IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-認識装置 図1
  • 特許-認識装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】認識装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/10 20120101AFI20240516BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240516BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20240516BHJP
【FI】
B60W50/10
B60W40/02
G05D1/43
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021038454
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138527
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三歩一 卓人
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】石崎 将崇
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120845(JP,A)
【文献】特開2011-239213(JP,A)
【文献】特開2011-143925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 50/10
B60W 40/02
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部の検出結果に基づいて、移動体の周辺環境を認識する認識部と、
前記移動体に搭載される電源から前記移動体への電力の供給状態を示す供給情報と、前記移動体への動作の指示を示す指示情報を取得する取得部と、
前記供給情報と、前記指示情報とに基づいて、自装置の状態を制御する動作制御部と、を備え、
前記取得部は、前記移動体が備えるバッテリと、前記移動体が備える各種構成との電気的な接続を切り替える第1スイッチのオン状態、又はオフ状態を示す情報を前記供給情報として取得しつつ、かつ前記移動体が備える各種構成のうち、少なくとも一部の構成との電気的な接続を切り替える第2スイッチのオン状態、又はオフ状態を示す情報を前記指示情報として取得し、
前記自装置の状態には、前記周辺環境を認識する認識状態と、前記周辺環境を認識する処理を停止する停止状態と、前記認識状態に遷移するまでの間、待機する待機状態とが含まれ、
前記動作制御部は、
前記第1スイッチがオン状態である場合に、前記認識状態において取得された前記指示情報が、前記移動体の動作の停止を指示することを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させず、前記認識状態を保持する、又は前記待機状態に遷移させる、
ことを特徴とする認識装置。
【請求項2】
検出部の検出結果に基づいて、産業用車両としての移動体の周辺環境を認識する認識部と、
前記移動体に搭載される電源から前記移動体への電力の供給状態を示す供給情報と、前記移動体への動作の指示を示す指示情報を取得する取得部と、
前記供給情報と、前記指示情報とに基づいて、自装置の状態を制御する動作制御部と、を備え、
前記取得部は、前記移動体のキーシリンダに設けられたスイッチのオン状態、又はオフ状態を示す情報を、前記指示情報として取得し、
前記スイッチは、前記オン状態において前記移動体を動作させつつ、かつ前記オフ状態において前記移動体を停止させ、
前記自装置の状態には、前記周辺環境を認識する認識状態と、前記周辺環境を認識する処理を停止する停止状態と、前記認識状態に遷移するまでの間、待機する待機状態とが含まれ、
前記動作制御部は、
前記認識状態において取得された前記指示情報が、前記移動体を停止させることを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させず、前記認識状態を保持する、又は前記待機状態に遷移させる、
ことを特徴とする認識装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記移動体のキーシリンダに設けられたスイッチのオン状態、又はオフ状態を示す情報を、前記指示情報として取得する、
請求項1に記載の認識装置。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記自装置の状態を前記認識状態に保持した後、又は前記待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たす場合に、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させる、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の認識装置。
【請求項5】
前記所定の条件には、前記待機状態に遷移してから所定時間が経過したことが含まれる、
請求項に記載の認識装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記検出部の検出結果を示す検出情報を更に取得し、
前記所定の条件には、前記検出結果が前記移動体の周辺に人物が存在しないことを示すことが含まれ、
前記動作制御部は、前記自装置の状態を前記待機状態に遷移させた後、前記検出部の検出結果に基づいて、前記認識部に前記周辺環境を認識させ、認識結果が前記移動体の周辺に人物が存在しないことを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させる、
請求項又はに記載の認識装置。
【請求項7】
前記動作制御部は、前記自装置の状態を前記待機状態から前記認識状態に遷移させた際に、前記指示情報が、前記移動体の動作の停止を指示することを示す場合、前記自装置の状態を前記認識状態から前記待機状態に遷移させる、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の認識装置。
【請求項8】
検出部の検出結果に基づいて、移動体の周辺環境を認識する認識部と、
前記移動体に搭載される電源から前記移動体への電力の供給状態を示す供給情報と、前記移動体への動作の指示を示す指示情報と、前記検出部の検出結果を示す検出情報とを取得する取得部と、
前記供給情報と、前記指示情報とに基づいて、自装置の状態を制御する動作制御部と、を備え、
前記自装置の状態には、前記周辺環境を認識する認識状態と、前記周辺環境を認識する処理を停止する停止状態と、前記認識状態に遷移するまでの間、待機する待機状態とが含まれ、
前記動作制御部は、
前記認識状態において取得された前記指示情報が、前記移動体の動作の停止を指示することを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させず、前記認識状態を保持する、又は前記待機状態に遷移させつつ、
前記自装置の状態を前記認識状態に保持した後、又は前記待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たす場合に、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させつつ、
前記自装置の状態を前記待機状態に遷移させた後、前記検出部の検出結果に基づいて、前記認識部に前記周辺環境を認識させ、認識結果が前記移動体の周辺に人物が存在しないことを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させ、
前記所定の条件には、前記検出結果が前記移動体の周辺に人物が存在しないことを示すことが含まれる、
ことを特徴とする認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行を行う移動体において、移動体の周辺を認識する技術が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-260105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、移動体に搭載され、移動体の周辺を認識する認識装置は、起動時に時間を要する場合がある。また、移動体の乗員は、移動体を一時的に用いない場合、移動体を停止させることにより、移動体のエネルギー消費を抑制しようとする場合がある。したがって、移動体の乗員が移動体のエネルギー消費を抑制するために、一時的に移動体を停止させた後に移動体を起動した際、認識装置が即座に起動できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する認識装置は、検出部の検出結果に基づいて、移動体の周辺環境を認識する認識部と、前記移動体に搭載される電源から前記移動体への電力の供給状態を示す供給情報と、前記移動体への動作の指示を示す指示情報を取得する取得部と、前記供給情報と、前記指示情報とに基づいて、自装置の状態を制御する動作制御部と、を備え、前記自装置の状態には、前記周辺環境を認識する認識状態と、前記周辺環境を認識する処理を停止する停止状態と、前記認識状態に遷移するまでの間、待機する待機状態とが含まれ、前記動作制御部は、前記認識状態において取得された前記指示情報が、前記移動体の動作の停止を指示することを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させず、前記認識状態を保持する、又は前記待機状態に遷移させることを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、認識装置は、移動体の乗員が、一時的に移動体を停止させた後に移動体を起動した際、認識装置の起動時間を短縮することができる。
上記認識装置において、前記取得部は、前記移動体のキーシリンダに設けられたスイッチのオン状態、又はオフ状態を示す情報を、前記指示情報として取得してもよい。
【0007】
かかる構成によれば、認識装置は、移動体の乗員が容易に移動体への動作の指示を行えるようにすることができる。
上記認識装置において、前記動作制御部は、前記自装置の状態を前記認識状態に保持した後、又は前記待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たす場合に、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させてもよい。
【0008】
かかる構成によれば、動作制御部は、所定の条件を満たす場合には、移動体のエネルギー消費を抑制することができる。
上記認識装置において、前記所定の条件には、前記待機状態に遷移してから所定時間が経過したことが含まれてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、動作制御部は、待機状態に遷移してから所定の時間が経過した場合には、認識装置を停止状態に遷移させ、待機状態が継続することに伴う移動体のエネルギー消費を抑制することができる。
【0010】
上記認識装置において、前記取得部は、前記検出部の検出結果を示す検出情報を更に取得し、前記所定の条件には、前記検出結果が前記移動体の周辺に人物が存在しないことを示すことが含まれ、前記動作制御部は、前記自装置の状態を前記待機状態に遷移させた後、前記検出部の検出結果に基づいて、前記認識部に前記周辺環境を認識させ、認識結果が前記移動体の周辺に人物が存在しないことを示す場合、前記自装置の状態を前記停止状態に遷移させる。
【0011】
かかる構成によれば、動作制御部は、検出結果が移動体の周辺に人物が存在しないことを示す場合には、認識装置を停止状態に遷移させ、待機状態が継続することに伴う移動体のエネルギー消費を抑制することができる。
【0012】
上記認識装置において、前記動作制御部は、前記自装置の状態を前記待機状態から前記認識状態に遷移させた際に、前記指示情報が、前記移動体の動作の停止を指示することを示す場合、前記自装置の状態を前記認識状態から前記待機状態に遷移させてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、動作制御部は、待機状態から認識状態に遷移され、認識装置が短縮された起動時間で起動している際に、再度、移動体の動作が停止された場合には、認識装置を待機状態に遷移させて、認識状態が継続することに伴う移動体のエネルギー消費を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、認識装置は、一時的に移動体を停止させた後に移動体を起動した際、起動時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る認識装置を利用した車両システムの構成の一例を示す図。
図2】認識装置の動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、図面を参照し、本発明の認識装置の実施形態について説明する。
[全体構成]
図1に示す車両システム1が搭載される産業車両Mは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、この駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。以下、産業車両Mが、駆動源として内燃機関を有する場合について説明する。産業車両Mは、移動体の一例である。
【0017】
車両システム1は、例えば、バッテリ10と、スイッチ20と、キーシリンダ30と、検出部40と、HMI(Human Machine Interface)50と、着座センサ60と、運転操作子70と、認識装置100と、制御装置200と、走行駆動力出力装置300と、ブレーキ装置310、ステアリング装置320とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。
【0018】
バッテリ10は、例えば、二次蓄電池により実現され、内燃機関に連結された発電機による発電電力により充電される。バッテリ10に蓄電された電力は、車両システム1が備える各種構成の起動や動作に用いられる。バッテリ10は、移動体に搭載される電源の一例である。
【0019】
スイッチ20は、例えば、バッテリ10と産業車両Mが備える各種構成との電気的な接続を切り替える。産業車両Mの乗員は、例えば、産業車両Mの動作を完全に停止させる際に、スイッチ20をオフ状態に切り替えて、バッテリ10と産業車両Mとを電気的に切断し、バッテリ10に産業車両Mへの電力の供給を行わせない。また、産業車両Mの乗員は、産業車両Mの動作を開始させる際に、スイッチ20をオン状態に切り替えて、バッテリ10と産業車両Mとを電気的に接続し、バッテリ10に産業車両Mへの電力の供給を行わせる。以降の説明において、スイッチ20のオン/オフ状態を示す情報を供給情報とも記載する。ここで、スイッチ20のオン/オフ状態は、バッテリ10から産業車両Mへの電力の供給状態に対応する。したがって、スイッチ20がオン状態であることを示す供給情報は、バッテリ10から産業車両Mへの電力の供給が行われていることを示す供給情報の一例である。また、スイッチ20がオフ状態であることを示す供給情報は、バッテリ10から産業車両Mへの電力の供給が行われていないことを示す供給情報の一例である。
【0020】
キーシリンダ30には、産業車両Mのメカニカルキーが挿入される。キーシリンダ30には、スイッチ31が設けられる。スイッチ31は、キーシリンダ30に挿入されたメカニカルキーが回動されることにより、バッテリ10と、産業車両Mが備える各種構成のうち少なくとも一部の構成との電気的な接続を切り替える。産業車両Mの乗員は、例えば、産業車両Mの動作を停止させる際に、キーシリンダ30挿入されたメカニカルキーをオフの位置まで回動する。また、産業車両Mの乗員は、産業車両Mの動作を開始させる際に、キーシリンダ30に挿入されたメカニカルキーをオンの位置まで回動する。
【0021】
以降の説明において、キーシリンダ30に設けられたスイッチ31がオン状態であることを、キーシリンダ30がオン状態であるとも記載する。また、キーシリンダ30に設けられたスイッチ31がオフ状態であることを、キーシリンダ30がオフ状態であるとも記載する。また、以下、キーシリンダ30のオン/オフ状態を示す情報を指示情報とも記載する。ここで、産業車両Mの乗員が、キーシリンダ30をオン状態にすることは、産業車両Mに動作を開始することを指示しているともいえる。また、産業車両Mの乗員が、キーシリンダ30をオフ状態にすることは、産業車両Mに動作を停止することを指示しているともいえる。したがって、キーシリンダ30がオン状態であることを示す指示情報は、産業車両Mの動作の開始を指示することを示す指示情報の一例である。また、キーシリンダ30がオフ状態であることを示す指示情報は、産業車両Mの動作の停止を指示することを示す指示情報の一例である。
【0022】
また、本実施形態において、キーシリンダ30がオフ状態にされると、産業車両Mの内燃機関および電動機の動作が停止されるものとする。したがって、キーシリンダ30がオフ状態にされると、産業車両Mが備える各種構成のうち、キーシリンダ30がオフ状態にされることにより停止されない一部の構成は、バッテリ10に蓄電された電力により動作する。
【0023】
検出部40は、産業車両Mの周辺を検出する。検出部40は、例えば、カメラ41と、レーダ装置42と、ファインダ43とを備える。
カメラ41は、産業車両Mの周辺を撮像可能な任意の位置に設置される。カメラ41は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備えるデジタルカメラであり、所定周期で繰り返し産業車両Mの周辺を撮像する。カメラ41は、産業車両Mの周辺を撮像し、生成した画像を示す画像情報を認識装置100に出力する。画像情報は、検出情報の一例である。
【0024】
レーダ装置42は、産業車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された反射波を検出して少なくとも物体の位置、距離および方位を検出する。レーダ装置42は、産業車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置42は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。レーダ装置42は、検出結果を示すレーダ情報を認識装置100に出力する。レーダ情報は、検出情報の一例である。
【0025】
ファインダ43は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ43は、産業車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ43は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ43は、産業車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置42は、検出結果を示すファインダ情報を認識装置100に出力する。ファインダ情報は、検出情報の一例である。
【0026】
HMI50は、産業車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI50は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチなどを含む。
【0027】
着座センサ60は、乗員が産業車両Mに乗車し、座席に着座したか否かを検出する。着座センサ60は、検出結果を示す着座情報を制御装置200に出力する。着座センサ60は、産業車両Mの座席に設けられる。着座センサ60が設けられる座席とは、例えば、運転席である。
【0028】
運転操作子70は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子70には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、制御装置200、もしくは、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310およびステアリング装置320のうち一部または全部に出力される。
【0029】
認識装置100は、カメラ41、レーダ装置42およびファインダ43のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。認識装置100は、認識結果を制御装置200に出力する。
【0030】
制御装置200は、認識装置100から取得した認識結果に基づいて、産業車両Mの周辺に存在する物体について、産業車両Mの乗員に通知する。制御装置200は、例えば、認識装置100の認識結果が産業車両Mの周辺に物体が存在することを示す場合、HMI50のスピーカから通知音や、通知メッセージの音声を出力させる。通知メッセージには、例えば、認識結果に示される物体の詳細な位置や種類が含まれていてもよい。詳しくは、通知メッセージは、例えば、「左前方に人がいます。気を付けて走行してください。」等のメッセージであってもよい。また、HMI50が、スピーカを複数有し、各スピーカが、産業車両Mの車室内の四方にそれぞれ設けられる場合、制御装置200は、産業車両Mの周辺に存在する物体の位置に対応する位置に設けられた一以上のスピーカから通知音を出力させてもよい。
【0031】
また、制御装置200は、運転操作子70から入力された情報に基づいて、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310およびステアリング装置320を制御する。
走行駆動力出力装置300は、産業車両Mが走行するための走行駆動力を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置300は、例えば、内燃機関、電動機および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、制御装置200から入力される情報、或いは運転操作子70から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0032】
ブレーキ装置310は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、制御装置200から入力される情報、或いは運転操作子70から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置310は、運転操作子70に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置310は、上記説明した構成に限らず、制御装置200から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0033】
ステアリング装置320は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、制御装置200から入力される情報、或いは運転操作子70から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0034】
[バッテリ10の接続について]
上述したように、スイッチ20は、バッテリ10と産業車両Mが備える各種構成との電気的な接続を切り替え、キーシリンダ30は、バッテリ10と、産業車両Mが備える各種構成のうち少なくとも一部の構成との電気的な接続を切り替える。本実施形態では、認識装置100には、スイッチ20を介してバッテリ10が接続される。認識装置100とバッテリ10との間には、キーシリンダ30を介していない。したがって、認識装置100は、キーシリンダ30の状態に関わらず、スイッチ20がオン状態である場合に、バッテリ10から電力が供給される。
【0035】
[認識装置100について]
以下、認識装置100の詳細について説明する。認識装置100は、例えば、制御部120と、記憶部130とを備える。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0036】
記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)や、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体により実現される。制御部120を実現するプログラムは、記憶部130に格納される。
【0037】
制御部120は、例えば、取得部121と、認識部122と、動作制御部123とを備える。取得部121は、スイッチ20から供給情報を取得し、キーシリンダ30から指示情報を取得する。また、取得部121は、着座センサ60から着座情報を取得する。また、取得部121は、検出部40から検出結果を示す情報を取得する。詳しくは、取得部121は、カメラ41から画像情報を取得し、レーダ装置42からレーダ情報を取得し、ファインダ43からファインダ情報を取得する。
【0038】
認識部122は、取得部121により取得された検出部40の検出結果を示す情報に基づいて、産業車両Mの周辺環境を認識する。詳しくは、認識部122は、カメラ41、レーダ装置42およびファインダ43のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、産業車両Mの周辺に存在する物体の位置、種類、速度などを認識する。
【0039】
動作制御部123は、取得部121により取得された情報に基づいて、認識装置100の状態を制御する。動作制御部123は、例えば、認識装置100の状態を、認識状態と、停止状態と、待機状態とのうち、いずれかの状態に遷移させる。認識状態は、認識装置100が産業車両Mの周辺環境を認識する状態である。停止状態は、認識装置100が産業車両Mの周辺環境を認識する処理を停止する状態である。待機状態は、認識状態に遷移されるまでの間、待機する状態である。
【0040】
ここで、認識装置100の状態は、停止状態に制御された後、認識状態に遷移されるまでには、時間を要する場合がある。待機状態は、停止状態に比して、認識状態に遷移するまでに要する時間が短い状態である。停止状態は、例えば、認識装置100の電源がオフ状態である。待機状態は、例えば、認識状態に比して認識装置100の消費電量が少ない省電力状態である。以下、認識装置100が、待機状態において、産業車両Mの周辺を認識する処理を行わないものとする。
【0041】
[動作フロー]
以下、図2を参照し、動作制御部123が認識装置100の状態を遷移させる処理の詳細について説明する。本フローチャートは、スイッチ20がオフ状態である場合に開始される。まず、車両システム1は、スイッチ20がオン状態にされるまでの間、停止する(ステップS100)。スイッチ20がオン状態に制御され、車両システム1の動作が開始された場合、動作制御部123は、取得部121により取得された指示情報に基づいて、キーシリンダ30がオン状態であるか否かを判定する(ステップS102)。動作制御部123は、指示情報が、キーシリンダ30がオフ状態であることを示す場合、認識装置100の状態を停止状態に遷移させ、処理をステップS102に進める(ステップS104)。
【0042】
動作制御部123は、指示情報が、キーシリンダ30がオン状態であることを示す場合、停止状態から認識状態への遷移を開始させる(ステップS106)。上述したように、認識装置100の状態は、停止状態から認識状態に遷移されるまでには、時間を要する場合がある。動作制御部123は、取得部121により取得された指示情報に基づいて、停止状態から認識状態に遷移されるまでに要する所定時間内に、キーシリンダ30がオフ状態に制御されたか否かを判定する(ステップS108)。動作制御部123は、停止状態から認識状態に遷移されるまでに要する所定時間内に、キーシリンダ30がオフ状態に制御されたと判定した場合、停止状態から認識状態に遷移させる処理を中止し、処理をステップS102に進める。
【0043】
動作制御部123は、停止状態から認識状態に遷移されるまでに要する所定時間内に、キーシリンダ30がオフ状態に制御されていないと判定した場合、遷移させる処理を中止せず、認識装置100の状態を認識状態に遷移させる(ステップS110)。認識部122は、認識装置100が認識状態にされている場合、取得部121により取得された検出部40の検出結果を示す情報に基づいて、産業車両Mの周辺環境を認識する。また、産業車両Mには、図示しない通知ランプが設けられている。制御装置200は、認識装置100の状態が認識状態となった場合に、通知ランプに対し電力を供給し、乗員に対して光を出射させてもよい。このようにして、通知ランプは、認識装置100の状態が認識状態となったことを作業者に対して通知する。通知ランプは、産業車両Mがフォークリフトの場合、ヘッドガードのピラーに設けられるのが乗員の視認性の面で好ましい。ただし、通知ランプはカメラ41の筐体に設けられていてもよく、HMI50の各種表示装置に設けられていてもよい。
【0044】
動作制御部123は、認識装置100が認識状態にされている場合、取得部121により取得された指示情報に基づいて、キーシリンダ30がオフ状態であるか否かを判定する(ステップS112)。動作制御部123は、認識装置100が認識状態にされている場合に、キーシリンダ30がオフ状態であると判定するまでの間、処理をステップS110に進め、認識装置100の状態を認識状態に保持する。動作制御部123は、取得部121により取得された指示情報に基づいて、キーシリンダ30がオフ状態であると判定した場合、認識装置100の状態を待機状態に遷移させる(ステップS114)。また、制御装置200は、認識装置100の状態が待機状態となった場合に、通知ランプに対する電力を遮断させ、消灯させてもよい。
【0045】
動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS116)。所定の条件には、例えば、第1条件~第2条件の二つの条件が含まれる。
【0046】
第1条件は、待機状態に遷移してから所定時間が経過したことである。所定時間は、例えば、バッテリ10の残電力に基づいて逐次変更されてもよく、認識装置100が待機状態として動作する際に消費する消費電力に基づいて予め決定されてもよく、HMI50に対して産業車両Mの乗員が入力した値に基づいて決定されてもよい。動作制御部123は、例えば、ステップS114において認識装置100の状態を待機状態に遷移させてから経過した時間が所定時間以上であるか否かを、常時、又は所定時間よりも短い時間間隔毎に判定する。
【0047】
第2条件は、検出部40の検出結果が産業車両Mの周辺に人物が存在しないことを示すことである。取得部121は、例えば、ステップS114において動作制御部123が認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、常時、又は所定時間よりも短い時間間隔毎に検出部40から検出情報を取得する。動作制御部123は、取得部121により検出情報が取得される度に、取得された検出情報に基づいて、一時的に、認識部122に産業車両Mの周辺環境を認識する処理を行わせる。動作制御部123は、認識部122の認識結果が、産業車両Mの周辺に人物が存在しないことを示すか否かを判定する。
【0048】
動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たすと判定した場合に、認識装置100の状態を停止状態に遷移させ、処理をステップS102に進める(ステップS118)。本実施形態では、動作制御部123は、第1条件、又は第2条件を満たすと判定した場合、所定の条件を満たすものとして、処理をステップS118に進める。
【0049】
詳しくは、動作制御部123は、ステップS114において認識装置100の状態を待機状態に遷移させてから経過した時間が所定時間以上であると判定した場合、所定の条件を満たすと判定する。また、動作制御部123は、取得した着座情報が産業車両Mに乗員が乗車していないことを示すと判定した場合、所定の条件を満たすと判定する。また、動作制御部123は、認識部122の認識結果が、産業車両Mの周辺に人物が存在しないことを示すと判定した場合、所定の条件を満たすと判定する。
【0050】
動作制御部123は、所定の条件を満たさないと判定した場合に、キーシリンダ30がオン状態にされたか否かを判定する(ステップS120)。動作制御部123は、キーシリンダ30がオン状態にされたと判定するまでの間、処理をステップS114に進め、認識装置100の状態を待機状態に保持する。動作制御部123は、キーシリンダ30がオン状態にされたと判定した場合、待機状態から認識状態への遷移を開始させる(ステップS122)。ステップS122において待機状態から認識状態への遷移が開始されてから、認識状態に遷移されるまでに要する時間は、ステップS106において停止状態から認識状態への遷移が開始されてから、認識状態に遷移されるまでに要する時間よりも短い時間である。
【0051】
動作制御部123は、取得部121により取得された指示情報に基づいて、待機状態から認識状態に遷移されるまでに要する所定時間内に、キーシリンダ30がオフ状態に制御されたか否かを判定する(ステップS124)。動作制御部123は、待機状態から認識状態に遷移されるまでに要する所定時間内に、キーシリンダ30がオフ状態に制御されたと判定した場合、処理をステップS114に進め、認識装置100の状態を待機状態に保持させる。
【0052】
[本実施形態の認識装置100にかかる効果について]
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)動作制御部123は、認識装置100の状態が認識状態において取得された指示情報が、産業車両Mの動作の停止を指示することを示す場合、認識装置100の状態を停止状態に遷移させず、待機状態に遷移させる。
【0053】
ここで、産業車両Mの乗員は、産業車両Mへの荷物の積載や、産業車両Mに積載された荷物の積み降ろし等に際して、頻繁に産業車両Mの動作を停止する場合がある。かかる構成によれば、認識装置100は、産業車両Mの乗員が一時的に産業車両Mを停止させた後に産業車両Mを起動した際、認識装置100の起動時間を短縮することができる。
【0054】
(2)取得部121は、キーシリンダ30に設けられたスイッチ31のオン状態、又はオフ状態を示す情報を、指示情報として取得する。
かかる構成によれば、認識装置100は、キーシリンダ30のような簡便な手段により、産業車両Mの乗員が容易に産業車両Mへの動作の指示を行えるようにすることができる。
【0055】
(3)動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たす場合に、認識装置100の状態を停止状態に遷移させる。
かかる構成によれば、動作制御部123は、所定の条件を満たす場合には、認識装置100の状態を停止状態に遷移させ、待機状態が継続することに伴う産業車両Mのエネルギー消費を抑制することができる。
【0056】
(4)所定の条件には、待機状態に遷移してから所定時間が経過したことが含まれ、動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、所定時間が経過した場合、認識装置100の状態を停止状態に遷移させる。
【0057】
かかる構成によれば、動作制御部123は、待機状態に遷移してから所定の時間が経過した場合には、認識装置100を停止状態に遷移させ、待機状態が継続することに伴う産業車両Mのエネルギー消費を抑制することができる。
【0058】
(5)取得部121は、検出部40の検出結果を示す検出情報を更に取得し、所定の条件には、検出結果が産業車両Mの周辺に人物が存在しないことを示すことが含まれる。動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、検出結果が産業車両Mの周辺に人物が存在しないことを示す場合、認識装置100の状態を停止状態に遷移させる。
【0059】
かかる構成によれば、動作制御部123は、産業車両Mの周辺に人物が存在しない場合には、乗員が産業車両Mを利用することが無いものとみなし、認識装置100を停止状態に遷移させる。これにより、動作制御部123は、待機状態が継続することに伴う産業車両Mのエネルギー消費を抑制することができる。
【0060】
(6)動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たさない場合、認識装置100の状態を現在の状態に保持させる。
かかる構成によれば、動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態に遷移させた後、所定の条件を満たさない場合には、認識装置100の状態を待機状態に保持する。これにより、動作制御部123は、産業車両Mの乗員が一時的に産業車両Mを停止させた後に産業車両Mを起動した際、認識装置100の起動時間を短縮することができる。
【0061】
(7)動作制御部123は、認識装置100の状態を待機状態から認識状態に遷移させた際に、指示情報が、産業車両Mの動作の停止を指示することを示す場合、認識装置100の状態を認識状態から待機状態に遷移させる。
【0062】
かかる構成によれば、動作制御部123は、待機状態から認識状態に遷移され、認識装置100が短縮された起動時間で起動している際に、再度、産業車両Mの動作が停止された場合には、認識装置100を待機状態に遷移させる。これにより、動作制御部123は、認識状態が継続することに伴う産業車両Mのエネルギー消費を抑制することができる。認識装置100が短縮された起動時間で起動している際に、再度、産業車両Mの動作が停止された場合とは、例えば、産業車両Mの乗員が誤ってキーシリンダ30を操作してしまった場合等である。
【0063】
[待機状態に遷移しない場合について]
なお、上述では、動作制御部123が、ステップS114において、認識装置100の状態を待機状態に遷移させる場合について説明したが、これに限られない。動作制御部123は、例えば、認識装置100が認識状態にされている場合に、キーシリンダ30がオフ状態であると判定した場合、認識装置100の状態を認識状態に保持してもよい。これにより、動作制御部123は、産業車両Mの乗員が一時的に産業車両Mを停止させた後に産業車両Mを起動した際、認識装置100を再度起動することなく、即座に動作させることができる。この場合、ステップS114の処理は、動作制御部123が、認識装置100の状態を待機状態に遷移させる処理に代えて、認識装置100の状態を認識状態に保持する処理が行われる。また、この場合、ステップS122の待機状態から認識状態への遷移を開始する処理は、省略される。
【0064】
上記各実施形態は以下のように変更してもよい。なお、上記実施形態および以下の各別例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせてもよい。
図1に示す車両システム1の構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0065】
〇検出部40は、上述した構成以外の構成を備えていてもよい。検出部40は、例えば、認識装置100によるセンサフュージョン処理を要しない加速度センサや速度センサ等を備えていてもよい。この場合、制御装置200は、加速度センサや速度センサの検出結果を、認識装置100を介さずに取得してもよい。また、検出部40は、上述した構成のうち、一部の構成を備えるものであってもよい。
【0066】
〇取得部121は、キーシリンダ30以外から指示情報を取得してもよい。取得部121は、例えば、着座情報を指示情報として取得してもよい。産業車両Mの乗員が、産業車両Mから降車し、座席から離れることは、産業車両Mに動作を停止することを指示しているともいえる。また、産業車両Mの乗員が、産業車両Mに乗車し、座席に着座することは、産業車両Mに動作を開始することを指示しているともいえる。また、取得部121は、例えば、パーキングブレーキが操作されたか否かを示す情報を指示情報として取得してもよい。産業車両Mの乗員が、パーキングブレーキを操作された状態にすることは、産業車両Mに動作を停止することを指示しているともいえる。また、産業車両Mの乗員が、パーキングブレーキを操作されていない状態にすることは、産業車両Mに動作を開始することを指示しているともいえる。
【0067】
〇認識装置100の認識結果は、産業車両Mの乗員への通知の他、産業車両Mを自動的に走行させるために用いられてもよい。この場合、制御装置200は、産業車両Mが自動的に将来走行する目標軌道を生成する。自動的に走行することには、運転者の操作に依らずに走行することが含まれる。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、産業車両Mの到達すべき軌道点を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離ごとの産業車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。所定の走行距離とは、例えば、数[m]程度の距離である。また、所定のサンプリング時間とは、例えば、0コンマ数[sec]程度の時間である。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における産業車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。制御装置200は、生成した目標軌道を、予定の時刻通りに産業車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置300、ブレーキ装置310およびステアリング装置320を制御する。
【0068】
〇動作制御部123は、第1条件、及び第2条件をいずれも満たす場合に、所定の条件を満たすと判定してもよい。また、所定の条件としての第1条件、及び第2条件は、一例であり、これに限られない。
【0069】
〇第1条件に含まれる所定時間が、乗員のHMI50への入力によって決定されない場合、車両システム1は、HMI50を備えていなくてもよい。
〇第2条件が所定の条件の判定に用いられない場合、車両システム1は、着座センサ60を備えていなくてもよい。
【0070】
〇動作制御部123は、着座センサ60から取得した着座情報に代えて、或いは加えて、他の情報に基づいて、産業車両Mに乗員が乗車しているか否かを判定してもよい。動作制御部123は、例えば、産業車両Mのハンドルに設けられたグリップセンサの検出結果に基づいて、産業車両Mに乗員が乗車しているか否かを判定してもよい。また、動作制御部123は、産業車両Mの車室内に設けられた車内カメラが車室内を撮像し、生成した画像に基づいて、産業車両Mに乗員が乗車しているか否かを判定してもよい。
【0071】
〇キーシリンダ30がオフ状態にされると、産業車両Mの内燃機関および電動機の動作が停止される場合について説明したが、これに限られない。キーシリンダ30がオフ状態にされても、産業車両Mの内燃機関および電動機は、認識状態や待機状態において動作を継続してもよい。また、産業車両Mの内燃機関は、待機状態において、アイドリング状態に制御されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
M…産業車両、1…車両システム、10…バッテリ、20…スイッチ、30…キーシリンダ、40…検出部、41…カメラ、42…レーダ装置、43…ファインダ、50…HMI、60…着座センサ、70…運転操作子、100…認識装置、120…制御部、121…取得部、122…認識部、123…動作制御部、130…記憶部、200…制御装置、300…走行駆動力出力装置、310…ブレーキ装置、320…ステアリング装置。
図1
図2