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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】キャップおよびキャップの開封方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
B65D47/08 120
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020083528
(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公開番号】P2021178644
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-172421(JP,A)
【文献】特開2012-051577(JP,A)
【文献】米国特許第05464112(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
指を掛けて開栓するための鍔部が蓋に設けられ、
鍔部は蓋の外周面から径方向外側に突出しており、
指を鍔部に掛けるのを妨げるためのガード部材が破断可能な弱化部を介してキャップ本体に設けられ、
未開封の状態で、ガード部材は、キャップ本体の外周面から径方向外側に突出するとともに、鍔部の真下に位置し、
ガード部材は、キャップ本体の外周面よりも径方向外側に位置する外板部と、キャップ本体の周方向における外板部の両端に設けられた一対の端板部とを有するとともに、弱化部が破断した後、鍔部を開栓方向へ押し上げ可能な押圧部を有しており、
キャップ本体の外周面とガード部材の外板部との間で且つ両方の端板部間には空隙が形成され、
押圧部は、外板部の内周面に設けられ、且つ、外板部の内周面から外板部の内側の上記空隙へ突出しているとともに、外板部の下端部よりも上方に位置しており、
ガード部材は開栓時において鍔部に固定されないことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
未開封の状態で、ガード部材の上部が鍔部の下部外周を外側から取り囲むことを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
未開封の状態で、ガード部材の外周面が鍔部の外周面よりも径方向外側へはみ出していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
弱化部はキャップの軸心と同方向に長い線形状を有していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
未開封の状態で、ガード部材の端板部が弱化部を介してキャップ本体の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のキャップの開封方法であって、
未開封のキャップのガード部材の下端部を押し上げて、弱化部を破断させることにより、ガード部材がキャップ本体から分断されるとともに、押圧部が鍔部を開栓方向へ押し上げて蓋を開くことを特徴とするキャップの開封方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けられるヒンジ開閉式のキャップおよびキャップの開封方法であって、不正開封の有無を判別することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば図11に示すように、容器101に取り付けられるキャップ本体102と、キャップ本体102にヒンジ103を介して開閉自在に設けられた蓋104とを有するものがある。蓋104には、指を掛けて開栓するための鍔部105が設けられている。また、指を鍔部105に掛けるのを妨げるためのガード部材106が破断可能な弱化部107を介してキャップ本体102に設けられている。
【0003】
これによると、未開封のキャップ100を開封する際、先ず、ガード部材106を外側下方に引っ張ることにより、弱化部107を破断して、ガード部材106をもぎ取る。これにより、図12に示すように鍔部105全体が露出する。その後、図13に示すように、例えば親指108を下方から鍔部105に掛けて、鍔部105を押し上げることにより、蓋104が持ち上げられて開く。
【0004】
これにより、キャップ100が不正に開封された場合、開封後に蓋104を閉じても、ガード部材106がキャップ100から離脱しているため、不正開封が行われたことを判別することができる。
【0005】
尚、上記のようなキャップは例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭62-191652
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、未開封のキャップ100を開封する際、先ず、図12に示すようにガード部材106を外側下方に引っ張ってもぎ取り、その後、図13に示すように親指108を下方から鍔部105に掛けて鍔部105を押し上げる、といった2段階の異なった動作を要するため、開封操作に手間がかかるといった問題がある。
【0008】
本発明は、開封操作の手間を軽減することが可能なキャップおよびキャップの開封方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋とを有するキャップであって、
指を掛けて開栓するための鍔部が蓋に設けられ、
鍔部は蓋の外周面から径方向外側に突出しており、
指を鍔部に掛けるのを妨げるためのガード部材が破断可能な弱化部を介してキャップ本体に設けられ、
未開封の状態で、ガード部材は、キャップ本体の外周面から径方向外側に突出するとともに、鍔部の真下に位置し、
ガード部材は、キャップ本体の外周面よりも径方向外側に位置する外板部と、キャップ本体の周方向における外板部の両端に設けられた一対の端板部とを有するとともに、弱化部が破断した後、鍔部を開栓方向へ押し上げ可能な押圧部を有しており、
キャップ本体の外周面とガード部材の外板部との間で且つ両方の端板部間には空隙が形成され、
押圧部は、外板部の内周面に設けられ、且つ、外板部の内周面から外板部の内側の上記空隙へ突出しているとともに、外板部の下端部よりも上方に位置しており、
ガード部材は開栓時において鍔部に固定されないものである。
【0010】
これによると、未開封のキャップを開封する際、例えば親指等でガード部材の下端部を押し上げて、弱化部を破断させることにより、ガード部材がキャップ本体から分断されて押し上げられるとともに、押圧部が鍔部を開栓方向へ押し上げて蓋を開く。このように、親指等でガード部材の下端部を押し上げるといった1つの動作だけで、ガード部材の分断と蓋の開栓とを共に行うことができるため、開封操作の手間が軽減される。
【0011】
本第2発明におけるキャップは、未開封の状態で、ガード部材の上部が鍔部の下部外周を外側から取り囲むものである。
【0012】
これによると、ガード部材がキャップ本体から分断されていない未開封の状態で、指等を外側から鍔部に直接掛けることは確実に妨げられる。このため、ガード部材をキャップ本体から分断せずに蓋のみを開く不正開封を確実に防止することができる。
【0013】
本第3発明におけるキャップは、未開封の状態で、ガード部材の外周面が鍔部の外周面よりも径方向外側へはみ出しているものである。
【0014】
これによると、未開封のキャップを開封する際、例えば親指等でガード部材の下端部を押し上げて、弱化部を破断させる。このとき、ガード部材の外周面が鍔部の外周面よりも径方向外側へはみ出しているため、親指等がガード部材の下端部に引っ掛かり易くなり、親指等でガード部材の下端部を確実に押し上げることができる。
【0015】
本第4発明におけるキャップは、弱化部はキャップの軸心と同方向に長い線形状を有しているものである。
【0016】
これによると、未開封のキャップを開封する際、例えば親指等でガード部材の下端部を押し上げて、弱化部を破断させる。このとき、弱化部の破断は弱化部の下端から始まって上端で終了するため、ガード部材の押し上げ方向と弱化部の破断方向とが同じになり、弱化部がスムーズに破断する。
【0017】
本第5発明におけるキャップは、未開封の状態で、ガード部材の端板部が弱化部を介してキャップ本体の外周面に設けられているものである。
【0018】
これによると、キャップ本体の外周面とガード部材の外板部との間で且つ両方の端板部間には空隙が形成されているため、キャップを軽量化することができる。
【0019】
本第6発明におけるキャップは、上記第1発明から第5発明のいずれか1項に記載のキャップの開封方法であって、
未開封のキャップのガード部材の下端部を押し上げて、弱化部を破断させることにより、ガード部材がキャップ本体から分断されるとともに、押圧部が鍔部を開栓方向へ押し上げて蓋を開くものである。
【0020】
これによると、ガード部材の下端部を押し上げるといった1つの動作だけで、ガード部材の分断と蓋の開栓とを共に行うことができるため、開封操作の手間が軽減される。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によると、開封操作の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態におけるキャップの断面図であり、未開封の状態を示す。
図2図1におけるX-X矢視図である。
図3】同、キャップの断面図であり、容器に装着する前の完成時の状態を示す。
図4図3におけるX-X矢視図である。
図5図3におけるY-Y矢視図である。
図6】同、キャップの一部拡大断面図であり、未開封の状態を示す。
図7】同、キャップを未開封の状態から開栓するときの動作を示す図である。
図8】同、キャップを未開封の状態から開栓するときの動作を示す図である。
図9】同、キャップを未開封の状態から開栓するときの動作を示す図である。
図10】同、キャップを未開封の状態から開栓するときの動作を示す一部拡大断面図である。
図11】従来のキャップの断面図であり、未開封の状態を示す。
図12】同、キャップを未開封の状態から開栓するときの動作を示す断面図である。
図13】同、キャップを未開封の状態から開栓するときの動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
図1図3に示すように、1はペットボトル等の容器2の口部3に取り付けられる合成樹脂製のキャップである。キャップ1は、キャップ本体5と、キャップ本体5にヒンジ6を介して開閉自在に設けられた蓋7とを有している。尚、未開封のキャップ1の中心を通る軸心8の方向を上下方向として、以下にキャップ1の構成を説明する。
【0025】
キャップ本体5は、円形状の基板11と、基板11から下向きに設けられた外筒12および内筒13と、基板11に設けられた注出筒14とを有している。
【0026】
外筒12と内筒13との間には、下方が開放された取付溝16が全周にわたり形成されている。容器2の口部3が下方から取付溝16に嵌め込まれることにより、キャップ本体5が容器2に装着される。注出筒14は、円筒状の部材であり、容器2の内外に連通する注出口17を有している。また、基板11の上面には円環状の本体側係合部19が設けられている。
【0027】
蓋7は、円形の天板25と、天板25の外周縁から垂下された周壁26と、天板25に設けられた栓部27とを有している。周壁26の内周面には、閉栓状態において本体側係合部19に係合する蓋側係合部29が全周にわたり形成されている。
【0028】
図1に示すように、栓部27は、閉栓状態において、注出筒14の注出口17内に挿入されて、注出口17を閉鎖する。また、周壁26には、指を掛けて開栓するための鍔部30が設けられている。鍔部30は、キャップ1の軸心8に対して、ヒンジ6とは180°反対側に位置しており、周壁26の外周面から径方向外側に突出している。
【0029】
図1図6に示すように、指を鍔部30に掛けるのを妨げるためのガード部材35が破断可能な弱化部36を介してキャップ本体5に設けられている。ガード部材35は、外筒12の外周面よりも径方向外側に位置する外板部37と、キャップ本体5の周方向Aにおける外板部37の両端に設けられた一対の端板部38とを有するコの字状の部材であり、未開封の状態で、端板部38が弱化部36を介して外筒12の外周面に設けられている。
【0030】
外筒12の外周面とガード部材35の外板部37との間で且つ両方の端板部38間には、上下方向に貫通する空隙39が形成されている。
【0031】
尚、図7に示すように弱化部36はキャップ1の軸心8と同方向に長い線形状を有しており、図5に示すように弱化部36の肉厚は破断し易いように周囲の部材の肉厚よりも薄く形成されている。
【0032】
図1図2に示すように、未開封の状態で、ガード部材35は、外筒12の外周面から径方向外側に突出するとともに、鍔部30の真下に位置する。また、未開封の状態では、図2図6に示すように、ガード部材35の外周面35aが鍔部30の外周面30aよりも径方向外側へはみ出しており、ガード部材35の上部(すなわち外板部37の上部と両方の端板部38の上部)が鍔部30の下部外周を外側から取り囲む。
【0033】
また、ガード部材35は、弱化部36が破断した後、鍔部30の下面に当接して鍔部30を開栓方向Oへ押し上げ可能な押圧部40を有している。押圧部40はガード部材35の上部内周面から内側に突出している。尚、ガード部材35の上端は押圧部40よりも上方へ突出している。
【0034】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0035】
未開封のキャップ1を開封する際、図7に示すように、例えば親指43でガード部材35の下端部を押し上げて、弱化部36を破断させることにより、図8に示すように、ガード部材35がキャップ本体5から分断されて押し上げられるとともに、図9図10に示すように、押圧部40が鍔部30を開栓方向Oへ押し上げて蓋7を開き、蓋側係合部29が本体側係合部19から開栓方向Oへ離脱する。
【0036】
このように、親指43でガード部材35の下端部を押し上げるといった1つの動作だけで、ガード部材35の分断と蓋7の開栓とを共に行うことができるため、開封操作の手間が軽減される。
【0037】
上記のようにして未開封のキャップ1を開封する際、図6に示すように、ガード部材35の外周面35aが鍔部30の外周面30aよりも径方向外側へはみ出しているため、親指43がガード部材35の下端部に引っ掛かり易くなり、図7に示すように、親指43でガード部材35の下端部を確実に押し上げることができる。
【0038】
また、上記のような弱化部36の破断は弱化部36の下端から始まって上端で終了するため、ガード部材35の押し上げ方向と弱化部36の破断方向とが同じになり、弱化部36がスムーズに破断する。
【0039】
図9に示すように未開封のキャップ1を開封した後、引き続き蓋7を開栓方向Oへ開いて、栓部27を注出筒14から脱抜させることにより、注出口17が開放され、容器2内の内容物(流体)を注出口17から注出することができる。
【0040】
また、未開封の状態では、図2図6に示すように、ガード部材35の上部が鍔部30の下部外周を外側から取り囲むため、指等を外側から鍔部30に直接掛けることは確実に妨げられる。このため、ガード部材35をキャップ本体5から分断せずに蓋7のみを開く不正開封を確実に防止することができる。
【0041】
また、未開封の状態では、外筒12の外周面とガード部材35の外板部37との間で且つ両方の端板部38間には空隙39が形成されているため、キャップ1を軽量化することができる。
【0042】
上記実施の形態では、図7図10に示すように、未開封のキャップ1を親指43で開栓しているが、親指43以外の指等を使って開栓してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 キャップ
2 容器
5 キャップ本体
6 ヒンジ
7 蓋
8 軸心
30 鍔部
35 ガード部材
36 弱化部
37 外板部
38 端板部
39 空隙
40 押圧部
43 親指
A キャップ本体の周方向
O 開栓方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13