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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】液剤塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240516BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B05C5/00 101
B41J2/175 141
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020071262
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167086
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】南 功治
(72)【発明者】
【氏名】石谷 明
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-030242(JP,A)
【文献】中国実用新案第203945810(CN,U)
【文献】特開2002-326715(JP,A)
【文献】特開2019-006062(JP,A)
【文献】特開2015-182396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0105522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1流路を有する流路ブロックと、
内部に第2流路を有し、前記流路ブロックに着脱可能に装着されるカセットと、を備え、
前記流路ブロックは、
ブロック本体部と、
前記ブロック本体部に形成される凹部と、
前記凹部の底面に形成され、前記第1流路に連なる供給口と、を有し、
前記カセットは、
カセット本体部と、
前記カセット本体部から突出し、前記凹部に挿入される凸部と、
前記凸部の先端面に形成され、前記第2流路に連なる流出口と、
を有し、
前記凹部の内周面と前記凸部の外周面との間には隙間が形成され、
前記隙間は、前記流路ブロックの表面に垂直な断面において、前記凹部の底面側から開口側に向かうに従って広がっている、
液剤塗布装置。
【請求項2】
前記凹部の内周面は、軸心を中心とする円錐台側面形状に形成され、
前記凸部の前記外周面は、前記軸心を中心とする円錐台側面形状に形成されており、
前記断面において、前記軸心に対する前記凸部の前記外周面の角度は、前記軸心に対する前記凹部の前記内周面の角度より小さい、
請求項に記載の液剤塗布装置。
【請求項3】
前記断面において、前記軸心に垂直な方向における前記隙間の最深部の幅は、前記軸心に垂直な方向における前記第1流路の直径の2.5%以上10%以下である、
請求項に記載の液剤塗布装置。
【請求項4】
前記断面において、前記軸心に垂直な方向における前記隙間の最表部の幅は、前記軸心に垂直な方向における前記第1流路の直径の2.5%以上10%以下である、
請求項2又は3に記載の液剤塗布装置。
【請求項5】
前記流路ブロックは、前記カセット本体部を前記ブロック本体部に固定するためのロック機構を有し、
前記ロック機構は、
開放位置からロック位置まで回動可能な開閉レバーと、
前記開閉レバーが前記ロック位置に位置する場合に、前記カセット本体部を前記ブロック本体部に付勢する付勢部と、を含む、
請求項1乃至のいずれかに記載の液剤塗布装置。
【請求項6】
前記付勢部は、
前記カセット本体部と接触するボールと、
前記ボールをカセット本体部に付勢するバネと、
を有する、
請求項に記載の液剤塗布装置。
【請求項7】
前記流路ブロックは、上面と、前記上面に対向する下面と、前記上面及び前記下面に連なる側面とを有する直方体であり、
前記ブロック本体部は、前記第1流路に連なるノズルを有し、
前記ノズルは、前記下面に配置され、
前記凹部は、前記側面に形成される、
請求項1乃至のいずれかに記載の液剤塗布装置。
【請求項8】
前記流路ブロックに着脱可能に装着される駆動アセンブリを更に備え、
前記駆動アセンブリは、前記下面に形成された位置決め孔を有し、
前記ブロック本体部は、その上面に前記位置決め孔に挿入される位置決めボスを有する、
請求項に記載の液剤塗布装置。
【請求項9】
前記カセットは、液剤を貯留するシリンジが装着される装着部を有し、
前記装着部は、前記第2流路に連なる流入口を含む、
請求項1乃至のいずれかに記載の液剤塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電効果によって電気エネルギから機械エネルギへのエネルギ変換を行う圧電素子は、応答性に優れているため、半導体、印刷、化学薬品などの広い分野において、液剤を対象物の表面に吐出する液剤塗布装置に利用されている。
【0003】
特許文献1には、流路ブロックと、流路ブロックに液剤を供給するインク供給部とを備える液剤塗布装置が開示されている。流路ブロックは、圧力室に液剤を導く内部流路と、圧力室に連なるノズルとを有する。インク供給部は、液剤を貯留するインクタンクと、インクタンクから流路ブロックにインクを供給する外部流路と、インクタンクから流路ブロックにインクを圧送する供給ポンプとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-187892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、流路ブロックに液剤を供給するには、液剤を貯留するシリンジが取り付けられたカセットを用いることが簡便である。カセットは、流路ブロックに着脱可能に装着される。
【0006】
しかしながら、流路ブロックにカセットを装着する際、流路ブロックの内部流路に空気が混入しやすく、内部流路に混入した空気がノズルに到達すればノズルから液剤をスムーズに吐出できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、液剤への空気の混入を抑制できる液剤塗布装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様に係る液剤塗布装置は、内部に第1流路を有する流路ブロックと、内部に第2流路を有し、流路ブロックに着脱可能に装着されるカセットとを備える。流路ブロックは、ブロック本体部と、ブロック本体部に形成される凹部と、凹部の底面に形成され、第1流路に連なる供給口とを有する。カセットは、カセット本体部と、カセット本体部から突出し、凹部に挿入される凸部と、凸部の先端面に形成され、第2流路に連なる流出口とを有する。凹部の内周面と凸部の外周面との間には隙間が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、液剤への空気の混入を抑制できる液剤塗布装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、液剤塗布装置の正面図である。
図2図2は、液剤塗布装置の分解図である。
図3図3は、液剤塗布装置の断面図である。
図4図4は、図3の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る液剤塗布装置について説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
【0012】
本明細書において、「垂直」とは、物理的に厳密な意味で垂直な場合だけでなく、実質的に垂直な場合をも含む概念である。実質的に垂直とは、15°以下の範囲で傾いている場合をいう。本明細書において、「平行」とは、物理的に厳密な意味で平行な場合だけでなく、実質的に平行な場合をも含む概念である。実質的に平行とは、15°以下の範囲で傾いている場合をいう。本明細書において、「第1方向」とは「上下方向」と平行な方向であり、「第2方向」とは「水平方向」と平行な方向である。
【0013】
(液剤塗布装置100)
本実施形態に係る液剤塗布装置100の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、液剤塗布装置100の正面図である。図2は、液剤塗布装置100の分解図である。図3は、液剤塗布装置100の断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、液剤塗布装置100は、駆動アセンブリ10と、流路ブロック20と、カセット30と、シリンジ40とを備える。
【0015】
1.駆動アセンブリ10
駆動アセンブリ10は、液剤を吐出させるための加圧力を発生させるユニットである。
【0016】
図2及び図3に示すように、駆動アセンブリ10は、駆動本体部11と、内部空間12と、圧電素子13と、中間部材14と、第1ねじ15と、第2ねじ16と、シリンジホルダ17とを有する。
【0017】
駆動本体部11は、流路ブロック20上に配置される。内部空間12は、駆動本体部11の内部に形成される。圧電素子13は、内部空間12に配置される。圧電素子13は、第1方向に変位(伸縮)する。圧電素子13の上端部は、内部空間12の内面に固定される。圧電素子13の下端部には、中間部材14が接続される。中間部材14は、圧電素子13と後述する錘22との間に配置される。中間部材14は、錘22と離接可能である。第1ねじ15は、後述する第1ねじ孔21dに締結される。第2ねじ16は、後述する第2ねじ孔21eに締結される。各ねじ15,16が各ねじ孔21d,21eに締結されることによって、駆動アセンブリ10が流路ブロック20に固定される。シリンジホルダ17は、駆動本体部11に取り付けられる。シリンジホルダ17は、シリンジ40を保持する。シリンジホルダ17は、例えば環状又はC状に形成される。
【0018】
図2に示すように、駆動アセンブリ10は、底面10Sと、第1位置決め孔10aと、第2位置決め孔10bとを更に有する。底面10Sは、後述する流路ブロック20の上面20Sに当接する。第1位置決め孔10aには、後述する第1位置決めボス26が挿入され、第2位置決め孔10bには、後述する第2位置決めボス27が挿入される。各位置決めボス26,27が各位置決め孔10a,10bに挿入されることによって、流路ブロック20に対する駆動アセンブリ10の位置が決まる。
【0019】
2.流路ブロック20
流路ブロック20は、駆動アセンブリ10の加圧力を受けて液剤を吐出させるユニットである。
【0020】
流路ブロック20は、直方体に形成される。流路ブロック20は、上面20Sと、下面20Tと、側面20Rとを有する。上面20Sは、駆動本体部11の底面10Sと当接する。下面20Tは、上面20Sに対向する。すなわち、下面20Tは、上面20Sの反対側に設けられる。側面20Rは、上面20S及び下面20Tに連なる。
【0021】
図2及び図3に示すように、流路ブロック20は、ブロック本体部21と、錘22と、ダイヤフラム23と、圧力室プレート24と、ノズル25とを有する。
【0022】
ブロック本体部21は、凹部21aと、収容部21bと、挿通孔21cと、第1ねじ孔21dと、第2ねじ孔21eとを含む。凹部21aは、側面20Rに形成される。凹部21aには、後述するカセット30の凸部32が挿入される。凹部21aの底面には、後述する流路a1に連なる供給口P1が形成される。収容部21bは、下面20Tに形成される窪みである。収容部21bには、ダイヤフラム23及び圧力室プレート24が収容される。挿通孔21cは、上面20Sから収容部21bまでブロック本体部21を貫通する。第1ねじ孔21dには、駆動アセンブリ10の第1ねじ15が締結される。第2ねじ孔21eには、駆動アセンブリ10の第2ねじ16が締結される。
【0023】
図2に示すように、ブロック本体部21は、第1乃至第4位置決めボス26~29を更に有する。第1及び第2位置決めボス26,27は、ブロック本体部21の上面20Sに配置される。第1及び第2位置決めボス26,27は、駆動本体部11の第1及び第2位置決め孔10a,10bに挿入される。第3及び第4位置決めボス28,29は、ブロック本体部21の収容部21bの底面に配置される。第3及び第4位置決めボス28,29は、ダイヤフラム23及び圧力室プレート24それぞれに形成された位置決め孔(不図示)に挿入される。
【0024】
錘22は、挿通孔21c内に配置される。錘22は、中間部材14とダイヤフラム23との間に配置される。錘22は、中間部材14と離接可能である。錘22は、ダイヤフラム23の表面に固定される。ダイヤフラム23は、収容部21bに収容される。ダイヤフラム23は、収容部21bと圧力室プレート24との間に配置される。ダイヤフラム23は、中間部材14及び錘22を介して伝達される圧電素子13の変位に応じて振動する。圧力室プレート24は、収容部21bに収容される。圧力室プレート24の外表面は、流路ブロック20の下面20Tの一部である。ダイヤフラム23及び圧力室プレート24は、図示しないねじによってブロック本体部21に締結される。ノズル25は、圧力室プレート24に接続される。ノズル25は、圧力室プレート24と一体的に形成されていてもよい。ノズル25は、下面20Tに配置される。本実施形態において、ノズル25は、下面20Tから突出しているが、下面20Tから突出していなくてもよい。ノズル25には、液剤を吐出するための吐出口が形成される。
【0025】
図3に示すように、流路ブロック20は、流路a1、流路a2、圧力室a3、流路a4及び流路a5を内部に有する。流路a1は、本発明に係る「第1流路」の一例である。流路a1は、ブロック本体部21の内部に形成される。流路a1は、凹部21aの底面に形成された供給口P1と流路a2とに連なる。流路a2、圧力室a3及び流路a4は、ダイヤフラム23と圧力室プレート24との間に形成される。流路a2は、流路a1と圧力室a3とに連なる。圧力室a3は、ダイヤフラム23とノズル25との間に位置する。圧力室a3内の液剤は、ダイヤフラム23の振動に応じて加圧されてノズル25から吐出される。流路a4は、圧力室a3と流路a5とに連なる。流路a5は、ブロック本体部21の内部に形成される。流路a4及び流路a5は、圧力室a3に空気が混入した場合に、圧力室a3から液剤を排出するための排出路である。
【0026】
図2に示すように、流路ブロック20は、ロック機構50を更に備える。ロック機構50は、後述するカセット本体部31をブロック本体部21に固定するためのユニットである。ロック機構50は、ブロック本体部21の側面20Rに取り付けられる。ロック機構50は、支持部51と、開閉レバー52と、付勢部53とを有する。
【0027】
支持部51は、基端部54と、軸部55と、先端部56とを含む。基端部54は、ブロック本体部21に固定される。軸部55は、基端部54及び先端部56に連結される。軸部55は、第2方向と平行に延びる。先端部56は、軸部55の先端に固定される。
【0028】
開閉レバー52は、基端部54と先端部56とによって挟まれる。開閉レバー52の一端部には、軸部55が挿通される。開閉レバー52の他端部は自由端である。開閉レバー52は、軸部55周りに開放位置からロック位置まで回動可能である。開閉レバー52がロック位置に位置する場合、カセット本体部31はブロック本体部21に固定され、開閉レバー52が開放位置に位置する場合、カセット本体部31はブロック本体部21に固定されない。本実施形態において、ロック位置は、開閉レバー52が第1方向と平行になる位置であり、開放位置は、開閉レバー52が第2方向と平行になる位置である。開閉レバー52の他端部には、付勢部53を取り付けるための取付け孔52aが形成されている。
【0029】
付勢部53は、開閉レバー52に取り付けられる。付勢部53は、開閉レバー52がロック位置に位置する場合に、カセット本体部31をブロック本体部21に付勢する。これにより、流路ブロック20の凹部21aとカセット30の凸部32との間の密閉性を維持することができる。
【0030】
本実施形態では、付勢部53として、いわゆるボールプランジャが用いられている。具体的には、付勢部53は、ボール57と、バネ58とによって構成される。ボール57は、取付け孔52aの開口に係止される。ボール57の一部は、取付け孔52aから突出する。ボール57は、開閉レバー52がロック位置に位置する場合に、カセット本体部31と接触する。バネ58は、取付け孔52a内に配置される。バネ58は、ボール57をカセット本体部31側に付勢する。本実施形態では、バネ58としてコイルバネが用いられているが、これに限られない。
【0031】
3.カセット30
カセット30は、シリンジ40から流路ブロック20に液剤を供給するためのユニットである。カセット30は、流路ブロック20に着脱可能に装着される。
【0032】
図2及び図3に示すように、カセット30は、カセット本体部31と、凸部32と、装着部33とを有する。
【0033】
カセット本体部31は、付勢板34と、支持板35と、中央部36とを含む。付勢板34は、流路ブロック20のロック機構50のうち付勢部53によって付勢される。これにより、カセット本体部31がブロック本体部21に付勢される。支持板35は、流路ブロック20のロック機構50のうち開閉レバー52を支持する。これにより、開閉レバー52に取り付けられた付勢部53の付勢力が付勢板34に印加される。中央部36には、付勢板34及び支持板35が固定される。
【0034】
凸部32は、支持板35に固定される。凸部32は、カセット本体部31からブロック本体部21側に突出する。凸部32は、ブロック本体部21の凹部21aに挿入される。凸部32の先端面には、後述する流路b1に連なる流出口P2が形成される。
【0035】
装着部33は、カセット本体部31上に配置される。装着部33の上端面には、流路b1に連なる流入口P3が形成される。装着部33には、液剤を貯留するシリンジ40が装着される。シリンジ40内の液剤が空になった場合、空のシリンジ40を装着部33から取り外した後、新しいシリンジ40を装着部33に取り付けることによって、シリンジ40を交換することができる。
【0036】
図3に示すように、カセット30は、流路b1を内部に有する。流路b1は、本発明に係る「第2流路」の一例である。流路b1は、凸部32に形成された流出口P2と装着部33に形成された流入口P3とに連なる。シリンジ40内の液剤は、流入口P3から流路b1に流入し、流出口P2から流路ブロック20の流路a1に流出する。
【0037】
(流路ブロック20とカセット30との接続部分)
流路ブロック20とカセット30との接続部分の構成について、図面を参照しながら説明する。図4は、図3の部分拡大図である。図4は、流路ブロック20の側面20Rに垂直な断面である。図4では、流路ブロック20の凹部21aとカセット30の凸部32とが図示されている。
【0038】
カセット30の流路b1を通って凸部32の先端面に形成された流出口P2から流出する液剤は、凹部21aの底面に形成された供給口P1から流路ブロック20の流路a1に流入する。
【0039】
カセット30のうち流路ブロック20の側面20Rに当接する当接面30Sには、環状溝30Tが形成される。環状溝30Tは、凸部32を取り囲むように環状に形成される。環状溝30Tには、シール部材34が配置される。シール部材34は、流路ブロック20の側面20Rに密着することによって、流路ブロック20とカセット30との接続部分をシールする。これにより、流路ブロック20の流路a1とカセット30の流路b1との液密性及び気密性が保持される。なお、シール部材34としては、例えばゴム製のOリングを用いることができるが、これに限られない。
【0040】
ここで、凹部21aは、凸部32と対向する内周面Q1を有する。凸部32は、凹部21aと対向する外周面Q2を有する。凹部21aの内周面Q1と凸部32の外周面Q2との間には隙間Gが形成される。これにより、カセット30を流路ブロック20に装着する際、流路ブロック20の流路a1に空気が入り混むことを抑制できる。
【0041】
具体的には、凸部32が凹部21aに徐々に挿入されると、凸部32の流出口P2から表面張力によって張り出した液剤が、凹部21aの供給口P1内の液剤と接触する。そして、凸部32が凹部21aに更に挿入されると、供給口P1周辺の空気は、液剤によって隙間Gに押し出される。このように、凹部21aに凸部32を挿入する際、供給口P1周辺の空気を隙間Gに押し出すことができるため、流路a1内の液剤に空気が混入することを抑制できる。
【0042】
なお、本実施形態では、凹部21aの内周面Q1と凸部32の外周面Q2とは、全体的に離れているが、部分的には接触していてもよい。ただし、供給口P1周辺の空気をスムーズに隙間Gに押し出すことができるよう、隙間Gの少なくとも一部は供給口P1に連なっていることが好ましい。
【0043】
図4に示すように、隙間Gは、凹部の底面側(最深部側)から開口側(最表部側)に向かうに従って広がっている。これにより、供給口P1周辺の空気が隙間Gに押し出されやすくなるため、流路a1内の液剤に空気が混入することをより抑制できる。
【0044】
本実施形態において、凹部21aの内周面Q1は、軸心AXを中心とする円錐台側面形状に形成され、凸部32の外周面Q2は、同軸心AXを中心とする円錐台側面形状に形成されている。図4に示すように、軸心AXに対する凸部32の外周面Q2の角度θ2は、軸心AXに対する凹部21aの内周面Q1の角度θ1より小さい。すなわち、凹部21aの内周面Q1は、凸部32の外周面Q2より若干大きく傾いている。角度θ1は、角度θ2より1度~3度ほど大きくすることができるが、これに限られない。角度θ1及び角度θ2それぞれの値は特に限られないが、角度θ1は15~40度とすることができ、角度θ2は16~43度とすることができる。
【0045】
第2方向における隙間Gの最深部の幅g1は“0”より大きければよいが、第2方向における流路a1の直径D1の2.5%以上10%以下であることが好ましい。これにより、供給口P1周辺の空気をスムーズに隙間Gに押し出すことができる。なお、隙間Gの最深部とは、隙間Gのうち供給口P1に連なる部分のことである。また、第2方向とは、軸心AXに垂直な方向のことである。
【0046】
第2方向における隙間Gの最表部の幅g2は“0”より大きければよいが、第2方向における流路a1の直径D1の2.5%以上10%以下であることが好ましい。これにより、供給口P1周辺の空気をスムーズに隙間Gに押し出すことができる。なお、隙間Gの最表部とは、隙間Gのうち側面20Rに露出する部分のことである。
【0047】
(実施形態の変形例)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0048】
[変形例1]
上記実施形態では、図2及び図3を参照しながら、駆動アセンブリ10と流路ブロック20との連結構造について説明したが、これに限られない。
【0049】
[変形例2]
上記実施形態では、図3を参照しながら、駆動アセンブリ10の構成について説明したが、これに限られない。駆動アセンブリ10は、液剤を吐出させるための加圧力を発生させることのできるものであればよい。
【0050】
[変形例3]
上記実施形態では、図2及び図3を参照しながら、流路ブロック20の構成について説明したが、これに限られない。流路ブロック20は、表面に形成された凹部21aを有していればよい。
【0051】
[変形例4]
上記実施形態では、図2及び図3を参照しながら、カセット30の構成について説明したが、これに限られない。カセット30は、表面に形成された凸部32を有していればよい。
【符号の説明】
【0052】
10 駆動アセンブリ
20 流路ブロック
a1 流路
P1 供給口
21 ブロック本体部
21a 凹部
25 ノズル
26~29 位置決めボス
30 カセット
b1 流路
P2 流出口
31 カセット本体部
32 凸部
33 装着部
40 シリンジ
50 ロック機構
51 支持部
52 開閉レバー
53 付勢部
57 ボール
58 バネ
100 液剤塗布装置
20S 上面
20T 下面
20R 側面
G 隙間
図1
図2
図3
図4