IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マテラの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】植物の培地に散布される殺菌材
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20240516BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240516BHJP
   A01N 25/12 20060101ALI20240516BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01P3/00
A01N25/12 101
A01N61/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019144005
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021024812
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】508200090
【氏名又は名称】株式会社マテラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 憲臣
(72)【発明者】
【氏名】大野 照旺
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-301801(JP,A)
【文献】特開平08-143403(JP,A)
【文献】特開昭61-036187(JP,A)
【文献】和田恵治 ほか,EPMAによる黒曜石ガラスの主成分化学組成-遺跡出土黒曜石の産地特定:常呂川河口遺跡の例-,北海道大学大雪山自然教育研究施設研究報告,2003年,No.37,pp.59-70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンを含有する焼成流紋岩の粉末が造粒されてなる植物の培地に散布される殺菌材であって、
前記焼成流紋岩の粉末が、
流紋岩を原石として、
前記原石が焼成、粉砕されてなる多孔質で吸水特性のある、
粒径を100μm以下として、
0.1重量%以上の二酸化チタンを含有する焼成粉末で、
前記焼成粉末と、
培土の供給水で分散される赤土又は水溶性のバインダーとを含み、
50mg以上であって20g以下の粒状であり、
前記焼成粉末の含有量を10重量%以上としてなる植物の培地に散布する殺菌材。
【請求項2】
請求項1に記載の殺菌材であって、
前記殺菌材が球形であることを特徴とする植物の培地に散布する殺菌材。
【請求項3】
請求項2に記載の殺菌材であって、
前記殺菌材が、
外径を2mm以上であって2cm以下とする球形であることを特徴とする植物の培地に散布する殺菌材。
【請求項4】
請求項1に記載の殺菌材であって、
前記殺菌材が、
隅部を湾曲面とする粒状であることを特徴とする植物の培地に散布する殺菌材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用の植物培地に散布されて培地を殺菌する殺菌材に関し、とくに、二酸化チタンの光触媒作用で植物培地を殺菌する殺菌材に関する。
【背景技術】
【0002】
培地に二酸化チタンの粉末を散布する技術は開発されている。(特許文献1参照)
この技術は、二酸化チタンを含有する光触媒式の植物活性剤を培地に散布して植物の成長を促進する。植物活性剤は、二酸化チタンの粉状、又は二酸化チタンを粒状の担体表面に担持したものである。この植物活性剤は、二酸化チタンの光触媒作用で培地を殺菌し、あるいは培地を活性化して植物の生育を活性化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-95379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉末二酸化チタンの植物活性剤は、培地に散布されて光触媒作用で培地を殺菌するが、均一に散布するのに手間がかかる欠点があり、粒状の担体に二酸化チタンを担持した植物活性剤は、散布を簡単にできるが、培地を斑なく均等に殺菌するのが難しい欠点がある。
【0005】
本発明は、以上の以上の欠点を解消することを目的に開発されたもので、本発明の大切な目的は、簡単かつ容易に、しかも能率よく培地に散布できると共に、散布された培地を均等に効率よく殺菌できる二酸化チタンを含む殺菌材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の植物の培地に散布する殺菌材は、二酸化チタンを含有する焼成流紋岩の粉末が造粒されてなり、焼成流紋岩の粉末が、流紋岩を原石として、原石が焼成、粉砕されてなる多孔質で吸水特性のある、粒径を100μm以下として、0.1重量%以上の二酸化チタンを含有する焼成粉末で、焼成粉末と、培土の供給水で分散される赤土又は水溶性のバインダーとを含み、50mg以上であって20g以下の粒状であり、焼成粉末の含有量を10重量%以上としている。
【発明の効果】
【0007】
以上の殺菌材は、簡単かつ容易に、しかも能率よく培地に散布でき、しかも散布された状態では培地を均等に効果的に殺菌できる特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
【0009】
本発明の第1の実施態様の植物の培地に散布する殺菌材は、二酸化チタンを含有する焼成流紋岩の粉末が造粒されてなり、焼成流紋岩の粉末が、流紋岩を原石として、原石が焼成、粉砕されてなる多孔質で吸水特性のある、粒径を100μm以下として、0.1重量%以上の二酸化チタンを含有する焼成粉末で、焼成粉末と、培土の供給水で分散される赤土又は水溶性のバインダーとを含み、50mg以上であって20g以下の粒状であり、焼成粉末の含有量を10重量%以上としている。
【0010】
以上の殺菌材は、培地に簡単かつ容易に、しかも能率よく散布しながら、散布された状態では培地を均等に効率よく殺菌できる特徴がある。それは、以上の殺菌材が、二酸化チタンを含有する焼成流紋岩の粉末を赤土や水溶性のバインダーで粒状に造粒しているからである。この殺菌材は、散布に最適な粒径に造粒できるので、肥料や薬剤の散布器を使用して、培地に簡単に散布できる。さらに、培地に散布された粒状の殺菌材は、培地に供給される水で、焼成流紋岩の粉末が分散されて、培地の隙間から、あるいは浸透する水とともに培地にくまなく拡散する。培地に拡散した二酸化チタンの粉末は、光触媒作用で培地を殺菌する。さらに、分散した焼成流紋岩の粉末は、造粒された粒体に比較して表面積が飛躍的に増加して、極めて効率よく光触媒作用で培地を殺菌する。さらに、焼成流紋岩は、高温で焼成される工程で流紋岩に含まれる焼失成分が失われて微細な空隙が発生している。したがって、焼成流紋岩は、焼成されない流紋岩に比較して表面積が増加して光触媒による殺菌効果もさらに向上する。したがって、焼成流紋岩を赤土や水溶性のバインダーで造粒している殺菌材は、焼成流紋岩の粉末が、培土の供給水で分散された状態にあっては、表面積が飛躍的に増加して、二酸化チタンの光触媒による殺菌効果も飛躍的に向上する。
【0011】
本発明の第2の実施態様の植物の培地に散布する殺菌材は、殺菌材を球形にできる。
【0012】
本発明の第3の実施態様の植物の培地に散布する殺菌材は、殺菌材を、外径を2mm以上であって2cm以下とする球形にできる。
【0013】
本発明の第4の実施態様の植物の培地に散布する殺菌材は、殺菌材を、隅部を湾曲面とする粒状ににできる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
(実施の形態1)
殺菌材は粒状で、植物の培地に散布されて、焼成流紋岩が含有する二酸化チタンの光触媒作用で培地を殺菌する。殺菌材は、種子や肥料の散布機で能率よく均一に培地に散布できるように、焼成流紋岩の粉末を赤土や水溶性のバインダーで粒状に造粒している。殺菌材は、散布機で詰まらずスムーズに散布できるように球形に造粒することができる。球形の殺菌材は、例えば外径を2mm以上であって2cm以下とし、好ましくは5mm以上であって1cm以下として、散布機でスムーズに能率よく、しかも均一に培地に散布できる。
【0018】
さらに、殺菌材は、直方体であって、隅部を湾曲面とする粒状に成形することもできる。この形状の殺菌材は、隅部を湾曲面として、散布機で詰まらずスムーズに散布できる形状とする。この殺菌材は、1粒の重量を、例えば50mg以上であって20g以下、好ましくは0.5g以上であって10g以下の粒状として、散布機でスムーズに能率よく均一に散布できる。
【0019】
焼成流紋岩の粉末を造粒している殺菌材は、球形や隅を湾曲面とする直方体として散布機でスムーズに散布できるが、本発明は造粒された殺菌材を以上の形状に特定するものでなく、たとえば多面体、長手方向に切断して断面を楕円形とする形状等とすることもできる。
【0020】
殺菌材は、以上の大きさに造粒して散布機でスムーズに培地に散布できる。小さ過ぎる殺菌材は、粉末に近くなって凝集しやすく、大き過ぎる殺菌材は培地で均一に分散するのに時間がかかるので、殺菌材の大きさは、培地の種類や栽培する植物を考慮して最適な大きさに設定される。殺菌材は、培土に散布され、あるいはミョウガ等を養液栽培するのに使用されるヤシガラ培地や、ロックウールなどの繊維培地に散布される。
【0021】
殺菌材は、二酸化チタンを含有する焼成流紋岩の粉末を、赤土や水溶性のバインダーで粒状に造粒して製作される。焼成流紋岩の粉末は、原石を粒状に破砕して焼成し、焼成した粒状の流紋岩を粉末に加工する。ただ、焼成流紋岩の粉末は、原石を粉末に加工して焼成して製造することもできる。焼成流紋岩の粉末は、好ましくは、原石を平均粒径が3mm~5cmとする粒状に破砕して焼成し、焼成した後に粉砕して製造する。
【0022】
焼成流紋岩の粉末は、原石を破砕した状態で酸化雰囲気で焼成して能率よく焼成できる。破砕された粒状の流紋岩は、焼成する工程で、流紋岩の間に隙間ができて、各々の流紋岩の表面を広い面積で露出して、ほぼ全体を外周面から内部まで均一に加熱して焼成できるからである。焼成された粒状の流紋岩は、焼結されて硬化しているので、粉砕して能率よく粉末に加工できる。流紋岩の焼成温度は、低すぎると、内部まで均一に焼成できず、多孔質とならずに硬度が低くなる。反対に焼成温度が高すぎると焼成コストが高くなり、さらに溶融して多孔質な空隙が減少する。流紋岩は、700℃~900℃で溶融するので、流紋岩の焼成温度は、たとえば600℃以上であって900℃以下、好ましくは800℃~900℃とする。焼成は、破砕した流紋岩を下り勾配に配置している回転するトロンメルに供給し、トロンメルで撹拌しながら移送して能率よく均一に焼成できる。以上の温度で焼成された流紋岩は、融点の低い酸化カリウムを数%含有するので、焼成工程で低融点の酸化カリウム等が溶融され、さらに高温に加熱されて流紋岩に含まれる焼失成分が失われて微細な空隙が発生して多孔質に焼結される。したがって、焼成流紋岩は多孔質となって、焼成されない流紋岩に比較して表面積が増加して光触媒による殺菌効果が向上する。焼成工程では、溶融した低融点の酸化カリウム等が融材となって硬く焼結される。焼成された多孔質な流紋岩は、内部の微細な空隙が互いに連続する状態となって吸水特性も向上する。ちなみに、焼成されない流紋岩の表面を水滴が付着すると水は表面張力で内部に吸収されることなく水滴となって付着するが、焼成した流紋岩は、表面に水を付着すると表面に付着することなく速やかに内部に浸透して吸収される。
【0023】
流紋岩は、好ましくは愛媛県の重信町で採取される流紋岩を使用する。この流紋岩を焼成した焼成流紋岩は、蛍光X線分析・EZスキャンにおいて、以下の成分を含有する。
二酸化珪素(SiO)………… 70.9%
酸化アルミニウム(Al)…16.6%
酸化ナトリウム(NaO)……… 3.7%
酸化カリウム(KO)…………… 2.8%
三酸化第二鉄(Fe)…………2.2%
酸化カルシウム(CaO)…………3.0%
酸化マグネシウム(MgO)………0.2%
二酸化チタン(TiO)………… 0.2%
【0024】
殺菌材は、焼成流紋岩に含まれる二酸化チタンの光触媒作用で培地を殺菌するので、二酸化チタンの含有量を0.1重量%以上とする焼成流紋岩を使用して造粒する。焼成された焼成流紋岩は、摩砕機や粉砕機を使用して、たとえば1μm以上であって200μm以下、好ましくは10μm以上であって100μm以下の粒径に粉砕する。焼成流紋岩の粉末は、培地において分散して表面積が飛躍的に大きくなり、二酸化チタンの光触媒作用で培地を極めて効果的に殺菌する。さらに、培地は、植物を生育させるために多量の光線が照射される環境にあって、二酸化チタンの光触媒作用による殺菌効果が極めて高くなる。さらに、このことに加えて、培地は表面から細菌汚染が発生しやすいが、培地の表層部は光線の照射強度が強く、二酸化チタンの光触媒作用による殺菌効果も高くなって、細菌汚染が発生しやすい培地の表層部分が、焼成流紋岩粉末で効果的に殺菌される特徴がある。さらに、二酸化チタンの光触媒作用による殺菌効果は、相当に弱い紫外線によっても実現されるので、培地にできるわずかな隙間から内部に侵入する紫外線によっても、培地の表層部も殺菌される特徴がある。とくに、ヤシガラ繊維や樹皮の培地は、無数の隙間ができるので、無数の隙間から内部に侵入する紫外線が、培地の内部に分散している焼成流紋岩粉末を照射して殺菌効果を実現する。
【0025】
ちなみに、焼成流紋岩が、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、カンジダを殺菌する効果を試験すると、これ等の細菌は、試験開始後、わずか1週間程度でほぼ完全に滅菌され、クロコウジカビは、約3週間経過後に、約90%が滅菌できた。以上の殺菌効果は、細菌やカビを培養して生理食塩水に懸濁して、菌数値を数十万個/gの菌液とし、この菌液を焼成流紋岩の粉末で殺菌して効果を測定した。この試験は、粒径を50μmとする焼成流紋岩粉末の殺菌効果を測定したが、粒径を1μm~100μmとする焼成流紋岩の粉末は50μmの焼成流紋岩の粉末と同等の殺菌効果を実現する。
【0026】
殺菌材は、焼成流紋岩の粉末と、バインダーの赤土を同量混合して原料粉末とし、原料粉末に水を添加して造粒する。殺菌材は、焼成流紋岩粉末の混合量を多くして、光触媒による殺菌効力を強くできる。殺菌材は、光触媒効果による殺菌力を強くするために、焼成流紋岩粉末の混合量を、例えば20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上とする。殺菌材は、焼成流紋岩粉末の混合率を高くして、赤土の混合量を少なくすると造粒の強度が低下する。造粒の強度が低すぎると、散布するまでに破砕される。この強度を実現するために、赤土を添加して造粒される殺菌材は、赤土の添加量を例えば10重量%以上、好ましくは20重量%以上とする。
【0027】
殺菌材は、焼成流紋岩粉末を50重量%、赤土を50重量%として、手で強く加圧して破砕する程度の強度にできる。この殺菌材は、培地に散布して速やかに分散する。焼成流紋岩粉末を赤土の結合力で造粒している殺菌材は、焼成流紋岩粉末が分散されやすく、培地に散布されて速やかに優れた殺菌力を実現する。さらに、この殺菌材は、全体を無機粉末で構成するので、培地に散布される薬剤として理想的な材質となる。
【0028】
以上の殺菌材は、赤土で焼成流紋岩粉末を造粒しているが、本発明は焼成流紋岩粉末の造粒に、赤土に代わって、ポリビニールアルコールなどの水溶性のバインダーを使用することもできる。水溶性のバインダー、培地に供給される水に溶解されて、焼成流紋岩粉末を培地に分散させる。水溶性のバインダーは、赤土よりも強い結合作用があるので、焼成流紋岩粉末の添加量を多くできる。この殺菌材は、たとえば、水溶性のバインダーの添加量を、5重量%~10重量%と少なくして造粒できる。さらに、殺菌材は、赤土と水溶性のバインダーの両方を添加して造粒することもできる。この殺菌材は、赤土に対する水溶性のバインダーの添加量を少なくして、ほぼ全体を焼成無機粉末で構成して優れた殺菌力を実現できる。
【0029】
以上の殺菌材は、散布機で培地に散布され、培地に供給される水で、焼成流紋岩粉末を分散して、水とともに焼成流紋岩粉末を培地に拡散する。殺菌材は、散水して耕運機等で攪拌することで、速やかに培地に分散することもできる。培地に拡散した二酸化チタンは、粒状の焼成流紋岩に比較して表面積が飛躍的に増加する。焼成流紋岩に含有される二酸化チタンの光触媒作用は、表面積に比例して強くなる。したがって、微細な粉末の状態で培地に分散された焼成流紋岩は、光触媒の作用で極めて効率よく培地を殺菌する。さらに焼成流紋岩は、高温で焼成されて微細な空隙の多孔質状態となっている。多孔質な焼成流紋岩粉末は、表面から水分を速やかに吸水する。水分を吸収して保水した焼成流紋岩粉末は、表面の赤土との結合を低下させて速やかに分散する。このことから、焼成流紋岩粉末を造粒している以上の殺菌材は、焼成した流紋岩を破砕した殺菌材よりも優れた殺菌力を実現する。
【0030】
本発明者は、焼成流紋岩粉末と赤土を同じ重量比で混合して、粒径を5mmとする殺菌材を試作した。試作した殺菌材を、ミョウガを養液栽培している培地、1mに100gの割合で散布して、培地の状態を目視で観察して殺菌材の効果を確認した。殺菌材は、細菌が繁殖して湿潤状態にある培地に散布し、殺菌材を散布しない培地と比較して状態の変化を目視で観察した。殺菌材を散布した培地は、3日経過後に、湿潤状態が乾燥状態に変化し始め、7日経過後には乾燥状態となって細菌の繁殖が抑制されたことが明白となった。殺菌材を殺菌しない培地は、湿潤状態が改善されずに殺菌の繁殖は抑制されなかった。ミョウガの養液栽培は、毎日多量の養液を培地に供給するので、培地に殺菌された殺菌材が、供給される養液で焼成流紋岩の粉末を速やかに培地に分散して、焼成流紋岩に含有される二酸化チタンの光触媒作用で、殺菌効果を発揮した。以上のミョウガは、1000平方メートルの栽培面積に対して、1日に約1トン~3トンもの溶液を散水するので、散水される養液で殺菌材の焼成流紋岩粉末を速やかに培地に分散して、二酸化チタンによる光触媒作用で効果的に殺菌力を発揮する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、農業用の植物培地に散布して培地を殺菌する殺菌材として、種々の植物の培地に対して好適に使用して、二酸化チタンの光触媒作用で効果的に殺菌できる。