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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-14
(45)【発行日】2024-05-22
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/47 20180101AFI20240515BHJP
【FI】
F24F11/47
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024014908
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2023147332の分割
【原出願日】2023-09-12
【審査請求日】2024-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶山 啓輔
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-007834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、電動機を駆動源として熱媒体を圧縮する電気駆動式圧縮機を有するEHPと、
少なくとも、ガスエンジンを駆動源として熱媒体を圧縮するエンジン駆動式圧縮機を有するGHPと、
空調負荷の実績値を日時に関連付けて記憶し、需要家の建物全体の消費電力である全体消費電力の実績値を日時に関連付けて記憶する記憶装置と、
需要家の建物全体における許容可能な消費電力の上限値である目標電力デマンド設定値を導出し、前記目標電力デマンド設定値に基づいて前記EHPと前記GHPとの運転比率を導出し、導出した運転比率を前記EHPおよび前記GHPに指示するサーバ制御装置と、
を備え、
前記サーバ制御装置は、
過去の所定の期間における前記全体消費電力の実績値が最大値となるピーク時を特定し、
前記ピーク時の前記EHPの消費電力の実績値を導出し、
前記ピーク時の空調負荷の実績値を、前記GHPの負荷率が最大限となり、前記EHPの負荷率が最小限となるように按分して、抑制後の前記EHPの消費電力を導出し、
前記ピーク時の前記EHPの消費電力の実績値から、前記抑制後の前記EHPの消費電力を減算して、前記EHPの消費電力の差分値を導出し、
前記ピーク時の前記全体消費電力の実績値から前記EHPの消費電力の差分値を減算して、抑制後の前記全体消費電力を導出し、
前記抑制後の前記全体消費電力を、前記目標電力デマンド設定値として決定する、空調システム。
【請求項2】
前記サーバ制御装置は、
過去の所定の期間における前記全体消費電力の実績値が最大値となる第1ピーク時を特定し、
前記第1ピーク時の前記EHPの消費電力の実績値を導出し、
前記第1ピーク時の空調負荷の実績値を、前記GHPの負荷率が最大限となり、前記EHPの負荷率が最小限となるように按分して、前記第1ピーク時に関する抑制後の前記EHPの消費電力を導出し、
前記第1ピーク時の前記EHPの消費電力の実績値から、前記第1ピーク時に関する前記抑制後の前記EHPの消費電力を減算して、前記第1ピーク時に関する前記EHPの消費電力の差分値を導出し、
前記第1ピーク時の前記全体消費電力の実績値から前記第1ピーク時に関する前記EHPの消費電力の差分値を減算して、前記第1ピーク時に関する抑制後の前記全体消費電力である第1抑制後全体消費電力を導出し、
過去の所定の期間における前記第1ピーク時を除外した分において、前記第1抑制後全体消費電力を超える前記全体消費電力の実績値があるかを判定し、
前記第1抑制後全体消費電力を超える前記全体消費電力の実績値があると判定した場合、過去の所定の期間における前記第1ピーク時を除外した分において、前記全体消費電力の実績値が最大値となる第2ピーク時を特定し、
前記第2ピーク時の前記EHPの消費電力の実績値を導出し、
前記第2ピーク時の空調負荷の実績値を、前記GHPの負荷率が最大限となり、前記EHPの負荷率が最小限となるように按分して、前記第2ピーク時に関する抑制後の前記EHPの消費電力を導出し、
前記第2ピーク時の前記EHPの消費電力の実績値から、前記第2ピーク時に関する前記抑制後の前記EHPの消費電力を減算して、前記第2ピーク時に関する前記EHPの消費電力の差分値を導出し、
前記第2ピーク時の前記全体消費電力の実績値から前記第2ピーク時に関する前記EHPの消費電力の差分値を減算して、前記第2ピーク時に関する抑制後の前記全体消費電力である第2抑制後全体消費電力を導出し、
前記第1抑制後全体消費電力と前記第2抑制後全体消費電力とに基づいて、前記目標電力デマンド設定値を決定する、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記サーバ制御装置は、
前記第2抑制後全体消費電力が前記第1抑制後全体消費電力以下であれば、前記第1抑制後全体消費電力を、前記目標電力デマンド設定値として決定し、
前記第2抑制後全体消費電力が前記第1抑制後全体消費電力を超えるようであれば、前記第2抑制後全体消費電力を、前記目標電力デマンド設定値として決定する、請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記サーバ制御装置は、
過去の所定の期間における前記全体消費電力の実績値が最大値となるピーク時を、前記全体消費電力が高い順に順番に特定し、
前記抑制後の前記全体消費電力を、各々の前記ピーク時に関して導出し、
各々の前記抑制後の前記全体消費電力のうちの最大値を特定し、
過去の所定の期間における特定済の前記ピーク時を除外した分において、前記抑制後の前記全体消費電力の最大値を超える前記全体消費電力の実績値がないと判定された場合、前記抑制後の前記全体消費電力の最大値を、前記目標電力デマンド設定値として決定する、請求項1に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EHP(電気式ヒートポンプ)とGHP(ガスヒートポンプ)とを含む空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、EHPとGHPとを備える空調システムが開示されている。かかる特許文献1では、未来の施設電力推移が推定され、契約電力から未来の施設電力推移を減算してEHPおよびGHPで利用可能な電力の推移である空調電力推移が導出される。そして、特許文献1では、空調電力推移に基づいて、EHPとGHPとの運転負荷率を按分した組み合わせが複数生成され、その組み合わせの中で電力およびガスの料金の合計が最小となる組み合わせがEHPとGHPとの運転比率として決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6322173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力基本料金は、契約電力に応じて設定されている。このため、契約電力を下げることができれば、電力料金を低減させることが可能であり、需要家にとって経済的なメリットを向上させることができる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、経済的なメリットを向上させることが可能な空調システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の空調システムは、少なくとも、電動機を駆動源として熱媒体を圧縮する電気駆動式圧縮機を有するEHPと、少なくとも、ガスエンジンを駆動源として熱媒体を圧縮するエンジン駆動式圧縮機を有するGHPと、空調負荷の実績値を日時に関連付けて記憶し、需要家の建物全体の消費電力である全体消費電力の実績値を日時に関連付けて記憶する記憶装置と、需要家の建物全体における許容可能な消費電力の上限値である目標電力デマンド設定値を導出し、目標電力デマンド設定値に基づいてEHPとGHPとの運転比率を導出し、導出した運転比率をEHPおよびGHPに指示するサーバ制御装置と、を備え、サーバ制御装置は、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値が最大値となるピーク時を特定し、ピーク時のEHPの消費電力の実績値を導出し、ピーク時の空調負荷の実績値を、GHPの負荷率が最大限となり、EHPの負荷率が最小限となるように按分して、抑制後のEHPの消費電力を導出し、ピーク時のEHPの消費電力の実績値から、抑制後のEHPの消費電力を減算して、EHPの消費電力の差分値を導出し、ピーク時の全体消費電力の実績値からEHPの消費電力の差分値を減算して、抑制後の全体消費電力を導出し、抑制後の全体消費電力を、目標電力デマンド設定値として決定する。
【0007】
また、サーバ制御装置は、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値が最大値となる第1ピーク時を特定し、第1ピーク時のEHPの消費電力の実績値を導出し、第1ピーク時の空調負荷の実績値を、GHPの負荷率が最大限となり、EHPの負荷率が最小限となるように按分して、第1ピーク時に関する抑制後のEHPの消費電力を導出し、第1ピーク時のEHPの消費電力の実績値から、第1ピーク時に関する抑制後のEHPの消費電力を減算して、第1ピーク時に関するEHPの消費電力の差分値を導出し、第1ピーク時の全体消費電力の実績値から第1ピーク時に関するEHPの消費電力の差分値を減算して、第1ピーク時に関する抑制後の全体消費電力である第1抑制後全体消費電力を導出し、過去の所定の期間における第1ピーク時を除外した分において、第1抑制後全体消費電力を超える全体消費電力の実績値があるかを判定し、第1抑制後全体消費電力を超える全体消費電力の実績値があると判定した場合、過去の所定の期間における第1ピーク時を除外した分において、全体消費電力の実績値が最大値となる第2ピーク時を特定し、第2ピーク時のEHPの消費電力の実績値を導出し、第2ピーク時の空調負荷の実績値を、GHPの負荷率が最大限となり、EHPの負荷率が最小限となるように按分して、第2ピーク時に関する抑制後のEHPの消費電力を導出し、第2ピーク時のEHPの消費電力の実績値から、第2ピーク時に関する抑制後のEHPの消費電力を減算して、第2ピーク時に関するEHPの消費電力の差分値を導出し、第2ピーク時の全体消費電力の実績値から第2ピーク時に関するEHPの消費電力の差分値を減算して、第2ピーク時に関する抑制後の全体消費電力である第2抑制後全体消費電力を導出し、第1抑制後全体消費電力と第2抑制後全体消費電力とに基づいて、目標電力デマンド設定値を決定するようにしてもよい。
【0008】
また、サーバ制御装置は、第2抑制後全体消費電力が第1抑制後全体消費電力以下であれば、第1抑制後全体消費電力を、目標電力デマンド設定値として決定し、第2抑制後全体消費電力が第1抑制後全体消費電力を超えるようであれば、第2抑制後全体消費電力を、目標電力デマンド設定値として決定するようにしてもよい。
【0009】
また、サーバ制御装置は、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値が最大値となるピーク時を、全体消費電力が高い順に順番に特定し、抑制後の全体消費電力を、各々のピーク時に関して導出し、各々の抑制後の全体消費電力のうちの最大値を特定し、過去の所定の期間における特定済のピーク時を除外した分において、抑制後の全体消費電力の最大値を超える全体消費電力の実績値がないと判定された場合、抑制後の全体消費電力の最大値を、目標電力デマンド設定値として決定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、経済的なメリットを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図2図2は、ガス料金テーブルの一例を示す図である。
図3図3は、運転マップの一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態における運転比率の決定および運転マップの生成について説明するフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態の変形例における運転比率導出部が行う処理の流れを説明するフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図7図7は、目標電力デマンド設定値の決定方法の概略を説明する図である。
図8図8は、設定値導出部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図9図9は、第3実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図10図10は、GHPの運転時間の制御に関する処理の流れを説明するフローチャートである。
図11図11は、空調負荷率の境界値の導出について説明する図である。
図12図12は、第4実施形態にかかる空調システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。
図13図13は、第4実施形態において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる空調システム1の構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、図1中、破線の矢印は、信号の送信方向を例示している。
【0014】
空調システム1は、EHP10、GHP12、室内機14および管理サーバ16を含む。なお、EHP10は、電気式ヒートポンプであり、GHP12は、ガスヒートポンプである。室内機14は、空調の対象となる空間に設置される。以後、説明の便宜のため、空調の対象となる空間を、空調対象空間という場合がある。EHP10およびGHP12は、例えば、空調システム1が適用される需要家の建物にセットで設置される。EHP10およびGHP12は、熱媒体が流通する熱媒体流路20を通じて室内機14に接続される。
【0015】
EHP10は、少なくとも、電動機30を駆動源として熱媒体を圧縮する電気駆動式圧縮機32を有する。電動機30は、電力を消費して電気駆動式圧縮機32を駆動する。
【0016】
EHP10は、電動機30および電気駆動式圧縮機32の他、EHP室外熱交換器34、EHP通信部36およびEHP制御部38を有する。電気駆動式圧縮機32は、熱媒体流路20を通じてEHP室外熱交換器34および室内機14に接続される。
【0017】
EHP10では、例えば、電気駆動式圧縮機32によって熱媒体が熱媒体流路20を循環する。EHP室外熱交換器34は、熱媒体流路20を流通する熱媒体と外気との熱交換を行い、熱交換後の熱媒体を室内機14に送出する。室内機14の不図示の熱交換器は、熱媒体流路20を流通する熱媒体と、空調対象空間から供給された空気との熱交換を行い、熱交換後の空気を空調対象空間に送出する。
【0018】
EHP通信部36は、室内機14および管理サーバ16と通信を確立することができる。EHP制御部38は、プロセッサと、プログラムを格納するメモリとで構成される。EHP制御部38は、プロセッサがプログラムを実行することでEHP10全体を制御する。例えば、EHP制御部38は、管理サーバ16の制御の下、後述する運転マップに従ったタイミングおよび出力でEHP10を動作させる。
【0019】
GHP12は、少なくとも、ガスエンジン40を駆動源として熱媒体を圧縮するエンジン駆動式圧縮機42を有する。ガスエンジン40は、ガスを消費してエンジン駆動式圧縮機42を駆動する。
【0020】
GHP12は、ガスエンジン40およびエンジン駆動式圧縮機42の他、GHP室外熱交換器44、GHP通信部46およびGHP制御部48を有する。エンジン駆動式圧縮機42は、熱媒体流路20を通じてGHP室外熱交換器44および室内機14に接続される。
【0021】
GHP12では、例えば、エンジン駆動式圧縮機42によって熱媒体が熱媒体流路20を循環する。GHP室外熱交換器44は、熱媒体流路20を流通する熱媒体と外気との熱交換を行い、熱交換後の熱媒体を室内機14に送出する。室内機14の不図示の熱交換器は、熱媒体流路20を流通する熱媒体と、空調対象空間から供給された空気との熱交換を行い、熱交換後の空気を空調対象空間に送出する。
【0022】
GHP通信部46は、室内機14および管理サーバ16と通信を確立することができる。GHP制御部48は、プロセッサと、プログラムを格納するメモリとで構成される。GHP制御部48は、プロセッサがプログラムを実行することでGHP12全体を制御する。例えば、GHP制御部48は、管理サーバ16の制御の下、後述する運転マップに従ったタイミングおよび出力でGHP12を動作させる。
【0023】
EHP10およびGHP12は、それぞれ個別の筐体に設けられてもよいし、共通の筐体に一体的に設けられてもよい。また、図1の例では、1つの室内機14に、EHP10からの熱媒体とGHP12からの熱媒体との両方が供給可能な構成となっている。しかし、EHP10に接続される熱媒体流路20と、GHP12に接続される熱媒体流路20とが、別系統に分離されて、EHP10およびGHP12のそれぞれが異なる室内機14に接続されてもよい。また、図1の例では、1つの室内機14を例示しているが、室内機14の数は、1つに限らず、任意の複数であってもよい。
【0024】
管理サーバ16は、EHP10およびGHP12の運転を制御する。管理サーバ16は、EHP10およびGHP12が設置された建物と同一の建物に設置されてEHP10およびGHP12の制御を行ってもよいし、EHP10およびGHP12が設置された建物とは別の離れた場所に設置されて、遠隔操作にてEHP10およびGHP12の制御を行ってもよい。
【0025】
管理サーバ16は、管理通信部60、記憶装置62およびサーバ制御装置64を有する。管理通信部60は、EHP10およびGHP12と通信を確立することができる。
【0026】
記憶装置62は、例えば、HDDやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子により構成される。記憶装置62には、実績値データ70、COP特性データ72、電気料金テーブル74およびガス料金テーブル76が記憶されている。なお、COP(Coefficient Of Performance)は、成績係数、換言すると、エネルギー消費効率を意味する。
【0027】
実績値データ70は、空調負荷の過去の実績値が年月や日時に関連付けられたものである。COP特性データ72は、外気温度ごとの負荷率とCOPとの関係を示すものである。COP特性データ72は、EHP10とGHP12とのそれぞれについて記憶されている。
【0028】
電気料金テーブル74は、電力基本料金と、電力従量料金の単価と、再生可能エネルギー発電促進賦課金(以後、再エネ賦課金という)の単価とが関連付けられたものである。電力基本料金は、電力を供給する事業者と電力の消費者(例えば、空調システム1が適用される需要家)との間で締結される1か月の契約電力ごとに定められている。電力従量料金は、1か月の電力消費量に応じて電力基本料金に加算されるものである。電力従量料金の単価は、1か月の電力消費量に乗算される係数であって、電力従量料金を導出するための単位電力量当たりの価格である。再エネ賦課金は、再生可能エネルギーで発電された電気の利用にかかる料金である。再エネ賦課金の単価は、1か月の電力消費量に乗算される係数であって、再エネ賦課金を導出するための単位電力量当たりの価格である。
【0029】
1か月の電気料金については、契約電力により決まる電力基本料金と、電力従量料金の単価に1か月の電力消費量を乗算した電力従量料金と、再エネ賦課金の単価に1か月の電力消費量を乗算した料金とを合計して導出することができる。
【0030】
図2は、ガス料金テーブル76の一例を示す図である。図2の例では、ガス基本料金の欄およびガス従量料金の単価の欄の記載については、具体的な数値としていないが、実際には、予め設定された数値が記載される。以後、説明の便宜のため、ガス従量料金の単価を、ガス従量料金単価という場合がある。
【0031】
図2で示すように、ガス料金テーブル76は、ガス基本料金と、ガス従量料金の単価とが、1対1に対応付けられており、ガス基本料金とガス従量料金の単価とのセットが、1か月のガス消費量の範囲ごとに設定されている。例えば、図2の例では、1か月のガス消費量の範囲が「A」~「F」の6段階に区分されている。この場合、ガス基本料金とガス従量料金の単価とのセットが、「A」~「F」の6パターン設定されていることになる。
【0032】
ガス基本料金は、1か月のガス消費量に応じて段階的に設定されている。例えば、ガス基本料金は、ガス消費量が多くなるほど高い値に設定されている。また、ガス基本料金の上昇幅は、例えば、ガス消費量が多くなるほど大きくされてもよい。
【0033】
ガス従量料金は、ガス消費量に応じてガス基本料金に加算されるものである。ガス従量料金の単価は、1か月のガス消費量に乗算される係数であって、ガス従量料金を導出するための単位ガス消費量当たりの価格であり、1か月のガス消費量に応じて段階的に設定されている。例えば、ガス従量料金の単価は、ガス消費量が多くなるほど低い値に設定されている。また、例えば、標準的な中程度のガス消費量の範囲において、ガス従量料金の単価の上昇幅が狭く、ガス消費量が極端に少ない範囲やガス消費量が極端に多い範囲となるほど、ガス従量料金の単価の上昇幅が広くなってもよい。
【0034】
1か月のガス料金については、1か月のガス消費量に対応するガス従量料金の単価に1か月のガス消費量を乗算し、その乗算結果を、1か月のガス消費量に対応するガス基本料金に加算することで導出することができる。
【0035】
図1に戻って説明する。サーバ制御装置64は、プロセッサと、プログラムを格納するメモリとで構成される。サーバ制御装置64は、プロセッサがプログラムを実行することで、管理サーバ16全体を制御する。例えば、サーバ制御装置64は、プロセッサがプログラムを実行することで、運転比率導出部80および運転マップ生成部82として機能する。
【0036】
運転比率導出部80は、EHP10とGHP12との運転比率を導出する。運転比率は、EHP10の負荷率とGHP12の負荷率との組み合わせを示す。例えば、EHP10の負荷率が60%であり、GHP12の負荷率が60%である場合、運転比率は、「EHP:GHP=60:60」を意味する。運転比率の導出については、後に詳述する。
【0037】
運転マップ生成部82は、運転比率導出部80により導出された運転比率に基づいて、運転マップを生成し、生成した運転マップをEHP10およびGHP12に送信する。
【0038】
図3は、運転マップの一例を示す図である。なお、図3では、空調負荷を比率で例示している。図3で示すように、運転マップは、運転比率と空調負荷と時間とが、それぞれ1対1に関連付けられたものである。運転マップでは、空調負荷に対応する、EHP10の負荷率およびGHP12の負荷率のスケジュールが、30分ごとに1日分規定されている。例えば、13:00時に空調負荷が50%より大きく60%以下となった場合、EHPが負荷率60%で運転され、GHPが負荷率60%で運転されることになる。
【0039】
EHP制御部38は、運転比率の情報を含む運転マップを受信し、運転マップで示されるEHP10の負荷率でEHP10を動作させる。GHP制御部48は、運転比率の情報を含む運転マップを受信し、運転マップで示されるGHP12の負荷率でGHP12を動作させる。
【0040】
このように、サーバ制御装置64は、EHP10とGHP12との運転比率を導出し、導出した運転比率を、運転マップを通じてEHP10およびGHP12に指示する。これにより、EHP10およびGHP12は、指示された運転比率で動作することになる。
【0041】
図4は、第1実施形態における運転比率の決定および運転マップの生成について説明するフローチャートである。ここでは、説明の便宜のため、現時点が月の第1日目であるとする。以後、現時点が属する月を、当月という場合がある。
【0042】
運転比率導出部80は、例えば、月の第1日目の午前0時など所定のタイミングが到来すると、当月に対応する過去の空調負荷の実績値を、記憶装置62の実績値データ70から取得する(S10)。当月に対応する過去は、例えば、当月からみて前年の同月としてもよい。
【0043】
ここで、例えば、過去の運転マップの履歴に基づいて、EHP10およびGHP12の動作にかかるエネルギー料金が比較的低くなると推定されるEHP10の負荷率とGHP12の負荷率との比率が、候補として予め準備されている。例えば、EHP10の負荷率が60%であり、GHP12の負荷率が60%である場合の、候補として準備される比率は、1:1となる。
【0044】
運転比率導出部80は、予め準備された複数の比率の中から1つの比率を抽出して仮設定する(S11)。
【0045】
運転比率導出部80は、取得した過去の空調負荷の実績値を、仮設定した比率で、EHP10の負荷率とGHP12の負荷率とに按分する(S12)。これにより、仮設定した比率と過去の空調負荷の実績値とに応じたパターンの運転比率の候補が生成される。
【0046】
運転比率導出部80は、按分された結果のGHP12の負荷率に基づいて、当月の1か月分のガス消費量の予測値を導出する(S13)。例えば、運転比率導出部80は、GHP12の設置位置における外気温度の予測値を、気象予報を提供するサーバ装置などからインターネットなどを通じて取得する。運転比率導出部80は、記憶装置62に記憶されているGHP12についてのCOP特性データ72を読み出す。運転比率導出部80は、按分された結果のGHP12の負荷率と、取得した外気温度の予測値と、GHP12についてのCOP特性データ72とから、GHP12の負荷率におけるCOPを時刻別に導出する。運転比率導出部80は、GHP12の負荷率を、GHP12の負荷率におけるCOPで除算して、時刻別のガス消費量を導出する。運転比率導出部80は、時刻別のガス消費量を、当月の全日数に亘って導出し、それらを加算することで、当月の1か月分のガス消費量の予測値を導出する。
【0047】
また、運転比率導出部80は、按分された結果のEHP10の負荷率に基づいて、当月の1か月分の電力消費量の予測値を導出する(S14)。例えば、運転比率導出部80は、記憶装置62に記憶されているEHP10についてのCOP特性データ72を読み出す。運転比率導出部80は、按分された結果のEHP10の負荷率と、取得した外気温度の予測値と、EHP10についてのCOP特性データ72とから、EHP10の負荷率におけるCOPを時刻別に導出する。運転比率導出部80は、EHP10の負荷率を、EHP10の負荷率におけるCOPで除算して、時刻別の電力消費量を導出する。運転比率導出部80は、時刻別の電力消費量を、当月の全日数に亘って導出し、それらを加算することで、当月の1か月分の電力消費量の予測値を導出する。
【0048】
運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値と、ガス料金テーブル76とに基づいて、当月の1か月分のガス料金の予測値を導出する(S15)。例えば、運転比率導出部80は、記憶装置62に記憶されているガス料金テーブル76を読み出す。運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値とガス料金テーブル76とに基づいて、ガス基本料金とガス従量料金単価とを特定する。運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値に対応するガス従量料金単価に、当月の1か月分のガス消費量の予測値を乗算して、ガス従量料金を導出する。運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値に対応するガス基本料金に、当月の1か月分のガス消費量の予測値に対応するガス従量料金を加算して、当月の1か月分のガス料金の予測値を導出する。
【0049】
また、運転比率導出部80は、当月の1か月分の電力消費量の予測値と、電気料金テーブル74とに基づいて、当月の1か月分の電力料金の予測値を導出する(S16)。例えば、運転比率導出部80は、記憶装置62に記憶されている電気料金テーブル74を読み出す。運転比率導出部80は、電力従量料金の単価に、当月の1か月分の電力消費量の予測値を乗算して、電力従量料金を導出する。運転比率導出部80は、再エネ賦課金の単価に、当月の1か月分の電力消費量の予測値を乗算して、再エネ賦課金を導出する。運転比率導出部80は、電力基本料金と電力従量料金と再エネ賦課金とを加算して、当月の1か月分の電力料金の予測値を導出する。
【0050】
運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス料金の予測値と、当月の1か月分の電力料金の予測値とを加算して、当月の1ヵ月分のエネルギー料金の予測値を導出する(S17)。運転比率導出部80は、導出した当月の1か月分のエネルギー料金の予測値を、生成された運転比率に対応付けて、記憶装置62あるいはメモリに記憶させる(S18)。
【0051】
運転比率導出部80は、予め準備された複数の比率のうち、まだ仮設定されていない残りの比率があるかを判定する(S19)。
【0052】
残りの比率があると判定された場合(S19におけるYES)、運転比率導出部80は、まだ仮設定されていない残りの比率の中から1つの比率を抽出して仮設定する(S11)。そして、運転比率導出部80は、ステップS12以降の処理を繰り返し実行する。
【0053】
このように、運転比率導出部80は、過去の空調負荷の実績値をEHP10の負荷率とGHP12の負荷率とに按分して、EHP10とGHP12との運転比率の候補を複数パターン生成する。運転比率導出部80は、複数パターンの運転比率の候補の各々についてエネルギー料金の予測値を導出する。
【0054】
ステップS19において、残りの比率がないと判定された場合(S19におけるNO)、運転比率導出部80は、複数パターンの運転比率の候補のうち当月の1か月分のエネルギー料金の予測値が最小となるエネルギー料金を特定する(S20)。
【0055】
運転比率導出部80は、特定したエネルギー料金に対応する運転比率の候補を、EHP10およびGHP12に指示する運転比率として決定する(S21)。
【0056】
運転比率導出部80によって運転比率が導出された後、運転マップ生成部82は、導出された運転比率に基づいて、運転マップを生成し(S22)、生成した運転マップをEHP10およびGHP12に送信する。
【0057】
以上のように、第1実施形態の空調システム1では、複数パターンの運転比率の候補の各々について、GHP12の負荷率に基づいて、当月の1か月分のガス料金の予測値が導出され、EHP10の負荷率に基づいて、当月の1か月分の電力料金の予測値が導出され、ガス料金の予測値と電力料金の予測値とから当月の1か月分のエネルギー料金の予測値が導出される。第1実施形態の空調システム1では、複数パターンの運転比率の候補のうち当月の1か月分のエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率の候補が、EHP10およびGHP12に指示する運転比率として決定される。
【0058】
これにより、第1実施形態の空調システム1では、当月の1か月分のガス料金の予測値が導出されるため、ガス基本料金の境界の問題等が考慮された現実的な最小のエネルギー料金を適切に導出することができる。その結果、第1実施形態の空調システム1では、エネルギー料金が最小となるEHP10とGHP12との運転比率の精度を向上させることができる。したがって、第1実施形態の空調システム1によれば、ユーザの経済的なメリットを向上させることができる。
【0059】
また、第1実施形態の空調システム1では、ガス従量料金だけでなくガス基本料金を加味して当月の1か月分のガス料金の予測値が導出される。このため、第1実施形態では、より適正なガス料金の予測値を導出することができる。その結果、第1実施形態の空調システム1では、EHP10とGHP12との運転比率の精度をより向上させることができる。
【0060】
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、現時点が月の第1日目の場合におけるEHPとGHPとの運転比率の導出例を示していた。これに対し、第1実施形態の変形例として、現時点が当月の途中の日である場合、サーバ制御装置64の運転比率導出部80は、運転比率の導出を、以下のように行ってもよい。
【0061】
図5は、第1実施形態の変形例における運転比率の決定および運転マップの生成について説明するフローチャートである。ここでは、現時点が当月の途中の日であるとする。以後、当月のうち現時点以降の残りの期間を、未経過期間(当月未経過期間)という場合があり、当月のうち既に経過した期間を、経過期間(当月経過期間)という場合がある。第1実施形態の変形例の運転比率導出部80は、当月の日が経過するごとに図5の一連の処理を実行してもよい。
【0062】
運転比率導出部80は、当月の途中の各日において、例えば、午前0時などの予め設定された時刻となると、当月の未経過期間に対応する過去の特定期間の空調負荷の実績値を、記憶装置62の実績値データ70から取得する(S30)。特定期間は、例えば、当月からみて前年の同月における未経過期間に対応する期間としてもよい。
【0063】
運転比率導出部80は、予め準備された複数の比率の中から1つの比率を抽出して、未経過期間における比率として仮設定する(S31)。
【0064】
運転比率導出部80は、取得した過去の特定期間の空調負荷の実績値を、仮設定した比率で、EHP10の負荷率とGHP12の負荷率とに按分する(S32)。これにより、仮設定した比率と過去の特定期間の空調負荷の実績値とに応じたパターンの運転比率の候補が生成される。
【0065】
運転比率導出部80は、按分された結果のGHP12の負荷率に基づいて、当月における未経過期間の分のガス消費量の予測値を導出する(S33)。例えば、運転比率導出部80は、按分された結果のGHP12の負荷率と、取得した外気温度の予測値と、GHP12についてのCOP特性データ72とから、GHP12の負荷率におけるCOPを未経過期間の時刻別に導出する。運転比率導出部80は、GHP12の負荷率を、GHP12の負荷率におけるCOPで除算して、未経過期間の時刻別のガス消費量を導出する。運転比率導出部80は、未経過期間の時刻別のガス消費量を、当月の未経過期間の分だけ加算することで、当月の未経過期間の分のガス消費量の予測値を導出する。
【0066】
また、運転比率導出部80は、按分された結果のEHP10の負荷率に基づいて、当月における未経過期間の分のガス消費量の予測値を導出する(S34)。例えば、運転比率導出部80は、按分された結果のEHP10の負荷率と、取得した外気温度の予測値と、EHP10についてのCOP特性データ72とから、EHP10の負荷率におけるCOPを未経過期間の時刻別に導出する。運転比率導出部80は、EHP10の負荷率を、EHP10の負荷率におけるCOPで除算して、未経過期間の時刻別の電力消費量を導出する。運転比率導出部80は、未経過期間の時刻別の電力消費量を、当月の未経過期間の分だけ加算することで、当月の未経過期間の分の電力消費量の予測値を導出する。
【0067】
ここで、サーバ制御装置64は、1日の終了時点において当日のガス消費量の実績値および電力消費量の実績値を記憶装置62に記憶させる。
【0068】
運転比率導出部80は、当月のうち既に経過した期間である経過期間の1日ごとのガス消費量の実績値を記憶装置62から取得し、取得した1日ごとのガス消費量を、当月の経過期間の分だけ加算することで、当月の経過期間の分のガス消費量の実績値を導出する(S35)。
【0069】
運転比率導出部80は、当月における経過期間の1日ごとの電力消費量の実績値を記憶装置62から取得し、取得した1日ごとの電力消費量を、当月の経過期間の分だけ加算することで、当月における経過期間の分の電力消費量の実績値を導出する(S36)。
【0070】
運転比率導出部80は、当月における未経過期間の分のガス消費量の予測値と、当月における経過期間の分のガス消費量の実績値とを加算して、当月の1か月分のガス消費量の予測値を導出する(S37)。
【0071】
運転比率導出部80は、当月における未経過期間の分の電力消費量の予測値と、当月における経過期間の分の電力消費量の実績値とを加算して、当月の1か月分の電力消費量の予測値を導出する(S38)。
【0072】
運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値と、ガス料金テーブル76とに基づいて、当月の1か月分のガス料金の予測値を導出する(S39)。例えば、運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値とガス料金テーブル76とに基づいて、ガス基本料金とガス従量料金単価とを特定する。運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値に対応するガス従量料金単価に、当月の1か月分のガス消費量の予測値を乗算して、ガス従量料金を導出する。運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス消費量の予測値に対応するガス基本料金に、当月の1か月分のガス消費量の予測値に対応するガス従量料金を加算して、当月の1か月分のガス料金の予測値を導出する。
【0073】
運転比率導出部80は、当月の1か月分の電力消費量の予測値と、電気料金テーブル74とに基づいて、当月の1か月分の電力料金の予測値を導出する(S40)。例えば、運転比率導出部80は、電力従量料金の単価に、当月の1か月分の電力消費量の予測値を乗算して、電力従量料金を導出する。運転比率導出部80は、再エネ賦課金の単価に、当月の1か月分の電力消費量の予測値を乗算して、再エネ賦課金を導出する。運転比率導出部80は、電力基本料金と電力従量料金と再エネ賦課金とを加算して、当月の1か月分の電力料金の予測値を導出する。
【0074】
運転比率導出部80は、当月の1か月分のガス料金の予測値と、当月の1か月分の電力料金の予測値とを加算して、当月の1ヵ月分のエネルギー料金の予測値を導出する(S41)。運転比率導出部80は、導出した当月の1か月分のエネルギー料金の予測値を、生成された運転比率に対応付けて、記憶装置62あるいはメモリに記憶させる(S42)。
【0075】
運転比率導出部80は、予め準備された複数の比率のうち、まだ仮設定されていない残りの比率があるかを判定する(S43)。
【0076】
残りの比率があると判定された場合(S43におけるYES)、運転比率導出部80は、まだ仮設定されていない残りの比率の中から1つの比率を抽出して、未経過期間における比率として仮設定する(S11)。そして、運転比率導出部80は、ステップS12以降の処理を繰り返し実行する。
【0077】
このように、運転比率導出部80は、過去の特定期間の空調負荷の実績値をEHP10の負荷率とGHP12の負荷率とに按分して、未経過期間におけるEHP10とGHP12との運転比率の候補を複数パターン生成する。運転比率導出部80は、複数パターンの運転比率の候補の各々についてエネルギー料金の予測値を導出する。
【0078】
ステップS43において、残りの比率がないと判定された場合(S43におけるNO)、運転比率導出部80は、複数パターンの運転比率の候補のうち当月の1か月分のエネルギー料金の予測値が最小となるエネルギー料金を特定する(S20)。
【0079】
運転比率導出部80は、特定したエネルギー料金に対応する運転比率の候補を、未経過期間におけるEHP10およびGHP12に指示する運転比率として決定する(S21)。
【0080】
運転比率導出部80によって運転比率が導出された後、運転マップ生成部82は、導出された運転比率に基づいて、運転マップを生成し(S46)、生成した運転マップをEHP10およびGHP12に送信する。
【0081】
以上のように、第1実施形態の変形例の空調システム1では、未経過期間における複数パターンの運転比率の候補の各々について、未経過期間の分のガス消費量の予測値と経過期間の分のガス消費量の実績値とに基づいて、当月の1か月分のガス料金の予測値が導出され、未経過期間の分の電力消費量の予測値と経過期間の分の電力消費量の実績値とに基づいて、当月の1か月分の電力料金の予測値が導出され、当月の1か月分のガス料金の予測値と当月の1か月分の電力料金の予測値とから、当月の1か月分のエネルギー料金の予測値が導出される。第1実施形態の変形例の空調システム1では、未経過期間における複数パターンの運転比率の候補のうち当月の1か月分のエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率の候補が、未経過期間におけるEHP10およびGHP12に指示する運転比率として決定される。
【0082】
これにより、第1実施形態の変形例の空調システム1では、現時点が当月の途中であっても、経過期間のガス消費量の実績値が当月の1か月分のガス料金の予測値に反映されるため、当月の1か月分のガス料金の予測値を、より現実的に導出することができる。その結果、第1実施形態の変形例の空調システム1では、エネルギー料金が最小となるEHP10とGHP12との運転比率の精度を向上させることができる。
【0083】
例えば、冷房が行われる期間に当月が属しており、当月の初旬において、前年の空調負荷に基づいて運転比率を指示していたが、実際には、前年よりも外気温度が高くて空調負荷が増加してしまった、というような例があるとする。この例において、当月の初旬を経過した時点で、当月の初旬のガス消費量の実績値が、当月の当初に推定していたガス消費量よりも多くなる。そうすると、当月の初旬を経過した時点では、当初に推定していたガス消費量よりも多いガス消費量の実績値と、当月の未経過期間のガス消費量の推定値とから、当月の1か月分のガス料金の推定値が導出される。
【0084】
これにより、当月の1か月分のガス料金の推定値が、当月の当初に推定していた値とは異なる、現時点でより現実的な値に補正される。そして、現時点におけるガス料金の推定値に基づいて、EHP10およびGHP12に指示する運転比率が、現時点で料金が最小となる、より現実的な運転比率に補正される。
【0085】
第1実施形態の変形例の空調システム1では、上述の第1実施形態と同様に、エネルギー料金が最小となるEHP10とGHP12との運転比率の精度を向上させることができ、ユーザの経済的なメリットを向上させることができる。
【0086】
第1実施形態の変形例の空調システム1では、当月中の日が経過するごとに上述の運転比率の導出を繰り返し行うことで、当月の1か月分のガス料金の推定値が、当月のうちの日が経過するに従って、より現実的な1か月分のガス料金の推定値となるように逐次補正することができる。その結果、第1実施形態の変形例の空調システム1では、現実に合わせて、より適正な運転比率を指示することができる。
【0087】
なお、第1実施形態および第1実施形態の変形例では、当月の経過期間のガス消費量の実績値が反映されたエネルギー料金が最小となるような運転比率が導出されていた。しかし、運転比率導出部80は、当月の経過期間のガス消費量の実績値を反映して、エネルギー消費量が最小となるような運転比率を導出してもよい。また、運転比率導出部80は、当月の経過期間のガス消費量の実績値を反映して、CO2(二酸化炭素)排出量が最小となるような運転比率を導出してもよい。また、空調システム1が適用されている需要家に、空調システム1以外の給湯設備や厨房設備等のガス機器が併設されている場合、ガス消費量の予測値および実績値は、これら給湯設備や厨房設備等の機器のガス消費量を含んでもよい。
【0088】
(第2実施形態)
ところで、従来の空調システムでは、空調システムが適用されている需要家の建物全体における許容可能な消費電力の上限値である目標電力デマンド設定値が設定されていることがある。目標電力デマンド設定値は、例えば、需要家の契約電力に設定される。EHPおよびGHPを有する空調システムでは、需要家の建物全体の消費電力が、目標電力デマンド設定値、換言すると、契約電力を超えないように、EHPとGHPとの運転比率が制御される。
【0089】
上述のように、電気料金テーブルの電力基本料金は、契約電力に応じて設定されている。このため、契約電力を下げることができれば、電力料金を低減させることが可能であり、需要家にとって経済的なメリットを向上させることができる。
【0090】
図6は、第2実施形態にかかる空調システム200の構成の一例を示す概略ブロック図である。第2実施形態の空調システム200では、管理サーバ16のサーバ制御装置64の動作と、管理サーバ16の記憶装置62に記憶されるデータとが第1実施形態の空調システム1と異なるが、システム構成については図1に示す第1実施形態の構成と同じである。このため、第2実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と共通する点については、便宜のため説明を省略する。
【0091】
以後、空調システム200が適用されている需要家の建物全体の消費電力を、全体消費電力という場合がある。全体消費電力は、例えば、家電や照明など、需要家の建物における各種の電気的な負荷の消費電力を含む。また、全体消費電力は、需要家の建物に適用されている空調システム200におけるEHP10の消費電力およびGHP12の消費電力を含む。
【0092】
GHP12の消費電力は、例えば、ガスエンジン40の点火にかかる消費電力程度であるため、GHP12の負荷率に拘わらず、全体消費電力からみれば極僅かである。また、GHP12の負荷率が変化しても、GHP12の消費電力の変化量は少ない。
【0093】
これに対し、EHP10の消費電力は、電動機30を動作させる電力を含むため、EHP10の負荷率が上昇するに従って上昇するとともに、全体消費電力における寄与度が大きい。このため、EHP10の消費電力が大きく上昇すると、全体消費電力もEHP10の消費電力の上昇に伴って大きく上昇することとなる。逆に、EHP10の消費電力を抑制することで、全体消費電力も抑制可能である。
【0094】
記憶装置62には、全体消費電力データ210が記憶されている。全体消費電力データ210は、EHP10およびGHP12が設置された建物全体における全体消費電力の過去の実績値が日時に関連付けられたものである。すなわち、全体消費電力データ210は、過去の全体消費電力の推移の履歴を含んでいる。
【0095】
サーバ制御装置64は、例えば、建物が電力系統と接続される受電点に設けられるメータから定期的に全体消費電力を取得し、取得した全体消費電力を、取得した日時に関連付けて、全体消費電力データ210として記憶装置62に記憶させる。
【0096】
サーバ制御装置64は、プロセッサがプログラムを実行することで、設定値導出部220としても機能する。設定値導出部220は、目標電力デマンド設定値を導出する。目標電力デマンド設定値の導出については後に詳述する。
【0097】
運転比率導出部80は、設定値導出部220によって導出された目標電力デマンド設定値を全体消費電力が超えないようなEHP10とGHP12との運転比率を導出する。運転マップ生成部82は、導出された運転比率に基づいて運転マップを生成し、生成した運転マップをEHP10およびGHP12に送信する。これにより、EHP10およびGHP12は、目標電力デマンド設定値を全体消費電力が超えないような運転比率で運転されることになる。
【0098】
図7は、目標電力デマンド設定値の決定方法の概略を説明する図である。図7では、全体消費電力データ210に含まれる、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値の推移の一例が示されている。過去の所定の期間は、例えば、現時点から1年前までの、直近の過去1年間とするが、この例に限らず、過去の任意の期間としてもよい。
【0099】
以後、説明の便宜のため、過去の所定の期間において、全体消費電力の実績値が最大値となる時点を、ピーク時という場合がある。図7の例では、時点T10が、過去の所定の期間におけるピーク時である。
【0100】
図7の実線A10は、目標電力デマンド設定値を新たに導出する前の、現在の目標電力デマンド設定値を示す。図7で示すように、ピーク時の全体消費電力の実績値は、現在の目標電力デマンド設定値以下となっている。
【0101】
ここで、現時点から将来では、全体消費電力が、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値の推移と同様に推移すると仮定することができる。そうした場合、過去のピーク時に対応する将来の時点において、全体消費電力を低下させることができれば、将来の目標電力デマンド設定値も低下させることが可能である。以後、過去のピーク時に対応する将来の時点を、説明の便宜のため、将来ピーク時という場合がある。
【0102】
例えば、ピーク時の全体消費電力の実績値に含まれるEHP10の消費電力を、将来ピーク時において抑制することができれば、将来ピーク時における全体消費電力を抑制することが可能である。ただし、単に、EHP10の消費電力を抑制するだけでは、将来ピーク時の空調負荷に対応できないおそれがあるため、消費電力を抑制することにより減少するEHP10の負荷率に相当する分だけ、GHP12の負荷率を上昇させる。GHP12の負荷率を上昇させても、全体消費電力は、実質的に上昇しないとみなすことができる。
【0103】
すなわち、設定値導出部220は、将来ピーク時の空調負荷の推定値とみなせる過去のピーク時の空調負荷の実績値を、GHP12の負荷率が最大限となり、EHP10の負荷率が最小限となるように按分する。設定値導出部220は、このような按分に基づいて、抑制後の全体消費電力を導出する。これにより、将来ピーク時の空調負荷に対応しつつ、将来ピーク時の全体消費電力を抑制することができる。
【0104】
将来ピーク時の抑制後の全体消費電力は、将来の全体消費電力の推定値の最大値と想定することができる。このため、設定値導出部220は、将来ピーク時の抑制後の全体消費電力を、今後の新たな目標電力デマンド設定値として決定する。そして、今後、全体消費電力が新たな目標電力デマンド設定値を超えないように運転比率が制御される。
【0105】
また、ピーク時の空調負荷の実績値に基づいて導出された抑制後の全体消費電力によっては、過去の所定の期間におけるピーク時を除外した他の時点の全体消費電力が、抑制後の全体消費電力を超える場合がある。
【0106】
以後、説明の便宜のため、過去の所定の期間における全体消費電力が最大値となるピーク時を、第1ピーク時という場合がある。また、過去の所定の期間において、第1ピーク時を除外した場合に全体消費電力の実績値が最大値となる時点、すなわち、第1ピーク時の次のピーク時を、第2ピーク時という場合がある。図7の例では、時点T10が第1ピーク時であり、時点T20が第2ピーク時であるとする。また、過去の第1ピーク時に対応する将来の時点を、第1将来ピーク時という場合があり、過去の第2ピーク時に対応する将来の時点を、第2将来ピーク時という場合がある。
【0107】
図7の実線A20は、第1ピーク時に関して導出された抑制後の全体消費電力である第1抑制後全体消費電力の一例を示す。図7の例では、第2ピーク時である時点T20における全体消費電力の実績値が、第1抑制後全体消費電力を超えている。このような場合、第2ピーク時に対応する第2将来ピーク時の全体消費電力が、第1抑制後全体消費電力を超えるおそれがある。
【0108】
そこで、第1将来ピーク時と同様に、第2将来ピーク時についても、GHP12の負荷率を上昇させ、EHP10の消費電力を抑制させる。すなわち、設定値導出部220は、第2将来ピーク時の空調負荷の推定値とみなせる過去の第2ピーク時の空調負荷の実績値を、GHP12の負荷率が最大となり、EHP10の負荷率が最小となるように按分する。設定値導出部220は、このような按分に基づいて、第2将来ピーク時における抑制後の全体消費電力を導出する。
【0109】
図7の一点鎖線A30は、第2ピーク時に関して導出された抑制後の全体消費電力である第2抑制後全体消費電力の第1例を示す。図7の一点鎖線A30で示すように、第2抑制後全体消費電力が、第1抑制後全体消費電力以下の場合、第1抑制後全体消費電力を今後の新たな目標電力デマンド設定値として決定されても、第2将来ピーク時において実際に全体消費電力を抑制すれば、第2将来ピーク時においても、全体消費電力が目標電力デマンド設定値を超えないようにすることができる。このような場合、設定値導出部220は、第1抑制後全体消費電力を、今後の新たな目標電力デマンド設定値として決定する。
【0110】
図7の一点鎖線A32は、第2抑制後全体消費電力の第2例を示す。図7の一点鎖線A32で示すように、第2抑制後全体消費電力が、第1抑制後全体消費電力を超える場合、第1将来ピーク時において実際に全体消費電力を抑制したとしても、第2将来ピーク時において、全体消費電力が、第1抑制後全体消費電力を超えてしまう。そうすると、第1抑制後全体消費電力を新たな目標電力デマンド設定値として決定してしまうと、第2将来ピーク時において、全体消費電力が、新たな目標電力デマンド設定値を超えると推定される。
【0111】
そこで、第2抑制後全体消費電力が第1抑制後全体消費電力を超える場合、設定値導出部220は、全体消費電力が大きい方である、第2抑制後全体消費電力を、新たな目標電力デマンド設定値として決定する。これにより、今後、全体消費電力が新たな目標電力デマンド設定値を超えないように適切に制御することが可能となる。
【0112】
ここでは、第2ピーク時までの例を説明した。しかし、第2ピーク時の次のピーク時以降についても、抑制後の全体消費電力を超える消費電力があると推定される場合には、第1ピーク時および第2ピーク時と同様にして抑制後の全体消費電力の導出を繰り返してもよい。
【0113】
すなわち、設定値導出部220は、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値が最大となるピーク時を、全体消費電力が高い順に順番に特定してもよい。設定値導出部220は、抑制後の全体消費電力を、各々のピーク時に関して導出し、各々の抑制後の全体消費電力のうちの最大値を特定してもよい。設定値導出部220は、過去の所定の期間における特定済のピーク時を除外した分において、抑制後の全体消費電力の最大値を超える全体消費電力の実績値があるかを判定してもよい。設定値導出部220は、抑制後の全体消費電力の最大値を超える全体消費電力の実績値がないと判定された場合、抑制後の全体消費電力の最大値を、目標電力デマンド設定値として決定するようにしてもよい。
【0114】
図8は、設定値導出部220の動作の流れを説明するフローチャートである。設定値導出部220は、特定のタイミングが到来すると目標電力デマンド設定値を導出する一連の処理を開始する。特定のタイミングは、例えば、月の第1日目や年の第1日目などの予め設定された任意のタイミングであってもよいし、空調システム200のユーザなどによる所定の入力操作が入力されたタイミングであってもよい。
【0115】
特定のタイミングが到来すると、設定値導出部220は、現時点の日時に基づいて過去の所定の期間を特定し、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値を、記憶装置62の全体消費電力データ210から取得する(S50)。
【0116】
設定値導出部220は、取得した全体消費電力の実績値に基づいて、ピーク時を特定する(S51)。例えば、設定値導出部220は、取得した全体消費電力の実績値のうちの最大値に関連付けられた日時をピーク時とする。
【0117】
なお、後述するが、ステップS51におけるピーク時の特定は、後述の所定条件の下で繰り返し実行されることがある。1回目のピーク時の特定では、第1ピーク時が特定され、2回目のピーク時の特定では、第2ピーク時が特定されるという具合に、ステップS51が繰り返されるごとに、全体消費電力が高い順に順番に次のピーク時が特定されることになる。
【0118】
設定値導出部220は、ステップS51で特定されたピーク時における空調負荷の実績値および運転比率の実績値を、記憶装置62の実績値データ70から取得する(S52)。
【0119】
設定値導出部220は、取得したピーク時の運転比率の実績値に含まれるEHPの負荷率の実績値から、EHP10の消費電力の実績値を導出する(S53)。
【0120】
設定値導出部220は、取得したピーク時の空調負荷の実績値を、GHP12の負荷率が最大となりEHP10の負荷率が最小となるように按分する(S54)。例えば、設定値導出部220は、空調負荷の実績値が、GHP12の負荷率が最大値のときのGHP12の最大出力以下である場合、GHP12の負荷率を、GHP12の出力が空調負荷の実績値と実質的に同じとなるような値とし、EHP10の負荷率をゼロとする。また、設定値導出部220は、空調負荷の実績値が、GHP12の負荷率が最大値のときのGHP12の最大出力を超える場合が、GHP12の負荷率を最大値とし、EHP10の負荷率を、空調負荷の実績値からGHP12の最大出力を減算した値に相当する値とする。
【0121】
このように按分することで、ステップS51で特定されたピーク時に対応する将来ピーク時の運転比率の推定値であり、EHP10の負荷率が抑制された運転比率が導出される。
【0122】
設定値導出部220は、ステップS54における按分により導出された運転比率に含まれる抑制後のEHP10の負荷率から、抑制後のEHP10の消費電力を導出する(S55)。
【0123】
設定値導出部220は、ステップS53において導出されたEHP10の消費電力の実績値から、ステップS55において導出された抑制後のEHP10の消費電力を減算して、EHP10の消費電力の差分値を導出する(S56)。
【0124】
設定値導出部220は、ステップS51で特定されたピーク時における全体消費電力の実績値から、ステップS56において導出されたEHP10の消費電力の差分値を減算して、ステップS51で特定されたピーク時に対応する将来ピーク時における抑制後の全体消費電力を導出する(S57)。例えば、ステップS51において第1ピーク時が特定された場合、第1ピーク時に関する第1抑制後全体消費電力が導出され、ステップS51において第2ピーク時が特定された場合、第2ピーク時に関する第2抑制後全体消費電力が導出される。
【0125】
設定値導出部220は、ステップS57において導出された抑制後の全体消費電力を、記憶装置62あるいはメモリに記憶させる。
【0126】
設定値導出部220は、導出された抑制後の全体消費電力の中から、抑制後の全体消費電力の最大値を特定する(S59)。例えば、ステップS51において第1ピーク時が特定された場合、導出された抑制後の全体消費電力が1つだけであるため、第1ピーク時に関する第1抑制後全体消費電力が最大値として特定される。また、例えば、ステップS51において第2ピーク時が特定された場合、第1抑制後全体消費電力と第2抑制後全体消費電力とのうち大きい方が最大値として特定される。このようにして、抑制後の全体消費電力の最大値が更新される。
【0127】
設定値導出部220は、過去の所定の期間において、ステップS51で特定されたピーク時の全体消費電力の実績値を除外して、ステップS59で特定された最大値を超える全体消費電力の実績値があるかを判定する(S60)。例えば、ステップS51で第1ピーク時が特定された場合、設定値導出部220は、ステップS60において、第1ピーク時の全体消費電力を除外して、第1抑制後全体消費電力を超える全体消費電力の実績値があるかを判定する。
【0128】
最大値を超える全体消費電力の実績値があると判定された場合(S60におけるYES)、設定値導出部220は、ステップS51で特定済のピーク時を、過去の所定の期間から除外する(S61)。そして、設定値導出部220は、過去の所定の期間のうち除外したピーク時以外を対象として、ピーク時を特定する(S51)。例えば、第1ピーク時が除外された場合、第1ピーク時の全体消費電力の実績値の次に最大値となる全体消費電力の実績値に関連付けられた日時がピーク時(すなわち、第2ピーク時)として特定される。
【0129】
なお、特定済のピーク時(例えば、第1ピーク時)がステップS61で除外されることから、ステップS51で2番目のピーク時(すなわち、第2ピーク時)が特定された場合、2番目のステップS60では、第1ピーク時が比較対象から除外されることとなり、ステップS60の比較処理を適正に行うことができる。
【0130】
最大値を超える全体消費電力の実績値がないと判定された場合(S60におけるNO)、設定値導出部220は、ステップS59で特定された抑制後の全体消費電力の最大値を、目標電力デマンド設定値として決定し(S62)、一連の処理を終了する。
【0131】
このように、設定値導出部220は、抑制後の全体消費電力の最大値を超える全体消費電力の実績値がなくなるまで、ピーク時の特定および抑制後の全体消費電力の導出を繰り返し、抑制後の全体消費電力の最大値を更新する。設定値導出部220は、抑制後の全体消費電力の最大値を超える全体消費電力の実績値がなくなったときの抑制後の全体消費電力の最大値を、新たな目標電力デマンド設定値として決定する。
【0132】
ところで、契約電力は、一般的に、1年ごとに更新が可能となっている。また、契約電力は、更新時点を基準とした直近の1年間の全体消費電力の実績値のうちの最大値に応じて更新される。
【0133】
例えば、新たな目標電力デマンド設定値を決定することで、目標電力デマンド設定値を350kWから300kWに変更できたと仮定する。そして、目標電力デマンド設定値を変更後、変更後の目標電力デマンド設定値を超えないように運転比率を制御することで、契約電力の次の更新時まで、全体消費電力の最大値を300kWに抑制できたとする。そうすると、契約電力の更新時点が到来したときに、契約電力が350kWから300kWに更新される。このようにして契約電力が低くなると、電力料金を低減することができる。
【0134】
以上のように、第2実施形態の空調システム200では、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値が最大値となるピーク時が特定され、ピーク時のEHPの消費電力の実績値が導出される。第2実施形態の空調システム200では、ピーク時の空調負荷の実績値を、GHPの負荷率が最大限となり、EHPの負荷率が最小限となるように按分して、抑制後のEHPの消費電力が導出される。第2実施形態の空調システム200では、ピーク時のEHPの消費電力の実績値から、抑制後のEHPの消費電力を減算して、EHPの消費電力の差分値が導出され、ピーク時の全体消費電力の実績値からEHPの消費電力の差分値を減算して、抑制後の全体消費電力が導出される。第2実施形態の空調システム200では、抑制後の全体消費電力が、目標電力デマンド設定値として決定される。
【0135】
これにより、第2実施形態の空調システム200では、目標電力デマンド設定値をより適切な値にすることができる。その結果、第2実施形態の空調システム200では、契約電力を下げることが可能となり、電力料金を抑制することができる。したがって、第2実施形態の空調システム200によれば、ユーザの経済的なメリットを向上させることができる。
【0136】
なお、第2実施形態の空調システム200において、目標電力デマンド設定値を決定した後の運転比率の導出については、上述の第1実施形態および第1実施形態の変形例と同様にして行ってもよい。
【0137】
(第3実施形態)
ところで、GHPは、ガスエンジンを有するため、機械的な可動部が多く、定期的に部品交換などのメンテナンスが行われる。例えば、GHPは、GHPの導入開始からのGHPの運転時間の累積値が1万時間に到達したタイミングで1回目のメンテナンスが行われ、GHPの運転時間の累積値が1万時間増加するごとに、そのタイミングでメンテナンスが行われる。以後、説明の便宜のため、GHPの運転時間を所定期間に亘って累積した時間を、累積運転時間という場合がある。また、メンテナンスの回数を、メンテナンス回数という場合がある。
【0138】
一方、EHP10は、ガスエンジン40を有しておらず、機械的な可動部が少ないため、定期的な部品交換などのメンテナンスは行われない。
【0139】
また、空調システムの提供者とユーザとの間の当該空調システムの契約期間は、例えば、当該空調システムの導入開始時点から15年間などのように、当該空調システムの性能が保障される期間とされる。EHPおよびGHPを有する空調システムにおける性能が保障される期間は、例えば、空調システムを構成する機器のうちメンテナンスが必要なGHPの性能が保障される期間に基づいて設定されることがある。以後、説明の便宜のため、性能が保障される期間を、性能保障期間という場合がある。
【0140】
GHPの性能保障期間(換言すると、空調システムの性能保障期間)中に、GHPの累積運転時間に応じてGHPのメンテナンスの実行タイミングが到来すると、GHPのメンテナンスが実行される。GHPのメンテナンスが行われると、ユーザは、GHPのメンテナンスにかかる料金の負担を強いられる。
【0141】
これを踏まえると、GHPの性能保障期間中におけるGHPのメンテナンスの回数を抑制することができれば、メンテナンスを抑制した分の料金が発生せず、ユーザにとって経済的なメリットを向上させることができる。
【0142】
図9は、第3実施形態にかかる空調システム300の構成の一例を示す概略ブロック図である。第3実施形態の空調システム300では、管理サーバ16のサーバ制御装置64の動作と、管理サーバ16の記憶装置62に記憶されるデータとが第1実施形態の空調システム1と異なるが、システム構成については図1に示す第1実施形態の構成と同じである。このため、第3実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と共通する点については、便宜のため説明を省略する。
【0143】
記憶装置62には、運転時間データ310が記憶されている。運転時間データ310は、少なくともGHP12の運転時間の過去の実績値が日時に関連付けられたものである。すなわち、運転時間データ310は、GHP12の過去の運転時間の推移の履歴を含んでいる。
【0144】
サーバ制御装置64は、例えば、GHP12の動作中においてGHP12の運転時間を計測している。サーバ制御装置64は、1日の終了タイミングにおいて、当日に計測されたGHP12の運転時間を、当日の日に関連付けて、運転時間データ310として記憶装置62に記憶させる。
【0145】
サーバ制御装置64は、プロセッサがプログラムを実行することで、運転時間制御部320としても機能する。運転時間制御部320は、GHP12のメンテナンスの回数を削減するようにGHP12の運転時間を制御する。運転時間制御部320については、後に詳述する。
【0146】
図10は、GHP12の運転時間の制御に関する処理の流れを説明するフローチャートである。運転時間制御部320は、特定のタイミングが到来するとGHP12の運転時間の制御に関する一連の処理を開始する。特定のタイミングは、例えば、月の第1日目や年の第1日目などの予め設定された任意のタイミングであってもよいし、空調システム300のユーザなどによる所定の入力操作が入力されたタイミングであってもよい。
【0147】
上述のように、GHP12の性能保障期間は、GHP12の導入開始時点から性能保障期間の終了時点までの期間である。以後、GHP12の性能保障期間のうちGHP12の導入開始時点から現時点までの期間を、経過期間(保障経過期間)という場合がある。GHP12の性能保障期間のうち現時点からGHP12の性能保障期間の終了時点までの期間を、未経過期間(保障未経過期間)という場合がある。
【0148】
特定のタイミングが到来すると、運転時間制御部320は、GHP12の導入開始時点から現時点までの経過期間におけるGHP12の過去の運転時間の実績値を、記憶装置62の運転時間データ310から取得する(S70)。
【0149】
運転時間制御部320は、取得した過去の運転時間の実績値を、経過期間に亘って加算することで、経過期間におけるGHP12の累積運転時間の実績値を導出する(S71)。
【0150】
運転時間制御部320は、GHP12の過去の運転時間の実績値に基づいて、現時点からGHP12の性能保障期間の終了時点までの未経過期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値を導出する(S72)。例えば、運転時間制御部320は、現時点を基準とした直近の所定期間(例えば、直近の1年間)のGHP12の運転時間の実績値を当該直近の所定期間に亘って加算して、当該直近の所定期間におけるGHP12の累積運転時間の実績値を導出する。運転時間制御部320は、当該直近の所定期間におけるGHP12の累積運転時間の実績値を、未経過期間の分だけ加算して、未経過期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値を導出する。
【0151】
運転時間制御部320は、ステップS71で導出された経過期間におけるGHP12の累積運転時間の実績値と、ステップS72で導出された未経過期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値とを加算して、GHP12の性能保障期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値を導出する(S73)。
【0152】
運転時間制御部320は、GHP12の性能保障期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値に基づいて、GHP12の性能保障期間中におけるGHP12のメンテナンス回数の推定値を導出する(S74)。例えば、運転時間制御部320は、GHP12の性能保障期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値を、1回分のメンテナンスが発生するまでに要するGHP12の累積運転時間で除算して、メンテナンス回数の推定値を導出する。
【0153】
なお、例示した除算によるメンテナンス回数の推定値の導出方法では、小数点以下は切り捨てられ、メンテナンス回数の推定値は、整数で導出される。例えば、1回分のメンテナンスが発生するまでに要するGHP12の累積運転時間が、1万時間であるとする。GHP12の性能保障期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値が、3万1千時間である例では、メンテナンス回数の推定値は、3回とされ、GHP12の性能保障期間におけるGHP12の累積運転時間の推定値が、2万9千時間である例では、メンテナンス回数の推定値は、2回とされる。
【0154】
運転時間制御部320は、導出されたメンテナンス回数の推定値からメンテナンス回数を1回削減することが可能な累積運転時間の閾値を導出する(S75)。
【0155】
上述のように、1回分のメンテナンスが発生するまでに要するGHP12の累積運転時間が、1万時間であるとする。メンテナンス回数の推定値が3回であった場合、性能保障期間における累積運転時間の推定値を3万時間未満にすれば、メンテナンス回数を1回削減して2回とすることが可能である。そこで、運転時間制御部320は、3万時間から所定のマージン分の時間を減算した時間を、累積運転時間の閾値とする。所定のマージン分の時間は、例えば、1千時間などとするが、未経過期間での将来の累積運転時間の誤差を考慮した任意の時間に設定されてもよい。この例において、運転時間制御部320は、3万時間から1千時間を減算した2万9千時間を、累積運転時間の閾値とする。
【0156】
運転時間制御部320は、ステップS73で導出された性能保障期間の累積運転時間の推定値から、ステップS75で導出された累積運転時間の閾値を減算して、メンテナンスの回数を1回削減するために削減を要するGHP12の累積運転時間である削減時間を導出する(S76)。
【0157】
運転時間制御部320は、ステップS76で導出された削減時間と、未経過期間の長さとに基づいて、EHP10の単独運転とGHP12の単独運転との切り替えが行われる空調負荷率を示す空調負荷率の境界値を導出する(S77)。
【0158】
図11は、空調負荷率の境界値の導出について説明する図である。図11において、横軸は空調負荷率を示し、縦軸はEHP10およびGHP12の各機器の効率を示す。より詳細には、図11中、実線B10および破線B12は、空調負荷率に対するEHP10の効率を示し、実線B20、破線B22および破線B24は、空調負荷率に対するGHP12の効率を示し、実線B30は、空調負荷率に対するEHP10とGHP12との合計の効率を示す。
【0159】
図11で示すように、空調負荷率「L10」は、EHP10の効率を示す曲線とGHP12の効率を示す曲線との交点に対応する。また、空調負荷率「L20」は、GHP12の効率を示す曲線と、EHP10とGHP12との合計の効率を示す曲線との交点に対応する。
【0160】
空調負荷率が「L10」以下のとき、GHP12が停止されEHP10のみが運転されるEHP単独運転状態とされる。これに対し、空調負荷率が「L10」より大きく空調負荷率が「L20」以下のとき、EHP10が停止されGHP12のみが運転されるGHP単独運転状態とされる。また、空調負荷率が「L20」以上のとき、EHP10とGHP12との両方が運転される混在運転状態とされる。
【0161】
そうすると、空調負荷率「L10」のところで、EHPの単独運転とGHPの単独運転との切り替えが行われることになる。すなわち、空調負荷率「L10」が境界値を示す。
【0162】
ここで、「L10」の位置の境界値を、仮に、「L10」よりも空調負荷率が大きい「L30」の位置にシフトさせたとする。そうすると、EHP単独運転状態となる空調負荷率の範囲が拡大され、その結果、GHP単独運転状態となる空調負荷率の範囲が縮小されることになる。GHP単独運転状態となる空調負荷率の範囲が縮小されると、GHP12が運転される頻度が低下し、GHP12の運転時間が減少する。
【0163】
そこで、図10のステップS77において、運転時間制御部320は、境界値が現時点の値よりも大きい値となるように境界値を導出する。
【0164】
例えば、運転時間制御部320は、ステップS76で導出された削減時間が大きいほど、現時点の境界値からのシフト量が多くなるように、境界値を導出してもよい。
【0165】
また、例えば、運転時間制御部320は、未経過時間の長さが長いほど、現時点の境界値からのシフト量が多くなるように境界値を導出してもよい。
【0166】
より詳細には、例えば、削減時間と、未経過時間の長さと、空調負荷率の境界値とが関連付けられた境界値導出マップが、記憶装置62に予め記憶されていてもよい。運転時間制御部320は、導出された削減時間と、実際の未経過時間の長さと、境界値導出マップとから、境界値を導出してもよい。
【0167】
なお、削減時間と未経過時間の長さの両方に基づいて境界値が導出されていた。しかし、運転時間制御部320は、未経過時間の長さに拘わらず、少なくとも削減時間に基づいて境界値を導出するようにしてもよい。
【0168】
境界値の導出後、運転時間制御部320は、導出された境界値が、予め設定された所定値以下であるかを判定する(S78)。ここでの所定値は、例えば、30%などのように、EHP10の効率が許容される下限値となるときの空調負荷率に設定されてもよい。すなわち、ステップS78は、導出した境界値を採用した場合のEHP単独運転状態となる空調負荷率の範囲が、EHPの効率が許容される範囲内に収まっているかを判定することに相当する。
【0169】
境界値が所定値以下であると判定した場合(S78におけるYES)、運転時間制御部320は、境界値を更新してもEHP単独運転状態でのEHP10の効率が許容範囲内に収まることになるため、メンテナンス回数を1回削減可能であると判定する(S79)。そして、運転時間制御部320は、空調負荷率の境界値を、ステップS77で導出された値に更新し(S80)、ステップS83の処理に進む。
【0170】
一方、境界値が所定値を超えると判定した場合(S78におけるNO)、運転時間制御部320は、境界値を更新するとEHP単独運転状態でのEHP10の効率が極端に低下することになるため、メンテナンス回数の削減が不可であると判定する(S81)。そして、運転時間制御部320は、ステップS77で導出された境界値への更新は行わず、空調負荷率の境界値を現時点の値に維持し(S82)、ステップS82の処理に進む。
【0171】
ステップS83において、運転比率導出部80は、空調負荷率の境界値に基づいて、EHP10とGHP12との運転比率を導出する(S83)。そして、運転マップ生成部82は、導出された運転比率に基づいて運転マップを生成し(S84)、一連の処理を終了する。生成された運転マップは、EHP10およびGHP12に送信される。これにより、EHP10およびGHP12は、受信した運転マップに従って運転される。
【0172】
例えば、ステップS80において境界値が更新された場合、ステップS83において、更新後の境界値に基づいて運転比率が導出される。これにより、空調負荷率が、更新後の境界値以下の範囲において、GHP12の負荷率がゼロとなる運転比率が導出され、運転マップに反映される。このような運転マップでは、GHP12の負荷率がゼロとなる空調負荷率の範囲が広くなっている。このため、このような運転マップに従ってGHP12が運転されることで、GHPの運転時間を減少させることができる。
【0173】
また、ステップS82において境界値が維持された場合、ステップS83において、維持された境界値に基づいて運転負荷率が導出される。これにより、空調負荷率が、維持された境界値以下の範囲において、GHP12の負荷率がゼロとなる運転比率が導出され、運転マップに反映される。このような運転マップでは、境界値を更新する態様と比べ、GHP12の負荷率がゼロとなる空調負荷率の範囲が狭くなっている。この場合、境界値を更新する態様と比べ、GHP12の運転時間については減少されない。しかし、この場合では、境界値を無理に更新してEHP10の効率が極端に低下してしまうことに起因する弊害を防止することによるメリットの方が大きい。
【0174】
なお、メンテナンス回数の削減が不可であると判定した場合に、ステップS82では、境界値が現時点の値に維持されていた。しかし、メンテナンス回数の削減が不可であると判定した場合、運転時間制御部320は、空調負荷率の境界値を初期値に変更してもよい。
【0175】
以上のように、第3実施形態の空調システム300では、GHP12の過去の運転時間の実績値に基づいて、GHP12の運転時間をGHP12の性能が保障される期間である性能保障期間に亘って累積した性能保障期間の累積運転時間の推定値が導出される。第3実施形態の空調システム300では、性能保障期間の累積運転時間の推定値に基づいて、性能保障期間中のGHP12のメンテナンスの回数の推定値が導出される。第3実施形態の空調システム300では、メンテナンスの回数の推定値に基づいて、メンテナンスの回数を削減するために削減を要するGHP12の累積運転時間である削減時間が導出される。第3実施形態の空調システム300では、削減時間に基づいて、EHP10の単独運転とGHP12の単独運転との切り替えが行われる空調負荷率を示す境界値が、現時点の値よりも大きい値となるように導出される。第3実施形態の空調システム300では、境界値に基づいて運転比率が導出される。
【0176】
これにより、第3実施形態の空調システム300では、現時点以降のGHPの運転時間が削減されるようになり、性能保障期間中のGHP12のメンテナンス回数を削減することができる。その結果、第3実施形態の空調システム300では、削減されたメンテナンスにかかる料金分だけ空調システム300にかかる費用を抑制することができる。
したがって、第3実施形態の空調システム300によれば、ユーザの経済的なメリットを向上させることができる。
【0177】
なお、第3実施形態の空調システム300において、空調負荷率の境界値の更新の後、あるいは、空調負荷率の境界値の維持の後における運転比率の導出については、上述の第1実施形態および第1実施形態の変形例と同様にして行ってもよい。
【0178】
(第4実施形態)
上述のように、第1実施形態および第1実施形態の変形例では、1か月のエネルギー料金に着目してエネルギー料金を最小にする運転比率の決定および運転マップの生成が行われていた。そのことから、第1実施形態および第1実施形態の変形例の少なくともいずれかにおける、1か月分のエネルギー料金の予測値に基づいて最小のエネルギー料金を特定して運転マップを生成する処理(すなわち、図4図5の処理)を、説明の便宜のため、エネルギー料金最小化処理という場合がある。また、第1実施形態におけるエネルギー料金最小化処理を第1エネルギー料金最小化処理という場合があり、第1実施形態の変形例におけるエネルギー料金最小化処理を第2エネルギー料金最小化処理という場合がある。
【0179】
また、第2実施形態では、目標電力デマンド設定値を低下させるように決定して、契約電力を抑制するような運転比率の決定および運転マップの生成が行われていた。そのことから、第2実施形態における、目標電力デマンド設定値を導出する処理(すなわち、図8の処理)を、説明の便宜のため、目標電力デマンド設定値導出処理という場合がある。
【0180】
また、第3実施形態では、GHP12のメンテナンス回数を削減可能であるかを判定し、削減可能であると判定した場合に、GHP12の運転時間を削減するような運転比率の決定および運転マップの生成が行われていた。そのことから、第3実施形態における、GHP12のメンテナンス回数の削減が可能であるかを判定し、削減可能であると判定した場合に、GHP12の運転時間を削減する運転マップを生成する処理(すなわち、図10の処理)を、説明の便宜のため、メンテナンス回数処理という場合がある。
【0181】
上述の各実施形態では、各実施形態で着目している個々の観点での料金を抑制することが可能である。しかし、これら各実施形態のような個別の条件での料金の最適化に留まらず、ユーザの経済的なメリットを、複数の条件を考慮して、より現実的に最大化させることが望まれる。
【0182】
そこで、第4実施形態では、上述の各実施形態のエネルギー料金最小化処理、目標電力デマンド設定値導出処理およびメンテナンス回数処理を統合した処理が行われ、エネルギー料金が最小となる運転マップが特定される。
【0183】
図12は、第4実施形態にかかる空調システム400の構成の一例を示す概略ブロック図である。第4実施形態の空調システム400では、管理サーバ16のサーバ制御装置64の動作と、管理サーバ16の記憶装置62に記憶されるデータとが第1実施形態の空調システム1と異なるが、システム構成については図1に示す第1実施形態の構成と同じである。このため、第4実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と共通する点については、便宜のため説明を省略する。
【0184】
記憶装置62には、全体消費電力データ210および運転時間データ310が記憶されている。全体消費電力データ210は、第2実施形態で説明した全体消費電力データ210と同じである。運転時間データ310は、第3実施形態で説明した運転時間データ310と同じである。
【0185】
サーバ制御装置64は、プロセッサがプログラムを実行することで、設定値導出部220、運転時間制御部320および統合処理部420としても機能する。設定値導出部220は、基本的には、第2実施形態の設定値導出部220と同様に、目標電力デマンド設定値を導出する。運転時間制御部320は、基本的には、第3実施形態の運転時間制御部320と同様に、GHP12のメンテナンス回数を削減するようにGHP12の運転時間を制御する。
【0186】
統合処理部420は、エネルギー料金最小化処理、目標電力デマンド設定値導出処理およびメンテナンス回数処理を統合する処理を行う。
【0187】
図13は、第4実施形態において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。図13の一連の処理は、特定のタイミングが到来すると開始される。特定のタイミングは、例えば、月の第1日目、年の第1日目、当月の途中の日などの予め設定された任意のタイミングであってもよいし、空調システム300のユーザなどによる所定の入力操作が入力されたタイミングであってもよい。
【0188】
特定のタイミングが到来すると、設定値導出部は、目標電力デマンド設定値を導出する目標電力デマンド設定値導出処理(S100)を実行する。目標電力デマンド設定値導出処理(S100)では、図8で示す内容の処理が行われる。
【0189】
目標電力デマンド設定値導出処理(S100)により導出される目標電力デマンド設定値は、目標電力デマンド設定値を下げることが可能な下限値を意味する。そうすると、目標電力デマンド設定値を、目標電力デマンド設定値導出処理(S100)により導出される目標電力デマンド設定値まで下げる態様に限らず、例えば、目標電力デマンド設定値導出処理(S100)により導出される目標電力デマンド設定値以上の任意の値とすることも可能である。
【0190】
例えば、目標電力デマンド設定値導出処理(S100)を行う前の現時点の目標電力デマンド設定値が「100kW」であり、目標電力デマンド設定値導出処理(S100)の結果、目標電力デマンド設定値「90kW」が導出されたと仮定する。この例では、目標電力デマンド設定値を「90kW」まで下げることが可能であるが、例えば、目標電力デマンド設定値を「91kW」や「92kW」などにすることも可能である。
【0191】
これを踏まえ、統合処理部420は、目標電力デマンド設定値導出処理(S100)を実行することで得られた目標電力デマンド設定値を下限値として、目標電力デマンド設定値の変化値を複数決定する(S101)。例えば、目標電力デマンド設定値「90kW」が導出された例では、目標電力デマンド設定値の変化値として、「90kW」、「91kW」、「92kW」などが決定される。
【0192】
統合処理部420は、複数の目標電力デマンド設定値の変化値のうち任意の1つを抽出する(S102)。
【0193】
運転比率導出部80は、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値の変化値に基づいて、エネルギー料金最小化処理(S103)を実行する。エネルギー料金最小化処理(S103)では、基本的には、図4で示す内容の第1エネルギー料金最小化処理および図5で示す内容の第2エネルギー料金最小化処理の少なくともいずれかの処理が行われる。
【0194】
より詳細には、エネルギー料金最小化処理(S103)において第1エネルギー料金最小化処理を行う例では、過去の空調負荷の実績値を按分して1か月分のガス消費量の予測値および1か月分の電力消費量の予測値を導出する過程において、按分する比率が、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値により補正される。そして、過去の空調負荷の実績値を補正後の比率で按分することで、1か月分のガス消費量の予測値および1か月分の電力消費量が導出される。そうすることで、第1エネルギー料金最小化処理において、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値が反映された1か月分のエネルギー料金の予測値が導出される。その結果、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値が反映された状態でエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率が決定され、それが反映された運転マップが生成される。
【0195】
また、エネルギー料金最小化処理(S103)において第2エネルギー料金最小化処理を行う例では、過去の特定期間の空調負荷の実績値を按分して未経過期間分のガス消費量の予測値および未経過分の電力消費量の予測値を導出する過程において、未経過期間における按分する比率が、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値により補正される。そして、過去の特定期間の空調負荷の実績値を補正後の比率で按分することで、未経過期間分のガス消費量の予測値および未経過期間分の電力消費量が導出される。そうすることで、第2エネルギー料金最小化処理において、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値が反映された1か月分のエネルギー料金の予測値が導出される。その結果、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値が反映された状態でエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率が決定され、それが反映された運転マップが生成される。
【0196】
統合処理部420は、エネルギー料金最小化処理(S103)により導出されたエネルギー料金の最小値、運転比率および運転マップを、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値に関連付けて記憶装置62に記憶させる(S104)。
【0197】
次に、運転時間制御部320は、エネルギー料金最小化処理(S103)により導出された運転マップに基づいて、メンテナンス回数処理(S105)を実行する。メンテナンス回数処理(S105)では、基本的には、図10で示す内容の処理が行われる。
【0198】
より詳細には、未経過期間のGHP12の累積運転時間の推定値を導出する処理において、エネルギー料金最小化処理(S103)により導出された運転マップに基づいてGHP12の日毎の運転時間の推定値が導出される。そのようにして導出されたGHPの日毎の運転時間の推定値を未経過期間に亘って加算することで、未経過期間のGHP12の累積時間の推定値が導出される。そうすることで、エネルギー料金最小化処理(S103)により導出された運転マップが反映された状態で、空調負荷率の境界値が導出され、GHP12のメンテナンス回数を削減可能であるかが判定される。
【0199】
メンテナンス回数を削減可能であると判定された場合、エネルギー料金最小化処理(S103)により導出された運転マップが反映され、かつ、空調負荷率の境界値の更新が反映された状態の運転比率が導出され、それが反映された運転マップが生成される。メンテナンス回数を削減不可であると判定された場合、空調負荷率の境界値の更新が行われないため、実質的に、エネルギー料金最小化処理(S103)により導出された運転マップと同じ運転マップが生成される。
【0200】
統合処理部420は、メンテナンス回数処理(S105)により導出されたメンテナンス回数の削減の可否判定結果、空調負荷率の境界値、運転比率および運転マップをステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値に関連付けて記憶装置62に記憶させる(S106)。
【0201】
次に、統合処理部420は、メンテナンス回数処理(S105)においてメンテナンス回数を削減可能と判定されかを判定する(S107)。
【0202】
メンテナンス回数を削減可能と判定された場合(S107におけるYES)、運転比率導出部80は、エネルギー料金最小化処理(S108)を実行する。エネルギー料金最小化処理(S108)では、基本的には、図4で示す内容の第1エネルギー料金最小化処理および図5で示す内容の第2エネルギー料金最小化処理の少なくともいずれかの処理が行われる。
【0203】
より詳細には、エネルギー料金最小化処理(S108)において第1エネルギー料金最小化処理を行う例では、過去の空調負荷の実績値を按分して1か月分のガス消費量の予測値および1か月分の電力消費量の予測値を導出する過程において、按分する比率が、メンテナンス回数処理(S105)で導出された運転マップにおける運転比率により補正される。そして、過去の空調負荷の実績値を補正後の比率で按分することで、1か月分のガス消費量の予測値および1か月分の電力消費量が導出される。そうすることで、第1エネルギー料金最小化処理において、メンテナンス回数処理(S105)で導出された運転マップが反映された1か月分のエネルギー料金の予測値が導出される。その結果、メンテナンス回数処理(S105)で導出された運転マップが反映された状態でエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率が決定され、それが反映された運転マップが生成される。
【0204】
また、エネルギー料金最小化処理(S108)において第2エネルギー料金最小化処理を行う例では、過去の特定期間の空調負荷の実績値を按分して未経過期間分のガス消費量の予測値および未経過期間分の電力消費量の予測値を導出する過程において、未経過期間における按分する比率が、メンテナンス回数処理(S105)で導出された運転マップにおける運転比率により補正される。そして、過去の特定期間の空調負荷の実績値を補正後の比率で按分することで、未経過期間分のガス消費量の予測値および未経過期間分の電力消費量が導出される。そうすることで、第2エネルギー料金最小化処理において、メンテナンス回数処理(S105)で導出された運転マップが反映された1か月分のエネルギー料金の予測値が導出される。その結果、メンテナンス回数処理(S105)で導出された運転マップが反映された状態でエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率が決定され、それが反映された運転マップが生成される。
【0205】
統合処理部420は、エネルギー料金最小化処理(S108)により導出されたエネルギー料金の最小値、運転比率および運転マップを、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値に関連付けて記憶装置62に記憶させ(S109)、ステップS110の処理に進む。
【0206】
また、ステップS107において、メンテナンス回数を削減不可と判定された場合(S107におけるNO)、統合処理部420は、ステップS110の処理に進む。
【0207】
ステップS110において、統合処理部420は、目標電力デマンド設定値の複数の変化値のうち、まだ抽出されていない残りの変化値があるかを判定する(S110)。
【0208】
残りの変化値があると判定された場合(S110におけるYES)、統合処理部420は、まだ抽出されていない残りの変化値の中から1つの変化値を抽出する(S102)。そして、ステップS102で抽出された目標電力デマンド設定値の変化値に基づいて、エネルギー料金最小化処理(S103)以降が行われる。
【0209】
このように、第4実施形態の空調システム400では、目標電力デマンド設定値を複数パターン変化させ、複数パターンの目標電力デマンド設定値の各々について、エネルギー料金最小化処理(S13)およびメンテナンス回数処理(S105)が行われる。これにより、目標電力デマンド設定値のパターンごとに、目標電力デマンド設定値が反映された状態でのエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率および運転マップが導出される。
【0210】
また、第4実施形態の空調システム400では、複数パターンの目標電力デマンド設定値の各々について行われるメンテナンス回数処理(S105)において、GHP12のメンテナンス回数が削減可能であると判定された場合、削減可能と判定された目標電力デマンド設定値のパターンにおいて、エネルギー料金最小化処理(S108)が再度実行される。これにより、目標電力デマンド設定値が反映され、かつ、メンテナンス回数を削減可能な条件が反映された状態でのエネルギー料金の予測値が最小となる運転比率および運転マップが導出される。
【0211】
ステップS110において、残りの変化値がないと判定された場合(S110におけるNO)、統合処理部420は、ステップS104で記憶された目標電力デマンド設定値のパターンごとのエネルギー料金の予測値、ステップS109で記憶された目標電力設定値のパターンごとでありメンテナンス回数の削減が可能と判定されたエネルギー料金の予測値のうち、エネルギー料金の予測値が最小となる運転マップを特定する(S111)。
【0212】
このようにして、第4実施形態の空調システム400では、複数パターンの目標電力デマンド設定値の条件、および、メンテナンス回数の削減の可否の条件が加味された状態で、当月の1か月のエネルギー料金の予測値が総合的に最小となる運転マップが特定される。特定された運転マップは、EHP10およびGHP12に送信される。
【0213】
なお、図13では、目標電力デマンド設定値導出処理、エネルギー料金最小化処理およびメンテナンス回数処理が統合されていた。しかし、メンテナンス回数処理については省略され、目標電力デマンド設定値導出処理およびエネルギー料金最小化処理が統合されるようにしてもよい。この場合、図13のステップS105からステップS109が省略される。また、目標電力デマンド設定値導出処理については省略され、エネルギー料金最小化処理およびメンテナンス回数処理が統合されるようにしてもよいし、エネルギー料金最小化処理が省略され、目標電力デマンド設定値導出処理およびメンテナンス回数処理が統合されるようにしてもよい。
【0214】
以上のように、第4実施形態の空調システム400のサーバ制御装置64は、目標電力デマンド設定値導出処理により導出された目標電力デマンド設定値以上の複数パターンの目標電力デマンド設定値の各々について、目標電力デマンド設定値に基づいてエネルギー料金最小化処理を実行し、目標電力デマンド設定値のパターンごとにエネルギー料金の予測値が最小となる運転マップを生成する。第4実施形態の空調システム400のサーバ制御装置64は、目標電力デマンド設定値のパターンごとのエネルギー料金の予測値のうち、エネルギー料金の予測値が最小となる運転マップを特定する。
【0215】
これにより、第4実施形態の空調システム400では、当月の1か月分のエネルギー料金の予測値の条件だけでなく、複数パターンの目標電力デマンド設定値の条件も加味された、総合的によりよい運転パターンを得ることができる。したがって、第4実施形態の空調システム400によれば、ユーザの経済的なメリットを向上させることができる。
【0216】
また、第4実施形態の空調システム400のサーバ制御装置64は、目標電力デマンド設定値のパターンごとにエネルギー料金最小化処理に基づいて生成された運転マップに基づいて、メンテナンス回数処理を実行する。第4実施形態の空調システム400のサーバ制御装置64は、メンテナンス回数処理においてメンテナンスの回数の削減が可能であると判定された場合、導出された境界値に基づいて生成された運転マップに基づいて、エネルギー料金最小化処理を実行し、メンテナンス回数の削減が可能である状態におけるエネルギー料金の予測値が最小となる運転マップを生成する。第4実施形態の空調システム400のサーバ制御装置64は、目標電力デマンド設定値のパターンごと、および、メンテナンスの回数の削減の可否ごとのエネルギー料金の予測値のうち、エネルギー料金の予測値が最小となる運転マップを特定する。
【0217】
これにより、第4実施形態の空調システム400では、当月の1か月分のエネルギー料金の予測値の条件だけでなく、複数パターンの目標電力デマンド設定値の条件、および、メンテナンス回数の削減の可否の条件も加味された、総合的によりよい運転パターンを得ることができる。したがって、第4実施形態の空調システム400によれば、ユーザの経済的なメリットを向上させることができる。
【0218】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0219】
例えば、コンピュータを、サーバ制御装置64として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0220】
なお、本明細書に示した各処理は、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【符号の説明】
【0221】
1、200、300、400 空調システム
10 EHP
12 GHP
30 電動機
40 ガスエンジン
62 記憶装置
64 サーバ制御装置
【要約】
【課題】経済的なメリットを向上させる。
【解決手段】空調システムのサーバ制御装置は、過去の所定の期間における全体消費電力の実績値が最大値となるピーク時を特定し、ピーク時のEHPの消費電力の実績値を導出し、ピーク時の空調負荷の実績値を、GHPの負荷率が最大限となり、EHPの負荷率が最小限となるように按分して、抑制後のEHPの消費電力を導出し、ピーク時のEHPの消費電力の実績値から、抑制後のEHPの消費電力を減算して、EHPの消費電力の差分値を導出し、ピーク時の全体消費電力の実績値からEHPの消費電力の差分値を減算して、抑制後の全体消費電力を導出し、抑制後の全体消費電力を、目標電力デマンド設定値として決定する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13