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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】電子機器及び非接触通信方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20240516BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240516BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20240516BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20240516BHJP
   H04B 5/48 20240101ALI20240516BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q1/24 C
H01Q1/52
H01Q21/28
H04B5/48
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021535361
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(86)【国際出願番号】 JP2020028912
(87)【国際公開番号】W WO2021020397
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2019138519
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業(ACCEL)「近接場結合集積技術による革新的情報処理システムの実現と応用展開」における研究題目 「近接場結合集積技術ならびに高効率情報処理システムの研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】長田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】川上 悠太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 快人
(72)【発明者】
【氏名】黒田 忠広
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188172(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/129598(WO,A1)
【文献】特開2016-100872(JP,A)
【文献】特開2004-364199(JP,A)
【文献】特開2012-019302(JP,A)
【文献】特開2013-157917(JP,A)
【文献】特開平09-171541(JP,A)
【文献】特開2013-084915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
G06K 17/00
H04B 5/00- 5/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アンテナモジュールと、第2アンテナモジュールとを備えており、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールが、略同心状に配置された複数の通信アンテナを備えており、
前記複数の通信アンテナは、アンテナ本体と、一対の端子部を有しており、前記複数の通信アンテナの各々において、前記一対の端子部の少なくとも一方の端子部にデジタル信号が入力され、前記アンテナ本体を通って他方の端子部から出力されるようになっており、前記一対の端子部は、互いに間隔をあけて隣り合う内側端を有し、
前記複数の通信アンテナは、少なくとも第1通信アンテナ及び第2通信アンテナを含み、前記第2通信アンテナが、前記第1通信アンテナの外側に当該第1通信アンテナに対して間隔をあけて配置されており、
前記第1通信アンテナの中心から前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の前記内側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の第1半直線の間の領域を第1仮想領域とし、前記第1通信アンテナの前記中心又は前記第2通信アンテナの中心から前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の前記内側端の少なくとも一部を通って延びる仮想の一対の第2半直線の間の領域を第2仮想領域とした場合、
前記第1仮想領域と前記第2仮想領域とが平面視において互いに重ならないように、前記第1通信アンテナの前記一対の端子部及び前記第2通信アンテナの前記一対の端子部が配置されており、
前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部にデジタル信号が入力されることによって、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとが、第1カプラを構成するようになっており、
前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部にデジタル信号が入力されることによって、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとが、第2カプラを構成するようになっており、
前記第1カプラにおいて、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の電界強度が、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合が、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合よりも強く、
前記第2カプラにおいて、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の電界強度が、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合が、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合よりも強い電子機器。
【請求項2】
第1アンテナモジュールと、第2アンテナモジュールとを備えており、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールが、略同心状に配置された複数の通信アンテナを備えており、
前記複数の通信アンテナは、アンテナ本体と、一対の端子部を有しており、前記複数の通信アンテナの各々において、前記一対の端子部の少なくとも一方の端子部にデジタル信号が入力され、前記アンテナ本体を通って他方の端子部から出力されるようになっており、前記一対の端子部は、互いに間隔をあけて隣り合う内側端を有し、
前記複数の通信アンテナは、少なくとも第1通信アンテナ及び第2通信アンテナを含み、前記第2通信アンテナが、前記第1通信アンテナの外側に当該第1通信アンテナに対して間隔をあけて配置されており、
前記第1通信アンテナの中心から前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の前記内側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の第1半直線の間の領域を第1仮想領域とし、前記第1通信アンテナの前記中心又は前記第2通信アンテナの中心から前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の前記内側端の少なくとも一部を通って延びる仮想の一対の第2半直線の間の領域を第2仮想領域とした場合、
前記第1仮想領域と前記第2仮想領域とが平面視において互いに重ならないように、前記第1通信アンテナの前記一対の端子部及び前記第2通信アンテナの前記一対の端子部が配置されており、
前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号が入力されることによって、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとが、第1カプラを構成するようになっており、
前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号が入力されることによって、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとが、第2カプラを構成するようになっており、
前記第1カプラにおいて、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一方の端子部の電界強度が、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度が、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合が、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合が、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合よりも強く、
前記第2カプラにおいて、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一方の端子部の電界強度が、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度が、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合が、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合よりも強く、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合が、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合よりも強い電子機器
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子機器において、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールの前記一対の端子部は、前記内側端の反対側の外側端を更に有し、
前記第1通信アンテナの中心から前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の前記外側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の第3半直線の間の領域を第3仮想領域とし、前記第1通信アンテナの前記中心又は前記第2通信アンテナの前記中心から前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の前記外側端の少なくとも一部を通って延びる仮想の一対の第4半直線の間の領域を第4仮想領域とした場合、
前記第3仮想領域と前記第4仮想領域とが平面視において互いに重ならないように、前記第1通信アンテナの前記一対の端子部及び前記第2通信アンテナの前記一対の端子部が配置されている電子機器
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の電子機器において、
前記第2通信アンテナの電気長が前記第1通信アンテナの電気長よりも長く、
前記第2通信アンテナに入力されるデジタル信号の伝送速度が、前記第1通信アンテナに入力されるデジタル信号の伝送速度よりも遅い電子機器
【請求項5】
請求項1~3の何れかに記載の電子機器において、
前記第1通信アンテナの幅寸法が、前記第2通信アンテナの幅寸法よりも大きい電子機器
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の電子機器において、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールは、前記第1通信アンテナと前記第2通信アンテナとの間に配置されたグランド導体を更に備えている電子機器
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の電子機器において、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールは、前記複数の通信アンテナが略同心状に設けられた絶縁性を有する基体を更に備えている電子機器
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の電子機器において、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体は、一部が破断した略環状であり、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部は、前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体の両端部であり、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体は、一部が破断した略環状であり、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部は、前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体の両端部である電子機器
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の電子機器において、
前記第1アンテナモジュール及び前記第2アンテナモジュールは、前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の少なくとも一方に対して前記デジタル信号を送信可能な構成である第1送信部と、
前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の少なくとも一方に対して前記デジタル信号を送信可能な構成である第2送信部とを更に備えている電子機器
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の電子機器において、
前記第2アンテナモジュールは、前記第1アンテナモジュールに回転自在に支持されており、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナと、前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとが、前記第2アンテナモジュールの回転軸の軸方向において並ぶように配置されており、且つ、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナと、前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとが、前記軸方向において並ぶように配置されている電子機器
【請求項11】
請求項1記載の電子機器を用いた非接触通信方法であって、
前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部にデジタル信号を入力し、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとにより、第1カプラを構成し、且つ
前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部にデジタル信号を入力し、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとにより、第2カプラを構成することを含んでおり、
前記第1カプラの構成時において、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の電界強度を、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合を、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合よりも強くしており、
前記第2カプラの構成時において、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の電界強度を、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合を、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合よりも強くする非接触通信方法
【請求項12】
請求項2記載の電子機器を用いた非接触通信方法であって、
前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号を入力し、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとにより、第1カプラを構成し、且つ
前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号を入力し、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナと前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとにより、第2カプラを構成することを含んでおり、
前記第1カプラの構成時において、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一方の端子部の電界強度を、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度を、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記一方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合を、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合を、前記第1アンテナモジュールの前記第1通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第1通信アンテナとの結合よりも強くしており、
前記第2カプラの構成時において、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一方の端子部の電界強度を、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部の電界強度を、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体の電界強度よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記一方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合を、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合よりも強くし、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記他方の端子部と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合を、前記第1アンテナモジュールの前記第2通信アンテナの前記アンテナ本体と前記第2アンテナモジュールの前記第2通信アンテナとの結合よりも強くする非接触通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び非接触通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアンテナモジュールが下記特許文献1に記載されている。このモジュールは、基板と、第1ループアンテナと、第2ループアンテナとを備えている。第1ループアンテナ及び第2ループアンテナは、基板の同一面上に同心円状に設けられている。第1ループアンテナ及び第2ループアンテナの各々が、一対の端子部を有している。第1ループアンテナ及び第2ループアンテナの各々に信号が入力され、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナの各々によって非接触通信がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-100872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1ループアンテナ及び第2ループアンテナを用いて同時に非接触通信を行う場合、上記の通り、第1ループアンテナ及び第2ループアンテナは同心円状に配置されているため、第1ループアンテナから生じたノイズが第2ループアンテナの非接触通信に干渉したり、第2ループアンテナから生じたノイズが第1ループアンテナの非接触通信に干渉したりする。
【0005】
本発明は、複数の通信アンテナを用いて同時に好適に非接触通信を行うことができる電子機器及び非接触通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の電子機器は、第1アンテナモジュールと、第2アンテナモジュールとを備えている。第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールが、略同心状に配置された複数の通信アンテナを備えている。複数の通信アンテナは、アンテナ本体と、一対の端子部を有している。複数の通信アンテナの各々において、一対の端子部の少なくとも一方の端子部にデジタル信号が入力され、アンテナ本体を通って他方の端子部から出力されるようになっている。一対の端子部は、互いに間隔をあけて隣り合う内側端を有している。複数の通信アンテナは、少なくとも第1通信アンテナ及び第2通信アンテナを含む。第2通信アンテナが、第1通信アンテナの外側に当該第1通信アンテナに対して間隔をあけて配置されている。第1通信アンテナの中心から第1通信アンテナの一対の端子部の内側端の少なくとも一部を通る仮想の一対の第1半直線の間の領域を第1仮想領域とし、第1通信アンテナの中心又は第2通信アンテナの中心から第2通信アンテナの一対の端子部の内側端の少なくとも一部を通る仮想の一対の第2半直線の間の領域を第2仮想領域とした場合、第1仮想領域と第2仮想領域とが平面視において互いに重ならないように第1通信アンテナの一対の端子部及び第2通信アンテナの一対の端子部が配置されている。
第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部にデジタル信号が入力されることによって、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナと第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとが、第1カプラを構成するようになっている。第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部にデジタル信号が入力されることによって、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナと第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとが、第2カプラを構成するようになっている。第1カプラにおいて、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部の電界強度が、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強く、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合が、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合よりも強くなっている。第2カプラにおいて、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部の電界強度が、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強く、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合が、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合よりも強くなっている。
又は、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号が入力されることによって、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナと第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとが、第1カプラを構成するようになっている。第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号が入力されることによって、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナと第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとが、第2カプラを構成するようになっている。第1カプラにおいて、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一方の端子部の電界強度が、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部の電界強度よりも強く、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部の電界強度が、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強く、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一方の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合が、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合よりも強く、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合が、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合よりも強くなっている。第2カプラにおいて、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一方の端子部の電界強度が、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部の電界強度よりも強く、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部の電界強度が、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強く、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一方の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合が、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合よりも強く、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合が、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合よりも強くなっている。
【0007】
一般的に、通信アンテナの端子部は、デジタル信号が入力されるため、当該端子部から反射によるノイズが発生し易い。しかし、上記態様のアンテナモジュールによる場合、第1仮想領域と第2仮想領域とが平面視において互いに重ならないように、第1通信アンテナの端子部が第2通信アンテナの端子部から離れて配置されているので、第1通信アンテナ及び第2通信アンテナを用いて同時に非接触通信を行う際に、第1通信アンテナの端子部から発生したノイズが第2通信アンテナの端子部と相手の第2方通信アンテナとの非接触通信に影響を与えたり、第2通信アンテナの端子部から発生したノイズが、第1通信アンテナの端子部と相手方の第1通信アンテナとの非接触通信に影響を与えたりする可能性が低減される。そのため、少なくとも第1通信アンテナと第2通信アンテナを用いて同時に非接触通信を好適に行うことができる。
【0008】
一対の端子部は、内側端の反対側の外側端を更に有する構成とすることが可能である。第1通信アンテナの中心から第1通信アンテナの一対の端子部の外側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の第3半直線の間の領域を第3仮想領域とし、第1通信アンテナの中心又は第2通信アンテナの中心から第2通信アンテナの一対の端子部の外側端の少なくとも一部を通って延びる仮想の一対の第4半直線の間の領域を第4仮想領域とした場合、第3仮想領域と第4仮想領域とが平面視において互いに重ならないように、第1通信アンテナの一対の端子部及び第2通信アンテナの一対の端子部が配置された構成とすることが可能である。
【0009】
このような態様のアンテナモジュールによる場合、第3仮想領域と第4仮想領域とが平面視において互いに重ならないように、第1通信アンテナの一対の端子部が第2通信アンテナの一対の端子部から更に離れて配置されているので、第1通信アンテナ及び第2通信アンテナを用いて同時に非接触通信を行う際に、第1通信アンテナの端子部から発生したノイズが第2通信アンテナの端子部と相手の第2方通信アンテナとの非接触通信に影響を与えたり、第2通信アンテナの端子部から発生したノイズが、第1通信アンテナの端子部と相手方の第1通信アンテナとの非接触通信に影響を与えたりする可能性が更に低減される。
【0012】
第2通信アンテナの電気長を第1通信アンテナの電気長よりも長くすることが可能である。この場合、第2通信アンテナに入力されるデジタル信号の伝送速度は、第1通信アンテナに入力されるデジタル信号の伝送速度よりも遅くすることが可能である。通信アンテナの全長が長くなり、その面積が増大すると、当該通信アンテナの電気長が長くなるため、当該通信アンテナで伝送速度の速いデジタル信号を伝送することが困難になる。そのため、電気長の長い第2通信アンテナに伝送速度の遅いデジタル信号を伝送させる一方で、電気長の短い第1通信アンテナに伝送速度の速いデジタル信号を伝送させることによって、同時に異なる通信速度の非接触通信を好適に行うことができる。
【0013】
第1通信アンテナの幅寸法を、第2通信アンテナの幅寸法よりも大きくすることが可能である。第1通信アンテナの幅寸法が大きくなり、第1通信アンテナの面積が増大すると、第1通信アンテナの電気長を長くすることができる。これにより、第1通信アンテナの電気長を、第2通信アンテナの電気長と略同じ又は近づけることができる。
【0014】
上記何れかの態様のアンテナモジュールは、第1通信アンテナと第2通信アンテナとの間に配置されたグランド導体を更に備えた構成とすることが可能である。このような態様のアンテナモジュールによる場合、グランド導体によって、第1通信アンテナに伝送されるデジタル信号と、第2通信アンテナに伝送されるデジタル信号とがクロストークする可能性が低減されるので、第1通信アンテナと第2通信アンテナとで同時に非接触通信をより好適に行うことができる。
【0015】
上記何れかの態様のアンテナモジュールは、絶縁性を有する基体を更に備えた構成とすることが可能である。基体上には、上記何れかの態様の複数の通信アンテナが略同心状に設けられた構成とすることが可能である。
【0016】
第1通信アンテナのアンテナ本体は、一部が破断した略環状とすることが可能である。この場合、第1通信アンテナの一対の端子部は、第1通信アンテナのアンテナ本体の両端部とすることが可能である。第2通信アンテナのアンテナ本体は、一部が破断した略環状とすることが可能である。この場合、第2通信アンテナの一対の端子部は、第2通信アンテナのアンテナ本体の両端部とすることが可能である。
【0017】
上記何れかの態様のアンテナモジュールは、第1送信部及び第2送信部を更に備えた構成とすることが可能である。第1送信部は、第1通信アンテナの一対の端子部の少なくとも一方に対してデジタル信号を送信可能な構成とすることが可能である。第2送信部は、第2通信アンテナの一対の端子部の少なくとも一方に対してデジタル信号を送信可能な構成とすることが可能である。
【0018】
第2アンテナモジュールは、第1アンテナモジュールに回転自在に支持された構成とすることが可能である。この場合、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナと、第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとが、第2アンテナモジュールの回転軸の軸方向において並ぶように配置されており、且つ、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナと、第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとが、軸方向において並ぶように配置されていると良い。なお、第2アンテナモジュールは、第1アンテナモジュールに対して回転自在に支持されている必要はなく、非接触通信時に互いに対向する構成であれば良い。
【0019】
本発明の一態様の非接触通信方法は、上記第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部にデジタル信号を入力し、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナと第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとにより、第1カプラを構成し、且つ上記第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部にデジタル信号を入力し、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナと第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとにより、第2カプラを構成することを含んでいる。第1カプラの構成時において、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部の電界強度を、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強くし、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合を、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合よりも強くする。第2カプラの構成時において、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部の電界強度を、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強くし、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合を、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合よりも強くする。
又は、上記第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号を入力し、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナと第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとにより、第1カプラを構成し、且つ上記第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一対の端子部の一方の端子部にデジタル信号を入力し、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナと第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとにより、第2カプラを構成することを含んでいる。第1カプラの構成時において、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一方の端子部の電界強度を、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部の電界強度よりも強くし、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部の電界強度を、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強くし、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの一方の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合を、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合よりも強くし、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合を、第1アンテナモジュールの第1通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第1通信アンテナとの結合よりも強くする。第2カプラの構成時において、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一方の端子部の電界強度を、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部の電界強度よりも強くし、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部の電界強度を、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体の電界強度よりも強くし、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの一方の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合を、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合よりも強くし、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナの他方の端子部と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合を、第1アンテナモジュールの第2通信アンテナのアンテナ本体と第2アンテナモジュールの第2通信アンテナとの結合よりも強くする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの概略的断面図及びα部分の概略的拡大図である。
図2】前記電子機器の第1アンテナモジュールの図1中の2-2断面図である。
図3】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの図1中の3-3断面図である。
図4】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールのブロック図である。
図5A】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの第1、第2通信アンテナの位置関係の第1例を説明するための説明図である。
図5B】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの第1、第2通信アンテナの位置関係の第2例を説明するための説明図である。
図6A】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの第1、第2通信アンテナの第1設計変更例の位置関係を説明するための説明図である。
図6B】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの第1、第2通信アンテナの第2設計変更例の位置関係を説明するための説明図である。
図6C】前記電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの第1、第2通信アンテナの第3設計変更例の位置関係を説明するための説明図である。
図7A】実験例1の第1、第2アンテナモジュール、信号発信器及び高速信号用オシロスコープを示すブロック図である。
図7B】実験例1の第1、第2アンテナモジュールの概略的平面図である。
図7C】実験例2の第1、第2アンテナモジュール、信号発信器及び高速信号用オシロスコープを示すブロック図である。
図7D】実験例2の第1、第2アンテナモジュールの概略的平面図である。
図8A】実験例1のアンテナモジュールの内側通信アンテナに伝送されたディファレンシャル信号の波形図である。
図8B】実験例1のアンテナモジュールの外側通信アンテナに伝送されたディファレンシャル信号の波形図である。
図9A】実験例1のアンテナモジュールの内側通信アンテナに関するSパラデータのグラフである。
図9B】実験例1のアンテナモジュールの外側通信アンテナに関するSパラデータのグラフである。
図10A】実験例2のアンテナモジュールの内側通信アンテナに伝送されたディファレンシャル信号の波形図である。
図10B】実験例2のアンテナモジュールの外側通信アンテナに伝送されたディファレンシャル信号の波形図である。
図11A】実験例2のアンテナモジュールの内側通信アンテナに関するSパラデータのグラフである。
図11B】実験例2のアンテナモジュールの外側通信アンテナに関するSパラデータのグラフである。
図12】本発明の実施例2に係る電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの基体、通信アンテナ、グランド導体及び充電アンテナの概略的平面図である。
図13】本発明の実施例3に係る電子機器の第1アンテナモジュール及び第2アンテナモジュールの基体、通信アンテナ、グランド導体及び充電アンテナの概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の複数の実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例1を含む複数の実施例に係る電子機器Dの第1アンテナモジュールM1(以下、単にモジュールM1とも称する。)及び第2アンテナモジュールM2(以下、単にモジュールM2とも称する。)について、図1図6Cを参照しつつ説明する。モジュールM1について説明した後、モジュールM2について説明する。図1には、実施例1のモジュールM1及びモジュールM2が示されており、図2には、実施例1のモジュールM1が示されており、図3には、実施例1のモジュールM2が示されている。図4は、実施例1のモジュールM1及びモジュールM2のブロック図である。図5A図5Bは、実施例1のモジュールM1及びモジュールM2の後述する第1、第2通信アンテナ200aの位置関係の第1、2例を説明するための説明図である。図6A図6B図6Cは、実施例1のモジュールM1及びモジュールM2の後述する第1、第2通信アンテナ200aの第1、第2、第3設計変更例の位置関係を説明するための説明図である。
【0023】
電子機器Dは、モジュールM1と及びモジュールM2を備えている。モジュールM1は、モジュールM2を仮想の回転軸P又は現実の回転軸で所定角度の範囲又は360°回転可能に支持している。なお、図1には、モジュールM2の仮想の回転軸Pが示されている。図1に示されるZ-Z’方向は、回転軸Pの軸方向に相当する。
【0024】
モジュールM1は、絶縁性を有する基体100a(例えば、基板又は絶縁体)を備えている。基体100aの外形は任意に設定可能であり、例えば、Z-Z’方向から見て円形状又は多角形状とすることが可能である。基体100aは、第1面101a、その反対側の第2面102a及び複数の導電ライン110aを有している。導電ライン110aは、基体100aの第1面101a、基体100aの第2面102a及び/又は基体100a内部に設けられている。
【0025】
モジュールM1は、複数の通信アンテナ200aを更に備えている。モジュールM1の複数の通信アンテナ200aの一つずつが、モジュールM2の複数の通信アンテナ200bの一つずつに対してZ-Z’方向に間隔をあけて並ぶように配置される。モジュールM1の複数の通信アンテナ200aの一つずつが、モジュールM2の複数の通信アンテナ200bの一つずつと電磁界結合可能な構成である。通信アンテナ200aの一つずつと通信アンテナ200bの一つずつとが、互いに電磁界結合することにより、結合器(カプラ)を構成する。各カプラにおいて、電磁界結合時の通信アンテナ200aから通信アンテナ200bまでのZ-Z’方向の距離(通信距離)は、0mm~数mm程度の近距離とすると良いが、これに限定されるものではない。
【0026】
複数の通信アンテナ200aは、基体100aの第1面101a上に略同心状に設けられた導体(図2参照)、金属板又はコイル等である。前記導体は、(a)周知の印刷法やフォトリソグラフィーなどによって基体100aの第1面101a上に形成されていても良いし、(b)スパッタ、無電解めっき又は蒸着により基体100aの第1面101a上に導体膜を形成した後、レーザー又は薬剤のエッチングにより、導体膜の不必要な部分を除去して導体が形成されていても良いし、(c)基体100a内に分散された金属錯体をレーザーによって活性化して基体100aの第1面101a上にめっき触媒を形成し、めっき触媒上に無電解めっきなどでめっき膜(導体)を形成しても良い。なお、通信アンテナ200aのZ方向側の面は、フラットであると良いが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明における略同心状とは、複数の通信アンテナ200aが、その中心Cを一致させて同心状に配置されているものだけでなく、中心Cを一致させずに順次内側(略同心状)に配置されているものも含むものとする。要するに、本発明における略同心状とは、複数の通信アンテナ200aの中心Cが一致しているか否かを問わない。全ての通信アンテナ200aの中心Cが一致している場合、当該中心Cが回転軸Pと一致するように配置されていても良い(図1図3参照)し、当該中心Cが回転軸Pの近傍に配置されていても良いが、これに限定されるものではない。全ての通信アンテナ200aの中心Cが一致していない場合、少なくとも一つの通信アンテナ200aの中心Cが回転軸Pと一致するように配置させても良いし、少なくとも一つの通信アンテナ200aの中心Cが回転軸Pの近傍に配置されていても良いが、これに限定されるものではない。なお、図4では、図示に便宜上、複数の通信アンテナ200aが並列に配置されているが、複数の通信アンテナ200aの現実の配置関係を示すものでないことに留意されたい。
【0028】
複数の通信アンテナ200aは、アンテナ本体210a及び一対の端子部221a、222aを有している。複数の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aは、基体100aの第1面101a上に略同心状に間隔をあけて設けられている。複数のアンテナ本体210aは、少なくとも一組の隣り合うアンテナ本体210aを含む。一組又は各組の隣り合うアンテナ本体210aにおいて、外側のアンテナ本体210aの内形寸法は、内側のアンテナ本体210aの外形寸法よりも大きい。隣り合うアンテナ本体210aの間は、間隔をあいており、非接触である。以下、説明の便宜上、複数のアンテナ本体210aのうちの最も内側に位置するアンテナ本体210aを最内のアンテナ本体210aと称し、最も外側に位置するアンテナ本体210aを最外のアンテナ本体210aと称する。
【0029】
最内のアンテナ本体210aは、その形状は任意であるが、例えば、Z方向側から見て(平面視において)、一部が破断した略環状(例えば、一部が破断した円環状(図2図5A図5B及び図6B参照)又は一部が破断した多角環状(図示なし))、略環状(例えば、円環状(図6A及び図6C参照)又は多角環状(図示なし))、略U字状、円形又は多角形状とすることが可能である。複数のアンテナ本体210aの最内のアンテナ本体210a以外のアンテナ本体210aは、Z方向側から見て(平面視において)、一部が破断した略環状(例えば、一部が破断した円環状(図2図5A図5B及び図6B参照)又は一部が破断した多角環状(図示なし))、略環状(例えば、円環状(図6A及び図6C参照)又は多角環状(図示なし))又は略U字状である。
【0030】
端子部221a、222aは、デジタル信号が入力される部分及び/又はデジタル信号を出力する部分である。各通信アンテナ200aにおいて、端子部221a、222aは、基体100aの第1面101a上に設けられ、アンテナ本体210aの中心Cから離れて位置し且つ互いに間隔をあけて配置されている。この端子部221a、222aは、a)アンテナ本体210aの任意の一部であっても良いし、b)アンテナ本体210aから延びていても良い。
【0031】
例えば、端子部221a、222aがa)の構成を有する場合、端子部221a、222aは、下記a-1及びa-2の何れかの態様とすることが可能である。
a-1)各通信アンテナ200aにおいて、アンテナ本体210aが、一部が破断した略環状である場合、端子部221aが当該アンテナ本体210aの一端部(特許請求の範囲のアンテナ本体の両端部の一方に相当する。)、端子部222aがアンテナ本体210aの他端部(特許請求の範囲のアンテナ本体の両端部の他方に相当する。)として構成可能である(図2図5A及び図5B参照)。
【0032】
a-2)各通信アンテナ200aにおいて、アンテナ本体210aが略環状である場合、端子部221a、222aは、当該アンテナ本体210aの一部分として構成可能である(図6A参照)。例えば、略円環状のアンテナ本体210aに一対のスルーホール電極が接続されている場合、アンテナ本体210aの一対のスルーホール電極の一方が接続された箇所を端子部221aとし、他方を端子部222aとすることが可能である。
【0033】
端子部221a、222aがb)の構成を有する場合、端子部221a、222aは、下記b-1及びb-2の何れかの態様とすることが可能である。
【0034】
b-1)各通信アンテナ200aにおいて、アンテナ本体210aが、一部が破断した略環状である場合、端子部221aが当該アンテナ本体210aの一端部から延び、端子部222aがアンテナ本体210aの他端部から延び、且つ端子部221a、222aが互いに隣り合うように配置された構成とすることが可能である(図6B参照)。
【0035】
b-2)各通信アンテナ200aにおいて、アンテナ本体210aが略環状である場合、端子部221a、222aは、当該アンテナ本体210aの一部分から各々延び且つ互いに隣り合うように配置された構成とすることが可能である(図6C参照)。
【0036】
端子部221a、222aがa)及びb)の何れの構成を有する場合も、各通信アンテナ200aにおいて、その端子部221a、222aは、Z方向側から見て対応するアンテナ本体210aの外側に位置する別のアンテナ本体210aの内側に配置されおり且つ互いに隣り合う内側端及びその反対側の外側端を有している。内側端及び外側端は、内側(アンテナ本体210aの中心C側)に位置する第1角部及び外側に位置する第2角部を有していても良いが、これに限定されるものではない。
【0037】
複数の通信アンテナ200aは、少なくとも第1通信アンテナ200a及び第2通信アンテナ200aを含む。第1通信アンテナ200aは、複数の通信アンテナ200aのうちの隣り合う通信アンテナ200aのうちの内側の通信アンテナ200aであり、第2通信アンテナ200aは、隣り合う通信アンテナ200aのうちの外側の通信アンテナ200aである。なお、以下、説明の便宜上、第1通信アンテナ200aのアンテナ本体210aを第1アンテナ本体210aと称し、第1通信アンテナ200aの端子部221a、222aを第1端子部221a、222aと称し、第2通信アンテナ200aのアンテナ本体210aを第2アンテナ本体210aと称し、第2通信アンテナ200aの端子部221a、222aを第2端子部221a、222aと称する。
【0038】
第1アンテナ本体210aは、上記何れかの態様の最内のアンテナ本体210aとすることが可能である(図2及び図5A図6C参照)し、上記何れかの態様の最内のアンテナ本体210a及び最外のアンテナ本体210a以外のアンテナ本体210aとすることも可能である。第1端子部221a、222aは上記何れかの態様の端子部221a、222aとすることが可能である。第2アンテナ本体210aは、複数のアンテナ本体210aのうちの最内のアンテナ本体210a以外の上記何れかの態様のアンテナ本体210aであって、第1アンテナ本体210aの外側に第1アンテナ本体210aに対して間隔をあけて配置されている。第2端子部221a、222aは上記何れかの態様の端子部221a、222aとすることが可能である。
【0039】
ここで、第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aの中心Cから第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aの内側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の半直線を半直線L1(第1半直線L1)とする。第1アンテナ本体210aの中心C及び/又は第2アンテナ本体210aの中心Cから第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aの内側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の半直線を半直線L2(第2半直線L2)とする。半直線L1、L2は、例えば、第1、第2端子部221a、222aの内側端の第1角部を通っていても良いし、第1、第2端子部221a、222aの内側端の第2角部を通っていても良いし、第1、第2端子部221a、222aの内側端の全てを通っていても良い。半直線L1間の仮想領域を第1仮想領域とし、半直線L2間の仮想領域を第2仮想領域とする。
【0040】
また、第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aの中心Cから第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aの外側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の半直線を半直線L3(第3半直線L3)とする。第1アンテナ本体210aの中心C及び/又は第2アンテナ本体210aの中心Cから第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aの外側端の少なくとも一部を通って放射状に延びる仮想の一対の半直線を半直線L4(第4半直線L4)とする。半直線L3、L4は、例えば、第1、第2端子部221a、222aの外側端の第1角部を通っていても良いし、第1、第2端子部221a、222aの外側端の第2角部を通っていても良いし、第1、第2端子部221a、222aの外側端の全てを通っていても良い。半直線L3間の仮想領域を第3仮想領域とする。第3仮想領域は、第1仮想領域を含む。半直線L4間の仮想領域を第4仮想領域とする。第4仮想領域は、第2仮想領域を含む。
【0041】
少なくとも第1仮想領域と第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、第1端子部221a、222a及び第2端子部221a、222aが配置されている(図5A参照)。この場合、第2端子部221aは、第1端子部221aの内側端、外側端の少なくとも一部を通って延びる半直線L1、L3の間の領域内に位置しないように、及び/又は、第2端子部222aは、第1端子部222aの内側端、外側端の少なくとも一部を通って延びる半直線L1、L3の間の領域内に位置しないように、第1端子部221a、222aが、第2端子部221a、222aから離れて配置されている。
【0042】
又は、第3仮想領域と第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、第1端子部221a、222a及び第2端子部221a、222aが配置されていても良い(図5B参照)。この場合、前者の場合よりも、第1端子部221a、222aが、第2端子部221a、222aから遠くに離れて配置されている。
【0043】
例えば、第1アンテナ本体210aの中心Cから第1仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の直線を第1分割線とし、第1アンテナ本体210aの中心Cから第2仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の直線を第2分割線とした場合、第1端子部221a、222a及び第2端子部221a、222aは、第1分割線と第2分割線とが、第1アンテナ本体210aの中心C周りに略90°~略180°の角度間隔で位置するように、配置された構成とすることが可能である。例えば、第1端子部221a、222a及び第2端子部221a、222aは、第1分割線と第2分割線とが、第1アンテナ本体210aの中心C周りに略180°(図2及び図5A図6C参照)、略120°又は略90°の角度間隔で位置するように、配置された構成とすることが可能である。第1分割線と第2分割線との間の角度が前述の何れの角度である場合であっても、第3仮想領域と第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならない。なお、第1分割線は、第3仮想領域を半分に二分するように延びていても良く、第2分割線は、第4仮想領域を半分に二分するように延びていても良い。
【0044】
第1通信アンテナ200aの電気長は、伝送時にデジタル信号が第1端子部221aから入力され、第1アンテナ本体210aを通って第2端子部222aに至るまで距離、伝送時にデジタル信号が第2端子部222aから入力され、第1アンテナ本体210aを通って第1端子部221aに至るまで距離、又はこれらの各々の距離である。第2通信アンテナ200aの電気長は、伝送時にデジタル信号が第1端子部221aから入力され、第2アンテナ本体210aを通って第2端子部222aに至るまでの距離、伝送時にデジタル信号が第2端子部222aから入力され、第2アンテナ本体210aを通って第1端子部221aに至るまでの距離、又はこれらの各々の距離である。第2通信アンテナ200aの電気長は、第2アンテナ本体210aが第1アンテナ本体210aの外側に配置されており、第2アンテナ本体210aの面積が第1アンテナ本体210aの面積よりも大きくなることから、第1通信アンテナ200aの電気長よりも長くなる。
【0045】
第1アンテナ本体210aの幅寸法Wは、第2アンテナ本体210aの幅寸法Wよりも大きくすることが可能である。例えば、第1アンテナ本体210aの幅寸法Wを0.5~1.0mmとし、第2アンテナ本体210aの幅寸法Wを1.0~1.5mmとすることが可能である。第1アンテナ本体210aの幅寸法Wを第2アンテナ本体210aの幅寸法Wよりも大きくすれば、第1アンテナ本体210aの面積が増大し、その結果として、第1通信アンテナ200aの電気長が増大する。これを利用して、第1通信アンテナ200aの電気長が第2通信アンテナ200aの電気長と略同じになる又は近くなるように、第1アンテナ本体210aの幅寸法Wを第2アンテナ本体210aの幅寸法Wよりも大きくしても良い。なお、第1通信アンテナ200aの電気長が第2通信アンテナ200aの電気長と略同じになる又は近くなるように、第1アンテナ本体210aの幅寸法Wを増大させる手段以外の手段で、第1アンテナ本体210aの面積を増大させても構わない。
【0046】
なお、第1アンテナ本体210aの幅寸法Wは、第2アンテナ本体210aの幅寸法Wよりも大きく且つ第1通信アンテナ200aの電気長が第2通信アンテナ200aの電気長よりも短くても良い。また、第1アンテナ本体210aの幅寸法Wが、第2アンテナ本体210aの幅寸法Wよりも小さくても良いし、両者の幅寸法Wが同じであっても良い。
【0047】
モジュールM1は、少なくとも一つのグランド導体300aを更に備えていても良い。少なくとも一つのグランド導体300aは、基体100aの第1面101a上に設けられた略環状(例えば、円環状(図2参照)又は多角環状)、一部が破断した略環状(例えば、円環状又は多角環状)又は略U字状の導体又は金属板であって、複数の通信アンテナ200aのうちの隣り合う通信アンテナ200a間に配置されている。前記導体は、通信アンテナ200aの導体と同様の方法で形成可能である。少なくとも一つのグランド導体300aは、グランド接続されている。少なくとも一つのグランド導体300aの外形線は、隣り合う通信アンテナ200aの外側の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aの内形線に沿って延びていても良いし、少なくとも一つのグランド導体300aの内形線は、隣り合う通信アンテナ200aの内側の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aの外形線に沿って延びていても良いが、これに限定されるものではない。なお、少なくとも一つのグランド導体300aは省略可能である。
【0048】
モジュールM1は、通信回路部400aを更に備えていても良い。通信回路部400aは、基体100aの第2面102a上に実装されている。通信回路部400aは、複数の通信アンテナ200aの数に応じた数の送信部410a及び/又は復元部420aを有している。
【0049】
各送信部410aは、基体100aの導電ライン110aを介して対応する通信アンテナ200aの端子部221a、222aに電気的に接続されている。各送信部410aは、対応する通信アンテナ200aの端子部221a、222aの少なくとも一方に対してデジタル信号を送信可能なICなどの論理回路、又はプロセッサなどによって処理されるソフトウェアで構成されている。各送信部410aが送信可能なデジタル信号は、広帯域の周波数成分を有する矩形波のディファレンシャル信号又は広帯域の周波数成分を有する矩形波のシングルエンド信号とすることが可能である。このデジタル信号は、数百MHz以上の高周波成分を含んでおり、より好ましくは1GHz~5GHzの高周波成分を含んでいると良いが、これに限定されるものではない。ディファレンシャル信号の伝送速度は、500kbps~1.5Gbpsとすることが可能であるが、これに限定されるものではない。シングルエンド信号の伝送速度を500kbps~1.5Gbpsとすることが可能であるが、これに限定されるものではない。なお、本発明のデジタル信号は、前述のディファレンシャル信号又はシングルエンド信号に限定されるものではない。
【0050】
デジタル信号がディファレンシャル信号である場合、各送信部410aは、対応する通信アンテナ200aの端子部221a、222aの何れか一方の端子部に対してディファレンシャル信号の正側信号を送信し、他方の端子部に対してディファレンシャル信号の負側信号を送信する構成となっている。この場合、各通信アンテナ200aにおいて、一方の端子部から正側信号が入力され、アンテナ本体210aを通って他方の端子部から出力されると共に、他方の端子部から負側信号が入力され、アンテナ本体210aを通って一方の端子部から出力されることになる。正側信号、負側信号が通信アンテナ200aの一方、他方の端子部に入力されているときにおいて、通信アンテナ200aの一方、他方の端子部(入出力用の端子部)の電界強度が、通信アンテナ200aのアンテナ本体210aの電界強度よりも強くなる。
【0051】
なお、デジタル信号がディファレンシャル信号である場合の第1通信アンテナ200aの電気長は、伝送時に正側信号が一方の端子部から入力され、第1アンテナ本体210aを通って他方の端子部に至るまで距離、及び伝送時に負側信号がその他方の端子部から入力され、第1アンテナ本体210aを通って一方の端子部に至るまで距離の各々の距離となる。デジタル信号がディファレンシャル信号である場合の第2通信アンテナ200aの電気長は、伝送時に正側信号がその一方の端子部から入力され、第2アンテナ本体210aを通って他方の端子部に至るまでの距離、及び伝送時に負側信号がその他方の端子部から入力され、第2アンテナ本体210aを通って一方の端子部に至るまでの距離の各々の距離となる。
【0052】
デジタル信号がシングルエンド信号である場合、各送信部410aは、対応する通信アンテナ200aの端子部221a、222aの何れか一方の端子部に対してシングルエンド信号を送信する構成となっている。この場合、各通信アンテナ200aにおいて、一方の端子部からシングルエンド信号が入力され、アンテナ本体210aを通って他方の端子部から出力されることになる。シングルエンド信号が通信アンテナ200aの一方の端子部に入力されているときにおいて、通信アンテナ200aの一方、他方の端子部(入力用、出力用の端子部)の電界強度が、通信アンテナ200aのアンテナ本体210aの電界強度よりも強くなり、且つ通信アンテナ200aの一方の端子部(入力用の端子部)の電界強度が、通信アンテナ200aの他方の端子部(出力用の端子部)の電界強度よりも強くなる。
【0053】
なお、デジタル信号がシングルエンド信号である場合の第1通信アンテナ200aの電気長は、伝送時にシングルエンド信号が一方の端子部から入力され、第1アンテナ本体210aを通って他方の端子部に至るまで距離となる。デジタル信号がシングルエンド信号である場合の第2通信アンテナ200aの電気長は、伝送時に正側信号がその一方の端子部から入力され、第2アンテナ本体210aを通って他方の端子部に至るまでの距離となる。
【0054】
複数の送信部410aは、少なくとも第1送信部410a及び第2送信部410aを含む。第1送信部410aは、基体100aの導電ライン110aを介して第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aに電気的に接続された上記何れかの態様の送信部410aである。第2送信部410aは、基体100aの導電ライン110aを介して第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aに電気的に接続された上記何れかの態様の送信部410aである。
【0055】
第1送信部410a及び第2送信部410aは、同じ伝送速度のデジタル信号を送信する構成とすることが可能である。又は、第2送信部410aが、第1送信部410aにより送信されるデジタル信号の伝送速度よりも遅い伝送速度のデジタル信号を送信可能な構成とすることも可能である。
【0056】
各復元部420aは、基体100aの導電ライン110aを介して対応する通信アンテナ200aの端子部221a、222aに電気的に接続されている。各復元部420aは、対応する通信アンテナ200aが上記の通りモジュールM2の対応する通信アンテナ200bと電磁界結合することにより、当該通信アンテナ200aに誘起された受信信号が入力され、当該受信信号を元のデジタル信号に復元して出力可能なICなどの論理回路、又はプロセッサなどによって処理されるソフトウェアで構成されている。各復元部420aは、例えば、ヒステリシス特性を有するコンパレータ回路などとすることが可能である。
【0057】
なお、通信回路部400aが送信部410a及び復元部420aの双方を各々有する場合、複数の通信アンテナ200aは送受信用とすることが可能である。複数の通信アンテナ200aの少なくとも一つが送信専用である場合、その分の復元部420aを省略すると良く、複数の通信アンテナ200aの少なくとも一つが受信専用である場合、その分の送信部410aを省略すると良い。なお、通信回路部400aは省略可能である。この場合、複数の通信アンテナ200aは、基体100aを通じてモジュールM1外の通信回路部の送信部及び/又は復元部に電気的に接続可能になっていると良い。
【0058】
モジュールM1は、少なくとも一つの充電アンテナ500aを更に備えていても良い。少なくとも一つの充電アンテナ500aは、モジュールM2の少なくとも一つの充電アンテナ500bに対してZ-Z’方向に間隔をあけて並ぶように配置される。少なくとも一つの充電アンテナ500aは、モジュールM2の少なくとも一つの充電アンテナ500bとの間で、非接触送電及び非接触受電の少なくとも一方を行うことが可能な構成である。少なくとも一つの充電アンテナ500aは、上記通信アンテナ200aと同様に、基体100aの第1面101a上に設けられた導体、金属板又はコイル(図2A参照)である。少なくとも一つの充電アンテナ500aは、最外の通信アンテナ200aの外側に配置されていても良いし、最内の通信アンテナ200aの内側に配置されていても良い。前者の場合、少なくとも一つの充電アンテナ500aは、略環状、一部が破断した略環状、円弧状又はU字状とすることが可能であり、且つ少なくとも一つの充電アンテナ500aの内形寸法は、最外の通信アンテナ200aの外形寸法よりも大きい。後者の場合、少なくとも一つの充電アンテナ500aは、その形状は任意であるが、略環状(例えば、円環状又は多角環状)、一部が破断した略環状(例えば、円環状又は多角環状)又は略U字状としても良いし、円形や多角形状とすることが可能である。この場合、最内の通信アンテナ200aは、略環状、一部が破断した略環状又はU字状であって、少なくとも一つの充電アンテナ500aの外側に間隔をあけて配置されている。少なくとも一つの充電アンテナ500aの外形寸法は、最内の通信アンテナ200aの内形寸法よりも小さい。
【0059】
モジュールM1は、充電回路部600aを更に備えていても良い。充電回路部600aは、基体100aの第2面102a上に実装されている。充電回路部600aは、基体100aを通じて少なくとも一つの充電アンテナ500aに電気的に接続されている。充電回路部600aは、送電回路部及び受電回路部の少なくとも一方である。送電回路部は、図外の外部電源から供給される電力を、電磁誘導方式、電磁界共鳴方式、電界結合方式又は電波方式で送電するのに適した電力(例えば、高周波電力)に変換して少なくとも一つの充電アンテナ500aに送電させるためのIC等の論理回路、又はプロセッサなどによって処理されるソフトウェアで構成されていると良い。受電回路部は、少なくとも一つの充電アンテナ500aで受けたエネルギー(電磁波等)を電力に変換するIC等の論理回路、又はプロセッサなどによって処理されるソフトウェアで構成されていると良い。
【0060】
なお、少なくとも一つの充電アンテナ500aと、充電回路部600aとのうち、充電回路部600aのみを省略することも可能であり、両者を省略することも可能である。前者の場合、少なくとも一つの充電アンテナ500aは、モジュールM1外の充電回路部に電気的に接続可能になっていると良い。
【0061】
モジュールM1は、少なくとも一つの磁性シートSを更に備えていても良い。少なくとも一つの磁性シートSは、基体100aの第1面101aと少なくとも一つの充電アンテナ500aとの間に配置され、且つ基体100aの第1面101aと複数の通信アンテナ200aとの間に位置していない。例えば、少なくとも一つの磁性シートSは、基体100aの第1面101aと少なくとも一つの充電アンテナ500aとの間にのみ配置されていても良い。図1のα部分の拡大図では、磁性シートSは、充電アンテナ500aと同様にリング状である。このような少なくとも一つの磁性シートSの存在によって、少なくとも一つの充電アンテナ500aの給電又は受電効率が向上する一方、少なくとも一つの磁性シートSは基体100aの第1面101aと複数の通信アンテナ200aとの間に位置していないため、複数の通信アンテナ200aの非接触通信に影響を与えにくい。なお、少なくとも一つの磁性シートSは省略可能である。
【0062】
モジュールM1は、筐体700aを更に備えている。筐体700aは、基体100aの第1面101aがZ方向に向いた状態で、当該基体100aを保持していれば良い。図1では、筐体700aは、支持凹部710aを更に有しており、この支持凹部710aの底には、Z-Z’方向にZ-Z’方向に延びた貫通孔が設けられている。この場合、基体100aの第2面102aの外周部が貫通孔の周縁部に固定され、通信回路部400a、又は通信回路部400a及び充電回路部600aが貫通孔内に収容されている。
【0063】
支持凹部710aは、図1図3に示されるように、その両端の壁がZ-Z’方向に直交する方向に延びており、その壁の壁面の一部(以下、凹み711aと称する)がモジュールM2の筐体700bの外径に応じて凹んだ構成とすることも可能である。この支持凹部710aの一対の凹み711aに沿って、モジュールM2が所定角度の範囲又は360°回転可能に支持凹部710aに支持されている。
【0064】
別の態様では、支持凹部710aは、モジュールM2の外径に応じた円柱状の凹部である。この支持凹部710aの円筒状の壁面に沿って、モジュールM2が所定角度の範囲又は360°回転可能に支持凹部710aに支持されている。
【0065】
何れの場合も、筐体700bが筐体700aに対して仮想の回転軸Pを軸として所定角度の範囲又は360°回転可能となっている。
【0066】
モジュールM2は、筐体700bを備えている。筐体700bは、円筒又は有底の円筒であって、上記の通り、筐体700aの支持凹部710aに回転自在に支持されている。
【0067】
別の態様では、仮想の回転軸Pではなく、現実の回転軸によって、筐体700bが筐体700aに対して所定角度の範囲又は360°回転可能な構成としても良い。例えば、現実の回転軸が、基体100bに固定される一方で、基体100aを貫通し、モジュールM1の筐体700aによって回転自在に保持されていても良いし、基体100aに固定される一方で、基体100bを貫通し、モジュールM2の筐体700bによって回転自在に保持されていても良い。現実の回転軸は、金属で構成されていても良いし、樹脂で構成されていても良い。
【0068】
モジュールM2は、基体100bを更に備えている。基体100bは、モジュールM1の基体100aに対してZ方向側に位置するように筐体700bに固定されている。基体100bは、Z-Z’方向において、基体100aに対して逆向きである。すなわち、基体100bの第1面101bはZ’方向側に向いており、基体100bの第2面102bはZ方向側に向いている。これ以外は、基体100bは、基体100aと同様の構成である。なお、図4における110bは、基体100bの導電ラインである。
【0069】
モジュールM2は、複数の通信アンテナ200bを更に備えている。複数の通信アンテナ200bは、上記何れかの態様の複数の通信アンテナ200aと同様の構成とすることが可能である。複数の通信アンテナ200bのアンテナ本体210bは、その一つずつがモジュールM1の複数の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aにZ-Z’方向において対向し、複数の通信アンテナ200a及び複数の通信アンテナ200bの一つずつが上記カプラを構成するように配置されている。
【0070】
別の態様では、複数のアンテナ本体210bと複数のアンテナ本体210aとは、Z-Z’方向において対向しない構成とすることが可能である。この場合、筐体700bが複数の通信アンテナ200bを覆う図示しないカバーを有する構成及び/又は筐体700aが複数の通信アンテナ200aを覆う図示しないカバーを有する構成とすると良い。この場合、複数の通信アンテナ200bのアンテナ本体210bと複数の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aとは、その一つずつが、モジュールM2がモジュールM1に対して所定角に位置しているときに又は常に、Z-Z’方向において間隔をあけて並び、複数の通信アンテナ200a及び複数の通信アンテナ200bの一つずつが上記カプラを構成するように配置されていると良い。
【0071】
複数の通信アンテナ200bは、第1通信アンテナ200b及び第2通信アンテナ200bを含む。第1通信アンテナ200bは、上記何れかの態様の第1通信アンテナ200aと同様の構成であり、第2通信アンテナ200bは、上記何れかの態様の第2通信アンテナ200aと同様の構成である。以下、第1通信アンテナ200bのアンテナ本体210bを第1アンテナ本体210bと称し、第1通信アンテナ200bの一対の端子部221b、222bを一対の第1端子部221b、222bと称する。第2通信アンテナ200bのアンテナ本体210bを第2アンテナ本体210bと称し、第2通信アンテナ200bの一対の端子部221b、222bを一対の第2端子部221b、222bと称する。ここでも、第1端子部221b、222b及び第2端子部221b、222bは、少なくとも上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ’方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、配置されている(図5A参照)。第1端子部221b、222b及び第2端子部221b、222bは、上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ’方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、配置されていても良い(図5B参照)。
【0072】
モジュールM2は、通信回路部400bを更に備えていても良い。通信回路部400bは、複数の通信アンテナ200bの数に応じた数の送信部410b及び復元部420bの少なくとも一方を有していると良い。各送信部410bは、上記何れかの態様の各送信部410aと同様の構成であり、各復元部420bは、上記何れかの態様の各復元部420aと同様の構成である。なお、複数の通信回路部400bが送信部410b及び復元部420bの双方を各々有する場合、複数の通信アンテナ200bは送受信用とすることが可能である。複数の通信アンテナ200bの少なくとも一つが送信専用である場合、その分の復元部420bを省略すると良く、複数の通信アンテナ200bの少なくとも一つが受信専用である場合、その分の送信部410bを省略すると良い。なお、通信回路部400bは、通信回路部400aと同様に省略可能である。
【0073】
モジュールM2は、少なくとも一つの充電アンテナ500bと、充電回路部600bとを更に備えた構成とすることが可能である。少なくとも一つの充電アンテナ500bは、上記何れかの態様の少なくとも一つの充電アンテナ500aと同様の構成とすることが可能であり、充電回路部600bは、上記何れかの態様の充電回路部600aと同様の構成とすることが可能である。少なくとも一つの充電アンテナ500bと、充電回路部600bとのうち、充電回路部600bのみを省略することも可能であり、両者を省略することも可能である。
【0074】
モジュールM2は、少なくとも一つの磁性シートSを更に備えていても良い。モジュールM2の少なくとも一つの磁性シートSは、モジュールM1の少なくとも一つの磁性シートSと同様の構成である。なお、少なくとも一つの磁性シートSを省略することも可能である。
【0075】
以下、モジュールM1を送信モジュール、モジュールM2を受信モジュールとして両モジュール間で非接触通信を行う方法について説明する。なお、モジュールM2を送信モジュール、モジュールM1を受信モジュールとした場合であっても、下記と同様に非接触通信を行うことができることに留意されたい。
【0076】
モジュールM1の第1送信部410aから送信されたディファレンシャル信号の正側信号、負側信号が、第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aに入力され、第1アンテナ本体210aを通って第1端子部222a、221aから出力される。これにより、モジュールM1の第1通信アンテナ200aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとが電磁界結合を行い、両アンテナ間で上記カプラ(以下、第1カプラとも称する。)が構成され、第1カプラで非接触通信が行われる。これと略同時に、モジュールM1の第2送信部410aから送信されたディファレンシャル信号の正側信号、負側信号が、第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aに入力され、第2アンテナ本体210aを通って第2端子部222a、221aから出力される。これにより、モジュールM1の第2通信アンテナ200aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとが電磁界結合を行い、両アンテナ間で上記カプラ(以下、第2カプラとも称する。)が構成され、第2カプラで非接触通信が行われる。
【0077】
第1カプラにおいて、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの正側信号、負側信号が入力される第1端子部221a、222aの電界強度が、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aの電界強度よりも強く、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの電磁界結合が、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの電磁界結合よりも強くなる。このため、第1カプラにおいて、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの電磁界結合部分の非接触通信量が、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの電磁界結合部分の非接触通信量よりも多くなる。
【0078】
第2カプラにおいて、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの正側信号、負側信号が入力される第2端子部221a、222aの電界強度が、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2アンテナ本体210aの電界強度よりも強く、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの電磁界結合が、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2アンテナ本体210aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの電磁界結合よりも強くなる。このため、第2カプラにおいて、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの電磁界結合部分の非接触通信量が、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2アンテナ本体210aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの電磁界結合部分の非接触通信量よりも多くなる。
【0079】
なお、第1、第2カプラにおける非接触通信が同時に行われていれば良く、第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aに対する正側信号、負側信号の入力と、第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aに対する正側信号、負側信号の入力とが同時に行われる必要はない。
【0080】
又は、モジュールM1の第1送信部410aから送信されたシングルエンド信号が、第1通信アンテナ200aの第1端子部221aに入力され、第1アンテナ本体210aを通って第1端子部222aから出力されることによって、モジュールM1の第1通信アンテナ200aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとが電磁界結合を行い、両アンテナ間で第1カプラが構成され、第1カプラで非接触通信が行われる。これと略同時に、モジュールM1の第2送信部410aから送信されたシングルエンド信号が、第2通信アンテナ200aの第2端子部221aに入力され、第2アンテナ本体210aを通って第2端子部222aから出力されることによって、モジュールM1の第2通信アンテナ200aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとが電磁界結合を行い、両アンテナ間で第2カプラが構成され、第2カプラで非接触通信が行われる。
【0081】
第1カプラにおいて、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの各部の電界強度は、シングルエンド信号が入力される第1端子部221aの電界強度が最も強くなり(すなわち、第1端子部221a>第1端子部222a>第1アンテナ本体210aであり)、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの各部とモジュールM2の第1通信アンテナ200bと間の電磁界結合の強さが、第1通信アンテナ200aの第1端子部221aと第1通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第1通信アンテナ200aの第1端子部222aと第1通信アンテナ200b間の電磁界結合部分>第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aと第1通信アンテナ200b間の電磁界結合部分となる。このため、第1カプラにおいて、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの各部とモジュールM2の第1通信アンテナ200bと間の非接触通信量は、第1通信アンテナ200aの第1端子部221aと第1通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第1通信アンテナ200aの第1端子部222aと第1通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第1通信アンテナ200aの第1アンテナ本体210aと第1通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分となる。
【0082】
第2カプラにおいて、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの各部の電界強度は、シングルエンド信号が入力される第1端子部221aの電界強度が最も強くなり(すなわち、第2端子部221a>第2端子部222a>第2アンテナ本体210aであり)、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの各部とモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合の強さが、第2通信アンテナ200aの第2端子部221aと第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第2通信アンテナ200aの第2端子部222aと第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第2通信アンテナ200aの第2アンテナ本体210aと第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分となる。このため、第2カプラにおいて、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの各部とモジュールM2の第2通信アンテナ200bと間の非接触通信量は、第2通信アンテナ200aの第2端子部221aと第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第2通信アンテナ200aの第2端子部222aと第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分>第2通信アンテナ200aの第2アンテナ本体210aと第2通信アンテナ200bとの間の電磁界結合部分となる。
【0083】
なお、第1、第2カプラにおける非接触通信が同時に行われていれば良く、第1通信アンテナ200aの第1端子部221aに対するシングルエンド信号の入力と、第2通信アンテナ200aの第2端子部221aに対するシングルエンド信号の入力とが同時に行われる必要はない。
【0084】
また、上記何れかの第1、第2カプラにおける非接触通信は、モジュールM2がモジュールM1に対して仮想の回転軸P又は現実の回転軸を中心に所定角度の範囲又は360°で回転しつつ行っても良いし、モジュールM2がモジュールM1に対して前記回転が停止した状態で行っても良い。
【0085】
ここで、実験例1及び実験例2の実験を行ったので、以下、実験例1及び実験例2について詳しく説明する。
【0086】
実験例1は、第1モジュールM’(図7Aの左側のモジュールM’を参照)と、第2モジュールM’(図7Aの右側のモジュールM’を参照)とを有する。
【0087】
第1モジュールM’は、基体100と、円環状の導体である内側、外側通信アンテナ200’と、送信部410’と、復元部420’と、図示しない第1、第2同軸コネクタとを備えている。第1モジュールM’の基体100は、図7Bに示すように、リング状の基板である以外、基体100aと同様の構成である。第1モジュールM’の内側、外側通信アンテナ200’は、基体100aの第1面101上に形成された導体であって、両者の中心Cを一致させて同心円状に且つ仮想の第1分割線と仮想の第2分割線とが中心C周りに0°の角度間隔となるように配置されている。内側通信アンテナ200’は、その半径が10mmであり、その幅寸法が2mmである。外側通信アンテナ200’は、その半径が18mmであり、その幅寸法が2mmである。第1分割線は、中心Cから内側通信アンテナ200’の端子部221’、222’の外側端の第1角部を通って放射状に延びる仮想の一対の仮想の半直線L3間の第3仮想領域を半分に二分するように延びる仮想線である。第2分割線は、中心Cから外側通信アンテナ200’の端子部221’、222’の外側端の第1角部を通って放射状に延びる仮想の半直線L4間の第4仮想領域を半分に二分するように延びる仮想線である。第1モジュールM’の復元部420’は、基体100の第2面上に実装されており且つ内側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’に電気的に接続されている以外、復元部420aと同様の構成である。第1モジュールM’の第1同軸コネクタは基体100の第2面上に実装されており且つ復元部420’に電気的に接続されている。第1同軸コネクタが高速信号用オシロスコープ21に接続されている。このようにして復元部420’が、基体100及び第1同軸コネクタを介してオシロスコープ21に電気的に接続されている。第1モジュールM’の送信部410’は、基体100の第2面上に実装されており且つ外側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’に電気的に接続されている以外、送信部410aと同様の構成である。第1モジュールM’の第2同軸コネクタは基体100の第2面上に実装されており且つ送信部410’に電気的に接続されている。このようにして送信部410’が基体100及び第2同軸コネクタを介して信号発信器11に電気的に接続されている。
【0088】
実験例1の第2モジュールM’は、以下の点で相違する以外、第1モジュールM’と同様の構成である。第2モジュールM’の送信部410’は、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’に電気的に接続されている。第2モジュールM’の第1同軸コネクタは、第2モジュールM’の送信部410’に電気的に接続されている。第2モジュールM’の第1同軸コネクタが信号発信器12に接続されている。このようにして第2モジュールM’の送信部410’が基体100及び第1同軸コネクタを介して信号発信器12に電気的に接続されている。第2モジュールM’の復元部420’は、第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’に電気的に接続されている。第2モジュールM’の第2同軸コネクタは、第2モジュールM’の復元部420’に電気的に接続されている。第2モジュールM’の第2同軸コネクタが高速信号用オシロスコープ22に接続されている。このようにして第2モジュールM’の復元部420’が、基体100及び第2同軸コネクタを介してオシロスコープ22に電気的に接続されている。
【0089】
第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’と、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’とがZ-Z’方向において互いに対向し、且つ第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’と、第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’とがZ-Z’方向において互いに対向した状態で、第1、第2モジュールM’が固定されている。位置固定されているので、第1モジュールM’は、第2モジュールM’に対して回転しない。第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’と、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’とが、Z-Z’方向において、互いに対向しており、且つ、第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’と、第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’の一対の端子部221’、222’とが、Z-Z’方向において、互いに対向している。第1モジュールM’の中心Cと第2モジュールM’の中心CとがZ-Z’方向において一致している。第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’から第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’までのZ-Z’方向の距離が3.5mmであり、第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’から第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’までのZ-Z’方向の距離が3.5mmである。このように実験例1の第1、第2モジュールM’が構成されている。以下、この構成を実験例1の前提構成ともいう。
【0090】
一方、実験例2は、第1モジュールM’’(図7Cの左側のモジュールM’’を参照)と、第2モジュールM’’(図7Cの右側のモジュールM’’を参照)とを有する。
【0091】
第1モジュールM’’は、基体100と、内側、外側通信アンテナ200’’と、送信部410’’と、復元部420’’と、図示しない第1、第2同軸コネクタとを備えている。第1モジュールM’’の基体100は、第1モジュールM’の基体100と同じ構成である。第1モジュールM’’の内側、外側通信アンテナ200’’は、図7Dに示すように、仮想の第1分割線と仮想の第2分割線とが中心C周りに180°の角度間隔となるように配置されている以外、第1モジュールM’の内側、外側通信アンテナ200’と同じ構成である。第1モジュールM’’の復元部420’’は、基体100の第2面上に実装されており且つ内側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’に電気的に接続されている以外、復元部420aと同様の構成である。第1モジュールM’’の第1同軸コネクタは基体100の第2面上に実装されており且つ復元部420’’に電気的に接続されている。第1同軸コネクタが高速信号用オシロスコープ23に接続されている。このようにして第1モジュールM’’の復元部420’’が、基体100及び第1同軸コネクタを介してオシロスコープ23に電気的に接続されている。第1モジュールM’’の送信部410’’は、基体100の第2面上に実装されており且つ外側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’に電気的に接続されている以外、送信部410aと同様の構成である。第1モジュールM’’の第2同軸コネクタは基体100の第2面上に実装されており且つ送信部410’’に電気的に接続されている。このようにして第1モジュールM’’の送信部410’’が基体100及び第2同軸コネクタを介して信号発信器13に電気的に接続されている。
【0092】
実験例2の第2モジュールM’’は、以下の点で相違する以外、第1モジュールM’’と同様の構成である。第2モジュールM’’の送信部410’’は、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’に電気的に接続されている。第2モジュールM’’の第1同軸コネクタは、第2モジュールM’’の送信部410’’に電気的に接続されている。第2モジュールM’’の第1同軸コネクタが信号発信器14に接続されている。このようにして第2モジュールM’’の送信部410’’が基体100及び第1同軸コネクタを介して信号発信器14に電気的に接続されている。第2モジュールM’’の復元部420’’は、第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’に電気的に接続されている。第2モジュールM’’の第2同軸コネクタは、第2モジュールM’’の復元部420’’に電気的に接続されている。第2モジュールM’’の第2同軸コネクタが高速信号用オシロスコープ24に接続されている。このようにして第2モジュールM’’の復元部420’’が、基体100及び第2同軸コネクタを介してオシロスコープ24に電気的に接続されている。
【0093】
第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’と、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’とがZ-Z’方向において互いに対向し、且つ第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’と、第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’とがZ-Z’方向において互いに対向した状態で、第1、第2モジュールM’’が固定されている。位置固定されているので、第1モジュールM’’は、第2モジュールM’’に対して回転しない。第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’と、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’とが、Z-Z’方向において、互いに対向しており、第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’と、第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’の一対の端子部221’’、222’’とが、Z-Z’方向において、互いに対向している。第1モジュールM’’の中心Cと第2モジュールM’’の中心CとがZ-Z’方向において一致している。第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’から第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’までのZ-Z’方向の距離が3.5mmであり、第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’から第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’までのZ-Z’方向の距離が3.5mmである。このように実験例2の第1、第2モジュールM’’が構成されている。以下、この構成を実験例2の前提構成ともいう。
【0094】
実験例1において、信号発信器12から第2モジュールM’の第1同軸コネクタを介してディファレンシャル信号が第2モジュールM’の送信部410’に入力される。第2モジュールM’の送信部410’によって、前記信号が、非接触通信を行うためのデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、伝送速度が1.0Gbpsのディファレンシャル信号である。このデジタル信号が、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’の端子部221’、222’に入力され、これにより、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’と第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’とが第1カプラを構成する。これと同時に、信号発信器11から第1モジュールM’の第2同軸コネクタを介してディファレンシャル信号が第1モジュールM’の送信部410’に入力される。第1モジュールM’の送信部410’によって、前記信号が、非接触通信を行うためのデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、伝送速度が0.8Gbpsのディファレンシャル信号である。このデジタル信号が、第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’の端子部221’、222’に入力され、これにより、第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’と第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’とが第2カプラを構成する。
【0095】
第1カプラによって第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’に誘起される信号が、第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’の端子部222’、221’から第1モジュールM’の復元部420’に入力される。第1モジュールM’の復元部420’によって、誘起された信号が元のデジタル信号に復元される。この復元されたデジタル信号がオシロスコープ21に入力される。これと共に、第2カプラによって第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’に誘起される信号が、第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’の端子部222’、221’から第2モジュールM’の復元部420’に入力される。第2モジュールM’の復元部420’によって、誘起された信号が元のデジタル信号に復元される。この復元されたデジタル信号がオシロスコープ22に入力される。
【0096】
実験例2において、信号発信器14から第2モジュールM’’の第1同軸コネクタを介してディファレンシャル信号が第2モジュールM’’の送信部410’’に入力される。第2モジュールM’’の送信部410’’によって、前記信号が、非接触通信を行うためのデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、伝送速度が1.0Gbpsのディファレンシャル信号である。このデジタル信号が、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’の端子部221’’、222’’に入力され、これにより、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’と第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’とが第1カプラを構成する。これと同時に、信号発信器13から第1モジュールM’’の第2同軸コネクタを介してディファレンシャル信号が第1モジュールM’’の送信部410’に入力される。第1モジュールM’’の送信部410’’によって、前記信号が、非接触通信を行うためのデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、伝送速度が0.8Gbpsのディファレンシャル信号である。このデジタル信号が、第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’の端子部221’’、222’’に入力され、これにより、第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’と第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’とが第2カプラを構成する。
【0097】
第1カプラによって第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’に誘起される信号が、第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’の端子部222’’、221’’から第1モジュールM’’の復元部420’’に入力される。第1モジュールM’’の復元部420’’によって、誘起された信号が元のデジタル信号に復元される。この復元されたデジタル信号がオシロスコープ23に入力される。これと共に、第2カプラによって第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’に誘起される信号が、第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’の端子部222’’、221’’から第2モジュールM’’の復元部420’’に入力される。第2モジュールM’’の復元部420’’によって、誘起された信号が元のデジタル信号に復元される。この復元されたデジタル信号がオシロスコープ24に入力される。
【0098】
実験例1において、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’、第1カプラ及び第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’によってオシロスコープ21に伝送され、オシロスコープ21によって観測されたデジタル信号の微分波形が、図8Aに示されている。この信号の微分波形は、破線で示す丸で囲った後段部が大きく、ノイズが増加している様が看取された。これに対して、実験例2において、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’、第1カプラ及び第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’によってオシロスコープ23に伝送され、オシロスコープ23によって観測されたデジタル信号の微分波形が、図10Aに示されている。この信号の微分波形は、破線で示す丸で囲った後段部が小さく、ノイズが低減されている様が看取された。
【0099】
実験例1において、第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’、第2カプラ及び第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’によってオシロスコープ22に伝送され、オシロスコープ22によって観測された信号の微分波形が、図8Bに示されている。この信号の微分波形は、破線で示す丸で囲った部分で波形が乱れ、ノイズが増加している様が看取された。これに対して、実験例2において、第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’、第2カプラ及び第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’によってオシロスコープ24に伝送され、オシロスコープ24によって観測された信号の微分波形が、図10Bに示されている。この信号の微分波形は、破線で示す丸で囲った部分に波形の乱れが殆どなく、ノイズが低減している様が看取された。
【0100】
更に、回路シミュレータを用いて第1シミュレーション及び第2シミュレーションを行った。
【0101】
第1シミュレーションは、上記した実験例1の前提構成を用いて以下の通り行った。
第2モジュールM’の送信部410’から第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’にディファレンシャルのデジタル信号が入力され、第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’と第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’とで第1カプラを構成させると同時に、第1モジュールM’の送信部410’から第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’にデジタル信号が入力され、第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’と第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’とで第2カプラを構成させる。第1カプラによって第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’に誘起される信号が、第1モジュールM’の復元部420’によって元のデジタル信号に復元され、この復元されたデジタル信号の100MHz~10GHzの周波数特性を得ると共に、第2カプラによって第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’に誘起される信号が、第2モジュールM’の復元部420’によって元のデジタル信号に復元され、この復元されたデジタル信号の100MHz~10GHzの周波数特性を得た。
【0102】
この第1シミュレーションによって、前述の前者のデジタル信号の周波数特性から第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’に関するSパラデータが得られ、前述の後者のデジタル信号の周波数特性から第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’に関するSパラデータが得られた。第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’に関するSパラデータが図9Aに示され、第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’に関するSパラデータが図9Bに示されている。なお、図9A及び図9Bでは、グラフを見やすくするために、X軸の上限値を5GHzとした。
【0103】
第2シミュレーションは、上記した実験例2の前提構成を用いて以下の通り諸条件を設定して行った。
第2モジュールM’’の送信部410’’から第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’にディファレンシャルのデジタル信号が入力され、第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’と第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’とで第1カプラを構成させると同時に、第1モジュールM’’の送信部410’’から第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’にデジタル信号が入力され、第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’と第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’とで第2カプラを構成させる。第1カプラによって第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’に誘起される信号が、第1モジュールM’’の復元部420’’によって元のデジタル信号に復元され、この復元されたデジタル信号の100MHz~10GHzの周波数特性を得ると共に、第2カプラによって第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’に誘起される信号が、第2モジュールM’’の復元部420’’によって元のデジタル信号に復元され、この復元されたデジタル信号の100MHz~10GHzの周波数特性を得た。
【0104】
この第2シミュレーションによって、前述の前者のデジタル信号の周波数特性から第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’に関するSパラデータが得られ、前述の後者のデジタル信号の周波数特性から第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’に関するSパラデータが得られた。第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’に関するSパラデータが図11Aに示され、第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’に関するSパラデータが図11Bに示されている。なお、図11A及び図11Bでは、グラフを見やすくするために、X軸の上限値を5GHzとした。
【0105】
図9Aに示される第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’に関するSパラデータは、第1モジュールM’の内側通信アンテナ200’と第2モジュールM’の内側通信アンテナ200’との間の通過特性、及び第1モジュールM’の基体100上の外側通信アンテナ200’から第1モジュールM’の基体100上の内側通信アンテナ200’への第1ノイズを含んでいる。通信特性は実線で、第1ノイズは破線で示されている。第1ノイズは、0.6GHz辺りで-50dbを超え、その後徐々に増加して2GHz辺りで-42dbとなり、2GHz辺りから5GHzまで横ばいに推移している様が看取される。
【0106】
これに対して、図11Aに示される第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’に関するSパラデータは、第1モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’と第2モジュールM’’の内側通信アンテナ200’’との間の通過特性、及び第1モジュールM’’の基体100上の外側通信アンテナ200’’から第1モジュールM’’の基体100上の内側通信アンテナ200’’への第1ノイズを含んでいる。通信特性は実線で、第1ノイズは破線で示されている。第1ノイズは、0.6GHz辺りで-50dbを超え、その後徐々に増加して2GHz辺りで-42dbとなるものの、2GHz辺りから4GHz辺りにかけて徐々に減少し、4GHz辺りで-50dbを下回る様が看取される。このように第2シミュレーションでは、第1シミュレーションよりも、第1ノイズが低減される結果が得られた。
【0107】
図9Bに示される第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’に関するSパラデータは、第2モジュールM’の外側通信アンテナ200’と第1モジュールM’の外側通信アンテナ200’との間の通過特性、及び第2モジュールM’の基体100上の内側通信アンテナ200’から第2モジュールM’の基体100上の外側通信アンテナ200’への第2ノイズを含んでいる。通信特性は実線で、第2ノイズは一点鎖線で示されている。第2ノイズは、0.6GHz辺りで-50dbを超え、その後徐々に増加して2GHz辺りで-42dbとなり、2GHz辺りから5GHzまで横ばいに推移している様が看取される。
【0108】
これに対して、図11Bに示される第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’に関するSパラデータは、第2モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’と第1モジュールM’’の外側通信アンテナ200’’との間の通過特性、及び第2モジュールM’’の基体100上の内側通信アンテナ200’’から第2モジュールM’’の基体100上の外側通信アンテナ200’’への第2ノイズを含んでいる。通信特性は実線で、第2ノイズは一点鎖線で示されている。第2ノイズは、0.6GHz辺りで-50dbを超え、その後徐々に増加して2GHz辺りで-42dbとなるものの、2GHz辺りから4GHz辺りにかけて徐々に減少し、4GHz辺りで-50dbを下回る様が看取される。このように第2シミュレーションでは、第1シミュレーションよりも、第2ノイズが低減される結果が得られた。
【0109】
以上のようなモジュールM1は、以下の技術的特徴及び効果を奏する。
技術的特徴及び効果1)
モジュールM1の第1通信アンテナ200aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの間及びモジュールM1の第2通信アンテナ200aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの間で同時に非接触通信を好適に行うことができる。その理由は以下の通りである。
【0110】
(ア)一般的に、通信アンテナの一対の端子部にディファレンシャル信号の正側信号、負側信号が入力される場合、通信アンテナの一対の端子部において、正側信号、負側信号の差動バランスが崩れる等して反射が生じ易く、反射によるノイズが発生し易い。
しかし、モジュールM1において、第1、第2通信アンテナ200aが略同心円状に配置されているものの、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないようにすることによって、第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aが第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aから離れて配置することができる。このため、第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aにディファレンシャル信号の正側信号、負側信号が入力されることによって、第1端子部221a及び/又は222aから生じたノイズが、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの間の非接触通信に干渉したり、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aにディファレンシャル信号の正側信号、負側信号が入力されることによって、第2端子部221a及び/又は222aから生じたノイズが、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの間の非接触通信に干渉したりする可能性が低減される。しかも、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの間は、上記の通り、電磁界結合が強い部分であるため、当該部分の非接触通信に対するノイズの干渉が低減されることによって、当該非接触通信を好適に行うことができ、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの間も、上記の通り、電磁界結合が強い部分であるため、当該部分の非接触通信に対するノイズの干渉が低減されることによって、当該非接触通信を好適に行うことができる。
【0111】
(イ)一般的に、通信アンテナの端子部にシングルエンド信号が入力される場合、端子部においてシングルエンド信号の反射が生じ易く、反射によるノイズが発生し易い。
しかし、モジュールM1において、第1、第2通信アンテナ200aが略同心円状に配置されているものの、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないようにすることによって、第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aが第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aから離れて配置することができる。このため、第1通信アンテナ200aの第1端子部221aにシングルエンド信号が入力されることによって、第1通信アンテナ200aの第1端子部221aから生じたノイズが、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221a、222aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの間の非接触通信に干渉したり、第2通信アンテナ200aの第1端子部221aにシングルエンド信号が入力されることによって、第2端子部221aから生じたノイズが、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1端子部221a、222aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの間の非接触通信に干渉したりする可能性が低減される。しかも、モジュールM1の第2通信アンテナ200aの第2端子部221aとモジュールM2の第2通信アンテナ200bとの間は、上記の通り、電磁界結合が強い部分であるため、当該部分の非接触通信に対するノイズの干渉が低減されることによって、当該非接触通信を好適に行うことができ、モジュールM1の第1通信アンテナ200aの第1端子部221aとモジュールM2の第1通信アンテナ200bとの間も、上記の通り、電磁界結合が強い部分であるため、当該部分の非接触通信に対するノイズの干渉が低減されることによって、当該非接触通信を好適に行うことができる。
【0112】
(ウ)入力されるデジタル信号がディファレンシャル信号及びシングルエンド信号の何れの場合であっても、第3仮想領域と第4仮想領域とが互いに重ならない場合、第1仮想領域と第2仮想領域とのみが互いに重ならない場合に比べて、第1端子部221a、222aが第2端子部221a、222aからより遠くに離れるため、上記(ア)又は(イ)の技術的特徴が顕著になる。
【0113】
(エ)第1通信アンテナ200aと第2通信アンテナ200aとの間にグランド導体300aが配置されている場合、第1通信アンテナ200aに伝送されるデジタル信号と、第2通信アンテナ200aに伝送されるデジタル信号とがクロストークする可能性が低減されるので、第1通信アンテナ200aと第2通信アンテナ200aとで同時に非接触通信を更により好適に行うことができる。
【0114】
技術的特徴及び効果2)
モジュールM1においては、第2通信アンテナ200aが第1通信アンテナ200aの外側に配置されており、第2通信アンテナ200aの面積が、第1通信アンテナ200aの面積よりも大きい場合、第2通信アンテナ200aの電気長が第1通信アンテナ200aの電気長よりも長くなる。この場合、第2送信部410aにより送信されるデジタル信号の伝送速度を、第1送信部410bにより送信されるデジタル信号の伝送速度よりも遅くすることによって、第1通信アンテナ200a及び第2通信アンテナ200aを用いて同時に異なる通信速度の非接触通信を好適に行うことができる。
【0115】
技術的特徴及び効果3)
第1通信アンテナ200aの幅寸法Wが、第2通信アンテナ200aの幅寸法Wよりも大きい場合、第1通信アンテナ200aの面積が増大することにより、第1通信アンテナ200aの電気長を第2通信アンテナ200aの電気長と略同じ又は近くすることができる。この場合、第1通信アンテナ200a及び第2通信アンテナ200aを用いて同時に異なる通信速度の非接触通信を行っても良いし、同じ通信速度で非接触通信を行っても良い。
【0116】
なお、モジュールM2は、モジュールM1と同様の技術的特徴及び効果を奏する。
【実施例2】
【0117】
以下、本発明の実施例2を含む複数の実施例に係る電子機器D’の第1アンテナモジュールM1’(以下、単にモジュールM1’とも称する。)及び第2アンテナモジュールM2’(以下、単にモジュールM2’とも称する。)について、図12を参照しつつ説明する。図12には、実施例2のモジュールM1’及びモジュールM2’が示されている。
【0118】
モジュールM1’は、下記相違点を除き、上記何れかの態様のモジュールM1と同様の構成である。よって、その相違点についてのみ詳しく説明し、モジュールM1と重複する説明については省略する。
【0119】
モジュールM1’の複数の通信アンテナ200aが、最内の通信アンテナ200aと、最外の通信アンテナ200aと、中間の通信アンテナ200aとを含む点で、実施例1のモジュールM1の複数の通信アンテナ200aと相違している。
【0120】
最内の通信アンテナ200aは、複数の通信アンテナ200aのうちの最も内側に位置し、最外の通信アンテナ200aは、複数の通信アンテナ200aのうちの最も外側に位置している。中間の通信アンテナ200aは、最内の通信アンテナ200aと最外の通信アンテナ200aとの間に位置し、最内の通信アンテナ200a及び最外の通信アンテナ200aとそれぞれ隣り合っている。
【0121】
複数の通信アンテナ200aは、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の構成を有している。
【0122】
(1)最内の通信アンテナ200aが上記何れかの態様の第1通信アンテナ200aに、中間の通信アンテナ200aが上記何れかの態様の第2通信アンテナ200aに相当する。この場合、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、最内の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとが配置されている。図12では、最内の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとは、最内の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aの中心Cから第1仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第1分割線と前記中心Cから第2仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第2分割線とが、前記中心C周りに略120°の角度間隔で位置するように、配置されている。
【0123】
(2)中間の通信アンテナ200aが上記何れかの態様の第1通信アンテナ200aに、最外の通信アンテナ200aが上記何れかの態様の第2通信アンテナ200aに相当する。この場合、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと最外の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとが配置されている。図12では、中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと最外の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとは、前記中心Cから第1仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第1分割線と前記中心Cから第2仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第2分割線とが、前記中心C周りに略120°の角度間隔で位置するように、配置されている。
【0124】
なお、複数の通信アンテナ200aが上記(1)又は(2)の構成を有する場合、複数の通信アンテナ200aは少なくとも一つの第3通信アンテナ200aを含んでいても良い。少なくとも一つの第3通信アンテナは、複数の通信アンテナ200aのうちの第1、第2通信アンテナ200aに相当しないアンテナであって、モジュールM2’の複数の通信アンテナ200bのうちの一つと上記カプラを構成でき、非接触通信可能な構成であれば良い。
【0125】
モジュールM2’も、下記相違点を除き、上記した何れかの態様のモジュールM2と同様の構成である。モジュールM2’の複数の通信アンテナ200bが、最内の通信アンテナ200bと、最外の通信アンテナ200bと、中間の通信アンテナ200bとを含む点で、実施例1のモジュールM2の複数の通信アンテナ200bと相違している。最内の通信アンテナ200b、最外の通信アンテナ200b、中間の通信アンテナ200bは、上記何れかの態様の最内の通信アンテナ200a、最外の通信アンテナ200b、中間の通信アンテナ200bと同様の構成とすると良い。
【0126】
以上のようなモジュールM1’及びモジュールM2’は、モジュールM1及びモジュールM2と同様の技術的特徴及び効果を奏する。
【実施例3】
【0127】
以下、本発明の実施例3を含む複数の実施例に係る電子機器D’’の第1アンテナモジュールM1’’(以下、単にモジュールM1’’とも称する。)及び第2アンテナモジュールM2’’(以下、単にモジュールM2’’とも称する。)について、図13を参照しつつ説明する。図13には、実施例3のモジュールM1’’及びモジュールM2’’が示されている。
【0128】
モジュールM1’’は、下記相違点を除き、上記した何れかの態様のモジュールM1と同様の構成である。よって、その相違点についてのみ詳しく説明し、モジュールM1と重複する説明については省略する。
【0129】
モジュールM1’’の複数の通信アンテナ200aが、最内の通信アンテナ200aと、最外の通信アンテナ200aと、複数の中間の通信アンテナ200aとを含む点で、実施例1のモジュールM1の複数の通信アンテナ200aと相違している。
【0130】
複数の通信アンテナ200aは、下記(1)~(3)の少なくとも一つの構成を有する。
【0131】
(1)最内の通信アンテナ200aが上記何れかの態様の第1通信アンテナ200aに、複数の中間の通信アンテナ200aのうちの最も内側に位置する通信アンテナ200a(最内の中間の通信アンテナ200a)が上記何れかの態様の第2通信アンテナ200aに相当する。この場合、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、最内の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと最内の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとが配置されている。図13では、最内の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと最内の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとは、最内の通信アンテナ200aのアンテナ本体210aの中心Cから第1仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第1分割線と前記中心Cから第2仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第2分割線とが、前記中心C周りに略90°の角度間隔で位置するように、配置されている。
【0132】
(2)複数の中間の通信アンテナ200aのうちの隣り合う中間の通信アンテナ200aの内側の通信アンテナ200a(内側の中間の通信アンテナ)が上記何れかの態様の第1通信アンテナ200aに、外側の通信アンテナ200a(外側の中間の通信アンテナ)が上記何れかの態様の第2通信アンテナ200aに相当する。この場合、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、内側の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと外側の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとが配置されている。図13では、内側の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと外側の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとは、前記中心Cから第1仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第1分割線と前記中心Cから第2仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第2分割線とが、前記中心C周りに略90°の角度間隔で位置するように、配置されている。
【0133】
(3)複数の中間の通信アンテナ200aのうちの最も外側に位置する通信アンテナ200a(最外の中間の通信アンテナ)が上記何れかの態様の第1通信アンテナ200aに、最外の通信アンテナ200aが上記何れかの態様の第2通信アンテナ200aに相当する。この場合、上記第1仮想領域と上記第2仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように又は上記第3仮想領域と上記第4仮想領域とがZ方向側から見て(平面視において)互いに重ならないように、最外の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと最外の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとが配置されている。図13では、最外の中間の通信アンテナ200aの端子部221a、222aと最外の通信アンテナ200aの端子部221a、222aとは、前記中心Cから第1仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第1分割線と前記中心Cから第2仮想領域を半分に二分するように延びる仮想の第2分割線とが、前記中心C周りに略90°の角度間隔で位置するように、配置されている。
【0134】
なお、複数の通信アンテナ200aが上記(1)~(3)の何れか一つ又は二つの構成を有する場合、複数の通信アンテナ200aは上記少なくとも一つの第3通信アンテナ200aを含んでいても良い。
【0135】
モジュールM2’’も、下記相違点を除き、上記した何れかの態様のモジュールM2と同様の構成である。モジュールM2’’の複数の通信アンテナ200bが、最内の通信アンテナ200bと、最外の通信アンテナ200bと、複数の中間の通信アンテナ200bとを含む点で、実施例1のモジュールM2の複数の通信アンテナ200bと相違している。最内の通信アンテナ200b、最外の通信アンテナ200b、複数の中間の通信アンテナ200bは、上記何れかの態様の最内の通信アンテナ200a、最外の通信アンテナ200b、複数の中間の通信アンテナ200bと同様の構成とすると良い。
【0136】
以上のようなモジュールM1’’及びモジュールM2’’は、モジュールM1及びモジュールM2と同様の技術的特徴及び効果を奏する。
【0137】
なお、本発明の電子機器及びモジュールは、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0138】
本発明の電子機器は、上記何れかの態様の第2アンテナモジュールが、上記何れかの態様の第1アンテナモジュールに回転不能に支持されていても良い。本発明の電子機器は、上記した何れかの態様の第1、第2アンテナモジュールの何れか一方のモジュールのみを備えた構成とすることが可能である。この場合、相手方通信装置は、一方のモジュールの複数の通信アンテナと各々カプラを構成し、非接触通信可能な複数の通信アンテナを備えていれば良い。
【0139】
本発明の第1、第2通信アンテナは、基体の第1面上に同心状に設けられているとしたが、これに限定されるものではない。本発明の第1、第2通信アンテナが金属板又はコイルで構成されている場合、その第1、第2端子部が基体に支持され、第1、第2アンテナ本体が中空に配置されていても良いし、その第1、第2アンテナの一部が基体に支持され、第1、第2通信アンテナの前記一部以外の部分が中空に配置されていても良い。なお、本発明の第1、第2通信アンテナは、Z-Z’方向において異なる高さ位置に配置されていても良い。
【0140】
本発明の第1、第2通信アンテナは、相手方の第1、第2通信アンテナと各々電磁界結合可能な構成であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、本発明の第1、第2通信アンテナは、相手方の第1、第2通信アンテナと各々磁界結合可能な構成とすることも可能である。この場合の磁界結合時の第1通信アンテナから第2通信アンテナまでの距離(非接触通信の通信距離)も、0mm~数mm程度の近距離とすると良いが、これに限定されるものではない。
【0141】
本発明のモジュールM1及び/又はモジュールM2の筐体は、省略可能である。
【0142】
なお、上記実施例の各態様及び設計変形例における電子機器及びモジュールの各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例の各態様及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。本発明のZ-Z’方向は、複数の通信アンテナのうちの少なくとも一つの中心を通り且つ複数の通信アンテナの配列方向に対して直交する限り任意に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0143】
D、D’、D’’:電子機器
M1、M2、M1’、M2’ M1’’、M2’’:第1、第2アンテナモジュール(モジュール)
100a、100b:基体
101a、101b:第1面
102a、102b:第2面
200a、200b:通信アンテナ(第1及び第2通信アンテナを含む。)
210a、210b:アンテナ本体
221a、221b、222a、222b:端子部
C:中心
300a、300b:グランド導体
400a、400b:通信回路部
410a、410b:送信部(第1及び第2送信部を含む。)
420a、420b:復元部
500a、500b:充電アンテナ
600a、600b:充電回路部
700a、700b:筐体
S:磁性シート
P:回転軸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13