(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H02J 9/00 20060101AFI20240516BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
H02J9/00
H02J7/34 G
(21)【出願番号】P 2023518453
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2021010554
(87)【国際公開番号】W WO2022059918
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119759
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523100504
【氏名又は名称】サンシルエナジー カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNGSILENERGY CO.,LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】523100515
【氏名又は名称】キム,サン シル
【氏名又は名称原語表記】KIM, Sung Sil
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】キム,サン シル
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ジュン ウク
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-082878(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148054(WO,A1)
【文献】特開2015-023743(JP,A)
【文献】特開2016-073020(JP,A)
【文献】国際公開第2020/176073(WO,A1)
【文献】特開2009-254192(JP,A)
【文献】特開昭62-285638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源である商用交流電源Vacを入出力端子IOPに入力を受けて商用交流電源を直流電源に変換する交流/直流変換部10と、
前記交流/直流変換部10で出力される直流電源を充電するバッテリーBと、
前記バッテリーBに充電された直流電源を昇圧させて昇圧直流電圧DCを出力する昇圧部20と、
前記昇圧直流電圧DCを交流電源に変換してバッテリー交流電力Bacを前記入出力端子IOPを通じて負荷70に供給する直流/交流変換部30と、
前記バッテリーBの充電が行われるように前記交流/直流変換部10の駆動を制御し、前記バッテリー交流電力Bacを前記負荷70に供給されるように前記直流/交流変換部30の駆動を制御する電力制御部40と、
一端子が前記商用交流電源Vacが供給される供給端子ACPに接続されたインダクターLと、
一端子が前記インダクターLの他の端子と接続され、他の端子が前記入出力端子IOPに接続されたスイッチング部SWと、
前記インダクターLに流れるインダクター電流ILと使用者によって決まる復電制限電流Irefを比べる電流判断部50と、
前記電流判断部50で前記インダクター電流ILが前記復電制限電流Irefより小さければ活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力して前記スイッチング部SWをオンにし、前記インダクター電流ILが前記復電制限電流Irefと同一であれば、非活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力して前記スイッチング部SWをオフにし、前記スイッチング制御信号SWCが非活性化された後、使用者によって決まる基準時間Trefが経過されれば前記スイッチング制御信号SWCを活性化させて前記スイッチング部SWをオンにするスイッチング制御部60、とを備えたことを特徴とする、エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記商用交流電源Vacが供給される供給端子ACPはコンセントに接続させ、前記インダクターLの一端子には電源プラグを接続して前記電源プラグを前記コンセントに接続させることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー貯蔵システムに係り、特に家庭に引入される系統電源である商用交流電源が停電後、復電時にエネルギー貯蔵システムが損傷されることを防いで、負荷に絶え間なく安定的に商用交流電源による系統の交流電力及びバッテリーに蓄積されたエネルギーによって発生されたバッテリー交流電力を供給することができ、入出力ポートを通じて商用交流電源がバッテリー充電のための交流/直流変換部に供給され、同時にバッテリーに充電された電力を入出力ポートを通じて負荷に供給されるようにして商用交流電源が供給される供給端子であるコンセントにエネルギー貯蔵システムの電源プラグを接続させて使用するので、設置する際に分電箱の工事が必要なく、設置し易いエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System:ESS)はエネルギーを保存する一種のバッテリーとして、スマートグリッドと連係されて太陽光、風力など新再生エネルギー源で生産された電力を保存したり、電気代が安い時間帯に外部系統電力から電力の供給を受けて保存して電力消費が高い時間帯に保存された電力を放電することで、電力供給者の立場では電力運営の効率性を高め、消費者の立場では安い電気代で利用することができるように寄与する装置である。
【0003】
特に、電力需要量超過による大規模停電事態が発生した経験に基づいて電力量不足による循環停電に対する危険性が増加し、夜間のような軽負荷時に遊休電力を保存して昼間のような最大負荷の時や電力不足時に使用することで、負荷平準化(Load Leveling)を通じた最大負荷を分散することができるようにエネルギー貯蔵システムに対する必要性が高くなっている。
【0004】
家庭でも系統交流電力である商用交流電源とともに、電力不足や停電時のためにこのようなエネルギー貯蔵システムを利用している。
【0005】
家庭で利用するエネルギー貯蔵システムと係る先行技術では、韓国登録特許
第10-1616982号公報「家庭用スマートエネルギー貯蔵システム」(公告日:2016年04月29日)が開示されている。
【0006】
前記先行技術である家庭用スマートエネルギー貯蔵システムは、商用交流電源による系統電力が正常に供給されたり、停電によって商用交流電源が遮断された場合には負荷に安定的に電源が供給されるが、商用交流電源が停電後復電される時、商用交流電源とバッテリーに保存されたエネルギーを放電させて発生する交流電源とは信号同期が一致しない場合が発生し、これによってエネルギー貯蔵システムが損傷される問題点を持っている。
【0007】
また、前記先行技術は、商用交流電源の引入端はバッテリー充電のための交流/直流変換部の入力部に接続しなければならず、バッテリーに充電された電力を交流電圧に変換させる直流/交流変換部の出力ポートは負荷端子に接続しなければならないが、負荷端子は家庭内に用意された分電箱に設置しなければならないので、系統交流電源にエネルギー貯蔵システムを装着するために分電箱設置工事が要求されるので、設置が容易ではない問題点を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は家庭に引入される系統電源である商用交流電源が停電後、復電時にエネルギー貯蔵システムが損傷されることを防いで負荷に絶え間なく安定的に商用交流電源による系統の交流電力及びバッテリーに蓄積されたエネルギーによって発生されたバッテリー交流電力を供給することができ、入出力ポートを通じて商用交流電源がバッテリー充電のための交流/直流変換部に供給され、同時にバッテリーに充電された電力を入出力ポートを通じて負荷に供給されるようにし、商用交流電源が供給される供給端子であるコンセントにエネルギー貯蔵システムの電源プラグを接続させて使用するので、設置の際に分電箱の工事が必要なく、設置し易いエネルギー貯蔵システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明のエネルギー貯蔵システムは、系統電源である商用交流電源を入出力端子に入力を受けて商用交流電源を直流電源に変換する交流/直流変換部;前記交流/直流変換部で出力される直流電源を充電するバッテリー;前記バッテリーに充電された直流電源を昇圧させて昇圧直流電圧を出力する昇圧部;前記昇圧直流電圧を交流電源に変換してバッテリー交流電力を前記入出力端子を通じて負荷に供給する直流/交流変換部;前記バッテリーが充電が行われるように前記交流/直流変換部の駆動を制御し、前記バッテリー交流電力を前記負荷に供給されるように前記直流/交流変換部の駆動を制御する電力制御部;一端子が前記商用交流電源が供給される供給端子に接続されたインダクター;一端子が前記インダクターの他の端子と接続されて、他の端子が前記入出力端子に接続されたスイッチング部;前記インダクターに流れるインダクター電流と使用者によって決まる復電制限電流を比べる電流判断部;及び前記電流判断部で前記インダクター電流が前記復電制限電流より小さければ活性化されたスイッチング制御信号を出力して前記スイッチング部をオンにし、前記インダクター電流が前記復電制限電流と同一であれば非活性化されたスイッチング制御信号を出力して前記スイッチング部をオフにし、前記スイッチング制御信号が非活性化された以後、使用者によって決まる基準時間が経過されれば前記スイッチング制御信号を活性化させて前記スイッチング部をオンさせるスイッチング制御部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエネルギー貯蔵システムは、家庭に引入される系統電源である商用交流電源が停電後復電の際にエネルギー貯蔵システムが損傷されることを防いで負荷に絶え間なく安定的に商用交流電源による系統交流電力及びバッテリーに蓄積されたエネルギーによって発生されたバッテリー交流電力を供給することができ、入出力ポートを通じて商用交流電源がバッテリー充電のための交流/直流変換部に供給されると同時に、バッテリーに充電された電力を入出力ポートを通じて負荷に供給されるようにし、商用交流電源が供給される供給端子であるコンセントにエネルギー貯蔵システムの電源プラグを接続させて使用するので設置時の分電箱の工事が必要なく、簡便に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のエネルギー貯蔵システムの構成図である。
【
図2】本発明のエネルギー貯蔵システムの動作を説明するための商用交流電源インダクター電流、スイッチング制御信号及び負荷供給電源に対する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明のエネルギー貯蔵システムを詳しく説明する。
【0013】
図1に示されたように、本発明のエネルギー貯蔵システムは、系統電源である商用交流電源Vacを入出力端子IOPに入力を受けて商用交流電源を直流電源に変換する交流/直流変換部10と、交流/直流変換部10で出力される直流電源を充電するバッテリーBと、バッテリーBに充電された直流電源を昇圧させて昇圧直流電圧DCを出力する昇圧部20と、昇圧直流電圧DCを交流電源に変換してバッテリー交流電力Bacを入出力端子IOPを通じて負荷70に供給する直流/交流変換部30と、バッテリーBが充電されるように交流/直流変換部10の駆動を制御し、バッテリー交流電力Bacを負荷70に供給されるように直流/交流変換部30の駆動を制御する電力制御部40と、一端子が商用交流電源Vacが供給される供給端子ACPに接続されたインダクターLと、一端子がインダクターLの他の端子と接続され、他の端子が入出力端子IOPに接続されたスイッチング部SWと、インダクターLに流れるインダクター電流ILと使用者によって決まる復電制限電流Irefを比べる電流判断部50と、電流判断部50でインダクター電流ILが復電制限電流Irefより小さければ活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力してスイッチング部SWをオンにし、インダクター電流ILが復電制限電流Irefと同一であれば非活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力してスイッチング部SWをオフにし、スイッチング制御信号SWCが非活性化された以後、使用者によって決まる基準時間Trefが経過されればスイッチング制御信号SWCを活性化させてスイッチング部SWをオンにするスイッチング制御部60で構成される。
【0014】
また、商用交流電源Vacが供給される供給端子ACPはコンセントに連結させ、インダクターLの一端子には電源プラグを連結して電源プラグをコンセントに接続させる。
【0015】
前記の構成による本発明のエネルギー貯蔵システムの動作は次のとおりである。
【0016】
図1に示されたように、本発明の交流/直流変換部10と、バッテリーBと、昇圧部20と、直流/交流変換部30と、電力制御部40とは、エネルギー貯蔵システムの一般的な構成である。
【0017】
交流/直流変換部10は系統電源である商用交流電源Vacが供給される供給端子ACPから入出力端子IOPを通じて商用交流電源Vacの入力を受けて商用交流電源VacをバッテリーBの充電電圧に対応される直流電源に変換し、バッテリーBには直流電源が充電される。
【0018】
昇圧部20はバッテリーBに充電された直流電源を略400V直流電圧で昇圧させて昇圧直流電圧DCを出力する。
【0019】
直流/交流変換部30は昇圧直流電圧DCを交流電源に変換してバッテリー交流電力Bacを入出力端子IOPを通じて負荷70に供給する。
【0020】
電力制御部40はバッテリーBが設定された充電状態になるように交流/直流変換部10の駆動を制御し、バッテリーBに蓄積されたエネルギーの放電条件になればバッテリー交流電力Bacを負荷70に供給されるように直流/交流変換部30の駆動を制御する。
【0021】
放電条件は一日の中で最大負荷の時に利用できるように設定された昼間時間フレームや、停電時など多様に設定されることができる。
【0022】
系統電源である商用交流電源Vacが正常に供給される場合、商用交流電源Vacによって負荷70が駆動されるか、または放電条件の場合、負荷70は商用交流電源Vacとバッテリー交流電力Bacによって駆動される。
【0023】
商用交流電源Vacが正常に供給されている途中で停電が発生した場合、負荷70はバッテリー交流電力Bacのみによって駆動される。
【0024】
商用交流電源Vacが正常に供給されたり停電時に負荷に供給される最大電流は負荷が要求する必要電力/220Vであるため、家庭の場合通常負荷が要求する必要電力は最大7KWを超過されないと仮定すれば、最大電流は7KW/220V=32Aである。
【0025】
図2に示されたように、使用者によって決まる復電制限電流Irefを負荷に供給される最大電流より大きい値である40Aと設定すれば、商用交流電源acが正常に供給されたり停電時には、電流判断部50によってインダクターLに流れるインダクター電流ILと復電制限電流Irefとを比べ、この時、インダクター電流ILは常に復電制限電流Irefより小さい値を持つようになるので、スイッチング制御部60は活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力し、活性化されたスイッチング制御信号SWCによってスイッチング部SWはオン状態にあるようになる。
【0026】
したがって、商用交流電源acが正常に供給されたり停電時には、スイッチング部SWが継続的にオン状態にあるので、商用交流電源acが正常に供給される場合には商用交流電源Vacによって負荷70が駆動されるか、または放電条件の場合、負荷70は商用交流電源Vacとバッテリー交流電力Bacによって駆動され、停電時にはバッテリー交流電力Bacは入出力端子IOPを通じて負荷70に供給されて負荷70は駆動される。
【0027】
商用交流電源Vacが停電後に復電する時は入出力端子IOPを通じてバッテリー交流電力Bacも供給端子ACPに供給され、
図2に示されたように、復電時に商用交流電源Vacとバッテリー交流電力Bacの位相差が180度である場合、すなわち、バッテリー交流電力Bacの交流電源は+220Vで、商用交流電源Vac-220Vであれば、インダクターLによってインダクター電流ILは大きくなって、電流判断部50によってインダクター電流ILが増加して復電制限電流Irefと同一の値になれば、スイッチング制御部60は非活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力し、非活性化されたスイッチング制御信号SWCによってスイッチング部SWはオフされてインダクター電流ILは0になる。
【0028】
したがって、復電時にインダクターLによってインダクター電流ILが徐々に増加するようになって、インダクター電流ILが復電制限電流Irefと同一な値になればスイッチング部SWがオフになって、スイッチング部SWのオフによって供給端子ACPではバッテリー交流電力Bacが出力されることができないので、負荷70には商用交流電源Vacのみ供給される。
【0029】
したがって、復電時に商用交流電源Vacとバッテリー交流電力Bacの位相差によって発生するエネルギー貯蔵システムが損傷されることを防ぐことができ、負荷70は商用交流電源Vacによって正常に駆動される。
【0030】
スイッチング制御部60は復電によってスイッチング制御信号SWCが非活性化された後、使用者によって決まる基準時間Tref、おおよそ3秒ぐらい経過されると活性化されたスイッチング制御信号SWCを出力してスイッチング部SWはオンになってエネルギー貯蔵システムは正常動作をする。
【0031】
したがって、本発明は復電の際にも負荷70に絶え間なく安定的に商用交流電源による系統の交流電力及びバッテリーに蓄積されたエネルギーによって発生されたバッテリー交流電力を供給することができる。
【0032】
また、本発明のエネルギー貯蔵システムは入出力ポートIOPを通じて商用交流電源Vacがバッテリー充電のための交流/直流変換部10に供給されると同時に、バッテリーBに充電されたバッテリー交流電力Bacを入出力ポートIOPを通じて負荷に供給されるようにし、商用交流電源Vacが供給される供給端子ACPはコンセントを通じて接続され、エネルギー貯蔵システムの電源プラグをコンセントに接続させて電源プラグを通じて供給端子ACPとインダクターLが接続されるようにしてエネルギー貯蔵システムを設置するために従来のように分電箱の工事が必要なく、簡便に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明はバッテリーに充電された電力を入出力ポートを通じて負荷に供給されるようにし、商用交流電源が供給される供給端子であるコンセントにエネルギー貯蔵システムの電源プラグを接続させて使用するので、設置時の分電箱の工事が必要なく、設置が容易である。