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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】貨幣入出金機
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20240516BHJP
   G07D 1/04 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G07D11/20
G07D1/04 B
G07D1/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020079276
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021174371
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中司 康貴
(72)【発明者】
【氏名】福森 規文
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-151848(JP,A)
【文献】特開2005-275746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
G07D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣が投入される入金口と、
前記入金口に投入された貨幣を金種判定及び計数する貨幣識別計数部と、
前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、
前記収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出部と、
前記繰出部により繰り出された貨幣を機外に導く出金口と、
前記受入貨幣の前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数した結果の金額と収納する金額との差額の釣銭貨幣を前記繰出部により前記収納部から前記出金口に出金させる通常運用モードの制御を行う制御部と、
表示部とを備え、
前記制御部は、前記受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、前記受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理と、のうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うように構成されており、
前記制御部は、
前記受入貨幣が単数枚であった場合、前記正両替処理を行い、
前記受入貨幣が複数枚であった場合、前記表示部に前記正両替処理及び前記逆両替処理のうちの何れかの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させ、選択された処理を行う
ことを特徴とする貨幣入出金機。
【請求項2】
操作入力を受け付ける操作部を更に備え、
前記制御部は、
前記受入貨幣が複数枚であった場合、前記操作部に入力された操作に基づいて前記正両替処理及び前記逆両替処理のうちの何れかを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の貨幣入出金機。
【請求項3】
貨幣が投入される入金口と、
前記入金口に投入された貨幣を金種判定及び計数する貨幣識別計数部と、
前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、
前記収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出部と、
前記繰出部により繰り出された貨幣を機外に導く出金口と、
前記受入貨幣の前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数した結果の金額と収納する金額との差額の釣銭貨幣を前記繰出部により前記収納部から前記出金口に出金させる通常運用モードの制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、前記受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理と、のうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うように構成されており、
前記制御部は、
前記受入貨幣が単数枚であった場合と、前記受入貨幣が複数枚であり且つ前記受入貨幣が所定金額未満であった場合、前記正両替処理を行い、
前記受入貨幣が複数枚であり且つ前記受入貨幣が所定金額以上であった場合、前記正両替処理及び前記逆両替処理のうちの何れかを選択して行う
ことを特徴とする貨幣入出金機。
【請求項4】
記正両替処理及び前記逆両替処理を行う際に優先させる優先金種を選択する選択操作が入力される操作部を有し
前記制御部は、
前記受入貨幣が複数枚であった場合、前記操作部に選択操作が入力された優先金種に基づいて前記正両替処理及び前記逆両替処理のうちの何れかを行う
ことを特徴とする請求項3に記載の貨幣入出金機。
【請求項5】
貨幣が投入される入金口と、
前記入金口に投入された貨幣を金種判定及び計数する貨幣識別計数部と、
前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、
前記収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出部と、
前記繰出部により繰り出された貨幣を機外に導く出金口と、
前記受入貨幣の前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数した結果の金額と収納する金額との差額の釣銭貨幣を前記繰出部により前記収納部から前記出金口に出金させる通常運用モードの制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、前記受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理と、のうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うように構成されており、
前記制御部は、
前記受入貨幣が所定金額以下であると、前記正両替処理を行い、
前記受入貨幣が所定金額を超えると、前記逆両替処理を行う
ことを特徴とする貨幣入出金機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣銭を払い出す貨幣入出金機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばPOSレジ等の上位機に接続されて釣銭を払い出す釣銭機として用いられる貨幣入出金機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2938747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した貨幣入出金機が用いられるコンビニエンスストア等の店舗において、スペース効率向上、機械の導入コスト削減、運用コスト削減が望まれており、上記した貨幣入出金機においても例外ではない。
【0005】
従って、本発明は、設置店舗のスペース効率向上と、導入コスト及び運用コストの削減とを図ることができる貨幣入出金機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、貨幣が投入される入金口と、前記入金口に投入された貨幣を金種判定及び計数する貨幣識別計数部と、前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、前記収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出部と、前記繰出部により繰り出された貨幣を機外に導く出金口と、前記受入貨幣の前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数した結果の金額と収納する金額との差額の釣銭貨幣を前記繰出部により前記収納部から前記出金口に出金させる通常運用モードの制御を行う制御部と、表示部とを備え前記制御部は、前記受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、前記受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理と、のうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うように構成されており、前記制御部は、前記受入貨幣が単数枚であった場合、前記正両替処理を行い、前記受入貨幣が複数枚であった場合、前記表示部に前記正両替処理及び前記逆両替処理のうちの何れかの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させ、選択された処理を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様は、貨幣が投入される入金口と、前記入金口に投入された貨幣を金種判定及び計数する貨幣識別計数部と、前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、前記収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出部と、前記繰出部により繰り出された貨幣を機外に導く出金口と、前記受入貨幣の前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数した結果の金額と収納する金額との差額の釣銭貨幣を前記繰出部により前記収納部から前記出金口に出金させる通常運用モードの制御を行う制御部とを備え前記制御部は、前記受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、前記受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理と、のうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うように構成されており、前記制御部は、前記受入貨幣が単数枚であった場合と、前記受入貨幣が複数枚であり且つ前記受入貨幣が所定金額未満であった場合、前記正両替処理を行い、前記受入貨幣が複数枚であり且つ前記受入貨幣が所定金額以上であった場合、前記正両替処理及び前記逆両替処理のうちの何れかを選択して行うことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、貨幣が投入される入金口と、前記入金口に投入された貨幣を金種判定及び計数する貨幣識別計数部と、前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する収納部と、前記収納部より指定金種の貨幣を指定枚数繰り出す繰出部と、前記繰出部により繰り出された貨幣を機外に導く出金口と、前記受入貨幣の前記貨幣識別計数部で金種判定及び計数した結果の金額と収納する金額との差額の釣銭貨幣を前記繰出部により前記収納部から前記出金口に出金させる通常運用モードの制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、前記受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を前記受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理と、のうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うように構成されており、前記制御部は、前記受入貨幣が所定金額以下であると、前記正両替処理を行い、前記受入貨幣が所定金額を超えると、前記逆両替処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設置店舗のスペース効率向上と、導入コスト及び運用コストの削減とを図ることができる貨幣入出金機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機を示す斜視図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機の紙幣部を概略的に示す側断面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機の硬貨部を概略的に示す側断面図である。
図4】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機の操作部及び案内表示部を示す平面図である。
図5】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機の案内表示部の表示例を示す平面図である。
図6】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機の案内表示部の表示例を示す平面図である。
図7】本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機の両替モードでの制御内容の大略を示すフローチャートである。
図8】本発明に係る第2実施形態の貨幣入出金機の案内表示部の表示例を示す平面図である。
図9】本発明に係る第2実施形態の貨幣入出金機の両替モードでの制御内容の大略を示すフローチャートである。
図10】本発明に係る第3実施形態の貨幣入出金機の案内表示部の表示例を示す平面図である。
図11】本発明に係る第3実施形態の貨幣入出金機の両替モードでの制御内容の大略を示すフローチャートである。
図12】本発明に係る第4実施形態の貨幣入出金機の両替モードでの制御内容の大略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明に係る第1実施形態の貨幣入出金機を以下に説明する。
図1に示すように、第1実施形態の貨幣入出金機10は、貨幣のうちの硬貨の入出金が可能な硬貨部11と、貨幣のうちの紙幣の入出金が可能な紙幣部12とが一体に並設されたもので、例えば、コンビニエンスストア等の店舗に設置され、POSレジ等の上位機に接続されて釣銭を自動的に払い出す釣銭機として用いられるものである。なお、以下の説明において、「前」は貨幣入出金機10の操作者側、「後」は貨幣入出金機10の操作者に対し反対側、「左」は貨幣入出金機10の操作者から見て左、「右」は貨幣入出金機10の操作者から見て右である。
【0011】
硬貨部11は貨幣入出金機10の左右方向における一側具体的には右側に設けられており、紙幣部12は左右方向における逆側具体的には左側に設けられている。
【0012】
硬貨部11には、前側つまり操作者側の上部の右側に、機外からバラ硬貨が金種が混在する状態で一括して投入される硬貨入金口15(入金口)が設けられ、この硬貨入金口15の左側に、操作者による操作入力を受け付ける操作部16及び操作者への表示を行う案内表示部17が前後に並んで設けられている。また、硬貨部11には、これら硬貨入金口15、操作部16及び案内表示部17の下側つまり前側の上下方向の中間部の右側に、内部からバラ硬貨が金種が混在する状態で機外に取出可能に出金される硬貨出金口18(出金口)が設けられ、この硬貨出金口18の左側に、入金時にリジェクトされたリジェクト硬貨が排出される硬貨リジェクト口19が設けられている。
【0013】
紙幣部12は、前側つまり操作者側の上部に、バラ紙幣が金種が混在する状態で機外から一括して投入される紙幣入金口21(入金口)が設けられており、その下側つまり前側の上下方向の中間部に内部からバラ紙幣が金種が混在する状態で機外に取出可能に出金される紙幣出金口22(出金口)が設けられていて、この紙幣出金口22の下側に、図2に示す紙幣リジェクト庫23及び紙幣回収庫24が一体とされた着脱可能な紙幣回収金庫25が設けられている。
【0014】
まず、紙幣部12の概略構成について図2を参照して説明する。
【0015】
紙幣入金口21には、紙幣入金口21に投入された紙幣を1枚ずつ繰り出す入金紙幣繰出部30が設けられている。紙幣部12は、紙幣入金口21に投入され入金紙幣繰出部30で繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送部31と、紙幣搬送部31で搬送される紙幣の真偽、金種及び正損等を判定すると共に、真券であって汚損のない正券である受入紙幣を金種毎に計数する紙幣識別計数部32(貨幣識別計数部)とを有している。紙幣識別計数部32は、言い換えれば、紙幣入金口21に投入された紙幣のうちの真券且つ正券である受入紙幣を金種判定及び計数する。
【0016】
紙幣部12は、紙幣識別計数部32で金種判定及び計数された受入紙幣を金種毎に分けて収納する三つの紙幣収納部35~37(収納部)を有している。紙幣搬送部31は、紙幣識別計数部32の識別結果に応じて、偽券、汚損券または判別不能とされた紙幣を紙幣出金口22に繰り出す。また、紙幣搬送部31は、紙幣識別計数部32の識別結果に応じて、真券且つ正券とされた受入紙幣を、紙幣収納部35~37に金種別に分類して収納させる。紙幣収納部35~37は、言い換えれば、紙幣識別計数部32で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する。
【0017】
紙幣収納部35には、紙幣収納部35に収納している紙幣を1枚ずつ紙幣搬送部31に繰り出す出金紙幣繰出部41(繰出部)が設けられている。紙幣収納部36にも同様の出金紙幣繰出部42(繰出部)が、紙幣収納部37にも同様の出金紙幣繰出部43(繰出部)が、それぞれ設けられている。出金紙幣繰出部41~43は、各金種別の紙幣収納部35~37より指定金種の紙幣を指定枚数繰り出す。
【0018】
紙幣搬送部31は、繰出部41~43により紙幣収納部35~37から繰り出された紙幣を、紙幣出金口22、紙幣リジェクト庫23及び紙幣回収庫24に振り分ける。紙幣搬送部31は、例えば機外に出金する紙幣を紙幣出金口22に搬送し、繰出部41~43による繰り出しに異常があった紙幣を紙幣リジェクト庫23に搬送し、紙幣収納部35~37のオーバフロー紙幣や紙幣収納部35~37から一括回収する紙幣等を紙幣回収庫24に搬送する。紙幣出金口22は、繰出部41~43により紙幣収納部35~37から繰り出された紙幣を機外に導く。
【0019】
ここで、紙幣部12は、入金された紙幣を出金用として使用する還流式のものであり、受入紙幣を収納及び繰り出しが可能な三つの紙幣収納部35~37に金種毎に分けて収納する。例えば、額面五千円の紙幣である五千円券を紙幣収納部35に、額面千円の紙幣である千円券を紙幣収納部36に、額面一万円の紙幣である一万円券を紙幣収納部37にそれぞれ収納するようになっている。紙幣部12は、紙幣収納部35~37の紙幣入金口21側に一時貯留部は設けられておらず、紙幣識別計数部32で真券且つ正券と判定された受入紙幣をそのまま紙幣収納部35~37に収納させる。なお、紙幣搬送部31は、取り扱い数が最少の額面二千円の紙幣である二千円券については、紙幣回収庫24に直接収納させ、還流させない。紙幣収納部35~37の金種設定は上記に限らず変更可能である。
【0020】
次に、硬貨部11の概略構成について主に図3を参照して説明する。
【0021】
硬貨入金口15には、硬貨入金口15に投入された硬貨を1枚ずつ繰り出す入金硬貨繰出部61が設けられている。硬貨部11は、硬貨入金口15に投入され入金硬貨繰出部61で繰り出された硬貨を搬送する硬貨搬送部62と、硬貨搬送部62で搬送される硬貨の真偽、金種及び正損等を判定すると共に、真硬貨であって汚損のない正硬貨である受入硬貨を金種毎に計数する硬貨識別計数部63(貨幣識別計数部)とを有している。硬貨識別計数部63は、言い換えれば、硬貨入金口15に投入された硬貨のうちの真硬貨且つ正硬貨である受入硬貨を金種判定及び計数する。
【0022】
硬貨部11は、硬貨搬送部62における硬貨識別計数部63の下流側に、硬貨を硬貨搬送部62から排除可能なリジェクト部64が設けられており、このリジェクト部64の下流側に、硬貨を選別する選別部65~71が設けられている。
【0023】
各選別部65~71で選別された硬貨は、各選別部65~71に一対一で対応する各金種別の硬貨収納部73(収納部)に収納される。図3においては図示の向きから一つの硬貨収納部73のみが示されているが、各硬貨収納部73はそれぞれが前後方向に沿う状態で左右方向に並べられており硬貨を金種毎に分けて収納する。リジェクト部64で落下された硬貨はリジェクトシュート74で前側の硬貨リジェクト口19に案内される。例えば、硬貨収納部73には、額面一円の硬貨である一円硬貨を収納させるものと、額面五十円の硬貨である五十円硬貨を収納させるものと、額面五円の硬貨である五円硬貨を収納させるものと、額面百円の硬貨である百円硬貨を収納させるものと、額面十円の硬貨である十円硬貨を収納させるものと、額面五百円の硬貨である五百円硬貨を収納させるものとがある。よって、硬貨収納部73は、硬貨識別計数部63で金種判定及び計数された受入貨幣を金種毎に分けて収納する。
【0024】
各硬貨収納部73は、それぞれの底部を形成するように前後方向に延在する状態で左右方向に並設されて正転時に硬貨出金口18側に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア76と、ベルトコンベア76の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ77とを有している。ここで、ベルトコンベア76は、下流側が上側に位置するように傾斜しており、その上部側所定位置に上記した分離ローラ77が配置されている。
【0025】
そして、各金種別の硬貨収納部73は、すべてのベルトコンベア76が一度に駆動されることでバラ硬貨を硬貨出金口18側に搬送することになり、このとき分離ローラ77がバラ硬貨を1枚ずつに分離する。
【0026】
各金種別の硬貨収納部73は、それぞれ、分離ローラ77よりも下流側で硬貨の繰り出しを規制及び許容する出金硬貨繰出部78(繰出部)を有している。出金硬貨繰出部78は、各金種別の硬貨収納部73より指定金種の硬貨を指定枚数繰り出す。ベルトコンベア76及び出金硬貨繰出部78により各金種別の硬貨収納部73から繰り出された硬貨は、硬貨出金口18に搬送される。硬貨出金口18は、出金硬貨繰出部78により各金種別の硬貨収納部73から繰り出された硬貨を機外に導く。
【0027】
貨幣入出金機10の硬貨部11と紙幣部12とは、共通の制御部81によって制御されることになり、制御部81は、操作部16と案内表示部17と記憶部82とに通信可能に接続されている。記憶部82は、制御プログラムを記憶すると共に紙幣識別計数部32の識別に基づく金種別の紙幣枚数及び硬貨識別計数部63の識別に基づく金種別の硬貨枚数等を記憶する。
【0028】
記憶部82には、貨幣入出金機10を釣銭機として作動させるための通常運用モード用のプログラムと、貨幣入出金機10を両替機として作動させるための両替モード用のプログラムとが記憶されている。制御部81は、通常運用モードでの釣銭支払い用の入出金動作が行われていない状態で、操作部16に両替モードの選択指定操作がなされた場合に、両替モード用のプログラムを読み出して実行することになり、それ以外では、通常運用モード用のプログラムを実行することになる。
【0029】
図1に示すように、操作部16は、案内表示部17の前方に設けられており、図4に示すように、スタート/ストップボタン91、リセットボタン92、上部ボタン93、下部ボタン94、左部ボタン95及び右部ボタン96を有している。上部ボタン93、下部ボタン94、左部ボタン95及び右部ボタン96は、十字状に配置されている。
【0030】
上部ボタン93は、下部ボタン94と左右方向の位置を合わせており、下部ボタン94よりも文字表示上の上側(貨幣入出金機10における後方)の左部ボタン95及び右部ボタン96の間に配置されている。上部ボタン93は、案内表示部17のカーソルの表示上の上方への移動用のボタンである。上部ボタン93には、「▲」が表記されると共に、文字表示上の上方に「金種」と近接して記載されている。
【0031】
下部ボタン94も、上部ボタン93と同様、左部ボタン95及び右部ボタン96の間に配置されている。下部ボタン94は、案内表示部17のカーソルの表示上の下方(貨幣入出金機10における前方)への移動用のボタンであって、キャンセル操作が入力されるキャンセルボタンである。下部ボタン94には、「▼」が表記されると共に、文字表示上の下側(貨幣入出金機10における前方)にキャンセルボタンであることを示すように「キャンセル」と近接して記載されている。
【0032】
左部ボタン95は、上部ボタン93及び下部ボタン94よりも左側の上部ボタン93及び下部ボタン94の間に配置されている。左部ボタン95は、案内表示部17のカーソルの左方への移動用のボタンであって、承認操作が入力されるOKボタンである。左部ボタン95には、「●」が表記されると共に、左側にOKボタンであることを示すように「OK」と近接して記載されている。
【0033】
右部ボタン96は、上部ボタン93及び下部ボタン94よりも右側の上部ボタン93及び下部ボタン94の間に配置されている。右部ボタン96は、案内表示部17のカーソルの右方への移動用のボタンである。右部ボタン96には、「▲」がその一つの頂点が真右に向くように表記されると共に、右側に「機能」と近接して記載されている。
【0034】
{通常運用モード}
貨幣入出金機10は、基本的には以下の通常運用モードで運用される。
【0035】
通常運用モード用のプログラムに基づく作動を説明する。
通常運用モードでは、貨幣入出金機10が釣銭機として機能することになり、例えば、図示せぬ上位機で買い上げ金額が確定すると、次に、買い上げ金額に応じた貨幣が硬貨入金口15及び紙幣入金口21の少なくともいずれか一方に投入されることになる。なお、制御部81は、硬貨入金口15及び紙幣入金口21への貨幣の投入にそれぞれ待ち時間を設定しており、この待ち時間内に硬貨入金口15及び紙幣入金口21の少なくともいずれか一方に投入された貨幣については一回の投入貨幣として取り扱う。
【0036】
そして、操作部16に入金操作が入力されると、制御部81は、硬貨部11及び紙幣部12に以下の入金動作を実行させる。
【0037】
つまり、紙幣部12においては、紙幣入金口21の紙幣を入金紙幣繰出部30で1枚ずつ分離して紙幣搬送部31に繰り出し、紙幣搬送部31で搬送中に紙幣識別計数部32で識別する。そして、紙幣識別計数部32の識別結果に基づき、偽券、汚損券または判別不能とされた紙幣を、紙幣搬送部31が、紙幣出金口22に繰り出すことで、機外にリジェクトする。
【0038】
他方、紙幣識別計数部32の識別結果に基づき、真券且つ正券とされた受入紙幣を、紙幣搬送部31が、紙幣収納部35~37のうちの金種に応じたいずれかに収納させる。つまり、五千円券であれば紙幣収納部35に収納し、千円券であれば紙幣収納部36に収納し、一万円券であれば紙幣収納部37に収納する。なお、制御部81は、各紙幣収納部35~37に収納された紙幣の数を把握しており、この紙幣数から割り出される紙幣収納部35~37に収納しきれないオーバーフロー紙幣と、二千円券とについては、紙幣回収庫24に収納する。
【0039】
制御部81は、紙幣識別計数部32の識別結果つまり金種毎の計数値を記憶部82に記憶させており、紙幣入金口21に投入されたすべての紙幣が紙幣収納部35~37、紙幣出金口22及び紙幣回収庫24のいずれかに案内されたことがセンサにより検出されると、紙幣部12については入金動作が完了したと判定し、今回の入金動作で入金された紙幣の合計金額を算出する。
【0040】
上記した紙幣の入金動作と並行して、硬貨部11では、硬貨入金口15の硬貨を入金硬貨繰出部61で1枚ずつ分離して硬貨搬送部62に繰り出し、硬貨搬送部62で搬送しつつ硬貨識別計数部63で識別する。そして、硬貨識別計数部63の識別結果に基づき、偽硬貨、汚損硬貨または判別不能とされた硬貨は、リジェクト部64がリジェクトシュート74を介して硬貨リジェクト口19に繰り出させることで、機外にリジェクトされる。
【0041】
他方、硬貨識別計数部63の識別結果に基づき、真硬貨且つ正硬貨とされた硬貨は、硬貨搬送部62の下流側に移動させられる。その結果、真硬貨且つ正硬貨とされた硬貨は、選別部65~71の対応するもので選別されて各対応する金種の硬貨収納部73に収納される。つまり、一円硬貨は一円硬貨用の硬貨収納部73に、五十円硬貨は五十円硬貨用の硬貨収納部73に、五円硬貨は五円硬貨用の硬貨収納部73に、百円硬貨は百円硬貨用の硬貨収納部73に、十円硬貨は十円硬貨用の硬貨収納部73に、五百円硬貨は五百円硬貨用の硬貨収納部73にそれぞれ収納される。
【0042】
ここで、制御部81は、硬貨識別計数部63の識別結果つまり金種毎の計数値を記憶部82に記憶させており、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨が硬貨収納部73及び硬貨リジェクト口19のいずれかに案内されたことがセンサで検出されると、硬貨部11については入金動作が完了したと判定し、今回の入金動作で入金された硬貨の合計金額を算出する。
【0043】
そして、硬貨部11及び紙幣部12が共に入金動作が完了すると、制御部81は、今回の入金動作で入金された硬貨及び紙幣の合計金額を算出し、案内表示部17に表示させると共に、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、追加入金をするか、入金取消をするか、入金確定をするかを問う。
【0044】
例えば、入金確定の指定操作がなされると、入金された貨幣の合計金額を上位機に送る。すると、上位機は入金された貨幣の合計金額から買い上げ金額を減算して釣銭金額を算出する。そして、釣銭金額を含む出金指令を制御部81に出力する。
【0045】
すると、制御部81は、この出金指令に基づいて紙幣部12及び硬貨部11に可能な限り最少枚数の貨幣を釣銭貨幣として出金させるように出金動作を実行させる。
【0046】
つまり、制御部81は、紙幣部12において釣銭紙幣として出金させる紙幣がある場合、出金紙幣繰出部41,42のうちの対応するものを駆動し、指定された金種の紙幣を指定された枚数だけ紙幣収納部35,36から繰り出させ、紙幣出金口22に出金させる。その後、紙幣出金口22から紙幣が取り除かれたことが図示せぬセンサで検出されると制御部81は紙幣部12についての出金動作が完了したと判定する。
【0047】
また、制御部81は、硬貨部11において釣銭硬貨として出金させる硬貨がある場合、上記した紙幣の出金動作と並行して、硬貨収納部73のベルトコンベア76をすべて駆動すると共に、硬貨収納部73の出金硬貨繰出部78のうちの対応するものを駆動して、指定された金種の硬貨を指定された枚数だけ硬貨収納部73から硬貨出金口18に繰り出させる。その後、硬貨出金口18から硬貨が取り除かれたことが図示せぬセンサで検出されると制御部81は硬貨部11について出金動作が完了したと判定する。
【0048】
そして、硬貨部11及び紙幣部12が共に出金動作が完了すると、制御部81は、今回の一連の釣銭支払い用の入金動作及び出金動作からなる入出金動作が完了したと判定する。
【0049】
なお、図示略のセンサの検出結果及び記憶部82に記憶されたデータから、全紙幣収納部35~37、紙幣回収庫24及び全硬貨収納部73のうちのいずれかがフル状態になっている場合に、制御部81はその旨を案内表示部17に表示させることになり、全紙幣収納部35~37、紙幣回収庫24及び全硬貨収納部73のうちのいずれかがニアフル状態となっている場合にも、制御部81はその旨を案内表示部17に表示させることになる。
【0050】
以上のように、制御部81は、通常運用モードでは、先ず、紙幣入金口21に投入された受入紙幣を紙幣識別計数部32で金種判定及び計数した結果の金額と、硬貨入金口15に投入された受入硬貨を硬貨識別計数部63で金種判定及び計数した結果の金額との合計金額を割り出す。そして、この合計金額と、収納する金額との差額である釣銭貨幣を割り出し、この釣銭貨幣のうちの釣銭紙幣を出金紙幣繰出部41,42により金種別の紙幣収納部35,36から紙幣出金口22に出金させると共に、釣銭貨幣のうちの釣銭硬貨を出金硬貨繰出部78により金種別の硬貨収納部73から硬貨出金口18に出金させる。
【0051】
{両替モード}
【0052】
制御部81は、正両替処理と逆両替処理とのうちの何れか一方を選択して行う両替モードの制御を行うように構成されている。
【0053】
正両替処理は、金種判定及び計数されて金種別の紙幣収納部35~37及び紙幣リジェクト庫23に収納された受入紙幣よりも低額面の両替紙幣或いは両替硬貨を受入紙幣と等価となる組合せで放出させる処理である。また、正両替処理は、金種判定及び計数されて金種別の硬貨収納部73に収納された受入硬貨よりも低額面の両替硬貨を受入硬貨と等価となる組合せで放出させる処理である。
【0054】
逆両替処理は、金種判定及び計数されて金種別の紙幣収納部35~37及び紙幣リジェクト庫23に収納された受入紙幣よりも高額面の両替紙幣を受入紙幣と等価となるように放出させる処理である。また、逆両替処理は、金種判定及び計数されて金種別の硬貨収納部73に収納された受入硬貨よりも高額面の両替紙幣或いは両替硬貨を受入紙幣と等価となるように放出させる処理である。
【0055】
制御部81は、上記通常運用モードにおいて、釣銭支払い用の入出金動作が行われていない状態では、両替モードを実行可能となっている。
【0056】
制御部81は、通常運用モードにおいて、釣銭支払い用の入出金動作が行われていない状態では、操作部16に両替モードの指定操作がなされたか否かを監視しており、両替モードの指定操作がなされていない場合には、上記した通常運用モードでの運用を継続させる。操作部16に両替モードの指定操作がなされた場合に、制御部81は、両替モードに移行することになり、投入された貨幣をそれぞれの状況に応じて両替する両替動作を行う。
【0057】
両替モードにおいて、制御部81は、硬貨部11の硬貨入金口15及び紙幣部12の紙幣入金口21のうちの少なくともいずれか一方に貨幣が投入されたか否かをセンサの出力により判定する。制御部81は、硬貨入金口15及び紙幣入金口21のうちの少なくともいずれか一方に貨幣が投入されたことが検出されると、硬貨部11及び紙幣部12のうち貨幣が投入されたものに上記と同様の入金動作を行わせる。これにより、今回の両替モードで硬貨入金口15及び紙幣入金口21の少なくともいずれか一方に投入された一回分の投入貨幣が、真偽及び金種の識別が行われた後、受入貨幣のみが計数されて、受入紙幣については金種別の紙幣収納部35~37及び紙幣リジェクト庫23の何れか対応するものに、受入硬貨については金種別の硬貨収納部73の何れか対応するものに収納される。
【0058】
なお、制御部81は、硬貨入金口15及び紙幣入金口21への貨幣の投入にそれぞれ待ち時間を設定しており、この待ち時間内に硬貨入金口15及び紙幣入金口21の少なくともいずれか一方に投入された貨幣については同じ一回の投入貨幣として取り扱う。また、制御部81は、硬貨入金口15及び紙幣入金口21のうちの少なくともいずれか一方に貨幣が投入されたことがセンサで検出された後、操作部16に入金完了操作が入力されると、その時点までに硬貨入金口15及び紙幣入金口21の少なくともいずれか一方に投入された貨幣については同じ一回の投入貨幣として取り扱う。
【0059】
そして、入金動作が完了すると、制御部81は、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果及び合計金額を割り出す「識別結果割出処理」を行う。続いて、制御部81は、「識別結果割出処理」の結果に基づいて、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣が、単数枚であるか複数枚であるかを判定する「単数/複数判定処理」を行う。
【0060】
この「単数/複数判定処理」で、単数枚であると判定した場合、制御部81は、正両替処理を行うべく、案内表示部17に、正両替処理を行うかキャンセル処理を行うかの選択を促す操作案内表示を表示させる。それと共に、制御部81は、正両替処理を行う選択操作が入力されたか否かと、キャンセル処理を行う選択操作が入力されたか否かと、正両替処理及びキャンセル処理の何れの選択操作もされずに所定時間が経過したか否かとを判定する「正両替/キャンセル選択判定処理」を行う。
【0061】
「正両替/キャンセル選択判定処理」では、例えば、図5に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させる。図5では、例えば、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種が一万円券であって枚数が1枚であったことが割り出された場合、「預かり貨幣」と表記された受入貨幣の合計金額が一万円であり、受入貨幣として受入紙幣である一万円券を1枚受け入れたことを示す表示を、案内表示部17に表示させる。更に、案内表示部17に、受入貨幣の合計金額及び金種別の枚数を示す表示に加えて、正両替処理を行う場合には、正両替処理の選択操作入力として操作部16の「●」が表記された左部ボタン95を押下すること、及び、正両替処理をキャンセルする場合には、キャンセル処理の選択操作入力として操作部16の「▼」が表記された下部ボタン94を押下することを案内している。
【0062】
制御部81は、「正両替/キャンセル選択判定処理」において、例えば、図5に示すような操作案内表示に対し、正両替処理の選択操作入力が行われたか否か、即ち「●」が表記された左部ボタン95が押下されたか否かと、キャンセル処理の選択操作入力が行われたか否か、即ち「▼」が表記された下部ボタン94が押下されたか否かと、左部ボタン95及び下部ボタン94の何れも押下されずに所定時間が経過したか否かとを判定する。
【0063】
制御部81は、この「正両替/キャンセル選択判定処理」において、正両替処理の選択操作入力である「●」が表記された左部ボタン95が押下され、正両替処理の選択操作が入力された場合と、左部ボタン95及び「▼」が表記された下部ボタン94の何れも押下されず、正両替処理及びキャンセル処理の何れの選択操作も入力されずに所定時間が経過した場合とについては、正両替モードとなる。この正両替モードでは、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣よりも低額面の両替貨幣を今回の受入貨幣の合計金額と等価となる組合せで上記した出金動作により出金させる「正両替処理」を行う。「正両替/キャンセル選択判定処理」において、キャンセル処理の選択操作入力である「▼」が表記された下部ボタン94が押下され、キャンセル処理が選択操作された場合、制御部81は、キャンセルモードとなる。このキャンセルモードでは、正両替処理をキャンセルとし、出金動作により、今回の受入貨幣と基本的に同構成の貨幣を機外に返却する「キャンセル処理」を行う。但し、受入貨幣に紙幣リジェクト庫23に収納される二千円券が含まれていた場合、キャンセル処理においては、常に、二千円券×1枚に対して千円券2枚を出金する。
【0064】
ここで、「正両替処理」では、例えば、以下のように両替貨幣を設定する。受入貨幣が1倍貨(一万円券、千円券、百円硬貨及び十円硬貨)の場合は、(一つ下の金種の貨幣×1枚)+(二つ下の金種の貨幣×5枚)を両替貨幣とする。また、受入貨幣が5倍貨(五千円券、五百円硬貨、五十円硬貨及び五円硬貨)の場合は、(一つ下の金種の貨幣×5枚)を両替貨幣とする。さらに、受入貨幣が二千円券の場合は、(千円券×2枚)を両替貨幣とする。
【0065】
以上により、「正両替処理」では、例えば、以下に示す両替貨幣が決められる。
一万円券×1枚=五千円券×1枚+千円券×5枚
五千円券×1枚=千円券×5枚
二千円券×1枚=千円券×2枚
千円券×1枚=五百円硬貨×1枚+百円硬貨×5枚
五百円硬貨×1枚=百円硬貨×5枚
百円硬貨×1枚=五十円硬貨×1枚+十円硬貨×5枚
五十円硬貨×1枚=十円硬貨×5枚
十円硬貨×1枚=五円硬貨×1枚+一円硬貨×5枚
五円硬貨×1枚=一円硬貨×5枚
一円硬貨×1枚=一円硬貨×1枚
【0066】
他方、上記した「単数/複数判定処理」で受入貨幣が複数枚であると判定した場合、制御部81は、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うことになり、その際に、操作部16に入力された操作に基づいて正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うことになる。具体的に、制御部81は、「単数/複数判定処理」で受入貨幣が複数枚であると判定した場合、正両替処理及び逆両替処理のうちの操作部16に選択操作が入力された一方の処理を行うことになる。言い換えれば、操作部16には、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択する選択操作が入力される。
【0067】
制御部81は、案内表示部17に正両替処理、逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させる。それと共に、制御部81は、正両替処理、逆両替処理及びキャンセル処理の何れが選択されたかを判定する「正両替/逆両替/キャンセル判定処理」を行う。この操作案内表示に従って、操作者が操作部16に選択入力を行う。
【0068】
制御部81は、例えば、図6に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させる。図6は、「預かり貨幣」と表記された受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×2枚」であった場合を示しており、案内表示部17には、受入紙幣の合計金額が一万円であること、受入紙幣が「五千円券×2枚」であること、正両替処理を行う場合には、正両替処理の選択操作入力として操作部16の「●」が表記された左部ボタン95を押下すること、逆両替処理を行う場合には、逆両替処理の選択操作入力として操作部16の「▲」が表記された上部ボタン93を押下すること、及び、キャンセル処理を行う場合には、キャンセル処理の選択操作入力としてキャンセルボタンである「▼」が表記された下部ボタン94を押下することを案内している。
【0069】
このような正両替処理及び逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示に対し、操作者によって、操作部16に正両替処理の選択入力が入力されると、制御部81は、「正両替/逆両替/キャンセル判定処理」において正両替処理が選択されたと判定して、正両替モードとなり、「正両替処理」を行う。例えば、図6に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させた状態で、正両替処理の選択操作入力として、「●」が表記された左部ボタン95が押下されると、制御部81は、正両替モードとなり、「正両替処理」を行う。
【0070】
即ち、「正両替処理」では、例えば、「預かり貨幣」と表記された受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×2枚」であった場合、制御部81は、五千円券よりも低額面の千円券を両替金種として選択し、「千円券×10枚」を両替貨幣とする。そして、紙幣収納部36から出金紙幣繰出部42によって「千円券×10枚」を繰り出させ、紙幣出金口22に出金させる。また、例えば、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「五百円硬貨×2枚」であった場合、制御部81は、五百円硬貨よりも低額面の百円硬貨を両替金種として選択し、「百円硬貨×10枚」を両替貨幣とする。そして、硬貨収納部73の対応するものからベルトコンベア76及び出金硬貨繰出部78によって「百円硬貨×10枚」を繰り出させ、硬貨出金口18に出金させる。
【0071】
また、操作者によって、操作部16に逆両替処理の選択入力が入力されると、制御部81は、「正両替/逆両替/キャンセル判定処理」において逆両替処理が選択されたと判定して、逆両替モードとなり、「逆両替処理」を行う。例えば、図6に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させた状態で、操作者によって、逆両替処理の選択操作入力として、「▲」が表記された上部ボタン93が押下されると、制御部81は、逆両替モードとなり、「逆両替処理」を行う。「逆両替処理」は、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を今回の受入貨幣の合計金額と等価となるように上記した出金動作により出金させる。言い換えれば、受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を受入貨幣と等価となるように放出させる。
【0072】
即ち、「逆両替処理」では、例えば、受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×2枚」であった場合、制御部81は、五千円券よりも高額面の一万円券を両替金種として選択し、「一万円券×1枚」を両替貨幣とする。そして、紙幣収納部37から出金紙幣繰出部43によって「一万円券×1枚」を繰り出させ、紙幣出金口22に出金させる。また、例えば、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「五百円硬貨×2枚」であった場合、制御部81は、五百円硬貨よりも高額面の千円券を両替金種として選択し、「千円券×1枚」を両替貨幣とする。そして、紙幣収納部36から出金紙幣繰出部42によって「千円券×1枚」を繰り出させ、紙幣出金口22に出金させる。
【0073】
また、操作者によって、操作部16にキャンセル処理の選択入力が入力されると、制御部81は、「正両替/逆両替/キャンセル判定処理」においてキャンセル処理が選択されたと判定して、キャンセルモードとなる。このキャンセルモードでは、正両替処理及び逆両替処理をキャンセルとし、上記出金動作を行わせて今回の受入貨幣と基本的に同構成の貨幣を機外に出金させて返却するキャンセル処理を行う。例えば、図6に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させた状態で、操作者によって、キャンセル処理の選択操作入力として、「▼」が表記された下部ボタン94が押下されると、制御部81は、キャンセルモードとなり、「キャンセル処理」を行う。
【0074】
即ち、「キャンセル処理」では、例えば、受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×2枚」であった場合、制御部81は、紙幣収納部35から出金紙幣繰出部41によって「五千円券×2枚」を繰り出させ、紙幣出金口22に出金させる。また、例えば、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「五百円硬貨×2枚」であった場合、制御部81は、硬貨収納部73の対応するものからベルトコンベア76及び出金硬貨繰出部78によって「五百円硬貨×2枚」を繰り出させ、硬貨出金口18に出金させる。
【0075】
そして、両替貨幣を出金させる出金動作つまり両替モード下で実行される入金動作及び出金動作からなる両替動作が完了すると、制御部81は、両替モードのプログラムを、記憶部82から読み出される通常運用モード用のプログラムに置き換える。つまり、両替モードを自動的に解除して通常運用モードに復帰させる。その後、両替モードへの切り替え操作が入力されるまでは貨幣入出金機10は通常運用モードで動作する。
【0076】
以上に述べた第1実施形態の貨幣入出金機10によれば、制御部81が、紙幣入金口21に投入された受入紙幣を紙幣識別計数部32で金種判定及び計数した結果の金額、及び、硬貨入金口15に投入された受入硬貨を硬貨識別計数部63で金種判定及び計数した結果の金額と、収納する金額との差額の釣銭貨幣を、出金紙幣繰出部41~43により金種別の紙幣収納部35~37から紙幣出金口22に出金させ、ベルトコンベア76及び出金硬貨繰出部78により金種別の硬貨収納部73から硬貨出金口18に出金させる通常運用モードの制御を行うと、釣銭支払機として作動する。
【0077】
また、制御部81は、受入紙幣よりも低額面の両替紙幣或いは両替硬貨を受入紙幣の合計金額と等価となる組合せで放出させる正両替処理及び受入硬貨よりも低額面の両替硬貨を受入硬貨の合計金額と等価となる組合せで放出させる正両替処理と、受入紙幣よりも高額面の両替紙幣を受入紙幣の合計金額と等価となるように放出させる逆両替処理及び受入硬貨よりも高額面の両替紙幣或いは両替硬貨を受入硬貨の合計金額と等価となるように放出させる逆両替処理とのうちの何れか一方を行う両替モードの制御を行うと、両替機として作動する。
【0078】
このように、釣銭を自動的に払い出す貨幣入出金機10によって正両替処理及び逆両替処理を行うことができるため、一台で、釣銭貨幣の支払いと、貨幣の正両替処理・逆両替処理とを行うことができる。言い換えれば、一台に、釣銭貨幣の支払い機能と貨幣の正両替処理・逆両替処理機能とを集約することができる。よって、釣銭支払機と、両替専用機とを別々に導入する必要がなくなる。従って、設置店舗のスペース効率向上と、導入コスト及び運用コストの削減とを図ることができる。
【0079】
また、制御部81は、受入貨幣が単数枚であった場合、正両替処理を行い、受入貨幣が複数枚であった場合、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うため、正両替処理及び逆両替処理の両方の可能性がある場合に、何れか一方を選択して行うことになる。従って、複数枚の受入貨幣に対して逆両替処理を行ったり、複数枚の受入貨幣を纏めて正両替処理することが可能となる。
【0080】
また、制御部81は、受入貨幣が複数枚であった場合、操作部16に入力された操作に基づいて正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を行うため、正両替処理及び逆両替処理のうちの操作者による入力操作を反映した一方の処理を行うことができる。
【0081】
つまり、制御部81は、両替モードの制御では、大略、図7に示すように、入金動作を開始し(ステップSA1)、投入貨幣の識別及び計数が完了すると(ステップSA2:YES)、受入貨幣が単数枚であるか否かの判定を行う(ステップSA3)。そして、受入貨幣が単数枚であった場合(ステップSA3:YES)、正両替処理を行う(ステップSA4)。受入貨幣が複数枚であった場合(ステップSA3:NO)、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れの選択操作が操作部16に入力されたかを判定し(ステップSA5)、正両替処理及び逆両替処理のうちの選択操作が入力された一方の処理を行う。即ち、正両替処理の選択操作が操作部16に入力された場合、正両替処理を行い(ステップSA4)、逆両替処理の選択操作が操作部16に入力された場合、逆両替処理を行う(ステップSA6)。このため、正両替処理及び逆両替処理のうちの操作者の選択した一方の処理を行うことができる。
【0082】
なお、以上に述べた第1実施形態の貨幣入出金機10を、以下の変形例1-1及び変形例1-2のように変更することも可能である。
【0083】
<変形例1-1>
制御部81は、上記では、両替処理モードにおいて、図6に示すように、案内表示部17に正両替処理、逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させるようにした。これに対し、この表示に、正両替処理の場合の支払いの「金種」及び金種毎の「支払い予定枚数」と、逆両替処理の場合の支払いの「金種」及び金種毎の「支払い予定枚数」とを加えても良い。例えば、五千円券×2枚の受入紙幣に対して、正両替処理を選択すると千円券×10枚が支払い予定であることと、逆両替処理を選択すると一万円券×1枚が支払い予定であることとを表示する。勿論、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果と、正両替処理及び逆両替処理のそれぞれの支払いの「金種」及び金種毎の「支払い予定枚数」とのうちの何れか一方のみを案内表示部17に表示させるようにしても良い。
【0084】
<変形例1-2>
上記では、両替処理モードについて、両替処理する受入貨幣が受入紙幣である場合と受入硬貨である場合とについて説明した。これに対して、両替処理する受入貨幣が受入紙幣及び受入硬貨の両方であっても良い。例えば、受入貨幣が「二千円券×2枚+五百円硬貨×2枚」である場合、「二千円券×2枚+五百円硬貨×2枚」の合計金額が五千円の受入貨幣に対して、正両替処理の選択操作入力として「●」が表記された左部ボタン95が押下されると、「千円券×4枚+百円硬貨×10枚」を出金する正両替処理を行うことになり、逆両替処理の選択操作入力として「▲」が表記された上部ボタン93が押下されると、「五千円券×1枚」を出金する逆両替処理を行うことになる。
【0085】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の貨幣入出金機について第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0086】
第2実施形態の貨幣入出金機10は、第1実施形態に対して両替モードの制御内容が一部相違している。
【0087】
第2実施形態において、制御部81は、両替モードでの入金動作が完了すると、第1実施形態と同様に、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果及び合計金額を割り出す「識別結果割出処理」を行う。続いて、制御部81は、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣が、「複数枚であり且つ合計金額が所定金額以上」であるか否かを判定する「枚数金額判定処理」を行う。
【0088】
「枚数金額判定処理」で、受入貨幣が単数枚であると判定した場合と、受入貨幣が複数枚であり且つ合計金額が所定金額未満であると判定した場合とについて、制御部81は、「正両替処理」を行うべく、案内表示部17に、正両替処理を行うかキャンセル処理を行うかの選択を促す操作案内表示を表示させて、上記と同様の「正両替/キャンセル選択判定処理」を行う。
【0089】
「枚数金額判定処理」で受入貨幣が複数枚であり且つその合計金額が所定金額以上であると判定した場合、制御部81は、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うことになり、その際に、操作部16に入力された操作に基づいて正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うことになる。具体的に、制御部81は、受入貨幣が複数枚であり且つ所定金額以上であると判定した場合、操作部16に選択操作が入力された優先金種に基づいて正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方の処理を行うことになる。言い換えれば、操作部16には、正両替処理及び逆両替処理を行う際に優先させる優先金種を選択する選択操作が入力される。
【0090】
制御部81は、案内表示部17に複数の優先金種の中からの選択操作及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させて、優先金種の選択を判定する「優先金種選択判定処理」を行う。「優先金種選択判定処理」において、操作者が操作部16に選択入力を行うと、制御部81は、操作部16に選択操作が入力された優先金種に基づいて正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方の処理を行う。
【0091】
ここでは、優先金種は、例えば、第1金種、第2金種及び第3金種の3種類から選択可能とする。また、第1金種、第2金種及び第3金種は、一万円、五千円、千円、五百円、百円、五十円、十円、五円のうち、受入貨幣の合計金額以下の金種の中で、上位3つの高額面な金種とする。つまり、受入貨幣の合計金額が一万円の場合、第1金種は最も高額面の一万円券、第2金種は2番目に高額面の五千円券、第3金種は3番目に高額面の千円券とする。また、受入貨幣の合計金額が千円の場合、第1金種は千円券、第2金種は五百円硬貨、第3金種は百円硬貨とする。受入貨幣の合計金額が五百円の場合、第1金種は五百円硬貨、第2金種は百円硬貨、第3金種は五十円硬貨とする。
【0092】
制御部81は、「優先金種選択判定処理」では、例えば、図8に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させる。図8は、「預かり貨幣」と表記された受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×2枚」であった場合を示しており、案内表示部17には、受入紙幣の合計金額が一万円であること、優先金種を最も高額面金種である第1金種の万円券とする場合には、操作部16の「▲」が表記された上部ボタン93を押下すること、優先金種を2番目に高額面金種である第2金種の五千円券とする場合には、「▲」がその一つの頂点が真右に向くように表記された右部ボタン96を押下すること、優先金種を3番目に高額面金種である第3金種の千円券とする場合には、「●」が表記された左部ボタン95を押下すること、両替処理をキャンセルする場合には、「▼」が表記された下部ボタン94を押下することを案内している。
【0093】
「優先金種選択判定処理」では、優先金種の選択操作及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示に対し、操作者によって、操作部16に優先金種の選択操作が入力されると、制御部81は、選択された優先金種に応じて、正両替処理及び逆両替処理を選択して行う。
【0094】
即ち、例えば、受入紙幣の所定金額が五千円に設定されており、受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×2枚」であった場合に、図8に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させることになる。この状態で、操作部16の「●」が表記された左部ボタン95が押下されて、一万円券、五千円券及び千円券の優先金種のうちの受入紙幣の五千円券よりも低額面の第3金種の「千円券」が選択入力されると、制御部81は、優先金種正両替モードとなり、「千円券」を両替紙幣として出金させる「優先金種正両替処理」を行う。即ち、制御部81は、「千円券」で受入紙幣の合計金額の一万円を両替するべく、「千円券×10枚」を両替貨幣とする。そして、紙幣収納部36から「千円券×10枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0095】
また、例えば、操作部16の「▲」が表記された上部ボタン93が押下されて受入紙幣の五千円券よりも高額面の第1金種の「万円券」が選択入力されると、制御部81は、優先金種逆両替モードとなり、「万円券」を両替紙幣として出金させる「優先金種逆両替処理」を行う。即ち、制御部81は、「一万円券」で受入紙幣の合計金額の一万円を両替するべく、「一万円券×1枚」を両替貨幣とする。そして、紙幣収納部37から「一万円券×1枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0096】
また、例えば、操作部16の「▲」がその一つの頂点が真右に向くように表記された右部ボタン96が押下されて「五千円券」が選択入力されると、制御部81は、優先金種両替モードとなり、「五千円券」を両替紙幣として出金させることになり、紙幣収納部35から「五千券×2枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0097】
また、例えば、操作部16の「▼」が表記された下部ボタン94が押下されてキャンセル処理が選択入力されると、制御部81は、紙幣収納部35から受入紙幣と同構成の「五千券×2枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0098】
また、例えば、受入硬貨の所定金額が五百円に設定されており、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「五百円硬貨×2枚」であった場合に、例えば、操作部16に、千円券、五百円硬貨及び百円硬貨の優先金種のうちの受入硬貨の五百円硬貨よりも低額面の第3金種の「百円硬貨」が選択入力されると、制御部81は、優先金種正両替モードとなり、「百円硬貨」を両替硬貨として出金させる「優先金種正両替処理」を行う。すると、制御部81は、「百円硬貨」で受入硬貨の合計金額の千円を両替するべく、「百円硬貨×10枚」を両替貨幣とする。そして、硬貨収納部73の対応するものから「百円硬貨×10枚」を硬貨出金口18に出金させる。
【0099】
また、例えば、操作部16に、受入硬貨の五百円硬貨よりも高額面の第1金種の「千円券」が選択入力されると、制御部81は、優先金種逆両替モードとなり、「千円券」を両替紙幣として出金させる「優先金種逆両替処理」を行う。すると、制御部81は、「千円券」で受入硬貨の合計金額の千円を両替するべく、「千円券×1枚」を両替貨幣とする。そして、紙幣収納部36から「千円券×1枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0100】
また、例えば、操作部16に、「五百円硬貨」が選択入力されると、制御部81は、「五百円硬貨」を優先金種とする優先金種両替モードとなり、硬貨収納部73の対応するものから「五百円硬貨×2枚」を繰り出させ、硬貨出金口18に出金させる。
【0101】
また、例えば、操作部16に、キャンセル処理が選択入力されると、制御部81は、硬貨収納部73の対応するものから受入硬貨と同構成の「五百円硬貨×2枚」を硬貨出金口18に出金させる。
【0102】
そして、両替貨幣を出金させる出金動作つまり両替モード下で実行される入金動作及び出金動作からなる両替動作が完了すると、制御部81は、両替モードのプログラムを、記憶部82から読み出される通常運用モード用のプログラムに置き換える。つまり、両替モードを自動的に解除して通常運用モードに復帰させる。その後、両替モードへの切り替え操作が入力されるまでは貨幣入出金機10は通常運用モードで動作する。
【0103】
以上のように、制御部81は、例えば、受入紙幣の「所定金額」を五千円とし、受入硬貨の「所定金額」を五百円とした場合、受入紙幣が、「単数」の場合及び「複数且つ五千円未満」の場合は、正両替処理を行い、受入紙幣が、「複数且つ五千円以上」の場合は、「優先金種」を選択させて「優先金種」に応じた正両替処理又は逆両替処理を行う。また、制御部81は、例えば、受入硬貨が、「単数」の場合及び「複数且つ五百円未満」の場合は、正両替処理を行い、受入硬貨が、「複数且つ五百円以上」の場合は、「優先金種」を選択させて「優先金種」に応じた正両替処理又は逆両替処理を行う。
【0104】
以上に述べた第2実施形態の貨幣入出金機10によれば、制御部81は、受入貨幣が複数枚であった場合、操作部16に選択操作が入力された優先金種に基づいて正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を行うため、操作者が両替処理において優先して出金させたい優先金種を指定すれば、これに応じて、正両替処理及び逆両替処理のうち一方を行って優先金種の貨幣を出金させることができる。
【0105】
つまり、制御部81は、両替モードの制御では、大略、図9に示すように、入金動作を開始し(ステップSA1)、投入貨幣の識別及び計数が完了すると(ステップSA2:YES)、受入貨幣が「複数枚且つ所定金額以上」であるか否かを判定する(ステップSB1)。そして、受入貨幣が「複数枚且つ所定金額以上」でない場合(ステップSB1:NO)、正両替処理を行う(ステップSA4)。受入貨幣が「複数枚且つ所定金額以上」である場合(ステップSB1:YES)、操作部16に何れの優先金種の選択操作が入力されたかを判定する(ステップSB2)。第1金種の選択操作が入力されると、第1金種での両替処理を行い(ステップSB3)、第2金種の選択操作が入力されると、第2金種での両替処理を行い(ステップSB4)、第3金種の選択操作が入力されると、第3金種での両替処理を行う(ステップSB5)。
【0106】
なお、以上に述べた第2実施形態の貨幣入出金機10を、以下の変形例2-1及び変形例2-2のように変更することも可能である。
【0107】
<変形例2-1>
制御部81は、上記では、両替処理モードにおいて、図8に示すように、案内表示部17に、優先金種の選択入力を促す操作案内表示を表示させるようにした。これに対し、この表示に、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果と、優先金種として第1金種を選択した場合と第2金種を選択した場合と第3金種を選択した場合のそれぞれの支払いの「金種」及び金種毎の「支払い予定枚数」とを加えても良い。勿論、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果と、優先金種として第1金種を選択した場合、第2金種を選択した場合及び第3金種を選択した場合のそれぞれの支払いの「金種」及び金種毎の「支払い予定枚数」とのうちの何れか一方のみを案内表示部17に表示させるようにしても良い。
【0108】
<変形例2-2>
上記では、両替処理モードについて、両替処理する受入貨幣が受入紙幣である場合と、両替処理する受入貨幣が受入硬貨である場合とについて説明した。これに対して、両替処理する受入貨幣が受入紙幣及び受入硬貨の両方であっても良い。この場合、紙幣のみの場合と同様に、「所定金額」を五千円とし、受入貨幣が、「単数」の場合及び「複数且つ五千円未満」の場合は、正両替処理を行い、「複数且つ五千円以上」の場合は、「優先金種」を選択して正両替処理又は逆両替処理を行う。例えば、受入貨幣が「千円券×1枚+五百円硬貨×1枚」である場合には、所定金額に満たないため、「百円硬貨×15枚」を出金する正両替処理を行う。また、例えば、受入貨幣が「千円券×4枚+五百円硬貨×2枚」である場合には、所定金額以上となるため、第1金種である五千円紙幣が選択されると、「五千円券×1枚」を出金する逆両替処理を行い、第2金種である千円紙幣が選択されると、「千円券×5枚」を出金する逆両替処理を行い、第3金種である五百円硬貨が選択されると、「五百円硬貨×10枚」を出金する正両替処理を行う。
【0109】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の貨幣入出金機について第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0110】
第3実施形態の貨幣入出金機10は、第1実施形態に対して両替モードの制御内容が一部相違している。第3実施形態では、受入貨幣に基づいて、受入貨幣の枚数に関わらず、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うようになっており、受入貨幣が所定金額以下であると、正両替処理を行い、受入貨幣が所定金額を超えると、逆両替処理を行うようになっている。
【0111】
第3実施形態において、制御部81は、両替モードでの入金動作が完了すると、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果及び合計金額を割り出す第1実施形態と同様の「識別結果割出処理」を行う。続いて、制御部81は、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の合計金額が所定金額以下であるか、否かを判定する「所定金額比較処理」を行う。
【0112】
「所定金額比較処理」において、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の合計金額が所定金額以下であると判定した場合、制御部81は、正両替処理を行うべく、案内表示部17に、正両替処理を行うかキャンセル処理を行うかの選択を促す操作案内表示を表示させて、上記と同様の「正両替/キャンセル選択判定処理」を行う。
【0113】
「所定金額比較処理」において、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の合計金額が所定金額を超えていると判定した場合、制御部81は、案内表示部17に逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させて、逆両替処理及びキャンセル処理の何れの処理を行うかの選択入力を判断する「逆両替/キャンセル選択判定処理」を行う。操作者が操作部16に選択入力を行うと、制御部81は、操作部16に選択操作が入力された逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れか一方の処理を行う。
【0114】
「逆両替/キャンセル選択判定処理」では、制御部81は、逆両替処理を行う選択操作が入力されたか否かを判定し、キャンセル処理を行う選択操作が入力されたか否かを判定すると共に、逆両替処理及びキャンセル処理の何れの選択操作もされずに所定時間が経過したか否かを判定する。
【0115】
「逆両替/キャンセル選択判定処理」において、逆両替処理の選択操作が入力された場合と、逆両替処理及びキャンセル処理の何れの選択操作も入力されずに所定時間が経過した場合とについて、制御部81は、逆両替モードとなり、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣よりも高額面の両替貨幣を受入貨幣と等価となるように放出させる逆両替処理を行う。「逆両替/キャンセル選択判定処理」において、キャンセル処理が選択操作された場合、制御部81は、キャンセルモードとなり、逆両替処理をキャンセルとし、出金動作により、今回の受入貨幣と基本的に同構成の貨幣を機外に返却するキャンセル処理を行う。
【0116】
「逆両替/キャンセル選択判定処理」では、例えば、図10に示すような操作案内表示を案内表示部17に表示させる。図10に示すような操作案内表示に対し、逆両替処理の選択操作入力として操作部16の「▲」が表記された上部ボタン93が押下されるか、上部ボタン93及び「▼」が表記された下部ボタン94の何れも押下されずに所定時間が経過すると、制御部81は、逆両替モードとなり、逆両替処理を行う。
【0117】
他方、図10に示すような操作案内表示に対し、キャンセル処理の選択操作入力として操作部16の「▼」が表記された下部ボタン94が押下されると、制御部81は、キャンセルモードとなり、正両替処理をキャンセルとし、出金動作により、今回の受入貨幣と基本的に同構成の貨幣を機外に返却するキャンセル処理を行う。
【0118】
即ち、例えば、受入紙幣の所定金額が一万円に設定されており、受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「五千円券×4枚」であった場合に、操作部16に逆両替処理の選択操作が入力されると、制御部81は、逆両替モードとなり、受入紙幣の五千円券よりも高額面の一万円券を両替金種として選択し、紙幣収納部37から「一万円券×2枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0119】
また、例えば、受入硬貨の所定金額が五百円に設定されており、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「五百円硬貨×2枚」であった場合に、操作部16に逆両替処理の選択操作が入力されると、制御部81は、逆両替モードとなり、受入硬貨の五百円硬貨よりも高額面の千円券を両替金種として選択し、紙幣収納部36から「千円券×1枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0120】
また、例えば、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「五十円硬貨×12枚」であった場合に、操作部16に逆両替処理の選択操作が入力されると、制御部81は、逆両替モードとなり、受入硬貨の五十円硬貨よりも高額面の五百円硬貨及び百円硬貨を両替金種として選択し、硬貨収納部73の対応するものから「五百円硬貨×1枚+百円硬貨×1枚」を硬貨出金口18に出金させる。
【0121】
そして、両替貨幣を出金させる出金動作つまり両替モード下で実行される入金動作及び出金動作からなる両替動作が完了すると、制御部81は、両替モードのプログラムを、記憶部82から読み出される通常運用モード用のプログラムに置き換える。つまり、両替モードを自動的に解除して通常運用モードに復帰させる。その後、両替モードへの切り替え操作が入力されるまでは貨幣入出金機10は通常運用モードで動作する。
【0122】
以上のように、制御部81は、例えば、受入紙幣の「所定金額」を一万円とし、受入硬貨の「所定金額」を五百円とした場合、受入紙幣の合計金額が「一万円以下」の場合は、正両替処理を行い、受入紙幣の合計金額が、「一万円を超える」の場合は、逆両替処理を行い、受入硬貨の合計金額が「五百円以下」の場合は、正両替処理を行い、受入硬貨の合計金額が、「五百円を超える」の場合は、逆両替処理を行う。
【0123】
以上に述べた第3実施形態の貨幣入出金機10によれば、制御部81は、受入貨幣に基づいて、受入貨幣の枚数に関わらず、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うため、正両替処理及び逆両替処理の両方の可能性がある場合に、受入貨幣の枚数に関わらず、何れか一方を選択して行うことになる。従って、複数枚の受入貨幣を纏めて正両替処理することが可能となる。
【0124】
また、制御部81は、受入貨幣が所定金額以下であると、正両替処理を行い、受入貨幣が所定金額を超えると、逆両替処理を行うため、操作者による選択操作を減らすことができる。
【0125】
つまり、制御部81は、両替モードの制御では、大略、図11に示すように、入金動作を開始し(ステップSA1)、投入貨幣の識別及び計数が完了すると(ステップSA2:YES)、受入貨幣が所定金額以下であるか否かを判定する(ステップSC1)。そして、受入貨幣が所定金額以下である場合(ステップSC1:YES)、正両替処理を行い(ステップSA4)、受入貨幣が所定金額以下でない場合(ステップSC1:NO)、逆両替処理を行う(ステップSA6)。
【0126】
なお、以上に述べた第3実施形態の貨幣入出金機10を、以下の変形例3-1のように変更することも可能である。
【0127】
<変形例3-1>
上記では、両替処理モードについて、両替処理する受入貨幣が受入紙幣である場合と、両替処理する受入貨幣が受入硬貨である場合とについて説明した。これに対して、両替処理する受入貨幣が受入紙幣及び受入硬貨の両方であっても良い。この場合、例えば、紙幣のみの場合と同様に「所定金額」を一万円とし、受入貨幣の合計金額が、一万円以下の場合は正両替処理を行い、「一万円を超える」の場合は逆両替処理を行う。例えば、受入貨幣が「千円券×1枚+五百円硬貨×1枚」である場合には、所定金額以下であるため、「百円硬貨×15枚」を出金する正両替処理を行うことになる。また、例えば、受入貨幣が「二千円券×7枚+五百円硬貨×2枚」である場合には、所定金額を超えるため、「一万円券×1枚+五千円券×1枚」を出金する逆両替処理を行うことになる。
【0128】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態の貨幣入出金機について第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0129】
第4実施形態の貨幣入出金機10は、第1実施形態に対して両替モードの制御内容が一部相違している。第4実施形態では、受入貨幣に基づいて、受入貨幣の枚数に関わらず、正両替処理及び逆両替処理のうちの何れか一方を選択して行うようになっており、受入貨幣の中に所定金種を含むと、正両替処理を行い、受入貨幣の中に所定金種を含まないと、逆両替処理を行うようになっている。
【0130】
第4実施形態において、制御部81は、両替モードでの入金動作が完了すると、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の金種及び枚数の計数結果及び合計金額を割り出す第1実施形態と同様の「識別結果割出処理」を行う。続いて、制御部81は、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の中に所定金種を含むか、否かを判定する「所定金種有無判定処理」を行う。
【0131】
「所定金種有無判定処理」の結果、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の中に所定金種を含む場合、制御部81は、正両替処理を行うべく、案内表示部17に、正両替処理を行うかキャンセル処理を行うかの選択を促す操作案内表示を表示させる。そして、制御部81は、上記と同様の「正両替/キャンセル選択判定処理」を行う。
【0132】
「所定金種有無判定処理」の結果、今回の両替モードで投入された一回分の受入貨幣の中に所定金種を含まない場合、制御部81は、「逆両替/キャンセル選択判定処理」を行い、案内表示部17に逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れの処理を行うかの選択入力を促す操作案内表示を表示させる。制御部81は、「逆両替/キャンセル選択判定処理」において、操作部16に選択操作が入力された逆両替処理及びキャンセル処理のうちの何れか一方の処理を行う。
【0133】
「逆両替/キャンセル選択判定処理」において、操作部16の「▲」が表記された上部ボタン93が押下される等して逆両替処理の選択操作が入力された場合と、上部ボタン93及び「▼」が表記された下部ボタン94の何れも押下されずに所定時間が経過する等して逆両替処理及びキャンセル処理の何れの選択操作も入力されずに所定時間が経過した場合とについては、制御部81は、逆両替モードとなり、逆両替処理を行う。「逆両替/キャンセル選択判定処理」において、操作部16の「▼」が表記された下部ボタン94が押下される等してキャンセル処理が選択操作された場合、制御部81は、キャンセルモードとなり、キャンセル処理を行う。
【0134】
例えば、受入紙幣の所定金種が一万円券及び五千円券に設定されており、受入貨幣が受入紙幣であって、この受入紙幣が「千円券×5枚」であった場合に、操作部16に逆両替処理の選択操作が入力されると、制御部81は、逆両替モードとなり、受入紙幣の千円券よりも高額面の五千円券を両替金種として選択し、紙幣収納部35から「五千円券×1枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0135】
また、例えば、受入硬貨の所定金種が五百円に設定されており、受入貨幣が受入硬貨であって、この受入硬貨が「百円硬貨×10枚」であった場合に、操作部16に逆両替処理の選択操作が入力されると、制御部81は、逆両替モードとなり、受入硬貨の百円硬貨よりも高額面の千円券を両替金種として選択し、紙幣収納部36から「千円券×1枚」を紙幣出金口22に出金させる。
【0136】
また、例えば、受入硬貨が「百円硬貨×5枚」であった場合に、操作部16に逆両替処理の選択操作が入力されると、制御部81は、逆両替モードとなり、受入硬貨の百円硬貨よりも高額面の五百円硬貨を両替金種として選択し、硬貨収納部73の対応するものから「五百円硬貨×1枚」を硬貨出金口18に出金させる。
【0137】
そして、両替貨幣を出金させる出金動作つまり両替モード下で実行される入金動作及び出金動作からなる両替動作が完了すると、制御部81は、両替モードのプログラムを、記憶部82から読み出される通常運用モード用のプログラムに置き換える。つまり、両替モードを自動的に解除して通常運用モードに復帰させる。その後、両替モードへの切り替え操作が入力されるまでは貨幣入出金機10は通常運用モードで動作する。
【0138】
以上のように、制御部81は、例えば、受入紙幣の「所定金種」を五千円券及び一万円券とし、受入硬貨の「所定金種」を五百円硬貨とした場合、受入紙幣の中に五千円がある場合と一万円がある場合とについては正両替処理を行い、受入硬貨の中に五百円がある場合も正両替処理を行う。また、制御部81は、受入紙幣の中に五千円及び一万円の何れもない場合は逆両替処理を行い、受入硬貨の中に五百円がない場合は逆両替処理を行う。
【0139】
以上に述べた第4実施形態の貨幣入出金機10によれば、制御部81は、受入貨幣に基づいて、受入貨幣の枚数に関わらず、受入貨幣の中に所定金種を含むと、正両替処理を行い、受入貨幣の中に所定金種を含まないと、逆両替処理を行うため、操作者による選択操作を減らすことができる。
【0140】
つまり、制御部81は、両替モードの制御では、大略、図12に示すように、入金動作を開始し(ステップSA1)、投入貨幣の識別及び計数が完了すると(ステップSA2:YES)、受入貨幣が所定金種を含むか否かを判定する(ステップSD1)。そして、受入貨幣が所定金種を含む場合(ステップSD1:YES)、正両替処理を行い(ステップSA4)、受入貨幣が所定金種を含まない場合(ステップSD1:NO)、逆両替処理を行う(ステップSA6)。
【0141】
なお、以上に述べた第4実施形態の貨幣入出金機10を、以下の変形例4-1のように変更することも可能である。
【0142】
<変形例4-1>
上記では、両替処理モードについて、両替処理する受入貨幣が受入紙幣である場合と、両替処理する受入貨幣が受入硬貨である場合とについて説明した。これに対して、両替処理する受入貨幣が受入紙幣及び受入硬貨の両方であっても良い。この場合、例えば、上記と同様に、「所定金種」を五百円硬貨、五千円券及び一万円券とし、これらの金種の何れか一つが受入貨幣に含む場合は正両替処理を行い、含まない場合は、逆両替処理を行う。例えば、受入貨幣が「千円券×4枚+百円硬貨×10枚」である場合には、所定金種を含まないため、「五千円券×1枚」を出金する逆両替処理を行うことになる。
【0143】
なお、以上に述べた第1~第4実施形態の紙葉類処理装置1を、以下の第1~第5変形例のように変更することも可能である。
【0144】
<第1変形例>
予め金種別の紙幣収納部35~37のそれぞれの紙幣の収納量を検出センサによって検出しておき、フル状態、ニアフル状態、予め設定された収納量以上収納されている状態等の紙幣収納部35~37の金種については、正両替処理及び逆両替処理の際に入金を規制するようにしても良い。同様に、金種別の硬貨収納部73のそれぞれの硬貨の収納量を検出センサによって検出しておき、フル状態、ニアフル状態、予め設定された収納量以上収納されている状態等の硬貨収納部73の金種については、正両替処理及び逆両替処理の際に入金を規制するようにしても良い。
【0145】
<第2変形例>
予め金種別の紙幣収納部35~37のそれぞれの紙幣の収納量を検出センサによって検出しておき、エンプティ状態、ニアエンプティ状態、予め設定された収納量以下しか収納されていない状態等の紙幣収納部35~37の金種については、正両替処理及び逆両替処理の際に出金を規制するようにしても良い。同様に、金種別の硬貨収納部73のそれぞれの硬貨の収納量を検出センサによって検出しておき、エンプティ状態、ニアエンプティ状態、予め設定された収納量以下しか収納されていない状態等の硬貨収納部73の金種については、正両替処理及び逆両替処理の際に出金を規制するようにしても良い。
【0146】
<第3変形例>
硬貨部11及び紙幣部12は、共通の制御部81で制御されているが、硬貨部11及び紙幣部12がそれぞれ制御部を備え、それぞれの制御部で各種制御されると共に、受入貨幣が上記各種条件を満たすか否かを判定するようにしても良い。また、受入貨幣が上記各種条件を満たすか否かを判定するのは、上位機(POSレジ)の制御部で判定するようにしても良い。
【0147】
<第4変形例>
千円×1枚を五百円×2枚に正両替したり、五百円×2枚を千円×1枚に逆両替する等、硬貨部11及び紙幣部12は、連携して正両替処理及び逆両替処理を行っているが、個別にそれぞれ正両替処理及び逆両替処理を行うようにしても良い。
【0148】
<第5変形例>
例えば、第1実施形態において、受入貨幣が複数枚であるものの、受入貨幣が逆両替処理を行えないものである場合、第2実施形態において、受入紙幣が複数枚であって、その合計金額が所定金額以上であるものの、受入貨幣が逆両替処理を行えないものである場合、第3実施形態において、受入貨幣の合計金額が所定金額を超えるものの、受入貨幣が逆両替処理を行えないものである場合、第4実施形態において、受入貨幣が所定金種を含まないものの、受入貨幣が逆両替処理を行えないものである場合、制御部81は、受入貨幣が逆両替処理を行なえるものである場合と同様に、操作案内表示を案内表示部17に表示させ、「▲」が表記された上部ボタン93が押下される等して逆両替処理の選択操作が入力されると、案内表示部17に、「逆両替はできません。」等のメッセージを表示する等して、逆両替処理ができない旨を報知するようにしても良い。更に、このような場合、制御部81は、案内表示部17に、正両替処理を行うかキャンセル処理を行うかの選択を促す操作案内表示を表示させて、上記と同様の「正両替/キャンセル選択判定処理」を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0149】
10…貨幣入出金機、15…硬貨入金口(入金口)、16…操作部、18…硬貨出金口(出金口)、21…紙幣入金口(入金口)、22…紙幣出金口(出金口)、32…紙幣識別計数部(貨幣識別計数部)、35~37…紙幣収納部(収納部)、41~43…出金紙幣繰出部(繰出部)、63…硬貨識別計数部(貨幣識別計数部)、73…硬貨収納部、78…出金硬貨繰出部(繰出部)、81…制御部81。
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図12