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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】荷物積付装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
B65G57/03 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020185057
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074740
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】窪田 博司
(72)【発明者】
【氏名】古橋 正得
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-246546(JP,A)
【文献】特開2019-094210(JP,A)
【文献】国際公開第2013/076349(WO,A1)
【文献】特開2016-170791(JP,A)
【文献】特開平04-101929(JP,A)
【文献】特開2020-083486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 57/03
B65G 47/90
B65G 63/00
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部により搬送される荷物に関する荷物情報を検知する荷物検知部と、
前記搬送部により搬送された前記荷物をコンテナに積み付ける積付ユニットと、
前記荷物検知部により検知された前記荷物情報に基づいて、前記搬送部から搬送されてくる前記荷物の搬送順に対して、前記積付ユニットが積み付けを行う積付順を調整するように、前記積付ユニットを制御する制御部とを備え
前記搬送部は、搬送された前記荷物を一時的にストックしておくストックコンベアを有し、
前記制御部は、前記ストックコンベアに前記荷物を一時的にストックすると共に、後に前記ストックコンベアにストックされた前記荷物を積み付けることで、前記積付順を調整し、
前記ストックコンベアは複数の収納部を有し、
前記積付ユニットは、それぞれの前記収納部にアクセス可能である、荷物積付装置。
【請求項2】
搬送部により搬送される荷物に関する荷物情報を検知する荷物検知部と、
前記搬送部により搬送された前記荷物をコンテナに積み付ける積付ユニットと、
前記荷物検知部により検知された前記荷物情報に基づいて、前記搬送部から搬送されてくる前記荷物の搬送順に対して、前記積付ユニットが積み付けを行う積付順を調整するように、前記積付ユニットを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記コンテナ内の同じ段を構成する複数の前記荷物同士の高さの差が所定の閾値以下となるように、前記積付順を調整する、荷物積付装置。
【請求項3】
前記制御部は、ストックコンベアが満杯の場合、前記コンテナでの複数の前記荷物同士の高さの差が最小となるように、前記ストックコンベアから前記荷物を取り出す、請求項2に記載の荷物積付装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記搬送部の各箇所に対して優先順位を付与すると共に、前記優先順位の高い箇所から前記荷物を取り出すように前記積付ユニットを制御する、請求項1~3の何れか一項に記載の荷物積付装置。
【請求項5】
前記荷物検知部は、前記荷物情報として前記荷物の材質を検知し、
前記制御部は、柔らかい材質として検知された前記荷物を上段側に積み付けるように、前記積付順を調整する、請求項1~4の何れか一項に記載の荷物積付装置。
【請求項6】
搬送部により搬送される荷物に関する荷物情報を検知する荷物検知工程と、
積付ユニットを用いて、前記搬送部により搬送された前記荷物をコンテナに積み付ける積付工程とを含み、
前記積付工程では、前記荷物検知工程において検知された前記荷物情報に基づいて、前記搬送部から搬送されてくる前記荷物の搬送順に対して、前記積付ユニットが積み付けを行う積付順を調整し、
前記搬送部は、搬送された前記荷物を一時的にストックしておくストックコンベアを有し、
前記積付工程では、前記ストックコンベアに前記荷物を一時的にストックすると共に、後に前記ストックコンベアにストックされた前記荷物を積み付けることで、前記積付順を調整し、
前記ストックコンベアは複数の収納部を有し、
前記積付ユニットは、それぞれの前記収納部にアクセス可能である、荷物積付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物積付装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、手荷物をコンテナに積み付ける荷積み装置が記載されている。特許文献1に記載の荷積み装置は、手荷物投入コンベアにより投入された手荷物の形状及び大きさを識別する手荷物識別装置と、この手荷物識別装置により識別された手荷物を形状及び大きさ毎に仕分けて、4つのロボット積用ストッカ及び1つの手積用ストッカのうちの何れかに格納する手荷物仕分機と、ロボット積用ストッカ及び手積用ストッカに格納された手荷物を払い出す払出装置と、この払出装置により払い出された手荷物をロボット積用コンテナに積み付けるロボットとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-246546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、手荷物を形状及び大きさ毎に仕分けて積用ストッカに一旦保管した後、ロボットにより手荷物をロボット積用コンテナに積み付けるため、手荷物の積み付けが完了するまでに時間を要するばかりでなく、手荷物の積み付けにかかるコストが増大する。このため、コンベアにより搬送されてきた手荷物を、ロボットによりそのままコンテナに積み付けることが望まれている。しかし、手荷物が寸法に関係なくランダムに搬送される場合がある。このとき、手荷物の高さや材質のバランスなどの影響で、荷崩れする可能性があり、コンテナ内で手荷物が安定した状態で積み付けを行うことが求められていた。
【0005】
本発明の目的は、荷物の搬送順に関わらず、コンテナ内で荷物が安定した状態で積み付けを行うことができる荷物積付装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る荷物積付装置は、搬送部により搬送される荷物に関する荷物情報を検知する荷物検知部と、搬送部により搬送された荷物をコンテナに積み付ける積付ユニットと、荷物検知部により検知された荷物情報に基づいて、搬送部から搬送されてくる荷物の搬送順に対して、積付ユニットが積み付けを行う積付順を調整するように、積付ユニットを制御する制御部とを備える。
【0007】
このような荷物積付装置においては、搬送部により搬送された荷物が、積付ユニットによってコンテナに積み付けられる。このとき、制御部は、搬送部から搬送されてくる荷物の搬送順に対して、積付ユニットが積み付けを行う積付順を調整するように、積付ユニットを制御する。このため、荷物が寸法や材質などに関係なくランダムに搬送されても、積付ユニットは、搬送順に縛られることなく、荷物の高さや材質などのバランスに応じて適切に調整された積付順にて、荷物をコンテナに積み付けることができる。以上より、荷物の搬送順に関わらず、コンテナ内で荷物が安定した状態で積み付けを行うことができる。
【0008】
搬送部は、搬送された荷物を一時的にストックしておくストックコンベアを有し、制御部は、ストックコンベアに荷物を一時的にストックすると共に、後にストックコンベアにストックされた荷物を積み付けることで、積付順を調整してよい。このように、ストックコンベアに荷物を一時的にストックしておくことで、積付順の調整が容易となる。
【0009】
制御部は、コンテナ内の同じ段を構成する複数の荷物同士の高さの差が所定の閾値以下となるように、積付順を調整してよい。この場合、下段側に積まれる荷物同士の高さの差を小さく抑えることができるため、上段側で生じる荷物の高さの差を抑制し、荷崩れを抑制できる。
【0010】
制御部は、ストックコンベアが満杯の場合、コンテナでの複数の荷物同士の高さの差が最小となるように、ストックコンベアから荷物を取り出してよい。この場合、同じ段の荷物同士の高さの差を抑えつつも、ストックコンベアに空きを形成することができる。
【0011】
制御部は、搬送部の各箇所に対して優先順位を付与すると共に、優先順位の高い箇所から荷物を取り出すように積付ユニットを制御してよい。このように、積付ユニットが、優先順位の高い箇所から荷物を取り出すことにより、積付作業のサイクルタイムを低減することができる。
【0012】
荷物検知部は、荷物情報として荷物の材質を検知し、制御部は、柔らかい材質として検知された荷物を上段側に積み付けるように、積付順を調整してよい。この場合、下段側に潰れやすい荷物が積み付けられることを抑制し、荷崩れが生じることを抑制できる。
【0013】
本発明の他の態様に係る荷物積付方法は、搬送部により搬送される荷物に関する荷物情報を検知する荷物検知工程と、積付ユニットを用いて、搬送部により搬送された荷物をコンテナに積み付ける積付工程とを含み、積付工程では、荷物検知工程において検知された荷物情報に基づいて、搬送部から搬送されてくる荷物の搬送順に対して、積付ユニットが積み付けを行う積付順を調整する。
【0014】
このような荷物積付方法においては、上述の荷物積付装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、荷物の搬送順に関わらず、コンテナ内で荷物が安定した状態で積み付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る荷物積付装置を示す概略構成図である。
図2図1に示された荷物積付装置の制御系構成図である。
図3】コンテナ内に設定される複数の収容エリアを手荷物の積付順の一例と共に示す図である。
図4】コンテナ内に設定されるアドレスを収容エリアと共に示す図である。
図5】手荷物の高さについて説明するための概念図である。
図6】本発明の一実施形態に係る荷物積付方法の具体例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る荷物積付方法の具体例を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る荷物積付方法の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る荷物積付装置を示す概略構成図である。図1において、本実施形態の荷物積付装置1は、例えば空港におけるバックヤードの積付場に設置されている。荷物積付装置1は、航空機に積載される複数のコンテナ2に搭乗者の手荷物3(荷物)を積み付ける装置である。ここでは、コンテナ2に積み付けられる手荷物3は、スーツケースである。
【0019】
コンテナ2は、トーイングトラクタ(図示せず)により牽引される複数(ここでは2つ)の台車4上に載置されている。台車4の前端及び後端には、連結器4aが設けられている。各台車4同士は、連結器4aにより連結されている。
【0020】
荷物積付装置1は、複数(ここでは前後2つ)のコンテナ2に対して同時に手荷物3を積み付ける。コンテナ2の一側面には、扉(図示せず)が設けられている。荷物積付装置1は、コンテナ2の扉が開いた状態で、コンテナ2の側方からコンテナ2内に手荷物3を積み付ける。なお、トーイングトラクタの前側に位置するコンテナ2を前コンテナ2A(第1コンテナ)とし、トーイングトラクタの後側に位置するコンテナ2を後コンテナ2B(第2コンテナ)とする。前コンテナ2A及び後コンテナ2Bは、横並びに配置されている。
【0021】
荷物積付装置1は、メインコンベア5と、仕分コンベア6と、退避コンベア7と、荷受コンベア8と、プッシャー9と、ターンテーブル10と、プッシャー11と、バッファコンベア12と、プッシャー13と、プッシャー14と、ストックコンベア40と、積付ロボット15とを備えている。このうち、メインコンベア5、仕分コンベア6、退避コンベア7、荷受コンベア8、プッシャー9、ターンテーブル10、プッシャー11、バッファコンベア12、プッシャー13、プッシャー14、及びストックコンベア40は、搬送部90を構成する。
【0022】
メインコンベア5、仕分コンベア6及び退避コンベア7は、各コンテナ2の配列方向(X軸方向)に配列されている。荷受コンベア8、ターンテーブル10及びバッファコンベア12は、X軸方向に垂直な方向(Y軸方向)にメインコンベア5よりもコンテナ2に近い位置において、X軸方向に配列されている。バッファコンベア12は、X軸方向において荷受コンベア8よりもコンテナ2に近い位置に配置されている。
【0023】
メインコンベア5は、空港側コンベア16から受け取った手荷物3をコンテナ2に向けて搬送する搬送部である。空港側コンベア16は、空港のターミナルビルに設置された搭乗手続きカウンタからバックヤードの積付場まで手荷物3を搬送する。メインコンベア5は、手荷物3を1つずつ順送りする。なお、メインコンベア5のうち、空港側コンベア16と隣接する箇所(以降、情報検知場所DP1と称する場合がある)の上方には、当該情報検知場所DP1上の手荷物3を撮像する上流カメラ23(荷物検知部)が配置されている。上流カメラ23の詳細については後述する。
【0024】
仕分コンベア6は、メインコンベア5よりも下流側に配置されている。仕分コンベア6は、後述する積付ロボット15によりコンテナ2に積み付けられない積付対象外の手荷物3、つまりスーツケース以外の手荷物3を退避コンベア7に向けて送り出す。退避コンベア7は、積付対象外の手荷物3を指定場所まで搬送する。
【0025】
荷受コンベア8は、仕分コンベア6よりも下流側において退避コンベア7に対して分岐して配置されている。荷受コンベア8には、積付ロボット15によりコンテナ2に積み付けられる積付対象の手荷物3(スーツケース)が載置される。プッシャー9は、積付対象の手荷物3を仕分コンベア6から荷受コンベア8に向けて押し付けて移動させる。
【0026】
ターンテーブル10は、荷受コンベア8よりも下流側に配置されている。ターンテーブル10には、積付対象の手荷物3が載置される。プッシャー11は、積付対象の手荷物3を荷受コンベア8からターンテーブル10に向けて押し付けて移動させる。プッシャー9,11は、メインコンベア5により搬送された手荷物3をターンテーブル10に移動させる。なお、ターンテーブル10(以降、情報検知場所DP2と称する場合がある)の上方には、当該ターンテーブル10上の手荷物3を撮像する下流カメラ24(荷物検知部)が配置されている。下流カメラ24の詳細については後述する。
【0027】
バッファコンベア12は、ターンテーブル10よりも下流側に配置されている。バッファコンベア12には、積付対象の手荷物3が載置される。バッファコンベア12のY軸方向のコンテナ2側端部には、位置決め用の壁部18が設けられている。プッシャー13は、積付対象の手荷物3をターンテーブル10からバッファコンベア12に向けて押し付けて移動させる。
【0028】
プッシャー14は、バッファコンベア12に載置された積付対象の手荷物3を壁部18に突き当てるように押し付ける。プッシャー14及び壁部18は、バッファコンベア12に載置された手荷物3をターンテーブル10とバッファコンベア12との配列方向(X軸方向)に垂直な方向(Y軸方向)に対して位置決めする。
【0029】
ストックコンベア40は、搬送された手荷物3を一時的にストックしておくためのコンベアである。すなわち、ストックコンベア40は、バッファコンベア12に到達した手荷物3が後から積み付けを行うべきものであった場合に、当該手荷物3を後から積み付けできるように一時的にストックする。ストックコンベア40は、メインコンベア5の上方に設けられている。ストックコンベア40は、一つ当たりの手荷物3を収納する収納部41を複数有する。複数の収納部41は、メインコンベア5が延びる方向、すなわちX軸方向に配列されている。なお、収納部41の列は、上下方向に複数段設けられてよい。収納部41は、Y軸方向の正側から積付ロボット15のアクセス(手荷物3のストック、及び取り出し)が可能である。
【0030】
積付ロボット15は、積付対象の手荷物3をコンテナ2に積み付ける積付ユニットである。積付ロボット15は、走行台車19と、この走行台車19に取り付けられたロボットアーム20とを有している。
【0031】
走行台車19は、各コンテナ2の配列方向(X軸方向)に平行に延びるレール21に沿って走行する。レール21は、各コンテナ2の正面側(扉側)に設置されている。つまり、レール21は、各コンテナ2とメインコンベア5との間に配置されている。
【0032】
ロボットアーム20は、3軸(XYZ軸)方向に移動可能であると共に、3軸回りに回動可能である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向に垂直な高さ方向である。ロボットアーム20の先端部には、バッファコンベア12に載置された積付対象の手荷物3を保持するロボットハンド22が設けられている。
【0033】
図2は、荷物積付装置1の制御系構成図である。図2において、荷物積付装置1は、上流カメラ23と、下流カメラ24と、積付処理ユニット25と、制御盤26とを備えている。
【0034】
上流カメラ23は、メインコンベア5の情報検知場所DP1の上方に配置されている。上流カメラ23は、メインコンベア5に載置された手荷物3を撮像し、手荷物3の撮像画像を取得する。下流カメラ24は、ターンテーブル10の上方に配置されている。下流カメラ24は、情報検知場所DP2であるターンテーブル10に載置された手荷物3を撮像し、手荷物3の撮像画像を取得する。
【0035】
積付処理ユニット25は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。積付処理ユニット25は、上流カメラ23及び下流カメラ24により得られた手荷物3の撮像画像を取得し、所定の処理を実行し、制御盤26に検知データ及び制御信号を出力する。
【0036】
制御盤26は、バックヤードの積付場に設置されている。制御盤26は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。制御盤26は、積付処理ユニット25からの制御信号に応じて、プッシャー9,11、ターンテーブル10、プッシャー13,14及び積付ロボット15を制御する。
【0037】
積付処理ユニット25は、第1手荷物検知部28(荷物検知部)と、第2手荷物検知部29(荷物検知部)と、積付演算部33とを有している。
【0038】
制御盤26は、移動制御部30と、回転制御部31と、位置制御部32と、積付制御部38とを有している。
【0039】
第1手荷物検知部28は、上流カメラ23により取得された手荷物3の撮像画像に基づいて、搬送部90により搬送される手荷物3に関する荷物情報を検知する。第1手荷物検知部28は、上流カメラ23と協働して手荷物3の荷物情報を検知する。第2手荷物検知部29は、下流カメラ24により取得された手荷物3の撮像画像に基づいて、搬送部90により搬送される手荷物3に関する荷物情報を検知する。第2手荷物検知部29は、下流カメラ24と協働して荷物情報を検知する。なお、荷物情報には、例えば、手荷物3の寸法、手荷物3の種別、手荷物3の材質、手荷物3の向きなどの情報が含まれる。ここで、第1手荷物検知部28及び第2手荷物検知部29は、どちらがどの荷物情報を検知してもよい。ただし、上流側の第1手荷物検知部28が手荷物3の寸法、手荷物3の種別、及び手荷物3の材質を検知することが好ましい。第2手荷物検知部29は積み付け直前における手荷物3の向きを検知してもよい。
【0040】
積付演算部33は、第2手荷物検知部29により検知された手荷物3の寸法に基づいて、手荷物3を寸法毎に異なるコンテナ2に優先的に積み付けるような制御信号を求める。積付演算部33は、積付ロボット15を制御する制御部を構成する。
【0041】
移動制御部30は、第1手荷物検知部28の検知データに基づいて、手荷物3が積付対象(スーツケース)であると判断されたときに、プッシャー9,11により手荷物3をターンテーブル10に移動させるような制御信号を制御盤26に送出する。移動制御部30は、制御盤26と協働して、手荷物3がターンテーブル10に移動するようにプッシャー9,11を制御する。
【0042】
回転制御部31は、第2手荷物検知部29により検知された手荷物3の向きに基づいて、ターンテーブル10に載置された手荷物3の向きを一定にするような制御信号を制御盤26に送出する。このとき、回転制御部31は、手荷物3の取っ手3a(図1参照)がターンテーブル10の下流側(バッファコンベア12側)を向くようなターンテーブル10の回転方向及び回転量を求め、その回転方向及び回転量に応じてターンテーブル10を回転させるような制御信号を制御盤26に送出する。回転制御部31は、制御盤26と協働して、手荷物3の向きが一定となるようにターンテーブル10を制御する。
【0043】
位置制御部32は、手荷物3の向きが一定となるようにターンテーブル10が制御された後、プッシャー13,14によりバッファコンベア12において手荷物3をY軸方向に対して位置決めするような制御信号を制御盤26に送出する。位置制御部32は、制御盤26と協働して、手荷物3がY軸方向に対して位置決めされるようにプッシャー13,14を制御する。
【0044】
積付制御部38は、積付演算部33により得られた制御信号に応じて積付ロボット15を制御する。積付制御部38は、積付演算部33と協働して、手荷物3を寸法毎に異なるコンテナ2に優先的に積み付けるように積付ロボット15を制御する制御部を構成する。積付制御部38は、積付ロボット15のロボットアーム20及び走行台車19(図1参照)のそれぞれに対して、適切なタイミングで制御信号を送信する。当該制御による積付ロボット15の動作については、後述する。積付制御部38は、積付ロボット15の基本的な動作を定めた基本ロジックに基づいて、積付ロボット15を制御する。ここで、積付制御部38は、搬送順(バッファコンベア12に到達した手荷物3の順)で基本ロジックに従って手荷物3を積み付ける。これに対し、搬送順に積み付けを行うよりも、積付順を調整した方がよい場合がある。従って、積付制御部38は、基本ロジックのみならず、積付順を調整する調整ロジックを追加して、積付ロボット15を制御する。なお、基本ロジックや調整ロジックに基づく制御信号は、積付演算部33によって演算が行われる。以降の説明において、積付制御部38が積付ロボット15を制御すると言った場合は、積付演算部33が制御信号を演算し、積付制御部38が当該制御信号に基づいて積付ロボット15を制御することを意味する場合がある。積付制御部38は、大サイズの手荷物3Aを前コンテナ2Aに優先的に積み付けるように積付ロボット15を制御すると共に、中サイズの手荷物3Bを後コンテナ2Bに優先的に積み付けるように積付ロボット15を制御する。
【0045】
以上のように構成された荷物積付装置1において、手荷物3をコンテナ2に積み付ける荷物積付方法について具体的に説明する。
【0046】
まず、図3及び図4を参照して、積付ロボット15の基本ロジックについて説明する。図3に示されるように、コンテナ2の扉側(図示せず)から見てコンテナ2の左右一方側(ここでは左側)には、切欠部2fが設けられている。切欠部2fは、コンテナ2の下側角部をテーパ状に切り欠いた構造を有している。コンテナ2内には、手荷物3の寸法に応じた複数(ここでは3つ)の収容エリアが設定されている。
【0047】
具体的には、前コンテナ2A内には、前コンテナ2Aの主要領域の奥側に位置する奥側収容エリアSa1(第1奥側収容エリア)と、前コンテナ2Aの主要領域の手前側に位置する手前側収容エリアSa2(第1手前側収容エリア)と、前コンテナ2Aの切欠部2f側に位置する補助収容エリアSa3(第1補助収容エリア)とが設定されている。
【0048】
前コンテナ2Aの主要領域は、前コンテナ2Aにおける切欠部2f側の領域を除く領域である。手前側収容エリアSa2は、奥側収容エリアSa1よりも前コンテナ2Aの手前側に位置している。補助収容エリアSa3は、奥側収容エリアSa1及び手前側収容エリアSa2と前コンテナ2Aの左右方向に隣り合っている。補助収容エリアSa3には、手荷物3が載置される補助台36が設けられている(図4参照)。
【0049】
奥側収容エリアSa1には、大サイズの手荷物3Aが積み付けられる。手前側収容エリアSa2には、中サイズの手荷物3Bが積み付けられる。補助収容エリアSa3には、主として小サイズの手荷物3Cが積み付けられる。ここでは、補助収容エリアSa3には、小サイズの手荷物3Cと大サイズの手荷物3Aとが積み付けられる。
【0050】
後コンテナ2B内には、後コンテナ2Bの主要領域の奥側に位置する奥側収容エリアSb1(第2奥側収容エリア)と、後コンテナ2Bの主要領域の手前側に位置する手前側収容エリアSb2(第2手前側収容エリア)と、後コンテナ2Bの切欠部2f側に位置する補助収容エリアSb3(第2補助収容エリア)とが設定されている。
【0051】
後コンテナ2Bの主要領域は、後コンテナ2Bにおける切欠部2f側の領域を除く領域である。手前側収容エリアSb2は、奥側収容エリアSb1よりも後コンテナ2Bの手前側に位置している。補助収容エリアSb3は、奥側収容エリアSb1及び手前側収容エリアSb2と後コンテナ2Bの左右方向に隣り合っている。補助収容エリアSb3には、手荷物3が載置される補助台36が設けられている(図4参照)。
【0052】
奥側収容エリアSb1には、中サイズの手荷物3Bが積み付けられる。手前側収容エリアSb2には、大サイズの手荷物3Aが積み付けられる。補助収容エリアSb3には、主として小サイズの手荷物3Cが積み付けられる。ここでは、補助収容エリアSb3には、小サイズの手荷物3Cと大サイズの手荷物3Aとが積み付けられる。
【0053】
大サイズの手荷物3Aは、第1荷物である。中サイズの手荷物3Bは、手荷物3Aよりも小さい寸法を有する第2荷物である。小サイズの手荷物3Cは、手荷物3A,3Bよりも小さい寸法を有する第3荷物である。手荷物3A~3Cは、手荷物3の寸法の範囲で分けられている。手荷物3の寸法は、例えば手荷物3の体積または表面積でもよいし、手荷物3の縦、横及び高さの合計でもよい。
【0054】
また、図4に示されるように、コンテナ2内には、手荷物3の積付位置を指定するためのアドレスが予め設定されている。コンテナ2の内部には、アドレスが下側から上側に向かうと共に奥側から手前側に向かって順番に設定されている。また、前コンテナ2Aの奥側収容エリアSa1及び手前側収容エリアSa2には、アドレスが右側(補助収容エリアSa3の反対側)から左側(補助収容エリアSa3側)に向かって順番に設定されている。後コンテナ2Bの奥側収容エリアSb1及び手前側収容エリアSb2には、アドレスが右側(補助収容エリアSb3の反対側)から左側(補助収容エリアSb3側)に向かって順番に設定されている。
【0055】
積付制御部38は、大サイズの手荷物3Aを前コンテナ2Aの奥側収容エリアSa1及び後コンテナ2Bの手前側収容エリアSb2の順に積み付けるように積付ロボット15を制御すると共に、中サイズの手荷物3Bを後コンテナ2Bの奥側収容エリアSb1及び前コンテナ2Aの手前側収容エリアSa2の順に積み付けるように積付ロボット15を制御する。また、積付制御部38は、小サイズの手荷物3Cを前コンテナ2Aの補助収容エリアSa3及び後コンテナ2Bの補助収容エリアSb3に積み付けるように積付ロボット15を制御する。
【0056】
次に、調整ロジックについて説明する。調整ロジックは、手荷物検知部28,29により検知された荷物情報に基づいて、搬送部90から搬送されてくる手荷物3の搬送順に対して、積付ロボット15が積み付けを行う積付順を調整するロジックである。
【0057】
まず、第1の調整ロジックについて説明する。第1の調整ロジックによれば、積付制御部38は、ストックコンベア40に手荷物3を一時的にストックすると共に、後にストックコンベア40にストックされた手荷物を積み付けることで、積付順を調整する。第1の調整ロジックにおいては、積付制御部38は、積付ロボット15が各コンテナ2A,2Bに対する積み付けを行い易い順序に積付順を調整する。具体的には、図3において搬送部90からは、「搬送順」に示す順序で手荷物3が搬送されてくる。
【0058】
このとき、搬送順の二番目においては、複数の大サイズの手荷物3Aの中に含まれた中サイズの手荷物3Bが搬送されてくる。第1の調整ロジックにおいては、積付制御部38は、搬送順の二番目の中サイズの手荷物3Bをストックコンベア40に一時的にストックする。また、積付制御部38は、四つの大サイズの手荷物3Aを連続で積み付けた後、ストックコンベア40から中サイズの手荷物3Bを取り出し、五番目の積付順で後コンテナ2Bに積み付けるように制御する。これにより、積付ロボット15は、連続で四つの大サイズの手荷物3Aを積み付け、連続で三つの中サイズの手荷物3Bを積み付けることができる。更に、積付制御部38は、搬送順の八番目の大サイズの手荷物3Aをストックコンベア40に一時的にストックする。また、ストックコンベア40から大サイズの手荷物3Aを取り出し、十一番目の積付順で前コンテナ2Aに積み付けるように制御する。これにより、積付ロボット15は、連続で三つの中サイズの手荷物3B、一つの小サイズの手荷物3C、及び二つの中サイズの手荷物3Bを積み付けた後に、大サイズの手荷物3Aを積み付けることができる。
【0059】
図6を参照して、第1の調整ロジックのフローチャートについて説明する。図6に示すように、積付演算部33は、搬送部90内の各手荷物3の荷物情報を手荷物検知部28,29から検知すると共に、当該荷物情報に基づいて、手荷物の搬送順、及びそれに対する手荷物の積付順を演算する(ステップS10:荷物検知工程、積付工程)。なお、積付演算部33は、上流側の情報検知場所DP1にて荷物情報を取得しておくことができるため、搬送部90内に存在している全ての手荷物3の種別及びその搬送順(図3の「搬送順」に示す手荷物3の状況)を演算することができる。従って、積付演算部33は、手荷物の積付順(図3の「積付順」で示す手荷物3の状況)を演算することができる。
【0060】
次に、積付演算部33は、現在バッファコンベア12上に存在している手荷物3をストックコンベア40にストックする必要があるか否かを判定する(ステップS20:積付工程)。積付演算部33が、ストックする必要があると判定したら、積付制御部38は、積付ロボット15を制御してストックコンベア40にバッファコンベア12上の手荷物3をストックする(ステップS50:積付工程)。例えば、図3の搬送順における二番目の中サイズの手荷物3Bがバッファコンベア12上に存在しているとき、積付ロボット15は、ストックコンベア40へ当該手荷物3Bをストックする。ストックコンベア40へのストックが完了したら、再びステップS10から処理が実行される。
【0061】
積付演算部33は、ステップS20においてストックする必要がないと判定した場合、ストックコンベア40にストックしておいた手荷物3を取り出す必要があるか否かを判定する(ステップS30:積付工程)。積付演算部33が、ステップS30においてストックコンベア40から手荷物3を取り出す必要がないと判定したら、積付制御部38は、積付ロボット15を制御してバッファコンベア12上に存在する手荷物3をコンテナ2に積み付ける(ステップS40:積付工程)。一方、積付演算部33が、ステップS30においてストックコンベア40から手荷物3を取り出す必要があると判定したら、積付制御部38は、積付ロボット15を制御してストックコンベア40にストックされた手荷物3をコンテナ2に積み付ける(ステップS60:積付工程)。ステップS40,S60の処理が終了したら、再びステップS10から処理が実行される。例えば、図3の積付順における一~四番目の大サイズの手荷物3Aがバッファコンベア12上に存在している場合、積付制御部38は、ストックコンベア40からの手荷物3を取り出さず、バッファコンベア12上の手荷物3をコンテナ2に積み付ける。一方、図3の積付順における六番目(搬送順における六番目)の中サイズの手荷物3Bがバッファコンベア12上に存在している場合、積付演算部33は、当該六番目の手荷物3Bの前にストックコンベア40にストックされた中サイズの手荷物3Bを取り出す必要があると判定する。そして、積付制御部38は、ストックコンベア40にストックされた中サイズの手荷物3Bを積付順の五番目の手荷物3として、コンテナ2に積み付ける。
【0062】
次に、第2の調整ロジックについて説明する。第2の調整ロジックにおいて、積付制御部38は、コンテナ内の同じ段を構成する複数の手荷物3同士の高さの差が所定の閾値以下となるように、積付順を調整する。例えば、図5(b)に示すように、手荷物3の高さに差があった場合、手荷物3の上面間に段差ができる。一段目や二段目において、手荷物3間の高さの差が大きい場合、手荷物3を更に積み重ねたときに崩れやすくなる。従って、一段目や二段目のような下段側においては、手荷物3間の高さの差を小さく抑える必要がある。なお、手荷物3の高さ寸法は、図5(a)において「H寸法」で示す寸法である。
【0063】
例えば、「高さ変数:h(max)-h(min)」という高さ変数を定義する。h(max)は、同じ段の中で最も大きな高さである。h(min)は、同じ段の中で最も小さな高さである。例えば、図5(b)では、「h2」がh(max)に該当し、「h1」がh(min)に該当する。高さ変数に対して、所定の閾値が設定される。閾値は、例えば初期値として20mmが設定される。ただし、状況に応じて閾値は適宜変更してもよい。例えば、荷崩れを更に厳しく抑制したい場合は、閾値を15mmなどに設定してよい。なお、高さ変数は、一段目においては手荷物3の高さ寸法そのものによって設定され、二段目においてはコンテナ床から手荷物3が積み上がった高さ(二つ分の手荷物3の高さ)によって設定される。例えば、図5(b)においては、二段目の手荷物3が仮想線で示されており、二段目の手荷物3の高さ寸法、すなわち一段目の手荷物3と二段目の手荷物の合計の高さ寸法が仮想線の矢印で示される。なお、第2の調整ロジックは、少なくとも一段目の積み付けに適用されればよく、二段目には適用されなくてよいし、三段目以上に適用されてもよい。ただし、手荷物3の荷崩れ抑制の効果は、一段目及び二段目の高さの差を小さくすることで大きくなるため、一段目及び二段目に対して第2の調整ロジックを適用する事が好ましい。
【0064】
例えば、積付演算部33は、バッファコンベア12上に存在する新たな手荷物3を二つ目の手荷物3(高さ寸法h2)として積み付けるときには、一つめの手荷物3(高さ寸法がh1)との高さ変数を演算し、当該高さ変数が閾値以下かを判定する。そして、積付制御部38は、高さ変数が閾値以下である場合は、バッファコンベア12上の手荷物3を二つ目の手荷物3としてコンテナ2に積み付ける。一方、積付制御部38は、高さ変数が閾値より大きい場合は、バッファコンベア12上のストックコンベア40に一時的にストックする。
【0065】
図7を参照して、第2の調整ロジックのフローチャートについて説明する。ここでは、図5(b)に示すように、一段目の手荷物3を積み付ける場合の処理内容について説明する。まず、積付制御部38は、コンテナ2の一段目に対して一つ目の手荷物3を積み付けるように積付ロボット15を制御する(ステップS110:積付工程)。このとき、搬送部90の手荷物3が一つ分下流側に進み、バッファコンベア12に新たな手荷物3が配置される。
【0066】
次に、積付演算部33は、次の手荷物3(新たにバッファコンベア12に配置された手荷物3)の荷物情報を手荷物検知部28,29から検知して、当該手荷物3の高さが条件を満たすか否かを判定する(ステップS120:荷物情報検知工程、積付工程)。すなわち、積付演算部33は、新たな手荷物3をコンテナ2に入れたときに高さ変数が閾値以下に収まるか否かを判定し、高さ変数が閾値以下になれば、条件を満たすと判定する。積付演算部33が、条件を満たさないと判定した場合、積付制御部38は、バッファコンベア12上の手荷物3をストックコンベア40にストックするように積付ロボット15を制御する(ステップS140:積付工程)。そして、ステップS120から処理が繰り返される。一方、積付演算部33が、ステップS120において条件を満たすと判定した場合、積付制御部38は、バッファコンベア12上の手荷物3をコンテナ2に積み付けるように積付ロボット15を制御する(ステップS130:積付工程)。ステップS130の後、積付演算部33は、同じ段の積み付けが終了したか否かを判定する(ステップS150:積付工程)。ステップS150において、同じ段の積み付けが終了していないと判定された場合、ステップS120から処理が繰り返される。ステップS150において、同じ段の積み付けが終了したと判定された場合、図7に示す処理が終了し、次の段の積み付けが行われる。
【0067】
ここで、積付演算部33は、上述の第2の調整ロジックを行う際に、バッファコンベア12に存在する手荷物3のみならず、搬送部90内に存在する手荷物3全体を考慮して、高さの条件を満たす手荷物3を探ししてもよい。このとき、積付制御部38は、第3の調整ロジックとして、搬送部90の各箇所に対して優先順位を付与すると共に、優先順位の高い箇所から手荷物3を取り出すように制御してよい。優先順位は、高い方から順に、バッファコンベア12、ストックコンベア40、荷受コンベア8、仕分コンベア6、メインコンベア5(下流側の方が優先順位が高い)と設定される。
【0068】
図8を参照して、第3の調整ロジックのフローチャートについて説明する。まず、積付制御部38は、コンテナ2の一段目に対して一つ目の手荷物3を積み付けるように積付ロボット15を制御する(ステップS110:積付工程)。このとき、搬送部90の手荷物3が一つ分下流側に進み、バッファコンベア12に新たな手荷物3が配置される。
【0069】
次に、積付演算部33は、対象箇所の手荷物3の荷物情報を手荷物検知部28,29から検知すると共に、当該手荷物3の高さが、条件を満たすか否かを判定する(ステップS220:荷物検知工程、積付工程)。一回目のステップS220では、最も優先順位の高い、バッファコンベア12が判定の対象箇所となる。すなわち、積付演算部33は、バッファコンベア12の手荷物3をコンテナ2に入れたときに高さ変数が閾値以下に収まるか否かを判定し、高さ変数が閾値以下になれば、条件を満たすと判定する。積付演算部33は、判定の対象箇所の優先順位を落とす(ステップS240:積付工程)。これにより、対象箇所が、バッファコンベア12から、二番目に優先順位が高いストックコンベア40に切り替わる。そして、ステップS220から処理が繰り返される。なお、ストックコンベア40の複数の収納部41に対して手荷物3が収納されている場合、複数の収納部41に対する優先順位は特に設けなくてもよいし、設けてもよい。
【0070】
一方、積付演算部33が、条件を満たすと判定した場合、積付制御部38は、対象箇所の手荷物3をコンテナ2に積み付けるように積付ロボット15を制御する(ステップS230:積付工程)。例えば、ステップS220での対象箇所がバッファコンベア12であった場合、積付ロボット15はバッファコンベア12の手荷物3をコンテナ2に積み付け、対象箇所がストックコンベア40であった場合、積付ロボット15はストックコンベア40の何れかの収納部41の手荷物3をコンテナ2に積み付ける。ステップS230の後、積付演算部33は、同じ段の積み付けが終了したか否かを判定する(ステップS150:積付工程)。ステップS150において、同じ段の積み付けが終了していないと判定された場合、ステップS220から処理が繰り返される。ステップS150において、同じ段の積み付けが終了したと判定された場合、図8に示す処理が終了し、次の段の積み付けが行われる。
【0071】
ここで、図7に示すステップS120,S140を繰り返すと、ストックコンベア40が満杯になる場合がある。また、図8に示すステップS220,S240を繰り返しても、条件を満たす手荷物3が搬送部90内に見つからない場合がある。この場合は、バッファコンベア12の手荷物3をストックコンベア40にストックして搬送部90の手荷物3を全体的に一つ分下流へ移動させてもよいが、ストックコンベア40が満杯になる場合がある。積付制御部38は、ストックコンベア40が満杯の場合、コンテナ2での複数の手荷物3同士の高さの差が最小となるように、ストックコンベア40から手荷物3を取り出すような、第4の調整ロジックを実行してよい。例えば、コンテナ2の一段目に積まれた手荷物3に対して、搬送部90内の手荷物3の高さが低すぎる場合、積付制御部38は、ストックコンベア40にストックされた複数の手荷物3のうち、最も高さ寸法が大きいものを取り出す。あるいは、コンテナ2の一段目に積まれた手荷物3に対して、搬送部90内の手荷物3の高さが高すぎる場合、積付制御部38は、ストックコンベア40にストックされた複数の手荷物3のうち、最も高さ寸法が小さいものを取り出す。なお、第4の調整ロジックに入った場合、ストックコンベア40の一箇所に空きができれば、すぐに図7又は図8の調整ロジックに戻ってもよいが、ストックコンベア40にある程度の空きができるまで第4の調整ロジックを継続してもよい。
【0072】
次に、第5の調整ロジックについて説明する。積付演算部33は、荷物情報として搬送部90内の全ての手荷物3の材質を第1手荷物検知部28から取得しておくことができる。積付制御部38は、柔らかい材質として検知された手荷物3(ソフトケースの手荷物3)を上段側に積み付けるように、積付順を調整する。具体的には、図4(a)において、「〇」のマークを付した位置に、ソフトケースの手荷物3を積むように制御できる。ソフトケースは、例えば、最上段と上から二段目への積み付けが許可されてよい。例えば、積付ロボット15がコンテナ2内で下段側の段を積んでいるときに、バッファコンベア12にソフトケースの手荷物3が到着したとする。この場合、積付制御部38は、ソフトケースの手荷物3をストックコンベア40にストックしておき、上段側の段を積み始めたときに、ストックコンベア40からソフトケースの手荷物3を取り出して、コンテナ2の上段側に積み付ける。なお、ソフトケースの手荷物3は、最上段のみに積まれるように制御がなされてもよい。
【0073】
次に、本実施形態に係る荷物積付装置1及び方法の作用・効果について説明する。
【0074】
本実施形態に係る荷物積付装置1は、搬送部90により搬送される手荷物3に関する荷物情報を検知する荷物検知部28,29と、搬送部90により搬送された手荷物3をコンテナ2に積み付ける積付ロボット15と、荷物検知部28,29により検知された荷物情報に基づいて、搬送部90から搬送されてくる手荷物3の搬送順に対して、積付ロボット15が積み付けを行う積付順を調整するように、積付ロボット15を制御する積付演算部33及び積付制御部38とを備える。
【0075】
このような荷物積付装置1においては、搬送部90により搬送された手荷物3が、積付ロボット15によってコンテナ2に積み付けられる。このとき、積付演算部33及び積付制御部38は、搬送部90から搬送されてくる手荷物3の搬送順に対して、積付ロボット15が積み付けを行う積付順を調整するように、積付ロボット15を制御する。このため、手荷物3が寸法や材質などに関係なくランダムに搬送されても、積付ロボット15は、搬送順に縛られることなく、手荷物3の高さや材質などのバランスに応じて適切に調整された積付順にて、手荷物3をコンテナ2に積み付けることができる。以上より、手荷物3の搬送順に関わらず、コンテナ2内で手荷物3が安定した状態で積み付けを行うことができる。
【0076】
搬送部90は、搬送された手荷物3を一時的にストックしておくストックコンベア40を有し、積付演算部33及び積付制御部38は、ストックコンベア40に手荷物3を一時的にストックすると共に、後にストックコンベア40にストックされた手荷物3を積み付けることで、積付順を調整してよい。このように、ストックコンベア40に手荷物3を一時的にストックしておくことで、積付順の調整が容易となる。
【0077】
積付演算部33及び積付制御部38は、コンテナ2内の同じ段を構成する複数の手荷物3同士の高さの差が所定の閾値以下となるように、積付順を調整してよい。この場合、下段側に積まれる手荷物3同士の高さの差を小さく抑えることができるため、上段側で生じる手荷物3の高さの差を抑制し、荷崩れを抑制できる。
【0078】
積付演算部33及び積付制御部38は、ストックコンベア40が満杯の場合、コンテナ2での複数の手荷物3同士の高さの差が最小となるように、ストックコンベア40から手荷物3を取り出してよい。この場合、同じ段の手荷物3同士の高さの差を抑えつつも、ストックコンベア40に空きを形成することができる。
【0079】
積付演算部33及び積付制御部38は、搬送部90の各箇所に対して優先順位を付与すると共に、優先順位の高い箇所から手荷物3を取り出すように積付ロボット15を制御してよい。このように、積付ロボット15が、優先順位の高い箇所から荷物を取り出すことにより、積付作業のサイクルタイムを低減することができる。
【0080】
荷物検知部28,29は、荷物情報として荷物の材質を検知し、積付演算部33及び積付制御部38は、柔らかい材質として検知された手荷物3を上段側に積み付けるように、積付順を調整してよい。この場合、下段側に潰れやすい手荷物3が積み付けられることを抑制し、荷崩れが生じることを抑制できる。
【0081】
本実施形態に係る荷物積付方法は、搬送部90により搬送される手荷物3に関する荷物情報を検知する荷物検知工程と、積付ロボット15を用いて、搬送部90により搬送された手荷物3をコンテナ2に積み付ける積付工程とを含み、積付工程では、荷物検知工程において検知された荷物情報に基づいて、搬送部90から搬送されてくる手荷物3の搬送順に対して、積付ロボット15が積み付けを行う積付順を調整する。
【0082】
このような荷物積付方法においては、上述の荷物積付装置1と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0083】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、前コンテナ2A及び後コンテナ2Bに、大サイズの手荷物3A、中サイズの手荷物3B及び小サイズの手荷物3Cがそれぞれ積み付けられているが、特にそのような形態には限られない。例えば、前コンテナ2Aに大サイズの手荷物3A及び小サイズの手荷物3Cを積み付け、後コンテナ2Bに中サイズの手荷物3B及び小サイズの手荷物3Cを積み付けてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、コンテナ2に積み付けられる手荷物3の寸法としては、大サイズ、中サイズ及び小サイズの3タイプであるが、特にその形態には限られず、大サイズ及び小サイズの2タイプであってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、横並びに配置された2つのコンテナ2に寸法が異なる複数タイプの手荷物3が積み付けられているが、特にその形態には限られず、横並びに配置された3つ以上のコンテナ2に寸法が異なる複数タイプの手荷物3を積み付けてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、積付処理ユニット25から制御盤26に制御信号が送られ、制御盤26により積付ロボット15等が制御されているが、特にその形態には限られず、例えば制御盤26を備えずに、積付処理ユニット25により積付ロボット15等を直接制御してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、左右一方の下側角部に切欠部2fが設けられたコンテナ2に手荷物3が積み付けられているが、本発明は、特にその形態には限られず、例えば切欠部2fが無い直方体状のコンテナに荷物を積み付ける荷物積付装置にも適用可能である。また、本発明は、航空機用以外のコンテナに荷物を積み付ける荷物積付装置にも適用可能である。
【0088】
上述の実施形態では、メインコンベア5の上方にストックコンベア40が設けられていたが、ストックコンベア40の位置は特に限定されず、他の位置に設けられてもよい。また、上述の実施形態では、ストックコンベア40を用いて積付順の調整がなされていたが、ストックコンベア40が省略されてもよい。例えば、図8のフローチャートで説明したように、搬送部90の各箇所から手荷物3を取り出すことで、積付順の調整を行ってもよい。
【0089】
また、優先順位の高い箇所から手荷物3を取り出す制御の例として、図8に示すフローチャートを例示したが、このような制御内容に限定されない。例えば、積付制御部38は、実際にコンテナ2の一段目(または二段目)に手荷物3を積み付ける前段階において、搬送部90内の全ての手荷物3の高さ寸法を把握すると共に、一段目に積み付ける手荷物3の組み合わせを予め計画してよい。また、図8に示す制御方法と、予め組み合わせを計画する制御方法を組み合わせてもよい。
【0090】
優先順位の高い箇所から手荷物3を取り出す制御においては、積付制御部38は、手荷物3を取り出す箇所の優先順位を重視する場合もあれば、手荷物3同士の高さの差を小さくすることを重視する場合があってもよい。例えば、積付制御部38は、手荷物3を取り出す箇所の優先順位の高さに対して所定の評価ポイントを振り、高さの差の小ささに対して所定の評価ポイントを振り、総合的な評価に基づいて、積付順を調整してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…荷物積付装置、2…コンテナ、2A…前コンテナ(コンテナ)、2B…後コンテナ(コンテナ)、3…手荷物(荷物)、15…積付ロボット(積付ユニット)、23…上流カメラ(荷物検知部)、24…下流カメラ(荷物検知部)、25…積付処理ユニット(制御部)、26…制御盤(制御部)、29…第2手荷物検知部(荷物検知部)、33…積付演算部(制御部)、38…積付制御部(制御部)、40…ストックコンベア、90…搬送部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8