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▶ チョンチン リ−マーク セラミック テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】セラミック電気発熱体用複合材料
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/58 20060101AFI20240515BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C04B35/58 092
H05B3/14 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022518167
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020114756
(87)【国際公開番号】W WO2021057512
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】201910912107.6
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518060538
【氏名又は名称】チョンチン リ-マーク テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING LE-MARK TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】15-1,Fengsheng Road,Jiulongpo District,Chongqing 401329 China
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ピーター
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-174172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0145695(US,A1)
【文献】特開平08-268760(JP,A)
【文献】特開平10-089222(JP,A)
【文献】特開2019-021501(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109526079(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/58
H05B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱層である内側層、絶縁層である中間層、および導電層である外側層からなる三層構造を有するセラミック電気発熱体用の複合材料であって、発熱層用の複合材料を製造するための素材は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 300 : 400 : 800 : 40 : 30 : 5 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 400 : 800 : 1800 : 50 : 60 : 20 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 600 : 700 : 2000 : 80 : 70 : 70 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 700 : 500 : 1200 : 60 : 70 : 70 の割合か、又は窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 800 : 900 : 2800 : 100 : 90 : 80 の割合の中のいずれか1つの割合で製造される複合材料。
【請求項2】
絶縁層用の複合材料を製造するための素材は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 400 : 50 : 500 : 40 : 30 : 5 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 500 : 100 : 600 : 60 : 70 : 35 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 700 : 150 : 700 : 50 : 40 : 30 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 800 : 90 : 650 : 70 : 40 : 50 の割合か、又は窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 900 : 200 : 800 : 90 : 80 : 60 の割合の中のいずれか1つの割合で製造される、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
導電層用の複合材料を製造するための素材は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 200 : 100 : 600 : 40 : 10 : 5 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 400 : 300 : 800 : 60 : 30 : 15 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 600 : 500 : 1000 : 70 : 50 : 30 の割合か、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 500 : 600 : 1300 : 50 : 60 : 45 の割合か、又は窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム= 700 : 700 : 1500 : 80 : 70 : 50 の割合の中のいずれか1つの割合で製造される、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
機能性を有する主材料として炭化タングステンをさらに含む、請求項1、2、または3に記載の複合材料。
【請求項5】
補助材料として酸化イッテルビウムをさらに含む、請求項1、2、3、または4に記載の複合材料。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の複合材料を用いて製造されるセラミック電気発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は複合材料に関し、より具体的には、セラミック電気発熱体用の複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性材料としてのセラミック電気発熱体は、点火機構の電気発熱体として使用されることがあり、帯電したセラミックが極高温に達することによって点火または発熱が起こる。セラミック電気発熱体は、エンジンの点火、ガスレンジの点火、給湯器の点火、赤外線の発生、酸素センサの加熱、はんだごてのこて先の加熱などの分野でも使用されることがある。セラミック材料からなる電気発熱体は、速い起動性、高耐熱性、耐腐食性、高強度、高耐用性などの利点を持つ。
【0003】
中国特許第100484337号(C)には、丸みを帯びた多層セラミック電気発熱体およびその製造方法が開示されている。より具体的には、このセラミック電気発熱体の抵抗層、絶縁層および導電層が、Si3N4、Al2O3、Y2O3およびMoSi2の4つの素材を含むことが開示されている。Si3N4は網目構造を形成するために使用され、Al2O3およびY2O3は、この網目構造を調節するために使用され、MoSi2は導電性発熱材料を形成するために使用されている。
【0004】
この特許文献に記載されている素材を用いて製造されたセラミック電気発熱体は、速い反応速度、高温への対応、短時間での所望の温度への到達、高耐用性、高収率な製造方法および低い製造コストを達成することができる。
【0005】
しかし、この特許文献に記載の製造材料を用いて製造された複合材料は、特定の使用状況下では、抵抗温度係数および突入電流が大きいことから電力コストが直接的に増加するという問題や、電流/抵抗が急激な速度で変化することから電力制御用アルゴリズムが複雑になるという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、突入電流が小さい複合材料を提供することを目的とし、さらに、この複合材料を用いて製造されたセラミック電気発熱体の導入コストを削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本開示は、セラミック電気発熱体用の複合材料であって、該複合材料を製造するための素材が、窒化ケイ素、二ケイ化モリブデン、炭化ケイ素、酸化イットリウム、酸化アルミニウムおよび酸化ランタンを含むことを特徴とする複合材料を提案する。ここで、窒化ケイ素、二ケイ化モリブデンおよび炭化ケイ素は機能性を有する主材料であり、酸化アルミニウム、酸化イットリウムおよび酸化ランタンは補助材料である。
【0008】
突入電流をさらに低下させるため、前記複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(200~900):(50~900):(500~2800):(40~100):(10~90):(5~80)の割合で製造される。
【0009】
また、前記複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(300~800):(400~900):(800~2800):(40~100):(30~90):(5~80)の割合で製造される。このような割合の材料を用いて製造された複合材料は、セラミック電気発熱体の発熱層として適している。
【0010】
さらに、前記複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(400~900):(50~200):(500~800):(40~90):(30~80):(5~60)の割合で製造される。このような割合の材料を用いて製造された複合材料は、セラミック電気発熱体の絶縁層として適している。
【0011】
さらに、前記複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(200~700):(100~700):(600~1500):(40~80):(10~70):(5~50)の割合で製造される。このような割合の材料を用いて製造された複合材料は、セラミック電気発熱体の導電層として適している。
【0012】
機能性を有する主材料として炭化タングステンがさらに含まれることが好ましい。
【0013】
補助材料として酸化イッテルビウムがさらに含まれることが好ましい。
【0014】
前述の複合材料を用いてセラミック電気発熱体を製造する。
【発明の効果】
【0015】
本開示による複合材料およびセラミック電気発熱体は以下の利点を持つ。
1.様々な抵抗温度係数(TCR)を得ることができ、TCR=-500といった数値だけでなく、TCR=5000という数値も達成可能なように、負の温度係数から正の温度係数まで任意の転換が可能であり、これと同時に、速い起動性、高耐熱性、耐腐食性、高強度などの、従来のセラミック材料の様々な性能の利点が確保されている。
2.小さな突入電流:抵抗温度係数(TCR)が大きいと、突入電流は小さくなり、抵抗温度係数(TCR)が小さくても、突入電流は小さくなる。負のTCRまたは小さいTCRであると、起動電流が小さくなるため、電源および制御部品の制御にかかるコストを大幅に削減できる可能性がある。このようにすれば、実際の使用に際し、電子制御部品に高いコストがかかり、その制御も難しいという従来のセラミック構造材が抱える問題を効率的に解決することができ、国際基準のセラミック構造体と同程度の性能指数を達成することができる。例えば、本開示による材料を使用することにより、過去に使用されていた100Wの電源を60Wの電源に置き換えて、電源容量の要件を緩和してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に示す実施形態を参照することにより、本開示について説明するが、本開示は、以下に記載の実装形態に限定されない。以下の実施形態の要旨の範囲内の改良または置換も、本開示の請求項の保護範囲に含まれる。
【0017】
実施形態:
複合材料であって、該複合材料を製造するための素材が、窒化ケイ素(Si3N4)、二ケイ化モリブデン(MOSi2)、炭化ケイ素(SiC)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化アルミニウム(Al2O3)および酸化ランタン(La2O3)を含むことを特徴とする複合材料を提供する。ここで、窒化ケイ素、二ケイ化モリブデンおよび炭化ケイ素は機能性を有する主材料である。この複合材料を用いてセラミック電気発熱体を製造する場合、これらの主材料により、高温性能、発熱性能、導電率などを付与することができる。酸化アルミニウム、酸化イットリウムおよび酸化ランタンは補助材料であり、この複合材料を用いてセラミック電気発熱体を製造する場合、これらの補助材料により、主にセラミックの焼結を補助して室温および高温における強度を高め、高温耐酸化性などを向上させることができる。
【0018】
本明細書に記載の複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(200~900):(50~900):(500~2800):(40~100):(10~90):(5~80)の割合で製造される。本明細書に記載の複合材料の製造における各材料の割合は、前記とは異なる割合を選択してもよく、例えば、以下の割合であってもよいが、これらに限定されない。
【0019】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:50:500:40:10:5であってもよい。
【0020】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:400:500:40:10:5であってもよい。
【0021】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:50:1000:40:10:5であってもよい。
【0022】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:50:500:80:10:5であってもよい。
【0023】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:50:500:40:50:5であってもよい。
【0024】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:50:500:40:10:50であってもよい。
【0025】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=500:50:500:40:10:5であってもよい。
【0026】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=400:800:500:55:70:76であってもよい。
【0027】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=600:700:1200:70:30:20であってもよい。
【0028】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=800:70:2100:67:60:35であってもよい。
【0029】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=900:900:2800:100:90:80であってもよい。
【0030】
本明細書において、本実施形態の複合材料を用いてセラミック電気発熱体を製造してもよい。本実施形態によるセラミック電気発熱体は、発熱層、絶縁層、導電層などを含む多層セラミック電気発熱体であるが、この多層セラミック電気発熱体に含まれる層はこれらに限定されない。
【0031】
発熱層用の複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(300~800):(400~900):(800~2800):(40~100):(30~90):(5~80)の割合で製造してもよい。
【0032】
発熱層の製造における各材料の割合は、前記とは異なる割合を選択してもよく、例えば、以下の割合であってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=300:400:800:40:30:5であってもよい。
【0034】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=400:800:1800:50:60:20であってもよい。
【0035】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=600:700:2000:80:70:70であってもよい。
【0036】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=700:4、500:1200:60:70:70であってもよい。
【0037】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=800:900:2800:100:90:80であってもよい。
【0038】
絶縁層用の複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(400~900):(50~200):(500~800):(40~90):(30~80):(5~60)の割合で製造してもよい。
【0039】
絶縁層の製造における各材料の割合は、前記とは異なる割合を選択してもよく、例えば、以下の割合であってもよいが、これらに限定されない。
【0040】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=400:50:500:40:30:5であってもよい。
【0041】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=500:100:600:60:70:35であってもよい。
【0042】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=700:150:700:50:40:30であってもよい。
【0043】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=800:90:650:70:40:50であってもよい。
【0044】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=900:200:800:90:80:60であってもよい。
【0045】
導電層用の複合材料は、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=(200~700):(100~700):(600~1500):(40~80):(10~70):(5~50)の割合で製造してもよい。
【0046】
導電層の製造における各材料の割合は、前記とは異なる割合を選択してもよく、例えば、以下の割合であってもよいが、これらに限定されない。
【0047】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=200:100:600:40:10:5であってもよい。
【0048】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=400:300:800:60:30:15であってもよい。
【0049】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=600:500:1000:70:50:30であってもよい。
【0050】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=500:600:1300:50:60:45であってもよい。
【0051】
例えば、窒化ケイ素:炭化ケイ素:二ケイ化モリブデン:酸化イットリウム:酸化ランタン:酸化アルミニウム=700:700:1500:80:70:50であってもよい。
【0052】
本実施形態の別の一実装形態として、機能性を有する主材料として炭化タングステン(WC)をさらに含む。
【0053】
本実施形態の別の一実装形態として、補助材料として酸化イッテルビウム(Yb2O3)をさらに含む。
【0054】
前述の複合材料を用いてセラミック電気発熱体を製造する。
【0055】
本実施形態のセラミック電気発熱体は、内側から外側に向かって少なくとも2つ以上の層を備える多層構造を有する。本実施形態のセラミック電気発熱体が2層からなる場合、内側層の構造は抵抗層であり、外側層の構造は導電層である。本実施形態のセラミック電気発熱体が3層構造である場合、内側層の構造は抵抗層であり、中間層の構造は絶縁層であり、外側層の構造は導電層である。
【0056】
本明細書において、本実施形態の多層セラミック電気発熱体は、以下の工程を含む鋳込成形法により製造される。
【0057】
工程1:混合スラリーの調製:
窒化ケイ素、炭化ケイ素、二ケイ化モリブデン、酸化イットリウム、酸化ランタンおよび酸化アルミニウムの粉末を重量比に従って水と混合し、均一に攪拌して、容器に入れる。多層セラミック電気発熱体の様々な層に応じて様々な種類の混合スラリーを調製し、別々の容器に入れて準備しておく。
【0058】
本実施形態の一実装形態では、前記材料組成物と水の総重量比を1:(1~4)とする。
【0059】
工程2:鋳込成形:
両端が開放された鋳込成形型を鋳込成形機に配置し、セラミックスラリー混合物を鋳込成形機に投入して、鋳込成形を開始する。鋳込成形は、セラミック電気発熱体が備える層の数に応じて段階的に実施し、外側層から内側層へと連続的に行う。
【0060】
工程3:焼結:
水分を失って乾燥したセラミック生材を鋳込成形型から取り出し、焼結金型に入れる。次に、セラミック生材を入れた焼結金型を焼結炉に入れ、2000~5000Kpaの圧力下、1400℃で7~12時間焼結を行う。
【0061】
工程4:
セラミック焼結体を焼結金型から取り出し、外形研削を行って、電極を取り付ける。
【0062】
本実施形態の複合材料を用いて製造されたセラミック電気発熱体を使用することによって、様々な抵抗温度係数(TCR)を得ることができ、TCR=-500といった数値だけでなく、TCR=5000という数値も達成可能なように、負の温度係数から正の温度係数まで任意の転換が可能であり、これと同時に、速い起動性、高耐熱性、耐腐食性、高強度などの、従来のセラミック材料の様々な性能の利点が確保されている。
【0063】
小さな突入電流:
抵抗温度係数(TCR)が大きいと、突入電流は小さくなり、抵抗温度係数(TCR)が小さくても、突入電流は小さくなる。負のTCRまたは小さいTCRであると、起動電流が小さくなるため、電源および制御部品の制御にかかるコストを大幅に削減できる可能性がある。このようにすれば、実際の使用に際し、電子制御部品に高いコストがかかり、その制御も難しいという従来のセラミック構造材が抱える問題を効率的に解決することができ、国際基準のセラミック構造体と同程度の性能指数を達成することができる。