(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】選択可能にアクティブ電磁エネルギーフィルタリング層を実装するオブジェクトを製造するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/19 20190101AFI20240516BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
G02F1/19
G02F1/01 D
(21)【出願番号】P 2022062516
(22)【出願日】2022-04-04
(62)【分割の表示】P 2020126356の分割
【原出願日】2016-04-14
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517361568
【氏名又は名称】フェイス インターナショナル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボイド クラーク ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フェイス ブラッドバリー アール.
(72)【発明者】
【氏名】シェパード ジェフリー ディー.
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0063049(US,A1)
【文献】特開平10-039056(JP,A)
【文献】特開平06-011694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/19
G02F 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステムであって、
シャッター要素として、
エネルギー入射面を有する透明な構造体部材と、
前記構造体部材の前記エネルギー入射面の少なくともいくつかの部分上に形成され、エネルギー入射表面と前記エネルギー入射表面とは反対側の本体側表面と、を備えるエネルギー散乱層であって、
複数の実質的に透明な粒子と、
前記粒子を層配列で固定して前記エネルギー散乱層を形成する、実質的に透明なマトリクス材料と、を備え、
前記粒子が、前記マトリクス材料に、停止時の第1モードでは前記層配列が第1屈折率を有し、外部から印加された電界からの作用を受ける場合の第2モードでは前記層配列が前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有するように固定される
エネルギー散乱層と、
を備える少なくとも1つのセンサの前に配置されるシャッター要素
を備え、
前記エネルギー散乱層は、前記粒子のサイズ、前記粒子の材料組成、前記マトリクス材料の組成、前記粒子間における間隙ボイドの存在及びサイズ、並びに前記粒子の層の多重性のうちの1つ以上を調整することによって、前記粒子の
屈折率を調整することにより、色、画像、又はパターンを表し、
前記電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステムは、更に、
前記エネルギー散乱層の前記エネルギー入射表面及び前記反対側の表面のうちの一方の上に位置し、前記エネルギー散乱層と接触する、少なくとも1つの透明電極と、
前記少なくとも1つの透明電極を介して前記電界を生成する電源と、
前記電源を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記層配列を前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替えるための前記電界を生成するように、前記電源に命令し、
前記第1モードにおける前記第1屈折率は、前記エネルギー散乱層を実質的に透明にし、
前記第2モードにおける前記第2屈折率は、入射エネルギーに応じて、前記エネルギー散乱層の前記エネルギー入射表面に、不透明な外観を呈示させ、
前記シャッター要素が前記第1モードで動作しているとき、前記シャッター要素に入射するエネルギーが、前記シャッター要素を通過することができ、前記少なくとも1つのセンサによって収集され得る、電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項2】
前記第2モードにおける前記第2屈折率は、
前記構造体部材の前記エネルギー入射面の少なくとも第1部分から、入射光エネルギーの1つ以上の選択可能な波長を反射し、
前記入射光エネルギーの他の波長を、実質的にフィルタリングなし及び改変なし、のうちの少なくとも一方で、前記エネルギー散乱層を通過させて、それにより、前記構造体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第1部分に衝突させ、前記シャッター要素を通過させて、前記少なくとも一つのセンサに収集させる
ように調整される請求項1記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項3】
前記第2モードにおける前記第2屈折率は、(1)前記印加電界、及び(2)前記粒子の屈折率、前記粒子のサイズ、前記粒子が形成される材料、複数層の各々が異なる屈折率を示す多層構造を含む前記粒子の構造的組成、及び、前記マトリクス材料の組成のうちの1つ以上にしたがって調節される請求項2記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサが、複数のセンサとして更に定義される請求項1記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの光電デバイスとして更に定義される請求項1記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサが、少なくとも1つの撮像デバイスとして更に定義される請求項1記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項7】
前記エネルギー散乱層が複数の部分を備える請求項1記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの透明電極が、複数の電極として更に定義される請求項1記載の電気的に切替可能でシャッター動作可能なセンサシステム。
【請求項9】
構造を通過するエネルギーをフィルタリングする方法であって、
少なくとも第1部分と第2部分とを含み、前記少なくとも前記第1部分は透明であるエネルギー入射面を有する構造体部材と、
前記構造体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第1部分の上に形成され、エネルギー入射表面と前記エネルギー入射表面の反対側にある本体側表面とを有するエネルギー散乱層であって、
複数の実質的に透明な粒子と、
前記粒子を層配列で固定して前記エネルギー散乱層を形成する実質的に透明なマトリクス材料と
を備えるエネルギー散乱層と、を用意することと、
停止時の第1モードでは前記層配列が第1屈折率を有し、外部から印加された電界から
の作用を受ける場合の第2モードでは前記層配列が前記第1屈折率とは異なる第2屈折率を有するように、前記粒子を前記マトリクス材料内に固定することと、
を含み、
前記エネルギー散乱層は、前記粒子のサイズ、前記粒子の材料組成、前記マトリクス材料の組成、前記粒子間における間隙ボイドの存在及びサイズ、並びに前記粒子の層の多重性のうちの1つ以上を調整することによって、前記粒子の
屈折率を調整することにより、色、画像、又はパターンを表す方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、
前記エネルギー散乱層のエネルギー入射表面と本体側表面の一方の上に、少なくとも1つの透明電極を配置することと、
前記少なくとも1つの透明電極を、前記エネルギー散乱層内に前記電界を誘発させるように制御される電源に接続することと、
コントローラを用いて前記電源を制御して、前記エネルギー散乱層を前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替えることと、をさらに含む方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、
前記コントローラを用いて、電気的に作動する構成要素及び前記オブジェクト本体構造が関連付けられている電子デバイスのうちの1つから制御入力を受信することをさらに含み、前記コントローラは、前記電界を生成して前記第1モードと前記第2モードとの間で前記制御入力に応じて前記層配列を切り替えるように、前記電源に命令を与える方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、
前記第1モードにおける前記第1屈折率は、前記構造体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第1部分上で、前記エネルギー散乱層を実質的に透明にし、
前記第2モードにおける前記第2屈折率は、前記構造体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第1部分上での、可視範囲内の光エネルギーの形態の入射エネルギーに応じて、前記エネルギー散乱層の前記エネルギー入射表面に、不透明な外観を呈示させる方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、
前記第2モードにおける前記第2屈折率を、前記構造体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第1部分から、前記入射光エネルギーの1つ以上の選択可能な波長を反射して、前記入射光エネルギーの他の波長を、実質的にフィルタリングなし及び改変なし、のうちの少なくとも一方で、前記エネルギー散乱層内を通過させて、前記第1本体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第1部分に衝突させるように調整すること、をさらに含む方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、
前記第2モードにおける前記第2屈折率は、(1)前記印加電界、及び(2)前記粒子の屈折率、前記粒子のサイズ、前記粒子が形成される材料、複数層の各々が異なる屈折率を示す多層構造を含む前記粒子の構造的組成、及び、前記マトリクス材料の組成のうちの1つ以上にしたがって調節される方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、
前記少なくとも1つの透明電極を、前記エネルギー散乱層に作用する複数の別個の電界を誘発する複数の不連続な電極部分を有するように形成することをさらに含み、前記エネルギー散乱層の不連続な部分は、前記第2モードでは異なる応答を示す方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、
前記少なくとも1つの透明電極の前記エネルギー散乱層に対向する側に(1)谷部及び(2)突起部のうちの1つ以上を形成することを含む、前記少なくとも1つの透明電極の前記不連続な部分をパターン化することを含み、前記異なる応答は、前記第2モードにおいて、前記パターンが前記エネルギー散乱層の前記エネルギー入射表面に現れるようにする方法。
【請求項17】
請求項9記載の方法であって、
前記構造部材の前記第1部分が単色の不透明表面部分として現れることを前記エネルギー入射表面に生じさせるように、前記第2モードにおける前記エネルギー散乱層に、前記エネルギー入射表面から前記入射光と実質的に同じ波長を反射させることをさらに含む方法。
【請求項18】
請求項9記載の方法であって、
前記構造部材の前記第1部分が多色のまたはテクスチャ化された不透明表面部分の少なくとも1つとして現れることを生じさせるように、前記第2モードにおける前記エネルギー散乱層に、前記エネルギー入射表面の第1の不連続な部分から前記入射光の第1波長を、及び、前記エネルギー入射表面の1つ以上の第2の不連続な部分から前記入射光の少なくとも1つの第2波長を、反射させることをさらに含む方法。
【請求項19】
請求項9記載の方法であって、
前記エネルギー散乱層を、前記構造体部材の前記エネルギー入射面の前記少なくとも前記第2部分上にさらに形成することをさらに含む方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法であって、
前記構造体部材は、透明な構造体部材である方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法であって、
前記透明な構造体部材は、窓を備え、
前記第1モードは、前記窓を透明にし、
前記第2モードは、前記窓に不透明表面を表示させる方法。
【請求項22】
請求項11記載の方法であって、
前記オブジェクト本体構造が覆い隠すように構成されるビデオ表示装置及び光活性化センサのうちの1つから前記制御入力を受信することをさらに含み、
前記制御入力は、前記エネルギー散乱層が、前記ビデオ表示装置及び前記光活性化センサのうちの1つの動作と連係して、前記第1モードと前記第2モードとの間で切り替わるようにする方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
本願は、2015年4月14日に出願されたClark D. BOYD他による「Photovoltaic Cell and/or Photocell With Light Scattering Layer」と称された米国仮特許出願第62/147,573号明細書、2016年1月26日に出願されたClark D. BOYD他による「Systems and Methods for Implementing
Selective Electromagnetic Energy Filtering Objects and Coatings Using Selectably Transmissive Energy Scattering Layers」と称された米国特許出願第15006148号明細書、及び、2016年1月26日に出願されたClark D. BOYD他による「Systems and Methods for Producing Objects Incorporating Selectably Active Electromagnetic Energy Filtering Layers and Coatings」と称された米国特許出願第15006150号明細書の優先権を主張するものであり、これらの開示は、本明細書では、全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、2016年1月26日に出願された「Systems and Methods for Producing Laminates, Layers and Coatings Including Elements for Scattering
and Passing Selected Wavelengths of Electromagnetic Energy」と称された米国特許出願第15006143号明細書、及び、2016年1月26日に出願された「Systems and Methods for Producing Objects Incorporating
Selective Electromagnetic Energy Scattering Layers, Laminates and Coatings」と称された米国特許出願第15006145号明細書に関するものであり、これらの開示は、本明細書では、全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0003】
[1.開示される実施形態の分野]
本開示は、エネルギー/光入射側から見た場合に層、つまりシャッター要素の呈示が衝突するエネルギーに対して実質的に透明(または透過)に見える第1モードと、エネルギー/光入射側から見た場合に層、つまりシャッター要素の呈示が衝突するエネルギーに対して不透明に見える第2モードとの間で、能動的に電気的に切り替え可能なエネルギー/光 案内または散乱層を有する、電気的に作動するフィルタ層及びシャッター要素を形成するシステム及び方法であって、エネルギー/光透過層内に対して、または、このような電気的に作動する層及び/またはシャッター要素で構成されている、または実装している、オブジェクト、オブジェクト部分、壁板、レンズ、フィルタ、スクリーン等に対して、エネルギー/光を、案内/散乱する技術を独自の方法で実施することによって、電気的に作動するフィルタ層及びシャッター要素を形成するシステム及び方法に関する。
【0004】
[2.関連技術]
層、物質、スクリーン、構造、または構造要素を通過する、可視光または近可視光の無線周波数(radiofrequency:RF)スペクトルの光を含む電磁エネルギーの透過を選択可能に行えること、または促進できることは、数多くの実際の使用事例や使
用用途において相当な利益をもたらす。
【0005】
上述の関連するEE1-P1及びEE1-P2の事例の背景技術の項において、これら実際の使用事例や使用用途が詳細に説明されている。「自然に」太陽光に照らされた状態にする際の、透明なままであったり、もしくは艶消し、淡色付け、またはいくつかの手法で処理されていたりする窓や天窓を様々に使用する方法がその例である。ある特定の窓の透過採光性を変更することは、プライバシーやセキュリティを含む懸念事項への対処や、ある種の美的な選択肢(例えばステンドグラス窓の使用)の提示に有用である。透明な(透過性のある)窓が使用可能であるケースもあれば、表面や内部が処理された窓が使用可能であるケースもあることは認識されている。窓や窓ガラスのエネルギー/光透過性を変更するために用いられるおおむねすべての技術では、それがガラス製であっても、もしくは他の透明な材料製であっても、この窓を通過するあらゆる方向の光は通常、ガラス製または他の材料製の窓や窓ガラスの個々の表面や内部に、両方向に実質的に等しく施されたいかなる種類の処理にも影響を受けることが認識されている。
【0006】
実質的な一方向ミラー(2方向ミラーと称している例もいくつかある)をもたらす窓処理も提示されている。一方向ミラーパネルは特に、パネルの光学的特性を、鏡の両面の間の照光の差に基づいて光学的な「トリック」を生み出すように調整することによって、一部は反射性があり、かつ一部は透過性があるように作製されている。ただし、現実には、光エネルギーは常に再度鏡を両方向に実質的に等しく通過するので、一方向ミラーの両側の間で光の輝度に差異がなければならない。これより、動作原理は、反射光によって、鏡が明るく照光されている片側から視覚的に透過することを遮蔽するという原理に基づいて、明るく照光されている側を透けて見ることが「難しく」するように保つことである。入射光のかなりの部分が鏡の「照光」側から再反射されるという、意図する強い効果によって、実質的に変更できない不都合な周辺光透過性がパネルを抜けてパネルの照光側にもたらされてしまう。高性能な車両窓に淡色着色を施すことで、内側または外側の反射層を追加することと実質的に同じ効果が実現できる。かなり濃色に着色する構造は、例えば、判別できないように必ず濃色または陰影が施されている車両内部を車両の外側から観察する場合に、光透過性に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0007】
近年、「ビュースルービニル(View Through Vinyl)」として商業的に述べられるものが、窓に貼り付けられて、最初の観測で不透明サイネージに見えるものを、しばしば、オフィス窓上に、バス窓上に、または、ビニル貼付け物の必要に応じた貼付け及び除去を容易にするために選択された他の同様なガラス表面上に、形成される特定の広告の形態で、提供する広告スキームが出現してきた。このビニル貼付は、好ましくは直径が1.5mmの範囲で、印刷側にあるグラフィックスの35%が取り除かれて細目窓被覆を作製する65/35パターンであってもよいピンホール穿孔が形成されている貼付ビニル膜(通例、印刷画像がある側と接着剤が付いている画像がない側とを有している)を基礎として、画像がない側から効果的に「ビュースルー(viewed-through)」することができる。このような穿孔スキームでは、看板が不透明に「見える」観察側の印刷されたデザインを必要なだけ残し、一方で必要な量のビニル素材を膜から取り去って、印刷のない側、つまり画像のない側からの透けて見える視認性を与える。これらの手法はまた、被覆される窓領域個別の寸法が分かっていること、及び、通して見ることができるビニルを貼付する窓領域が利用可能であることが必ず必要になることによって制限がかかってしまう。
【0008】
これとは別に、観測に対して不透明であるように見えるが、可視光線または近可視光線を含む電磁エネルギーの特定の波長の透過を可能にする、特定の製造ファブリックが存在する。こうした材料及びそれらの使用の説明は、例えば、太陽光を透過する特定の材料の組成ならびにその材料から作られるスイミウェア及び光保護ウェアを記載するRiede
lによる米国特許第5,518,798号(1996年5月21日発行)において見られ、さらには、ヘッドウェアの物品であって、観測されるときに実質的に不透明であるように見えるが、例えば、装着者のビタミンD不足を低減しようとして太陽光を透過する、ヘッドウェアの物品を対象とする、Lanham-Newによる英国特許出願公開第2 461 488号(2011年5月8日公開)において見られる。
【0009】
特にモニタリングされるエリアに存在する電磁エネルギー要素の収集及び解析を通して特にモニタリングされるエリアにおいて全ての様式の環境因子及び/または活動を識別するためのリモートセンサは、新しくかつユニークな使用シナリオが出現するにつれてより幅広い拡散及び受容を獲得し続ける。エリア観測、監視、及びモニタリングの分野において、静止カメラ及びビデオカメラ、ならびに、全ての態様の可視光及び近可視光反応性センサが、しばしば使用される。エリア観測、監視、またはモニタリングの特質に応じて、特定のカメラまたは他の電磁エネルギーセンサの存在を隠蔽またはカモフラージュし、それにより、カメラまたは他のセンサの存在がモニタリングされるエリアにおいて偶然の観測者または侵入者にほとんど検出されないようにするすることが好ましい場合がある。他の考察は、構造の美観に悪い影響を及ぼさない方法で特定の構造物内にカメラまたはセンサを邪魔にならないように埋め込むことが単に好ましい場合があることを含む。困難さは、カメラのレンズ、または、センサの画像もしくは他のエネルギーレシーバを隠蔽する、カモフラージュする、またはその他の方法で隠す従来の試みが、可視光または近可視光がカメラまたはセンサデバイスの隠蔽部を通過する特徴を、通常、無差別及び/または不都合に変更することであり、この変更は、隠蔽式動作使用シナリオにおいてそれらの動作に悪い影響を及ぼし得る、また、一般に及ぼす。
【0010】
エネルギー収集及びエネルギーハーベスティングの分野において、光電池または他のフォトセルは、周囲光を電気に変換するために、しばしば有利には特定の構造上でまたはその中で使用される。特定のフォトセルの効率は、フォトセルの表面上で入射光を吸収する、及び/または、入射光の反射を最小にするその能力によって影響を受ける。この理由で、フォトセルは、暗い、通常は黒のまたは濃い灰色の、露出する光に向く表面または光入射(「フェーシャル(facial)」)表面を有するように一般に形成される。最大効率は、暗いフェーシャル表面が可視スペクトルまたは近可視スペクトルのフィルタリングされていない光に暴露されるときに達成される。この理由から、実質上全ての従来の設置において、フォトセルは、(1)完全に露出して、あるいは、(2)透明ガラス、透明プラスチック、または、保護外側構造層であって、可視光または近可視光を、月単位で変更される、フォトセルのフェーシャル表面に透過させる同様のクリアな(透明な)保護外側構造層、の背後で露出して、構造物の外部表面上に未改変の状態で搭載される。多数の潜在的に有利な動作または使用シナリオにおいて使用されるフォトセルの幅広い拡散に対する有意の欠点は、多くの事例におけるこうした「必要とされる」設置が、フォトセルが使用のためにその上に搭載される構造またはオブジェクトの美観に悪い影響を及ぼすことである。特定の設置におけるフォトセルの存在は、容易に視覚的に識別可能である。この理由だけで、特定の設備における、または、特定の構造、オブジェクト、または製品に関連したフォトセルの包含は、避けられる。製造業者は、設置されると、そうでなければフォトセルが有利にその上で適用され使用される構造、オブジェクト、または、製品の外観または装飾設計にとって視覚的なデトラクタまたはディストラクタになる、フォトセルに基づいて、一般に、これらの意思決定を行う。
【0011】
ここ数十年で、情報表示、高度化されたエンターテイメント、変更可能な看板等を供給するあらゆる形状やサイズの電子画像表示部品の爆発的な普及が見られる。科学技術が進歩してきたので、特に家庭内またはオフィス内での操作環境において、画像表示部品がより広く普及し、あまり邪魔にならないようにする試みに多くの労力をかけてきた。その例として、かさばるCRT表示ユニットがフラットスクリーンユニットに実質的に取って替
わられたのに、テレビや他の家庭内エンターテイメント表示部品はキャビネット内に「隠されて」いたり、時にはくすんだ灰色のガラス製ファサードの背後にカムフラージュされていることも多い。
【0012】
[発明の概要]
先の議論は、特定状況において、RFエネルギーの全てではないが一定のRFエネルギーが表面処理及びカバーリングを貫通することを可能にするように、表面処理及びカバーリングを通して、可視光または近可視光の或る段階的なレベルのフィルタリングされた透過を提供しつつ、観察側、観測側、または入射光側から、特定の表示を見ているかのように人間の目を効果的に「だます」表面処理及びカバーリングを提供する様々な技術についての、数多くの実際の使用事例を限定しない目的で例示したリストを提供している。先の議論は視覚光学に重点を置くが、本開示に係る原理は、視覚スペクトルの十分に外側に存在する電磁エネルギーの波長のフィルタリングに同等に適用可能であり得る。しかし、現在まで、先に論じた特定の実装及び他の同様な実装は全て、その固有の制限、これらの具体的な能力を含むオブジェクトが形成される特定の製造プロセス、及び、特に、可視スペクトル及び近可視スペクトルの光を含む電磁エネルギーが、エネルギー入射側または光入射側から、特定の構造、構造コンポーネント外側層の反対側まで通過するときに、制限される、フィルタリングされる、遮断される、またはその他の方法で変更される方法に関するその使用における一定の付随する欠点、に基づいて、非常に広い範囲の使用事例に広く適合するその能力が制限される。
【0013】
既知の美観用途、及び、同様のエネルギー及び/または照明制御用途に関する、特に選択的エネルギー透過スキーム、技術、及び/または材料の実施における上記で特定された制限を考慮して、能動的な選択に応じて、実質的に透明なモードと少なくともエネルギーまたは光入射側が選択可能な衝突電磁エネルギー波長に対して不透明に見えるモードとの間で切り替え可能である、高性能な切り替え可能ファザードまたはコーティングを開発することが効果的であると考えられる。
【0014】
見かけ上不透明な入光側の知覚可能な色、テクスチャ、画像描写を、周囲の構造の表示と美的に調和するように適合可能と思われる方法でフォーマットするとさらに有利である。
【0015】
本開示に係る例示的実施形態、システム及び方法は、少なくとも2つの別個に選択可能な動作モードを有する電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリング及び/またはシャッター要素を備えていてもよい。複数の実施形態において、第1動作モードでは、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリング及び/またはシャッター要素が、この要素をいずれかの方向に通過する電磁エネルギーまたは光に対して実質的に透明であるように構成されていてもよい。複数の実施形態において、第2動作モードでは、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリング及び/またはシャッター要素が、外側の観察、観察、エネルギー/光入射側からは不透明に見えるように構成されてもよく、あるいは、反対側、つまりエネルギー/光非入射側から見て、エネルギーフィルタリング及び/またはシャッター要素をエネルギー及び/または光に対して実質的に透明にする、実質的にフィルタリングされていないエネルギー/光透過性が得られるように構成されていてもよい。
【0016】
例示的実施形態は、1つ以上の電気的に切り替え可能なエネルギー散乱層またはシャッター要素を、無数の有益な目的で形成または製造される固体オブジェクト及び/または被製造システム、もしくはシステム構成要素のうちの1つ以上の中にあるオブジェクト、オブジェクト部分、壁板、構造層、レンズ、フィルタ、スクリーン等に形成、もしくは実装する技術、プロセス、及びスキームを提供してもよい。
【0017】
例示的実施形態は、全てが開示された電気的に切り替え可能なフィルタリングまたはシャッター要素の例である、ラミネート、コーティング、フィルム、または構造内の電極に印加する電位を調整することを含む、ラミネート、コーティング、フィルム、または構造間に印加する電位を変化させることによって外観を変更する、個々のラミネート、コーティング、フィルム、または構造を形成してもよい。実施形態において、このような切り替え可能な層または構成要素の目的は、ラミネート、コーティング、フィルム、または構造が塗布、載置、または配置されたエリアの外観を高度化して、可視光または近可視光スペクトルのエネルギーを含む電磁エネルギーの実質的に全波長がラミネート、コーティング、フィルム、または構造の背後にあるエリアへと透過できるようにしながら、ラミネート、コーティング、フィルム、または構造の背後にあるエリアの外観を、広範囲から選択できる色、テクスチャ、及び/またはデザインによって覆い隠すことを可能にすることであってもよい。
【0018】
例示的実施形態は、表面の外観を切り替え可能に調節し、光が表面を通過して表面の背後にあるエリアに到達できるための手段を提供してもよい。複数の実施形態において、被覆されるエリア、器具、ディスプレイ、または構造の外観を覆い隠すことができるエネルギー/光散乱層の特定の構造は、被覆されるエリア、器具、ディスプレイ、または構造が、エネルギー/光散乱層のエネルギー/光入射側の観察者には所定の色、カラーパターン、テクスチャ、または画像として現れ得るように設けられてもよい。
【0019】
複数の実施形態において、使用時には対象エリアを覆う電気的に切り替え可能なエネルギー/光案内層を設けてもよい。エネルギー/光案内層は、衝突エネルギー/光スペクトルの少なくとも一部を再び観察者の方へと散乱させてもよく、これにより、被覆されたエリアは、特定の色、カラーパターン、テクスチャ、または画像を有する外観を与えてもよい。観察者方へ戻るように散乱した衝突エネルギー/光スペクトルの一部は、このようなエネルギー/光案内層を実装しているラミネート、コーティング、フィルム、または構造の近傍にある実質的に透明な電極に電圧を印加することを含む、エネルギー/光案内層を通る電位印加によって調節可能であってもよい。
【0020】
複数の実施形態において、ラミネート、コーティング、フィルム、または構造は、所望する色、テクスチャ、画像及び他の実施技術要素次第で、マイクロ粒子及びナノ粒子を含むマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの粒子(球体形状であってもよい)、及び、マイクロ/ナノボイド(マイクロ球体によって、または気化プロセスによって形成されたような)を含む間隙ボイド、もしくは粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、及び/またはマイクロ/ナノボイドの組み合わせで構成される、動作層(あるいは光案内層、光散乱層、または光透過層とも称される)を含んでいてもよい。複数の実施形態において、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの粒子は直径が25サブマイクロメートルの範囲であってもよく、検知、印加、変化、および除去される電界に応じて値を変えることができる屈折率を有する電気光学材料で構成されていてもよい。
【0021】
複数の実施形態において、開示されたエネルギーフィルタリング及び/またはシャッター要素は、無数の種類の埋め込み型ディスプレイ、センサ部品、撮像装置、光電発生器/光電素子等を含むことが可能な様々な構造及び/または製品内に、構造または製品の外観や美観を損なうことなく実装されてもよい。
【0022】
複数の実施形態において、任意の埋め込み型構成要素がエネルギー/光入射側から見ると視認できず、エネルギー/光入射側から構造または製品を見ている観察者によって完全に気づかれなくなるために、エネルギー/光案内層を含む能動的に電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリングまたはシャッター要素は、構造または製品の一部分を、構造または製品の表面領域全体(被覆率100%)を含むまで、完全に覆い隠すように用いら
れてもよい。
【0023】
複数の実施形態において、エネルギー/光案内層は、マスキングモードと実質的に透明なモードとの間で切り替え可能であってもよい。
【0024】
複数の実施形態において、エネルギー/光の透過は、完全に覆い隠されながら、またはカムフラージュされながら、多種多様な表面上で実現されてもよい。限定されない例として、居住用家屋の屋根には、1つの動作モードにおいて一般的な板葺き屋根の外観を保つ、つまり、周囲を囲む板葺きの色及びテクスチャに実質的に一致する不透明な表示状態の切り替え可能な天窓が備わっていてもよい。また、壁の一部が、塗装された表面の、テクスチャ化された表面の、さらには芸術作品として画像化されている外観を有しながら、エネルギー/光透過パネルを有するように構成されていてもよい。
【0025】
特定の実施形態において、エネルギー/光の透過量が調節されてもよい。同じまたは他の実施形態において、開示された電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリングまたはシャッター要素を実装している材料システムがこのような光変更機能または外観変更機能のために設計されている場合には、色もまた調節されてもよい。
【0026】
複数の実施形態において、エネルギー/光透過層は実質的に透明な構成要素で構成されているので、このような層を含む電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリングまたはシャッター要素、及び/または、このようなエネルギーフィルタリングまたはシャッター要素で構成されている、または有しているオブジェクトが動作可能に採用されて用いられていてもよい特別な環境、または特別な使用に対して、実質的に制限はない。
【0027】
複数の実施形態において、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子を含むマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの粒子(または球体)は、調節可能な高屈折率を活かすために、例えばチタン酸バリウム(BaTiO4)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO4)で構成されていてもよい。
【0028】
複数の実施形態において、開示されたエネルギー案内層またはエネルギー散乱層の全て、または部分の屈折率は、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体のサイズ、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体(層状形状を含む)が構成され得る材料の組成、マイクロメートル及びサブマイクロメートルの球体が分散または固定されているマトリクスを形成する材料の組成、及び、マトリクス材料内のまたはマトリクス材料を通るマイクロメートル及びサブマイクロメートルの球体間に備わっている間隙空間(ボイド)のサイズに応じて、特別に調整されてもよい。
【0029】
例示的実施形態は、エネルギー/光散乱層を含む電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリングまたはシャッター要素を、固体オブジェクト構造、中空オブジェクト構造内に実装されてもよいその構成物として、または、シャッター能動(エネルギーフィルタリングを行わない)またはシャッター閉鎖(エネルギーフィルタリングを行う)動作モードにおいて、入射エネルギー/光の波長がエネルギー/光散乱層を通過し、一方で入射エネルギー/光の所定の波長を散乱させて、観察、観測、エネルギー/光入射側から見て、エネルギー/光散乱層内に所望の外観を形成することをエネルギー/光散乱層が可能にするオブジェクト外側層として、設けていてもよい。
【0030】
複数の実施形態において、エネルギーフィルタリングまたはシャッター要素内に実装されているエネルギー/光散乱層は、オブジェクトの外面を全面被覆しているかオブジェクトの外面の不連続な部分のみに存在しているかによらず、特定のエネルギー/光散乱層の全体にわたって、同じ光波長を散乱させるように形成されてもよくまたは電気的に操作さ
れてもよい。このような実施形態において、球体または粒子のサイズ、並びに、球体または粒子及び球体または粒子が固定されているマトリクスの材料の組成は、エネルギー/光散乱層全体にわたって実質的に均質であってもよく、変動のない電界による活性化を受けていてもよい。
【0031】
複数の実施形態において、エネルギーフィルタリングまたはシャッター要素内に実装されているエネルギー/光散乱層は、エネルギー/光散乱層が、単色を反射/散乱するのではなく、多色、さらにはパターン化された、テクスチャ化された、及び/または多色の画像を反射/散乱し得るために、エネルギー/光散乱層の不連続な領域内で入射エネルギー/光の所定の波長を散乱するように形成されてもよくまたは電気的に操作されてもよい。このような実施形態では、球体または粒子のサイズ、及び/または、球体及び/または粒子並びに球体及び/または粒子が固定されているマトリクスの材料の組成を変化させることによって、エネルギー/光散乱層の全体にわたって異なる屈折率が呈示される。言い換えると、光散乱層の組成は実質的に均質ではない。これらの実施形態において、エネルギー/光散乱層の全体にわたって電界を変化させることで、表面の描写に異なる色/多色、及び/またはテクスチャを生じさせてもよい。
【0032】
複数の実施形態において、エネルギーフィルタリングまたはシャッター要素内に実装されているエネルギー/光散乱層は、誘電体マトリクス内に埋め込まれた実質的に透明な金属ナノ粒子を用いて形成されてもよい。
【0033】
例示的実施形態は、従来の材料で構成されている構造によって隠されているエリアの照光を促進するために、エネルギーフィルタリングまたはシャッター要素を、光の一方向の透過率を促進するために用いてもよい固体オブジェクト構造またはオブジェクトの外側層内に包含するように形成してもよい。限定されない例として、これらの通常は隠されているエリアは、高架ポーチの下にあるエリアの嵩、もしくは通常では不都合に隠されているエリアのようなものを含んでいてもよい。
【0034】
例示的実施形態は、エネルギーフィルタリングまたはシャッター要素を、カメラ、光センサ、光電池/光電素子等を含むがそれらに限定されない、あらゆる種類の光活性化センサ、光吸収センサ、光使用センサ、または他の光が関与して動作するセンサを収容または被覆し得る固体オブジェクト構造またはオブジェクトの外側層内に包含するように形成してもよい。
【0035】
例示的実施形態は、表面エネルギー/光散乱層を実装している少なくとも1つの電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタリングまたはシャッター要素で構成されている、または外側層として有している、オブジェクトを提供してもよい。これらの場合、表面エネルギー/光散乱層によって、電子データまたはデジタル表示コンポーネントを含む埋め込み型構成要素の外観を、観察者には所定の表面色または所定の表面カラーパターンを有するように、または所定の表面画像で構成されているように見え得るオブジェクト表面であって、その後、使用時には、完全に透明であって電子データまたはデジタル表示コンポーネントを覆い隠す見え方にはならないように切り替え可能である、オブジェクト表面の背後に覆い隠すことが可能になる。
【0036】
例示的実施形態は、一般的な住宅用及び/または商用の形態の壁板を、選択可能なエネルギー/光散乱層を有する能動的エネルギーフィルタリングまたはシャッター要素を含む、一般的な電気スイッチ、コンセント、及び他の住宅用及び商用設備を覆う固体オブジェクト構造として形成してもよい。複数の実施形態において、下にあるスイッチボックス及び/またはコンセントボックスは、エネルギー及び/または光活性化センサ、デバイス、発電コンポーネント等を含むように構成されていてもよい。開示されている実施形態に係
る壁板を設けると、下にあるセンサ、デバイス、構成要素に対して不透明な外観を有している壁板を通るエネルギー透過が行いやすくなり得る。複数の実施形態において、このようなセンサ、デバイス、または構成要素は、壁板のボックス側(光入射側ではない方)に取りつけられていてもよい。複数の実施形態において、一定電界または可変電界を印加して、エネルギー/光散乱層を選択可能な動作モードの間で活性化するエネルギークロスオーバーまたは交換ユニットが提供されていてもよい。
【0037】
示されたシステム及び方法のこれらの特徴及び他の特徴、及びこれらの効果及び他の効果は、以下に続く様々な例示的実施形態の詳細な説明において記述され、また、明らかにされる。
【0038】
エネルギー/光入射側から見た場合に層、つまりエネルギーフィルタまたはシャッター要素の呈示が衝突するエネルギーに対して実質的に透明(または透過)に見える第1モードと、エネルギー/光入射側から見た場合に層、つまりエネルギーフィルタまたはシャッター要素の呈示が衝突するエネルギーに対して不透明に見える第2モードとの間で、能動的に電気的に切り替え可能なエネルギー/光案内/散乱層を有している、電気的に作動するフィルタ層及び/またはシャッター要素を形成する、開示されたシステム及び方法であって、エネルギー/光透過層内に対して、及び、このような電気的に作動するエネルギーフィルタ層及び/またはシャッター要素で構成されている、または実装している、オブジェクト、オブジェクト部分、壁板、レンズ、フィルタ、スクリーン等に対して、エネルギー/光を案内/散乱する技術を独自の方法で実施することによって形成する、開示されたシステム及び方法様々な例示的実施形態を、以下に続く各図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】
図1A及び1Bは、(1)透明な第1動作モード(
図1A参照)及び(2)不透明な第2動作モード(
図1B参照)(外部電界が印加した作用による)で動作する三次元本体構造の透明部上に配置されている電気的に切り替え可能なエネルギー/光散乱層を含む、本開示に係る例示的なオブジェクト構成要素の概略図を示したものである。
【
図1B】
図1A及び1Bは、(1)透明な第1動作モード(
図1A参照)及び(2)不透明な第2動作モード(
図1B参照)(外部電界が印加した作用による)で動作する三次元本体構造の透明部上に配置されている電気的に切り替え可能なエネルギー/光散乱層を含む、本開示に係る例示的なオブジェクト構成要素の概略図を示したものである。
【
図1C】
図1Cは、(1)透明な第1動作モード(
図1C参照)及び(2)不透明な第2動作モード(
図1D参照)で動作する三次元本体構造の透明部上に配置されている電気的に切り替え可能なエネルギー/光散乱層を含む、本開示に係る例示的な電気的に作動するエネルギーフィルタリング層、つまりシャッター要素の概略図を示したものである。
【
図1D】
図1Dは、(1)透明な第1動作モード(
図1C参照)及び(2)不透明な第2動作モード(
図1D参照)で動作する三次元本体構造の透明部上に配置されている電気的に切り替え可能なエネルギー/光散乱層を含む、本開示に係る例示的な電気的に作動するエネルギーフィルタリング層、つまりシャッター要素の概略図を示したものである。
【
図2】
図2は、表示コンポーネントの表示面の前に配置される、本開示に従って使用時に表示コンポーネントを動作可能に隠す、または露出するための例示的な電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の概略図を図示したものである。
【
図3】
図3は、画像収集選択装置及び/またはセンサアレイ装置の前に配置されている、本開示に従って使用時に装置を動作可能に隠す、または露出する例示的な電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の概略図を図示したものである。
【
図4】
図4は、本開示にしたがって、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の動作と連係して、電子データ表示及び電気/電子/画像信号受信・処理のうちの少なくとも1つを制御する、例示的な制御システムのブロック図を図示したものである。
【
図5A-5C】
図5A~5Cは、本開示にかかる、エネルギー/光散乱層を有する電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素における不透明側の表示の例示的な描写を、平面図で観察、観測、及びエネルギー/光入射側から見て示したものである。
【
図6】
図6は、本開示に係る電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を構成する際に使用可能であるエネルギー/光散乱層の詳細の例示的実施形態を図示したものである。
【
図7】
図7は、本開示に係る電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の一部としてエネルギー/光散乱層を形成する際に使用可能である、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの多層構造球体の単体に関して、例示的な詳細の概略図を図示したものである。
【
図8】
図8は、本開示に係る電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を準備及び使用する例示的な方法のフローチャートを図示したものである。
【
図9】
図9は、本開示に係る、切り替え可能なエネルギー/光散乱層を含む電気的に作動するエネルギーフィルタ層及び/またはシャッター要素として形成されている、少なくとも不連続な部分を実装している例示的な壁板の概略図を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[実施形態の詳細な説明]
本開示に係るシステム及び方法は、エネルギー/光入射側から見た場合に層、つまりエネルギーフィルタまたはシャッター要素の呈示が衝突するエネルギーに対して実質的に透明(または透過)に見える第1モードと、エネルギー/光入射側から見た場合に層、つまりエネルギーフィルタまたはシャッター要素の呈示が不透明に見える第2モードとの間で、能動的に電気的に切り替え可能なエネルギー/光案内/散乱層を有する、電気的に作動するフィルタ層及び/またはシャッター要素を形成する技術を含む。開示されたエネルギー/光案内/散乱層は、第2モードで動作している場合に、可視光範囲、近可視光範囲、または可視光ではない範囲の光エネルギーを含む、衝突する電磁エネルギーの特定の波長を選択的に散乱させ、衝突するエネルギーの残りの波長は通過できるように特に形成してもよい。これらの層は、エネルギー/光透過層内においてエネルギー/光を案内/散乱する技術を独自の方法で使用してもよい。開示されたシステム及び方法はさらに、このようなエネルギーフィルタまたはシャッター要素を全体で構成または実装し得るオブジェクト、オブジェクト部分、壁板、レンズ、フィルタ、スクリーン等を形成する技術を含んでいてもよい。開示されたシステム及び方法の説明は、このような電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の種々の実際の使用事例及び用途に言及する。
【0041】
本開示にて説明・描写されている例示的実施形態は、このようなエネルギーフィルタまたはシャッター要素を有益に有し得る構造、オブジェクト、オブジェクト部分、製造品、またはその構成要素の任意の特定の構成に具体的に限定するのもとして解釈すべきではない。開示されている実施形態はまた、記載されている光散乱層、光案内層、または光透過層を開示されたシャッター要素の能動的動作部分として形成する任意の個別の特定材料に限定するのもとして解釈すべきではない。これは、マイクロ粒子及び/またはナノ粒子を含む実質的に透明なマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体、並びに、このようなマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体の間に設けられたナノボイドを含む任意の間隙ボイドの任意の特定の組成、または、任意の層形成プロセスにおいて球体または粒子が設定または固定されている透明なマトリクス材料の任意の特定の組成を含むが、これらに限定するものではない。
【0042】
開示された例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を、多数の実際に有益な目的に使用する方法について言及する。開示されたスキームの用途に対する任意の特定の使用事例の説明は、電気部品、電気回路、電子データ表示装置、または任意の特定の種類の画像受信センサ部品またはエネルギー/光収集センサ部品とともに使用するために開示された主題を限定するものとみなすべきではない。任意の電気部品備品または電子データ表示装置、画像受信装置、または他のエネルギー/光収集センサ部品が、不透明なモードで動作している場合において電気回路部品、表示装置またはセンサ素子を隠す任意のこのようなエネルギーフィルタまたはシャッター要素を含むオブジェクトまたは構造を、例えば標準の壁板を含むオブジェクトまたは構造の眺める観察側、つまりエネルギー/光入射外面から見ているときに、使用時に開示されたエネルギーフィルタまたはシャッター要素の背後に、視界から選択的に隠されるように動作するように実装、取り付け、または配置されていてもよい。記載されている実施形態に従って電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を用いて、美的に一貫した、または美的に満足な、または美的に変更可能なオブジェクトまたは構造の表面外観を実現し、かつ、可視または近可視エネルギー/光成分が、使用するシステム、方法、技術、プロセス、及び/またはスキームを本開示にて詳細に説明されているように通過できる、開示されたスキームの任意の効果的な使用法が、開示された例示的なシステム及び方法の範囲内に含まれるものとして考察されていることは認識されよう。この点について、開示されたシステム及び方法は、美的に満足な表面外観を提供する電子データ表示コンポーネントが、開示された電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の特に効果的な使用法における理解しやすいが限定はされない例として使用されない場合に、このような電子データ表示コンポーネントを隠すように特に適用可能であるとして説明される。
【0043】
本開示に係るシステム及び方法の各実施形態において、独特かつ効果的なエネルギー/光案内/散乱層は、不透明な呈示モードで動作している場合に、可視光または近可視光スペクトル内の光を含む衝突エネルギーの小さな部分を、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の少なくとも一部分であるエネルギー/光案内/散乱層の眺める観察側、つまりエネルギー/光入射側にいる観察者の方向に戻すように散乱させる。このようにして、エネルギー/光案内/散乱層を含むエネルギーフィルタまたはシャッター要素の特定の表面が、可視光スペクトル内の特定の色を有するように見えることができ、一方で、光または他のエネルギーのかなりの部分は、薄いエネルギー/光案内/散乱層を許される範囲で通過し、エネルギーフィルタまたはシャッター要素の背後または下にある任意のエネルギー/光収集センサ部品の動作面上にあるエリアに衝突する。
【0044】
本開示全体を通じて、第2モードで動作する場合に、光散乱効果が、エネルギーフィルタ、もしくは、電気的に作動するシャッター形式の構成要素または電気的に切り替え可能なシャッター形式の構成要素の表面を、視覚的に不透明にするのに使用可能である、特定の使用事例に対する概要を言及する。これらの言及は、エネルギー散乱、及び、エネルギー散乱層が可視光ではない照射の特定の波長に対して不透明に見えるようになっていてもよい電磁スペクトルの他の部分を排除するためのものではない。これらの言及は、全ての「第2モード」動作場面においてエネルギー散乱面を100%不透明にすることを示唆するためのものでもない。
【0045】
マイクロ粒子及び/またはナノ粒子を含む、開示されたマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体、特に25サブマイクロメートルの範囲の球体が構成されていてもよい材料の任意の特定の有効組成についての言及はまた、一般的に透明な、または外見上透明な、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体、マイクロ粒子、及び/またはナノ粒子の形状で呈示可能であり得る入力材料の幅広い分類のみを記述している。このようなマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体、マイクロ粒子、及び/ま
たはナノ粒子として適切な材料は、これらの組成に応じて具体的に記載されてもよいし、ある機能パラメータによってより広範に言及してもよいが、両者とも、このようなマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体、マイクロ粒子、及び/またはナノ粒子を構成してもよい利用可能な入力材料の幅広い範囲を限定するために検討されるべきものではない。さらに、このようなサブマイクロメートルの球体を安定化できる一般的な誘電性マトリクスが説明される。ここでも再度、特定のサブマイクロメートルの球体を層状で安定化させ易くする特定の透明な誘電材料に対する言及は、例示的で限定を行わないものである。
【0046】
例示的実施形態は、任意の成形、加工、またはAM成形オブジェクト製造プロセスで製造してもよいような三次元オブジェクトを含む、特定の三次元構造またはオブジェクトの外面を少なくとも部分的に覆う電気的に切り替え可能なエネルギー/光案内層、光反射層、及び/または光散乱層を効果的に使用してもよい。エネルギー/光案内層、光反射層、及び/または光散乱層は、衝突するエネルギー及び/または光スペクトルを少なくとも一部分を観察者の方に戻すように散乱させるのに使用可能であってもよい。例えば可視光を観察者の方に戻すように散乱させる場合には、オブジェクトには、電気的に切り替え可能な光案内層、光反射層、及び/または光散乱層を活性化して特定の不透明な外観を与えると、特定の色や特定のパターンを有する、または、仕上がったオブジェクトの外面上に特定の画像を含む外観が与えられてもよい。広範囲にわたる見かけ上選択された色、テクスチャ、または画像のうちの任意の1つが、オブジェクトの眺める観察側、つまりエネルギー/光入射側から見ている観察者に提示されていてもよい。
【0047】
エネルギー/光散乱層の見かけの色、パターン、または画像は、実質的に透明な粒子の屈折率を、粒子のサイズ、粒子の材料の組成、粒子の物理的(層状)組成、粒子が固定されていてもよい実質的に透明なマトリクス材料の組成、粒子間にある間隙ボイドの存在及びサイズ、個々の粒子/マトリクス層の多数性、またはこれらの任意の組み合わせに応じて調節することによって生成してもよい。エネルギー/光散乱層の光入射面にわたって実質的に均質な上述のパラメータの組み合わせを示すことによって、見かけの固体色を生成してもよい。エネルギー/光散乱層のエネルギー/光入射面にわたる上述のパラメータの1つ以上を操作することにより屈折率の調節を適切に変化させることによって、パターンを生成してもよい。さらに、エネルギー/光散乱層がさらされている電界のパラメータを調節することによって、見かけの色、パターン、または画像を同様に生成してもよい。ここでも再度、エネルギー/光散乱層の表面にわたって実質的に一定の電界によりエネルギー/光散乱層を活性化して、見かけの固体色を生成してもよい。エネルギー/光散乱層がそのエネルギー/光入射面にわたってさらされている電界を適切に変化させることによって、パターンを生成してもよい。
【0048】
複数の実施形態において、開示されたエネルギーフィルタまたはシャッター要素またはシャッター要素層を含んだ状態である実質的に任意の物質表面を、このようなシャッター要素またはシャッター要素層の背後にあるエリア、オブジェクト、デバイス、センサ等を完全に覆い隠す、またはカムフラージュするために変更してもよい。例えば商業ビルや居住用家屋を含む構造の屋根は、光電素子で覆うことも可能であるが、一般的な板葺き、金属、タール塗布、または他の表面処理を施した屋根の外観も有している。また、ある構造の壁の一部は、内側であっても外側であっても、光電素子が埋め込まれていて、一方で塗装された表面、テクスチャ化された表面、さらには特に選ばれた芸術作品の外観を保つこともできる。自動車及び/またはバスを含む車両は、電気的に切り替え可能なエネルギー/光露出パネルを不透明表示モードで動作可能な場合に、加工面が普通のものでしかない塗面で構成されているかのように見えるようにするために、種々の外面に電気的に切り替え可能な光露出パネルを備えていてもよい。
【0049】
構造、車両、またはオブジェクトの外面層は、視覚的に検出できないように、あるいは、使用事例の動作環境での制限に応じて美的に適正な、満足な、または必要であるように、覆い隠されている、またはカムフラージュされている、複数の異なるセンサを実装していてもよい。この点について、例えば、歴史的な保全や他の表面外観(または外観変更)の制限がかけられている構造の修理において、構造または構造要素の必要とされる、または所望される外側層の外観を保存しながら、一方で、オブジェクトまたはオブジェクト表面層の光透過性や、活性化すると美的にむらのないパネルを透明なパネルへと調整するための切り替え可能能力を効果的に使用して、必要とされる、または所望される表面外観を保持するオブジェクトまたはオブジェクト表面の背後、向こう側、下、または周囲の領域の照光を促進してもよい。
【0050】
一般に光に対して透明な、または光を透過する状態において、窓及び/または天窓を保持していてもよい。しかし、必要であれば、エネルギー/光透過層、光散乱層、及び/または光案内層を活性化して、窓及び/または天窓を隠すように、さらには遮断する(全体で、または部分的に)ようにしてもよい。
【0051】
顔料、塗料、インク、または、ある光波長を単に吸収する他の表面処理を使わずに着色可能、または視覚的にテクスチャ化可能である、構造、固体オブジェクト、中空オブジェクト、またはオブジェクトの表面層を形成してもよい。可視光を散乱する、例えば、エネルギー/光散乱層を含有または実装しているオブジェクト表面に着色された外観を生成する場合には、開示されたエネルギー/光散乱層によって、所定の可視光、近可視光、または可視光ではないエネルギー/光波長が、ほぼ妨害なしに各層を通過でき、他の所定の可視光、近可視光、または可視光ではないエネルギー/光波長を、これにより散乱することができる。
【0052】
図1A及び1Bは、(1)透明な第1動作モード(
図1A参照)及び(2)不透明な第2動作モード(
図1B参照)(外部電界140が印加した作用による)で動作する三次元本体構造の透明部120上に配置されている電気的に切り替え可能なエネルギー/光散乱層110を含む、本開示に係る例示的な物体構成要素100の概略図を示したものである。
図1A及び1Bに示したように、例示的なエネルギー/光散乱層110は、電界140の成分によって別々に動作して、
図1Aに示されている透明表面を
図1Bに示されているエネルギー/光散乱(エネルギー/光に対して不透明になる)表面構成へと変化させることができる、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体とマトリクス材料(基材)とからなる実質的に均質な組成で構成されていてもよい。複数の実施形態において、例示的なエネルギー/光散乱層110は、複数の個々に不連続な(不均質な)部分で構成され、個々に不連続な部分のそれぞれは、印加された電界140に各様に反応または応答するようになっていてもよい。
【0053】
図1C及び1Dは、(1)透明な第1動作モード(
図1C参照)及び(2)不透明な第2動作モード(
図1D参照)で動作する三次元本体構造170の透明部上に配置される電気的に切り替え可能な光散乱層162を含む、本開示に係る例示的な電気的に作動するエネルギーフィルタリング層、つまりシャッター要素160の概略
図150を示したものである。
図1C及び1Dに示したように、例示的なシャッター要素160は、少なくとも1対の透明電極114,116の間に挟まれた状態で備えられる、1つ以上の透明電極を伴っていてもよい、エネルギー/光散乱層162で基本的に構成されていてもよい。描写しやすくするために、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160は、透明電極対164,166の間に挟まれている1つのエネルギー/光散乱層162で構成されているものとして示されている。複数の実施形態において、エネルギー/光散乱層162は、複数の個々に不連続な(不均質な)部分で構成されていて、個々に不連続な部分は各々が単一の透明電極対164,166の間に印加された電圧に各様に反応するようになって
いる、もしくは、個々に不連続な部分の各々に付随する不連続な1対の個々に制御可能な透明電極部分を有していてもよいことが認識されよう。これとは別に、エネルギー/光散乱層162は、エネルギー/光散乱層162に付随する不連続な複数対の個々に制御可能な透明電極または電極部分を有している、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体とマトリクス材料とからなる実質的に均質な組成で構成されていてもよい。複数の実施形態は、エネルギー/光散乱層162が実質的に均質の組成であり、透明電極対164,166のうちの一方がほぼ単一構造であり、透明電極対164,166のうちの他方が複数の個々に制御可能な透明電極部分で構成されていてもよい。
【0054】
複数の実施形態は、透明電極対164,166のうちの1つ以上が、エネルギー/光散乱層162に対向する電極の各表面に谷部が切り込まれているエッチング部、または、エネルギー/光散乱層162に対向する電極164,166の各表面に立ち上がりが加えられている突起部を有していてもよい。このようなエッチング部または突起部は、このような特徴を有する電極164,166間に電位を生じさせて局所的に異なる電界成分を発生させ、エネルギー/光散乱層162に各様に作用して局所的に異なる屈折率を呈するようにしてもよい。このようにして、エネルギー/光散乱層162は、エッチング部または突起部に応じて異なる色や画像を表示してもよい。
【0055】
透明電極対164,166の少なくとも一方の外面に、透明な保護層168を配置してもよい。
【0056】
図1Aに示されている透明な第1動作モードにおいて、電界140を印加しないことにより、エネルギー/光散乱層110のエネルギー/光入射面に衝突する周辺光または光源130からの光の全てが、エネルギー/光散乱層110の少なくとも一部を、基本的に妨げられることもなくフィルタリングもされず、まるで透明なガラス片を透過するように通過することを可能にしてもよい。
【0057】
図1Cに示されている透明な第1動作モードにおいて、透明電極164,166の各対を、シャッター要素コントローラ及び電源190からの信号に基づいて、少なくとも電極164,166の各対に付随する部分(不連続な電極または電極部分)にあるエネルギー/光散乱層162を実質的に透明にするようにして、通電、個別に通電、または通電を遮断してもよい。このような状況において、エネルギー/光入射側の電極114(不連続な電極または電極部分)に衝突する周辺光または光源180からの光の全てが、エネルギー/光散乱層162及び透明電極対164,166の少なくとも一部を、基本的に妨げられることなくフィルタリングもされず、まるで透明なガラス片を透過するように通過してもよい。
【0058】
図1Bに示されている不透明な第2動作モードにおいて、電界140をエネルギー/光散乱層110のうちの少なくとも部分的に印加して、エネルギー/光散乱層110を、第1の所定波長WLpの光が電界140が作用する部分においてエネルギー/光散乱層110を通過できるようにしてもよい。エネルギー/光散乱層110の構成は同時に、エネルギー/光散乱層110の通電している部分に衝突する特定の第2の所定波長WLsの光を、ほぼ図示されているように再度入射方向に散乱させる。
【0059】
図1Dに示されている不透明な第2動作モードにおいて、透明電極164,166の各対を、シャッター要素コントローラ及び電源190からの信号に基づいて、エネルギー/光散乱層162(またはその個々に制御されている不連続部分)を実質的に不透明にするようにして、通電、個別に通電、または通電を遮断してもよい。ここで、通電された場合、エネルギー/光散乱層162は、第1の所定波長WLpの光が通電されている部分においてエネルギー/光散乱層162を通過できるように構成されている。エネルギー/光散
乱層162の構成は同時に、エネルギー/光散乱層162の通電している部分に衝突する第2の所定波長WLsの光を、ほぼ図示されているように再度入射方向に散乱させる。
【0060】
上述したように、及び、以下に詳細に説明するように、エネルギー/光散乱層110,162は、24マイクロメートル以下の粒径を有する、マイクロ粒子やナノ粒子を含む、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体の形状の実質的に透明な粒子と、実質的に透明な粒子の間にあるナノメートルサイズのボイドを含んでいてもよい、間隙ボイドで構成されていてもよい。実質的に透明な粒子は、実質的に透明な誘電材料でさらに構成されている構造層またはその他の層、もしくは不連続層部分内で安定化されていてもよい。シャッター要素160の対向電極構造内にほぼ透明な粒子を構成可能であることにより、エネルギー/光散乱層162のエネルギー/光散乱面を、全体で、または不連続な部分で選択的に「調整する」能力が得られ、これにより特定の第2の所定波長WLsの光を散乱して、所望の外観を、単色で、多色で、または透明電極164,166のうちの対向する1つ以上の対が作動した際にエネルギー/光散乱層162が提供する画像様の視覚的描写で形成できる。言い換えれば、エネルギー/光散乱層162を構成する構成要素の特定の組成に依存して、及び、透明電極対164,166によって、エネルギー/光散乱層162の表面全体にわたって、または不連続な部分において、エネルギー/光散乱層162に入射された選択的なエネルギーに依存して、不透明な第2動作モードにおいて、1つ以上の色、テクスチャ、カラーパターン、またはカラーパターン化された画像を、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160のエネルギー/光散乱層162によって視覚的に形成することができる。
【0061】
透明電極対164,166(各対)の間にかかる電圧または電圧差は、シャッター要素コントローラ及び電源190によって制御されるようにして、エネルギー/光散乱層162を構成する粒子、粒子を光散乱層162内で固定する固着材料、またはエネルギー/光散乱層162を構成する粒子と固着材料の両方、もしくはその中の不連続かつ個別に通電及び/または制御されている任意の部分のそれぞれの屈折率を変化させるように調整されてもよい。透明電極対164,166または各対)は導電性であり、しかもその中を光が透過できるほど十分に薄い。
【0062】
エネルギー/光散乱層160の光散乱効果は、一般的に、エネルギー/光散乱層162の表面の近傍における、及び/または表面に衝突する、周辺光からの照明に応じて、透明電極対164,166により印加される電圧によって調整されるように生成されてもよい。あるいは、エネルギー/光散乱層162の光散乱効果は、エネルギー/光散乱層162の表面に照明を合わせている指向性の光源180によって一般的に生成される直接照明に応じて、やはり透明電極対164,166(または各対)により印加される電圧によって調節されるように生成されてもよい。
【0063】
図1C及び1Dに示される全体的な構成において、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160は、透明な第1動作モードでは、光のほぼ全てが、不透明な第2動作モードでは、第1の所定波長WLpの光が、エネルギー/光散乱層162を含む例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160だけではなくさらには透明な三次元本体構造170も、透明な三次元本体構造170の中、上、もしくは背後に位置する、または、エネルギー/光散乱層170の背後に位置するエリアまたはセンサ、及び、例えば透明な三次元本体構造170に埋め込まれたエリアまたはセンサを、まるでほぼ全て光が、または、第1の所定波長WLpの光が、フィルタリングされずに、ガラス、プラスチック、または他の透明な外側被覆または保護層168を通過したかのように、照明可能なように、ほぼフィルタリングされずに通過することができるように、透明な三次元本体構造170上に形成されている。このようにして、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160及び透明な三次元本体構造170を通過するほぼ全ての光、または、第1の
所定波長WLpの光が著しい光エネルギーを供給し得て、これにより、透明な三次元本体構造170によって影になった領域を単純に照明してもよいし、また、光エネルギーは、透明な三次元本体構造170の全部または一部の中、上、または背後に位置する任意の光活性化センサ、光吸収センサ、光使用センサ、または他の動作に光が関与するセンサを含む、任意の方式の光検出要素によって適宜用いられてもよい。
【0064】
例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160は、扉、窓、天窓、壁の一部、家具のパネル等を含むがこれらに限定されない固定または可動の構造要素の一部として、スタンドアローンユニットとして備えられていてもよい。設置の仕方にかかわらず、選択的に透明に、もしくは選択的に不透明に(少なくとも一方向で)できることにより、基本的に使用用途を無制限に提示できる。例えば、このような例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160を、美術館内で、美術館収蔵品を披露するためには露出するが、そうでない場合は盗難防止及び/または保全のために隠すことを選択的に行うという使用用途に適用できることが考えられる。これとは別に、このような例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160は、車両での使用に無数に適用可能である。
【0065】
図2は、表示コンポーネント220の表示面225の前に配置されている、本開示に従って使用する際に表示コンポーネント220を有効に隠す、または露出するための例示的な電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素210の概略
図200を図示したものである。複数の実施形態において、エネルギーフィルタまたはシャッター要素210は、ある構造の壁の一部として、もしくは、例えばテレビ、別のエンターテイメントコンテンツ表示装置、またはコンピュータ表示装置の形状の表示コンポーネント220が背後に、または内部に収容されていてもよい家具の扉またはパネルとして取り付けられていてもよい。ほぼ単一構造として描写されてはいるが、エネルギーフィルタまたはシャッター要素210は、個々に不連続な光散乱層部分または個々に不連続な電極部分を無数に備えていてもよいことはここで再度認識されよう。動作に関しては、表示コンポーネント220は、画像ソース及び/または表示ドライバ230からの信号によって駆動されてもよい。このような画像ソース及び/または表示ドライバ230は、表示コンポーネント220が画像ソース及び/または表示ドライバ230によって駆動されて画像を表示すると、信号がシャッター要素コントローラ及び電源240に送信されて例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素210を透明にするように、シャッター要素コントローラ及び電源240と通信してもよい。反対に、画像ソース及び/または表示ドライバ230によって表示コンポーネント220の表示が終了及び/または除去されたときに、信号がシャッター要素コントローラ及び電源240に送信されて、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素210を不透明にすることによって、表示コンポーネント220を例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素210の背後に隠してもよい。
【0066】
図3は、画像収集選択装置及び/またはセンサアレイ装置の前に配置される、本開示に従って使用する際に装置を動作可能に隠す、または露出するための例示的な電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素310の概略
図300を図示したものである。複数の実施形態において、エネルギーフィルタまたはシャッター要素310は、ある構造の壁の一部として、もしくは、1つ以上のセンサアレイ320,322(それぞれ検知面325,327を有している)、1つ以上の能動型撮像装置360(画像収集レンズ365を有している)、またはこれらの任意の組み合わせが背後に、または内部に収容されていてもよい家具の扉またはパネルとして取り付けられていてもよい。動作中、センサアレイ320,322及び/または能動型撮像装置360は、信号を画像/データ受信部330(または、1つ以上のセンサアレイ320,322が光電発生デバイスを備えている場合はエネルギー収集部)に送信してもよい。ほぼ単一構造として描写されているが、エネルギーフィルタまたはシャッター要素310は、個々に不連続な光散乱層部分または個々に不連続な電極部分を無数に備えていてもよいことはここで再度認識されよう
。信号は、コンポーネント間の有線通信を介して、例えばある方式の無線インターフェース350を介して、または両者を介して供給されてもよい。撮像装置360による画像収集中に、またはセンサアレイ320,322による他のパラメータの検知中に、例示的なシャッター要素310を透明に、または一瞬だけ透明にするために、画像/データ受信部330とシャッター要素コントローラ及び電源340との間で個別の信号が供給されてもよい。反対に、撮像装置360またはセンサアレイ320,322が受動収集のために動作させられており、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素310の不透明化された動作面を通過する光を受け入れ可能である場合、信号が画像/データ受信部330からシャッター要素コントローラ及び電源340に供給されて、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素310を不透明にすることによって、撮像装置360及び/またはセンサアレイ320,322を例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素310の背後に隠してもよい。
【0067】
無線インターフェース350を用いる場合、Wi-Fi,WiGig,Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(LE)(登録商標)(Bluetooth Smart(登録商標)またはBluetooth(登録商標)のバージョン4.0+規格とも称される)、ZigBee(登録商標)、または他の同様の無線信号処理プロトコルを含むがこれらに限定されない、任意の互換性がある無線信号処理プロトコルを使用してもよい。
【0068】
図示及び理解しやすくするために不連続センサアレイ320,322として描写されているが、センサアレイ320,322は、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素310の全面の背後に位置している、実質的に一体化された、及び/または単一のアレイを構成していてもよい。
【0069】
複数の実施形態において、上述の例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素160,210,310のいずれもが、外側保護層を含むがこれに限定されない、他のラミネート層を、例示的なシャッター要素160,210,310の露出面(電極を含む)のうちの任意の1つ以上の上に有していてもよい。例えば
図1C及び1Dの要素168を参照すること。このような外側保護積層は、ガラス、プラスチック、及び/または他の光透過性の組成で作成されていてもよい。
【0070】
図4は、本開示に従う電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の動作と連係して、電子データ表示及び電気/電子/画像信号受信・処理のうちの少なくとも1つを制御する、例示的な制御システム400のブロック図を図示したものである。例示的な制御システム400は、少なくとも上記
図2及び3に示されているように、電子データ表示装置、撮像装置、及びセンサアレイのうちの1つ以上に重なる電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素と連係動作を行うために、電子データ表示装置への入力を行い、または、撮像装置またはセンサアレイからの信号を受信してもよい。
【0071】
例示的な制御システム400は、使用者が例示的な制御システム400との通信に用いてもよい操作インターフェース410を有していてもよい。操作インターフェース410は、例えば特定の表示装置の画像キャプチャ装置に関連するローカルアクセス可能なユーザーインターフェースであってもよい。操作インターフェース410は、使用者が例示的な制御システム400に情報を入力することを可能にする制御装置及び/または演算処理装置に共通している1つ以上の従来機構として構成されていてもよい。操作インターフェース410は、例えば、従来のキーボード、「ソフト」ボタンを有する、または、互換性のあるスタイラスペンと共に使用するための様々な要素を有するタッチスクリーン、音声認識プログラムによって「翻訳される」例示的な制御システム400への口頭命令を使用
者が与えるマイク、または、使用者が特定の動作命令を例示的な制御システム400に伝達可能な他の類似装置を有していてもよい。操作インターフェース410は特に、電気的に切り替え可能なシャッター要素の動作モードを、手動、半自動、または完全自動で、直接制御または間接制御する機会を使用者に与えてもよい。
【0072】
例示的な制御システム400は、1つ以上のローカルプロセッサ420であって、例示的な制御システム400を個別に動作させるとともに、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の制御機能や操作機能を実行する、1つ以上のローカルプロセッサ420と、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素と関連付けられ得る任意の表示装置、画像キャプチャ装置、またはセンサアレイと、を有していてもよい。プロセッサ(または複数のプロセッサ)420は、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素によって覆われる表示装置、画像キャプチャ装置、またはセンサアレイのうちの少なくとも1つの動作に基づいて、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を、動作モード間において直接切り替える命令を解釈して実行する、少なくとも1つの従来のプロセッサまたはマイクロプロセッサを有していてもよい。
【0073】
例示的な制御システム400は、1つ以上のデータ記憶装置430を有していてもよい。このようなデータ記憶装置(または複数のデータ記憶装置)430は、例示的な制御システム400及び具体的にはプロセッサ(複数のプロセッサ)430によって用いられるデータや動作プログラムを記憶するために使用されてもよい。データ記憶装置(または複数のデータ記憶装置)430は、例えば、表示装置、画像キャプチャ装置、及び/またはセンサアレイのうちの1つ以上において、どのような状況や動作の下で、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を透明または不透明にすべきかに関する情報を記憶するために使用されてもよい。
【0074】
データ記憶装置(または複数のデータ記憶装置)430は、更新可能なデータベース情報を記憶可能であり、例えばプロセッサ(複数のプロセッサ)420によるシステムオペレーションを実行するための、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)または命令を別々に記憶するための別のタイプの動的記憶装置を有していてもよい。データ記憶装置(または複数のデータ記憶装置)430はまた、静的情報及びプロセッサ(複数のプロセッサ)420に対する命令を記憶する従来のROMデバイスまたは別のタイプの静的記憶装置を含み得る、読み出し専用メモリ(read-only memory:ROM)も有していてもよい。さらに、データ記憶装置(または複数のデータ記憶装置)430は、例示的な制御システム400と一体であってもよく、また、例示的な制御システム400の外部に設けられ、システム400と有線または無線通信を行ってもよく、クラウドベースのデータ記憶コンポーネントを含む。
【0075】
例示的な制御システム400は、少なくとも1つのデータ出力/表示装置440を有していてもよく、データ出力/表示装置440は、例示的な制御システム400であって、その制御入力が例示的な制御システム400によって電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の動作モードに適合するように調整される例示的な制御システム400、によって制御される表示装置を含むがそれに限定されない、情報を使用者に出力する1つ以上の従来機構として構成されていてもよい。
【0076】
例示的な制御システム400は、1つ以上の別個の外部通信インターフェース450を有していてもよく、それによって例示的な制御システム400は、例示的な制御システム400の外部にあるコンポーネントと通信するための無線通信を提供してもよく、例示的な制御システム400の外部にあるコンポーネントは、任意の関連する表示装置、任意の関連する撮像装置、任意の関連するセンサアレイ、及び、動作のために例示的な制御シス
テム400が関連付けられている電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を含むが、これらに限定されない。外部通信インターフェース450のうちの少なくとも1つは、電気的切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の透明電極に信号を送信する出力ポート(及び電源)として構成されていてもよく、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素のエネルギー/光散乱層につい
ての操作命令に応じて、エネルギー/光散乱層をシステムコンポーネントの動作と協調し
て正確に透明かつ不透明にする。例示的な制御システム400と外部及び/または関連するコンポーネントの間で有線または無線通信を提供するための任意の適切なデータ接続が、示された外部通信インターフェース450によって包含されることが考えられる。
【0077】
例示的な制御システム400は、撮像及びデータ信号処理・制御ユニット460を有していてもよい。撮像及びデータ信号処理・制御ユニット460は、(1)撮像入力及び他のデータ信号を表示装置に提供し、(2)撮像装置から撮像入力を受信し、(3)センサアレイからセンサ入力を受信し、(4)センサアレイが光電池のアレイを構成している場合には、光電池のアレイから発生した電気エネルギーを収集する、ために使用してもよい。撮像及びデータ信号処理・制御ユニット460は、データ記憶装置430のうちの1つ以上に連結されたプロセッサ420の機能の一部として動作してもよく、また、例示的な制御システム400内にある別のスタンドアローン構成要素モジュールまたは回路として動作してもよい。プロセッサ420と撮像及びデータ信号処理・制御ユニット460それ自体のうちのいずれかが、入力及び出力信号を解析して、これらの信号の構成から、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素が任意の所与時間内で他の関連する装置の動作に関して動作中になるべききっかけとなる動作がどれかを決定するように、特にプログラムされていてもよい。
【0078】
例示的な制御システム400は、シャッター要素コントローラ470を、データ記憶装置430のうちの1つ以上に連結しているプロセッサ420の一部または機能として、もしくは、例示的な制御システム400内にある別個のスタンドアローン構成要素、モジュール、または回路として有していてもよい。シャッター要素コントローラ470は、電極のうちの1つ以上に供給する適切な電圧を決定することによって、エネルギーフィルタまたはシャッター要素の機能を制御するのに使用可能であってもよく、それにより、1つ以上の電極を適切に通電、個別に通電、または通電を遮断し、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の適切な動作を提供してもよい。
【0079】
例示的な制御システム400は、シャッター要素コントローラ470の制御下で、動作中の電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の電極のうちの1つ以上を通電、個別に通電、または通電を遮断するのに適切なメッセージを生成し得る別個のシャッター要素電源480を有していてもよい。
【0080】
図4に示されるように、例示的な制御システム400の様々な構成要素の全てが、1つ以上のデータ/制御バス490によって、上記で列挙したような1つ以上の外部構成要素に、内部で接続されていてもよい。これらの構成要素の全てが内部に収容されていようが、それとも外部にあって、例示的な制御システム400が関連付けられていてもよい電気的に切り替え可能なシャッター要素、表示装置、撮像装置、及び/またはセンサアレイに接続されていようが、データ/制御バス490は、例示的な制御システム400の様々な構成要素間で有線または無線通信を提供し得る。
【0081】
図4では一体構造ユニットとして描かれているが、開示されている例示的な制御システム400の様々な要素は、単一ユニットと一体の個別の構成要素または構成要素の組み合わせとして、または、例示的な制御システム400の単一ユニットの外部にあって単一ユニットと有線または無線通信する個別の構成要素または構成要素の組み合わせとして、サ
ブシステムの任意の組合せで配置されてもよいことが理解されよう。言い換えると、一体構造ユニットとしてまたは支持ユニットとしての特定の構成は、
図4での図示によって示唆されていない。さらに、例示的な制御システム400に関して本開示にて提示されている詳細を理解しやすくするために個々のユニットとして描いているが、個々に図示されている構成要素の説明されたいずれの機能、特に図示されている制御ユニットの各々も、例えば、1つ以上のデータ記憶装置(または複数のデータ記憶装置)430に接続され、かつ通信している1つ以上のプロセッサ420によって担われてもよいことが理解されよう。
【0082】
図5A~5Cは、本開示にかかる電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素における有効に不透明な状況でのエネルギー/光散乱面層の例示的な描写を、平面図で眺める観察側、つまりエネルギー/光入射側から見て示したものである。
図5Aに示されているように、例示的実施形態500は、エネルギー/光散乱面層を有しており、エネルギー/光散乱面層は、電界によって、または電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の電極によって通電されて、光散乱面層全体にわたって同じ波長WLsの光を散乱させることにより、単一の可視色510を生成するように形成されている。
図5Bに示されているように、例示的実施形態530は、エネルギー/光散乱面層を有しており、エネルギー/光散乱面層は、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の電極によって通電されることによって、または電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の電極の不連続な組み合わせによって個別に通電されることによって、第1の波長WLs
1の光を背景色540として、複数の第2の波長WLs
nの光を他の色/テクスチャ部分545として散乱するように形成されている。複数の第2の波長WLs
nの光は、色/テクスチャ部分545を生成しているが、エネルギー/光散乱面層内に形成され、かつ、1つ以上の第2の所定の波長WLs
nの光をエネルギー/光散乱面層の所定の領域内のみで散乱することによって、ある方式の多色及び/またはマルチテクスチャの外観を光散乱面層内に生成するように構成されていてもよい。
図5Cに示されているように、例示的実施形態550は、エネルギー/光散乱面層を有しており、エネルギー/光散乱面層は、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の電極によって通電されることによって、または電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の電極の不連続な組み合わせによって個別に通電されることによって、第1の波長WLs
1の光を第1背景色560として、第2(またはそれ以上の)の波長WLs
2の光を第2中間背景色(または複数の中間背景色)565として、及び、複数の第3の波長WLs
nの光を色/テクスチャ/画像部分570として散乱するように形成される。複数の第3の波長WLs
nの光は、色/テクスチャ/画像部分570として、エネルギー/光散乱面層内に形成され、かつ、1つ以上の第3の所定波長WLs
nの光をエネルギー/光散乱面層の所定の領域内のみで散乱することによって、ある方式の多色の、マルチテクスチャの、及び/または画像に関する外観を光散乱面層内に生成するように構成されていてもよい。
【0083】
上述の実施形態の全てにおいて、様々なエネルギー/光散乱層は、第1の所定波長WLpの光が可視光範囲、近可視光範囲、または可視光ではない範囲で選択された波長としてエネルギー/光散乱層を通過でき、かつ、第2の所定波長WLs
(x)の光を主として可視光範囲で選択された波長として散乱させることができるように形成されていてもよいことは認識されよう。その概要は
図1Dを参照されたい。
【0084】
図6は、本開示に係る電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素において使用可能であるエネルギー/光散乱層600の詳細の例示的実施形態を図示したものである。開示されているスキーム、プロセス、技術、または方法は、実質的に透明なマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体を用いて形成されたエネルギー/光散乱層600を用いていてもよく、この球体は、誘電体マトリクスとして構成されてい
てもよい実質的に透明なマトリクス610内に埋め込まれた、金属ナノ粒子620を含むナノ粒子の形状でもよい。一例として、金属ナノ粒子620は、チタン酸バリウム(BaTiO
4)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO
4)ナノ粒子を含んでいてもよい。さらに、エネルギー/光散乱層600は、エネルギー/光散乱層600内に、または、エネルギー/光散乱層600を通って、ランダムな、またはパターン化されたボイド630を含んでいてもよい。複数の実施形態において、パターン化されたボイド630は、例えば
図6に示されているもののように、カメラレンズまたは他の撮像装置センサに衝突する光をフィルタリングするあらゆる必要性を低減、または実質的に排除できる。
【0085】
図7は、本開示に係る電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の一部としてエネルギー/光散乱層内で使用可能である、多層個別マイクロメートルまたはサブマイクロメートル球体700の、例示的な詳細の概略図を図示したものである。開示されている実施形態における実質的に透明な粒子は、示されているような層状構造であってもよい。各層710~750は、電極間にかけられた電位によって生成される印加電界に応じて、異なる屈折率及び異なる屈折率変化率を呈していてもよい。層数は、特定の用途及び/または使用事例により必要とされる範囲で変化されてよい。これは、色、透過、及び散乱を調整する際の、つまり、エネルギー/光散乱層の組成、および、個々の粒子が印加電界または電極間に印加された電圧に応答する方法によって、生じる光散乱効果を「調整」する際の、追加の自由度を可能にする。
【0086】
貴金属含有物を含む複合物のカラーは、金属相での複合物の表面プラズモン共鳴(SPR)に基づいて調整されてもよい。励起光の波長よりかなり小さい寸法の、よく分離された埋め込み式金属ナノ粒子を有するフィルムを備える光散乱層は、吸収スペクトルの可視域内のピークによって特徴づけられてもよい。帯域幅、輝度、及び最大効率の保有は、周囲の誘電体マトリクスの組成ならびに金属ナノ粒子のサイズ、分布、及び形状に依存し得る。実質的に透明な構成コンポーネントのこれらの物理的特性を制御できることは、光散乱層がそれから形成され得る複合材料の光学的特性の調整を可能にする。複合材料の光学的特性のこの調整は、(1)マトリクス(NH)の屈折率を変更すること、及び、(2)金属含有物のモフォロジー及び分布を修正し、それにより、金属ナノ粒子のアスペクト比を変更することの一方または両方を含んでもよい。プラズモン共鳴及び粒子による光の散乱の組合せを適用することによって、上述した例示的なナノ粒子の成分を含む、実質的に透明なマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体からなる光散乱表面層を有するオブジェクトのカラーの現れ方は、直接かつ正確に制御され得る。
【0087】
電界は、対向する電極対の電位からのものも含まれるが、金属粒子の周囲の固着剤の屈折率と誘電率を変更するのに使用可能である。これにより、ナノ構造のプラズモン共鳴周波数が変化して、エネルギー/光散乱層を調整可能なばらつきと精密度をさらに高め、その結果、開示された電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の実用性を大幅に向上させる。
【0088】
エネルギー/光散乱層の最終的な光学的特性または特徴は、散乱理論を用いて制御及び/または決定されてもよい。このような散乱理論の例は、均質球によって電磁平面波の散乱を記述する、マクスウェル方程式のミー理論またはミーの解である。ミーの解は、無限級数の球面多極部分波の形態をとる。その概要はStratton,J.A.著「Electromagnetic Theory」McGraw-Hill社(1941)を参照されたい。
【0089】
複数の実施形態において、エネルギー/光散乱層の1つ以上の見かけのカラーは、実質的に透明なマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体を用いて作成してもよい。1つ以上の階層の多層は、例えばポリスチレンラテックス懸濁液から水分を蒸発させる
ことによって形成してもよく、可視光波長よりも小さい直径の単分散球粒子を含有することができる。例えば、Dushkin他「Colored Multilayers from Transparent Submicrometer-Spheres」(日本国 300-26 つくば市東光台5-9-1 JRDC ERATO プロテイン・アレイ・プロジェクト)(1993年5月28日)を参照されたい。電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素内のエネルギー/光散乱層の色及び透過特性は、対向する電極対に対して電位を印加する方法によって変更及び/または調節可能であり、これにより電極間に電界を形成することができる。この電界が、実質的に透明なマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの粒子、及び、マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの粒子を固定させる固着マトリクスとの相互作用を起こす。
【0090】
上述の
図1A~1Dを参照すると、少なくともエネルギー/光散乱層または第1電極層を支持するほとんどあらゆる材料で構成される支持構造に応じて、対象領域を定義可能であることが理解されよう。
図1A~1Dを参照して説明されている本体構造120,170は、実質的に透明なものとして定義されており、これは、例示的なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を通過するエネルギー/光の波長が、実質的に透明な本体構造を通じて、下にある領域を照光し続けること、または、本体構造の影に位置する光収集デバイスを活性化し続けることを意図しているためである。
【0091】
しかし、上述の
図2及び3に示されている実施形態の場合のように、下にある本体構造が透明ではない例がある。下にある対象エリアが、動作するまでは視界から隠される必要があるLCD表示装置であり得る例を考察する。このようなLCD表示装置は、それ自体は光を透過しない対象エリアを構成している。言い換えると、下にある構造の存在によって不透明なシャッター効果が限定、もしくは改変され得る使用事例及び使用用途が存在し得る。
【0092】
複数の実施形態において、プラズマアシスト化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)で、例えばグラフェン等の導電層を堆積して、原子レベルに薄い層を形成してもよい。固着マトリクス層及び粒子層を、固有の材料処理の限界に応じて同時に、または順次に施してもよい。これらの層を形成する技術は、プラズマアシストCVD、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、イオンを用いた自己触媒単分子層堆積、及び他のそのような方法を含み得る。開示された手法のいずれかで別の導電層を次に適用して、電気的に切り替え可能なシャッター要素構造を実現してもよい。積層方法、プロセス、及び技術に従って、保護層を別途施してもよい。
【0093】
光散乱層の構成要素と電極との直接接触以外の手段で電圧を誘導することが意図される状況を除いて、
図1A及び1Bに関連して上記で図示及び説明された、透明電極を切り替え可能な構造の一部として含まない手法で、電極への印加時に注意を払い、そして次に続く電圧印加を容易かつ確実に実現する。
【0094】
開示されたいくつかの実施形態は、電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素を用意して使用する方法を含んでいてもよい。
図8は、このような例示的な方法のフローチャートを図示したものである。
図8に示されているように、本方法のオペレーションはステップS8000で始まり、ステップS8100へと進む。
【0095】
ステップS8100においては、単一構造としての表面上に、または独立して通電可能な不連続部分に、少なくとも1つの第1透明積層電極を堆積してもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8200へと進む。
【0096】
ステップS8200において、電気活性化層形成材料からなる、複数の実質的に透明な
マイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体を、実質的に透明なマトリクス材料とともに、実質的に均等な混合体として第1透明積層電極上に、または不連続な混合体区画内に、順次堆積もしくは混合してもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8300へと進む。
【0097】
ステップS8300において、個々に通電可能な不連続部分内の、複数の実質的に透明なマイクロメートルまたはサブマイクロメートルの球体と実質的に透明なマトリクス材料との、単一構造としての混合体上に、第2透明積層電極を堆積して、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素を形成してもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8400へと進む。
【0098】
ステップS8400において、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素の対向する両面のうちの少なくとも1つの上に、保護層を設けてもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8500へと進む。
【0099】
ステップS8500において、形成された電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素を、オブジェクトの構造部材として、看板の表示コンポーネントとして、視覚的に変更可能な壁板として、または、表示コンポーネント及び1つ以上の画像収集部/センサ素子のうちの1つの外装構造として配置してもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8600へと進む。
【0100】
ステップS8600において、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素を、エネルギー/光入射側から見た場合に、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素が、表面全体にわたって、または不連続な部分内に、実質的に透明な外観を呈する第1モードにしたがって動作させてもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8700へと進む。
【0101】
ステップS8700において、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素を、エネルギー/光入射側から見た場合に、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素が、表面全体にわたって、または不連続な部分内に、単色の、マルチカラーの、テクスチャ化された、または画像様の表現で実質的に不透明な外観を呈する第2モードにしたがって動作させてもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8800へと進む。
【0102】
ステップS8800において、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素の第1モードと第2モードの間での切り替えは、画像表示装置に表示された画像データ、及び、電気的に作動するエネルギーフィルタまたはシャッター要素に対してエネルギー/光入射側の反対側に位置する画像収集部/センサ素子からのセンサデータ収集のうちの1つにしたがって調整されてもよい。本方法のオペレーションは、ステップS8900へと進み、ここで本方法のオペレーションは、終了する。
【0103】
開示されている実施形態は、プロセッサによって実行されると、プロセッサが上記で概説した方法のステップのうちの全て、または少なくとも一部を実行、特に電気的に作動するシャッター要素の連係制御に関するステップを実行し得る命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体を有していてもよい。
【0104】
以上で一部詳細に説明したように、本開示に係るシステム及び方法は、電気的に切り替え可能な実質的に透明な構成要素材料から、実質的に透明な構成要素材料の組み合わせが、可視光スペクトルの波長を有する入射エネルギーに対して露出された場合に、例えば不透明に見えるように、そして印加電界によって改変され得るようにする特定のエネルギー
/光散乱特性を有するように、共通のオブジェクトを独特の手法で形成することに向けられていてもよい。
図9は、本開示に係る、エネルギー/光散乱層を含む電気的に切り替え可能なエネルギーフィルタまたはシャッター要素の形をした、少なくとも不連続な部分を組み込む例示的な壁板900の概略図を図示したものである。このような壁板900は、通常は下にあるスイッチプレート内で見出されるような機械可動のスイッチ及び/またはコンセント部品のうちの1つ以上を収容するための開口920,922,924がある壁板面910を有する標準的な住宅用及び/または商用の形態に使用可能であってもよい。
【0105】
複数の実施形態において、壁板面910は、上述の説明に従うエネルギー/光散乱層を含むエネルギーフィルタまたはシャッター要素を全体で構成している固体本体構造の一例であってもよい。それぞれの実施形態において、壁板面910は、規定の色の実質的に従来の材料で形成されていて、平面図において、エネルギー/光散乱層を含む1つ以上のエネルギーフィルタまたはシャッター要素で形成された不連続な部分930,932,934を収容していてもよい。いずれの構成においても、例示的な壁板900のエネルギー/光散乱層を含むエネルギーフィルタまたはシャッター要素は、標準的な電気スイッチ、コンセント、及び他の住宅用及び商用設備を覆っていてもよい。各実施形態において、下にあるスイッチボックス及び/またはコンセントボックスは、エネルギー及び/または光活性化センサ、デバイス、発電コンポーネント等を含むように構成されていてもよい。開示される実施形態に係る壁板900の提供は、下にあるセンサ、デバイス、構成要素に対して不透明な外観を保ったままで、壁板900の全体を通じた、または不連続部分を通じたエネルギー透過を容易にし得る。複数の実施形態において、このような下にあるセンサ、デバイス、または構成要素は、壁板900のボックス側(光入射側ではない方)に取りつけられていてもよく、あるいは、下にある構成要素のうちの1つ以上に取り付けられてもよいし、ギャングボックスの側面自体に取りつけられていてもよい。開示された壁板900の特定の限定的な構成が、
図9の例示的な描写によって示唆されるものではないことが認識されよう。
【0106】
複数の実施形態において、壁板900は、透明な呈示と不透明な呈示との間で切り替えられるようにモード設定されるのではなく、むしろ、第1(通電遮断)動作モードでの第1の不透明な呈示と、第2(通電)動作モードでの第2の不透明な呈示との間で切り替えられるようにモード設定されてもよい。例えば、壁板900は、通電時に特別なメッセージを「点灯」もしくは表示する不連続な部分を有していてもよい。
【0107】
上述の例示的なシステム及び方法は、熟知と理解しやすさのために、従来の構成要素、センサ材料、及び実際の使用事例を参照して、本開示の主題を実施し得る適切な動作、製品処理、エネルギー/光散乱層構成要素の形成、及び、電気的に作動するシャッター要素の動作についての簡潔で一般的な説明をしている。必要ではないが、本開示のいくつかの実施形態は、少なくとも部分的に、ハードウェア回路、ファームウェア、またはソフトウェアのコンピュータ実行形式の命令の形で提供されて、説明された特定のエネルギー/光散乱層の形成、及び、電気的に作動するエネルギーフィルタリングまたはシャッター機能を制御または実行してもよい。これには、複数のプロセッサによって実行される個々のプログラムモジュールが含まれ得る。
【0108】
当業者であれば、開示された主題の他の実施形態を、多数の異なる膜形成、層形成、ラミネート層形成、シャッター要素形成、壁板形成、及び/または、多数の異なる構成からなるシャッター要素オペレーティングシステム及び/またはデバイスで実行できることを認識するであろう。
【0109】
上記で示したように、本開示の範囲内にある実施形態は、開示されたエネルギーフィル
タまたはシャッター要素の形成及びシャッター要素の動作スキームを制御するための、1つ以上のプロセッサによってアクセス、読み出し、及び実行可能な記憶されたコンピュータ実行形式命令またはデータ構造を有するコンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。このようなコンピュータ可読媒体は、プロセッサ、もしくは汎用または特殊用途のコンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であることができる。限定するのもではない一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、例えば特定のオブジェクト、オブジェクト構造、層、層構成要素、及び/または(実際の使用事例の特定例としての)壁板のコンピュータ支援設計(CAD)またはコンピュータ支援製造(CAM)を含む、例えば任意の成型または製造技術を実行するための、所望のプログラム要素またはステップを、アクセス可能なコンピュータ実行形式の命令またはデータ構造の形で担持または記憶するために使用可能である、RAM,ROM,EEPROM,CD-ROM,フラッシュドライブ、データメモリカード、もしくは他のアナログまたはデジタルデータ記憶装置で構成されることができる。
【0110】
コンピュータ実行形式の命令は、例えば、プロセッサに上記で規定された機能のうちのいくつかを、個別に、または様々に組み合わせて実行させるように、実行され得る及びアクセスされ得る、非一時的な命令及びデータを含む。コンピュータ実行形式の命令はまた、プロセッサがアクセス及び実行するために遠隔記録されているプログラムモジュールを含んでいてもよい。
【0111】
実行形式の命令またはこれらの実行形式の命令を実行するための関連するデータ構造の描かれた例示的シーケンスは、上記で概説した例示的な方法の各ステップで説明した機能を実施するための、対応する動作シーケンスの一例を表している。描かれた例示的なステップは、開示された実施形態の趣旨を実施するための任意の合理的な順序で実行されてもよい。本方法の開示されたステップの順序は、ある特定の方法ステップが任意の他の方法ステップの実行に必要な前提条件である場合を除いて、必ずしも
図8での描写で示唆されているものとは限らない。
【0112】
上記の説明は特定の詳細を含み得るが、どのような形であっても請求項を限定するものとして解釈すべきではない。開示されたシステム及び方法の説明されている実施形態の他の構成は、本開示の範囲の一部である。
【0113】
種々の上記で開示された特徴及び機能、並びに他の特徴及び機能、またはその代替物は、所望どおりに、多数の他の異なるシステム及びアプリケーションに組み合わせられてもよいことは理解されよう。また、様々な代替、修正、変更、または改善が後に当業者によって行われてもよく、これらもまた、以下に続く特許請求の範囲に包含されることが意図される。