(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/215 20240101AFI20240516BHJP
G01D 11/28 20060101ALI20240516BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B60K35/215
G01D11/28 L
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2020123735
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桑原 達也
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-353486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-35/90
G01D 11/28
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の背後に配置される回路基板と、
前記回路基板に配置され前記表示部を照明する光源と、
前記回路基板に配置されるコネクタ部材と、
前記光源からの光で前記表示部及び前記コネクタ部材を照明する導光部材と、
を備え
、前記導光部材は、前記光源からの光で前記コネクタ部材の接続穴を照明することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記コネクタ部材は、前記回路基板の前記光源の実装される面とは反対側の面に配置されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記コネクタ部材は、前記回路基板の平面方向と平行な方向に
前記接続穴を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記導光部材は、前記コネクタ部材の方向に前記光源からの光を反射する反射部を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車、オートバイ、船舶をはじめとする移動体に搭載され、外部と電気的に導通するために設けられたコネクタを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。斯かる表示装置は、光源による照明光により実像表示する発光表示器と、発光表示器と光源を組み付け保持してなるケース体と、光源を実装する回路基板と、発光表示器と光源とを回路基板を介して車両と電気的に引き回し形成するために設けられたコネクタと、を備える。
【0003】
また、従来の表示装置として、例えば特許文献2に開示されたものがある。斯かる表示装置は、画像を表示領域に表示することで、車両情報を運転者に提供する画像表示器と、画像表示器に画像信号を伝達する制御部を有する回路基板と、画像表示器を回路基板を介してと車両が備える種々のECU(Electronic Control Unit)及びCAN(Controller Area Network)と電気的に引き回し形成するために設けられたコネクタと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-181316号公報
【文献】特願2018-091030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置は近年、ユーザーの所有する携帯機器等からの画像信号を画像表示器に入力するために、車両に接続されるコネクタとは別途設けられることが要求される。しかしながら、周囲環境が暗い場合、ユーザーは、このコネクタへの接続作業が難しいといった問題点があった。
【0006】
そこで、外部と電気的に引き回し形成するために設けられたコネクタを照明することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、表示部3と、前記表示部3の背後に配置される回路基板6と、前記回路基板6に配置され前記表示部3を照明する光源61,64と、前記回路基板6に配置されるコネクタ部材63と、前記光源61,64からの光で前記表示部3及び前記コネクタ部材63を照明する導光部材4,5と、を備え、前記導光部材4,5は、前記光源61,64からの光で前記コネクタ部材63の接続穴63aを照明することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る表示装置の正面図。
【
図3】本開示の第2の実施形態に係る表示装置の断面図。
【
図4】本開示の第3の実施形態に係る表示装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1乃至4に基づいて、本開示を適用した表示装置の実施形態を車両に搭載される表示装置に適用した場合について説明する。
【0010】
以下の説明において、「前面側」は、
図1における手前側、及び
図2における左(Fr.)側(透明部11側)であり視認者(運転者)に視認される側を意味する。「背(後)面側」は、
図1における奥側、及び
図2における右(Re.)側(回路基板6側)を意味する。
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本開示の表示装置の第1の実施形態を説明する。
図1,2に示すように、表示装置は、上ケース1と、下ケース2と、液晶表示パネル(表示部)3と、導光体(導光部材)4と、中ケース(導光部材)5と、回路基板6と、光源61と、メインコネクタ62と、サブコネクタ(コネクタ部材)63と、緩衝部材Sと、ゴムキャップ7と、から主に構成される。
【0012】
上ケース1は、黒色等の遮光性の合成樹脂からなり、背面側が開口した略直方体の箱型形状に形成さる。上ケース1は、前面側に透明部11を有する。透明部11は、透光性の板状の合成樹脂からなる。透明部11は、背面側に遮光層12を有する。遮光層12は、黒色のインキが印刷された層からなり、透明部11の外周側に形成され、矩形の窓意匠12aと、ターンやハイビーム等の複数の報知意匠12bを形成する。
【0013】
下ケース2は、黒色等の遮光性の合成樹脂からなり、前面側が開口した底面部21と側壁部22とからなる直方体の略箱型形状に形成される。下ケース2は、上ケース1と嵌合することで構成される閉じた筐体を形成する。この筐体の内部に、液晶表示パネル3,導光体4,中ケース5,回路基板6を収容する。底面部21は、メインコネクタ62を外部へ露出する底面開口部21aを有する。側壁部22は、サブコネクタ63を外部へ露出する側壁開口部22aを有する。
【0014】
液晶表示パネル3は、長方形の上下2枚のガラス基材で液晶材料を挟み込み封入し、その表裏に偏光板を貼り合わせたセグメント状の画素を有するTN(Twisted Nematic:ねじれネマティック)型のポジ(表示文字が、点灯時に遮光性、消灯時は透光性になるモード。背景は点灯時及び消灯時も透光性)型のセグメントタイプの液晶パネルからなる。
【0015】
液晶表示パネル3は、一辺に図示しないFPC(Flexible Printed Circuits)が接続される。FPCは、液晶表示パネル3と回路基板6とを電気的に接続(導通接続)し、回路基板6からの電気信号を液晶表示パネル3に導き、液晶表示パネル3の表示部31に情報を表示させる。
【0016】
液晶表示パネル3は、表示部31を有し、この表示部31で前面側へ各種車両情報を表示する。表示部31は、窓意匠12aの内側に位置し、視認者に視認される。各種車両情報は、数字と単位とで車両の走行速度31aや、文字とマークと目盛とで車両の残燃料31b等である。
【0017】
導光体4は、透明な合成樹脂からなり、液晶表示パネル3の背後に配設される。導光体4は、受光部41と、平面部42と、反射部43と、出射部44と、を有する。
【0018】
受光部41は、光源61からの照明光を導光体4内に導入する。平面部42は、液晶表示パネル3の背面と平行に形成され、受光部41からの照明光を液晶表示パネル3に向け照射する。反射部43は、平面部42からの照明光を回路基板6側へ反射する。出射部44は、平面部42から回路基板6の方に垂れ下がるように形成され、反射部43からの照明光を後述するサブコネクタ63の接続穴63aの方へ照射する。
【0019】
中ケース5は、白色の合成樹脂材料からなり、直方体の略箱型形状に形成される。中ケース5は、回路基板6の上に配置されると共に、回路基板6を固定する。また、中ケース5は、前面に導光体4を保持し、導光体4の前面で液晶表示パネル3を保持する。
【0020】
回路基板6は、例えばFR-4(Flame Retardant-4)等の平板状のガラスエポキシ系基材に配線パターンを施した硬質配線基板からなり、下ケース2と中ケース5との間に位置する。回路基板6は、液晶表示パネル3や光源61を駆動・制御するための駆動回路や、車両を含む外部から各種信号や電源を入力するメインコネクタ62やサブコネクタ63などの電子部品を実装する。
【0021】
光源61は、トップビュー型のLED(Light Emission Diode)からなるものであり、照明光を発する。光源61は、導光体4の受光部41の背後に複数個配置され、白色の照明光を発する。
【0022】
メインコネクタ62は、直方体の樹脂ソケットの内部に複数の電極ピンが並んだ表面実装タイプの雌型コネクタである。メインコネクタ62は、回路基板6の背面側且つ、底面開口部21aに配置される。メインコネクタ62は、一端に雄型コネクタが接続された配線部材を介して車両の電源側である車両ECU及びCAN側と電気的に接続される。
【0023】
サブコネクタ63は、USB規格の機器を接続するための雌型コネクタである。サブコネクタ63は、端子が断面長方形のTypeAのコネクタである。サブコネクタ63は、回路基板6の平面方向と平行な方向に接続穴63aを有するアングルタイプのコネクタである。サブコネクタ63は、回路基板6の前面の回路基板6の周縁部に配置される。サブコネクタ63は、接続穴63aが側壁開口部22aに対向するように配置される。サブコネクタ63は、一端に雄型コネクタが接続された配線部材9(
図3参照)を介して携帯端末機器等と電気的に接続される。
【0024】
回路基板6の図示しない制御部が、サブコネクタ63に配線部材9が接続されたことを検出すると、
図1に示すように、液晶表示パネル3は、表示部31に接続完了マーク31cを表示してユーザーに配線部材9がサブコネクタ63に接続されていることを報知する。接続完了マーク31cは、サブコネクタ63と略対向する位置に表示される。具体的には、接続完了マーク31cは、液晶表示パネル3のサブコネクタ63に最も近い辺側に表示される。
【0025】
緩衝部材Sは、直方体に形成された弾性を有するスポンジからなる。緩衝部材Sは、上ケース1に貼り付けられ、上ケース1と液晶表示パネル3の間に配置される。
【0026】
ゴムキャップ7は、黒色の弾性を有するゴム材料からなる。ゴムキャップ7は、ユーザーにより着脱可能に取り付けられる。ゴムキャップ7は、側壁開口部22aからの水滴などの侵入を防止するため、側壁開口部22aに蓋をするように嵌合する。
【0027】
このように形成されることで、光源61の照明光によりサブコネクタ63の接続穴63a及び下ケース2の側壁開口部22aを照明する表示装置を提供することができる。これにより、周囲環境が暗い場合であっても、ユーザーが接続穴63aの位置を確認できるので、容易に配線部材をサブコネクタ63へ接続することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
本開示に係る表示装置の第2の実施形態を
図3に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0029】
本実施形態では、液晶表示パネル3は、導光体4ではなく、光源64と、中ケース5と、拡散板8と、により照明される。
【0030】
拡散板8は、例えば透明なポリカーボネート樹脂等からなる薄板状の基材の表裏に白色等のインキが印刷されたものからなる。拡散板8は、液晶表示パネル3の背後に配設され、中ケース5に保持される。拡散板8は、液晶表示パネル3に光源64からの照明光を拡散して照射する。
【0031】
光源64は、光源61と同様にトップビュー型のLEDからなり、拡散板8に対向する中ケース5の背後に複数個配置され、白色の照明光を発する。
【0032】
本実施形態の中ケース5は、白色の合成樹脂材料からなり、直方体の略箱型形状に形成される。中ケース5は、照明室51と、反射壁52と、を有する。照明室51は、光源64からの照明光を照明室51の前面に配置された拡散板8に導くための閉じられた空間である。
【0033】
照明室51は、受光用開口51aと、導光用開口51bと、を有する。受光用開口51aは、光源64からの照明光を照明室51内に導入する。照明室51内の照明光は、導光用開口51bから照明室51の外部へ配置された反射壁52へ導かれる。反射壁52は、導光用開口51bからの照明光を回路基板6側へ反射する。反射壁52で反射された照明光は、サブコネクタ63の接続穴63aを照明する。
【0034】
このように形成されることで、光源64の照明光によりサブコネクタ63の接続穴63a及び下ケース2の側壁開口部22aを照明する表示装置を提供することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
本開示に係る表示装置の第3の実施形態を
図4に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0036】
本実施形態では、側壁部22は、底面部21との間に上ケース1側から底面部21側に向かうに従い内側に傾斜する傾斜部22bを有する。側壁開口部22aは、この傾斜部22bに形成される。サブコネクタ63は、回路基板6の後面の回路基板6の周縁部に配置される。つまり、サブコネクタ63は、回路基板6の光源61の実装される面とは反対側の面に配置される。サブコネクタ63は、接続穴63aが側壁開口部22aに対向するように配置される。
【0037】
導光体4の出射部44は、傾斜部22bに対向するように平面部42から回路基板6の方に垂れ下がるように形成され、反射部43からの照明光を傾斜部22bの方へ照射する。傾斜部22bは、出射部44からの照明光をサブコネクタ63の接続穴63aの方へ反射する。
【0038】
このように形成されることで、光源61の照明光によりサブコネクタ63の接続穴63a及び下ケース2の側壁開口部22aを照明する表示装置を提供することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0040】
例えば、表示部31は液晶表示パネル3であったが、周知の文字板や指針等で構成されるアナログ表示器であってもよい。また、導光部材4,5は、導光体4や中ケース5であったが、これらを種々に組み合わせて構成されてもよい。
【0041】
また、サブコネクタ63は、端子がTypeAのコネクタであったが、TypeBや、miniAや、MicroA等であってもよい。また、サブコネクタ63は、USB規格のコネクタであったが、イーサネット(登録商標)等の他の規格であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 上ケース
11 透明部
12 遮光層
12a 窓意匠
12b 報知意匠
2 下ケース
21 底面部
21a 底面開口部
22 側壁部
22a 側壁開口部
22b 傾斜部
3 液晶表示パネル(表示部)
31 表示部
31a 走行速度
31b 残念量
31c 接続完了マーク
4 導光体(導光部材)
41 受光部
42 平面部
43 反射部
44 出射部
5 中ケース(導光部材)
51 照明室
51a 受光用開口
51b 導光用開口
6 回路基板
61 光源
62 メインコネクタ
63 サブコネクタ(コネクタ部材)
63a 接続穴
64 光源
7 ゴムキャップ
8 拡散板
9 配線部材
S 緩衝部材