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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】電動パーキングブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20240515BHJP
   F16D 51/22 20060101ALI20240515BHJP
   F16D 65/22 20060101ALI20240515BHJP
   F16D 63/00 20060101ALI20240515BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240515BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20240515BHJP
【FI】
B60T13/74 H
F16D51/22 Z
F16D65/22
F16D63/00 A
B60T8/17 B
F16D121:24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022505770
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047373
(87)【国際公開番号】W WO2021181809
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2020043291
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】315019735
【氏名又は名称】日立Astemo上田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】碓井 広地
(72)【発明者】
【氏名】プラネ サンディプ
(72)【発明者】
【氏名】生川 宏夢
(72)【発明者】
【氏名】坂口 健
(72)【発明者】
【氏名】宇野 真人
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-096543(JP,A)
【文献】特開2019-171888(JP,A)
【文献】特開2018-009617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/74
F16D 51/22
F16D 65/22
F16D 63/00
B60T 8/17
F16D 121/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ユーザーの操作入力に応じたブレーキ力を発生させるサービスブレーキと、制御ユニット(C)で作動が制御される電動アクチュエータ(38)の働きでブレーキ力を発生させるパーキングブレーキとが可能な電動パーキングブレーキ装置において、前記電動アクチュエータ(38)のアプライ作動完了後に前記サービスブレーキであるか否かを検出するようにして前記制御ユニット(C)に接続されるサービスブレーキ検出手段(66)を備え、前記制御ユニット(C)が、前記サービスブレーキ検出手段(66)による前記サービスブレーキの検出終了に応じてカウントを開始するとともにそのカウント開始から第1の所定時間の経過後に当該制御ユニット(C)の作動を停止することを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御ユニット(C)は、前記カウントによる時間経過の途中で前記サービスブレーキに入ったことが前記サービスブレーキ検出手段(66)によって検出されるのに応じて前記カウントをリセットするとともに再カウントを開始し、その再カウント開始から第2の所定時間の経過後に当該制御ユニット(C)の作動を停止することを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ装置。
【請求項3】
前記第1の所定時間および前記第2の所定時間が同一に設定されることを特徴とする請求項2に記載の電動パーキングブレーキ装置。
【請求項4】
前記サービスブレーキ検出手段が、前記サービスブレーキによるブレーキ力を得るためのブレーキ液圧を検出する液圧センサ(66)であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ装置。
【請求項5】
サービスブレーキによるブレーキ力を発生させるためのホイールシリンダ(17)と、パーキングブレーキでのブレーキ力を得るように作動することを可能としたパーキングブレーキレバー(34)と、当該パーキングブレーキレバー(34)に連結されるブレーキケーブル(37)とを備えるドラムブレーキ(B)に、前記パーキングブレーキレバー(34)を駆動するようにして前記ブレーキケーブル(37)に連結される前記電動アクチュエータ(38)が付設されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ユーザーの操作入力に応じたブレーキ力を発生させるサービスブレーキと、制御ユニットで作動が制御される電動アクチュエータの働きでブレーキ力を発生させるパーキングブレーキとが可能な電動パーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電動パーキングブレーキ装置は、特許文献1および特許文献2で知られており、特許文献1で開示されたものでは、車両の駐車状態で車輪の回転が回転センサで検出されたときには車両が不所望に動きだしたと判断して電動アクチュエータの作動によってパーキングブレーキ力を増加させており、また特許文献2で開示されたものでは、車両の駐車状態で車両の揺れを敏感に感知することなく、車両の動き出しを的確に判断し、その動き出し以外でのパーキングブレーキ力の無駄な増加を回避するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2006-298094号公報
【文献】日本特開2014-205391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1および特許文献2で開示されたものでは、駐車後のパーキングブレーキ力の増加制御を行なうために、エンジンのイグニッションオフの後も制御ユニットを起動させておく必要がある。しかるに不用意に制御ユニットを長時間起動させたままにしておくと、バッテリー上がりを引き起こす可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、制御ユニットが必要以上に長い時間起動されたままとなることを防止してバッテリーの負荷を軽減し得るようにした電動パーキングブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両ユーザーの操作入力に応じたブレーキ力を発生させるサービスブレーキと、制御ユニットで作動が制御される電動アクチュエータの働きでブレーキ力を発生させるパーキングブレーキとが可能な電動パーキングブレーキ装置において、前記電動アクチュエータのアプライ作動完了後に前記サービスブレーキであるか否かを検出するようにして前記制御ユニットに接続されるサービスブレーキ検出手段を備え、前記制御ユニットが、前記サービスブレーキ検出手段による前記サービスブレーキの検出終了に応じてカウントを開始するとともにそのカウント開始から第1の所定時間の経過後に当該制御ユニットの作動を停止することを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記制御ユニットは、前記カウントによる時間経過の途中で前記サービスブレーキに入ったことが前記サービスブレーキ検出手段によって検出されるのに応じて前記カウントをリセットするとともに再カウントを開始し、その再カウント開始から第2の所定時間の経過後に当該制御ユニットの作動を停止することを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記第1の所定時間および前記第2の所定時間が同一に設定されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1~第3の特徴の構成のいずれかに加えて、前記サービスブレーキ検出手段が、前記サービスブレーキによるブレーキ力を得るためのブレーキ液圧を検出する液圧センサであることを第4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第1~第4の特徴の構成のいずれかに加えて、サービスブレーキによるブレーキ力を発生させるためのホイールシリンダと、パーキングブレーキでのブレーキ力を得るように作動することを可能としたパーキングブレーキレバーと、当該パーキングブレーキレバーに連結されるブレーキケーブルとを備えるドラムブレーキに、前記パーキングブレーキレバーを駆動するようにして前記ブレーキケーブルに連結される前記電動アクチュエータが付設されることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の特徴によれば、サービスブレーキが終了してから第1の設定時間が経過したときに制御ユニットの作動が停止するので、制御ユニットが必要以上に長い時間起動されたままとなることを防止してバッテリーの負荷を軽減することができる。
【0012】
また本発明の第2の特徴によれば、第1の設定時間経過までの途中にサービスブレーキに入ったときには、再カウントを開始して第2の所定時間の経過後に制御ユニットの作動を停止するので、サービスブレーキが終了した後に追加で車両ユーザーの操作入力があったときにはパーキングブレーキ力の増加制御を行なうことができる。
【0013】
本発明の第3の特徴によれば、第1の所定時間および第2の所定時間が同一の時間であるので、パーキングブレーキ力の増加制御を確実に追加で実行することができる。
【0014】
本発明の第4の特徴によれば、サービスブレーキ検出手段がブレーキ液圧を検出する液圧センサであるので、通常のブレーキ液圧制御で用いられる液圧センサを用いることで、特別なセンサを用いることを不要として部品点数の増加を抑制することができる。
【0015】
さらに本発明の第5の特徴によれば、電動アクチュエータが付設されたドラムブレーキに本発明を好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1はドラムブレーキの正面図である。(第1の実施の形態)
図2図2はドラムブレーキの背面図である。(第1の実施の形態)
図3図3は電動アクチュエータを制御するための構成を示すブロック図である。(第1の実施の形態)
図4図4はパーキングブレーキ時の制御手順を示すフローチャートである。(第1の実施の形態)
図5図5はパーキングブレーキ時の電動アクチュエータの作動状態、サービスブレーキ、タイマおよび制御ユニット起動継続要求信号の変化の一例を示すタイミングチャートである。(第1の実施の形態)
図6図6はパーキングブレーキ時の電動アクチュエータの作動状態、サービスブレーキ、タイマおよび制御ユニット起動継続要求信号の変化の他の例を示すタイミングチャートである。(第1の実施の形態)
【符号の説明】
【0017】
17・・・ホイールシリンダ
34・・・パーキングブレーキレバー
37・・・ブレーキケーブル
38・・・電動アクチュエータ
66・・・サービスブレーキ検出手段である液圧センサ
B・・・ドラムブレーキ
C・・・制御ユニット
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、添付の図1図6を参照しながら説明する。
【第1の実施の形態】
【0019】
先ず図1において、四輪車両の車輪たとえば左後輪にドラムブレーキBが設けられており、このドラムブレーキBは、前記左後輪の車軸11を貫通させる貫通孔12を中央部に有する固定のバックプレート13と、前記左後輪とともに回転するブレーキドラム14の内周に摺接することを可能として前記バックプレート13内に配置される第1および第2のブレーキシュー15,16と、第1および第2のブレーキシュー15,16が拡張作動する力を発揮するようにして前記バックプレート13に固定されるホイールシリンダ17と、第1および第2のブレーキシュー15,16および前記ブレーキドラム14間の間隙を自動的に調整する制動間隙自動調整手段(所謂オートアジャスタ)18と、第1および第2のブレーキシュー15,16間に設けられるリターンスプリング19とを備える。
【0020】
第1および第2のブレーキシュー15,16は、前記ブレーキドラム14の内周に沿うようにして弓形の平板状に形成される第1および第2のウエブ15a,16aと、それらの第1および第2のウエブ15a,16aの外周に直交するように連設される第1および第2のリム15b,16bと、第1および第2のリム15b,16bの外周に貼着される第1および第2のライニング15c,16cとから成る。
【0021】
前記バックプレート13には、第1および第2のブレーキシュー15,16の拡張、収縮時の支点となるアンカープレート21が、第1および第2のウエブ15a,16aの一端部(この実施の形態では下端部)を回動可能に支持するようにして固設される。また前記ホイールシリンダ17は、ブレーキペダルで操作されるマスタシリンダ(図示せず)の出力液圧によって作動して、前記アンカープレート21を支点として第1および第2のブレーキシュー15,16を拡張する側に駆動する力を発揮するようにして、第1および第2のブレーキシュー15,16の他端部間で前記バックプレート13に固定されており、このホイールシリンダ17が備える一対のピストン20の外端部は、第1および第2のウエブ15a,16aの他端部(この実施の形態では上端部)に対向するように配置される。
【0022】
第1および第2のウエブ15a,16aの前記一端部間には、それらの第1および第2のウエブ15a,16aの前記一端部を前記アンカープレート21側に付勢するコイルスプリング22が設けられ、第1および第2のウエブ15a,16aの他端部間には、第1および第2のブレーキシュー15,16を収縮方向に付勢する一対の前記リターンスプリング19が設けられる。
【0023】
前記制動間隙自動調整手段18は、第1および第2のブレーキシュー15,16が有する第1および第2のウエブ15a,16a間に設けられるとともにアジャストギヤ23の回動によって伸長し得る収縮位置規制ストラット24と、前記アジャストギヤ23に係合する送り爪25aを有して第1および第2のブレーキシュー15,16のうち第2のブレーキシュー16の前記第2のウエブ16aに回動可能に支持されるアジャストレバー25と、前記収縮位置規制ストラット24を伸長させる方向に前記アジャストギヤ23を回動させる側に前記アジャストレバー25を回動付勢するアジャストスプリング26とで構成される。
【0024】
前記収縮位置規制ストラット24は、第1および第2のブレーキシュー15,16の収縮位置を規制するものであり、第1および第2のブレーキシュー15,16のうち第1のブレーキシュー15が備える前記第1のウエブ15aの前記他端部寄りに係合する第1係合連結部27aを有する第1ロッド27と、第2のブレーキシュー16が備える第2のウエブ16aの前記他端部寄りに係合する第2係合連結部28aを有して第1ロッド27と同軸に配置される第2ロッド28と、第1ロッド27に一端部が軸方向相対移動可能に挿入されるとともに第2ロッド28に他端部が同軸に螺合されるアジャストボルト29とを有しており、前記アジャストギヤ23は、第1および第2ロッド27,28間に配置されて前記アジャストボルト29の外周に形成される。
【0025】
第1のウエブ15aの前記他端部寄りの前記車軸11側に臨む側縁には、第1係合連結部27aを係合させる第1係止凹部30が設けられ、また第2のウエブ16aの前記他端部寄りの前記車軸11側に臨む側縁には、第2係合連結部28aを係合させる第2係止凹部31が設けられる。
【0026】
前記アジャストギヤ23に係合する送り爪25aを有するアジャストレバー25は、前記第2のウエブ16aに支軸32を介して回動可能に支持され、前記第2のウエブ16aおよび前記アジャストレバー25間に前記アジャストスプリング26が設けられる。しかも前記アジャストスプリング26のばね力は、前記リターンスプリング19のばね力よりも小さく設定される。
【0027】
このような制動間隙自動調整手段18によれば、第1および第2のブレーキシュー15,16が前記ホイールシリンダ17の作動によって拡張作動する際に前記第1および第2のライニング15c,16cの摩耗に起因して一定値以上拡張した場合には、前記アジャストスプリング26のばね力によって前記アジャストレバー25が前記支軸32の軸線まわりに回動し、それによって前記アジャストギヤ23が回動するのに応じて前記収縮位置規制ストラット24の有効長さが増加補正される。
【0028】
ところで、このドラムブレーキBは、作動に応じてパーキングブレーキ力を発生させ得るパーキングブレーキレバー34を備えており、このパーキングブレーキレバー34は、第1のブレーキシュー15における前記第1のウエブ15aの一部に、前記ブレーキドラム14の回転軸線に沿う方向での正面視(図1で示す方向)で重なるように配置され、前記第1のウエブ15aの長手方向に沿って長く延びる。
【0029】
前記パーキングブレーキレバー34の一端部(この実施の形態では下端部)には、ブレーキケーブル37の一端部に固定された係合駒36が係合され、前記パーキングブレーキレバー34の他端部(この実施の形態では上端部)は、第1のブレーキシュー15における前記第1のウエブ15aの他端部にピン35を介して連結される。
【0030】
車両のパーキングブレーキ作動時には、前記ブレーキケーブル37から入力される牽引力により、前記パーキングブレーキレバー34が前記ピン35を支点として図1の反時計方向に回動、駆動されるものであり、このパーキングブレーキレバー34の回動によって、第2のブレーキシュー16に、当該ブレーキシュー16が有する前記第2のライニング16cを前記ブレーキドラム14の内周に圧接させる方向の力が前記収縮位置規制ストラット24を介して作用する。さらに前記パーキングブレーキレバー34が図1の反時計方向に続けて回動、駆動されると、前記パーキングブレーキレバー34が前記収縮位置規制ストラット24の第1係合連結部27aとの係合部を支点として回動し、今度は、前記ピン35を介して第1のブレーキシュー15が拡張作動し、第1のブレーキシュー15の前記第1のライニング15cが前記ブレーキドラム14の内周に圧接することになる。すなわち前記パーキングブレーキレバー34は、第1および第2のブレーキシュー15,16の前記第1および第2のライニング15c,16cが前記ブレーキドラム14の内周に圧接するようにした作動位置に作動し、この状態でパーキングブレーキ状態が得られることになる。
【0031】
また前記ブレーキケーブル37を緩めることで前記パーキングブレーキレバー34に対する回動駆動力の付与を停止したときには、前記ブレーキドラム14の内周から離反する方向に前記リターンスプリング19のばね力によって作動する第1および第2のブレーキシュー15,16とともに前記パーキングブレーキレバー34は非作動位置に戻ることになり、前記パーキングブレーキレバー34は非作動位置側に向けて付勢されている。
【0032】
図2を併せて参照して、前記ブレーキケーブル37は、電動アクチュエータ38が発揮する動力で牽引されるものであり、この電動アクチュエータ38は、前記ブレーキケーブル37に連結されるねじ軸39と、当該ねじ軸39をその回転を阻止しつつ軸線方向の往復運動を可能として支持するアクチュエータケース40と、正逆回転を自在として前記アクチュエータケース40内に収容される電動モータ41と、その電動モータ41で発生する回転運動を前記ねじ軸39の直線運動に変換することを可能としつつ前記電動モータ41および前記ねじ軸39間に介設されて前記アクチュエータケース40に収容される運動変換機構(図示せず)とを備える。
【0033】
この電動アクチュエータ38の前記アクチュエータケース40は、前記ホイールシリンダ17とは反対側で前記バックプレート13に取付け部材43を介して取付けられる。前記取付け部材43は、前記アクチュエータケース40に固着されており、この取付け部材43が複数個たとえば3個のボルト44で前記バックプレート13に締結される。
【0034】
前記電動アクチュエータ38の前記ねじ軸39は、ケーブルジョイント51を介して前記ブレーキケーブル37に連結されており、そのねじ軸39および前記ブレーキケーブル37の連結部は、前記アクチュエータケース40に結合される保護筒50で覆われる。
【0035】
前記バックプレート13の下部の車両前後方向に沿う前部には筒部13aが一体に突設されており、前記ブレーキケーブル37は、前記筒部13aから前記バックプレート13内に導入される。また前記保護筒50および前記筒部13a間で前記ブレーキケーブル37は、鉄製の線材をコイル状に巻回して成るアウターケーブル45で覆われる。そのアウターケーブル45の前記電動アクチュエータ38側の端部は、ガイドチューブ52を介して前記保護筒50に取付けられ、前記アウターケーブル45の前記バックプレート13側の端部はガイドチューブ53を介して前記筒部13aに取付けられる。
【0036】
また前記第1および第2のウエブ15a,16aの一端部間で、前記アンカープレート21を前記バックプレート13との間に挟む押さえ板46が、前記アンカープレート21とともに一対のリベット47によって前記バックプレート13の下部に取付けられ、前記押さえ板46に、前記ブレーキケーブル37をガイドするガイド部46aが、略U字状の横断面形状を有するようにして一体に設けられる。
【0037】
図3において、前記電動アクチュエータ38における前記電動モータ41には、バッテリー61の電力が駆動回路62を介して供給されるものであり、前記電動モータ41の作動すなわち前記駆動回路62の作動は制御ユニットCで制御される。この制御ユニットCには、車両ユーザーが電動アクチュエータ38の作動によってパーキングブレーキ状態を得るための操作を行なったことを検出して電動アクチュエータ38の作動開始を指示する信号を出力する指示手段63が接続される。
【0038】
またドラムブレーキBは、サービスブレーキ時には車両ユーザーの操作入力に応じて前記ホイールシリンダ17が作動することでブレーキ力を発生するものであり、ブレーキペダル64を車両ユーザーが踏み込むことでマスタシリンダ65から出力されるブレーキ液圧が前記ホイールシリンダ17に作用するのであるが、サービスブレーキであるか否かを検出するサービスブレーキ検出手段としての液圧センサ66が、ブレーキ液圧を検出するようにして前記マスタシリンダ65および前記マスタシリンダ65間を結ぶ液圧路67に介設されており、この液圧センサ66で検出されるブレーキ液圧が前記制御ユニットCに入力される。
【0039】
前記制御ユニットCは、パーキングブレーキ時には図4で示す手順に従って制御を実行するものであり、ステップS1では電動アクチュエータ38が作動状態にあるか否かを判断し、電動アクチュエータ38が作動状態にあると判断したときにはステップS2で制御ユニットCの起動継続要求をオンとし、ステップS3で電動アクチュエータ38のアプライ作動が完了したか否かを確認し、電動アクチュエータ38のアプライ作動完了を確認したときにステップS4に進む。このステップS4では第1の所定時間をセットし、ステップS5で前記液圧センサ66が検出したブレーキ液圧を取得し、その後のステップS6において、サービスブレーキ状態にあるか否かをブレーキ液圧に基づいて判断する。
【0040】
ステップS6での判断によってサービスブレーキ状態であると判断したときにはステップS6からステップS4に戻り、サービスブレーキ状態ではないと判断したときには、ステップS6からステップS7に進んで時間をカウントする。
【0041】
ステップS7でのカウントに続くステップS8で第1の所定時間が経過したと判断したときには、ステップS9に進んで制御ユニットCの起動継続要求をオフとすることで制御ユニットCの作動を停止する。
【0042】
またステップS8で第1の所定時間が経過していないと判断したときには、ステップS8からステップS10に進んで前記液圧センサ66が検出したブレーキ液圧を取得し、その後のステップS11において、ブレーキ液圧に基づいてサービスブレーキ状態にあるか否かを判断する。このステップS11でサービスブレーキ状態ではないと判断したときには、ステップS11からステップS7に戻り、サービスブレーキ状態であると判断したときにはステップS11からステップS12に進み、それまでのカウント値をリセットする。
【0043】
ステップS12に続くステップS13では、第2の所定時間をセットするが、この第2の所定時間は、この実施の形態では第1の所定時間と同一である。ステップS13での第2の所定時間のセット後には、ステップS14に進んで時間の再カウントを行い、ステップS15で第2の所定時間が経過したか否かを判断し、第2の所定時間が経過していなかったときにはステップS14に戻り、第2の所定時間を経過したことを確認したときにはステップS15からステップS9に進む。
【0044】
このような制御手順によれば、前記制御ユニットCは、電動アクチュエータ38のアプライ作動完了後に、前記液圧センサ66によるサービスブレーキの検出終了に応じてカウントを開始するとともにそのカウント開始から第1の所定時間の経過後に当該制御ユニットCの作動を停止することになる。すなわち図5で示すように、サービスブレーキ状態でパーキングブレーキ状態を得るように電動アクチュエータ38が非作動状態から作動状態を経て作動完了状態へと変化する際に、制御ユニットCの起動継続要求はオン状態であり、時刻t1でサービスブレーキ状態が終了したときにタイマがカウントを開始し、時刻t1から第1の所定時間が経過した時刻t2で制御ユニットCの起動継続要求がオフとなり、制御ユニットCがその作動を停止することになる。
【0045】
また制御ユニットCは、サービスブレーキの検出終了に応じて開始するカウントによる時間経過の途中で前記サービスブレーキに入ったことが前記液圧センサ66によって検出されるのに応じて前記カウントをリセットするとともに再カウントを開始し、その再カウント開始から第2の所定時間の経過後に当該制御ユニットCの作動を停止することになる。すなわち図6で示すように、時刻t3でサービスブレーキ状態が終了したときにタイマがカウントを開始し、時刻t3から第1の所定時間未満の時間が経過した時刻t4でサービスブレーキ状態に入ったときにカウント値をリセットし、その後の時刻t5でサービスブレーキ状態が終了したときにはタイマによる再カウントを実行し、第2の所定時間が経過した時刻t6で制御ユニットCの起動継続要求がオフとなり、制御ユニットCがその作動を停止することになる。
【0046】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、制御ユニットCが、電動アクチュエータ38のアプライ作動完了後に、サービスブレーキであるか否かを検出するサービスブレーキ検出手段としての液圧センサ66によるサービスブレーキの検出終了に応じてカウントを開始するとともにそのカウント開始から第1の所定時間の経過後に当該制御ユニットCの作動を停止するので、制御ユニットCが必要以上に長い時間起動されたままとなることを防止してバッテリー61の負荷を軽減することができる。
【0047】
また前記制御ユニットCは、前記カウントによる時間経過の途中で前記サービスブレーキに入ったことが前記液圧センサ66によって検出されるのに応じて前記カウントをリセットするとともに再カウントを開始し、その再カウント開始から第2の所定時間の経過後に当該制御ユニットCの作動を停止するので、サービスブレーキが終了した後に追加で車両ユーザーの操作入力があったときにはパーキングブレーキ力の増加制御を行なうことができる。
【0048】
しかも前記第1の所定時間および前記第2の所定時間が同一に設定されるので、パーキングブレーキ力の増加制御を確実に追加で実行することができる。
【0049】
またサービスブレーキ検出手段として、通常のブレーキ液圧制御で用いられる液圧センサ66を用いているので、特別なセンサを用いることを不要として部品点数の増加を抑制することができる。
【0050】
さらにパーキングブレーキを得るための電動アクチュエータ38がドラムブレーキBに付設されるので、電動アクチュエータ38が付設されたドラムブレーキBに本発明を好適に適用することができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6