(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 71/02 20060101AFI20240515BHJP
H01H 73/02 20060101ALI20240515BHJP
H01H 73/20 20060101ALI20240515BHJP
【FI】
H01H71/02
H01H73/02 B
H01H73/20 B
(21)【出願番号】P 2023564350
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 JP2021044172
(87)【国際公開番号】W WO2023100303
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕輔
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-014499(JP,A)
【文献】特開平9-198987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 71/02
H01H 73/02
H01H 73/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を有する固定接触子と、前記固定接点に対向する位置に配置された可動接点を有する可動接触子と、電流を開閉するために前記可動接触子を駆動する開閉機構と、前記固定接触子、前記可動接触子および前記開閉機構を収納する本体ケースと、前記本体ケースをカバーする本体カバーを備える回路遮断器であって、
配線するための電源側および負荷側の接続部材と、
前記電源側および負荷側の接続部材と前記固定接触子および前記可動接触子とをそれぞれ接続する接続導体と、
前記本体ケースに取り付けられ、前記接続部材を支持する絶縁台と、
を備え、
前記絶縁台は、筒状の部材であって、外周に設けた取付部と、前記取付部に対して一方に延びる第1の本体ケース挿入部と、前記取付部に対して他方に延びる第2の本体ケース挿入部とを有し、第1の本体ケース挿入部は第2の本体ケース挿入部より長さが長いものであり、
回路遮断器を表面形として使用する場合は、前記絶縁台の第1の本体ケース挿入部を前記本体ケースの開口部に挿入し、前記第1の本体ケース挿入部で前記電源側および負荷側の接続部材を回路遮断器に平行となるように支持し、
回路遮断器を裏面形として使用する場合は、前記絶縁台の第2の本体ケース挿入部を前記本体ケースの開口部に挿入し、前記電源側および負荷側の接続部材を前記絶縁台の内部を通して、回路遮断器に垂直となるように支持する
回路遮断器。
【請求項2】
請求項1に記載の回路遮断器において、
前記接続部材は、短冊状の接続板であることを特徴とする回路遮断器。
【請求項3】
請求項2に記載の回路遮断器において、
前記接続板は、一端に両側に延びるストッパー部を備え、
前記絶縁台の第2の本体ケース挿入部の内周側に、前記接続板のストッパー部と嵌め合わされる溝部を備えることを特徴とする回路遮断器。
【請求項4】
請求項3に記載の回路遮断器において、
前記絶縁台の第2の本体ケース挿入部の内周側に、角度を変えて複数対の前記溝部を備え、
前記接続板のストッパー部と嵌め合わされる溝部を変えることにより前記接続板の取付角度を変更可能としたことを特徴とする回路遮断器。
【請求項5】
請求項1に記載の回路遮断器において、
前記接続部材は、棒状の接続棒であることを特徴とする回路遮断器。
【請求項6】
請求項1に記載の回路遮断器において、
前記接続部材と前記固定接触子および前記可動接触子とを接続する前記接続導体は、フレキシブルな電線または銅バーであることを特徴とする回路遮断器。
【請求項7】
請求項1に記載の回路遮断器において、
本体ケースの側部の隙間を塞ぐ蓋板を備え、
回路遮断器を裏面形として使用する場合は、前記蓋板は、回路遮断器を表面形として使用する場合に前記接続部材が設けられる部分の隙間を塞ぐことを特徴とする回路遮断器。
【請求項8】
請求項1に記載の回路遮断器において、
3回路の配線が接続される3線式の回路遮断器であることを特徴とする回路遮断器。
【請求項9】
請求項
8に記載の回路遮断器において、
前記絶縁台は、3回路の3つの絶縁台が一体化されていることを特徴とする回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流から電路を保護する回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、回路遮断器は、固定接触子および可動接触子を含む主接点部と、主接点部が接続され電流が流れる導電部と、主接点部の両接点台の開閉操作を行う開閉機構と、主接点部に定格電流を超える過電流が流れたときに可動接触子を固定接触子から切り離す回路遮断動作を行うための引き外し機構と、その引き外し機構を作動させる過電流リレー機構とを備えている。
【0003】
また、導電部には上位機器や負荷機器を電線等の配線部材で接続するための接続部が備えられており、使用方法によりいくつかの接続方法がある。一般に、配電盤の取付板の表側に回路遮断器を取り付け、取付板の表側で回路遮断器の一次側および二次側に回路遮断器に対して水平方向に配線部材を接続する方法(以下、表面形という。)と、配電盤の取付板の表側に回路遮断器を取り付け、取付板の裏側で回路遮断器の一次側および二次側に回路遮断器に対して垂直方向に配線部材を接続する方法(以下、裏面形という。)がある。
【0004】
図16に、表面形の接続方式の回路遮断器の一例を示す。表面形は、取付板2に取り付けられた回路遮断器1の一次側および二次側に、回路遮断器1に対して水平となる接続部材である接続板3を備えている。また、
図17に、裏面形の接続方式の回路遮断器の一例を示す。裏面形は、回路遮断器1の裏側であって、回路遮断器の一次側および二次側に回路遮断器1に対して垂直方向に取り付ける接続板3と、接続板3と配電盤等の取付板2を絶縁するための絶縁物4を備えている。
【0005】
特許文献1には、一種類の電気機器本体で端子板への主回路の接続が表面側および裏面側のいずれからでも可能である、漏電遮断器や配線用遮断器などの電気機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の回路遮断器の構造は、表面形と裏面形とでは接続板等の接続用部品が異なっており、裏面形の場合、表面形に裏面形用の接続用部品を取り付ける必要がある。特許文献1記載の電気機器においても、裏面側から接続する場合には、専用の絶縁筒と裏面側端子ねじが必要となる。接続用部品がないと接続方法の変更ができないため、回路遮断器を収納する配電盤等に仕様変更があって裏面形に変更する場合の迅速な対応が困難であり、また、追加で部品を取り付けるため、コストが高くなる問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解消し、表面形と裏面形の接続方式で同じ部品構成とし、接続部の組み替えのみで表面形および裏面形の接続方式に対応可能である回路遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、表面形と裏面形で接続板を共用し、接続板と回路遮断器内部の導電部をフレキシブルな電線または銅バーで接続し、同一の接続板を表面形と裏面形の両方の取付位置に取り付け可能としたことを特徴とする。また、表面形の場合に接続板を固定するためにケースの裏側に取り付ける絶縁台を、裏面形の場合は、上下反転させて取り付けることで、接続板と配電盤等の取付板とを絶縁可能としたことを特徴とする。
【0010】
本発明の「回路遮断器」の一例を挙げるならば、
固定接点を有する固定接触子と、前記固定接点に対向する位置に配置された可動接点を有する可動接触子と、電流を開閉するために前記可動接触子を駆動する開閉機構と、前記固定接触子、前記可動接触子および前記開閉機構を収納する本体ケースと、前記本体ケースをカバーする本体カバーを備える回路遮断器であって、
配線するための電源側および負荷側の接続部材と、前記電源側および負荷側の接続部材と前記固定接触子および前記可動接触子とをそれぞれ接続する接続導体と、前記本体ケースに取り付けられ、前記接続部材を支持する絶縁台と、を備え、
前記絶縁台は、筒状の部材であって、外周に設けた取付部と、前記取付部に対して一方に延びる第1の本体ケース挿入部と、前記取付部に対して他方に延びる第2の本体ケース挿入部とを有し、第1の本体ケース挿入部は第2の本体ケース挿入部より長さが長いものであり、回路遮断器を表面形として使用する場合は、前記絶縁台の第1の本体ケース挿入部を前記本体ケースの開口部に挿入し、前記第1の本体ケース挿入部で前記電源側および負荷側の接続部材を回路遮断器に平行となるように支持し、回路遮断器を裏面形として使用する場合は、前記絶縁台の第2の本体ケース挿入部を前記本体ケースの開口部に挿入し、前記電源側および負荷側の接続部材を前記絶縁台の内部を通して、回路遮断器に垂直となるように支持するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面形と裏面形の接続方式で同じ部品構成となり、接続方式の違いによる追加部品が不要となるため安価となる。また、接続部の組み替えのみで表面形および裏面形の接続方式に対応可能であるため、仕様変更に迅速に対応可能な回路遮断器を提供することができる。
【0012】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1の回路遮断器の、表面形の接続方式とした構造を示す断面図である。
【
図2】実施例1の回路遮断器の、裏面形の接続方式とした構造を示す断面図である。
【
図8】実施例1の、表面形の接続方式とした接続部の構造を示す分解図である。
【
図9】実施例1の、表面形の接続方式とした組立途中を示す図である。
【
図10】実施例1の、裏面形の接続方式とした接続部の構造を示す分解図である。
【
図11】実施例1の、裏面形の接続方式とした組立途中を示す図である。
【
図12】実施例2の、裏面形の接続方式とした場合の接続板の向きの変更方法を示す図である。
【
図13】実施例3の、接続棒の一例を示す図である。
【
図14】実施例3の回路遮断器の、表面形の接続方式とした構造を示す断面図である。
【
図15】実施例3の回路遮断器の、裏面形の接続方式とした構造を示す断面図である。
【
図16】従来の、表面形の接続方式の回路遮断器の構造を示す断面図である。
【
図17】従来の、裏面形の接続方式の回路遮断器の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
また、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【実施例1】
【0015】
図1に、本発明の実施例1の回路遮断器の、表面形の接続方式とした構造の断面図を示
す。また、
図2に、裏面形の接続方式とした構造の断面図を示す。
【0016】
本実施例の回路遮断器は、固定接触子11、固定接触子11に接合された固定接点12、固定接点12に対抗する位置に配置された可動接点13、可動接点13を支持する可動接触子14、電流を開閉するために可動接触子14を駆動する開閉機構15、過電流が流れたとき開閉機構15を駆動し、接点を開極させる引き外し装置16、接点を開極したときに接点間に発生するアークを消孤する消孤装置17を備えている。また、電源側(一次側)には、回路遮断器1に電線を配線するための電源側接続板18、および固定接触子11と電源側接続板18を接続するための接続導体19を、負荷側(二次側)には、回路遮断器1から負荷に電線を配線するための負荷側接続板20、および負荷側接続板20と可動接触子14に接続された負荷側導体22を接続するための接続導体21を有している。固定接触子11、可動接触子14、開閉機構15などは、本体ケース23に収容されている。また、本体ケース23と嵌り合う本体カバー24を備えている。本体ケース23と本体カバー24は、双方とも樹脂で形成され、回路遮断器内部の絶縁材としている。
【0017】
表面形の接続形式を示す
図1において、本体ケース23に取り付けられた、樹脂で成形された絶縁台25を備え、水平に配置された電源側接続板18および負荷側接続板20は本体ケース23と絶縁台25に挟まれ固定される。本体ケース23の隙間を塞ぐための蓋板26が、本体ケース23の溝に挿入され、絶縁台25により電源側接続板18または負荷側接続板20に押さえられている。詳細については、後述する。
【0018】
裏面形の接続形式を示す
図2において、裏面形とした場合、絶縁台25は上下反転して本体ケース23に取り付けられる。そして、電源側接続板18および負荷側接続板20は絶縁台25に挿入され、回路遮断器1の裏側に取り付けられる。蓋板26は、絶縁台25が上下反転して取り付けられ、上側に押し上げられることで、表面形とした場合に電源側接続板18または負荷側接続板20が水平に出ていた部分の本体ケース23の隙間が塞がれる。詳細については、後述する。
【0019】
図3から
図7を用いて、本実施例の接続板および絶縁台について詳細に説明する。各図は、3回路の配線が接続される3線式の回路遮断器に本発明を用いた例に関する。
【0020】
図3に本体ケースを示し、中央の(a)は正面断面図、(b)は上方から見た平面図、(c)は下方から見た平面図である。
本体ケース23の下部には、後述する絶縁台の挿入部が挿入される下面開口部231を備えている。また、下面開口部231に対応する側面には、表面形の接続方式とした場合に接続板が通る側面隙間232を備えている。図の例では、左右にそれぞれ3つ、下面開口部231および側面隙間232を備えている。
【0021】
図4に本体カバーを示し、中央の(a)は正面断面図、(b)は上方から見た平面図、(c)は下方から見た平面図である。本体カバーは、
図3の本体ケースと嵌り合うものである。
【0022】
図5に絶縁台を示し、中央の(a)は正面図、(b)は左方から見た図、(c)は右方から見た図である。
図の例は、
図3の本体ケース23の一側に取り付けられる絶縁台を示し、3つの絶縁台を一体化して構成したものである。一体化することにより、本体ケースへの取り付け、取り外しが容易になる。
【0023】
図6に1つの絶縁台の拡大図を示し、上側の(a)は
図5のA部拡大図、下側の(b)は(a)のB-B方向を見た断面図である。
絶縁台25は、例えば円筒形の筒状であり、円筒形の周囲に本体ケース25に取り付けるための取付部251と、取付部251から一方(図では下方)に延びる第1の挿入部252と、取付部251から他方(図では上方)に延びる第2の挿入部253とを備えている。第1の挿入部252は、第2の挿入部253よりも長さが長く構成されている。第1の挿入部252は、回路遮断器を表面形として使用する場合に本体ケースの下面開口部231へ挿入する部分である。第2の挿入部253は、回路遮断器を裏面形として使用する場合に本体ケースの下面開口部231へ挿入する部分である。第2の挿入部253の内側には、後述する接続板のストッパー部が挿入される対となる溝254を有している。
【0024】
図7に実施例1の接続板を示し、左側の(a)は接続板の正面図、右側の(b)は矢印方向から見た接続板の側面図である。
接続板18,20は、短冊状の導電性を有する板材から成り、一端に絶縁台25の溝254に挿入される一対のストッパー部201を有している。
【0025】
図8に、
図3から
図7に示す各パーツを、表面形の回路遮断器として組み合わせる図を示す。図において、上側の図は分解した各パーツを示し、矢印の下側の図は組み合わせた状態を示す。図において、固定接触子、可動接触子、開閉機構などは省略している。また、
図9に、表面形の回路遮断器として組み合わせ途中の図を示す。図において、電源側接続板18および負荷側接続板20を回路遮断器1に対して平行に配置し、これらの一端にフレキシブルな接続導体19,21をロウ付けや溶接で接続する。そして、本体ケースの側部隙間232に接続板18,20を配置し、絶縁台25の第1の挿入部252を本体ケースの下面開口部231に挿入して接続板18,20を固定する。本体ケース23の側面の隙間232を塞ぐための蓋板26は、本体ケース23の溝に挿入され、絶縁台25により電源側接続板18または負荷側接続板20に押さえられている。そして、本体ケース23に本体カバー24を取り付ける。絶縁台25の長さの長い第1の挿入部252を本体ケースの下面開口部231に挿入して接続板18,20を固定することにより、回路遮断器1を配電盤の取付板に取り付けた場合に、接続板18,20と取付板との距離を確保することができ、安全に絶縁をとることができる。
【0026】
図10に、
図3から
図7に示す各パーツを、裏面形の回路遮断器として組み合わせる図を示す。図において、上側の図は分解した各パーツを示し、矢印の下側の図は組み合わせた状態を示す。図において、固定接触子、可動接触子、開閉機構などは省略している。また、
図11に、裏面形の回路遮断器として組み合わせ途中の図を示す。図において、電源側接続板18および負荷側接続板20を、回路遮断器の裏側で回路遮断器に対して垂直に配置し、これらの一端にフレキシブルな接続導体19,21をロウ付けや溶接で接続する。そして、絶縁台25の内部に接続板18,20を通し、絶縁台25の第2の挿入部253を本体ケース23の下面開口部231に挿入して固定する。このとき、蓋板26は、絶縁台25が上下反転して取り付けられ、蓋板26が上側に押し上げられることで、表面形とした場合に電源側接続板18または負荷側接続板20が側方に出ていた部分の本体ケース23の隙間が塞がれる。そして、本体ケース23に本体カバー24を取り付ける。絶縁台25の長さの短い第2の挿入部253を本体ケースの開口部231に挿入して絶縁台25を取り付け、絶縁台25の長さの長い第1の挿入部252を回路遮断器の裏側に延ばすことにより、回路遮断器1を配電盤の取付板に取り付けた場合に、絶縁台の内部を通した接続板18,20と取付板との距離を確保することができ、安全に絶縁をとることができる。
【0027】
本実施例によれば、表面形と裏面形の接続方式で接続板と絶縁台が同じ部品構成となり、接続方式の違いによる追加部品が不要となるため安価となる。また、絶縁台の向きを変えて取り付け、接続板の位置を変更する接続部の組み替えのみで表面形および裏面形の接続方式に対応可能であるため、仕様変更に迅速に対応可能な回路遮断器を提供することができる。
【実施例2】
【0028】
実施例1に示す回路遮断器において、裏面形の接続方式の回路遮断器とした構造において、電線の接続の容易さなどから接続板の向きを変更することが望まれることがある。実施例2は、接続板の向きを変更可能としたものである。
【0029】
図6のA部拡大図に示すように、絶縁台25の第2の挿入部253の内側には、直交する方向であって、向き合う位置に、すなわち90°毎に、接続板18,20のストッパー部201が嵌り合う対となる溝254を有している。
【0030】
図12に、裏面形とした場合の接続板の向きの変更方法を示す。接続板の向きを変更する場合、絶縁台25に電源側接続板18(または負荷側接続板20)が取り付けられた(a)の状態から、(b)に示すように電源側接続板18(または負荷側接続板20)を押し上げてストッパー部201を溝254から抜く。そして、(c)に示すように電源側接続板18(または負荷側接続板20)を90度回転させて、(d)に示すように押し下げて再びストッパー部201を溝254に挿入し、固定する。
【0031】
本実施例では、90°毎に接続板18,20のストッパー部201が嵌り合う溝254を設けたが、さらに溝の数を増やして、例えば45°毎に溝254を設けてもよい。
【0032】
本実施例によれば、裏面形の接続方式の回路遮断器とした場合に、接続板の向きを変更可能としたので、接続板の向きを変更して電線等の配線部材の接続を容易に行うことができる。
【実施例3】
【0033】
実施例1は、板タイプの接続部材を用いるものであるが、実施例3は、棒タイプの接続部材を用いるものである。
図13に、実施例3の棒タイプの接続部材を示し、左側の(a)は正面図、右側の(b)は矢印方向から見た側面図である。図に示すように、接続棒30は、丸棒または角棒、例えば断面が四角形の棒状である。図の例では上側部分が少し扁平となっているが、全体を棒状としてもよい。
【0034】
図14に、本実施例の接続棒を用いた、表面形の接続方式とした回路遮断器の断面図を示す。図において、電源側および負荷側において接続棒30を回路遮断器1に対して平行に配置する。そして、絶縁台25の第1の挿入部を本体ケースの開口部に挿入して、接続棒30を固定する。
【0035】
図15に、本実施例の接続棒を用いた、裏面形の接続方式とした回路遮断器の断面図を示す。図において、電源側および負荷側において接続棒30を、回路遮断器の裏側で回路遮断器1に対して垂直に配置する。そして、絶縁台25の内部に接続棒30を通し、絶縁
台25の第2の挿入部を本体ケースの下面開口部に挿入して固定する。
【0036】
本実施例によれば、電線等の配線部材と接続を行う接続部材を棒状の接続棒としたので、接続板と比べて、何れの方向からも電線等の配線部材と接続を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1…回路遮断器
2…取付板
3…接続部材
4…絶縁物
11…固定接触子
12…固定接点
13…可動接点
14…可動接触子
15…開閉機構
16…引き外し装置
17…消孤装置
18…電源側接続板
19、21…接続導体
20…負荷側接続板
201…接続板のストッパー部
22…負荷側導体
23…本体ケース
231…本体ケースの下面開口部
232…本体ケースの側部隙間
24…本体カバー
25…絶縁台
251…絶縁台の取付部
252…絶縁台の第1の挿入部
253…絶縁台の第2の挿入部
254…絶縁台の溝
26…蓋板
30…接続棒