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特許7489070脊椎用インプラントおよび脊椎用インプラントの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】脊椎用インプラントおよび脊椎用インプラントの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240516BHJP
   A61L 27/12 20060101ALI20240516BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A61F2/44
A61L27/12
A61L27/54
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021574737
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 JP2021003452
(87)【国際公開番号】W WO2021153795
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2020015252
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020015253
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】松永 和也
(72)【発明者】
【氏名】中田 文也
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 正明
(72)【発明者】
【氏名】森本 忠嗣
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-136655(JP,A)
【文献】特開平2-241461(JP,A)
【文献】特開平5-208029(JP,A)
【文献】特表2007-519488(JP,A)
【文献】特開2011-234924(JP,A)
【文献】特開2012-40194(JP,A)
【文献】特表2013-518619(JP,A)
【文献】特表2018-537235(JP,A)
【文献】特表2014-533178(JP,A)
【文献】特開2019-180796(JP,A)
【文献】特開2019-180797(JP,A)
【文献】特表2019-517372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56―17/92
A61F 2/28― 2/46
A61L 27/00―27/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料で構成され、上面、下面、及び側面を有する基体と、
前記基体上に配された、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜とを備え、
前記基体の外表面は、前記被膜が配された第1領域と、前記被膜から露出している第2領域とを有し、
前記第1領域の一部は前記側面に位置し、
前記第1領域に配されており、前記基体を第1方向に貫通する第1貫通部を有し、
前記第1貫通部の内面はリン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜を備える、脊椎用インプラント。
【請求項2】
前記第2領域に配された、係合器具と係合可能な係合部を、さらに備える、請求項1に記載の脊椎用インプラント。
【請求項3】
前記係合部は、前記係合器具と前記基体とを係止する凹部または凸部を含む係止機構を有する、請求項2に記載の脊椎用インプラント。
【請求項4】
前記第2領域に、ネジ孔を有する、請求項1~3のいずれかに記載の脊椎用インプラント。
【請求項5】
前記係止機構は、前記第2領域に設けた開口部の直径よりも内部の直径が大きな孔部を含み、
前記係止機構は、前記係合器具に配され、前記孔部に挿通可能で、外径が変更可能な先端部と係止可能である、請求項3に記載の脊椎用インプラント。
【請求項6】
前記係止機構は、前記係合器具に配され、前記係合部を挟持可能な挟持部と係止可能である、請求項3に記載の脊椎用インプラント。
【請求項7】
前記基体は、粗面化された粗面部を有し、前記被膜は当該粗面部の少なくとも一部を被覆している、請求項1~6のいずれかに記載の脊椎用インプラント。
【請求項8】
前記粗面部は、前記第1領域に配され、前記粗面部の表面粗さは、前記第2領域の表面粗さより大きい、請求項7に記載の脊椎用インプラント。
【請求項9】
前記被膜は、前記基体に直接、配されている、請求項1~8のいずれかに記載の脊椎用インプラント。
【請求項10】
第1方向と交わる方向である第2方向に前記基体を貫通する第2貫通部を、さらに備える、請求項1に記載の脊椎用インプラント。
【請求項11】
前記第2貫通部は、互いに離れて配された複数の貫通孔を有している、請求項10に記載の脊椎用インプラント。
【請求項12】
前記基体の表面は、第4領域と、前記第4領域よりも表面粗さが小さい第5領域を有している、請求項1~11のいずれかに記載の脊椎用インプラント。
【請求項13】
前記第1領域は、前記第4領域に重なっている、請求項12に記載の脊椎用インプラント。
【請求項14】
前記被膜は、前記第1領域よりも膜厚が小さい第6領域を、さらに有する、請求項1~13のいずれかに記載の脊椎用インプラント。
【請求項15】
基体と、
前記基体上に配された、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜とを備え、
前記被膜は、第1領域と、前記第1領域よりも膜厚が小さい第6領域とを有し、
前記第1領域は、前記基体の外周面に位置しており、
前記第6領域は、前記基体を第1方向に貫通する第1貫通部の内面に位置している、脊椎用インプラント。
【請求項16】
前記基体の表面は、第4領域と、前記第4領域よりも表面粗さが小さい第5領域を有し、前記第6領域は、前記第5領域に重なっている、請求項14または15に記載の脊椎用インプラント。
【請求項17】
前記第6領域は、第1方向と交わる方向である第2方向に前記基体を貫通する第2貫通部の内面に位置している、請求項14~16のいずれかに記載の脊椎用インプラント。
【請求項18】
金属材料で構成され、上面、下面、側面、及び第1方向に貫通する第1貫通部を有する基体の前記側面を含む外表面及び前記第1貫通部に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜を部分的に形成する工程を含む、脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項19】
前記被膜を形成する前に、前記基体に係合器具と係合可能な係合部を形成する工程を含み、
前記被膜を形成する工程において、前記係合部を除いて前記被膜を形成する、請求項18に記載の脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項20】
前記被膜を形成する前に、前記基体にネジ孔を形成する工程を含み、
前記被膜を形成する工程において、前記基体に、前記ネジ孔を除いて前記被膜を形成する、請求項18または19に記載の脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項21】
前記被膜を形成する前に、前記基体の表面の少なくとも一部に粗面を形成する工程を含む、請求項18~20のいずれかに記載の脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項22】
前記被膜を形成する工程において、
前記粗面の少なくとも一部を被覆するように被膜を形成する、請求項21に記載の脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項23】
前記粗面を形成する工程において、
溶射およびブラスト処理の少なくともいずれか一方によって粗面を形成する、請求項21または22に記載の脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項24】
前記粗面を形成する工程において、アディティブマニュファクチャリングにより前記粗面を形成する工程を含む、請求項21または22に記載の脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項25】
前記被膜を形成する工程において、
第1領域と前記第1領域よりも膜厚の小さい第6領域を有する被膜を形成する、請求項18~24のいずれかに脊椎用インプラントの製造方法。
【請求項26】
第1方向に貫通する第1貫通部を有する基体を準備する工程と、
前記基体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含み、前記基体の外周面に位置する第1領域と前記第1領域よりも膜厚の小さく、前記第1貫通部の内面に位置する第6領域を有する被膜を形成する工程と、を含む、脊椎用インプラントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、隣接する椎骨間に挿入され椎間板を補綴する脊椎用インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘルニア等の変性または疾病状態を改善するための手術等で除去された椎間板を補綴するための脊椎用インプラントが知られている。例えば特許文献1には、本体の上面および下面にランド部および溝を備えた椎骨インプラントが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、医療用インプラントのためのコーティングであって、一部に骨結合剤を含有するとともに、銀を含む抗菌金属剤を含有するコーティングが記載されている。さらに、特許文献3、4には、リン酸カルシウム系材料からなるコーティング膜を形成した生体インプラントが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特表2003-526458号公報
【文献】日本国特表2011-512959号公報
【文献】日本国特開2008-73098号公報
【文献】国際公開2013/114947号
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントは、基体と、前記基体上に配された、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜とを備え、前記基体の表面は、前記被膜が配された第1領域と、前記被膜から露出している第2領域とを有する。
【0006】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントは、基体と、前記基体上に配された、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜とを備え、前記被膜は、第1領域と、前記第1領域よりも膜厚が小さい第6領域とを有する。
【0007】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法は、基体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜を部分的に形成する被膜形成工程を含む。
【0008】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法は、基体を準備する工程と、前記基体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含み、第1領域と前記第1領域よりも膜厚の小さい第6領域を有する被膜を形成する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る脊椎用インプラントの使用形態の一例を示す図である。
図2】脊椎用インプラントの斜視図である。
図3】脊椎用インプラントの上面図である。
図4】脊椎用インプラントの側面図である。
図5】脊椎用インプラントを、図4のA-A線で切断した場合の切断面を示す図である。
図6】脊椎用インプラントの保持器具の斜視図である。
図7】脊椎用インプラントと保持器具とを接続した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。
【0011】
従来、体内に挿入する脊椎用インプラントに対し、コーティングに含まれる抗菌金属剤を減らすことについては、特に言及されていない。しかしながら、体内に挿入する脊椎用インプラントに対し、抗菌金属剤を含有するコーティングを行う場合、様々な面において、抗菌金属剤を少なくした方が望ましい場合がある。
【0012】
そこで、本発明の一態様では、抗菌金属剤を有するコーティングがされた脊椎用インプラントにおいて、抗菌金属剤を減らすことができる。具体的には、以下に説明する。
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る脊椎用インプラントは、椎間板の代わり、または椎間板を補綴するために、隣接する椎骨間に挿入され、脊柱構造の高さを置換、矯正または修復するために用いられるものである。なお、隣接する椎骨間に挿入される脊椎用インプラントは、例えば、椎体間スペーサ、ブロック、ケージ等とも呼ばれる。
【0014】
〔使用形態〕
まず、図1を参照して脊椎用インプラント1の使用形態について説明する。図1は、脊椎用インプラント1の使用形態の一例を示す図である。なお、説明の便宜上、以下では、前と記載された矢印が示す方向を前側または前方と称する。また、後と記載された矢印が示す方向を後側または後方と称する。また、上と記載された矢印が示す方向を上側または上方と称する。また、下と記載された矢印が示す方向を下側または下方と称する。また、右と記載された矢印が示す方向を右側と称する。また、左と記載された矢印が示す方向を左側と称する。また、図1における前側が人体における腹部側であり、図1における後側が人体における背中側である。
【0015】
本実施形態に係る脊椎用インプラント1は、椎間板ヘルニア等の手術における椎体間固定術の1つであるPLIF(Posterior Lumbar Interbody Fusion、後方椎体間固定術)等で用いられる。このPLIFでは、神経を圧迫している骨が取り除かれて除圧された後、棘突起および椎間関節が切除または部分的に切除され、椎間板および軟骨終板が摘出される。そして、その椎間板が摘出された部分を補綴するように、隣接する椎骨50の間に脊椎用インプラント1が挿入される。
【0016】
脊椎用インプラント1は、棒状に形成されたロッド部を有する保持器具100(図6参照)によって保持された状態で、後方、すなわち人体の前後方向における背中側から椎骨間へ挿入される。一般的に、脊椎用インプラント1は、図1に示すように、隣接する2つの椎骨50の間に2つ、左右方向に並ぶように挿入される。そして、脊椎用インプラント1が挿入された2つの椎骨50に跨るように金属製のロッド(図示せず)が架け渡されて各椎骨50に固定されることにより、2つの椎骨50が互いに固定される。
【0017】
なお、本実施形態に係る脊椎用インプラント1は、PLIFに限らず、その他の術式、例えばTLIF(Transforaminal Lumbar Interbody Fusion、片側進入腰椎後方椎体間固定術)等で用いることもできる。この場合、脊椎用インプラント1は、椎骨間における左右方向のいずれか一方側のみに挿入される。
【0018】
〔脊椎用インプラント1の構成〕
次に、図2図5を参照して、脊椎用インプラント1の構成について説明する。図2図5は、脊椎用インプラント1の構成を示す図であり、図2は脊椎用インプラント1の斜視図、図3は脊椎用インプラント1の上面図、図4は脊椎用インプラント1の側面図、図5図4のA―Aで示す線において切断したときの切断面を示す図である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態に係る脊椎用インプラント1は、前後方向に延びる略直方体形状の基体2により形成されており、前面3、後面4、右側面5、左側面6、上面8、および下面9を含む。そして、上面8から下面9にかけて、上面8および下面9から見た形状が楕円となる空洞部7が設けられているとともに、右側面5および左側面6には1または複数の孔部5aおよび孔部6aが設けられている。右側面5および左側面6から見た複数の孔部5aおよび孔部6aの形状は、円形である。
【0020】
なお、脊椎用インプラント1は、略直方体形状に限られず、例えば略立方体形状でもよい。また、空洞部7の上面8および下面9から見た形状は、楕円に限られず、例えば、円または四角形であってもよい。また右側面5および左側面6から見た複数の孔部5aおよび孔部6aの形状は、円形に限られず、例えば、四角形であってもよい。
【0021】
また、空洞部7の開口面(楕円)の面積は、側面の孔部5a、6aの開口面(略円)の面積よりも大きい。空洞部7は、基体2の後面4寄りに設けられていてもよい。すなわち、空洞部7から前面3までの距離は、空洞部7から後面4までの距離よりも小さくてもよい。
【0022】
また、側面の孔部5a、6aは、基体2の後面4寄りに設けられていてもよい。すなわち、側面の孔部5a、6aから前面3までの距離は、側面の孔部5a、6aから後面4までの距離よりも小さくてもよい。また、側面の孔部5a、6aは、空洞部7に貫通しており、右側面5または左側面6側の開口面の面積は、空洞部7の内面側の開口面の面積よりも大きい。また、側面の孔部5a、6aは、テーパー状になっていてもよい。
【0023】
さらに、後面4には、ネジ孔4a(ネジ山は図示せず)および凹部4bが設けられている。凹部4bは、後面4の上下方向中央付近において、後面4から、右側面5又は左側面6にかけて溝(切り欠き)を形成するように設けられている。
【0024】
ここで、本明細書において、例えば、脊椎用インプラント1の上下方向を第1方向とすれば、空洞部7は、基体2を第1方向に貫通する第1貫通部ということができ、脊椎用インプラント1は、基体2を第1方向に貫通する第1貫通部を備えるということができる。
【0025】
また、脊椎用インプラント1の左右方向を第2方向とすれば、左右方向に基体2を貫通する孔部5a、6aは、基体2を第1方向に交わる第2方向に貫通する第2貫通部ということができる。そして、脊椎用インプラント1は、基体2を第1方向に交わる第2方向に貫通する第2貫通部を備えるということができる。
【0026】
本実施形態では、基体2には、金属、セラミックスまたはプラスチックを用いることができる。金属としては、ステンレス合金、コバルト・クロム合金、チタン、チタン合金等を用いることができる。チタン合金としては、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、モリブデン、ニッケル、パラジウム、タンタル、ニオブ、バナジウム、白金等の少なくとも1種を添加した合金を用いることができる。また、セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、アルミナ・ジルコニア複合セラミックス等を用いることができる。また、プラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ベークライト等を用いることができる。
【0027】
前面3は、前後方向にやや厚い壁状に形成され、前方向(先端)に向かって中央部が膨出して、凸曲面を形成している。また、前面3は、先端に向かって幅が小さくなるようにテーパー形状となっている。このような形状によって、前面3をテーパー形状とすることにより、脊椎用インプラント1を椎骨間に挿入する場合に、挿入を容易にすることができる。
【0028】
後面4は、平坦面で形成されている。後面4の中央部分には、図2に示すように、前後方向に後面4から空洞部7まで貫通するネジ孔4aが形成されている。このネジ孔4aは、脊椎用インプラント1を保持するための保持器具100のロッド部先端に形成されたネジ部101に螺合する。すなわち、保持器具100は、一実施例として、係合器具としての機能も有しており、ネジ部101が、係合部としての機能を有するネジ孔4aに係合可能であってもよい。
【0029】
また、図2等に示すように、後面4の上下方向の中央部分には、凹部4bが形成されている。この凹部4bには、保持器具100のロッド部先端が当接する(図7参照)。なお、ネジ部101が螺合可能であれば、ネジ孔4aは、貫通していなくてもよい。また、保持器具100のネジ部101は、ロッド部先端とは独立して回転可能である。ネジ部101のみを回転させることにより、保持器具100のロッド部先端が凹部4bに当接した状態で、保持器具100を脊椎用インプラント1から着脱することができる。
【0030】
なお、脊椎用インプラント1は、必ずしもネジ孔4aを介して、保持器具100に保持されなくてもよい。例えば、保持器具100は、脊椎用インプラント1を把持可能な機構を有しており、把持することによって脊椎用インプラント1を保持してもよい。
【0031】
また、基体2は、前面3から後面4にかけてしぼむように、換言すれば、前後方向に垂直な面の断面積(外縁によって囲まれる領域の面積)が、後面4よりも前面3に向かって大きくなるように形成されている。さらに、前面3から後面4に進むに従って、基体2の左右方向の幅の変化量は、上下方向の高さの変化量よりも小さい。なお、本実施形態では、より具体的に、後面4および前面3を比較したときに、左右方向に沿った長さの最大値は一定であるとともに、上下方向に沿った長さの最大値が大きくなっていてもよい。このような形状にすることにより、ヒトの椎体の形状に適合させることができる。
【0032】
右側面5および左側面6は、それぞれが前後方向に延びるように形成され、左右方向に対向するように設けられている。図2に示すように、右側面5および左側面6の中央部分には、それぞれ、左右方向に貫通する孔部5a、6aが形成されている。この孔部5a、6aは、椎骨間に挿入されて固定された状態における脊椎用インプラント1付近の血流を促進するためのものである。
【0033】
図2図3図5に示すように、脊椎用インプラント1には、上面8から下面9にかけて上下方向に貫通する空洞部7が形成されている。この空洞部7には、骨形成材料が充填される。
【0034】
図2から図4に示すように、上面8には、該上面8から上方へ突出するとともに、該上面8の面内で左右方向に延びる複数の突条歯部10が形成されている。同様に、下面9には、該下面9から下方へ突出するとともに、該下面9の面内で左右方向に延びる複数の突条歯部10が形成されている。すなわち、これらの複数の突条歯部10は、各面8,9から突出する歯部として設けられている。
【0035】
なお、この場合、上述したように、「基体2は、前面3から後面4にかけてしぼむように形成されている。」とは、突条歯部10の頂点の上下方向に沿った頂点の高さが、後方に向かって小さくなることを指す。
【0036】
また、上面8に配された複数の突条歯部10および下面9に配された複数の突条歯部10は、それぞれ互いに上下方向に対応する位置にあってもよい。すなわち、上面8に配されたある1つの突条歯部10の下方向には、下面9に配されたある1つの突条歯部10が位置してもよい。
【0037】
突条歯部10は、前方向の傾斜(傾き)が後方向の傾斜(傾き)よりも緩やか(小さく)になるように形成されている。脊椎用インプラント1の上面8および下面9が椎骨50と接触している場合、脊椎用インプラント1の前方向への移動を容易にするとともに、後方向への移動を困難としている。
【0038】
このように突条歯部10を備えることにより、脊椎用インプラント1の位置ずれを抑制することができるとともに、バックアウト(後述)も抑制することができる。
【0039】
また、前面3の上下方向の高さは、突条歯部10部分の上下方向の高さよりも小さく、後面4は、突条歯部10の頂点を結んだ仮想線の延長線上よりも内側に存在している。
【0040】
また、複数の突条歯部10の頂点を結んだ仮想線は、曲線で合ってもよい。また、複数の突条歯部10の頂点を結んだ仮想線が曲線の場合、曲線(仮想曲線)の頂点は、前面3側に位置していてもよい。すなわち、仮想曲線の頂点と前面3との距離は、仮想曲線の頂点と後面4との距離よりも小さくてもよい。
【0041】
そして、本実施形態に係る脊椎用インプラント1では、脊椎用インプラント1の全体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜が配されているものではなく、被膜が配された第1領域と被膜から露出している第2領域とを含む。
【0042】
リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜が配されている第1領域と被膜から露出している第2領域との識別は、各領域の表面の元素分析によって可能である。元素分析の方法は、例えば一般的な走査電子顕微鏡(SEM)の付属装置であるエネルギー分散型X線分析(EDX)装置による表面元素のマッピングで実施できる。また、X線光電子分光法、オージェ電子分光法、二次イオン質量分析法等の表面分析法を用いてもよい。また、各領域の表面を機械的に削り落として得られた試料を化学分析して、元素を確認してもよい。第1領域の表面では、リン、カルシウム、抗菌成分等が検出される。第2領域の表面では、基材を構成する元素が検出され、リン、カルシウム、抗菌成分等は検出されない、または、ノイズレベル以下である。
【0043】
例えば、脊椎用インプラント1の表面のうち、ネジ孔4aの領域(第2領域)には被膜が配されておらず、ネジ孔4a以外の領域(第1領域)のみに被膜が配されている。この場合、ネジ孔4aの領域は脊椎用インプラント1の基体表面がそのまま露出している。第2領域は、ネジ孔4a全体であってもよいし、ネジ孔4aの一部であってもよい。また、第2領域は、ネジ孔4aに限定されず、脊椎用インプラント1の他の部分であってもよい。なお、被膜から露出した基体表面の部分(第2領域)は、被膜から露出していればよく、被膜とは異なる膜や層が形成されていてもよい。
【0044】
これにより、脊椎用インプラント1は、被膜が配されていることによる利点を享受しつつ、被膜が剥がれて体内に持ち込まれるおそれを低減することができる。
【0045】
また、脊椎用インプラント1の被膜について、上面8と右側面5又は左側面6との境界部、あるいは下面9と右側面5又は左側面6との境界部の膜厚が、他の領域の膜厚よりも厚くなっていてもよい。すなわち、基体の角部における被膜を厚く形成することができる。
【0046】
また、脊椎用インプラント1の空洞部7の被膜について、空洞部7の開口の縁の膜厚が、空洞部7の内面の膜厚よりも厚くなっていてもよい。また、空洞部7の開口から内側に向かって、膜厚が薄くなるように被膜が形成されていてもよい。
【0047】
〔基体の準備〕
脊椎用インプラント1の製造方法について説明する。まず、脊椎用インプラント1の製造のために、基体2を準備する。基体2は、例えば、金属材料からまる丸棒などの塊を切削加工することによって形成することができる。切削加工することにより、前面3、後面4、上面8、下面9、右側面5、左側面6、空洞部7および孔部5a、6a等の、各構成要素を備えた、基体を準備することができる。すなわち、脊椎用インプラント1となる基体に、上下方向に貫通する空洞部7、左右側面に孔部5a、6a、後面にネジ孔4aを設ける(係合部を形成する工程、孔形成工程)。なお、基体2は、セラミックスまたは樹脂の塊を切削することによって形成してもよいし、切削加工と異なる方法によって成形してもよい。
【0048】
〔被膜方法〕
次に、脊椎用インプラント1の被膜方法について説明する。本実施形態に係る脊椎用インプラント1は、基体上にリン酸カルシウム系材料および抗菌剤を含む材料を溶射することによって被膜が形成されている。抗菌剤は例えば銀であり、溶射被膜中の銀濃度は、例えば0.05重量%~3.00重量%である。リン酸カルシウム系材料としては、ヒドロキシアパタイト、α-第3リン酸カルシウム、β-第3リン酸カルシウムおよび第4リン酸カルシウムから成る群から選択される1種または2種以上の混合物を用いることができる。
【0049】
リン酸カルシウム系材料を含む溶射被膜を形成するために用いる溶射法としては、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法、プラズマ溶射法およびコールドスプレー法を挙げることができる。例えば、フレーム溶射法では、酸素と可燃性ガスとのガス炎を熱源として溶射材料を溶融または溶融に近い状態にして母材の表面に吹き付けて被膜を形成する。通常のフレーム溶射法では、溶射温度は約2700℃、溶射速度マッハ0.6である。溶射条件として、例えば、酸素ガス50psi、アセチレンガス43psiのガスフレームトーチ中に、100psiのドライエアーで溶射粉末を導入し、溶射距離60~100mmで溶射を行うことができる。
【0050】
溶射被膜の厚さは、5~100μm、好ましくは20~40μmである。5μm以上であれば溶射部位全域を覆うことができ、また、100μm以下であれば、溶射時の残留応力で、被膜の密着強度が低下するということもないからである。
【0051】
本実施形態において、抗菌材を含むリン酸カルシウム系材料の溶射被膜は、被膜原料の粉末が、溶融(または半溶融)状態で母材(基体)に吹き付けられて冷却、固化、堆積することによって形成される。そのため溶射被膜を、溶射層またはコーティング層と呼んでもよい。
【0052】
形成した溶射被膜を熱処理してもよい。この場合、リン酸カルシウム系材料の結晶度が増加して被膜の安定性を向上させることができるからである。熱処理は、10-2Pa以下の減圧下、400~1000℃の温度範囲で、0.5~7時間行う。好ましくは550~850℃の温度範囲で、1~5時間である。
【0053】
また、熱処理後、溶射被膜を水和処理してもよい。水和処理を行うことにより、酸素アパタイトから水酸アパタイトへ転換され、銀イオンの溶出性を安定化できる。水和処理は物質に水分子を付加させる工程であり、例えば、60~100℃の水中に10~60分間浸漬することで行うことができる。
【0054】
溶射被膜中の銀濃度は、溶射材料となるリン酸カルシウム系材料に配合する銀原料の量を変化させることにより、調整することができる。溶射被膜中の銀濃度は、0.05重量%~3.00重量%、好ましくは0.05重量%~2.50重量%、より好ましくは0.05重量%~1.00重量%、さらに好ましくは0.1重量%~1.00重量%である。0.05重量%以上であれば抗菌性が十分となるためである。また、3.00重量%以下であれば生体組織に対する負担を抑えることができる。
【0055】
脊椎用インプラント1の被膜工程は、以下の通りである。基体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜を部分的に形成する(被膜形成工程)。なお、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜が基体に部分的に形成された領域が第1領域であり、被膜が形成されなかった基体の領域が第2領域である。この被膜形成工程では、ネジ孔4aに被覆形成工程用のネジを挿入した状態で被膜を形成し、その後、ネジを抜く。これにより、ネジ孔4aを除いて被膜を形成することができる。ネジ孔4a全体に第2領域を配置するときは、ネジ孔4aを被覆形成工程用のネジで全て埋めればよい。被覆形成工程用のネジは、例えば、ネジ孔4aが貫通するように配置される。なお、粗面化を行う場合、被膜を形成する前に粗面化を行えばよい(粗面化工程)。
【0056】
被膜の形成方法は、フレーム溶射、高速フレーム溶射、プラズマ溶射などの溶射法に限られるものではない。スパッタリング、イオンプレーテイング、イオンビーム蒸着、イオンミキシング法などの物理的蒸着法あるいはゾルゲル法などの湿式コーティング法が選択されてもよい。
【0057】
また、被膜は上述した方法により基体2に直接配されてもよいし、以下のように、中間層を介して配されてもよい。すなわち、塗布、メッキ、溶射、蒸着等の方法により、基体表面に被膜を形成し、これを中間層として更に上記のリン酸カルシウム系材料の被膜を形成してもよい。また、中間層の形成方法として、アディティブマニュファクチャリング(付加製造)の手法を用いてもよい。
中間層としては、金属、高分子またはセラミックスであってもよい。例えば、PEEK樹脂を基体とし、チタン金属の中間層を基体の所望の表面に形成した後、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜を中間層の表面上に形成してもよい。
【0058】
〔椎骨間への挿入方法〕
次に、本実施形態に係る脊椎用インプラント1を、椎骨間に挿入する際の手順について説明する。
【0059】
まず、術者は、脊椎用インプラント1を椎骨間に挿入する際、脊椎用インプラント1を保持するための保持器具100に脊椎用インプラント1をセットする。具体的には、保持器具100のロッド部を脊椎用インプラント1の凹部4bを挟み込んだ状態で、保持器具100のネジ部を脊椎用インプラント1のネジ孔4aに螺合する。これにより、保持器具100に対する脊椎用インプラント1が位置決めされ、脊椎用インプラント1が保持される。なお、脊椎用インプラント1の空洞部7には、骨形成材料が充填される。
【0060】
次に、術者は、脊椎用インプラント1を椎骨間に挿入する。具体的には、術者は、神経を圧迫している骨および椎間板等が除去された椎骨間に対して、脊椎用インプラント1における前面3側を、人体の背中側から挿入する。そして、隣接する椎骨50間における左右一方側(例えば右側)に脊椎用インプラント1を配置した後、保持器具100を脊椎用インプラント1から外すことにより、脊椎用インプラント1を椎骨間における右側の部分に設置する。脊椎用インプラント1の設置位置が術前に想定した位置より浅い場合は、打ち込み器具(インパクター)を用いて脊椎用インプラント1を打ち込んで、設置位置を調整する。同様に、術者は、脊椎用インプラント1を、隣接する椎骨間における左側の部分に設置する。
【0061】
そして、術者は、隣接する椎骨間に金属製のロッド(図示省略)を架け渡し、このロッドを、各椎骨50に固定する。これにより、隣接する椎骨50を互いに固定できる。手術後、空洞部7に充填された骨形成材料が上下の椎骨50と骨融合することにより、隣接する椎骨50が強固に固定されることになる。
【0062】
ところで、一般的に、脊椎ケージを椎骨間に固定した初期状態、または、空洞部に充填された骨形成材料が椎骨と十分に骨融合しない状態などにおいて、バックアウトの問題が生じることがある。バックアウトとは、椎骨間の所定位置に設置された脊椎用インプラント1が、患者の背中側(後方)へ移動してずれてしまうことである。
【0063】
本実施形態に係る脊椎用インプラント1は、上面8および下面9に設けられた突条歯部10の傾斜が前面よりも後面が急峻となっている。これにより、脊椎用インプラント1が後方に移動することを困難にすることができ、脊椎用インプラント1がバックアウトしてしまうことを抑制することができる。
【0064】
〔粗面化〕
脊椎用インプラント1の表面の一部を粗面化し、粗面部を有するようにしてもよい。例えば、脊椎用インプラント1の上面8および下面9を粗面化してもよい。粗面化は、例えば、溶射およびブラスト処理の少なくともいずれかを用いることにより行うことができる。溶射材料としては、基体2の材料として例示した材料を用いることができる。ブラスト処理としてはサンドブラスト等が挙げられる。また、3Dプリンタ等を用いて脊椎用インプラント1の表面に多孔質構造を形成する等の処理を行うことにより粗面化することも可能である。上面8および下面9を粗面化することにより、粗面された部分が脊椎と接触し、脊椎用インプラント1と脊椎との固着性を向上させることができる。
【0065】
なお、粗面の形成は、被膜を形成する前に粗面化を行えばよい。また、その後に、形成された粗面上に被膜を形成すればよい。
【0066】
粗面の形成は、基体の各面を粗面化することによって行われればよい。具体的には、上面8、下面9に対して第1方向から粗面化処理を行ない、粗面を形成し、右側面5、左側面6に対して第2方向から粗面化処理を行ない、粗面を形成することができる。また、その後、前面3に対して、第1方向および第2方向に交わる第3方向(前後方向)から粗面化処理を行ない、粗面を形成することができる。
【0067】
なお、前面3の形状によっては、上面8、下面9、右側面5および左側面6に対して行なう粗面化処理によって、前面3上にも十分な粗さの粗面が形成される場合がある。この場合には、前面3に対する粗面化処理を省略してもよい。
【0068】
また、粗面の形成は、空洞部7および孔部5a、6aのそれぞれの内面に対して行なってもよい。
【0069】
なお、空洞部7、孔部5a、6aの形状および溶射またはサンドブラストの方向によっては、被膜の外面(上面8、下面9、右側面5および左側面6)に対して溶射等を行なうと同時に、空洞部7、孔部5a、6aの内面に溶射を行ない、第1領域および第2領域を含む被膜を形成してもよい。
【0070】
〔変形例〕
また、本実施形態では、保持器具100と脊椎用インプラント1とをネジにより螺合させることで、保持器具100により脊椎用インプラント1を保持しているが、保持器具100による脊椎用インプラント1の保持はネジに限られるものではない。
【0071】
例えば、脊椎用インプラント1の基体2に凹部または凸部を含む係止機構を設け、当該係止機構に保持器具100の一部を嵌め合わせて係止させることにより、脊椎用インプラント1を保持するようにしてもよい。具体的には、基体に開口部の直径よりも内部の直径の方が大きな孔を設け、保持器具の先端に外径を可変とする機構を設けて、保持器具先端の外径を小さくした状態で基体の孔に差し込み、孔の内部で外径を大きくして係止する、等の機構でもよい。すなわち、保持器具100は係合器具としての機能も有しており、保持器具と係合する孔(係合部)が、保持器具100と基体2とを係止する係止機構を有していてもよい。なお、基体の一部を挟持する保持器具により脊椎用インプラントを係止して保持してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、被膜から露出している第2領域を、ネジ孔4aの領域として説明した。ここで、ネジ孔4aの深さ方向に沿った全領域を第2領域としてもよいが、一部の領域にとどめてもよい。ただし、保持器具100を差し込む側の領域については第2領域とすることが望ましい。また、第2領域は、ネジ孔4aの領域に限られるものではなく、上述した係止機構や係合部の領域であってもよい。また、これらの領域に限らず、保持器具100によって脊椎用インプラント1を保持する際に、保持器具100の一部と接する領域、あるいは保持器具100の一部と摺動する領域を第2領域としてもよい。以上で説明した領域以外は被膜が配された第1領域とすることが望ましいが、以上で説明した領域以外にも被膜から露出している第2領域を設けてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、本開示に係る脊椎用インプラントとして、隣接する椎骨間に挿入される脊椎用インプラント1を例示した。しかしながら、本開示に係る脊椎用インプラントは、上記脊椎用インプラント1に限られるものではない。例えば、脊椎用インプラント1を椎骨間に挿入した状態で固定するための脊椎ロッド(脊椎を一定の形状に固定するためのもの。)や、脊椎スクリュー(脊椎ロッドを脊椎に固定するために椎骨にねじ込まれるもの。)なども、本開示に係る脊椎用インプラントに含まれる。この場合において、被膜から露出している第2領域は、部材同士(例えば、脊椎ロッドと脊椎スクリュー。)が接する、あるいは摺動する領域に設定することが望ましい。
【0074】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。すなわち、本実施形態において言及していない構成については、上述した実施形態1における構成と同様である。
【0075】
〔脊椎用インプラント1の構成〕
本実施形態に係る脊椎用インプラント1では、脊椎用インプラント1の全体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜が配されているものではなく、被膜が配された第1領域、第1領域よりも被膜の膜厚が小さい第6領域を含むものであってよい。
【0076】
本実施形態では、例えば、脊椎用インプラント1の前面3、後面4の一部(ネジ孔4a、凹部4bを除く部分)、上面5、下面9、右側面5、および左側面6は、被膜が配された第1領域である。また、孔部5a、6aの内面、空洞部7の内面、および凹部4bは、第1領域よりも膜厚の小さい被膜が配された第6領域である。
【0077】
このように、第1領域は、基体2の外周面であってよく、第6領域は、空洞部7の内面、および孔部5a、6aの内面であってよい。これにより、脊椎用インプラント1は、被膜が配されていることによる利点を享受しつつ、脊椎用インプラント1全体が被膜によりコーティングされている場合と比較して、被膜の総量を減らすことができる。
【0078】
また、被膜が第1領域よりも膜厚の小さい第6領域を有することによって、第1領域の被膜に比較して、第6領域の被膜を形成しやすくすることができ、ひいては、脊椎用インプラント1の製造効率を向上させることができる。
【0079】
また、さらに脊椎用インプラント1は、第6領域よりも被膜の膜厚が小さい、もしくは被膜されていない(被膜から露出している)第3領域を含む。なお、第3領域は、上述した実施形態1における第2領域に相当する。本実施形態では、ネジ孔4aは、被膜の配されていない第3領域である。この場合、ネジ孔4aの領域は脊椎用インプラント1の基体表面がそのまま露出している。第3領域は、ネジ孔4a全体であってもよいし、ネジ孔4aの一部であってもよい。また、第3領域は、ネジ孔4aに限定されず、脊椎用インプラント1の他の部分であってもよい。なお、被膜から露出した基体表面の部分(第3領域)は、被膜から露出していればよく、被膜とは異なる膜や層が形成されていてもよい。
【0080】
〔被膜方法〕
脊椎用インプラント1の被膜工程は、以下の通りである。被膜は、膜厚が異なるように、形成する(被膜形成工程)。これにより、被膜について、膜厚の異なる第1領域および第6領域を形成することができる。被膜の形成は、基体2の各面に対して、溶射被膜を行なうことによって形成することができる。基体2上の被膜の厚みは、溶射により形成する場合、例えば、溶射時間、溶射方向、溶射材料の構成、溶射温度などの溶射条件を調整することで変えることができる。例えば、基体2の被膜の厚みを大きくする場合には溶射時間を長くすることにより実現することが可能であり、基体2の被覆の厚みを小さくする場合には溶射時間を短くすることで実現することが可能である。
【0081】
具体的には、上面8、下面9に対して第1方向から溶射を行ない、被膜を形成し、右側面5、左側面6に対して第2方向から溶射を行ない、被膜を形成することができる。また、その後、前面3に対して、第1方向および第2方向に交わる第3方向(前後方向)から溶射を行ない、被膜を形成することができる。このようにして、基体2の各面に対して被膜の第1領域を形成することができる。
【0082】
なお、前面3の形状によっては、上面8、下面9、右側面5および左側面6に対して行なう溶射によって、前面3上にも十分な膜厚の被膜が形成される場合がある。この場合には、前面3に対する溶射を省略してもよい。
【0083】
また、被膜の形成は、空洞部7および孔部5a、6aのそれぞれの内面に対して行なう。空洞部7および孔部5a、6aに対する溶射は、被膜の第1領域を形成する場合に比較して、照射時間を短くすることによって、第1領域よりも膜厚の小さい第6領域の被膜を形成することができる。また、被膜の第6領域の形成は、例えば、第1領域を形成する場合に比較して、溶射する材料の量を低減することによって、形成されてもよい。
【0084】
なお、空洞部7、孔部5a、6aの形状および溶射方向によっては、被膜の外面(上面8、下面9、右側面5および左側面6)に対して溶射を行なうと同時に、空洞部7、孔部5a、6aの内面に溶射を行ない、第1領域および第6領域を含む被膜を形成してもよい。すなわち、基体2の形状と溶射材料の回り込み量を想定して、基体2に対して溶射を行なうことによって第1領域の膜厚および第6領域の膜厚を形成することができる。
【0085】
また、被膜の形成は、後面4の凹部4bの内面に対して行なう。凹部4bに対する溶射は、被膜の2領域を形成する場合に比較して、照射時間を短くすることによって、第6領域よりも膜厚の小さい第3領域の被膜を形成することができる。また、被膜の第3領域の形成は、例えば、第6領域を形成する場合に比較して、溶射する材料の量を低減することによって、形成されてもよい。なお、被膜の第3領域は、溶射条件によっては、第1領域および第6領域と同時に形成してもよい。また、凹部4bを除く後面4については、被膜の第1領域または第6領域であってもよい。
【0086】
なお、被膜形成工程では、ネジ孔4aに被覆形成工程用のネジを挿入した状態で被膜を形成し、その後、ネジを抜く。これにより、ネジ孔4aを除いて被膜を形成することができる。ネジ孔4a全体に第6領域を配置するときは、ネジ孔4aを被覆形成工程用のネジで全て埋めればよい。被覆形成工程用のネジは、例えば、ネジ孔4aが貫通するように配置される。これによって、被膜の第3領域を形成してもよい。なお、粗面化を行う場合、被膜を形成する前に粗面化を行えばよい(粗面化工程)。
【0087】
〔粗面化〕
粗面の形成は、基体の各面を粗面化することによって行われればよい。具体的には、上面8、下面9に対して第1方向から粗面化処理を行ない、粗面を形成し、右側面5、左側面6に対して第2方向から粗面化処理を行ない、粗面を形成することができる。また、その後、前面3に対して、第1方向および第2方向に交わる第3方向(前後方向)から粗面化処理を行ない、粗面を形成することができる。このようにして、基体2の各面に対して粗面の第4領域を形成することができる。
【0088】
なお、前面3の形状によっては、上面8、下面9、右側面5および左側面6に対して行なう粗面化処理によって、前面3上にも十分な粗さの粗面が形成される場合がある。この場合には、前面3に対する粗面化処理を省略してもよい。
【0089】
また、粗面の形成は、空洞部7および孔部5a、6aのそれぞれの内面に対して行なう。空洞部7および孔部5a、6aに対する粗面化処理は、粗面の第4領域を形成する場合に比較して、処理時間を短くすることによって、第4領域よりも粗さの小さい第5領域の粗面を形成することができる。また、粗面の第5領域の形成は、例えば、第4領域を形成する場合に比較して、溶射する材料の量またはサンドブラストの量を低減することによって、形成されてもよい。
【0090】
なお、空洞部7、孔部5a、6aの形状および溶射またはサンドブラストの方向によっては、被膜の外面(上面8、下面9、右側面5および左側面6)に対して溶射等を行なうと同時に、空洞部7、孔部5a、6aの内面に溶射を行ない、第1領域および第6領域を含む被膜を形成してもよい。
【0091】
なお、前述した第1領域は、脊椎用インプラント1の前面3、後面4、上面8、下面9、右側面5、および左側面6のため、第4領域と重なっていてもよい。また、第6領域は、空洞部7の内面、および孔部5a、6aの内面のため、第5領域と重なっていてもよい。
【0092】
〔変形例〕
また、本実施形態では、被膜から露出している第3領域を、ネジ孔4aの領域として説明した。ここで、ネジ孔4aの深さ方向に沿った全領域を第3領域としてもよいが、一部の領域にとどめてもよい。ただし、保持器具100を差し込む側の領域については第3領域とすることが望ましい。また、第3領域は、ネジ孔4aの領域に限られるものではなく、上述した係止機構や係合部の領域であってもよい。また、これらの領域に限らず、保持器具100によって脊椎用インプラント1を保持する際に、保持器具100の一部と接する領域、あるいは保持器具100の一部と摺動する領域を第3領域としてもよい。以上で説明した領域以外は被膜が配された第1領域または第6領域とすることが望ましいが、以上で説明した領域以外にも被膜から露出している第3領域を設けてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、孔部5a、6aの内面、空洞部7の内面、および凹部4bを第6領域としたが、凹部4bは、第1領域であってもよい。また、ネジ孔4a以外の外部に面していない面を第6領域としてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、本開示に係る脊椎用インプラントとして、隣接する椎骨間に挿入される脊椎用インプラント1を例示した。しかしながら、本開示に係る脊椎用インプラントは、上記脊椎用インプラント1に限られるものではない。例えば、脊椎用インプラント1を椎骨間に挿入した状態で固定するための脊椎ロッド(脊椎を一定の形状に固定するためのもの。)や、脊椎スクリュー(脊椎ロッドを脊椎に固定するために椎骨にねじ込まれるもの。)なども、本開示に係る脊椎用インプラントに含まれる。この場合において、被膜から露出している第3領域は、部材同士(例えば、脊椎ロッドと脊椎スクリュー。)が接する、あるいは摺動する領域に設定することが望ましい。
【0095】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0096】
〔まとめ〕
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントは、基体と、前記基体上に配された、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜とを備え、前記基体の表面は、前記被膜が配された第1領域と、前記被膜から露出している第2領域とを有する。
【0097】
前記被膜におけるリン酸カルシウム系材料は、骨伝導性及び骨固定性を向上させる効果がある。前記被膜における抗菌剤は、細菌の付着及び増殖を低減させる効果がある。
【0098】
そして、前記の構成によれば、前記基体の被膜から露出している第2領域を保持して、手術時等に脊椎用インプラントを体内に挿入することができるので、脊椎用インプラントの挿入時および保持器具の取外し時において、保持部分から被膜が剥がれ落ちにくくなる。よって、基体の全面が被覆されている場合と比較して、被膜が剥がれて体内に持ち込まれるおそれを低減することができる。
【0099】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第2領域に配された、係合器具と係合可能な係合部を、さらに備えるものであってもよい。
【0100】
前記の構成によれば、第2領域に、係合器具と係合可能な係合部を備えるので、係合時に被膜が剥がれ落ちることを防止することができる。
【0101】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記係合部は、前記係合器具と前記基体を係止する凹部または凸部を含む係止機構を有するものであってもよい。
【0102】
前記の構成によれば、粘着剤や磁力等を用いること無く、凹部または凸部を含む係止機構によって、係合器具と基体とを係止することができる。
【0103】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記係合部に、ネジ孔を有するものであってもよい。
【0104】
前記の構成によれば、ネジ孔を用いることにより、保持器具に脊椎用インプラントを容易に取り付けることができ、また、容易に取り外すこともできる。
【0105】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記基体は、粗面化された粗面部を有し、前記被膜は当該粗面部の少なくとも一部を被覆しているものであってもよい。
【0106】
前記の構成によれば、粗面部を脊椎と接触させることにより、脊椎用インプラントと脊椎との固着性を向上させることができる。
【0107】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記被膜は、前記基体に直接、配されていることが望ましい。
【0108】
前記の構成によれば、脊椎用インプラントの構成が簡略になるので、製造コストを抑制することができる。
【0109】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法は、基体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜を部分的に形成する被膜形成工程を含む。
【0110】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記被膜形成工程の前に、前記基体に係合器具と係合可能な係合部を形成する工程を含み、前記被膜形成工程において、前記係合部を除いて前記被膜を形成するものであってもよい。
【0111】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記被膜形成工程の前に、前記基体にネジ孔を形成する孔形成工程を含み、前記被膜形成工程において、前記基体に、前記ネジ孔を除いて前記被膜を形成するものであってもよい。
【0112】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記被膜形成工程の前に、前記基体の一部を粗面化して粗面部を形成する粗面化工程を含み、前記被膜形成工程では、前記粗面部の少なくとも一部を被覆するように被膜を形成するものであってもよい。
【0113】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記粗面化工程において、溶射およびブラスト処理の少なくともいずれかによって粗面化するものであってもよい。
【0114】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントは、基体と、前記基体上に配された、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含む被膜とを備え、前記被膜は、第1領域と、前記第1領域よりも膜厚が小さい第6領域とを有する。
【0115】
前記被膜におけるリン酸カルシウム系材料は、骨伝導性および骨固定性を向上させる効果がある。また、前記被膜における抗菌剤は、細菌の付着および増殖を低減させる効果がある。一方で、抗菌金属剤にもコストがかかるため、可能な限り少ない方が望ましい。そして、前記の構成によれば、被膜の一部の領域の膜厚を他の領域よりも薄くするので、薄くしない場合と比較して、抗菌金属剤の総量を減らすことができる。これにより、例えばコストの低減を図ることができる。
【0116】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記基体を第1方向に貫通する第1貫通部を、さらに備えるものであってもよい。
【0117】
前記の構成によれば、第1貫通部に、骨形成材料を充填することができ、これにより、脊椎用インプラントと椎骨との接合を容易にすることができる。
【0118】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第1領域は、前記基体の外周面に位置しており、前記第6領域は、前記第1貫通部の内面に位置しているものであってもよい。
【0119】
前記の構成によれば、第1貫通部の内面の被膜の膜厚を、外周面の被膜の膜厚よりも小さくするので、椎骨に直接、接触する可能性の高い領域の抗菌性を維持しつつ、抗菌剤に含まれる銀の総量を減らすことができる。
【0120】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記被膜は、前記第6領域よりも膜厚の小さい第3領域を有しており、前記第1領域および前記第3領域は、前記基体の外周面に位置しているものであってもよい。
【0121】
前記の構成において、第3領域を、脊椎用インプラントを保持するための保持部とすれば、脊椎用インプラントの保持に伴う被膜の剥がれを抑制することができる。よって、前記の構成によれば、脊椎用インプラントの保持に伴って被膜が剥がれ体内に持ち込まれてしまうことを抑制することができる。
【0122】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記基体の表面は、第4領域と、前記第4領域よりも表面粗さが小さい第5領域を有しているものであってもよい。
【0123】
前記の構成によれば、必要に応じて、基体の所定の領域の表面粗さを小さくすることができる。
【0124】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第1領域は、前記第4領域に重なっていてもよい。
【0125】
前記の構成によれば、第1領域と第4領域との両方に属する領域を設けることができる。
【0126】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第6領域は、前記第5領域に重なっていてもよい。
【0127】
前記の構成によれば、第6領域と第5領域との両方に属する領域を設けることができる。
【0128】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第1方向と交わる方向である第2方向に前記基体を貫通する第2貫通部を、さらに備えるものであってもよい。
【0129】
前記の構成によれば、第2貫通部を介して血流を促進させることができる。
【0130】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第2貫通部は、互いに離れて配された複数の貫通孔を有しているものであってもよい。
【0131】
前記の構成によれば、複数の貫通孔を介して血流を促進させることができる。
【0132】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントでは、前記第6領域は、前記第2貫通部の内面に位置しているものであってもよい。
【0133】
前記の構成によれば、椎骨と直接、接触する可能性が低い第2貫通部の内面の被膜の膜厚を小さくすることができる。
【0134】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法は、基体を準備する工程と、前記基体に、リン酸カルシウム系材料と抗菌剤とを含み、第1領域と前記第1領域よりも膜厚の小さい第6領域を有する被膜を形成する工程と、を含む。
【0135】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記被膜を形成する工程において、前記基体の外表面に、前記第6領域よりも膜厚の小さい第3領域をさらに有する被膜を形成するものであってもよい。
【0136】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記被膜を形成する前に、前記基体の表面の少なくとも一部に粗面を形成する工程を含むものであってもよい。
【0137】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記被膜を形成する工程において、前記粗面の少なくとも一部を被覆するように被膜を形成するものであってもよい。
【0138】
本開示の一態様に係る脊椎用インプラントの製造方法では、前記粗面を形成する工程において、溶射およびブラスト処理の少なくともいずれか一方によって粗面を形成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 脊椎用インプラント
2 基体
3 前面
4 後面
4a ネジ孔(係合部、係止機構)
4b 凹部
5 右側面
5a 孔部
6 左側面
6a 孔部
7 空洞部
8 上面
9 下面
10 突条歯部
100 保持器具(係合器具)
101 ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7