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特許7489095胸骨圧迫手技判定装置、胸骨圧迫手技判定プログラム及び胸骨圧迫手技判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】胸骨圧迫手技判定装置、胸骨圧迫手技判定プログラム及び胸骨圧迫手技判定方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/28 20060101AFI20240516BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20240516BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
G09B19/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020086662
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182037
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】599055382
【氏名又は名称】学校法人東邦大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】杉山 篤
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04797104(US,A)
【文献】特開2008-242424(JP,A)
【文献】国際公開第2012/066681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00,19/00,23/28-23/34
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
僧帽弁に相当する第1逆止弁と、大動脈弁に相当する第2逆止弁とを有して左心室を模したポンプを備える胸骨圧迫練習用具に対して、前記第2逆止弁を介して前記ポンプから液体または気体の少なくとも一方が流出するように加えられた力に起因する圧迫力の大きさを、前記ポンプの下面に配置された背骨を模した板状部材を介して検出する圧迫力検出センサにより検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを取得する圧迫力データ取得部と、
前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、前記下部閾値よりも大きな第一上部閾値以上であり、前記第一上部閾値よりも大きな第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する成績データ出力部と、
を備える胸骨圧迫手技判定装置。
【請求項2】
前記成績データ出力部は、前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが前記下部閾値未満の大きさとなり、前記第一上部閾値以上であり、前記第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとならなかった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられていないことを示す成績データを出力する、
請求項1に記載の胸骨圧迫手技判定装置。
【請求項3】
前記成績データ出力部は、前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさを使用して前記胸骨圧迫練習用具に加えられた力の大きさ及び前記胸骨圧迫練習用具が備える圧迫構造体が移動した距離の少なくとも一方を推定し、前記胸骨圧迫練習用具に加えられた力の大きさを推定した結果及び前記圧迫構造体が移動した距離の少なくとも一方を示す前記成績データを出力する、
請求項1又は請求項2に記載の胸骨圧迫手技判定装置。
【請求項4】
所定の時間を計数する時間計数部を更に備え、
前記圧迫力データ取得部は、前記所定の時間が計数されている間、前記圧迫力データを
取得し、
前記成績データ出力部は、前記所定の時間の間に、前記圧迫力データにより示される圧
迫力の大きさが前記下部閾値未満の大きさとなり、前記第一上部閾値以上であり、前記第
二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった回数が
所定の回数以上である場合、胸骨圧迫手技を適切に実施することができたことを示す前記
成績データを出力する、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の胸骨圧迫手技判定装置。
【請求項5】
所定の時間を計数する時間計数部を更に備え、
前記圧迫力データ取得部は、前記所定の時間が計数されている間、前記圧迫力データを
取得し、
前記成績データ出力部は、前記所定の時間の間に、前記圧迫力データにより示される圧
迫力の大きさが前記下部閾値未満の大きさとなり、前記第一上部閾値以上であり、前記第
二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった回数が
所定の回数未満である場合、胸骨圧迫手技を適切に実施することができていないことを示
す前記成績データを出力する、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の胸骨圧迫手技判定装置。
【請求項6】
前記成績データにより示される内容の少なくとも一部を表示するよう表示装置を制御す
る表示制御部を更に備える、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の胸骨圧迫手技判定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
僧帽弁に相当する第1逆止弁と、大動脈弁に相当する第2逆止弁とを有して左心室を模したポンプを備える胸骨圧迫練習用具に対して、前記第2逆止弁を介して前記ポンプから液体または気体の少なくとも一方が流出するように加えられた力に起因する圧迫力の大きさを、前記ポンプの下面に配置された背骨を模した板状部材を介して検出する圧迫力検出センサにより検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを取得する圧迫力データ取得機能と、
前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、前記下部閾値よりも大きな第一上部閾値以上であり、前記第一上部閾値よりも大きな第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する成績データ出力機能と、
を実現させる胸骨圧迫手技判定プログラム。
【請求項8】
僧帽弁に相当する第1逆止弁と、大動脈弁に相当する第2逆止弁とを有して左心室を模したポンプを備える胸骨圧迫練習用具に対して、前記第2逆止弁を介して前記ポンプから液体または気体の少なくとも一方が流出するように加えられた力に起因する圧迫力の大きさを検出する圧迫力検出センサにより検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを、前記ポンプの下面に配置された背骨を模した板状部材を介して取得する圧迫力データ取得ステップと、
前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、前記下部閾値よりも大きな第一上部閾値以上であり、前記第一上部閾値よりも大きな第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する成績データ出力ステップと、
を含む胸骨圧迫手技判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胸骨圧迫手技判定装置、胸骨圧迫手技判定プログラム及び胸骨圧迫手技判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
胸骨圧迫手技による心肺蘇生法は、心室細動等により心肺停止に陥った人を救命するチャンスを維持し得る重要な手法であるため、医療従事者だけではなく、日頃医療に携わっていない者にも習得させることが望ましい。例えば、効果的に心臓から血液を拍出させて血液を循環させ得る胸骨圧迫手技の訓練を補助する用具として、特許文献1に開示されている心臓マッサージ練習用具が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-003015号公報
【0004】
しかし、上述した心臓マッサージ練習用具は、血液に見立てた水を使用する必要があるため、水に加え、バケツ等の容器及び防水用シートを準備して片付ける労力をユーザに課してしまう。また、胸骨圧迫手技による心肺蘇生法の訓練は、自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)を使用する訓練と同時に実施されることもあるため、水を使用しない方が好ましい場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、水を使用せずに胸骨圧迫手技による心肺蘇生法の訓練を可能にすることができる胸骨圧迫手技判定装置、胸骨圧迫手技判定プログラム及び胸骨圧迫手技判定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、僧帽弁に相当する第1逆止弁と、大動脈弁に相当する第2逆止弁とを有して左心室を模したポンプを備える胸骨圧迫練習用具に対して、前記第2逆止弁を介して前記ポンプから液体または気体の少なくとも一方が流出するように加えられた力に起因する圧迫力の大きさを、前記ポンプの下面に配置された背骨を模した板状部材を介して検出する圧迫力検出センサにより検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを取得する圧迫力データ取得部と、前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、前記下部閾値よりも大きな第一上部閾値以上であり、前記第一上部閾値よりも大きな第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する成績データ出力部と、を備える胸骨圧迫手技判定装置である。
【0007】
本発明の一態様は、コンピュータに、僧帽弁に相当する第1逆止弁と、大動脈弁に相当する第2逆止弁とを有して左心室を模したポンプを備える胸骨圧迫練習用具に対して、前記第2逆止弁を介して前記ポンプから液体または気体の少なくとも一方が流出するように加えられた力に起因する圧迫力の大きさを、前記ポンプの下面に配置された背骨を模した板状部材を介して検出する圧迫力検出センサにより検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを取得する圧迫力データ取得機能と、前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、前記下部閾値よりも大きな第一上部閾値以上であり、前記第一上部閾値よりも大きな第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する成績データ出力機能と、を実現させる胸骨圧迫手技判定プログラムである。
【0008】
本発明の一態様は、僧帽弁に相当する第1逆止弁と、大動脈弁に相当する第2逆止弁とを有して左心室を模したポンプを備える胸骨圧迫練習用具に対して、前記第2逆止弁を介して前記ポンプから液体または気体の少なくとも一方が流出するように加えられた力に起因する圧迫力の大きさを検出する圧迫力検出センサにより検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを、前記ポンプの下面に配置された背骨を模した板状部材を介して取得する圧迫力データ取得ステップと、前記圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、前記下部閾値よりも大きな第一上部閾値以上であり、前記第一上部閾値よりも大きな第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び前記下部閾値未満の大きさとなった場合、前記胸骨圧迫練習用具に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する成績データ出力ステップと、を含む胸骨圧迫手技判定方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水を使用せずに胸骨圧迫手技による心肺蘇生法の訓練を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る胸骨圧迫練習用具が備える圧迫部材に力が加えられていない場合における胸骨圧迫練習用具の中心軸を通る平面による断面の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る胸骨圧迫練習用具を中心軸の一端側から見た場合の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る胸骨圧迫練習用具が備える圧迫部材に力が加えられている場合における胸骨圧迫練習用具の中心軸を通る平面による断面の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る圧迫力検出センサ及び胸骨圧迫手技判定装置の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置が備える制御回路の機能的な構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1及び図2を参照しながら、実施形態に係る胸骨圧迫練習用具1の構成の一例を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る胸骨圧迫練習用具が備える圧迫部材に力が加えられていない場合における胸骨圧迫練習用具の中心軸を通る平面による断面の一例を示す図である。図2は、本発明の実施形態に係る胸骨圧迫練習用具を中心軸の一端側から見た場合の一例を示す図である。図1に示すように、胸骨圧迫練習用具1は、板状部材10と、ポンプ20と、円筒状部材30と、圧迫構造体40と、弾性体50と、クッション部材60と、風船70とを備える。
【0012】
なお、以下の説明では、適宜、図1に示したX軸、Y軸及びZ軸を使用する。X軸及びY軸は、胸骨圧迫練習用具1が載置される床等の設置面Gに平行な軸である。Z軸は、設置面Gに垂直であり、胸骨圧迫練習用具1の中心軸Cに平行な軸である。また、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系を形成している。
【0013】
板状部材10は、胸骨圧迫手技を受ける患者の背骨を模している円盤状の部材である。板状部材10は、例えば、樹脂で作製されている。板状部材10は、例えば、設置面Gに載置された圧迫力検知装置110の上に、中心が中心軸C上に位置するように載置される。なお、圧迫力検知装置110については後述する。
【0014】
ポンプ20は、胸骨圧迫手技を受ける患者の心臓の左心室を模しているポンプである。ポンプ20は、例えば、浮輪、風船等を手動で膨らませるために使用されるエアーポンプである。ポンプ20は、板状部材10の上に載置される。また、ポンプ20は、逆止弁21と、逆止弁22とを備える。
【0015】
逆止弁21は、図2に示すように、ポンプ20から-Y方向に突出しており、胸骨圧迫手技を受ける患者の心臓の僧帽弁を模している。逆止弁21は、ポンプ20の外部からポンプ20の内部への空気や水の入流を許容し、ポンプ20の内部からポンプ20の外部への空気や水の入流を遮断する。また、逆止弁21を通過する空気や水は、胸骨圧迫手技を受ける患者の肺静脈をから左心房に流入し、左心房から左心室に流入する血液を模している。さらに、逆止弁21は、模擬的な血液として水が使用される場合、胸骨圧迫手技を受ける患者の肺静脈を模している管23が接続される。
【0016】
逆止弁22は、図2に示すように、ポンプ20から-Y方向に突出しており、胸骨圧迫手技を受ける患者の心臓の大動脈弁を模している。逆止弁22は、ポンプ20の内部からポンプ20の外部への空気や水の入流を許容し、ポンプ20の外部からポンプ20の内部への空気や水の入流を遮断する。また、逆止弁22を通過する空気や水は、胸骨圧迫手技を受ける患者の左心室から大動脈に拍出される血液を模している。さらに、逆止弁22は、模擬的な血液として水が使用される場合、胸骨圧迫手技を受ける患者の大動脈を模している管24が接続される。
【0017】
円筒状部材30は、側面部31と、底面部32とを備えており、例えば、樹脂で作製されている。円筒状部材30は、側面部31が板状部材10、ポンプ20及び後述する板状部材41を取り囲み、底面部32が板状部材10、ポンプ20及び後述する板状部材41に+Z方向側から覆い被さるように配置される。また、側面部31は、逆止弁21及び管23の少なくとも一方と、逆止弁22及び管24の少なくとも一方とを円筒状部材30の外部に突出させるため、縁の一部に切り欠きが形成されている。また、底面部32は、後述する円柱状部材43が挿入される孔32Hが形成されている。
【0018】
圧迫構造体40は、板状部材41と、ネジ42と、円柱状部材43と、ネジ44と、圧迫部材45とを備える。板状部材41は、Z軸に平行な方向においてポンプ20と底面部32との間に配置されており、ネジ42により円柱状部材43の-Z方向側の底面に固定されている。円柱状部材43は、底面部32に形成されている孔32Hに挿入されている。圧迫部材45は、円盤状の部材であり、ネジ44により円柱状部材43の+Z方向側の底面に固定されている。なお、板状部材41、円柱状部材43及び圧迫部材45は、例えば、樹脂で作製されている。
【0019】
弾性体50は、底面部32上の点を支点として圧迫構造体40を+Z方向に付勢している。例えば、弾性体50は、コイルばねであり、円柱状部材43の側面を取り囲むように配置されている。
【0020】
クッション部材60は、圧迫部材45の+Z方向側の面に取り付けられており、胸骨圧迫手技を受ける患者の胸部の皮膚と肋骨との間に位置する組織を模している。クッション部材60は、例えば、スポンジで作製されている。
【0021】
風船70は、第一風船71と、第二風船72と、笛73と、弁74とを備える。第一風船71は、一本の管の両端の開口の縁を繋ぎ合わせて環状の空洞を持たせた風船である。第一風船71は、胸骨圧迫手技を受ける患者の胸郭を模している。また、第一風船71は、環状の空洞に囲まれている領域71Vの+Z方向側の端部を覆うシート71Sを備える。第一風船71は、板状部材10、ポンプ20、円筒状部材30、圧迫構造体40、弾性体50及びクッション部材60にシート71Sが+Z方向側から覆い被さるように配置される。
【0022】
第二風船72は、一本の管の両端の開口の縁を繋ぎ合わせて環状の空洞を持たせた風船であり、第一風船71の内部に配置されている。第二風船72は、胸骨圧迫手技を受ける患者の胸壁を模している。また、第一風船71の内壁と第二風船72の外壁とに挟まれた領域は、胸骨圧迫手技を受ける患者の肺を模している。
【0023】
笛73は、第一風船71の内壁と第二風船72の外壁とに挟まれた領域から第一風船71の外部に空気が流出する経路に取り付けられており、当該空気の流れを利用して音を発生させる。弁74は、胸骨圧迫練習用具1が備える圧迫部材45に力が加えられていないことにより変形していない場合、第一風船71の外部から第二風船72の内部への空気の流入を許容する。また、弁74は、第二風船に空気を注入する場合に使用される。
【0024】
次に、図1及び図3を参照しながら、実施形態に係る胸骨圧迫練習用具1の動作の一例を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る胸骨圧迫練習用具が備える圧迫部材に力が加えられている場合における胸骨圧迫練習用具の中心軸を通る平面による断面の一例を示す図である。
【0025】
圧迫部材45は、胸骨圧迫練習用具1が図1に示した状態又は当該状態に近い状態にある場合、胸骨圧迫手技の訓練を行う者により両手で力Fが加えられる。力Fは、クッション部材60及び弾性体50により一部が減衰され、力fとなって圧迫構造体40に作用する。また、力Fは、シート71S全面に30kg程度を加え、シート71Sを5cm程度-Z方向側に押し下げる力であることが好ましい。圧迫構造体40は、力fが加えられたことにより-Z方向側に押し下げられる。
【0026】
これにより、ポンプ20は、-Z方向側に押し下げられた圧迫構造体40によりZ軸に平行な方向に圧縮され、逆止弁22を通して内部の空気や水を吐出する。また、この場合、第一風船71の内壁と第二風船72の外壁とに挟まれた領域及び第二風船72が圧縮されるため、笛73は、当該領域から第一風船71の外部に空気を流出させ、当該空気の流れにより音を発生させる。なお、この場合、弁74は、第二風船72の内部から第一風船71の外部への空気の流れを遮断する。
【0027】
そして、圧迫部材45は、胸骨圧迫練習用具1が図3に示した状態又は当該状態に近い状態にある場合、胸骨圧迫手技の訓練を行う者により両手で加えられた力Fが略ゼロになるまで緩められる。力fは、力Fが緩められることにより減少する。圧迫構造体40は、力fが減少したことにより+Z方向側に押し上げられる。
【0028】
これにより、ポンプ20は、+Z方向側に膨張し、逆止弁21を通して外部から空気や水を吸引する。また、この場合、第一風船71の内壁と第二風船72の外壁とに挟まれた領域は、圧迫構造体40が+Z方向側に押し上げられることにより、圧迫から解除されて膨張する。なお、この場合、笛73は、第一風船71の外部から当該領域に空気を流入させる。
【0029】
胸骨圧迫練習用具1は、図1に示した状態又は当該状態に近い状態にある場合に力Fが加えられた後、図3に示した状態又は当該状態に近い状態にある場合に力Fが略ゼロになるまで緩められる動作を所定の時間に所定の回数実施させることにより適切な胸骨圧迫手技を習得させる。ここで言う所定の時間は、例えば、一人で胸骨圧迫手技の訓練が実施される場合、一分であり、複数人が交替で胸骨圧迫手技の訓練を実施する場合、三十分である。また、当該三十分は、患者が心肺停止状態に陥ったことが確認されてから救急車両が到着するまでの時間を想定した時間の一例である。また、ここで言う所定の回数は、100回から120回である。
【0030】
次に、図4及び図5を参照しながら実施形態に係る圧迫力検出センサ及び胸骨圧迫手技判定装置の一例について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る圧迫力検出センサ及び胸骨圧迫手技判定装置の一例を示す図である。
【0031】
図4に示すように、圧迫力検知装置110は、板状部材111と、圧迫力検出センサ112と、ピン113と、ピン114と、ピン115と、ピン116と、ピン117とを備える。
【0032】
板状部材111は、図1及び図3に示した設置面G上に載置され、胸骨圧迫練習用具1が載置される板状の部材である。圧迫力検出センサ112は、ポンプ20に加えられた力fのうちポンプ20の圧縮により減衰されずに自身に伝達された圧迫力の大きさを検知し、当該圧迫力の大きさを示す圧迫力データを生成して出力する。また、圧迫力検出センサ112は、例えば、0.2ニュートンから20ニュートンの範囲で圧迫力の大きさを検知可能なひずみゲージである。
【0033】
ピン113、ピン114、ピン115、ピン116及びピン117は、いずれも板状部材111のうち胸骨圧迫練習用具1が載置される面から垂直に突出している棒状の部材である。また、ピン113、ピン114、ピン115、ピン116及びピン117は、いずれも板状部材111に胸骨圧迫練習用具1が載置された場合に、領域71Vの内壁と円柱状部材43の外壁との間に挿入される。
【0034】
また、図4に示すように、胸骨圧迫手技判定装置120は、電源ボタン121と、開始ボタン122と、制御回路123と、表示装置124と、表示装置125と、リセットボタン126とを備える。
【0035】
電源ボタン121は、胸骨圧迫手技判定装置120の電源をオン又はオフにするために押下されるボタンである。開始ボタン122は、制御回路123による処理を開始させるために押下されるボタンである。
【0036】
図5は、本発明の実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置が備える制御回路の機能的な構成の一例を示す図である。図5に示すように、制御回路123は、制御機能1231と、時間計数機能1232と、圧迫力データ出力機能1233と、成績データ出力機能1234と、表示制御機能1235とを備える。
【0037】
制御機能1231は、胸骨圧迫手技判定装置120に入力された信号等に従って胸骨圧迫手技判定装置120の各部を適宜制御する機能である。
【0038】
時間計数機能1232は、開始ボタン122が押下された後、上述した所定の時間を計数する処理を実行する機能である。
【0039】
圧迫力データ出力機能1233は、胸骨圧迫練習用具1に加えられた力fに起因する圧迫力の大きさを検出する圧迫力検出センサ112により検出された圧迫力の大きさを示す圧迫力データを取得する機能である。圧迫力データは、圧迫力検出センサ112により生成され、圧迫力検知装置110と胸骨圧迫手技判定装置120とを接続しているケーブル130を通して胸骨圧迫手技判定装置120に送信される。また、例えば、圧迫力データ出力機能1233は、時間計数機能1232により所定の時間が計数されている間、圧迫力データを取得する。
【0040】
成績データ出力機能1234は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった場合、胸骨圧迫練習用具1に適切に力が加えられたことを示す成績データを出力する。当該成績データは、例えば、胸骨圧迫が適切に実施された度合いを示しており、後述する表示装置124に表示されている点数に「1」を加算させるデータであり、表示装置124に出力される。
【0041】
一方、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとならなかった場合、胸骨圧迫練習用具1に適切に力が加えられていないことを示す成績データを出力する。当該成績データは、例えば、胸骨圧迫が適切に実施された度合いを示しており、後述する表示装置124に表示されている点数に「0」を加算させるデータであり、表示装置124に出力される。
【0042】
下部閾値は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが上述した力Fが略ゼロになった場合に相当する大きさになっているか否かを判定する目的で使用される閾値である。したがって、下部閾値は、例えば、ゼロよりも僅かに大きな値となる。
【0043】
第一上部閾値は、下部閾値よりも大きな閾値であり、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが上述した力Fが胸骨圧迫練習用具1に加えるべき力の大きさの最小値に相当する大きさ以上であるか否かを判定する目的で使用される閾値である。また、ここで言う最小値は、例えば、シート71Sを-Z方向側に5cm押し下げる力の大きさである。
【0044】
第二上部閾値は、第一上部閾値よりも大きな閾値であり、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが上述した力Fが胸骨圧迫練習用具1に加えるべき力の大きさの最大値に相当する大きさ以下であるか否かを判定する目的で使用される閾値である。また、ここで言う最大値は、例えば、シート71Sを-Z方向側に6cm押し下げる力の大きさである。
【0045】
また、成績データ出力機能1234は、所定の時間の間に、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数以上である場合、胸骨圧迫手技を適切に実施することができたことを示す成績データを出力してもよい。ここで言う所定の回数は、例えば、毎分100回から毎分120回である。また、当該成績データは、例えば、後述する表示装置124に「合格」の文字を表示させるデータであり、表示装置124に出力される。
【0046】
また、成績データ出力機能1234は、所定の時間の間に、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数未満である場合、胸骨圧迫手技を適切に実施することができていないことを示す成績データを出力してもよい。ここで言う所定の回数は、例えば、100回から120回である。また、当該成績データは、例えば、後述する表示装置124に「不合格」の文字を表示させるデータであり、表示装置124に出力される。
【0047】
さらに、成績データ出力機能1234は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさを使用して胸骨圧迫練習用具1に加えられた力Fの大きさ及び胸骨圧迫練習用具1が備える圧迫構造体40が移動した距離の少なくとも一方を推定してもよい。この場合、成績データ出力機能1234は、胸骨圧迫練習用具1に加えられた力Fの大きさを推定した結果及び圧迫構造体40が移動した距離の少なくとも一方を示す成績データを出力する。成績データ出力機能1234は、例えば、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさに基づいて力Fの大きさ及び圧迫構造体40が移動した距離の少なくとも一方を推定するための係数や計算式を使用して当該推定処理を実行する。
【0048】
表示制御機能1235は、成績データにより示される内容の少なくとも一部を表示するよう表示装置124及び表示装置125の少なくとも一方を制御する機能である。
【0049】
表示装置124は、ディスプレイである。表示装置124は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数を胸骨圧迫手技の訓練の点数として表示する。
【0050】
表示制御機能1235は、例えば、表示装置124に表示されている点数に「1」を加算させる成績データが出力された場合、表示装置124に表示されている点数に「1」を加算した点数を表示するよう表示装置124を制御する。また、表示制御機能1235は、例えば、表示装置124に表示されている点数に「0」を加算させる成績データが出力された場合、表示装置124に表示されている点数を表示し続けるよう表示装置124を制御する。
【0051】
また、表示装置124は、時間計数機能1232による所定の時間の計数が完了した後、上述した「合格」又は「不合格」の文字を表示させてもよい。
【0052】
表示制御機能1235は、例えば、表示装置124に「合格」の文字を表示させる成績データが出力された場合、「合格」の文字を表示するよう表示装置124を制御してもよい。同様に、表示制御機能1235は、例えば、表示装置124に「不合格」の文字を表示させる成績データが出力された場合、「不合格」の文字を表示するよう表示装置124を制御してもよい。
【0053】
表示装置125は、成績データ出力機能1234により推定された圧迫構造体40の移動距離を胸骨圧迫深度として表示する七つの発光装置を備える。図4に示すように、七つの発光装置は、それぞれ胸骨圧迫深度が「0cm」、「1cm」、「2cm」、「3cm」、「4cm」、「5cm」及び「6cm以上」であることを自身が発光することにより表示する。
【0054】
表示制御機能1235は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなった場合、例えば、「0cm」の文字の真横に位置する発光装置のみを発光させるよう表示装置125を制御する。また、表示制御機能1235は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさとなった場合、例えば、「6cm以上」の文字の真横に位置する発光装置以外の発光装置を発行させるよう表示装置125を制御する。また、表示制御機能1235は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが第二上部閾値を超える大きさとなった場合、例えば、七つの発光装置を発光させるよう表示装置125を制御する。
【0055】
リセットボタン126は、制御回路123による処理が実行されている場合に当該処理を最初から実行し直させるために押下されるボタンである。
【0056】
次に、図6及び図7を参照しながら実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置が実行する処理の一例を説明する。図6及び図7は、本発明の実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS10において、胸骨圧迫手技判定装置120は、所定の時間の計数及び圧迫力の大きさを示す圧迫力データの取得を開始する。
【0058】
ステップS20において、成績データ出力機能1234は、圧迫力の大きさを使用して胸骨圧迫練習用具1に加えられた力の大きさ及び胸骨圧迫練習用具1が備える圧迫部材45が移動した距離の少なくとも一方を推定する。
【0059】
ステップS30において、成績データ出力機能1234は、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなったか否かを判定する。成績データ出力機能1234は、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなったと判定した場合(ステップS30:YES)、処理をステップS40に進める。一方、成績データ出力機能1234は、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなっていないと判定した場合(ステップS30:NO)、処理をステップS60に進める。
【0060】
ステップS40において、成績データ出力機能1234は、胸骨圧迫練習用具1に加えられた力の大きさを推定した結果及び圧迫部材45が移動した距離の少なくとも一方と、胸骨圧迫練習用具1に適切に力が加えられたこととを示す成績データを出力する。
【0061】
ステップS50において、成績データ出力機能1234は、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数に「1」を加算する。
【0062】
ステップS60において、成績データ出力機能1234は、胸骨圧迫練習用具1に加えられた力の大きさを推定した結果及び圧迫部材45が移動した距離の少なくとも一方と、胸骨圧迫練習用具1に適切に力が加えられていないこととを示す成績データを出力する。
【0063】
ステップS70において、成績データ出力機能1234は、所定の時間が経過したか否かを判定する。成績データ出力機能1234は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS70:YES)、処理をステップS80に進める。一方、成績データ出力機能1234は、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS70:NO)、処理をステップS20に戻す。
【0064】
ステップS80において、成績データ出力機能1234は、所定の時間の間に、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数以上であるか否かを判定する。成績データ出力機能1234は、所定の時間の間に、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数以上であると判定した場合(ステップS80:YES)、処理をステップS90に進める。一方、成績データ出力機能1234は、所定の時間の間に、圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数未満であると判定した場合(ステップS80:NO)、処理をステップS100に進める。
【0065】
ステップS90において、成績データ出力機能1234は、胸骨圧迫手技を適切に実施することができたことを示す成績データを出力する。
【0066】
ステップS100において、成績データ出力機能1234は、胸骨圧迫手技を適切に実施することができていないことを示す成績データを出力する。
【0067】
以上、実施形態に係る胸骨圧迫手技判定装置120について説明した。胸骨圧迫手技判定装置120は、胸骨圧迫練習用具1に加えられた力Fに起因する圧迫力の大きさを示す圧迫力データを取得する。
【0068】
そして、胸骨圧迫手技判定装置120は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった場合、胸骨圧迫練習用具1に適切に力Fが加えられたことを示す成績データを出力する。
【0069】
或いは、胸骨圧迫手技判定装置120は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとならなかった場合、胸骨圧迫練習用具1に適切に力Fが加えられていないことを示す成績データを出力する。
【0070】
これにより、胸骨圧迫手技判定装置120は、水を使用せずに胸骨圧迫手技が適切に行われているか否かを胸骨圧迫手技の訓練を行う者やその指導者に報知することができる。また、これにより、胸骨圧迫手技判定装置120は、胸骨を圧迫する動作が一回行われる度に当該動作が適切であったか否かを胸骨圧迫手技の訓練を行う者やその指導者に水を使用せずに報知することができる。
【0071】
また、胸骨圧迫手技判定装置120は、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさを使用して胸骨圧迫練習用具1に加えられた力の大きさ及び胸骨圧迫練習用具1が備える圧迫構造体40が移動した距離の少なくとも一方を推定する。そして、胸骨圧迫手技判定装置120は、胸骨圧迫練習用具1に加えられた力Fの大きさを推定した結果及び圧迫構造体40が移動した距離の少なくとも一方を示す成績データを出力する。
【0072】
これにより、胸骨圧迫手技判定装置120は、胸骨を圧迫する動作が一回行われる度に当該動作が適切であったか否かを胸骨圧迫手技の訓練を行う者やその指導者に水を使用せずに定量的に報知することができる。
【0073】
また、胸骨圧迫手技判定装置120は、所定の時間の間に、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数以上である場合、胸骨圧迫手技を適切に実施することができたことを示す成績データを出力する。
【0074】
或いは、胸骨圧迫手技判定装置120は、所定の時間の間に、圧迫力データにより示される圧迫力の大きさが下部閾値未満の大きさとなり、第一上部閾値以上であり、第二上部閾値以下である大きさまで増加し、再び下部閾値未満の大きさとなった回数が所定の回数未満である場合、胸骨圧迫手技を適切に実施することができていないことを示す成績データを出力する。
【0075】
これにより、胸骨圧迫手技判定装置120は、胸骨を圧迫する訓練が所定の時間を通して行われた場合、胸骨圧迫手技が所定の時間を通して適切に行われた度合いを胸骨圧迫手技の訓練を行う者やその指導者に水を使用せずに定量的に報知することができる。
【0076】
なお、制御回路123が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。
【0077】
また、制御回路123が有する機能の少なくとも一部は、これらのハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されてもよい。当該ソフトウェアは、例えば、非一過性の記憶媒体を備える記憶装置に格納されており、上述したハードウェアにより読み出され、実行されてもよい。当該記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)である。或いは、当該ソフトウェアは、着脱可能な非一過性の記憶媒体を備える記憶装置に格納されており、上述したハードウェアにより読み出され、実行されてもよい。当該記憶装置は、例えば、DVD、CD-ROMである。
【0078】
また、上述した実施形態では、制御回路123が制御機能1231、時間計数機能1232、圧迫力データ出力機能1233、成績データ出力機能1234及び表示制御機能1235を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、制御回路123が有する機能の一部が特定のハードウェアにより実現され、制御回路123が有する機能の他の一部が他のハードウェアにより実現されてもよい。また、例えば、制御回路123が有する機能の一部が特定のハードウェア及びソフトウェアにより実現され、制御回路123が有する機能の他の一部が他のハードウェア及びソフトウェアにより実現されてもよい。
【0079】
なお、上述した実施形態では、表示装置125が成績データ出力機能1234により推定された圧迫構造体40の移動距離を胸骨圧迫深度として表示する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、表示装置125は、七つの発光装置により力Fの大きさの推定結果を表示してもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述したが、本発明の実施形態は、上述した形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換及び設計変更の少なくとも一つが付加され得る。
【符号の説明】
【0081】
1…胸骨圧迫練習用具、10…板状部材、20…ポンプ、21,22…逆止弁、23,24…管、30…円筒状部材、31…側面部、32…底面部、32H…孔、40…圧迫構造体、41…板状部材、42…ネジ、43…円柱状部材、44…ネジ、45…圧迫部材、50…弾性体、60…クッション部材、70…風船、71…第一風船、71V…領域、71S…シート、72…第二風船、73…笛、74…弁、110…圧迫力検知装置、111…板状部材、112…圧迫力検出センサ、113,114,115,116,117…ピン、120…胸骨圧迫手技判定装置、121…電源ボタン、122…開始ボタン、123…制御回路、1231…制御機能、1232…時間計数機能、1233…圧迫力データ出力機能、1234…成績データ出力機能、1235…表示制御機能、124,125…表示装置、126…リセットボタン、130…ケーブル、C…中心軸、G…設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7