(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240516BHJP
F21V 31/03 20060101ALI20240516BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240516BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240516BHJP
【FI】
F21S2/00 663
F21S2/00 380
F21S2/00 381
F21V31/03 100
F21V17/00 451
F21V17/00 154
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022013097
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】312001937
【氏名又は名称】株式会社パトライト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 孝哉
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/049750(WO,A1)
【文献】特開平10-144113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 31/03
F21V 17/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
上下に延びる中心軸線を有する筒状をなし、前記発光部が収容される内部空間を形成する筐体であって、前記内部空間と連通する連通孔が形成された上壁部と、前記上壁部から下方に延びる周壁部と、を含む筐体と、
前記筐体に固定され、前記筐体の前記上壁部の上方を覆うカバーであって、当該カバーと前記筐体の前記上壁部との間に、前記内部空間の湿度を調整する調湿空間を形成するカバーと、
前記調湿空間内に配置され、前記連通孔を覆う防水透湿部材と、を備え、
前記カバーは、前記中心軸線周りの周方向に延びる外周縁部であって、平面視で前記筐体の前記上壁部を包含する大きさを有し、その下端が前記筐体の前記上壁部の上面よりも下方に配置された外周縁部を含み、
前記カバーの前記外周縁部と前記筐体との間に、前記調湿空間を外部に連通するように下向きに開放する通気孔が形成されている、発光装置。
【請求項2】
前記筐体の前記上壁部の前記上面は、前記中心軸線から遠ざかるにしたがって低くなる傾斜部であって前記連通孔が開口された傾斜部を含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記連通孔は、前記傾斜部の最下位位置よりも高位に配置されている、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記防水透湿部材は、前記傾斜部と同じ傾斜で前記傾斜部と連なる上面を有する防水透湿シートを含む、請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記カバーは、上向きに凸のドーム状のカバー本体と、前記カバー本体の外周縁部から延びる下向きの環状フランジと、を含み、
前記環状フランジが、前記カバーの前記外周縁部を構成している、請求項1~4の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記カバーは、前記カバー本体から下方に突出し、前記中心軸線を中心とする環状に配置され、且つ互いの間に周方向隙間を形成する複数の嵌合爪であって、前記筐体の前記周壁部の上部の外周面に嵌合された複数の嵌合爪を含み、
前記通気孔は、複数設けられ、
前記複数の通気孔は、前記複数の嵌合爪間の前記周方向隙間をそれぞれ含んで形成される、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記上壁部の前記上面から突出する複数のリブを含み、
平面視で、前記複数のリブのそれぞれは、対応する前記周方向隙間と前記中心軸線との間に配置され、
前記中心軸線を中心とする前記周方向の角度範囲に関して、前記複数のリブがそれぞれ占める前記周方向の角度範囲は、対応する前記周方向隙間が占める前記周方向の角度範囲を包含する大きさに設定されている、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数のリブは、前記カバー本体の内上面に当接している、請求項7に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、信号表示灯としての回転灯を開示している。前記回転灯は、本体部と、本体部上に設置されるグローブとを含む。グローブ内に、回転可能な発光源が設置されている。本体部の下部に、取付座部が配置されている。取付座部は、ゴムシートを介して、取付面に対して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の略密閉型の信号表示灯であっても、外気の温度変化や気圧変化に伴って、例えば配線の引込み部分等を介して、水分を含む空気が、内部に吸い込まれる場合がある。内部に浸入した水分によって、グローブに、結露が発生することがある。
【0005】
この発明の一実施形態は、外部からの異物の侵入を抑制しつつ、結露の発生を抑制することができる発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、発光部と、筐体と、カバーと、防水透湿部材と、を備える発光装置を提供する。前記筐体は、上下に延びる中心軸線を有する筒状をなし、前記発光部が収容される内部空間を形成する。前記筐体は、前記内部空間と連通する連通孔が形成された上壁部と、前記上壁部から下方に延びる周壁部と、を含む。前記カバーは、前記筐体に固定され、前記筐体の前記上壁部の上方を覆う。前記カバーは、当該カバーと前記筐体の前記上壁部との間に、前記内部空間の湿度を調整する調湿空間を形成する。前記防水透湿部材は、前記調湿空間内に配置され、前記連通孔を覆う。前記カバーは、前記中心軸線周りの周方向に延びる外周縁部であって、平面視で前記筐体の前記上壁部を包含する大きさを有し、その下端が前記筐体の前記上壁部の上面よりも下方に配置された外周縁部を含む。前記カバーの前記外周縁部と前記筐体との間に、前記調湿空間を外部に連通するように下向きに開放する通気孔が形成されている。
【0007】
この構成によれば、調湿空間を形成するために、筐体の上壁部の上方を覆うカバーは、平面視で上壁部を包含する大きさを有する外周縁部を有し、その外周縁部の下端が上壁部の上面よりも下方に配置される。また、調湿空間を外部に連通する通気孔は、カバーの外周縁部と筐体との間に形成されて下向きに開放している。このため、外部から調湿空間への異物の侵入を抑制して防水透湿部材を保護し、且つ、カバーに付着する雨水や泥水等によって通気孔が塞がれることを抑制して、調湿空間と外部との通気性を確保することができる。そして、筐体の内部空間に存在する水分は、温度上昇とともに、水蒸気として内部空間の上部に移動し、筐体の上壁部の連通孔を覆う防水透湿部材を介して調湿空間に逃がされ、さらに、通気孔を介して、外部に放出される。このため、内部空間の水分を効果的に外部へ放出して、結露の発生を抑制することができる。
【0008】
1つの実施形態では、前記筐体の前記上壁部の前記上面は、前記中心軸線から遠ざかるにしたがって低くなる傾斜部であって前記連通孔が開口された傾斜部を含む。この構成によれば、連通孔が開口された傾斜部に、異物としての水が留まることを抑制することができる。
【0009】
1つの実施形態では、前記連通孔は、前記傾斜部の最下位位置よりも高位に配置されている。この構成によれば、連通孔が異物としての水の影響を受けることを抑制することができる。
【0010】
1つの実施形態では、前記防水透湿部材は、前記傾斜部と同じ傾斜で前記傾斜部と連なる上面を有する防水透湿シートを含む。この構成によれば、水が防水透湿シート上に留まることを抑制することができる。
【0011】
1つの実施形態では、前記カバーは、上向きに凸のドーム状のカバー本体と、前記カバー本体の外周縁部から延びる下向きの環状フランジと、を含み。前記環状フランジが、前記カバーの前記外周縁部を構成している。この構成によれば、カバーの外周縁部を構成する下向きの環状フランジと筐体との間に、下向きに開放する通気孔を好適に形成することができる。
【0012】
1つの実施形態では、前記カバーは、前記カバー本体から下方に突出し、前記中心軸線を中心とする環状に配置され、且つ互いの間に周方向隙間を形成する複数の嵌合爪を含む。前記嵌合爪は、前記筐体の前記周壁部の上部の外周面に嵌合される。前記通気孔は、複数設けられる。前記複数の通気孔は、前記複数の嵌合爪間の前記周方向隙間をそれぞれ含んで形成される。この構成によれば、カバー本体から下方に突出し筐体の周壁部の上部に嵌合される複数の嵌合爪の周方向隙間をそれぞれ含んで、複数の通気孔が形成される。このため、調湿空間の防水性を確保しつつ、調湿空間と外部との間に、良好な通気性を確保することができる。
【0013】
1つの実施形態では、前記筐体は、前記上壁部の前記上面から突出する複数のリブを含む。平面視で、前記複数のリブのそれぞれは、対応する前記周方向隙間と前記中心軸線との間に配置される。前記中心軸線を中心とする前記周方向の角度範囲に関して、前記複数のリブがそれぞれ占める前記周方向の角度範囲は、対応する前記周方向隙間が占める前記周方向の角度範囲を包含する大きさに設定されている。この構成によれば、筐体の上壁部の上面から突出する各リブが占める周方向の角度範囲が、対応する周方向隙間が占める周方向の角度範囲を包含する大きさの角度範囲に設定される。このため、調湿空間の通気性を確保しつつ、調湿空間の防水性をより高めることができる。
【0014】
1つの実施形態では、前記複数のリブは、前記カバー本体の内上面に当接している。この構成によれば、調湿空間の通気性を確保しつつ、調湿空間の防水性をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、外部からの異物の侵入を抑制しつつ、結露の発生を抑制することができる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、発光装置の別角度からの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、発光装置の別角度からの縦断面図である。
【
図7】
図7は、発光装置の上部の分解斜視図である。
【
図8】
図8は、発光装置の上部の拡大断面図である。
【
図9】
図9は、下方から見たカバーの斜視図である。
【
図12】
図12は、変更例における発光装置の上部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2および
図3は、発光装置の互いに別角度からの分解斜視図である。
図4および
図5は、発光装置の互いに別角度からの縦断面図である。
【0019】
図1~
図3に示すように、発光装置1は、例えば表示灯であり、上下方向に延びる中心軸線C1を有する略筒状に形成されている。発光装置1は、グローブ2と、カバー3と、防水透湿シート4(防水透湿部材)と、発光部としてのLED5(発光ダイオード)が実装されたLED基板6と、リフレクタ7付きのホルダ8と、下ケース9と、を備える。グローブ2と下ケース9とが、組み合わされて中空の筐体10が構成される。
図4に示すように、筐体10の内部に形成される閉空間である内部空間NSに、LED基板6とホルダ8とが収容される。
【0020】
図4に示すように、カバー3は、グローブ2の上壁部21の上方を覆っている。カバー3とグローブ2の上壁部21との間に、内部空間NSの湿度を調整するための調湿空間CSが形成されている。発光装置1の上部の拡大断面図である
図8に示すように、グローブ2の上壁部21には、内部空間NSと調湿空間CSとを連通する少なくとも1つの連通孔21bが形成されている。防水透湿シート4は、調湿空間CSに配置されており、連通孔21bを覆っている。防水透湿シート4は、水の透過を阻止しつつ湿気の透過を許容する。
【0021】
図6は、LED基板6の概略図である。
図6に示すように、LED基板6は、縦長の矩形板であり、表裏に2つの実装面6aを含む。表裏の実装面6aのそれぞれは、上下に4区画、左右に2区画で、8つの矩形領域A1~A4,B1~B4に領域分けされている。各矩形領域A1~A4,B1~B4に、例えば4つのLED5が矩形状に配置されている。
【0022】
次いで、ホルダ8を説明する。
【0023】
図2~
図4に示すように、ホルダ8は、上板81と、下板82と、上板81および下板82間を連結する複数の縦枠83と、を含む。
図4に示すように、LED基板6の上端部6bは、上板81に形成された矩形状の保持孔81a(
図3も参照)の周縁に対して、例えばゴム等の第1介在部材11を介して保持される。LED基板6の下端部6cは、下板82に形成された矩形の挿通孔82aに挿通され、下ケース9の内底部9aに形成された保持凹部9bに対して、ゴム等の第2介在部材12(
図3も参照)を介して保持される。
【0024】
ホルダ8は、上板81と下板82との間に、これらに平行な複数の中間板84を含む。各中間板84は、周方向に4分割されている。また、ホルダ8は、LED基板6の表裏の実装面のそれぞれに対して直交状に配置される上下4段に分割された羽根板85を含む。羽根板85は、上板81、複数の中間板84および下板82のうち、上下に隣接する板同士を連結する。中間板84および羽根板85の表面は、LED5からの光を発光装置1の外部に向けて反射するリフレクタとして機能する。
【0025】
次いで、下ケース9を説明する。
【0026】
図2~
図4に示すように、下ケース9は、上方に開放する有底の筒状部91と、筒状部91の底部91aから外向きに突出する環状のフランジ92と、を含む。下ケース9の筒状部91の上部に対して、ホルダ8の下板82の凸部が挿入嵌合される。下ケース9のフランジ92に形成されるねじ挿通孔に挿通された第1固定ねじ13が、取付対象(図示せず)に対してねじ込まれて、下ケース9が、取付対象に固定される。
【0027】
図5に示すように、グローブ2は、下ケース9に固定される。下ケース9のフランジ92には、複数のねじ孔92aが設けられている。グローブ2の延設部23のねじ挿通孔23aに挿通された第2固定ねじ14が、下ケース9のフランジ92のねじ孔92aにねじ込まれて、グローブ2が下ケース9に固定される。
【0028】
次いで、グローブ2を説明する。
【0029】
図2~
図4に示すように、グローブ2は、下方に開放する略円筒状に形成される。グローブ2は、上壁部21と、上壁部21から下方に延びる周壁部22と、周壁部22の下部22Lから外方に延設された筒状の延設部23と、を含む。周壁部22は、円筒状であってもよいし、下方に向かって拡径される円錐台状であってもよい。
【0030】
図4に示すように、グローブ2の周壁部22の下部22Lは、下ケース9の筒状部91の外周に嵌合される。グローブ2の周壁部22の下部22Lの内周と、下ケース9の筒状部91の外周との間には、環状の封止部材15が介在している。封止部材15によって、グローブ2と下ケース9との間が封止されている。
【0031】
グローブ2の上部22Uと下部22Lとの間の中間部における内周面に、拡散レンズが設けられてもよい。前記拡散レンズは、例えば周方向に等間隔で配置されて上下方向に延びる断面半円状の多数の縦リブで形成されてもよい。また、前記中間部における外周面に、例えば集光レンズが設けられてもよい。前記集光レンズは、環状をなす階段状のフレネルレンズによって形成されてもよい。
【0032】
延設部23は、上半部23bと、上半部23bから延設された下半部23cと、を含む。延設部23の上半部23bは、下方に向かって拡径される円錐台状をなす。延設部23の下半部23cは、円筒状に形成される。延設部23の下半部23cは、下ケース9のフランジ92の外周に嵌合される。
【0033】
図1および
図5に示すように、延設部23は、グローブ2を下ケース9に固定する第2固定ねじ14のための座面23dを含む。
図5に示すように、延設部23の周方向の一部には、断面クランク状に段部が凹入形成されている。その段部によって、座面23dが構成されている。
【0034】
図7は、発光装置1の上部の分解斜視図である。
図8は、発光装置1の上部の拡大断面図である。
図7に示すように、グローブ2は、グローブ2の周壁部22の上部22Uにおける外周面22aから、放射状に突出する縦リブからなる位置決めリブ22b(位置決め部)を含む。周方向Cに隣接する位置決めリブ22b間に、カバー3の後述する対応する嵌合爪33が嵌められる。
【0035】
図8に示すように、グローブ2の上壁部21の上面21aは、上向きに凸のドーム状に形成されている。上壁部21の上面21aの少なくとも一部は、中心軸線C1から遠ざかるにしたがって低くなる傾斜部Kを構成している。
【0036】
図7に示すように、上壁部21の頂部には、ねじ孔24aを有するねじボス24が突出形成されている。ねじボス24には、カバー3を取り付けるための第3固定ねじ16がねじ込まれる。グローブ2とカバー3とは、ねじを用いて固定される場合に限らず、接着や圧入嵌合を用いて固定される場合もある。
【0037】
図8に示すように、上壁部21に形成された連通孔21bは、少なくとも1つ形成される。連通孔21bは、上壁部21を貫通している。連通孔21bは、上壁部21を貫通することにより、内部空間NSと調湿空間CSとを連通している。連通孔21bは傾斜部Kの最下位位置よりも高位に配置されている。防水透湿シート4は、連通孔21bと同数設けられている。防水透湿シート4は、調湿空間CSに配置されて、それぞれ対応する連通孔21bを覆っている。
【0038】
図7に示すように、上壁部21の上面21aには、複数のリブ25が突出形成されている。複数のリブ25は、中心軸線C1を中心とする環状に配置されている。複数のリブ25は、周方向に等間隔を隔てて配置されている。
図4に示すように、複数のリブ25は、カバー本体31の内上面31bに当接している。
【0039】
各リブ25は、周方向に分割された一対の分割リブ25aで構成されている。一対の分割リブ25a間に形成される溝25bに、カバー3の後述する放射状リブ34が嵌合される(
図10を参照)。これにより、カバー3とグローブ2との連結強度が高められている。
【0040】
次いで、カバー3を説明する。
【0041】
図9は、下方から見たカバー3の斜視図である。
図10は、発光装置1の上部の一部破断斜視図である。
図11は、発光装置1の上部の一部破断平面図である。
【0042】
カバー3は、平面視で円板状をなす。カバー3は、中心軸線C1周りの周方向に延びる外周縁部3aを含む。カバー3の外周縁部3aは、平面視で、グローブ2の上壁部21(筐体10の上壁部に相当)を包含する大きさを有する(
図11を参照)。外周縁部3aの下端3bが、グローブ2の上壁部21の上面21aよりも下方に配置されている。カバー3の外周縁部3aと筐体10との間に、調湿空間CSを外部に連通するように下向きに開放する通気孔30が形成されている。
【0043】
図8および
図9に示すように、カバー3は、カバー本体31と、環状フランジ32と、複数の嵌合爪33と、複数の放射状リブ34と、を含む。カバー本体31は、上向きに凸のドーム状をなす。環状フランジ32は、カバー本体31の外周縁部31aから延びる下向きのフランジである。環状フランジ32が、カバー3の外周縁部3aを構成している。
【0044】
図9に示すように、複数の嵌合爪33は、カバー本体31から下方に突出し、中心軸線C1を中心とする環状に配置されている。複数の嵌合爪33は、互いの間に周方向隙間SSを形成する。嵌合爪33は、グローブ2の周壁部22(筐体10の周壁部に相当)の上部22Uの外周面22aに嵌合される。複数の通気孔30は、複数の嵌合爪33間の周方向隙間SSをそれぞれ含んで形成される。嵌合爪33の側部が、グローブ2の周壁部22の上部22Uの位置決めリブ22b(
図7を参照)に当接することにより、カバー3が、グローブ2に対して周方向Cに位置決めされる。
【0045】
図9に示すように、嵌合爪33は、カバー3の環状フランジ32の内周面32aに沿って配置され、環状フランジ32の下端よりも下方に突出する円弧状の爪である。嵌合爪33の周方向Cの一対の側部に、環状フランジ32と連結される補強リブ35が、形成されている。補強リブ35は、設けられなくてもよい。
【0046】
図11に示すように、複数のリブのそれぞれは、カバー3の複数の嵌合爪33間の周方向隙間SSのうちの対応するものと、中心軸線C1との間に配置されている。中心軸線C1を中心とする周方向Cの角度範囲に関して、複数のリブ25がそれぞれ占める周方向Cの角度範囲AR1は、対応する周方向隙間SSが占める周方向Cの角度範囲AR2を包含する大きさに設定されている。
【0047】
カバー3は、中心軸線C1に沿って延びる、ねじ挿通孔36aが形成されたボス36を含む。カバー3のボス36の底部36bが、グローブ2のねじボス24の上端面24bによって、受けられる。カバー3のボス36のねじ挿通孔36a(
図7を参照)に挿通された第3固定ねじ16が、グローブ2のねじボス24のねじ孔24aに、ねじ込まれる。
【0048】
カバー3は、ボス36の底部36bの外周縁から下方に突出する環状突起37を含む。環状突起37は、中心軸線C1を中心とする環状をなす。環状突起37の下端は、グローブ2の上壁部21のねじボス24を包囲する状態で、グローブ2の上壁部21の上面21aに当接する。これにより、防水性が高められている。
【0049】
図9に示すように、複数の放射状リブ34は、中心軸線C1を中心として放射状に延びている。放射状リブ34は、ボス36から環状フランジ32まで延びている。放射状リブ34の下端34aは、グローブ2の上壁部21の上面21aに沿うように傾斜している。一部の放射状リブ34は、
図10に示すように、防水透湿シート4の上面4a上を縦断することにより、連通孔21bの周縁から、防水透湿シート4が浮き上がることを抑制している。
【0050】
防水透湿シート4は、液体(水分)は通さないが空気(気体)を通すという特性を備えている。防水透湿シート4は、疎水性多孔質樹脂材料を含む。疎水性多孔質樹脂材料としては、発泡PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が好適に用いられる。防水透湿シート4として、例えば、ゴアテックス(登録商標)(Goretex)が用いられてもよい。
【0051】
図8に示すように、防水透湿シート4の上面4aは、グローブ2の上壁部21の上面21aの傾斜部Kと同じ傾斜で、傾斜部Kと連なっている。
【0052】
この実施形態によれば、調湿空間CSを形成するために、筐体10の上壁部(グローブ2の上壁部21)の上方を覆うカバー3は、平面視で上壁部21を包含する大きさを有する外周縁部3a(
図11を参照)を有する。
図8に示すように、外周縁部3aの下端3bが、上壁部21の上面21aよりも下方に配置される。また、調湿空間CSを外部に連通する通気孔30は、カバー3の外周縁部3aと筐体10との間に形成されて下向きに開放している。このため、外部から調湿空間CSへの異物(鳥獣、雨水、泥水、洗浄水等)の侵入を抑制でき、異物から防水透湿シート4を保護することができる。また、通気孔30が下向きに開放しているため、カバー3の外面に雨水や泥水が付着しても、その雨水や泥水によって通気孔30が塞がることを抑制でき、調湿空間CSと外部との通気性を確保することができる。万一、調湿空間CSに液体水分が浸入しても、防水透湿シート4によって、内部空間NSへの液体水分の浸入を抑制することができる。
【0053】
そして、筐体10の内部空間NSに存在する水分は、温度上昇とともに、水蒸気として内部空間NSの上部に移動し、上壁部21の連通孔21bを覆う防水透湿シート4を介して調湿空間CSに逃がされ、さらに、通気孔30を介して、外部に放出される。このため、内部空間NSの水分を効果的に外部へ放出して、結露の発生を抑制することができる。
【0054】
また、上壁部21の上面21aは、中心軸線C1から遠ざかるにしたがって低くなる傾斜部Kを含み、傾斜部Kに、連通孔21bが開口されている。このため、連通孔21bが開口された傾斜部Kに、異物としての水が留まることを抑制することができる。
【0055】
また、連通孔21bは、傾斜部Kの最下位位置よりも高位に配置されている。このため、連通孔21bやこれを覆う防水透湿シート4が異物としての水の影響を受けることを抑制することができる。
【0056】
また、防水透湿部材としての防水透湿シート4が、傾斜部Kと同じ傾斜で傾斜部Kと連なる上面4aを含む。このため、水が防水透湿シート4上に留まることを抑制することができる。
【0057】
また、カバー3は、上向きに凸のドーム状のカバー本体31と、カバー本体31の外周縁部31aから延びる下向きの環状フランジ32と、を含み、環状フランジ32が、カバー3の外周縁部3aを構成している。このため、カバー3の外周縁部3aを構成する下向きの環状フランジ32とグローブ2(筐体10)との間に、下向きに開放する通気孔30を好適に形成することができる。
【0058】
また、カバー3は、
図9に示すように、カバー本体31から下方に突出し、互いの間に周方向隙間SSを形成する複数の嵌合爪33を含む。嵌合爪33は、
図11に示すように、グローブ2の周壁部22(筐体10の周壁部)の上部22Uの外周面22aに嵌合される。周壁部22の上部22Uに嵌合された複数の嵌合爪33の周方向隙間SSをそれぞれ含んで、複数の通気孔30が形成される。このため、調湿空間CSの防水性を確保しつつ、調湿空間CSと外部との間に、良好な通気性を確保することができる。
【0059】
また、
図10および
図11に示すように、グローブ2(筐体10)は、上壁部21の上面21aから突出する複数のリブ25を含む。平面視で、複数のリブ25のそれぞれは、対応する周方向隙間SSと中心軸線C1との間に配置される。
図11に示すように、中心軸線C1を中心とする周方向Cの角度範囲に関して、複数のリブ25がそれぞれ占める周方向Cの角度範囲AR1は、対応する周方向隙間SSが占める周方向Cの角度範囲AR2を包含する大きさに設定されている。このため、調湿空間CSの通気性を確保しつつ、調湿空間CSの防水性をより高めることができる。なお、連通孔21bは、傾斜部Kにおいて、防水に寄与するリブ25よりも高位に配置されていることが好ましい。
【0060】
また、
図4に示すように、複数のリブ25は、カバー本体31の内上面31bに当接している。このため、調湿空間CSの通気性を確保しつつ、調湿空間CSの防水性をより一層高めることができる。
【0061】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明は、屋外環境や屋外と同等の環境で使用される、信号灯、表示灯、各種の照明装置を含む発光装置に適用することができる。グローブ2に対してカバー3を周方向Cに位置決めする位置決め部として、位置決めリブ22bに代えて、グローブ2の周壁部22の外周面に形成された段部を用いてもよい。
【0062】
また、概略断面図である
図12に示すように、発光装置1の変更例における筐体10が、上方に開放する筒状のグローブ2Pと、グローブ2Pの上部を閉塞するようグローブ2Pに対して気密的に結合(例えば、ねじ嵌合)されるアウタートップ40とを含んでいてもよい。アウタートップ40は、
図8の実施形態の上壁部21、上面21a、連通孔21b、および周壁部22の上部22Uに、それぞれ相当する上壁部41、上面41a、連通孔41b、および周壁部42を含む。
【0063】
その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 発光装置
2;2P グローブ
3 カバー
3a 外周縁部
3b 下端
4 防水透湿シート(防水透湿部材)
4a 上面
5 LED(発光部)
9 下ケース
10 筐体
21 上壁部
21a 上面
21b 連通孔
22 周壁部
22a 外周面
30 通気孔
31 カバー本体
31a 外周縁部
31b 内上面
32 環状フランジ
40 アウタートップ
41 上壁部
41a 上面
42 周壁部
AR1 角度範囲
AR2 角度範囲
C 周方向
C1 中心軸線
CS 調湿空間
K 傾斜部
NS 内部空間
SS 周方向隙間