(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】刺激の強い化学物質を包装するための水溶性単位用量フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240515BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEX
B65D65/46
(21)【出願番号】P 2022517392
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 US2020053608
(87)【国際公開番号】W WO2021067482
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508122415
【氏名又は名称】モノソル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ナイト, ジョナサン
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533992(JP,A)
【文献】特表2006-502292(JP,A)
【文献】特開昭60-158245(JP,A)
【文献】特表2004-518784(JP,A)
【文献】特開2017-082172(JP,A)
【文献】米国特許第04481326(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0226298(US,A1)
【文献】特開平07-118407(JP,A)
【文献】特表2013-518010(JP,A)
【文献】特表2019-513871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/18
B65D 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール(PVOH)およびポリビニルピロリドン(PVP)および可塑剤
の水溶性混合物を含む水溶性フィルムであって、
前記PVOHおよび前記PVPが、それぞれ重量で2.3:1から重量で19:1の比で存在し、前記PVOHが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)修飾PVOHまたはマレエート修飾PVOHを含み、
前記PVOHが、1mol%から10mol%の範囲内の修飾度を有し
、
前記可塑剤が、前記水溶性フィルムの総重量の15重量%以下の量で存在
し、そして
前記PVPが、500,000g/molから400万g/molの範囲内の平均分子量を有する、
水溶性フィルム。
【請求項2】
前記PVOHおよび前記PVPが、それぞれ重量で3:1から重量で8:1、または重量で3:1から重量で7.5:1、または重量で4.5:1から重量で7:1、または重量で5.5:1から重量で7:1の比で存在する、請求項1に記載の水溶性フィルム。
【請求項3】
前記PVPが、3,000g/molから500万g/molの範囲内の重量平均分子量を有する、請求項1または2に記載の水溶性フィルム。
【請求項4】
前記PVPが
、100万g/molから300万g/molの範囲内の重量平均分子量を有する、請求項3に記載の水溶性フィルム。
【請求項5】
前記マレエート修飾PVOHが、マレエートモノマー単位当たり2個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり1.5個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり1個のペンダントカルボキシレート基を有するマレエートモノマー単位を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項6】
前記PVOHが、80%から98%、もしくは85%から95%、もしくは88%から92%の範囲内または90%の加水分解度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項7】
酸スカベンジャーをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項8】
前記酸スカベンジャーが、N-ビニルピロリドン、メタ重亜硫酸ナトリウム、活性化オレフィン、アリル化合物、エチレン含有化合物、第四級アンモニウム化合物および第三級アミン含有化合物の群から選択される1つまたは複数である、請求項7に記載の水溶性フィルム。
【請求項9】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項10】
前記抗酸化剤が、没食子酸プロピル、クエン酸、没食子酸、フェノール性化合物、ヒンダードアミン、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび酢酸亜鉛の群から選択される1つまたは複数である、請求項9に記載の水溶性フィルム。
【請求項11】
1つまたは複数の酸スカベンジャーおよび1つまたは複数の抗酸化剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の酸スカベンジャーがメタ重亜硫酸ナトリウムを含み、前記1つまたは複数の抗酸化剤が没食子酸プロピルおよび没食子酸を含む、請求項11に記載の水溶性フィルム。
【請求項13】
前記可塑剤が、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、エタノールアミンおよびマルチトールの群から選択される1つまたは複数である、請求項1~12のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項14】
前記可塑剤が、グリセロール、マルチトールおよびトリメチロールプロパンの群から選択される1つまたは複数である、請求項1~13のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項15】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項16】
前記界面活性剤が、第四級アンモニウム塩および四級化ポリオキシエチレン化アミンの1つまたは複数を含む、請求項15に記載の水溶性フィルム。
【請求項17】
前記水溶性フィルムが、25μmから100μm、または30μmから70μm、または40μmから60μmの範囲内の厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項18】
前記水溶性混合物が、PVOHホモポリマーおよびPVOHコポリマーの群から選択される1つまたは複数の第2のポリビニルアルコールをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項19】
前記第2のPVOHが、アニオン性モノマー単位を含むPVOHコポリマーである、請求項18に記載の水溶性フィルム。
【請求項20】
前記アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル(MMM)、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸2-スルホエチル、加水分解N-ビニルピロリドン(NVP)、前述したもののいずれかのアルカリ金属塩および前述したもののいずれかのエステルの群から選択される1つまたは複数である、請求項19に記載の水溶性フィルム。
【請求項21】
前記アニオン性モノマー単位が、AMPS、加水分解NVP、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルおよび前述したもののアルカリ塩の群から選択される1つまたは複数である、請求項19または請求項20に記載の水溶性フィルム。
【請求項22】
前記アニオン性モノマー単位が、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸および前述したもののアルカリ塩の群から選択される1つまたは複数である、請求項19から21のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項23】
請求項1に記載の水溶性フィルムであって、前記水溶性混合物が、
マレエート修飾ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン(PVP)、可塑剤および抗酸化剤
の混合物であり、
前記マレエート修飾PVOHおよび前記PVPが、それぞれ6.5:1から7.5:1の重量比で存在し、前記マレエート修飾PVOHが、1.8mol%の量で存在するマレエートモノマー単位を含み、前記マレエート修飾PVOHが、マレエートモノマー単位当たり2個のペンダントカルボキシレート基を含み、前記ポリビニルピロリドンが、120万g/molから300万g/molの範囲内の重量平均分子量を有し、前記可塑剤が、2PHRから10PHRのグリセリンおよび2PHRから10PHRのトリメチロールプロパンを含み、前記抗酸化剤が、没食子酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含み、存在する抗酸化剤の総量が、2PHRから7PHRである、水溶性フィルム。
【請求項24】
前記フィルムが、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるトリクロロイソシアヌル酸(TCCA)または重硫酸ナトリウム(SBS)への曝露後、23℃の水中、MSTM205に従って300秒を超えない崩壊時間を有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項25】
MSTM205に従って試験した後の前記フィルムの残留物の表面積が、MSTM205に従って試験する前の前記フィルムの表面積の50%未満である、請求項24に記載の水溶性フィルム。
【請求項26】
前記フィルムが、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBSへの曝露後、3.5を超えない、または3.0を超えない、または2.5を超えないb
*値を維持する、請求項1~25のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項27】
前記フィルムが、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBSへの曝露後、少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも120%、または少なくとも150%、または少なくとも175%、または少なくとも200%の平均伸び率を維持する、請求項1~26のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
【請求項28】
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が請求項1~27のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを備える、小包と、
前記内部小袋容積内に含有される組成物と
を備える、水溶性単位用量物品。
【請求項29】
前記組成物が、刺激の強い化学物質を含む、請求項28に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項30】
前記刺激の強い化学物質が、酸、酸化剤および塩基の1つまたは複数を含む、請求項29に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項31】
前記刺激の強い化学物質が、塩素放出化合物である、請求項29または30に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項32】
前記酸が、重硫酸ナトリウム、シアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸および1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)の群の1つまたは複数を含む、請求項30に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項33】
前記酸化剤が、次亜塩素酸塩、ハロゲン化イソシアヌレート、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、ハロゲン化ヒダントイン、過ホウ酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシ酸および無機酸の群の1つまたは複数を含む、請求項30に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項34】
前記塩基が、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムの1つまたは複数を含む、請求項30に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項35】
前記刺激の強い化学物質が、非家庭用ケア組成物である、請求項29から34のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項36】
前記非家庭用ケア組成物が、農業用組成物、航空用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、海洋用組成物、医学用組成物、商業用組成物、軍事用および/または準軍事用組成物、オフィス組成物、レクリエーション用および/または公園用組成物、ペット用組成物ならびにプール用および/または水処理用組成物の群から選択される1つまたは複数である、請求項35に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項37】
前記非家庭用ケア組成物が、プール用および/または水処理用組成物である、請求項35または請求項36に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項38】
前記非家庭用ケア組成物における酸、酸化剤、塩基またはそれらの組合せの濃度が、前記非家庭用ケア組成物の総重量に基づき、50wt%から100wt%、または60wt%から100wt%、または70wt%から100wt%、または80wt%から100wt%、または90wt%から100wt%の範囲内である、請求項36または37に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項39】
前記小包が、前記外壁と接触している第1の層をさらに備え、前記第1の層が、酸スカベンジャーまたは抗酸化剤の1つまたは複数を含む、請求項28から38のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項40】
前記第1の層が、前記外壁の前記内部表面の少なくとも一部の上に設けられている、請求項39に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項41】
前記小包が、前記外壁と接触している第2の層をさらに備え、前記第2の層が、酸スカベンジャーおよび抗酸化剤の1つまたは複数を含む、請求項39から40のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項42】
前記第1の層が、前記外壁の前記内部表面の少なくとも一部の上に設けられており、前記第2の層が、前記外壁の前記外部表面の少なくとも一部の上に設けられている、請求項41に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項43】
前記酸スカベンジャーが、N-ビニルピロリドン、メタ重亜硫酸ナトリウム、活性化オレフィン、アリル化合物、カルボキシレート化合物、エチレン含有化合物、第四級アンモニウム化合物および第三級アミン含有化合物の群から選択される1つまたは複数である、請求項39から42のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項44】
前記抗酸化剤が、没食子酸プロピル、没食子酸、フェノール性化合物、ヒンダードアミン、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび酢酸亜鉛の群から選択される1つまたは複数である、請求項39から43のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項45】
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が請求項1から27のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを備える、小包と、前記内部小袋容積内に含有されるプール用および/または水処理用組成物とを備え、
前記小包が、酸スカベンジャーを含む第1の層を備え、前記第1の層が、前記外壁の前記内部表面の少なくとも一部の上または前記外壁の前記外部表面の少なくとも一部の上に設けられている、
水溶性単位用量物品。
【請求項46】
組成物をバルク水に投入するためのプロセスであって、
請求項28から45のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品を、前記バルク水と接触させ、それにより、前記水溶性フィルムの少なくとも一部を溶解させるステップと、
前記組成物を前記バルク水に放出するステップと
を含む、プロセス。
【請求項47】
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が請求項1から27に記載の水溶性フィルムを備える、小包と、前記内部小袋容積内に含有される家庭用ケア組成物とを備え、
前記家庭用ケア組成物が、2に等しいまたはそれ未満のpHを有する、
水溶性単位用量物品。
【請求項48】
前記水溶性単位用量
物品の長さが、5mmから250mm、または10mmから250mm、または25mmから250mm、または50mmから225mm、または100mmから225mm、または150から225mm、または175mmから225mmの範囲内であり、幅が、2mmから50mm、または5mmから45mm、または10mmから40mm、または15mmから35mm、または20mmから30mm、または5mmから28mmである、請求項47に記載の水溶性単位用量物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2019年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/908,581号の利益を主張するものであり、この米国仮特許出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本開示は、概して、水溶性フィルムおよび関連小包に関する。より特定すれば、本開示は、刺激の強い化学組成物を包装するための水溶性フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
水溶性ポリマー性フィルムは、送達される材料の、分散、注入、溶解および投入を簡略化するために、包装材料として一般的に使用される。消費者は、小袋入り組成物を、バケツ、シンクまたは洗濯機等の混合容器に直接添加することができる。有利なことに、これは、消費者が組成物を測定する必要性を排除しながら、正確な投入を提供する。加えて、水溶性ポリマー性フィルム包装は、別の方法で強い化学作用を消費者の手から隔てて、消費者を刺激の強い化学物質と接触することから保護することができる。小袋入り組成物は、組成物をボトルから注ぎ入れる等、同様の組成物を容器から分注することに関連するであろう面倒を低減させる場合もある。要約すると、可溶性の事前測定されたポリマー性フィルム小袋は、様々な用途において消費者使用の利便性および安全性を提供する。
【0004】
現在販売されている小袋を作製するために使用される一部の水溶性ポリマー性フィルムは、小袋成分(例えば、酸化剤、酸、塩基等)と相互作用し、これにより、特に貯蔵後に、小袋の特性、例えばフィルムの溶解度に影響を及ぼす。例えば、小袋は、プールおよび温泉用途において一般的に使用される化学物質等、その中の内容物と接触している場合に、時間の経過とともにフィルム溶解度の低減を実証し得る。そのような溶解度の低減は、例えば、小袋の内容物が分散された後に、有意な量の残っている残留物(例えば、50%よりも多い)をもたらし得る。別の種類の問題では、フィルムは変色し得る。別の種類の問題では、フィルムは、弾性が低くなり、より脆性になって、小袋または小包の時期尚早の破損および使用前の内容物の放出をもたらし得る。
【0005】
故に、当技術分野において、水溶性であり、許容される弾性、溶解度を維持し変色に抵抗することができる刺激の強い化学組成物を保持するための包装に形成され得る、水溶性フィルムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本明細書で提供されるのは、ポリビニルアルコール(PVOH)およびポリビニルピロリドン(PVP)の水溶性混合物を含む水溶性フィルムおよび/または水溶性単位用量物品、ならびにそれを使用する方法である。
【0007】
本開示の一態様は、ポリビニルアルコール(PVOH)およびポリビニルピロリドン(PVP)の水溶性混合物を含む水溶性フィルムであって、PVOHおよびPVPが、それぞれ重量で約3:1から重量で約19:1の比で存在し、PVOHが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)修飾PVOHまたはマレエート修飾PVOHを含む、水溶性フィルムを提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、外壁を備える小包であって、外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、外壁が本明細書で記述される通りの水溶性フィルムを備える、小包と、内部小袋容積内に含有される組成物とを備える、水溶性単位用量物品を提供する。
【0009】
本開示の別の態様は、組成物をバルク水に投入するためのプロセスであって、バルク水を、ここで記述される通りの水溶性単位用量物品と接触させ、それにより、水溶性フィルムの少なくとも一部を溶解するステップと、組成物をバルク水に放出するステップとを含む、プロセスを提供する。
【0010】
本開示の別の態様は、外壁を備える小包であって、外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、外壁が本明細書で記述される通りの水溶性フィルムを備える、小包と、内部小袋容積内に含有される家庭用ケア組成物とを備える、水溶性単位用量物品であって、家庭用ケア組成物が、2に等しいまたはそれ未満のpHを有する、水溶性単位用量物品を提供する。
【0011】
本開示の別の態様は、外壁を備える小包であって、外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、外壁が水溶性フィルムを備える、小包と、内部小袋容積内に含有される刺激の強い化学物質とを備える、水溶性単位用量物品であって、水溶性フィルムが、1mol%から4mol%のマレイン酸モノメチル修飾ポリビニルアルコール樹脂、可塑剤、界面活性剤および抗酸化剤を含み、可塑剤が、グリセロールおよびマルチトールを含み、20PHR未満の量で存在し、抗酸化剤が、メタ重亜硫酸ナトリウムを含み、2PHRから10PHRの範囲内の量で存在する、水溶性単位用量物品を提供する。
【0012】
本開示の理解をさらに容易にするために、6つの図を本明細書に添付する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、38℃および80%相対湿度(RH)雰囲気で6週間にわたって、刺激の強い化学物質に曝露された後の、種々のフィルムについての溶解時間(秒)の図表である。
【0014】
【
図2】
図2は、38℃および80%相対湿度(RH)雰囲気で6週間にわたって、刺激の強い化学物質に曝露された後の、種々のフィルムについての伸び率値(%)の図表である。
【0015】
【
図3】
図3は、38℃および80%相対湿度(RH)雰囲気で6週間にわたって、刺激の強い化学物質に曝露された後の、種々のフィルムについてのb
*の図表である。
【0016】
【
図4】
図4は、38℃および80%相対湿度(RH)雰囲気で刺激の強い化学物質に曝露された後の、種々のフィルムについての時間の経過に伴う溶解時間(秒)の折れ線グラフである。
【0017】
【
図5】
図5は、38℃および80%相対湿度(RH)雰囲気で刺激の強い化学物質に曝露された後の、種々のフィルムについての時間の経過に伴う残留物値(%)の折れ線グラフである。
【0018】
【
図6】
図6は、38℃および80%相対湿度(RH)雰囲気で刺激の強い化学物質に曝露された後の、種々のフィルムについての時間の経過に伴う伸び率値(%)の折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本明細書で提示される開示において、一態様は、ポリビニルアルコール(PVOH)およびポリビニルピロリドン(PVP)の水溶性混合物を含む水溶性フィルムを提供する。実施形態では、PVOHおよびPVPは、それぞれ重量で約3:1から重量で約19:1の比で存在する。実施形態では、PVOHは、AMPS修飾PVOHまたはマレエート修飾PVOHを含むことができる。
【0020】
本開示に従う水溶性フィルムは、1つまたはそれより多くの利点、例えば、刺激の強い化学物質の存在下での弾性および溶解度等の望ましいフィルム特性の保持、刺激の強い化学物質の存在下での分解に対する抵抗、ならびに/または着色に対する抵抗を提供するように設計され得る。
【0021】
刺激の強い化学物質は、強酸性もしくはアルカリ性である化学種、正の標準電極電位を有する化合物、および/または水分含有材料を乾燥させるような非常に吸湿性である化合物を含む。本明細書で使用される場合および別段の定めがない限り、「マレエート修飾PVOH」は、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキルおよび/または無水マレイン酸からなる群から選択されるモノマーとの重合から生じるモノマー単位を含むポリビニルアルコールを指す。
【0022】
本開示の別の態様は、内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、本明細書で記述される通りの水溶性フィルムを備える、外壁と、内部小袋容積内に含有される組成物とを備える、水溶性単位用量物品を提供する。実施形態では、組成物は、刺激の強い化学物質を含むことができる。
【0023】
本明細書で言及されるすべてのパーセンテージ、部および比は、事例によって、フィルム組成物の総乾燥重量または本開示の小包内容組成物の総重量に基づき、行ったすべての測定は、別段の定めがない限り、約25℃である。収載されている原料に関係するすべてのそのような重量は、活性レベルに基づき、したがって、別段の定めがない限り、市販の材料に含まれ得る担体も副産物も含まない。
【0024】
本明細書で明記されるすべての範囲は、範囲のすべての可能なサブセットおよびそのようなサブセット範囲のあらゆる組合せを含む。別段の記載がない限り、初期設定で、範囲は記載されたエンドポイントも含めたものである。値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限の間の各介在する値ならびにその記載された範囲内の任意の他の記載されたまたは介在する値が、本開示内に包括されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、記載された範囲における任意の具体的に除外される限界次第で、本開示内にも包括される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれている限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本開示の一部となることが企図されている。
【0025】
例えば、記述される主題または記述される主題に関連する範囲の一部のパラメーターとしての、本明細書で記述される任意の数値について、記述の一部を形成する代替は、具体的な数値周囲の機能的に同等の範囲である(例えば、「40mm」として開示される寸法について、企図されている代替的な実施形態は「約40mm」である)ことが明示的に企図されている。
【0026】
本明細書で使用される場合、小包および小袋という用語は、交換可能とみなされるべきである。ある特定の実施形態では、小包および小袋という用語は、それぞれ、フィルムを使用して作製されたコンテナ、およびその中に密封された材料を好ましくは有する完全に密封されたコンテナ、例えば測定用量送達システムの形態のものを指すために使用される。密封された小袋は、そのようなプロセスおよび特色、例を挙げると、熱密封、溶剤溶接および接着剤密封(例えば、水溶性接着剤の使用による)を含む、任意の好適な方法によって作製され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合および別段の定めがない限り、用語「wt.%」および「wt%」は、文脈に応じて事例によっては、フィルム中の残留水分(適用可能な場合、フィルムについて記述する際に)、または組成物全体もしくはコーティングの重量部を含む、フィルム全体の「乾燥」(非水)重量部での同定された要素の組成を指すことが意図されている。
【0028】
本明細書で使用される場合および別段の定めがない限り、用語「PHR」(「phr」)は、水溶性フィルム、またはフィルムを作製するために使用した溶液中における、100部の水溶性ポリマー樹脂(別段の定めがない限り、PVOHまたは他のポリマー樹脂のいずれであるかにかかわらず)当たりの部での、同定された要素の組成を指すことが意図されている。
【0029】
フィルムは、溶液鋳造法を含む任意の好適な方法によって作製され得る。フィルムからコンテナを形成する方法は、当技術分野において公知である。フィルムは、垂直形態、充填および密封(VFFS)または熱成形を含む任意の好適なプロセスによって、コンテナ(小袋)を形成するために使用され得る。フィルムは、例えばコンテナの周辺付近での、例えばフィルム層の溶剤密封または熱密封を含む任意の好適なプロセスによって、密封され得る。小袋は、送達される材料を、例えばバルク水中に投入するために使用され得る。
【0030】
フィルム、小袋および関連する使用方法は、別段の記載がない限り、以下でさらに記述する追加の必要に応じた要素、特色およびステップの1つまたは複数の任意の組合せを含む実施形態を含むことが企図されている。
【0031】
任意の実施形態では、水溶性小袋は、組成物を含有する(封入する)ことができる。組成物は、液体、固体、またはそれらの組合せから選択され得る。本明細書で使用される場合、「液体」は、自由流動液体、ならびにペースト、ゲル、フォームおよびムースを含む。ガス、例えば浮遊泡、または固体、例えば粒子は、液体内に含まれ得る。「固体」は、本明細書で使用される場合、粉末、凝集体、およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。固体の非限定的な例は、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードルおよび真珠光沢ボールを含む。
【0032】
本明細書で記述される水溶性フィルムは、PVOHおよびPVPを含む水溶性混合物を含むことができる。PVOHおよびPVPは、それぞれ重量で約3:1から約19:1の比で存在することができる。実施形態では、PVOHおよびPVPは、それぞれ重量で約3:1から重量で約19:1、または重量で約3:1から重量で約18:1、または重量で約5:1から重量で約18:1、または重量で約5:1から重量で約15:1、または重量で約6:1から重量で約15:1、または重量で約6.5:1から重量で約12:1、または重量で約6.5:1から重量で約10:1、または重量で約5:1から重量で約8:1、または重量で約5:1から重量で約7.5:1、または重量で約6.5:1から重量で約7.5:1の比で存在することができる。実施形態では、PVOHおよびPVPは、それぞれ重量で約3:1から重量で約19:1の範囲内、例を挙げると、重量で約3:1、4:1、5:1、5.5:1、6:1、6.5:1、6.6:1、6.7:1、6.8:1、7:1、7.5:1、8:1、8.5:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1または19:1の比で存在する。実施形態では、PVOHおよびPVPは、重量で約3:1から重量で約8:1、または重量で約3:1から重量で約7.5:1、または重量で約4.5:1から重量で約6:1の比で存在することができる。実施形態では、PVOHおよびPVPは、重量で約5:1から約8:1の比で存在することができる。実施形態では、PVOHおよびPVPは、約6.5:1から約7.5:1の比で存在することができる。実施形態では、PVOHおよびPVPは、重量で約4:1から約7:1の比で存在することができる。実施形態では、PVOHおよびPVPは、重量で約5.5:1から約7:1の比で存在することができる。
【0033】
本明細書で記述される通り、PVOHおよびPVPの組合せは、有利なことに、酸、酸化剤または塩基等の刺激の強い化学物質の存在下で、分解に対する抵抗を提供することができる。例えば、PVOHが唯一の樹脂として使用される場合、刺激の強い化学物質は、PVOHと反応して、フィルムを急速に分解することができる。対照的に、有利なことに、PVOHおよびPVPの組合せは、フィルムの分解を停止させるまたは少なくとも減速させることができることが分かった。理論に縛られることは意図しないが、PVPのピロリドン官能基は、酸トラップとして作用することができ、刺激の強い化学物質からのH+イオンと相互作用し、H+イオンがビニルアルコールのヒドロキシル単位の酸触媒排除を促進するのを妨げ、それにより、ポリビニルアルコールの分解を妨害すると考えられる。さらに、刺激の強い化学物質と接触している典型的なPVOHホモポリマーまたはコポリマーを含むフィルムは脆性になり得、何故なら、残留水および可塑剤が、刺激の強い化学物質の存在下でフィルムから移出し、故に、フィルムを完全に乾燥させ、フィルムを組成物の破損および時期尚早の放出に対してより脆弱にするポリマー鎖の移動度を低減させるからである。一部の事例では、刺激の強い化学物質は吸湿性であることができ、これは、水溶性フィルム配合物において一般的に使用される可塑剤等、極性溶媒およびフィルム成分の引き出しおよび吸収をもたらすことができる。刺激の強い化学物質は、グリセロール、ジグリセロール、PEG等の可塑剤を水溶性フィルムから吸収することができ、脆性および/または溶解度が乏しいフィルムをもたらす。しかしながら、有利なことに、フィルムにおけるPVOHコポリマーおよびPVPの組合せは、刺激の強い化学物質の存在下でフィルムが脆性になるのを阻害する。理論に縛られることは意図しないが、PVP/PVOHコポリマーフィルムのブレンドにおけるPVPの存在は、可塑剤と同様に作用し、鎖移動度を容易にするのに対し、フィルムからのPVPの移出は、鎖長および分子量によって妨害されて、フィルムが比較的少量の伝統的な可塑剤含有量を有する場合であっても、フィルムを柔軟なままにさせると考えられる。
【0034】
実施形態では、本開示の水溶性樹脂混合物に加えて、水溶性フィルムは、界面活性剤、着色剤、可塑剤、抗酸化剤、酸スカベンジャーまたは充填剤、例えば、酸スカベンジャーおよび可塑剤;界面活性剤、抗酸化剤および可塑剤;または界面活性剤、抗酸化剤、可塑剤および充填剤等の1つまたはそれより多くの追加の作用物質を必要に応じて含むことができる。メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸または没食子酸プロピルを含むがこれらに限定されない抗酸化剤をフィルムに添加して、フィルムを酸化剤から保護することができる。N-ビニルピロリドンまたはメタ重亜硫酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない酸スカベンジャーを添加して、強酸の存在下でフィルムの安定性を改善することができる。
【0035】
本明細書で記述される水溶性フィルムは、概して、マレエート修飾ポリビニルアルコール(PVOH)または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)修飾PVOHを含む。本開示の水溶性フィルムは、1つまたはそれより多くのポリビニルアルコール(PVOH)ホモポリマー、1つまたはそれより多くのポリビニルアルコールコポリマー、またはそれらの組合せをさらに含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「ホモポリマー」は、概して、単一種類のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマー繰り返し単位からなるまたは本質的になるポリマー鎖)を含む。PVOHの特定の事例では、用語「ホモポリマー」(または「PVOHホモポリマー」)は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位および酢酸ビニルモノマー単位の分布からなるコポリマー(例えば、ビニルアルコールおよび酢酸ビニルモノマー単位からなるまたは本質的になるポリマー鎖)を含むことができる。100%加水分解の限定的な事例において、PVOHホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する真のホモポリマーを含むことができる。
【0036】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルの、加水分解または鹸化と通常称されるアルコール分解によって概して調製された合成樹脂である。事実上すべてのアセテート基がアルコール基に変換された完全加水分解PVOHは、約140°F(約60℃)より高い温水中でのみ溶解する、強く水素結合している高度に結晶性のポリマーである。ポリ酢酸ビニルの加水分解後に十分な数のアセテート基を保持することが許される、すなわち、PVOHホモポリマーが部分加水分解されている場合、ポリマーは、より弱く水素結合しており、結晶性が低く、約50°F(約10℃)未満の冷水中で概して可溶性である。そのため、部分加水分解ポリマーはビニルアルコール-酢酸ビニルコポリマーであるが、一般にPVOHホモポリマーと称される。
【0037】
PVOHホモポリマーまたはコポリマーの粘度(μ)は、英国規格EN ISO 15023-2:2006付録Eブルックフィールド試験法で記述されている通り、ULアダプター付きのブルックフィールドLV型粘度計を使用して、新たに作製されたPVOH溶液を測定することによって決定される。20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を明言することは、国際的慣行である。本開示においてセンチポアズ(cPs)で指定されるすべての粘度は、別段の定めがない限り、20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すと理解されるべきである。同様に、樹脂が特定の粘度を有する(または有さない)として記述される場合、別段の定めがない限り、指定された粘度は、その樹脂の平均粘度であり、対応する分子量分布を本質的に有することができることが意図されている。
【0038】
PVOHの粘度は、PVOH樹脂の重量平均分子量
【化1】
と相関しており、多くの場合、粘度は、重量平均分子量の代理として使用されることが、当技術分野において周知である。実施形態では、PVOH樹脂は、約1.0から約50.0cPs、約1.0から約40.0cPs、または約1.0から約30.0cPs、例えば、約4cPs、8cPs、15cPs、18cPs、23cPsまたは26cPsの粘度を有し得る。実施形態では、PVOHは、約1.0から約30.0cPs、例えば、約1cPs、1.5cPs、2cPs、2.5cPs、3cPs、3.5cPs、4cPs、4.5cPs、5cPs、5.5cPs、6cPs、6.5cPs、7cPs、7.5cPs、8cPs、8.5cPs、9cPs、9.5cPs、10cPs、11cPs、12cPs、13cPs、14cPs、15cPs、17.5cPs、18cPs、19cPs、20cPs、21cPs、22cPs、23cPs、24cPs、25cPs、26cPs、27cPs、28cPs、29cPs、30cPs、31cPs、32cPs、33cPs、34cPsまたは35cPsの粘度を有し得る。実施形態では、PVOH樹脂は、約21~26cPsの粘度を有することができる。実施形態では、PVOH樹脂は、約5cPsから約14cPsの粘度を有することができる。
【0039】
実施形態では、水溶性フィルムのPVOHは、少なくとも約70%、80%、84%または85%および最大でも約99.9%、例えば、約70%から約99.9%、約75%から約95%、約85%から約88%、約88%から約90%、約84%から約89%、約85%から約99.7%、約85%から約95%、約87%から約98%、約89%から約99%、または約90%から約99%の範囲内、例えば、約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の加水分解度(DH)を有することができる。実施形態では、PVOHの加水分解度は、約89%から約93%または少なくとも96%である。DHは、具体的には、ポリ酢酸ビニルポリマーから(例えば、加水分解、鹸化を介して)除去されたアセテートの量の尺度であるが、PVOHポリマーまたはコポリマー上に残っているアセテートの量を理解するために最も一般的に使用される。アセテート基は、PVOHコポリマーの非晶質または非結晶性領域を形成する。したがって、近似として、DHが高くなるほど、PVOHコポリマーまたはPVOHコポリマーのブレンドの結晶化度は比較的高くなると明言することができる。PVOH樹脂が特定のDHを有する(または有さない)として記述される場合、別段の定めがない限り、指定されたDHは、PVOH樹脂の平均DHであることが意図されている。
【0040】
理論に縛られることなく、PVOHの加水分解度が増大するにつれて、PVOHおよび/またはそれから作製されたフィルムのハロゲンによる分解に対する抵抗は増大すると考えられる。さらに、理論に縛られることは意図しないが、PVOH樹脂の加水分解度が増大するにつれて、それから作製されたフィルムのポリマー鎖全体を通して異なるアルコール基間の水素結合は増大し、それにより、ポリマー主鎖への刺激の強い化学物質の透過を阻害し、最終的に、ポリマーおよび/またはそれから作製されたフィルムの分解を阻害することができる結晶化度の増大を提供すると考えられる。しかしながら、約70%またはそれよりも多い範囲内のDHを有する樹脂では、概して、加水分解度が増大するにつれて、得られたフィルムの冷水溶解度は減少する。故に、PVOHのDHは、刺激の強い化学物質に対する内因性抵抗および固有の溶解特性におけるバランスを提供するように選択され得る。
【0041】
実施形態では、水溶性樹脂混合物がマレエート修飾PVOHを含む、またはAMPS修飾PVOHが1つもしくはそれより多くの異なるPVOHホモポリマーおよび/もしくはPVOHコポリマーをさらに含む場合、PVOHホモポリマーおよび/またはPVOHコポリマーは、粘度、加水分解度または両方が異なっていてもよい。
【0042】
水溶性樹脂混合物は、ビニルアルコールモノマー単位、酢酸ビニルモノマー単位(すなわち、完全に加水分解されていない場合)および単一種類のアニオン性モノマー単位を含むPVOHターポリマーであることができるPVOHコポリマーを含むことができる(例えば、単一種類のモノマー単位が、アニオン性モノマー単位の同等の酸形態、塩形態および必要に応じてエステル形態を含むことができる場合)。一部の態様では、PVOHコポリマーは、2種類またはそれよりも多いアニオン性モノマー単位を含むことができる。PVOHコポリマーに使用され得るアニオン性モノマー単位の一般的なクラスは、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステルおよび無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステルおよび無水物、ならびに前述したもののいずれかのアルカリ金属塩に対応する、ビニル重合単位を含む。好適なアニオン性モノマー単位の例は、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸ジアルキル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、(アルキル)アクリレート、(メチル)アクリレート、ビニルスルホン酸、前述したもののアルカリ金属塩、前述したもののエステルおよび前述したものの組合せを含むがこれらに限定されないビニルアニオン性モノマーから生じるビニル重合単位を含む。実施形態では、アニオン性モノマー単位は、ビニル酢酸、(アルキル)アクリレート、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、シトラコン酸ジアルキル、無水シトラコン酸、メサコン酸、メサコン酸モノアルキル、メサコン酸ジアルキル、グルタコン酸、グルタコン酸モノアルキル、グルタコン酸ジアルキル、無水グルタコン酸、ビニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸2-スルホエチル、加水分解N-ビニルピロリドン、前述したもののアルカリ金属塩、前述したもののエステルおよび前述したものの組合せからなる群から選択され得る。特異的な種類のPVOHコポリマー樹脂は、1.5から4mol%の修飾、約16から約31cPsの粘度および約88~100の加水分解度を有するマレイン酸モノメチルコポリマー、ならびに2~4mol%の修飾、10~24cPsの範囲内の粘度および約88~100の加水分解度を有するAMPSコポリマーを含む。
【0043】
水溶性樹脂混合物がPVOHコポリマーを含む場合、PVOHコポリマーの修飾度は、特に限定されない。実施形態では、PVOHコポリマーは、約1mol%から約10mol%、約1mol%から約8mol%、約1mol%から約5mol%、約2mol%から約6mol%、約3mol%から約5mol%、または約1mol%から約3mol%の範囲内(例えば、種々の実施形態では、少なくとも約1.0、1.5、1.8、2.0、2.5、3.0、3.5または4.0mol%および約3.0、4.0、4.5、5.0、6.0、8.0または10mol%まで)の量の修飾度を有することができる。
【0044】
概して、AMPS修飾PVOHコポリマーまたはマレエート修飾PVOHコポリマーは、1つまたはそれより多くの利点を提供するように選択され得る。例えば、AMPSまたはマレエート修飾PVOHは、PVOHフィルムに損傷を与えることができる酸、酸化剤および塩基等の刺激の強い化学物質に対する抵抗の改善を提供することができる。理論に縛られることは意図しないが、AMPSおよび/またはマレエート修飾は、PVOHの酸誘発性架橋を阻害することができ、これにより、フィルムの水への溶解度の低減を引き起こすおよび/またはフィルムを不必要に黄変させ得る酸/塩基誘発性ポリエン形成(縮合反応)を阻害することができると考えられる。さらに、AMPSおよびマレエート修飾は、得られたフィルムに、1つまたはそれより多くの利点、例えば、溶解時間の低減をもたらすフィルムにおける結晶性領域の低減を提供することができる。
【0045】
例えばマレエート修飾PVOH等の、ペンダントカルボキシル基を有するPVOHコポリマーは、隣接するペンダントカルボキシルおよびアルコール基の間にラクトン環を形成することができ、故に、PVOHコポリマー樹脂の水溶解度を低減させることが、当技術分野において理解されている。強塩基の存在下、ラクトン環は、比較的暖かい(周囲)および高湿度条件で数週間の過程にわたって開くことができる(例えば、水溶解度の増大を伴う、対応するペンダントカルボキシルおよびアルコール基を形成するためのラクトン開環反応を介して)。故に、そのようなPVOHコポリマーフィルムは、貯蔵中、フィルムと小袋内側のアルカリ性組成物との間の化学的相互作用によって、より可溶性になることができると考えられる。実施形態では、マレエート修飾PVOHは、修飾PVOHが、マレエートモノマー単位当たり約2個のペンダントカルボキシレート基を有するように、ラクトン環を実質的に含まない。実施形態では、マレエート修飾PVOHは、マレエートモノマー単位当たり約1.5個のペンダントカルボキシレート基から2個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.2個のペンダントカルボキシレート基から約2個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1個のペンダントカルボキシレート基から約2個のペンダントカルボキシレート基、例を挙げると、マレエートモノマー単位当たり約2個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.9個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.8個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.7個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.6個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.5個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.2個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1個のペンダントカルボキシレート基を含むことができる。
【0046】
上記で注記した通り、従来の水溶性PVOHフィルムは、塩素化殺菌剤ならびに他の酸化化学物質、酸およびある特定の塩基等の刺激の強い化学物質の存在下で、分解する傾向を有する。過度の酸化は、フィルムを水に不溶性にさせ、故に、フィルムを単位用量包装剤に無効なものにする。理論に縛られることは意図しないが、ある特定の刺激の強い化学物質によって生成された次亜塩素酸塩イオンは、PVOHコポリマーフィルム中のペンダント-OH部分を酸化させて、ポリマー主鎖上にカルボニル基を作成すると考えられる。カルボニル基は、酸性アルファ水素を作成することから、ポリエン形成(および黄変)に向かう中間ステップである。カルボニル基は、鎖切断への中間体でもある。加えて、ある特定の刺激の強い化学物質によって生成された塩酸は、ヒドロキシル基と反応して、ポリマー主鎖中に不飽和結合を作成し得、これが、水への溶解度の減少およびフィルムにおける変色を引き起こすことができる。いずれの場合も、ペンダント-OH基の除去は、フィルムをますます水に不溶性にする。
【0047】
実施形態では、水溶性混合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)を含むことができる。ポリビニルピロリドンは、モノマーN-ビニルピロリドンを重合させることによって作製された合成樹脂である。PVPポリマーの分子量の決定に専念してきた多くの研究がある。低分子量ポリマーは、高分子量化合物よりも狭い分布曲線の分子実体を有する。種々のPVPポリマー生成物の分子量を測定するための技術の一部は、絶対分子量分布を決定するための、沈降の測定、光散乱、浸透圧測定法、NMR分光法、沸点上昇法(ebullimometry)およびサイズ排除クロマトグラフィーに基づく。これらの方法の使用により、3つの分子量パラメーター、すなわち、数平均(Mn)、粘度平均(Mv)および重量平均(Mw)のいずれか1つが測定され得る。これらの特徴のそれぞれは、同じポリマーについて異なる回答を産出することができる。したがって、文献の任意の総説では、どの分子平均が引用されているかを知らなくてはならない。
【0048】
実施形態では、ポリビニルピロリドンは、少なくとも約3,000g/molの重量平均分子量
【化2】
を有することができる。種々の実施形態では、PVPは、約3,000g/molから約500万g/molの範囲内の
【化3】
を有することができる。一部の実施形態では、PVPは、約30,000g/molから約500万g/mol、または約60,000g/molから500万g/mol、または約80,000g/molから約500万g/mol、または約100,00g/molから約500万g/mol、または約150,000g/molから約400万g/mol、または約200,000g/molから約400万g/mol、または約500,000g/molから約400万g/mol、または約100万g/molから約300万g/molの範囲内の
【化4】
を有することができる。実施形態では、PVPは、約120万g/molから約300万の
【化5】
を有することができる。種々の実施形態では、PVPは、約3,000g/molから約500万g/molの範囲内、例を挙げると、約3,000g/mol、5,000g/mol、10,000g/mol、30,000g/mol、50,000g/mol、100,000g/mol、200,000g/mol、500,000g/mol、100万g/mol、200万g/mol、300万g/mol、400万g/molまたは500万g/molの
【化6】
を有することができる。重量平均分子量は、当業者により、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(ゲル浸透クロマトグラフィー)等の方法によって、決定され得る。PVP樹脂が、特定の分子量を有する(または有さない)として記述される場合、別段の定めがない限り、指定された分子量は、その樹脂の平均分子量であり、対応する分子量分布を本質的に有することが意図されている。
【0049】
理論に縛られることは意図しないが、本明細書で開示される通りの高MwPVPポリマーは、フィルムが乾燥および/または吸湿性成分と接触している場合にフィルムからの移出に対して抵抗性であることから、有利であると考えられる。Mwが高くなるほど、個々のポリマー鎖がより絡み合うようになり得、それによって、PVP鎖は、フィルムの他の成分から分離し、フィルムから移出する可能性が低くなると考えられる。
【0050】
PVPポリマーは、本明細書で記述される水溶性フィルム樹脂に添加された場合に、いくつかの利点を提供することができる。例えば、理論に縛られることは意図しないが、PVPポリマーのピロリドン官能基は、刺激の強い化学物質からのH+イオンと相互作用する酸トラップとして作用することができ(スキーム1において以下で示される)、それにより、ポリビニルアルコールの酸誘発性架橋を妨害すると考えられる。さらに、刺激の強い化学物質と接触しているPVOHホモポリマーまたはコポリマーフィルムは、典型的には、時間の経過とともに脆性になり、なぜなら、刺激の強い化学物質は、フィルムから水および/または可塑剤を引き出すからである。刺激の強い化学物質は、吸湿性であることができ、これにより、水溶性フィルム配合物において可塑剤として一般的に使用される等、他の極性溶媒および材料の吸収をもたらすことができる。しかしながら、有利なことに、本明細書で記述されるフィルムにおけるPVOHコポリマーおよびPVPの組合せは、刺激の強い化学物質の存在下でフィルムが脆性になることを妨げるのを助けることができる。本明細書で記述されるフィルムにおけるPVPは、可塑剤と同様に作用することができるが、刺激の強い化学物質によるフィルムの引き出しに対して抵抗性である。PVPは、本明細書のフィルムが比較的少量の伝統的な可塑剤含有量および水含有量を含む場合であっても、フィルムが柔軟性を維持するのを可能にすることもできる。
【0051】
【0052】
実施形態では、AMPS修飾PVOHコポリマーまたはマレエート修飾PVOHコポリマーおよびPVPを含む本明細書で記述される通りの水溶性フィルム、ならびに組合せは、1つまたはそれより多くの利点を提供することができる。例えば、水溶性フィルム中のPVPとブレンドされたAMPSまたはマレエート修飾PVOHは、水溶性フィルムに損傷を与える酸、酸化剤および塩基等の刺激の強い化学物質に対する抵抗の改善を供与することができる。さらに、組合せは、フィルムをトリクロロイソシアヌル酸(TCCA)または重硫酸ナトリウム(SBS)組成物に38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたって曝露することにより決定された通り、良好な長期貯蔵特性を有するフィルムを提供することができる。そのようなフィルムは、23℃の水中、MSTM205に従って300秒を超えない崩壊時間を実証することができ、出発フィルムおよび23℃の水中、MSTM-205に従って試験した後のフィルムの表面積に基づき、50%を超えないフィルム残留物を残し、少なくとも90%の平均伸び率を維持し、そして/または3.5を超えないb*値を維持する。TCCAは、当技術分野における最も刺激の強い酸化剤の1つであるとみなされ、したがって、すべての刺激の強い化学物質の良好な代理である。38℃および80%RH雰囲気は、水溶性フィルムを、4ミル高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムから調製された二次包装内に、刺激の強い化学物質と接触させて包装することによって維持した。
【0053】
水溶性樹脂混合物は、ポリビニルアルコール、水溶性アクリレートコポリマー、ポリエチレンイミン、プルラン、グアーガム、アカシアガム、キサンタンガム、カラギーナンおよびデンプンを含むがこれらに限定されない水溶性天然ポリマー、水溶性ポリマー修飾デンプン、前述したもののコポリマー、または前述したもののいずれかの組合せを含むがこれらに限定されない、1つまたはそれより多くの水溶性ポリマーをさらに含むことができる。さらに他の水溶性ポリマーは、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリルアミド、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸およびその塩、ポリアミノ酸、ポリアミド、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、または前述したもののいずれかの組合せを含むことができる。そのような水溶性ポリマーは、様々な供給源から市販されている。一種の実施形態では、追加のポリマーの種類および/または量は、刺激の強い化学物質に対する抵抗をあまり有さない水溶性フィルムをもたらすことにはならない。
【0054】
実施形態では、水溶性混合物は、第2のPVOHをさらに含むことができる。第2のPVOHは、PVOHホモポリマー、コポリマー、またはそれらの組合せを含むことができる。実施形態では、第2のPVOHは、上述した通りのアニオン性モノマー単位を含むコポリマーを含むことができる。実施形態では、第2のPVOHは、AMPS、加水分解N-ビニルピロリドン(NVP)、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、それらのアルカリ塩およびそれらの組合せからなる群から選択されるアニオン性モノマー単位を含むことができる。実施形態では、第2のPVOHは、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸、それらのアルカリ塩およびそれらの組合せからなる群から選択されるアニオン性モノマー単位を含むことができる。
【0055】
実施形態では、水溶性フィルムは、1mol%から4mol%のマレイン酸モノメチル修飾ポリビニルアルコール樹脂、可塑剤、界面活性剤および抗酸化剤を含むことができる。実施形態では、水溶性フィルムは、ポリビニルピロリドンを含まない。実施形態では、可塑剤は、19PHR、18PHR、17PHR、16PHR、15PHR、14PHR、13PHR、12PHR、11PHR、10PHRまたは5PHR等、20PHR未満の量で存在する。実施形態では、抗酸化剤は、2PHR、3PHR、3.5PHR、4PHR、5PHR、6PHR、7PHR、8PHR、9PHRおよび10PHR等、2PHRから10PHRの範囲内の量で存在する。実施形態では、可塑剤は、グリセロールおよびマルチトールを含む。実施形態では、抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む。実施形態では、抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウムである。
【0056】
実施形態では、水溶性フィルムは、任意の好適な可塑剤を含むことができる。可塑剤は、材料(通常、樹脂またはエラストマー)に添加されて、材料をより軟らかく、より柔軟に(ポリマーのガラス転移温度を低下させることによって)または処理をより簡単にする、液体、固体または半固体である。加えてまたは代替で、ポリマーは、ポリマーまたはモノマーを化学的に修飾することによって、内部可塑化され得る。実施形態では、本明細書で記述される水溶性フィルムは、1つまたはそれより多くの可塑剤を含むことができる。実施形態では、可塑剤は、グリセロール、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400Da分子量までのポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール、キシリトール、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPDiol(登録商標))、エタノールアミン、グリセロールプロピレンオキシドポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なVoranolTM等)、またはそれらの混合物を含むことができる。本明細書の実施形態では、グリセロールおよび/またはトリメチロールプロパン等のより低レベルの低分子量極性可塑剤が、柔軟性、および標準的な設備を使用して物品に変換される能力を維持する手段として含まれる。
【0057】
水溶性フィルムが可塑剤を含む場合、可塑剤は、水溶性樹脂総重量に基づき、約1wt.%から約45wt.%、または約5wt.%から約35wt.%、または約7.5wt.%から約30wt.%、または約8wt.%から約20wt.%、または約8wt%から約12wt%の範囲内、例えば、約1wt.%、5wt.%、7.5wt.%、9wt%、10wt.%、15wt.%、17.5wt%または25wt.%で提供され得る。可塑剤の量は、PHRで特徴付けることもでき、水溶性フィルムは、可塑剤を、約2から約75PHR、約3から約60PHR、約3から約50PHR、約4から約40PHR、または約2から約20PHRの量で含むことができる。実施形態では、可塑剤は、約4から約40PHRの量で提供される。
【0058】
理論に縛られることは意図しないが、可塑剤は、柔軟なフィルムを維持することとフィルムマトリックス中への活性化学物質の移行とのバランスを保つように選択され得ると考えられる。さらに、理論に縛られることは意図しないが、フィルムの可塑化が増大するにつれて、フィルム中に移行する活性化学物質の能力は増大すると考えられる。理論に縛られることは意図しないが、フィルムのガラス転移温度が動作温度範囲の下端に近くなるほど、フィルム中への化学物質の移行に対するフィルムの抵抗は高くなると考えられる。故に、可塑剤の種類および量は、動作温度範囲の下端に近いガラス転移温度を有するフィルムを提供するように選択され得る。本明細書で使用される場合、「動作温度範囲」は、フィルムが、フィルムのライフサイクル中に、例えば、フィルムの貯蔵および消費者によるフィルムの使用に曝露されるであろう温度を指す。概して、動作温度範囲は限定されず、概して、約0℃から約40℃、または約5~10℃から約38~40℃の範囲内であることができる。
【0059】
実施形態では、本明細書の水溶性フィルムは、酸スカベンジャー、抗酸化剤またはそれらの組合せをさらに含むことができる。酸スカベンジャーおよび/または抗酸化剤は、それと接触している水溶性フィルムに対する刺激の強い化学物質の損傷効果を低減させるもしくは妨げる、例を挙げると、上述した通りの水溶性フィルムの分解を妨げるもしくは低減させ、水溶性フィルムの黄変を低減させるもしくは妨げ、そして/またはフィルムの引張強さにおける変化を阻害すると考えられる。理論に縛られることは意図しないが、水溶性フィルムにおける酸スカベンジャーおよび/または抗酸化剤は、フィルムの完全性を維持するために、PVOHまたはPVPが反応する前に、刺激の強い化学物質と相互作用することによってトラップとして作用することができる。さらに理論に縛られることは意図しないが、酸スカベンジャーまたは抗酸化剤の包含は、酸触媒加水分解および縮合反応を緩和し、次亜塩素酸の形態の次亜塩素酸塩の酸化活性を促進することができるフィルム環境における酸の量を低減させるのを助けるであろうと考えられる。
【0060】
実施形態では、酸スカベンジャーは、N-ビニルピロリドン、メタ重亜硫酸ナトリウム、活性化オレフィン、マレエート分子(例えば、マレイン酸およびその誘導体)、アリル化合物(例えば、アリル型アルコール、アリル型アセテート等)、エチレン含有化合物、第四級アンモニウム化合物、アミン(例えば、ピリジン、モノエタノールアミン、メチルアミン、アニリン)および第三級アミン含有化合物の1つまたは複数を含むことができる。実施形態では、酸スカベンジャーは、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む。酸スカベンジャーは、本明細書で記述されるフィルムに、約0.25PHRから約15PHRの範囲内、例えば、約0.25PHR、約0.5PHR、約0.75PHR、約1PHR、約1.5PHR、約2PHR、約2.5PHR、約3PHR、約3.5PHR、約4PHR、約5PHR、約5.5PHR、約6PHR、約6.5PHR、約7PHR、約8PHR、約9PHR、約10PHRまたは約15PHRの量で含まれ得る。実施形態では、酸スカベンジャーは、本明細書で記述されるフィルムにおいて、約3PHRから約7PHRの範囲内の量で提供される。
【0061】
実施形態では、水溶性フィルムは、抗酸化剤を、例えば塩化物スカベンジャーとして、さらに含むことができる。例えば、好適な抗酸化剤/塩化物スカベンジャーは、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、チオ硫酸塩、ヨウ化物、亜硝酸塩、カルバメート、アスコルビン酸塩およびそれらの組合せを含む。実施形態では、抗酸化剤は、没食子酸プロピル(PGA)、没食子酸、クエン酸(CA)、メタ重亜硫酸ナトリウム(SMBS)、カルバメート、アスコルビン酸塩およびそれらの組合せから選択される。実施形態では、抗酸化剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、没食子酸、フェノール性化合物、ヒンダードアミン、クエン酸、酢酸亜鉛およびそれらの組合せからなる群から選択される。実施形態では、抗酸化剤は、没食子酸プロピルを含むことができる。実施形態では、抗酸化剤は、没食子酸を含むことができる。実施形態では、抗酸化剤は、没食子酸プロピルおよび没食子酸を含むことができる。抗酸化剤は、フィルムに、約0.25から約10PHRの範囲内、例えば、約0.25PHR、約0.5PHR、約0.75PHR、約1PHR、約1.5PHR、約2PHR、約2.5PHR、約3PHR、約3.5PHR、約4PHR、約5PHR、約5.5PHR、約6PHR、約6.5PHR、約7PHR、約8PHR、約9PHRまたは約10PHRの量で含まれ得る。実施形態では、抗酸化剤は、フィルムにおいて、約2から約7PHRの範囲内の量で提供される。
【0062】
実施形態では、水溶性フィルムは、1つまたは複数の酸スカベンジャーおよび1つまたは複数の抗酸化剤を含むことができる。実施形態では、1つまたは複数の酸スカベンジャーは、メタ重亜硫酸ナトリウムを含むことができ、1つまたは複数の抗酸化剤は、没食子酸プロピルを含むことができる。実施形態では、1つまたは複数の酸スカベンジャーは、メタ重亜硫酸ナトリウムを含むことができ、1つまたは複数の抗酸化剤は、没食子酸を含むことができる。実施形態では、1つまたは複数の酸スカベンジャーは、メタ重亜硫酸ナトリウムを含むことができ、1つまたは複数の抗酸化剤は、没食子酸プロピルおよび没食子酸を含むことができる。本明細書のフィルムに含まれる抗酸化剤および酸スカベンジャーの総量は、約1PHRから約20PHRの範囲内、例えば、約1PHR、約1.5PHR、約2PHR、約2.5PHR、約3PHR、約3.5PHR、約4PHR、約5PHR、約5.5PHR、約6PHR、約6.5PHR、約7PHR、約8PHR、約9PHR、約10PHR、約12PHR、約15PHRまたは約20PHRであることができる。
【0063】
水溶性フィルムは、界面活性剤、滑沢剤、離型剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、粘着除去剤、泡防止剤(消泡剤)、層状ケイ酸塩型ナノクレイ(例えば、ナトリウムモンモリロナイト)等のナノ粒子、漂白剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム(SBS)他)、苦味剤(例えば、安息香酸デナトニウム、デナトニウムサッカリドおよび塩化デナトニウム等のデナトニウム塩;オクタ酢酸スクロース;キニーネ;ケルセチンおよびナリンゲン(naringen)等のフラボノイド;ならびにクアシンおよびブルシン等のクアシノイド)および辛味剤(例えば、カプサイシン、ピペリン、アリルイソチオシアネートおよびレシニフェラトキシン(resinferatoxin))等の嫌忌剤ならびに他の機能性原料等であるがこれらに限定されない他の助剤および加工剤を、それらの意図されている目的に好適な量で、さらに含有することができる。実施形態では、水溶性フィルムは、充填剤、界面活性剤、ブロック防止剤または前述したものの組合せを含み得る。
【0064】
水溶性フィルムにおいて使用するための界面活性剤は、当技術分野において周知である。必要に応じて、界面活性剤は、鋳造時に樹脂溶液の分散を支援するために含まれる。本開示の水溶性フィルムに好適な界面活性剤は、ジアルキルスルホコハク酸塩、グリセロールおよびプロピレングリコールの乳化脂肪酸エステル、脂肪酸の乳酸エステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、アルキルポリエチレングリコールエーテル、レシチン、グリセロールおよびプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸のアセチル化エステル、ミリスチルジメチルアミンオキシド、トリメチル獣脂アルキルアンモニウムクロリド、第四級アンモニウム化合物、それらの塩ならびに前述したもののいずれかの組合せを含むがこれらに限定されない。少なすぎる界面活性剤は、時に、孔を有するフィルムをもたらし得るのに対し、多すぎる界面活性剤は、フィルムの表面上に存在する過剰な界面活性剤由来の脂性または油性の感触を有するフィルムをもたらし得る。故に、界面活性剤は、水溶性フィルムに、約2phr未満、例えば約1phr未満、または例えば約0.8phr未満の量で含まれ得る。
【0065】
特定の実施形態では、水溶性フィルムにおいて使用される界面活性剤は、第四級アンモニウム界面活性剤、または塩基性でありヒンダードアミン特徴を含む他の界面活性剤であることができ、刺激の強い化学物質からの抗酸化剤保護を有利に提供することができる。例えば、ミリスチル(C14)ジメチルアミンオキシド、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム塩、またはそれらの組合せは、有利な抗酸化剤保護を持つフィルムを提供することができる。
【0066】
使用が企図されている二次成分の一種は、消泡剤である。消泡剤は、泡沫気泡の合体を支援することができる。本開示に従う水溶性フィルムに使用するための好適な消泡剤は、疎水性シリカ、例えば、Foam Blast(登録商標)327、Foam Blast(登録商標)UVD、Foam Blast(登録商標)163、Foam Blast(登録商標)269、Foam Blast(登録商標)338、Foam Blast(登録商標)290、Foam Blast(登録商標)332、Foam Blast(登録商標)349、Foam Blast(登録商標)550およびFoam Blast(登録商標)339を含むEmerald Performance Materialsから入手可能なFoam Blast(登録商標)消泡剤を含む、微粒子径の二酸化ケイ素またはフュームドシリカを含むがこれらに限定されず、これらは、独自の非鉱物油消泡剤である。例えば、本明細書の水溶性フィルムは、Foam Blast(登録商標)338を含む。実施形態では、消泡剤は、0.5phrまたはそれ未満、例えば、0.05phr、0.04phr、0.03phr、0.02phrまたは0.01phrの量で使用され得る。
【0067】
好適な充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着除去剤は、デンプン、修飾デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶性セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ステアリン酸およびそれらの金属塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムを含むがこれらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、修飾デンプンおよびシリカ、例えば、高アミロースデンプン、非晶質シリカ、ヒドロキシエチル化デンプン、またはそれらの組合せである。一種の実施形態では、水溶性フィルムにおける充填剤/増量剤/ブロッキング防止剤/粘着除去剤の量は、例えば、約0wt%から約10wt%、または約0wt.%から約8wt.%、または約0wt.%から約7.5wt.%、または約0PHRから約10PHR、または約1PHRから約8PHR、または約2PHRから約8PHRの範囲内であることができる。
【0068】
嫌忌剤は、水溶性フィルム内に組み込まれてもよいし、またはコーティングとして水溶性フィルムに塗布されてもよい。嫌忌剤は、その商業用形態から希釈された苦味等の嫌悪応答を引き起こす量で添加されてもよいし、あるいは他の水溶性フィルム成分と混合するまたはコーティングとして水溶性フィルムに塗布することを簡単にするための溶媒と別様に混合されてもよい。そのような溶媒は、水、低分子量アルコール(メタノール、エタノール等)または本明細書で開示される可塑剤から選択され得る。
【0069】
ブロック防止剤(例えば、SiO2および/またはステアリン酸)は、フィルムに、少なくとも0.1PHR、または少なくとも0.5PHR、または少なくとも1PHR、あるいは約0.1から5.0PHR、または約0.1から約3.0PHR、または約0.4から1.0PHR、または約0.5から約0.9PHR、または約0.5から約2PHR、または約0.5から約1.5PHR、または0.1から1.2PHR、または0.1から2.7PHRの範囲内、例えば、0.5PHR、0.6PHR、0.7PHR、0.8PHR、または0.9PHRの量で存在することができる。
【0070】
ブロック防止剤のための好適なメジアン粒径は、約3または約4ミクロンから約11ミクロン、または約4から約8ミクロン、または約5から約6ミクロンの範囲内、例えば、5、6、7、8または8ミクロンのメジアン径を含む。好適なSiO2は、水系における使用のために設計された未処置の合成非晶質シリカである。
【0071】
本明細書で記述される水溶性フィルムは、任意の好適な厚さを有することができる。実施形態では、水溶性フィルムは、15μmから150μm、または25μmから100μm、または30μmから70μm、または40μmから60μmの範囲内の厚さを有することができる。例えば、水溶性フィルムは、40μm、45μm、50μm、51μm、60μm、76μm、または88μmの厚さを有することができる。実施形態では、水溶性フィルムは、約25μmから約100μmの範囲内の厚さを有する。実施形態では、水溶性フィルムは、約30μmから約70μmの範囲内の厚さを有する。実施形態では、水溶性フィルムは、約50ミクロンの厚さを有する。
【0072】
外壁を備える小包であって、外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、外壁が本明細書の開示に従う水溶性フィルムを備える、小包と、内部小袋容積内に含有される組成物とを備える、水溶性単位用量物品が本明細書でさらに提供される。実施形態では、組成物は、刺激の強い化学物質を含むことができる。実施形態では、刺激の強い化学物質は、酸、酸化剤、塩基、またはそれらの組成物を含むことができる。実施形態では、刺激の強い化学物質は、酸を含むことができる。実施形態では、刺激の強い化学物質は、酸化剤を含むことができる。実施形態では、刺激の強い化学物質は、塩基を含むことができる。
【0073】
実施形態では、刺激の強い化学物質は、次亜塩素酸塩、次亜塩素酸、ハロゲン化イソシアヌレート、塩素酸塩、亜塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、ハロゲン化ヒダントイン、過ホウ酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシ酸、クエン酸、塩酸(muriatic acid)の1つまたは複数、ならびに、重硫酸ナトリウム(SBS)、シアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)および次亜塩素酸カルシウムの1つまたは複数等の無機酸を含むことができる。実施形態では、組成物は、トリクロロイソシアヌル酸等、酸および酸化剤の両方であることができる。
【0074】
実施形態では、刺激の強い化学物質は、塩素放出化合物を含むことができる。実施形態では、酸、酸化剤、塩基、またはそれらの組合せは、塩素放出化合物を含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「塩素放出化合物」は、水との接触時に塩素または塩化物を放出する化学物質のファミリーを指す。塩素放出化合物は、漂白材料、水消毒剤、医療機器消毒剤および他の消毒目的として一般的に使用される。
【0075】
一実施形態では、例えば、酸化剤は、次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等のハロゲン化イソシアヌレート、トリクロロイソシアヌル酸、塩素酸塩、亜塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、ハロゲン化ヒダントイン、過ホウ酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシ酸、無機酸、またはそれらの組合せを含み得る。実施形態では、酸化剤は、トリクロロイソシアヌル酸を含む。実施形態では、酸化剤は、トリイソシアヌル酸(TCCA)、ジイソシアヌル酸(diisocyanuric acid)(DCCA)、1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、次亜塩素酸カルシウム(Cal-Hypo)、ペルオキシ一硫酸カリウム(MPS)を含むことができる。実施形態では、酸化剤は、スキーム2に示されるもの等の種々の酸媒介経路で、PVOHと反応することができる。
【0076】
スキーム2-PVOHの2つの酸媒介酸化経路
1.縮合反応
【化8】
2.架橋
【化9】
【0077】
実施形態では、1%水溶液中-2から6.5、または1%水溶液中-1から6、または1%水溶液中0から5、または1%水溶液中1から5、または1%水溶液中1から4の範囲内のpHを有する酸を含むことができる。実施形態では、酸は、重硫酸ナトリウム、シアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0078】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、非家庭用ケア組成物を含むことができる。非家庭用ケア組成物は、農業用組成物、航空用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、海洋用組成物、医学用組成物、商業用組成物、軍事用および準軍事用組成物、オフィス組成物、レクリエーション用および公園用組成物、ペット用組成物、プール用および/または水処理用組成物、ならびにそれらの組合せから選択され得る。実施形態では、非家庭用ケア組成物は、プール用および/または水処理用組成物である。
【0079】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、家庭用ケア組成物を含むことができる。実施形態では、家庭用ケア組成物は、溶液のpHを酸性pHに調整するために使用される1つまたはそれより多くの酸を含むことができる。実施形態では、家庭用ケア組成物は、グリコール酸、クエン酸塩、酢酸、塩酸、レブリン酸、グルコン酸等を含むがこれらに限定されない1つまたはそれより多くの酸を含むことができる。実施形態では、家庭用ケア組成物は、3に等しいまたはそれ未満のpHを有することができる。実施形態では、家庭用ケア組成物は、2.5に等しいまたはそれ未満のpHを有することができる。実施形態では、家庭用ケア組成物は、2に等しいまたはそれ未満のpHを有することができる。実施形態では、家庭用ケア組成物は、1.5に等しいまたはそれ未満のpHを有することができる。
【0080】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、組成物の総重量に基づき、50wt%から100wt%、または60wt%から100wt%、または70wt%から100wt%、または80wt%から100wt%、または90wt%から100wt%の範囲内の濃度の酸、酸化剤、塩基またはそれらの組合せを含むことができる。実施形態では、水溶性単位用量物品の非家庭用ケア組成物における酸、酸化剤、塩基またはそれらの組合せの濃度は、非家庭用ケア組成物の総重量に基づき、50wt%から100wt%、または60wt%から100wt%、または70wt%から100wt%、または80wt%から100wt%、または90wt%から100wt%の範囲内である。
【0081】
実施形態では、本開示の水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で6または8週間にわたるTCCA、SBSまたは次亜塩素酸カルシウム組成物への曝露後、23℃の水中、MSTM205に従って300秒を超えない崩壊時間を有する。
【0082】
実施形態では、38℃および80%RH雰囲気で6または8週間にわたるTCCA、SBSまたは次亜塩素酸カルシウム組成物への曝露後、23℃の水中、MSTM205に従って試験した後の水溶性単位用量物品の残留物の表面積は、MSTM205に従って試験する前の水溶性単位用量の表面積の約50%未満である。
【0083】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、本明細書で記述されるCIELab試験に従う、38℃および80%RH雰囲気で6または8週間にわたるTCCA、SBSまたは次亜塩素酸カルシウム組成物への曝露後、3.5を超えない、または3.0を超えない、または2.5を超えないb*値を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で6または8週間にわたるTCCA、SBSまたは次亜塩素酸カルシウム組成物への曝露後、3.5を超えないb*値を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で6または8週間にわたるTCCA、SBSまたは次亜塩素酸カルシウム組成物への曝露後、3.0を超えないb*値を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で6または8週間にわたるTCCA、SBSまたは次亜塩素酸カルシウム組成物への曝露後、2.5を超えないb*値を維持する。
【0084】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、本明細書で記述される伸び率試験に従う、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも120%、または少なくとも150%、または少なくとも175%、または少なくとも200%の平均伸び率を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも100%の平均伸び率を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも120%の平均伸び率を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも150%の平均伸び率を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも175%の平均伸び率を維持する。実施形態では、水溶性単位用量物品は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも200%の平均伸び率を維持する。
【0085】
実施形態では、本明細書で記述される水溶性単位用量物品は、酸スカベンジャー、抗酸化剤、またはそれらの組合せを含む第1の層をさらに備える小包を備えることができ、第1の層は、外壁と接触している。実施形態では、第1の層は、酸スカベンジャー、抗酸化剤、またはそれらの組合せを含み、外壁の内部表面の少なくとも一部の上に設けられている。実施形態では、第1の層は、外壁の内部表面の少なくとも90%の上に設けられている。実施形態では、第1の層は、外壁の外部表面の少なくとも一部の上に設けられている。実施形態では、第1の層は、酸スカベンジャーを含む。実施形態では、第1の層は、抗酸化剤を含む。実施形態では、第1の層は、酸スカベンジャーおよび抗酸化剤を含む。
【0086】
本明細書で記述される水溶性単位用量物品の第1および/または第2の層は、当技術分野において公知である任意の好適な方法、例えば、スピンコーティング、浸漬コーティング、ブラシコーティング、スプレーコーティング等の溶液コーティングを使用して、外壁の上に設けられ得る。
【0087】
水溶性単位用量物品は、酸スカベンジャーおよび/または抗酸化剤を含む第2の層をさらに備えることができる。実施形態では、第1の層は、酸スカベンジャーおよび/または抗酸化剤を含み、外壁の内部表面の少なくとも一部の上に設けられており、第2の層は、酸スカベンジャーおよび/または抗酸化剤を含み、外壁の外部表面の少なくとも一部の上に設けられている。実施形態では、第1の層および/または第2の層は、N-ビニルピロリドン、メタ重亜硫酸ナトリウム、活性化オレフィン、アリル化合物、カルボキシレート化合物、エチレン含有化合物、第四級アンモニウム化合物、第三級アミン含有化合物、またはそれらの組合せを含む、酸スカベンジャーを含むことができる。実施形態では、酸スカベンジャーは、没食子酸プロピル、没食子酸、フェノール性化合物、ヒンダードアミン、メタ重亜硫酸ナトリウム、酢酸亜鉛、またはそれらの組合せを含む。
【0088】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、トリガースプレーボトルのネックを通り抜けるために好適な任意の寸法で提供され得る(例えば、約28mmの直径を有するスクリュートップネック付きのスプレーボトル)。実施形態では、水溶性単位用量物品は、約250mmまたはそれ未満、あるいは約5mmから約250mm、約10mmから約250mm、約25mmから約250mm、約50mmから約225mm、約100mmから約225mm、約150から約225mm、約175mmから約225mm、または約200mmの範囲内の長さを有することができる。実施形態では、水溶性単位用量物品は、約50mmまたはそれ未満、あるいは約2mmから約50mm、約5mmから約45mm、約10mmから約40mm、約15mmから約35mm、または約20mmから約30mmの範囲内の幅を有することができる。実施形態では、水溶性単位用量物品は、約175mmから約225mm、または約200mmの長さおよび約20mmから約30mm、または約25mmの幅を有することができる。実施形態では、水溶性単位用量物品が、トリガースプレーボトルのネックを通り抜けるように設けられている場合、水溶性単位用量物品は、2に等しいまたはそれ未満のpHを有する家庭用ケア組成物を含む。
【0089】
実施形態では、水溶性単位用量物品は、熱密封または溶液密封され得る。実施形態では、水溶性単位用量物品は、三方に熱密封され得る。実施形態では、水溶性フィルムは、それ自体の上に折り重ねられ、折り目の反対側の端に、残り2つの開口端の1つに沿って熱インパルスシーラーで密封されて、所望の寸法の小袋を提供することができる。液体組成物(例えば、家庭用ケア組成物)は、ポンプまたはシリンジ等の射出システムを使用して小袋に充填され得る。実施形態では、水溶性フィルムを指定された寸法の空洞上に引き伸ばすことができ、熱をかけ、かつ真空にして、フィルムを空洞の形状に形成することができる。次いで、空洞を所望の組成物で充填することができる(例えば、家庭用ケア組成物)。次いで、充填された小袋を第2のフィルムで密封することができる。第2のフィルムは、空洞の上部上に引っ張られ得、第2のフィルムの、充填された小袋に面している側面は、溶液密封のために濡らされ得る。圧力が印加され得、充填された小袋を第2のフィルムに結合して、カプセル化水溶性単位用量物品を形成することができる。溶液密封は、クラウドサンプルマシーン(cloud sample machine)等を使用して実現され得る。
【0090】
バルク水の組成物を投入するためのプロセスであって、バルク水を、本明細書で記述される通りの水溶性単位用量物品と接触させ、それにより、水溶性フィルムの少なくとも一部を溶解するステップと、組成物をバルク水に放出するステップとを含む、プロセスが本明細書でさらに提供される。実施形態では、水溶性単位用量物品は、外壁を備える小包であって、外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、外壁が水溶性フィルムを備える、小包を備え、水溶性フィルムは、AMPS修飾PVOHまたはマレエート修飾PVOHおよびPVPの水溶性混合物を含むことができる。実施形態では、AMPS修飾PVOHまたはマレエート修飾PVOHおよびPVPは、それぞれ重量で約3:1から重量で約19:1の比で存在する。
【0091】
概して、バルク水は、その中で提供される非家庭用ケア組成物を必要とする任意のバルク水であることができる。実施形態では、バルク水は、プールまたは温泉であることができる。概して、バルク水の温度は、水溶性フィルムの少なくとも一部を溶解するまたは崩壊させるために十分な任意の温度であることができる。実施形態では、バルク水は、少なくとも約10℃、例えば、約10℃から約100℃、約10℃から約70℃、約10℃から約60℃、約20℃から約50℃、または約20℃から約40℃の範囲内の温度を有する。概して、バルク水は、任意のpHを有することができる。実施形態では、バルク水のpHは、約4から約10、約5から約9、または約6から約7の範囲内であることができる。
伸び率試験
【0092】
破断伸び率は、ASTM D882に従って分析され得る。簡潔に述べると、INSTRON(登録商標)引張試験装置(モデル5544引張試験機または同等物)を、フィルムデータの収集に使用する。寸法安定性および再現性を確実にするために信頼性の高い切断ツールでそれぞれ切断した最低3つの試験検体を、各測定について流れ方向(MD)(適用可能な場合)で試験する。試験は、23±2.0℃および35±5%相対湿度の標準的な実験室雰囲気で行う。3.0±0.15ミル(または76.2±3.8μm)の厚さを有する単一フィルムシートの1インチ幅(2.54cm)試料を調製する。次いで、試料をINSTRON(登録商標)引張試験機に移して、試験を進める。500Nロードセルを備えた引張試験機を製造業者の説明書に従って調製し、較正する。正しいグリップおよびフェースを嵌合する(ラバーコーティングされており、幅25mmであるモデル番号2702-032フェースを有するINSTRON(登録商標)グリップ、または同等物)。試料を、引張応力が10%降下するまで508mm/分の速度で引っ張られる引張試験機に取り付ける。引張応力における10%降下が起こる伸び率が、破断伸び率である。
【0093】
本開示に従うフィルムの好適な挙動は、INSTRON(登録商標)試験機によって測定される、少なくとも約90%の伸び率値を特徴とする。種々の実施形態では、フィルムは、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBS組成物への曝露後、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも175%、または少なくとも200%の伸び率値を有する。
溶解、崩壊および%残留試験(MSTM205)
【0094】
フィルムを、当技術分野において公知の方法であるMonoSol試験法205(MSTM205)に従う溶解時間および崩壊時間によって特徴付けるまたはそれについて試験することができる。例えば、米国特許第7,022,656号を参照されたい。
【0095】
装置および材料:
【0096】
600mLのビーカー
【0097】
マグネチックスターラー(Lablineモデル番号1250または同等物)
【0098】
マグネチックスターラーロッド(5cm)
【0099】
温度計(0から100℃±1℃)
【0100】
鋳型、ステンレス鋼(3.8cm×3.2cm)
【0101】
タイマー(0~300秒、最も近い秒まで正確)
【0102】
Polaroid 35mmスライド台紙(または同等物)
【0103】
MonoSol 35mmスライド台紙ホルダー(または同等物)
【0104】
蒸留水
【0105】
試験される各フィルムについて、フィルム試料から3つの試験検体、すなわち3.8cm×3.2cmの検体を切断する。フィルムウェブから切断する場合、検体は、ウェブの横方向に沿って等間隔のウェブのエリアから切断されるべきである。次いで、下記の手順を使用して、各試験検体を分析する。
【0106】
各検体を別個の35mmスライド台紙に係止する。
【0107】
ビーカーに500mLの蒸留水を充填する。温度計で水温を測定し、必要ならば、水を加熱または冷却して、温度を20℃(約68°F)に維持する。
【0108】
水のカラム高さをマークする。マグネチックスターラーをホルダーの基部に載置する。ビーカーをマグネチックスターラーに載置し、マグネチックスターラーロッドをビーカーに追加し、スターラーをオンにし、水カラムのおよそ5分の1の高さである渦が発生するまで撹拌スピードを調整する。渦深さをマークする。
【0109】
35mmスライド台紙を、35mmスライド台紙ホルダーのワニ口クランプに、スライド台紙の長端が水表面と平行になるように固定する。ホルダーの深さ調整器は、降下した場合にクランプの端部が水の表面の0.6cm下となるように設定されるべきである。スライド台紙の短辺の一方は、ビーカーの側面に隣接し、他方は、フィルム表面が水の流れと垂直になるように、スターラーロッドの中心の真上に位置付けるべきである。
【0110】
一挙に、固定されたスライドおよびクランプを水中に滴下させ、タイマーを開始する。フィルムが分裂すると、崩壊が起こる。すべての可視フィルムがスライド台紙から放出されたら、未溶解のフィルム断片について溶液をモニターし続けながら、スライドを水から引き上げる。すべてのフィルム断片がもはや可視ではなくなり、溶液が透明になると、溶解が起こる。
【0111】
300秒後、いくらかのフィルム残留物がフレーム内に残っていたら、残っているフィルムの表面積のパーセントを視覚的検査によって推定した。
【0112】
結果は、下記を含むべきである:完全な試料同定;個々のおよび平均崩壊および溶解時間;ならびに試料を試験した水温。
【0113】
フィルム崩壊時間(I)およびフィルム溶解時間(I)は、それぞれ方程式1および方程式2において以下で示される指数アルゴリズムを使用して、標準または基準フィルム厚さに補正され得る。
Icorrected=Imeasuredx(基準厚さ/測定された厚さ)1.93 [1]
Scorrected=Smeasuredx(基準厚さ/測定された厚さ)1.83 [2]
CIELab試験
【0114】
CIELab試験は、Ci7600分光光度計または同等物を使用して、試料の基準黄色度を決定するために使用される。
必要とされる設備および材料
【0115】
X-Rite Ci7600ベンチトップ分光光度計
【0116】
X-Riteカラーマスターソフトウェア
【0117】
反射率較正用の黒色トラップ
【0118】
白色リング付きの開口プレート
【0119】
試料ホルダー
【0120】
透過率測定を完了した際に反射率開口プレートを覆うための透過プラーク(Transmission Plaque)
【0121】
較正を完了した際に反射率開口プレートを覆うための白色較正タイル
【0122】
フィルム試料を切断するためのはさみ
Ci7600分光光度計の較正
【0123】
内側に白色リング付きの開口プレートを透過率測定に使用しなくてはならないことに留意されたい。デスクトップに見られるカラーマスターソフトウェアを開く。カラーマスターソフトウェアにおいて、「機器」タブに進む。較正するをクリックする。白色較正タイルを開口プレート上に載置する。UV設定は、EXC400に設定すべきである。カバーを前にスライドさせながら係止ピンを持ち上げることにより、透過カバーを閉じる。注記:ピンが所定の位置にカチッとはまるのが聞こえるはずである。ソフトウェア較正プロンプトで「OK」をクリックする。タイルを開口プレートから除去する。付属品引き出しから黒色トラップを取り出し、それを開口プレートに位置付ける。透過カバーがまだ閉じていることを確かめ、ソフトウェア較正プロンプトで「OK」をクリックする。黒色トラップを開口プレートから除去する。透過プラークを開口プレート上に載置する。較正プロセスが成功すると、較正LEDが緑色になるはずである。
(透過率測定のための)標準を作成する
【0124】
白色リング付きの開口プレートが使用されていることを確かめる。試料クランプを機器の内側に載置する。透過プラークを開口プレート上に載置する。「機器」タブを選択する。「標準を作成する」をクリックする。「付属の機器を使用して測定を行う」を選択し、「次へ」を押す。測定の平均を希望するか否かを選択し、行われた測定の数を指し示す。例:平均して3つの測定が行われる。2×2試料を透過試料クランプに入れる。カバーを前にスライドさせながら係止ピンを持ち上げることにより、透過カバーを閉じる。「測定する」をクリックし、各試料について繰り返す。「次へ」をクリックする。標準の名称を打ち込む。選択した場合、標準の説明を打ち込む。「次へ」をクリックする。許容範囲または光源/オブザーバー仕様を変更したい場合、「修正する」をクリックし、所望の変更を行う。そうでなければ、「次へ」を選択する。色調分類データに入力するように指示されたら、「いいえ」を選択し、「次へ」を選択する。「終了」を選択する。
(透過率測定のための)標準を選択する
【0125】
「データベース」タブを選択する。「標準を探す」をクリックする。必要とされる適切な標準をクリックする。標準が青色で強調表示されるはずである。次いで、「選択する」を押下する。標準は使用準備済である。正しい標準が選択されたことを再確認するために、プログラムの左上隅にあるコントロールボックスにチェックマークを付ける。このボックスは、選択された適切な標準を表示するはずである。
(透過率のための)試料を測定する
【0126】
適切な開口プレート(白色反射リング付き)を、機器の前面にある測定ポートに取り付ける。白色キャップを開口プレート上に載置する。試料クランプを付着させ、基部につまみねじで留める。「機器」タブを選択する。「測定試行」をクリックする。画面の左下側に、使用されている標準の名称が付されたウィンドウがポップアップしてくる。このウィンドウを上方へ移動させると、画面上で見ることができる。SPIN(含まれる正反射率)またはSPEX(除外される正反射率)測定を表示するおよび光源/オブザーバー仕様等、仕様を必要に応じて変更する。「ヘイズ」下のハイパーリンクをクリックすることによって下の写真と一致するように配置を変更する。「ロットID」の隣に、測定されている試料の試料名を打ち込む。2インチ×2インチの試料を透過試料ホルダーの中心に置き、留め具とクランプとの間に球体に向けて載置する。試料が平坦であり、球体内の開口部と平行であることを常に確認する。カバーを閉じる。キーボードでF8を押すかまたは右隅の「測定する」をクリックして、測定を行う。カチッという音が聞こえ、測定している際、点滅が見えるはずである。測定が完了したら、試料を試料ホルダーから除去する。別の試料がある場合、それを試料ホルダーに載置する。すべての試料が測定されるまで続ける。試料測定間はおよそ1分待機する。測定が完了したら、「測定試行」ウィンドウを終了する。
試験結果の報告
【0127】
与えられる数値データは、CIE L*a*b*色測定システムの観点からのものである。これらの値は、オブジェクトの色の種々の側面を表す。L値は、色がどのくらい明るいまたは暗いかを定量化し、黒色および白色が両端である。a値は、色がどのくらい赤色または緑色であるかを定量化し、a値が正になるほどより赤色であり、a値が負になるほどより緑色である。b値は、色がどのくらい黄色または青色であるかを定量化し、b値が正になるほどより黄色であり、b値が負になるほどより青色である。F12/10光源下でL*a*b*色測定により与えられるSpex数値データを記録する。
【0128】
前述の記述は、理解の明晰さのみのために与えられるものであり、本発明の範囲内の修正が当業者に明らかとなり得ることから、不必要な限定がそこから理解されるべきではない。
【0129】
本明細書で引用されるすべての特許、刊行物および参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と組み込まれる特許、刊行物および参考文献との間で矛盾がある場合、本開示が優先するものとする。
【実施例】
【0130】
実施例の水溶性フィルムを調製し、4ミルHDPEフィルムから調製した二次包装内でTCCAまたはSBSに曝露した。フィルムを、38℃の温度および80%RHで6~8週間にわたって、刺激の強い化学物質と接触させて貯蔵した。溶解、崩壊および/または%残留はMSTM205に従って測定し、黄色度はCIELab試験に従って測定し、伸び率%は伸び率試験に従って測定した。
【0131】
溶解:フィルムが溶解しそこない、その時点でフィルムを試験するのを中止したのでない限り、各試料を、0週間、2週間、4週間、6週間、および一部の事例では8週間の時点で測定した。溶解時間が短いほどおよび/またはフィルム残留物の量が少ないほど、樹脂が刺激の強い化学物質に対してより安定であることを指し示し、溶解時間が長いほどおよび/または6または8週間における残留物の量が増大するほど、フィルムが刺激の強い化学物質によってより影響されることを指し示した。
【0132】
種々のマレエート修飾PVOH、アクリル酸メチル修飾PVOHおよびPVOHホモポリマーを唯一の樹脂成分として使用して、水溶性フィルムを調製して、PVOH単独に対する刺激の強い化学物質の影響を決定した。概して、マレエート修飾PVOHは、PVOHホモポリマーよりも安定なアクリル酸メチル修飾PVOHよりも安定であることが分かった。加えて、ラクトン環を形成することができるポリマーについて、開いたラクトン環を有するポリマーを含むフィルムは、対応するフィルムよりも良好な溶解/崩壊時間を有し、ポリマーはある程度の閉環を含むことが分かった。
【0133】
(実施例1)
【0134】
3つの水溶性フィルムを、溶解、伸び率%および変色について、MSTM205(溶解)、伸び率試験法およびCIELab試験(変色)に従って試験した。試験の結果を、
図1~3に示す。試験した最初のフィルムは、比較用水溶性フィルムとして、プールの化学物質を包装するために商業的に使用される技術水準のフィルムであった。2つの水溶性フィルムを調製した。フィルムAは、1.7mol%マレイン酸モノメチル修飾ポリビニルアルコール(100部)、100部のPVOH当たり10部の可塑剤(グリセロールおよびマルチトール)を含み、ポリビニルピロリドンを含まないものであった。フィルムBは、1.7%マレイン酸モノメチル修飾PVOH樹脂(100部)、ポリビニルピロリドン樹脂(100部のPVOH当たり29.3部)、および100部のPVOH当たり13.2部の可塑剤(6.6部のグリセリンおよび6.6部のトリメチロールプロパン)を含むものであった。3つのフィルムを、38℃の温度および80%RHで6週間にわたって、刺激の強い化学物質(すなわち、重硫酸ナトリウム)と接触させて貯蔵した後、溶解、変色および伸び率について試験した。
図1~3に示す通り、本開示のフィルム、フィルムBは、すべての試験においてフィルムAよりも良好な成績であった。38℃の温度および80%RHで刺激の強い化学物質と接触させて6週間後、フィルムBは、フィルムAよりも少なくとも200秒短い溶解時間、フィルムAよりも少なくとも100%高い伸び率パーセンテージ、およびフィルムAよりも低い変色(それぞれ2.0および2.5未満のb
*)を有していた。さらに、フィルムBは、38℃の温度および80%RHで6週間にわたって、刺激の強い化学物質と接触した後、伸び率パーセント(100%超)において技術水準のフィルムよりも良好な成績であり、より低いb
*値を有していた。
【0135】
したがって、実施例1は、本開示のフィルムが、市販のフィルムおよびPVPを含まないフィルムと比べて、重硫酸ナトリウムに対する抵抗の増大を実証することを実証する。
【0136】
(実施例2)
【0137】
1.7%マレイン酸モノメチル修飾PVOH樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂およびグリセロールを可塑剤として含む一連のフィルムを調製した。各フィルムについて、各樹脂およびグリセロールの量を、以下の表1に提供する。
【0138】
各フィルムを、38℃の温度および80%RHで8週間にわたって、刺激の強い化学物質と接触させて貯蔵した後、溶解、変色および伸び率について、本開示の方法に従って試験した。結果を以下の表1に示す。25%またはそれ未満の残留物値は、「+」で指し示され、25%よりも大きい残留物値は、「-」で指し示される。100%またはそれよりも大きい伸び率値は、「+」で指し示され、100%未満の伸び率値は、「-」で指し示される。2.5またはそれ未満のb
*値は、「+」で指し示され、2.5よりも大きいb
*値は、「-」で指し示される。
表1
【表1】
【0139】
表1に示す通り、PVOHおよびPVPを少なくとも2.3:1のPVOHのPVPに対する重量比でならびにグリセロールを15wt.%またはそれ未満の量で含むフィルムは、有利なことに、3つの試験のうちの少なくとも2つにおいて許容される値を実証する。故に、実施例2は、刺激の強い化学物質に対する抵抗を有する本開示のフィルムを実証する。
【0140】
(実施例3)
【0141】
表2は、可変量の可塑剤を加えた本開示のフィルム配合物を示す。
表2
【表2-1】
【表2-2】
【0142】
表2のフィルムにおいて使用したPVOH樹脂は、1.7%マレイン酸モノメチル修飾PVOH樹脂であった。
図4~6に示される結果は、可塑剤選択が、刺激の強い化学物質に曝露された場合のフィルムの性能に影響を及ぼし得ることを実証する。
図4は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたる、SBS組成物への曝露後、溶解、崩壊および%残留試験(MSTM205)に従って、表2に収載される配合物を有するフィルムの溶解を示すグラフである。フィルムを、時点T=0、刺激の強い化学物質への2週間、4週間、6週間および8週間の曝露後に試験した。
図5は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたる、SBS組成物への曝露後、溶解、崩壊および%残留試験(MSTM205)に従って、表2に収載される配合物を有するフィルムの%残留を示すグラフである。フィルムを、時点T=0、刺激の強い化学物質への2週間、4週間、6週間および8週間の曝露後に試験した。
図6は、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたる、SBS組成物への曝露後、溶解、崩壊および%残留試験(MSTM205)に従って、表2に収載される配合物を有するフィルムの伸び率%を示すグラフである。フィルムを、時点T=0、刺激の強い化学物質への2週間、4週間、6週間および8週間の曝露後に試験した。
【0143】
図4~6に示す通り、グリセロール、マルチトール、Voranol
TM、TMP、またはそれらの組合せのいずれかを含むすべてのフィルムは、いずれも、許容される溶解時間(MSTM205に従って300秒未満)、許容される残留物の特性(25%未満の残留物)、および着色に対する許容される抵抗(CIELab試験に従って3.5未満のb
*値)、および許容される伸び率%(伸び率試験に従って100%よりも大きい)を実証した。フィルムEEは、フィルムの許容される可塑化(伸び率)と刺激の強い化学物質に対する抵抗(溶解および着色)との間のバランスに基づき、刺激の強い化学物質との適合性について全体的に最良の性能を実証した。
【0144】
したがって、実施例3は、刺激の強い化学物質に対する安定性を有する本開示のフィルムを実証する。
【0145】
(実施例4)
【0146】
表3は、1.7mol%修飾PVOH樹脂および可変量の抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピルおよび/または没食子酸)を含む種々のフィルムを示す。
表3
【表3】
【0147】
表3中のすべてのフィルムを、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたって刺激の強い化学物質(TCCA)に曝露した。フィルムを、時点T=0、刺激の強い化学物質への2週間、4週間、6週間および8週間の曝露後に試験した。SMBS、没食子酸プロピルおよび没食子酸抗酸化剤を含んでいたフィルムSSは、8週間後の溶解度、残留物、伸び率および変色に関して、刺激の強い化学物質に対する最良の安定性を実証した。初期および8週間の結果を、以下の表4に示す。300秒またはそれ未満の溶解時間は、「+」で指し示され、300秒よりも大きい溶解時間は、「-」で指し示される。50%またはそれ未満の残留物値は、「+」で指し示され、50%よりも大きい残留物値は、「-」で指し示される。100%またはそれよりも大きい伸び率値は、「+」で指し示され、100%未満の伸び率値は、「-」で指し示される。2.5またはそれ未満のb
*値は、「+」で指し示され、2.5から5.0の間のb
*値は、「
*」で指し示され、5.0よりも大きいb
*値は、「-」で指し示される。実施されなかった試験は、「NT」で指し示される。
表4
【表4】
【0148】
以下の表5は、1.7mol%修飾PVOHフィルムおよび可変量の酸スカベンジャー(例えば、モノエタノールアミン)を含む種々の配合物を示す。
表5
【表5】
【0149】
表5中のすべてのフィルムを、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたって刺激の強い化学物質(重硫酸ナトリウム)に曝露した。フィルムを、時点T=0、刺激の強い化学物質への2週間、4週間、6週間および8週間の曝露後に試験した。フィルムを、溶解/残留物、変色および伸び率%について、本明細書で開示される方法を使用して試験した。
【0150】
8週間後、酸スカベンジャーモノエタノールアミンを含んでいたフィルムYYおよびZZは、含まなかったフィルム(フィルムXX)と比べて改善した性能を実証した。3つすべてのフィルムは、8週間後に25%未満の残留物値および8週間後に100秒未満の溶解時間を有していた。しかしながら、フィルムYYおよびZZは、8週間後に2.5未満のb*値を有していたのに対し、フィルムXXは、8週間後に2.5よりも大きいb*値を有していた。加えて、フィルムYYおよびZZは、8週間後に100%よりも大きい伸び率%値を有していたのに対し、フィルムXXは、8週間後に100%未満の伸び率%値を有していた。
【0151】
故に、実施例4は、刺激の強い化学物質に対するPVOHの抵抗が、フィルム配合物中に抗酸化剤および/または酸スカベンジャーを含むことによって改善され得ることを実証した。例えば、SMBS、没食子酸プロピルおよび没食子酸抗酸化剤を含んでいたフィルムSSは、抗酸化剤の1または2つのみを添加したフィルム(例えば、フィルムLL、NN、OOおよびVV)と比較した、8週間後の溶解度、残留物、伸び率および変色に関して、刺激の強い化学物質に対する最良の安定性を実証した。
【0152】
(実施例5)
【0153】
100PHRの1.7mol%マレイン酸モノメチル修飾PVOH樹脂、14.67PHRのK-120ポリビニルピロリドン、6.55PHRのグリセロール、6.55PHRのトリメチロールプロパン(TMP)、3.94PHRのメタ重亜硫酸ナトリウム、2.18PHRの没食子酸および0.83PHRの界面活性剤ならびに他の加工助剤を含有するフィルムは、38℃の温度および80%RHで8週間にわたって、刺激の強い化学物質(例えば、重硫酸ナトリウム)と接触させた場合に、許容される性能を呈した。
【0154】
8週間後、抗酸化剤(すなわち、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび没食子酸)を含むフィルムは、溶解/%残留における許容される性能(例えば、フィルムは、MSTM205に従って300秒未満で溶解し、25%未満の残留物を残す)、許容される変色(例えば、フィルムは、CIELab試験に従って3.0未満の色b*値を有した)、および伸び率%の改善(例えば、フィルムは、100%よりも大きい伸び率を有した)を表示した。
【0155】
故に、実施例5は、刺激の強い化学物質に対する安定性を有する本開示のフィルムを実証する。
【0156】
前述の記述は、理解の明晰さのみのために与えられるものであり、本発明の範囲内の修正が当業者に明らかとなり得ることから、不必要な限定がそこから理解されるべきではない。
【0157】
本明細書で引用されるすべての特許、刊行物および参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と組み込まれる特許、刊行物および参考文献との間で矛盾がある場合、本開示が優先するものとする。
例えば、本発明は、以下の項目を提供します。
(項目1)
ポリビニルアルコール(PVOH)およびポリビニルピロリドン(PVP)
の水溶性混合物を含む水溶性フィルムであって、
前記PVOHおよび前記PVPが、それぞれ重量で約3:1から重量で約19:1の比で存在し、前記PVOHが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)修飾PVOHまたはマレエート修飾PVOHを含む、水溶性フィルム。
(項目2)
前記PVOHおよび前記PVPが、それぞれ重量で約3:1から重量で約8:1、または重量で約3:1から重量で約7.5:1、または重量で約4.5:1から重量で約7:1、または重量で約5.5:1から重量で約7:1の比で存在する、項目1に記載の水溶性フィルム。
(項目3)
前記PVPが、3,000g/molから500万g/molの範囲内の重量平均分子量を有する、項目1または2に記載の水溶性フィルム。
(項目4)
前記PVPが、60,000g/molから500万g/mol、または100,000g/molから500万g/mol、または150,000g/molから400万g/mol、または200,000g/molから400万g/mol、または500,000g/molから400万g/mol、または100万g/molから300万g/molの範囲内の重量平均分子量を有する、項目3に記載の水溶性フィルム。
(項目5)
前記PVOHが、約1mol%から10mol%、または約1mol%から8mol%、または約1mol%から5mol%の範囲内の修飾度を有する、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目6)
前記マレエート修飾PVOHが、マレエートモノマー単位当たり約2個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1.5個のペンダントカルボキシレート基、またはマレエートモノマー単位当たり約1個のペンダントカルボキシレート基を有するマレエートモノマー単位を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目7)
前記PVOHが、80%から98%、もしくは85%から95%、もしくは88%から92%の範囲内または約90%の加水分解度を有する、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目8)
酸スカベンジャーをさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目9)
前記酸スカベンジャーが、N-ビニルピロリドン、メタ重亜硫酸ナトリウム、活性化オレフィン、アリル化合物、エチレン含有化合物、第四級アンモニウム化合物および第三級アミン含有化合物の群から選択される1つまたは複数である、項目8に記載の水溶性フィルム。
(項目10)
抗酸化剤をさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目11)
前記抗酸化剤が、没食子酸プロピル、クエン酸、没食子酸、フェノール性化合物、ヒンダードアミン、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび酢酸亜鉛の群から選択される1つまたは複数である、項目10に記載の水溶性フィルム。
(項目12)
1つまたは複数の酸スカベンジャーおよび1つまたは複数の抗酸化剤をさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目13)
前記1つまたは複数の酸スカベンジャーがメタ重亜硫酸ナトリウムを含み、前記1つまたは複数の抗酸化剤が没食子酸プロピルおよび没食子酸を含む、項目12に記載の水溶性フィルム。
(項目14)
可塑剤をさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目15)
前記可塑剤が、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、400MWまでのポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、エタノールアミンおよびマルチトールの群から選択される1つまたは複数である、項目14に記載の水溶性フィルム。
(項目16)
前記可塑剤が、グリセロール、マルチトールおよびトリメチロールプロパンの群から選択される1つまたは複数である、項目14または15に記載の水溶性フィルム。
(項目17)
界面活性剤をさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目18)
前記界面活性剤が、第四級アンモニウム塩および四級化ポリオキシエチレン化アミンの1つまたは複数を含む、項目17に記載の水溶性フィルム。
(項目19)
前記水溶性フィルムが、25μmから100μm、または30μmから70μm、または40μmから60μmの範囲内の厚さを有する、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目20)
前記水溶性混合物が、PVOHホモポリマーおよびPVOHコポリマーの群から選択される1つまたは複数の第2のポリビニルアルコールをさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目21)
前記第2のPVOHが、アニオン性モノマー単位を含むPVOHコポリマーである、項目20に記載の水溶性フィルム。
(項目22)
前記アニオン性モノマー単位が、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル(MMM)、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、アクリル酸2-スルホエチル、加水分解N-ビニルピロリドン(NVP)、前述したもののいずれかのアルカリ金属塩および前述したもののいずれかのエステルの群から選択される1つまたは複数である、項目21に記載の水溶性フィルム。
(項目23)
前記アニオン性モノマー単位が、AMPS、加水分解NVP、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルおよび前述したもののアルカリ塩の群から選択される1つまたは複数である、項目21または項目22に記載の水溶性フィルム。
(項目24)
前記アニオン性モノマー単位が、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸および前述したもののアルカリ塩の群から選択される1つまたは複数である、項目21から23のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目25)
マレエート修飾ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルピロリドン(PVP)、可塑剤および抗酸化剤
の水溶性混合物を含む水溶性フィルムであって、
前記マレエート修飾PVOHおよび前記PVPが、それぞれ約6.5:1から約7.5:1の重量比で存在し、前記マレエート修飾PVOHが、約1.8mol%の量で存在するマレエートモノマー単位を含み、前記マレエート修飾PVOHが、マレエートモノマー単位当たり約2個のペンダントカルボキシレート基を含み、前記ポリビニルピロリドンが、120万g/molから300万g/molの範囲内の重量平均分子量を有し、前記可塑剤が、約2PHRから約10PHRのグリセリンおよび約2PHRから約10PHRのトリメチロールプロパンを含み、前記抗酸化剤が、没食子酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含み、存在する抗酸化剤の総量が、約2PHRから約7PHRである、水溶性フィルム。
(項目26)
前記フィルムが、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるトリクロロイソシアヌル酸(TCCA)または重硫酸ナトリウム(SBS)への曝露後、23℃の水中、MSTM205に従って300秒を超えない崩壊時間を有する、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目27)
MSTM205に従って試験した後の前記フィルムの残留物の表面積が、MSTM205に従って試験する前の前記フィルムの表面積の約50%未満である、項目26に記載の水溶性フィルム。
(項目28)
前記フィルムが、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBSへの曝露後、3.5を超えない、または3.0を超えない、または2.5を超えないb
*
値を維持する、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目29)
前記フィルムが、38℃および80%RH雰囲気で8週間にわたるTCCAまたはSBSへの曝露後、少なくとも90%、または少なくとも100%、または少なくとも120%、または少なくとも150%、または少なくとも175%、または少なくとも200%の平均伸び率を維持する、先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルム。
(項目30)
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が先行する項目のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを備える、小包と、
前記内部小袋容積内に含有される組成物と
を備える、水溶性単位用量物品。
(項目31)
前記組成物が、刺激の強い化学物質を含む、項目30に記載の水溶性単位用量物品。
(項目32)
前記刺激の強い化学物質が、酸、酸化剤および塩基の1つまたは複数を含む、項目31に記載の水溶性単位用量物品。
(項目33)
前記刺激の強い化学物質が、塩素放出化合物である、項目31または32に記載の水溶性単位用量物品。
(項目34)
前記酸が、重硫酸ナトリウム、シアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸および1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)の群の1つまたは複数を含む、項目32に記載の水溶性単位用量物品。
(項目35)
前記酸化剤が、次亜塩素酸塩、ハロゲン化イソシアヌレート、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、ハロゲン化ヒダントイン、過ホウ酸塩、過ヨウ素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシ酸および無機酸の群の1つまたは複数を含む、項目32に記載の水溶性単位用量物品。
(項目36)
前記塩基が、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムの1つまたは複数を含む、項目32に記載の水溶性単位用量物品。
(項目37)
前記刺激の強い化学物質が、非家庭用ケア組成物である、項目31から36のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
(項目38)
前記非家庭用ケア組成物が、農業用組成物、航空用組成物、食品および栄養組成物、工業用組成物、家畜用組成物、海洋用組成物、医学用組成物、商業用組成物、軍事用および/または準軍事用組成物、オフィス組成物、レクリエーション用および/または公園用組成物、ペット用組成物ならびにプール用および/または水処理用組成物の群から選択される1つまたは複数である、項目37に記載の水溶性単位用量物品。
(項目39)
前記非家庭用ケア組成物が、プール用および/または水処理用組成物である、項目37または項目38に記載の水溶性単位用量物品。
(項目40)
前記非家庭用ケア組成物における酸、酸化剤、塩基またはそれらの組合せの濃度が、前記非家庭用ケア組成物の総重量に基づき、50wt%から100wt%、または60wt%から100wt%、または70wt%から100wt%、または80wt%から100wt%、または90wt%から100wt%の範囲内である、項目38または39に記載の水溶性単位用量物品。
(項目41)
前記小包が、前記外壁と接触している第1の層をさらに備え、前記第1の層が、酸スカベンジャーまたは抗酸化剤の1つまたは複数を含む、項目30から40のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
(項目42)
前記第1の層が、前記外壁の前記内部表面の少なくとも一部の上に設けられている、項目41に記載の水溶性単位用量物品。
(項目43)
前記小包が、前記外壁と接触している第2の層をさらに備え、前記第2の層が、酸スカベンジャーおよび抗酸化剤の1つまたは複数を含む、項目41から42のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
(項目44)
前記第1の層が、前記外壁の前記内部表面の少なくとも一部の上に設けられており、前記第2の層が、前記外壁の前記外部表面の少なくとも一部の上に設けられている、項目43に記載の水溶性単位用量物品。
(項目45)
前記酸スカベンジャーが、N-ビニルピロリドン、メタ重亜硫酸ナトリウム、活性化オレフィン、アリル化合物、カルボキシレート化合物、エチレン含有化合物、第四級アンモニウム化合物および第三級アミン含有化合物の群から選択される1つまたは複数である、項目41から44のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
(項目46)
前記抗酸化剤が、没食子酸プロピル、没食子酸、フェノール性化合物、ヒンダードアミン、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび酢酸亜鉛の群から選択される1つまたは複数である、項目41から45のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
(項目47)
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が項目1から29のいずれか一項に記載の水溶性フィルムを備える、小包と、前記内部小袋容積内に含有されるプール用および/または水処理用組成物とを備え、
前記小包が、酸スカベンジャーを含む第1の層を備え、前記第1の層が、前記外壁の前記内部表面の少なくとも一部の上または前記外壁の前記外部表面の少なくとも一部の上に設けられている、
水溶性単位用量物品。
(項目48)
組成物をバルク水に投入するためのプロセスであって、
項目30から47のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品を、前記バルク水と接触させ、それにより、前記水溶性フィルムの少なくとも一部を溶解させるステップと、
前記組成物を前記バルク水に放出するステップと
を含む、プロセス。
(項目49)
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が項目1から29に記載の水溶性フィルムを備える、小包と、前記内部小袋容積内に含有される家庭用ケア組成物とを備え、
前記家庭用ケア組成物が、2に等しいまたはそれ未満のpHを有する、
水溶性単位用量物品。
(項目50)
前記水溶性単位用量の長さが、約5mmから約250mm、または約10mmから約250mm、または約25mmから約250mm、または約50mmから約225mm、または約100mmから約225mm、または約150から約225mm、または約175mmから約225mmの範囲内であり、幅が、約2mmから約50mm、または約5mmから約45mm、または約10mmから約40mm、または約15mmから約35mm、または約20mmから約30mm、または約5mmから約28mmである、項目49に記載の水溶性単位用量物品。
(項目51)
水溶性単位用量物品であって、前記水溶性単位用量物品が、
外壁を備える小包であって、前記外壁が内部小袋容積を画定する外部表面および内部表面を有し、前記外壁が水溶性フィルムを備える、小包と、
前記内部小袋容積内に含有される刺激の強い化学物質とを備え、
前記水溶性フィルムが、1mol%から4mol%のマレイン酸モノメチル修飾を有するポリビニルアルコール、可塑剤、界面活性剤および抗酸化剤を含み、
前記可塑剤が、グリセリンおよびマルチトールを含み、20PHR未満の量で存在し、前記抗酸化剤が、メタ重亜硫酸ナトリウムを含み、2PHRから10PHRの範囲内の量で存在する、
水溶性単位用量物品。
(項目52)
前記刺激の強い化学物質が、トリクロロイソシアヌル酸である、項目51に記載の水溶性単位用量物品。
(項目53)
前記ポリビニルアルコール樹脂が、約1.7mol%のマレイン酸モノメチル修飾を有する、項目51または52に記載の水溶性単位用量物品。
(項目54)
前記可塑剤が、10PHRから15PHRの量で存在する、項目51から53のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。