(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】九九学習用デジタル教材
(51)【国際特許分類】
G09B 5/06 20060101AFI20240515BHJP
【FI】
G09B5/06
(21)【出願番号】P 2023198650
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2023082830の分割
【原出願日】2023-05-19
【審査請求日】2023-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】717003367
【氏名又は名称】杉田 昌穗
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 昌穗
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-240067(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216575(JP,U)
【文献】特開2017-134299(JP,A)
【文献】特開昭56-162778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
九九の式を表す図形情報として、前記九九の段の数をタイルの列の長さで表し、前記九九の掛ける数を前記タイルの列の数で表すタイル図を用いた九九の学習用デジタル教材であって、
前記九九の式を表す文字情報をディスプレイに表示し、前記九九の式を読み表す音声情報を出力した後、対応する前記タイル図を前記ディスプレイに表示する第一学習ステップと、
前記九九の式を表す文字情報を前記ディスプレイに表示した後、前記対応するタイル図を前記ディスプレイに表示した状態で、学習者が描画ツールを用いて前記タイル図に色塗りをする第二学習ステップと、
前記タイル図を前記ディスプレイに表示した後、対応する前記九九の式を表す文字情報を前記ディスプレイに表示すると共に、前記九九の式を読み表す音声情報を出力する第三学習ステップとを順に備え、
前記九九の式がm(m:1から9の整数)の段の5以下の数を掛ける式である場合、前記タイル図をなす全てのタイルの列を上下方向で同じ位置に並列状態で表示し、
前記九九の式がmの段の6以上の数を掛ける式である場合、前記タイル図のうちm×5までの部分を下側に並列状態で表示し、m×6以降の部分を上側に並列状態で表示することを特徴とする、九九学習用デジタル教材。
【請求項2】
前記タイル図を表示した後、対応する前記九九の式を読み表す音声情報を出力する第四学習ステップをさらに備える、請求項1に記載の九九学習用デジタル教材。
【請求項3】
前記第三学習ステップにおいて、前記学習者が所定の操作を行うことにより、前記タイル図が表示された状態から前記九九の式を表す文字情報が表示された状態に切替え可能とする、請求項1に記載の九九学習用デジタル教材。
【請求項4】
前記第四学習ステップにおいて、前記タイル図が表示された状態で前記学習者が所定の操作を行うことにより、前記九九の式を読み表す音声情報を出力可能とする、請求項2に記載の九九学習用デジタル教材。
【請求項5】
前記タイル図が表示される際、前記タイル図の意味を説明する音声情報を出力可能とする請求項1に記載の九九学習用デジタル教材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、九九を学習するためのデジタル教材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、九九に代表される掛け算の学習は、九九の式が表示されたシートを見ながら学習者が九九の式を暗唱できるまで繰り返し音読することにより行われてきた。
【0003】
しかしながら、従来の学習方法だと、単調な九九の暗唱の繰り返しに終始してしまい、九九に代表される掛け算本来の意味を理解することが難しいのが実情であった。また単調であるために飽きやすく、それが原因で暗記ミスを起こしたまま長期記憶としてミスが定着してしまうことが少なくなかった。
【0004】
そこで、本出願人は、タイル図と呼ばれる図形情報を利用して九九の本質的な理解を図るための教材を提案している(特許文献1を参照)。この教材は、紙などのシートに一対の表示部が設けられたものであり、この表示部の左面に、九九の式とその答えの図形情報として、1個で1の量を表す正方形のタイルと、これら正方形のタイルが5個連結されてなる長方形のタイルとで構成されるタイル図が表示され、表示部の右面に、九九の式とその読みを表す文字情報とが記載されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、タイル図を用いた九九学習用教材であれば、「1あたりの数」が「いくつ」あるかで全体の数がわかる計算が 「掛け算」である、ということが視覚的に理解できるので、九九の本質的な意味を比較的容易に理解できるものと期待される。
【0007】
一方で、九九を学習し始めるのは、まだ脳が十分に発達し切っていない小学校低学年の子供であるから、図形情報を脳内で処理するのに多大な時間が必要となるおそれがある。そのため、従来のタイル図を用いた九九学習用教材では学習効率が十分であるとは言い難く、改善の余地があった。
【0008】
以上の事情に鑑み、本発明は、タイル図を処理する際の脳への負担を軽減してタイル図を用いた九九の学習効率をさらに高めることのできる教材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、本発明に係る九九学習用デジタル教材によって達成される。すなわち、このデジタル教材は、九九の式を表す図形情報として、九九の段の数をタイルの列の長さで表し、九九の掛ける数をタイルの列の数で表すタイル図を用いた九九の学習用デジタル教材であって、九九の式を表す文字情報をディスプレイに表示し、九九の式を読み表す音声情報を出力した後、対応するタイル図をディスプレイに表示する第一学習ステップと、九九の式を表す文字情報をディスプレイに表示した後、対応するタイル図をディスプレイに表示した状態で、学習者が描画ツールを用いてタイル図に色塗りをする第二学習ステップと、タイル図をディスプレイに表示した後、対応する九九の式を表す文字情報をディスプレイに表示すると共に、九九の式を読み表す音声情報を出力する第三学習ステップとを順に備え、九九の式がm(m:1から9の整数)の段の5以下の数を掛ける式である場合、タイル図の全てを上下方向で同じ高さの並列状態で表示し、九九の式がmの段の6以上の数を掛ける式である場合、タイル図のうちm×5までの部分を下側に並列状態で表示し、m×6以降の部分を上側に並列状態で表示する点をもって特徴付けられる。なお、ここでいう「上側」と「下側」は、タイル図が表示されるディスプレイを学習者が見た際における、タイル図のうちm×5までの部分と、m×6以降の部分との相対的な位置関係を意味しているに過ぎない。よって、上記構成には、例えばタイル図のうちm×5までの部分とm×6以降の部分がディスプレイの下側に偏って配置される場合も含まれる。
【0010】
このように、本発明では、最初の学習ステップ(第一学習ステップ)として、九九の式を表す文字情報を表示すると共に、九九の式を読み表す音声情報を組み合わせて出力するようにした。人間は文字を読むときでも、目から入ってきた文字情報を一旦脳内で音声情報に変換して、当該音声情報を脳内で聞くことで理解する、と言われている。従って、上述のように九九の式を読み表す音声情報を直接脳に与えることにより、幼児や小学生のように未発達の脳であってもストレスなく九九の式を理解することができる。また、図形情報としてのタイル図を表示するのに先立って、九九の式の文字情報と音声情報を付与することによって、タイル図を図形情報として処理するための前提となる情報を予め脳内で処理することができる。これにより、タイル図を処理する際の脳への負担を軽減してタイル図を含むこのデジタル教材の仕組みを容易に理解させることができる。また、これら九九の式に関する図形情報と文字情報、及び音声情報を組み合わせることで、九九の式に関する記憶が強化される相乗効果も期待できる。
【0011】
加えて、本発明では、九九の式がm(m:1から9の整数)の段の5以下の数を掛ける式である場合、タイル図の全てを上下方向で同じ高さの並列状態で表示し、九九の式がmの段の6以上の数を掛ける式である場合、タイル図のうちm×5までの部分を下側に並列状態で表示し、m×6以降の部分を上側に並列状態で表示するようにしたので、タイル図を処理する際の脳への負担をさらに軽減して、タイル図を含むこのデジタル教材の仕組み及び内容をさらに容易に理解させることが可能となる。以下にその理由を詳述する。
【0012】
従来のように、1あたりの量を表すタイルの列を並列に配置した場合、掛ける数が6以上になると、一目で列の数を把握することが難しくなる。これに対して、タイルの列の数を5で区切り、5列目(m×5)までの部分と、6列目(m×6)以降の部分とを上下に分散配置することで、タイルの列の数を一目で把握することが可能となる。すなわち、人間が、並列状態で表示された列の数を目視で瞬時に判別できる量は、0~3だといわれている。また、5という数は人間の指の本数に等しいことから目視で瞬時に判別できるといわれている。これらの点に鑑み、タイルの列の数を最大で5列(5を基準とする)とした場合、4は、タイルの列の端に1列空白ができることから5-1=4としてこれも目視で瞬時に判別できる。そのため、上述のようにタイルの列を5で区切る(最大で5列とする)ことによって、下側のタイルの列の数との比較で、1~4となる上側のタイルの列の数を瞬時に判別することができる。よって、タイル図を上述の如き態様で上下に分けて表示することにより、タイル図を図形情報として処理する際の脳への負担をさらに軽減して、九九の答えとなるタイル図の量的な意味を瞬時にかつ容易に理解することが可能となる。
【0013】
また、本発明では、第二学習ステップとして、学習者がタイル図を色塗りすることによって、タイル図の意味(構造ないし量的意味)を深く理解させることが可能となる。そして、第三学習ステップとして、先にタイル図をディスプレイに表示し、然る後、対応する九九の式を表す文字情報をディスプレイに表示すると共に、九九の式を読み表す音声情報を出力することによって、タイル図の意味を理解したか否かを確認すると共に、九九の式に関する記憶をさらに強化することが可能となる。以上より、本発明に係る九九学習用デジタル教材によれば、一連の学習ステップを経ることにより、タイル図を通じて九九(掛け算)の本質的な意味を理解することができると共に、九九の式に関する記憶を効果的に強化する学習が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る九九学習用デジタル教材において、タイル図を表示した後、対応する九九の式を読み表す音声情報を出力する第四学習ステップをさらに備えてもよい。
【0015】
このように、九九の式に関するタイル図を表示した後、対応する音声情報を出力する学習ステップをさらに設けることによって、それまでの一連の学習ステップで学んだ内容が真に理解できているか否かの確認をすることができる。よって、例えば表示されたタイル図を見て対応する九九の式が全く発声できない状況であれば、第一学習ステップから第三学習ステップに戻って学習し直すことができる。あるいは、少しの間違いであれば、第四学習ステップを繰り返すことで理解と記憶を定着させることができる。
【0016】
また、本発明に係る九九学習用デジタル教材において、第三学習ステップでは、学習者が所定の操作を行うことにより、タイル図が表示された状態から九九の式を表す文字情報が表示された状態に切替え可能としてもよい。
【0017】
このように、学習者の操作により、タイル図から文字情報に表示を切替え可能とすることで、例えばタイル図を見て九九の式を発声した後、発声した内容の正しさを文字情報で確認することができる。よって、更なる学習効率の向上が期待できる。
【0018】
また、本発明に係る九九学習用デジタル教材において、第四学習ステップでは、タイル図が表示された状態で学習者が所定の操作を行うことにより、九九の式を読み表す音声情報を出力可能としてもよい。
【0019】
このように、第四学習ステップにおいても、タイル図が表示された状態から、学習者の操作により、九九の式を読み表す音声情報を出力可能とすることで、学習者のタイミングで、タイル図の意味の理解度及び九九の式に関する記憶の定着度をセルフテストすることができる。よって、学習者単独で本発明に係る教材を使用した場合でも効率よく学習を進めることが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る九九学習用デジタル教材において、タイル図が表示される際、タイル図の意味を説明する音声情報を出力可能としてもよい。
【0021】
このようにタイル図が表示されるたびに、タイル図の意味の説明(例えばタイルが一列に並んだ数が1あたりの量を表すこと)を音声情報として出力することによって、タイル図の意味が理解し易くなる。
【0022】
また、タイル図を上下に分けて表示する場合、本発明に係る九九学習用デジタル教材において、九九の答えが10以上の九九の式を表すタイル図が表示された際、10単位でタイル図に色塗りがされると共に、10単位で色塗りがされるたびに、色塗りされたタイルが表す数の総和が音声で出力されてもよい。
【0023】
このようにタイル図に10単位で色塗りがされるようにした場合に、10単位で色塗りがされるたびに、色塗りされたタイルが表す数の総和を音声で出力することによって、『じゅう(10)、にじゅう(20)、さんじゅう(30)…』のように、10ずつ数を加えながらカウントする音声情報が出力される。よって、九九の答えのうち10の位の数を容易に理解することができる。また、上述のように、タイルの列の数を5で区切って、上下に分散配置した場合に10単位でタイル図に色塗りすることで、下側に配置した5列目までの部分を全て確実に色塗りすることができる。この場合、色塗りされずに残る部分は必ず上側の部分にまとめて存在することになる。また、色塗りされずに残った部分は九九の答えの1の位の数になるため、色塗り後のタイル図を見ることで、瞬時に九九の答えのうち1の位の数を理解することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る九九学習用デジタル教材によれば、タイル図を処理する際の脳への負担を軽減してタイル図を用いた九九の学習効率をさらに高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る九九学習用デジタル教材の概要を示す図である。
【
図2】
図1に示す第一学習ステップの流れを説明するためのフローチャートである。
【
図3】7×3=21に対して
図2に示す(a)文字情報表示ステップ、(b)音声情報出力ステップ、(c)(d)タイル図表示ステップをそれぞれ実行した際のディスプレイへの表示態様及び音声出力態様の一例を示す図である。
【
図4】7×8=56に対して
図2に示す(a)文字情報表示ステップ、(b)音声情報出力ステップ、(c)(d)タイル図表示ステップをそれぞれ実行した際のディスプレイへの表示態様及び音声出力態様の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示す第二学習ステップの流れを説明するためのフローチャートである。
【
図6】7×3=21に対して
図5に示す(a)文字情報表示ステップ、(b)タイル図表示ステップ、(c)タイル図色塗りステップをそれぞれ実行した際のディスプレイへの表示態様及び音声出力態様の一例を示す図である。
【
図7】
図1に示す第三学習ステップの流れを説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図1に示す第四学習ステップの流れを説明するためのフローチャートである。
【
図9】7×3=21に対して
図8に示す(a)タイル図表示ステップ、(b)音声情報出力ステップをそれぞれ実行した際のディスプレイへの表示態様及び音声出力態様の一例を示す図である。
【
図10】
図1に示す第五学習ステップの流れを説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図1に示す第六学習ステップの流れを説明するためのフローチャートである。
【
図12】一の位が0から9までの数を左側から昇順に並べると共に、十の位が0から8までの数を上側から昇順に並べた数表である。
【
図13】七の段のタイル図を左側から昇順に並べた図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る九九学習用デジタル教材の内容を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る九九学習用デジタル教材1の概要を示している。このデジタル教材1は例えばパソコンやスマートフォンなどの情報端末に代表される電子機器に使用されるソフトウェアであって、第一学習ステップ10と、第二学習ステップ20と、第三学習ステップ30とを順に備える。本実施形態では、九九学習用デジタル教材1は、第四学習ステップ40と、第五学習ステップ50と、第六学習ステップ60とをさらに備える。以下、各学習ステップ10~60の詳細を順に説明する。
【0028】
(第一学習ステップ10)
図2は、第一学習ステップ10の流れを示している。この学習ステップ10は、九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイ2(ともに
図3(a)等を参照)に表示する文字情報表示ステップ11と、九九の式を読み表す音声情報4a,4b(
図3(b)等を参照)を出力する音声情報出力ステップ12と、対応するタイル
図5(
図3(c)等を参照)をディスプレイ2に表示するタイル図表示ステップ13とを有する。上述した一連のステップ11~13は、m(m:1から9までの整数)の段の一つの式ごとに連続して実行される。例えばm=7の場合(7の段の場合)、まず7×1=7に対してステップ11~13が実行された後、7×2=14、7×3=21…7×9=63の順にそれぞれステップ11~13が繰り返し実行される。以下、(1)7×3=21の場合と、(2)7×8=56の場合を代表例としてディスプレイ2への表示態様及び音声出力態様の一例を詳述する。
【0029】
(1)7×3=21の場合
図3は、九九の式が7×3=21の場合における第一学習ステップ10の実施態様の一例を示している。詳述すると、
図3(a)は文字情報表示ステップ11を実行した際のディスプレイ2への表示態様、
図3(b)は音声情報出力ステップ12を実行した際の音声出力態様、
図3(c)及び
図3(d)はタイル図表示ステップ13を実行した際のディスプレイ2への表示態様及び音声出力態様の一例をそれぞれ示している。
【0030】
(文字情報表示ステップ11)
本ステップ11では、
図3(a)に示すように、ディスプレイ2に九九の式(ここでは7×3=21)を表す文字情報3a,3bを表示する。本実施形態では7×3=21を数式で表す文字情報3aと共に、7×3=21の読みを表す文字情報3bをディスプレイ2に表示する。
【0031】
(音声情報出力ステップ12)
本ステップ12では、
図3(b)に示すように、ディスプレイ2に7×3=21を表す文字情報3a,3bを表示した状態で、7×3=21を読み表す音声情報4a,4bを出力する。本実施形態では、7×3=21を数式で表す文字情報3aを読み表す音声情報4aを出力すると共に、7×3=21の読みを表す文字情報3bを読み表す音声情報4bを出力する。なお、音声情報4a,4bの出力のタイミングは任意であり、例えば文字情報3a,3bの表示と同時に出力してもよく、あるいは文字情報3a,3bの表示より遅く出力してもよい。
【0032】
(タイル図表示ステップ13)
本ステップ13では、
図3(c)に示すように、まずディスプレイ2に表示された7×3=21の文字情報3a,3bに対応するタイル
図5を表示する。このタイル
図5は、複数のタイル5a,5bを所定の態様で配置してなるもので、九九の式の段の数m(ここでは7)をタイルの列6aの長さで表し、九九の掛ける数(ここでは3)をタイルの列6aの数で表している。本実施形態では、正方形タイル5aと、5個の正方形タイル5aを一列につなげた形状をなす長方形タイル5bとを用いてタイル
図5が形成されている。この場合、正方形タイル5aは1の量を表し、長方形タイル5bは5の量を表している。また、タイルの列6a一個につき1個の皿7が配置されている。よって、タイルの列6aの数は皿7の数に一致する。
【0033】
また、本実施形態では、タイル
図5がディスプレイ2に表示された際、タイル
図5の意味を読み表す音声情報4cを出力する。この際の音声情報4cは、例えば『ひとさらあたりななこ(1皿あたり7個)』『さんさらぶんでにじゅういっこ(3皿分で21個)』のように出力される。
【0034】
このようにしてタイル
図5をディスプレイ2に表示した後、タイル
図5に色塗りがされた状態とする(
図3(d)を参照)。本実施形態では、正方形タイル5aを1単位、長方形タイル5bを5単位としているので、10単位でタイル5a,5bに色塗りを行った場合、2個の長方形タイル5bがまとめて一つの色に色塗りされた状態となる。あるいは、1個の長方形タイル5bと5個の正方形タイル5aとがまとめて一つの色に色塗りされた状態となる。あるいは、10個の正方形タイル5aがまとめて一つの色に色塗りされた状態となる。また、この際、10単位で色塗りするたびに、タイル5a,5bを直前に使用した色とは異なる色で色塗りすることが好ましい。
【0035】
また、本実施形態では、九九の答えが10以上の九九の式を表すタイル
図5が表示された場合、10単位で色塗りがされるたびに、色塗りされたタイル5a,5b(色塗り領域8a,8b)が表す数の総和が音声で出力される(
図3(d)を参照)。この際の音声情報4dは、例えば『じゅう(10)』『にじゅう(20)』のように出力される。なお、このように色塗りされたタイル5a,5bが表す数の総和を色塗りのたびに音声出力する場合、例えばタイル
図5の意味を読み表す音声情報4c『ひとさらあたりななこ(1皿あたり7個)』『さんさらぶんでにじゅういっこ(3皿分で21個)』の間に、色塗りされたタイル5a,5bが表す数の総和を読み表す音声情報4dを出力する。この場合、音声情報4c,4dは、『一皿あたり7個』『三皿分で』『10』『20』『21個』のように出力される。
【0036】
(2)7×8=56の場合の表示態様
図4は、九九の式が7×8=56の場合における第一学習ステップ10の実施態様の一例を示している。詳述すると、
図4(a)は文字情報表示ステップ11を実行した際のディスプレイ2への表示態様、
図4(b)は音声情報出力ステップ12を実行した際の音声出力態様、
図4(c)及び
図4(d)はタイル図表示ステップ13を実行した際のディスプレイ2への表示態様及び音声出力態様の一例をそれぞれ示している。
【0037】
(文字情報表示ステップ11)
本ステップ11では、
図4(a)に示すように、ディスプレイ2に九九の式(ここでは7×8=56)を表す文字情報3a,3bを表示する。本実施形態では、7×8=56を数式で表す文字情報3aと共に、7×8=56の読みを表す文字情報3bをディスプレイ2に表示する。
【0038】
(音声情報出力ステップ12)
本ステップ12では、
図4(b)に示すように、ディスプレイ2に7×8=56を表す文字情報3a,3bを表示した状態で、7×8=56を読み表す音声情報4a,4bを出力する。本実施形態では、7×8=56を数式で表す文字情報3aを読み表す音声情報4aを出力すると共に、7×8=56の読みを表す文字情報3bを読み表す音声情報4bを出力する。
【0039】
(タイル図表示ステップ13)
本ステップ13では、
図4(c)に示すように、まずディスプレイ2に表示された7×8=56の文字情報3a,3bに対応するタイル
図5を表示する。ここでは、2個の正方形タイル5aと1個の長方形タイル5bを縦一列につなげてタイルの列6aを構成することで、九九の段の数mが7であることを表し、上記構成のタイルの列6aを8つ並列に並べることで、九九の掛ける数が8であることを表している。
【0040】
また、学習対象となる九九の式がmの段の6以上の数を掛ける式である場合、タイル
図5のうちm×5までの部分を下側に表示し、m×6以降の部分を上側に表示してもよい。
図4(c)では、上述のように、タイル
図5を上下に分けて配置した状態を表示している。すなわち、
図4(c)では、2個の正方形タイル5aと1個の長方形タイル5bとを縦一列につなげてなるタイルの列6aが、相対的に下側の領域に5列並べて配置されると共に、同じく2個の正方形タイル5aと1個の長方形タイル5bとを一列につなげてなるタイルの列6bが、タイルの列6aに対して相対的に上側の領域に3列並べて配置される。この際、各タイルの列6a,6bの皿7は、列6a,6bの長手方向で互いに最も遠い側に配置されるのがよい。この場合、各々のタイルの列6a,6b中の正方形タイル5aが互いに接近した位置に配置される。
【0041】
また、本実施形態では、タイル
図5がディスプレイ2に表示された際、タイル
図5の意味を読み表す音声情報4cを出力する。この際の音声情報4cは、例えば『ひとさらあたりななこ(1皿あたり7個)』『はちさらぶんでごじゅうろっこ(8皿分で56個)』のように出力される。
【0042】
このようにしてタイル
図5をディスプレイ2に表示した後、タイル
図5に色塗りがなされた状態とする(
図4(d)を参照)。本実施形態では、正方形タイル5aを1単位、長方形タイル5bを5単位として、10単位分まとめてタイル5a,5bに色塗りを行う。この際、例えば下側のタイル
図5(タイルの列6a)から優先して10単位で色塗りを行う。これにより、タイルの列6aが5つ並んだ下側のタイル
図5が常にその全域にわたって色塗りされた状態となる。そのため、タイルの列6bが3つ並んだ上側のタイル
図5に、九九の答えのうち1の位の数を表すタイル5aが色塗りされずに残った状態となる。なお、この場合も、10単位ずつ互いに異なる色でタイル
図5に色塗りすることが好ましい。
【0043】
また、本実施形態では、10単位で色塗りがされるたびに、色塗りされたタイル5a,5b(色塗り領域8a,8b)が表す数の総和が音声で出力される(
図4(d)を参照)。この際の音声情報4dは、例えば『じゅう(10)』『にじゅう(20)』『さんじゅう(30)』『よんじゅう(40)』『ごじゅう(50)』のように出力される。なお、この際も、7×3=21の場合と同様、
図4(c)に示すタイル
図5の意味を読み表す音声情報4cの間に、色塗りされたタイル5a,5bが表す数の総和を読み表す音声情報4dを出力してもよい。
【0044】
以上のようにして、第一学習ステップ10では、mの段に係る九九の式について文字情報3a,3b、音声情報4a~4d、及びタイル
図5を活用した学習が行われる。
【0045】
(第二学習ステップ20)
図5は、第一学習ステップ10の後に実行される第二学習ステップ20の流れを示している。この学習ステップ20は、九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイ2に表示する文字情報表示ステップ21と、対応するタイル
図5をディスプレイ2に表示するタイル図表示ステップ22と、表示したタイル
図5に学習者が自らの手で色塗りを行うタイル図色塗りステップ23とを有する。上述した一連のステップ21~23は、第一学習ステップ10と同様、mの段の一つの式ごとに連続して実行される。例えばm=7の場合(7の段の場合)、まず7×1=7に対してステップ21~23が実行された後、7×2=14、7×3=21…7×9=63の順にそれぞれステップ21~23が繰り返し実行される。以下、(1)7×3=21の場合を代表例としてディスプレイ2への表示態様及び音声出力態様の一例を詳述する。
【0046】
図6は、九九の式が7×3=21の場合における第二学習ステップ20の実施態様の一例を示している。詳述すると、
図6(a)は文字情報表示ステップ21を実行した際のディスプレイ2への表示態様、
図6(b)はタイル図表示ステップ22を実行した際のディスプレイ2への表示態様、
図6(c)及び
図6(d)はタイル図色塗りステップ23を実行する前後におけるディスプレイ2への表示態様の一例をそれぞれ示している。
【0047】
(文字情報表示ステップ21)
本ステップ21では、
図6(a)に示すように、ディスプレイ2に九九の式(ここでは7×3=21)を表す文字情報3a,3bを表示する。本実施形態では7×3=21を数式で表す文字情報3aと共に、7×3=21の読みを表す文字情報3bをディスプレイ2に表示する。
【0048】
(タイル図表示ステップ22)
本ステップ22では、
図6(b)に示すように、ディスプレイ2に表示された7×3=21の文字情報3a,3bに対応するタイル
図5を表示する。本実施形態では、2個の正方形タイル5aと1個の長方形タイル5bとを縦一列につなげたタイルの列6aが3つ並列に並べて配置されている。
【0049】
本実施形態では、タイル
図5がディスプレイ2に表示された際、表示されたタイル
図5の意味を表す文字情報3cを、ディスプレイ2に併せて表示してもよい。また、その際、例えばタイル
図5の意味を表す文字情報3cのうち数に関する部分のみ空白として表示してもよい。
図6(b)では、『1皿あたり〇個』『〇皿分で〇個』のように表示する場合を例示している。
【0050】
(タイル図色塗りステップ23)
このようにしてタイル
図5をディスプレイ2に表示した後、学習者が描画ツール9を用いてタイル
図5に色塗りを行う(
図6(c)を参照)。描画ツール9は例えばディスプレイ2に表示されたパレットであり、複数の色から任意の一つの色を選択可能とされている。この場合、学習者は、ディスプレイ2がタッチパネルの場合には、ディスプレイ2の描画ツール9をタッチして、色を選択した後、色塗りしたいタイル5a,5bをタッチ又はスライドすることにより、タイル
図5の所定領域に色塗りを行う(
図6(d)を参照)。この際、学習者は、第一学習ステップ10で視認したタイル
図5の色塗り態様を思い出して10単位でタイル
図5に色塗りを行う。この場合も、10単位ずつ異なる色でタイル
図5に色塗りすることが好ましい。
【0051】
また、この際、ディスプレイ2に、10単位ずつ互いに異なる色でタイル
図5に色塗りすることを、文字情報又は音声情報で学習者に知らせてもよい。
【0052】
以上のようにして第二学習ステップ20では、mの段についてタイル
図5の意味がより深く理解されると共に、九九の式に関する理解及び記憶が強化される。
【0053】
(第三学習ステップ30)
図7は、第二学習ステップ20の後に実行される第三学習ステップ30の流れを示している。この学習ステップ30は、九九の式を図形情報として表すタイル
図5をディスプレイ2に表示するタイル図表示ステップ31と、対応する九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイ2に表示する文字情報表示ステップ32と、同じく対応する九九の式を読み表す音声情報4a,4bを出力する音声情報出力ステップ33とを有する。上述した一連のステップ31~33は、mの段の一つの式ごとに連続して実行される。例えばm=7の場合(7の段の場合)、まず7×1=7に対してステップ31~33が実行された後、7×2=14、7×3=21…7×9=63の順にそれぞれステップ31~33が繰り返し実行される。
【0054】
ここで、個々のステップ31~33はそれぞれ第一学習ステップ10の一連のステップ11~13と同じであり、ディスプレイ2への表示態様も同じである一方、表示あるいは出力の順序のみが入れ替わっている。すなわち、第三学習ステップ30では、まずタイル図表示ステップ31として、
図3(c)や
図3(d)あるいは
図4(c)や
図4(d)に示す態様でタイル
図5がディスプレイ2に表示される。然る後、文字情報表示ステップ32として、
図3(a)あるいは
図4(a)に示す態様で対応する文字情報3a,3bがディスプレイ2に表示され、音声情報出力ステップ33として、
図3(b)あるいは
図4(b)に示す態様で対応する音声情報4a,4bが出力される。
【0055】
また、この際、学習者が所定の操作を行うことにより、タイル
図5が表示された状態(
図3(d)等を参照)から、対応する文字情報3a,3bが表示された状態(
図3(a)等を参照)に切替え可能としてもよい。なお、ここでいう所定の操作には、ディスプレイ2がスマートフォンやタブレットなどのタッチパネルである場合、タッチ操作やスライド操作が該当し、パソコンのモニターである場合、マウスのクリック操作が該当する。
【0056】
(第四学習ステップ40)
図8は、第三学習ステップ30の後に実行される第四学習ステップ40の流れを示している。この学習ステップ40は、九九の式を図形情報として表すタイル
図5をディスプレイ2に表示するタイル図表示ステップ41と、対応する九九の式を読み表す音声情報4a,4bを出力する音声情報出力ステップ42とを有する。上述したステップ41,42は、mの段の一つの式ごとに連続して実行される。例えばm=7の場合(7の段の場合)、まず7×1=7に対してステップ41,42が続けて実行された後、7×2=14、7×3=21…7×9=63の順にそれぞれステップ41,42が繰り返し実行される。
【0057】
ここで、タイル図表示ステップ41と音声情報出力ステップ42はともに第一学習ステップ10のタイル図表示ステップ13と音声情報出力ステップ12と同じであり、ディスプレイ2への表示態様も同じである。例えば、7×3=21について第四学習ステップ40が実行される場合、まず対応するタイル
図5が表示され(
図3(c)を参照)、次いでタイル
図5に色塗りがされた状態となる(
図9(a)を参照)。この際、第一学習ステップ10と異なり、対応する音声情報4c,4dは出力されない。これらタイル
図5の意味を読み表す音声情報4c,4d(
図3(d)を参照)、あるいはタイル
図5が表す九九の式を読み表す音声情報4a,4bを、学習者が色塗りされたタイル
図5を見ながら正しく発声できるかセルフテストを行う(この際、上述のように発声することを促す文字情報又は音声情報をディスプレイ2に表示又は出力してもよい)。そして、セルフテストを終えた学習者が所定の操作を行うことで、対応する九九の式を読み表す音声情報4a,4bが出力される。これにより、学習者は自らの発声内容が正しいか否かを判別できるので、ここで学習を終えるか、第一学習ステップ10に戻るか、あるいは第四学習ステップ40をやり直すか、あるいは第五学習ステップ50以降に進むかを判断する。このようにして学習を進めることで、九九の式に対する理解及び記憶がさらに強化される。
【0058】
(第五学習ステップ50)
図10は、第五学習ステップ50の流れを示している。この学習ステップ50は、九九の式を図形情報として表すタイル
図5をディスプレイ2に表示するタイル図表示ステップ51と、対応する九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイ2に表示する文字情報表示ステップ52とを有する。一方で、本学習ステップ50は、上述した、いわゆる上り九九を理解及び記憶するための一連の学習ステップ10~40と異なり、いわゆる下がり九九の学習を行うためのステップとなっている。そのため、上述したステップ51,52は、mの段の一つの式ごとに連続して実行されると共に、例えばm=7の場合(7の段の場合)、まず7×9=63に対してステップ51,52が続けて実行された後、7×8=56、7×7=49…7×1=7の順にそれぞれステップ51,52が繰り返し実行さ
れる。
【0059】
ここで、タイル図表示ステップ51と文字情報表示ステップ52はともに第一学習ステップ10のタイル図表示ステップ13と文字情報表示ステップ11と同じであり、ディスプレイ2への表示態様も同じである。例えば、7×3=21について第五学習ステップ50が実行される場合、
図3(c)又は
図3(d)に示す態様でタイル
図5がディスプレイ2に表示される。この際、学習者は、タイル
図5の意味を読み表す音声情報4c,4d、あるいはタイル
図5が表す九九の式を読み表す音声情報4a,4bを、タイル
図5を見ながら正しく発声できるかセルフテストを行う。そして、セルフテストを終えた学習者が所定の操作を行うことで、
図3(a)に示す態様で対応する文字情報3a,3bがディスプレイ2に表示される。これにより、学習者は自らの発声内容が正しいか否かを判別できるので、下がり九九を通じて、九九の式に対する理解及び記憶がより一層強化される。
【0060】
(第六学習ステップ60)
図11は、第六学習ステップ60の流れを示している。この学習ステップ60は、九九の規則性を理解し、九九を忘れてしまったときの補助となることを目的として実行されるもので、一の位が0から9までの数を左側から昇順に並べると共に、十の位が0から8までの数を上側から昇順に並べた数表を表示する数表表示ステップ61と、mの段のm×1からm×9までのタイル図を左側から昇順に並べたタイル図並列表示ステップ62とを有する。
【0061】
数表表示ステップ61では、10×10に並べられた0から89までの数が規則的に並べられた数表63について、mの段の九九の数を丸で囲んだ状態で表示する。
図12では、m=7の場合における九九の数を色付き丸64で囲んだ状態で表示している。この数表63は、一番上の列から順に一桁の数、10代の数、20代の数…のように規則的に0から89までの数が配置されているので、上述のように、九九の数を色付き丸64で囲んだ状態で表示することにより、学習者は、mの段における九九の数は、mずつ大きくなること、及び1の位の数は10-mずつ小さくなることを、視覚を通じて理解することができる。
【0062】
タイル図並列表示ステップ62では、mの段のm×1からm×9までのタイル図を左側から昇順に並べて表示する。
図13では、m=7の場合におけるm×1からm×5までのタイル図を左側から昇順で上段に、m×6からm×9までのタイル図を左側から昇順で下段にそれぞれ配置している。この場合、各タイル図の色無し領域のタイルの数は、同タイル図が示す九九の数の1の位の数に等しい。よって、このステップ62では、色無し領域の近傍に、1の位の数を視覚的に表す補助タイル65を表示している。これにより、各段の九九の数と共に、当該九九の数における1の位の数がタイル図を見て直観的に理解され得る。
【0063】
以上述べたように、本実施形態に係る九九学習用デジタル教材1によれば、最初の学習ステップ(第一学習ステップ10)として、九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイ2に表示すると共に、九九の式を読み表す音声情報4a,4bを組み合わせて出力するようにしたので、九九の式が理解し易くなる。また、図形情報としてのタイル
図5を表示するのに先立って、九九の式の文字情報3a,3bと音声情報4a,4bを付与することによって、タイル
図5を処理するための前提となる情報を予め脳内で処理することができる。これにより、タイル
図5を処理する際の脳への負担を軽減してタイル
図5を含むこのデジタル教材1の仕組みを容易に理解させることができる。また、これら九九の式に関する図形情報(タイル
図5)と文字情報3a,3b、及び音声情報4a,4bを組み合わせることで、九九の式に関する記憶が強化される相乗効果も期待できる。
【0064】
また、本実施形態係る九九学習用デジタル教材1では、第二学習ステップ20として、学習者がタイル
図5を色塗りすることによって、タイル
図5の意味を深く理解させることが可能となる。そして、第三学習ステップ30として、先にタイル
図5をディスプレイ2に表示し、然る後、対応する九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイに表示すると共に、九九の式を読み表す音声情報4a,4bを出力することによって、タイル
図5の意味を理解したか否かを確認すると共に、九九の式に関する記憶をさらに強化することが可能となる。以上より、本実施形態に係る九九学習用デジタル教材1によれば、一連の学習ステップ10~30を経ることにより、タイル
図5を通じた九九(掛け算)の本質的な意味を理解することができると共に、九九の式に関する記憶を効果的に強化する学習が
可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、第一学習ステップ10から第六学習ステップ60までの多くのステップを設けて、単調にならないようにして飽きを防ぎ、学習者が集中力を維持しやすくするように設定した。そのため、この一連の学習ステップ10~60を備えた九九学習用デジタル教材1によれば、学習者が暗記ミスを起こす確率を大幅に減らすことができる。従って、学習者は第一学習ステップ10から第六学習ステップ60まで一気に学習し、その後で例えば指導者に九九の暗唱ができているか確認してもらい、暗唱が不完全であれば指導者の指示により適切なステップに戻るという学習法も可能となる。
【0066】
もちろん、本発明に係る九九学習用デジタル教材1によれば、幼児や小学校低学年にとって脳科学の立場で容易な段階(第一学習ステップ10)から次第に難しい段階(第二学習ステップ20、第三学習ステップ30…)へと視点を変えながら多段階的に学習することができるので、各教材(第一~第六学習ステップ10~60)を繰り返すことなく一度ずつ行うだけの学習で、単調にならず飽きを防ぎ、集中力を維持し、かつ理解ミス(暗記ミス)を防いで、効果的にかつ効率よく九九を学ぶことが可能となる。また、上述した理由より、本発明に係る九九学習用デジタル教材1は障害児教育にも有効と考えられる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明に係る九九学習用デジタル教材は、上記例示の構成に限られることなく、本発明の範囲内において種々の変更が可能なことはもちろんである。
【0068】
また、以上の説明では、本発明を九九学習用のデジタル教材に適用した場合を例示したが、例えばm×0=0、n(n:整数)×mなど、九九以外の掛け算全般に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 九九学習用デジタル教材
2 ディスプレイ
3a,3b 文字情報
4a,4b,4c,4d 音声情報
5 タイル図
5a 正方形タイル
5b 長方形タイル
6a,6b タイルの列
7 皿
8a,8b 色塗り領域
9 描画ツール
10 第一学習ステップ
11 文字情報表示ステップ
12 音声情報出力ステップ
13 タイル図表示ステップ
20 第二学習ステップ
21 文字情報表示ステップ
22 タイル図表示ステップ
23 ステップ
30 第三学習ステップ
31 タイル図表示ステップ
32 文字情報表示ステップ
33 音声情報出力ステップ
40 第四学習ステップ
41 タイル図表示ステップ
42 音声情報出力ステップ
51 タイル図表示ステップ
52 文字情報表示ステップ
61 数表表示ステップ
62 タイル図並列表示ステップ
63 数表
64 色付き丸
65 補助タイル
【要約】 (修正有)
【課題】タイル図を処理する際の脳への負担を軽減してタイル図を用いた九九の学習効率を高める教材を提供する。
【解決手段】九九の式を表す文字情報3a,3bをディスプレイ2に表示し、九九の式を読み表す音声情報4a,4bを出力した後、対応するタイル
図5をディスプレイ2に表示する第一学習ステップと、文字情報3a,3bとタイル
図5をディスプレイ2に表示した状態で、タイル
図5に色塗りをする第二学習ステップと、タイル
図5と文字情報3a,3bをディスプレイ2に表示した状態で音声情報4a,4bを出力する第三学習ステップとを備え、九九の式がm(m:1から9の整数)の段の5以下の数を掛ける式である場合、タイル
図5をなす全てのタイルの列を上下方向で同じ位置に並列状態で表示し、九九の式がmの段の6以上の数を掛ける式である場合、タイル
図5のうちm×5までの部分を下側にm×6以降の部分を上側に並列状態で表示する。
【選択図】
図4