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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】入力デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0338 20130101AFI20240515BHJP
【FI】
G06F3/0338 411
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022511797
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010425
(87)【国際公開番号】W WO2021200079
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2020065099
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 正穂
(72)【発明者】
【氏名】三宮 龍
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0264355(US,A1)
【文献】特開平07-307124(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012026(WO,A1)
【文献】特開2014-112303(JP,A)
【文献】特開2012-068789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/033-3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されている外装部材と、
前記開口の内側で動くことのできる入力スティックと、
前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの一方に設けられ、前記開口の内縁の材料及び前記入力スティックの外周面の材料とは異なる材料で形成されている緩衝部材とを有し、
前記入力スティックが中立位置にあるとき、前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの他方と、前記緩衝部材との間に隙間があり、
前記入力スティックが傾斜したとき、前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの前記他方と、前記緩衝部材とが接触し、
前記外装部材は、第1外装部材と、前記第1外装部材を覆っている第2外装部材とを有し、
前記第1外装部材と前記第2外装部材のそれぞれに、前記入力スティックが内側に配置される開口が形成され、
前記緩衝部材は前記第1外装部材の前記開口の内縁に取り付けられている
入力デバイス。
【請求項2】
前記緩衝部材の前記材料は、前記外装部材の前記開口の前記内縁の材料と前記入力スティックの外周面の材料よりも剛性の低い材料である
請求項1に記載される入力デバイス。
【請求項3】
前記緩衝部材は、前記第1外装部材の前記開口の前記内縁に設けられ、前記入力スティックの外周面に接する接触面を有し、
前記接触面は、前記開口の内縁の全周に亘って繋がっている
請求項1に記載される入力デバイス。
【請求項4】
前記緩衝部材は前記第1外装部材の前記開口の前記内縁に取り付けられ、
前記開口の周方向での前記緩衝部材の移動が規制されている
請求項1に記載される入力デバイス。
【請求項5】
前記緩衝部材と前記第1外装部材の前記開口の内縁の一方は、前記開口の周方向において並んでおり且つ前記緩衝部材と前記開口の内縁の他方に嵌まる複数の係合部を有している
請求項1に記載される入力デバイス。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記入力スティックの前記外周面の材料よりも剛性の低い材料で形成され、前記入力スティックの外周面に設けられている
請求項1に記載される入力デバイス。
【請求項7】
開口が形成されている外装部材と、
前記開口の内側で動くことのできる入力スティックと、
前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの一方に設けられ、前記開口の内縁の材料及び前記入力スティックの外周面の材料とは異なる材料で形成されている緩衝部材とを有し、
前記入力スティックが中立位置にあるとき、前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの他方と、前記緩衝部材との間に隙間があり、
前記入力スティックが傾斜したとき、前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの前記他方と、前記緩衝部材とが接触し、
前記外装部材は、第1外装部材と、前記第1外装部材を覆っている第2外装部材とを有し、
前記第1外装部材と前記第2外装部材のそれぞれに、前記入力スティックが内側に配置される開口が形成され、
前記緩衝部材は前記第1外装部材の前記開口の内縁に取り付けられ、
前記第1外装部材に形成された前記開口の内縁は、前記第2外装部材に形成された前記開口の内縁よりも内側に位置し、
前記緩衝部材は、前記第1外装部材に形成された前記開口の内縁の上面の上側に配置されている第1部分を有し、
前記緩衝部材は、前記第1部分から上方に伸びていて前記第2外装部材に形成されている前記開口の内縁の内側に位置している第2部分を有している
入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はゲーム操作などのために用いられる入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームで使用される入力デバイスの一例として、国際公開第2005/022951号及び国際公開第2014/061322号に開示されるものがある。これらの文献に開示される入力デバイスは、その右部と左部とに、入力スティック(ジョイスティック)や、入力ボタン、十字キーなどの入力部材を有している。また、入力デバイスは、国際公開第2005/022951号で見られるように、マイクロフォンを有していることがある。
【発明の概要】
【0003】
ユーザが入力部材を操作しているとき、入力部材が入力デバイスの他の部分に衝突し、音が生じることがある。マイクロフォンを有している入力デバイスにおいては、その音はノイズの要因となる。
【0004】
本開示で提案する入力デバイスの一例は、開口が形成されている外装部材と、前記開口の内側で動くことのできる入力スティックと、前記開口の内縁と前記入力スティックの外周面のうちの一方に設けられ、前記開口の内縁の材料及び前記入力スティックの外周面の材料とは異なる材料で形成されている緩衝部材とを有している。この入力デバイスによると、ノイズの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本開示で提案する入力デバイスの一例を示す平面図である。
図1B図1Aで示す入力デバイスの側面図である。
図1C】入力デバイスの正面図である。
図1D】入力デバイスの背面図である。
図1E】入力デバイスの底面図と、その一部の拡大図である。
図2】入力デバイスの分解斜視図である。
図3】入力デバイスの分解斜視図である。
図4A図1CのIVa-IVa線で得られる断面図である。
図4B図1DのIVb-IVb線で得られる断面図である。
図5】回路基板とフレームの底面図である。
図6】上キャビネット部の平面図である。
図7】グリップを示す斜視図である。
図8A図1AのVIIIa-VIIIa線で得られる断面図である。
図8B図1AのVIIIb-VIIIb線で得られる断面図である。
図9図1DのIX-IX線で得られる断面図である。
図10図9のX-X線で得られる断面図である。
図11A】音孔の変形例を示す断面図であり、その切断面は図9と同じである。
図11B図11AのXI-XI線で得られる断面図である。
図12】上キャビネット部に取り付けられている緩衝部材を示す斜視図である。
図13A】緩衝部材を拡大して示す斜視図である。
図13B】緩衝部材の側面図である。
図14A図13Bで示すXIVa-XIVa線で得られる入力デバイスの断面図である。
図14B図13Bで示すXIVb-XIVb線で得られる入力デバイスの断面図である。
図15】緩衝部材の変形例を示す断面図である。
図16A】入力ボタン、上キャビネット部、及び緩衝部材の分解斜視図である。
図16B図16Aの拡大図である。
図17図1Aで示すXVII-XVII線での断面図である。
図18図5のXVIII-XVIII線で示す切断面で得られる回路基板及びフレームの断面図である。
図19】入力部材の平面図である。
図20図1Aで示すXX-XX線での断面図である。
図21A図1Aで示すXXI-XXI線での断面図である。
図21B図21Aの拡大図である。
図22A】情報処理装置と入力デバイスとで構成されるシステムを示すブロック図である。
図22B】情報処理装置が有している機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1等においては、実施形態の一例として入力デバイス10が示されている。以下の説明では、図1A図1Dに示すX1及びX2をそれぞれ右方向及び左方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とし、Z1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。ただし、これらの方向は、入力デバイス10の要素(部品、部材、及び部分)の形状や相対的な位置関係を説明するため規定され、入力デバイス10の姿勢を限定するものではない。
【0007】
入力デバイス10は、ゲームプログラムの実行機能や動画像再生機能、インターネットを通した通信機能などを有する情報処理装置90(図22A参照、例えばゲーム装置)に対する入力デバイスとして利用される。入力デバイス10は、情報処理装置90との間で有線又は無線での通信が可能となっており、ユーザが入力デバイス10に対して行った操作に応じた信号を情報処理装置に送信する。入力デバイス10は、入力デバイス10の姿勢や動きの検出に利用される種々のセンサ(加速度センサ、ジャイロセンサなど)や、バッテリなどを内蔵している。
【0008】
また、入力デバイス10は、ユーザの発話音声を取得するための第1マイクロフォン8Aと第2マイクロフォン8B(図9参照)とスピーカ4(図1A参照)とを有している。マイクロフォン8A・8Bを通して取得された音声データは情報処理装置90に送信され、音声認識処理に提供されたり、或いは、他ユーザとのボイスチャット(音声通話)に利用される。他のユーザの音声データは、情報処理装置90に接続されているスピーカや、入力デバイス10が内蔵しているスピーカ4から出力される。
【0009】
[入力部材]
図1Aで示すように、入力デバイス10は、その左部及び右部に、ユーザが手で保持するための左被保持部10Lと右被保持部10Rとをそれぞれ有している。被保持部10L・10Rは左右方向において離れており、被保持部10L・10Rの前部の間にデバイス中央部10Mが形成されている。被保持部10L・10Rは、デバイス中央部10Mの後縁よりも後方に伸びているグリップ12を有しよい。デバイス中央部10Mの前後方向でのサイズは被保持部10L・10Rと同じであってもよい。この場合、被保持部10L・10Rは後方に伸びているグリップ12を有していなくてよい。
【0010】
図1Aで示すように、被保持部10L・10Rの前部の上面に、ユーザが指で操作するための複数の入力部材が設けられている。具体的には、右被保持部10Rの前部の上面に、複数の入力ボタン35が設けられている。例えば、4つの入力ボタン35が十字の端部に配置される。また、左被保持部10Lの前部の上面に、十字形状を有する方向キー(十字ボタン)19が配置されている。図1Aで示すように、入力デバイス10は、入力部材20の前部の右側と左側とに入力ボタン17を有してよい。さらに、被保持部10R・10Lは、それらの前面に入力ボタン15・16(図1C参照)を有してよい。入力ボタン15・16は上下方向に並んでいる。下側の入力ボタン16は、例えば、軸を中心として前後動可能なように支持されているトリガーボタンである。入力ボタン16の後方に、入力ボタン16の動きに反力を作用させるアクチュエータ6(図1B参照)が配置されてもよい。
【0011】
図1Aで示すように、入力デバイス10は、入力スティック31を有してよい。入力スティック31は、例えば、デバイス中央部10Mの後部の右側と左側とに配置される。入力スティック31は、その半径方向に傾けたり、傾けた状態で初期位置の中心線を中心として回転させることができる。入力スティック31は上下動可能に支持され、ボタンとして機能してもよい。入力スティック31は、半径方向での傾きに替えて、その半径方向にスライド可能であってもよい。さらに、入力デバイス10は、入力部材20の後方に位置し、且つ左右方向での中心に位置しているボタン18を有してもよい。ボタン18は、入力デバイス10が接続されている情報処理装置の電源ボタンや、情報処理装置と入力デバイス10との無線による接続の開始を指示する開始ボタンとして機能する。
【0012】
なお、入力スティック31の位置や、方向キー19、入力ボタン35の配置は、入力デバイス10の例に限られない。例えば、入力ボタン35の位置と、入力スティック31の位置は入れ替わっていてもよい。また、方向キー19の位置と、入力スティック31の位置は入れ替わっていてもよい。
【0013】
図1Aに示すように、入力デバイス10は、デバイス中央部10Mの上面に、板状の入力部材20を有している。入力部材20は、例えば、左右の入力スティック31の前方に配置される。入力部材20はタッチセンサを含んでいる。タッチセンサは、入力部材20の上面に触れた指の位置に応じた信号を出力する。タッチセンサは例えば静電容量式のセンサである。入力部材20はユーザの押下操作に応じて上下動できるように支持されてもよい。入力デバイス10は、入力部材20が押されたことを検知するスイッチ23(図20)を有し、入力部材20はオン/オフ操作が可能なボタンとして機能している。
【0014】
図1Aで示すように、入力デバイス10の例では、入力部材20の左右方向での幅は前方に向かって徐々に大きくなっている。そのため、被保持部10R・10Lを手で保持しながら、親指で入力部材20の前部に触れる操作がユーザにとって容易となる。
【0015】
[外装部材]
図2で示すように、入力デバイス10は、入力デバイス10の外装部材であるキャビネット40を有している。キャビネット40は入力デバイス10の外面を構成するとともに、入力デバイス10が備える種々の部品(回路基板61や、振動モータ5R・5Lなど)を収容している。キャビネット40は、上下方向で組み合わされる上キャビネット部41と下キャビネット部42とを有している。
【0016】
図2で示すように、入力デバイス10はフレーム51を有している。フレーム51に、入力デバイス10が備える種々の部品が固定される。例えば、フレーム51の右部と左部のそれぞれは、情報処理装置90で実行されるゲーム状況に応じてグリップ12を振動させる振動モータ5R・5Lを保持している。振動モータ5R・5Lの前方には、トリガーボタン16を動かすアクチュエータ6が配置されている。フレーム51の中央部の下側に回路基板61が固定される。上キャビネット部41はフレーム51の上側を覆い、被保持部10L・10R及びデバイス中央部10Mの上側部分を構成する。下キャビネット部42はフレーム51の下側を覆い、被保持部10L・10R及びデバイス中央部10Mの下側部分を構成する。
【0017】
上キャビネット部41は、螺子やボルトなどの固定具によってフレーム51に取り付けられる。例えば、上キャビネット部41は、フレーム51の下側から差し込まれる螺子によってフレーム51に直接的に固定される。フレーム51の下側は下キャビネット部42で覆われる。そのため、上キャビネット部41をフレーム51に固定する固定具(螺子)は、入力デバイス10の外面において露出しない。
【0018】
下キャビネット部42(図2参照)は、例えば、上キャビネット部41に固定される。その取付位置は、例えば、下キャビネット部42の前端と後端とに設けられる。詳細には、下キャビネット部42は、その前端(左右の被保持部10L・10Rの前端)に、上下に並ぶ入力ボタン15・16を取り囲む開口42b(図2参照)を有している。この開口42bの縁の上部であり入力ボタン15の上側に沿って配置される部分42aに、被固定部42c(図4A参照)が形成されている。被固定部42cは、上キャビネット部41の前縁に形成されている被固定部41a(図4A参照)に、例えば螺子49aによって取り付けられる。
【0019】
被固定部42c・41aは、螺子49aの差し込み方向が上下方向に対して斜めになるように形成されている。こうすることによって、螺子49aの差し込み作業において、螺子49aとトリガーボタン16との干渉が回避される。入力ボタン15は、被固定部42c・41a及び螺子49aの前側を覆い、これらの露出を抑えている。入力ボタン15は、これに形成されている係合部(例えば、爪部)によって、キャビネット40に取り付けられてよい。
【0020】
また、図3及び図4Bで示すように、下キャビネット部42は、その後端(左右の被保持部10L・10Rの後端)に、被固定部42eを有している。被固定部42eは、上キャビネット部41の後端に形成されている被固定部41fに螺子49bによって固定されている。フレーム51は、その後端に、後方に突出している被固定部51aを有している。被固定部51aは、下キャビネット部42の被固定部42eとともに、上キャビネット部41の被固定部41fに固定されている。
【0021】
キャビネット部41・42の取付構造は、入力デバイス10の例に限られない。例えば、フレーム51は螺子によって下キャビネット部42に固定され、上キャビネット部41は下キャビネット部42に螺子によって固定されてよい。他の例として、キャビネット部41・42のそれぞれがフレーム51に取り付けられ、2つのキャビネット部41・42はフレーム51を介して間接的に固定されていてもよい。さらに他の例では、入力デバイス10はフレーム51を有していなくてもよい。この場合、上キャビネット部41と下キャビネット部42は互いに直接的に固定されてもよい。
【0022】
図1A及び図2で示すように、入力デバイス10は、その外装部材の一つとして、キャビネット40の外面に取り付けられるカバー45を有している。カバー45は、右被保持部10Rの外面の一部を構成する右側のカバー側部45Rと、左被保持部10Lの外面の一部を構成する左側のカバー側部45Lと、左右のカバー側部45R・45Lを繋ぎデバイス中央部10Mの外面の一部を構成するカバー中央部45Mとを有している。
【0023】
図4Bで示すように、カバー45は、下キャビネット部42を固定している固定具(具体的には、螺子49b)と及び被固定部42e・41fを覆っている固定具カバー45aを有している。固定具カバー45aは、螺子49b及び被固定部42e・41f・51aの後方に位置し、これらを覆っている。固定具カバー45aは、左右のカバー側部45R・45Lのそれぞれに設けられている。固定具カバー45aは、図1D及び図4Bで示すように、左右の被保持部10L・10Lの後方に位置し、それらの後端(すなわち左右のグリップ12の後端)に取り付けられている。
【0024】
このように螺子49bが入力デバイス10の外面において露出しないので、入力デバイス10の外観を向上できる。また、左右の螺子49bを1つのカバー45で覆うので、部品数を低減し、入力デバイス10の組み立て作業を簡単化できる。
【0025】
螺子49bは、下キャビネット部42の被固定部42eと上キャビネット部41の被固定部41fとに対して上下方向で差し込まれる。固定具カバー45aの一部(下部)は被固定部42e・41fの下方に位置している。すなわち、固定具カバー45aの一部(下部)は、被固定部42e・41fに対して螺子49bの抜き方向に位置している。固定具カバー45aの別の一部(上部)は、被固定部42e・41fの後方に位置している。
【0026】
図1Aで示すように、カバー側部45R・45Lは、左右のグリップ12の内側の側面に取り付けられている。右の固定具カバー45aは、右のカバー側部45Rの後端で折り曲げられて、右グリップ12の後方に位置している。左の固定具カバー45aは、左のカバー側部45Lの後端で折り曲げられて、左グリップ12の後方に位置している。
【0027】
カバー中央部45Mはデバイス中央部10Mの後部に位置している。カバー中央部45Mは入力部材20の後方に位置している。カバー中央部45Mには、左右の入力スティック31が内側に配置される開口45cが形成されている。
【0028】
なお、入力デバイス10の例では、グリップ12とカバー側部45R・45Lは左右対称の構造である。入力デバイス10の例とは異なり、これらは左右対称の構造でなくてもよい。この場合、カバー45は左右のカバー側部45R・45Lのうちいずれか一方だけを有してもよい。
【0029】
図6で示すように、上キャビネット部41は、カバー45によって覆われる被覆領域41nを有している。被覆領域41nに複数の係合孔41eが形成され、カバー45の係合部(例えば、爪部)が係合孔41eに引っかかる。
【0030】
上キャビネット部41の外面は、被覆領域41nに加えて、被覆領域41nに隣接しカバー45によって覆われない領域(露出領域)を有している(図1A及び図6参照)。図7及び図8Aで示すように、露出領域における上キャビネット部41の外面と、カバー45の外面との間に段差Nが形成されている。この段差Nによって、カバー45の外面は露出領域における上キャビネット部41の外面に対して凹んでいる。
【0031】
入力デバイス10の例では、カバー側部45R・45Lの外面と、グリップ12を構成する上キャビネット部41の外面との間に段差Nが形成されている。段差Nは被保持部10R・10Lの前部から後端(グリップ12の後端)まで続いていてよい。
【0032】
カバーをキャビネットに取り付けるとき、通常はカバーの外面とキャビネットの外面とを面一にするか、或いは、カバーの位置がキャビネットの外面に対して高くなる。これに対して、入力デバイス10の例では、カバー45の外面がキャビネット40の外面に対して下がっているので(凹んでいるので)、観察者が見たときにカバー45がカバーとして認識されにくい。このことによって、入力デバイス10の外観を向上できる。
【0033】
図7及び図8Aで示すように、カバー側部45L・45Rの外面と、グリップ12を構成する下キャビネット部42の外面との間に段差Mが形成されてもよい。この構造によって、観察者が見たときにカバー45がさらに認識されにくくなり、入力デバイス10の外観をさらに向上できる。
【0034】
左右のカバー側部45L・45Rは、左右のグリップ12の内側の側面に取り付けられている。すなわち、カバー側部45L・45Rは、グリップ12の外面(キャビネット40の外面)における、左右方向の中心寄りの領域に取り付けられている。このため、ユーザがグリップ12を握っているとき、例えば母指球の位置を段差Nによって案内できる。また、ユーザがグリップ12を握っているとき、手のひらに段差Nが当たることを抑えることができ、快適な握り心地を実現できる。入力デバイス10の例において、カバー側部45R・45Lと上キャビネット部41の露出領域との境(段差N)は、グリップ12の中心線C1(図1A参照)より内側に位置している。
【0035】
段差Nの高さは、その延伸方向において一定でなくてもよい。入力デバイス10の例では、グリップ12の後部における段差Nの高さHn2(図8B参照)は、グリップ12の前部における段差Nの高さHn1(図8A参照)よりも低い。グリップ12の後部にはユーザの手のひらが触れやすい。そのため、後部における段差Nの高さHn2が前部における段差Nの高さHn1より低いという構造によれば、ユーザはより快適にグリップ12を握ることができる。
【0036】
[マイクロフォンの配置]
図9で示すように、入力デバイス10は、2つのマイクロフォン8A・8Bを有してよい。2つのマイクロフォン8A・8Bは、入力デバイス10を保持しているユーザの口からの距離が異なるように配置される。第1マイクロフォン8Aは、例えば回路基板61の下方に配置され、第2マイクロフォン8Bは、例えば回路基板61の上方に配置される。第1マイクロフォン8Aと第2マイクロフォン8Bとの間に、回路基板61に実装されているコネクタ67(例えば、ヘッドセット用のジャック)が位置している。
【0037】
音声認識処理やボイスチャットを可能とするために、入力デバイス10は、マイクロフォン8A・8Bの感度について指向性を形成するビームフォーミング処理を実行する音声入出力回路を有している。音声入出力回路は、指向性を有するマイクロフォン音声データを生成する。すなわち、音声入出力回路は、マイクロフォン8A・8Bから得られたマイクロフォン音声データの位相差を利用して、ユーザの発話音声を表すデータ(信号)を強調したデータを生成する。
【0038】
図9で示すように、第2マイクロフォン8Bは、例えば、上キャビネット部41によって支持され、カバー45の内面に沿って配置される。第2マイクロフォン8Bは、例えば、斜め後方且つ上方に向いている。
【0039】
カバー45は、第2マイクロフォン8Bに対応する位置に第2音孔V2を有している。第2マイクロフォン8Bは、例えば弾性材料で形成されるマイクロフォンホルダ9Bによって保持される。ホルダ9Bは、第2マイクロフォン8Bに対応する位置に孔を有している。カバー45の第2音孔V2はマイクロフォンホルダ9Bの孔を通して第2マイクロフォン8Bに繋がっている。入力デバイス10はカバー45を有していなくてもよい。この場合、第2音孔V2は上キャビネット部41に形成され、第2マイクロフォン8Bはフレーム51によって支持されてもよい。
【0040】
図9で示すように、第1マイクロフォン8Aは、例えば、下キャビネット部42の内面に沿って配置される。第1マイクロフォン8Aは、例えば、回路基板61の下側に配置されているバッテリ62(図20参照)のホルダ55の後端に形成されているマイクロフォン支持部55aによって支持される。第1マイクロフォン8Aはマイクロフォンホルダ9Aによって保持される。マイクロフォンホルダ9Aは下キャビネット部42の内面に押し当てられる。第1マイクロフォン8Aは、例えば、斜め後方且つ下方に向いている。
【0041】
[音孔]
図9で示すように、下キャビネット部42に、下キャビネット部42を貫通している第1音孔V1が形成されている。マイクロフォンホルダ9Aは、第1マイクロフォン8Aと下キャビネット部42の内面との間に位置している密閉部9bを有している。密閉部9bは下キャビネット部42の内面に押し当てられている。密閉部9bは第1マイクロフォン8Aに対応する位置に孔9aを有している。下キャビネット部42の第1音孔V1はマイクロフォンホルダ9Aの孔9aを通って第1マイクロフォン8Aに繋がっている。密閉部9bに形成された孔9aの縁は下キャビネット部42の内面に押し当てられており、第1音孔V1はその入り口から第1マイクロフォン8Aまで密閉されている。
【0042】
なお、「第1音孔V1が第1マイクロフォン8Aに繋がっている」とは、下キャビネット部42の孔から第1マイクロフォン8Aまで音が伝わる通路が形成されていることを意味している。この通路は、必ずしも密閉されていなくてもよい。また、第1マイクロフォン8Aは下キャビネット部42の内面から離れていてもよい。例えば、第1マイクロフォン8Aは回路基板61に実装されていてもよい。この場合、下キャビネット部42に形成された開口端から第1マイクロフォン8Aまで続く音孔が形成されてよい。
【0043】
図1E及び図10で示すように、下キャビネット部42の外面に凹部42fが形成されている。凹部42fは下キャビネット部42を貫通していない。第1音孔V1は凹部42fの底面42kに形成されている。下キャビネット部42は凹部42fの内側に、第1音孔V1の開口端(入り口)から伸びている底面42kを有している。凹部42fの内面42gは、第1音孔V1を取り囲む壁として機能している。以下では、凹部42fを保護凹部と称する。
【0044】
ユーザがボイスチャットを行いながら、入力デバイス10の外面に沿って指を動かすときに、指が第1音孔V1を塞いでしまうと、第1音孔V1の空気圧が急変し、ボイスチャットの相手ユーザに伝えられる音声にノイズを生じる可能性がある。入力デバイス10の例では、保護凹部42fの内面42gである壁が第1音孔V1の周囲に形成されているので、指が第1音孔V1の入り口の全体を塞ぐことが生じにくくなる。その結果、上述したノイズの発生を減らすことができる。
【0045】
図10で示すように、保護凹部42fは溝状であり、保護凹部42fの内側の領域の長さ(直交する2方向のうち一方の方向での幅W1、図1参照)は、同領域の他方の方向での幅W2よりも大きい。(以下では、幅W1を大幅と称し、幅W2を小幅と称する。)入力デバイス10の例において、幅W1は左右方向でのサイズであり、幅W2は前後方向でのサイズである。
【0046】
小幅W2は、ユーザの指が入力デバイス10の外面に触れたときに指の接触領域の幅よりも小さい。その一方で、大幅W1は、指の接触領域の幅よりも大きい。保護凹部42fのサイズをこのように設計することで、保護凹部42fの全体がユーザの指で塞がれることを防ぐことができ、その結果、第1音孔V1内の空気圧の急変を効果的に抑えることができる。小幅W2は、例えば3mmより小さい。小幅W2は2mmより小さくてよい。大幅W1は、例えば7mmより大きい。大幅W1は9mmより大きくてよい。
【0047】
図10で示すように、大幅W1は、第1音孔V1のサイズ(大幅W1と同じ方向でのサイズ)の2倍よりも大きい。大幅W1は、第1音孔V1のサイズの3倍より大きくてもよい。一方、小幅W2は第1音孔V1のサイズと同じ、或いは第1音孔V1のサイズの2倍より小さくてよい。第1音孔V1の入り口の形状は、例えば円形である。
【0048】
図10で示すように、大幅W1は、第1マイクロフォン8Aのサイズ(大幅W1と同じ方向でのサイズ)よりも大きい。一方、小幅W2は第1マイクロフォン8Aのサイズより小さい。小幅W2は、図9で示すように、第1音孔V1の入り口(下キャビネット部42に形成されている孔)のサイズと同じ、又は第1音孔V1の入り口より大きくてよい。
【0049】
図1Eで示すように、第1音孔V1はデバイス中央部10Mの下面に形成されている。より詳細には、第1音孔V1は、デバイス中央部10Mの後縁に近い位置に形成されている。第1音孔V1は、入力デバイス10の左右方向の中心に位置している。ユーザが入力デバイス10を手で保持しているとき、指が入力デバイス10の側面から入力デバイス10の左右方向での中心に向かって斜めに伸びる。ユーザが入力デバイス10の下面に沿って指を動かすと、指は前後方向と左右方向の双方に対して斜めの方向で動く。これに対し、保護凹部42f(言い換えると保護凹部42fの内側の領域)は左右方向において細長い。保護凹部42fのこの形状によると、入力デバイスの下面側で斜めに動く指によって保護凹部42fの全体が覆われること効果的に防ぐことができる。
【0050】
なお、保護凹部42fの形状は入力デバイス10の例に限られない。例えば、保護凹部42fは前後方向に細長い溝であってもよい。他の例では、保護凹部42fは楕円形状であってもよい。さらに他の例として、保護凹部42fは十字形状やH字形状、T字形状であってもよい。この場合、第1音孔V1は保護凹部42fの一部の幅が小さい溝部分に形成されるとよい。こうすることで、ユーザの指が第1音孔V1の全体を塞ぐことを抑えることができる。
【0051】
上述したように、上キャビネット部41には第2マイクロフォン8Bに繋がる第2音孔V2が形成されている。左右方向での第1音孔V1の開口部を構成する大幅W1は、左右方向での第2音孔V2の開口部を構成する幅よりも大きい。一方、左右方向に直交する方向での第1音孔V1の小幅W2は、左右方向に直交する方向での第2音孔V2の幅と同じであってよい。
【0052】
なお、第1音孔V1の周囲には凹部42fに替えて、第1音孔V1を取り囲む1又は複数の凸部が形成されてもよい。図11A及び図11Bはこのような変形例を示す断面図である。図11A図9と同じ切断面で得られる断面図である。図11B図11Aで示すXI-XI線での断面図である。
【0053】
図11A及び図11Bで示す例では、第1音孔V1の周りに凸部42hが形成されている。以下では、この凸部42hを保護凸部と称する。保護凸部42hで囲まれる領域の内側に第1音孔V1が位置している。保護凸部42hの内面42iは、第1音孔V1を取り囲む壁として機能している。このような保護凸部42hによって、指が第1音孔V1の入り口の全体を塞ぐことを保護凸部42hによって抑えることができ、第1音孔V1内の空気圧の急変を抑えることができる。
【0054】
保護凸部42hの内側に形成される領域のサイズは、上述した保護凹部42fの内側に形成される領域のサイズと同じであってよい。具体的には、直交する2方向のうち一方の方向での幅は、他方の方向での幅よりも小さくてよい。具体的には、左右方向での幅W5(図11B参照)は、前後方向での幅W6(図11A参照)よりも大きい。小幅W6は、例えば3mmより小さい。小幅W6は2mmより小さくてよい。大幅W5は、例えば7mmより大きい。大幅W5は9mmより大きくてよい。
【0055】
さらに他の例として、第1音孔V1の周りに複数の凸部が形成されてもよい。そして、このような複数の凸部が全体として第1音孔V1を取り囲んでいてもよい。この場合、この複数の凸部で囲まれる領域の長さ(左右方向での幅)は前後方向での幅よりも大きくよい。このような構造においても、指が第1音孔V1の入り口の全体を塞ぐことがなく、第1音孔V1内の空気圧の急変を抑えることができる。
【0056】
[入力スティックの操作音の低減]
入力デバイス10は、外装部材として、上述した上キャビネット部41とカバー45とを有している。上キャビネット部41に開口43a(図6参照)が形成され、カバー45に開口45c(図7参照)が形成されている。入力スティック31は、開口43a・45cの内側で、半径方向に傾けたり、傾けた状態で初期位置の中心線を中心として回転させることができる。図14Aで示すように、入力スティック31は、柱部31aと、柱部31aの上部に位置している接触部31bとを有している。柱部31aの下部は図示していない支持機構によって支持されている。
【0057】
図14Aで示すように、開口43a・45cの内縁に緩衝部材46が設けられている。緩衝部材46は、開口43a・45cの内縁の材料(すなわち、上キャビネット部41の材料及びカバー45の材料)とは異なっており、また入力スティック31の材料(より具体的には、柱部31aの外周面の材料)とも異なっている。緩衝部材46は開口43a・45cの内縁よりも内側に張り出している。そのため、入力スティック31を傾けたとき、柱部31aは開口43a・45cの内縁ではなく、緩衝部材46に衝突する。このような緩衝部材46によって、入力スティック31の柱部31aと開口43a・45cの内縁との衝突により音が発生することを防ぎ、マイクロフォン8A・8Bから得られる音声データにノイズが生じることを抑えることができる。
【0058】
緩衝部材46の材料は、開口43a・45cの内縁の材料よりも剛性の低い材料であり、また入力スティック31の材料よりも剛性の低い材料であってよい。開口43a・45cの内縁の材料、すなわち、上キャビネット部41の材料、カバー45の材料、及び入力スティック31の柱部31aの材料は、例えばAcrylonitrile Butadiene Styrene(ABS)樹脂や、ポリカーボネートなどの樹脂である。緩衝部材46の材料は、例えば、樹脂に添加剤(例えば、摺動材)が混ぜられた材料である。
【0059】
図13A及び図13Bで示すように、緩衝部材46は環状である。緩衝部材46は入力スティック31の柱部31aの外周面に接する接触面46aを有している。この接触面46aは開口43a・45cの全周に亘って繋がっている。このため、入力スティック31を傾けて接触面46aに接触させている状態で、入力スティック31を回転させる操作をスムーズに行うことができる。
【0060】
入力デバイス10の例では、緩衝部材46は、上キャビネット部41及びカバー45とは別個に成形された部材である。すなわち、緩衝部材46を成形するための成形工程と、上キャビネット部41を成形するための成形工程と、カバー45を成形するための成形工程とが別個に行われている。そして、緩衝部材46は、開口43a・45cの内縁に取り付けられる。このように、緩衝部材46を、上キャビネット部41とカバー45とを別個に成形することによって、緩衝部材46と上キャビネット部41の成形工程を簡単化できる。
【0061】
入力デバイス10の例において、緩衝部材46は上キャビネット部41の開口43aの内縁に取り付けられている。緩衝部材46は、図13A及び図13Bで示すように、開口43aの内縁を上下方向で挟む上係合部46bと下係合部46cとを有している。上係合部46bと下係合部46cは、周方向において交互に並んでいる。上係合部46bは開口43aの内縁の上側に位置し、下係合部46cは開口43aの内縁の下側に位置している。
【0062】
上係合部46bは緩衝部材46の環状部46eから半径方向の外側に向かって突出している。上キャビネット部41の開口43aの内縁には上方に突出している複数の係合部43b(図12参照)が形成されている。係合部43bは間隔をあけて開口43aの周方向に並んでいる。上係合部46bは隣り合う2つの係合部43bの間に嵌まっている。緩衝部材46と開口43aの内縁とのこの係合構造によって、緩衝部材46の回転が規制されている。例えば、入力スティック31を緩衝部材46に当てた状態で周方向に動かしたとき、緩衝部材46の上係合部46bが開口43aの係合部43bに衝突するので、緩衝部材46の位置がずれることを防ぐことができる。隣り合う2つの係合部43bの間隔は、緩衝部材46の上係合部46bの幅に一致しているのが望ましい。
【0063】
なお、緩衝部材46と開口43aの内縁との係合構造は、入力デバイス10の例に限られない。例えば、開口43aの内縁に、内側に突出する複数の係合部が形成されてもよい。この係合部が緩衝部材46の環状部46eに嵌まっていてもよい。この構造においても、入力スティック31を半径方向に傾けた状態で回転させたときに、緩衝部材46の位置がずれることを防ぐことができる。
【0064】
カバー45に、入力スティック31が内側に配置される開口45cが形成されている。この構造によると、緩衝部材46と上キャビネット部41の開口43aの内縁との係合構造(上係合部46bと係合部43b)をカバー45によって覆うことができる。その結果、入力デバイス10の外観をさらに向上できる。
【0065】
図14A及び図14Bで示すように、緩衝部材46の上係合部46bと上キャビネット部41の係合部43bの上方に、カバー45の開口45cの縁が位置している。一方、緩衝部材46の環状部46eは、カバー45の開口45cの内縁よりも内側に位置している。この構造によって、上キャビネット部41の開口43aの内縁と緩衝部材46との係合構造が露出することをカバー45で防ぐことができる。
【0066】
入力デバイス10の例とは異なり、緩衝部材46はカバー45の開口45cの内縁に取り付けられてもよい。この場合、緩衝部材46の環状部46eの内面である接触面46aは、上キャビネット部41の開口43aの内縁よりも内側に張り出しているとよい。
【0067】
さらに他の例では、緩衝部材は、入力スティック31に設けられてもよい。より具体的には、図15で示すように、緩衝部材33は、入力スティック31の柱部31aの外周面に設けられてもよい。緩衝部材33は、柱部31aの材料と、上キャビネット部41の材料と、カバー45の材料とは異なる材料で形成されてよい。例えば、緩衝部材33の材料は、これらの材料よりも剛性の低い材料であってもよい。緩衝部材33は柱部31aとともに二色成形によって形成されてもよい。二色成形とは、金型内に材料の異なる2つの樹脂を順番に射出して、1つの成形品を得る方法である。これとは異なり、緩衝部材33は柱部31aとは別個に成形されていてもよい。そして、緩衝部材33は柱部31aの外周面に取り付けられていてもよい。
【0068】
[ボタンの操作音の低減]
上キャビネット部41には、複数の開口44a(図6参照)が形成されている。各開口44aの内側に入力ボタン35が配置されている。入力ボタン35は、上キャビネット部41に交差する方向、すなわち上下方向で動くことができる。図17で示すように、入力ボタン35の下方に、スイッチ36aが配置されている。スイッチ36aは弾性材料(例えばゴム)で形成されており、入力ボタン35を初期位置に向けて上方に付勢している。
【0069】
入力ボタン35は、その基部に、開口44aからの入力ボタン35の飛び出しを規制する被ストッパ部35b・35c(図16B参照)を有している。被ストッパ部35b・35cは、例えば、入力ボタン35の下縁から入力ボタン35の半径方向に突出している凸部である。
【0070】
図16Aで示すように、入力デバイス10は、緩衝部材37を有している。緩衝部材37の材料は、上キャビネット部41の材料とは異なっており、また入力ボタン35の材料とも異なっている。緩衝部材37の材料は、好ましくは、上キャビネット部41の材料及び入力ボタン35の材料よりも剛性の低い材料である。上キャビネット部41の材料と入力ボタン35の材料は、例えばポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックであり、緩衝部材37の材料はゴムやエラストマなどであってよい。緩衝部材37は、開口44aの縁と入力ボタン35の被ストッパ部35b・35cとの間に位置するストッパ部37a・37b(図16B参照)を有している。
【0071】
入力ボタン35を押すと、スイッチ36aが下がり、オン状態となる。入力ボタン35を押す力が解除されると、スイッチ36aの弾性力によって入力ボタン35が押し上げられ、被ストッパ部35b・35cがストッパ部37a・37bにそれぞれ衝突する。このような緩衝部材37によって、被ストッパ部35b・35cと開口44aの縁との衝突により音が発生することを防ぐことができる。その結果、マイクロフォン8A・8Bで取得する音声データにノイズを生じることを防ぐことができる。
【0072】
図16Bで示すように、被ストッパ部35b・35cは入力ボタン35の周方向において分散して配置されている。このことによって、被ストッパ部35b・35cがストッパ部37a・37bに当たったときに入力ボタン35が傾くことを防ぐことができる。例えば、複数の被ストッパ部35b、35cは周方向において等間隔で配置される。
【0073】
被保持部10Rの上面には、複数の入力ボタン35が配置されている。具体的には、4つの入力ボタン35が十字の端部に配置されている。入力デバイス10は、これら4つの入力ボタン35について共通の緩衝部材37を有している。すなわち、1つの緩衝部材37に、4つの入力ボタン35にそれぞれ対応するストッパ部37a・37bが形成されている。この構造によると、部品数が削減され、入力デバイス10の組み立て作業を簡単化できる。また、緩衝部材37の配置に要するスペースも低減できる。
【0074】
上キャビネット部41は、開口44aの縁に下方に伸びているガイド筒44bを有してもよい。入力ボタン35はこのガイド筒44bの内側で上下方向に動くことができる。ガイド筒44bには、入力ボタン35から半径方向に突出している被ストッパ部35b・35cが嵌まる溝44c(図16A参照)が形成されている。被ストッパ部35b・35cは溝44cに沿って上下に動くことができる。この構造によって、ガイド筒44bの内側での入力ボタン35の回転が規制される。したがって、被ストッパ部35b・35cは、入力ボタン35の回り止め機能と、緩衝部材37に衝突しノイズを抑える機能とを有している。
【0075】
緩衝部材37は、4つの入力ボタン35の中心(4つのガイド筒44bの中心)に位置している中央部37g(図16B参照)を有している。4つの入力ボタン35の被ストッパ部35bは、4つの入力ボタン35の中心に向かって突出している。緩衝部材37の中央部37gには、4つの入力ボタン35にそれぞれ対応する4つのストッパ部37aが形成されている。4つの入力ボタン35の被ストッパ部35bは、4つのストッパ部37aにそれぞれ衝突する。
【0076】
また、緩衝部材37は、ガイド筒44bの外側を取り囲む環状部37i・37jを有している。図16Bで示すように、ストッパ部37bは環状部37i・37jに形成されている。ストッパ部37bは、中央部37gのストッパ部37aから離れた位置に形成されている。
【0077】
なお、緩衝部材37が設けられている入力ボタン35の配置は、入力デバイス10の例に限られない。例えば、入力ボタン35の数は2つや、3つでもよい。入力ボタン35の数が2つである場合、緩衝部材37は、この2つの入力ボタン35の間に中央部を有し、この中央部にストッパ部37aが形成されてよい。
【0078】
[回路基板のダンパー]
入力デバイス10は、左右の被保持部10L・10R(より具体的には、グリップ12)に配置されている振動モータ5R・5Lを有している。振動モータ5R・5Lは、例えば、情報処理装置(ゲーム装置)からの指示に応じて駆動し、グリップ12を振動させる。振動モータ5R・5Lは、直動モータ(例えばボイスコイルモータ)であってもよいし、回転モータ(例えばdirect current(DC)モータ)であってもよい。図2で示すように、振動モータ5R・5Lはフレーム51によって保持されている。フレーム51は、左右のグリップ12に収容される部分に、モータ保持部51cを有している。
【0079】
図2で示すように、回路基板61はフレーム51(第1支持部材)の下方に位置し、フレーム51に上下方向で取り付けられている。回路基板61は、例えば、固定具(具体的には、螺子69(図5参照))によってフレーム51に取り付けられる。入力デバイス10の例においては、螺子69は、回路基板61の下方に配置されているバッテリ62によって覆われている。
【0080】
図18で示すように、回路基板61とフレーム51との間にダンパー68が配置されている。ダンパー68は、例えばゴムやエラストマなど弾性を有する材料で形成される。ダンパー68は、螺子69が配置されている位置(固定位置)から離れた位置(ダンパー位置)に配置されている。図5で示すように、ダンパー68は螺子69を取り囲む複数の位置に規定されている。入力デバイス10の例では、ダンパー68は回路基板61の4つの角部に配置されている。
【0081】
上述したように、入力デバイス10は振動モータ5R・5Lとマイクロフォン8A・8Bとを有している。振動モータ5R・5Lが駆動したとき、回路基板61が振動し、回路基板61とフレーム51との間の接触音が生じると、これがマイクロフォン8A・8Bによって取得され、音声データにとってノイズとなる。回路基板61を複数の位置で螺子によってフレーム51に固定した場合であっても、回路基板61の熱膨張率とフレーム51の熱膨張率とが異なるために、回路基板61とフレーム51との間に微小な隙間が生じることがある。そのような隙間がある状況で、振動モータ5R・5Lが駆動すると、回路基板61とフレーム51との間の接触音が生じ、ノイズとなる。
【0082】
入力デバイス10の例では、回路基板61とフレーム51との間にダンパー68が配置されているので、そのようなノイズの発生を抑えることができる。特に入力デバイス10の例では、固定位置(螺子69の位置)を取り囲むようにダンパー68が配置されているので、振動モータ5R・5Lの振動によって回路基板61がフレーム51に接触し、接触音を生じることを、効果的に抑えることができる。例えば、回路基板61の角部が振動し、フレーム51との間で接触音を生じることを効果的に抑えることができる。
【0083】
なお、回路基板61に設けられている螺子69の数は、1つでよい。こうすることによって、回路基板61とフレーム51とに熱膨張が生じた場合であっても、その熱膨張に起因して螺子69が緩むことを抑えることができる。なお、螺子69が設けられている位置、すなわち固定位置にダンパー68は設けられていなくてよい。固定位置において回路基板61はフレーム51に直接的に接していてよい。また、回路基板61には、フレーム51に形成されている位置決め突起51dが嵌まる孔が形成されていてもよい。
【0084】
回路基板61には孔61b(図3参照)が形成されている。孔61bは、例えば回路基板61の外縁に形成されてよい。すなわち、孔61bの縁の一部は開いていてよい。図18で示すように、ダンパー68は、回路基板61の孔61bの内側に嵌まっている筒状の胴部68aを有している。また、ダンパー68は、胴部68aの端部(上端)に形成されている上フランジ部68bと、胴部68aの他方の端部(下端)に形成されている下フランジ部68cとを有している。
【0085】
フレーム51は、図18で示すように、筒状の胴部68aの内側に嵌まる凸部51eを有している。振動モータ5R・5Lの駆動により回路基板61とフレーム51とが回路基板61に沿った方向で相対的に振動した場合、フレーム51の凸部51eは、回路基板61に沿った方向でダンパー68と衝突する。
【0086】
また、図18で示すように、上フランジ部68bは上下方向において回路基板61とフレーム51とによって挟まれている。言い換えると、上フランジ部68bは、回路基板61とフレーム51の取付方向において、それらによって挟まれている。そのため、回路基板61の一部、具体的には回路基板61の角部が、回路基板61とフレーム51の取付方向においてフレーム51と衝突し、ノイズを生じることを抑えることができる。
【0087】
このように、入力デバイス10の例では、ダンパー68は、回路基板61とフレーム51の取付方向において挟まれる部分(上フランジ部68b)と、取付方向に対して直交する方向(回路基板61に沿った方向)において挟まれる部分(胴部68a)とを有している。これにより、回路基板61とフレーム51との衝突を効果的に抑えることができる。
【0088】
なお、ダンパー68の形状は、入力デバイス10の例に限られない。例えば、フレーム51は凸部51eを有していなくてもよい。この場合、ダンパー68の胴部68aは筒状でなくてもよい。例えば、胴部68aは柱状であってもよい。フランジ部68b・68cは柱状の胴部68aの端部に形成されてよい。
【0089】
入力デバイス10は、回路基板61を挟んでフレーム51とは反対側に下キャビネット部42(第2支持部材)を有している。図18で示すように、ダンパー68は下キャビネット部42と回路基板61とによって挟まれる部分を有している。具体的には、上述した下フランジ部68cが下キャビネット部42と回路基板61とによって挟まれている。このため、回路基板61の振動に起因して、回路基板61と下キャビネット部42との間に接触音が生じることを抑えることができる。
【0090】
図18で示すように、フレーム51はダンパー68の上フランジ部68bに接する接触部51fを有している。下キャビネット部42はダンパー68の下フランジ部68cに接する接触部42jを有している。フレーム51の接触部51fと下キャビネット部42の接触部42jは上下方向において向き合っている。このため、フレーム51とダンパー68との間の接触圧と、下キャビネット部42とダンパー68との間の接触圧の双方を十分に確保できる。入力デバイス10の例では、下キャビネット部42の接触部42jは上方に突出する筒状であり、その上端がダンパー68の下フランジ部68cに接触している。
【0091】
なお、入力デバイス10は、回路基板61に設けられている複数のダンパー68のそれぞれについて、図18を参照して説明した構造、すなわち、胴部68a、フランジ部68b・68c、接触部42j・51fを有してよい。
【0092】
上述したように、振動モータ5R・5Lはグリップ12に配置されており、左右の被保持部10L・10Rの後端に位置している。回路基板61は、左右の被保持部10R・10Lの間に位置しているデバイス中央部10Mに収容されている。回路基板61は、入力デバイス10の底面視において、振動モータ5R・5Lよりも前方に位置している(図5参照)。ダンパー68は回路基板61の角部に位置している。後側の角部に位置しているダンパー68は、入力デバイス10の底面視において、螺子69が設けられている固定位置と振動モータ5R・5Lとの間に位置している。言い換えると、螺子69とダンパー68とを結ぶ直線は振動モータ5R又は振動モータ5Lと交差する。ダンパー68と振動モータ5R・5Lのこの配置によると、振動モータ5R・5Lに近い位置での接触音の発生を抑えることができる。
【0093】
上述したように、振動モータ5R・5Lは、例えばボイスコイルモータである。この場合、振動モータ5R・5Lの振動子(すなわち可動部)の振動方向は、回路基板61とフレーム51との取付方向(上下方向)に対して交差していてよい。入力デバイス10の例では、振動子はグリップ12の延伸方向において振動するよう配置されており、斜め前後方向において振動する。このため、振動モータ5R・5Lの駆動時に、回路基板61の角部が回路基板61とフレーム51との取付方向(上下方向)に大きく振動することを抑えることができる。
【0094】
入力デバイス10は、デバイス中央部10Mに配置されているマイクロフォン8A・8Bを有している。マイクロフォン8A・8Bは回路基板61から上方又は下方に離れて配置され、回路基板61とフレーム51とは異なる部材によって支持されている。具体的には、図9で示すように、第2マイクロフォン8Bは、フレーム51ではなく、上キャビネット部41によって支持され、カバー45の内面にマイクロフォンホルダ9Bを介して接触している。また、第1マイクロフォン8Aは、バッテリ62を支持しているバッテリホルダ55の後端に形成されているマイクロフォン支持部55aによって支持され、下キャビネット部42の内面にマイクロフォンホルダ9Aを介して押しつけられている。
【0095】
なお、回路基板61の支持構造は入力デバイス10の例に限られない。例えば、入力デバイス10はフレーム51を有していなくてもよい。この場合、回路基板61は下キャビネット部42に取り付けられてもよい。また、ダンパー68の一方のフランジ部は下キャビネット部42と回路基板61とによって挟まれ、ダンパー68の他方のフランジ部は上キャビネット部41と回路基板61とによって挟まれてよい。
【0096】
[発光システム]
入力デバイス10の上面は、入力ボタン35が配置されている右領域(右被保持部10Rの上面)と、方向キー19が配置されている左領域(左被保持部10Lの上面)と、この右領域と左領域との間の領域である中央領域とを有している。入力デバイス10の例においては、中央領域は入力部材20の上面によって構成されている。入力部材20は、デバイス中央部10Mの前部に位置し、その前縁は入力デバイス10の前縁を構成している。入力部材20の最前部は下方に曲がっており、入力デバイス10の前面を構成している。上キャビネット部41には開口41h(図6参照)が形成されている。入力部材20は上キャビネット部41のこの開口41hの内側に配置されている。
【0097】
入力部材20は、図20で示すように、入力デバイス10の上面を構成する表面パネル21と、表面パネル21の下面に取り付けられている回路基板22とを有している。回路基板22と表面パネル21との間にタッチセンサが配置されている。入力部材20は、回路基板22の下側を覆い表面パネル21に取り付けられるフレーム24を有してもよい。
【0098】
また、入力部材20は上下動可能に支持され、ボタンとして機能する。入力デバイス10の例では、回路基板22の下面にスイッチ23が実装されている。一方、入力部材20の下方に配置されているフレーム51は、スイッチ23に対応する位置に上方に突出している押し部51gを有している。入力部材20が押されると、押し部51gがスイッチ23を押す。スイッチ23は回路基板61に実装されてもよい。この場合、入力部材20に押し部が形成されてよい。
【0099】
なお、入力部材20の構造は入力デバイス10の例に限られない。例えば、入力部材20はタッチセンサを有するものの、ボタンとして機能するように構成されていなくてもよい。反対に、入力部材20はボタンとして機能するように構成されているものの、タッチセンサを有していなくてもよい。
【0100】
図19で示すように、入力デバイス10は、入力部材20の外縁に沿って形成されている発光領域Esを有している。発光領域Esは、複数の第1発光部E1と、第2発光部E2とを有している。複数の第1発光部E1は、情報処理装置に接続される複数の入力デバイスに割り振られる識別情報を示す発光部である。第2発光部E2は、識別情報とは異なる情報に基づいて発光する発光部である。発光領域Esは、入力部材20の外縁を取り囲む後述する光拡散部材71(図2参照)の発光面で構成される。
【0101】
図22Aで示す例では、複数の入力デバイス10がゲーム装置である情報処理装置90に接続されている。情報処理装置90は制御装置91と通信装置92とを有している。通信装置92は、無線又は有線による入力デバイス10との通信を可能とするインターフェースである。制御装置91はマイクロプロセッサを含み、図22Bで示すように、その機能として、識別情報割り当て部91aを有している。
【0102】
識別情報割り当て部91aは予め規定されたルールにしたがって、複数の入力デバイス10に対してそれらを識別する識別情報として識別番号を割り当てる。識別情報は、情報処理装置90のシステムソフトウェアにより入力デバイス10を使用しているユーザに紐づく情報に基づいて割り当てられてもよく、また、入力デバイス10自体を識別する情報に基づいて割り当てられでもよい。また、識別情報は、番号、色情報、文字列、またはそれら2以上での組み合わせであってもよく、入力デバイス10またはユーザを特定できるユニークな情報であれば形式はいずれでもよい。入力デバイス10は割り当てられた識別番号を情報処理装置90から受信し、その識別番号に応じて第1発光部E1を光らせる。例えば、入力デバイス10は、識別番号として1番が割り当てられたときには、複数の第1発光部E1のうちの1つ(例えば、中心に位置している第1発光部E1)を光らせる。また、入力デバイス10は、識別番号として2番が割り当てられたときには、複数の第1発光部E1のうちの2つ(例えば、中心を挟んで互いに反対側に位置する2つの第1発光部E1)を光らせる。入力デバイス10は、複数の第1発光部E1にそれぞれ対応する複数の第1光源S1(図19参照)を選択的に駆動する。
【0103】
一方、第2発光部E2は、上述したように、識別情報(識別番号)とは異なる情報に基づいて発光する発光部である。識別情報とは異なる情報とは、例えば、ゲームの実行状況に応じて生成される指令であり、ゲームプログラムを実行している情報処理装置90から送信される。図22Bで示すように、情報処理装置90の制御装置91は、その機能として、ゲーム処理部91bを含んでいる。ゲーム処理部91bはゲームプログラムを実行し、その実行結果として動画像を生成し、図示していない表示装置に表示するとともに、第2発光部E2の発光指令を入力デバイス10に送信する。入力デバイス10はその発光指令を受けると、第2発光部E2を発光させる。入力デバイス10は、第2発光部E2に対応する第2光源S2(図20参照)を駆動する。第2光源S2は、例えば発光色の異なる複数のLED(Light Emitting Diode)を含み、任意の色で発光させることができてもよい。すなわち、第2発光部E2の発光状態は、情報処理装置90で実行中のアプリケーションプログラムの状態に応じてアプリケーションプログラムが生成する入力デバイス10に対する制御情報に基づいて制御され、実行中のアプリケーションにより表示される画像や出力される音声の状態と同期して、ユーザの手元にある入力デバイス10の第2発光部E2をアプリケーションの演出に適した色とタイミングで発光させることができる。また、識別情報とは異なる情報の他の例は、入力デバイス10の状態に関する情報である。入力デバイス10は、例えば入力デバイス10と情報処理装置90との接続状態やバッテリの充電状態を監視し、その状態に応じて入力デバイス自身が生成する制御情報に基づいて第2発光部E2を発光させてよい。また、入力デバイス10の状態に関する情報は、情報処理装置90のシステムソフトウェアが入力デバイス10の状態を監視し、その状態に応じて第2発光部E2の発光制御情報を生成し、入力デバイス10に送信したものであってもよい。
【0104】
図19で示すように、第1発光部E1と第2発光部E2は、入力部材20(中央領域)の外縁に沿った発光領域Esに設けられている。このため、識別情報を表す第1発光部E1と、識別情報とは異なる情報を表す第2発光部E2の双方について視認性を向上できる。
【0105】
発光領域Esは、入力部材20の外縁を取り囲んでいる。図19で示すように、入力デバイス10の例では、発光領域Esは、入力部材20の左縁、後縁、及び右縁に沿っている。このため、発光部E1・E2の位置について、自由度を確保できる。入力デバイス10の例とは異なり、発光領域Esは、入力部材20の左縁、前縁、及び右縁に沿うように形成されたり、入力部材20の4つの縁(左縁、後縁、右縁、及び前縁)に沿うように形成されてよい。
【0106】
図19で示すように、複数の第1発光部E1は入力部材20の後縁に沿って一列で並んでいてよい。こうすることによって、ユーザは第1発光部E1が示す識別番号を容易に把握できる。入力部材20の左右方向での幅は前後方向での幅よりも大きくてもよい。そのため、入力部材20の後縁の長さは、入力部材20の右縁や左縁よりも長い。このため、隣り合う2つの第1発光部E1の間隔を確保し易くなる。
【0107】
図19で示すように、第2発光部E2は、入力部材20の右縁と左縁とに沿って設けられてよい。これにより、入力部材20の外縁が発光部E1・E2で取り囲まれることとなり、発光部E1・E2の視認性を向上し、入力デバイス10の外観も向上できる。
【0108】
なお、発光部E1・E2の配置は入力デバイス10の例に限られない。例えば、入力部材20の右縁と左縁のそれぞれに沿って複数の第1発光部E1が配置され、入力部材20の後縁に沿って第2発光部E2が配置されてもよい。
【0109】
図20に示すように、第1発光部E1を光らせる第1光源S1は、入力部材20に設けられている。より具体的には、第1光源S1は入力部材20を構成する回路基板22に実装されている。複数の第1光源S1が回路基板22の後縁に沿って並んでいる(図19参照)。第1光源S1はLEDで構成される。第1光源S1は単色のLEDであってもよいし、発光色の異なる複数のLEDを含み、任意の色で発光させることができてもよい。入力部材20のフレーム24は、第1光源S1に対応する位置に貫通孔24aを有している。第1光源S1の光は貫通孔24aを通過して、光拡散部材71に入射し光拡散部材71を光らせる。この光る部分が第1発光部E1である。
【0110】
一方、第2発光部E2を光らせる第2光源S2は、図20で示すように、入力部材20から下方に離れている回路基板61に実装されている。第2光源S2の光は導光部材72を通して光拡散部材71の左右の側部71bに案内される。第2光源S2は、回路基板61の左右方向での中心に配置されている。導光部材72は、図2及び図20で示すように、その後端に第2光源S2の前方に位置している入射面72aを有している。導光部材72はこの入射面72aから前方且つ右方に伸びている右導光部72bと、入射面72aから前方且つ左方に伸びている左導光部72cとを有している。図21Aで示すように、左右の導光部72b・72cの前部は、光拡散部材71の左右の側部71bの下方に位置している。左右の導光部72b・72cから出た光は、光拡散部材71の側部71bに入り、この側部71bを光らせる。したがって、この側部71bが第2発光部E2として機能している。
【0111】
導光部材72を利用することで、入力部材20の右縁と左縁とに沿って設けられている第2発光部E2を1つの第2光源S2で光らせることができ、入力デバイス10の部品数を削減できる。
【0112】
図2及び図21Aで示すように、左右の導光部72c・72bの前部は反射部材73によって支持されている。反射部材73は導光部72c・72bの下側に配置されており、導光部72c・72bから下側に出た光を反射し、上側に向ける。導光部72c・72bの下面には、導光部72c・72b内を進む光を上側に反射させるための複数の凹部21e(図21A参照)が形成されてよい。
【0113】
図21Aで示すように、導光部72c・72bの上側にはフレーム51が配置されている。フレーム51には貫通孔51iが形成されている。導光部72c・72bから上側に出た光はこの貫通孔51iを通過して、フレーム51の上側に配置されている光拡散部材71の側部71bに入射する。
【0114】
このように入力デバイス10においては、光源S1・S2が取り付けられる基板が入力部材20の回路基板22と回路基板61とに分けられている。このため、光源S1・S2の位置についての自由度が増し、その結果、発光部E1・E2の位置の自由度を確保できる。
【0115】
なお、光源S1・S2の配置は入力デバイス10の例に限られない。例えば、第1発光部E1が入力部材20の右縁と左縁とに沿って設けられる場合、第1光源S1は入力部材20の回路基板22の右縁と左縁とに実装されてよい。この場合、第2光源S2は回路基板22の後縁に沿って配置されてよい。
【0116】
[光拡散部材]
光拡散部材71は、図2で示すように、四角い枠形状であり、入力部材20の外縁を取り囲んでいる。光拡散部材71は、入力部材20の後縁に沿って配置される後部71aと、入力部材20の右縁と左縁とに沿って配置される側部71bと、入力部材20の前縁に沿って配置される前部71cとを有している。光拡散部材71は、例えば樹脂で一体的に形成される。光拡散部材71は、入射した光を内部で拡散させ、光拡散部材71の広い範囲から出す部材である。
【0117】
光拡散部材71の形状はこれに限られない。光拡散部材71は例えば前部71cを有していなくてもよい。また、光拡散部材71は一体的に形成されていなくてもよい。例えば、光拡散部材71の右側の側部71bと左側の側部71bは別個に成形されていてもよい。
【0118】
図21Bで示すように、光拡散部材71の側部71bは光を出す発光面71eを有している。発光面71eは、左右の側部71bに形成されている。発光面71eは、上キャビネット部41に形成されている開口41hの内縁41iと入力部材20の外縁との間の隙間で露出している第1領域71gと、入力部材20の外縁より内側に位置し入力部材20の外周部21aの下方に位置している第2領域71hとを有している。この構造によると、上キャビネット部41の開口41hの内縁41iと入力部材20の外縁との間の隙間を拡大することなく、発光面71eの面積(幅)を増すことができる。その結果、発光面71eを目立たせることができ、入力デバイス10の外観をより向上できる。
【0119】
図21Bで示すように、発光面71eと入力部材20の外縁との間に上下方向での隙間G1が形成されているとよい。こうすることによって、ユーザは発光面71eの下縁71iまで見ることが容易となる。また、この隙間G1によって入力部材20の上下動が許容される。そのため、入力部材20を押しボタンとして機能させることができる。
【0120】
図21Bで示すように、光拡散部材71の上部71kは上キャビネット部41の開口41hの内縁に向いている斜面71jを有している。発光面71eと入力部材20の外縁との間の隙間G1は、斜面71jと開口41hの内縁との間の隙間よりも大きい。
【0121】
図21Bで示すように、光拡散部材71の側部71bの頂部(発光面71eの上縁)は入力部材20の上面(表面パネル21の上面)よりも低い。また、側部71bの頂部は、上キャビネット部41の上面よりも低い。このため、入力部材20の外縁と、上キャビネット部41の開口41hの内縁41iとの間に溝が形成されている。入力部材20はこの溝によって囲まれている。
【0122】
図21Bで示すように、発光面71eは第1領域71gと第2領域71hとにおいて傾斜し、入力部材20の外縁の内側に向かって下がっている。このため、ユーザは入力デバイス10を傾けると、発光面71eの下縁71iまで視認可能となる。
【0123】
図21Bで示すように、入力部材20の外周部21aは、傾斜している発光面71eと向き合っている斜面21bを有してよい。こうすることによって、ユーザは発光面71eの下縁71iまで見ることが容易となる。
【0124】
光拡散部材71は、発光面71eが形成されている上部71kと上部71kから下方に伸びている壁部71mを有している。壁部71mは、入力部材20のフレーム24の下面の高さを超えてさらに下方に伸び、回路基板61等が取り付けられているフレーム51に達している。フレーム51の貫通孔51iを通過した光は、この壁部71mに入射し、これによって光拡散部材71の発光面71eが光る。なお、壁部71mの外面には遮光部材74が設けられていてもよい。遮光部材74によって意図しない位置から光が漏出することを防ぐことができる。壁部71mには、遮光部材74に替えて、或いは遮光部材74とともに反射部材が設けられてもよい。
【0125】
上述したように、入力部材20は上下動可能であり、ボタンとして機能する。一方、光拡散部材71は、上キャビネット部41に固定されている。従って、入力部材20を押したときに、発光面71eは動かない。これによって 例えば、入力部材20が光の中で上下動している演出が可能となる。
【0126】
図2で示すように、光拡散部材71は、例えば側部71bから側方に伸びている被取付部71nを有している。被取付部71nは例えば螺子などの固定具によって上キャビネット部41の下面に取り付けられる。光拡散部材71の取付構造は、入力デバイス10の例に限られない。光拡散部材71はフレーム51に取り付けられていてもよい。
【0127】
図21Aで示すように、光拡散部材71の側部71bの上部71kは、発光面71eを有し上部71kの頂部から斜め下方に伸びている内壁部71pを有している。入力部材20のフレーム24は側方に突出している被ストッパ部24bを有している。内壁部71pの下縁は被ストッパ部24bの上側に位置しており、入力部材20の上方への抜けを規制するストッパ部として機能している。このように、光拡散部材71をストッパ部として利用することによって、部品数を低減できる。
【0128】
図20で示すように、光拡散部材71の後部71aも、ストッパ部として機能する凸部71rを有してもよい。凸部71rはフレーム24の後縁に係合し、入力部材20の上方への動きを規制している。
【0129】
図20で示すように、光拡散部材71の前部71cは入力部材20の前方に位置している。詳細には、前部71cは、入力部材20のフレーム24の前方に位置している。これによって、光拡散部材71の前部71cは、入力部材20の前方への抜けを規制するストッパとして機能している。
【0130】
入力デバイス10の例では、光拡散部材71の前部71cは、入力部材20の前縁21fとキャビネット40の縁(下キャビネット部42の上縁42d)との隙間から前方に露出している。光拡散部材71の側部71bに入った光は、光拡散部材71の内部で拡散され、前部71cを光らせてもよい。
【0131】
[まとめ]
以上説明したように、入力デバイス10は、上下方向で組み合わされる上キャビネット部41と下キャビネット部42とを有しているキャビネット40と、上キャビネット部41と下キャビネット部42とを固定している螺子49bと、キャビネット40の外面に取り付けられ、螺子49bを覆っているカバー45とを有している。キャビネット40の外面は、カバー側部45R・45Lに隣接しカバー45によって覆われない露出領域を有している。露出領域におけるキャビネット40の外面とカバー側部45R・45Lの外面との間に段差Nが形成され、カバー45の外面は露出領域におけるキャビネット40の外面に対して凹んでいる。この入力デバイスによれば、螺子49bがカバー45によって覆われるので、入力デバイス10の外観を向上できる。また、カバー45の外面がキャビネット40の外面に対して凹んでいるので、観察者が見たときにカバー45がカバーとして認識されにくい。そのため、入力デバイス10の外観をさらに向上できる。
【0132】
また、入力デバイス10は、入力デバイス10の左部である左被保持部10Lと、入力デバイス10の右部である右被保持部10Rと、上下方向で組み合わされる上キャビネット部41と下キャビネット部42とを有しているキャビネット40と、上キャビネット部41と下キャビネット部42とを固定している螺子49bと、キャビネット40の外面に取り付けられ、螺子(固定具)49bを覆っているカバー45とを有している。螺子49bは左右の被保持部10R・10Lのそれぞれに設けられ、カバー45は、右被保持部10Rの螺子49bを覆う固定具カバー45aと、左被保持部10Lの螺子49bを覆う固定具カバー45aと、左右の固定具カバー45aをつなぐ中央部45Mとを有している。この入力デバイス10によれば、螺子49bがカバー45によって覆われるので、入力デバイス10の外観を向上できる。また、この入力デバイス10によると部品数も低減できる。
【0133】
入力デバイス10は、第1マイクロフォン8Aと、第1マイクロフォン8Aを収容しているキャビネット40と、キャビネット40に形成され、第1マイクロフォン8Aに繋がっている第1音孔V1と、ユーザが指で操作する入力部材として入力ボタン35や方向キー19などを有している。キャビネット40の外面(下キャビネット部42の外面)は、第1音孔V1を取り囲む1又は複数の壁部(保護凹部42fの内面や保護凸部42hの側面)を有している。この入力デバイス10によると、指が第1音孔V1の開口端の全体を閉じることが少なくなるので、第1音孔V1への指の接触に起因するノイズを低減できる。
【0134】
また、入力デバイス10は、開口43aが形成されているキャビネット40と、開口43aの内側で動くことのできる入力スティック31と、開口43aの内縁と入力スティック31の外周面のうちの一方に設けられ、開口43aの内縁の材料及び入力スティック31の外周面の材料とは異なる材料で形成されている緩衝部材46とを有している。この入力デバイス10によると、マイクロフォン8A・8Bで取得する音声データにおいてノイズの発生を抑えることができる。
【0135】
また、入力デバイス10は、開口を有している上キャビネット部41と、開口の内側に位置し、上下方向で動くことのできる入力ボタン35と、入力ボタン35を、その初期位置に向けて付勢する弾性材料で形成されているスイッチ36aと、緩衝部材37とを有している。入力ボタン35は、開口からの入力ボタン35の飛び出しを規制する被ストッパ部35b・35cを有している。緩衝部材37は上キャビネット部41の材料及び入力ボタン35の材料とは異なる材料で形成され、上キャビネット部41の開口の内縁と入力ボタン35の被ストッパ部35b・35cとの間に位置しているストッパ部37a・37bとを有している。この入力デバイス10によると、入力ボタン35の操作音に起因してマイクロフォン8A・8Bで取得する音声データにノイズが発生することを、効果的に抑えることができる。
【0136】
また、入力デバイス10では、回路基板61とフレーム51との間にダンパー68が配置されている。この入力デバイス10によると、マイクロフォン8A・8Bで取得する音声データにノイズが生じることを防ぐことができる。
【0137】
入力デバイス10の上面には、中央領域に配置される入力部材20が設けられる。入力デバイス10の上面は、入力部材20の外縁に沿って形成されている発光領域Esを有している。発光領域は、情報処理装置に接続される複数の入力デバイス10に割り振られる識別情報を示す第1発光部E1と、識別情報とは異なる情報に基づいて発光する第2発光部E2とを含んでいる。これによれば、第1発光部E1と第2発光部E2とについて視認性を向上できる。
【0138】
入力デバイス10は、開口が形成されている上キャビネット部41と、ユーザの指が触れる上面を有し、開口の内側に配置されている入力部材20と、入力部材20の外縁に沿って配置されている発光面71eを有している光拡散部材71とを有している。発光面71eは、上キャビネット部41の開口の内縁と入力部材20の外縁との間の隙間で露出している第1領域71gと、入力部材20の外縁より内側に位置し入力部材20の外周部21aの下方に位置している第2領域71hとを有している。これによって、入力部材20の外縁と開口41hの内縁との間の隙間を変えることなく、発光面71eの顕著性を向上でき、入力デバイス10の外観をより向上できる。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B