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特許7488955災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法
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  • 特許-災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法 図1
  • 特許-災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 15/18 20060101AFI20240515BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
G21C15/18 M
G21C15/18 L
G21C15/18 W
G21C15/18 R
G21D1/00 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023504444
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 KR2021008917
(87)【国際公開番号】W WO2022019554
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0090162
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ホ リム
(72)【発明者】
【氏名】カン,サン ヒー
(72)【発明者】
【氏名】ハ,フイン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-145045(JP,A)
【文献】特開平10-020081(JP,A)
【文献】特開2012-230085(JP,A)
【文献】特開2013-096927(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0061846(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0116852(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 15/18
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電施設と、
海水を貯水させることができるように貯水空間を提供する海水貯蔵タンクと、
前記海水貯蔵タンクの一側と他側にそれぞれ設置され、海水貯蔵タンクに海水を流入させることが可能な管路を提供する海水流入流路、及び海水貯蔵タンクから海水を海に排出させることができるように管路を提供する海水排出流路と、
前記海水貯蔵タンクの貯水空間に設置された熱交換器と、
重大事故発生の際に前記原子力発電施設から発生した汚染水が熱交換器へ移送されるように管路を提供する汚染水供給流路と、
前記熱交換器と前記原子力発電施設との間に設置され、熱交換器を介して海水貯蔵タンクの海水と熱交換された汚染水が原子力発電施設へ排出されるように管路を提供する汚染水排出流路と、を含み、
前記熱交換器は、前記海水貯蔵タンクの高さ方向に積層され、前記熱交換器を通る汚染水と海水との相互接触面積を増やすことができるように構成され、
前記汚染水供給流路と前記汚染水排出流路との間の熱交換器管路は、前記熱交換器のプレート状の筐体に覆われて海水にさらされないように構成され、
前記熱交換器の前記筐体は、側面から見たときに、ジグザグ方向に一体に形成され、前記海水貯蔵タンクの底に対して傾斜して形成されたことを特徴とする、災害事故原子炉冷却システム。
【請求項2】
前記原子力発電施設から発生した汚染水は、原子力発電施設と熱交換器を循環し、海水は、海と海水貯蔵タンクを循環することを特徴とする、請求項1に記載の災害事故原子炉冷却システム。
【請求項3】
熱交換器が海水貯蔵タンクの貯水空間に設置され、
重大事故の際に原子力発電施設から発生した汚染水が熱交換器と原子力発電施設を循環するステップと、
海水が海と海水貯蔵タンクを循環するステップと、
熱交換された汚染水が原子力発電施設の内部へ噴射されるステップと、を含む、災害事故原子炉冷却システムを用いた原子炉冷却方法。
【請求項4】
前記汚染水は、積層された熱交換器の最上部から熱交換器の最下部に自然落下するが、熱交換器の傾斜角に沿って落下し、最下部に落下した汚染水は、ポンプを介して原子力発電施設に向かって排出されることを特徴とする、請求項に記載の災害事故原子炉冷却システムを用いた原子炉冷却方法。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記海水貯蔵タンクの高さ方向に積層され、前記熱交換器を通る汚染水と海水との相互接触面積を増やすことができるように構成され、
重大事故発生の際に前記原子力発電施設から発生した汚染水が前記熱交換器へ移送されるように管路を提供する汚染水供給流路と、前記熱交換器と前記原子力発電施設との間に設置され、前記熱交換器を介して前記海水貯蔵タンクの海水と熱交換された汚染水が前記原子力発電施設へ排出されるように管路を提供する汚染水排出流路との間に、熱交換器管路を含み、
前記熱交換器管路は、前記熱交換器のプレート状の筐体に覆われて海水にさらされないように構成され、
前記熱交換器の前記筐体は、側面から見たときに、ジグザグ方向に一体に形成され、前記海水貯蔵タンクの底に対して傾斜して形成されたことを特徴とする、請求項4に記載の災害事故原子炉冷却システムを用いた原子炉冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法に係り、より詳細には、重大事故の際に原子炉冷却のための冷却水源として、原子炉から発生した汚染水を活用した、災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力発電所は、原子炉を中心とした核蒸気供給系統(NSSS:Nuclear Steam Supply System)と蒸気の供給を受けて発電機を回すタービン、発電機系統、及びその他の付随設備に区分される。前記原子炉は、連鎖核分裂反応によって発生する熱エネルギーを利用してスチームを生成し、このスチームを用いてタービンを回転させてそれを介して電気を生産するのに用いられる。このとき、原子炉を用いた発電システムは、1986年のチェルノブイリ原発事故や2011年の福島第一原発事故の際にその危険性が露出したように、核燃料の燃焼調節に失敗したり冷却システムが津波などにより作動を停止したりした場合、原子炉心が過熱により損傷し、原子炉内で爆発が起こるため、多量の放射性物質が漏出するなど、外部環境に被害を与えるおそれがあるというリスクも持っている。
【0003】
原子力発電所で重大事故が発生した場合、炉心の核燃料が溶融し、原子炉が破損して放射能を帯びた超高温の溶融物が放出されるおそれがある。このとき、放出される炉心溶融物は、2000K超過の超高温の放射性物質により持続的に熱が発生するという特性を持つ。したがって、放出された炉心溶融物に対する適切な冷却が行われなければ、放出された炉心溶融物によって、コンクリート構造物で作られた原子炉格納庫が破損して放射性物質が外部に漏れるおそれがある。このように原子炉格納庫から漏れる放射性物質が土壌や大気に放出される場合、原子力発電所の周辺環境を汚染させるのはもとより、原子炉格納建物の安定性を脅かすだけでなく、人々の健康に深刻な危険をもたらす。このため、重大事故により原子炉容器から放出される炉心溶融物を閉じ込めて冷却させるための努力が試みられている。
【0004】
一方、重大事故の際に原子炉及び原子炉建物を冷却させるためには、膨大な冷却水源が必要であり、前記冷却水源は、海水の利用が避けられない。しかし、福島第一原発事故以降、日本の対応のように海水を用いて原子炉及び原子炉建物を直接冷却させる場合、放射性物質の含まれた汚染水が直接海に放出されることがあるため、環境汚染だけでなく、周辺国の情緒に脅威要因として作用するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第10-1742290号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、その目的は、重大事故の際に原子力発電施設から発生する高温の汚染水を海水に熱交換し、熱交換された汚染水を冷却水として活用することができるようにすることにより、重大事故の収束時に汚染水が海に排出されることを抑制することができる、災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、原子力発電施設と、海水を貯水させることができるように貯水空間を提供する海水貯蔵タンクと、前記海水貯蔵タンクの一側と他側にそれぞれ設置され、海水貯蔵タンクに海水を流入させることが可能な管路を提供する海水流入流路、及び海水貯蔵タンクから海水を海に排出させることができるように管路を提供する海水排出流路と、前記海水貯蔵タンクの貯水空間に設置された熱交換器と、重大事故発生の際に前記原子力発電施設から発生した汚染水が熱交換器へ移送されるように管路を提供する汚染水供給流路と、前記熱交換器と前記原子力発電施設との間に設置され、熱交換器を介して海水貯蔵タンクの海水と熱交換された汚染水が原子力発電施設へ排出されるように管路を提供する汚染水排出流路と、を含む、災害事故原子炉冷却システムを提供する。
【0008】
このとき、前記原子力発電施設から発生した汚染水は、原子力発電施設と熱交換器を循環し、海水は、海と海水貯蔵タンクを循環することが好ましい。
【0009】
また、前記熱交換器は、前記海水貯蔵タンクの高さ方向に積層され、熱交換器を通る汚染水と海水との相互接触面積を増やすことができるようにしたことが好ましい。
【0010】
このとき、前記熱交換器は、側面から見たときに、ジグザグ方向に一体に形成され、海水貯蔵タンクの底に対して傾斜して形成されたことが好ましい。
【0011】
上記の目的を達成するための他の例として、熱交換器が海水貯蔵タンクの貯水空間に設置され、重大事故の際に原子力発電施設から発生した汚染水が熱交換器と原子力発電施設を循環するステップと、海水が海と海水貯蔵タンクを循環するステップと、熱交換された汚染水が原子力発電施設の内部へ噴射されるステップと、を含む、災害事故原子炉冷却システムを用いた原子炉冷却方法を提供する。
【0012】
このとき、前記汚染水は、積層された熱交換器の最上部から熱交換器の最下部に自然落下するが、熱交換器の傾斜角に沿って落下し、最下部に落下した汚染水は、ポンプを介して原子力発電施設に向かって排出されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明による災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法は、重大事故発生の際に、原子炉を冷却させる上で、原子炉から発生した高温の汚染水を海水に熱交換して前記汚染水を冷却水源として使用することができるようにした。つまり、本発明は、汚染水を海に放出することなく、熱交換器を介して海水と持続的に熱交換させながら冷却水として活用することができる。これにより、本発明は、重大事故の発生による原子炉冷却作業の際に、汚染水が海に放出されることを極力抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の好適な実施形態による災害事故原子炉冷却システムを概略的に示す構成図である。
図2】本発明の好適な実施形態による災害事故原子炉冷却システムの熱交換器を示す図である。
図3】本発明の好適な実施形態による災害事故原子炉冷却システムを用いた原子炉冷却方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び請求の範囲で使用された用語又は単語は、通常的又は辞書的な意味に限定解釈されるものではなく、発明者はその発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に合致する意味及び概念で解釈されなければならない。
【0016】
以下、添付の図1図3を参照して、本発明の好適な実施形態による災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法について説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の好適な実施形態による災害事故原子炉冷却システムについて考察する。
【0017】
災害事故原子炉冷却システムは、図1に示すように、原子力発電施設100と、海水貯蔵タンク200と、海水流路300と、熱交換器400と、汚染水流路500と、を含む。
【0018】
原子力発電施設100は、原子炉110、及び原子炉110が設置された原子炉格納施設等を総称し、詳細な説明は省略する。
【0019】
海水貯蔵タンク200は、海水を貯水する構成であって、海水が収容できる貯水空間210を形成する。海水貯蔵タンク200の一側には、海水が貯水空間210に流入できる通路である流入部(図示せず)が設けられ、海水貯蔵タンク200の他側には、貯水空間210の海水が海に排出できる通路である排出部(図示せず)が設けられる。
【0020】
海水流路300は、海の海水と海水貯蔵タンク200の海水を循環させるための流路であって、流入部と排出部のそれぞれに設置される。海水流路300は、海水貯蔵タンク200の流入部に設置され、海の海水を海水貯蔵タンク200に流入させる管路を提供する海水流入流路310と、海水貯蔵タンク200の排出部に設置され、海水を海に排出させる管路を提供する海水排出流路320と、から構成される。このとき、海水流路300には海水ポンプ300aが設置され、海水の流入及び海水の排出を動作させる。
【0021】
熱交換器400は、重大事故(極限災害事故)発生の際に、原子力発電施設100から発生した高温の汚染水と海水とを熱交換させる役割を果たし、海水貯蔵タンク200の貯水空間210に設置される。熱交換器400は、海水貯蔵タンク200の貯水空間210で高温の汚染水を熱交換して原子力発電施設100へ排出することができるようにした構成であって、本発明は、原子力発電施設100の冷却のための冷却水源として汚染水が使用できるようにしたものである。熱交換器400は、海水貯蔵タンク200の貯水空間210に浸かるように設置されることが好ましく、複数で積層構成されることが好ましい。
【0022】
熱交換器400について、図2を参照して詳細に説明する。熱交換器400は、上述したように複数で積層構成されるが、海水貯蔵タンク200の底に対して傾斜した傾斜角をなすように設置される。すなわち、熱交換器400は、図2から分かるように、側面から見たとき、ジグザグの一体型に構成されるが、熱交換器400は、互いに傾斜角をなすように構成されたものである。熱交換器400が複数で積層構成されることにより、限定され大きさの貯水空間210に熱交換器400が設置されても、熱交換器流路410の長さは最大化できるので、高温の汚染水が海水と熱交換される時間を増やすことができる。また、熱交換器400が傾斜して構成されるので、熱交換器400の内部を流れる汚染水は、熱交換器400の上部から下部へスムーズに流れることができる。つまり、本発明は、汚染水の熱交換効率性を高め、汚染水が熱交換器400の最上部から下部に自然落下して移送できるようにしたものであって、上述したように熱交換器400を複数で積層し、傾けて構成することにより、熱交換器400を効果的に活用することができる。
【0023】
一方、熱交換器流路410は、熱交換器400の内部に複数の管路を提供することが好ましく、1つの管路から分岐したマニホールド(manifold)の形で設けられることが好ましい。熱交換器400の最上部側の熱交換器流路410は、後述する汚染水供給流路に連結されて分岐し、熱交換器400の最下部側から分岐している熱交換器流路410は、後述する汚染水排出流路に一つの管路として連結される。熱交換器流路410は、それぞれ直線の管路として提供される。これにより、熱交換器流路410は、汚染水の流れ効率性を高めることができ、熱交換効率性を高めることができる。
【0024】
汚染水流路500は、重大事故発生の際に原子力発電施設100から発生した高温の汚染水が熱交換器400に流入する管路、及び熱交換器400を介して熱交換された汚染水が原子力発電施設へ排出される管路を提供する。すなわち、汚染水流路500は、原子力発電施設100と熱交換器400との間に循環流路を構成するものである。汚染水流路500は、原子力発電施設100と熱交換器400の最上部側の熱交換器流路410に設置され、汚染水を熱交換器400へ供給する汚染水供給流路510と、熱交換器400の最下部側の熱交換器流路410と原子力発電施設100に設置され、熱交換された汚染水を原子力発電施設100へ排出させる汚染水排出流路520とから構成される。このとき、汚染水排出流路520には、熱交換器400の汚染水を原子力発電施設100へ排出させるポンピング力を提供するためのポンピング手段521が設置される。ポンピング手段521は、汚染水排出流路520に固定式で設置されたポンプであってもよく、移動可能な移動式ポンプであってもよい。また、汚染水排出流路520にはスプリンクラー(図示せず)が設置され、原子力発電施設100への汚染水の噴射時に効果的な冷却が行われるようにすることができる。また、汚染水供給流路510にも、原子力発電施設100から発生した汚染水を熱交換器400へ円滑に供給するためのポンピング手段511が設置されることが好ましい。
【0025】
以下、上述した構成からなる災害事故原子炉冷却システムを用いた原子炉冷却方法について、添付の図3を参照して説明する。
【0026】
管理者は、海水ポンプ300aを作動させて、熱交換器400が設置された海水貯蔵タンク200に海水を貯水させる(S100)。この際、熱交換器400は、貯水空間210で海水が浸かった状態となる。
【0027】
このような状態で、原子力発電施設に極限災害事故を含む重大事故が発生すると、管理者は、原子力発電施設100から発生した高温の汚染水を原子力発電施設100から排出させる(S200)。すなわち、管理者は、原子力発電施設100から発生した汚染水を汚染水供給流路510を介して熱交換器400へ供給するのである。高温の汚染水は、最上部の熱交換器流路410を介して熱交換器に流入した後、傾斜した直管の熱交換器流路410に沿って自然落下する。このとき、高温の汚染水は、ジグザグ流路に沿って落下しながら、貯水空間210の海水との熱交換が行われる(S300)。ジグザグの熱交換器流路410は、汚染水の熱交換時間を増やして汚染水に対する熱交換効率性を高めることができる。このとき、熱交換器で汚染水の熱交換が行われる過程で、貯水空間210の海水は、海水ポンプ300aを介して海の海水との循環が持続的に行われる。
【0028】
その後、海水と熱交換されて温度が下がった汚染水(冷却水)は、ポンピング手段521を介して汚染水排出流路520へ排出された後、原子力発電施設100に吐出される(S400)。このとき、前記熱交換された原子力発電施設100の汚染水は、冷却水としての機能をし、スプリンクラーを介して原子炉に噴射される。
【0029】
その後、原子力発電施設100は、汚染水による冷却作用が行われる(S500)。
【0030】
このとき、冷却水としての汚染水は、高温の原子力発電施設を冷却させる過程で温度が上昇し(S600)、この高温の汚染水は、原子力発電施設100から持続的に発生する高温の汚染水と混ぜられてて再び熱交換器400へ供給される(S200)。
【0031】
このような一連の循環過程を経て、原子力発電施設の冷却作用は持続的に行われる。
【0032】
これまで説明したように、本発明による災害事故原子炉冷却システム及びこれを用いた原子炉冷却方法は、重大事故発生の際に原子力発電施設を冷却させるための冷却水源として汚染水をリサイクルした。すなわち、本発明は、海水貯蔵タンクに設置された熱交換器を介して、原子力発電施設から発生した高温の汚染水と海水貯蔵タンクの海水との境界を分離した状態で汚染水を熱交換して原子力発電施設と熱交換器を循環させることにより、原子力発電施設の冷却作用が行われるようにしたものである。これにより、本発明は、汚染水が海に放出されるのを極力抑制して環境汚染を防止し、周辺国との摩擦の発生を防止することができる。
【0033】
以上、本発明は、記載された具体例について詳細に説明されたが、本発明の技術思想の範囲内で様々な変形及び修正が可能であるのは、当業者にとって明らかであり、それらの変形及び修正も添付の特許請求の範囲に属するのは、当たり前である。
図1
図2
図3