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▶ セーエムエル・インテルナツィオナル・エス・ペー・アーの特許一覧

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  • 特許-油圧作動回転式パイプ曲げ加工機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】油圧作動回転式パイプ曲げ加工機
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/04 20060101AFI20240516BHJP
【FI】
B21D7/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020550944
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 IB2018059812
(87)【国際公開番号】W WO2019116191
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】102017000142179
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】503364881
【氏名又は名称】セーエムエル・インテルナツィオナル・エス・ペー・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・カポルッソ
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-180740(JP,A)
【文献】米国特許第02709473(US,A)
【文献】特開2013-208693(JP,A)
【文献】特開2010-038304(JP,A)
【文献】特開平09-060606(JP,A)
【文献】特開平09-060370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱(1)を備え、該箱から、
ダイに剛に接続されるとともに、油圧回路を介してアクチュエータ(30)により駆動され、かつリミットスイッチ装置(8)によって停止されるダイギア(29)と統合されたダイシャフト(2)と、
曲げるべき細長いピースを前記ダイに対して載置すべく、ハンドホイール(4)によって駆動されるカウンターダイユニット(3)と、
が上方に突出してなる油圧作動回転式パイプ曲げ加工機械において、
前記アクチュエータ(30)が単動シリンダを備え、該単動シリンダは、前記ダイギア(29)と係合したラックロッド(30a)を保持したピストン(31)を有し、該ピストン(31)は、前記単動シリンダ内に設けられた戻りバネ(33)によってその作動工程において対向しており
前記油圧回路は、
オイルタンク(36)と、
前記オイルタンク(36)内のフィルタ(38)を介して吸い上げ、かつ作動弁(40)を介して前記単動シリンダ(32)のチャンバに接続されたポンプ(37)と、
前記単動シリンダ(32)と前記作動弁(40)との間に設けられたリミットスイッチ(17)と、
を備え、
前記ダイシャフト(2)は前記リミットスイッチ装置(8)を底部に有し、該リミットスイッチ装置(8)は角度目盛り付きディスク(10)を備え、該ディスク(10)は、前記ダイシャフト(2)に手動調節可能に設けられ、かつ前記リミットスイッチ(17)を制御するよう構成されたカム(16)が設けられている
ことを特徴とする油圧作動回転式パイプ曲げ加工機械。
【請求項2】
前記ラックロッド(30a)はラック(30b)を一体に備えている、請求項1記載の回転式パイプ曲げ加工機械。
【請求項3】
前記箱(1)は、前記アクチュエータ(30)の前記ラックロッド(30a)が突出するための前部開口(41)を有している、請求項1記載の回転式パイプ曲げ加工機械。
【請求項4】
前記前部開口(41)はバネ付勢された小さい扉(42)により閉じられる、請求項3記載の回転式パイプ曲げ加工機械。
【請求項5】
前記ポンプ(37)は電気モータによって駆動される、請求項記載の回転式パイプ曲げ加工機械。
【請求項6】
前記ポンプ(37)は手動で操作される、請求項記載の回転式パイプ曲げ加工機械。
【請求項7】
前記戻りバネ(33)は、前記ラックロッド(30a)の外側に、該ラックロッド(30a)を囲むように配されている、請求項1~のいずれか一項に記載の回転式パイプ曲げ加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧作動回転式パイプ曲げ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、油圧回路を介してアクチュエータによって駆動されかつリミットスイッチ装置によって停止されるダイギアと一体とされたダイシャフトと、細長いピースを前記ダイに対して曲げるためのハンドホイールによって駆動されるカウンターダイと、を備えてなる機械本体を備えた油圧作動回転式パイプ曲げ加工機を開示している。前記アクチュエータは複動油圧シリンダ (double-acting hydraulic cylinder) であり、前記油圧回路により、常に、曲げ操作と、戻り操作又は排出操作との双方を行う。この目的のために、前記油圧シリンダはラック要素を制御する。細長いピースを曲げる力は、曲げ作業でのみ必要であり、排出作業では必要ないことは明らかである。そのため、排出動作にも複動油圧回路を使用すると、パイプ曲げ加工機が複雑となる。複動油圧シリンダの使用は機械コストを増加させる。さらに、上述のパイプ曲げ加工機は、曲げ角度を固定するためにハンドルによって制御されるリミットスイッチ装置を提供しており、その結果、該リミットスイッチ装置は複雑であり、従って機械コストが増加する。さらに、前記ラック要素は、前記ダイギアと噛み合って、完全に上記のパイプ曲げ加工機の内部にある。これは、機械本体のサイズの増加を伴い、したがってコストは増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国特許第101642675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した欠点を解消すべくなされたものである。
【0005】
本発明の主たる目的は、軽量で、出来れば持ち運び可能で邪魔にならず、かつ電気エネルギーの使用を必要としない高出力曲げ加工機を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、曲げられるパイプの所望の回転角度を簡単にセットすることのできる機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、本明細書に添付の請求項1に規定されるように、箱を備え、該箱から、ダイに剛に接続されて油圧回路を介してアクチュエータにより駆動されかつリミットスイッチ装置によって停止されるダイギアと統合されたダイシャフトと、曲げるべき細長いピースを前記ダイに対して載置すべく、ハンドホイールによって駆動されるカウンターダイユニットとの双方が上方に突出してなり、前記アクチュエータが単一効果シリンダを備え、該シリンダは、前記ダイギアと係合したラック状ロッドを担持したピストンを有し、前記ピストンは、戻りバネによってその作動工程において対向している、油圧作動回転式パイプ曲げ加工機械を提供する。
【0008】
本発明のその他の関連した特徴として、該パイプ曲げ加工機械の前記箱は、前記アクチュエータラック状ロッドが突出するための前部開口を有している。主たる利点は、本発明による機械は、前記ラック状ロッドの歯が前記前部開口を通して該機械の前記箱から突出できるためよりコンパクトであるという点である。加えて、このパイプ曲げ加工機械は、構成部品が少ないためにより軽量であり、かつ安価である。
【0009】
前記戻りバネは、機械的なピニオン-ラック-ピストン結合の結果として、適切に前記ピストン及び前記ダイの双方を初期のゼロ点に自動的に戻し、該機械を次の曲げ加工に備えさせる機能を発揮する。
【0010】
有利なことに、前記リミットスイッチ装置は、以下に示すように、クラッチ付きディスク、カム、及びリミットスイッチを備える。クラッチ付きディスクは、所望の曲げ角度の設定を可能とする。調整可能な範囲は、前記単一効果シリンダの単一ストロークで、0°から210°である。
【0011】
本発明の更なる特徴及び優位点は、添付の図面に非限定的な例として示された油圧作動回転式パイプ曲げ加工機の実施形態の説明により最も明らかとされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による回転式パイプ曲げ加工機を部分断面で示す側面図である。
図2図1に示す回転式パイプ曲げ加工機の底面図である。
図3図1におけるA-A線に沿う断面図である。
図4図1に示す回転式パイプ曲げ加工機を分解して左側から示す斜視図である。
図5図1に示す回転式パイプ曲げ加工機を分解して右側から示す斜視図である。
図6】本発明による回転式パイプ曲げ加工機の油圧回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
初めに、本発明による回転式パイプ曲げ加工機を部分断面で示す側面図である図1を参照する。この回転式パイプ曲げ加工機は、箱1であって、ダイシャフト2が上方に突出して図示しないダイに強固に接続される箱1と、ハンドホイール4により駆動されるカウンターダイユニット3とを有している。カウンターダイユニット3は、従来機同様、図示されないカウンターダイ用の支持体5を担持している。カウンターダイユニット3は、細長いピース(図示せず)を前記ダイに対して曲げられるようにするためのものである。カウンターダイユニット3は従来型のものであり、従って、完全に示してはいるが、以下で詳述はしない。
【0014】
前記ダイシャフト2は、前記ダイとの接続のために多角形端部6を有している。本発明によれば、多角形端部6の反対側におけるダイシャフト2の下端部7は、全体として符号8で示すリミットスイッチ装置を担持している。リミットスイッチ装置8は摩擦リング9を含み、その上に90度間隔で番号が付けられた角度目盛り付きディスク10が載っている。角度目盛り付きディスク10は、摩擦リング9に同心的に取り付けられ、リングナット12によって保持されるカップスプリング11によってその上に保持される。ネジ14によって、カップ13がダイシャフト2の下端7を閉じている。前記摩擦リング9、及びリングナット12によって保持されたカップスプリング11に代わり、ダイシャフト2の下端7に取り付けられるようクランプレバーを設けることも可能である。
【0015】
本発明による油圧作動回転式パイプ曲げ加工機の底面図である図2に示すように、前記角度目盛り付きディスク10は、外周にカム16を有したスポーク付きホイール15によって支持されている。有利には、角度目盛り付きディスク10は、スポーク付きホイール15と一体物とされている。カム16は、以下に示す油圧回路の一部であるリミットスイッチ17と協働する。以下に示されるように、この油圧回路において、アクチュエータへのオイル供給管が符号18にて、リミットスイッチ17の下流のオイル吐出管が符号19にて示してあり、また、符号20で示すものは、ポンプによるオイル供給ラインである。
【0016】
図3は、図1のA-A線に沿う断面図である。示されるように、ダイシャフト2と一体とされたダイギア29が、単動シリンダ (single acting cylinder) 32内の戻りバネ33によって対向したピストン31に取り付けられたラックロッド30aに噛合している。ラックロッド30aは一体となるラック30bを有している。この構成により本機はよりコンパクトであり、そのため場所を取らない。
【0017】
このことは主に図4及び図5に詳細に示されている。図4及び図5は、図1に示す回転式パイプ曲げ加工機を分解して左側及び右側から示したものである。カウンターダイ3のための支持体5はピン21によってブラケット22に取り付けられており、ブラケット22にはレバーアーム23が設けられ、かつブラケットはありつぎ溝形状体25内をスライドするスライダ24に取り付けられていることが解るであろう。スライダ24はハンドホイール4に結合されたネジ26に取り付けられている。ルーラ43が前記溝形状体25に平行に固定され、スライダ24のストロークを調節する。
【0018】
ダイシャフト2による前記ダイの動作に関し、上部カバー27及び底部カバー28が設けられた前記箱1の内部で、ダイシャフト2は、単動シリンダ32の内部でピストン31に取り付けられたラックロッド30aを備えるアクチュエータ30により駆動されるダイギア29と統合されていることに留意すべきである。ピストン31は、一端が単動シリンダ32のチャンバ内の加圧オイルと接触し、他端が戻りバネ33に当接する。戻りバネ33は、その他端で、リングナット35によって前記単動シリンダに締結された保持部材34に当接する。明らかに、単動シリンダ32の頭部を異なる構成とすることもできる。例えば、リングナットは、雄型の保持部材の凸条に置き換えることができ、その場合は、上部カバーは雌型とする必要がある。保持部材34は上方に開いた蓋に類似しており、そのためラックロッド30aの自由端は、前部開口41を通して該回転式パイプ曲げ加工機械の箱1から前方に突出することができる。便利なことに、図4に示すように、前部開口41は、バネ付勢された小さな扉42で閉じられており、該扉は、ラックロッド30aが出てくるときに開き、ラックロッド30aが箱1に引き込まれるときに閉じる。これはとりわけ、ボックス1内への埃や汚れの侵入を防ぐという利点を有する。
【0019】
アクチュエータ30を駆動する油圧回路は、図6に概略的に示されている。油圧回路は、ポンプ37がフィルタ38を通して吸引するオイルタンク36を含む。ポンプ37は、例えば、電気モータにより駆動される。ポンプは手動式も可能であることが理解されるべきである。前述したように、ポンプ37はアクチュエータ30に接続されている。ポンプ37の下流には操作弁40があり、かつ、リミットスイッチ17は操作弁40の下流に設けられている。
【0020】
本発明による回転式パイプ曲げ加工機械の作動は以下の通りである。曲げるべき細長部材を前記ダイ上に載置し、かつ前記カウンタをその隣に載置する。前記角度目盛り付きディスク10に所望の曲げ角度をセットする。前記油圧のポンプを作動させると、ラックロッド30aがダイギア29と係合したアクチュエータ30が駆動する。角度目盛り付きディスク10への回転セットの最後に、カム16がリミットスイッチ17のボタンに作用し、単動シリンダ内の圧力を放出してリミットスイッチ弁の開度を決定する。このように、戻りバネ33が、ピストン31に作用することにより、アクチュエータ30のラックロッド30aを停止させ、曲げ動作を中断させる。
【0021】
本発明の目的が達成されたことを理解すべきである。ピストンにラックを備えたロッドを有した単動シリンダを用いていること、及び、該機械の箱がロッドの出口である開口を有していることから、典型的なロッド及びラックを用いるシリンダに対して少なくともラックの歯の長さ分短いので、コンパクトな機械が得られている。加えて、この機械は部品数が少ないためより軽量であり、従ってより安価で有り、かつより剛性に優れる。
【符号の説明】
【0022】
1 箱
2 ダイシャフト
3 カウンターダイユニット
4 ハンドホイール
8 リミットスイッチ装置
10 角度目盛り付きディスク
16 カム
17 リミットスイッチ
29 ダイギア
30a ラックロッド
30b ラック
31 ピストン
32 単動シリンダ
33 戻りバネ
37 ポンプ
41 前部開口
42 扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6