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特許7488902ポリフェニレンエーテル-ポリアミド組成物、その製造および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】ポリフェニレンエーテル-ポリアミド組成物、その製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/12 20060101AFI20240515BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20240515BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20240515BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
C08L71/12
C08L77/00
C08L53/02
C08J5/00 CEZ
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022538444
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2020064998
(87)【国際公開番号】W WO2021138035
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】62/956,040
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20170916.9
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ イ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュバーン ジェイムス ロス
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-323122(JP,A)
【文献】特開平05-051523(JP,A)
【文献】特開2012-131977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30から40重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)、またはそれらの組み合わせと
35から65重量パーセントのポリアミド組成物であって、前記ポリアミド組成物は、75マイクロ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有する少なくとも1つのポリアミドを含む、ポリアミド組成物と
10から30重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤、またはそれらの組み合わせと
20から30重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンゴム)改質ポリアミド、または
5から20重量パーセントの、前記ポリアミド組成物の一部としての、75から140マイクロ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミド、または
それらの組み合わせと
を含む組成物であって、
各量は100重量パーセントの前記組成物に基づく、組成物。
【請求項2】
前記ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤は、20から35重量パーセントのスチレン量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エチレン-プロピレン-ジエンゴム)改質ポリアミドが100重量パーセントの前記組成物に基づき、24から30重量パーセントの量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
75から140マイクロ当量毎グラムのアミン末端基量を有する前記ポリアミドが存在し、前記組成物中の全てのポリアミドの20から40重量パーセントを占める、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレン-プロピレン-ジエンゴム)改質ポリアミドが存在し、前記組成物は、2から10重量パーセントの前記エチレン-プロピレン-ジエンゴム)改質ポリアミドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
30から40重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、
38から54重量パーセントのポリアミド組成物であって、前記ポリアミド組成物は、70マイクロ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有する前記ポリアミド、および、75から140マイクロ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドを含む、ポリアミド組成物と、
10から28重量パーセントの前記ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
33から37重量パーセントの前記ポリ(フェニレンエーテル)と、
42から50重量パーセントの前記ポリアミド組成物であって、75から120マイクロ当量毎グラムのアミン末端基量を有する前記ポリアミドが8から35重量パーセントの量で存在する、ポリアミド組成物と、
12から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記エチレン-プロピレン-ジエンゴム)改質ポリアミドが存在し、前記組成物は、2から10重量パーセントの前記エチレン-プロピレン-ジエンゴム)改質ポリアミドを含む、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の成形試料は下記特性の少なくとも1つを有し:
ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると、164℃から180℃の熱変形温度、
ISO180にしたがい-30℃で測定すると、32kJ/mから64kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、
ISO527にしたがい-30℃で測定すると2100MPaから2600MPaの引張弾性率、または
ASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した延性、
ここで、前記成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される、
請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
32から38重量パーセントの前記ポリ(フェニレンエーテル)と、
40から50重量パーセントの前記ポリアミド組成物と、
10から28重量パーセントの前記ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、
2から10重量パーセントのエチレンプロピレンジエンゴム)改質ポリアミドと、
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリアミド組成物は少なくとも2つの異なるポリアミドを含み、1つのポリアミドは75マイクロ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有し、別のポリアミドは、75から140マイクロ当量毎グラムのアミン末端基量を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物の成形試料は下記特性の少なくとも1つを有し:
ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると164℃から174℃の熱変形温度、
ISO180にしたがい-30℃で測定すると、45から70kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、
ISO527にしたがい-30℃で測定すると1700から2200MPaの引張弾性率、または
ASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した延性、
ここで、前記成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物から形成される物品。
【請求項14】
旅客輸送車両、商用車両装備品、または商用もしくは住宅ユニットのための成形部品としての、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記組成物の前記成分を溶融混合する工程を含む、請求項1~12のいずれかに記載の組成物を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年12月31日に出願された米国出願第62/956,040号および2020年4月22日に出願された欧州特許出願第20170916.9号についての優先権およびその恩典を主張し、それらの内容は参照により本明細書にそれらの全体が組み込まれる。
【0002】
この開示はポリフェニレンエーテル/ポリアミド組成物、特にポリフェニレンエーテルおよびポリアミドを含む相溶化ブレンド、それらの製造方法、および組成物を含む物品に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリフェニレンエーテルはポリアミドとブレンドされ、多種多様の有益な特性、例えば耐熱性、耐化学性、衝撃強さ、加水分解安定性、および寸法安定性を有する組成物が提供されてきた。いくつかの適用では、良好な低温機械的特性を有するポリ(フェニレンエーテル)/ポリアミド組成物を使用することが望ましい。不運なことに、これらの特性は、より薄い厚さを有する物品では、機械的特性を維持しながら達成することが困難である可能性がある。その上、ガラス繊維強化熱可塑性組成物において難燃性を達成するのが特に困難であり、というのも、強化フィラーの存在は非強化組成物と比べて組成物の燃焼挙動を変化させるからである。加えて、ガラス繊維の存在は組成物の延性を著しく変化させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、当技術分野においては、改善された低温衝撃特性を有するポリフェニレンエーテル/ポリアミド組成物が必要なままである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
組成物は、35から55重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)、またはそれらの組み合わせと、35から65重量パーセントのポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物は、75ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有する少なくとも1つのポリアミドを含む、ポリアミド組成物と、10から30重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤、またはそれらの組み合わせと、ならびに、任意で:20から30重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミド、または5から20重量パーセントの、ポリアミド組成物の一部としての、75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミド、またはそれらの組み合わせとを含み、ここで、各量は100重量パーセントの組成物に基づく。
【0006】
別の態様は組成物をそのバリエーションのいずれかの形態で含む物品である。
【0007】
別の態様は組成物を形成する方法であり、方法は、上記組成物の成分を合わせる工程を含む。
【0008】
これらのおよび他の態様は下記で詳細に記載され、説明される。
【0009】
下記図は例示である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】38重量部(pbw)のポリアミド-6,6および35.6pbwのポリフェニレンエーテル(PPE)を含む、実施例14の走査透過型電子顕微鏡(STEM)画像である。
図2】35pbwのポリアミド-6,6および35.6pbwのPPEを含む、実施例15のSTEM画像である。
図3】1.39マイクロメートル(μm)のPPEドメインサイズの体積加重平均を示す、比較例12のSTEM画像である。
図4】1.25μmのPPEドメインサイズの体積加重平均を示す、実施例37のSTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは改善されたポリフェニレンエーテル/ポリアミドブレンドは、成分およびそれらの成分の量の特定の組み合わせを使用して得ることができることを見出した。予想外に、特定のアミン基量および/または特定の衝撃改質剤を有するPPE/PA組成物は改善された低温特性を有するブレンドを提供することができる。理論に縛られないが、改善された低温衝撃特性はポリアミドマトリクス内でのPPEの改善された分布のためであると考えられる。
【0012】
特に、相溶化ブレンド組成物は、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)、またはそれらの組み合わせと、75ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有する少なくとも1つのポリアミドを含むポリアミド組成物と、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤と、ならびに(a)エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミド、または(b)ポリアミド組成物の一部としての、75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミド、または(a)および(b)の組み合わせと、を含む。
【0013】
ブレンド組成物は、ポリフェニレンエーテル(本明細書では「PPE」とも呼ばれる)を含み、PPEはポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)、またはそれらの組み合わせとすることができる。ポリ(フェニレンエーテル)は下記構造を有するフェニレンエーテル単位を含むホモポリマーまたはコポリマーであり、
【化1】
式中、Zの各事象は独立して、ハロゲン、非置換もしくは置換C1-12ヒドロカルビル(ただし、ヒドロカルビル基は三級ヒドロカルビルではないことを条件とする)、C1-12ヒドロカルビルチオ、C1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC2-12ハロヒドロカルビルオキシ(少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)であり、Zの各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C1-12ヒドロカルビル(ただし、ヒドロカルビル基は三級ヒドロカルビルではないことを条件とする)、C1-12ヒドロカルビルチオ、C1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC12ハロヒドロカルビルオキシ(少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を分離する)である。ポリ(フェニレンエーテル)は典型的にはヒドロキシ基に対してオルト位に位置する、アミノアルキル含有末端基(複数可)を有することができる。1つの例として、Zは末端3,5-ジメチル-1,4-フェニル基の酸化重合触媒のジ-n-ブチルアミン成分との反応により形成されるジ-n-ブチルアミノメチル基とすることができる。典型的には、テトラメチルジフェノキノン副産物が存在する2,6-ジメチルフェノール含有反応混合物から得られるテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)末端基もまた頻繁に存在する。ポリ(フェニレンエーテル)はホモポリマー、ランダムコポリマー、グラフト共重合体、またはブロックコポリマー、ならびにそれらの組み合わせの形態で存在することができる。一態様では、ポリ(フェニレンエーテル)はホモポリマー、好ましくはポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)である。
【0014】
一態様では、ポリ(フェニレンエーテル)は、以上で記載されるフェニレンエーテル単位を含有するブロックおよび下記構造を有するシロキサン単位を含有するブロックを含むポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)ブロックコポリマーとすることができ、
【化2】
式中、Rの各事象は独立して、C12ヒドロカルビルまたはC12ヒドロカルビルオキシである。一態様では、Rの各事象はメチルである。ポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンを調製するための方法は、F.Toublanらの国際特許出願公開第WO2010/008683 A2号で記載されるものを含む。一態様では、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)ブロックコポリマーは、2,6-ジメチルフェノールを含む一価フェノールおよび下記構造を有するヒドロキシアリール末端ポリシロキサンの酸化的共重合により形成することができ、
【化3】
式中、nは、平均して、5から100、特定的には30から60である。
【0015】
酸化的共重合法では、所望の生成物としてポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーが、副産物としてポリ(フェニレンエーテル)(ポリシロキサンブロックが組み入れられていない)が生成される。ポリ(フェニレンエーテル)をポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーから分離するする必要はない。よって、ポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーは、ポリ(フェニレンエーテル)およびポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーの両方を含む「反応生成物」として使用することができる。ある一定の単離手順、例えばイソプロパノールからの沈殿により、反応生成物が確実に、残留ヒドロキシアリール末端ポリシロキサン開始材料を本質的に含まないことが可能になる。言い換えれば、これらの単離手順により、反応生成物のポリシロキサン量は本質的に全て、ポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーの形態であることが確保される。ポリ(フェニレンエーテル)-ポリシロキサンブロックコポリマーを形成するための詳細な方法はCarrilloらの米国特許第8,017,697号および8,669,332号において記載される。
【0016】
一態様では、PPE(すなわち、ポリ(フェニレンエーテル)またはポリ(フェニレンエーテル-シロキサン))はウベローデ粘度計により25℃でクロロホルム中にて測定すると0.2から1デシリットル毎グラムの固有粘度を有する。この範囲内で、ポリ(フェニレンエーテル)固有粘度は0.3から0.5デシリットル毎グラム、特定的には0.35から0.55デシリットル毎グラムであり得る。
【0017】
一態様では、PPEは2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル単位、2,3,6-トリメチル-1,4-フェニレンエーテル単位、またはそれらの組み合わせを含むポリ(フェニレンエーテル)である。特定の態様では、ポリ(フェニレンエーテル)は、ウベローデ粘度計により25℃でクロロホルム中にて測定すると、0.2から0.6デシリットル毎グラムの固有粘度を有するポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)である。0.2から0.6デシリットル毎グラムの範囲内で、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)の固有粘度は0.3から0.5デシリットル毎グラム、より好ましくは0.35から0.45デシリットル毎グラムであり得る。
【0018】
ブレンド組成物は、組成物の総重量に基づき、ポリ(フェニレンエーテル)を35から55重量パーセントの量で含む。この範囲内で、PPE量は30から40重量パーセント、または32から38重量パーセント、または33から36重量パーセント、または33から37重量パーセントとすることができる。
【0019】
ポリ(フェニレンエーテル)に加えて、組成物は、1つ以上の異なるポリアミドを含むポリアミド組成物をさらに含む。ナイロンとしても知られているポリアミドは、例えばGallucciの米国特許第4,970,272号に記載されるように、アミド(すなわち、-C(=O)NH-)連結基を含有するポリマーである。使用することができるポリアミドとしては、ポリアミド-6、ポリアミド-6,6、ポリアミド-4、ポリアミド-4,6、ポリアミド-12、ポリアミド-6,10、ポリアミド6,9、ポリアミド-6,12、ポリアミド9T、ポリアミド6/6Tおよびポリアミド6,6/6T(トリアミン量が0.5重量パーセント未満である)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、ポリアミドはポリアミド-6、ポリアミド-6,6、またはそれらの組み合わせを含む。ポリアミド-6およびポリアミド-6,6は多くの供給元から市販されており、それらの調製方法は公知である。例えば、ポリアミドは多くのよく知られたプロセス、例えば、Carothersの米国特許第2,071,250号、2,071,251号、2,130,523号、および2,130,948号、Hanfordの2,241,322号および2,312,966号、ならびにBoltonらの2,512,606号に記載されるものにより得ることができる。
【0020】
ポリアミド組成物は、75ミリ当量毎グラム(meq/g)未満のアミン末端基量を有する、本明細書では便宜上、「低アミンポリアミド」と呼ばれるポリアミドを含む。低アミンポリアミドは5から75ミリ当量毎グラム、または70ミリ当量毎グラム未満または10から70ミリ当量毎グラム、または15から60ミリ当量毎グラムのアミン末端基濃度を有することができる。アミン末端基量はポリアミドを好適な溶媒に溶解し、0.01規定塩酸(HCl)溶液でトリチュレートして、好適な指示方法を使用して決定することができる。アミン末端基の量は試料に添加されたHCl溶液の体積、ブランクのために使用されたHClの体積、HCl溶液のモル濃度、およびポリアミド試料の重量に基づいて計算される。
【0021】
組成物は任意で、ポリアミド組成物の一部としての、75から140meq/g、または85から120ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミド、または以下でさらに記載される特定の衝撃改質剤、または75から140meq/gのアミン末端基量を有するポリアミドおよび1つ以上の特定の衝撃改質剤の組み合わせの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0022】
75から140meq/gのアミン末端基量を有するポリアミドは市販されている。アミン基量は以上で記載されるように測定することができる。このポリアミドの量は全体としてポリアミド成分として含められ、さらに詳細に以下で記載される。
【0023】
一態様では、ポリアミド組成物は少なくとも2つの異なるポリアミドを含み、1つのポリアミドは75ミリ当量未満のアミン量を有し、別のポリアミドは、75から140ミリ当量毎グラムのアミン量、好ましくは85から120ミリ当量毎グラムのアミン量を有する。
【0024】
ポリアミド組成物は組成物中に35から65重量パーセントの量で含めることができる。この範囲内で、ポリアミド組成物は38から54重量パーセント、または40から48重量パーセント、または42から50重量パーセント、または44から48重量パーセント、または40から50重量パーセントの量で存在することができる。特定の態様では、75から120ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドが存在することができ、組成物中の全てのポリアミドの20から40重量パーセント、好ましくは20から35重量パーセント、より好ましくは20から30重量パーセントを占めることができる。
【0025】
ポリ(フェニレンエーテル)およびポリアミド組成物に加えて、本開示の組成物は、衝撃改質剤をさらに含む。衝撃改質剤は典型的にはオレフィン、モノビニル芳香族モノマー、アクリルおよびメタクリル酸およびそれらのエステル誘導体、ならびに共役ジエンから誘導される高分子量エラストマー材料である。共役ジエンから形成されるポリマーは完全にまたは部分的に水素化させることができる。よって、多種多様の衝撃改質剤が当技術分野で知られているが、本発明者らはある一定の衝撃改質剤のみが所望の低温特性を提供することを見出した。特に、組成物は、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤、またはそれらの組み合わせ、ならびに任意でエチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドをさらに含む。一態様では、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤の組み合わせはエチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドと一緒に使用することができる。
【0026】
ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤およびポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマーはスチレンおよび共役ジエンの水素化ブロックコポリマーを含む。簡単のために、この成分は「水素化ブロックコポリマー」と呼ばれる。水素化ブロックコポリマーは(A)スチレンから誘導される少なくとも1つのブロックおよび(B)共役ジエンから誘導される少なくとも1つのブロックを含み、ブロック(B)中の脂肪族不飽和基量は水素化により少なくとも部分的に低減されるコポリマーである。一態様では、(B)ブロック中の脂肪族不飽和は少なくとも50パーセント、特定的には少なくとも70パーセントだけ低減される。ブロック(A)および(B)の配列は線形構造、グラフト構造、およびラジアルテレブロック(radial teleblock)構造(分枝鎖ありまたはなし)を含む。線形ブロックコポリマーは、テーパ線形構造および非テーパ線形構造を含む。一態様では、水素化ブロックコポリマーはテーパ線形構造を有する。一態様では、水素化ブロックコポリマーは非テーパ線形構造を有する。一態様では、水素化ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族モノマーのランダム組み込みを含む(B)ブロックを含む。線形ブロックコポリマー構造はジブロック(A-Bブロック)およびトリブロック(A-B-Aブロック)を含み、各(A)ブロックの分子量は、他の(A)ブロックと同じか、または異なるものとすることができ、各(B)ブロックの分子量は、他の(B)ブロックと同じか、または異なるものとすることができる。一態様では、水素化ブロックコポリマーはジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせである。
【0027】
水素化ブロックコポリマーは、水素化ブロックコポリマーの重量に基づき、10から90重量パーセントのポリ(スチレン)量および90から10重量パーセントの水素化ポリ(共役ジエン)量を含むことができる。一態様では、水素化ブロックコポリマーは低ポリ(スチレン)量水素化ブロックコポリマーであり、ここで、ポリ(スチレン)量は10から40重量パーセント未満、または20から35重量パーセント、または25から35重量パーセント、または30から35重量パーセントであり、全て、低ポリ(スチレン)量水素化ブロックコポリマーの重量に基づく。一態様では、水素化ブロックコポリマーは高ポリ(スチレン)量水素化ブロックコポリマーであり、ここで、ポリ(アルケニル芳香族)量は40から90重量パーセント、特定的には50から80重量パーセント、より特定的には60から70重量パーセントであり、全て高ポリ(アルケニル芳香族)量水素化ブロックコポリマーの重量に基づく。
【0028】
水素化ブロックコポリマーを調製するために使用される共役ジエンはC4-20共役ジエンとすることができる。好適な共役ジエンとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル1,3ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、など、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、共役ジエンは1,3-ブタジエン、2メチル-1,3-ブタジエン、またはそれらの組み合わせである一態様では、共役ジエンは1,3-ブタジエンである。
【0029】
一態様では、水素化ブロックコポリマーは40,000から400,000グラム毎モル(g/mol)の重量平均分子量を有する。数平均分子量および重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン標準との比較に基づき決定することができる。一態様では、水素化ブロックコポリマーは200,000から400,000g/mol、または220,000から350,000g/molの重量平均分子量を有する。一態様では、水素化ブロックコポリマーは40,000から200,000g/mol、または40,000から180,000g/mol、または40,000から150,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0030】
一態様では、水素化ブロックコポリマーはスチレンおよび共役ジエン以外のモノマー残基を排除する。一態様では、水素化ブロックコポリマーは、スチレンおよび共役ジエンから誘導されるブロックから構成される。それは、これらまたは任意の他のモノマーから形成されるグラフトを含まない。それはまた、炭素および水素原子から構成され、そのため、ヘテロ原子を排除する。一態様では、水素化ブロックコポリマーは、1つ以上の酸官能化剤、例えば無水マレイン酸の残基を含む。一態様では、水素化ブロックコポリマーはポリスチレンポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマーを含む。
【0031】
水素化ブロックコポリマーを調製するための方法が当技術分野で知られており、多くの水素化ブロックコポリマーが市販されている。市販の水素化ブロックコポリマーとしては、Kraton Performance Polymers社からKRATON(商標)G1701(37重量パーセントのポリスチレンを有する)およびG1702(28重量パーセントのポリスチレンを有する)として入手可能なポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー、Kraton Performance Polymers社からKRATON(商標)G1641(33重量パーセントのポリスチレンを有する)、G1650(30重量パーセントのポリスチレンを有する)、G1651(33重量パーセントのポリスチレンを有する)、およびG1654(31重量パーセントのポリスチレンを有する)として入手可能なポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー、ならびに、KurarayからSEPTON(商標)S4044、S4055、S4077、およびS4099として入手可能なポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)-ポリスチレントリブロックコポリマーが挙げられる。追加の市販の水素化ブロックコポリマーとしては、DynasolからCALPRENE(商標)H6140(31重量パーセントのポリスチレンを有する)、H6170(33重量パーセントのポリスチレンを有する)、H6171(33重量パーセントのポリスチレンを有する)、およびH6174(33重量パーセントのポリスチレンを有する)として、ならびにKurarayからSEPTON(商標)8006(33重量パーセントのポリスチレンを有する)および8007(30重量パーセントのポリスチレンを有する)として入手可能なポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレン(SEBS)トリブロックコポリマー、Kraton Performance PolymersからKRATON(商標)A1535(56.3-60.3重量パーセントのポリスチレンを有する)およびA1536(37-44重量パーセントのポリスチレンを有する)として入手可能なポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン-スチレン)-ポリスチレンテーパードブロックコポリマー、KurarayからSEPTON(商標)2006(35重量パーセントのポリスチレンを有する)および2007(30重量パーセントのポリスチレンを有する)として入手可能なポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン(SEPS)コポリマー、ならびにKraton Performance Polymers社からKRATON(商標)G4609(45%の鉱物油、および33重量パーセントのポリスチレンを有するSEBSを含有する)およびG4610(31%の鉱物油、および33重量パーセントのポリスチレンを有するSEBSを含有する)として、および、AsahiからTUFTEC(商標)H1272(36%の油、および35重量パーセントのポリスチレンを有するSEBSを含有する)として入手可能な、これらの水素化ブロックコポリマーの油展化合物が挙げられる。
【0032】
しかしながら、この発明者らにより、ある一定の前記市販の水素化ブロックコポリマーのみが低温機械的特性を提供するのに有効であることが見出されている。例えば、高分子量または高ビニル含量のSEBSは改善された低温機械的特性を提供しない。特に、26.2-29wt%のスチレン量を有する水素化ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー(KRATON G1702)は有用である。よって、一態様では、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤が存在することができ、好ましくは20から35重量パーセント、または25から30重量パーセントのスチレン量を有することができる。
【0033】
水素化ブロックコポリマー以外では、(i)10℃未満、より好ましくは-10℃未満、より好ましくは-40℃から-80℃のTgを有する弾性(すなわち、ゴム状)ポリマー基材、および(ii)弾性ポリマー基材にグラフトされた剛性ポリマースーパーストレートを含むエラストマー改質グラフト共重合体を含有する組成物は有用となり得ることが見出されている。特に、エチレン-プロピレン-ジエンモノマゴム(EPDM)が使用され得る。特定の態様では、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドは望ましい低温機械的特性を提供することができる。そのような衝撃改質剤もまた知られており、市販されている。
【0034】
ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤、またはそれらの組み合わせは、組成物中に10から30重量パーセントの量で含められ得る。この範囲内で、量は14から24重量パーセントとすることができる。一態様では、組成物は10から28重量パーセント、または14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤を含むことができる。一態様では、組成物は12から24重量パーセント、または15から22重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤を含むことができる。一態様では、組成物は24から30重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドを含むことができる。一態様では、組成物は2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー衝撃改質剤を含むことができる。
【0035】
各成分の相対量は特性の所望の組み合わせを提供するように調整することができる。当業者により理解されるように、各成分の量は、それらが合計で100重量パーセントとなるように選択される。
【0036】
組成物は任意で、所望の特性を達成するように選択される1つ以上の添加物を含む添加組成物をさらに含むことができるが、ただし、添加物はまた、組成物の所望の特性に著しい悪影響を及ぼさないように選択されるということを条件とする。添加組成物または個々の添加物は、組成物を形成するための成分の混合中、好適な時間に混合することができる。添加組成物は、流動改質剤、フィラー(例えば、微粒子ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、炭素、鉱物、または金属)、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線(UV)安定剤、UV吸収添加物、可塑剤、潤滑剤、剥離剤(例えば、離型剤)、帯電防止剤、防曇剤、抗菌薬、着色剤(例えば、染料または顔料)、表面効果添加物、放射線安定剤、難燃剤、防滴剤(例えば、PTFE-封入スチレン-アクリロニトリルコポリマー(TSAN))、またはそれらの組み合わせを含むことができる。添加物は有効であることが一般に知られている量で使用される。例えば、添加組成物(衝撃改質剤、フィラー、または補強剤以外)の総量は0.001から10.0重量パーセント、または0.01から5重量パーセントとすることができ、各々、組成物中のポリマーの総重量に基づく。一態様では、組成物は、本明細書で特定的には開示されていない添加物を排除することができる。
【0037】
フィラーは、強化フィラー(金属繊維、金属化無機繊維、金属化合成繊維、ガラス繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、およびそれらの組み合わせを含む)、導電性フィラー(炭素繊維、カーボンナノチューブ、および金属繊維を含む)、抗菌フィラー(硫酸銀および硫酸銅を含む)、減衰フィラー(エポキシ樹脂およびホウ砂を含む)、熱伝導性フィラー(アルミニウム繊維、グラファイト繊維、窒化ホウ素、および窒化アルミニウムを含む)、およびそれらの組み合わせを含むことができる。一態様では、フィラーはガラス繊維を含む。ガラス繊維としては、E、A、C、ECR、R、S、D、およびNEガラス、ならびに石英に基づくものが挙げられる。ガラス繊維は2から30マイクロメートル、特定的には5から25マイクロメートル、より特定的には10から15マイクロメートルの直径を有することができる。コンパウンディング前のガラス繊維の長さは0.3から5ミリメートル、特定的には0.5から4ミリメートルとすることができる。ガラス繊維は、任意で、その熱可塑性組成物との適合性を改善するためにいわゆる接着促進剤を含むことができる。接着促進剤としては、クロム錯体、シラン、チタン酸塩、ジルコアルミネート、プロピレン無水マレイン酸コポリマー、反応性セルロースエステルなどが挙げられる。好適なガラス繊維は、例えば、Owens Corning、Johns Manville、およびPPG Industriesを含む供給元から市販されている。
【0038】
一態様では、フィラーまたはガラス繊維は存在しない。一態様では、導電性フィラーは組成物中に存在しない。
【0039】
一態様では、相溶化剤は、ポリアミドとポリ(フェニレンエーテル)の相溶化ブレンドの形成を促進するために使用することができる。本明細書では、「相溶化剤」という用語は、ポリ(フェニレンエーテル)、ポリアミド、または両方と相互作用する多官能性化合物を示す。この相互作用は化学的(例えば、グラフティング)および/または物理的(例えば、分散相の表面特性に影響する)であり得る。いずれの場合でも、得られたポリアミド-ポリ(フェニレンエーテル)ブレンドは改善された適合性を示し、特に、増強された衝撃強さ、モールドニットライン強度、および/または引張伸びにより証明される。そのような相溶化剤は公知であり、例えば、炭素-炭素二重結合および少なくとも1つのカルボン酸、無水物、エポキシ、イミド、アミド、エステル基またはその等価官能基の両方を含むことができる。他の公知の相溶化剤は、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、またはアシルオキシなどの1つの基、および少なくとも2つの基(その各々は同じか、または異なっていてもよい)を含み、カルボン酸、酸ハロゲン化物、無水物、酸ハロゲン化物無水物、エステル、オルトエステル、アミド、イミド、アミノ、またはその塩とすることができる。相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイン酸ヒドラジド、ジクロロマレイン酸無水物、不飽和ジカルボン酸(例えばアクリル酸、ブテン酸、メタクリル酸、t-エチルアクリル酸、ペンテン酸、クエン酸、リンゴ酸、アガリン酸)、クエン酸アセチル、クエン酸モノおよび/またはジステアリル、N,N’-ジエチルクエン酸アミド、N-フェニルクエン酸アミド、N-ドデシルクエン酸アミド、N,N’-ジドデシルクエン酸アミドおよびN-ドデシルリンゴ酸が挙げられる。誘導体としてはそれらの塩が挙げられ、アミンとの塩ならびにアルカリおよびアルカリ金属塩が含まれる。例示的な好適な塩としては、リンゴ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸カリウム、およびクエン酸カリウムが挙げられる。一態様では、相溶化剤は、クエン酸無水物、フマル酸、またはそれらの組み合わせを含む。一態様では、クエン酸無水物またはフマル酸以外の相溶化剤は組成物中に存在しない。
【0040】
特定の態様では、組成物は、30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、38から54重量パーセント、好ましくは40から48重量パーセントのポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物は70ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有するポリアミドおよび75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドを含む、ポリアミド組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、を含む。
【0041】
特定の態様では、組成物は、33から37重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、42から50重量パーセント、好ましくは44から48重量パーセントのポリアミド組成物と、75から120ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドが、8から35重量パーセント、好ましくは12から26重量パーセントの量で存在し、ならびに12から24重量パーセント、好ましくは15から22重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、を含む。
【0042】
特定の態様では、組成物は、30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、38から54重量パーセント、好ましくは40から48重量パーセントのポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物は、70ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有するポリアミド、および、75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドを含む、ポリアミド組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー衝撃改質剤と、を含む。
【0043】
特定の態様では、組成物は、33から37重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、42から50重量パーセント、好ましくは44から48重量パーセントのポリアミド組成物と、75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドが8から35重量パーセント、好ましくは12から26重量パーセントの量で存在し、12から24重量パーセント、好ましくは15から22重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー衝撃改質剤と、を含む。
【0044】
特定の態様では、組成物は、30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、40から50重量パーセント、好ましくは42から48重量パーセントのポリアミド組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレンプロピレンジエンモノマー衝撃改質剤と、を含む。
【0045】
特定の態様では、組成物は、30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、40から50重量パーセント、好ましくは42から48重量パーセントのポリアミド組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレンプロピレンジエンモノマー衝撃改質剤とを含み、ポリアミド組成物は少なくとも2つの異なるポリアミドを含み、1つのポリアミドは75ミリ当量未満のアミン量を有し、別のポリアミドは、75から140ミリ当量毎グラムのアミン量、好ましくは85から120ミリ当量毎グラムのアミン量を有する。
【0046】
本開示の組成物は1つ以上の有利な特性を示すことができる。例えば、組成物を含む成形試料は望ましい熱変形温度(HDT)、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、引張弾性率、または延性を示すことができる。例えば、組成物の成形試料は、ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると、164℃から174℃の少なくとも1つの熱変形温度、ISO180にしたがい-30℃で測定すると、45から70kJ/m、好ましくは55から70kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、ISO527にしたがい-30℃で測定すると1700から2200MPaの引張弾性率、またはASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した延性を有することができ、ここで、成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される。例えば、組成物の成形試料は、ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると、164℃から180℃の少なくとも1つの熱変形温度、ISO180にしたがい-30℃で測定すると、32kJ/mから64kJ/m、好ましくは40kJ/mから60kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、ISO527にしたがい-30℃で測定すると2100MPaから2600MPaの引張弾性率、またはASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した延性を有することができ、ここで、成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される。
【0047】
一態様では、組成物は、30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、40から50重量パーセント、好ましくは42から48重量パーセントのポリアミド組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレンプロピレンジエンモノマー衝撃改質剤と、を含む。例えばこの態様では、ポリアミド組成物は少なくとも2つの異なるポリアミドを含み、1つのポリアミドは75ミリ当量未満のアミン量を有し、別のポリアミドは、75から140ミリ当量毎グラムのアミン量、好ましくは85から120ミリ当量毎グラムのアミン量を有する。この態様では、組成物の成形試料は、下記特性の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つを有し:ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると164℃から174℃の熱変形温度、ISO180にしたがい-30℃で測定すると、45から70kJ/m、好ましくは55から70kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、ISO527にしたがい-30℃で測定すると1700から2200MPaの引張弾性率、またはASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した延性、ここで、成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される。
【0048】
本開示による組成物は35から55重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)、またはそれらの組み合わせと、35から65重量パーセントのポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物は、75ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有する少なくとも1つのポリアミドを含む、ポリアミド組成物と、10から30重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤、またはそれらの組み合わせと、任意で、20から30重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミド、または5から20重量パーセントのポリアミド組成物の一部としての、75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミド、またはそれらの組み合わせと、を含むことができ、ここで、各量は100重量パーセントの組成物に基づく。ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤は20から35重量パーセント、または25から30重量パーセントのスチレン量を有することができる。エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドは100重量パーセントの組成物に基づき、24から30重量パーセントの量で存在することができる。75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドが存在することができ、組成物中の全てのポリアミドの、20から40重量パーセント、好ましくは20から35重量パーセント、より好ましくは20から30重量パーセントを占めることができる。エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドが存在することができ、組成物は2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー衝撃改質剤を含むことができる。
【0049】
別の態様は、その上記バリエーションのいずれかの組成物を含む物品である。そのような物品は、自動車、航空機、船舶、列車、および地下鉄車両を含む車両の内装において使用される部品を含む。特定の部品は航空機内装パネルである。
【0050】
組成物は一般に知られている任意の方法により形成することができる。例えば、組成物は組成物の成分を組み合わせることにより形成することができる。一態様では、組成物の成分はドライブレンドすることができ、ドライブレンドは押出機の上流ポート中に添加することができる。次いで、ドライブレンドは溶融混合することができる。一態様では、ポリアミドおよび、存在する場合、任意のフィラーは溶融混合物に別の下流フィーダーを使用して添加することができる。典型的な溶融混合温度は250から315℃とすることができる。成形品は組成物から、例えば、射出成形または押出加工により形成させることができる。
【実施例
【0051】
本開示は下記非限定的な実施例によりさらに説明される。
【0052】
表1で示される材料を実施例において使用した。
【0053】
【表1】
【0054】
下記実施例の組成物を、Toshiba TEM-37BS 30-ミリメートル二軸押出機上で、シングルパスでコンパウンドした。ポリアミド以外の全ての成分(特に断りのない限り)を押出機(extruded)の供給口で添加し、ポリアミドを下流サイドフィーダーから添加した。押出機温度設定(上流から下流までのゾーン)を240-270-290-290-290-290-290-290-280℃とし、ダイ温度を255℃とした。スクリュー回転速度を300毎分回転数(rpm)とした。押出物を水浴中で冷却させ、ペレット化した。ペレットを射出成形または押出成形前3時間120℃でコンディショニングした。
【0055】
成形する前に、ペレットを110℃で2-4時間予備乾燥させた。試料の成形を、85Van Dorn射出成形機上で、260-260-260-260℃(スロートからノズルまで)の温度設定および70℃の型温を用いて実施した。
【0056】
物理的性質を表2で示されるASTMまたはISO試験方法を使用して測定した。特に指定がない限り、本明細書で明記される試験標準は出願日の時点で最新の標準である。全ての試料を、下記表で別記されない限り成形されたまま試験した。
【0057】
【表2】
【0058】
多軸衝撃(Dynatup)試験では、試料は下記の通り格付けが与えられる:B=脆性、D=延性、D/B=延性/脆性。
【0059】
下記表および論考では、「CEx」は比較例を示し、「Ex」は実施例を示す。各成分の量は組成物の総重量に基づき、重量部(pbw)で表され、合計100とならない可能性がある。
【0060】
下記実験セットは、PPEマトリクス相の改変による低温特性の改善の調査に向けられた。特に、PPEマトリクス相における衝撃改質剤型および量、ならびにPPE-シロキサンコポリマーの使用の効果について調査した。
【0061】
<実施例1~5>
これらの実施例では、2つの型の水素化ポリブタジエンゴムをPPE/ポリアミドベース組成物中、様々な量でPPEの代わりとして試験し、低温衝撃強さおよび他の特性に対するそれらの効果を決定した。組成および試験結果が表3で示される。表3で見てわかるように、同じ配合を有する、2つの実施(Ex1aおよびEx1b)を調製し、試験した。各実施例に対して得られた値は同様であった。
【0062】
2つの衝撃改質剤は、水素化、高スチレンポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー(SEP-HS)および高分子量ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー(SEB-HMW)とし、15pbw(Ex1aおよび1b)、18pbw(Ex2およびEx5)、および22pbw(Ex3(参考例)、Ex4)の量で試験した。SEP-TP対SEBS-HMWの異なる比率(8対7(Ex1aおよび1b)、11対4(Ex4)、および15対0(Ex5))を15wt%の総衝撃改質剤量で研究した。
【0063】
【表3】
【0064】
表3におけるデータから、SEP-TP量の増加、および対応するPPEの量の低下(Ex2およびEx3対Ex1aおよび1b)により、様々な負温度での改善されたノッチ付きアイゾッド衝撃強さおよびMAI衝撃試験におけるより高い延性が得られることが示される。しかしながら、HDTは、SEP-TP量の増加およびPPE量の低下と共に減少する。
【0065】
-5および-10℃でのノッチ付きアイゾッド衝撃強さならびに-10℃でのMAI衝撃試験における中程度の改善が、Ex3(SEP対SEBSの比率=11対4)およびEx4(SEP対SEBの比率=15対0)対Ex1aおよび1b(SEP対SEBSの比率=8:7)においてみられる。SEP-TPは、低温衝撃性能についてはSEBS-HMWより有効な衝撃改質剤であると考えられる。ベースEx1aおよび1b組成物中で、SEBSの代わりにSEPを使用すると、引張弾性率および曲げ弾性率が低減し、0.45MPa応力でわずかにより低い熱変形温度を提供することも、わかり得る。
【0066】
<実施例1および6~11>
これらの実施例では、異なる型の衝撃改質剤をPPE/ポリアミドベース組成物中様々な量でポリアミドの代わりとして試験し、低温衝撃強さおよび他の特性に対するそれらの効果を決定した。試験したゴム衝撃改質剤は、2つの水素化ポリブタジエンゴム(低スチレン量水素化ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー(SEP-TP)、高スチレン量水素化ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー(SEP-HS)、および3つのコア-シェルゴム(MBS-1、MBS-2、およびシリコーン-アクリレート)を含んだ。組成および特性が表4で示される。
【0067】
【表4】
【0068】
Ex6、Ex7、およびEx8において見られる、-10℃および-20℃での低いノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、ならびに23℃および-10℃でのMAI衝撃試験における脆性挙動により、コア-シェル衝撃改質剤はEx1cと比べて低温衝撃性能を改善するのに有効ではないことが示される。
【0069】
Ex11(15pbwSEP-HS)の低温衝撃特性のEx10(15pbwSEP-TP)との比較により、低温衝撃性能についてはほとんど、または、全く有意な差がないことが示される。Ex10のSEP-TPはEx11のSEP-HSよりもわずかに高い熱変形温度を提供することが示されている。理論に縛られないが、SEP-TP中のより低いポリスチレン量が、より高いスチレン量のSEP-HSよりも、PPE相においてより高いTgを維持するのを支援すると考えられる。というのも、ポリスチレンはPPE中で混和可能であるからである。
【0070】
その上、表4におけるEx10およびEx11のHDT(この場合、衝撃改質剤がポリアミドの代わりに使用される)は、表3におけるEx3のHDT(この場合、同じ量の衝撃改質剤がPPEの代わりに使用される)よりわずかに高い。
【0071】
x1c(総ゴム量15pbwおよび48pbwのポリアミド量を有する)の低温衝撃特性の、Ex10およびEx11(どちらも総ゴム量22pbwおよびポリアミド41pbwを有する)との比較により、MAI衝撃試験における延性-脆性遷移温度は両方のEx10およびEx11に対して-5から-25℃まで改善することが示される。加えて、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さは-20℃で2倍増加する。
【0072】
要約すると、表3および4において提示されるデータにより、飽和ポリブタジエン型衝撃改質剤の使用により改善された低温衝撃強さを有する物品が得られることが示唆される。15pbw以上、または18pbw以上、または22pbwもの高さの量で存在する飽和ポリブタジエン型衝撃改質剤を有することが好ましい。その上、データにより、ポリアミドの代わりに衝撃改質剤を使用することにより、物品は、PPEの代わりの衝撃改質剤の同等の置換よりも改善された耐熱性を示すことが示唆される。全体として、高および低スチレン量の両方の衝撃改質剤は、低温衝撃性能を改善するのに有効であるが、HDTにより反映されるように、低スチレン量衝撃改質剤(SEP-TP)の方がより良好に耐熱性を維持する。
【0073】
<実施例1および12~15>
衝撃改質剤として低スチレン量SEP-TPを使用した低温性能を異なるローディングで決定した。Ex13およびEx14は、それぞれ、22pbwおよび25pbwのSEP-TPを含み、対応するポリアミド-6,6の含量が低減した。組成および結果が表5で示される。
【0074】
【表5】
【0075】
Ex13は、22pbwのSEP-TPを含有し、MAI試験において水分前処理なしで-30℃という低さで延性挙動を示す。-40℃での延性挙動が、水分前処理を用いると観察される。その上、Ex12から形成された部品の熱処理は延性性能においてさらなる劣化をほとんど、または、全く引き起こさず、というのも、部品は、MAI試験において、熱処理後-40℃まで延性のままであるからである。
【0076】
Ex14は、PA66-Pを38pbwに調整することにより25pbwのSEP-TPを含有し、MAI試験においてEx13と比べて、低温延性の改善を提供しない。Ex14はまた、Ex13(60kJ/m)と比べて著しく低いノッチ付きアイゾッド衝撃強さ(34kJ/m)を示す。この結果により、低いポリアミド量はPPE/ポリアミドブレンドにおける大きなPPEドメインサイズおよび/または衝撃改質剤の不十分な分散につながる可能性があることが示唆される。実のところ、Ex15は、Ex14と同じSEP-TP量を有し、ポリアミド量が35pbwまで、さらにいっそう低減しており、Ex14と比べて、-30℃(22kJ/m)でさらに低いノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、および、MAI試験において-25℃で脆性挙動を有する。
【0077】
図1(Ex14)および図2(Ex15)におけるSTEM画像により、ポリアミド-6,6濃度が38pbwから35pbwまで低減されるにつれ、PPEドメインサイズは著しく増加し、ポリアミドとの共連続相の形成が明らかになることが示される。したがって、一態様では、組成物中のポリアミド濃度は38pbw以上であることが好ましい。ポリアミド濃度は41pbw以上であることがより好ましい。
【0078】
<実施例1および16~19>
これらの実施例は、PPEと比較したPPE-シロキサンコポリマーの効果(Ex1dおよびEx16)、ならびに一定ポリアミド量を有する増加したSEP-TP量/減少したPPO量の効果(Ex1dならびにEx17、Ex18、およびEx19)を調査する。組成および結果が表6で示される。
【0079】
【表6】
【0080】
x1dおよびEx16についてのデータにより示されるように、PPEの代わりにPPE-シロキサンコポリマーを使用すると、-30℃でのより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さおよびMAI試験における、-30℃以下でのより良好な延性につながる。しかしながら、PPE-シロキサンコポリマーの置換はまた、より低いビカット軟化温度およびHDTの両方により示される耐熱性の低減という結果になる。物品はまた、引張弾性率のいくらかの損失を示した。Ex16はまた、280℃で、2.16kgの荷重を用いると、Ex37より低い溶融流れを有する。
【0081】
-30℃でのノッチ付きアイゾッド衝撃強さは、それぞれ、Ex17(22wt%SEP-TP)、Ex18(25pbw)、およびEx19(28pbw)において示されるように、SEP-TP量の増加(およびPPO量の対応する減少)に伴い増加する。HDTの段階的低減もまた起こる。よって、22pbw以上までの衝撃改質剤SEP-TPの濃度の増加(対応するPPE量の低減を伴う)は、低温衝撃性能の改善につながるが、Ex1dと比べて温度耐性が減少する。
【0082】
<実施例20~28>
これらの実施例では、他のコストのより低い水素化ポリブタジエン衝撃改質剤、特に2つのSEBSおよびSBS衝撃改質剤について試験し、SEP-TPと比べた有効性を決定した。Ex19およびEx20は、それぞれ、15pbwおよび22pbwの低スチレン量SEP((SEP-TP)を含有し、これらをベースライン組成物として使用した。Ex20は15pbwのSEBSを含む。
【0083】
【表7】
【0084】
表7における結果により、別の水素化ポリブタジエンSEBSおよびSBS衝撃改質剤は、-30℃でのMAI衝撃試験における脆性挙動により証明されるほど、良好な低温衝撃特性を提供するのに有効ではないことが示される。下記実験は、低温衝撃性能が、PPE/ポリアミドブレンドのポリアミド相を改変することにより改善されるかどうかを決定するように設計した。異なる型の、異なる量のポリアミド適合性衝撃改質剤を研究した。
【0085】
<実施例1および29~33>
これらの実施例は、ポリアミドと適合する衝撃改質剤を使用する効果を調査する。Ex29およびEx30では、衝撃改質剤はイオノマー(デュポン サーリン(DuPontSurlyn)8940)である。Ex29では、イオノマーおよびPPEを主供給口で他の添加物と共に供給した。Ex30では、イオノマーを下流側供給口でポリアミドと共に供給した。
【0086】
これらの実施例は、ポリアミドと適合する異なる衝撃改質剤、特にアモルファスポリアミド(IM-1)および2つのポリアミド-相溶化コア-シェル衝撃改質剤、MBS型(IM-2)およびシリコーン-アクリレート型(IM-3)を使用する効果をさらに調査する。
【0087】
組成および試験結果が表8で示される。表8で見てわかるように、同じ配合を有する3つの実施(Ex1f、Ex1g、およびEx1h)を調製し、試験した。各実施例に対して得られた値は同様であった。
【0088】
【表8】
【0089】
表8のデータにより、供給口での、衝撃改質剤としてのイオノマーの添加(Ex29)は、Ex1f、g、およびhと比べて、MAI衝撃試験において-5℃で改善された延性を提供することが示される。Ex29はまた、様々な負温度で、Ex1f、g、およびhと比べて、ノッチ付きアイゾッド衝撃強さの中程度の増加を示す。しかしながら、Ex1f、g、およびhと比べてEx29においてHDTならびに引張および曲げ弾性率の低減もまた観察される。-10℃でのMAI試験における脆性挙動ならびに-10および-20℃での低いノッチ付きアイゾッド衝撃強さにより、イオノマーを下流サイドフィーダーから供給すること(Ex30)は、主供給口から供給すること(Ex29)ほど有効ではないことが示される。理論に縛られないが、イオノマーを主スロートで供給すると、押出機内でより長い滞留時間が提供され、おそらく、ポリアミドとのより完全な反応、すなわち、イオン基のアミン基とのイオン結合が提供されると考えられる。
【0090】
5pbwの他の非イオン性ポリアミド適合性衝撃改質剤を有する組成物では、Ex1f、g、およびhと比べて、負温度での低いノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、ならびに-10℃でのMAI試験における脆性挙動(Ex31、Ex32、およびEx33)が得られる。
【0091】
<実施例1,11、および34~35>
異なる量の耐衝撃性改質ポリアミド-6,6(PA66-IM、EPDMで改質)の熱および機械的特性に対する効果について調査した。Ex34およびEx35の両方において、26pbwの耐衝撃性改質ポリアミド-6,6を、低アミンポリアミド-6,6の代わりに一部置換して使用した。これにより、この材料のEPDM含量のために、およそ5pbwのEPDMをポリアミド相中に添加する結果となった。Ex34では、低スチレンSEP-TP衝撃改質剤が存在せず、Ex35では、15pbwのSEP-TPが存在する。組成および試験結果が表9で示される。
【0092】
【表9】
【0093】
表9の試験結果により、Ex34およびEx35におけるように耐衝撃性改質ポリアミド-6,6の添加は、Ex1iおよびEx12bと比べて、HDTを低下させ、引張および曲げ弾性率をわずかに低減させることが示される。
【0094】
加えて、-15℃までの延性および-30℃でのノッチ付きアイゾット衝撃は耐衝撃性改質ポリアミド-6,6の添加により改善される(Ex34をEx12bと比較されたい)。しかしながら、Ex34および35の結果において示されるように、衝撃改質剤相の量がさらに増加され(15pbwから22pbwまで)、ポリアミド-6,6が22pbwから15pbwまで低減されるにつれ、-30℃でのノッチ付きアイゾット衝撃は35kJ/mから5kJ/mに低下する。理論に縛られないが、低いアミン末端基濃度(より低い量のポリアミド-6,6由来)により、より不十分な相溶化という結果になると考えられる。
【0095】
表8および9の結果により、イオノマーまたはEPDM-耐衝撃性改質ポリアミドは低温衝撃特性を提供するのに有効であることが示される。EPDM-耐衝撃性改質ポリアミドが好ましい。
【0096】
<実施例1および36~37>
下記実験セットは、低温衝撃性能を改善するようにPPE/ポリアミド相溶化を最適化することに向けられている。実施例36では、クエン酸の濃度を、Ex1jにおいて使用される0.7pbwと比べて1pbwまで増加させた。実施例37では、0.7pbwの濃度のフマル酸を、クエン酸の代わりに使用した。組成および試験結果が表10で示される。
【0097】
【表10】
【0098】
表10に示される試験結果により、より高いクエン酸濃度(すなわち、1pbw対0.7pbw)を使用しても、様々な温度で改善されたMAIまたはINI特性は提供されないことが示される。加えて、表10におけるデータ(date)により、フマル酸を、クエン酸の代わりに使用した場合、Ex1jに関して劣った低温特性が示されたことが示される。そのため、高いCAAおよびFAローディングのどちらによっても、低温衝撃性能が改善されないと考えられる。
【0099】
下記実験セットは、PPE/ポリアミドブレンドのPPEおよびポリアミド相の相溶化を最適化することに向けられている。ポリアミド中のアミン末端基濃度を特に研究した。
【0100】
<実施例12および38~39>
PPEおよび様々なポリアミドを含有する組成物が表11で示される。Ex1は高流動ポリアミド(PA66-HF)を含む。Ex38は5pbwの高アミンポリアミド(PA6-HA、90-110meq/g)を含み、これは、低アミンポリアミド(PA66-P、52-56meq/g)と一部置き換わる。Ex39は15%の高アミンポリアミドPA66-HAを含み、これもまた、低アミンポリアミドと一部置き換わる。結果はまた、表11に示される。
【0101】
【表11】
【0102】
表11における結果により、Ex38およびEx39におけるように、高アミン量ポリアミド-6の含量を増加させる(15pbwまで)と、Ex12と比べて、-10および-15℃でのMAI衝撃試験におけるより大きな延性により、および-30℃でのノッチ付きアイゾット衝撃試験において測定されるより高い衝撃強さにより示される、より良好な低温衝撃性能につながることが示される。理論に縛られないが、高アミン量ポリアミド-6は、PPE-ポリアミドブレンドの相溶化を改善すると考えられる。これはさらに図3(Ex12cは1.39μmのPPEドメインサイズの体積加重平均を有することを示す)、および図4(Ex39は1.25μmのPPEドメインサイズの体積加重平均を有することを示す)においても見ることができ、ここで、減少したドメインサイズは改善された適合性を反映する。室温(23℃)および-30℃の両方でのHDTの損失およびわずかに低減された引張および曲げ弾性率もまた、高アミンポリアミド-6の添加により観察された。
【0103】
<実施例40~46>
低温、例えば、0℃未満での衝撃性能に対する、高アミンポリアミド-6単独および/または低スチレン量SEP(SEP-TP)を増加させる効果について調査した。Ex40は、48pbwの低アミンポリアミド(52~56meq/g)および15pbwのSEP-を含有し、これをベースラインとして使用した。Ex41は、22pbwまで増加させたSEP-TPおよび41pbwに調整された低アミンポリアミド-6,6を有した。Ex42、Ex43、およびEx44では、低アミン量ポリアミド-6,6が、高アミン量ポリアミド-6(それぞれ、15pbw、30pbw、および48pbw)と一部置換され、総ポリアミドローディングは48pbwで維持された。Ex44およびEx46は15pbwで維持された高アミンPA-6を有し、一方、SEP-TPが、それぞれ、18pbwおよび22pbwまで増加され、総ポリアミドローディングがそれぞれ、45pbwおよび41pbwに調整された。組成および試験結果はまた、表12に示される。
【0104】
【表12】
【0105】
表12に示されるように、30pbwまでの低アミンポリアミド-6,6の代わりの高アミンポリアミド-6の使用(一部)は低温衝撃性能を促進する(Ex40およびEx41をEx42およびEx43と比較されたい)。しかしながら、さらに、高アミンポリアミド-6を、Ex44中48pbwまで増加させると、-30℃でのノッチ付きアイゾッド衝撃強さが15wtおよび30pbw(それぞれ、Ex42およびEx43)と比べて劣る結果となる。成形部品の表面上の欠陥(白のストライプでマーキング)もまた、Ex43およびEx44(30pbwおよび48pbwでの高アミンポリアミド-6ローディング)について観察された。これらのデータにより、高アミンポリアミド-6を添加して、低温衝撃を促進することが好ましいことが示される。高アミンポリアミド-6を30pbw未満、例えば15pbwの量で添加することがより好ましい。
【0106】
加えて、Ex45は、15pbwの高アミンポリアミド-6およびEx41より3pbw低いSEP-TPを有し、-30℃でのノッチ付きアイゾッド衝撃強さおよび様々な負温度でのMAI衝撃試験において反映されるように、高アミンポリアミド-6を有さないEx40と同様の低温衝撃性能を示す。Ex43により、高アミンポリアミド-6およびより少ないSEP-TPの添加を有する配合は、高アミンポリアミド-6およびより高いSEP-TPローディングを有さない配合と同様の低温衝撃性能を達成することができることが示される。SEP-TPは一般に、高アミンポリアミド-6よりコストが高いので、この特徴は、高ポリスチレンSEP配合物の使用に対する別の低コスト解決策を表す。
【0107】
Ex46は、15pbwの高アミンポリアミド-6および22pbwのSEP-TP両方を有し、Ex45およびEx41と比べて、-30℃でのより高いノッチ付きアイゾッド衝撃強さおよびMAI衝撃試験における様々な負温度でのより高い延性により証明されるように、さらにいっそう改善された低温衝撃性能を示す。
【0108】
したがって、表12における結果により、30pbwまでの高アミンポリアミド-6の使用は低温衝撃性能を促進し、これは、いっそうさらに、低ポリスチレンSEPの使用により改善させることができることが示される。
【0109】
<実施例1,12および47~49>
下記実施例を、高アミンポリアミド-6、耐衝撃性改質ポリアミド-6,6(PA66-IM)、および高レベルの低スチレンSEP(SEP-TP)の使用により衝撃を改質する効果を決定するように設計した。Ex1kおよびEx12dは、これらの衝撃改質剤を含有しておらず、ベースライン性能のために使用した。Ex47は22pbwのSEP-TPを含み、低アミンポリアミド-6,6(PA66-P)を41pbwに調整した。Ex48は22pbwのSEP-TPを含み、低アミンポリアミド-6,6を26pbwの耐衝撃性改質PA-6,6(PA66-IM)および15wt%の高アミンポリアミド-6に置き換えた。Ex49はEx45と同じSEP-TP量を有し、15pbwの低アミンPA66-Pを一部、高アミンポリアミド-6に置き換えた。組成および結果が表13で示される。
【0110】
【表13】
【0111】
表13に示されるように、Ex47、Ex48、およびEx49は、Ex1kおよびEx12dと比べて、より低いHDT、低減された引張弾性率、および低減された曲げ弾性率を示す。Ex48は、3つの実施例のうち最低HDTを示す。
【0112】
これらの組成物のE-コーティング能力をlabシミュレートプロセスにより評価した。この場合、各組成物から成形した小蜂巣形状部品を200℃の加熱オーブン内に30分間放置し、寸法安定性を3次元(3D)スキャンにより熱処理前後に評価した。Ex47、Ex48、およびEx49の組成物を用いて成形した小蜂巣状部品は3Dスキャンにより決定される過度の変形および寸法変化を示さず、これらの結果はCE1を使用する成形部品に相当する。したがって、熱データにより、Ex47、Ex48、およびEx49の組成物から成形した部品は良好な耐熱性を有し、e-コーティングを容認できることが示唆される。
【0113】
-30℃でのEx47およびEx49のノッチ付きアイゾッド衝撃強さは、各々、60kJ/mを超え、一方、Ex48のノッチ付きアイゾッド衝撃強さは著しく低い(35kJ/m)。この値は大体、Ex1kおよびEx12dの両方に相当する。その上、MAI試験により、Ex47、Ex48、およびEx49の各々は、-40℃までの低温で、Ex1kおよびEx12dより延性であることが示される。Ex47およびEx49は30℃より低い温度でEx48より延性である。
【0114】
要約すると、これらの結果により、PPEマトリクス/分散相ポリアミドブレンドでは、優れた低温衝撃特性は、18pbw以上、好ましくは22pbw以上の低スチレン量SEP、または30pbw未満、好ましくは15pbw未満の高アミンポリアミド、または26pbwのEPDM改質ポリアミド、または前記の組み合わせを使用して得ることができることが示される。
【0115】
この開示は下記態様をさらに包含する。
【0116】
態様1:35から55重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(フェニレンエーテル-シロキサン)、またはそれらの組み合わせと、35から65重量パーセントのポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物は、75ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有する少なくとも1つのポリアミドを含む、ポリアミド組成物と、10から30重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤、またはポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレントリブロックコポリマー衝撃改質剤、またはそれらの組み合わせと、ならびに、任意で、20から30重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミド、または5から20重量パーセントの、ポリアミド組成物の一部としての、75から140ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミド、またはそれらの組み合わせとを含み、ここで、各量は100重量パーセントの組成物に基づく、組成物。
【0117】
態様2:ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤は、20から35重量パーセント、または25から30重量パーセントのスチレン量を有する、態様1の組成物。
【0118】
態様3:エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドが100重量パーセントの組成物に基づき、24から30重量パーセントの量で存在する、前記態様のいずれか一つの組成物。
【0119】
態様4:75から120ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドが存在し、組成物中の全てのポリアミドの20から40重量パーセント、好ましくは20から35重量パーセント、より好ましくは20から30重量パーセントを占める、前記態様のいずれか一つの組成物。
【0120】
態様5:エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドが存在し、組成物は、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー衝撃改質剤を含む、前記態様のいずれか一つの組成物。
【0121】
態様6:30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、38から54重量パーセント、好ましくは40から48重量パーセントのポリアミド組成物であって、ポリアミド組成物は、70ミリ当量毎グラム未満のアミン末端基量を有するポリアミド、および、75から120ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドを含む組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、を含む、前記態様のいずれか一つの組成物。
【0122】
態様7:33から37重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、42から50重量パーセント、好ましくは44から48重量パーセントのポリアミド組成物と、75から120ミリ当量毎グラムのアミン末端基量を有するポリアミドが、8から35重量パーセント、好ましくは12から26重量パーセントの量で存在し、ならびに12から24重量パーセント、好ましくは15から22重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、を含む、前記態様のいずれか一つの組成物。
【0123】
態様8:エチレン-プロピレン-ジエンモノマー改質ポリアミドが存在し、組成物は、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレン-プロピレン-ジエンモノマー衝撃改質剤を含む、態様6または態様7の組成物。
【0124】
態様9:組成物の成形試料は下記特性の少なくとも1つを有し:ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると、164℃から180℃の熱変形温度、ISO180にしたがい-30℃で測定すると、32kJ/mから64kJ/m、好ましくは40kJ/mから60kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、ISO527にしたがい-30℃で測定すると2100MPaから2600MPaの引張弾性率、またはASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した、延性、ここで、成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される、態様6~8のいずれか一つの組成物。
【0125】
態様10:30から40重量パーセント、好ましくは32から38重量パーセント、より好ましくは33から36重量パーセントのポリ(フェニレンエーテル)と、40から50重量パーセント、好ましくは42から48重量パーセントのポリアミド組成物と、10から28重量パーセント、好ましくは14から24重量パーセントのポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ジブロックコポリマー衝撃改質剤と、2から10重量パーセント、好ましくは3から8重量パーセントのエチレンプロピレンジエンモノマー衝撃改質剤と、を含む、態様1~5のいずれか一つの組成物。
【0126】
態様11:ポリアミド組成物は少なくとも2つの異なるポリアミドを含み、1つのポリアミドは75ミリ当量未満のアミン量を有し、別のポリアミドは、75から140ミリ当量毎グラムのアミン量、好ましくは85から120ミリ当量毎グラムのアミン量を有する、態様10の組成物。
【0127】
態様12:組成物の成形試料は下記特性の少なくとも1つを有し:ISO75にしたがい1.8MPaで測定すると164℃から174℃の熱変形温度、ISO180にしたがい-30℃で測定すると、45から70kJ/m、好ましくは55から70kJ/mのアイゾッドノッチ付き衝撃強さ、ISO527にしたがい-30℃で測定すると1700から2200MPaの引張弾性率、またはASTM D2763にしたがい3.3m/sで-30℃にて測定した、延性、ここで、成形試料は40時間、40℃/95%相対湿度で、次いで、144時間、23℃/65%相対湿度で処理される、態様10または11の組成物。
【0128】
態様13:前記態様のいずれか一つの組成物から形成される物品。
【0129】
態様14:旅客輸送車両、商用車両装備品、または商用もしくは住宅ユニットのための成形部品としての、態様13の物品。
【0130】
態様15:組成物の成分を合わせる工程を含む、態様1~12のいずれかの組成物を形成する方法。
【0131】
本明細書で開示される全ての範囲は終点を含み、終点は独立して、独立して、互いに組み合わせ可能である。本明細書で開示される各範囲は、開示された範囲内にある任意の点または部分範囲の開示を構成する。「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金、反応生成物、などを含む。さらに、本明細書における「第1の」、「第2の」などという用語は順序、量、または重要性を示さず、むしろ、1つの要素を別の要素と識別するために使用される。本明細書における「1つの(a、an)」または「その(the)」という用語は量の制限を示さず、本明細書で別記されない限り、または、文脈により明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。明細書全体にわたって、「別の態様」、「一態様」、などへの言及は、態様との関連で記載される特定の要素(例えば、特性、構造、および/または特徴)が、本明細書で記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様では存在してもしなくてもよいことを意味する。加えて、記載される要素は様々な態様において任意の好適な様式で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0132】
特定の態様について記載してきたが、現在のところ、予期されない、または、予期され得ない代替、改変、変更、改善および実質的な等価物について、出願人または当業者は、思い着くことができる。したがって、出願された、補正される可能性のある添付の特許請求の範囲は、そのような代替、改変、変更、改善および実質的な等価物を全て包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4