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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】対称導光光学素子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/00 20060101AFI20240516BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20240516BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G02B6/00 326
G02B5/04 A
G02B5/04 E
G02B27/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021531652
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 IB2020050294
(87)【国際公開番号】W WO2020148665
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】62/792,433
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マジール,アミット
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109717(JP,A)
【文献】米国特許第07643214(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2009/0034069(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0050548(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106226902(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/245 - 6/25
G02B 6/46 - 6/54
G02B 27/00 - 30/60
G02B 5/00 - 5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行な1対の外側表面と、相互に平行な複数の第1の内側反射面と、相互に平行な複数の第2の内側反射面とを有する対称導光光学素子(「LOE」)であって、前記第1および第2の内側反射面は、互いに非平行であり、かつ前記1対の外側表面に非平行である、対称LOEを製造する方法であって、
透明な複数のプレートを用意することであって、各プレートは2つの平行な表面を有する、前記透明な複数のプレートを用意することと、
前記複数のプレートのうちの第1のサブセットを透明なベースブロック上に積み重ねて、前記ベースブロック上に前記透明な複数のプレートを積み重ねた第1のプレートスタックを形成することであって、前記第1のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを含む、前記第1のプレートスタックを形成することと、
前記第1のプレートスタックおよび前記ベースブロックの1つの側部に傾斜面を形成することであって、前記傾斜面は、前記第1のプレートスタックの前記プレートの前記平行な表面に非垂直であり、かつ前記ベースブロックの少なくとも一部を含む、前記傾斜面を形成することと、
前記複数のプレートのうちの第2のサブセットを前記傾斜面上に積み重ねて、前記ベースブロック上に前記透明な複数のプレートを積み重ねた第2のプレートスタックを形成することであって、前記第2のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを含み、前記ベースブロックと前記第1のプレートスタックとの間の界面と、前記ベースブロックと前記第2のプレートスタックとの間の界面とは、各々、少なくとも部分反射性のコーティングを含む、前記第2のプレートスタックを形成することと、
前記第1のプレートスタック、前記ベースブロック、および前記第2のプレートスタックのスライスを、前記第1のプレートスタックのプレートと前記第2のプレートスタックのプレートとの間に挟まれた前記ベースブロックの少なくとも一部を前記スライスが含むように抽出することと、を含む方法。
【請求項2】
前記第1のサブセットのプレートを前記透明なベースブロック上に積み重ねることは、 前記第1のプレートスタックの隣接プレート間と、前記第1のプレートスタックと前記ベースブロックとの間とに、少なくとも部分反射性のコーティングを適用するステップと、
永久接着剤を使用して、前記第1のプレートスタックの前記プレートを互いに接合するステップと、
永久接着剤を使用して、前記第1のプレートスタックを前記ベースブロックに接合するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のサブセットのプレートを透明な前記ベースブロック上に積み重ねることは、 前記第1のプレートスタックの隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを適用するステップと、
永久接着剤を使用して、前記第1のプレートスタックの前記プレートを互いに接合するステップと、
仮接着剤を使用して、前記第1のプレートスタックを前記ベースブロックに接合するステップであって、前記傾斜面の形成後に、前記第1のプレートスタックを前記ベースブロックから剥離させ、前記第1のプレートスタックと前記ベースブロックとの間の界面に少なくとも部分反射性のコーティングを適用した後に、永久接着剤を使用して、前記第1のプレートスタックを前記ベースブロックに再接合する、接合するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの前記対称LOEを形成するために、前記スライスを成形すること、ラップ研磨すること、および両面研磨することのうちの1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スライスを、複数の片に切断して、複数の対称LOEを形成することをさらに含む、請求項4に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、対称導光光学素子(LOE)を製造する方法に関し、より具体的には、接合界面のない対称LOEに関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトな光学素子の重要な用途の1つは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に使用することであり、このディスプレイでは、光学モジュールが結像レンズとコンバイナの両方として機能し、それによって、2次元ディスプレイが無限遠に結像され、観察者の眼内に反射される。ディスプレイは、ブラウン管(CRT)などの空間光変調器(SLM)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードアレイ(OLED)、走査源、もしくは同様のデバイスのいずれかから直接に、またはリレーレンズもしくは光ファイババンドルによって間接的に、取得することができる。ディスプレイは、コリメートレンズによって無限遠に結像され、かつそれぞれ非シースルーまたはシースルーの用途のコンバイナとして機能する反射面または部分反射面によって、視聴者の眼内に伝送される素子(ピクセル)のアレイを備えている。典型的には、従来の自由空間光学モジュールが、この目的で使用される。システムの所望の視野(FOV)が増大すると、そのような従来の光学モジュールは必然的に、より大きく、より重く、そしてよりかさばるようになり、中程度の性能であってもデバイスを非実用的にする。これらは、あらゆる種類のディスプレイにとって大きな欠点であるが、システムが必然的にできるだけ軽量かつコンパクトでなければならないヘッドマウント用途では特にそうである。コンパクト化への取り組みにより、いくつかの異なる複雑な光学的解決策がもたらされたが、それらのすべてが、一方では、ほとんどの実用的な用途にはまだ十分にコンパクトではなく、他方では、製造が困難である。さらに、これらの設計から得られる光学的視野角の眼球運動ボックス(EMB)は、通常、非常に小さく、典型的には8mm未満である。したがって、光学システムの性能は、視聴者の眼に比べて小さい動きに対してさえ非常に敏感であり、表示されたテキストを読むのに都合がよい十分な瞳孔の動きを可能にしない。これらのシステムのいくつかでは、入力光が基板の中央部分で基板に結合される対称システムを有することが好ましい。
【0003】
米国特許第7,643,214号、特に図10は、対称導光光学素子(LOE)を開示している。対称LOEは、実際には、本明細書で図1に示すように一緒に接合された、コンバイナスライスの2つの部分である。接合スライスコンバイナは、分離層の有無にかかわらず、対称LOEの最終構成を形成し、それは、図2に示すように、任意の数の内側BSコーティングファセットおよび外側ミラーコーティングと、両パーツ間の接合面とで構成される。この構造には、2つの主な問題がある。第一に、接合面は、クリアアパーチャ領域内で白/黒の縞模様として反射される、接合界面を通して投射された光線のオーバーラップおよびアンダーラップなどの光学的干渉を引き起こす。第二に、両パーツは、そもそも完全に整合する必要があり、接合前に互いに能動的に整列している必要がある。このプロセスは、繊細な個別の取り扱いが伴うため、大量生産の観点からは十分に堅牢ではない。
【0004】
概要
本開示の主題の1つの態様によれば、1対の平行な外側表面と、第1の複数の内側反射面と、第2の複数の内側反射面とを有する対称導光光学素子(「LOE」)であって、第1および第2の複数の内側反射面は、互いに非平行であり、かつ1対の外側表面に非平行である、LOEを製造する方法であって、複数の透明プレートを用意することであって、各プレートは2つの平行な表面を有する、用意することと、複数のプレートのうちの第1のサブセットを透明ベースブロック上に積み重ねて、ベースブロック上に第1のプレートスタックを形成することであって、第1のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを含む、形成することと、第1のプレートスタックおよびベースブロックの1つの側部に傾斜面を形成することであって、傾斜面は、第1のプレートスタックのプレートの平行な表面に非垂直であり、かつベースブロックの少なくとも一部を含む、形成することと、複数のプレートのうちの第2のサブセットを傾斜面上に積み重ねて、ベースブロック上に第2のプレートスタックを形成することであって、第2のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを含み、ベースブロックと第1のプレートスタックとの間の界面と、ベースブロックと第2のプレートスタックとの間の界面とは、各々、少なくとも部分反射性のコーティングを含む、形成することと、第1のスタック、ベースブロック、および第2のスタックのスライスを、第1のスタックのプレートと第2のスタックのプレートとの間に挟まれたベースブロックの少なくとも一部をスライスが含むように抽出することと、を含む方法が提供される。
【0005】
いくつかの態様によれば、第1のサブセットのプレートを透明ベースブロック上に積み重ねることは、第1のスタックの隣接プレート間と、第1のスタックとベースブロックとの間とに、少なくとも部分反射性のコーティングを適用するステップと、永久接着剤を使用して、第1のスタックのプレートを互いに接合することと、永久接着剤を使用して、第1のプレートスタックをベースブロックに接合するステップと、を含む。
【0006】
いくつかの態様によれば、第1のサブセットのプレートを透明ベースブロック上に積み重ねることは、第1のスタックの隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを適用するステップと、永久接着剤を使用して、第1のスタックのプレートを互いに接合するステップと、仮接着剤を使用して、第1のプレートスタックをベースブロックに接合するステップであって、傾斜面の形成後に、第1のプレートスタックをベースブロックから剥離し、第1のプレートスタックとベースブロックとの間の界面に少なくとも部分反射性のコーティングを適用した後に、永久接着剤を使用して、第1のプレートスタックをベースブロックに再接合する、接合するステップと、を含む。
【0007】
いくつかの態様によれば、方法は、少なくとも1つの対称LOEを形成するために、スライスを成形すること、ラップ研磨すること、および両面研磨することのうちの1つ以上をさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、スライスを、複数の片に切断して、複数の対称LOEを形成することをさらに含む。
【0009】
本開示の主題の別の態様によれば、1対の平行な外側表面と、第1の複数の内側反射面と、第2の複数の内側反射面とを有する対称導光光学素子(LOE)であって、第1および第2の複数の内側反射面は、互いに非平行であり、かつ1対の外側表面に非平行である、LOEが提供され、LOEは、複数の透明プレートを用意することであって、各プレートは2つの平行な表面を有する、用意することと、複数のプレートのうちの第1のサブセットを透明ベースブロック上に積み重ねて、ベースブロック上に第1のプレートスタックを形成することであって、第1のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを含む、形成することと、第1のプレートスタックおよびベースブロックの片側に傾斜面を形成することであって、傾斜面は、第1のプレートスタックのプレートの平行な表面に非垂直であり、かつベースブロックの少なくとも一部を含む、形成することと、複数のプレートのうちの第2のサブセットを傾斜面上に積み重ねて、ベースブロック上に第2のプレートスタックを形成することであって、第2のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを含み、ベースブロックと第1のプレートスタックとの間の界面と、ベースブロックと第2のプレートスタックとの間の界面とは、各々、少なくとも部分反射性のコーティングを含む、形成することと、第1のスタック、ベースブロック、および第2のスタックのスライスを、第1のスタックのプレートと第2のスタックのプレートとの間に挟まれたベースブロックの少なくとも一部をスライスが含むように抽出することと、を含むプロセスによって作製される。
【0010】
本開示の主題の別の態様によれば、導光光学素子(LOE)であって、全内部反射によってそれらの間で光を伝搬するように構成された1対の平行な外側表面を有する透明材料のブロックと、1対の外側表面に対して傾斜した、ブロック内にある、第1のセットの少なくとも部分反射性の相互に並行な内側表面であって、結合入射面と、LOEの外側表面間を伝搬する光の第1の部分を反射送出するように構成された少なくとも1つの結合出射面とを含む、第1のセットの内側表面と、1対の外側表面に対して傾斜した、ブロック内にある、第2のセットの少なくとも部分反射性の相互的な内側表面であって、結合入射面と、LOEの外側表面間を伝搬する光の第2の部分を反射送出するように構成された少なくとも1つの結合出射面とを含む、第2のセットの内側表面と、を含み、第1のセットの内側表面の結合入射面と、第2のセットの内側表面の結合入射面とが一緒になって、V字状の結合入射リフレクタを画定し、第1のセットの内側表面の結合入射面と第2のセットの内側表面の結合入射面との間に存在する透明材料のブロックの一部は、継ぎ目のない透明材料の単片である、LOEが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を理解し、それを実際にどのように実施することができるかを確認するために、実施形態を、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して説明する。
図1A】コンバイナスライス間に接合界面がある対称LOEの分解等角図を示す。
図1B】コンバイナスライス間に接合界面がある対称LOEの断面図を示す。
図2】接合界面のない対称LOEの断面図を示す。
図3】対称LOEの「クリーンコーナー」実施形態の断面図を示す。
図4】対称LOEの「縮退」実施形態の断面図を示す。
図5A】本明細書に開示される実施形態による、プレートをベースブロック上に積み重ねるステップを示す。
図5B】本明細書に開示される実施形態による、プレートをベースブロック上に積み重ねるステップを示す。
図6】本明細書に開示される実施形態による、傾斜面を形成するステップを示す。
図7】本明細書に開示される実施形態による、プレートをベースブロックから取り外すステップを示す。
図8】本明細書に開示される実施形態による、ベースブロックをコーティングするステップを示す。
図9】本明細書に開示される実施形態による、第2のスタックを形成するステップを示す。
図10】本明細書に開示される実施形態による、第2のスタックのスライスを抽出するステップを示す。
図11】本明細書に開示される実施形態による、スライスの表面をラップ研磨するステップを示す。
図12】本明細書に開示される実施形態による、スライスを両面研磨するステップを示す。
図13】本明細書に開示される実施形態による、スライスを成形および切断するステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明には、本発明の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が示されている。しかしながら、本開示の主題は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが、当業者によって理解されるであろう。他の場合では、本開示の主題を曖昧にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。
【0013】
これを念頭に置いて、図1Aは、接着剤接合面14で一緒に接合された、コンバイナスライス12の2つの部分から実際に構成される対称LOE10の周知の実施形態の分解等角図を示す。任意選択的には、LOE10は、上部および下部の分離層コーティング16を含むことができる。
【0014】
図1Bは、図1Aに示された周知の対称LOE10の断面図を示す。LOEは、全内部反射によってそれらの間で光を伝搬するように構成された1対の平行な外側表面18を有する透明材料のブロックを含む。LOE10は、1対の外側表面18に対して傾斜した、少なくとも部分反射性の相互に平行な内側表面(「ファセット」)20の第1のセット20Aをブロック内にさらに含む。第1の内側表面のセット20Aは、結合入射面20-A2と、LOE10の外側表面18間を伝搬する光の第1の部分を反射送出するように構成された少なくとも1つの結合出射面20-A1とを含む。
【0015】
LOE10は、1対の外側表面18に対して傾斜した、少なくとも部分反射性の相互に平行な内側表面20の第2のセット20Bをブロック内にさらに含む。第1のセットと同様に、第2の内側表面のセット20Bは、結合入射面20-B2と、LOE10の外部表面18間を伝搬する光の第2の部分を反射送出するように構成された少なくとも1つの結合出射面20-B1とを含む。
【0016】
LOE10では、第1のセット20Aおよび第2のセット20Bのファセットは互いに対して非平行であり、第1のセット20Aの結合入射面20-A2と第2のセット20Bの結合入射面20-B2とは一緒になって、V字状の結合入射リフレクタを画定する。
【0017】
内側表面20は、複数の透明プレートを接合することにより形成され、内側表面の少なくとも部分反射特性は、各々対をなす隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティングを適用することによって達成される。
【0018】
上記およびUS7,643,214に記載されているように、LOE10は、結合入射面20-A2と結合入射面20-B2との間に継ぎ目(つまり、接合界面)14が存在するように、2つのコンバイナスライスをつなぎ合わせることによって製造される。
【0019】
しかしながら、上述したように、いくつかのニアアイディスプレイの用途では、接合界面のない対称LOE10’の実施形態の断面図を示す図2に示すように、コンバイナスライス間に接合界面がない対称LOEを使用することが、画質を向上させるために有益または望ましい場合がある。LOE10’は、LOE10と同様であるが、但し、第1のセットの内側表面の結合入射面と第2のセットの内側表面の結合入射面との間にある透明材料のブロックは、継ぎ目のない透明材料の単片22である。
【0020】
製造プロセスの制約の故に、特にLOEの主要な外側表面が正確な平行性のために研磨される最終段階では、図3に示すように、結合入射面20A-2と結合入射面20-B2とが交差する点と、LOEの最も近い面18との間に、ギャップ30が存在し得ることに留意されたい。そのようなギャップには、約0~0.1mmの許容誤差が容認可能であると見なされるが、画像の劣化を引き起こす可能性があるので、0.1mmを超えることは回避されなければならない。
【0021】
いくつかの実施形態では、部分反射性の内側表面が不在であるという意味で、ギャップ30の領域は「クリーン」である必要がある。この実施形態を、図3に示し、本明細書では「クリーンコーナー」構成と称する。他の実施形態では、図4に示すように、少なくとも1つの結合入射面の一部がギャップ30の領域を通って外側表面18まで延在し、図4に示すように、2つの結合入射面のオーバーラップ40またはアンダーラップ42をもたらすことが容認可能であり得る。この実施形態を、本明細書では「縮退」構成と称する。
【0022】
継ぎ目のない対称LOE10’を説明したので、ここで、いくつかの実施形態によるLOE10’を製造する方法を、図5図13を参照して説明する。ここで図5Aおよび図5Bを参照すると、最初に、複数の透明プレート50が用意され、各プレートは、1対の平行な表面を有する。図5Aおよび図5Bに示すように、方法は、透明プレート50のうちの第1のサブセットを、透明ベースブロック52上に積み重ねて、ベースブロック22上に第1のプレートスタック50Aを形成することを含む。本明細書で使用される「積み重ねる」とは、プレートをベースブロック上に1枚ずつ積み重ねること、または予め形成されたプレートスタックをベースブロック上に積み重ねること、または上記の任意の組み合わせを含む。
【0023】
プレートを積み重ねて第1のスタック50Aを形成することは、好ましくは、各々対をなす隣接プレート50の間に少なくとも部分反射性のコーティング54を適用することを含み、さらに、いくつかの実施形態では、好ましくは、第1のプレートスタックとベースブロック52との間に少なくとも部分反射性のコーティング54を適用することを含む。隣接プレート間に適用される少なくとも部分反射性のコーティング54は、同じまたは異なる少なくとも部分反射性のコーティングであり得、スタックとベースブロックとの間に適用される少なくとも部分反射性のコーティングは、スタックのプレート間に適用されるコーティングと比較して、同じまたは異なるコーティングであり得る。いくつかの実施形態では、隣接プレート間に、またはプレートスタックとベースブロックとの間に適用される少なくとも部分反射性のコーティングの少なくとも1つは、完全反射性のコーティングであり得る。
【0024】
プレートを積み重ねて第1のスタック50Aを形成することは、好ましくは、第1のスタック50Aの隣接プレート間と、第1のスタック50Aとベースブロック52との間とに、接着剤コーティング56を適用することをさらに含む。隣接プレート間に適用される接着剤コーティングは、プレートスタックとベースブロックとの間に適用される接着剤コーティングと同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1のスタック50Aのプレートは、好ましくは、永久接着剤で一緒に接合され、一方、第1のスタック50Aは、所望の最終LOE構成に応じて仮接着剤または永久接着剤のいずれかを使用して、ベースブロック52に接合され得る。例えば、「クリーンコーナー」対称LOEを製造するために、第1のプレートスタック50Aは、好ましくは、この段階では仮接着剤のみでベースブロック52に接合されるべきであり、一方、「縮退」LOEは、好ましくは、第1のプレートスタック50Aがここでベースブロック52に永久接着剤を用いて接合されるように、製造される。したがって、この段階では、ベースブロック52と第1のプレートスタック50Aとの間の界面は、(例えば、クリーンコーナー構成の場合のように)図5Aに示されたように、接着剤コーティング56のみを含み得、または代替的に、(例えば、縮退構成の場合のように)図5Bに示されたように、部分反射性のコーティング54を含み得る。
【0025】
したがって、所望のLOE構成に応じて、第1のサブセットのプレートを積み重ねることは、場合によっては、i)第1のスタック50Aの隣接プレート間と、第1のスタック50Aとベースブロック52との間とに、少なくとも部分反射性のコーティング54を適用するステップと、ii)永久接着剤を使用して、第1のスタック50Aのプレートを互いに接合するステップと、iii)永久接着剤を使用して、第1のプレートスタック50Aをベースブロック52に接合するステップと、をさらに含み得る。
【0026】
他の場合では、第1のサブセットのプレートを積み重ねることは、i)第1のスタック50Aの隣接プレート間に少なくとも部分反射性のコーティング54を適用するステップと、ii)永久接着剤を使用して、第1のスタック50Aのプレートを互いに接合するステップと、iii)仮接着剤を使用して、第1のプレートスタック50Aをベースブロック52に接合するステップと、を含み得る。この実施形態では、図7を参照して以下に説明するように、仮接着剤を、第1のプレートスタック50Aとベースブロック52との間に使用して、第1のスタック50Aの一時的な取り外しおよびその後の再接合を容易にする。
【0027】
次に、図6に示すように、第1のプレートスタック50Aおよびベースブロック52の1つの側部に(プレートの平行な表面に非垂直な)傾斜面62を、傾斜面がベースブロックの少なくとも一部を含むように、形成する。傾斜面は、研削装置63によって研削する、切断するなど、当技術分野で知られている任意の方法によって形成することができる。傾斜面62とプレートの平行な表面との間の角度aは、LOEの外側表面に対する所望のファセット角に対応すべきである。
【0028】
「クリーンコーナー」LOEの製造などのいくつかの実施形態では、傾斜面の形成後、図7に示すように、第1のプレートスタック50Aがベースブロック52から剥離され、一時的に取り外され、そして図8に示すように、少なくとも部分反射性のコーティング54が、第1のスタック50Aとベースブロック52との間に適用され、好ましくは、ベースブロックの傾斜面部分にも適用される。続いて、第1のスタック50Aは、永久接着剤を使用して、ベースブロック52に再接合される。
【0029】
「縮退」LOEの製造などの他の実施形態では、ベースブロックと第1のプレートスタック50Aとの間の界面は、(図5Bに示されたように)少なくとも部分反射性のコーティング54をすでに含み得、したがって、この段階で第1のプレートスタック50Aを取り外してベースブロックをコーティングする必要は除かれる。この場合、少なくとも部分反射性のコーティング54は、ここで、ベースブロックの傾斜面部分のみに適用される。
【0030】
図9に示すように、方法は、複数のプレート50のうちの第2のサブセットを傾斜面62上に積み重ねて、ベースブロック52上に第2のプレートスタック50Bを形成することをさらに含む。第2のプレートスタック50Bは、各々対をなす隣接プレートの間に少なくとも部分反射性のコーティング54を含む。さらに、図8を参照して上述したように、ベースブロック52と第2のプレートスタック50Bとの間の界面もまた、少なくとも部分反射性のコーティング54を含む。好ましくは、第2のプレートスタックは、各々対をなす隣接プレート間と、第2のスタックとベースブロックとの間とに、接着剤コーティング56を含む。好ましくは、接着剤は、永久接着剤である。
【0031】
第1のスタック50Aがベースブロック52から一時的に取り外された場合、第1のスタック50Aは、最も好ましくは、第2のスタック50Bをベースブロック52の傾斜面部分に接合する間、またはその後に、図9に示すように、第1のスタックがベースブロックと第2のスタックとの間にくさび状に挟まれるようにベースブロックに再接合される。
【0032】
図10に示すように、方法は、第1のスタック50A、ベースブロック52、および第2のスタック50Bのスライス100を、第1のスタック50Aのプレートと第2のスタック50Bのプレートとの間に挟まれたベースブロック52の少なくとも一部をスライス100が含むように抽出することをさらに含む。スライスは、(図10に破線60として示される)平行線に沿って切断することによって、または(例えば、図10に矢印64でマークされた方向で、第1のスタック、ベースブロック、および第2のスタックに研削力を加えることによって)研削することによってなど、当技術分野で知られている任意の方法を使用して抽出することができる。スライスの幅は、LOEの平行外側表面18の間の所望の距離に実質的に対応すべきである。スライスの切断または研削は、好ましくは、図10に示すように、抽出されたスライスが、ベースブロック要素の中間点でスライスの幅に沿って延在する仮想線66に関して実質的に対称である2つのセットの内側表面(隣接プレートが出会うところ)を有するように実施される。最も内側の内側表面は、LOE10’の結合入射面に対応する。好ましくは、スライス100の抽出は、切断または研削ツールとLOE10’のファセットとの間の正しい角度を決定するために、オートコリメータおよび整列デバイス、または任意の周知の能動整列方法およびツールを使用して支援されるべきである。
【0033】
図11に示すように、いくつかの実施形態では、方法は、図3(「クリーンコーナー」構成)および図4(オーバーラップタイプの「縮退」構成)を参照して上述したように、2つの結合入射面間の交点に最も近いスライス100の外側表面を、外側表面が界面の0.1mm以内になるように、(例えば、ラップ研磨装置1100を使用して)ラップ研磨することをさらに含む。
【0034】
図12に示すように、いくつかの実施形態では、方法は、それらの間の十分な平行度を達成するために、例えば両面研磨1200装置を使用して、その主要外側表面に沿ってスライス100を研磨することをさらに含む。スライス100の主要外側表面は、LOE10’の外側表面18に対応する。
【0035】
図13に示すように、いくつかの実施形態では、方法は、スライス100を、その側面が所望のLOE形状に対応するように成形することをさらに含む。いくつかの実施形態では、スライス100は、次いで、図1Aおよび図1Bの周知の対称LOE10と同様であるが、コンバイナスライス間に継ぎ目のない単一完全対称LOE10’を形成する。他の実施形態では、スライス100は、複数の対称LOE10’に切断され得、その各々は、周知の対称LOE10と同様であるが、コンバイナスライス間に継ぎ目がない。
【0036】
本発明は、その出願において、本明細書に含まれる説明に明記されたかまたは図面に示された詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつさまざまな方法で実践または実施できる。したがって、本明細書で用いられる表現および用語は、説明を目的とするものであり、限定的なものと見なされるべきではないことを理解されたい。したがって、当業者は、本開示の基礎となる概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実施するための他の構造、方法、およびシステムを設計するための基礎として容易に利用され得ることを理解するであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13