(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240515BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240515BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240515BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20240515BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240515BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240515BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240515BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240515BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240515BHJP
H10K 59/82 20230101ALI20240515BHJP
【FI】
G09G3/20 624B
G02F1/133 550
G02F1/1368
G09G3/20 611A
G09G3/20 623A
G09G3/20 642A
G09G3/3233
G09G3/36
H01L29/78 612B
H01L29/78 614
H01L29/78 618B
H05B33/14 Z
H10K50/10
H10K59/12
H10K59/82
(21)【出願番号】P 2023027532
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2020515315の分割
【原出願日】2019-04-19
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2018085668
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】楠本 直人
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/162792(WO,A1)
【文献】特開2017-027012(JP,A)
【文献】特開2012-145655(JP,A)
【文献】特開2012-185328(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129216(WO,A1)
【文献】特開2007-225738(JP,A)
【文献】特開2009-031656(JP,A)
【文献】特開2010-122461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133
G09F9/00-9/46
G09G3/00-3/08
3/12-3/26
3/30-3/38
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースドライバと、
前記ソースドライバからのデータが入力される第1の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第1の表示素子を有する第2の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第2の表示素子を有する第3の回路と、を有し、
前記第1の回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子とを有し、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記ソースドライバと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記容量素子の第1の電極と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記容量素子の第2の電極と電気的に接続さ
れ、
前記第1の回路は、前記ソースドライバから供給される第1のデータに第2のデータを加算する機能を有し、
前記第1のデータは、画像データを有し、
前記第2のデータは、補正データを有し、
前記第1の表示素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有し、
前記第2の表示素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有する、表示装置。
【請求項2】
ソースドライバと、
前記ソースドライバからのデータが入力される第1の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第1の表示素子を有する第2の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第2の表示素子を有する第3の回路と、を有し、
前記第1の回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子とを有し、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記ソースドライバと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記容量素子の第1の電極と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記容量素子の第2の電極と電気的に接続され、
前記第2の回路は、前記第1の表示素子と、前記第1の表示素子と電気的に接続された第3のトランジスタと、を有し、
前記第3の回路は、前記第2の表示素子と、前記第2の表示素子と電気的に接続された第4のトランジスタと、を有し、
前記第3のトランジスタは、前記第2のトランジスタと電気的に接続され、
前記第4のトランジスタは、前記第2のトランジスタと電気的に接続さ
れ、
前記第1の回路は、前記ソースドライバから供給される第1のデータに第2のデータを加算する機能を有し、
前記第1のデータは、画像データを有し、
前記第2のデータは、補正データを有し、
前記第1の表示素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有し、
前記第2の表示素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有する、表示装置。
【請求項3】
ソースドライバと、
前記ソースドライバからのデータが入力される第1の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第1の発光素子を有する第2の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第2の発光素子を有する第3の回路と、を有し、
前記第1の回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子とを有し、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記ソースドライバと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記容量素子の第1の電極と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記容量素子の第2の電極と電気的に接続さ
れ、
前記第1の回路は、前記ソースドライバから供給される第1のデータに第2のデータを加算する機能を有し、
前記第1のデータは、画像データを有し、
前記第2のデータは、補正データを有し、
前記第1の発光素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有し、
前記第2の発光素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有する、表示装置。
【請求項4】
ソースドライバと、
前記ソースドライバからのデータが入力される第1の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第1の発光素子を有する第2の回路と、
前記第1の回路と電気的に接続された、第2の発光素子を有する第3の回路と、を有し、
前記第1の回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子とを有し、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記ソースドライバと電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、前記容量素子の第1の電極と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、前記容量素子の第2の電極と電気的に接続され、
前記第2の回路は、前記第1の発光素子と、前記第1の発光素子と電気的に接続された第3のトランジスタと、を有し、
前記第3の回路は、前記第2の発光素子と、前記第2の発光素子と電気的に接続された第4のトランジスタと、を有し、
前記第3のトランジスタは、前記第2のトランジスタと電気的に接続され、
前記第4のトランジスタは、前記第2のトランジスタと電気的に接続さ
れ、
前記第1の回路は、前記ソースドライバから供給される第1のデータに第2のデータを加算する機能を有し、
前記第1のデータは、画像データを有し、
前記第2のデータは、補正データを有し、
前記第1の発光素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有し、
前記第2の発光素子は、前記第1のデータに前記第2のデータを加算したデータに基づき表示する機能を有する、表示装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項4において、
前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタはそれぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inを有する、表示装置。
【請求項6】
請求項
2又は請求項
4において、
前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタはそれぞれ、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有する、表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記第1のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inを有する、表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項
6のいずれか一において、
前記第1のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有する、表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
前記第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inを有する、表示装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項
8のいずれか一において、
前記第2のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの動作方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路は半導体装置の一態様である。また、記憶装置、表示装置、撮像装置、電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
基板上に形成された金属酸化物を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。例えば、酸化亜鉛またはIn-Ga-Zn系酸化物を用いたトランジスタを表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0005】
また、オフ電流が極めて低いトランジスタをメモリセルに用いる構成の記憶装置が特許文献3に開示されている。
【0006】
また、液晶表示装置では、様々な改善、応用が試みられている。例えば、フィールドシーケンシャル動作により表示を行う透明ディスプレイが特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【文献】特開2011-119674号公報
【文献】特開2018-21974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示装置では高解像度化が進み、8K4K(画素数:7680×4320)解像度またはそれ以上の解像度で表示を行うことができるハードウェアが開発されている。また、輝度調整によって画像品質を高めるHDR(ハイダイナミックレンジ)表示技術の導入も進んでいる。
【0009】
明瞭な階調表示を行うには、表示素子に供給することのできるデータ電位の幅を広くとることが望まれる。一方で、例えば液晶表示装置用のソースドライバの出力電圧は15V程度であり、それ以上の電圧を表示素子に供給するには高出力のソースドライバを用いなければならない。高出力のソースドライバは消費電力も高く、新たなドライバICを開発しなければならない場合もある。
【0010】
また、動画像をより滑らかに表示するにはフレーム周波数を上げることが求められるが、画素数の増加とともに水平期間が短くなるため、フレーム周波数を上げることが困難となっている。フレーム周波数を上げやすい構成の実現によって、フィールドシーケンシャル液晶方式の表示装置などにも適用しやすくなる。
【0011】
上記のような課題の解決が望まれる一方で、画素回路の構成要素が増加すると開口率が低下してしまうため、より少ない要素で画素回路を構成することが好ましい。
【0012】
したがって、本発明の一態様では、画像品質を高めることができる表示装置を提供することを目的の一つとする。または、ソースドライバの出力電圧以上の電圧を表示素子に供給することができる表示装置を提供することを目的の一つとする。または、表示画像の輝度を高めることができる表示装置を提供することを目的の一つとする。または、フレーム周波数を高めることができる表示装置を提供することを目的の一つとする。または、画素の開口率を高めることができる表示装置を提供することを目的の一つとする。
【0013】
または、低消費電力の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、信頼性の高い表示装置を提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置などを提供することを目的の一つとする。または、上記表示装置の駆動方法を提供することを目的の一つとする。または、新規な半導体装置などを提供することを目的の一つとする。
【0014】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、画像品質を高めることができる表示装置に関する。
【0016】
本発明の一態様は、複数の画素ブロックを有する表示装置であって、画素ブロックは、第1の回路と、複数の第2の回路と、を有し、第1回路と、第2の回路とは電気的に接続され、第1の回路は、第1のデータおよび第2のデータを加算して第3のデータを生成する機能を有し、第2の回路は、第3のデータを保持する機能、および第3のデータに応じて表示を行う機能を有する表示装置である。
【0017】
第1の回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第1の容量素子の他方の電極は、第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続することができる。
【0018】
さらに第3のトランジスタを有し、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1の容量素子の他方の電極と電気的に接続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方および第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方は電気的に接続されていてもよい。
【0019】
第2の回路は、第3のトランジスタと、第3の回路と、を有し、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第3の回路と電気的に接続され、第3の回路は、表示素子を有することができる。
【0020】
第3の回路は、第4のトランジスタと、第2の容量素子と、表示素子として機能する発光素子と、を有し、第4のトランジスタのゲートは第3のトランジスタのソースまたはドレインの他方と電気的に接続され、第4のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、発光素子の一方の電極と電気的に接続され、発光素子の一方の電極は、第2の容量素子の一方の電極と電気的に接続され、第2の容量素子の他方の電極は、第4のトランジスタのゲートと電気的に接続される構成とすることができる。
【0021】
さらに第5のトランジスタを有し、第5のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、発光素子の一方の電極と電気的に接続され、第5のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第4のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、第5のトランジスタのソースまたはドレインの他方は、第2の容量素子の一方の電極と電気的に接続されていてもよい。
【0022】
または、第3の回路は、表示素子として液晶素子を有し、液晶素子の一方の電極は、第3のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続される構成としてもよい。さらに第3の容量素子を有し、第3の容量素子の一方の電極は、液晶素子の一方の電極と電気的に接続されていてもよい。
【0023】
さらに第4の回路と、第5の回路と、を有していてもよい。第4の回路は、第1の回路を制御する機能を有し、第5の回路は、第2の回路を制御する機能を有することができる。
【0024】
画素ブロックは、複数の画素を有し、複数の画素のうちのいずれか一つは、第1の回路の要素を複数有し、第1の回路の要素を複数有する画素は、垂直方向の長さが他の画素よりも大きくてもよい。
【0025】
画素ブロックが有するトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、金属酸化物は、Inと、Znと、M(MはAl、Ti、Ga、Sn、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様を用いることで、画像品質を高めることができる表示装置を提供することができる。または、ソースドライバの出力電圧以上の電圧を表示素子に供給することができる表示装置を提供することができる。または、表示画像の輝度を高めることができる表示装置を提供することができる。または、フレーム周波数を高めることができる表示装置を提供することができる。または、画素の開口率を高めることができる表示装置を提供することができる。
【0027】
または、低消費電力の表示装置を提供することができる。または、信頼性の高い表示装置を提供することができる。または、新規な表示装置などを提供することができる。または、上記表示装置の動作方法を提供することができる。または、新規な半導体装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図5】画素ブロックの動作を説明するタイミングチャート。
【
図7】画素ブロックの動作を説明するタイミングチャート。
【
図10】(A)~(C)回路ブロックを説明する図。
【
図11】(A)、(B)画素ブロックを説明する図。
【
図15】(A)、(B)ゲートドライバを説明する図。
【
図16】(A)、(B)ゲートドライバを説明する図。
【
図17】(A)、(B)ゲートドライバを説明する図。
【
図18】シミュレーションに用いる画素ブロックの構成を説明する図。
【
図19】シミュレーションに用いるタイミングチャート。
【
図20】(A)、(B)シミュレーションの結果を説明する図。
【
図22】(A)、(B)画素レイアウトを説明する図。
【
図25】(A)、(B)タッチパネルを説明する図。
【
図31】(A1)~(C2)トランジスタを説明する図。
【
図32】(A1)~(C2)トランジスタを説明する図。
【
図33】(A1)~(C2)トランジスタを説明する図。
【
図34】(A1)~(C2)トランジスタを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0030】
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
【0031】
また、一つの導電体が、配線、電極および端子のような複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が複数の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置について、図面を参照して説明する。
【0033】
本発明の一態様は、表示領域に複数の画素ブロックを有する表示装置である。当該画素ブロックは、第1の回路および第1の回路に電気的に接続される複数の第2の回路を有する。第1の回路は、ソースドライバから供給される複数のデータを加算する機能を有する。したがって、ソースドライバの出力以上の電圧を生成することができる。
【0034】
また、第2の回路は表示素子を有し、上記加算されたデータに応じて表示を行う機能を有する。一つの画素は、一つの第2の回路と、共有された第1の回路の要素を含む構成となる。第1の回路は第2の回路に比べ構成要素(配線含む)が多く、かつ占有面積が大きいため、第1の回路を複数の画素で共有することで開口率を向上させることができる。
【0035】
図1は、本発明の一態様の表示装置を説明する図である。表示装置は、画素ブロック12と、ソースドライバ13と、ゲートドライバ14a、14bと、回路15を有する。また、ゲートドライバが2つ設けられた例を示しているが、1つであってもよい。
【0036】
表示領域は、規則的に配置された複数の画素ブロック12で構成される。画素ブロック12は、回路11と、n個(nは2以上の自然数)の回路10を有する。回路11は、回路10のそれぞれと電気的に接続される。回路11と一つの回路10が一つの画素として機能する。すなわち、回路11は複数の画素で共有する構成となる。
【0037】
回路10は、容量結合によって第1のデータに第2のデータを加算し、第3のデータを生成する機能を有する。回路10は表示素子を有し、第3のデータを保持する機能および第3のデータに応じて当該表示素子で表示を行う機能を有する。
【0038】
一つの画素ブロック12が有する回路10は、ソース線が延在する方向(垂直方向)にn個配置することができる。回路10の数が多いほど、回路11の要素を各画素の占有領域に分散配置することで、開口率を向上させることができる。
【0039】
画素ブロック12が有する回路10が多いほど開口率は向上するが、画像データの書き込み時間を考慮すると1ラインあたりに複数の画素ブロックを配置することが好ましくなる。
【0040】
解像度の高い表示装置の場合は、短い水平期間で書き込みを行う必要がる。回路10の数を多くしすぎると、回路11と回路10とを接続する配線の容量が大きくなるため、水平期間内に書き込みを完了させることができない不良が発生してしまう。したがって、画素ブロックが有する回路10は、開口率、解像度(水平期間)、回路11と回路10とを接続する配線の容量などの複数の条件を考慮し、適切な数とすることが好ましい。
【0041】
開口率を効率良く高めたい場合は、後述するシミュレーション結果から、nは5以上100以下、好ましくは10以上50以下、より好ましくは20以上40以下とする。nが当該範囲においては、回路11と回路10を接続する配線の容量は十分に小さいことが見積もられるため、水平期間の影響は無視することができる。なお、水平期間が十分に確保できる場合は、nを100乃至1000程度としてもよい。
【0042】
図2に画素ブロック12の具体例を示す。画素ブロック12は、回路11および複数の回路10(回路10[1]乃至[n])を有する。ここで、回路10[1]乃至[n]のいずれか一つが配置される領域を画素20[1]乃至[n]とする。
【0043】
回路11は、トランジスタ101と、トランジスタ102と、容量素子104を有する構成とすることができる。トランジスタ101のソースまたはドレインの一方は、容量素子104の一方の電極と電気的に接続される。容量素子104の他方の電極は、トランジスタ102のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0044】
回路10は、トランジスタ103と、回路ブロック110を有する構成とすることができる。回路ブロック110は、トランジスタ、容量素子、および表示素子などを有する構成とすることができる。トランジスタ103のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ101のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ103のソースまたはドレインの他方は、回路ブロック110と電気的に接続される。
【0045】
ここで、トランジスタ101のソースまたはドレインの一方と、容量素子104の一方の電極と、トランジスタ103のソースまたはドレインの一方とを接続する配線をノードNMとする。また、トランジスタ103のソースまたはドレインの他方と、回路ブロック110とを接続する配線をノードNPとする。ノードNPはフローティングとすることができ、回路ブロック110が有する表示素子はノードNPの電位に従って動作する。
【0046】
回路10および回路11が有する要素と各種配線との接続を説明する。トランジスタ101のゲートは、配線121と電気的に接続される。トランジスタ102のゲートは、配線122と電気的に接続される。トランジスタ103のゲートは、配線123と電気的に接続される。トランジスタ101のソースまたはドレインの他方は、配線125と電気的に接続される。トランジスタ102のソースまたはドレインの他方は、配線126と電気的に接続される。
【0047】
配線121、122、123(123[1]乃至[n])は、ゲート線としての機能を有する。例えば、配線121、122は、ゲートドライバ14aと電気的に接続される。また、配線123は、ゲートドライバ14bと電気的に接続される。配線125、126はソース線としての機能を有し、回路15を介してソースドライバ13と電気的に接続される(
図1参照)。
【0048】
回路15は、例えば、
図3に示す構成とすることができる。回路15は選択回路としての機能を有し、ソースドライバ13から入力された電位を配線125または配線126に出力することができる。また、配線126には、電位“V
ref”(例えば、0Vなどの基準電位)を出力することもできる。それぞれの電位の出力制御は、各配線に接続されるトランジスタを信号V
ref_EN、125_EN、および126_ENで制御することによって行われる。なお、回路15は設けられない場合もある。
【0049】
回路11では、まず、ノードNMに第1のデータ(重み:W)を書き込む。このとき、容量素子104の他方の電極には“Vref”を供給し、容量素子104には“W-Vref”を保持させる。次に、ノードNMをフローティングとし、容量素子104の他方の電極に第2のデータ(データ:D)を供給すると、容量結合によりノードNMの電位は、“W-Vref+D”となる。
【0050】
ここで、“W”=“D”、“Vref”=0Vであって、ノードNMの容量が十分に小さければノードNMの電位は“2D”または“2W”となり、ソースドライバ13の出力の約2倍の電位をノードNMに出力できることになる。したがって、汎用のドライバICを用いても高い電圧を必要とする用途(例えば、階調制御に高い電圧を必要とする液晶素子など)に用いることができる。または、一般的な液晶素子や発光素子などを駆動するためにソースドライバ13から供給する電圧を約1/2とすることができるため、表示装置を低消費電力化することができる。
【0051】
また、第1のデータ(重み:W)として、補正データを供給してもよい。例えば、輝度補正データを画像データに加算することで、表示装置固有の輝度のばらつきを補正することができる。または、画素単位で輝度を補正することができるため、HDR表示に用いてもよい。また、表示素子として発光素子を用いる場合は、表示品位が駆動トランジスタのしきい値電圧ばらつきの影響を受けるため、当該トランジスタのしきい値電圧補正データを第1のデータ(重み:W)として供給し、表示品位の改善を行ってもよい。なお、第1のデータ(重み:W)と第2のデータ(データ:D)は入れ替えてもよい。
【0052】
本発明の一態様では、上述した電位を加算する動作に合わせて特定の回路10のトランジスタ103を導通させておき、ノードNPの電位(=ノードNMの電位)を確定させる。このような動作を回路10[1]乃至回路10[n]まで順次行うことで、各回路10のノードNPの電位を確定させることができる。すなわち、各画素に異なる画像データを供給することができる。
【0053】
ノードNM、ノードNPは、記憶ノードとして作用する。各ノードに接続するトランジスタを導通させることで、データを各ノードに書き込むことができる。また、当該トランジスタを非導通とすることで、当該データを各ノードに保持することができる。当該トランジスタに極めてオフ電流の低いトランジスタを用いることでリーク電流を抑えることができ、各ノードの電位を長時間保持することが可能となる。当該トランジスタには、例えば、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることができる。
【0054】
具体的には、トランジスタ101、102、103にOSトランジスタを適用することが好ましい。また、回路ブロック110が有する要素にOSトランジスタを適用してもよい。また、リーク電流量が許容できる範囲で動作を行う場合は、Siをチャネル形成領域に有するトランジスタ(以下、Siトランジスタ)を適用してもよい。または、OSトランジスタおよびSiトランジスタを併用してもよい。なお、上記Siトランジスタとしては、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリコン(代表的には、低温ポリシリコン、単結晶シリコン)を有するトランジスタなどが挙げられる。
【0055】
OSトランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAAC-OSまたはCAC-OSなどを用いることができる。CAAC-OSは結晶を構成する原子が安定であり、信頼性を重視するトランジスタなどに適する。また、CAC-OSは、高移動度特性を示すため、高速駆動を行うトランジスタなどに適する。
【0056】
OSトランジスタは半導体層のエネルギーギャップが大きいため、数yA/μm(チャネル幅1μmあたりの電流値)という極めて低いオフ電流特性を示す。また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、および短チャネル効果などが生じないなどSiトランジスタとは異なる特徴を有し、信頼性の高い回路を形成することができる。また、Siトランジスタでは問題となる結晶性の不均一性に起因する電気特性のばらつきもOSトランジスタでは生じにくい。
【0057】
OSトランジスタが有する半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0058】
半導体層を構成する酸化物半導体がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0059】
半導体層としては、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体を用いることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。当該酸化物半導体は欠陥準位密度が低く、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0060】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0061】
半導体層を構成する酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0062】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、半導体層におけるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0063】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じてキャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における窒素濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0064】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に水素が含まれていると、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸化物半導体中に酸素欠損を形成する場合がある。酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0065】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、酸化物半導体のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、酸化物半導体においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、酸化物半導体のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0066】
よって、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0067】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向した結晶を有するCAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0068】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0069】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0070】
以下では、非単結晶の半導体層の一態様であるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0071】
CAC-OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0072】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0073】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0074】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0075】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0076】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0077】
一方、CAC-OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0078】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0079】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0080】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0081】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0082】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0083】
また、CAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域(リング領域)と、該リング領域に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
【0084】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0085】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0086】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0087】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0088】
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0089】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは、様々な半導体装置の構成材料として適している。
【0090】
なお、
図2では、回路11を画素20[1]に配置した構成を図示しているが、その他の画素に配置してもよい。または、
図4に示すように、回路11の要素を複数の領域に分散して配置してもよい。
【0091】
例えば、画素20[1]にトランジスタ101、画素20[2]にトランジスタ102、画素20[n-1]および画素20[n]に分割した容量素子104を配置することができる。このように、回路11の要素を分散配置することで、各画素に設けられるトランジスタや容量素子などの要素の数および占有面積を削減することができ、開口率を高めることができる。
【0092】
なお、
図4には示されないが、回路11の要素が配置されない画素があってもよい。または、一つの画素に複数の当該要素が配置されてもよい。また、容量素子は分割されず、一つの画素に配置されてもよい。または、容量素子の分割数を増やし、3以上の画素に分割配置されてもよい。
【0093】
次に、
図5に示すタイミングチャートを用いて、
図2または
図4に示す画素ブロック12の動作方法を説明する。なお、以下の説明においては、高電位を“H”、低電位を“L”で表す。また、画素20[1]に供給する重みを“W[1]”、画像データを“D[1]”、画素20[2]に供給する重みを“W[2]”、画像データを“D[2]”、画素20[n-1]に供給する重みを“W[n-1]”、画像データを“D[n-1]”、画素20[n]に供給する重みを“W[n]”、画像データを“D[n]”とする。”V
ref”としては、例えば0V、GND電位または特定の基準電位を用いることができる。
【0094】
なお、ここでは電位の分配、結合または損失において、回路の構成や動作タイミングなどに起因する詳細な変化は勘案しない。また、容量素子を用いた容量結合による電位の変化は、容量素子と当該容量素子に接続される負荷との容量比に依存するが、説明を明瞭にするため、回路ブロック110の容量値は十分に小さい値に仮定する。
【0095】
まず、画素20[1]における“W[1]”の書き込み動作を説明する。
【0096】
時刻T1において配線125に“W[1]”、配線126に”Vref”を供給し、配線121、122、123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ102が導通し、容量素子104の他方の電極の電位は“Vref”となる。当該動作は、後の加算動作(容量結合動作)を行うためのリセット動作である。
【0097】
また、トランジスタ101、103が導通し、ノードNP[1]に配線125の電位が書き込まれる。当該動作は重みの書き込み動作であり、ノードNP[1]の電位は“W[1]”となる。
【0098】
時刻T2において配線121、122の電位を“L”、配線123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ101、102が非導通となる。このとき、ノードNP[1]に“W[1]”が保持される。また、容量素子104には、“W[1]-Vref”が保持される。ここまでが画素20[1]における“W[1]”の書き込み動作である。
【0099】
次に画素20[1]における“D[1]”の加算動作を説明する。
【0100】
時刻T3において配線126に“D[1]”を供給し、配線121の電位を“L”、配線122、123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ102、103が導通する。このとき、容量素子104の他方の電極の電位は“D[1]”となり、容量結合によりノードNP[1]の電位に“D[1]”が付加される。当該動作は加算動作であり、ノードNP[1]の電位は“W[1]-Vref+D[1]”となる。このとき、“Vref”=0であれば、ノードNP[1]の電位は、“W[1]+D[1]”となる。ノードNP[1]の電位は表示素子に供給され、表示が行われる。
【0101】
時刻T4において配線121、122、123[1]の電位を“L”とすると、トランジスタ103は非導通となり、ノードNP[1]の電位は保持され、次フレームの動作まで表示が継続される。以上が画素20[1]の動作説明である。
【0102】
次に、画素20[2]における“W[2]”の書き込み動作を説明する。
【0103】
時刻T5において配線125に“W[2]”、配線126に”Vref”を供給し、配線121、122、123[2]の電位を“H”とすると、トランジスタ102が導通し、容量素子104の他方の電極の電位は“Vref”となる。
【0104】
また、トランジスタ101、103が導通し、ノードNP[2]に配線125の電位が書き込まれる。当該動作は重みの書き込み動作であり、ノードNP[2]の電位は“W[2]”となる。
【0105】
時刻T6において配線121、122の電位を“L”、配線123[2]の電位を“H”とすると、トランジスタ101、102が非導通となる。このとき、ノードNP[2]に“W[2]”が保持される。また、容量素子104には、“W[2]-Vref”が保持される。ここまでが画素20[2]における“W[2]”の書き込み動作である。
【0106】
次に画素20[2]における“D[2]”の加算動作を説明する。
【0107】
時刻T7において配線126に“D[2]”を供給し、配線121の電位を“L”、配線122、123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ102、103が導通する。このとき、容量素子104の他方の電極の電位は“D[2]”となり、容量結合によりノードNP[1]の電位に“D[2]”が付加される。当該動作は加算動作であり、ノードNP[1]の電位は“W[2]-Vref+D[2]”となる。このとき、“Vref”=0であれば、ノードNP[2]の電位は、“W[2]+D[2]”となる。ノードNP[2]の電位は表示素子に供給され、表示が行われる。
【0108】
時刻T8において配線121、122、123[2]の電位を“L”とすると、トランジスタ103は非導通となり、ノードNP[2]の電位は保持され、次フレームの動作まで表示が継続される。以上が画素20[2]の動作説明である。
【0109】
ノードNP[2]の電位は表示素子に供給され、表示が行われる。以上が画素20[2]の動作説明である。同様の動作を時刻T9乃至T12で画素20[n-1]に適用することにより、画素20[n-1]では、“W[n-1]+D[n-1]”に応じた表示を行うことができる。また、同様の動作を時刻T13乃至T16で画素20[n]に適用することにより、画素20[n]では、“W[n]+D[n]”に応じた表示を行うことができる。
【0110】
以上のように画素ブロック12を動作させることができる。
【0111】
なお、回路11は、
図6(A)に示す構成であってもよい。
図6(A)に示す回路11は、トランジスタ105を有する点およびソース線を1本としている点が
図2または
図4に示す回路11と異なる。
【0112】
トランジスタ105のゲートは、配線122と電気的に接続される。トランジスタ105のソースまたはドレインの一方は、容量素子104の他方の電極と電気的に接続される。トランジスタ105のソースまたはドレインの他方は、“Vref”を供給することのできる配線と電気的に接続される。トランジスタ101のソースまたはドレインの他方、およびトランジスタ102のソースまたはドレインの他方は、配線125と電気的に接続される。
【0113】
図2または
図4に示す回路11の構成では、配線126からデータ(D)と“V
ref”を切り替えて供給していたが、
図6(A)に示す回路11の構成では、“V
ref”の供給を専用の経路から行うため、配線125から重み(W)とデータ(D)を切り替えて供給できるようになる。したがって、ソース線を1本削減することができる。
【0114】
図2または
図4に示す画素ブロック12に、
図6(A)に示す回路11を用いた場合の動作を
図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0115】
時刻T1において配線125に“W[1]”を供給し、配線121、123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ105が導通し、容量素子104の他方の電極の電位は“Vref”となる。当該動作は、後の加算動作(容量結合動作)を行うためのリセット動作である。
【0116】
また、トランジスタ101、103が導通し、ノードNP[1]に配線125の電位が書き込まれる。当該動作は重みの書き込み動作であり、ノードNP[1]の電位は“W[1]”となる。
【0117】
時刻T2において配線121の電位を“L”、配線123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ101、105が非導通となる。このとき、ノードNP[1]に“W[1]”が保持される。また、容量素子104には、“W[1]-Vref”が保持される。ここまでが画素20[1]における“W[1]”の書き込み動作である。
【0118】
時刻T3において配線125に“D[1]”を供給し、配線121の電位を“L”、配線122、123[1]の電位を“H”とすると、トランジスタ102、103が導通する。このとき、容量素子104の他方の電極の電位は“D[1]”となり、容量結合によりノードNP[1]の電位に“D[1]”が付加される。当該動作は加算動作であり、ノードNP[1]の電位は“W[1]-Vref+D[1]”となる。このとき、“Vref”=0であれば、ノードNP[1]の電位は、“W[1]+D[1]”となる。ノードNP[1]の電位は表示素子に供給され、表示が行われる。
【0119】
時刻T4において配線121、122、123[1]の電位を“L”とすると、トランジスタ103は非導通となり、ノードNP[1]の電位は保持され、次フレームの動作まで表示が継続される。以上が画素20[1]の動作説明である。
【0120】
同様の動作を時刻T5乃至T8で画素20[2]に適用することにより、画素20[2]では、“W[2]+D[2]”に応じた表示を行うことができる。また、同様の動作を時刻T9乃至T12で画素20[n-1]に適用することにより、画素20[n-1]では、“W[n-1]+D[n-1]”に応じた表示を行うことができる。また、同様の動作を時刻T13乃至T16で画素20[n]に適用することにより、画素20[n]では、“W[n]+D[n]”に応じた表示を行うことができる。
【0121】
また、回路11は、
図6(B)に示す構成であってもよい。
図6(B)に示す回路11は、トランジスタ106および容量素子107を有する点が
図2または
図4に示す回路11と異なる。
【0122】
容量素子107の一方の電極は、ノードNMと電気的に接続される。容量素子107の他方の電極は、トランジスタ106のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ106のゲートは、ゲート線としての機能を有する配線127と電気的に接続される。トランジスタ106のソースまたはドレインの他方は、ソース線としての機能を有する配線128と電気的に接続される。
【0123】
図6(B)に示す回路11は、ノードNMに並列に接続される容量素子を二つ有し、様々な動作を行うことができる。例えば、発光素子の駆動トランジスタのしきい値電圧の補正データを一方の容量素子に書き込み、輝度補正データを他方の容量素子に書き込んで画像補正をするなどの使い方ができる。または、液晶素子を用いた動作において、反転動作に対応する信号の極性別に容量素子を使い分けることで、容量素子の両電極に溜まる電荷の極性を常に一定とすることができる。したがって、反転動作時に供給する電荷量を少なくすることができ、表示装置の消費電力を抑えることができる。
【0124】
図8(A)乃至(C)は、回路ブロック110に適用でき、表示素子として発光素子を含む構成の例である。
【0125】
図8(A)に示す構成は、トランジスタ111と、容量素子113と、発光素子114を有する。トランジスタ111のソースまたはドレインの一方は、発光素子114の一方の電極と電気的に接続される。発光素子114の一方の電極は、容量素子113の一方の電極と電気的に接続される。容量素子113の他方の電極は、トランジスタ111のゲートと電気的に接続される。トランジスタ111のゲートは、ノードNPに電気的に接続される。
【0126】
トランジスタ111のソースまたはドレインの他方は、配線128と電気的に接続される。発光素子114の他方の電極は、配線129と電気的に接続される。配線128、129は電源を供給する機能を有する。例えば、配線128は、高電位電源を供給することができる。また、配線129は、低電位電源を供給することができる。
【0127】
図8(A)に示す構成では、ノードNMの電位がトランジスタ111のしきい値電圧以上となったときに発光素子114に電流が流れる。したがって、ノードNPに重み(W)が書き込まれた段階で発光素子114の発光が始まる場合があり、用途が限定されることがある。
【0128】
または、
図8(B)に示すように、発光素子114の一方の電極を配線128と電気的に接続し、発光素子114の他方の電極をトランジスタ111とソースまたはドレインの他方と電気的に接続してもよい。当該構成は、発光素子114を有する他の回路ブロック110にも適用することができる。
【0129】
図8(C)は、
図8(A)の構成にトランジスタ112を付加した構成である。トランジスタ112のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ112のソースまたはドレインの他方は、発光素子114と電気的に接続される。トランジスタ112のゲートは、配線127と電気的に接続される。配線127は、トランジスタ112の導通を制御する信号線としての機能を有することができる。
【0130】
当該構成では、ノードNPの電位がトランジスタ111のしきい値電圧以上であって、トランジスタ112が導通したときに発光素子114に電流が流れる。したがって、重み(W)とデータ(D)の加算動作後の任意タイミングに発光素子114の発光を開始することができる。
【0131】
図8(D)は、
図8(C)の構成にトランジスタ115を付加した構成である。トランジスタ115のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ115のソースまたはドレインの他方は、配線131と電気的に接続される。トランジスタ115のゲートは、配線132と電気的に接続される。配線132は、トランジスタ115の導通を制御する信号線としての機能を有することができる。
【0132】
配線131は、基準電位などの特定の電位の供給源と電気的に接続することができる。配線131からトランジスタ111のソースまたはドレインの一方に特定の電位を供給することで、画像データの書き込みを安定化させることもできる。
【0133】
また、配線131は回路120と接続することができ、モニタ線としての機能を有することもできる。回路120は、上記特定の電位の供給源、トランジスタ111の電気特性を取得する機能、および補正データを生成する機能の一つ以上を有することができる。
【0134】
図9(A)乃至(D)は、回路ブロック110に適用でき、表示素子として液晶素子を含む構成の例である。
【0135】
図9(A)に示す構成は、容量素子116および液晶素子117を有する。液晶素子117の一方の電極は、容量素子116の一方の電極と電気的に接続される。容量素子116の一方の電極は、ノードNPに電気的に接続される。
【0136】
容量素子116の他方の電極は、配線133と電気的に接続される。液晶素子117の他方の電極は、配線134と電気的に接続される。配線133、134は電源を供給する機能を有する。例えば、配線133、134は、GNDや0Vなどの基準電位や任意の電位を供給することができる。
【0137】
なお、
図9(B)に示すように容量素子116を省いた構成としてもよい。前述したように、ノードNPと接続するトランジスタにOSトランジスタを用いることができる。OSトランジスタはリーク電流が極めて小さいため、保持容量として機能する容量素子116を省いても表示を比較的長時間維持することができる。また、トランジスタの構成に限らず、フィールドシーケンシャル駆動のように、高速動作で表示期間を短くできる場合にも容量素子116を省くことは有効である。容量素子116を省くことで開口率を向上させることができる。または、画素の透過率を向上させることができる。
【0138】
図9(A)、(B)構成では、ノードNPの電位が液晶素子117の動作しきい値以上に確定したときに液晶素子117の動作が開始される。したがって、ノードNPに重みが書き込まれた段階で表示動作が始まる場合があり、用途が限定されることがある。ただし、透過型液晶表示装置の場合は、重み(W)とデータ(D)の加算動作が終了するタイミングまでバックライトを消灯するなどの動作を併用することで、不必要な表示動作が行われても視認を抑制することができる。
【0139】
図9(C)は、
図9(A)の構成にトランジスタ118を付加した構成である。トランジスタ118のソースまたはドレインの一方は、容量素子116の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ118のソースまたはドレインの他方は、ノードNPと電気的に接続される。トランジスタ118のゲートは、配線130と電気的に接続される。配線130は、トランジスタ118の導通を制御する信号線としての機能を有することができる。
【0140】
当該構成では、トランジスタ118の導通に伴って液晶素子117にノードNPの電位が印加される。したがって、重み(W)とデータ(D)の加算動作後の任意のタイミングに液晶素子の動作を開始することができる。
【0141】
なお、トランジスタ118が非導通の状態では容量素子116および液晶素子117に供給された電位が保持され続けるため、画像データを書き換える前に容量素子116および液晶素子117に供給された電位をリセットすることが好ましい。当該リセットは、例えば、画素が接続されるソース線(例えば、配線125、126など)にリセット電位を供給し、トランジスタ101およびトランジスタ118を同時に導通させればよい。
【0142】
図9(D)は、
図9(C)の構成にトランジスタ119を付加した構成である。トランジスタ119のソースまたはドレインの一方は、液晶素子117の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタ119のソースまたはドレインの他方は、配線131と電気的に接続される。トランジスタ119のゲートは、配線132と電気的に接続される。配線132はトランジスタ119の導通を制御する信号線としての機能を有することができる。
【0143】
配線131と電気的に接続される回路120は、前述した
図8(C)の説明と同様であるほか、容量素子116および液晶素子117に供給された電位をリセットする機能を有していてもよい。
【0144】
図10(A)乃至(C)は、
図6(A)に示した“V
ref”を供給するための配線の具体例を示す図である。
図10(A)に示すように、表示素子として発光素子を用いる場合は、“V
ref”を供給するための配線に配線128を適用することができる。“V
ref”は0V、GNDまたは低電位であることが好ましいため、配線128は、少なくともそれらの電位のいずれかを供給する機能も有する。配線128には、ノードNPにデータを書き込むタイミングでは“V
ref”を供給し、発光素子114を発光させるタイミングでは高電位電源を供給すればよい。または、
図10(B)に示すように、低電位を供給する配線129を“V
ref”を供給するための配線として適用してもよい。
【0145】
また、
図10(C)に示すように、表示素子として液晶素子を用いる場合は、“V
ref”を供給するための配線に配線133を適用することができる。または、配線134を適用してもよい。なお、表示素子の種類に関わらず、“V
ref”を供給する専用の共通配線を設けてもよい。
【0146】
また、本発明の一態様においては、
図11(A)、(B)に例示するように、画素ブロック12が有するトランジスタにバックゲートを設けた構成としてもよい。
図11(A)は、バックゲートがフロントゲートと電気的に接続された構成を示しており、オン電流を高める効果を有する。
図11(B)は、バックゲートが定電位を供給できる配線135と電気的に接続された構成を示しており、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。
【0147】
また、
図4などのタイミングチャートに示したように、回路10に対しては、ゲート信号“H”を一定間隔でシフトして入力する。一方で、回路11に対しては、一つの回路10の動作期間に合わせてゲート信号“H”または“L”を入力する動作が必要である。また、当該動作は、画素ブロック12が有する回路10の数だけ繰り返される。
【0148】
したがって、
図1に示すように、回路11を制御するゲートドライバ14aと、回路10を制御するゲートドライバ14bを設けることが好ましい。回路10と回路11を制御するゲートドライバを個別に設けることで、動作に必要なPWC(Pulse Width Control)信号を画素ブロック12が有する回路10の数よりも少なくすることができる。
【0149】
例えば、
図12は、ゲートドライバ14a、14bの入出力信号を示す図である。なお、ここでは、画素の行数は1280、画素ブロック12が有する画素(回路10)の数は4とする。
【0150】
ゲートドライバ14aに入力される信号は、SPL(ゲートドライバ14a用スタートバルス信号)、CLK[1:4]L(ゲートドライバ14a用クロック信号)、PWC1、PWC2(ゲート信号のパルス幅制御信号)とすることができ、その出力は、ゲート線であるGL1[1]乃至GL1[320]、およびGL2[1]乃至GL2[320]に対して行うことができる。ここで、GL1は配線125、GL2は配線126に相当する。また、320は、垂直方向に設けられる画素ブロック12の数と一致する。
【0151】
ゲートドライバ14bに入力される信号は、SPR(ゲートドライバ14b用スタートバルス信号)、CLK[1:4]R(ゲートドライバ14b用クロック信号)とすることができ、その出力は、ゲート線であるGL3[1]乃至GL3[1280]に対して行うことができる。ここで、GL3は配線123に相当する。また、1280は、垂直方向に設けられる画素20の数と一致する。
【0152】
図13は、ゲートドライバ14aのブロック図の一例である。ゲートドライバ14aは、複数のセット・リセットフリップフロップで構成されるシフトレジスタ回路、およびバッファ回路(BuF)を有する。シフトレジスタ回路の1段分は“SR”で表し、ダミー段は“DUM”で表している。RESはリセット信号であり、“H”入力でシフトレジスタ回路の出力を全て“L”とすることができる。
【0153】
“BuF”はAND回路を有し、“SR”の出力信号(SROUT信号)、PWC1信号およびPWC2信号を利用してゲート線(GL1および/またはGL2)に信号を出力することができる。
【0154】
“SR”は、例えば、
図15(A)に示すブロック図、および
図15(B)に示す回路図の構成とすることができる。ここで、LINは、前段の“SR”から入力されるシフト信号、FOは“Buf”が有するトランジスタを制御する出力信号、RINは後段の“SR”から入力されるリセット信号を表す。なお、入力されるクロック信号は、例えば、CLK[1]LとCLK[3]Lの組み合わせ、またはCLK[2]LとCLK[4]Lの組み合わせとすることができる。
【0155】
また、バッファ回路(BuF)は、
図16(A)に示すブロック図、および
図16(B)に示す回路図の構成とすることができる。ここで、FNは、“SR”から入力される信号(FO)、LNは、“SR”から入力される信号(SROUT)を表す。
【0156】
図14は、ゲートドライバ14bのブロック図の一例である。複数のセット・リセットフリップフロップで構成されるシフトレジスタ回路を有する。シフトレジスタ回路の1段分は“SR”で表し、ダミー段は“DUM”で表している。“SR”は、例えば、
図17(A)に示すブロック図、および
図17(B)に示す回路図の構成とすることができる。
【0157】
次に、画素ブロック12に関するシミュレーション結果を説明する。
図18にシミュレーションに用いた画素ブロック12の構成を示す。
図19にシミュレーションに用いたタイミングチャートを示す。画素ブロック12が有する画素数は4とし、回路ブロック110は
図9(A)に示す構成(液晶素子および容量素子)とした。シミュレーションは、各画素について順次動作を行ったときのノードNPの電圧変化について行った。
【0158】
シミュレーションに用いたパラメータは以下の通りであり、トランジスタサイズはL/W=4μm/4μm(画素ブロック12が有するトランジスタ)、容量素子C1の容量値は500fF、容量素子Csの容量値は100fF、液晶素子Clcの容量値は100fF、共通電極VCOMおよびTCOMは0Vとした。また、トランジスタのゲートに印加する電圧は、“H”として+15V、“L”として-10Vとした。なお、回路シミュレーションソフトウェアにはSPICEを用いた。なお、ここでは、
図18に示す配線PLの寄生容量はパラメータから外している。
【0159】
図19は、シミュレーションに用いたタイミングチャートである。ここでは、重み(W[1]乃至[4])、データ(D[1]乃至[4])は、全て5Vとした。また、“V
ref”は0Vとした。
【0160】
図20(A)は、重み(W[1]乃至[4])およびデータ(D[1]乃至[4])を全て5Vとし、“V
ref”を0Vとしたときのシミュレーション結果である。横軸は時間、縦軸はノードNPの電圧である。各ノードNPにおいて、重み(W)とデータ(D)が容量比に応じて加算されることが確かめられた。
【0161】
図20(B)は、重み(W[1])およびデータ(D[2])を5V、重み(W[2])およびデータ(D[2])を2.5V、重み(W[3])およびデータ(D[3])を-2.5V、重み(W[4])およびデータ(D[4])を-5V、とし、“V
ref”を0Vとしたときのシミュレーション結果である。各ノードNPにおいて、重み(W)とデータ(D)が容量比に応じて加算されることが確かめられた。また、同一の画素ブロック12内で重みおよびデータの極性を問わず加算動作ができることから、ゲートライン反転駆動の適用も可能であることが確かめられた。
【0162】
したがって、本発明の一態様である画素ブロック12は、配線PLの寄生容量が影響しない範囲で重み(W)とデータ(D)の加算動作が正常に行えることが確認できた。
【0163】
次に、画素レイアウトに関するシミュレーション結果を説明する。
図21は、
図18に示す画素ブロック12を基本構成とし、縦3画素分のレイアウトの一例を第m列および第m+1列について示す図である。
【0164】
なお、
図21に示すレイアウトでは、Csを省き、ノードNPに相当する画素電極PEまでを図示している。トランジスタとしては、一例としてボトムゲート型(バックゲートあり)を図示している。
【0165】
トランジスタTr1、Tr2は、画素ブロック12の1行目の画素に含まれるように配置している。したがって、各行が有するトランジスタは、1行目がトランジスタTr1、Tr2、Tr3の計3個となり、2行目以降は、トランジスタTr3の1個となる。なお、トランジスタTr1、Tr2のサイズは、L/W=4μm/30μm、トランジスタTr3のサイズは、L/W=4μm/10μmを想定している。画素ピッチは、約136μm(1行目と2行目以降で異なる)を想定している。
【0166】
C1は、ゲート配線と同一の工程で作製される導電層およびソース配線と同一の工程で作製される導電層を一対の電極としている。当該二つの導電層は、ソース線SL1、SL2と平行して配置され、各画素において絶縁層(例えばゲート絶縁膜)を介して重なる領域を有する。つまり、各画素には、一つの容量素子が設けられている。また、当該容量素子は並列接続となるため、一つの大きな容量素子と等価になる。
【0167】
すなわち、容量素子C1を分割配置していることから、画素の開口率および透過率を向上させることができる。なお、容量素子を構成する一方の導電層同士の電気的な接続には、ゲート配線をブリッジする接続配線BRを用いることが好ましい。接続配線BRとしては、例えば、ソース配線と同一の工程で作製することができる。
【0168】
ここで、1行目の画素には、トランジスタTr1、Tr2およびその駆動用のゲート線が設けられるため、他の行の画素よりも要素数が多くなる。
図22(A)に示すタイプ1のように、全ての画素の垂直方向の長さをAに統一した場合、画素電極PE1は画素電極PE2、PE3よりも小さくなってしまう。そのため、1列目の表示が暗線として視認されることがある。
【0169】
したがって、
図22(B)に示すタイプ2のように、全ての画素電極の垂直方向の長さをBに統一し、1行目の画素の垂直方向の長さを2行目以降の画素の垂直方向の長さよりも大きくしてもよい。または、画素電極PE1が画素電極PE2、PE3よりも大きくなるように各画素の垂直方向の長さを調整してもよい。このような構成とすることで、1行目の表示が暗線として視認されることを抑制することができる。
【0170】
図22に示したタイプ1またはタイプ2の画素ブロックを表示領域に適用した場合の開口率の試算値を
図23に示す。ここで示す開口率とは、(画素ブロック内の全ての画素電極の面積)/(画素ブロックの面積)である。試算において、画素ブロックが有する画素数は、1乃至4000とした。なお、タイプ1の画素は、全て一辺が136μmの正方画素とすることを想定している。また、タイプ2では、画素数1の場合は一辺が136μmの正方画素とし、画素数2以上では画素電極が同サイズとなるように垂直方向の長さを調整している。なお、タイプ1と比較できるように画素ブロックの垂直方向の長さは、一辺が136μm正方画素を用いた場合と同じとしている。
【0171】
図23に示すように、タイプ1、タイプ2ともに画素ブロック内の画素数が10程度まで開口率は急激に上昇し、20程度で81%に到達する。その後も緩やかに上昇し、100で82%近くとなる。したがって、開口率を重視する場合は、画素ブロック内の画素数をできるだけ多くすることが好ましいといえる。ただし、画素レイアウトによる効率的な効果を考慮すると、5乃至100程度が好ましく、10乃至50程度がより好ましく、20乃至40程度がさらに好ましいといえる。
【0172】
以上のシミュレーション結果により、本発明の一態様の効果を確認することができた。
【0173】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0174】
(実施の形態2)
本実施の形態では、液晶素子を用いた表示装置の構成例と、発光素子を用いた表示装置の構成例について説明する。なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した表示装置の要素、動作および機能の説明は省略する。
【0175】
図24(A)乃至(C)は、本発明の一態様を用いることのできる表示装置の構成を示す図である。
【0176】
図24(A)において、第1の基板4001上に設けられた表示部215を囲むようにして、シール材4005が設けられ、表示部215がシール材4005および第2の基板4006によって封止されている。
【0177】
表示部215には、実施の形態1で説明した画素ブロック12等を設けることができる。なお、以下に説明する走査線駆動回路はゲートドライバ、信号線駆動回路はソースドライバに相当する。
【0178】
図24(A)では、走査線駆動回路221a、信号線駆動回路231a、信号線駆動回路232a、および共通線駆動回路241aは、それぞれがプリント基板4041上に設けられた集積回路4042を複数有する。集積回路4042は、単結晶半導体または多結晶半導体で形成されている。共通線駆動回路241aは、実施の形態1に示した配線128、129、132、133、135などに規定の電位を供給する機能を有する。
【0179】
走査線駆動回路221a、共通線駆動回路241a、信号線駆動回路231a、および信号線駆動回路232aに与えられる各種信号および電位は、FPC(FPC:Flexible printed circuit)4018を介して供給される。
【0180】
走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aが有する集積回路4042は、表示部215に選択信号を供給する機能を有する。信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aが有する集積回路4042は、表示部215に画像データを供給する機能を有する。集積回路4042は、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に実装されている。
【0181】
なお、集積回路4042の接続方法は、特に限定されるものではなく、ワイヤボンディング法、COG(Chip On Glass)法、TCP(Tape Carrier Package)法、COF(Chip On Film)法などを用いることができる。
【0182】
図24(B)は、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aに含まれる集積回路4042をCOG法により実装する例を示している。また、駆動回路の一部または全体を表示部215と同じ基板上に一体形成して、システムオンパネルを形成することができる。
【0183】
図24(B)では、走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aを、表示部215と同じ基板上に形成する例を示している。駆動回路を表示部215内の画素回路と同時に形成することで、部品点数を削減することができる。よって、生産性を高めることができる。
【0184】
また、
図24(B)では、第1の基板4001上に設けられた表示部215と、走査線駆動回路221aおよび共通線駆動回路241aと、を囲むようにして、シール材4005が設けられている。また表示部215、走査線駆動回路221a、および共通線駆動回路241aの上に第2の基板4006が設けられている。よって、表示部215、走査線駆動回路221a、および共通線駆動回路241aは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。
【0185】
また、
図24(B)では、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aを別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部を別途形成して実装しても良い。また、
図24(C)に示すように、信号線駆動回路231aおよび信号線駆動回路232aを表示部215と同じ基板上に形成してもよい。
【0186】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む場合がある。
【0187】
また第1の基板上に設けられた表示部および走査線駆動回路は、トランジスタを複数有している。当該トランジスタとして、上記実施の形態で示したトランジスタを適用することができる。
【0188】
周辺駆動回路が有するトランジスタと、表示部の画素回路が有するトランジスタの構造は同じであってもよく、異なっていてもよい。周辺駆動回路が有するトランジスタは、全て同じ構造のトランジスタであってもよく、2種類以上の構造のトランジスタを有していてもよい。同様に、画素回路が有するトランジスタは、全て同じ構造のトランジスタであってもよく、2種類以上の構造のトランジスタを有していてもよい。
【0189】
また、第2の基板4006上には入力装置4200を設けることができる。
図24(A)乃至(C)に示す表示装置に入力装置4200を設けた構成はタッチパネルとして機能させることができる。
【0190】
本発明の一態様のタッチパネルが有する検知素子(センサ素子ともいう)に限定は無い。指やスタイラスなどの被検知体の近接または接触を検知することのできる様々なセンサを、検知素子として適用することができる。
【0191】
センサの方式としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。
【0192】
本実施の形態では、静電容量方式の検知素子を有するタッチパネルを例に挙げて説明する。
【0193】
静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。また、投影型静電容量方式としては、自己容量方式、相互容量方式等がある。相互容量方式を用いると、同時多点検知が可能となるため好ましい。
【0194】
本発明の一態様のタッチパネルは、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせる構成、表示素子を支持する基板および対向基板の一方または双方に検知素子を構成する電極等を設ける構成等、様々な構成を適用することができる。
【0195】
図25(A)、(B)に、タッチパネルの一例を示す。
図25(A)は、タッチパネル4210の斜視図である。
図25(B)は、入力装置4200の斜視概略図である。なお、明瞭化のため、代表的な構成要素のみを示している。
【0196】
タッチパネル4210は、別々に作製された表示装置と検知素子とを貼り合わせた構成である。
【0197】
タッチパネル4210は、入力装置4200と、表示装置とを有し、これらが重ねて設けられている。
【0198】
入力装置4200は、基板4263、電極4227、電極4228、複数の配線4237、複数の配線4238および複数の配線4239を有する。例えば、電極4227は配線4237または配線4239と電気的に接続することができる。また、電極4228は配線4239と電気的に接続することができる。FPC4272bは、複数の配線4237および複数の配線4238の各々と電気的に接続する。FPC4272bにはIC4273bを設けることができる。
【0199】
または、表示装置の第1の基板4001と第2の基板4006との間にタッチセンサを設けてもよい。第1の基板4001と第2の基板4006との間にタッチセンサを設ける場合は、静電容量方式のタッチセンサのほか、光電変換素子を用いた光学式のタッチセンサを適用してもよい。
【0200】
図26(A)、(B)は、
図24(B)中でN1-N2の鎖線で示した部位の断面図である。
図26(A)、(B)に示す表示装置は電極4015を有しており、電極4015はFPC4018が有する端子と異方性導電層4019を介して、電気的に接続されている。また、
図26(A)、(B)では、電極4015は、絶縁層4112、絶縁層4111、および絶縁層4110に形成された開口において配線4014と電気的に接続されている。
【0201】
電極4015は、第1の電極層4030と同じ導電層から形成され、配線4014は、トランジスタ4010、およびトランジスタ4011のソース電極およびドレイン電極と同じ導電層で形成されている。
【0202】
また、第1の基板4001上に設けられた表示部215と走査線駆動回路221aは、トランジスタを複数有しており、
図26(A)、(B)では、表示部215に含まれるトランジスタ4010、および走査線駆動回路221aに含まれるトランジスタ4011を例示している。なお、
図26(A)、(B)では、トランジスタ4010およびトランジスタ4011としてボトムゲート型のトランジスタを例示しているが、トップゲート型のトランジスタであってもよい。
【0203】
図26(A)、(B)では、トランジスタ4010およびトランジスタ4011上に絶縁層4112が設けられている。また、
図26(B)では、絶縁層4112上に隔壁4510が形成されている。
【0204】
また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4102上に設けられている。また、トランジスタ4010およびトランジスタ4011は、絶縁層4111上に形成された電極4017を有する。電極4017はバックゲート電極として機能することができる。
【0205】
また、
図26(A)、(B)に示す表示装置は、容量素子4020を有する。容量素子4020は、トランジスタ4010のゲート電極と同じ工程で形成された電極4021と、ソース電極およびドレイン電極と同じ工程で形成された電極と、を有する。それぞれの電極は、絶縁層4103を介して重なっている。
【0206】
一般に、表示装置の画素部に設けられる容量素子の容量は、画素部に配置されるトランジスタのリーク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。容量素子の容量は、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。
【0207】
表示部215に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続する。
図26(A)は、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の一例である。
図26(A)において、表示素子である液晶素子4013は、第1の電極層4030、第2の電極層4031、および液晶層4008を含む。なお、配向膜として機能する絶縁層4032、絶縁層4033が液晶層4008を挟持するように設けられている。第2の電極層4031は第2の基板4006側に設けられ、第1の電極層4030と第2の電極層4031は液晶層4008を介して重畳する。
【0208】
液晶素子4013として、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えば、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、VA-IPSモード、ゲストホストモード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0209】
また、本実施の形態に示す液晶表示装置にノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置を適用してもよい。垂直配向モードとしては、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
【0210】
なお、液晶素子は、液晶の光学変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0211】
図26では、縦電界方式の液晶素子を有する液晶表示装置の例を示したが、本発明の一態様には、横電界方式の液晶素子を有する液晶表示装置を適用することができる。横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層4008に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性を示す。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良または破損を軽減することができる。
【0212】
また、スペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、第1の電極層4030と第2の電極層4031との間隔(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。
【0213】
また、必要に応じて、ブラックマトリクス(遮光層)、着色層(カラーフィルタ)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などを適宜設けてもよい。例えば、偏光基板および位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。また、上記バックライト、およびサイドライトとして、マイクロLEDなどを用いても良い。
【0214】
図26(A)に示す表示装置では、基板4006と第2の電極層4031の間に、遮光層4132、着色層4131、絶縁層4133が設けられている。
【0215】
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0216】
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。遮光層および着色層は、例えば、インクジェット法などを用いて形成することができる。
【0217】
また、
図26(A)、(B)に示す表示装置は、絶縁層4111と絶縁層4104を有する。絶縁層4111と絶縁層4104として、不純物元素を透過しにくい絶縁層を用いる。絶縁層4111と絶縁層4104でトランジスタの半導体層を挟むことで、外部からの不純物の浸入を防ぐことができる。
【0218】
また、表示装置に含まれる表示素子として発光素子を用いることができる。発光素子としては、例えば、エレクトロルミネッセンスを利用するEL素子を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に発光性の化合物を含む層(「EL層」ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子の閾値電圧よりも大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0219】
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0220】
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0221】
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。
【0222】
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法などの方法で形成することができる。
【0223】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0224】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そして、基板上にトランジスタおよび発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出(トップエミッション)構造や、基板側の面から発光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)構造や、両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0225】
図26(B)は、表示素子として発光素子を用いた発光表示装置(「EL表示装置」ともいう。)の一例である。表示素子である発光素子4513は、表示部215に設けられたトランジスタ4010と電気的に接続している。なお発光素子4513の構成は、第1の電極層4030、発光層4511、第2の電極層4031の積層構造であるが、この構成に限定されない。発光素子4513から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4513の構成は適宜変えることができる。
【0226】
隔壁4510は、有機絶縁材料、または無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、第1の電極層4030上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0227】
発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0228】
発光素子4513の発光色は、発光層4511を構成する材料によって、白、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、または黄などとすることができる。
【0229】
カラー表示を実現する方法としては、発光色が白色の発光素子4513と着色層を組み合わせて行う方法と、画素毎に発光色の異なる発光素子4513を設ける方法がある。前者の方法は後者の方法よりも生産性が高い。一方、後者の方法では画素毎に発光層4511を作り分ける必要があるため、前者の方法よりも生産性が劣る。ただし、後者の方法では、前者の方法よりも色純度の高い発光色を得ることができる。後者の方法に加えて、発光素子4513にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度をさらに高めることができる。
【0230】
なお、発光層4511は、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料として機能させることもできる。
【0231】
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4031および隔壁4510上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形成することができる。また、第1の基板4001、第2の基板4006、およびシール材4005によって封止された空間には充填材4514が設けられ密封されている。このように、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0232】
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル系樹脂、ポリイミド、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材4514に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0233】
シール材4005には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。また、シール材4005に乾燥剤が含まれていてもよい。
【0234】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、または円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0235】
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すことができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映り込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
【0236】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層および第2の電極層(画素電極層、共通電極層、対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、および電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0237】
第1の電極層4030、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0238】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができる。
【0239】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、または、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体などがあげられる。
【0240】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0241】
なお、
図27に示すように、トランジスタや容量素子が高さ方向に重なる領域を有するようなスタック構造としてもよい。例えば、駆動回路を構成するトランジスタ4011およびトランジスタ4022を重ねて配置すれば、狭額縁の表示装置とすることができる。また、画素回路を構成するトランジスタ4010、トランジスタ4023、容量素子4020などが一部でも重なる領域を有するように配置すれば開口率や解像度を向上させることができる。なお、
図27では
図26(A)に示す液晶表示装置にスタック構造を応用した例を示しているが、
図26(B)に示すEL表示装置に応用してもよい。
【0242】
また、画素回路において、電極や配線に可視光に対して透光性の高い透光性導電膜を用いることで、画素内の光の透過率を高めることができ、実質的に開口率を向上させることができる。なお、OSトランジスタを用いる場合は半導体層も透光性を有するため、さらに開口率を高めることができる。これらは、トランジスタ等をスタック構造としない場合においても有効である。
【0243】
また、液晶表示装置と発光装置を組み合わせて表示装置を構成としてもよい。
【0244】
発光装置は表示面の逆側、または表示面の端部に配置される。発光装置は表示素子に光を供給する機能を有する。発光装置は、バックライトとも呼ぶことができる。
【0245】
ここで、発光装置は、板状またはシート状の導光部(導光板ともいう)と、異なる色の光を呈する複数の発光素子を有することができる。当該発光素子を導光部の側面近傍に配置すると、導光部側面から内部へ光を発することができる。導光部は光路を変更する機構(光取り出し機構ともいう)を有しており、これにより、発光装置は表示パネルの画素部に光を均一に照射することができる。または、導光部を設けず、画素の直下に発光装置を配置する構成としてもよい。
【0246】
発光装置は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の発光素子を有することが好ましい。さらに白色(W)の発光素子を有していてもよい。これら発光素子として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いることが好ましい。
【0247】
さらに、発光素子は、その発光スペクトルの半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が、50nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下である、極めて色純度の高い発光素子であることが好ましい。なお、発光スペクトルの半値全幅は、小さければ小さいほどよいが、例えば1nm以上とすることができる。これにより、カラー表示を行う際に、色再現性が高い鮮やかな表示を行うことができる。
【0248】
また、赤色の発光素子は、発光スペクトルのピーク波長が、625nm以上650nm以下の範囲内に位置する素子を用いることが好ましい。また、緑色の発光素子は、発光スペクトルのピーク波長が、515nm以上540nm以下の範囲内に位置する素子を用いることが好ましい。青色の発光素子は、発光スペクトルのピーク波長が、445nm以上470nm以下の範囲内に位置する素子を用いることが好ましい。
【0249】
表示装置は、3色の発光素子を順次点滅させるとともに、これと同期させて画素を駆動し、継時加法混色法に基づいてカラー表示を行うことができる。当該駆動方法は、フィールドシーケンシャル駆動とも呼ぶことができる。
【0250】
フィールドシーケンシャル駆動では、鮮やかなカラー画像を表示することができる。また、滑らかな動画像を表示することができる。また上記駆動方法を用いることで、1つの画素を複数の異なる色の副画素で構成する必要がなく、1つの画素の有効反射面積(有効表示面積、開口率ともいう)を大きくできるため、明るい表示を行うことができる。さらに、画素にカラーフィルタを設ける必要がないため、画素の透過率も向上させることもでき、さらに明るい表示を行うことができる。また、作製工程を簡略化でき、作製コストを低減することができる。
【0251】
図28(A)、(B)は、フィールドシーケンシャル駆動が可能な表示装置の断面概略図の一例である。当該表示装置の基板4001側にはRGB各色の発光が可能なバックライトユニットが設けられる。なお、フィールドシーケンシャル駆動では、RGB各色の時分割発光で色を表現するため、カラーフィルタは不要となる。
【0252】
図28(A)に示すバックライトユニット4340aは、画素の直下に拡散板4352を介して発光素子4342が複数設けられた構成である。拡散板4352は、発光素子4342から基板4001側に射出された光を拡散し、表示部面内の輝度を均一化する機能を有する。発光素子4342と拡散板4352との間には、必要に応じて偏光板を設けてもよい。また、拡散板4352は不要であれば設けなくてもよい。また、遮光層4132を省いた構成としてもよい。
【0253】
バックライトユニット4340aは、発光素子4342を多く搭載することができるため、明るい表示が可能となる。また、導光板は不要であり、発光素子4342の光の効率を損ないにくい利点がある。なお、必要に応じて発光素子4342に光拡散用のレンズ4344を設けてもよい。
【0254】
図28(B)に示すバックライトユニット4340bは、画素の直下に拡散板4352を介して導光板4341が設けられた構成である。導光板4341の端部には発光素子4342が複数設けられる。導光板4341は、拡散板4352とは逆側に凹凸形状を有し、導波した光を当該凹凸形状で散乱して拡散板4352の方向に射出することができる。
【0255】
発光素子4342は、プリント基板4347に固定することができる。なお、
図28(B)では、RGB各色の発光素子4342が重なるように図示しているが、奥行方向にRGB各色の発光素子4342が並ぶように配置することもできる。また、導光板4341において、発光素子4342とは反対側の側面には、可視光を反射する反射層4348を設けてもよい。
【0256】
バックライトユニット4340bは、発光素子4342を少なくすることができるため、低コストかつ薄型とすることができる。
【0257】
また、液晶素子には、光散乱型液晶素子を用いてもよい。光散乱型液晶素子としては、液晶と高分子の複合材料を有する素子を用いることが好ましい。例えば、高分子分散型液晶素子を用いることができる。または、高分子ネットワーク型液晶(PNLC(Polymer Network Liquid Crystal))素子を用いてもよい。
【0258】
光散乱型液晶素子は、一対の電極で挟まれる樹脂部の3次元ネットワーク構造中に液晶部が設けられた構造である。液晶部に用いる材料としては、例えばネマティック液晶を用いることができる。また、樹脂部としては光硬化樹脂を用いることができる。光硬化樹脂は、例えば、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマー、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多官能モノマー、または、これらを混合させた重合性化合物を用いることができる。
【0259】
光散乱型液晶素子は液晶材料の屈折率の異方性を利用し、光を透過または散乱させることにより表示を行う。また、樹脂部も屈折率の異方性を有していてもよい。光散乱型液晶素子に印加される電圧に従って液晶分子が一定方向に配列するとき、液晶部と樹脂部の屈折率の差が小さくなる方向が発生し、当該方向に沿って入射する光は液晶部で散乱されることなく透過する。したがって、光散乱型液晶素子は当該方向からは透明な状態に視認される。一方で、印加される電圧に従って液晶分子の配列がランダムとなるとき、液晶部と樹脂部の屈折率の差に大きな変化が生じないため、入射する光は液晶部で散乱される。したがって、光散乱型液晶素子は視認の方向を問わず不透明の状態となる。
【0260】
図29(A)は、
図28(A)の表示装置の液晶素子4013を光散乱型液晶素子4016に置き換えた構成である。光散乱型液晶素子4016は、液晶部および樹脂部を有する複合層4009、ならびに電極層4030、4031を有する。フィールドシーケンシャル駆動に関する要素は、
図28(A)と同じであるが、光散乱型液晶素子4016を用いる場合は、配向膜および偏光板が不要となる。なお、スペーサ4035は球状の形態で図示しているが、柱状であってもよい。
【0261】
図29(B)は、
図28(B)の表示装置の液晶素子4013を光散乱型液晶素子4016に置き換えた構成である。
図28(B)の構成では、光散乱型液晶素子4016に電圧を印加しないときに光を透過し、電圧を印加したときに光を散乱させるモードで動作する構成とすることが好ましい。当該構成とすることで、ノーマル状態(表示をさせない状態)で透明な表示装置とすることができる。この場合は、光を散乱させる動作を行ったときにカラー表示を行うことができる。
【0262】
図29(B)に示す表示装置の変形例を
図30(A)乃至(E)に示す。なお、
図30(A)乃至(E)においては、明瞭化のため、
図29(B)の一部要素を用い、他の要素を省いて図示している。
【0263】
図30(A)は、基板4001が導光板としての機能を有する構成である。基板4001の外側の面には、凹凸形状を設けてもよい。当該構成では、導光板を別途設ける必要がなくなるため、製造コストを低減することができる。また、当該導光板による光の減衰もなくなるため、発光素子4342が射出する光を効率良く利用することができる。
【0264】
図30(B)は、複合層4009の端部近傍から光を入射する構成である。複合層4009と基板4006との界面、および複合層4009と基板4001との界面での全反射を利用し、光散乱型液晶素子から外部に光を射出することができる。複合層4009の樹脂部には、基板4001および基板4006よりも屈折率が大きい材料を用いる。
【0265】
なお、発光素子4342は表示装置の一辺に設けるだけでなく、
図30(C)に示すように対向する二辺に設けてもよい。さらに、三辺または四辺に設けてもよい。発光素子4342を複数の辺に設けることで、光の減衰を補うことができ、大面積の表示素子にも対応することができる。
【0266】
図30(D)は、発光素子4342から射出される光がミラー4345を介して表示装置に導光される構成である。当該構成により表示装置に一定の角度からの導光を行いやすくなるため、効率良く全反射光を得ることができる。
【0267】
図30(E)は、複合層4009上に層4003および層4004の積層を有する構成である。層4003および層4004の一方はガラス基板などの支持体であり、他方は無機膜、有機樹脂のコーティング膜またはフィルムなどで形成することができる。複合層4009の樹脂部には、層4004よりも屈折率が大きい材料を用いる。また、層4004には層4003よりも屈折率が大きい材料を用いる。
【0268】
複合層4009と層4004との間には一つ目の界面が形成され、層4004と層4003との間には二つ目の界面が形成される。当該構成により、一つ目の界面で全反射されず通り抜けた光を二つ目の界面で全反射させ、複合層4009に戻すことができる。したがって、発光素子4342が射出する光を効率良く利用することができる。
【0269】
なお、
図29(B)および
図30(A)乃至(E)における構成は、互いに組み合すことができる。
【0270】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0271】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した各トランジスタに置き換えて用いることのできるトランジスタの一例について、図面を用いて説明する。
【0272】
本発明の一態様の表示装置は、ボトムゲート型のトランジスタや、トップゲート型トランジスタなどの様々な形態のトランジスタを用いて作製することができる。よって、既存の製造ラインに合わせて、使用する半導体層の材料やトランジスタ構造を容易に置き換えることができる。
【0273】
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図31(A1)は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトランジスタ810のチャネル長方向の断面図である。
図31(A1)において、トランジスタ810は基板771上に形成されている。また、トランジスタ810は、基板771上に絶縁層772を介して電極746を有する。また、電極746上に絶縁層726を介して半導体層742を有する。電極746はゲート電極として機能できる。絶縁層726はゲート絶縁層として機能できる。
【0274】
また、半導体層742のチャネル形成領域上に絶縁層741を有する。また、半導体層742の一部と接して、絶縁層726上に電極744aおよび電極744bを有する。電極744aは、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能できる。電極744bは、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。電極744aの一部、および電極744bの一部は、絶縁層741上に形成される。
【0275】
絶縁層741は、チャネル保護層として機能できる。チャネル形成領域上に絶縁層741を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導体層742の露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成時に、半導体層742のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0276】
また、トランジスタ810は、電極744a、電極744bおよび絶縁層741上に絶縁層728を有し、絶縁層728の上に絶縁層729を有する。
【0277】
半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、電極744aおよび電極744bの、少なくとも半導体層742と接する部分に、半導体層742の一部から酸素を奪い、酸素欠損を生じさせることが可能な材料を用いることが好ましい。半導体層742中の酸素欠損が生じた領域はキャリア濃度が増加し、当該領域はn型化し、n型領域(n+層)となる。したがって、当該領域はソース領域またはドレイン領域として機能することができる。半導体層742に酸化物半導体を用いる場合、半導体層742から酸素を奪い、酸素欠損を生じさせることが可能な材料の一例として、タングステン、チタン等を挙げることができる。
【0278】
半導体層742にソース領域およびドレイン領域が形成されることにより、電極744aおよび電極744bと半導体層742の接触抵抗を低減することができる。よって、電界効果移動度や、しきい値電圧などの、トランジスタの電気特性を良好なものとすることができる。
【0279】
半導体層742にシリコンなどの半導体を用いる場合は、半導体層742と電極744aの間、および半導体層742と電極744bの間に、n型半導体またはp型半導体として機能する層を設けることが好ましい。n型半導体またはp型半導体として機能する層は、トランジスタのソース領域またはドレイン領域として機能することができる。
【0280】
絶縁層729は、外部からのトランジスタへの不純物の拡散を防ぐ、または低減する機能を有する材料を用いて形成することが好ましい。なお、必要に応じて絶縁層729を省略することもできる。
【0281】
図31(A2)に示すトランジスタ811は、絶縁層729上にバックゲート電極として機能できる電極723を有する点が、トランジスタ810と異なる。電極723は、電極746と同様の材料および方法で形成することができる。
【0282】
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、接地電位(GND電位)や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
【0283】
また、電極746および電極723は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層726、絶縁層728、および絶縁層729は、それぞれがゲート絶縁層として機能することができる。なお、電極723は、絶縁層728と絶縁層729の間に設けてもよい。
【0284】
なお、電極746または電極723の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バックゲート電極」という。例えば、トランジスタ811において、電極723を「ゲート電極」と言う場合、電極746を「バックゲート電極」と言う。また、電極723を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ811をトップゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。また、電極746および電極723のどちらか一方を、「第1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
【0285】
半導体層742を挟んで電極746および電極723を設けることで、更には、電極746および電極723を同電位とすることで、半導体層742においてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ811のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
【0286】
したがって、トランジスタ811は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ811の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0287】
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲート電極を半導体層よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
【0288】
また、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0289】
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0290】
図31(B1)は、
図31(A1)とは異なる構成のチャネル保護型のトランジスタ820のチャネル長方向の断面図である。トランジスタ820は、トランジスタ810とほぼ同様の構造を有しているが、絶縁層741が半導体層742の端部を覆っている点が異なる。また、半導体層742と重なる絶縁層729の一部を選択的に除去して形成した開口部において、半導体層742と電極744aが電気的に接続している。また、半導体層742と重なる絶縁層729の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導体層742と電極744bが電気的に接続している。絶縁層729の、チャネル形成領域と重なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0291】
図31(B2)に示すトランジスタ821は、絶縁層729上にバックゲート電極として機能できる電極723を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0292】
絶縁層729を設けることで、電極744aおよび電極744bの形成時に生じる半導体層742の露出を防ぐことができる。よって、電極744aおよび電極744bの形成時に半導体層742の薄膜化を防ぐことができる。
【0293】
また、トランジスタ820およびトランジスタ821は、トランジスタ810およびトランジスタ811よりも、電極744aと電極746の間の距離と、電極744bと電極746の間の距離が長くなる。よって、電極744aと電極746の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極744bと電極746の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
【0294】
図31(C1)に示すトランジスタ825は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネルエッチング型のトランジスタ825のチャネル長方向の断面図である。トランジスタ825は、絶縁層729を用いずに電極744aおよび電極744bを形成する。このため、電極744aおよび電極744bの形成時に露出する半導体層742の一部がエッチングされる場合がある。一方、絶縁層729を設けないため、トランジスタの生産性を高めることができる。
【0295】
図31(C2)に示すトランジスタ825は、絶縁層729上にバックゲート電極として機能できる電極723を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0296】
図32(A1)乃至(C2)にトランジスタ810、811、820、821、825、826のチャネル幅方向の断面図をそれぞれ示す。
【0297】
図32(B2)、(C2)に示す構造では、ゲート電極とバックゲート電極とが接続され、ゲート電極とバックゲート電極との電位が同電位となる。また、半導体層742は、ゲート電極とバックゲート電極に挟まれている。
【0298】
ゲート電極およびバックゲート電極のそれぞれのチャネル幅方向の長さは、半導体層742のチャネル幅方向の長さよりも長く、半導体層742のチャネル幅方向全体は、絶縁層726、741、728、729を間に挟んでゲート電極またはバックゲート電極に覆われた構成である。
【0299】
当該構成とすることで、トランジスタに含まれる半導体層742を、ゲート電極およびバックゲート電極の電界によって電気的に取り囲むことができる。
【0300】
トランジスタ821またはトランジスタ826のように、ゲート電極およびバックゲート電極の電界によって、チャネル形成領域が形成される半導体層742を電気的に取り囲むトランジスタのデバイス構造をSurrounded channel(S-channel)構造と呼ぶことができる。
【0301】
S-channel構造とすることで、ゲート電極およびバックゲート電極の一方または双方によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に半導体層742に印加することができるため、トランジスタの電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタを微細化することが可能となる。また、S-channel構造とすることで、トランジスタの機械的強度を高めることができる。
【0302】
〔トップゲート型トランジスタ〕
図33(A1)に例示するトランジスタ842は、トップゲート型のトランジスタの1つである。トランジスタ842は、絶縁層729を形成した後に電極744aおよび電極744bを形成する点がトランジスタ830やトランジスタ840と異なる。電極744aおよび電極744bは、絶縁層728および絶縁層729に形成した開口部において半導体層742と電気的に接続する。
【0303】
また、電極746と重ならない絶縁層726の一部を除去し、電極746と残りの絶縁層726をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体層742中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる。トランジスタ842は、絶縁層726が電極746の端部を越えて延伸する領域を有する。半導体層742の絶縁層726を介して不純物755が導入された領域の不純物濃度は、絶縁層726を介さずに不純物755が導入された領域よりも小さくなる。半導体層742は、電極746と重ならない領域にLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成される。
【0304】
図33(A2)に示すトランジスタ843は、電極723を有する点がトランジスタ842と異なる。トランジスタ843は、基板771の上に形成された電極723を有する。電極723は、絶縁層772を介して半導体層742と重なる領域を有する。電極723は、バックゲート電極として機能することができる。
【0305】
また、
図33(B1)に示すトランジスタ844および
図33(B2)に示すトランジスタ845のように、電極746と重ならない領域の絶縁層726を全て除去してもよい。また、
図33(C1)に示すトランジスタ846および
図33(C2)に示すトランジスタ847のように、絶縁層726を残してもよい。
【0306】
トランジスタ842乃至トランジスタ847も、電極746を形成した後に、電極746をマスクとして用いて不純物755を半導体層742に導入することで、半導体層742中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0307】
図34(A1)乃至(C2)にトランジスタ842、843、844、845、846、847のチャネル幅方向の断面図をそれぞれ示す。
【0308】
トランジスタ843、トランジスタ845、およびトランジスタ847は、それぞれ先に説明したS-channel構造である。ただし、これに限定されず、トランジスタ843、トランジスタ845、およびトランジスタ847をS-channel構造としなくてもよい。
【0309】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0310】
(実施の形態4)
本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像記憶装置または画像再生装置、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図35に示す。
【0311】
図35(A)はデジタルカメラであり、筐体961、シャッターボタン962、マイク963、スピーカ967、表示部965、操作キー966、ズームレバー968、レンズ969等を有する。表示部965に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる。
【0312】
図35(B)はデジタルサイネージであり、大型の表示部922を有する。例えば、柱921の側面に取り付けられる。表示部922に本発明の一態様の表示装置を用いることで、表示品位の高い表示を行うことができる。
【0313】
図35(C)は携帯電話機の一例であり、筐体951、表示部952、操作ボタン953、外部接続ポート954、スピーカ955、マイク956、カメラ957等を有する。当該携帯電話機は、表示部952にタッチセンサを備える。電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指やスタイラスなどで表示部952に触れることで行うことができる。また、筐体901および表示部952は可撓性を有し、図示するように折り曲げて使用することができる。表示部952に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる。
【0314】
図35(D)はビデオカメラであり、第1筐体901、第2筐体902、表示部903、操作キー904、レンズ905、接続部906、スピーカ907等を有する。操作キー904およびレンズ905は第1筐体901に設けられており、表示部903は第2筐体902に設けられている。表示部903に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる。
【0315】
図35(E)はテレビであり、筐体971、表示部973、操作キー974、スピーカ975、通信用接続端子976、光センサ977等を有する。表示部973にはタッチセンサが設けられ、入力操作を行うこともできる。表示部973に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる。
【0316】
図35(F)は携帯データ端末であり、筐体911、表示部912、スピーカ913、カメラ919等を有する。表示部912が有するタッチパネル機能により情報の入出力を行うことができる。表示部912に本発明の一態様の表示装置を用いることで、様々な画像の表示を行うことができる。
【0317】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0318】
10:回路、11:回路、12:画素ブロック、13:ソースドライバ、14a:ゲートドライバ、14b:ゲートドライバ、15:回路、20:画素、101:トランジスタ、102:トランジスタ、103:トランジスタ、104:容量素子、105:トランジスタ、106:トランジスタ、107:容量素子、110:回路ブロック、111:トランジスタ、112:トランジスタ、113:容量素子、114:発光素子、115:トランジスタ、116:容量素子、117:液晶素子、118:トランジスタ、119:トランジスタ、120:回路、121:配線、122:配線、123:配線、125:配線、126:配線、127:配線、128:配線、129:配線、130:配線、131:配線、132:配線、133:配線、134:配線、135:配線、215:表示部、221a:走査線駆動回路、231a:信号線駆動回路、232a:信号線駆動回路、241a:共通線駆動回路、723:電極、726:絶縁層、728:絶縁層、729:絶縁層、741:絶縁層、742:半導体層、744a:電極、744b:電極、746:電極、755:不純物、771:基板、772:絶縁層、810:トランジスタ、811:トランジスタ、820:トランジスタ、821:トランジスタ、825:トランジスタ、826:トランジスタ、830:トランジスタ、840:トランジスタ、842:トランジスタ、843:トランジスタ、844:トランジスタ、845:トランジスタ、846:トランジスタ、847:トランジスタ、901:筐体、902:筐体、903:表示部、904:操作キー、905:レンズ、906:接続部、907:スピーカ、911:筐体、912:表示部、913:スピーカ、919:カメラ、921:柱、922:表示部、951:筐体、952:表示部、953:操作ボタン、954:外部接続ポート、955:スピーカ、956:マイク、957:カメラ、961:筐体、962:シャッターボタン、963:マイク、965:表示部、966:操作キー、967:スピーカ、968:ズームレバー、969:レンズ、971:筐体、973:表示部、974:操作キー、975:スピーカ、976:通信用接続端子、977:光センサ、4001:基板、4003:層、4004:層、4005:シール材、4006:基板、4008:液晶層、4009:複合層、4010:トランジスタ、4011:トランジスタ、4013:液晶素子、4014:配線、4015:電極、4016:光散乱型液晶素子、4017:電極、4018:FPC、4019:異方性導電層、4020:容量素子、4021:電極、4022:トランジスタ、4023:トランジスタ、4030:電極層、4031:電極層、4032:絶縁層、4033:絶縁層、4035:スペーサ、4041:プリント基板、4042:集積回路、4102:絶縁層、4103:絶縁層、4104:絶縁層、4110:絶縁層、4111:絶縁層、4112:絶縁層、4131:着色層、4132:遮光層、4133:絶縁層、4200:入力装置、4210:タッチパネル、4227:電極、4228:電極、4237:配線、4238:配線、4239:配線、4263:基板、4272b:FPC、4273b:IC、4340a:バックライトユニット、4340b:バックライトユニット、4341:導光板、4342:発光素子、4344:レンズ、4345:ミラー、4347:プリント基板、4348:反射層、4352:拡散板、4510:隔壁、4511:発光層、4513:発光素子、4514:充填材