Sprague Dawley、Fischer、F344、F6、及びDark Agoutiから選択される群から選択される、2つ又はそれ以上の系統の混合体である。
【0183】
ヒト化CD274遺伝子を有する非ヒト動物を用いる方法
CD274突然変異体並びにトランスジェネリック非ヒト動物(例えば、マウス)及び細胞が報告されている(Iwai,Y.et al.,2002,Proc.Nat.Acad.Sci.99(19):12293~12297;Latchman,Y.E.et al.,2004,Proc.Nat.Acad.Sci.101(29):10691~10696;Subudhi,S.K.et al.,2004,J.Clin.Invest.113(5):694~700;Guleria,I.et al.,2005,J.Exp.Med.202(2):231~237;Keir,M.E.et al.,2006,J.Exp.Med.203(4):883~895;Tanaka,K.et al.,2007,J.Immunol.179:5204~5210;Wang,C.et al.,2008,Diabetes 57:1861~1869;Wen,X.et al.,2008,Transplant.86(11):1596~1602;Plege,A.et al.,2009,Transpl.87(7):975~982;Cao,Y.et al.,2010,Cancer Res.71(4):1235~1243;Plege,A.et al.,2010,Eur.Soc.Organ Transplant.23:1293~1300;Ritprajak,P.et al.,2010,J.Immunol.184:4918~4925;Yantha,J.et al.,2010,Diabetes 59:2588~2596;Ding,Q.et al.,2011,J.Leukocyte Biol.90:77~86;Tang,L.et al.,2011,Xi Bao Yu Fen Zi Mian Yi Xue Za Zhi 27(4):357~359;Ghazizadeh,S.et al.,2012,20(1):196~203)。かかる突然変異体及びトランスジェネリック動物は、PD-L1発現及び機能、並びに免疫応答、具体的にはT細胞応答を制御する際のPD-1:PD-L1経路の役割の分子態様を判定するうえで有用である。しかしながらこれらは、得られた結果で示された変動性に一部基づいた制限を伴っている。多くのトランスジェネリックPD-L1動物は内在性PD-L1を過剰発現するようにデザインされた導入遺伝子を使用するが(例えば、上記のGhazizadeh et al.を参照)、その他は、トランスジェネリックPD-L1発現の組織特異的プロモーターへの結合を重視している(例えば、上記のRitprajak et alを参照)。これらの動物の一部は、野生型転写プロファイルと相関しないトランスジェネリックPD-L1の発現パターンを示している(例えば、上記のWang et al.及びYantha et al.を参照)。更に、同一の供給源遺伝子物質(例えば、マウス内のマウスPD-L1導入遺伝子)の使用により、PD-L1の過剰発現は、導入遺伝子の潜在的位置効果によるトランスジェネリックPD-L1ではなく、内在性PD-L1に対応してよい。場合によっては、かかる動物は、疾患の発生の加速を実証する。したがって、導入遺伝子は、1つ又は2つ以上の表現型を形成する又は改変する可能性があり得、したがって、PD-L1機能の分析を複雑化するという懸念が生じる。これらの結果は、合理的に構築物のデザインに起因してよい。ヒトPD-L1に関連しては、CMVにより駆動されるヒトPD-L1を安定発現するように遺伝子操作を受けたブタ腸内皮細胞が小型豚皮膚移植モデルで用いられ、同種移植モデルでの異所性ヒトPD-L1発現に関する重要な洞察を提供した(上記のDing et al.)。既存のPD-L1トランスジェネリック非ヒト動物は、PD-L1及びPD-1:PD-L1経路の一部の生物学的機能を解明するのに有用であることが判明しているが、上記で実証したように、PD-L1を媒介とする生物学を活用する現在のin vivo系は不完全である。癌及び自己免疫に関連した免疫応答の制御におけるPD-1:PD-L1経路及びその役割の分子態様は、トランスジェネリック動物(例えば、マウス)においてその潜在的能力を最大限に活用されていない。
【0184】
本発明の非ヒト動物は、様々なアッセイで有用なヒト(又はヒト化)PD-L1を発現する生体物質(例えば、細胞)の、改善されたin vivo系及び供給源を提供する。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、PD-L1を標的化する、及び/又はPD-1:PD-L1シグナル伝達(例えば、PD-1との相互作用への干渉)を調節する、及び/又は他の結合パートナー(例えば、B7-1)とのPD-L1の相互作用を調節する治療法の開発に使用される。かかる動物は、in vivo検査で使用される多くの他の動物モデルとは対照的に、完全に免疫応答性であり、したがって、治療効果の分析は、免疫不全状態によって複雑化されないために特に有用である。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-L1を結合する候補治療法(例えば、抗体)の同定、スクリーニング、及び/又は開発に使用される。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-1及び/又はヒトB7-1とのヒトPD-L1の相互作用を遮断する候補治療法(例えば、抗体)のスクリーニング、及び/又は開発に使用される。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、本明細書に記載する非ヒト動物の細胞表面上のヒト化PD-L1ポリペプチドのアンタゴニスト及び/又はアゴニストの結合プロファイルの判定に使用され、いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-L1を結合する、1つ又は2つ以上の候補治療抗体のエピトープの判定に使用される。
【0185】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、抗PD-L1抗体の薬物動態プロファイルの判定に使用される。様々な実施形態では、本発明の1つ又は2つ以上の非ヒト動物及び1つ又は2つ以上の対照、つまり参照非ヒト動物は、様々な投与量(例えば、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/mg、7.5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、又はそれ以上)で1つ又は2つ以上の候補治療抗PD-L1抗体にそれぞれ曝露される。候補治療抗体は、非経口及び非非経口の投与経路など任意の所望の投与経路で投与されてよい。非経口経路としては、例えば、静脈内、動脈内、門脈内、筋肉内、皮下、腹内、髄腔内、鞘内、脳室内、頭蓋内、胸膜内、又は他の注入経路が挙げられる。非非経口経路としては、例えば、口、鼻、経皮、肺、直腸、頬、腟、眼が挙げられる。投与はまた、持続注入、局所投与、植え込み物(ゲル、膜など)からの持続放出、及び/又は静脈注射によって行ってよい。血液は、様々な時点(例えば、0時間、6時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、最大30日、又はそれ以上)で非ヒト動物(ヒト化及び対照)から単離される。様々なアッセイを実行して、本明細書に記載する非ヒト動物から得たサンプルを使用して、投与した候補治療抗体の薬物動態プロファイル(総IgG、抗治療抗体応答、凝集などを含むが、これらに限定されない)を判定してよい。
【0186】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、PD-L1シグナル伝達(又はPD-1:PD-L1シグナル伝達、又はPD-L1:B7-1を媒介とする相互作用)の遮断又は調整の治療効果及び細胞変化の結果としての遺伝子発現への効果を測定する。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物又はそこから単離された細胞は、非ヒト動物の細胞表面でヒト化PD-L1ポリペプチド(又はPD-L1ポリペプチドのヒト部分)を結合する候補治療に曝露され、その後、PD-L1依存のプロセス(又は相互作用)、例えば、接着、アポトーシス、サイトカイン産生、炎症、増殖、自己寛容、及びウイルス性感染(又は反応)への効果を分析する。
【0187】
本発明の非ヒト動物はヒト化PD-L1ポリペプチドを発現する。したがって、細胞、細胞株、及び細胞培養物は、例えば、PD-L1アンタゴニスト又はアゴニストの結合又は機能の検査を行うために(特に、アンタゴニスト又はアゴニストがヒトPD-L1配列又はエピトープに対して特異的である場合、あるいは、PD-1及び/又はB7-1に関連するヒトPD-L1配列又はエピトープに対して特異的である場合)結合及び機能性アッセイで使用するヒト化PD-L1の供給源として機能するように生成され得る。様々な実施形態では、候補治療抗体によって結合されたPD-L1エピトープは、本発明の非ヒト動物から単離された細胞を使用して判定され得る。
【0188】
様々な実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物によって発現したヒト化PD-L1ポリペプチドは、変異体アミノ酸配列を含んでよい。例示的ヒトPD-L1ポリペプチド変異体としては、SNP GeneViewウェブページに一覧表示されているものが挙げられており、これらは表3にまとめた。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒト化PD-L1ポリペプチド変異体を発現する。様々な実施形態では、この変異体は、リガンド結合に関連するアミノ酸位置に存在する多型である。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、ヒトPD-L1の多型ポリペプチド変異体との相互作用によるリガンド結合の効果を判定する。いくつかの特定の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、表3に示すヒトPD-L1ポリペプチド変異体を発現する。
【0189】
【表3-1】
【0190】
【表3-2】
【0191】
本発明の非ヒト動物の細胞は、その場に応じて単離し、使用できるか、多世代にわたって培養物内で維持できる。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞は(例えば、ウイルスの使用によって)不死化され、(例えば、連続培養物内で)無限に培養物内で維持される。
【0192】
様々な実施形態では、本発明の細胞及び/又は非ヒト動物は様々な免疫レジメンで使用されて、抗原に対する免疫応答(例えば、T細胞応答)でのPD-L1を媒介とする機能を判定する。いくつかの実施形態では、ヒト(又はヒト化)PD-L1の1つ又は2つ以上の機能を結合又は遮断する候補治療法は、本発明の非ヒト動物で特性化される。好適な測定法としては、様々な細胞アッセイ、増殖アッセイ、血清免疫グロブリン分析(例えば、抗体価)、細胞毒性アッセイ、リガンド-受容体相互作用の特性評価(例えば、免疫沈降アッセイ)、及びリガンド-リガンド相互作用の特性評価が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、抗原に対する免疫応答を制御するPD-L1を媒介とする機能を特性化する。いくつかの実施形態では、抗原は、自己免疫疾患、障害、又は異常に関係する。いくつかの実施形態では、抗原は、炎症性疾患、障害、又は異常に関係する。いくつかの実施形態では、この抗原は、腫瘍と関係する。いくつかの実施形態では、抗原は、感染因子(例えば、バクテリア)と関係する。いくつかの実施形態では、抗原は、試験抗原(例えば、オボアルブミン、つまりOVA)である。いくつかの実施形態では、抗原は、治療を必要とする1人又は2人以上のヒト患者が患う疾患又は異常と関係がある標的である。
【0193】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-L1を標的化する候補治療法の薬理学的-毒性学的態様を試験するための自己抗体産生の力価を判定する血清アッセイで使用される。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物における自己抗体の産生は、非ヒト動物で誘発された1つ又は2つ以上の自己免疫疾患、障害、又は異常に起因する。
【0194】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、1つ又は2つ以上の抗原の投与に使用されて、化合物又は生物剤の治療可能性を判定し、所与の抗原に対する特定のT細胞依存、及びB細胞依存の応答を含むが、これらに限定されない、免疫応答のPD-L依存の制御を調節する。
【0195】
様々な実施形態では、本発明の細胞及び/又は非ヒト動物は、生存アッセイ、及び/又は増殖アッセイ(例えば、B又はT細胞を用いる)で使用されて、ヒトPD-L1シグナル伝達を調節する候補治療法のスクリーニング及び開発を行う。PD-L1の活性化又は阻害は、T細胞応答の調節において重要な役割を果たし、PD-L1による自己寛容の制御は、PD-L1の細胞外ドメインの特異的エピトープの活性化に起因してよい。したがって、候補PD-L1モジュレーター(例えば、アンタゴニスト又はアゴニスト)は、本発明の非ヒト動物の細胞、及び/又は本明細書に記載の非ヒト動物を使用して同定、特性化、及び開発が行われてよい。いくつかの実施形態では、本発明の細胞及び/又は非ヒト動物は、生存又は死滅アッセイで使用して、PD-L1の存在下及び不在下での特定細胞(例えば、癌細胞)の増殖又はアポトーシスへの効果を判定する。
【0196】
様々な実施形態では、本発明の細胞及び/又は非ヒト動物は、異種(例えば、ヒト)細胞又は組織の異種移植で使用されて、移植されたヒト細胞又は組織に対する生理(例えば、免疫)反応におけるPD-L1を媒介とする機能を判定する。いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1の1つ又は2つ以上の機能を結合又は遮断する候補治療法は、本発明の非ヒト動物で特性化される。好適な測定法としては、様々な細胞アッセイ、増殖アッセイ、血清免疫グロブリン分析(例えば、抗体価)、細胞毒性アッセイ、及びリガンド-受容体相互作用の特性化(例えば、免疫沈降アッセイ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、抗原に対する免疫応答を制御するPD-L1を媒介とする機能を特性化する。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍と関係する。いくつかの実施形態では、抗原は、自己免疫疾患、障害、又は異常に関係する。いくつかの実施形態では、抗原は、炎症性疾患、障害、又は異常に関係する。いくつかの実施形態では、抗原は、治療を必要とする1人又は2人以上のヒト患者が患う疾患又は異常と関係がある標的である。
【0197】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、移植又は養子移入実験で使用されて化合物又は生物剤の治療可能性を判定し、異種リンパ球及びそれらの免疫機能のPD-L依存の制御を調節する。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物には、ヒトT細胞、いくつかの実施形態では、未感作T細胞、いくつかの実施形態では、活性化T細胞が移植される。
【0198】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞をT細胞アッセイで使用して、化合物又は生物剤の治療可能性を判定し、T細胞依存の応答及び機能のPD-L依存の制御を調節する。例示的T細胞アッセイとしては、ELISpot、細胞内サイトカイン染色、要組織適合複合体(MHC)拘束、ウイルス抑制アッセイ、細胞毒性アッセイ、増殖アッセイ、及び調節性T細胞抑制アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞を遊出アッセイで使用して、ヒトPD-L1を調節する候補治療法のスクリーニング及び開発を行う。細胞の遊出は、内皮を超える細胞の遊走が関与し、遊出アッセイによって、白血球又は腫瘍細胞による内皮との相互作用及びこれらの遊出の測定を可能にする。
【0200】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞を腫瘍細胞成長(つまり増殖)アッセイで使用して、化合物又は生物剤の治療可能性を判定し、腫瘍細胞のPD-L1依存の制御及び/又はアポトーシスを調節する。
【0201】
様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞をサイトカイン産生アッセイで使用して、化合物又は生物剤の治療可能性を判定し、T細胞からのサイトカイン放出(例えば、インターフェロン-γ、インターロイキン-10)のPD-L1依存の制御を調節する。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物の細胞を使用して、ヒトPD-L1を標的化する薬剤又はPD-L1結合パートナー(例えば、PD-1、B7-1、又はこれらの可溶性バージョン)とのヒト化PD-L1の相互作用に起因する細胞内サイトカイン放出の検出(及び/又は測定)を行う。
【0202】
様々な実施形態では、1つ又は2つ以上の本発明の非ヒト動物で自己免疫疾患、障害、又は異常を誘発して、化合物又生物剤の治療可能性を判定するためのin vivo系を提供し、自己免疫疾患、障害、又は異常の1つ又は2つ以上の機能(又は態様)のPD-L1依存の制御を調節する。1つ又は2つ以上の本発明の非ヒト動物で誘発され得る例示的自己免疫疾患、障害、又は異常としては、糖尿病、実験的自己免疫性脳脊髄炎(例えば、多発性硬化症のモデル)、リウマチ性関節炎、及び全身性エリテマトーデスが挙げられる。
【0203】
本発明の非ヒト動物は、薬剤又はワクチンの分析及び試験に使用するためのin vivo系を提供する。様々な実施形態では、候補薬剤又はワクチンは、1つ又は2つ以上の本発明の非ヒト動物に送達され、続いて、非ヒト動物を観察して薬剤又はワクチンに対する1つ若しくは2つ以上の免疫応答、薬剤若しくはワクチンの安全性プロファイル、又は疾患若しくは異常、及び/又は1つ若しくは2つ以上の疾患若しくは異常の症状への効果を判定してよい。いくつかの実施形態では、ワクチンは、例えば、ヒト免疫不全ウイルス又は肝炎ウイルス(例えば、HCV)などウイルスを標的化する。安全性プロファイルを判定するのに使用する例示的方法としては、毒性、最適投与濃度、薬剤又はワクチンの効果、及び可能性のある危険因子の測定が挙げられる。かかる薬剤又はワクチンは、かかる非ヒト動物内で改良及び/又は開発されてよい。
【0204】
本発明の非ヒト動物は、養子移入によってヒト細胞間の相互作用メカニズムを解明するための改良されたin vivo系を提供する。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物に腫瘍異種移植片を植え込み、続いて2回目の腫瘍浸潤リンパ球を植え込んで(養子移入によって非ヒト動物に植え込み得る)、充実性腫瘍又は他の悪性腫瘍での効果を判定してよい。かかる実験は、ヒト細胞を使用して行われてよい。これは、ヒトPD-L1が、非ヒト動物の内在性PD-L1と競合することなく、排他的に存在するためである。更に、異種移植で使用する治療及び薬剤は、かかる非ヒト動物内で改良及び/又は開発されてよい。
【0205】
本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の薬物動態特性を評価するためのin vivo系を提供する。様々な実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤は、1つ又は2つ以上の本発明の非ヒト動物に送達されるか、投与され、続いて、非ヒト動物(又はそれらから単離された細胞)を観察するか、これらに対して1つ又は2つ以上のアッセイを実行して、非ヒト動物での薬剤の効果を判定してよい。薬物動態特性としては、動物が様々な代謝産物へと薬剤を処理する方法(又は有毒代謝物を含むが、これらに限定されない1つ若しくは2つ以上の薬剤の代謝産物の有無の検出)、薬物半減期、投与後の薬剤の血中濃度(例えば、薬剤の血清濃度)、抗薬物反応(例えば、抗薬剤抗体)、薬物吸収及び分布、投与経路、薬剤の排出経路及び/又はクリアランス経路が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬剤の薬物動態及び薬物力学的特性(例えば、PD-L1モジュレーター)は、本発明の非ヒト動物内で、又はこれらを使用することによって観察される。
【0206】
本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の標的毒性を評価するためのin vivo系を提供する。様々な実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤は、1つ又は2つ以上の本発明の非ヒト動物に送達されるか、投与され、続いて、非ヒト動物(又はそれらから単離された細胞)を観察するか、これらに対して1つ又は2つ以上のアッセイを実行して、非ヒト動物での薬剤の標的毒性効果を判定してよい。通常、薬剤は、1つ又は2つ以上の標的の機能を調節することが意図される。1つだけ例を挙げると、PD-L1モジュレーターは、1つ又は2つ以上の細胞表面でPD-L1分子と何らかの方法で相互作用することによって、いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のPD-L1結合パートナーとの相互作用を遮断することによって、PD-L1を媒介とする機能(例えば、PD-L1シグナル伝達及び/又はPD-L1相互作用)を調節することが意図される。いくつかの実施形態では、かかるモジュレーターは、モジュレーターの所望の薬理作用の強調である逆効果を有する。かかる効果は、いわゆる標的効果である。例示的標的効果としては、高過ぎる投与量、慢性的活性化/非活性化、及び不適切な組織での適切な作用が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物で、又はこれらを使用して同定したPD-L1を標的化する薬剤の標的効果は、これまで知られていなかったPD-L1の機能を判定するために使用する。
【0207】
本発明の非ヒト動物は、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の標的外毒性を評価するためのin vivo系を提供する。様々な実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤は、1つ又は2つ以上の本発明の非ヒト動物に送達されるか、投与され、続いて、非ヒト動物(又はそれらから単離された細胞)を観察するか、これらに対して1つ又は2つ以上のアッセイを実行して、非ヒト動物での薬剤の標的外毒性効果を判定してよい。標的外効果は、薬剤が意図しない標的と相互作用するとき(例えば、共通エピトープとの交差反応性)に生じ得る。かかる相互作用は、意図した組織又は意図しない組織で生じ得る。1つだけ例を挙げると、薬剤の鏡像異性体(鏡像体)は、標的外毒性効果の原因となり得る。更に、薬剤は、異なる受容体サブタイプと不適切に相互作用し、意図せずにこれらを活性化させ得る。例示的標的外効果としては、不適切な標的が見出される組織にかかわらず、不適切な標的の不適切な活性化/阻害が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒトPD-L1を標的化する薬剤の標的外効果は、薬剤を本発明の非ヒト動物に投与することの効果を、1つ又は2つ以上の参照非ヒト動物に投与した場合と比較することによって判定される。
【0208】
いくつかの実施形態では、アッセイを実行することは、薬剤が投与される非ヒト動物の表現型及び/又は遺伝子型への影響を判定することを含む。いくつかの実施形態では、アッセイを実行することは、PD-L1モジュレーター(例えば、アンタゴニスト又はアゴニスト)又はPD-L1を標的化する薬剤のロット間変動を判定することを含む。いくつかの実施形態では、アッセイを実行することは、本発明の非ヒト動物及び参照非ヒト動物に投与されたPD-L1を標的化する薬剤の効果の差異を判定することを含む。様々な実施形態では、参照非ヒト動物は、本明細書に記載の改変、又は本明細書に記載の改変とは異なる改変(例えば、変更された、破壊された、削除された、挿入された、改変されたなど、ないしは非機能性CD274遺伝子を有する非ヒト動物)を有してよいか、改変されていなくてよい(すなわち、野生型非ヒト動物)。
【0209】
ヒトPD-L1を標的化する薬剤の薬物動態特性、標的毒性、及び/又は標的外毒性を評価するために非ヒト動物で(又はこれらから単離された細胞で、及び/又はその細胞を使用して)測定されてよい例示的パラメータとしては、凝集、自食作用、細胞破壊、細胞死、補体媒介性溶血、DNAの完全性、薬剤特異的な抗体価、薬物代謝、遺伝子発現アレイ、代謝活性、ミトコンドリア活性、酸化ストレス、貪食、タンパク質生合成、タンパク質分解、タンパク質分泌、ストレス反応、標的組織の薬物濃度、非標的組織の薬物濃度、転写活性などが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、PD-L1モジュレーター(例えば、PD-L1を標的化する薬剤)の薬剤的有効量を判定する。
【0210】
本発明の非ヒト動物は、癌で用いる候補治療法の開発及び特性評価を行うための改良されたin vivo系を提供する。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物に腫瘍(又は腫瘍細胞)を植え込み、続いて1つ又は2つ以上の候補治療法を施してよい。いくつかの実施形態では、候補治療法は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)又は抗体カクテルであってよく、いくつかの実施形態では、候補治療法は、例えば、連続して、又は同時に投与される、2種類、又は3種類以上の単特異性抗体の投与などの併用療法を含む。1つ又は2つ以上の候補治療法を施行する前に、腫瘍には、非ヒト動物内の1つ又は2つ以上の位置で樹立するのに十分な時間が与えられてよい。腫瘍細胞の増殖、成長、生存などは、候補治療法の施行前及び施行後に測定してよい。所望に応じて、非ヒト動物で候補治療法の細胞毒性を測定してよい。
【0211】
本発明の非ヒト動物は、感染症で用いる候補治療法の開発及び特性化を行うための改良されたin vivo系を提供する。様々な実施形態では、本発明の非ヒト動物は、ウイルス(例えば、MHV、HIV、HCVなど)又は病原体(例えば、バクテリア)の注入によって感染し、続いて、1つ又は2つ以上の候補治療法が施されてよい。いくつかの実施形態では、候補治療法は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)又は抗体カクテルを含んでよく、いくつかの実施形態では、候補治療法は、例えば、連続して、又は同時に投与される、2種類、又は3種類以上の単特異性抗体の投与などの併用療法を含み、いくつかの実施形態では、候補治療法はワクチンを含んでよい。ウイルス又は病原体は、ウイルス又は病原体に関連する1つ又は2つ以上の症状が非ヒト動物で生じるように、非ヒト動物内の1つ又は2つ以上の位置又は細胞で樹立するのに十分な時間が与えられてよい。T細胞の増殖及び成長は、候補治療法の施行前及び施行後に測定してよい。更に、ウイルス又は病原体に感染した非ヒト動物で生存、血清、及び/又は細胞内サイトカイン分析、肝臓及び/又は脾臓の病理組織を測定してよい。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、ウイルス感染に関連する組織障害の程度を判定してよい。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物を使用して、特定ウイルスに感染した非ヒト動物の様々な組織でサイトカイン発現プロファイル、及び/又は遺伝子発現プロファイルを判定してよい。
【0212】
本発明の非ヒト動物を用いて、ヒト細胞を標的化する治療薬剤の効果を評価できる。様々な実施形態では、本発明の1つ又は2つ以上の非ヒト動物にヒト細胞を移植し、かかるヒト細胞を標的化する薬剤候補を非ヒト動物に投与する。次いで、薬剤投与後の非ヒト動物内のヒト細胞を観察することにより、薬剤の治療効果を判定する。非ヒト動物で試験し得る薬剤は、ヒト細胞を標的化する(例えば、結合する、及び/又は作用する)ことによってヒトの疾患及び異常の治療に対して意図した療効果を有する小分子化合物、すなわち、1500kD未満、1200kD未満、1000kD未満、又は800ダルトン未満の分子量の化合物、及び大分子化合物(タンパク質など、例えば、抗体)の両方を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、薬剤は抗癌剤であり、ヒト細胞は、初期癌の細胞、又は初期癌から樹立した細胞株の細胞であり得る癌細胞である。いくつかの実施形態では、本発明の非ヒト動物にヒト癌細胞を移植し、非ヒト動物に抗癌剤を与える。薬剤の効果は、薬剤を投与した結果として、非ヒト動物でヒト癌細胞の成長又は転移が阻害されたかどうかを評価することにより判定できる。
【0214】
特定の実施形態では、抗癌剤は、ヒト癌細胞で抗原を結合する、抗体分子である。特定の実施形態では、抗癌剤は、ヒト癌細胞で抗原に結合する、及び例えば、B細胞及びT細胞などヒト免疫系の細胞(つまり「ヒト免疫細胞」)の他のヒト細胞で抗原に結合する二重特異性抗体である。
【実施例
【0215】
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物の作製方法及び使用方法を当業者に説明するために提供するものであり、本発明者らが自身の発明とみなす範囲を制限することを意図するものではない。別途記載のない限り、温度はセ氏であり、気圧は大気圧又は大気圧近傍である。
【0216】
実施例1.内在性分化抗原群274(CD274)遺伝子のヒト化
本実施例は、齧歯類(例えば、マウス)など非ヒト動物でプログラム細胞死-リガンド1(PD-L1)をコードする内在性CD274遺伝子をヒト化する例示的方法を示す。本実施例に記載する方法を用いて、任意のヒト配列、又は所望に応じて配列(又は配列フラグメント)の組み合わせを使用して非ヒト動物の内在性CD274遺伝子をヒト化することができる。本実施例では、マウスの内在性Cd274遺伝子のヒト化に、GenbankアクセッションNM_014143.3(配列番号1)に示す、ヒトCD274遺伝子のエキソン3、4、及び5(一部)を含有する~8,444bpのヒトDNAフラグメントを用いる。内在性Cd274遺伝子のN末端IgVドメイン及びIgC2型ドメインを含む、細胞外ドメインをコードする遺伝子物質をヒト化するための標的化ベクターは、VELOCI遺伝子(登録商標)技術(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,586,251号及びValenzuela et al.,2003,Nature Biotech.21(6):652~659)を使用して構築した。
【0217】
簡潔に言うと、内在性マウスCd274遺伝子(~8942bp)のエキソン3、4、及び5(一部)のコーディング配列を削除し、ヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238をコードする~8444bpのヒトDNAフラグメントを使用してヒトCD274遺伝子のエキソン3、4、及び5(一部)を挿入するようにマウス細菌人工染色体(BAC)クローンRP23-467A9(Invitrogen)を改変した。エキソン1、エキソン2、エキソン6、及びエキソン7、並びに非翻訳領域(UTR)を含有する内在性DNAは保持した。~8,444bpのヒトDNAフラグメントの配列分析により、全てのヒトCD274エキソン(すなわち、エキソン3、4、及び5の一部)及びスプライシングシグナルを確認した。配列分析により、配列が、ヒトCD274転写NM014143.3に一致することが判明した。最初に、~8,444bpのヒトDNAフラグメントを2つの部分で増幅した(図2、上部)。ヒトCD274エキソン2及びイントロン3の一部を含有する5’部分(~4,494bp)は、NheI制限部位を含有する3’プライマー及び細菌相同組み換えを促進するマウスホモロジーボックスを含有する5’プライマーを使用して、PCRで増幅した。イントロン3の一部、エキソン4、イントロン4、及びエキソン5の一部(~32bp)を含有する3’部分(~3,950bp)は、XhoI制限部位を含有する5’プライマー及び細菌相同組み換えを促進するマウスホモロジーボックスを含有する3’プライマーを使用して、PCRで増幅した。PCR産物はゲル精製し、対応する制限エンドヌクレアーゼで別個に消化した。NheI-XhoI制限部位を用いて、ヒトCD274コーディング配列を含有するDNAフラグメントと反対方向に、~4,996bpの自己欠失性ネオマイシンカセット(loxP-hUb1-em7-Neo-pA-mPrm1-Crei-loxP;全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,697,851号、同第8,518,392号、及び同第8,354,389号を参照)の5’及び3’末端に~4,494bp及び~3,950bpのDNAフラグメントを連結した。以降の選択には、ネオマイシンを用いた。意図的に、ヒトCD274エキソン5(すなわち、当初の32bp)の部分と内在性Cd274エキソン5との間の接合部はエキソン5内のオープンリーディングフレームを保存し(図2)、独特のCD274エキソン5(AACTACCTCTGGCACATCCTCCAAATGAAA GGACTCACTG GGTGCTTCTG GGATCCATCC TGTTGTTCCT CATTGTAGTG TCCACGGTCC TCCTCTTCTT GAGAAAACAA G;配列番号12)を作製した。結果として得た標的化ベクターは、5’から3’に、BACクローンRP23-467A9の~92.9kbのマウスゲノムDNAを含む5’相同性アーム、ヒトCD274遺伝子のエキソン3及びイントロン3の一部を含有する~4,494bpのヒトDNAフラグメント、loxP部位に隣接する自己欠失性ネオマイシンカセット、ヒトCD274遺伝子のイントロン3の一部、エキソン4、イントロン4、エキソン5の最初の32bpを含有する~3950bpのヒトDNAフラグメント、及び、~67.6kbのBACクローンRP23-467A9のマウスゲノムDNAを含有した。
【0218】
上記の改変RP23-467A9クローンを使用して、マウス胚性幹(ES)細胞をエレクトロポーレーションし、エキソン3からエキソン5の一部までをヒト化する(すなわち、~8,964の内在性Cd274遺伝子の削除及び~8,444bpのヒトCD274配列の挿入)内在性CD274遺伝子を含む改変ES細胞を作製した。ヒト化CD274遺伝子を含有する陽性標的であるES細胞を、ヒトCD274配列(例えば、エキソン3、4、及びエキソン5の一部)の存在を検出し、マウスCd274配列(例えば、エキソン3、4、及び5の一部、並びに/又はエキソン1、2、6、及び7)の欠失及び/又は保持を確認したアッセイ(上記のValenzuela et al.)によって同定した。上記の内在性マウスCd274遺伝子(図3に示す)のヒト化を確認するために使用したプライマー及びプローブの例示的配列を表4に示す。
【0219】
様々な接合部にわたるヌクレオチド配列を図2の図に示す。上流挿入点にわたるヌクレオチド配列は以下を含み、挿入点の下流のヒトCD274配列に隣接する内在性マウスCd274配列(以下の括弧に含まれる)を示す:(TAACCTTTTA CCCAGGTTTT CAGATGTGTT TGGAGGAGTT TTCTGTCTTC TGAGGGCTGG TCCTCTTTCCT TTTCAGCGTT TACT)GTCAGGTTCC CAAGGACCTA TATGTGGTAG AGTATGGTAG
CAATATGACA ATTGAATGCA AATTCCCAGTAGAA(配列番号13)。
【0220】
自己欠失性ネオマイシンカセットの5’末端にわたるヌクレオチド配列は以下を含み、挿入点の下流のカセット配列(以下の括弧に含まれ、NheI制限部位はイタリック体、loxP配列は太字フォント)に隣接するヒトCD274配列を示す:
【0221】
【化1】
【0222】
自己欠失性ネオマイシンカセットの3’末端にわたるヌクレオチド配列は以下を含み、挿入点の下流のヒトCD274配列に隣接するカセット配列(以下の括弧に含まれ、loxP配列は太字フォント、XhoI制限部位はイタリック体)を示す:
【0223】
【化2】
【0224】
ヒトCD274配列の3’末端にわたるヌクレオチド配列は以下を含み、マウスCd274配列(以下の括弧に含まれた)に隣接するヒトCD274配列を示す:TTTATCTTTA GTCAGTTTGT TTTCGTTTTGT TTTGTTTTTC AGAACTACCT CTGGCACATC CTCCAAATGA AAGG(ACTCACTGGG TGCTTCTGGG ATCCATCCTG TTGTTCCTCA
TTGTAGTGTC CACGGTCCTC CTCTTCTTGA GAAAACAAGG TATTTCCTCCATTG)(配列番号16)。
【0225】
ネオマイシンカセットの削除後の挿入点にわたるヌクレオチド配列は以下を含み、保持するカセット配列loxP配列(以下の括弧に含まれ、NheI及びXhoI制限部位はイタリック体、loxP配列は太字フォント)に隣接するヒトゲノム配列を示す:
【0226】
【化3】
【0227】
次いで、陽性ES細胞クローンを使用して、VELOCIMOUSE(登録商標)法(例えば、米国特許第7,294,754号及びPoueymirou et al.,2007,Nature Biotech.25(1):91~99)を使用して雌マウスを埋め込んで、ヒトCD274エキソン3、4、及びヒトCD274エキソン5の一部を内在性マウスCd274遺伝子に挿入した一腹の子犬を生成した。ここでも、内在性Cd274遺伝子のエキソン3、4、及び5の一部(すなわち、~8,444bpのヒトDNAフラグメント)のヒト化を有するマウスは、ヒトCD274遺伝子配列の存在を検出したアッセイ(上記のValenzuela et al.)を使用して、切り落とした尾部から単離されたDNAを遺伝子型判定することにより確認し、同定した。子犬を遺伝子判定し、ヒト化Pdcd1遺伝子構築物が異種接合の動物のコホートを選択して特性化する。マウスも同型接合体であるように育てる。
【0228】
【表4】
【0229】
実施例2.活性T細胞でのヒト化PD-L1の発現
本実施例は、実施例1によるヒト化CD274遺伝子を含有するように改変された非ヒト動物(例えば、齧歯類)が、活性リンパ球の表面でヒト化PD-L1ポリペプチドを発現することを実証する。本例では、野生型マウス及びゲノムが実施例1に記載のヒト化CD274遺伝子を含有するマウスゲノムの活性T細胞を市販の抗PD-L1抗体で染色し、刺激及び非刺激T細胞におけるPD-L1の発現を判定する。
【0230】
簡潔に言うと、脾臓を採取し、機械的単離によって野生型マウス及び実施例1に記載した内在性CD274遺伝子に関してホモ接合性のマウスから単細胞懸濁液に加工した。細胞は培地(10%のFBSを添加したRPMI)で洗浄し、1×10/mLで再懸濁し、200μL(200,000細胞)を96ウェルプレートにプレーティングした。選択したウェルの細胞を抗CD3及び抗CD28抗体(どちらも1μg/mL)で72時間刺激した。製造業者の仕様書に従ってFACSを行うために、CD3、CD4、CD8、及びヒト(クローンMIH1、BD Biosciences)又はマウス(クローン10F.9G2、eBioscience)PD-L1を認識する抗体で細胞を染色した。染色した細胞をLSRIIフローサイトメーターにかけ、FLOWJO(商標)ソフトウェアを使用してデータを分析した。CD8T(CD3CD8)及びCD4T(CD3CD4)細胞をゲートし、ヒト及びマウスPD-L1の発現を分析した。例示的な平均蛍光強度値を表5に示す。
【0231】
表5に示すように、実施例1に記載のヒト化CD274遺伝子を有するマウスは、活性T細胞にヒト部分及び内在性部分を含むPD-L1ポリペプチドを発現する。ヒト部分は、完全ヒトPD-L1ポリペプチドに対して反応性であり、野生型マウス内のマウスPD-L1ポリペプチドを認識しない抗体による認識によって検出可能に発現する。対照的に、抗マウスPD-L1抗体クローン10F.9G2は、抗CD3/抗CD28刺激後に野生型マウス内のマウスPD-L1の高レベルの染色を実証し、ヒト化PD-L1マウス内では限界レベルの染色を実証した。これは、ヒトPD-L1に対する部分的交差反応性による可能性が最も高い。
【0232】
【表5】
α-hPD-L1:抗ヒトPD-L1
α-mPD-L1:抗マウスPD-L1
【0233】
実施例3.PD-L1モジュレーターのin vivo効果
本実施例は、実施例1によるヒト化CD274遺伝子を含有するように改変した非ヒト動物(例えば、齧歯類)をin vivoアッセイで使用して、PD-L1モジュレーター(例えば、抗PD-L1抗体)をスクリーニングし、様々な特性、例えば、腫瘍成長の低減、及び/又は腫瘍細胞の死滅を判定できることを実証する。本例では、MC38.ova腫瘍細胞を皮下注射した、(実施例1に記載の)内在性CD274遺伝子のヒト化に関してホモ接合性のマウスで複数の抗PD-L1抗体をスクリーニングし、腫瘍後退及び抗PD-L1抗体腫瘍細胞の死滅を仲介する程度を促進する最適な抗体投与量を判定する。
【0234】
簡潔に言うと、研究1では、体重に従ってマウスを5つの治療又は対照グループに均等に分け(n=5~8マウス/グループ)、研究2では、7つの治療グループにランダムに分けた(n=5~6マウス)。研究1の動物は、イソフルラン吸入で麻酔をかけ、次いで、100μLのDMEM懸濁液中の1×10MC38.ova細胞を右脇腹に皮下注射した(0日目)。MC38.ova(マウス結腸腺癌)細胞は、腫瘍免疫原性を増加させ、明確に定義された抗原性オボアルブミンペプチドに対するT細胞免疫応答を観察できるようにするために、ニワトリオボアルブミンを発現するように遺伝子操作した。MC38.ova細胞にはまた、SFFVウイルスプロモーターの制御下で完全長ヒトPD-L1を発現するレンチウイルスベクターをトランスデュースし、ヒトPD-L1(クローンMIH1、BD Biosciences)に対して特異的な抗体を使用してフローサイトメーターによってヒトPD-L1(MC38.ova/hPD-L1)の陽性発現ごとにソートした。MC38.ova細胞はまた、低レベルの内在性マウスPD-L1を発現する。研究1の治療グループには、3、7、10、14日目に500μgの3種類の抗PD-L1抗体のうちの1つ又は2種類のPD-L1に対して特異的ではないアイソタイプ対照抗体のうちの1つのいずれかを腹腔内に注入した。1つのグループの動物は、治療せずに放置した。研究2の動物にも1×10MC38.ova/hPD-L1細胞を皮下移植したが(0日目)、研究2の治療グループには、抗PD-L1抗体(AbA、AbB、又はAbC)又は対照抗体(すなわち、PD-L1に対して特異的ではない)を10mg/kg又は5mg/kgの投与量で皮下に投与した。治療グループには、3、7、10、14、及び17日目に抗体を投与した。各研究の実験から得た投与量及び治療プロトコルを表6に示す。
【0235】
【表6】
【0236】
各研究について、腫瘍容積は、キャリパー測定によって実験期間中(研究1は17日間、研究2は21日間)、週に2回観察し、各研究の終了時に生存率を記録した。各研究の終了時には、腫瘍のないマウスの数も記録した。平均腫瘍容積(mm±SD)、生存率、及び腫瘍のないマウスの数として表した例示的結果を表7及び8に示す。例示的腫瘍成長曲線は、図4に示す。
【0237】
【表7】
【0238】
【表8】
【0239】
研究1では、3種類の抗PD-L1抗体の全てが、500μg/マウスで腫瘍後退を促進するのに有効であり、17日目にはAbB及びAbCを投与した治療グループの全マウスに腫瘍がなかった(表7)。AbA治療グループでは、17日目に4/5のマウス(80%)に腫瘍がなかったが、対照グループの動物で腫瘍がないものはなかった。Dunnettの多重比較事後検定を併用した一元ANOVAにより、抗PD-L1抗体での治療と対照抗体での治療では腫瘍容積が著しく異なることが判明した(p値<0.05)。対照2は、無関係の一致アイソタイプであり、対照1は、無関係の不一致アイソタイプ対照抗体であった。
【0240】
研究2では、選択した抗PD-L1抗体の投与が腫瘍成長の阻害をもたらし、したがって腫瘍後退を促進した(表8)。試験した全ての抗PD-L1抗体は、10mg/kg及び5mg/kgで有効であり、実験期間にわたって投与量依存の方法で治療したマウスでの腫瘍後退を促進した。対照抗体で治療した動物は、いずれも腫瘍なしではなかった(表8)。Tukeyの多重比較事後検定を併用した一元ANOVAにより、抗PD-L1抗体での治療と対照抗体での治療では腫瘍容積が著しく異なることが判明した(p値<0.05以下)。対照1は、無関係の一致アイソタイプ対照である。
【0241】
図4並びに表7及び8に示すように、抗PD-L1抗体は、実施例1に記載のヒト化CD274遺伝子を有するマウスの予防MC38.ova/hPD-L1腫瘍成長モデルにおける腫瘍成長を著しく阻害した。10mg/kg及び5mg/kgでの抗PD-L1抗体治療は、実験期間にわたって全マウスの腫瘍退行を促進し、21日目まで10mg/kgグループでは3/6のマウスを腫瘍なしで保持し、5mg/kg治療グループでは2/5のマウスを腫瘍なしで保持した。一方、対照グループでは、腫瘍なしのままでいた動物はなかった(0/6)(図4)。Dunnettの多重比較事後検定を併用した一元ANOVAにより、抗PD-L1治療と対照抗体治療では、21日目の腫瘍容積が著しく異なることが判明した(p値<0.01(5mg/kg治療グループ)及びp値<0.0001(10mg/kg治療グループ)。
【0242】
同様の実験では、抗PD-L1抗体で治療した担癌マウスの脾細胞内でのCD8及びCD3T細胞応答を測定することにより、実施例1に記載のヒト化CD274遺伝子を含有するマウスで無傷の機能性PD-L1シグナル伝達を調査した。
【0243】
簡潔に言うと、脾細胞は、実験の最後の21日目(上述)に抗PD-L1又は対照抗体で治療した実施例1に記載のヒト化CD274遺伝子を含有するマウスから単離した。全RNAを単離し、マウスCD8b、マウスCD3ζ(Mm00446171_m1、Applied Biosystems)、ヒトPD-L1、及びマウスPD-L1に対して特異的なオリゴヌクレオチド及びTAQMAN(商標)プローブ混合物を使用して、逆転写したcDNAでリアルタイムPCRを実行した(表9)。マウスシクロフィリンBの発現に対してサンプルを正規化した。例示的結果を図5に示す。
【0244】
【表9】
【0245】
図5に示すように、抗hPD-L1抗体の投与は、ヒト化CD274遺伝子(実施例1に記載)を含有し、MC38.ova/hPD-L1腫瘍を有するマウスの脾細胞でのCD8及びCD3T細胞の数の増加を誘発した。このことは、ヒト化CD274遺伝子(実施例1に記載)を含有するマウスは、抗腫瘍CD8T細胞の増殖を抑制できなかったという点で、細胞表面でのヒト化PD-L1の適切な発現及びこれを介したシグナル伝達を実証したことを裏付ける。全体として、両治療グループで、対照で治療したマウスと比較して実証されたT細胞の増加を観察した。ただし、Dunnettの多重比較事後検定を併用した一元ANOVAを使用したCD8b(p値<0.01)レベル及びCD3(p<0.001)レベルの統計的差異は、10mg/kg抗PD-L1抗体治療グループと対照治療グループとの間でのみが達した。
【0246】
ヒトPD-L1mRNA発現は、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分向けにデザインされたヒト特異的プローブで測定し(表9)、細胞表面でのヒト化PD-L1タンパク質の適切な発現を確認した(図5)。加えて、マウスPD-L1の細胞外部分を検出するようにデザインされたプライマーを使用したマウスPD-L1mRNA発現の測定(表9)は、産物を産生できなかった。これらのデータは、表5に示したフローサイトメーターの結果を裏付ける。すなわち、ヒト化PD-L1マウスは、細胞表面で、無傷かつ機能性であるヒト化PD-L1を実際に発現する。
【0247】
総合すれば、本例は、本発明の非ヒト動物を使用して、PD-L1を標的化する薬剤(例えば、抗体)のin vivo効果を評価することができ、かかる動物は、抗PD-L1抗体の治療効果を判別する際に有用であることを実証する。更に、本明細書に記載の非ヒト動物を使用して、PD-L1を標的化する薬剤が腫瘍の退行を促進する程度、及び/又はこれが腫瘍細胞の死滅を媒介する程度を評価できる。本発明の非ヒト動物(例えば、マウス)は、細胞表面での機能性ヒト化PD-L1ポリペプチドの発現及び腫瘍モデルのCD8T細胞のPD-L1依存の抑制の阻害による免疫応答の適切なPD-L1制御を実証する。
【0248】
均等物
本発明の少なくとも1つの実施形態の複数の態様を記載してきたが、当業者は、様々な変更、修正、及び改良が当業者によって容易に想起されると認識すべきである。かかる変更、修正、及び改良は、本開示の一部であることを意図し、本発明の趣旨及び範囲に含まれることを意図する。したがって、前述の説明及び図面はほんの一例であり、本発明は、以下の特許請求の範囲によって詳述される。
【0249】
請求項要素を修飾するための特許請求の範囲中の「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数の使用は、序数自体がある請求項要素と別の請求項要素に関するいかなる優先順位、先行、若しくは順序、又は方法を実施する一時的な順序を意味しないが、一定の名称を有するある請求項要素を、請求項要素を区別するための(序数の使用以外の)同一の名称を有する別の要素と区別するための標識としてのみ使用する。
【0250】
本明細書中及び特許請求の範囲中で使用されるとき、冠詞「a」及び「an」は、それとは反対に明記されない限り、複数形を含むと理解すべきである。群の1つ又は2つ以上のメンバーの間に「or」を含む請求項又は説明は、それとは反対に示されているか、そうでなければ文脈から明らかでない限り、1つ、1つを超える、又は全ての群のメンバーが所与の産物又はプロセスに存在するか、それで使用されるか、あるいはそうでなければそれに関連する場合に充足されるとみなされる。本発明は、群のメンバー1つだけが所与の産物又はプロセスに存在するか、それで使用されるか、あるいはそうでなければそれに関連する実施形態を含む。本発明はまた、1つを超えるか全ての群のメンバーが所与の産物又はプロセスに存在するか、それで使用されるか、あるいはそうでなければそれに関連する実施形態を含む。更に、他で示されないか、矛盾又は不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、1つ又は2つ以上の列挙した請求項に由来する1つ又は2つ以上の制限、要素、節、記述用語などが同一の基本請求項(すなわち、関連する任意の他の請求項として)に従属する別の請求項に導入される全ての変更形態、組み合わせ、及び並び替えを本発明が含むと理解すべきである。要素をリストとして(例えば、マーカッシュグループ形式又は類似の形式で)示す場合、要素の各サブグループも開示され、任意の要素をグループから除くことができると理解すべきである。一般に、本発明又は本発明の態様が特定の要素、特徴などを含むことを言及する場合、本発明のある特定の実施形態又は本発明の態様がかかる要素、特徴などからなる、又は本質的になることも理解すべきである。簡潔にすることを目的として、これらの実施形態は、あらゆる場合において、本明細書中で具体的に、そして多数の言葉によって記載されているわけではない。特定の除外が明細書中で言及されているかどうかと無関係に、本発明の任意の実施形態又は態様を特許請求の範囲から明確に除外することができることも理解すべきである。
【0251】
当業者は、典型的な標準偏差又は標準誤差が本明細書中に記載のアッセイ又は他のプロセスで得られた値に起因することを認識するであろう。発明の背景を記載し、その実施に関する更なる詳細を提供するために本明細書中で参照した刊行物、ウェブサイト、及び他の参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
例えば、本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
ヒト部分と、内在性部分と、を含むPD-L1ポリペプチドを発現する齧歯類。
(項目2)
前記内在性部分が内在性PD-L1ポリペプチドの細胞内部分を含む、項目1に記載の齧歯類。
(項目3)
前記内在性部分が内在性PD-L1ポリペプチドの膜貫通部分を更に含む、項目2に記載の齧歯類。
(項目4)
前記内在性部分が、図6に示すマウスPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を有する、項目3に記載の齧歯類。
(項目5)
前記ヒト部分が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸、又はヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目6)
前記ヒト部分が、図6に示すヒトPD-L1ポリペプチドの対応するアミノ酸配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目7)
ヒト部分と、内在性部分と、を含む前記PD-L1ポリペプチドが、内在性CD274遺伝子座にあるCD274遺伝子によってコードされる、項目1~6のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目8)
前記CD274遺伝子が内在性CD274エキソン1、2、6、及び7を含む、項目7に記載の齧歯類。
(項目9)
前記CD274遺伝子が内在性CD274エキソン5の全体又は一部を更に含む、項目8に記載の齧歯類。
(項目10)
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合された内在性部分及びヒト部分を含むCD274遺伝子を含む齧歯類。
(項目11)
前記齧歯類CD274プロモーターが内在性齧歯類CD274プロモーターである、項目10に記載の齧歯類。
(項目12)
前記内在性部分が内在性CD274エキソン1、2、6、及び7を含む、項目10又は11に記載の齧歯類。
(項目13)
前記内在性部分が内在性CD274エキソン5の全体又は一部を更に含む、項目12に記載の齧歯類。
(項目14)
前記内在性CD274遺伝子の内在性CD274エキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7が、図6に示すマウスCd274遺伝子の対応するエキソン1、2、5の全体又は一部、6、及び7と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である、項目13に記載の齧歯類。
(項目15)
前記ヒト部分が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸、又はヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238をコードする、項目10~14のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目16)
前記ヒト部分がヒトCD274遺伝子のエキソン3及び4を含む、項目10~14のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目17)
前記ヒト部分が、ヒトCD274エキソン5の全体若しくは一部、又はヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトCD274エキソン5配列を更に含む、項目16に記載の齧歯類。
(項目18)
前記ヒトCD274エキソン3、4、及び5の全体又は一部が、図6に示すヒトCD274遺伝子の対応するエキソン3、4、及び5の全体又は一部と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である、項目17に記載の齧歯類。
(項目19)
前記ヒト部分が、前記齧歯類での発現にコドン最適化される配列を含む、項目17に記載の齧歯類。
(項目20)
前記ヒト部分が配列番号8又は配列番号12を含む、項目10~19のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目21)
前記齧歯類がヒト化Pdcd1遺伝子を更に含み、前記ヒト化Pdcd1遺伝子が、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外部分と、齧歯類PD-1ポリペプチドの細胞内部分と、を含む前記PD-1ポリペプチドを任意選択的にコードし、前記ヒト化Pdcd1遺伝子が、齧歯類Pdcd1エキソン1、4、及び5、ヒトPdcd1エキソン2、並びにヒト部分と、非ヒト部分と、を含むPdcd1エキソン3を任意選択的に含む、項目1~20のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目22)
前記齧歯類がラット又はマウスである、項目1~21のいずれか一項に記載の齧歯類。
(項目23)
項目1~21のいずれか一項に記載の齧歯類によって産生されるPD-L1ポリペプチドであって、図6に示すヒト化PD-L1ポリペプチドと少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を任意選択的に含む、PD-L1ポリペプチド。
(項目24)
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む、単離された齧歯類細胞又は組織。
(項目25)
前記齧歯類CD274プロモーターが内在性齧歯類CD274プロモーターである、項目24に記載の単離された齧歯類細胞又は組織。
(項目26)
前記ヒト部分が、ヒトCD274エキソン3及び4を含み、前記ヒト部分が、任意選択的にヒトCD274エキソン5の全体若しくは一部、又はヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトCD274エキソン5配列を更に含む、項目24又は25に記載の単離された齧歯類細胞又は組織。
(項目27)
ヒト化Pdcd1遺伝子を更に含み、前記ヒト化Pdcd1遺伝子が、ヒトPD-1ポリペプチドの細胞外部分と、齧歯類PD-1ポリペプチドの細胞内部分と、を有するPD-1ポリペプチドを任意選択的にコードし、前記ヒト化Pdcd1遺伝子が、齧歯類Pdcd1エキソン1、4、及び5、ヒトPdcd1エキソン2、並びにヒト部分と、非ヒト部分と、を含むPdcd1エキソン3を任意選択的に含む、項目24~26のいずれか一項に記載の単離された齧歯類細胞又は組織。
(項目28)
前記記齧歯類細胞又は組織がマウス細胞若しくはマウス組織、又はラット細胞若しくはラット組織である、項目24~27のいずれか一項に記載の単離された齧歯類細胞又は組織。
(項目29)
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む、齧歯類胚性幹細胞。
(項目30)
前記齧歯類CD274プロモーターが内在性齧歯類CD274プロモーターである、項目29に記載の齧歯類胚性幹細胞。
(項目31)
前記ヒト部分がヒトCD274エキソン3及び4を含む、項目29又は30に記載の齧歯類胚性幹細胞。
(項目32)
前記ヒト部分が、ヒトCD274エキソン5の全体若しくは一部、又はヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトCD274エキソン5配列を更に含む、項目31に記載の齧歯類胚性幹細胞。
(項目33)
項目29~32のいずれか一項に記載の胚性幹細胞から生成された齧歯類胚。
(項目34)
内在性CD274遺伝子座からPD-L1ポリペプチドを発現する齧歯類を作製する方法であって、前記PD-L1ポリペプチドがヒト配列を含み、前記方法が、
(a)齧歯類胚性幹細胞内の内在性CD274遺伝子にゲノムフラグメントを挿入することであって、前記ゲノムフラグメントが、ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部をコードするヌクレオチド配列を含む、ことと、
(b)(a)で生成した齧歯類胚性幹細胞を得ることと、
(c)(b)の齧歯類胚性幹細胞を使用して齧歯類を作製することと、を含む、方法。
(項目35)
前記ヒトPD-L1ポリペプチドの全体又は一部が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸、又はヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記ヌクレオチド配列が、ヒトCD274エキソン3及び4を含む、項目34又は35に記載の方法。
(項目37)
前記ヌクレオチド配列が、ヒトCD274エキソン5の全体若しくは一部、又はヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトCD274エキソン5配列を更に含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む、齧歯類を作製する方法であって、この方法が、
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子を含むように齧歯類のゲノムを改変することであって、それによって該齧歯類を作製することを含む、方法。
(項目39)
前記齧歯類CD274プロモーターが内在性齧歯類CD274プロモーターである、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記ヒト部分が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸、又はヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238を含む、項目38又は39に記載の方法。
(項目41)
前記CD274遺伝子が、ヒトCD274エキソン3及び4を含むように改変される、項目38~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記CD274遺伝子が、ヒトCD274エキソン3、4、及び5の全体又は一部を含むように改変され、前記CD274遺伝子が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸をコードするヌクレオチドを含むヒトCD274エキソン5配列を任意選択的に含む、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記齧歯類がマウス又はラットである、項目34~42のいずれか一項に記載の方法。(項目44)
項目34~43のいずれか一項に記載の方法から得られる齧歯類。
(項目45)
前記齧歯類がマウス又はラットである、項目44に記載の齧歯類。
(項目46)
齧歯類での腫瘍成長を低減する方法であって、前記方法が、
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む齧歯類にヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程を含み、
前記投与する工程が、前記齧歯類での腫瘍成長を低減する十分な条件下で、かつかかる時間にわたって実行される、方法。
(項目47)
齧歯類で腫瘍細胞を死滅させる方法であって、前記方法が、
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む齧歯類にヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程を含み、
前記投与する工程が、前記薬剤が前記齧歯類での腫瘍細胞の死滅を媒介する十分な条件下で、かつかかる時間にわたって実行される、方法。
(項目48)
ヒトPD-L1を標的化する薬剤の薬物動態特性を評価する方法であって、前記方法が、
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む齧歯類にヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程と、
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤の1つ又は2つ以上の薬物動態特性を判定するアッセイを実行する工程と、を含む、方法。
(項目49)
ヒトPD-L1を標的化する薬剤の効果を評価する方法であって、前記方法が、
齧歯類CD274プロモーターに操作可能に結合されたヒト部分及び内在性部分を有するPD-L1ポリペプチドをコードするCD274遺伝子をゲノムが含む齧歯類にヒトPD-L1を標的化する薬剤を投与する工程と、
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤の効果を判定するアッセイを実行する工程と、を含む方法。
(項目50)
前記ヒト部分が、ヒトPD-L1ポリペプチドの細胞外部分のアミノ酸、又はヒトPD-L1ポリペプチドのアミノ酸19~238を含む、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤がPD-L1アンタゴニストである、項目46~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤がPD-L1アゴニストである、項目48~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤が抗PD-L1抗体である、項目46~50のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記ヒトPD-L1を標的化する薬剤が、前記齧歯類に対して静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、又は皮下に投与される、項目46~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記齧歯類CD274プロモーターが内在性齧歯類CD274プロモーターである、項目46~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記齧歯類がマウス又はラットである、項目46~55のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図6-7】
図6-8】
図6-9】
図6-10】
図6-11】
図6-12】
図6-13】
図6-14】
図6-15】
【配列表】
0007488861000001.app