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特許7488872簡易先端構造を有するマルチファイバマルチスポットレーザプローブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】簡易先端構造を有するマルチファイバマルチスポットレーザプローブ
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
A61F9/008 100
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022178880
(22)【出願日】2022-11-08
(62)【分割の表示】P 2019545270の分割
【原出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2023009158
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】62/464,454
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】チェンコアン テャオ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハリソン ファーリー
(72)【発明者】
【氏名】アリレザ ミルセパッシ
(72)【発明者】
【氏名】カンビス パルト
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ティー.スミス
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-257638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0265602(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0045811(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0220429(US,A1)
【文献】米国特許第05402508(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0270850(US,A1)
【文献】米国特許第05746738(US,A)
【文献】特表2010-533034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0015923(US,A1)
【文献】特表2000-500043(JP,A)
【文献】米国特許第06066128(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブであって、
前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの近位端から少なくとも前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端の近くまで延びる複数のファイバであって、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記近位端が、アダプタインターフェースを介してレーザ光源に結合されるように構成された、複数のファイバと、
遠位端を有し、前記複数のファイバを前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの少なくとも一部に沿って前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くで囲むカニューレと、
前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くで前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの一部に沿って前記カニューレ内に配置されたスペーサであって、前記スペーサは、前記複数のファイバのうちの少なくとも1つのそれぞれの遠位部分が前記カニューレの長手方向軸に対してある角度で向けられるように、前記複数のファイバのうちの少なくとも1つを案内するように構成される、スペーサと
を備え、
前記スペーサがらせん状スペーサであり、前記らせん状スペーサは前記複数のファイバが前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端の近くで、らせん状構成で配置されるように構成され
前記らせん状構成における前記複数のファイバのそれぞれの遠位部分は、前記複数のファイバの別の1つの遠位部分から接線方向に角度的に分離され、前記複数のファイバのそれぞれは、前記長手方向軸から発散する異なる方向にビームを放射する、
マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ。
【請求項2】
前記複数のファイバのそれぞれが前記ファイバの前記遠位端の近くでテーパ状断面を有する、請求項1に記載のマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ。
【請求項3】
各ファイバが、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記近位端により近いその断面と比べて前記遠位端の近くでより大きな断面を有するようにテーパ状にされる、請求項2に記載のマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ。
【請求項4】
各ファイバが、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記近位端により近いその断面と比べて前記遠位端の近くでより小さい断面を有するようにテーパ状にされる、請求項2に記載のマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ。
【請求項5】
前記スペーサが、概ね前記スペーサの中心長手方向軸に沿って配置されかつ前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くまで延びる長手方向チャネルを備え、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブが、前記長手方向チャネルに配置されかつ前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くまで延びる追加ファイバをさらに備える、請求項1に記載のマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ。
【請求項6】
前記追加ファイバが前記複数のファイバのそれぞれと異なる直径を有する、請求項5に記載のマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は眼科処置に使用するためのレーザプローブに関し、より詳細には光凝固術に使用するためのマルチスポットレーザプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光凝固療法は、網膜剥離および断裂などの眼の症状、ならびに糖尿病などの疾患から生じる増殖性網膜症に対処する。糖尿病患者の異常に高い血糖は網膜血管を刺激して成長因子を放出させ、それが次に網膜表面上での血管および毛細血管の望ましくない増殖を促進する。これらの増殖した血管は非常に繊細で、硝子体内に容易に出血する。硝子体は瘢痕組織を作り出すことによって傷つけられた血管に反応し、それが次に網膜を剥離させ、最終的に失明を引き起こし得る。
【0003】
レーザ光凝固術では、網膜を横切る様々なレーザ燃焼点で血管を焼灼するためにレーザプローブが使用される。レーザは視界をもたらす網膜に存在する桿状体や錐体にも損傷を与えるため、血管だけでなく視力に影響が及ぶ。視界は網膜の中心黄斑で最も鋭くなるので、外科医は、結果として生じるレーザによる燃焼スポットを網膜の周辺領域に配置する。このようにして、中心視界を維持するために周辺視界がいくらか犠牲にされる。処置中、外科医は、光凝固させる網膜領域が照らされるように、非燃焼照準ビームでプローブを駆動する。低出力の赤色レーザダイオードが入手可能であるため、照準ビームは一般に低出力の赤色レーザ光である。外科医が所望の網膜スポットを照らすようにレーザプローブを配置すると、外科医はフットペダルまたは他の手段を介してレーザを作動させ、次に照らされた領域を光凝固させる。網膜スポットを燃焼した後、外科医は、燃焼されたレーザスポットの適切なアレイが網膜にわたって分布されるまで、照準光で新しいスポットを照らすためにプローブを再配置し、レーザを作動させ、プローブを再配置するなどする。
【0004】
網膜のいずれか1つの治療に必要なレーザ光凝固の数は多い。例えば、1,000~1,500スポットが一般的に燃焼される。したがって、レーザプローブが一度に複数のスポットの燃焼を可能にするマルチスポットプローブである場合、光凝固処置はより高速になり得る(レーザ光源の出力が十分であると仮定して)ことが容易に理解されよう。したがって、マルチスポットレーザプローブが開発されており、それは2つのカテゴリに分類することができる。本明細書で「マルチファイバ、マルチスポット」レーザプローブとして示される第1のカテゴリは、対応する光ファイバのアレイを通してその複数のレーザビームを生成する。第2のカテゴリは単一のファイバのみを使用し、したがって本明細書では「単一ファイバ、マルチスポット」レーザプローブと示される。レーザプローブが単一ファイバプローブかマルチファイバプローブかにかかわらず、それはプローブをレーザ光源に接続するために使用されるアダプタに対応するべきである。その点に関して、レーザ光源がサブミニチュアバージョンA(SMA)相互接続部分などの標準化された相互接続部分を有することは一般的である。例えば、レーザ光源は、レーザ光源が駆動している何らかの機器に結合された雄型SMAコネクタを受容する雌型SMAコネクタを有し得る。従来の単一ファイバ、単一スポットレーザプローブの場合、雄型SMAコネクタには単一ファイバが組み込まれている。レーザ光源は、雄型SMAコネクタにレーザビームウエストとして知られる集束ビームを提供する。これは、その光ファイバがレーザ光源への効率的な結合を可能にするためにウエストによって照らされるその端面を有するので、単一ファイバプローブにとって非常に有利である。しかし、マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブがその複数のスポットを駆動するために対応する複数のファイバを使用する場合、この従来の単一ファイバのやり方で光源から集束ビームを受け取るその複数のファイバを単純に有することはできない。それというのも、レーザウエストが狭すぎて複数のファイバに結合することができないからである。その代わりに、レーザ光源は、プローブからの複数のファイバが単純にレーザウエストによって提供されないように、その従来の相互接続部分を変更または適合させる必要があるだろう。しかし、そのような変更は高価で面倒である。
【0005】
かくして、レーザ光源が単一ファイバケーブルに接続された単一ファイバ相互接続部分を駆動し、単一ファイバケーブルが次にレーザプローブハンドピース内で単一ファイバ/マルチファイバ光結合を駆動するように、マルチファイバ、マルチスポットプローブが開発された。ハンドピース内に結果として生じる光学系は、患者から患者への汚染を制限するためにレーザプローブが使い捨てであることが望ましいので、コストを増加させる。例えば、光学系は、複数のファイバに分配するために単一ファイバからのビームを複数のビームに分割するための回折ビームスプリッタを含む。単一ファイバからのレーザビームをビームスプリッタ上にコリメートし、次いで得られた複数のビームを複数のファイバ上に集光するためには平凸レンズが必要である。しかし、プローブの残りの部分をより安価にすることができるように、そのようなレンズをレーザ光源の相互接続部分に移動させることは、このような相互接続部の内径が比較的小さいので非常に困難である。
【0006】
マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブでは、結果として得られるレーザビームスポットを網膜上で適切に分布させるために、マルチファイバの遠位端から伝送されるテレセントリックレーザビームを異なる角度方向に向けるべきであるという別の問題が生じる。そのような分布を提供するために、ファイバの遠位端が所望の角度方向に曲げられたマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブが開発された。しかし、そのような曲げは面倒であり、同様にコストを増加させる。
【0007】
複数のファイバの使用に関連する問題を回避するために、単一ファイバレーザプローブからの光ビームを、網膜への伝送のためにビームを複数の回折ビームに分割する回折ビームスプリッタに向けることができる。しかしながら、次に回折ビームスプリッタは結果として生じる回折ビームを集束させなければならず、それは回折格子処方が素子にわたって空間的に変化することを必要とする。そのような複雑さがコストを増大させるだけでなく、結果として生じる空間的に変化する回折ビームスプリッタは全体の性能を低下させるであろう。そのような設計はまた、遠位ファイバ端部と回折素子との間の距離を変えることを困難にする。
【0008】
したがって、当技術分野において、改善されたマルチスポットレーザプローブが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示される実施形態は、劈開ファイバ、研磨ファイバ、またはレンズ付きファイバからの直接ビーム出力によって、マルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端における屈折率分布(GRIN)レンズの必要性を排除する。追加の実施形態は、遠位窓、ボールレンズ、レンズアレイ、またはファセットウェッジを使用する。
【0010】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態による例示的なマルチファイバ、マルチスポット、レーザプローブは、レーザプローブの近位端から少なくともレーザプローブの遠位端の近くまで延びる複数のファイバであって、レーザプローブの近位端が、アダプタインターフェースを介してレーザ光源に結合されるように構成されている、複数のファイバと、遠位端を有し、複数のファイバをレーザプローブの少なくとも一部に沿ってレーザプローブの遠位端またはその近くで囲むカニューレとを備え、複数のファイバのそれぞれの遠位端は、遠位端がカニューレの長手方向軸に対して、およびカニューレの長手方向軸に対して垂直な全てに対して斜めにされるように斜めに研磨される。
【0011】
本明細書に開示される実施形態のいくつかによるマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの別の例は、レーザプローブの近位端から少なくともレーザプローブの遠位端付近まで延びる複数のファイバであって、レーザプローブの近位端は、アダプタインターフェースを介してレーザ光源に結合されるように構成されている、複数のファイバと、遠位端を有し、複数のファイバをレーザプローブの少なくとも一部に沿ってレーザプローブの遠位端またはその近くで囲むカニューレとを備える。これらの実施形態はさらに、レーザプローブの遠位端またはその近くでレーザプローブの一部に沿ってカニューレ内に配置されたスペーサを含み、スペーサは、複数のファイバのうちの少なくとも1つのそれぞれの遠位部分がカニューレの長手方向軸に対してある角度で向けられるように、複数のファイバのうちの少なくとも1つを案内するように構成される。
【0012】
これら後者の実施形態のいくつかにおいて、スペーサはらせん状スペーサであり、らせん状スペーサは、複数のファイバがレーザプローブの遠位端の近くで、らせん状構成で配置されるように構成される。他の実施形態では、スペーサは、複数のファイバのそれぞれの遠位部分をカニューレの長手方向軸から離れる角度方向に仕向けるように構成される。さらに他の実施形態では、スペーサは、複数のファイバのそれぞれの遠位部分をカニューレの長手方向軸に向かう角度方向に仕向けるように構成される。さらに他の実施形態では、スペーサは、カニューレの長手方向軸と交差する直交中心面に対して対応するオフセット面において、複数のファイバのうちの1つまたは複数のそれぞれの遠位部分を角度的に曲げ、それによりファイバの遠位端から出るビームが発散するように構成される。
【0013】
本明細書に開示される実施形態のいくつかによるマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの別の例は、レーザプローブの近位端から少なくともレーザプローブの遠位端の近くまで延びる複数のファイバであって、この場合も、レーザプローブの近位端は、アダプタインターフェースを介してレーザ光源に結合されるように構成されている、複数のファイバと、遠位端を有し、複数のファイバをレーザプローブの少なくとも一部に沿ってレーザプローブの遠位端またはその近くで囲むカニューレとを備える。これらの実施形態は、レーザプローブの遠位端またはその近くでカニューレ内に配置されたレンズ機構をさらに備え、レンズ機構は、ファイバの遠位端から出るビームがレンズ機構を通過するように配置されている。これらの実施形態におけるレンズ機構は屈折率分布(GRIN)レンズを含まない。
【0014】
これらの実施形態のいくつかにおいて、レンズ機構は、複数のファイバのそれぞれに配置されたレンズ付きの遠位端を含む。他の例では、レンズ機構は、複数のファイバの対応する遠位端に隣接して配置された複数のレンズ素子を有するマイクロレンズアレイを含む。さらに他の実施形態では、レンズ機構は複数のファイバの遠位端に隣接して配置された単一のボールレンズを含み、それによって複数のファイバによって放射されたビームは単一のボールレンズを通過する。さらに他の実施形態では、レンズ機構は、複数のファイバの遠位端に隣接して配置された平凸レンズを含み、ここで複数のファイバのそれぞれの遠位端は、遠位端がカニューレの半径方向軸に対しておよびカニューレの半径方向軸に対して垂直な全てに対して斜めにされるように斜めに研磨され、ファイバの斜めに研磨された遠位端は、複数のファイバの遠位端がカニューレの半径方向軸に向かって収束する対応するビームを放射するように向けられる。いくつかの実施形態において、レンズ機構は、複数のファイバの対応する遠位端に隣接して配置された複数のウェッジ要素を有するマイクロウェッジアレイと置き換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの近位端に結合するための屈折率分布(GRIN)レンズを含むアダプタ要素に結合されたレーザ光源の長手方向断面図である。
図2図1のプローブの近位端内のマルチファイバアレイの半径方向断面図を示す。
図3】マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの近位端に結合するための回折ビームスプリッタを含むアダプタ要素に結合されたレーザ光源の長手方向断面図である。
図4図3のプローブの近位端内のマルチファイバアレイの半径方向断面図である。
図5図4のマルチファイバアレイから放射された複数の投射ビームを角度的に分離するためのGRINレンズを示す。
図6A-B】図6Aは、斜めに研磨された遠位ファイバ面を組み込むマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端の例示的実施形態を示し、図6Bは、斜めに研磨された遠位ファイバ面と窓要素とを組み込むマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端の例示的実施形態を示す。
図7】らせん状スペーサの周囲に配置されたファイバを組み込むマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端の例示的実施形態を示す。
図8】レンズ付きファイバ端部を組み込むマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端の例示的実施形態を示す。
図9】マルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端にマイクロレンズアレイを組み込む実施形態を示す。
図10】マルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端にマイクロウェッジアレイを組み込む実施形態を示す。
図11】レーザプローブの遠位端に単一ボールレンズを組み込む実施形態を示す。
図12】斜めに研磨された遠位ファイバ面ならびに平凸レンズおよび保持機構を組み込む実施形態を示す。
図13】ファイバを半径方向傾斜部に配置する実施形態を示す。
図14】平面オフセットバイパスによって配置されたファイバを組み込む実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に詳細に記載されているのは、従来のレーザ光源相互接続部分に対応する改良されたマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブである。
【0017】
ここで図面を参照すると、マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ100の特定の詳細が図1に示されている。図1にレーザプローブ100の近位端の詳細は示されず、近位端のいくつかの実現形態の詳細は以下に提供される。図1に示されるマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブ100の部分はまた、米国特許第8,951,244号明細書にも示されている。したがって、図1に示される詳細は、従来技術の一例であることを認識されたい。
【0018】
図1に戻ると、レーザ光源105が適切な相互接続部分を介してプローブ100を駆動することが分かる。レーザ光源105のための一般的な標準化された相互接続部分は、サブミニチュアバージョンA(SMA)アダプタである。したがって、レーザ光源105は雌型SMAアダプタ110を含む。しかしながら、レーザ光源の相互接続部分がレーザプローブからの雄型コネクタの近位端に対してレーザウエスト115などの集束ビームスポットを呈する限り、レーザプローブ100は任意の従来の標準化された光相互接続部分と嵌合するように容易に適合される。したがって、以下の考察では、一般性を失うことなく、レーザプローブ100はカスタマイズされたSMAアダプタ120を介して光源105に結合すると仮定する。
【0019】
レーザウエスト115を受けるために、SMAアダプタ120のボアは、屈折率分布(GRIN)レンズ125を含む。GRINレンズ125は、そのようなボアに容易に挿入される単純な単一要素の円筒形GRINロッドレンズであり得る。GRINレンズ125は、集束ビームを第2の集束スポット130に、次いでその遠位端でコリメートビーム波面に中継するように設計されている。SMA技術において知られているように、SMAアダプタ120は、ねじ付きシリンダ135および保持リング140を介してSMAアダプタ110に固定される。SMAアダプタ120は、SMAアダプタ110に挿入するための雄型端部と、従来の光相互接続部分を受ける雌型端部の両方を有する、そのような雄型SMA905ファイバコネクタ145。コネクタ145は、ねじ付きシリンダまたはリング160および保持リング165を介してアダプタ120に固定される。コネクタ145は、そのボア内に光ファイバ150のアレイを含む。アレイ150の近位端151は、220μmの空隙などの適切な空隙によってGRINレンズ125の遠位端から離されている。コネクタ145は、レーザプローブ技術分野で知られているように、ハンドピースおよびカニューレに通じるファイバ150を封入する可撓性ケーブルに接続する。
【0020】
ファイバアレイ150の例示的な実施形態が図2の断面図に示されている。図1の近位端151におけるレーザビームの境界は、光源105からの緑色レーザビーム境界205と赤色照準ビーム境界210の両方について示されている。アレイ150は、6本の外側ファイバによって円周方向に囲まれた中央ファイバを含む。一実施形態では、各ファイバ220は、101μmのジャケットで囲まれた90μmのクラッディング内に封入された75μmのガラスコアを通して達成される0.22の開口数(NA)を有する。アレイ150への結合されていないレーザエネルギの量を最小にするために、GRINレンズ125は、レーザビーム境界205が6本の外側ファイバをちょうど包囲するように構成される。レーザビームとアレイ150とは少なくともほぼ軸対称であるので、レーザビームに対するアレイ150のクロッキングは問題ではない。アレイ150は、レーザプローブの遠位端まで延びる。レーザプローブの遠位端のいくつかの実施形態の詳細は、さらに詳細に後述される。
【0021】
複雑なマルチレンズリレーシステムを必要としないことにおけるそのような近位相互接続部分の有利な特性。代わりに、GRINレンズ125はアダプタ120のボアに容易に挿入され、それにより、雄型SMAアダプタ145などの標準化されたアダプタが使い捨てレーザプローブ受容ファイバアレイ150に結合することが可能になる。GRINレンズ125およびそのアダプタ120がない場合、レーザ光源105上の標準化されたアダプタ110は交換されなければならないであろう。それは光源105のための他のアタッチメントが協調して交換されなければならないので明らかに望ましくない。あるいは、光源のアダプタは標準化されたままでもよいが、その場合、マルチレンズリレーシステムが必要となるだろう。しかしながら、SMAアダプタ120およびGRINレンズ125はそのような複雑さを排除する。したがって、SMAアダプタ120は非常に有利であるが、図2に見られるように、レーザエネルギの約50%がアレイ150内のファイバ間の隙間に供給されることを理解することができる。したがって、このレーザエネルギは光凝固に使用するのに利用できず、それによって必要なレーザ光源の出力および/またはレーザの燃焼点を生成するのに必要な時間量を増加させる。
【0022】
ここで図3を参照すると、ファイバアレイ隙間を照明しない回折実施形態が示されている。図1に関して考察したように、カスタマイズされたSMAアダプタ120は、ユーザが使い捨てプローブをアダプタ120に都合よく取り付けて、レーザエネルギをファイバアレイに当てることを可能にする。図1に示す実施形態では、しかしながら、アダプタ120は、第1のGRINレンズ301と第2のGRINレンズ310との間に配置された回折ビームスプリッタ305をそのボアに含む。GRINレンズ301は、レーザウエスト115から発散するレーザビームを回折ビームスプリッタ305に提供されるコリメート波面にコリメートするように構成される。GRINレンズ310は、スプリッタ305からの結果として得られた回折された複数のレーザビームを、雄型SMAアダプタ145のボア内に含まれるファイバアレイ320の近位面151上に集束させるように構成される。ファイバアレイ320は、回折ビームスプリッタ305の回折特性に従って配置された複数のファイバを含む。例えば、回折ビームスプリッタが5つの回折ビームの対称五角形分布を生成する場合、ファイバアレイ320は対応する五角形分布に配置される。図4は、その近位面151におけるファイバ束320のそのような配置を示す。
【0023】
一実施形態では、各光ファイバ400は、90μmのクラッディング内にクラッディングされた75μmのガラスコアを有し、これは次に、0.22のNAを達成するために101μmのジャケットによって囲まれる。スプリッタ305からの回折された緑色レーザビームの結果として得られた投射は、境界405によって示される。回折は波長に依存するので、照準ビームの投射は、ファイバアレイ320に対して異なる整列を有することになる。したがって、スプリッタ305およびファイバアレイ320は、境界405が各ファイバ400と軸方向に整列されるが赤色の照準ビームの境界410は各ファイバの中心軸または長手方向軸に対して半径方向に変位されるように配置される。
【0024】
一実施形態では、スプリッタ305によって各緑色回折ビームに与えられる軸外れ変位は1.45度である。GRINレンズ310は、得られたコリメートおよび回折ビームをアレイ320の各ファイバ400の入射面に集束させる。回折ビームに対するアレイ320のこのような適切なクロッキングによって、各回折ビームおよび照準ビームを各ファイバ400に効率的に結合することが達成される。その点で、最適なクロッキングを支援するために、SMAアダプタ120の代わりに、電気通信業界で一般的に使用されているフェルールコネクタ(FC)または標準コネクタ(SC)などの他のタイプのアダプタを使用することができる。図1に関して考察したように、光学部品のSMAアダプタ120への組付けは、GRINレンズ301および310ならびに介在する回折ビームスプリッタ305に光学接着剤を塗布しそれらをアダプタ120のボアに滑り込ませて端部同士を突き合わせることができるという点で好都合である。対照的に、屈折レンズの位置合わせは、面倒で比較が困難であろう。
【0025】
光源からのレーザビームは分割され、図1または図3に関して上述したようにファイバアレイを通してテレセントリックに伝搬されるので、レーザプローブからの集束レーザスポットを角度を付けて投影するという問題が残っている。米国特許第8,951,244号明細書はGRINレンズの解決策を開示しており、その一例が図5に示されている。図5に示される例示的な実施形態は、図3のファイバアレイ320に対応するように特に適合されているが、類似の実施形態が図1のファイバアレイ150に対して容易に構成され得ることが理解されよう。
【0026】
図5に見られるように、レーザプローブカニューレ500、例えばステンレス鋼カニューレは、その遠位端でGRINレンズ505を受け入れる。ファイバアレイ320の遠位端は、GRINレンズ505の近位端面に発散ビーム510を投射するようにカニューレ内で変位される。次に、GRINレンズ505は、網膜表面520上にビームを集束させる。網膜上の得られた集束ビームの分布は、アレイ320の遠位端におけるファイバの分布に依存する。
【0027】
その点に関して、アレイ320(図3)の近位端における分布は軸対称であるべきであるが、遠位端において任意の適切な分布でファイバを配置することができる。例えば、図5に見られるように、アレイ320は遠位端に直線的に配置されている。結果として得られるレーザスポットは、したがって、GRINレンズ505に提供される画像(この実施形態では、線形アレイ)の拡大版である。一実施形態では、GRINレンズ505は、カニューレ500の遠位端から4mmの距離で角度分布ビームを集束する。有利には、GRINレンズ505は、ファイバを所望の角度分布に曲げること(およびそのような曲げの関連する問題)、ファイバの遠位端面を面取りすること、または遠位端面に光学素子を追加することの必要性を取り除く。ファイバはアレイ320内で互いに接触することさえあり得、GRINレンズ505は依然として有効である。
【0028】
以下、マルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端に関して図5に示す構成のいくつかの代替案を詳細に記載する。これらの実施形態は、GRINレンズ505がプローブの遠位端でレーザビーム経路から取り除かれることを共通に有する。試験データは、特定のGRINレンズ材料が、特定の環境および動作条件において光パワーの吸収により熱信頼性の低下の影響を受けやすいことを示している。この増大した吸収は、特定のGRINレンズ材料に関連しており、したがって、レーザ伝送光ファイバに対して遠位の光学系の使用を排除する実施形態、または純粋な溶融シリカまたは低い光吸収を有する他の標準的な光学ガラスなどの非GRIN材料から作られる遠位光学系を使用する実施形態によって軽減され得る。したがって、本明細書に詳述されるいくつかの実施形態は、図5に示される装置と同様の光学性能を提供しながら、熱信頼性を改善し得ることが理解されるであろう。
【0029】
より詳細に後述されるように、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、劈開された、研磨された、またはレンズを付けられたファイバからの直接ビーム出力によって、マルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端におけるGRINレンズの必要性を排除する。追加の実施形態は、遠位窓、ボールレンズ、レンズアレイ、またはファセットウェッジを使用する。
【0030】
以下に詳述されるいくつかの実施形態は、本発明の4ファイバまたは5ファイバの実施形態に関して提示され、それらは軸方向および横方向断面図で示される。しかしながら、ファイバの数は4にも5にも限定されないことが理解されるであろう。さらに、実施形態はいかなる特定の順序でも提示されていない。本明細書に開示されている実施形態は、ビームを分割し、結果として得られる複数のビームを光ファイバの近位端に集束させ、その結果、各ファイバがそれ自身のビームを搬送するための手段を提供する上述のアダプタ、すなわち図1および3に記載のアダプタのどちらかに対応するレーザプローブで実施することができる。しかしながら、以下に記載される実施形態は、近位端に異なる嵌合構成を有するレーザプローブにおいて、および/または1つまたは複数のレーザ光源をマルチファイバレーザプローブの複数のファイバに結合するための異なるアダプタまたはインターフェースと併せて実施され得ることは理解されよう。
【0031】
遠位端でGRINレンズを省いたマルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端の第1の例示的な実施形態が図6Aに示されている。この実施形態は、斜めに研磨された遠位ファイバ面を利用する。より具体的には、図6Aに示される実施形態は、直線状ファイバ620を含み、各ファイバ620は斜めに研磨された端部625を有する。ファイバ620は、動作距離が増大するにつれて発散して分離する前に、ビームがカニューレ600の端部を超えてカニューレ600の長手方向の中心軸に収束するように、半径方向に向けられた斜め遠位面が実質的に半径方向内側に光を屈折するように方向付けられる。
【0032】
あるいは、図6Bの代替実施形態に示すように、ファイバ620を軸方向に回転させて光を実質的に外側に屈折させることができ、その結果、ビームは、カニューレ600の遠位端からの動作距離が増大するにつれてサイズおよび分離距離が増大する発散スポットパターンを形成する。
【0033】
図6Aに示す収束ビーム配置は、出てくるビームをカニューレ壁が遮ることなく、保護を強化するためにファイバ620をカニューレ600内に十分に埋め込むことができるなど、発散ビーム配置に対していくつかの利点を有する。さらに、先端から短い動作距離でビームが収束する点は、網膜の断裂および裂傷の修復などの特定の処置のための単一の治療スポットを作り出すために外科医によって使用され得る。他方、図6Bに例示されるような発散ビーム配置は、発散ビーム配置の場合、所与の分離距離を有するスポットのパターンを達成する動作距離がより短いということを含めて、収束ビーム配置に対して特定の利点を有する。
【0034】
図6Bに示す実施形態は、斜めに研磨されたファイバの前に配置された窓630を含み、空気または流体、ゲル、接着剤またはシーラントなどの透明材料で充填することができる内部チャンバ635を形成することに留意されたい。窓630は、本明細書に記載の遠位プローブ端部の発散ビーム構成の全ての実施形態に現れる必要はないが、ビームがそれを通ってプローブから遠位方向に伝播する光学媒体に対するビーム発散の感度を低下させる可能性がある。したがって、プローブは、例えば、それらのうちの複数が同じ手術症例に存在することがある、空気(n=1)、BSS(n=1.36)、および眼科手術に使用される他の流体中で同様に機能することができる。
【0035】
図7は、マルチファイバマルチスポットレーザプローブの遠位端の別の例示的実施形態を示し、この場合のレーザプローブは、カニューレ700内に配置されたらせん状スペーサ715の周りに配置されたファイバ720を含む。図7に示すように、ファイバ端部725は平坦研磨または平坦劈開されている。遠位ファイバ断面は、一定であってもよく、または各ビームの所望の発散を提供するためにテーパ状にされてもよい。図7に示す実施形態は、ファイバをらせん状構成に配置することによってファイバの接線方向の角度的分離を生じさせる。これは、必要とされる直径方向の空間がファイバの半径方向の角度的分離に必要とされるものより小さく、それによってカニューレ700のより小さいゲージサイズを可能にすることを含むいくつかの利点を有する。さらに、ファイバ720は、他のファイバと共通の平坦出口面に平坦劈開または平坦研磨されることができ、その結果、端面の角度はわずか数度になり、図6Aおよび図6Bの斜めに研磨された設計よりもコンパクトでより小さな楕円形出力ビーム形状をもたらす。なおもさらに、ファイバ間の中央領域は連続的であり、したがって、中央に沿って引き回される追加の、しかし任意選択のファイバ722に利用可能である。この中央ファイバ722を使用して、同じ種類または異なる波長の別々の単一ビーム、例えば広帯域照明を他のビームと同時にまたは独立して送達することができる。
【0036】
上述のように、図7に示す実施形態は、追加の1つまたは複数のファイバをカニューレ700の中央部分に沿って引き回すことができる空間を含む。本明細書に記載のいくつかの他の実施形態は、追加の1つまたは複数のファイバのためにカニューレに沿った経路を提供し得ることは理解されよう。これらの実施形態のいずれにおいても、追加のファイバは他のファイバと同じまたは類似のタイプであってもよいが、入力端で別々の光源に対して引き回されてもよく、それにより、他のファイバと同じ波長およびビーム特性を、同時にまたは交互に使用される単一のビームにおいて、送達するようにする。この単一ビーム送達能力は、複雑な手術において補完的な機能性を提供することができ、例えばマルチスポット送達は汎網膜光凝固術(PRP)などの処置に有利であるが単一スポット送達は網膜の断裂や裂傷を修復するための処置などのために有利である多様な用途に対処し得る。追加のファイバはまた、広域スペクトル、広角照明などの異なる波長およびビーム特性の送達に適した、または反射型近接センサなどの感知目的の感知のための光の受信に適した異なるタイプのものでもよい。
【0037】
図7に示す例示的な実施形態は、本明細書に開示される他のほとんどの実施形態と同様に、出力ビーム特性を修正するために、ファイバのテーパ状の遠位断面プロファイルを組み込んでもよい。例えば、遠位のファイバは、各ビームの発散を減少させるために、遠位端近くでより大きな断面にテーパ状にされてもよい。逆に、ファイバは、それらのそれぞれのビーム発散を増大させるために、より小さい断面にテーパ状にされてもよい。
【0038】
図8は、遠位ファイバ端部のレンズ作用が組み込まれているマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端部の例示的実装形態を示す。ファイバ820の遠位端にあるレンズ825は、様々な実施形態において、近接場焦点、コリメーション、または緩やかに発散する特性を有するビームを提供するように構成されてもよい。これらは、ビーム集束の程度に応じて、より強いビーム集束が、実質的に重なり合うことができる個々のビームの近接場収束をもたらし、焦点距離にほぼ等しい動作距離で本質的に単一のビームを提供する一方、より長い動作距離で個々のビームを提供することを含むいくつかの利点を提供することができる。あるいは、コリメーションまたは近コリメーションを提供するように適合されたレンズは、動作距離に鈍感であり、したがってより小さなスポットでより大きな使いやすさを提供し、したがって外科手術に必要な強度を提供するためにより少ない合計パワーを必要とする設計を提供し得る。わずかなビーム発散を提供するように構成されたレンズは、レンズのないファイバからの生の出力と比較して、動作距離に対して比較的低い感度を依然として提供しながら、より短い動作距離で適切なスポット分離をもたらす実施形態を提供するために使用され得る。
【0039】
図9および10に示す実施形態は、図8によって例示されるレンズ付きファイバの実施形態の利点と同様の利点を提供するが、レンズまたはウェッジ要素の単一のアレイを使用し、アレイの各要素が対応するファイバと対になっている。さらに、このアプローチは、ビームの発散、スポット間隔およびスポット形状をさらに調整するための非球面レンズ表面の使用を可能にする。図9に示す実施形態は、マイクロレンズアレイ925を組み込み、図10の実施形態は、マイクロウェッジアレイ1025を含む。
【0040】
図11は、スペーサ1115で内側に案内される内側に湾曲したファイバ1120の使用と結合された、単一のボールレンズ1125を組み込んだ実施形態を示す。この実施形態は、図8~10の実施形態によって提供されるものと同様の利点を提供するが、全てのビームが通過する単一の球面レンズを使用する。各ファイバは、対応するビームをボールレンズの中心に向かって投射するように傾斜を付けられる。これはボールレンズからの球面収差の量を最小にし、そして隣接するスポットエッジ間の最大の分離および隣接するスポット間の最小の光のこぼれを伴って、網膜面に密に集束したスポットをもたらす。
【0041】
図12は、斜めに研磨された遠位ファイバ面1225と平凸レンズ1230の両方を組み込んだ例示的な実施形態を示している。図12に示す例示的な実施形態では、平凸レンズ1230は保持機構1215を用いてカニューレ1200内に保持されている。図12に示される実施形態は、例えば、図6A、6Bおよび8~11に示されるような、上述の実施形態のいくつかの利点を組み合わせたものであることは理解されよう。前の段落に記載したのと同じ理由で、ウェッジは平凸レンズの中心に向かってビームを傾けるために使用される。
【0042】
図13は、発散ビームパターンを生成するためにファイバを本質的に半径方向外向きに角度的に曲げることによってスポット分離を達成する例示的な実施形態を示す。これは、ファイバ1320の間に位置する半径方向の傾斜部1335の形態のスペーサを使用することによって達成される。カニューレ1300とファイバ1320との間のスリーブ1305は、ファイバ1320を傾斜部1315に対して配置された状態に保つ。あるいは、内部スペーサ1115およびスリーブ1135は、ファイバ1120を半径方向内向きに押し、すなわち図11に示すように押し、しかしボールレンズなしで、収束ビームパターンを生成するように配置することができる。これらの実施形態は、単純な構造および高い信頼性という利点を提供する。収束ビームパターンは、近い動作距離で単一のスポットを生成し、さらに遠くの動作距離のところに別々のスポットのパターンを生成するというさらなる利点を有する。
【0043】
図14はさらに別の実施形態を示しており、これは平面オフセットバイパスによってファイバを組み込んでいる。この実施形態は、図に示すように、カニューレ軸と交差する直交中心面に対してオフセット面内でファイバを角度的に曲げ、発散ビームパターンを生成することによってスポット分離を達成する。
【0044】
上述の実施形態は本発明を説明するが限定するものではない。本発明の原理に従って多数の修正および変形が可能であることもまた理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ定められる。
態様(1)によれば、マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブであって、
前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの近位端から少なくとも前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの遠位端の近くまで延びる複数のファイバであって、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記近位端が、アダプタインターフェースを介してレーザ光源に結合されるように構成された、複数のファイバと、
遠位端を有し、前記複数のファイバを前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの少なくとも一部に沿って前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くで囲むカニューレと、
前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くで前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの一部に沿って前記カニューレ内に配置されたスペーサであって、前記スペーサは、前記複数のファイバのうちの少なくとも1つのそれぞれの遠位部分が前記カニューレの長手方向軸に対してある角度で向けられるように、前記複数のファイバのうちの少なくとも1つを案内するように構成される、スペーサと
を備え、
前記スペーサがらせん状スペーサであり、前記らせん状スペーサは前記複数のファイバが前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端の近くで、らせん状構成で配置されるように構成され、
前記スペーサが、前記複数のファイバのそれぞれの遠位部分を前記カニューレの前記長手方向軸から離れる角度方向に仕向けるように構成され、
前記らせん状構成における前記複数のファイバのそれぞれの遠位部分は、前記複数のファイバの別の1つの遠位部分から接線方向に角度的に分離され、前記複数のファイバのそれぞれは、前記長手方向軸から発散する異なる方向にビームを放射する。
態様(2)によれば、前記スペーサが、前記複数のファイバのそれぞれの遠位部分を前記カニューレの前記長手方向軸に向かう角度方向に仕向けるように構成される。
態様(3)によれば、前記スペーサが、前記カニューレの前記長手方向軸と交差する直交中心面に対して対応するオフセット面において、前記複数のファイバの1つまたは複数のそれぞれの遠位部分を角度的に曲げ、それにより前記ファイバの前記遠位端から放射されるビームが発散するように構成される。
態様(4)によれば、前記複数のファイバのそれぞれが前記ファイバの前記遠位端の近くでテーパ状断面を有する。
態様(5)によれば、各ファイバが、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記近位端により近いその断面と比べて前記遠位端の近くでより大きな断面を有するようにテーパ状にされる。
態様(6)によれば、各ファイバが、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記近位端により近いその断面と比べて前記遠位端の近くでより小さい断面を有するようにテーパ状にされる。
態様(7)によれば、前記スペーサが、概ね前記スペーサの中心長手方向軸に沿って配置されかつ前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くまで延びる長手方向チャネルを備え、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブが、前記長手方向チャネルに配置されかつ前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くまで延びる追加ファイバをさらに備える。
態様(8)によれば、前記追加ファイバが前記複数のファイバのそれぞれと異なる直径を有する。
態様(9)によれば、態様(1)のマルチファイバ、マルチスポットレーザプローブであって、前記マルチファイバ、マルチスポットレーザプローブの前記遠位端またはその近くで前記カニューレ内に配置されたレンズ機構であって、前記ファイバの前記遠位端から放射されるビームが前記レンズ機構を通過するように配置されている、レンズ機構を備え、前記レンズ機構は屈折率分布(GRIN)レンズを備えない。
態様(10)によれば、前記レンズ機構が溶融シリカから形成される。
態様(11)によれば、前記レンズ機構が前記複数のファイバのそれぞれに配置されたレンズ付き遠位端を備える。
態様(12)によれば、前記レンズ機構が、前記複数のファイバの対応する遠位端に隣接して配置された複数のレンズ素子を有するマイクロレンズアレイを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-B】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14