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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】飲用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20240516BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20240516BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/60
A23L2/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019139514
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2020022447
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2018148286
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 芳子
(72)【発明者】
【氏名】山本 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】望月 晃司
(72)【発明者】
【氏名】山地 貴之
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 幸市朗
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-054572(JP,A)
【文献】特開平03-004767(JP,A)
【文献】特開2012-046477(JP,A)
【文献】国際公開第2005/004635(WO,A1)
【文献】特開2001-245591(JP,A)
【文献】Stash Tea,Amazon,2014年04月08日,internet <URL: https://www.amazon.com/Stash-Tea-Spicy-Licorice-20/dp/B00028LU40/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8>
【文献】Stephanie Bruneau,ROYAL JELLY- A WORKER BEE PRODUCED, PROTEIN RICH, MOTHER'S MILK,Bee Culture,2017年03月17日,internet <URL: https://www.beeculture.com/royal-jelly-worker-bee-produced-protein-rich-mothers-milk/>
【文献】Simply Cola Drink,Mintel GNPD, [online], ID#5386367,2018年01月,internet <URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/5386367/from_search/tSNrRszoH1/?page=1>
【文献】Espresso Latte,Mintel GNPD, [online], ID#5748799,2018年06月,internet <URL:https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/5748799/from_search/7vKJAUQtCk/?page=1 >
【文献】Quinoa + Mixed Berries Whole Grain Smoothie,Mintel GNPD, [online], ID#4127489,2016年07月,internet <URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/4127489/from_search/LVh0vv9UfB/?page=1>
【文献】Keto Drink with Banana Flavour,Mintel GNPD, [online], ID#4815965,2017年06月,internet <URL: https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/4815965/from_search/3pi9Qqe6UI/?page=1>
【文献】シリーズ累計30万本突破!爆発的人気クレンジングの姉妹品登場!マツエクしてても大丈夫!美容液成分で落とす温感・ホットクレンジング。クレンジング業界初となる、じんわりじわじわ持続温感型の成分配合。,[検索日2023年06月27日],internet <URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000012307.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23
Google
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSISI(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種のバニリルアルキルエーテル、及び
b)以下のb1)、b2)、b3)及びb4)からなる群より選ばれる少なくとも1種
b1)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して原料乾燥物換算量で1~3000質量部である、甘草、大棗及び陳皮からなる群より選ばれる少なくとも1種
b2)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して3~1400質量部である、ローヤルゼリー
b3)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して0.8~125質量部である、カフェイン
b4)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して1~5500質量部である、タウリン、イソロイシン、カルニチン、バリン、ロイシン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸類
を含有し、a)バニリルアルキルエーテルが0.0001~0.02w/v%である飲用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バニリルアルキルエーテルを含み、不快味が抑制された飲用組成物に関するものであり、医薬、食品の分野に応用できるものである。
【背景技術】
【0002】
バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル等のバニリルアルキルエーテルは、温感を与える物質として知られている(特許文献1、2)。従って、バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルは、香料、歯磨組成物、化粧料、外用剤として用いられる。一方、バニリルアルコール誘導体自身の極めて強い辛味、苦味、雑味があり、風味上の問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4611203号
【文献】特許第3497466号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルを含有した飲用組成物は、極めて強い辛味、苦味、雑味などの風味に課題があるという知見を得た。
【0005】
したがって、本発明は、飲用組成物中のバニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルの風味を改善した飲用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、甘草、大棗、陳皮、ローヤルゼリー、カフェイン、タウリン、イソロイシン、カルニチン、バリン、ロイシン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有させた場合に、バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルの風味が改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち本発明は、
(1)a)バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルから選ばれる少なくとも1種のバニリルアルキルエーテル、及び
b)以下のb1)、b2)、b3)及びb4)からなる群より選ばれる少なくとも1種
b1)甘草、大棗及び陳皮からなる群より選ばれる少なくとも1種
b2)ローヤルゼリー
b3)カフェイン
b4)タウリン、イソロイシン、カルニチン、バリン、ロイシン及びアルギニンからなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ酸類
を含有する飲用組成物、
(2)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して、
b)b1)甘草、大棗及び陳皮からなる群より選ばれる少なくとも1種が原料乾燥物換算量で1~3000質量部であることを特徴とする(1)に記載の飲用組成物、
(3)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して、
b)b2)ローヤルゼリーが3~1400質量部であることを特徴とする(1)に記載の飲用組成物、
(4)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して、
b)b3)カフェインが0.5~200質量部であることを特徴とする(1)に記載の飲用組成物、
(5)a)バニリルアルキルエーテル1質量部に対して、
b)b4)アミノ酸類が1~5500質量部であることを特徴とする(1)に記載の飲用組成物、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルを含有した飲用組成物に、甘草、大棗、陳皮、ローヤルゼリー、カフェイン、タウリン、イソロイシン、カルニチン、バリン、ロイシン、アルギニンから選ばれる1種以上を含有させることで、バニリルエチルエーテル、及び/又はバニリルブチルエーテルの不快味を抑制した飲用組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明におけるバニリルアルキルエーテルとは、バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルであり、可食性のものであれば特に限定されない。市販品を購入することができ、例えば、シグマアルドリッチジャパン合同会社社製バニリルブチルエーテル等が挙げられる。バニリルアルキルエーテルの含有量は、特に限定されないが、温感の感じ方や風味の面から、飲用組成物全量に対し、0.0001~0.02w/v%が好ましく、0.0008~0.015w/v%がより好ましい。
【0010】
本発明における甘草、大棗及び陳皮からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、場合により、b1成分とも言う)は、エキスの形態での配合が好ましい。エキスの製造は通常の方法、例えば、抽出溶媒を用いて、適当な温度(低温又は加熱)にて、原料から抽出する方法などにより行う。抽出溶媒は適当に選択できるが、好ましくは、水、親水性溶媒およびこれらの混合溶媒が用いられ、特に、親水性溶媒としてエタノールを用いるのが良い。本発明のエキスとは、液状抽出物をそのまま使用できるほか、水などで希釈したもの、液状抽出物の濃縮物、液状抽出物の乾固物としても使用できる。すなわち、本発明のエキスには、乾燥エキス、軟エキス、流エキス、チンキなどいずれのものも包含される。エキスは市販品を購入することもでき、例えば、日本粉末薬品株式会社社製カンゾウエキス、タイソウエキス、チンピエキス等が挙げられる。
【0011】
b1成分の含有量(b1成分を複数含む場合はその合計量)は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して原料乾燥物換算量で1~3000質量部であることが好ましく、より好ましくはバニリルアルキルエーテル1質量部に対して原料乾燥物換算量で1~2100質量部、さらに好ましくは1~1900質量部である。ここで「原料乾燥物換算量」とは、抽出物を得るために必要な原料の乾燥重量を指す。以下でも「原料乾燥物換算量」をこの意味で用いる。
【0012】
本発明における甘草(カンゾウ)は、甘草(学名:Glycyrrhiza uralensis Fischer又はGlycyrrhiza glabra Linne(Leguminosae))の根およびストロンで、ときには周皮を除いたもの(皮去りカンゾウ)である。本発明における甘草の含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対してカンゾウ乾燥物換算量で20~1250質量部であることが好ましい。
【0013】
本発明における大棗(タイソウ)は、ナツメZizyphus jujuba Miller var. inermis Rehder (Rhamnaceae)の果実である.本発明における大棗の含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対してタイソウ乾燥物換算量で45~2000質量部であることが好ましい。
【0014】
本発明における陳皮(チンピ)は、ウンシュウミカンCitrus unshiu Marcowicz又はCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)の成熟した果皮である.本発明における陳皮の含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対してチンピ乾燥物換算量で1~300質量部であることが好ましい。
【0015】
本発明におけるローヤルゼリーは、ヨーロッパミツバチApis mellifera Linne又はトウヨウミツバチApis cerana Fabricius (Apidae)の頭部にある分泌腺から分泌される粘稠性のある液又はそれを乾燥したものである。生ローヤルゼリー、乾燥ローヤルゼリー、調製ローヤルゼリーのいずれも使用可能であるが、特に生ローヤルゼリーが好ましい。生ローヤルゼリー、又は乾燥ローヤルゼリーをエタノール又はエタノールと水の混液で抽出したエタノール抽出物又はエタノールと水の混液抽出物も使用可能である。また、日本薬局方の製剤総則のチンキ剤に該当するローヤルゼリーチンキ、又はそれに準じた方法で調製されたローヤルゼリーチンキも使用可能である。本発明におけるローヤルゼリーの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して3~1400質量部が好ましく、より好ましくはバニリルアルキルエーテル1質量部に対して5~1250質量部、さらに好ましくは8~1250質量部である。
【0016】
本発明におけるカフェインは、無水カフェイン、カフェイン水和物が挙げられ、医薬的に許容されるものであれば特に限定はしないが、無水カフェインが好ましい。合成品、天然物からの抽出物のいずれをも含むが、合成品が好ましい。本発明におけるカフェインの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して0.5~200質量部が好ましく、より好ましくはバニリルアルキルエーテル1質量部に対して0.7~150質量部、さらに好ましくは0.8~125質量部である。
【0017】
本発明におけるアミノ酸類は、タウリン、イソロイシン、カルニチン、バリン、ロイシン及びアルギニンである。アミノ酸とは、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物の総称であり、本発明におけるアミノ酸類には、アミノ酸誘導体であるカルニチンも含む。
【0018】
アミノ酸類の含有量は、 特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して1~5500質量部であることが好ましく、より好ましくはバニリルアルキルエーテル1質量部に対して1.5~4500質量部、さらに好ましくは1.7~3750質量部である。
【0019】
本発明におけるタウリンは、化学名としてはアミノエチルスルホン酸をいう。特に限定されるものではなく、合成品、天然物からの抽出物のいずれでもよいが、特に合成品が好ましい。本発明におけるタウリンの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して20~4500質量部であることが好ましく、より好ましくはバニリルアルキルエーテル1質量部に対して25~4000質量部であり、さらに好ましくは80~3750質量部である。
【0020】
本発明におけるイソロイシンは、化学名としては2-アミノ-3-メチルペンタン酸をいう。L-イソロイシン、D-イソロイシン、ラセミ体であるDL-イソロイシンのいずれを用いてもよいが、特に、L-イソロイシンが好ましい。本発明におけるイソロイシンの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して5~250質量部であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いるカルニチンは、カルニチン、カルニチンの塩(カルニチン塩酸塩、カルニチン硝酸塩、カルニチンフマル酸塩、カルニチン酒石酸塩など)、カルニチン類縁化合物(アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチンなどのアシルカルニチンなど)などのことである。そのなかでも、カルニチンの塩が好ましく、特に好ましいものとしてカルニチン塩酸塩を挙げることができる。本発明におけるカルニチンの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して1~250質量部であることが好ましい。
【0022】
本発明におけるバリンは、化学名としては2-アミノ-3-メチルブタン酸をいう。L-バリン、D-バリン、ラセミ体であるDL-バリンのいずれを用いてもよいが、特に、L-バリンが好ましい。本発明におけるバリンの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して5~200質量部であることが好ましい。
【0023】
本発明におけるロイシンは、2-アミノ-4-メチルペンタン酸をいう。L-ロイシン、D-ロイシン、ラセミ体であるDL-ロイシンのいずれを用いてもよいが、特に、L-ロイシンが好ましい。本発明におけるロイシンの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して40~600質量部であることが好ましい。
【0024】
本発明におけるアルギニンは、化学名としては2-アミノ-5-グアニジノペンタン酸、またはその塩をいう。L-アルギニン、D-アルギニン、ラセミ体であるDL-アルギニンのいずれを用いてもよい。本発明には、遊離アルギニンを用いてもよいし、塩の形態のアルギニンを用いてもよい。塩の形態のアルギニンとしては、飲食用として許容される塩であれば特に限定されないが、たとえば塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられ、特に塩酸塩が好ましい。本発明におけるアルギニンの含有量は、特に限定されないが、バニリルアルキルエーテルの風味改善の面から、バニリルアルキルエーテル1質量部に対して20~750質量部であることが好ましい。
【0025】
本発明にかかる飲用組成物のpHは、特に限定されず、例えば、2.0~7.0である。風味の観点からは低pHであることが好ましく、さらに好ましくは2.5~5.5である。本発明の飲用組成物のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基等が挙げられる。
【0026】
本発明の飲用組成物にはその他の成分として、他のビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、他の生薬や生薬抽出物などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0027】
さらに必要に応じて、甘味料、酸味料、増粘安定剤、酸化防止剤、着色剤、香料、矯味剤、保存料、調味料、苦味料、強化剤、可溶化剤、乳化剤などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0028】
本発明の飲用組成物は、常法により調製することができ、その方法は特に限定されるものではない。通常、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、pHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過、殺菌処理し、容器に充填する工程により製造することができる。
【0029】
本発明の飲用組成物は、例えばシロップ剤、ドリンク剤などの医薬品や医薬部外品などの各種製剤、健康飲料、清涼飲料などの各種飲料に適用することができる。
【実施例
【0030】
以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1~62、比較例1~6)
専門パネル5名により、表1の評価項目及び評価基準にて、比較例1~6のいずれかを基準とし、表2~7に示す組成の飲料について、バニリルアルキルエーテル由来の不快味(辛味)を評価した。
【0031】
基準とした比較例は、各表に示した比較例のうち、バニリルエチルエーテル又はバニリルブチルエーテルが各実施例と同量含まれているものとした。すなわち、表2においては、実施例1、3、5、7、9は比較例1を基準とし、実施例2、4、6、8、10は比較例2を基準とした。表3~7の実施例についても同様とした。
バニリルアルキルエーテル由来の不快味がどのように感じられるかについて、事前にパネル間で意見交換し、辛味・苦さ・雑味が特徴的であると認定した。本実施例においては、前記辛味・苦さ・雑味のなかで最も不快味として強く感じられる辛味を評価した。
評価結果は、専門パネル5名のスコアの平均値で表し、表2~7に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
表2~7から明らかなように、バニリルエチルエーテル、又はバニリルブチルエーテルを含む飲料について、カンゾウ、タイソウ等の各種成分を含有させることにより不快味を改善できることが明らかになった。
【0040】
(実施例63~78、比較例7)
表8~10に示す組成の飲料について、表2~7の処方と同様にバニリルアルキルエーテル由来の不快味を、比較例7を基準として専門パネル5名で評価した。
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
表8~10から明らかなように、バニリルエチルエーテル及びバニリルブチルエーテルを含む飲料について、カンゾウ、タイソウ等の各種成分を含有させることにより不快味を改善できることが明らかになった。さらに、カンゾウ、タイソウ等の各種成分を複数含有させることで、不快味改善効果は高まった。
【0045】
(比較例8~16)
表11に示す組成の飲料について、表2~10の処方と同様にバニリルアルキルエーテル由来の不快味を評価した。
比較例8~15は比較例16を基準として、比較例8~12は専門パネル4名で評価し、比較例13~15は専門パネル5名で評価した。なお、基準とした比較例16は比較例8~12の評価時は専門パネル4名で実施し、比較例13~15の評価時は専門パネル5名で実施した。
【0046】
【表11】
【0047】
表11から明らかなように、バニリルブチルエーテルを含む飲料について、トウキ、ケイヒ、VB6、ニコチン酸アミド等、表11に示す成分では不快味は増強又は変化がないことが明らかになった。
【0048】
(製剤例)
表12に示す組成の製剤を製造した。
【0049】
【表12】
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によりバニリルアルキルエーテルの風味が改善された内服液剤を得ることができ、医薬品、食品、健康飲料、特定保健用食品などに使用可能である。