(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】抗腫瘍効果増強剤
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20240516BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20240516BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240516BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20240516BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240516BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240516BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240516BHJP
A23L 33/135 20160101ALN20240516BHJP
A61K 35/741 20150101ALN20240516BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20240516BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K35/745
A61P35/00
A61K31/702
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61P37/04
A61P43/00 107
A61P43/00 121
A23L33/135
A61K35/741
A61K45/00
(21)【出願番号】P 2020549294
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037623
(87)【国際公開番号】W WO2020067170
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2018178746
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510094724
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立循環器病研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寒川 賢治
(72)【発明者】
【氏名】野尻 崇
(72)【発明者】
【氏名】熊添 基文
(72)【発明者】
【氏名】田中 愛健
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 祐之
(72)【発明者】
【氏名】朝原 崇
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】谷口 啓介
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-521013(JP,A)
【文献】国際公開第2011/105335(WO,A1)
【文献】特開2002-241292(JP,A)
【文献】特表2018-505842(JP,A)
【文献】特表2016-529912(JP,A)
【文献】特表2015-536155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00 -35/768
A23L 33/135
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロバイオティクス及びプレバイオティクスを有効成分とする免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤であって、プロバイオティクスがラクトバチルス・カゼイYIT9029株(FERM BP-1366)及びビフィドバクテリウム・ブレーベYIT12272株(FERM BP-11320)であり、プレバイオティクスがガラクトオリゴ糖であ
り、免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体である、抗腫瘍効果増強剤。
【請求項2】
プレバイオティクスが、β-1,4ガラクトシルラクトースを主成分とするガラクトオリゴ糖である請求項1記載の抗腫瘍効果増強剤。
【請求項3】
プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤を有効成分とする腫瘍免疫活性化剤であって、プロバイオティクスがラクトバチルス・カゼイYIT9029株(FERM BP-1366)及びビフィドバクテリウム・ブレーベYIT12272株(FERM BP-11320)であり、プレバイオティクスがガラクトオリゴ糖であ
り、免疫チェックポイント阻害剤が抗PD-1抗体である、腫瘍免疫活性化剤。
【請求項4】
制御性T細胞を介した免疫抑制状態を解除すること及び/又はNK細胞を活性化することにより腫瘍免疫を活性化する、請求項
3記載の腫瘍免疫活性化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍免疫応答を活性化し、それによる抗腫瘍効果を増強する抗腫瘍効果増強剤及び腫瘍免疫活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍免疫療法は、がん患者自身に元来備わっている免疫監視機構に作用して、がんに対する免疫力を強化することによって、がんの進行を抑制ないし治療する療法である。近年、がんの進展には、がん細胞自身が免疫監視機構を回避するシステムを有していることが明らかにされ、そのような回避システムに利用される分子として、CTLA-4やPD-1あるいはそのリガンドであるPD-L1等の免疫チェックポイント分子群が知られている。そして、これらの免疫チェックポイント分子群の機能を阻害する免疫チェックポイント阻害剤ががんに対する免疫力の強化に極めて有用であることが報告されている(特許文献1)。
また、免疫応答の抑制的制御を司る制御性T細胞(Regulatory T cells:Treg)は、がんや感染性細菌の罹患時における免疫応答の誘起を抑制することから、腫瘍免疫療法において、制御性T細胞の働きを制御する様々な試みもなされている。
しかしながら、免疫チェックポイント阻害剤等を用いた免疫系の賦活によっても十分な治療効果が認められないがん患者が存在し、さらなる治療法の開発が求められている。
【0003】
一方、ラクトバチルス属細菌等に代表される乳酸菌やビフィドバクテリウム属細菌は、腸内フローラの改善、便性の改善、腸管機能の改善、感染防御、免疫賦活等、種々の効果を有することが明らかにされている。これらの細菌は、腸内環境の改善を通して、ヒトの健康に寄与しているものと考えられており、所謂プロバイオティクスと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、免疫チェックポイント阻害剤を用いた腫瘍免疫療法において、免疫応答を活性化する新たな手段を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、斯かる課題に鑑み鋭意検討した結果、ラクトバチルス属細菌、ビフィドバクテリウム属細菌等のプロバイオティクスとガラクトオリゴ糖等のプレバイオティクスとを組み合わせ、これを免疫チェックポイント阻害剤と併用した場合に、抗腫瘍効果が顕著に増強されることを始め、腫瘍免疫が活性化されることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の1)~19)に係るものである。
1)プロバイオティクス及びプレバイオティクスを有効成分とする免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤。
2)プロバイオティクスが、ラクトバチルス属細菌及びビフィドバクテリウム属細菌から選ばれる1以上である1)の抗腫瘍効果増強剤。
3)プロバイオティクスが、ラクトバチルス・カゼイ及びビフィドバクテリウム・ブレーベから選ばれる1以上である1)又は2)の抗腫瘍効果増強剤。
4)プロバイオティクスが、ラクトバチルス・カゼイYIT9029株(FERM BP-1366)及びビフィドバクテリウム・ブレーベYIT12272株(FERM BP-11320)から選ばれる1以上である1)~3)のいずれかの抗腫瘍効果増強剤。
5)プレバイオティクスが、ガラクトオリゴ糖である1)~4)のいずれかの抗腫瘍効果増強剤。
6)プレバイオティクスが、β-1,4ガラクトシルラクトースを主成分とするガラクトオリゴ糖である1)~5)のいずれかの抗腫瘍効果増強剤。
7)免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体及びPD-1拮抗剤から選ばれる1以上である1)~6)のいずれかの抗腫瘍効果増強剤。
8)プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤を有効成分とする腫瘍免疫活性化剤。
9)制御性T細胞を介した免疫抑制状態を解除すること及び/又はNK細胞を活性化することにより腫瘍免疫を活性化する、8)の腫瘍免疫活性化剤。
10)プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤を組みあわせてなる医薬。
11)プロバイオティクス及びプレバイオティクスを含有する、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせるための医薬組成物。
12)免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤を製造するための、プロバイオティクス及びプレバイオティクスの使用。
13)腫瘍免疫活性化剤を製造するための、プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤の使用。
14)医薬を製造するための、プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤の組みあわせの使用。
15)免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強に使用するための、プロバイオティクス及びプレバイオティクス。
16)腫瘍免疫活性化に使用するための、プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤。
17)医薬に使用するための、プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤の組みあわせ。
18)プロバイオティクス及びプレバイオティクスを、それを必要とする対象に投与する免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強方法。
19)プロバイオティクス、プレバイオティクス及び免疫チェックポイント阻害剤を、それを必要とする対象に投与する腫瘍免疫活性化方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、腫瘍免疫を賦活することができ、がんの進行抑制、再発抑制又は治療が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】シンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による抗腫瘍作用。
【
図2】シンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による免疫細胞への影響。
【
図3】シンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による制御性T細胞(Treg)への影響。
【
図4】シンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による免疫抑制状態への影響。
【
図5】シンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による腫瘍における骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)への影響。
【
図6】シンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による免疫状態への影響。
【
図7】各種腸内細菌製剤/免疫チェックポイント阻害剤併用によるNK細胞活性増強作用。C:コントロール群、P:抗PD-1抗体投与群、LP:プロバイオティクス+抗PD-1抗体投与群、GP:プレバイオティクス+抗PD-1抗体投与群、LG:シンバイオティクス投与群、LGP:シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、「プロバイオティクス」とは、適正な量を摂取した時に、宿主の健康に有益な作用をもたらす生きた微生物をいう。「プレバイオティクス」とは、ビフィズス菌や乳酸菌の「餌」となって、これらの菌を増やすことで有益な働きをするものをいう。
本発明におけるプロバイオティクスとしては、具体的には、例えばラクトバチルス属細菌、ビフィドバクテリウム属細菌、ストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス属細菌から選ばれる1以上の微生物が挙げられる。
【0011】
ラクトバチルス属細菌としては、例えばラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L.acidophilus)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・クルバタス(L.curvatus)、ラクトバチルス・ゼアエ(L.zeae)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(L.salivalius)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・クリスパータス(L.crispatus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(L.delbrueckii subsp.bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(L.delbrueckii subsp.delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)等が挙げられる。
このうち、抗腫瘍効果増強の点から、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルスが好ましく、より好ましくは、ラクトバチルス・カゼイ YIT 9018(FERM BP-665)、ラクトバチルス・カゼイ YIT 9029(FERM BP-1366)、ラクトバチルス・カゼイ YIT 10003(FERM BP-7707)、ラクトバチルス・アシドフィルス YIT 0198が挙げられ、このうちラクトバチルス・カゼイ YIT 9029(FERM BP-1366)がさらに好ましい。
【0012】
ビフィドバクテリウム属細菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B.bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマーリス(B.animalis)、ビフィドバクテリウム・ズイス(B.suis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(B.pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・ラクチス(B.lactis)、ビフィドバクテリウム・グロボサム(B.globosum)等が挙げられる。
このうち、抗腫瘍効果増強の点から、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータムが好ましく、ビフィドバクテリウム・ブレーベYIT12272株(FERM BP-11320)、ビフィドバクテリウム・ブレーベYIT10001株(FERM BP-8205)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347(FERM BP-10613)がより好ましい。
【0013】
ストレプトコッカス属細菌としては、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcoccus thermophilus)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptcoccus lactis)等が挙げられる。
このうち、抗腫瘍効果増強の点から、ストレプトコッカス・サーモフィルスが好ましく、ストレプトコッカス・サーモフィルス YIT 2021株(FERM BP-7537)がより好ましい。
【0014】
ラクトコッカス属細菌としては、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等が挙げられる。
このうち、抗腫瘍効果増強の点から、ラクトコッカス・ラクチスが好ましく、ラクトコッカス・ラクチス YIT 2027(FERM BP-6224)がより好ましい。
【0015】
本発明におけるプレバイオティクスとしては、好ましくは本発明のプロバイオティクスに作用することで、宿主にとって有益な作用を与えるような物質が好ましく、具体的にはガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、シクロデキストリン等のオリゴ糖、ポリデキストロース、イヌリン、発芽大麦、イヌリン、難消化性デキストリン、レジスタントスターチ等の食物繊維から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明において、斯かるプレバイオティクスは、抗腫瘍効果増強の点から、ガラクトオリゴ糖が好ましい。
ここで、ガラクトオリゴ糖とは、分子内に少なくとも1以上のガラクトース残基を有するオリゴ糖の総称であり、例えば単糖が2~9個、好ましくは3~4個結合した糖が挙げられる。また、ガラクトオリゴ糖としては、ガラクトースがβ1-2結合したもの、β1-3結合したもの、β1-4結合したもの、β1-6結合したものが挙げられるが、β1-4結合したもの、β1-6結合したものを有するガラクトオリゴ糖が特に好ましい。
より好ましいガラクトオリゴ糖としては、β-1,4ガラクトシルラクトース(Galβ1-4Galβ1-4Glc)、β-1,6ガラクトシルラクトース(Galβ1-6Galβ1-4Glc)、β-1,3ガラクトシルラクトース(Galβ1-3Galβ1-4Glc)等が挙げられ、抗腫瘍効果増強の点から、β-1,4ガラクトシルラクトースを主成分とするガラクトオリゴ糖がより好ましく、例えばオリゴメイト55N(ヤクルト薬品工業(株)、固形分中のβ-1,4ガラクトシルラクトースの含有量が18.5%)を使用できる。
【0016】
本発明において、プロバイオティクスとプレバイオティクスは、これらを組み合わせてシンバイオティクスとして使用される。シンバイオティクスは、両者を混合して調製される製剤(腸内細菌製剤)として用いるのが好ましい。
【0017】
斯かる製剤中のプロバイオティクスの含有量は、特に限定されないが、製剤100g中に、例えば0.1×1011~100×1011CFU(colony forming units)、好ましくは1×1011~10×1011CFUである。
また、当該製剤中のプロバイオティクスとプレバイオティクスの含有量の比率は、例えば、プレバイオティクス合計質量1gに対して、プロバイオティクスが0.01×1011~20×1011CFU、好ましくは、0.2×1011~2×1011CFUである。
【0018】
製剤中のプレバイオティクスの含有量は、特に限定されないが、製剤中、0.5~40質量%、好ましくは2~10質量%、より好ましくは3~6質量%である。
【0019】
シンバイオティクスには、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ドロマイト等のミネラル又はその塩;クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、アミノ酸等の酸類、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロリン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、アントシアン、カテキン、プロアントシアニジン等の添加物類、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD類、ビタミンK類、ベータカロチン、レチノイン酸、葉酸等の各種ビタミン類等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
シンバイオティクスの投与形態は、特に限定されないが、経口投与や経腸投与可能な形態が挙げられ、経口投与の形態が好ましい。
経口投与の形態としては、例えば、錠剤(糖衣錠、腸溶性コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル剤(腸溶性カプセル、ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングしたものを含む)、丸剤、トローチ剤、封入リポソーム剤、液剤、及びこれらの徐放製剤等の医薬製剤が挙げられる。また、食品(例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料;加工乳、乳飲料、発酵乳、バター等の乳製品;健康補助食品等の機能性食品等)の形態であっても良い。
【0021】
製剤化においては、通常の医薬製剤に汎用される担体、賦形剤(例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース等)、結合剤(例えば、澱粉、ゼラチン、グルコース、ガラクトース、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等)、崩壊剤(例えば、澱粉、寒天、ゼラチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルギン酸ナトリウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、及びマクロゴール等)、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、溶剤等の添加剤を使用することができる。
【0022】
本発明において、「免疫チェックポイント阻害剤」とは、CTLA-4やPD-1或いはそのリガンドであるPD-L1等の免疫チェックポイント分子群の機能を阻害する分子を意味する。
免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、抗PD-1抗体(例えば、Nivolumab、Pembrolizumab)、抗PD-L1抗体(例えば、Atezolizumab、Avelumab、Durvalumab)、PD-1拮抗剤(例えば、AUNP-12)、抗CTLA-4抗体(例えば、Ipilimumab及びTremelimumab)、抗LAG-3抗体(例えば、BMS-986016及びLAG525)等が挙げられる。
このうち、抗腫瘍効果増強の点から、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、PD-1拮抗剤が好ましく、抗PD-1抗体がより好ましい。
【0023】
後記実施例に示すとおり、本発明に係るプロバイオティクス及びプレバイオティクスの組み合わせは、免疫チェックポイント阻害剤と併用した場合に、免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果を増強する。したがって、プロバイオティクス及びプレバイオティクスの組み合わせは、免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤となり得る。
また、プロバイオティクス及びプレバイオティクス、並びに免疫チェックポイント阻害剤の併用は、Th1細胞(CD3+/CD4+/IFN-γ+、CD3+/CD8+/IFN-γ+)やNK細胞を活性化し、また制御性T細胞(Treg)、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)、免疫抑制サイトカイン(TGF-β)の発現や機能を抑制する等、腫瘍免疫抑制系を抑制する。したがって、プロバイオティクス及びプレバイオティクス、並びに免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせは抗腫瘍免疫活性化剤となり得る。
斯かる免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤及び腫瘍免疫活性化剤は、がんの進行抑制、再発抑制、治療のために使用できる。
また、本発明の免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤及び腫瘍免疫活性化剤によれば、免疫チェックポイント阻害剤の投与量の低減、副作用の軽減を図ることもできる。
【0024】
本発明の免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤又は抗腫瘍免疫活性化剤において、対象とされるがんは特に限定されず何れの固形がん及び血液がんも含まれる。例えば、頭頸部がん、食道がん、胃がん、結腸・直腸がん、肝臓がん、胆のう・胆管がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、睾丸がん、骨・軟部肉腫、悪性リンパ腫、白血病、子宮頚がん、皮膚がん、脳腫瘍等が挙げられるが、このうち、免疫チェックポイント阻害剤による腫瘍免疫療法が有効ながんが好ましい。
【0025】
本発明のプロバイオティクス及びプレバイオティクスと、免疫チェックポイント阻害剤は、両者を同時に投与することでもよく、プロバイオティクス及びプレバイオティクスを先に投与し、その投与の後に免疫チェックポイント阻害剤を投与してもよいし、免疫チェックポイント阻害剤を先に投与し、プロバイオティクス及びプレバイオティクスを後に投与してもよい。
また、プロバイオティクス及びプレバイオティクスと、免疫チェックポイント阻害剤の投与形態は、同一でも異なっていてもよく、それぞれに適した形で投与されればよい。また、プロバイオティクス及びプレバイオティクス並びに免疫チェックポイント阻害剤は、これらを組み合わせたキットとして一つの医薬製剤とすることも可能である。
【0026】
本発明の免疫チェックポイント阻害剤による抗腫瘍効果増強剤又は腫瘍免疫活性化剤において、プロバイオティクス及びプレバイオティクスの投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一日あたり、プロバイオティクスとして3×107~3×1011CFU、好ましくは3×108~3×1010CFU、プレバイオティクスとして1~10g、好ましくは3~9gの範囲で、一日一回から数回投与するのが好ましい。
【0027】
免疫チェックポイント阻害剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、免疫チェックポイント阻害剤は任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。
【実施例】
【0028】
本発明を以下の実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。
<試験品>
1)プロバイオティクス
使用菌株についてラクトバチルス・カゼイYIT9029株(FERM BP-1366)、ビフィドバクテリウム・ブレーベYIT12272株(FERM BP-11320)
2)プレバイオティクス
β-1,4ガラクトシルラクトースを主成分とするガラクトオリゴ糖
3)シンバイオティクス
1mL GOS(100mg/1mL)、0.5mL(20×108CFU/1mL)ラクトバチルス・カゼイYIT9029株、0.5mL(20×108CFU/1mL)ビフィドバクテリウム・ブレーベYIT12272株を混和する。
4)抗PD-1抗体
「Anti-PD1 (J43) Hamster IgG ms」(BioxCell社)(コントロール抗体「IgG Isotype Hamster IgG ms」(BioxCell))
【0029】
実施例1 In vivo におけるシンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による抗腫瘍作用
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、細胞株移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群、シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群に分けた{n=10(Vehicle群)、5(シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群)、6(シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群)}。
シンバイオティクスについては、移植後1日1回、シンバイオティクス0.2mL/mouseを28日間毎日経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植7日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~4回目は10mg/kgで腹腔内投与した。
腫瘍体積はノギスにて測定した。(Tukey-Kramer test)。
腫瘍体積は腫瘍の長径と短径を計測し、{(長径)×(短径)2}/2の計算式を用いて算出した。
【0030】
結果を
図1に示す。
図1より、抗PD-1抗体とシンバイオティクスの併用群の腫瘍体積が有意に小さいことが示された。一方で、両薬剤の単独使用群では有意な腫瘍体積の縮小は見られていない。また、単独使用時の腫瘍サイズはVehicle群およびシンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群の中点よりも大きいため、単なる相加効果とも異なる。よって、抗PD-1抗体とシンバイオティクスの併用時特異的に腫瘍成長抑制作用が発揮されていると判断することができる。
【0031】
実施例2 In vivo におけるシンバイオティクス/免疫チェックポイント併用による免疫細胞への影響
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、細胞株移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群、シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群に分けた。
シンバイオティクスについては、移植後1日1回シンバイオティクス0.2mL/mouseを28日間毎日経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植7日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~4回目は10mg/kgで腹腔内投与した。
解剖時、各組織(脾臓、腫瘍)を回収し、細胞を単細胞状態に分離した。分離した細胞を各種免疫細胞のマーカータンパク特異的な抗体で標識し、フローサイトメーターにて識別した。識別データより、Th1細胞(CD3+/CD4+/IFN-γ+、CD3+/CD8+/IFN-γ+)、Tregの各細胞集団の細胞割合を測定した。{n=8(Vehicle群)、5(シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群)、6(シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群)、Student’s t test}
【0032】
結果を
図2に示す。
図2より、周囲の免疫細胞の活性を抑制するTreg数がシンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群でのみ、有意な減少を示していることを確認した。Tregは腫瘍細胞の対免疫機構としても利用されているため、この結果は両剤併用によって腫瘍の対免疫防御が抑制されたものと推察できる。一方で、脾臓中の活性化されたT細胞(活性化マーカーCD8、CD4陽性)の数はシンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群で特異的な増加をしていないことから、併用による効果は免疫細胞の活性化を介していると示唆された。
【0033】
実施例3 In vivo におけるシンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による小腸における制御性T細胞(Treg)への影響
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、細胞株移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群、シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群に分けた{n=10(Vehicle群)、5(シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群)、6(シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群)}。
シンバイオティクスについては、移植後1日1回、シンバイオティクス0.2mL/mouseを28日間毎日経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植7日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~4回目は10mg/kgで腹腔内投与した。
解剖時、小腸を回収し、FOXP3を指標にリアルタイムPCRにてTregを評価した。(Mann Whitney U test)
【0034】
結果を
図3に示す。
図3より、Tregにおけるマスター転写因子であるFOXP3遺伝子発現量はシンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群で有意に低下していることを示した。この結果は、先に示したTreg数の減少を支持するものである。
【0035】
実施例4 In vivo におけるシンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による全身における免疫抑制状態への影響
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、細胞株移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群、シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群に分けた{n=10(Vehicle群)、5(シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群)、6(シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群)}。
シンバイオティクスについては、移植後1日1回、シンバイオティクス0.2mL/mouseを28日間毎日経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植7日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~4回目は10mg/kg腹腔内投与した。
解剖時、各組織(小腸、パイエル板)を回収し、TGFβを指標にリアルタイムPCRにて免疫抑制状態を評価した。(Mann Whitney U test)
【0036】
結果を
図4に示す。
図4より、TGFβは免疫抑制的に作用するサイトカインであり、腸内細菌由来の物質により誘導を受ける。
図4より、小腸全体および小腸免疫の中心組織であるパイエル板ではVehicle群と比較してシンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群で有意にTGFβの遺伝子発現量が低く、小腸免疫の活性化が示唆された。
【0037】
実施例5 In vivo におけるシンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による腫瘍における骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)への影響
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、細胞株移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群、シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群に分けた{n=10(Vehicle群)、5(シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群)、6(シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群)}。
シンバイオティクスについては、移植後1日1回、シンバイオティクス0.2mL/mouseを28日間毎日経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植7日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~4回目は10mg/kg腹腔内投与した。
解剖時、腫瘍を回収し、Bv8を指標にリアルタイムPCRにてMDSCsを評価した。(Mann Whitney U test)
【0038】
結果を
図5に示す。Bv8はMDSCのマーカーであり、腫瘍内に存在するMDSCの数が減少し、抗腫瘍効果をもたらしたことが示唆される。
【0039】
実施例6 In vivo におけるシンバイオティクス/免疫チェックポイント阻害剤併用による全身における免疫状態への影響
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、細胞株移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群、シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群に分けた{n=10(Vehicle群)、5(シンバイオティクス投与群、抗PD-1抗体投与群)、6(シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群)}。
シンバイオティクスについては、移植後1日1回、シンバイオティクス0.2mL/mouseを28日間毎日経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植7日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~4回目は10mg/kgで腹腔内投与した。
解剖時、各組織(小腸、腫瘍)を回収し、リアルタイムPCRにて各サイトカイン(IFN-β、IL-17)遺伝子の発現量を評価した。(Mann Whitney U test)
【0040】
結果を
図6に示す。
図6より、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群の小腸において抗炎症性サイトカインであるIFN-βの遺伝子発現量が特異的に高発現しており、
図4に示したTGFβが低値であったことと併せ、小腸での免疫機能が亢進している可能性が高い。一方で、IL-17は免疫細胞が高発現するサイトカインであり、これがシンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群において有意に高値であることは、腫瘍内の免疫細胞の増加を示唆している。これらの結果はともに、腫瘍免疫の活性化を支持するものである。
【0041】
実施例7 In vivo における各種腸内細菌製剤/免疫チェックポイント阻害剤併用によるNK細胞活性増強作用
7週齢の雄性C57BL/6NCrSlcマウスにマウス結腸癌細胞株MC38細胞を移植し、移植モデルマウスを作製した。コントロール(Vehicle)群(C)、抗PD-1抗体投与群(P)、プロバイオティクス+抗PD-1抗体投与群(LP)、プレバイオティクス+抗PD-1抗体投与群(GP)、シンバイオティクス投与群(LG)、シンバイオティクス+抗PD-1抗体投与群(LGP)に分けた{n=9(C、LG、LGP)、8(P、GP、LP)}。
シンバイオティクスについては、移植後、日曜日を除く6日間1日1回のサイクルで、シンバイオティクス0.2mL/mouse計15日間経口投与し、抗PD-1抗体については、腫瘍移植6日目より抗PD-1抗体を初回に20mg/kg、以後6日おきに2~3回目は10mg/kgで腹腔内投与した。解剖時に採取した脾臓からシングル細胞を調製し、エフェクター細胞とした。ターゲット細胞としてはマウスリンパ腫であるYAC-1細胞を用いた。ターゲット細胞(4×105cells/mL)をcalcein-acetoxymethylester(calcein-AM,細胞標識試薬、最終濃度1mg/mL)添加状態で、37℃、30分間培養することで蛍光染色した。染色したターゲット細胞(1×104cells/100mL)と前培養したエフェクター細胞(4×105cells/100mL)をU-bottom 96well plateで4時間共培養した(エフェクター細胞:ターゲット細胞=40:1)。その後、300×gで5分間遠心分離し、上清80μLを黒色96well plateに移し、蛍光プレートリーダーを用い培養上清に移行したcalcein-AM量を測定した(Ex.488nm、Em.535nm)。得られた結果を以下の式に従い細胞傷害活性を算出した(n=6,標準誤差,Dunnet’s test)。
細胞傷害活性(% cytolysis)=((サンプル蛍光強度-自然遊離蛍光強度)×100)/(最大蛍光強度-自然遊離蛍光強度)
【0042】
結果を
図7に示す。
図7より、プロバイオティクス、プレバイオティクス、抗PD-1抗体の3者がそろったLGP群でのみNK細胞の細胞傷害活性が有意に活性化されていることがわかる。
図2に示したTreg数の減少により腫瘍の対免疫防御機能が抑制された結果、腫瘍に対する免疫細胞の活性が高まったものであり、両剤併用による腫瘍免疫の活性化を支持する結果である。